(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022141154
(43)【公開日】2022-09-29
(54)【発明の名称】ステビオール配糖体の新規用途
(51)【国際特許分類】
A61K 31/702 20060101AFI20220921BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20220921BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20220921BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20220921BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20220921BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20220921BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220921BHJP
A61P 7/02 20060101ALI20220921BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220921BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20220921BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20220921BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
A61K31/702
A61P1/00
A61P1/04
A61P17/02
A61P9/00
A61P9/10 101
A61P29/00
A61P7/02
A61P35/00
A61P9/12
A23L33/105
A23L2/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021041335
(22)【出願日】2021-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100135943
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 規樹
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】浦井 聡一郎
(72)【発明者】
【氏名】長尾 浩二
(72)【発明者】
【氏名】横尾 芳明
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 均
(72)【発明者】
【氏名】柴野 果歩
【テーマコード(参考)】
4B018
4B117
4C086
【Fターム(参考)】
4B018MD42
4B018ME08
4B018ME14
4B117LC04
4B117LK11
4B117LL02
4B117LL09
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA01
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZA08
4C086ZA36
4C086ZA42
4C086ZA45
4C086ZA54
4C086ZA66
4C086ZA68
4C086ZA89
4C086ZB11
4C086ZB26
(57)【要約】
【課題】
さらなる創傷治癒促進剤の開発が期待されている。
【解決手段】
本発明によれば、レバウジオシドA及びレバウジオシドMから選択されるステビオール配糖体を含む、創傷治癒の促進、H2Sの産生促進H2Sにより改善される状態の処置、NOの産生促進のための、及び/又は、NOにより改善される状態の処置のための組成物が提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レバウジオシドA及びレバウジオシドMから選択されるステビオール配糖体を含む、創傷治癒を促進するための組成物。
【請求項2】
創傷が消化管の創傷である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
消化管潰瘍、炎症に伴う消化管の損傷及び/又は消化管の術創の処置のための、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
創傷が血管の創傷である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
動脈硬化の予防及び/又は血管損傷の処置のための、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
レバウジオシドA及びレバウジオシドMから選択されるステビオール配糖体を含む、H2Sの産生促進のための、及び/又は、H2Sにより改善される状態の処置のための組成物。
【請求項7】
H2Sにより改善される状態が、炎症、疼痛、消化管の異常な蠕動亢進、血栓症、虚血再灌流障害、不整脈及びがんから選択される、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
レバウジオシドA及びレバウジオシドMから選択されるステビオール配糖体を含む、NOの産生促進のための、及び/又は、NOにより改善される状態の処置のための組成物。
【請求項9】
NOにより改善される状態が、狭心症、心不全、心筋梗塞、心臓喘息、アカラジア、血管平滑筋細胞の異常増殖、高血圧、血栓症、虚血再灌流障害、動脈硬化、血管炎、創傷及びがんから選択される、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
経口投与のための、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
食品である、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
飲料である、請求項11に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステビオール配糖体の新規用途、特に、レバウジオシドA及びレバウジオシドMの、創傷治癒、NO産生促進、H2S産生促進に係る用途等に関する。
【背景技術】
【0002】
創傷治癒は、組織が受けた損傷を修復する生体に本来備わったプロセスである。組織は様々な要因で損傷を受けるが、損傷の程度が通常の修復能力の範囲を超えたり、修復能力が弱まっていたりすると、より深刻な病態に発展する可能性がある。例えば、動脈硬化には、血管の内因性修復の機能不全が関与しているとの見方がある(非特許文献1)。創傷治癒の促進は、単純な外傷の修復を早めるだけでなく、動脈硬化のような創傷治癒力の低下に伴う疾患の改善にも寄与すると考えられる。創傷治癒を促進する薬剤としては、例えば、非特許文献2、特許文献1~2等に記載のものが報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2016/102660号
【特許文献2】国際公開第2018/039748号
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Zenovich and Taylor, Front Biosci. 2008;13:3621-36
【非特許文献2】Su et al., Biomed Pharmacother. 2019;117:109191
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さらなる創傷治癒促進剤の開発が期待されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、以下を提供する。
[1]
レバウジオシドA及びレバウジオシドMから選択されるステビオール配糖体を含む、創傷治癒を促進するための組成物。
[2]
創傷が消化管の創傷である、[1]に記載の組成物。
[3]
消化管潰瘍、炎症に伴う消化管の損傷及び/又は消化管の術創の処置のための、[2]に記載の組成物。
[4]
創傷が血管の創傷である、[1]に記載の組成物。
[5]
動脈硬化の予防及び/又は血管損傷の処置のための、[4]に記載の組成物。
[6]
レバウジオシドA及びレバウジオシドMから選択されるステビオール配糖体を含む、H2Sの産生促進のための、及び/又は、H2Sにより改善される状態の処置のための組成物。
[7]
H2Sにより改善される状態が、炎症、疼痛、消化管の異常な蠕動亢進、血栓症、虚血再灌流障害、不整脈及びがんから選択される、[6]に記載の組成物。
[8]
レバウジオシドA及びレバウジオシドMから選択されるステビオール配糖体を含む、NOの産生促進のための、及び/又は、NOにより改善される状態の処置のための組成物。
[9]
NOにより改善される状態が、狭心症、心不全、心筋梗塞、心臓喘息、アカラジア、血管平滑筋細胞の異常増殖、高血圧、血栓症、虚血再灌流障害、動脈硬化、血管炎、創傷及びがんから選択される、[8]に記載の組成物。
[10]
経口投与のための、[1]~[9]のいずれか一項に記載の組成物。
[11]
食品である、[10]に記載の組成物。
[12]
飲料である、[11]に記載の組成物。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、創傷治癒、NO産生促進及びH2S産生促進のためのさらなる手段が提供され、健康の維持や疾患の予防、改善のための選択肢が拡大する。又、ステビオール配糖体は甘味成分としての側面を有し、食品との親和性が高いため、従来の薬物に比べより手軽に摂取でき、より広い層に対する健康の増進に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】血管内皮細胞の創傷治癒に対するRebA又はRebMの影響を評価した結果を示すグラフである。縦軸は、無処置コントロール(Cont)の細胞数を100%とした場合の相対値を示す。n=5、
*P<0.05 vs. Cont、Dunnett検定。
【
図2】胃粘膜細胞の創傷治癒に対するRebA又はRebMの影響を評価した結果を示すグラフである。縦軸は創傷治癒率(%)を示す。
【
図3】胃粘膜細胞の創傷治癒に対するRebA又はRebMの影響を評価した結果を示す代表的な写真図である。上段は培養前、下段は3時間培養後の画像である。
【
図4】RebA又はRebMによる血管内皮細胞のNO産生促進を示すグラフである。縦軸は、無処置コントロール(C)の蛍光強度を100%とした場合の相対値を示す。n=4、
*P<0.05 vs. C、Holm検定。
【
図5】RebA(RA)又はRebM(RM)による創傷治癒促進に対するNOの関与を評価したグラフである。縦軸は、無処置コントロール(Cont)の細胞数を100%とした場合の相対値を示す。A:n=3、
*P<0.05 vs. Cont (-)、
†P<0.05 vs. RA (-)、Bonferroni-Welch検定。B:n=4、
‡P<0.05 vs. Cont (-)、
§P<0.05 vs. RM (-)、Bonferroni-Welch検定。
【
図6】RebA又はRebMによる創傷治癒促進に対するH
2Sの関与を評価したグラフである。縦軸は、無処置コントロール(Cont)の細胞数を100%とした場合の相対値を示す。A:n=3、
*P<0.05 vs. Cont (-)、
†P<0.05 vs. RA (-)、Holm-Welch検定。B:n=4、
‡P<0.05 vs. Cont (-)、
§P<0.05 vs. RM (-)、Dunnett検定。
【
図7】RebA又はRebMによるNO産生促進に対するH
2Sの関与を評価したグラフである。縦軸は、無処置コントロール(Cont)の蛍光強度を100%とした場合の相対値を示す。n=3、
†P<0.05 vs. Cont (-)、Holm検定。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をそのような実施の形態のみに限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施をすることができる。
なお、本明細書において引用した全ての文献、及び公開公報、特許公報その他の特許文献は、参照として本明細書に組み込むものとする。
【0010】
<創傷治癒促進用組成物>
本発明の一態様は、レバウジオシドA及びレバウジオシドMから選択されるステビオール配糖体を含む、創傷治癒を促進するための組成物(以下、「本発明の創傷治癒促進用組成物」又は「本発明の組成物A」と称することがある)に関する。
本発明者らは、レバウジオシドA及びレバウジオシドMが創傷治癒促進作用を有することを初めて見出し、本発明の組成物Aを完成させた。したがって、レバウジオシドA及びレバウジオシドMの各々は、本発明の組成物Aにおいて有効成分として作用することができる。本発明の組成物Aにおいて有効成分として作用することは、例えば、本発明の組成物Aと、レバウジオシドA及びレバウジオシドMを含まない以外は本発明の組成物Aと同じ組成の対照組成物を比較したときに、本発明の組成物Aを用いた方が対照組成物を用いたときよりも創傷治癒が促進されることにより確認することができる。
【0011】
レバウジオシドA及びレバウジオシドMは、ステビア(Stevia rebaudiana)に含まれる配糖体であり、以下の構造を有する。本明細書中、レバウジオシドは「Reb」、「Reb.」又は「R」と略すことがある。例えばレバウジオシドAは、本明細書中「RebA」、「Reb.A」又は「RA」と表記されることがある。
【化1】
【0012】
RebA及びRebMは、市販のものを使用してもよいし、ステビアから抽出、精製したものを使用してもよい。ステビアからRebA及びRebMを抽出、精製する手法は知られている。例えば、RebA及びRebMは、ステビアの新鮮葉又は乾燥葉から適切な溶媒(水等の水性溶媒又はアルコール、エーテル及びアセトン等の有機溶媒)により抽出することができる(抽出条件等は、例えば、Ohta et al., J. Appl. Glycosci. 2010;57(3):199-209又はWO2010/038911等に記載の方法を参照)。さらに、このようにして得られた抽出物に対し、酢酸エチルその他の有機溶媒:水の勾配、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、ガスクロマトグラフィー、飛行時間型質量分析(TOF-MS)、超高性能液体クロマトグラフィー(UPLC)等の公知の方法を用いることによりRebA及びRebMを精製することができる。RebA及びRebM、特にステビアにおける含量の少ないRebMは、ステビオール配糖体を含むステビア抽出物に糖転移酵素(例えば、UDP糖依存的糖転移酵素(UGT)など)を作用させるバイオコンバージョンにより、その濃度を高めることが可能である。
【0013】
一態様において、本発明の組成物Aに使用されるRebA及びRebMは、ステビアから、バイオコンバージョンなしに抽出、精製されたものである。別の態様において、本発明の組成物Aに使用されるRebA及びRebMは、ステビアから、バイオコンバージョンを含む手法により抽出、精製されたものである。
【0014】
本発明の組成物Aに使用されるRebA及びRebMは、純度の高いものほど好ましい。本発明に使用されるRebA及びRebMの純度としては、例えば、90%以上、90.5%以上、91%以上、91.5%以上、92%以上、92.5%以上、93%以上、93.5%以上、94%以上、94.5%以上、95%以上、95.5%以上、96%以上、96.5%以上、97%以上、97.5%以上、98%以上、98.5%以上、99%以上、99.5%以上等が挙げられる。
【0015】
本発明の組成物Aは、RebA、RebM、又はRebAとRebMとの組合せを含んでもよい。本発明の組成物AにおけるRebA、RebM、又はRebAとRebMとの組合せの配合割合は、組成物A全体に対する質量基準で、例えば、1~500,000、1~400,000、1~300,000、1~200,000、1~100,000、1~80,000、1~60,000、1~40,000、1~20,000、1~10,000、1~8,000、1~6,000、1~4,000、1~2,000、1~1500、1~1200、5~1200、1~1000、5~1000、10~1000、10~900、20~900、30~900、40~900、50~900、60~900、70~900、80~900、90~900、100~900、110~900、120~900、130~900、140~900、150~900、10~800、20~800、30~800、40~800、50~800、60~800、70~800、80~800、90~800、100~800、110~800、120~800、130~800、140~800、150~800、10~700、20~700、30~700、40~700、50~700、60~700、70~700、80~700、90~700、100~700、110~700、120~700、130~700、140~700、150~700、10~600、20~600、30~600、40~600、50~600、60~600、70~600、80~600、90~600、100~600、110~600、120~600、130~600、140~600、150~600、10~500、20~500、30~500、40~500、50~500、60~500、70~500、80~500、90~500、100~500、110~500、120~500、130~500、140~500、150~500、10~400、20~400、30~400、40~400、50~400、60~400、70~400、80~400、90~400、100~400、110~400、120~400、130~400、140~400、150~400、10~300、20~300、30~300、40~300、50~300、60~300、70~300、80~300、90~300、100~300、110~300、120~300、130~300、140~300、150~300、10~250、20~250、30~250、40~250、50~250、60~250、70~250、80~250、90~250、100~250、110~250、120~250、130~250、140~250、150~250、10~200、20~200、30~200、40~200、50~200、60~200、70~200、80~200、90~200、100~200、110~200、120~200、130~200、140~200、150~200、10~180、20~180、30~180、40~180、50~180、60~180、70~180、80~180、90~180、100~180、110~180、120~180、130~180、140~180、150~180、1~550、1~540、1~530、1~520、1~510、1~505、1~500、1~495、1~490、5~550、5~540、5~530、5~520、5~510、5~505、5~500、5~495、5~490、10~550、10~540、10~530、10~520、10~510、10~505、10~500、10~495、10~490、15~550、15~540、15~530、15~520、15~510、15~505、15~500、15~495又は15~490ppm等であってよい。なお、RebA及びRebMの分子量はそれぞれ約967.0及び約1291.3であり、RebA及びRebMの水溶液における1mMの濃度は、それぞれ、質量基準で約96.7ppm及び約129.1ppmに相当する。
【0016】
創傷治癒の促進は、本発明の組成物Aを使用しなかった場合に比べ、創傷治癒プロセスに関する指標が改善していることにより評価することができる。創傷治癒プロセスに関する指標としては、例えば、所定時間内に増殖或いは遊走により創傷部位に現れる細胞の数、創傷部位に出現する新生血管の数、創傷治癒の各ステージ(例えば、止血期、炎症期、増殖期及びリモデリング期)の経過時間の短縮等が挙げられる。一態様において、創傷治癒の促進は、所定時間内に増殖或いは遊走により創傷部位に現れる細胞の数を指標に評価する。特定の態様において、創傷治癒の促進は、後述の実施例に記載のとおり、容器内に形成された培養細胞の層を人為的に損傷させ、所定時間培養後(例えば3~24時間後)に損傷部位に存在する細胞の数を計数したり、損傷部位の面積を測定し、これを前記所定時間培養前の損傷部位の面積と比較することなどにより評価することができる。指標の改善の程度は、例えば、本発明の組成物Aを使用しなかった以外は同じ条件で得られた指標を100%としたときに、105%以上、110%以上、115%以上、120%以上、125%以上、130%以上、135%以上、140%以上、145%以上、150%以上、155%以上、160%以上、165%以上、170%以上、175%以上、180%以上、185%以上、190%以上、195%以上、又は200%以上であってもよく、高いほど好ましい。
創傷治癒の促進は、H2S(硫化水素)産生の促進及び/又はNO(一酸化窒素)産生の促進を介して生じるものであってよい。
【0017】
本発明の組成物Aは、種々の組織の損傷の修復に使用することができる。したがって本発明は、RebA及びRebMから選択されるステビオール配糖体を含む、組織損傷を修復するための組成物にも関する。
例示的な組織としては、例えば、血管、消化管(口腔、咽頭、食道、胃、小腸、大腸、肛門を含む)、皮膚、筋、粘膜、角膜、結膜、膀胱、尿道、尿管、膣、子宮、気道(口腔、咽頭、喉頭、気管、気管支、細気管支を含む)、肺、肝臓、膵臓、脾臓、心臓、腎臓、副腎、神経、脳等が挙げられる。一態様において、本発明の組成物Aが対象とする組織は、経口摂取(経鼻カテーテル、咽頭瘻、食道瘻、胃瘻、空腸瘻などの経腸ルートによる摂取を含む)によりRebA及び/又はRebMが到達し得る組織、例えば、消化管等である。別の態様において、本発明の組成物Aが対象とする組織は、局所適用(点眼、点鼻、体表への塗布等を含む)、経皮投与、直腸内投与、経膣投与、経尿道投与などの侵襲性の低い投与ルートによりRebA及び/又はRebMが到達し得る組織である。別の態様において、本発明の組成物Aが対象とする組織は、血管内投与、筋肉内投与、皮下投与などの注射による投与によりRebA及び/又はRebMが到達し得る組織である。好ましい態様において、本発明の組成物Aが対象とする組織は、血管及び消化管である。好ましい態様において、本発明の組成物Aが対象とする組織の損傷は、炎症に伴うものである。より好ましい態様において、本発明の組成物Aは、炎症に伴う消化管の損傷に使用される。
【0018】
本発明の組成物Aは又、組織損傷を伴う疾患の処置、特にかかる疾患における組織損傷の修復に使用することができる。したがって本発明は、RebA及びRebMから選択されるステビオール配糖体を含む、組織損傷を伴う疾患の処置のための組成物にも関する。組織損傷を伴う疾患としては、限定されずに、例えば、外傷(術創などの医原性外傷を含む)、熱傷、褥瘡、種々の組織の潰瘍(例えば、口腔潰瘍、胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの消化管潰瘍、皮膚潰瘍、陰部潰瘍等)、動脈硬化症(アテローム硬化症を含む)、ベーチェット病、クローン病、潰瘍性大腸炎、全身性エリテマトーデス、感染症、血管炎症候群等が挙げられる。好ましい態様において、本発明の組成物Aは、消化管潰瘍、及び/又は消化管の術創の処置に使用される。別の好ましい態様において、本発明の組成物Aは、動脈硬化の予防に使用される。一態様において、組織の損傷を伴う疾患は、糖尿病又はその合併症以外の疾患である。別の態様において、組織の損傷を伴う疾患は、酸化ストレスに起因しない状態又は酸化ストレスの抑制による改善が困難な状態である。別の態様において、本発明の組成物Aは、糖尿病(例えば、I型糖尿病、II型糖尿病)に罹患していない対象に使用される。
【0019】
<H2S産生促進用組成物>
本発明の別の態様は、RebA及びRebMから選択されるステビオール配糖体を含む、H2S産生を促進するための組成物(以下、「本発明のH2S産生促進用組成物」又は「本発明の組成物B」と称することがある)に関する。
本発明者らは、RebA及びRebMがH2S産生促進作用を有することを初めて見出し、本発明の組成物Bを完成させた。したがって、RebA及びRebMの各々は、本発明の組成物Bにおいて有効成分として作用することができる。本発明の組成物Bにおいて有効成分として作用することは、例えば、本発明の組成物Bと、RebA及びRebMを含まない以外は本発明の組成物Bと同じ組成の対照組成物を比較したときに、本発明の組成物Bを用いた方が対照組成物を用いたときよりもH2S産生が促進されることにより確認することができる。
本発明の組成物BにおけるRebA及びRebMのソース、純度、配合量等については、本発明の組成物Aについて上記したとおりである。
【0020】
本発明の組成物BによるH2S産生の促進は、種々の細胞や組織において生じ得る。本発明の組成物BによるH2S産生の促進が生じ得る例示的な細胞又は組織としては、例えば、血管、消化管(口腔、咽頭、食道、胃、小腸、大腸、肛門を含む)、皮膚、筋、粘膜、角膜、結膜、膀胱、尿道、尿管、膣、子宮、気道(口腔、咽頭、喉頭、気管、気管支、細気管支を含む)、肺、肝臓、膵臓、脾臓、心臓、腎臓、副腎、神経、脳等の組織又はその細胞が挙げられる。一態様において、本発明の組成物BによるH2S産生の促進が生じ得る細胞又は組織は、H2S産生能を有する細胞又は組織、例えば、H2S産生能を有することが報告されている細胞又は組織である。特定の態様において、本発明の組成物BによるH2S産生の促進が生じ得る細胞又は組織は、H2S産生酵素を発現し得る細胞又は組織、例えば、H2S産生酵素の発現が報告されている細胞又は組織である。H2S産生酵素としては、シスタチオニンγ-リアーゼ(CSE)、シスタチオニンβ-シンターゼ(CBS)、3-メルカプトピルビン酸硫黄転移酵素(3-MST)等が挙げられる。一態様において、本発明の組成物Bが対象とする細胞又は組織は、経口摂取(経鼻カテーテル、咽頭瘻、食道瘻、胃瘻、空腸瘻などの経腸ルートによる摂取を含む)によりRebA及び/又はRebMが到達し得る細胞又は組織、例えば、消化管等の組織又はその細胞である。別の態様において、本発明の組成物Bが対象とする細胞又は組織は、局所適用(点眼、点鼻、体表への塗布等を含む)、経皮投与、直腸内投与、経膣投与、経尿道投与などの侵襲性の低い投与ルートによりRebA及び/又はRebMが到達し得る細胞又は組織である。別の態様において、本発明の組成物Bが対象とする細胞又は組織は、血管内投与、筋肉内投与、皮下投与などの注射による投与によりRebA及び/又はRebMが到達し得る細胞又は組織である。好ましい態様において、本発明の組成物Bが対象とする組織は、血管及び消化管である。又、好ましい態様において、本発明の組成物Bが対象とする細胞は、血管内皮細胞及び消化管の細胞である。
【0021】
H2S産生の促進は、本発明の組成物Bを使用しなかった場合に比べ、H2S産生に関する指標が変化していることにより評価することができる。H2S産生に関する指標としては、例えば、H2Sの産生量、H2S産生酵素の発現量又は活性、H2Sの産生により影響を受ける現象の程度等が挙げられる。H2Sの産生量は、既知の任意の手法により測定することができる(Brancaleone et al., Br J Pharmacol. 2008;155(5):673-80、Powell et al., Biochem Pharmacol. 2018;149:110-123)。H2S産生酵素としては、CSE、CBS、3-MST等が挙げられる。H2S産生により影響を受ける現象としては、例えば、RebA及び/又はRebMによる創傷治癒の促進が挙げられる。一態様において、H2S産生の促進は、H2Sの産生により影響を受ける現象の程度を指標に評価する。特定の態様において、H2S産生の促進は、後述の実施例に記載のとおり、RebA及び/又はRebMによる創傷治癒促進の程度が、H2S産生酵素の阻害により低減することにより確認することができる。指標の変化率は、例えば、本発明の組成物Bを使用しなかった以外は同じ条件で得られた指標に対して、5%以上、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、又は100%以上であってもよく、大きいほど好ましい。
【0022】
本発明の組成物Bは又、H2Sにより改善される状態の処置に使用することができる。したがって本発明は、RebA及びRebMから選択されるステビオール配糖体を含む、H2Sにより改善される状態の処置のための組成物にも関する。H2Sにより改善される状態としては、限定されずに、例えば、炎症、疼痛、消化管の異常な蠕動亢進、血栓症、動脈硬化、虚血再灌流障害、不整脈及びがん等が挙げられる(Singh et al., Microorganisms. 2015;3(4):866-89等参照)。一態様において、H2Sにより改善される状態は、糖尿病又はその合併症以外の疾患である。別の態様において、H2Sにより改善される状態は、酸化ストレスに起因しない状態又は酸化ストレスの抑制による改善が困難な状態である。別の態様において、本発明の組成物Bは、糖尿病(例えば、I型糖尿病、II型糖尿病)に罹患していない対象に使用される。
【0023】
<NO産生促進用組成物>
本発明の別の態様は、RebA及びRebMから選択されるステビオール配糖体を含む、NO産生を促進するための組成物(以下、「本発明のNO産生促進用組成物」又は「本発明の組成物C」と称することがある)に関する。
本発明者らは、RebA及びRebMがNO産生促進作用を有することを初めて見出し、本発明の組成物Cを完成させた。したがって、RebA及びRebMの各々は、本発明の組成物Cにおいて有効成分として作用することができる。本発明の組成物Cにおいて有効成分として作用することは、例えば、本発明の組成物Cと、RebA及びRebMを含まない以外は本発明の組成物Cと同じ組成の対照組成物を比較したときに、本発明の組成物Cを用いた方が対照組成物を用いたときよりもNO産生が促進されることにより確認することができる。
本発明の組成物CにおけるRebA及びRebMのソース、純度、配合量等については、本発明の組成物Aについて上記したとおりである。
【0024】
本発明の組成物CによるNO産生の促進は、種々の細胞や組織において生じ得る。本発明の組成物CによるNO産生の促進が生じ得る例示的な細胞又は組織としては、例えば、血管、消化管(口腔、咽頭、食道、胃、小腸、大腸、肛門を含む)、皮膚、筋、粘膜、角膜、結膜、膀胱、尿道、尿管、膣、子宮、気道(口腔、咽頭、喉頭、気管、気管支、細気管支を含む)、肺、肝臓、膵臓、脾臓、心臓、腎臓、副腎、神経、脳等の組織又はその細胞が挙げられる。一態様において、本発明の組成物CによるNO産生の促進が生じ得る細胞又は組織は、NO産生能を有する細胞又は組織、例えば、NO産生能を有することが報告されている細胞又は組織である。特定の態様において、本発明の組成物CによるNO産生の促進が生じ得る細胞又は組織は、H2S産生酵素を発現し得る細胞又は組織、例えば、NO産生酵素の発現が報告されている細胞又は組織である。NO産生酵素としては、内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)、誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)、神経型一酸化窒素合成酵素(nNOS)等の一酸化窒素合成酵素(NOS)等が挙げられる。一態様において、本発明の組成物Cが対象とする細胞又は組織は、経口摂取(経鼻カテーテル、咽頭瘻、食道瘻、胃瘻、空腸瘻などの経腸ルートによる摂取を含む)によりRebA及び/又はRebMが到達し得る細胞又は組織、例えば、消化管等の組織又はその細胞である。別の態様において、本発明の組成物Cが対象とする細胞又は組織は、局所適用(点眼、点鼻、体表への塗布等を含む)、経皮投与、直腸内投与、経膣投与、経尿道投与などの侵襲性の低い投与ルートによりRebA及び/又はRebMが到達し得る細胞又は組織である。別の態様において、本発明の組成物Cが対象とする細胞又は組織は、血管内投与、筋肉内投与、皮下投与などの注射による投与によりRebA及び/又はRebMが到達し得る細胞又は組織である。好ましい態様において、本発明の組成物Cが対象とする組織は、血管及び消化管である。又、好ましい態様において、本発明の組成物Cが対象とする細胞は、血管内皮細胞及び消化管の細胞である。
【0025】
NO産生の促進は、本発明の組成物Cを使用しなかった場合に比べ、NO産生に関する指標が変化していることにより評価することができる。NO産生に関する指標としては、例えば、NOの産生量、NO産生酵素の発現量又は活性、NOの産生により影響を受ける現象の程度等が挙げられる。NOの産生量は、NO検出試薬(例えば、DAF-2、DAF-2-DA、DAF-FM、DAF-FM-DA、DAR-4M、DAR-4M-AM等)による測定等の、既知の任意の手法により測定することができる。NO産生酵素としては、eNOS、iNOS、nNOS等のNOS等が挙げられる。NO産生により影響を受ける現象としては、例えば、RebA及び/又はRebMによる創傷治癒の促進が挙げられる。一態様において、NO産生の促進は、NOの産生により影響を受ける現象の程度を指標に評価する。特定の態様において、NO産生の促進は、後述の実施例に記載のとおり、RebA及び/又はRebMによる創傷治癒促進の程度が、NO産生酵素の阻害により低減することにより確認することができる。指標の変化率は、例えば、本発明の組成物Cを使用しなかった以外は同じ条件で得られた指標に対して、5%以上、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、又は100%以上であってもよく、大きいほど好ましい。
【0026】
本発明の組成物Cは又、NOにより改善される状態の処置に使用することができる。したがって本発明は、RebA及びRebMから選択されるステビオール配糖体を含む、NOにより改善される状態の処置のための組成物にも関する。NOにより改善される状態としては、限定されずに、例えば、狭心症、心不全、心筋梗塞、心臓喘息、アカラジア、血管平滑筋細胞の異常増殖、高血圧、血栓症、虚血再灌流障害、動脈硬化、血管炎、創傷及びがん等が挙げられる。一態様において、NOにより改善される状態は、糖尿病又はその合併症以外の疾患である。別の態様において、NOにより改善される状態は、酸化ストレスに起因しない状態又は酸化ストレスの抑制による改善が困難な状態である。別の態様において、本発明の組成物Cは、糖尿病(例えば、I型糖尿病、II型糖尿病)に罹患していない対象に使用される。
【0027】
本発明の組成物A~C(以下、「本発明の組成物」と総称することがある)は、任意の形状であってよく、例えば、固体状(例えば、粉末状、顆粒状)、ペースト状、ゲル状又は液状であってもよい。又、本発明の組成物は、様々な形態をとることができる。例えば、本発明の組成物は、食品、食品添加物、医薬品、医薬部外品、化粧品などの形態をとること、又は、これら製品を製造するための原料として使用することができる。したがって、本発明は、レバウジオシドA及びレバウジオシドMから選択されるステビオール配糖体を含む、創傷治癒を促進するための食品、食品添加物、医薬品、医薬部外品又は化粧品、組織損傷を修復するための食品、食品添加物、医薬品、医薬部外品又は化粧品、組織損傷を伴う疾患の処置のための食品、食品添加物、医薬品、医薬部外品又は化粧品、H2S産生を促進するための食品、食品添加物、医薬品、医薬部外品又は化粧品、H2Sにより改善される状態の処置のための食品、食品添加物、医薬品、医薬部外品又は化粧品、NO産生を促進するための食品、食品添加物、医薬品、医薬部外品又は化粧品、又は、NOにより改善される状態の処置のための食品、食品添加物、医薬品、医薬部外品又は化粧品、或いは、前記製品の原料に関する。
【0028】
本発明において、食品は摂食可能な製品の総称であり、各国・地域で規定されている食品を含む。本発明における食品は、例えば、日本における一般食品(機能性食品、栄養補助食品、健康補助食品、自然食品などの健康食品を含む)、保健機能食品(特定保健用食品、機能性表示食品、栄養機能食品など)、特別用途食品(特定保健用食品、病者用食品、妊産婦、授乳婦用粉乳、乳児用調製乳、嚥下困難者用食品など)を含む。本発明における食品は又、幼児用食品、未熟児用調製乳、老人用食品、介護用食品、医療用食品等を含む。
【0029】
栄養補助食品とは、特定の栄養成分が強化されている食品をいう。健康食品とは、健康的な又は健康によいとされる食品をいい、栄養補助食品、自然食品、ダイエット食品等を含む。機能性食品とは、体の調節機能を果たす栄養成分を補給するための食品をいう。幼児用食品とは、約6歳までの子供に与えるための食品をいう。老人用食品とは、無処理の食品と比較して消化及び吸収が容易であるように処理された食品をいう。乳児用調製乳とは、約1歳までの子供に与えるための調製乳をいう。未熟児用調製乳とは、未熟児が生後約6ヶ月になるまで与えるための調製乳をいう。
【0030】
食品の形態は特に限定されず、種々の形態とすることができる。このような形態の例としては、例えば、飲料、サプリメント、非飲料食品等が挙げられる。飲料は、アルコール飲料又はノンアルコール飲料のいずれであってもよい。
ノンアルコール飲料としては、例えば、ノンアルコールビール、麦芽飲料、乳酸菌飲料、発酵飲料、ココア飲料、スポーツドリンク、栄養ドリンク、茶系飲料(例えば、緑茶、ウーロン茶、玄米茶、紅茶等の茶飲料、麦茶、ハト麦茶、ゴマ麦茶、そば茶、さくら茶、甘茶、ハーブティー等の茶外茶飲料など)、清涼飲料、コーヒー飲料、炭酸飲料(例えば、コーラフレーバー飲料、透明炭酸飲料、ジンジャエール、果汁系炭酸飲料、乳類入炭酸飲料又は無糖炭酸飲料など)、機能性飲料(例えば、スポーツドリンク、エナジードリンク、健康サポート飲料及びパウチゼリー飲料など)、果実・野菜系飲料(例えば、100%果汁飲料、果実入り飲料、低果汁入清涼飲料、果粒含有果実飲料又は果肉飲料など)、乳性飲料(例えば、牛乳、ドリンクヨーグルト、乳酸菌飲料又は乳類入清涼飲料など)、豆乳飲料(例えば、豆乳又は大豆飲料など)、フレーバーウォーター等が挙げられる。
【0031】
アルコール飲料は、アルコール原料を含有する飲料をさし、チューハイであってもよい。アルコール原料としては、例えば、醸造酒、蒸留酒、及び混成酒等が挙げられる。醸造酒としては、例えば、ワイン及びビール等が挙げられる。蒸留酒としては、例えば、スピリッツ類(例えばジン、ウオツカ、ラム、テキーラ、ニュースピリッツ等、及び原料用アルコール等)、リキュール類、ウイスキー類(例えばウイスキー、ブランデー等)、焼酎、等が挙げられる。ここでアルコール飲料は、検出可能な程度のアルコールを含むものであればよく、例えば、1体積%以上、2体積%以上、3体積%以上、4体積%以上、5体積%以上のアルコールを含む。
飲料は、種々のカロリーのものを含む。好ましい飲料は、低カロリー飲料、又はノンカロリー飲料である。
【0032】
非飲料食品としては、限定されずに、例えば、麺類(そば、うどん、中華麺、即席麺など)、豆腐、菓子類(飴、ガム、チョコレート、スナック菓子、ビスケット、クッキー、グミ、ケーキ、ウェハース、菓子パン、チョコレート、和菓子など)、パン類、水産又は畜産加工食品(かまぼこ、ハム、ソーセージなど)、乳製品(発酵乳、バター、チーズ、ヨーグルト、ギイなど)、油脂及び油脂加工食品(サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング、ファットスプレッドなど)、調味料(
ソース、たれなど)、調理品又は半調理品(チャンプルなど)、レトルト食品(カレー、シチュー、丼、お粥、雑炊など)、冷菓(アイスクリーム、シャーベット、かき氷など)、粉末食品(粉末飲料、粉末スープ等)、経腸流動食などが挙げられる。本発明における好ましい食品としては、飲料、サプリメントなどが挙げられる。
【0033】
食品添加物は、食品を製造する際に食品原料に添加する製品であり、例えば、パウダー、顆粒、液体、ペースト等の形態をとり得る。
医薬品としては、種々の剤形のものが挙げられる。例えば、経口投与に適した剤形としては、限定することなく、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、液剤、懸濁剤、乳剤、ゲル剤、チュアブル剤、シロップ剤などが挙げられ、又非経口投与に適した剤形としては、注射剤(例えば、溶液性注射剤、懸濁性注射剤、乳濁性注射剤、用時調製型注射剤等)、軟膏、クリーム剤、ローション、湿布、パッチ剤、点眼剤、点鼻剤、吸入剤、噴霧剤等が挙げられる。
医薬部外品としては、限定されずに、例えば、歯磨、口中清涼剤、制汗剤、薬用化粧品、ヘアカラー、生理用ナプキン等の形態が挙げられる。
化粧品としては、限定されずに、例えば、洗顔料、メーク落とし、化粧水、美容液、パック、日焼け止め等が挙げられる。
【0034】
本発明の組成物は、RebA及びRebM以外の成分を含んでよい。
他の成分は、本発明の組成物の形態、用途、用法などに応じて異なり得るが、例えば甘味料、賦形剤、結合剤、崩壊剤、コーティング剤、滑沢剤、着色剤、矯味矯臭剤、安定化剤、吸収促進剤、pH調製剤、防腐剤、抗酸化剤、香料、ビタミン類、微量金属成分等などが挙げられる。
【0035】
甘味料としては、天然甘味料、糖アルコール、人工甘味料、高甘味度甘味料、低カロリー甘味料等が挙げられる。より具体的には、例えば、グルコース、D-フルクトース、ガラクトース、マンノース、リボース、キシロース、マルトース、スクロース、ラクトース、アラビノース、希少糖(例えば、D-タガトース、D-ソルボース、D-アルロース(D-プシコース)、L-フルクトース、L-アルロース(L-プシコース)、L-タガトース、L-ソルボース、アルトロース、D-アロース、タロース、イドース、グロース等)、ペプチド系甘味料(例えば、アスパルテーム、ネオテーム、アリテーム等)、ショ糖誘導体(例えば、スクラロース等)、合成甘味料(例えば、アセスルファムK、サッカリン、アドバンテーム、チクロ、ズルチン等)、糖アルコール(例えば、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、マンニトール等)、モネリン、クルクリン、ブラゼイン、ソーマチン、タウマリン、マビンリン、ブラゼイン、ペンタジン、ヘルナンズルチン、4β-ヒドロキシヘルナンズルチン、ミラクリン、グリチルリチン、フィロズルチン、RebA及びRebM以外のステビオール配糖体(例えば、ステビオシド、RebB、RebC、RebD、RebN、RebO、ズルコシドA、ルブソシドなど)、Siraitia grosvenorii(羅漢果)抽出物、Glycyrrhiza glabra(ヨウカンゾウ)抽出物、Rubus suavissimus S. Lee(甜茶)抽出物、Hydrangea macrophylla var. thunbergii(甘茶)抽出物、Sclerochiton ilicifolius抽出物、Thaumataococcus daniellii Benth(シビレクズウコン)抽出物、Dioscoreophyllum volkensii(セレンディピティベリー)抽出物、Curculigo latifolia(クルクリゴ)抽出物、Richadella dulcifica(ミラクルフルーツ)抽出物、Pentadiplandra brazzeana(ニシアフリカイチゴ)抽出物、Capparis masaikai(マビンロウ)抽出物、Lippia dulcis(スイートハーブメキシカン)抽出物、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、パラチニット、高果糖液糖、果糖ブドウ糖液糖、ブドウ糖果糖液糖、オリゴ糖、はちみつ、サトウキビ搾汁液(黒糖蜜)、砂糖(白糖、三温糖、黒糖、和三盆等)、メープルシロップ、モラセス(糖蜜)、水飴などが挙げられる。
【0036】
本発明の組成物を食品とする場合、他の成分として食品添加物を含んでよい。食品添加物としては、例えば、賦形剤(例えば、コムギデンプン、トウモロコシデンプン、セルロース、乳糖、ショ糖、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、アルファー化デンプン、カゼイン、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸カルシウムなど)、結合剤(例えば、アルファー化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなど)、崩壊剤(例えば、セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、トウモロコシデンプンなど)、流動化剤(例えば、軽質無水ケイ酸など)、油脂(例えば、大豆油、ゴマ油、オリーブ油、亜麻仁油、エゴマ油、ナタネ油、ココナッツ油、トウモロコシ油などの植物油又は動物・魚由来の油)、栄養素(例えば、各種ミネラル、各種ビタミン、アミノ酸)、香料、甘味料、矯味剤、着色料、溶媒(例えば、エタノール)、塩類、pH調節剤、緩衝剤、抗酸化剤、安定化剤、ゲル化剤、増粘剤、滑沢剤、カプセル化剤、懸濁剤、コーティング剤、防腐剤、乳化剤などが挙げられる。食品添加物は、単独で又は2種以上組み合わせて含んでもよい。
【0037】
本発明の組成物を医薬品又は医薬部外品とする場合、他の成分として、薬学的に許容し得る添加物(例えば、界面活性剤、担体、希釈剤、賦形剤など)を含んでもよい。薬学的に許容し得る添加物は医薬分野でよく知られており、例えば、その全体を本明細書に援用するRemington's Pharmaceutical Sciences, 18th Ed., Mack Publishing Co., Easton, PA (1990)などに記載されている。
本発明の組成物は、RebA及び/又はRebMを、必要に応じて上述したような他の成分と混合し、所望の形態に加工することなどにより製造することができる。
【0038】
本発明の組成物は、各形態に適した態様で使用することができる。例えば、食品は、経口的に摂取するほか、経鼻、経腸等の非経口的な栄養経路で摂取することができる。食品添加物は、食品に含有させた状態で、食品と同様の経路にて使用することができる。医薬品は、剤形に応じた投与経路、例えば、限定することなく、経口、頬側、口腔内、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、局所、直腸、関節内、関節包内、動脈内、門脈内、心室内、経粘膜、経皮、鼻腔内、腹腔内、気道内、腫瘍内、脳内、くも膜下腔内、脳室内、肺内及び子宮内等の経路で投与することができる。医薬部外品及び化粧品も、その形態に応じた使用方法、例えば、皮膚への塗布や、うがいなどにより使用することができる。
【0039】
RebA及び/又はRebMの摂取量(服用量、投与量)は特に限定されず、摂取する対象の年齢、体重、健康状態などに応じて適宜選択できるが、例えば、1日あたりの摂取量は、0.001mg以上(例えば、0.001~10,000mg)、0.01mg以上(例えば、0.05~5,000mg)、0.1mg以上(例えば、0.5~1,000mg)、1mg以上(例えば、5~500mg)などであってもよい。
本発明の組成物の使用のタイミングは、特に限定されるものではなく、例えば、食前、食中、食後、食間、就寝前などであってよい。
【0040】
本発明の組成物を含む製品には、各種用途や機能を表示してもよい。このような表示としては、例えば、創傷治癒の促進、組織損傷の修復、組織損傷を伴う疾患の処置、H2S産生の促進、H2Sにより改善される状態の処置、NO産生の促進、NOにより改善される状態の処置、或いはこれらと同視できる表示などが挙げられる。組織損傷を伴う疾患、H2Sにより改善される状態及びNOにより改善される状態については、本発明の組成物について上記したとおりである。
【0041】
本明細書において、用語「対象」は、本発明の組成物が所望の効果を発揮し得る任意の生物個体、好ましくは動物、さらに好ましくは哺乳動物、さらに好ましくはヒトの個体を意味する。対象は健常(例えば、特定の又は任意の疾患を有しない)であっても、何らかの疾患に罹患していてもよいものとするが、疾患の処置等が企図される場合には、典型的には当該疾患に罹患しているか、罹患するリスクを有する対象を意味する。
本明細書において、用語「処置」は、疾患の治癒、一時的寛解又は予防などを目的とする医学的に許容される全ての種類の予防的及び/又は治療的介入を包含するものとする。例えば、「処置」は、疾患の進行の遅延又は停止、病変の退縮又は消失、当該疾患発症の予防又は再発の防止などを含む、種々の目的の医学的に許容される介入を包含する。したがって、本発明の組成物は、疾患の治療及び/又は予防に用いることができる。
【0042】
本発明の別の態様は、RebA及びRebMから選択されるステビオール配糖体の有効量をそれを必要とする対象に投与することを含む、前記対象において創傷治癒を促進する、組織損傷を修復する、組織損傷を伴う疾患を処置する、H2S産生を促進する、H2Sにより改善される状態を処置する、NO産生を促進する、又は、NOにより改善される状態を処置する方法に関する。
本発明の方法におけるステビオール配糖体の有効量は、その方法に係る効果を達成し得るステビオール配糖体の量を含み、本発明の創傷治癒促進用組成物、H2S産生促進用組成物又はNO産生促進用組成物について上記した評価手法や、対象とする疾患や状態に係る既知の動物モデルを用いた実験などにより決定することができる。特定の態様において、本発明の方法におけるステビオール配糖体の有効量は、一日当たり0.001mg以上(例えば、0.001~10,000mg)、0.01mg以上(例えば、0.05~5,000mg)、0.1mg以上(例えば、0.5~1,000mg)、1mg以上(例えば、5~500mg)などであってよい。
又、本発明の方法における他の構成要素、例えば、RebA及びRebM、対象とする組織、疾患などは、本発明の組成物について上記したとおりである。
【0043】
本発明の別の態様は、創傷治癒の促進、組織損傷の修復、組織損傷を伴う疾患の処置、H2S産生の促進、H2Sにより改善される状態の処置、NO産生の促進、又は、NOにより改善される疾患の処置に使用するためのRebA及びRebMから選択されるステビオール配糖体に関する。この態様における各構成要素は、本発明の組成物について上記したとおりである。
【0044】
本発明の別の態様は、創傷治癒の促進、組織損傷の修復、組織損傷を伴う疾患の処置、H2S産生の促進、H2Sにより改善される状態の処置、NO産生の促進、又は、NOにより改善される疾患の処置のための医薬品の製造における、RebA及びRebMから選択されるステビオール配糖体の使用に関する。この態様における各構成要素は、本発明の組成物について上記したとおりである。
【実施例0045】
以下に本発明に関する実施例等を記載するが、本発明はこれらの具体的な態様に限定されるものではない。
【0046】
[実施例1] ステビオール配糖体による創傷治癒の促進(1)
ステビオール配糖体が創傷治癒に与える影響を、ブタ血管内皮細胞を用いて検討した。
<創傷治癒アッセイ>
ブタ血管内皮細胞を3.5cmディッシュに3×10
5個/ディッシュで播種し、培養培地中で6時間接着させた後、1%FBSを含むDMEMで16時間同調培養を行った。その後、培地交換を行い、1000μMのRebA(RA、純度95%以上)又はRebM(RM、純度95%以上)を添加した。なお、陽性対照として、1000μMのヒドロキシチロソール(HT、Cayman)を用いた。各化合物添加後、200μLチップの先端を用いてディッシュの底に擬似的な傷を作り、顕微鏡下で観察、写真撮影を行った。24時間後に再び撮影を行い、最初の傷の範囲内に存在する細胞数を計測することで、創傷治癒力を評価した。撮影は1ディッシュにつき3視野行った。
図1に示すとおり、RebA又はRebMの添加により、創傷治癒が有意に促進された。
【0047】
[実施例2] ステビオール配糖体による創傷治癒の促進(2)
ステビオール配糖体が創傷治癒に与える影響を胃粘膜細胞を用いて検討した。
<胃粘膜細胞の調製>
胃粘膜細胞としてAGS細胞(ATCC(R)、CRL-1739)を用いた。細胞凍結保存液(CELLBANKER(R) 1 plus、ZENOAQ RESOURCE)で凍結保存したAGS細胞を、10%非働化FBS及びPenicillin-Streptomycin Solution(×1)含有DMEMに再懸濁して3日間培養後、さらに2日間拡大培養した後に使用した。
【0048】
<創傷治癒アッセイ>
CytoSelect 24-Well Wound Healing Assay(Cell Biolabs)を用いてアッセイを行った。AGS細胞を、インサートの入ったwound assay plateに3.5×10
5個/ウェルで播種し、5%CO
2存在下に37℃で一晩培養した。これにより、細胞層に幅0.9mmのギャップが生じる。翌日に、インサートをピンセットでゆっくりと取り出し、各ウェルを500μLの培地(10%非働化FBS及びPenicillin-streptomycin Solution(×1)含有DMEM培地)で3回洗浄して死細胞及びデブリスを除いた後、培養開始前のWound Field面積(無細胞領域の面積)を測定するために、イメージングサイトメーター(In Cell analyzer 6000、GE Healthcare Life Sciences)を用いて各ウェルの画像を取得した。次に、培地を0.05、0.1、0.25、0.5又は1mMのRebA(RA、純度95%以上)又はRebM(RM、純度95%以上)の入った培地(500μL)と交換後、5%CO
2存在下に37℃で3時間培養した。なお、陽性対照として100nMのEGF(ProDots Recombinant Human EGF、R&D Systems)の入った培地、陰性対照として0.1%のDMSOの入った培地を用いた。培養終了後、In Cell analyzer 6000にて各ウェルの画像を取得した。取得した画像から、機器に付属の解析ソフトIn Cell Investigator、Developer Toolboxを用いて、培養開始前と培養終了後のWound Field面積を計測し、創傷治癒(Wound closure)の程度を評価した。なお、各処置群の創傷治癒に対する作用は、下記の式により算出する創傷治癒率として表した。
創傷治癒率(%)=1-(培養後のWound Field面積/培養開始前のWound Field面積)×100
図2~3に示す結果から、RebA及びRebMとも、陽性対照であるEGFと同程度の創傷治癒促進効果を奏することが分かる。
【0049】
[実施例3] 創傷治癒促進におけるNOの関与
ステビオール配糖体による創傷治癒の促進にNOが関与しているかどうかを検討した。
<ステビオール配糖体によるNO産生の促進>
ブタ血管内皮細胞を96ウェルプレートに5.0×10
3個/ウェルで播種し、培養培地中で6時間接着させた後、1%FBSを含むDMEMで16時間同調培養を行った。その後HBSS(Sigma-Aldrich Japan)で2回洗浄して1%FBSを含むDMEMを注入し、10μMのDAF-2-DA(積水メディカル)を添加後、45分間培養し細胞に取り込ませた。再びHBSSで2回洗浄し、DAF-2-DAを除去した後、1%FBSを含むDMEMを注入し、100μMのL-アルギニン(富士フイルム和光純薬)とともに、3~1000μMのRebA又はRebMを添加し、24時間培養した。なお、陽性対照として50μMのヒドロキシチロソール(HT)を用いた。培養後、マイクロプレートリーダー(ARVO MX/Light 1420 Multilabel/Luminescence Counter、PerkinElmer)を用いて励起波長485nm、蛍光波長535nmで検出を行った。
図4に示すとおり、RebA又はRebMの添加により、NOの産生が有意に増大した。
【0050】
<創傷治癒促進におけるNOの関与>
NOS阻害剤のL-NMMAを用い、ステビオール配糖体による創傷治癒の促進にNOが関与しているかどうかを検討した。
ブタ血管内皮細胞を3.5cmディッシュに3×10
5個/ディッシュで播種し、培養培地中で6時間接着させた後、1%FBSを含むDMEMで16時間同調培養を行った。その後、1%FBSを含む新鮮なDMEMに培地交換を行い、1mMのL-NMMA(Sigma-Aldrich Japan)を添加し、その1時間後に1000μMの被験化合物(RebA又はRebM)を添加した。被験化合物添加後、200μLチップの先端を用いてディッシュの底に擬似的な傷を作り、顕微鏡下で観察、写真撮影を行った。24時間後に再び撮影を行い、最初の傷の範囲内に存在する細胞数を計測することで、創傷治癒力を評価した。撮影は1ディッシュにつき3視野行った。
図5に示すとおり、L-NMMAの添加により、RebA又はRebMによる創傷治癒促進効果が有意に抑制された。このことから、ステビオール配糖体による創傷治癒の促進にNOSにより産生されるNOが関与していることが示された。
【0051】
[実施例4] 創傷治癒促進におけるH
2Sの関与
CSE阻害剤であるPAGを用いて、ステビオール配糖体による創傷治癒の促進にH
2Sが関与しているかどうかを検討した。
ブタ血管内皮細胞を3.5cmディッシュに3×10
5個/ディッシュで播種し、培養培地中で6時間接着させた後、1%FBSを含むDMEMで16時間同調培養を行った。その後、1%FBSを含む新鮮なDMEMに培地交換を行い、100μMのPAG(Sigma-Aldrich Japan)を添加し、その1時間後に1000μMの被験化合物(RebA(RA)又はRebM(RM))を添加した。被験化合物添加後、200μLチップの先端を用いてディッシュの底に擬似的な傷を作り、顕微鏡下で観察、写真撮影を行った。24時間後に再び撮影を行い、最初の傷の範囲内に存在する細胞数を計測することで、創傷治癒力を評価した。撮影は1ディッシュにつき3視野行った。
図6に示すとおり、PAGの添加により、RebA又はRebMによる創傷治癒促進効果が有意に抑制された。このことから、ステビオール配糖体による創傷治癒の促進にH
2Sが関与していること、又、ステビオール配糖体によりCSEを介したH
2Sの産生が誘導されることが示された。
【0052】
[実施例5] ステビオール配糖体のNO産生促進作用におけるH
2Sの関与
PAGを用いて、ステビオール配糖体によるNO産生の促進にH
2Sが関与しているかどうかを検討した。
ブタ血管内皮細胞を96ウェルプレートに5.0×10
3個/ウェルで播種し、培養培地中で6時間接着させた後、1%FBSを含むDMEMで16時間同調培養を行った。100μMのPAGを加え、1時間培養した後、HBSS(Sigma-Aldrich Japan)で2回洗浄し、1%FBSを含むDMEMを注入し、10μMのDAF-2-DA(積水メディカル)を添加後、45分間培養し細胞に取り込ませた。再びHBSSで2回洗浄し、DAF-2-DAを除去した後、1%FBSを含むDMEMを注入し、100μMのL-アルギニン(富士フイルム和光純薬)とともに、1000μMのRebA又はRebMを添加し、24時間培養した。培養後、マイクロプレートリーダー(ARVO MX/Light 1420 Multilabel/Luminescence Counter、PerkinElmer)を用いて励起波長485nm、蛍光波長535nmで検出を行った。
図7に示すとおり、RebA又はRebMによるNO産生促進作用はPAG添加の影響を受けなかった。このことから、RebA又はRebMによるNO産生促進作用はH
2Sを介したものではないことが示された。
【0053】
多数の様々な改変が、本発明の精神から逸脱せずになされ得ることを当業者は理解する。したがって、本明細書に記載された本発明の形態は例示にすぎず、本発明の範囲を制限する意図がないことを理解すべきである。