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特開2022-141185作業機械用アーム、作業機および作業機械
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022141185
(43)【公開日】2022-09-29
(54)【発明の名称】作業機械用アーム、作業機および作業機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/38 20060101AFI20220921BHJP
【FI】
E02F3/38 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021041388
(22)【出願日】2021-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】恒川 篤史
(72)【発明者】
【氏名】イスカンダル アフマド
(72)【発明者】
【氏名】井崎 卓哉
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 明信
(57)【要約】
【課題】アームシリンダを最大限縮退させた状態で高所を掘削する場合でもアームに高応力が発生することを抑制できる作業機械用アーム、作業機および作業機械を提供する。
【解決手段】アームシリンダブラケット7aは、下板BPに接続されている。内部リブ21は、アーム7の内部に配置され、側面視において下板BPとアームシリンダブラケット7aとの接続範囲RA内において下板BPに接続されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する第1外表面と第1内表面とを有する下板と、
互いに対向する第2外表面と第2内表面とを有し、前記第2内表面が前記第1内表面と間隔を空けて対向するように配置された上板と、
前記下板の前記第1外表面に接続されたアームシリンダブラケットと、
前記下板と前記上板との間に配置され、側面視において前記下板と前記アームシリンダブラケットとの接続範囲内において前記下板の前記第1内表面に接続された第1内部リブと、を備えた、作業機械用アーム。
【請求項2】
前記第1内部リブは、第1端と、前記第1端の反対に位置する第2端とを有し、前記第1端において前記下板の前記第1内表面に接続され、前記第2端において前記上板の前記第2内表面に接続されている、請求項1に記載の作業機械用アーム。
【請求項3】
前記上板の前記第2外表面に接続されたバケットシリンダブラケットをさらに備え、
前記第1内部リブの前記第2端は、側面視において前記上板と前記バケットシリンダブラケットとの接続範囲内において前記上板に接続されている、請求項2に記載の作業機械用アーム。
【請求項4】
前記第1内部リブの前記第2端は、側面視において前記上板の前記第2外表面に接続された前記バケットシリンダブラケットのバケット側端部の位置に対応する前記上板の前記第2内表面の位置に接続されている、請求項3に記載の作業機械用アーム。
【請求項5】
前記下板および前記上板の双方に接続された側板をさらに備え、
前記第1内部リブは、第1端と、前記第1端の反対に位置する第2端と、前記第1端と前記第2端とを繋ぐ側端とを有し、前記第1端において前記下板の前記第1内表面に接続され、
前記第1内部リブの前記第2端と前記上板の前記第2内表面との間に隙間があり、
前記第1内部リブの前記側端は前記側板に接続されている、請求項1に記載の作業機械用アーム。
【請求項6】
ブーム連結ボスと、
前記下板と前記上板との間に配置され、前記ブーム連結ボスに接続された第2内部リブと、をさらに備えた、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の作業機械用アーム。
【請求項7】
請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の作業機械用アームと、
前記作業機械用アームの前記アームシリンダブラケットに接続されたアームシリンダと、を備えた、作業機。
【請求項8】
側面視において、最大限縮退された状態の前記アームシリンダの外形を前記アームシリンダの軸線方向に延長した延長領域内において前記第1内部リブの前記第1端は前記下板の前記第1内表面に接続されている、請求項7に記載の作業機。
【請求項9】
前記アームシリンダブラケットは、前記アームシリンダを接続する貫通孔を有し、
側面視において、最大限縮退された状態の前記アームシリンダの軸線方向に前記貫通孔の外形を延長した延長領域内において前記第1内部リブの前記第1端は前記下板の前記第1内表面に接続されている、請求項7に記載の作業機。
【請求項10】
側面視において、最大限縮退された状態の前記アームシリンダの軸線の延長線上において前記第1内部リブの前記第1端は前記下板の前記第1内表面に接続されている、請求項7に記載の作業機。
【請求項11】
請求項7から請求項10のいずれか1項に記載の作業機と、
前記作業機を支持する本体と、を備えた、作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業機械用アーム、作業機および作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、油圧ショベルにおけるアームの内部に隔壁を設けた構成が、たとえば特開2012-241422号公報(特許文献1)、実開平7-31952号公報(特許文献2)に開示されている。上記2つの公報においてアーム内部の隔壁は、ブーム先端が連結されるボス(ブーム連結ボス)に接している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-241422号公報
【特許文献2】実開平7-31952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記2つの公報におけるアームでは、アームシリンダを最大限縮退させた状態で高所を掘削する際に、アームシリンダから荷重を受けてアームの接合箇所に高応力が発生する可能性がある。
【0005】
本開示の目的は、アームシリンダを最大限縮退させた状態で高所を掘削する場合でもアームに高応力が発生することを抑制できる作業機械用アーム、作業機および作業機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の作業機械用アームは、下板と、上板と、アームシリンダブラケットと、第1内部リブとを備える。下板は、互いに対向する第1外表面と第1内表面とを有する。上板は、互いに対向する第2外表面と第2内表面とを有し、第2内表面が第1内表面と間隔を空けて対向するように配置されている。アームシリンダブラケットは、下板の第1外表面に接続されている。第1内部リブは、下板と上板との間に配置され、側面視において下板とアームシリンダブラケットとの接続範囲内において下板の第1内表面に接続されている。
【0007】
本開示の作業機は、上記の作業機械用アームと、作業機械用アームのアームシリンダブラケットに接続されたアームシリンダとを備える。
【0008】
本開示の作業機械は、上記の作業機と、作業機を支持する本体とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、アームシリンダを最大限縮退させた状態で高所を掘削する場合でもアームに高応力が発生することを抑制できる作業機械用アーム、作業機および作業機械を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施形態における作業機械の構成を概略的に示す斜視図である。
図2図1に示す作業機械におけるアームの構成を示す側面図である。
図3図2に示すアームの一部を拡大して示す拡大斜視図である。
図4】内部リブの配置を説明するための拡大側面図である。
図5】アームシリンダが最大限縮退された状態で高所を掘削する作業機の様子を示す側面図である。
図6】変形例1の構成を示す図であって、図4のVI-VI線に対応した概略斜視断面図である。
図7】変形例2の構成を示す図であって、図4のVI-VI線に対応した概略断面図である。
図8】変形例3の構成を示す図であって、図4のVI-VI線に対応した概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
明細書および図面において、同一の構成要素または対応する構成要素には、同一の符号を付し、重複する説明を繰り返さない。また、図面では、説明の便宜上、構成を省略または簡略化している場合もある。また、各実施の形態と各変形例との少なくとも一部は、互いに任意に組み合わされてもよい。
【0012】
本開示は、油圧ショベル以外に、アームを有する作業機械であれば適用可能である。以下の説明において、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」とは、図1に示す運転室4内の運転席4Sに着座したオペレータを基準とした方向である。
【0013】
<作業機械の構成>
まず本実施形態の作業機械の構成を図1を用いて説明する。
【0014】
図1は、本開示の一実施形態における作業機械の構成を概略的に示す斜視図である。図1に示されるように、油圧ショベル100は、本体1と、油圧により作動する作業機2とを有している。本体1は、旋回体3と、走行体5とを有している。走行体5は、一対の履帯5Crと、走行モータ5Mとを有している。油圧ショベル100は、履帯5Crの回転により走行可能である。走行モータ5Mは、走行体5の駆動源として設けられている。走行モータ5Mは、油圧により作動する油圧モータである。なお、走行体5が車輪(タイヤ)を有していてもよい。
【0015】
旋回体3は、走行体5の上に配置され、かつ走行体5により支持されている。旋回体3は、旋回軸RXを中心として走行体5に対して旋回可能である。旋回体3は、運転室4(キャブ)を有している。運転室4内には、オペレータが着座する運転席4Sが設けられている。オペレータ(乗員)は、運転室4に搭乗して、作業機2の操作が可能であり、走行体5に対する旋回体3の旋回操作が可能であり、また走行体5による油圧ショベル100の走行操作が可能である。
【0016】
旋回体3は、エンジンカバー9と、旋回体3の後部に設けられるカウンタウェイトとを有している。エンジンカバー9は、エンジンルームを覆っている。エンジンルームには、エンジンユニット(エンジン、排気処理構造体など)が配置されている。
【0017】
作業機2は、旋回体3に支持されている。作業機2は、ブーム6と、アーム7と、バケット8とを有している。作業機2は、ブームシリンダ10と、アームシリンダ11と、バケットシリンダ12とをさらに有している。
【0018】
ブーム6は、本体1(走行体5および旋回体3)に回動可能に接続されている。具体的にはブーム6の基端部は、ブームフートピン13を支点として旋回体3に回動可能に接続されている。
【0019】
アーム7は、ブーム6に回動可能に接続されている。具体的にはアーム7の基端部は、ブームトップピン14を支点としてブーム6の先端部に回動可能に接続されている。バケット8は、アーム7に回転可能に接続されている。具体的にはバケット8の基端部は、アームトップピン15を支点としてアーム7の先端部に回動可能に接続されている。
【0020】
ブームシリンダ10の一端は旋回体3に接続され、他端はブーム6に接続されている。ブーム6は、ブームシリンダ10により本体1に対して駆動可能である。この駆動により、ブーム6は、ブームフートピン13を支点として旋回体3に対して上下方向に回動可能である。
【0021】
アームシリンダ11の一端はブーム6に接続され、他端はアーム7に接続されている。アーム7は、アームシリンダ11によりブーム6に対して駆動可能である。この駆動により、アーム7は、ブームトップピン14を支点としてブーム6に対して上下方向または前後方向に回動可能である。
【0022】
バケットシリンダ12の一端はアーム7に接続され、他端はバケットリンク17に接続されている。バケット8は、バケットシリンダ12によりアーム7に対して駆動可能である。この駆動により、バケット8は、アームトップピン15を支点としてアーム7に対して上下方向に回動可能である。
【0023】
<アームの構成>
次に、本実施形態のアームの構成について図2図4を用いて説明する。
【0024】
図2および図3のそれぞれは、図1に示す作業機械におけるアームの構成を示す側面図およびアームの一部を拡大して示す拡大斜視図である。図4は、内部リブの配置を説明するための拡大側面図である。
【0025】
図2および図3に示されるように、アーム7は、下板BPと、上板TPと、1対の側板SP1、SP2とを有している。下板BP、上板TPおよび1対の側板SP1、SP2の各々は、たとえば鋼材よりなっている。
【0026】
図2に示されるように、アーム7の基端部と先端部とが横方向(前後方向)に並んだ状態で、上板TPは下板BPの上方に位置している。またアーム7の基端部と先端部とが横方向(前後方向)に並んだ状態で、上板TPと下板BPとは、互いに上下方向に隙間を介在して対向している。
【0027】
図3に示されるように、1対の側板SP1、SP2は、互いに左右方向に隙間を介在して対向している。1対の側板SP1、SP2の各々の上端は、たとえば溶接によって上板TPに接続されている。1対の側板SP1、SP2の各々の下端は、たとえば溶接によって下板BPに接続されている。1対の側板SP1、SP2の各々はたとえば平板である。
【0028】
アーム7は、接続された下板BP、上板TPおよび1対の側板SP1、SP2により、横断面(左右方向に切断した面)が四角形をなす箱形状を有している。アーム7は、下板BP、上板TPおよび1対の側板SP1、SP2により囲まれた内部空間IPを有している。内部空間IPは、空洞である。
【0029】
図2に示されるように、下板BPは、内部空間IPに面する内表面SI1と、内表面SI1の裏面であり外部に露出した外表面SO1とを有している。上板TPは、内部空間IPに面する内表面SI2と、内表面SI2の裏面であり外部に露出した外表面SO2とを有している。1対の側板SP1、SP2の各々は、内部空間IPに面する内表面と、内表面の裏面であり外部に露出した外表面とを有している。
【0030】
上板TPはたとえば平板である。下板BPは、第1板P1と、第2板P2とを有している。第1板P1と第2板P2とは互いに接続されている。第1板P1および第2板P2の各々は平板である。第1板P1と第2板P2との接続部は屈曲している。
【0031】
アーム7には、ブーム連結ボス7cと、バケット連結ボス7dと、リンク連結ボス7eとが設けられている。ブーム連結ボス7c、バケット連結ボス7dおよびリンク連結ボス7eの各々は、1対の側板SP1、SP2の各々を貫通するように設けられている。
【0032】
ブーム連結ボス7cは、ブームトップピン14(図1)が挿入される部分である。ブーム連結ボス7cに挿入されたブームトップピン14を支点として、アーム7はブーム6の先端部に回動可能に接続される。ブーム連結ボス7cは、下板BPの第1板P1と第2板P2との接合部付近に配置される。
【0033】
バケット連結ボス7dは、アームトップピン15(図1)が挿入される部分である。バケット連結ボス7dに挿入されたアームトップピン15を支点として、バケット8はアーム7の先端部に回動可能に接続される。バケット連結ボス7dは、アーム7の先端部に配置されている。
【0034】
リンク連結ボス7eは、リンクピン16(図1)が挿入される部分である。バケットリンク17(図1)は、リンクピン16を介在してアーム7に支持される。リンク連結ボス7eは、ブーム連結ボス7cよりもバケット連結ボス7dの近くに配置されている。
【0035】
アーム7は、アームシリンダブラケット7aと、バケットシリンダブラケット7bとをさらに有している。アームシリンダブラケット7aは、アームシリンダ11(図1)の他端を回動可能に支持する部分である。アームシリンダブラケット7aは、第1板P1の外表面SO1に接続されている。アームシリンダブラケット7aは、第1板P1の外表面SO1から外方へ向かって突き出している。
【0036】
アームシリンダブラケット7aは貫通孔7a1を有している。貫通孔7a1は、アームシリンダブラケット7aを貫通している。貫通孔7a1には、アームシリンダ11を回動可能に支持するためのピン31(図4)が挿入される。
【0037】
バケットシリンダブラケット7bは、バケットシリンダ12(図1)の一端を回動可能に支持する部分である。バケットシリンダブラケット7bは、上板TPの外表面SO2に接続されている。バケットシリンダブラケット7bは、上板TPの外表面SO2から外方へ向かって突き出している。
【0038】
バケットシリンダブラケット7bは貫通孔7b1を有している。貫通孔7b1は、バケットシリンダブラケット7bを貫通している。貫通孔7b1には、バケットシリンダ12を回動可能に支持するためのピン32(図4)が挿入される。
【0039】
アーム7は、内部リブ21(第1内部リブ)と、内部リブ22(第2内部リブ)とをさらに有している。内部リブ21および内部リブ22の各々は、アーム7の内部空間IP内に配置されている。
【0040】
内部リブ22の一端(下端)22aはブーム連結ボス7cに接続されている。内部リブ22の他端(上端)22bは上板TPの内表面SI2に接続されている。内部リブ22の一方側端は側板SP1の内表面に接続されており、内部リブ22の他方側端は側板SP2の内表面に接続されている。
【0041】
内部リブ21の第1端(下端)21aは第1板P1の内表面SI1に接続されている。内部リブ21の第2端(上端)21bは上板TPの内表面SI2に接続されている。
【0042】
図3に示されるように、内部リブ21の一方側端21c1は側板SP1の内表面に接続されており、内部リブ21の他方側端21c2は側板SP2の内表面に接続されている。
【0043】
図4に示されるように、内部リブ21の第1端21aは、側面視において、第1板P1とアームシリンダブラケット7aとの接続範囲RA内において第1板P1の内表面SI1に接続されている。接続範囲RAは、第1板P1の外表面SO1における第1板P1とアームシリンダブラケット7aとの接続領域に対応した第1板P1の内表面SI1側の領域を側方(左右方向)から見た範囲を意味する。また側面視とは、運転席4Sに着座したオペレータを基準とした時の左右方向から見る視点を意味する。
【0044】
内部リブ21の第1端21aは、側面視において、最大限縮退された状態のアームシリンダ11の外形をアームシリンダ11の軸線SLの延びる方向に延長した延長領域RB内において第1板P1の内表面SI1に接続されていてもよい。また内部リブ21の第1端21aは、側面視において、最大限縮退された状態のアームシリンダ11の軸線SLの延びる方向に貫通孔7a1の外形を延長した延長領域RC内において第1板P1の内表面SI1に接続されていてもよい。また内部リブ21の第1端21aは、側面視において、最大限縮退された状態のアームシリンダ11の軸線SLの延長線上において第1板P1の内表面SI1に接続されていてもよい。
【0045】
アームシリンダ11が最大限縮退した状態とは、アームシリンダ11が縮退側のストロークエンドに達した状態を意味する。
【0046】
内部リブ21の第2端21bは、側面視において、上板TPとバケットシリンダブラケット7bとの接続範囲RD内において上板TPの内表面SI2に接続されている。接続範囲RDは、上板TPの外表面SO2における上板TPとバケットシリンダブラケット7bとの接続領域に対応した上板TPの内表面SI2側の領域を側方(左右方向)から見た範囲を意味する。
【0047】
内部リブ21の第2端21bは、側面視において、上板TPの外表面SO2に接続されたバケットシリンダブラケット7bのバケット側端部BE1に対応する上板TPの内表面SI2側の点CPに接続されていてもよい。
【0048】
内部リブ21の第2端21bは、側面視において、最大限縮退された状態のアームシリンダ11の軸線SLの延長線が上板TPの内表面SI2と交差する点SLPよりもバケットシリンダブラケット7b側で上板TPの内表面SI2に接続されていることが好ましい。
【0049】
<効果>
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0050】
図5は、アームシリンダが最大限縮退された状態で高所を掘削する作業機の様子を示す側面図である。図5に示されるように、高い位置にある掘削対象物にバケット8を打ち付け掘削対象物を破壊などする場合がある。この場合、アームシリンダ11が最大限縮退された状態で高所の掘削が行われる。
【0051】
この掘削時には、バケット8を掘削対象物に打ち付ける反力がバケット8に作用する。この反力はバケットリンク17およびバケットシリンダ12を通じてバケットシリンダブラケット7bとアーム7との接合部付近に伝達される。一方、この掘削時にはアームシリンダ11は最大限縮退した状態となっている。このため上記反力は、アームシリンダ11で緩和されず、アームシリンダブラケット7aとアーム7との接続部PAに作用する。その結果、アームシリンダ11から荷重を受けて、図2の一点鎖線で示されるようにアームシリンダブラケット7a付近において高応力が発生する可能性がある。
【0052】
これに対して本実施形態においては図4に示されるように、内部リブ21が、側面視において下板BPとアームシリンダブラケット7aとの接続範囲RA内において下板BPの内表面SI1に接続されている。これにより内部リブ21は、下板BPの第1板P1を内表面SI1側から支えるとともに、アームシリンダ11から受けた荷重を分担する。このためアームシリンダブラケット7aの周りにおいてアーム7に作用する応力を低減することができる。これによりアームシリンダブラケット7a付近における高応力の発生を抑制することができる。
【0053】
また本実施形態においては図4に示されるように、内部リブ21は、第1端21aにおいて下板BPの内表面SI1に接続され、第2端21bにおいて上板TPの内表面SI2に接続されている。これにより内部リブ21を介在して上板TPで下板BPを内表面SI1側から支えることができる。このためアームシリンダブラケット7a付近における高応力の発生を抑制することができる。
【0054】
また本実施形態においては図4に示されるように、内部リブ21の第2端21bは、側面視において上板TPとバケットシリンダブラケット7bとの接続範囲RD内において上板TPに接続されている。これにより内部リブ21の第2端21bが接続範囲RDよりもバケット8側で上板TPの内表面SI2と接続されている場合と比較して、内部リブ21の長さが短くなり、内部リブ21の重量の増加を抑制することができる。
【0055】
また本実施形態においては図4に示されるように、内部リブ21の第2端21bは、側面視において上板TPの外表面SO2に接続されたバケットシリンダブラケット7bのバケット側端部BE1の位置に対応する上板TPの内表面SI2の位置CPに接続されていてもよい。これにより内部リブ21の重量増加を抑制しつつ、アームシリンダ11から受けた荷重を内部リブ21が多く分担できる。
【0056】
また本実施形態においては図4に示されるように、内部リブ22が、下板BTと上板TPとの間に配置され、ブーム連結ボス7cに接続されている。これによりブーム6から受けた荷重を内部リブ22が分担することができる。
【0057】
また本実施形態においては図4に示されるように、側面視において、最大限縮退された状態のアームシリンダ11の外形をアームシリンダ11の軸線SLの方向に延長した延長領域RB内において内部リブ21の第1端21aは第1板P1の内表面SI1に接続されている。これにより内部リブ21は、上記と同様、アームシリンダブラケット7a付近における高応力の発生を抑制することができる。
【0058】
また本実施形態においては図4に示されるように、側面視において、最大限縮退された状態のアームシリンダ11の軸線SLの方向に貫通孔7a1の外形を延長した延長領域RC内において内部リブ21の第1端21aは第1板P1の内表面SI1に接続されている。これにより内部リブ21は、上記と同様、アームシリンダブラケット7a付近における高応力の発生を抑制することができる。
【0059】
また本実施形態においては図4に示されるように、側面視において、最大限縮退された状態のアームシリンダ11の軸線SLの延長線上において内部リブ21の第1端21aは第1板P1の内表面SI1に接続されている。これにより内部リブ21は、上記と同様、アームシリンダブラケット7a付近における高応力の発生を抑制することができる。
【0060】
<変形例1>
次に、変形例1の構成について図6を用いて説明する。
【0061】
図6は、変形例1の構成を示す図であって、図4のVI-VI線に対応した概略斜視断面図である。図6に示されるように、内部リブ21は、2つのリブ部21F、21Sを有している。2つのリブ部21F、21Sは、隙間GP1を挟んで左右方向に互いに分離されている。
【0062】
リブ部21Fおよびリブ部21Sの各々の第1端21aは、第1板P1の内表面SI1に接続されている。リブ部21Fおよびリブ部21Sの各々の第2端21bは、上板TPの内表面SI2に接続されている。リブ部21Fの一方側端は、側板SP1の内表面に接続されている。リブ部21Sの一方側端は、側板SP2の内表面に接続されている。リブ部21Fの他方側端とリブ部21Sの他方側端とは、互いに隙間GP1を挟んで対向している。
【0063】
リブ部21Fおよびリブ部21Sの各々の第1端21aは、図4に示す側面視において第1板P1とアームシリンダブラケット7aとの接続範囲RA内において第1板P1の内表面に接続されている。またリブ部21Fおよびリブ部21Sの各々の第1端21aは、図4に示す側面視において、最大限縮退された状態のアームシリンダ11の外形をアームシリンダ11の軸線SLの延びる方向に延長した延長領域RB内において第1板P1の内表面に接続されていてもよい。
【0064】
またリブ部21Fおよびリブ部21Sの各々の第1端21aは、図4に示す側面視において、最大限縮退された状態のアームシリンダ11の軸線SLの延びる方向に貫通孔7a1の外形を延長した延長領域RC内において第1板P1の内表面に接続されていてもよい。またリブ部21Fおよびリブ部21Sの各々の第1端21aは、図4に示す側面視において、最大限縮退された状態のアームシリンダ11の軸線SLの延長線上において第1板P1の内表面に接続されていてもよい。
【0065】
リブ部21Fおよびリブ部21Sの各々の第1端21aは、1つのアームシリンダ11を挟持する2つのアームシリンダブラケット7aと第1板P1を挟んで対向するように配置されている。
【0066】
このように内部リブ21が複数のリブ部21F、21Sに分割されていても、複数のリブ部21F、21Sの各々は下板BPの第1板P1を内表面SI1側から支えるとともに、アームシリンダ11から受けた荷重を分担することができる。このため上記と同様、アームシリンダブラケット7a付近における高応力の発生を抑制することができる。
【0067】
<変形例2>
次に、変形例2の構成について図7を用いて説明する。
【0068】
図7は、変形例2の構成を示す図であって、図4のVI-VI線に対応した概略断面図である。図7に示されるように、内部リブ21の側端21c1、21c2が側板SP1、SP2に接続されていれば、内部リブ21の第2端21bは上板TPの内表面SI2との間に隙間GP2を有していてもよい。変形例2においては、内部リブ21の第2端21bは上板TPの内表面SI2に接続されていない。
【0069】
変形例2においては、内部リブ21を介在して側板SP1、SP2で第1板P1を内表面SI1側から支えることができる。このためアームシリンダブラケット7a付近における高応力の発生を抑制することができる。
【0070】
<変形例3>
次に、変形例3の構成について図8を用いて説明する。
【0071】
図8は、変形例3の構成を示す図であって、図4のVI-VI線に対応した概略断面図である。図8に示されるように、内部リブ21が2つのリブ部21F、21Sを有する場合にも、リブ部21F、21Sの各々の第2端21bは上板TPの内表面SI2との間に隙間GP3有していてもよい。この場合、リブ部21Fの一方側端21cが側板SP1に接続されている。またリブ部21Sの一方側端21cが側板SP2に接続されている。
【0072】
変形例3においては、リブ部21F、21Sのそれぞれを介在して側板SP1、SP2で第1板P1を内表面SI1側から支えることができる。このためアームシリンダブラケット7a付近における高応力の発生を抑制することができる。
【0073】
また上記実施形態および変形例においては、内部リブ21として板状の部材を例に挙げて説明したが、内部リブ21は棒状であってもよい。また内部リブ21として平板を例に挙げて説明したが、内部リブ21は湾曲した板材であってもよい。
【0074】
また内部リブ21の1対の側端21cのそれぞれが側板SP1、SP2に接続された構成について説明したが、内部リブ21の第1端21aが第1板P1に接続され、第2端21bが上板TPに接続されている場合、1対の側端21cのそれぞれは側板SP1、SP2に接続されていなくてもよい。
【0075】
また内部リブ21の第1端21aから第2端21bに至るまでの側端21cの全長において側板SP1またはSP2に接続された構成について説明したが、側端21cの全長の一部の長さのみが側板SP1またはSP2に接続されていてもよい。
【0076】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0077】
1 本体、2 作業機、3 旋回体、4 運転室、4S 運転席、5 走行体、5Cr 履帯、5M 走行モータ、6 ブーム、7 アーム、7a アームシリンダブラケット、7a1,7b1 貫通孔、7b バケットシリンダブラケット、7c ブーム連結ボス、7d バケット連結ボス、7e リンク連結ボス、8 バケット、9 エンジンカバー、10 ブームシリンダ、11 アームシリンダ、12 バケットシリンダ、13 ブームフートピン、14 ブームトップピン、15 アームトップピン、16 リンクピン、17 バケットリンク、21,22 内部リブ、21F,21S リブ部、21a 第1端、21b 第2端、21c,21c1,21c2 側端、22a 一端、22b 他端、31,32 ピン、100 油圧ショベル、BE1 バケット側端部、BP,BT 下板、CP 位置、GP1,GP2,GP3 隙間、IP 内部空間、P1 第1板、P2 第2板、RA,RD 接続範囲、RB,RC 延長領域、RX 旋回軸、SI1,SI2 内表面、SO1,SO2 外表面、SL 軸線、SP1,SP2 側板、TP 上板。
図1
図2
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図7
図8