IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝メモリ株式会社の特許一覧

特開2022-141193周波数電圧変換回路、半導体装置、及び、メモリシステム
<>
  • 特開-周波数電圧変換回路、半導体装置、及び、メモリシステム 図1
  • 特開-周波数電圧変換回路、半導体装置、及び、メモリシステム 図2A
  • 特開-周波数電圧変換回路、半導体装置、及び、メモリシステム 図2B
  • 特開-周波数電圧変換回路、半導体装置、及び、メモリシステム 図3
  • 特開-周波数電圧変換回路、半導体装置、及び、メモリシステム 図4
  • 特開-周波数電圧変換回路、半導体装置、及び、メモリシステム 図5
  • 特開-周波数電圧変換回路、半導体装置、及び、メモリシステム 図6
  • 特開-周波数電圧変換回路、半導体装置、及び、メモリシステム 図7
  • 特開-周波数電圧変換回路、半導体装置、及び、メモリシステム 図8
  • 特開-周波数電圧変換回路、半導体装置、及び、メモリシステム 図9
  • 特開-周波数電圧変換回路、半導体装置、及び、メモリシステム 図10
  • 特開-周波数電圧変換回路、半導体装置、及び、メモリシステム 図11
  • 特開-周波数電圧変換回路、半導体装置、及び、メモリシステム 図12
  • 特開-周波数電圧変換回路、半導体装置、及び、メモリシステム 図13
  • 特開-周波数電圧変換回路、半導体装置、及び、メモリシステム 図14
  • 特開-周波数電圧変換回路、半導体装置、及び、メモリシステム 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022141193
(43)【公開日】2022-09-29
(54)【発明の名称】周波数電圧変換回路、半導体装置、及び、メモリシステム
(51)【国際特許分類】
   G01R 23/06 20060101AFI20220921BHJP
   H03K 5/19 20060101ALI20220921BHJP
   G11C 8/18 20060101ALI20220921BHJP
   H03K 9/06 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
G01R23/06 F
H03K5/19 T
G11C8/18
H03K9/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021041398
(22)【出願日】2021-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】特許業務法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢部 紘央
【テーマコード(参考)】
5J039
【Fターム(参考)】
5J039HH04
5J039KK01
5J039KK04
5J039KK16
5J039KK19
5J039MM04
5J039MM08
5J039NN06
(57)【要約】
【課題】回路内で発生するリーク電流を抑制するとともに、定電流源に印加される正弦波ノイズ等の影響を受けた場合でも、一定の出力電圧を出力することができる周波数電圧変換回路を提供する。
【解決手段】周波数電圧変換回路は、第1の電流を出力する定電流源と、定電流源に直列接続された第1のスイッチと、第1のスイッチとグランドとの間に直列接続された第1の容量と、第1のスイッチ及び第1の容量間の第1のノードと出力ノードとの間に設けられた第2のスイッチと、第1のノードとグランドとの間に設けられた第3のスイッチと、第1のスイッチに並列に接続された第4のスイッチと、第4のスイッチとグランドとの間に直列接続された第2の容量と、第4のスイッチ及び第2の容量間の第2のノードと出力ノードとの間に設けられた第5のスイッチと、第2のノードとグランドとの間に設けられた第6のスイッチと、を有する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電流を出力する定電流源と、
前記定電流源に直列接続された第1のスイッチと、
前記第1のスイッチとグランドとの間に直列接続された第1の容量と、
前記第1のスイッチ及び前記第1の容量間の第1のノードと出力ノードとの間に設けられた第2のスイッチと、
前記第1のノードと前記グランドとの間に設けられた第3のスイッチと、
前記第1のスイッチに並列に接続された第4のスイッチと、
前記第4のスイッチと前記グランドとの間に直列接続された第2の容量と、
前記第4のスイッチ及び前記第2の容量間の第2のノードと前記出力ノードとの間に設けられた第5のスイッチと、
前記第2のノードと前記グランドとの間に設けられた第6のスイッチと、
を有する周波数電圧変換回路。
【請求項2】
前記第1及び前記第4のスイッチは、いずれか一方がオンするように交互にオン/オフを繰り返し、かつ、それぞれのオン期間は第1の期間である請求項1に記載の周波数電圧変換回路。
【請求項3】
前記第2及び前記第3のスイッチは、前記第1のスイッチがオフしている期間に前記第2及び前記第3のスイッチの順番でオン/オフし、前記第2及び前記第3のスイッチがオンしている期間は、前記第1の期間以下であり、
前記第5及び前記第6のスイッチは、前記第4のスイッチがオフしている期間に前記第5及び前記第6のスイッチの順番でオン/オフし、前記第5及び前記第6のスイッチがオンしている期間は、前記第1の期間以下である請求項2に記載の周波数電圧変換回路。
【請求項4】
前記第1及び前記第4のスイッチに並列に接続された第7のスイッチと、
前記第7のスイッチに直列接続され、前記第7のスイッチがオンの期間、前記定電流源からの前記電流に応じた電荷を蓄積する第3の容量と、
前記第7のスイッチ及び前記第3の容量間の第3のノードと前記出力ノードとの間に設けられた第8のスイッチと、
前記第3のノードと前記グランドとの間に設けられた第9のスイッチと、
を更に有する請求項1に記載の周波数電圧変換回路。
【請求項5】
前記第1、前記第4及び前記第7のスイッチは、いずれか1つが順番にオンするようにオン/オフを繰り返し、かつ、それぞれのオン期間は前記第1の期間である請求項4に記載の周波数電圧変換回路。
【請求項6】
前記第2及び前記第3のスイッチは、前記第1のスイッチがオフしている期間に前記第2及び前記第3のスイッチの順番でオン/オフし、前記第2及び前記第3のスイッチがオンしている期間は、前記第1の期間の2倍の期間以下であり、
前記第5及び前記第6のスイッチは、前記第4のスイッチがオフしている期間に前記第5及び前記第6のスイッチの順番でオン/オフし、前記第5及び前記第6のスイッチがオンしている期間は、前記2倍の期間以下であり、
前記第8及び前記第9のスイッチは、前記第7のスイッチがオフしている期間に前記第8及び前記第9のスイッチの順番でオン/オフし、前記第8及び前記第9のスイッチがオンしている期間は、前記2倍の期間以下である請求項5に記載の周波数電圧変換回路。
【請求項7】
前記第1から前記第9のスイッチは全て同じサイズで構成され、
前記第1、前記6及び前記8のスイッチにより構成される第1のスイッチ群を第1の制御パルスでオン/オフを制御し、
前記第2、前記第4及び前記第9のスイッチにより構成される第2のスイッチ群を第2の制御パルスでオン/オフを制御し、
前記第3、前記第5及び前記第7のスイッチにより構成される第3のスイッチ群を第3の制御パルスでオン/オフを制御する請求項4に記載の周波数電圧変換回路。
【請求項8】
前記第1、前記第2及び前記第3のスイッチ群のいずれか1つが順番にオンするようにオン/オフを繰り返し、かつ、それぞれのオン期間は前記第1の期間である請求項7に記載の周波数電圧変換回路。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1つの記載の周波数電圧変換回路と、
前記周波数電圧変換回路から出力された前記出力電圧に応じて所定の周波数のクロックを生成するオシレータ回路と、
を有する半導体装置。
【請求項10】
請求項9に記載の半導体装置を備えたインタフェース回路と、
不揮発性メモリと、
前記インタフェース回路を介して前記不揮発性メモリを制御するコントローラと、
を有するメモリシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、周波数電圧変換回路、半導体装置、及び、メモリシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
周波数(周期)に応じた直流電圧(出力電圧)を出力する周波数電圧変換回路が知られている。周波数電圧変換回路から出力される出力電圧は、一般的にプロセス・電源電圧・温度等の変化に対して一定であることが求められるが、回路内で発生するリーク電流や定電流源に印加される正弦波ノイズ等の影響によって変動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5368626号公報
【特許文献2】特開平8-262074号公報
【特許文献3】米国特許第4823091号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態は、回路内で発生するリーク電流を抑制するとともに、定電流源に印加される正弦波ノイズ等の影響を受けた場合でも、一定の出力電圧を出力することができる周波数電圧変換回路、半導体装置、及び、メモリシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態の周波数電圧変換回路は、第1の電流を出力する定電流源と、定電流源に直列接続された第1のスイッチと、第1のスイッチとグランドとの間に直列接続された第1の容量と、第1のスイッチ及び第1の容量間の第1のノードと出力ノードとの間に設けられた第2のスイッチと、第1のノードとグランドとの間に設けられた第3のスイッチと、第1のスイッチに並列に接続された第4のスイッチと、第4のスイッチとグランドとの間に直列接続された第2の容量と、第4のスイッチ及び第2の容量間の第2のノードと出力ノードとの間に設けられた第5のスイッチと、第2のノードとグランドとの間に設けられた第6のスイッチと、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1の実施形態に係る半導体装置を含むメモリシステムを示すブロック図である。
図2A】NANDI/F回路にロジック回路が設けられている場合のロジック回路の構成を示すブロック図である。
図2B】メモリコントローラにロジック回路が設けられている場合のロジック回路の構成を示すブロック図である。
図3】オシレータ回路の構成を示すブロック図である。
図4】比較例1の周波数電圧変換回路の構成を示す回路図である。
図5】比較例1の周波数電圧変換回路の動作波形を示すタイミングチャートである。
図6】比較例2の周波数電圧変換回路の構成を示す回路図である。
図7】比較例2の周波数電圧変換回路の動作波形を示すタイミングチャートである。
図8】第1の実施形態の周波数電圧変換回路の構成を示す回路図である。
図9】第1の実施形態の周波数電圧変換回路の動作波形を示すタイミングチャートである。
図10】第1の実施形態の周波数電圧変換回路において、定電流源ISに正弦波ノイズが印加された場合の動作波形を示すタイミングチャートである。
図11】第2の実施形態の周波数電圧変換回路の構成を示す回路図である。
図12】第2の実施形態の周波数電圧変換回路の動作波形を示すタイミングチャートである。
図13】第2の実施形態の変形例の周波数電圧変換回路の構成を示す回路図である。
図14】第2の実施形態の変形例の周波数電圧変換回路の動作波形を示すタイミングチャートである。
図15】比較例3の周波数電圧変換回路の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る半導体装置を含むメモリシステムを示すブロック図である。図1のメモリシステムにおいて、ホスト1とメモリコントローラ2とは、所定のインタフェースを介して接続される。例えば、このインタフェースとしては、eMMC(embedded Multi Media Card)のパラレルインタフェース、PCIe(Peripheral Component Interconnect-Express)TMのシリアル拡張インタフェース、M-PHYの高速シリアルインタフェース等の各種インタフェースが採用される。なお、ホスト1及びメモリコントローラ2には、これらの各種インタフェースを採用したインタフェース回路が内蔵されている。
【0009】
メモリコントローラ2とNAND型フラッシュメモリ4とは、NANDインタフェース回路(以下、NANDI/F回路と略す)3を介して接続される。NANDI/F回路3は、例えば、トグル・ダブルデータレート(ToggleDDR)等の高速データ転送モードやオープンNANDフラッシュインタフェース(ONFI)等の各種インタフェースを採用しており、メモリコントローラ2とNAND型フラッシュメモリ4との間でデータの転送を行う。
【0010】
ホスト1は、メモリコントローラ2に対して、書き込みや読み出しのリクエストを発生する。メモリコントローラ2は、ホストからのリクエストに従ってNAND型フラッシュメモリ4へのデータの書き込み及びNAND型フラッシュメモリ4からのデータの読み出しを制御する。
【0011】
メモリコントローラ2とNAND型フラッシュメモリ4とは、NANDI/F回路3を介して、例えば、データを含む各信号の送受信を行うための信号DQ<7:0>、データストローブ信号DQS、/DQS、チップイネーブル信号CE、コマンドラッチイネーブル信号CLE、アドレスラッチイネーブル信号ALE、ライトイネーブル信号/WE、リードイネーブル信号RE、/RE、及びライトプロテクト信号WP等の各種信号の伝送を行う。
【0012】
NANDI/F回路3は、ロジック回路10を有している。ロジック回路10は、後述するようにオシレータ回路を備え、NAND型フラッシュメモリ4へのデータの書き込み、NAND型フラッシュメモリ4からのデータの読み出し、各種制御等に使用する各種クロックを発生することができる。
【0013】
なお、NANDI/F回路3を省略し、メモリコントローラ2及びNAND型フラッシュメモリ4に、NANDI/F回路3と同様の機能を有するインタフェース回路を内蔵してもよい。例えば、NANDI/F回路3を省略する場合、メモリコントローラ2がロジック回路10を有していてもよい。本実施の形態は、NANDI/F回路3に適用されるだけでなく、ホスト1,メモリコントローラ2,NAND型フラッシュメモリ4に内蔵される各種インタフェース回路に適用してもよい。
【0014】
図2Aは、NANDI/F回路にロジック回路が設けられている場合のロジック回路の構成を示すブロック図である。
【0015】
NANDI/F回路3のロジック回路10は、半導体装置としてのオシレータ回路11と、FIFO12と、セレクタ13とを有している。NANDI/F回路3には、メモリコントローラ2からコマンド及び第1クロックが入力される。第1クロックは、FIFO12に供給されると共に、セレクタ13の一端に入力される。セレクタ13の他端には、オシレータ回路11により生成された第2クロックが入力される。
【0016】
NANDI/F回路3では、メモリコントローラ2からコマンド及び第1クロックが入力されるまでは、セレクタ13においてオシレータ回路11により生成された第2クロックを選択し、NAND型フラッシュメモリ4に供給することでNAND型フラッシュメモリ4からデータを読み出す。
【0017】
NAND型フラッシュメモリ4から読み出された初期のデータは、FIFO12に保持される。その後、NANDI/F回路3は、メモリコントローラ2から第1クロックが入力されると、第1クロックに同期させてFIFO12からデータを読み出し始めてメモリコントローラ2に出力するとともに、セレクタ13において第1クロックを選択し、NAND型フラッシュメモリ4に供給することで、NAND型フラッシュメモリ4からデータの読み出しを継続する。
【0018】
図2Bは、メモリコントローラにロジック回路が設けられている場合のロジック回路の構成を示すブロック図である。
【0019】
ロジック回路10は、オシレータ回路21と、FIFO22とを有している。メモリコントローラ2は、データの読み出し時には、オシレータ回路21の周波数基準で第1クロックを生成し、NAND型フラッシュメモリ4に送信する。NAND型フラッシュメモリ4では第1クロックと同じ周波数・データレートで第2クロックが生成され、さらに、第1クロックと同じ周波数・データレートでデータが読み出され、第2クロック及びデータがメモリコントローラ2に送信される。
【0020】
メモリコントローラ2は、書き込み時には、オシレータ回路21の周波数基準で第2クロック及びデータをNAND型フラッシュメモリ4に送信し、書き込みを実施する。
【0021】
ここで、図2Aのオシレータ回路11の構成について説明する。なお、図2Bのオシレータ回路21は、オシレータ回路11と同一の構成である。図3は、オシレータ回路の構成を示すブロック図である。
【0022】
オシレータ回路11は、周波数電圧変換回路101と、差動アンプAMPと、PMOSトランジスタTrと、リングオシレータROと、パルス生成回路102とを有して構成されている。
【0023】
周波数電圧変換回路101は、パルス生成回路102により生成された制御パルスのHレベルの所定の期間Tに応じた出力電圧Voutを出力する。周波数電圧変換回路101から出力された出力電圧Voutは、差動アンプAMPの一方の入力端子(例えば、反転入力端子)に入力される。差動アンプAMPの他方の入力端子(例えば、非反転入力端子)には、基準電圧VREFが入力される。差動アンプAMPの出力端子は、PMOSトランジスタTrのゲート端子に接続されている。差動アンプAMPは、基準電圧VREFと出力電圧Voutと電圧差を増幅して出力する。
【0024】
PMOSトランジスタTrは、ゲートが差動アンプAMPの出力端子、ソースが電源電圧VDD、ドレインがリングオシレータROに接続されている。PMOSトランジスタTrは、差動アンプAMPの出力信号に応じてON/OFFが切り替えられ、リングオシレータROへの供給電流が制御される。これにより、リングオシレータROの発振周波数Foutが制御され、オシレータ回路11から所定の周波数のクロックが出力される。
【0025】
また、リングオシレータROから出力された発振周波数Foutは、パルス生成回路102に入力される。パルス生成回路102は、発振周波数FoutからT∝1/Foutとなる制御パルスを生成し、周波数電圧変換回路101に出力する。周波数電圧変換回路101は、リングオシレータROの発振周波数Foutに基づき生成された制御パルスのHレベルの所定の期間Tに応じた出力電圧Voutを出力する。制御パルスは、周波数電圧変換回路101内の後述する各スイッチのON/OFFを制御するための切替制御信号である。
【0026】
そして、差動アンプAMPが出力電圧Voutと基準電圧VREFとを比較し、出力電圧Vout=基準電圧VREFとなるようにリングオシレータROの発振周波数Foutが制御される。オシレータ回路11は、これらの制御をループすることで、一定の発振周波数Foutで発振することができる。
【0027】
ここで、本実施形態の周波数電圧変換回路101の構成について説明する前に、比較例1及び2の周波数電圧変換回路201及び301の構成について説明する。
【0028】
(比較例1の周波数電圧変換回路の回路構成)
図4は、比較例1の周波数電圧変換回路の構成を示す回路図である。
【0029】
比較例1の周波数電圧変換回路201は、定電流源ISと、スイッチSPLと、スイッチHLDと、スイッチDISと、容量Csampleと、容量Choldとを有して構成されている。
【0030】
定電流源IS、スイッチSPL及び容量Csampleは、電源電圧VDDとグランドGND間に直列に接続されている。容量Csample、スイッチDIS及びスイッチHLDは、並列に接続されている。スイッチDISは、一端がスイッチSPLと容量Csampleとの間のノードVCに接続され、他端がグランドGNDに接続されている。スイッチHLDは、一端がノードVCに接続され、他端が容量Choldの一端に接続されている。容量Choldは、一端がスイッチHLDの他端に接続され、他端がグランドGNDに接続されている。
【0031】
スイッチSPL、HLD及びDISは、それぞれ制御パルスCP1、CP2及びCP3によってON/OFFが制御される。制御パルスCP1、CP2及びCP3は、上述したオシレータ回路11が備えるパルス生成回路102によって生成される。スイッチSPL、HLD及びDISは、それぞれ制御パルスCP1、CP2及びCP3がHレベルの場合にON状態、Lレベルの場合にOFF状態となる。
【0032】
図5は、比較例1の周波数電圧変換回路の動作波形を示すタイミングチャートである。図5において、ICHARGEは、定電流源ISから出力される第1の電流である電流ICHARGEを示している。また、SPL、HLD及びDISは、スイッチSPL、HLD及びDISに入力される制御パルスCP1、CP2及びCP3の電圧波形を示している。また、VCは、容量Csampleの電圧波形(=ノードVCの電圧波形)、Voutは、周波数電圧変換回路201の出力電圧Voutを示している。
【0033】
まず、スイッチSPLがON、スイッチHLD及びDISがOFFとなると、定電流源ISからの電流ICHARGEによって容量Csampleが充電され、ノードVCの電圧が上昇する。すなわち、スイッチSPLがONの所定の期間Tだけ電流ICHARGEによって容量Csampleが充電されるため、スイッチSPLのONの所定の期間Tに応じてノードVCの電圧が上昇する。
【0034】
次に、スイッチHLDがON、スイッチSPL及びDISがOFFとなると、ノードVCの電圧が出力電圧Voutとして周波数電圧変換回路201から出力される。次に、スイッチDISがON、スイッチSPL及びHLDがOFFとなると、容量Csampleの電荷がスイッチDISを介してグランドGNDに放電され、ノードVCの電圧が下がる。
【0035】
出力電圧Voutは、スイッチSPLに入力される制御パルスCP1のHレベルの所定の期間をT、定電流源ISの電流ICHARGE、容量Csample、とすると、下記式(1)によって求めることができる。
Vout=ICHARGE×T/Csample ・・・ (1)
しかしながら、比較例1の周波数電圧変換回路201の回路構成の場合、スイッチSPLがOFFの場合でも定電流源ISから容量Csampleへ流れるリーク電流によって容量Csampleへの充電が発生するため、出力電圧Voutが変動してしまう。
【0036】
また、比較例1の周波数電圧変換回路201は、スイッチSPLがONの期間のみ容量Csampleに一定の電流で充電する方式のため、定電流源ISに正弦波ノイズSNが印加された場合、正弦波ノイズSNの周波数とスイッチSPLの入力信号の動作周波数との位相差によって、出力電圧Voutが変動してしまう。図5の例では、正弦波ノイズSNの周波数と、スイッチSPLの入力信号の動作周波数とが1:1の場合の波形図を示している。
【0037】
定電流源ISに正弦波ノイズSNが印加されている場合、スイッチSPLがONの期間、正弦波ノイズSNにより定電流源ISからの一定電流(電流ICHARGE)以上の電流が容量Csampleに充電される。結果として、周波数電圧変換回路101の出力電圧Voutが変動し、式(1)の値と比較して誤差Veを有する。
【0038】
図5の例では、誤差Veは、+側に変動する例であるが、誤差Veは、正弦波ノイズSNの周波数と、スイッチSPLの入力信号の動作周波数との位相差に応じて-側にも変動するため、一般的には誤差Veは制御することができない。
【0039】
(比較例2の周波数電圧変換回路の回路構成)
図6は、比較例2の周波数電圧変換回路の構成を示す回路図である。なお、図6において、図4と同様の構成については同一の符号を付している。
【0040】
比較例2の周波数電圧変換回路301は、比較例1の周波数電圧変換回路201に対してスイッチEXDISが追加されて構成されている。スイッチEXDISは、スイッチSPLに並列に設けられ、一端が定電流源ISとスイッチSPLとの間のノードに接続され、他端がグランドGNDに接続されている。
【0041】
スイッチEXDISは、制御パルスCP4に応じてON/OFFが制御され、制御パルスCP4がHレベルの場合にONとなり、Lレベルの場合にOFFとなる。
【0042】
図7は、比較例2の周波数電圧変換回路の動作波形を示すタイミングチャートである。図7の動作波形では、図5の動作波形と異なる部分のみ説明する。図7において、EXDISは、スイッチEXDISに入力される制御パルスCP4の電圧波形を示している。
【0043】
図7に示すように、スイッチEXDISは、スイッチSPLがOFFの場合にON、スイッチSPLがONの場合にOFFとなるように制御される。これにより、スイッチSPLがONの場合、定電流源ISからの電流ICHARGEが容量Csampleへ流れる。一方、スイッチSPLがOFFの場合、定電流源ISからの電流ICHARGEがスイッチEXDISを経由してグランドGNDに流れる。
【0044】
この結果、比較例2の周波数電圧変換回路301の回路構成の場合、スイッチSPLがOFFの場合に、定電流源ISから容量Csampleへ流れるリーク電流が発生しないため、リーク電流による容量Csampleへの充電が行われない。
【0045】
しかしながら、比較例2の周波数電圧変換回路301は、スイッチSPLがOFFの場合、容量CsampleからスイッチEXDISへ逆流するリーク電流が発生する。具体的には、周波数電圧変換回路301は、スイッチSPLがOFFの場合、容量CsampleからスイッチSPL及びEXDISを経由してグランドGNDに流れるリーク電流が発生し、このリーク電流による容量Csampleの放電により出力電圧Voutが変動してしまう。
【0046】
また、比較例2の周波数電圧変換回路301は、比較例1の周波数電圧変換回路201と同様に、スイッチSPLがONの期間のみ容量Csampleに一定の電流ICHARGEで充電する方式である。そのため、比較例2の周波数電圧変換回路301は、比較例1の周波数電圧変換回路201と同様に、定電流源ISに正弦波ノイズSNが印加された場合、正弦波ノイズSNの周波数とスイッチSPLの入力信号の動作周波数との位相差によって、出力電圧Voutが変動してしまう。
【0047】
(第1の実施形態の周波数電圧変換回路の回路構成)
図8は、第1の実施形態の周波数電圧変換回路の構成を示す回路図である。
【0048】
第1の実施形態の周波数電圧変換回路101は、比較例1の周波数電圧変換回路201の回路構成を2つ並列に配置し、定電流源IS及び容量Choldを共通化した構成となっている。具体的には、周波数電圧変換回路101は、定電流源ISと、スイッチ(第1のスイッチ)SPL1と、スイッチ(第2のスイッチ)HLD1と、スイッチ(第3のスイッチ)DIS1と、スイッチ(第4のスイッチ)SPL2と、スイッチ(第5のスイッチ)HLD2と、スイッチ(第6のスイッチ)DIS2と、容量(第1の容量)Csample1と、容量(第2の容量)Csample2と、容量Choldとを有して構成されている。容量Csample1及び容量Csample2のそれぞれは、比較例1の容量Csampleと同じ構成を有しており、容量Csample1及び容量Csample2のそれぞれが蓄積する電荷は、比較例1の容量Csampleが蓄積する電荷と同等である。
【0049】
定電流源IS、スイッチSPL1及び容量Csample1は、電源電圧VDDとグランドGND間に直列に接続されている。容量Csample1、スイッチDIS1及びスイッチHLD1は、並列に接続されている。スイッチDIS1は、一端がスイッチSPL1と容量Csample1との間のノードVC1に接続され、他端がグランドGNDに接続されている。スイッチHLD1は、一端がノードVC1に接続され、他端が出力ノードに接続されている。
【0050】
また、スイッチSPL2は、スイッチSPL1に並列に接続されている。容量Csample2は、スイッチSPL2に直列に接続されている。容量Csample2、スイッチDIS2及びスイッチHLD2は、並列に接続されている。スイッチDIS2は、一端がスイッチSPL2と容量Csample2との間のノードVC2に接続され、他端がグランドGNDに接続されている。スイッチHLD2は、一端がノードVC2に接続され、他端が出力ノードに接続されている。容量Choldは、一端が出力ノードに接続され、他端がグランドGNDに接続されている。
【0051】
スイッチSPL1、HLD1及びDIS1は、それぞれ制御パルスCP11、CP12及びCP13によってON/OFFが制御される。スイッチSPL1、HLD1及びDIS1は、それぞれ制御パルスCP11、CP12及びCP13がHレベルの場合にON状態、Lレベルの場合にOFF状態となる。
【0052】
また、スイッチSPL2、HLD2及びDIS2は、それぞれ制御パルスCP21、CP22及びCP23によってON/OFFが制御される。スイッチSPL2、HLD2及びDIS2は、それぞれ制御パルスCP21、CP22及びCP23がHレベルの場合にON状態、Lレベルの場合にOFF状態となる。
【0053】
図9は、第1の実施形態の周波数電圧変換回路の動作波形を示すタイミングチャートである。
【0054】
図9において、SPL1、HLD1及びDIS1は、スイッチSPL1、HLD1及びDIS1に入力される制御パルスCP11、CP12及びCP13の電圧波形を示している。SPL2、HLD2及びDIS2は、スイッチSPL2、HLD2及びDIS2に入力される制御パルスCP21、CP22及びCP23の電圧波形を示している。さらに、VC1は、容量Csample1の電圧波形(=ノードVC1の電圧波形)、VC2は、容量Csample2の電圧波形(=ノードVC2の電圧波形)、Voutは、周波数電圧変換回路101の出力電圧Voutを示している。
【0055】
スイッチSPL1及びSPL2は、いずれか一方がONするように交互にON/OFFを繰り返し、ONの期間はそれぞれ所定の期間(第1の期間)Tである。すなわち、スイッチSPL1がONの期間はスイッチSPL2がOFFとなり、スイッチSPL1がOFFの期間はスイッチSPL2がONとなる。
【0056】
スイッチHLD1及びDIS1は、スイッチSPL1がOFFしている期間にスイッチHLD1及びDIS1の順番でON/OFFし、スイッチHLD1及びDIS1がONしている期間の和は、所定の期間T以下である。
【0057】
同様に、スイッチHLD2及びDIS2は、スイッチSPL2がOFFしている期間にスイッチHLD2及びDIS2の順番でON/OFFし、スイッチHLD2及びDIS2がONしている期間の和は、所定の期間T以下である。
【0058】
まず、スイッチSPL1がONし、Csample1へ電流ICHARGEを充電している間に、スイッチHLD2をONして容量Csample2と容量Choldとを接続する。次に、スイッチHLD2をOFFし、スイッチDIS2をONし、容量Csample2の電荷をスイッチDIS2を経由してグランドGNDに放電する。
【0059】
次に、スイッチSPL1をOFFし、スイッチSPL2をONさせ、容量Csample2へ電流ICHARGEで充電を開始する。スイッチSPL2がONしている間、スイッチHLD1をONして容量Csample1と容量Choldとを接続する。次いで、スイッチHLD1をOFFし、スイッチDIS1をONし、容量Csample1の電荷をスイッチDIS1を経由してグランドGNDに放電する。
【0060】
このような各スイッチSPL1、SPL2、HLD1、HLD2、DIS1及びDI2の制御により、容量Csample1に充電された電圧(=ノードVC1の電圧)と、容量Csample2に充電された電圧(=ノードVC2の電圧)とが出力電圧Voutとして周波数電圧変換回路101から出力される。スイッチSPL1及びSPL2がONしている期間はそれぞれ所定の期間Tであるため、出力電圧Voutの理論値は上述した式(1)と同じとなる。
【0061】
本実施形態の周波数電圧変換回路101では、スイッチSPL1及びSPL2のいずれか一方が常にONし、他方が常にOFFしている。スイッチSPL1がONしている場合、スイッチSPL2がOFFしているため、電流ICHARGEが容量Csample1に充電され、スイッチSPL2がONしている場合、スイッチSPL1がOFFしているため、電流ICHARGEが容量Csample2に充電される。
【0062】
このため、本実施形態の周波数電圧変換回路101は、スイッチSPL1がOFF、スイッチSPL2がONの場合、電流ICHARGEが容量Csample2側に流れるため、スイッチSPL1にリーク電流が発生して容量Csample1が充電されることを抑止できる。また、周波数電圧変換回路101は、スイッチSPL1がON、スイッチSPL2がOFFの場合、電流ICHARGEが容量Csample1側に流れるため、スイッチSPL2にリーク電流が発生して容量Csample2が充電されることを抑止できる。さらに、周波数電圧変換回路101は、比較例2の周波数電圧変換回路301のように、スイッチEXDISを配置しないため、スイッチSPL1又はSPL2を逆流するリーク電流も発生しない。この結果、本実施形態の周波数電圧変換回路101は、回路内で発生するリーク電流を抑制することができる。
【0063】
また、定電流源ISに電源等から正弦波ノイズSNが印加された場合の動作波形を図10に示す。図10は、第1の実施形態の周波数電圧変換回路において、定電流源ISに正弦波ノイズが印加された場合の動作波形を示すタイミングチャートである。
【0064】
図10のVC1、VC2、Voutにおいて、実線は定電流源ISに正弦波ノイズSNが印加されていない場合の波形を示し、破線は定電流源ISに正弦波ノイズSNが印加された場合の波形を示している。図10の例では、比較例1と同様に正弦波ノイズSNの周波数とスイッチSPL1の入力信号の動作周波数とが1:1の場合で説明する。
【0065】
図10に示すように、スイッチSPL1がONの期間は、電流ICHARGEよりも低い正弦波ノイズSNが印加され、スイッチSPL2がONの期間は、電流ICHARGEよりも高い正弦波ノイズSNが印加されている。そのため、容量Csample1に充電される電荷は正弦波ノイズSNが定電流源ISに印加されない場合よりも低くなり、容量Csample2に充電される電荷は正弦波ノイズSNが定電流源ISに印加されない場合よりも高くなる。
【0066】
本実施形態の周波数電圧変換回路101は、スイッチSPL1及びSPL2のいずれか一方がONしているため、定電流源ISに印加された正弦波ノイズSNによる電流ICHARGEの変動が全周期にわたって容量Csample1及び容量Csample2のいずれか一方へ充電される。
【0067】
この結果、出力電圧Voutの直流成分は、定電流源ISに印加された正弦波ノイズSNによる電流ICHARGEの変動分が平均化された値(上述した式(1)と同じ値)を生成することが可能となる。よって、本実施形態の周波数電圧変換回路101は、正弦波ノイズSNの影響によって出力電圧Voutが変動することがない。
【0068】
以上のように、本実施形態の周波数電圧変換回路によれば、回路内で発生するリーク電流を抑制するとともに、定電流源に印加される正弦波ノイズ等の影響を受けた場合でも、一定の出力電圧を出力することができる。
【0069】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
図11は、第2の実施形態の周波数電圧変換回路の構成を示す回路図である。
【0070】
第1の実施形態の周波数電圧変換回路101は、比較例1の周波数電圧変換回路201の回路構成を2つ並列に配置し、定電流源IS及び容量Choldを共通化して構成されているが、第2の実施形態の周波数電圧変換回路101Aは、比較例1の周波数電圧変換回路201の回路構成を3つ並列に配置し、定電流源IS及び容量Choldを共通化して構成されている。具体的には、第2の実施形態の周波数電圧変換回路101Aは、第1の実施形態の周波数電圧変換回路101に対して、スイッチ(第7のスイッチ)SPL3と、スイッチ(第8のスイッチ)HLD3と、スイッチ(第9のスイッチ)DIS3と、容量(第3の容量)Csample3とが追加されて構成されている。容量Csample1、容量Csample2及び容量Csample3のそれぞれは、比較例1の容量Csampleと同じ構成を有しており、容量Csample1、容量Csample2及び容量Csample3のそれぞれが蓄積する電荷は、比較例1の容量Csampleが蓄積する電荷と同等である。
【0071】
スイッチSPL3は、スイッチSPL1及びSPL2に並列に接続されている。容量Csample3、スイッチHLD3及びスイッチDIS3は並列に接続されている。容量Csample3は、一端がSPL3に接続され、他端がグランドGNDに接続されている。スイッチDIS3は、一端がスイッチSPL3と容量Csample3との間のノードVC3に接続され、他端がグランドGNDに接続されている。スイッチHLD3は、一端がノードVC3に接続され、他端が出力ノードに接続されている。
【0072】
スイッチSPL3、HLD3及びDIS3は、それぞれ制御パルスCP31、CP32及びCP33によってON/OFFが制御される。スイッチSPL3、HLD3及びDIS3は、それぞれ制御パルスCP31、CP32及びCP33がHレベルの場合にON状態、Lレベルの場合にOFF状態となる。
【0073】
図12は、第2の実施形態の周波数電圧変換回路の動作波形を示すタイミングチャートである。
【0074】
スイッチSPL1、SPL2及びSPL3は、順番にONするようにON/OFFを繰り返し、それぞれがONする期間は全て所定の期間Tである。スイッチHLD1及びDIS1は、スイッチSPL1がOFFしている期間にスイッチHLD1及びDIS1の順番でON/OFFする。また、スイッチHLD1及びDIS1がONしている期間は、所定の期間Tの2倍の期間以下とし、スイッチHLD1及びDIS1のONの期間はオーバーラップしないように制御する。
【0075】
同様に、スイッチHLD2及びDIS2は、スイッチSPL2がOFFしている期間にスイッチHLD2及びDIS2の順番でON/OFFする。スイッチHLD2及びDIS2がONしている期間は、所定の期間Tの2倍の期間以下とし、スイッチHLD2及びDIS2のONの期間はオーバーラップしないように制御する。
【0076】
同様に、スイッチHLD3及びDIS3は、スイッチSPL3がOFFしている期間にスイッチHLD3及びDIS3の順番でON/OFFする。スイッチHLD3及びDIS3がONしている期間は、所定の期間Tの2倍の期間以下とし、スイッチHLD3及びDIS3のONの期間はオーバーラップしないように制御する。
【0077】
その他の動作および効果は第1の実施形態と同様である。具体的には、本実施形態の周波数電圧変換回路101Aは、スイッチSPL1、SPL2及びSPL3のいずれか1つのスイッチが常にONし、他のスイッチが常にOFFしている。スイッチSPL1がONしている場合、スイッチSPL2及びSPL3がOFFしているため、電流ICHARGEが容量Csample1に充電される。また、スイッチSPL2がONしている場合、スイッチSPL1及びSPL3がOFFしているため、電流ICHARGEが容量Csample2に充電される。また、スイッチSPL3がONしている場合、スイッチSPL1及びSPL2がOFFしているため、電流ICHARGEが容量Csample3に充電される。
【0078】
このため、本実施形態の周波数電圧変換回路101Aは、比較例1の周波数電圧変換回路201のように、スイッチSPLがOFFした状態でリーク電流による充電が発生しない。また、本実施形態の周波数電圧変換回路101Aは、比較例2の周波数電圧変換回路301のように、スイッチEXDISを配置しないため、スイッチSPLを逆流するリーク電流も発生しない。
【0079】
また、本実施形態の周波数電圧変換回路は、スイッチSPL1、SPL2またはSPL3がONしているため、定電流源ISに印加された正弦波ノイズSNによる電流ICHARGEの変動が全周期にわたって容量Csample1、Csample2、または、Csample3へ充電される。この結果、出力電圧Voutの直流成分は、定電流源ISに印加された正弦波ノイズSNによる電流ICHARGEの変動分が平均化された値(上述した式(1)と同じ値)を生成することが可能となる。よって、本実施形態の周波数電圧変換回路101Aは、第1の実施形態と同様に、正弦波ノイズSNの影響によって出力電圧Voutが変動することがない。
【0080】
以上のように、本実施形態の周波数電圧変換回路によれば、第1の実施形態と同様に、回路内で発生するリーク電流を抑制するとともに、定電流源に印加される正弦波ノイズ等の影響を受けた場合でも、一定の出力電圧を出力することができる。
【0081】
(第2の実施形態の変形例)
図13は、第2の実施形態の変形例の周波数電圧変換回路の構成を示す回路図である。
【0082】
第2の実施形態の変形例の周波数電圧変換回路101Bは、第2の実施形態の周波数電圧変換回路101Aに対し、同じ動作を行うスイッチを共通化した構成となっている。具体的には、周波数電圧変換回路101Bは、図11のスイッチSPL1、スイッチDIS2及びスイッチHLD3をスイッチVIN1により共通化し、スイッチHLD1、スイッチSPL2及びスイッチDIS3をスイッチVIN2により共通化し、スイッチDIS1、スイッチHLD2及びスイッチSPL3をスイッチVIN3により共通化している。さらに、周波数電圧変換回路101Bは、スイッチVIN1、VIN2及びVIN3のサイズを全て同じサイズで構成している。
【0083】
第1のスイッチ群である各スイッチVIN1には第1の制御パルスCP41が共通して供給され、第2のスイッチ群である各スイッチVIN2には第2の制御パルスCP42が共通して供給され、第3のスイッチ群である各スイッチVIN3には第3の制御パルスCP43が共通して供給される。
【0084】
各スイッチVIN1、VIN2及びVIN3は、それぞれ制御パルスCP41、CP42及びCP43によってON/OFFが制御される。各スイッチVIN1、VIN2及びVIN3は、それぞれ制御パルスCP41、CP42及びCP43がHレベルの場合にON状態、Lレベルの場合にOFF状態となる。
【0085】
図14は、第2の実施形態の変形例の周波数電圧変換回路の動作波形を示すタイミングチャートである。
【0086】
スイッチVIN1、VIN2及びVIN3は、いずれか1つが順番にONするようにON/OFFを繰り返し、かつ、それぞれのONの期間は全て所定の期間Tである。第1のスイッチ群である各スイッチVIN1は、共通の制御パルスCP41によってON/OFFが制御される。また、第2のスイッチ群である各スイッチVIN2は、共通の制御パルスCP42によってON/OFFが制御される。さらに、第3のスイッチ群である各スイッチVIN3は、共通の制御パルスCP43によってON/OFFが制御される。よって、変形例の周波数電圧変換回路101Bは、3つの制御パルスCP41、CP42及びCP43のみで第2の実施形態と同様の制御を行うことができる。
【0087】
ここで、スイッチVIN1、VIN2及びVIN3のサイズを全て同じサイズで構成した際の効果について説明する。
【0088】
(比較例3の周波数電圧変換回路の構成)
図15は、比較例3の周波数電圧変換回路の構成を示す回路図である。
【0089】
比較例3の周波数電圧変換回路401は、比較例1の周波数電圧変換回路201のスイッチSPL、HLD、DISをMOSFETにより構成している。比較例1の周波数電圧変換回路201の回路構成を実現する際に、スイッチSPL、HLD及びDIS等をMOSFETで構成した場合、それぞれのスイッチSPL、HLD及びDISがON/OFFするタイミングでゲート・ソース間容量により、ノードVCに電位変動が発生し、出力電圧Voutに誤差が発生する。出力電圧Voutの誤差を除去するためには、スイッチSPL、HLD及びDISに隣接してカウンタスイッチを配置する必要がある。
【0090】
そこで、比較例3の周波数電圧変換回路401は、スイッチSPL、HLD及びDISに隣接してカウンタスイッチXSPL、XHLD及びXDISが配置されて構成されている。カウンタスイッチXSPL、XHLD及びXDISは、それぞれスイッチSPL、HLD及びDISと同じゲート・ソース間容量を有する。例えば、カウンタスイッチXSPLは、スイッチSPLのフィンガー数の半分のフィンガー数とし、かつ、ソース・ドレインをショートすることで、スイッチSPLと同じゲート・ソース間容量としている。
【0091】
さらに、カウンタスイッチXSPL、XHLD及びXDISに入力される制御パルスCP5、CP6及びCP7は、それぞれスイッチSPL、HLD及びDISに入力される制御パルスCP1、CP2及びCP3とH/Lが逆特性になっている。これにより、例えば、カウンタスイッチXSPLは、スイッチSPLがONからOFFに切り替わると、同じタイミングでOFFからONに切り替わり、スイッチSPLがOFFからONに切り替わると、同じタイミングでOFFからONに切り替わる。
【0092】
これに対し、本変形例の周波数電圧変換回路101Bの回路構成の場合、スイッチVIN1、VIN2及びVIN3は全て同じサイズであり、かつ、それぞれでON/OFFするタイミングが揃っているため、それぞれのスイッチ間でスイッチング時の電圧変動が打ち消される。
【0093】
例えば、容量Csample1のノードVC1において、スイッチVIN1がOFFからONする場合、スイッチVIN1と同じサイズのスイッチVIN3が同じタイミングでONからOFFするため、スイッチングによる電圧変動が打ち消される。
【0094】
この結果、本変形例の周波数電圧変換回路101Bは、各スイッチVIN1、VIN2及びVIN3をMOSFETにより構成した場合でも、比較例3の周波数電圧変換回路401のように、カウンタスイッチXSPL、XHLD及びXDIS、及び、カウンタスイッチXSPL、XHLD及びXDIS用の制御パルスCP5、CP6、CP7を生成する必要がない。
【0095】
すなわち、本変形例の周波数電圧変換回路101Bは、スイッチVIN1、VIN2及びVIN3のサイズを全て同じサイズで構成することで、各スイッチVIN1、VIN2及びVIN3をMOSFETにより構成した場合でも、カウンタスイッチを追加する、及び、カウンタスイッチ用の制御パルスを生成することなく、スイッチングによる電圧変動を打ち消し、出力電圧Voutを安定させることができる。
【0096】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、一例として示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0097】
1…ホスト、2…メモリコントローラ、3…NANDI/F回路、4…NAND型フラッシュメモリ、10…ロジック回路、11,21…オシレータ回路、12,22…FIFO、13…セレクタ、101,101A,201,301,401…周波数電圧変換回路、102…パルス生成回路。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15