(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022014123
(43)【公開日】2022-01-19
(54)【発明の名称】ハンドルレバー着脱装置
(51)【国際特許分類】
F16K 31/60 20060101AFI20220112BHJP
【FI】
F16K31/60 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020116302
(22)【出願日】2020-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】502325720
【氏名又は名称】株式会社フジトク
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100168321
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 敦
(72)【発明者】
【氏名】藤井 秀樹
【テーマコード(参考)】
3H063
【Fターム(参考)】
3H063AA02
3H063BB47
3H063DA03
3H063EE07
(57)【要約】
【課題】バタフライ弁におけるハンドルレバーの取り付け及び取り外しを安全かつ容易に行うことを可能とするバタフライ弁のハンドルレバー着脱装置を提供する。
【解決手段】弁箱2と弁体3と弁体連結部5とハンドルレバー6と貫通ピン7とを有するバタフライ弁1における貫通ピン7を弁体連結部5及びハンドルレバー6に対して挿抜することによってハンドルレバー6を取り付け又は取り外しするためのハンドルレバー着脱装置10は、弁体連結部5を保持する保持部20と、弁体連結部5及びハンドルレバー6に設けられた貫通ピン7の嵌入用の孔5hに挿入可能な太さを有するピン圧入部30と、操作を受けることにより保持部20に対してピン圧入部30が接離可能となるように、ピン圧入部30と保持部20とを互いに連結する連結機構40と、を備える。保持部20には貫通ピン7の移動を許容する切欠22が形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に流体流路を有する弁箱と、
前記弁箱の前記流体流路に対して交差する方向に延びる第1の回転軸を中心として前記流体流路を開放するための開放姿勢と閉鎖するための閉鎖姿勢との間で回動可能に前記弁箱に設けられた弁体と、
前記弁体に連結された状態で前記弁箱に対して前記第1の回転軸を中心として回動可能に取り付けられた弁体連結部と、
前記第1の回転軸回りの操作力を受けることにより前記第1の回転軸を中心として前記弁体連結部を回動させるように前記弁体連結部に接続されたハンドルレバーと、
前記ハンドルレバーの前記第1の回転軸を中心とする回動を規制する規制位置と前記回動を許容する許容位置との間で前記第1の回転軸と直交する第2の回転軸を中心として前記ハンドルレバーが前記弁体連結部に対して回動可能となるように前記ハンドルレバーを前記弁体連結部に取り付けるために前記ハンドルレバーを挟む前記弁体連結部の一対の支持片及び前記ハンドルレバーを貫通するように前記一対の支持片及び前記ハンドルレバーに嵌入された貫通ピンと、
を有するバタフライ弁における前記貫通ピンを前記弁体連結部及び前記ハンドルレバーに対して挿抜することによってハンドルレバーを取り付け又は取り外しするためのハンドルレバー着脱装置であって、
前記第2の回転軸の延びる方向の一方側から前記一対の支持片の一方を保持する保持部と、
前記弁体連結部及び前記ハンドルレバーに設けられた前記貫通ピンの嵌入用の孔に挿入可能な太さを有するピン圧入部と、
所定の操作を受けることにより、前記一対の支持片の一方を保持している状態において前記保持部に対して前記ピン圧入部が前記第2の回転軸の延びる方向に接離可能となるように、前記ピン圧入部と前記保持部とを互いに連結する連結機構と、
を備え、
前記保持部において前記ピン圧入部と前記第2の回転軸の延びる方向に対向する位置には前記貫通ピンの前記第2の回転軸の延びる方向の移動を許容する切欠が形成されている、
ハンドルレバー着脱装置。
【請求項2】
前記ピン圧入部は、前記孔の深さ以上の長さを有する、
請求項1に記載のハンドルレバー着脱装置。
【請求項3】
前記連結機構は、
前記第2の回転軸の延びる方向に延びるネジ穴が形成されたネジ穴部と、
前記保持部と前記ネジ穴部とが互いに間隔をあけてそれぞれ接続される本体部と、
前記ネジ穴部の前記ネジ穴に螺合し、前記ピン圧入部が接続されたネジ部と、
前記ネジ部に接続されて前記ネジ部を前記第2の回転軸回りに回転させることが可能なネジ部回転ハンドルと、を有し、
前記ネジ部回転ハンドルに与えられた回転力によって、前記ネジ穴部の前記ネジ穴に螺合する前記ネジ部が回転し、前記ネジ穴部によって前記ネジ部の回転が前記第2の回転軸の延びる方向の前記ピン圧入部の移動に変換されて、前記第2の回転軸の延びる方向の押圧力が生ずる、
請求項2に記載のハンドルレバー着脱装置。
【請求項4】
前記ピン圧入部は、
前記貫通ピンを押圧するための押圧部と、
前記貫通ピンの端面に形成された位置決め用の孔に挿入可能となるように前記押圧部よりも小さな直径を有するとともに前記押圧部の先端部から突出する突出部と、
を有する、
請求項2又は請求項3に記載のハンドルレバー着脱装置。
【請求項5】
前記ハンドルレバー着脱装置は、前記ピン圧入部と太さ及び長さの少なくとも一方が異なる第2のピン圧入部を更に備え、
前記連結機構は、ピン圧入部を択一的に取り付け及び取り外し可能となるように前記ネジ部に螺合可能なナット部を更に有する、
請求項3に記載のハンドルレバー着脱装置。
【請求項6】
前記保持部は、前記一対の支持片の一方に面接触可能な接触面と、前記接触面から前記切欠に向かって延び前記第2の回転軸に対して傾斜する傾斜面と、を有する、
請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のハンドルレバー着脱装置。
【請求項7】
前記貫通ピンの端面に形成された位置決め用の孔に挿入可能な被挿入部を有する位置決め部材と、
前記位置決め部材が前記第2の回転軸の延びる方向に前記ピン圧入部と対向し、かつ、
前記位置決め部材が前記ピン圧入部による押圧力を前記貫通ピンを介して受けることにより前記位置決め部材が前記支持片から離れる方向に移動可能となるように、前記連結機構に対して前記位置決め部材を連結する可動連結機構と、
を更に備える、
請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載のハンドルレバー着脱装置。
【請求項8】
前記位置決め部材は、前記弁体連結部及び前記ハンドルレバーに設けられた前記貫通ピンの嵌入用の孔に挿入可能な太さを有する、
請求項7に記載のハンドルレバー着脱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁体を有する弁箱と前記弁体を操作するためのハンドルレバーとを有するバタフライ弁の前記弁箱に対し前記ハンドルレバーを着脱するためのハンドルレバー着脱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
食品、飲料、化粧品、医薬品、醸造等の産業分野(サニタリー分野)における製造設備には、設備で使用されている流体(例えば気体や液体、またはこれらと固体との混合物)を流すための配管が設けられている。配管の途中には、流体を制御するためのバルブが設けられている。
【0003】
多様な種類のバルブがあるなかで、上記分野では、分解・洗浄・再組立可能であり、様々な口径の配管に適用可能であるバタフライ弁が広く用いられている。
【0004】
特許文献1に記載のバタフライ弁は、配管に接続され、内部に流体が通過する流体流路を有する弁箱と、弁箱の内部で流体流路に対して交差する方向に延びる回転軸を中心として、弁箱内部を閉鎖するための閉鎖姿勢と開放するための開放姿勢との間で回動可能に弁箱に設けられた弁体と、弁箱と閉鎖姿勢を取る弁体との間を封止する弾性体弁座リング(シートリング)と、弁箱に取り付けられて弁体の開放姿勢と閉鎖姿勢とを切り替えるように弁体を操作するための弁体操作部と、を備える。弁体操作部は、弁体に連結され、弁体を開放姿勢と閉鎖姿勢との間で回動させることを可能とする弁体連結部と、回転軸回りの操作力を受けて回転軸を中心として弁体を前記弁体連結部を介して回動させることが可能である駆動用レーバーハンドル(ハンドルレバー)と、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
また、弁体操作部として、前記ハンドルレバーの回転軸を中心とする回転を規制する規制位置と前記回転を許容する許容位置との間で前記弁体連結部に対して前記回転軸と直交する方向に延びる第2の回転軸回りに回動可能な状態で前記ハンドルレバーを前記弁体連結部に対して取り付けるためのピンを備えたものも知られている。このような弁体操作部において、弁体連結部は、ハンドルレバーを挟むように設けられた一対の支持片を有し、前記ピンは、両支持片及びハンドルレバーを貫通するように両支持片及びハンドルレバーに嵌入されている。
【0007】
バタフライ弁のメンテナンスの際に、弁体連結部からハンドルレバーを取り外す場合がある。ハンドルレバーを取り外すに当たって、前記ピンを弁体連結部及びハンドルレバーの孔から抜き出さなければならない。
【0008】
従来、ピンを抜き出すために、ピンと略同径のポンチの一方側の端部を、ピンの端部に押し当てて、ポンチの他方側の端部をハンマーで打つという方法が行われている。
【0009】
同様に、ピンの挿入の際には、ハンドルレバーを取り付けるために、孔にピンの一方側の端部を押し当て、ピンの他方側の端部にポンチの一方側の端部をさらに押し当て、ポンチの他方側の端部をハンマーで打つという方法が行われている。
【0010】
バタフライ弁におけるハンドルレバーの取り付け及び取り外しの際に、ピンをポンチを介してハンマーで打つという従来の方法は、ピンが飛んで行ってしまって紛失するおそれや、作業者の手をハンマーで打つという危険性があった。
【0011】
本発明の目的は、バタフライ弁におけるハンドルレバーの取り付け及び取り外しを安全かつ容易に行うことを可能とするバタフライ弁のハンドルレバー着脱装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一局面に係るハンドルレバー着脱装置は、内部に流体流路を有する弁箱と、前記弁箱の前記流体流路に対して交差する方向に延びる第1の回転軸を中心として前記流体流路を開放するための開放姿勢と閉鎖するための閉鎖姿勢との間で回動可能に前記弁箱に設けられた弁体と、前記弁体に連結された状態で前記弁箱に対して前記第1の回転軸を中心として回動可能に取り付けられた弁体連結部と、前記第1の回転軸回りの操作力を受けることにより前記第1の回転軸を中心として前記弁体連結部を回動させるように前記弁体連結部に接続されたハンドルレバーと、前記ハンドルレバーの前記第1の回転軸を中心とする回動を規制する規制位置と前記回動を許容する許容位置との間で前記第1の回転軸と直交する第2の回転軸を中心として前記ハンドルレバーが前記弁体連結部に対して回動可能となるように前記ハンドルレバーを前記弁体連結部に取り付けるために前記ハンドルレバーを挟む前記弁体連結部の一対の支持片及び前記ハンドルレバーを貫通するように前記一対の支持片及び前記ハンドルレバーに嵌入された貫通ピンと、を有するバタフライ弁における前記貫通ピンを前記弁体連結部及び前記ハンドルレバーに対して挿抜することによってハンドルレバーを取り付け又は取り外しするためのハンドルレバー着脱装置であって、前記第2の回転軸の延びる方向の一方側から前記一対の支持片の一方を保持する保持部と、前記弁体連結部及び前記ハンドルレバーに設けられた前記貫通ピンの嵌入用の孔に挿入可能な太さを有するピン圧入部と、所定の操作を受けることにより、前記一対の支持片の一方を保持している状態において前記保持部に対して前記ピン圧入部が前記第2の回転軸の延びる方向に接離可能となるように、前記ピン圧入部と前記保持部とを互いに連結する連結機構と、を備える。そして、前記保持部において前記ピン圧入部と前記第2の回転軸の延びる方向に対向する位置には前記貫通ピンの前記第2の回転軸の延びる方向の移動を許容する切欠が形成されている。
【0013】
前記ハンドルレバー着脱装置によれば、保持部に弁体連結部の一対の支持片の一方を保持させた状態で、ピン圧入部を、弁体連結部及びハンドルレバーを挟んで貫通ピンの端面に対して第2の回転軸の延びる方向に対向する位置に配置することが可能である。この状態で、連結機構に対して所定の操作を与えることにより、ピン圧入部が保持部に対して第2の回転軸の延びる方向に接離し、これにより貫通ピンを挿抜することができる。
【0014】
ここで、貫通ピンが弁体連結部及びハンドルレバーに設けられた貫通ピンの嵌入用の孔に既に挿入されている場合には、ピン圧入部が保持部に接近することに伴い、ピン圧入部が、前記孔に挿入され、これにより、貫通ピンが保持部に向かって押圧される。そして、保持部においてピン圧入部と第2の回転軸の延びる方向に対向する位置には貫通ピンの第2の回転軸の延びる方向の移動を許容する切欠が形成されているので、ピン圧入部によって前記孔から押し出された貫通ピンを切欠内に誘導することができる。これにより、貫通ピンを前記孔すなわち弁体連結部及びハンドルレバーから抜き出すことができ、ハンドルレバーを弁体連結部から取り外すことができる。したがって、前記ハンドルレバー着脱装置によれば、バタフライ弁におけるハンドルレバーを、連結機構を操作することにより、安全かつ容易に取り外すことができる。
【0015】
一方、貫通ピンが挿入されていない前記孔に対し貫通ピンが位置決めされている場合には、ピン圧入部が保持部に接近することに伴い、貫通ピンが前記孔内に押圧される。これにより、ハンドルレバーは、弁体連結部に取り付けられる。したがって、前記ハンドルレバー着脱装置によれば、バタフライ弁におけるハンドルレバーを、連結機構を操作することにより、安全かつ容易に取り付けることができる。
【0016】
前記ハンドルレバー着脱装置の好ましい態様として、前記ピン圧入部は、前記孔の深さ以上の長さを有する。
【0017】
前記ハンドルレバー着脱装置によれば、ピン圧入部は前記孔の深さ以上の長さを有しているので、ピン圧入部が前記孔に完全に入り込むまで貫通ピンを押圧すれば、貫通ピンを確実に前記孔から抜き出すことができる。
【0018】
前記ハンドルレバー着脱装置の好ましい態様として、前記連結機構は、前記第2の回転軸の延びる方向に延びるネジ穴が形成されたネジ穴部と、前記保持部と前記ネジ穴部とが互いに間隔をあけてそれぞれ接続される本体部と、前記ネジ穴部の前記ネジ穴に螺合し、前記ピン圧入部が接続されたネジ部と、前記ネジ部に接続されて前記ネジ部を前記第2の回転軸回りに回転させることが可能なネジ部回転ハンドルと、を有し、前記ネジ部回転ハンドルに与えられた回転力によって、前記ネジ穴部の前記ネジ穴に螺合する前記ネジ部が回転し、前記ネジ穴部によって前記ネジ部の回転が前記第2の回転軸の延びる方向の前記ピン圧入部の移動に変換されて、前記第2の回転軸の延びる方向の押圧力が生ずる。
【0019】
前記ハンドルレバー着脱装置によれば、連結機構は、ネジ部回転ハンドルに与えられた回転力を第2の回転軸の延びる方向の押圧力に変換することができる。そして、連結機構のネジ部に接続されたピン圧入部は、第2の回転軸の延びる方向の押圧力を与えられる。
【0020】
前記ハンドルレバー着脱装置の好ましい態様として、前記ピン圧入部は、前記貫通ピンを押圧するための押圧部と、前記貫通ピンの端面に形成された位置決め用の孔に挿入可能となるように前記押圧部よりも小さな直径を有するとともに前記押圧部の先端部から突出する突出部と、を有する。
【0021】
前記ハンドルレバー着脱装置によれば、ピン圧入部は、突出部が貫通ピンの端面の位置決め用の孔に挿入されることで、突出部で貫通ピンの端面からずれることが防止され、押圧部で貫通ピンを押圧することができる。
【0022】
前記ハンドルレバー着脱装置の好ましい態様として、前記ハンドルレバー着脱装置は、前記ピン圧入部と太さ及び長さの少なくとも一方が異なる第2のピン圧入部を更に備え、前記連結機構は、ピン圧入部を択一的に取り付け及び取り外し可能となるように前記ネジ部に螺合可能なナット部を更に有する。
【0023】
前記ハンドルレバー着脱装置によれば、ナット部によってピン圧入部をネジ部に着脱することができる。貫通ピンはバタフライ弁毎に太さや長さが異なる場合があり、ピン圧入部は、押圧する対象である貫通ピンに応じた太さや長さを有するものに交換されてハンドルレバー着脱装置に用いられるべきものである。したがって、前記ハンドルレバー着脱装置によれば、ピン圧入部を第2のピン圧入部に容易に交換することが可能となる。
【0024】
前記ハンドルレバー着脱装置の好ましい態様として、前記保持部は、前記一対の支持片の一方に面接触可能な接触面と、前記接触面から前記切欠に向かって延び前記第2の回転軸に対して傾斜する傾斜面と、を有する。
【0025】
前記ハンドルレバー着脱装置のピン圧入部によってバタフライ弁の弁体連結部及びハンドルレバーに設けられた孔から第2の回転軸の延びる方向に押し出された貫通ピンは、保持部の切欠によって第2の回転軸の延びる方向の移動を許容されている。このとき、仮に貫通ピンが切欠の位置から接触面寄りにずれて押し出されたとしても、前記ハンドルレバー着脱装置によれば、接触面から切欠に向かって延び第2の回転軸に対して傾斜する傾斜面に貫通ピンが誘導されて保持部の切欠内に移動し、作業者は貫通ピンの抜出作業を継続することができる。したがって、前記ハンドルレバー着脱装置によれば、貫通ピンの抜出作業の作業性を向上させることができる。
【0026】
前記ハンドルレバー着脱装置は、前記貫通ピンの端面に形成された位置決め用の孔に挿入可能な被挿入部を有する位置決め部材と、前記位置決め部材が前記第2の回転軸の延びる方向に前記ピン圧入部と対向し、かつ、前記位置決め部材が前記ピン圧入部による押圧力を前記貫通ピンを介して受けることにより前記位置決め部材が前記支持片から離れる方向に移動可能となるように、前記連結機構に対して前記位置決め部材を連結する可動連結機構と、を更に備える、ものであってもよい。
【0027】
前記ハンドルレバー着脱装置によれば、位置決め部材の被挿入部を貫通ピンの孔に挿入することによって、ハンドルレバー着脱装置と貫通ピンとを相互に位置決めすることができる。
【0028】
さらに、可動連結機構により、位置決め部材がピン圧入部による押圧力を貫通ピンを介して受けることにより位置決め部材が弁体連結部の支持片から離れる方向に移動することによって、貫通ピンの保持部への移動を許容することができる。したがって、前記ハンドルレバー着脱装置によれば、貫通ピンと弁体連結部及びハンドルレバーとハンドルレバー着脱装置の保持部とが相互に位置決めされた状態を維持しながら、貫通ピンの第2の回転軸の延びる方向への移動を許容することができる。
【0029】
前記ハンドルレバー着脱装置は、前記位置決め部材が、前記弁体連結部及び前記ハンドルレバーに設けられた前記貫通ピンの嵌入用の孔に挿入可能な太さを有する、ものであってもよい。
【0030】
前記ハンドルレバー着脱装置によれば、弁体連結部及びハンドルレバーに設けられた孔への貫通ピンの挿入時において、前記孔に挿入可能な太さを有する位置決め部材が前記孔に予め挿入されることにより、ハンドルレバー着脱装置は、弁体連結部及びハンドルレバーに対して位置決めされる。この状態において、位置決め部材の被挿入部が貫通ピンの端面に形成された位置決め用の孔に挿入されることにより、貫通ピンがハンドルレバー着脱装置に対して位置決めされる。これらのことにより、貫通ピンと弁体連結部及びハンドルレバーとハンドルレバー着脱装置とが相互に位置決めされた状態となり、この状態において、連結機構により、ピン圧入部がハンドルレバー着脱装置の保持部に対して第2の回転軸の延びる方向に移動することによって、貫通ピンを弁体連結部及びハンドルレバーに設けられた孔にずれることなく挿入することができる。さらに、このとき、可動連結機構により、位置決め部材がピン圧入部による押圧力を貫通ピンを介して受けることにより位置決め部材が弁体連結部の支持片から離れる方向に移動することによって、保持部へ近づく貫通ピンの移動を許容することができる。したがって、前記ハンドルレバー着脱装置によれば、貫通ピンと弁体連結部及びハンドルレバーとハンドルレバー着脱装置の保持部とが相互に位置決めされた状態を維持しながら、貫通ピンの挿入を行うことができる。
【発明の効果】
【0031】
したがって、本発明に係るハンドルレバー着脱装置によれば、バタフライ弁におけるハンドルレバーの取り付け及び取り外しを安全かつ容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図4】バタフライ弁においてハンドルレバーの第1の回転軸回りの回動を許容する許容位置にハンドルレバーが配置された状態を示す断面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るハンドルレバー着脱装置を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は正面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るハンドルレバー着脱装置がバタフライ弁に嵌入された貫通ピンを抜き出すために、ハンドルレバー着脱装置がバタフライ弁に装着された状態を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態に係るハンドルレバー着脱装置がバタフライ弁に嵌入された貫通ピンを抜き出した直後の状態を示す図である。
【
図8】本発明の実施形態に係るハンドルレバー着脱装置がバタフライ弁に貫通ピンを嵌入するために、ハンドルレバー着脱装置、バタフライ弁及び貫通ピンがそれぞれ配置された状態を示す図である。
【
図9】本発明の実施形態に係るハンドルレバー着脱装置のピン圧入部とネジ部との接続形態、ピン圧入部の変形例及びナット部を示す図であり、(a)は第1変形例に係るピン圧入部とネジ部とがナット部で互いに接続されている状態を示す図であり、(b)はピン圧入部の第1変形例を示す図であり、(c)はピン圧入部の第2変形例を示す図であり、(d)はピン圧入部の第3変形例を示す図であり、(e)はナット部を示す図である。
【
図10】本発明の実施形態に係るハンドルレバー着脱装置の変形例を示す図であるとともに、変形例に係るハンドルレバー着脱装置がバタフライ弁に嵌入された貫通ピンを抜き出すために、ハンドルレバー着脱装置がバタフライ弁に装着された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面に基づいて、バタフライ弁の構成について説明した上で、本発明の実施形態に係るハンドルレバー着脱装置について説明する。
【0034】
(バタフライ弁)
バタフライ弁1は、
図1に示すように、内部に流体流路1Aを有する弁箱2と、弁箱2の内部に設けられ、流体流路1Aの中心軸2Fに対して直交する方向に延びる第1の回転軸AR1を中心として、流体流路1Aを開放するための開放姿勢と閉鎖するための閉鎖姿勢との間で回動可能な円盤部3Aを有する弁体3と、流体流路1Aを閉鎖する姿勢の円盤部3Aの周面と弁箱2の内周面との間に介在するリング状のシートリング4と、弁体3に連結された状態で弁箱2に対して第1の回転軸AR1を中心として回動可能に取り付けられた弁体連結部5と、第1の回転軸AR1回りの操作力を受けることにより第1の回転軸AR1を中心として弁体連結部5を回動させるように弁体連結部5に接続されたハンドルレバー6と、ハンドルレバー6を弁体連結部5に取り付けるための貫通ピン7と、ハンドルレバー6及び弁体連結部5の第1の回転軸AR1回りの回動を規制するための回動規制部材8と、を備える。
【0035】
弁箱2は、例えばステンレス鋼のような剛体からなり、円筒状の本体部2Aと、本体部2Aの外周面から第1の回転軸AR1に沿って外側に延びる2個の筒状の弁棒受部2B,2Cと、本体部2Aの弁棒受部2B,2Cが設けられた部分の内周に設けられた溝部2Dと、を有する。弁棒受部2B,2Cには、一方の開口が流体流路1A内に開き他方の開口が流体流路1Aの中心軸2Fと直交する方向で外側に開く貫通孔2Eが形成されている。
【0036】
弁体3は、例えばステンレス鋼のような剛体からなり、円盤部3Aに加えて、円盤部3Aにおける回転軸3Gの一方の端部から外側に向かって延びる第1の弁棒3Bと、円盤部3Aにおける回転軸3Gの他方の端部から外側に向かって延びる第2の弁棒3Cと、を有する。第1の弁棒3Bは、弁棒受部2Bの貫通孔2Eに挿入され、第2の弁棒3Cは、弁棒受部2Cの貫通孔2Eに挿入される。
【0037】
シートリング4は、リング状の弾性体からなり、弁棒受部2B、2Cにそれぞれ設けられた溝部2Dに嵌合して、弁箱2と弁体3との間をシールする。シートリング4は、弁体3の第1の弁棒3Bおよび第2の弁棒3Cが挿入される弁棒挿入孔4Aを有し、円盤部3Aを回転可能な状態で弁体3を保持する。
【0038】
弁体3およびシートリング4は、シートリング4の弁棒挿入孔4Aに弁体3の第1の弁棒3Bおよび第2の弁棒3Cが挿入された状態で、弁箱2に対して着脱可能である。弁体3およびシートリング4を弁箱2に装着した状態では、弁棒受部2B,2Cに第1の弁棒3Bおよび第2の弁棒3Cがそれぞれ挿入され、弁箱2の溝部2Dにシートリング4が配置される。弁体3に回動力を伝達することができるように、第1の弁棒3Bに弁体連結部5が連結されている。第1の弁棒3Bに連結された弁体連結部5を回動させることにより、弁体3を開放姿勢と閉鎖姿勢との間で回動させ、流体流路1Aを開閉させることができる。
【0039】
弁体連結部5は、上記のように、第1の弁棒3Bに連結されて、弁体3を第1の回転軸AR1を中心として回動させるためのものである。弁体連結部5は、
図1及び
図2に示すように、第1の回転軸AR1に延びる方向に延びて当該方向に直交する方向に対向する一対の支持片5aと、一対の支持片5aの間に形成される溝部5bと、を有する。一対の支持片5aは、溝部5bに挿入されたハンドルレバー6を挟んだ状態でハンドルレバー6を支持する。これにより、一対の支持片5aがハンドルレバー6の両側に位置するので、ハンドルレバー6と弁体連結部5とは、第1の回転軸AR1回りに一体的に回転することが可能となる。
【0040】
ハンドルレバー6は、一対の支持片5aに挟まれる部分と、第1の回転軸AR1の延びる方向に直交する方向に延びる被操作部6aと、を有し、被操作部6aに第1の回転軸AR1回りの操作力が入力されると、弁体連結部5を介して、弁体3を第1の回転軸AR1回りに回動させることが可能である。また、ハンドルレバー6は、第2の回転軸AR2に平行な貫通ピン7回りの操作力を受けて、弁体連結部5に対して、第2の回転軸AR2回りに後述する規制位置と許容位置との間で回動することが可能である。
【0041】
弁体連結部5の一対の支持片5aと、ハンドルレバー6における一対の支持片5aに挟まれる部分と、には第1の回転軸AR1に直交する方向に形成された孔5hが貫通している。
【0042】
貫通ピン7は、ハンドルレバー6を弁体連結部5に取り付けるため、ハンドルレバー6を挟む弁体連結部5の一対の支持片5a及びハンドルレバー6を貫通するように、一対の支持片5a及びハンドルレバー6の孔5hに嵌入される。貫通ピン7は、例えばスプリングピンであり、中空のものであって径が変化するものであってもよいし、中実のものであって孔5hの径に一致する径を有するものであってもよい。貫通ピン7は、孔5hを通り第1の回転軸AR1に直交する第2の回転軸AR2を中心としてハンドルレバー6が弁体連結部5に対して回動可能となるように、ハンドルレバー6を弁体連結部5に対して軸支する。貫通ピン7は、孔5hの深さと等しい長さを有する。貫通ピン7の両端面には、それぞれ孔7hが形成されている。孔7hは、後述するハンドルレバー着脱装置10のピン圧入部30の位置決め用の孔である。
【0043】
回動規制部材8は、弁箱2の弁棒受部2Bと弁体連結部5との間に配置されて、ハンドルレバー6の先端部6bに噛合されることにより、ハンドルレバー6及び弁体連結部5の第1の回転軸AR1回りの回動を規制する。ハンドルレバー6は、第1の回転軸AR1を基準として被操作部6aの反対側に位置し、第1の回転軸AR1の内向きに突出する先端部6bを有する。回動規制部材8は、
図3に示すように、先端部6bを第1の回転軸AR1の径方向に受け入れることができる複数の溝部8dを周囲に有している。溝部8dにハンドルレバー6の先端部6bが噛合されることにより、ハンドルレバー6が第1の回転軸AR1回りに回動することが規制される。ハンドルレバー6が回動規制部材8に回動を規制されるこの位置を規制位置とする。
【0044】
一方、
図4に示すように、ハンドルレバー6が第2の回転軸AR2回りに回動し、ハンドルレバー6の先端部6bが上方に(被操作部6aが下方に)移動すると、先端部6bが回動規制部材8の溝部8dに噛合されている状態から脱し、ハンドルレバー6が第1の回転軸AR1回りに回動することが可能となる。ハンドルレバー6の第1の回転軸AR1回りの回動を許容するこの位置を許容位置とする。
【0045】
(ハンドルレバー着脱装置)
次に、ハンドルレバー着脱装置10について、
図5に基づいて説明する。なお、以下では、ハンドルレバー着脱装置10がバタフライ弁1に装着された状態における方向を用いて説明する。
【0046】
ハンドルレバー着脱装置10は、貫通ピン7を弁体連結部5及びハンドルレバー6に設けられた孔5hに挿入することにより、ハンドルレバー6を弁体連結部5に取り付けるためのものであり、また、貫通ピン7を孔5hから抜き出すことにより、ハンドルレバー6を弁体連結部5から取り外すためのものである。ハンドルレバー着脱装置10は、第2の回転軸AR2の延びる方向の一方側から弁体連結部5の一対の支持片5aの一方を保持する保持部20と、弁体連結部5及びハンドルレバー6に設けられた貫通ピン7の嵌入用の孔5hに挿入可能な太さを有するピン圧入部30と、所定の操作を受けることにより、一対の支持片5aの一方を保持している状態において保持部20に対してピン圧入部30が第2の回転軸AR2の延びる方向に接離可能となるように、ピン圧入部30と保持部20とを互いに連結する連結機構40と、を備える。
【0047】
保持部20は、弁体連結部5の一対の支持片5aの一方に面接触可能な接触面21と、接触面21から第2の回転軸AR2に沿って切り欠かれて貫通ピン7の保持部20への移動を許容する切欠22と、接触面21から切欠22に向かって延び第2の回転軸AR2に対して傾斜する傾斜面23と、を有する。保持部20は、第2の回転軸AR2の延びる方向の一方側から接触面21が一対の支持片5aの一方に面接触することにより、ピン圧入部30を他方の支持片5aに接離できるような位置に配置させた状態で、バタフライ弁1を保持する。切欠22は、保持部20においてピン圧入部30と第2の回転軸AR2の延びる方向に対向する位置に形成されている。そして、切欠22は、ピン圧入部30により貫通ピン7が押圧されて第2の回転軸AR2の延びる方向であって保持部20に対して接近する方向へ移動することを許容している。
【0048】
ピン圧入部30は、貫通ピン7を第2の回転軸AR2の延びる方向に押圧することによって、弁体連結部5及びハンドルレバー6に設けられた孔5hに貫通ピン7を挿入又は抜出するためのものである。ピン圧入部30は、押圧部31と、押圧部31の先端部から突出する突出部32と、を有する。押圧部31は、貫通ピン7の端面に接触して貫通ピン7を押圧する。押圧部31は、孔5hの直径以下の直径を有するとともに、孔5hの深さ以上の長さを有する。突出部32は、貫通ピン7の端面に形成された位置決め用の孔7hに挿入可能となるように押圧部31よりも小さな直径を有する。突出部32が孔7hに嵌入されることにより、ピン圧入部30は、貫通ピン7からずれることなく押圧することができる。
【0049】
連結機構40は、第2の回転軸AR2の延びる方向に延びるネジ穴41hが形成されたネジ穴部41と、保持部20とネジ穴部41とが互いに間隔をあけてそれぞれ接続される本体部42と、ピン圧入部30が接続されたネジ部43と、ネジ部43に接続されてネジ部43を第2の回転軸AR2回りに回転させることが可能なネジ部回転ハンドル44と、を有する。連結機構40は、本体部42とネジ穴部41とネジ部43とを介して、保持部20とピン圧入部30とを互いに連結している。これにより、保持部20に対してピン圧入部30が第2の回転軸AR2の延びる方向に接離可能となる。
【0050】
ネジ部43は、ネジ穴部41のネジ穴41hに螺合している。これにより、ネジ部回転ハンドル44によって回転させられたネジ部43の回転運動は、ネジ穴部41によって、第2の回転軸AR2の延びる方向の直進運動に変換される。
【0051】
本体部42は、第2の回転軸AR2の延びる方向に平行に延びる本体部第1構成部421と、本体部第1構成部421の一端において交差するように本体部第1構成部421に接続される本体部第2構成部422と、本体部第1構成部421の他端において交差するように本体部第1構成部421に接続される本体部第3構成部423と、を有する。本体部第2構成部422の先端には、保持部20が接続されている。本体部第3構成部423の先端にはネジ穴部41が接続されている。本体部42が本体部第1構成部421と本体部第2構成部422と本体部第3構成部423とにより構成されることにより、本体部42には、保持部20とピン圧入部30との間に弁体連結部5が配置されるために必要な空間が形成されている。
【0052】
次に、ハンドルレバー着脱装置10を用いて、バタフライ弁1において、貫通ピン7を弁体連結部5及びハンドルレバー6の孔5hに挿入又は孔5hから抜出する手順を、
図6ないし
図8に基づいて説明する。
【0053】
貫通ピン7を孔5hから抜き出すとき、
図6に示すように、バタフライ弁1は、ハンドルレバー着脱装置10の保持部20とピン圧入部30との間に配置される。このとき、保持部20の接触面21は、弁体連結部5の一対の支持片5aの一方に面接触し、弁体連結部5を保持する。この状態において、ピン圧入部30は、保持部20に対して適宜の間隔をあけるように、第2の回転軸AR2の延びる方向での位置を調整されて、一対の支持片5aの他方側に配置される。具体的には、ピン圧入部30は、保持部20の接触面21との間隔が弁体連結部5の一対の支持片5aのそれぞれの外側面同士の間隔と等しいかそれよりも大きくなるように配置される。ピン圧入部30は、孔5hに嵌入されている貫通ピン7と第2の回転軸AR2の延びる方向に直列に並ぶように配置される。そして、ピン圧入部30の突出部32は、貫通ピン7の孔7hに挿入される位置に予め配置される。そして、ハンドルレバー着脱装置10の作業者は、突出部32が孔7hに挿入されるまでは、ハンドルレバー着脱装置10及びバタフライ弁1の位置決めされた状態を維持する。
【0054】
図6の位置にバタフライ弁1が配置された状態において、ハンドルレバー着脱装置10の作業者は、連結機構40のネジ部回転ハンドル44に操作力を与えて、ネジ部43を第2の回転軸AR2回りに回転させる。これにより、ネジ部43は、ネジ穴部41に螺合しているので、第2の回転軸AR2の延びる方向であって保持部20に対して接近する方向に移動する。すなわち、ネジ部回転ハンドル44に与えられた回転力は、ネジ部43の第2の回転軸AR2の延びる方向の移動力に変換される。ネジ部43が移動すると、突出部32は、孔7hに挿入される。ピン圧入部30の押圧部31は、貫通ピン7の端面に接触して、貫通ピン7を第2の回転軸AR2の延びる方向であって保持部20に向かって押圧する。そして、ピン圧入部30は、弁体連結部5及びハンドルレバー6に設けられた孔5hに進入する。ピン圧入部30に押圧された貫通ピン7は、孔5hから保持部20の切欠22内に移動する。そして、ピン圧入部30に押圧された貫通ピン7は、
図7に示すように、孔5hから完全に抜け出て、保持部20の切欠22内に移る。これにより、弁体連結部5からハンドルレバー6を取り外すことができる。貫通ピン7の抜出の過程において、突出部32が孔7hに挿入されることにより、貫通ピン7とピン圧入部30とが互いに第2の回転軸AR2の径方向へずれることが防止され、第2の回転軸AR2の延びる方向に直列に並んだ状態が維持される。
【0055】
一方、貫通ピン7を孔5hに挿入するとき、
図8に示すように、抜出時と同様に、バタフライ弁1は、ハンドルレバー着脱装置10の保持部20とピン圧入部30との間に配置される。このとき、バタフライ弁1において、ハンドルレバー6は、弁体連結部5に取り付けられていない状態であるが、一対の支持片5aの間の溝部5bに嵌入されて、一対の支持片5aに挟まれている状態である。保持部20の接触面21は、弁体連結部5の一対の支持片5aの一方に面接触し、弁体連結部5を保持する。この状態において、ピン圧入部30は、接触面21との間隔が弁体連結部5の一対の支持片5aのそれぞれの外側面同士の間隔に貫通ピン7の長さを加えた長さと同等又はこれよりも大きくなるように配置される。さらに、弁体連結部5及びハンドルレバー6に設けられた孔5hに対して、貫通ピン7が第2の回転軸AR2の延びる方向に直列に並んだ状態で配置される。さらに、この状態において、ピン圧入部30は、貫通ピン7と第2の回転軸AR2の延びる方向に直列に並ぶように配置される。このときも、ピン圧入部30の突出部32は、貫通ピン7の孔7hに挿入される位置に予め配置される。
【0056】
図8のように弁体連結部5、ハンドルレバー6及び貫通ピン7が配置された状態において、ハンドルレバー着脱装置10の作業者は、連結機構40のネジ部回転ハンドル44に操作力を与えて、ネジ部43を第2の回転軸AR2回りに回転させる。回転するネジ部43は、上記と同様に、ピン圧入部30に第2の回転軸AR2の延びる方向であって保持部20に向かう押圧力を発生させる。これにより、貫通ピン7は、ピン圧入部30に押圧されて、孔5hに移動する。そして、ピン圧入部30に押圧された貫通ピン7は、孔5hに完全に挿入されて、
図6のように孔5h内に嵌入された状態になる。これにより、弁体連結部5にハンドルレバー6が取り付けられた状態になる。なお、貫通ピン7の挿入の過程において、貫通ピン7は予めピン圧入部30に取り付けられて、ピン圧入部30が貫通ピン7とともに弁体連結部5に対して移動してもよいし、貫通ピン7の先端部が予め孔5hに仮挿入されて、ピン圧入部30が貫通ピン7に対して移動してもよい。そして、突出部32が孔7hに挿入されることにより、貫通ピン7とピン圧入部30とが互いに第2の回転軸AR2の径方向へずれることが防止され、第2の回転軸AR2の延びる方向に直列に並んだ状態が維持される。
【0057】
本実施の形態に係るハンドルレバー着脱装置10による作用効果を説明する。
【0058】
ハンドルレバー着脱装置10によれば、保持部20に弁体連結部5の一対の支持片5aの一方を保持させた状態で、ピン圧入部30を、弁体連結部5及びハンドルレバー6を挟んで貫通ピン7の端面に対して第2の回転軸AR2の延びる方向に対向する位置に配置することが可能である。この状態で、連結機構40に対して所定の操作を与えることにより、ピン圧入部30が保持部20に対して第2の回転軸AR2の延びる方向に接離し、これにより貫通ピン7を挿抜することができる。
【0059】
ここで、貫通ピン7が弁体連結部5及びハンドルレバー6に設けられた貫通ピン7の嵌入用の孔5hに既に挿入されている場合には、ピン圧入部30が保持部20に接近することに伴い、ピン圧入部30が、孔5hに挿入され、これにより、貫通ピン7が保持部20に向かって押圧される。そして、保持部20においてピン圧入部30と第2の回転軸AR2の延びる方向に対向する位置には貫通ピン7の第2の回転軸AR2の延びる方向の移動を許容する切欠22が形成されているので、ピン圧入部30によって孔5hから押し出された貫通ピン7を切欠22内に誘導することができる。これにより、貫通ピン7を孔5hすなわち弁体連結部5及びハンドルレバー6から抜き出すことができ、ハンドルレバー6を弁体連結部5から取り外すことができる。したがって、ハンドルレバー着脱装置10によれば、バタフライ弁1におけるハンドルレバー6を、連結機構40を操作することにより、安全かつ容易に取り外すことができる。
【0060】
一方、貫通ピン7が挿入されていない孔5hに対し貫通ピン7が位置決めされている場合には、ピン圧入部30が保持部20に接近することに伴い、貫通ピン7が孔5h内に押圧される。これにより、ハンドルレバー6は、弁体連結部5に取り付けられる。したがって、ハンドルレバー着脱装置10によれば、バタフライ弁1におけるハンドルレバー6を、連結機構40を操作することにより、安全かつ容易に取り付けることができる。
【0061】
また、ハンドルレバー着脱装置10によれば、ピン圧入部30は孔5hの深さ以上の長さを有しているので、ピン圧入部30が孔5hに完全に入り込むまで貫通ピン7を押圧すれば、貫通ピン7を確実に孔5hから抜き出すことができる。
【0062】
また、ハンドルレバー着脱装置10によれば、連結機構40は、ネジ部回転ハンドル44に与えられた回転力を第2の回転軸AR2の延びる方向の押圧力に変換することができる。そして、連結機構40のネジ部43に接続されたピン圧入部30は、第2の回転軸AR2の延びる方向の押圧力を与えられる。
【0063】
また、ハンドルレバー着脱装置10によれば、ピン圧入部30は、突出部32が貫通ピン7の端面の位置決め用の孔7hに挿入されることで、突出部32で貫通ピン7の端面からずれることが防止され、押圧部31で貫通ピン7を押圧することができる。
【0064】
また、ハンドルレバー着脱装置10のピン圧入部30によってバタフライ弁1の弁体連結部5及びハンドルレバー6に設けられた孔5hから第2の回転軸AR2の延びる方向に押し出された貫通ピン7は、保持部20の切欠22によって第2の回転軸AR2の延びる方向の移動を許容されている。このとき、仮に貫通ピン7が切欠22の位置から接触面21寄りにずれて押し出されたとしても、ハンドルレバー着脱装置10によれば、接触面21から切欠22に向かって延び第2の回転軸AR2に対して傾斜する傾斜面23に貫通ピン7が誘導されて保持部20の切欠22内に移動し、作業者は貫通ピン7の抜出作業を継続することができる。したがって、ハンドルレバー着脱装置10によれば、貫通ピン7の抜出作業の作業性を向上させることができる。
【0065】
上記の実施形態の説明では、ピン圧入部30がネジ部43に固定されて着脱不可能である例について説明したが、ピン圧入部30は、ネジ部43に着脱可能に接続されることが好ましい。なぜなら、貫通ピン7はバタフライ弁1毎に太さや長さが異なる場合があり、ピン圧入部30は、押圧する対象である貫通ピン7に応じた太さや長さを有するものに交換されてハンドルレバー着脱装置10に用いられるべきものであるからである。
【0066】
ピン圧入部30の着脱可能な接続形態を以下に説明する。
【0067】
ハンドルレバー着脱装置10は、ピン圧入部材35を備える。ピン圧入部材35は、
図9(a)及び(b)に示す第1変形例のように、ピン圧入部30と、後述するナット部45に取り付けられる部分と、を有する。ピン圧入部30は、ナット部45の保持部20に向く端面を基準として保持部20側に位置する部分である。前記ナット部45に取り付けられる部分は、ナット部45の保持部20に向く端面を基準として連結機構40側に位置する部分である。前記ナット部45に取り付けられる部分は、ピン圧入部30と同じ径を有する部分と、この部分よりも拡径された拡径部33と、拡径部33に接続されネジ部43の先端に形成された孔43hに挿入される基部34と、を有する。基部34は、ピン圧入部30よりも大きく、かつ拡径部33よりも小さい径を有している。なお、
図9(a)及び(b)に示すピン圧入部30の押圧部の長さ及び太さは、
図5ないし
図8に示すピン圧入部30の長さ及び太さと等しい。
【0068】
そして、ハンドルレバー着脱装置10は、
図9(c)又は(d)に示すように、
図9(a)及び(b)のピン圧入部30と太さ及び長さの少なくとも一方が異なる第2のピン圧入部30を有する第2のピン圧入部材35を更に備える。
図9(c)には、
図9(a)及び(b)の第1変形例に係るピン圧入部30よりも押圧部の長さが大きい第2変形例に係るピン圧入部30が示されている。
図9(d)には、
図9(a)及び(b)のピン圧入部30よりも押圧部の長さが小さい第3変形例に係るピン圧入部30が示されている。ハンドルレバー着脱装置10を用いて貫通ピン7を挿入する際には、
図9(d)に示すような押圧部の短いピン圧入部30が好ましい。
【0069】
さらに、ハンドルレバー着脱装置10の連結機構40は、ピン圧入部30を択一的に取り付け及び取り外し可能となるようにネジ部43に螺合可能なナット部45を更に有する。ナット部45には、
図9(e)に示すように、ピン圧入部材35の前記ナット部45に取り付けられる部分の先端部が挿入される第1の孔45h1と、ピン圧入部30の拡径部33が挿入される第2の孔45h2と、ネジ部43に螺合される第3の孔45h3と、が形成されている。
【0070】
そして、押圧する対象である貫通ピン7に応じて適宜に選択されたピン圧入部30を有するピン圧入部材35は、
図9(a)に示すように、前記ナット部45に取り付けられる部分の先端部及び拡径部33がナット部45に挿入した状態で、ナット部45がネジ部43に螺合することにより、ネジ部43との間で拡径部33を挟み込む。これにより、ピン圧入部30は、ネジ部43に取り付けられる。
【0071】
上記のピン圧入部30のネジ部43に対する接続形態に係るハンドルレバー着脱装置10によれば、ナット部45によってピン圧入部30をネジ部43に着脱することができるので、ピン圧入部30を長さ及び太さの少なくとも一方が異なる第2のピン圧入部30に容易に交換することが可能となる。
【0072】
ハンドルレバー着脱装置10は、バタフライ弁1に装着される際に、自らが位置決め部材を有していて、その位置決め部材によって適切な位置に位置決めされるものであってもよい。
【0073】
具体的には、
図10に示すように、ハンドルレバー着脱装置10は、貫通ピン7の端面に形成された位置決め用の孔7hに挿入可能な被挿入部51を有する位置決め部材50と、位置決め部材50が第2の回転軸AR2の延びる方向にピン圧入部30と対向し、かつ、位置決め部材50がピン圧入部30による押圧力を貫通ピン7を介して受けることにより位置決め部材50が支持片5aから離れる方向に移動可能となるように、連結機構40に対して位置決め部材50を連結する可動連結機構60と、を更に備えていてもよい。
【0074】
位置決め部材50は、位置決め部材本体部52と、位置決め部材本体部52の先端に設けられる被挿入部51と、を有する。そして、位置決め部材本体部52は、弁体連結部5及びハンドルレバー6に設けられた孔5hに挿入可能な太さを有する。
【0075】
可動連結機構60は、連結機構40から第2の回転軸AR2の延びる方向であってピン圧入部30の反対側に延びる第1腕部と第1腕部の先端から第1腕部の延びる方向に交差する方向であって保持部20側に延びる第2腕部とを有するアーム部61と、アーム部61からピン圧入部30に向かって第2の回転軸AR2の延びる方向に延び弾性を有する弾性部62と、を有する。そして、弾性部62の先端に位置決め部材50が、第2の回転軸AR2の延びる方向に直列に並んだ状態で、接続されている。そして、位置決め部材50は、保持部20の切欠22を通るように、配置されている。また、弾性部62は第2の回転軸AR2の延びる方向に伸縮可能である。また、弾性部62の自然長は位置決め部材本体部52の先端に設けられる被挿入部51が孔5hを通り出てネジ部43側にまで位置することとなるような長さである。そして、弾性部62は保持部20の接触面21から貫通ピン7の長さに相当する距離だけアーム部61側に進んだ位置に被挿入部51が位置することを許容するバネ定数を有する。
【0076】
位置決め部材50及び可動連結機構60を更に備えるハンドルレバー着脱装置10によれば、位置決め部材50の被挿入部51を貫通ピン7の孔7hに挿入することによって、ハンドルレバー着脱装置10と貫通ピン7とを相互に位置決めすることができる。
【0077】
さらに、可動連結機構60により、位置決め部材50がピン圧入部30による押圧力を貫通ピン7を介して受けることにより弾性部62の弾性力に抗して位置決め部材50が弁体連結部5の支持片5aから離れる方向に移動することによって、貫通ピン7の保持部20への移動を許容することができる。したがって、ハンドルレバー着脱装置10によれば、貫通ピン7と弁体連結部5及びハンドルレバー6とハンドルレバー着脱装置10の保持部20とが相互に位置決めされた状態を維持しながら、貫通ピン7の第2の回転軸AR2の延びる方向への移動を許容することができる。
【0078】
さらに、位置決め部材50及び可動連結機構60を更に備えるハンドルレバー着脱装置10によれば、弁体連結部5及びハンドルレバー6に設けられた孔5hへの貫通ピン7の挿入時において、孔5hに挿入可能な太さを有する位置決め部材50が孔5hに予め挿入されることにより、ハンドルレバー着脱装置10は、弁体連結部5及びハンドルレバー6に対して位置決めされる。この状態において、位置決め部材50の被挿入部51が貫通ピン7の端面に形成された位置決め用の孔7hに挿入されることにより、貫通ピン7がハンドルレバー着脱装置10に対して位置決めされる。これらのことにより、貫通ピン7と弁体連結部5及びハンドルレバー6とハンドルレバー着脱装置10とが相互に位置決めされた状態となり、この状態において、連結機構40により、ピン圧入部30がハンドルレバー着脱装置10の保持部20に対して第2の回転軸AR2の延びる方向に移動することによって、貫通ピン7を弁体連結部5及びハンドルレバー6に設けられた孔5hにずれることなく挿入することができる。さらに、このとき、可動連結機構60により、位置決め部材50がピン圧入部30による押圧力を貫通ピン7を介して受けることにより位置決め部材50が弁体連結部5の支持片5aから離れる方向に移動することによって、保持部20へ近づく貫通ピン7の移動を許容することができる。したがって、位置決め部材50及び可動連結機構60を更に備えるハンドルレバー着脱装置10によれば、貫通ピン7と弁体連結部5及びハンドルレバー6とハンドルレバー着脱装置10の保持部20とが相互に位置決めされた状態を維持しながら、貫通ピン7の挿入を行うことができる。
【0079】
上記のハンドルレバー着脱装置の変形例では、貫通ピン7からの力を受けて位置決め部材50が後退するように位置決め部材50が可動連結機構60により連結機構40に連結され、これにより、貫通ピン7と弁体連結部5及びハンドルレバー6とハンドルレバー着脱装置10とにおける相互の位置決めを図っている。一方、上記のハンドルレバー着脱装置の実施形態においても、位置決め部材50を作業者が用いて、貫通ピン7と弁体連結部5及びハンドルレバー6とハンドルレバー着脱装置10とにおける相互の位置決めを図ることができる。具体的に、ハンドルレバー着脱装置10による貫通ピン7の挿抜過程において、位置決め部材50を作業者が手で持った状態で、貫通ピン7と弁体連結部5及びハンドルレバー6とハンドルレバー着脱装置10とにおける相互の位置決めを行う。次いで、ピン圧入部30が貫通ピン7を押圧するための操作を行い、貫通ピン7からの力を受けたときに位置決め部材50を後退させるようにしながら、作業者はハンドルレバー着脱装置10を操作してもよい。
【符号の説明】
【0080】
1 バタフライ弁
1A 流体流路
2 弁箱
3 弁体
4 シートリング
5 弁体連結部
5a 一対の支持片
5h 孔
6 ハンドルレバー
7 貫通ピン
7h 孔
10 ハンドルレバー着脱装置
20 保持部
21 接触面
22 切欠
23 傾斜面
30 ピン圧入部
31 押圧部
32 突出部
40 連結機構
41 ネジ穴部
41h ネジ穴
42 本体部
43 ネジ部
44 ネジ部回転ハンドル
45 ナット部
50 位置決め部材
51 被挿入部
60 可動連結機構
AR1 第1の回転軸
AR2 第2の回転軸