(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022141252
(43)【公開日】2022-09-29
(54)【発明の名称】昇圧回路
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20220921BHJP
【FI】
H02M3/155 H
H02M3/155 F
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021041472
(22)【出願日】2021-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(74)【代理人】
【識別番号】100181124
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 壮男
(72)【発明者】
【氏名】阿部 太亮
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 武輝
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 匠
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA04
5H730AS04
5H730BB14
5H730EE59
5H730FD01
5H730FG05
(57)【要約】
【課題】高い精度で出力電圧を設定値に一致させることができる昇圧回路を提供する。
【解決手段】昇圧回路は、入力電圧を昇圧し、フィードバック端子に印加される電圧と内部のフィードバック基準電圧とに基づいて出力電圧が設定値になるようにフィードバック制御する昇圧コンバータと、フィードバック基準電圧よりも誤差が小さな基準電圧を生成する電源部と、昇圧コンバータの出力電圧に応じた電圧と基準電圧とを比較し、比較結果を示す制御信号を昇圧コンバータのフィードバック端子に出力する制御部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧を昇圧し、フィードバック端子に印加される電圧と内部のフィードバック基準電圧とに基づいて出力電圧が設定値になるようにフィードバック制御する昇圧コンバータと、
前記フィードバック基準電圧よりも誤差が小さな基準電圧を生成する電源部と、
前記昇圧コンバータの前記出力電圧に応じた電圧と前記基準電圧とを比較し、比較結果を示す制御信号を前記昇圧コンバータの前記フィードバック端子に出力する制御部と、
を備える昇圧回路。
【請求項2】
前記出力電圧を抵抗分圧し、抵抗分圧した電圧を前記フィードバック端子に出力する第1分圧部を備える請求項1記載の昇圧回路。
【請求項3】
前記制御部は、前記出力電圧を抵抗分圧することで前記出力電圧に応じた電圧を生成する第2分圧部と、
前記第2分圧部によって生成された電圧と前記基準電圧とを比較するコンパレータと、
を備える請求項1又は請求項2に記載の昇圧回路。
【請求項4】
前記コンパレータの出力端子は、前記フィードバック端子に電気的に接続される、請求項3記載の昇圧回路。
【請求項5】
前記制御部は、前記コンパレータの出力端子に接続された制御端子と、前記出力電圧が印加される入力端子と、前記フィードバック端子に接続される出力端子とを有し、前記制御端子に印加される電圧によって前記入力端子と前記出力端子との間が開状態又は閉状態になるスイッチング素子をさらに備える、
請求項3記載の昇圧回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇圧回路に関する。
【背景技術】
【0002】
昇圧回路は、入力電圧を所望の出力電圧に昇圧する回路である。例えば、プラントにおいては、5[V]の電源電圧を、フィールド機器を動作させるために必要な電圧である25[V]に昇圧するために昇圧回路が用いられる。以下の特許文献1には、電源電圧を昇圧し、昇圧した出力電圧をフィードバック制御によって設定値に制御する昇圧コンバータが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、昇圧コンバータは、上述したフィードバック制御を行う制御ICを有するものが多い。このような昇圧コンバータでは、制御ICのフィードバック端子(FB端子)に入力される電圧と、制御ICの内部の基準電圧であるフィードバック基準電圧とに基づいて、出力電圧が設定値になるようにフィードバック制御が行われる。しかしながら、このような昇圧コンバータにおいて、フィードバック基準電圧の誤差が大きい場合には、出力電圧が設定値から大きくずれてしまうという問題がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、高い精度で出力電圧を設定値に一致させることができる昇圧回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様による昇圧回路は、入力電圧を昇圧し、フィードバック端子に印加される電圧と内部のフィードバック基準電圧とに基づいて出力電圧が設定値になるようにフィードバック制御する昇圧コンバータと、前記フィードバック基準電圧よりも誤差が小さな基準電圧を生成する電源部と、前記昇圧コンバータの前記出力電圧に応じた電圧と前記基準電圧とを比較し、比較結果を示す制御信号を前記昇圧コンバータの前記フィードバック端子に出力する制御部と、を備える。
【0007】
また、本発明の一態様による昇圧回路は、前記出力電圧を抵抗分圧し、抵抗分圧した電圧を前記フィードバック端子に出力する第1分圧部を備える。
【0008】
また、本発明の一態様による昇圧回路は、前記制御部が、前記出力電圧を抵抗分圧することで前記出力電圧に応じた電圧を生成する第2分圧部と、前記第2分圧部によって生成された電圧と前記基準電圧とを比較するコンパレータと、を備える。
【0009】
また、本発明の一態様による昇圧回路は、前記コンパレータの出力端子が、前記フィードバック端子に電気的に接続される。
【0010】
また、本発明の一態様による昇圧回路は、前記制御部が、前記コンパレータの出力端子に接続された制御端子と、前記出力電圧が印加される入力端子と、前記フィードバック端子に接続される出力端子とを有し、前記制御端子に印加される電圧によって前記入力端子と前記出力端子との間が開状態又は閉状態になるスイッチング素子をさらに備える。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明によれば、高い精度で出力電圧を設定値に一致させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1の実施形態による昇圧回路の要部構成を示すブロック図である。
【
図2】第1の実施形態による電源投入後の出力電圧Vout、第2電圧Vb、電圧Vc及び電圧Vdの各電圧波形を示す図である。
【
図3】第1の実施形態による昇圧回路の動作を示す図である。
【
図4】第2の実施形態による昇圧回路の要部構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態による記憶装置について詳細に説明する。以下では、まず本発明の実施形態の概要について説明し、続いて本発明の各実施形態の詳細について説明する。
【0014】
〔概要〕
本発明の実施形態は、出力電圧Voutを高い精度で設定値Vsに一致させることができる昇圧回路を提供するものである。具体的には、昇圧回路に設けられた昇圧コンバータ内にあるフィードバック基準電圧の誤差があっても、出力電圧Voutを高い精度で設定値Vsに一致させるものである。
【0015】
昇圧コンバータには、出力電圧Voutを設定値Vsとするためにフィードバック制御を行う制御ICを有するものがある。この制御ICは、フィードバック端子を有しており、フィードバック端子に入力される出力電圧Voutに応じた電圧と、制御ICの内部にある基準電圧であるフィードバック基準電圧Vrefと、に基づいて、出力電圧Voutが設定値Vsになるようにフィードバック制御を行う。
【0016】
一例として、フィードバック端子に入力される電圧は、出力電圧Voutが2つの抵抗器R1,R2で抵抗分圧されることで生成される。この場合には、制御ICによって制御される出力電圧Voutは、以下に示す式(1)で表される。
【0017】
【0018】
出力電圧Voutを設定値Vsに維持するために、抵抗器R1及び抵抗器R2には高精度の抵抗器が用いられる。しかしながら、抵抗分圧の抵抗器R1,R2に高精度の抵抗器が用いられたとしても、フィードバック基準電圧Vrefの誤差が大きい場合には、出力電圧Voutが大きく変動してしまう。その結果、出力電圧Voutが設定値Vsからずれてしまい、出力電圧Voutを設定値Vsに維持することができない場合がある。
【0019】
また、制御ICには、コントロール端子(CTRL端子)を有するものがある。例えば、コントロール端子にPWM(pulse width modulation)信号が入力され、制御ICは、このPWM信号のDuty比に基づいて、出力電圧Voutの制御を行う。一例として、出力電圧Voutは、フィードバック基準電圧Vrefに対してPWM信号のDuty比を乗算した電圧(以下、「フィードバック電圧Vfb」という。)を用いて、以下に示す式(2)で表される。
【0020】
【0021】
しかしながら、この場合には、出力電圧VoutをADC等で測定し、測定した出力電圧を設定値Vsに維持するためのPWM信号のDuty比を計算しなければならず、制御処理が複雑化する。ここで、PWM信号のDuty比に基づく出力電圧Voutの制御が行われれば、フィードバック基準電圧Vrefの誤差が補正されるため、出力電圧Voutを設定値Vsに維持することができる。しかしながら、フィードバック基準電圧Vrefの誤差が温度によって変化する場合(温度ドリフトがある場合)には、出力電圧Voutを随時ADC等で測定してPWM信号のDuty比を計算しなければならず、制御処理がさらに複雑化してしまう。
【0022】
本発明の実施形態では、フィードバック基準電圧Vrefよりも誤差が低い基準電圧を生成する電源部を有し、昇圧コンバータの出力電圧または出力電圧に基づく電圧と、基準電圧と、を比較し、比較結果を示す制御信号をフィードバック端子に出力する制御部と、を備える。これにより、本発明の実施形態の昇圧回路は、フィードバック基準電圧Vrefの誤差に関わらず、出力電圧Voutが設定値Vsになるように高精度に制御することができる。
【0023】
〔第1の実施形態〕
図1は、第1の実施形態の昇圧回路1の要部構成を示すブロック図である。
図1に示すように、昇圧回路1は、例えば、昇圧コンバータ10及び制御回路20を備える。尚、以下に説明する「接続」とは、電気的な接続である。電気的な接続とは、電力や電気信号が直接的又は間接的に伝達可能であることをいう。電気的な接続は、ケーブル、抵抗、コンデンサ、ダイオード、スイッチなどの部品を介した接続であってもよい。
【0024】
昇圧コンバータ10は、コイル(インダクタ)11、ダイオード12、第1分圧部13、制御IC14、を備える。
【0025】
コイル11は、一端が電源電圧Vinを出力する外部電源に接続され、他端がダイオード12のアノードに接続される。ダイオード12のカソードは、第1分圧部13に接続される。
【0026】
第1分圧部13は、ダイオード12のカソードと、グランド(GND)との間に接続される。第1分圧部13は、昇圧コンバータ10の出力電圧Voutを抵抗分圧し、抵抗分圧した電圧(以下、「第1電圧」という。)を制御端子ICのフィードバック端子P3に出力する。例えば、第1分圧部13は、互いに直列接続された抵抗器R1と抵抗器R2とを有する。
【0027】
制御IC14は、制御用電源端子P1(Vin)、スイッチング端子P2(SW)、フィードバック端子P3(FB)、グランド端子P4(GND)、電圧誤差検出補償用端子P5(COMP)、コントロール端子P6(CTRL)を備える。
【0028】
制御用電源端子P1には、電源電圧Vinが入力される端子である。制御IC14は、制御用電源端子P1に入力された電源電圧Vinによって動作する。スイッチング端子P2には、コイル11の他端に接続される。フィードバック端子P3には、抵抗器R1及び抵抗器R2との接続点N1が接続され、第1分圧部13の抵抗分圧によって生成された第1電圧が入力される。
【0029】
グランド端子P4は、グランドに接続される。電圧誤差検出補償用端子P5には、コンデンサ15を介してグランドが接続される。コントロール端子P6は、制御用電源端子P1に接続される。
【0030】
本実施形態の制御IC14は、スイッチング端子P2とグランドとの間をオンオフするスイッチング端子を備える。制御IC14は、出力電圧Voutを設定値Vsに近づけるためのフィードバック制御を行う。設定値Vsは、例えば、負荷100に印加すべき電圧である。負荷100は、例えば、フィールド機器などの電子機器である。フィールド機器は、例えば、渦流量計、温度センサ、流量制御弁や開閉弁等のバルブ機器、ファンやモータ等のアクチュエータ機器、その他のプラントの現場に設置される機器であって良い。
【0031】
制御IC14は、フィードバック端子P3に入力される電圧と、制御IC14の内部にあるフィードバック基準電圧Vrefと、に基づいて、制御IC14内のスイッチング素子をオンオフすることで出力電圧Voutが設定値Vsになるようにフィードバック制御を行う。昇圧コンバータ10は、制御IC14内のスイッチング素子がオンすることでコイル11に電気エネルギーを蓄積し、そのスイッチング素子をオフすることでコイル11に蓄積した電気エネルギーを放電する。これにより、昇圧コンバータ10は、電源電圧Vinを昇圧して出力電圧Voutを生成することができる。
【0032】
制御回路20は、例えば、電源部21及び制御部22を備える。
【0033】
電源部21は、基準電圧Vxを生成する。この基準電圧Vxの誤差は、フィードバック基準電圧Vrefの誤差より小さい。例えば、電源部21は、電源電圧Vinに基づいて基準電圧Vxを生成してもよい。
【0034】
制御部22は、昇圧コンバータ10の出力電圧Voutまたは出力電圧Voutに基づく電圧と、基準電圧Vxとを比較し、比較結果を示す制御信号を昇圧コンバータ10のフィードバック端子P3に出力する。
【0035】
制御部22は、第2分圧部30、コンパレータ31、及び抵抗器R3を備える。
【0036】
第2分圧部30は、出力電圧Voutを抵抗分圧することで出力電圧Voutに基づく電圧(以下、「第2電圧」という。)Vdを生成する。例えば、第2分圧部30は、互いに直列接続された抵抗器R3と抵抗器R4とを有する。
【0037】
コンパレータ31は、第2分圧部30によって生成された第2電圧Vbと、電源部21によって生成された基準電圧Vxとを比較する。そして、コンパレータ31は、第2電圧Vbと基準電圧Vxとの比較結果を出力端子から出力する。例えば、コンパレータ31の正極入力端子には、抵抗器R3と抵抗器R4との接続点N2に接続され、第2電圧Vbが入力される。コンパレータ31の負極入力端子には、電源部21が接続され、基準電圧Vxが入力される。コンパレータ31の出力端子は、抵抗器R3を介してフィードバック端子P3に接続される。
図1に示す例では、コンパレータ31の正電源の端子がダイオード12のカソードに接続され、コンパレータ31の負電源の端子がグランドに接続される。
【0038】
例えば、コンパレータ31は、基準電圧Vxが第2電圧Vbを超えた場合には、Hレベル(例えば、正電源の電圧)の信号をフィードバック端子P3に出力する。例えば、コンパレータ31は、基準電圧Vxが第2電圧Vb以下である場合には、Lレベル(例えば、負電源の電圧)の制御信号をフィードバック端子P3に出力する。なお、コンパレータ31の出力電圧を電圧Vcと称し、フィードバック端子P3に入力される電圧を電圧Vdと称する。
【0039】
以下、電源投入後の昇圧回路1の動作について、
図2及び
図3を用いて説明する。
図2は、第1の実施形態に係る電源投入後の出力電圧Vout、第2電圧Vb、電圧Vc及び電圧Vdの各電圧波形を示す。
図3は、第1の実施形態による昇圧回路の動作を示す。昇圧回路1に電源電圧Vinが投入されると、昇圧コンバータ10は、出力電圧Voutが以下の式(3)で表される設定値になるように動作する。なお、(R2//R3)は、抵抗器R2と抵抗値R3とが並列接続された際の合成抵抗を示す。
【0040】
【0041】
また、昇圧回路1に電源電圧Vinが投入されると、制御回路20は、出力電圧Voutが以下の式(4)で表される設定値Vsになるような制御信号をフィードバック端子P3に出力する。
【0042】
【0043】
ここで、昇圧回路1の動作には、大別して第1の動作、第2の動作、及び第3の動作の3つの動作がある。まず、第1の動作について説明する。
【0044】
(第1の動作)
第1の動作は、出力電圧Voutが設定値Vsよりも低い期間(期間T1)での動作である(Vout<Vs)。出力電圧Voutが設定値Vsよりも低い場合においては、第2電圧Vbが基準電圧Vxよりも小さくなる。そのため、コンパレータ31は、負電源の電圧レベルの電圧Vcを出力する。その結果、フィードバック端子P3には、以下の式(5)に示す制御信号の電圧Vdがフィードバック端子P3に印加される。
【0045】
【0046】
式(5)に示す電圧Vdは、フィードバック基準電圧Vrefよりも低い値である。そのため、制御IC14は、電圧Vdとフィードバック基準電圧Vrefとの誤差が無くなるように、出力電圧Voutを上昇させる動作を行う。
【0047】
(第2の動作)
第2の動作は、出力電圧Voutが設定値Vsと同一の電圧値である期間(期間T2)での動作である(Vout=Vs)。出力電圧Voutが設定値Vsと同一の電圧値である場合においては、第2電圧Vbは基準電圧Vxと同一の電圧値となる。この場合には、フィードバック端子P3に印加される電圧Vdは、フィードバック基準電圧Vrefと同一となるため、制御IC14は、現状の出力電圧Voutを維持する動作を行う。
【0048】
(第3の動作)
第3の動作は、出力電圧Voutが設定値Vsよりも高い期間(期間T3)での動作である(Vout>Vs)。出力電圧Voutが設定値Vsよりも高い場合においては、第2電圧Vbが基準電圧Vxよりも高くなる。そのため、コンパレータ31は、正電源の電圧レベルの電圧Vcを出力する。その結果、フィードバック端子P3には、以下の式(6)に示す制御信号の電圧Vdがフィードバック端子P3に印加される。
【0049】
【0050】
式(6)に示す電圧Vdは、フィードバック基準電圧Vrefよりも高い値である。そのため、制御IC14は、電圧Vdとフィードバック基準電圧Vrefとの誤差が無くなるように、出力電圧Voutを下げる動作を行う。
【0051】
以上の通り、本実施形態の昇圧回路1は、電源電圧Vinを昇圧し、昇圧した出力電圧Voutをフィードバック制御により設定値Vsに制御する昇圧コンバータ10と、基準電圧Vxを生成する電源部21と、昇圧コンバータ10の出力電圧Voutまたは出力電圧Voutに基づく電圧(例えば、第2電圧Vb)と、基準電圧Vxと、を比較し、比較結果を示す制御信号を昇圧コンバータ10のフィードバック端子Vbに出力する制御部22と、を備える。これにより、フィードバック基準電圧Vrefの誤差が大きい場合において、出力電圧Voutが設定値Vsから大きくずれてしまうことを抑制することができる。
【0052】
〔第2の実施形態〕
図4は、本発明の第2の実施形態による昇圧回路の要部構成を示すブロック図である。尚、
図4においては、
図1に示す構成と同様の構成については同じ符号を付してある。尚、
図4に示す通り、本実施形態の昇圧回路2は、
図1に示す昇圧回路1と比較して、コンパレータ31の出力にスイッチング素子32が追加された構成である。
【0053】
ここで、前述した第1の実施形態の昇圧回路1では、コンパレータ31の負電源にマイナス電源を使用する場合、起動時にフィードバック端子P3にマイナス電圧が印加されてしまう場合がある。本実施形態の昇圧回路1は、スイッチング素子32をコンパレータ31の出力に追加して電圧Vdを常にプラスの電圧レベルに維持することでコンパレータ31の負電源にマイナス電源が使用される場合であっても、フィードバック端子P3にマイナス電圧が印加されてしまうことを防止する。
【0054】
昇圧回路2は、昇圧コンバータ10及び制御回路20Aを備える。制御回路20Aは、例えば、電源部21及び制御部22Aを備える。制御部22Aは、例えば、第2分圧部30、コンパレータ31、スイッチング素子32、抵抗器R3及び抵抗器R4を備える。
【0055】
スイッチング素子32は、コンパレータ31の出力端子に接続された制御端子と、出力電圧Voutが印加される入力端子と、フィードバック端子P3に接続される出力端子とを有する。スイッチング素子32は、制御端子に印加される電圧によって入力端子と出力端子との間が開状態(オフ)又は閉状態(オン)になる。例えば、スイッチング素子は、PchのMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)である。この場合には、制御端子がゲート端子であり、入力端子がソース端子であり、出力端子がドレイン端子である。出力端子は、抵抗器R4を介してグランドに接続される。
【0056】
なお、昇圧回路2の動作は、第1の実施形態と比較して、式(5)及び式(6)に抵抗器R4の抵抗値の成分が含まれる点で相違し、その他の部分においては同様である。
【0057】
以上の通り、本実施形態の昇圧回路2は、第1の実施形態の昇圧回路1にスイッチング素子32及び抵抗器R4を設けた点が異なるだけで、基本的な構成は、第1の実施形態の昇圧回路1と同様である。このため、本実施形態においても、フィードバック基準電圧Vrefの誤差が大きい場合において、出力電圧Voutが設定値Vsから大きくずれてしまうことを抑制することができる。また、コンパレータ31の負電源にマイナス電源が使用される場合であっても、第1の動作時などにおいて、フィードバック端子P3にマイナス電圧が印加されることを防止することができる。
【0058】
以上、本発明の実施形態による昇圧回路について説明したが、本発明は上記実施形態に制限されることなく本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、第1の実施形態の昇圧回路1及び第2の実施形態の昇圧回路2では、コンパレータ31の正電源に、電源電圧Vinを用いてもよい。
【0059】
また、第2の実施形態では、コンパレータ31の負電源にマイナス電源を用いたが、第1の実施形態と同様に負電源の端子がグランドに接続されてもよい。
【0060】
また、第1の実施形態の昇圧回路1及び第2の実施形態の昇圧回路2において、コンパレータ31は、ヒステリシスコンパレータであってもよいし、オペアンプであってもよい。
【0061】
また、第1の実施形態の昇圧回路1及び第2の実施形態の昇圧回路2では、第2分圧部30を備えなくてもよい。この場合には、コンパレータ31は、出力電圧Voutと、電源部21によって生成された基準電圧Vxとを比較することになる。
【符号の説明】
【0062】
1,2 昇圧回路
10 昇圧コンバータ
13 第1分圧部
14 制御IC
20 制御回路
21 電源部
22,22A 制御部
30 第2分圧部
31 コンパレータ
32 スイッチング素子