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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022141272
(43)【公開日】2022-09-29
(54)【発明の名称】リモコン
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20220921BHJP
【FI】
H04Q9/00 301D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021041497
(22)【出願日】2021-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼溝 将輝
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智之
(72)【発明者】
【氏名】長江 悠介
(72)【発明者】
【氏名】中島 幸祐
(72)【発明者】
【氏名】前田 和茂
(72)【発明者】
【氏名】玉井 淳基
(72)【発明者】
【氏名】宇都宮 福郎
【テーマコード(参考)】
5K048
【Fターム(参考)】
5K048AA14
5K048BA14
5K048DA01
5K048DC01
5K048EB02
5K048FB08
5K048FB15
(57)【要約】
【課題】住宅設備機器の設定値を利用者に合わせて変更可能なリモコンを提供する。
【解決手段】リモコン1は、運転状態を設定する設定値を記憶する第1記憶部21と、当該設定値に応じた運転状態を住宅設備機器2に指示する指示部22と、近距離無線通信により通信する通信部24と携帯端末3との通信状況を判定する通信状況判定部25と、通信状況判定部25の判定結果に基づいて、通信部24における通信圏内から通信圏外への携帯端末3の第1移動と、当該通信圏外へ携帯端末3が移動してから通信部24における通信圏外から通信圏内への携帯端末3の第2移動とを検出する移動検出部26と、第1移動と第2移動とが検出された場合に、携帯端末3から取得された運転状態を変更可能な設定候補値を記憶する第2記憶部28とを備え、指示部22は、第2記憶部28に設定候補値が記憶されている場合は、設定候補値に応じた運転状態を住宅設備機器2に指示する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅設備機器の運転状態を変更可能なリモコンであって、
リモコン操作に応じて設定された前記運転状態を設定する設定値を記憶する第1記憶部と、
前記住宅設備機器に対して、前記第1記憶部に記憶された前記設定値に応じた前記運転状態を前記住宅設備機器に指示する指示部と、
近距離無線通信を介した通信を可能とする携帯端末を設定するペアリング設定部と、
前記携帯端末と前記近距離無線通信により通信する通信部と、
前記通信部による前記携帯端末との通信状況を判定する通信状況判定部と、
前記通信状況判定部の判定結果に基づいて、前記通信部における通信圏内から通信圏外への前記携帯端末の第1移動と、当該通信圏外へ前記携帯端末が移動してから前記通信部における前記通信圏外から前記通信圏内への前記携帯端末の第2移動とを検出する移動検出部と、
前記第1移動と前記第2移動とが検出された場合に、前記第1移動及び前記第2移動を行った前記携帯端末から前記運転状態を変更可能な設定候補値を取得する設定候補値取得部と、
前記設定候補値取得部により取得された前記設定候補値を記憶する第2記憶部と、を備え、
前記指示部は、前記第2記憶部に前記設定候補値が記憶されている場合は、前記設定候補値に応じた前記運転状態を前記住宅設備機器に指示するリモコン。
【請求項2】
前記第1記憶部は、前記設定候補値取得部により前記設定候補値が取得された時点において、前記第1記憶部に記憶されている前記設定値を記憶しておく請求項1に記載のリモコン。
【請求項3】
前記指示部は、前記設定候補値に応じた前記運転状態を前記住宅設備機器に指示した後、前記携帯端末の前記第1移動が検出された場合は、前記第1記憶部に記憶している前記設定値に応じた前記運転状態を前記住宅設備機器に指示する請求項2に記載のリモコン。
【請求項4】
前記指示部は、前記第1移動と前記第2移動とが検出された場合において、前記携帯端末に対応する前記設定候補値が前記第2記憶部に記憶されている時は、当該第2記憶部に記憶されている前記設定候補値に応じた前記運転状態を前記住宅設備機器に指示する請求項1から3のいずれか一項に記載のリモコン。
【請求項5】
前記設定値及び前記設定候補値のうち、現在の前記運転状態に応じた一方を表示する表示部を備える請求項1から4のいずれか一項に記載のリモコン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅設備機器の運転状態を変更可能なリモコンに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅設備機器のリモコン等に無線LAN(Local Area Network)モジュールを組み込んで無線LANルータと接続し、外部のサーバや携帯端末(例えばスマートフォン)のアプリケーションと接続したり、BLUETOOTH(登録商標)モジュールを組み込んで携帯端末のアプリケーションと接続することにより、住宅設備機器の遠隔操作やエネルギー使用量を視認可能とするサービスが普及している。このようなサービスを実現する技術として例えば下記に出典を示す特許文献1に記載のものがある。
【0003】
特許文献1には、浴室システムが記載されている。この浴室システムは、浴室内に設置された浴槽に湯水を供給する湯張り運転を実行可能な給湯装置と、浴槽内壁に向けて湯水又は湯水に洗剤を混合した洗浄液を散布して浴槽内壁を洗浄する浴槽洗浄運転を実行可能な浴槽洗浄装置と、給湯装置及び浴槽洗浄装置の運転制御を行う制御部とを有する。また、この浴室システムでは、湯張り運転を浴槽洗浄運転の完了後に続いて実行する運転モードが設定されており、この運転モードが開始された場合に、制御部は浴槽洗浄運転の実行中に、制御部と携帯情報端末との間の無線通信の強度から推定した無線通信の通信距離が所定の閾値を超えたとき、浴槽洗浄運転の完了後の湯張り運転を待機させるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-176761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術は、住宅設備機器と無線で接続される携帯情報端末との通信が切断されても浴槽洗浄運転の後に湯張り運転を行うことができるように構成されている。しかしながら、例えばシャワーの給湯温度や浴槽の湯張りや追い焚き温度を変更したい場合には、住宅設備機器を操作可能なリモコンを操作して行う必要があり、改良の余地があった。
【0006】
そこで、住宅設備機器の設定値を利用者に合わせて変更可能なリモコンが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るリモコンの特徴構成は、住宅設備機器の運転状態を変更可能なリモコンであって、リモコン操作に応じて設定された前記運転状態を設定する設定値を記憶する第1記憶部と、前記住宅設備機器に対して、前記第1記憶部に記憶された前記設定値に応じた前記運転状態を前記住宅設備機器に指示する指示部と、近距離無線通信を介した通信を可能とする携帯端末を設定するペアリング設定部と、前記携帯端末と前記近距離無線通信により通信する通信部と、前記通信部による前記携帯端末との通信状況を判定する通信状況判定部と、前記通信状況判定部の判定結果に基づいて、前記通信部における通信圏内から通信圏外への前記携帯端末の第1移動と、当該通信圏外へ前記携帯端末が移動してから前記通信部における前記通信圏外から前記通信圏内への前記携帯端末の第2移動とを検出する移動検出部と、前記第1移動と前記第2移動とが検出された場合に、前記第1移動及び前記第2移動を行った前記携帯端末から前記運転状態を変更可能な設定候補値を取得する設定候補値取得部と、前記設定候補値取得部により取得された前記設定候補値を記憶する第2記憶部と、を備え、前記指示部は、前記第2記憶部に前記設定候補値が記憶されている場合は、前記設定候補値に応じた前記運転状態を前記住宅設備機器に指示する点にある。
【0008】
このような特徴構成とすれば、ペアリングした携帯端末が住宅設備機器の通信部の通信圏内にあれば当該携帯端末の所有者が住宅設備機器の近くにいると推定することができる。また、通信部の通信圏内にある携帯端末から当該携帯端末の所有者が希望する住宅設備機器の運転状態を設定する設定値となる設定候補値を取得し、この設定候補値を新たな設定値として設定するので、所有者が住宅設備機器を利用しようとした際に、所有者が希望する運転状態で住宅設備機器を利用することができる。このように本リモコンによれば、住宅設備機器の設定値を利用者に合わせて自動的に変更することが可能となる。
【0009】
また、前記第1記憶部は、前記設定候補値取得部により前記設定候補値が取得された時点において、前記第1記憶部に記憶されている前記設定値を記憶しておくと好適である。
【0010】
このような構成とすれば、携帯端末から取得した設定候補値で住宅設備機器を運転した場合であっても、元々設定されていた設定値を残しておくことが可能となる。
【0011】
また、前記指示部は、前記設定候補値に応じた前記運転状態を前記住宅設備機器に指示した後、前記携帯端末の前記第1移動が検出された場合は、前記第1記憶部に記憶している前記設定値に応じた前記運転状態を前記住宅設備機器に指示すると好適である。
【0012】
このような構成とすれば、携帯端末から取得した設定候補値で住宅設備機器を運転した場合において、携帯端末が通信部の通信範囲外に出た場合に、新たに設定値を入力することなく元の設定値に応じた運転状態を住宅設備機器に対して指示することが可能となる。
【0013】
また、前記指示部は、前記第1移動と前記第2移動とが検出された場合において、前記携帯端末に対応する前記設定候補値が前記第2記憶部に記憶されている時は、当該第2記憶部に記憶されている前記設定候補値に応じた前記運転状態を前記住宅設備機器に指示すると好適である。
【0014】
このような構成とすれば、携帯端末から取得した設定候補値を保存した後、携帯端末が通信部の通信範囲外に出て、改めて、当該携帯端末が通信部の通信範囲内に入った場合に、新たに携帯端末から設定候補値を取得することなく、保存しておいた設定候補値を設定値として設定することができる。
【0015】
また、前記設定値及び前記設定候補値のうち、現在の前記運転状態に応じた一方を表示する表示部を備えると好適である。
【0016】
このような構成とすれば、現在の設定値や設定候補値を利用者が把握し易くすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】リモコンの構成を示すブロック図である。
図2】リモコン内部メモリへの記憶及びリモコンの表示についての説明図である。
図3】リモコン内部メモリへの記憶及びリモコンの表示についての説明図である。
図4】リモコン内部メモリへの記憶及びリモコンの表示についての説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係るリモコンは、利用者の好みに応じた設定値で住宅設備機器の運転状態を変更することができるように構成されている。以下、本実施形態のリモコン1について説明する。図1には、本実施形態のリモコン1の模式図が示される。
【0019】
リモコン1は、住宅に設けられる住宅設備機器2と通信線4により接続され、この住宅設備機器2の運転状態を遠隔操作で変更できるように構成されている。住宅設備機器2とは、例えば住宅に設けられる給湯器が相当する。住宅設備機器2の運転状態とは、通電状態(電源のオン/オフ状態)や、給湯器2Aの給湯温度、湯張り温度、追い炊き温度の状態等が相当する。したがって、リモコン1は、給湯器2Aの通電状態や給湯温度等を遠隔操作で変更できるように構成されている。以下、本実施形態では住宅設備機器2を給湯器2Aとして説明する。
【0020】
図1に示されるように、リモコン1は、第1記憶部21、指示部22、ペアリング設定部23、通信部24、通信状況判定部25、移動検出部26、設定候補値取得部27、第2記憶部28を備えて構成され、各機能部は、給湯器2Aの運転状態の変更に係る処理を行うために、CPUを中核部材としてハードウェア又はソフトウェア或いはその両方で構築されている。
【0021】
第1記憶部21は、リモコン操作に応じて設定された運転状態を設定する設定値を記憶する。リモコン1には、図2に示されるように、操作ボタン11と表示画面(「表示部」の一例)10とが設けられる。給湯器2Aの運転状態は、リモコン1の操作ボタン11を操作して設定できるように構成されている。また、表示画面10には、現在の運転状態に応じた設定値が表示され、表示画面10を介して設定された運転状態が確認できるように構成されている。リモコン1には、内部にリモコン内部メモリ12が設けられ、このリモコン内部メモリ12の一部に第1記憶部21が設けられる。上述したリモコン1の操作ボタン11の操作に応じて設定された設定値は、第1記憶部21に記憶される。図2の例では、第1記憶部21に給湯器2Aの給湯温度として38℃が記憶され、表示画面10において給湯器2Aの「38℃」が設定されている状況が示される。
【0022】
指示部22は、給湯器2Aに対して、第1記憶部21に記憶された設定値に応じた運転状態を給湯器2Aに指示する。リモコン1と給湯器2Aとは通信線4により接続されている。第1記憶部21に記憶された設定値とは、リモコン1の操作ボタン11の操作に応じて設定された設定値であって本実施形態では「38℃」である。したがって、指示部22は、給湯器2Aに対して通信線4を介して、給湯温度を「38℃」として運転するように指示する。
【0023】
ペアリング設定部23は、リモコン1(具体的には後述する通信部24)が近距離無線通信を介した通信を可能とする携帯端末3を設定する。近距離無線通信とは、Wi-Fi(登録商標)やBLUETOOTH(登録商標)のような所定の範囲内において無線で行われる通信である。このような近距離無線通信は、リモコン1において予めどのような通信で行うか設定しておくと良い。ペアリング設定部23は、このような近距離無線通信による通信が可能となるように携帯端末3を登録する。このような登録は、後述する通信部24が通信可能とする携帯端末3を識別することが可能な固有の識別情報を登録すると良い。これにより、登録された携帯端末3のみ通信部24が近距離無線通信を介して通信を行うことが可能となる。このような登録は、例えばペアリング設定と称され周知であるので、詳細な説明は省略する。
【0024】
通信部24は、携帯端末3と近距離無線通信により通信する。通信部24は、上述したペアリング設定部23により通信可能に登録されている携帯端末3とWi-Fi(登録商標)やBLUETOOTH(登録商標)のような近距離無線通信により通信する。したがって、通信部24は通信モジュールに相当する。具体的には、Wi-Fiによる近距離無線通信を行う場合には、Wi-Fiモジュールとして構成され、BLUETOOTHによる近距離無線通信を行う場合には、BLUETOOTHモジュールとして構成される。
【0025】
通信状況判定部25は、通信部24による携帯端末3との通信状況を判定する。通信部24による携帯端末3との通信状況とは、近距離無線通信による通信部24の携帯端末3との通信の様子を示すものであって、具体的には通信部24の通信圏内にいる携帯端末3が通信圏外に移動したか否かや、通信部24の通信圏外にいた携帯端末3が通信圏内に移動したか否かを示すものである。このような通信状況は、通信部24が携帯端末3から発せられる近距離無線通信に用いられる電波の受信状況(受信できていたものが受信できなくなったり、受信できなかったものが受信できるようになったりといった状況)に基づいて判定することが可能である。通信状況判定部25は、このような判定を継続して行う。通信状況判定部25の判定結果は、後述する移動検出部26に伝達される。なお、上述した電波の受信状況は、所定のしきい値を設定し、電波の受信強度が当該しきい値以上であるか否か(電波の受信強度が当該しきい値より大きいか否か)に基づいて、判定しても良い。
【0026】
移動検出部26は、通信状況判定部25の判定結果に基づいて、携帯端末3の第1移動と第2移動とを検出する。通信状況判定部25の判定結果とは、通信状況判定部25が、通信部24の通信圏内にいる携帯端末3が通信圏外に移動したか否かの判定結果や、通信部24の通信圏外にいた携帯端末3が通信圏内に移動したか否かの判定結果であって、通信状況判定部25から伝達される。携帯端末3の第1移動とは、通信部24における通信圏内から通信圏外への携帯端末3の移動である。すなわち、通信部24の通信圏内にいた携帯端末3が、通信部24の通信圏外に出た移動である。これは、通信部24が、携帯端末3が発する電波を受信できていた状況から受信できない状況に移行したことを第1移動して検出すると好適である。携帯端末3の第2移動とは、通信部24の通信圏外へ携帯端末3が移動してからの、通信部24における通信圏外から通信圏内への携帯端末3の移動である。すなわち、通信部24の通信圏内にいた携帯端末3が、第1移動により通信部24の通信圏外に出た後、更に通信部24の通信圏内へ入ってきた移動である。これは、通信部24が、携帯端末3が発する電波を受信できていた状況から受信できない状況に移行し、更に受信できる状況になったことを第2移動として検出すると好適である。なお、第1移動により通信部24の通信圏外に出てから、次に通信部24の通信圏内へ入ってくるまでの時間は、特に限定されるものではない。
【0027】
設定候補値取得部27は、第1移動と第2移動とが検出された場合に、第1移動及び第2移動を行った携帯端末3から給湯器2Aの運転状態を変更可能な設定候補値を取得する。第1移動は、通信部24の通信圏内にいた携帯端末3が、通信部24の通信圏外に出た移動であって、第2移動は、通信部24の通信圏内にいた携帯端末3が、第1移動により通信部24の通信圏外に出た後、更に通信部24の通信圏内へ入ってきた移動である。これは、上述した移動検出部26により検出される。給湯器2Aの運転状態を変更可能な設定候補値とは、携帯端末3の所有者が希望する給湯器2Aの給湯温度の設定値を示す情報にあたる。このような設定候補値は、携帯端末3の所有者が、設定候補値取得部27が設定候補値を取得できるように予めアプリケーションを利用して携帯端末3に記憶しておくと良い。したがって、設定候補値取得部27は、移動検出部26により、通信部24の通信圏内にいた携帯端末3が、通信部24の通信圏外に出た第1移動と、通信部24の通信圏内にいた携帯端末3が、第1移動により通信部24の通信圏外に出た後、更に通信部24の通信圏内へ入ってきた第2移動とが検出された場合に、この第1移動及び第2移動を行った携帯端末3から予め記憶されている携帯端末3の所有者が希望する給湯器2Aの給湯温度の設定値を示す情報を取得する。このような設定候補値の取得は、上述した通信部24を介して行われる。
【0028】
第2記憶部28は、設定候補値取得部27により取得された設定候補値を記憶する。第2記憶部28は、第1記憶部21と同様に、リモコン内部メモリ12に設けられる。設定候補値取得部27により携帯端末3から取得された、携帯端末3の所有者が希望する給湯器2Aの給湯温度の設定値を示す情報である設定候補値は、この第2記憶部28に記憶される。図3の例では、第2記憶部28に給湯器2Aの給湯温度の候補値として40℃が記憶されている状況が示される。すなわち、この場合には、表示画面10に、現在の運転状態に応じた設定値である設定候補値が表示され、表示画面10を介して設定された運転状態が確認できるように構成されている。
【0029】
指示部22は、第2記憶部28に設定候補値が記憶されている場合は、設定候補値に応じた運転状態を給湯器2Aに指示する。第2記憶部28に設定候補値が記憶されている場合とは、携帯端末3から取得された、携帯端末3の所有者が希望する給湯器2Aの給湯温度の設定値を示す情報である設定候補値が、第2記憶部28に記憶されている場合をいう。この場合には、指示部22は第2記憶部28に記憶されている携帯端末3の所有者が希望する給湯器2Aの給湯温度の設定値を示す情報である設定候補値を給湯温度の設定値として給湯器2Aに指示する。これにより、給湯器2Aから携帯端末3の利用者が希望する温度の湯が供給され、利用者が利用することが可能となる。
【0030】
この時、第1記憶部21は、設定候補値取得部27により設定候補値が取得された時点において、第1記憶部21に記憶されている設定値を記憶しておくと好適である。設定候補値取得部27により設定候補値が取得された時点とは、図2に示されるように、第1記憶部21にリモコン1の操作により設定された設定値が記憶され、第2記憶部28に設定候補値が記憶されていない状態である。すなわち、第2記憶部28に設定候補値が記憶される前の状態である。第1記憶部21は、第2記憶部28に設定候補値が記憶される前において第1記憶部21に記憶されているリモコン1の操作によって設定された設定値を削除することなく記憶しておくと良い。
【0031】
また、指示部22は、設定候補値に応じた運転状態を給湯器2Aに指示した後、携帯端末3の第1移動が検出された場合は、第1記憶部21に記憶している設定値に応じた運転状態を給湯器2Aに指示すると好適である。設定候補値に応じた運転状態を給湯器2Aに指示した後とは、指示部22が、第2記憶部28に記憶されている携帯端末3の所有者が希望する給湯器2Aの給湯温度の設定値を示す情報である設定候補値を給湯温度の設定値として給湯器2Aに指示した後である。携帯端末3の第1移動が検出された場合とは、通信部24における通信圏内から通信圏外への携帯端末3の移動が検出された場合である。第1記憶部21に記憶している設定値に応じた運転状態とは、リモコン1の操作に応じて設定された給湯器2Aの給湯温度である。したがって、指示部22は、図4に示されるように、第2記憶部28に記憶されている携帯端末3の所有者が希望する給湯器2Aの給湯温度の設定値を示す情報である設定候補値を給湯温度の設定値として給湯器2Aに指示した後、通信部24における通信圏内から通信圏外への携帯端末3の移動が検出された場合は、リモコン1の操作に応じて設定された給湯器2Aの給湯温度を設定値として給湯器2Aに指示する。これにより、携帯端末3の所有者が給湯器2Aを利用しない状況となったことを通信部24による携帯端末3からの電波の受信強度に基づき判定し、携帯端末3の所有者が給湯器2Aを利用しない状況となった場合には、携帯端末3の利用者が給湯器2Aを利用する前に設定されていた給湯温度に戻すことが可能となる。なお、この場合には、表示画面10に、現在の運転状態に応じた設定値が表示され、表示画面10を介して設定された運転状態が確認できるように構成されている。なお、本実施形態では、第2記憶部28に設定候補値が記憶されている状態において携帯端末3の第1移動(通信圏内から通信圏外への移動)が検出された場合には、第2記憶部28に記憶されている設定候補値は消去される。
【0032】
以上のように、本実施形態のリモコン1は、例えば近距離無線通信の通信モジュールとして通信部24が搭載され、予め通信部24と携帯端末3とをペアリング設定しておくことで、一旦、携帯端末3が通信部24と近距離無線通信を介して通信が行えなくなった場所まで離れてから、再度、携帯端末3が通信部24と近距離無線通信を介した通信ができる場所まで近づいた時に、リモコン1により運転状態を変更可能な住宅設備機器2の近くに携帯端末3の所有者がいると判断し、利用者毎に予め設定しておいた好みの設定値に基づき運転することが可能となる。例えば住宅設備機器2が浴室の給湯器2Aである場合には、利用者が携帯端末3を浴室に持ち込まなくても通信部24と通信可能な範囲内においておくだけで良いので利用者の負担を軽減することが可能となる。
【0033】
また、この状態において、携帯端末3が通信部24と近距離無線通信を介した通信が行えない場所まで再度、離れた場合にはリモコン1において元々設定されていた設定値に自動的に戻すことが可能となる。
【0034】
〔その他の実施形態〕
上記実施形態では、第1記憶部21は、設定候補値取得部27により設定候補値が取得された時点において、第1記憶部21に記憶されている設定値を記憶しておくとして説明したが、第1記憶部21は、設定候補値取得部27により設定候補値が取得された時点において、第1記憶部21に記憶されている設定値を消去するように構成しても良い。
【0035】
上記実施形態では、指示部22は、設定候補値に応じた運転状態を住宅設備機器2に指示した後、携帯端末3の第1移動が検出された場合は、第1記憶部21に記憶している設定値に応じた運転状態を住宅設備機器2に指示するとして説明した。指示部22は、設定候補値に応じた運転状態を住宅設備機器2に指示した後、携帯端末3の第1移動が検出された場合に、第1記憶部21に記憶している設定値に応じた運転状態を住宅設備機器2に指示しなくても良く、この場合、例えば第1記憶部21に記憶された設定値に関わらず、予め設定された初期値を設定値として指示するように構成することも可能である。
【0036】
上記実施形態では、設定値及び設定候補値のうち、表示画面10に現在の運転状態に応じた一方を表示するよう説明した。しかしながら、表示画面10に設定値及び設定候補値のうち、表示画面10に現在の運転状態に応じた一方を表示しないように構成することも可能である。
【0037】
上記実施形態では、第2記憶部28に設定候補値が記憶されている状態において携帯端末3の第1移動(通信圏内から通信圏外への移動)が検出された場合には、第2記憶部28に記憶されている設定候補値は消去されるとして説明した。しかしながら、第2記憶部28に記憶された設定候補値は、携帯端末3の第1移動が検出された場合であっても記憶しておくように構成することも可能である。この場合、設定候補値に携帯端末3を識別可能な識別情報を関連付けて第2記憶部28に記憶しておき、通信部24の通信圏内に当該識別情報を持った携帯端末3が入ったことが検出されたときに、識別情報に関連付けされた設定候補値を利用することが可能となる。
【0038】
上記実施形態では、住宅設備機器2として給湯器2Aを例に挙げて説明したが、住宅設備機器2は、床暖房機器であっても良いし、浴室暖房乾燥機であっても良い。この場合、リモコン1は、夫々、床暖房リモコン、及び、浴室暖房乾燥機のリモコンとして構成すると良い。例えば床暖房リモコンの場合には、携帯端末3と近距離無線通信が行える場合のみ、携帯端末3の所有者が希望する床暖房温度設定にしたり、運転の入/切忘れを防ぐために近距離無線通信が行える場合のみ自動的に運転オン/オフを行うように構成しても良い。また、浴室暖房乾燥機のリモコンの場合は、携帯端末3と近距離無線通信が行えた場合に自動的に携帯端末3の所有者が希望する風量や風向きで浴室暖房機の運転を開始したり、携帯端末3と近距離無線通信を行っていた状態から通信が行えなくなったことをトリガーとして自動的に風量や風向きで換気運転を行うように構成することも可能である。
【0039】
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、住宅設備機器の運転状態を変更可能なリモコンに用いることが可能である。
【符号の説明】
【0041】
1:リモコン
2:住宅設備機器
3:携帯端末
10:表示画面(表示部)
21:第1記憶部
22:指示部
23:ペアリング設定部
24:通信部
25:通信状況判定部
26:移動検出部
27:設定候補値取得部
28:第2記憶部
図1
図2
図3
図4