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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022141323
(43)【公開日】2022-09-29
(54)【発明の名称】充放電制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/00 20060101AFI20220921BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20220921BHJP
【FI】
H02J1/00 309R
B60L3/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021041562
(22)【出願日】2021-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡部 綱一郎
(72)【発明者】
【氏名】加藤 弘崇
(72)【発明者】
【氏名】中馬 章宏
【テーマコード(参考)】
5G165
5H125
【Fターム(参考)】
5G165BB05
5G165EA02
5G165EA10
5G165HA16
5G165NA01
5G165NA02
5G165NA10
5H125AA01
5H125AC12
5H125BB00
5H125DD05
5H125EE25
5H125EE64
(57)【要約】
【課題】イグニッションオフとコンタクタオフのタイミングが異なることで運転者に違和感を与えることを抑えることができる充放電制御装置を提供すること。
【解決手段】主電源である高電圧バッテリ4と、高電圧バッテリ4から電力を供給され、モータ2を駆動させるインバータ3と、高電圧バッテリ4とインバータ3との間の電気的接続を断接する負極側コンタクタ42及び正極側コンタクタ43と、負極側コンタクタ42及び正極側コンタクタ43の断接を切り替え、車両1のイグニッションスイッチ51がオフ状態にされると同時に負極側コンタクタ42及び正極側コンタクタ43をオフ状態に切り替えるコンタクタ切替制御部5と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主電源である高電圧バッテリと、
前記高電圧バッテリから電力を供給され、モータを駆動させるインバータと、
前記高電圧バッテリと前記インバータとの間の電気的接続を断接するコンタクタと、を備える車両の充放電制御装置であって、
前記コンタクタの断接を切り替えるコンタクタ切替制御部を備え、
前記コンタクタ切替制御部は、前記車両のイグニッションスイッチがオフ状態にされると同時に前記コンタクタをオフ状態に切り替える充放電制御装置。
【請求項2】
前記コンタクタと並列に接続され、前記イグニッションスイッチがオン状態にされると前記インバータに並列に接続されている平滑コンデンサへプリチャージするプリチャージ回路を備え、
前記プリチャージ回路は、プリチャージ電流を制限するプリチャージ抵抗と、前記プリチャージ抵抗と直列に接続されたプリチャージコンタクタとで構成され、
前記コンタクタ切替制御部は、前記平滑コンデンサへのプリチャージが完了すると前記プリチャージコンタクタをオフ状態とし、前記プリチャージコンタクタがオフ状態にされてから前記イグニッションスイッチがオン状態にされると過熱保護カウンタに1加算し、前記過熱保護カウンタが所定値未満のときは、前記イグニッションスイッチがオフ状態にされると同時に、前記コンタクタをオフ状態に切り替え、前記過熱保護カウンタが所定値以上となったときは、前記プリチャージコンタクタがオフ状態とされてから所定時間が経過するまでは、前記イグニッションスイッチがオフ状態にされても、前記コンタクタをオン状態に維持する請求項1に記載の充放電制御装置。
【請求項3】
前記コンタクタ切替制御部は、前記プリチャージコンタクタがオフ状態にされてから所定時間内に前記イグニッションスイッチがオン状態にされた場合に前記過熱保護カウンタに1加算し、所定時間が経過した場合、前記過熱保護カウンタをゼロにリセットする請求項2に記載の充放電制御装置。
【請求項4】
前記コンタクタ及び前記プリチャージ回路は、前記高電圧バッテリが収納されるバッテリパックの中に配置され、
前記コンタクタ切替制御部は、前記バッテリパックの中の温度が低いほど、前記所定時間を短くする請求項2または請求項3に記載の充放電制御装置。
【請求項5】
前記バッテリパックは、前記車両の車室外に配置される請求項4に記載の充放電制御装置。
【請求項6】
前記コンタクタ切替制御部は、外気温が低いほど、前記所定時間を短くする請求項5に記載の充放電制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充放電制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、高電圧バッテリと高電圧機器を、コンタクタを介して電気的に接続する場合、高電圧バッテリと高電圧機器を電気的に断接するメインコンタクタと、メインコンタクタと並列に接続されるプリチャージ回路が設けられる。このプリチャージ回路は、直列接続されたプリチャージ抵抗とプリチャージコンタクタで構成される。このような回路では、イグニッションスイッチがオンにされると共にプリチャージコンタクタをオン状態にしてプリチャージを開始し、プリチャージが完了してからメインコンタクタをオン状態にすることで突入電流の発生を抑制している。
【0003】
特許文献1には、キースイッチから停止指示信号を受けた場合、メインリレーのONタイミングから規定時間が経過していないときは、メインリレー及びグランドリレーをON状態に維持して、突入制限抵抗を確実に放熱しながらも、必要な時に車両を起動することができる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-114974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような技術では、突入制限抵抗の放熱が完了するまでメインリレー及びグランドリレーをON状態に維持しているため、キースイッチのオフとメインリレー及びグランドリレーのオフのタイミングが異なってしまうと、メインリレー及びグランドリレーのオフ動作音が大きいことから、運転者に違和感を与えるおそれがある。
【0006】
例えば、キースイッチをオンし、メインリレーがONになってから、規定時間が経過しないときにキースイッチがオフにされると、キースイッチのオフの後にメインリレー及びグランドリレーがオフとなる。
【0007】
そこで、本発明は、イグニッションオフとコンタクタオフのタイミングが異なることで運転者に違和感を与えることを抑えることができる充放電制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため本発明は、主電源である高電圧バッテリと、前記高電圧バッテリから電力を供給され、モータを駆動させるインバータと、前記高電圧バッテリと前記インバータとの間の電気的接続を断接するコンタクタと、を備える車両の充放電制御装置であって、前記コンタクタの断接を切り替えるコンタクタ切替制御部を備え、前記コンタクタ切替制御部は、前記車両のイグニッションスイッチがオフ状態にされると同時に前記コンタクタをオフ状態に切り替えるものである。
【発明の効果】
【0009】
このように、本発明によれば、イグニッションオフとコンタクタオフのタイミングが異なることで運転者に違和感を与えることを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施例に係る充放電制御装置の概略構成図である。
図2図2は、本発明の一実施例に係る充放電制御装置の充放電制御処理の手順を示すフローチャートである。
図3図3は、本発明の一実施例に係る充放電制御装置の充放電制御処理による過熱保護カウンタの加算とリセットのタイミングを示すタイムチャートである。
図4図4は、本発明の一実施例に係る充放電制御装置の充放電制御処理による過熱保護カウンタが所定値になった場合を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施の形態に係る充放電制御装置は、主電源である高電圧バッテリと、高電圧バッテリから電力を供給され、モータを駆動させるインバータと、高電圧バッテリとインバータとの間の電気的接続を断接するコンタクタと、を備える車両の充放電制御装置であって、コンタクタの断接を切り替えるコンタクタ切替制御部を備え、コンタクタ切替制御部は、車両のイグニッションスイッチがオフ状態にされると同時にコンタクタをオフ状態に切り替えるよう構成されている。
【0012】
これにより、本発明の一実施の形態に係る充放電制御装置は、イグニッションオフとコンタクタオフのタイミングが異なることで運転者に違和感を与えることを抑えることができる。
【実施例0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施例に係る充放電制御装置について詳細に説明する。
【0014】
図1において、本発明の一実施例に係る充放電制御装置を搭載した車両1は、モータ2と、インバータ3と、高電圧バッテリ4と、コンタクタ切替制御部5とを含んで構成される。
【0015】
モータ2は、例えば、複数の永久磁石が埋め込まれたロータと、ステータコイルが巻きつけられたステータと、を備えた同期型モータで構成される。モータ2は、ステータコイルに三相交流電力が印加されることでステータに回転磁界が形成され、この回転磁界によりロータが回転して駆動力を生成する。
【0016】
また、モータ2は、発電時における回転抵抗を車両1の制動に利用するように駆動される。これにより、モータ2は、回生によって発電できる機能を有する。このように、モータ2は、発電機としても機能し、高電圧バッテリ4を充電するための電力を生成できるようになっている。
【0017】
インバータ3は、三相交流電力をモータ2に供給する。また、インバータ3は、モータ2が発電した三相交流電力を直流電力に変換して高電圧バッテリ4を充電する。
【0018】
インバータ3と高電圧バッテリ4を接続する入力端子の正極と負極の間には、平滑コンデンサ31が接続されている。平滑コンデンサ31は、正極と負極との間に生じた直流電力の電圧を平滑化する。
【0019】
高電圧バッテリ4は、例えば、ニッケル蓄電池やリチウム蓄電池等からなり、複数のセルを直列に接続して構成されている。高電圧バッテリ4は、インバータ3を介してモータ2に電力を供給する。
【0020】
高電圧バッテリ4は、例えば、密閉型のバッテリパック41に収納される。バッテリパック41は、例えば、車両1の車体下部の車室外に配置される。バッテリパック41には、バッテリパック41の中の温度を検出する温度センサ47が設けられている。温度センサ47は、コンタクタ切替制御部5に接続されている。
【0021】
インバータ3と高電圧バッテリ4の間の負極側にはコンタクタとしての負極側コンタクタ42が設けられている。インバータ3と高電圧バッテリ4の間の正極側にはコンタクタとしての正極側コンタクタ43が設けられている。正極側コンタクタ43には、正極側コンタクタ43と並列に、プリチャージコンタクタ45とプリチャージ抵抗46が直列に接続されたプリチャージ回路44が接続されている。
【0022】
負極側コンタクタ42及び正極側コンタクタ43は、コンタクタ切替制御部5の制御に応じて、インバータ3と高電圧バッテリ4とを電気的に接続するオン状態と、インバータ3と高電圧バッテリ4とを電気的に遮断するオフ状態とのいずれか一方の状態をとるようになっている。
【0023】
プリチャージコンタクタ45は、コンタクタ切替制御部5の制御に応じて、プリチャージ抵抗46を正極側コンタクタ43に並列に接続するオン状態と、プリチャージ抵抗46を正極側コンタクタ43から電気的に遮断するオフ状態とのいずれか一方の状態をとるようになっている。
【0024】
例えば、プリチャージコンタクタ45は、モータ2が作動する前にオン状態をとり、正極側コンタクタ43がオン状態をとったあとにオフ状態をとるように制御される。
【0025】
負極側コンタクタ42、正極側コンタクタ43及びプリチャージコンタクタ45は、例えば、バッテリパック41の中に配置される。
【0026】
コンタクタ切替制御部5は、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)と、入力ポートと、出力ポートとを備えたコンピュータユニットによって構成されている。
【0027】
コンタクタ切替制御部5のROMには、各種制御定数や各種マップ等とともに、当該コンピュータユニットをコンタクタ切替制御部5として機能させるためのプログラムが記憶されている。すなわち、CPUがROMに記憶されたプログラムを実行することにより、当該コンピュータユニットは、コンタクタ切替制御部5として機能する。
【0028】
コンタクタ切替制御部5の入力ポートには、前述の温度センサ47に加え、イグニッションスイッチ51、外気温センサ52を含む各種センサ類が接続されている。
【0029】
イグニッションスイッチ51は、車両1のシステムの起動操作の有無を検出し、検出結果をコンタクタ切替制御部5に送信するようになっている。イグニッションスイッチ51は、車両1のシステムを起動させるオン状態と、車両1のシステムを停止させるオフ状態のいずれかに切り替えられ、その状態をコンタクタ切替制御部5に送信する。外気温センサ52は、車両1の周辺の外気の温度を検出する。
【0030】
一方、コンタクタ切替制御部5の出力ポートには、前述の負極側コンタクタ42、正極側コンタクタ43、プリチャージコンタクタ45を含む各種制御対象類が接続されている。
【0031】
本実施例において、コンタクタ切替制御部5は、イグニッションスイッチ51がオフ状態にされると同時に、負極側コンタクタ42及び正極側コンタクタ43をオフ状態に切り替える。
【0032】
コンタクタ切替制御部5は、プリチャージコンタクタ45がオフ状態にされてからイグニッションスイッチ51がオン状態にされた場合に過熱保護カウンタに1を加算するインクリメントを行なう。
【0033】
コンタクタ切替制御部5は、過熱保護カウンタが所定値未満のときは、イグニッションスイッチ51がオフ状態にされると同時に、負極側コンタクタ42及び正極側コンタクタ43をオフ状態に切り替える。
【0034】
コンタクタ切替制御部5は、過熱保護カウンタが所定値以上となると、プリチャージコンタクタ45がオフ状態とされてから所定時間が経過するまでは、イグニッションスイッチ51がオフ状態にされても、負極側コンタクタ42及び正極側コンタクタ43をオン状態に維持する。
【0035】
コンタクタ切替制御部5は、プリチャージコンタクタ45がオフ状態とされてから所定時間が経過した場合、過熱保護カウンタをゼロにリセットする。
【0036】
コンタクタ切替制御部5は、過熱保護カウンタが所定値以上となり、プリチャージコンタクタ45がオフ状態とされてから所定時間が経過するまでは、過熱保護カウンタのインクリメントを停止してもよい。
【0037】
コンタクタ切替制御部5は、プリチャージコンタクタ45がオフ状態にされてから所定時間内にイグニッションスイッチ51がオン状態にされた場合に過熱保護カウンタをインクリメントするようにしてもよい。
【0038】
コンタクタ切替制御部5は、バッテリパック41の中の温度が低いほど、所定時間を短くする。
コンタクタ切替制御部5は、外気温が低いほど、所定時間を短くする。
【0039】
過熱保護カウンタをインクリメントする所定時間と、負極側コンタクタ42及び正極側コンタクタ43をオン状態に維持する所定時間は、異なる長さの時間としてもよい。
【0040】
以上のように構成された本実施例に係る充放電制御装置による充放電制御処理について、図2を参照して説明する。なお、以下に説明する充放電制御処理は、イグニッションスイッチ51がオンにされると開始される。
【0041】
ステップS1において、コンタクタ切替制御部5は、過熱保護カウンタが所定値以上であるか否かを判定する。
【0042】
過熱保護カウンタが所定値以上であると判定した場合には、コンタクタ切替制御部5は、充放電制御処理を終了する。過熱保護カウンタが所定値以上でないと判定した場合には、コンタクタ切替制御部5は、ステップS2の処理を実行する。
【0043】
ステップS2において、コンタクタ切替制御部5は、前回のプリチャージコンタクタ45のオフから所定時間経過しているか否かを判定する。
【0044】
前回のプリチャージコンタクタ45のオフから所定時間経過していると判定した場合には、コンタクタ切替制御部5はステップS4の処理を実行する。前回のプリチャージコンタクタ45のオフから所定時間経過していないと判定した場合には、コンタクタ切替制御部5は、ステップS3の処理を実行する。
【0045】
ステップS3において、コンタクタ切替制御部5は、過熱保護カウンタをインクリメントする。ステップS3の処理を実行した後、コンタクタ切替制御部5は、ステップS5の処理を実行する。
【0046】
ステップS4において、コンタクタ切替制御部5は、過熱保護カウンタをリセットする。ステップS4の処理を実行した後、コンタクタ切替制御部5は、ステップS5の処理を実行する。
【0047】
ステップS5において、コンタクタ切替制御部5は、プリチャージコンタクタ45をオン状態とし、負極側コンタクタ42をオン状態とする。ステップS5の処理を実行した後、コンタクタ切替制御部5は、ステップS6の処理を実行する。
【0048】
ステップS6において、コンタクタ切替制御部5は、プリチャージが完了したか否かを判定する。
【0049】
プリチャージが完了したと判定した場合には、コンタクタ切替制御部5は、ステップS7の処理を実行する。プリチャージが完了していないと判定した場合には、コンタクタ切替制御部5は、ステップS6の処理を実行する。
【0050】
ステップS7において、コンタクタ切替制御部5は、正極側コンタクタ43をオン状態とする。ステップS7の処理を実行した後、コンタクタ切替制御部5は、ステップS8の処理を実行する。
【0051】
ステップS8において、コンタクタ切替制御部5は、プリチャージコンタクタ45をオフ状態とする。ステップS8の処理を実行した後、コンタクタ切替制御部5は、ステップS9の処理を実行する。
【0052】
ステップS9において、コンタクタ切替制御部5は、過熱保護カウンタが所定値以上であるか否かを判定する。
【0053】
過熱保護カウンタが所定値以上であると判定した場合には、コンタクタ切替制御部5は、ステップS12の処理を実行する。過熱保護カウンタが所定値以上でないと判定した場合には、コンタクタ切替制御部5は、ステップS10の処理を実行する。
【0054】
ステップS10において、コンタクタ切替制御部5は、イグニッションスイッチ51がオフされたか否かを判定する。
【0055】
イグニッションスイッチ51がオフされたと判定した場合には、コンタクタ切替制御部5は、ステップS11の処理を実行する。イグニッションスイッチ51がオフされていないと判定した場合には、コンタクタ切替制御部5は、ステップS10の処理を実行する。
【0056】
ステップS11において、コンタクタ切替制御部5は、正極側コンタクタ43をオフ状態とし、負極側コンタクタ42をオフ状態とする。ステップS11の処理を実行した後、コンタクタ切替制御部5は、充放電制御処理を終了する。
【0057】
ステップS12において、コンタクタ切替制御部5は、所定時間経過したか否かを判定する。
【0058】
所定時間経過したと判定した場合には、コンタクタ切替制御部5は、ステップS13の処理を実行する。所定時間経過していないと判定した場合には、コンタクタ切替制御部5は、ステップS12の処理を実行する。
【0059】
ステップS13において、コンタクタ切替制御部5は、イグニッションスイッチ51がオフ状態であるか否かを判定する。
【0060】
イグニッションスイッチ51がオフ状態であると判定した場合には、コンタクタ切替制御部5は、ステップS11の処理を実行する。イグニッションスイッチ51がオフ状態でないと判定した場合には、コンタクタ切替制御部5は、充放電制御処理を終了する。
【0061】
このような燃焼安定化処理による動作について図3及び図4を参照して説明する。
図3は、過熱保護カウンタの加算とリセットのタイミングを示すタイムチャートである。ここで、所定時間はT[s]とする。
【0062】
時刻t1において、イグニッションスイッチ51がオンにされると、プリチャージコンタクタ45と負極側コンタクタ42がオン状態とされ、プリチャージが開始される。
【0063】
プリチャージが完了し、正極側コンタクタ43がオン状態とされ、時刻t2において、プリチャージコンタクタ45がオフ状態とされ、所定時間の計時が開始される。
【0064】
時刻t3において、所定時間Tより短い時間T1経過時にイグニッションスイッチ51がオン状態とされると、プリチャージコンタクタ45と負極側コンタクタ42がオン状態とされ、過熱保護カウンタが1加算される。
【0065】
プリチャージが完了し、正極側コンタクタ43がオン状態とされ、時刻t4において、プリチャージコンタクタ45がオフ状態とされ、所定時間の計時が開始される。
【0066】
時刻t5において、所定時間Tより短い時間T1経過時にイグニッションスイッチ51がオン状態とされると、プリチャージコンタクタ45と負極側コンタクタ42がオン状態とされ、過熱保護カウンタが1加算される。
【0067】
プリチャージが完了し、正極側コンタクタ43がオン状態とされ、時刻t6において、プリチャージコンタクタ45がオフ状態とされ、所定時間の計時が開始される。
【0068】
時刻t7において、所定時間Tが経過し、過熱保護カウンタがゼロにリセットされ、所定時間Tより長い時間T2経過時にイグニッションスイッチ51がオンにされても、過熱保護カウンタは加算されない。
【0069】
図4は、過熱保護カウンタが所定値になった場合のタイムチャートである。ここでも、所定時間はT[s]とする。
【0070】
時刻t11において、プリチャージコンタクタ45がオフ状態とされてから所定時間Tより短い時間T1経過時にイグニッションスイッチ51がオン状態とされると、プリチャージコンタクタ45と負極側コンタクタ42がオン状態とされ、過熱保護カウンタが1加算される。このとき、過熱保護カウンタが所定値となる。
【0071】
プリチャージが完了し、正極側コンタクタ43がオン状態とされ、プリチャージコンタクタ45がオフ状態とされ、所定時間の計時が開始される。
【0072】
時刻t12において、イグニッションスイッチ51がオフ状態とされるが、所定時間経過していないため、正極側コンタクタ43及び負極側コンタクタ42はオン状態を維持される。その後、イグニッションスイッチ51がオン状態とされても、所定時間が経過しておらず、正極側コンタクタ43及び負極側コンタクタ42はオン状態であるので、プリチャージコンタクタ45はオン状態とされない。
【0073】
時刻t13において、所定時間Tが経過すると、過熱保護カウンタがゼロにリセットされる。
【0074】
その後、時刻t14において、イグニッションスイッチ51がオフ状態とされると、所定時間は経過しているため、正極側コンタクタ43及び負極側コンタクタ42はオフ状態にされ、プリチャージコンタクタ45がオフ状態とされてから所定時間Tより長い時間T3が経過した時点でイグニッションスイッチ51がオン状態とされると、プリチャージコンタクタ45と負極側コンタクタ42がオン状態とされ、過熱保護カウンタが加算されることはない。
【0075】
このように、本実施例では、コンタクタ切替制御部5は、イグニッションスイッチ51がオフ状態にされると同時に、負極側コンタクタ42及び正極側コンタクタ43をオフ状態に切り替える。
【0076】
これにより、イグニッションスイッチ51のオフと、負極側コンタクタ42及び正極側コンタクタ43のオフ動作音の鳴るタイミングが一致するため、イグニッションスイッチ51の操作に起因してオフ動作音が鳴ったと運転者に認識させることができる。このため、オフ動作音の鳴るタイミングが、運転者の車両操作タイミングと乖離することで、運転者に違和感を与えることを抑えることができる。
【0077】
また、コンタクタ切替制御部5は、プリチャージコンタクタ45がオフ状態にされてからイグニッションスイッチ51がオン状態にされると過熱保護カウンタに1加算し、過熱保護カウンタが所定値未満のときは、イグニッションスイッチ51がオフ状態にされると同時に、負極側コンタクタ42及び正極側コンタクタ43をオフ状態に切り替え、過熱保護カウンタが所定値以上となったときは、プリチャージコンタクタ45がオフ状態とされてから所定時間が経過するまでは、イグニッションスイッチ51がオフ状態にされても、負極側コンタクタ42及び正極側コンタクタ43をオン状態に維持する。
【0078】
これにより、プリチャージコンタクタ45のオン回数が所定値未満の場合は、イグニッションスイッチ51のオフと、負極側コンタクタ42及び正極側コンタクタ43のオフ動作音の鳴るタイミングが一致し、プリチャージコンタクタ45のオン回数が所定値以上となると、所定時間プリチャージコンタクタ45がオン状態にされなくなる。このため、プリチャージ抵抗46が過剰に過熱することを抑制しつつ、オフ動作音の鳴るタイミングが、運転者の車両操作タイミングと乖離することで、運転者に違和感を与えることを抑えることができる。
【0079】
また、コンタクタ切替制御部5は、プリチャージコンタクタ45がオフ状態にされてから所定時間内にイグニッションスイッチ51がオン状態にされた場合に過熱保護カウンタをインクリメントし、所定時間が経過した場合、過熱保護カウンタをゼロにリセットする。
【0080】
短時間でプリチャージコンタクタ45のオンオフが繰り返される場合は、プリチャージ抵抗46がより過剰に過熱されるおそれがあるため、所定時間プリチャージコンタクタ45がオン状態にされなくする。このため、プリチャージ抵抗46が過剰に過熱することを抑制しつつ、オフ動作音の鳴るタイミングが、運転者の車両操作タイミングと乖離することで、運転者に違和感を与えることを抑えることができる。
【0081】
また、コンタクタ切替制御部5は、バッテリパック41の中の温度が低いほど、所定時間を短くする。
【0082】
バッテリパック41の中の温度が低いほど、プリチャージ抵抗46が冷却されやすくなるため、プリチャージ抵抗46が冷却するまでの所定時間を短縮させることができる。これにより、イグニッションスイッチ51のオフと、負極側コンタクタ42及び正極側コンタクタ43のオフ動作音の鳴るタイミングが一致する頻度を高くすることができる。
【0083】
また、コンタクタ切替制御部5は、外気温が低いほど、所定時間を短くする。
負極側コンタクタ42、正極側コンタクタ43、プリチャージコンタクタ45及びプリチャージ抵抗46が配置されているバッテリパック41は密閉型のバッテリパックであり、外部との熱交換で冷却されており、さらにバッテリパック41は、車体下部の車室外に設置されている。よって、外気温が低いほどバッテリパック41が冷却され、プリチャージ抵抗46が冷却するまでの所定時間を短縮させることができる。これにより、イグニッションスイッチ51のオフと、負極側コンタクタ42及び正極側コンタクタ43のオフ動作音の鳴るタイミングが一致する頻度を高くすることができる。
【0084】
本実施例では、各種センサ情報に基づきコンタクタ切替制御部5が各種の判定や算出を行なう例について説明したが、これに限らず、車両1が外部サーバ等の車外装置と通信可能な通信部を備え、該通信部から送信された各種センサの検出情報に基づき車外装置によって各種の判定や算出が行なわれ、その判定結果や算出結果を通信部で受信して、その受信した判定結果や算出結果を用いて各種制御を行なってもよい。
【0085】
本発明の実施例を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0086】
1 車両
2 モータ
3 インバータ
4 高電圧バッテリ
5 コンタクタ切替制御部
31 平滑コンデンサ
41 バッテリパック
42 負極側コンタクタ(コンタクタ)
43 正極側コンタクタ(コンタクタ)
44 プリチャージ回路
45 プリチャージコンタクタ
46 プリチャージ抵抗
47 温度センサ
51 イグニッションスイッチ
52 外気温センサ
図1
図2
図3
図4