IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オムロン株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-電磁継電器 図1
  • 特開-電磁継電器 図2
  • 特開-電磁継電器 図3
  • 特開-電磁継電器 図4
  • 特開-電磁継電器 図5
  • 特開-電磁継電器 図6
  • 特開-電磁継電器 図7
  • 特開-電磁継電器 図8
  • 特開-電磁継電器 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022141326
(43)【公開日】2022-09-29
(54)【発明の名称】電磁継電器
(51)【国際特許分類】
   H01H 50/56 20060101AFI20220921BHJP
【FI】
H01H50/56 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021041568
(22)【出願日】2021-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100149009
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 稔久
(72)【発明者】
【氏名】西田 剛
(72)【発明者】
【氏名】古川 和樹
(72)【発明者】
【氏名】川口 直樹
(72)【発明者】
【氏名】塚田 尭
(57)【要約】
【課題】可動鉄片を規制するストッパ部材の変形を抑制することが可能な電磁継電器を提供すること。
【解決手段】電磁継電器1において、可動部9は、第1可動接点81および第2可動接点82が第1固定端子6および第2固定端子7に近づく接触方向と、第1可動接点81および第2可動接点82が第1固定接点62および第2固定接点72から開離する開離方向とに移動可能である。可動鉄片45は、可動部9を接触方向に押圧する押圧方向と、可動部9への押圧を解除する解除方向とに移動可能である。コイル41は、可動鉄片45を押圧方向に移動する磁力を発生する。ストッパ部材47は、可動鉄片45の解除方向への移動を規制する。ボビン42は、固定部141と、規制部142と、を有する。固定部141は、ストッパ部材47を固定する。規制部142は、可動鉄片45の衝突によるストッパ部材47の変形を規制する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定接点を有する固定端子と、
前記固定接点に向かい合う可動接点を含む可動接触片を有し、前記可動接点が前記固定端子に近づく接触方向と、前記可動接点が前記固定接点から開離する開離方向とに移動可能な可動部と、
前記可動部を前記接触方向に押圧する押圧方向と、前記可動部への押圧を解除する解除方向とに移動可能な可動鉄片と、
前記可動鉄片を前記押圧方向に移動する磁力を発生するコイルと、
前記コイルが外側に配置されたボビンと、
前記可動鉄片を前記解除方向に付勢する付勢部と、
前記可動鉄片の前記解除方向への移動を規制するストッパ部材と、を備え、
前記ボビンは、前記ストッパ部材を固定する固定部と、前記可動鉄片の衝突による前記ストッパ部材の変形を規制する第1規制部と、を有する、
電磁継電器。
【請求項2】
前記ストッパ部材は、
前記可動鉄片に接触可能なストッパ部と、
前記固定部に固定される被固定部と、
前記被固定部の一端と前記ストッパ部の一端を接続する接続部と、を有し、
前記ストッパ部と前記被固定部は、互いに平行に前記接続部から同一方向に延びて形成されている、
請求項1に記載の電磁継電器。
【請求項3】
前記被固定部は、前記ストッパ部よりも前記押圧方向側に配置されており、
前記固定部は、前記被固定部が挿入される挿入孔を有し、
前記接続部は、前記固定部の前記可動鉄片とは反対側に配置されている、
請求項2に記載の電磁継電器。
【請求項4】
前記第1規制部は、少なくとも前記可動鉄片が非接触の状態において、前記ストッパ部の前記可動鉄片と反対側に前記ストッパ部と所定の隙間を空けて対向して配置されている、
請求項2または3に記載の電磁継電器。
【請求項5】
前記ストッパ部は、前記可動鉄片側の面に配置され、前記可動鉄片と接触可能な凸部を有する、
請求項2~4のいずれか1項に記載の電磁継電器。
【請求項6】
前記ボビンは、前記ストッパ部の先端を規制する第2規制部を更に有し、
前記第2規制部は、前記可動鉄片を挟んで前記第1規制部と対向して配置されており、
前記第2規制部は、少なくとも前記可動鉄片が非接触の状態において、前記ストッパ部と所定の隙間を空けて対向して配置されている、
請求項4に記載の電磁継電器。
【請求項7】
前記ストッパ部は、前記可動鉄片が接触する部分と前記一端の間に形成された凹部を有する、
請求項2~6のいずれか1項に記載の電磁継電器。
【請求項8】
前記固定端子、前記可動鉄片、前記コイル、前記ボビン、前記付勢部、および前記ストッパ部材を覆うケースを更に備え、
前記接続部は、前記ストッパ部と前記被固定部が延びる方向とは反対方向に突出し、弾性を有する膨出部を有し、
前記膨出部は、前記ケースの内側に形成された側壁に接触している、
請求項3に記載の電磁継電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁継電器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気回路を開閉する電磁継電器が知られている。例えば、特許文献1の電磁継電器は、固定接点を含む固定端子と、可動接点を含む可動接触片と、電磁石と、電磁石に引き寄せられる接極子(可動鉄片)と、電磁石による磁力の発生が停止されたときに接極子を電磁石から離間させる板バネが設けられている。電磁石による接極子の引き寄せによって可動接触片が固定端子に向かって移動し、可動接点と固定接点が接触する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-139898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示すような構成において、オーバーシュート等を防ぐために、板バネによる可動鉄片の移動を規制するストッパ部材を設けることが考えられるが、衝撃荷重がかかった際に変形するおそれがある。
【0005】
本発明は、可動鉄片を規制するストッパ部材の変形を抑制することが可能な電磁継電器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る電磁継電器は、固定端子と、可動部と、可動鉄片と、コイルと、ボビンと、付勢部と、ストッパ部材と、を備える。固定端子は、固定接点を有する。可動部は、固定接点に向かい合う可動接点を含む可動接触片を有し、可動接点が固定端子に近づく接触方向と、可動接点が固定接点から開離する開離方向とに移動可能である。可動鉄片は、可動部を接触方向に押圧する押圧方向と、可動部への押圧を解除する解除方向とに移動可能である。コイルは、可動鉄片を押圧方向に移動する磁力を発生する。ボビンは、コイルが外側に配置されている。ストッパ部材は、可動鉄片の解除方向への移動を規制する。ボビンは、固定部と、第1規制部と、を有する。固定部は、ストッパ部材を固定する。第1規制部は、可動鉄片の衝突によるストッパ部材の変形を規制する。
【0007】
このように、第1規制部を設けることによって、可動鉄片による衝撃荷重がストッパ部材にかかった場合にストッパ部材の変形が規制されるため、ストッパ部材の変形を低減することができる。
【0008】
ストッパ部材は、ストッパ部と、被固定部と、接続部と、を有していてもよい。ストッパ部は、可動鉄片に接触可能であってもよい。被固定部は、固定部に固定されてもよい。接続部は、被固定部の一端とストッパ部の一端を接続してもよい。ストッパ部と被固定部は、互いに平行に接続部から同一方向に延びて形成されていてもよい。
【0009】
この場合、ストッパ部材が折れ曲がって形成されていることにより、ストッパ部材が弾性を有し、可動鉄片の衝突による衝撃を緩和することができる。
【0010】
被固定部は、ストッパ部よりも押圧方向側に配置されていてもよい。固定部は、被固定部が挿入される挿入孔を有していてもよい。接続部は、固定部の可動鉄片とは反対側に配置されていてもよい。
【0011】
この場合、被固定部が固定部に形成された挿入孔に挿入されることによって、ストッパ部材を固定部に固定することができる。
【0012】
第1規制部は、少なくとも可動鉄片が非接触の状態において、ストッパ部の可動鉄片と反対側にストッパ部と所定の隙間を空けて対向して配置されている。
【0013】
この場合、可動鉄片の衝突によって可動鉄片と反対側に撓むストッパ部の変形を第1規制部によって規制することができる。
【0014】
ストッパ部は、可動鉄片側の面に配置され、可動鉄片と接触可能な凸部を有していてもよい。
【0015】
この場合、ストッパ部材における可動鉄片との接触位置を安定することができる。
【0016】
ボビンは、ストッパ部の先端を規制する第2規制部を更に有していてもよい。第2規制部は、可動鉄片を挟んで第1規制部と対向して配置されていてもよい。第2規制部は、少なくとも可動鉄片が非接触の状態において、ストッパ部と所定の隙間を空けて対向して配置されていてもよい。
【0017】
この場合、可動鉄片の衝突によるストッパ部材の先端の移動が第2規制部によって規制されるため、ストッパ部材の変形をより抑えることができる。
【0018】
ストッパ部は、鉄片が接触する部分と一端の間に形成された凹部を有していてもよい。
【0019】
この場合、凹部を基準としてストッパ部の先端側を曲げることによって、可動鉄片の規制位置を調整することができる。
【0020】
ケースを更に備えていてもよい。ケースは、固定端子、可動鉄片、コイル、ボビン、付勢部、およびストッパ部材を覆ってもよい。接続部は、ストッパ部と被固定部が延びる方向とは反対方向に突出し、弾性を有する膨出部を有していてもよい。膨出部は、ケースの内側に形成された側壁に接触してもよい。
【0021】
この場合、ストッパ部材がボビンから飛び出すことを押さえることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、可動鉄片を規制するストッパ部材の変形を抑制することが可能な電磁継電器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】電磁継電器の斜視図である。
図2】電磁継電器の内部構造を示す斜視図である。
図3】電磁継電器の内部構造を前方から視た正面図である。
図4】接点装置および駆動装置を前方から見た斜視図である。
図5図4のAA間の矢視断面図である。
図6】(a)ストッパ部材を上方から視た斜視図、(b)ストッパ部材を上方から視た斜視図である。
図7】(a)ストッパ部材を上方から視た平面図、(b)ストッパ部材を右方向から視た側面図、(c)ストッパ部材を前方から視た正面図である。
図8】他の例のストッパ部材をボビンの配置部に配置した状態を示す断面図である。
図9】他の例のストッパ部材を上方から視た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一態様に係る電磁継電器の実施形態について、図面を参照して説明する。各図面において、Z2で示す方向を上方向、Z1で示す方向を下方向、X1で示す方向を左方向、X2で示す方向を右方向、Y1で示す方向を前方向、Y2で示す方向を後方向として説明する。なお、これらの方向は、説明の便宜上、定義されるものであって、電磁継電器の配置方向を限定するものではない。
【0025】
<構成>
(電磁継電器1の概要)
図1は、電磁継電器1の斜視図である。図2は、電磁継電器1からケースを除いた状態を示す斜視図である。図3は、図2の側面図である。
【0026】
電磁継電器1は、図1図3に示すように、ベース2と、ケース10と、接点装置3と、駆動装置4と、磁石部5と、を備えている。
【0027】
ベース2は、樹脂などの絶縁性を有する材料で形成されている。ベース2は、接点装置3及び駆動装置4を支持している。接点装置3及び駆動装置4は、ベース2に取り付けられるケース10によって覆われる。図4は、接点装置3および駆動装置4を前方から視た斜視図である。接点装置3には、2つの第1固定端子6と第2固定端子7と、第1固定端子6と第2固定端子7の間を接続可能な可動接触片90が設けられている。駆動装置4は、可動接触片90を移動し、可動接触片90を、第1固定端子6および第2固定端子7と接触または第1固定端子6および第2固定端子7から開離させる。磁石部5は、接点の開離に伴って発生したアークをローレンツ力により伸長させる。
【0028】
(接点装置3)
接点装置3は、図4に示すように、第1固定端子6(固定端子の一例)と、第2固定端子7(固定端子の一例)と、復帰バネ8と、可動部9と、を有する。第1固定端子6および第2固定端子7は、ベース2に固定されている。可動部9は、可動接触片90を有している。第1固定端子6、第2固定端子7及び可動接触片90は、板状の端子であり、銅などの導電性を有する材料で形成されている。
【0029】
可動接触片90は、第1固定端子6および第2固定端子7と接触または第1固定端子6および第2固定端子7から開離可能である。可動部9は、可動接触片90を、第1固定端子6および第2固定端子7と接触する接触位置と、第1固定端子6および第2固定端子7と開離する開離位置の間で移動する。可動部9は、駆動装置4によって開離位置から接触位置に移動する。復帰バネ8は、可動部9を開離位置に付勢する。
【0030】
(第1固定端子6,第2固定端子7)
第1固定端子6は、図2および図3に示すように、前後方向から見て、U字状に屈曲した形状を有している。第1固定端子6は、ベース2に配置されている。
【0031】
第1固定端子6は、図3に示すように、接点支持部61と、第1固定接点62と、一対の第1外部接続部63および第2外部接続部64と、を有する。
【0032】
接点支持部61は、上下方向に直交する平坦面を有する。第1固定接点62は、接点支持部61に支持されている。第1固定接点62は、接点支持部61から上方に突出している。なお、第1固定接点62は、接点支持部61、第1外部接続部63および第2外部接続部64と一体であってもよい。
【0033】
第1外部接続部63は、左右方向における接点支持部61の両端のうち右側の端から接点支持部61に対して屈曲して下方に延びている。第1外部接続部63は、図4に示すように先端部分631の幅が狭くなっており、ベース2から下方に突出している。
【0034】
第2外部接続部64は、左右方向における接点支持部61の両端のうち左側の端から接点支持部61に対して屈曲して下方に延びている。第2外部接続部64は、図4に示すように、先端部分641の幅が狭くなっており、ベース2から下方に突出している。
【0035】
第1外部接続部63と第2外部接続部64は、左右方向において互いに対向して配置されている。ベース2から突出している先端部分631、641(図3参照)は、図示しない外部機器と電気的に接続される。
【0036】
図4に示すように、第2固定端子7は、第1固定端子6と前後方向に離れた位置でベース2に支持されている。第2固定端子7は、第1固定端子6の後方で第1固定端子6と間隔を隔てて配置されている。第2固定端子7は、第1固定端子6と同様の形状である。第2固定端子7は、図4に示すように、接点支持部71と、第2固定接点72と、1対の第1外部接続部73および第2外部接続部74と、を有する。第2固定端子7の各構成は、第1固定端子6の各構成と同様であるため説明を省略する。
【0037】
(可動部9、復帰バネ8)
可動部9は、図2に示すように、上下方向に延びている。可動部9は、図2に示すように、可動接触片90と、可動部材91と、カバー部材92と、接点バネ93と、を有する。
【0038】
可動接触片90は、図4に示すように、前後方向に延びている。可動接触片90は、可動部材91に連結されている。可動接触片90は、第1固定端子6及び第2固定端子7の上方に配置されている。
【0039】
可動接触片90は、1対の第1可動接点81および第2可動接点82と、接点支持部材83と、を有する。接点支持部材83は、板状であり、前後方向に伸びている。
【0040】
第1可動接点81は、接点支持部材83の前端部に配置されている。第1可動接点81は、第1固定接点62の上方において第1固定接点62と向かい合って配置されている。第1可動接点81は、第1固定接点62に接触可能である。
【0041】
第2可動接点82は、接点支持部材83の後端部に配置されている。第2可動接点82は、第2固定接点72の上方において第2固定接点72と向かい合って配置されている。第2可動接点82は、第2固定接点72に接触可能である。なお、第1可動接点81及び第2可動接点82は、接点支持部材83と一体であってもよい。
【0042】
可動接触片90は、第1方向に移動可能である。第1方向は、第1可動接点81および第2可動接点82が第1固定接点62及び第2固定接点72に近づく接触方向と、第1可動接点81および第2可動接点82が第1固定接点62及び第2固定接点72から開離する開離方向とを含む。本実施形態において、第1方向は、上下方向であり、接触方向は、Z1で示す方向(下方向)であり、開離方向は、Z2で示す方向(上方向)である。
【0043】
可動接触片90は、1対の第1可動接点81および第2可動接点82が第1固定接点62及び第2固定接点72から開離した開位置と、1対の第1可動接点81および第2可動接点82が第1固定接点62及び第2固定接点72に接触する閉位置との間で移動可能である。
【0044】
可動部材91は、図4に示すように、第1可動接点81と第2可動接点82の間で可動接触片90に連結されている。可動部材91は、前後方向における可動接触片90の中央に配置されている。
【0045】
可動部材91およびカバー部材92は、樹脂等の絶縁性を有する材料で形成されている。
【0046】
可動部材91は、押圧部911と、配置部912と、摺動部913と、を有する。押圧部911は、可動部材91の上部に設けられている。押圧部911は、駆動装置4の可動鉄片45によって下方に押圧される部分である。
【0047】
配置部912は、可動部材91の上下方向における略中央の部分である。配置部912には、接点バネ93と可動接触片90が配置される。配置部912は、右側の側壁が開口された配置空間912aを有し、配置空間912aに接点バネ93が配置されている。配置空間912aの下端の前後方向の側壁には、切り欠き914が形成されている。可動接触片90は、両側壁の切り欠き914および配置空間912aを貫通して配置されている。
【0048】
摺動部913は、可動部材91の下端の部分である。摺動部913は、ベース2に形成されたガイド部(図示せず)によってガイドされる。ガイド部は、ベース2の上面において下方に凹むように形成されている。摺動部913がガイド部内を摺動することによって、可動部材91がガイドされる。
【0049】
カバー部材92は、図2および図3に示すように、配置空間912aの右側を塞ぐ。カバー部材92は、可動接触片90が可動部材91から右側に飛び出すことを規制する。
【0050】
接点バネ93は、図4に示すように、コイルバネであり、上下方向に沿って配置空間912aに配置されている。接点バネ93の上端は、配置空間912aの上方側の面に連結されている。接点バネ93の下端は、可動接触片90の第1可動接点81と第2可動接点82の間に連結されている。接点バネ93は、圧縮された状態で配置空間912aの上方側の面と可動接触片90の間に配置されている。これにより、接点バネ93は、可動接触片90を接触方向に向けて付勢している。可動接触片90は、配置空間912aの下方の面に接点バネ93によって押圧されている。
【0051】
接点バネ93は、第1可動接点81の第1固定接点62に対する接触圧ならびに第2可動接点82の第2固定接点72に対する接触圧を増大するために設けられている。
【0052】
復帰バネ8は、可動部材91の摺動部913とベース2のガイド部(図示せず)の間に配置されている。復帰バネ8は、可動部材91を上方に向けて付勢する。復帰バネ8は、可動部9が駆動装置4の押圧から開放された際に、可動部9を上方に向けて移動する。これによって、可動接触片90が接触位置から開離位置に移動する。
【0053】
(磁石部5)
図1に示す磁石部5は、第1固定接点62と第1可動接点81との間で発生したアーク、並びに第2固定接点72と第2可動接点82との間で発生したアークを伸長させるための磁界を前後方向に発生させる。磁石部5は、ケース10の周囲に配置されている。
【0054】
磁石部5は、一対の磁石51と、一対のヨーク52と、を有する(図2参照)。一対の磁石51は、永久磁石である。一対の磁石51は、ケース10の前面と後面に配置されている。図2では、後面に配置されている磁石51のみを示している。一対の磁石51は、異極が対向するように配置されている。
【0055】
一対のヨーク52は、左右方向に沿って視て略L字状であり、ケース10に取り付けられている。一対のヨーク52の各々は、各々の磁石51の外側および上側を覆うように磁石51に接続されている。なお、図2では、後側のヨーク52のみが図示されている。
【0056】
上述した磁石部5によって、第1固定接点62と第1可動接点81との間で発生したアーク、並びに第2固定接点72と第2可動接点82との間で発生したアークが、前後方向(第2方向の一例)に伸長する。
【0057】
(駆動装置4)
駆動装置4は、図2に示すように、接点装置3の左方に配置されている。駆動装置4は、可動部9を上下方向に移動させる。駆動装置4は、図2および図3に示すように、コイル41と、ボビン42と、固定鉄心43と、ヨーク44と、可動鉄片45と、バネ46(付勢部の一例)と、ストッパ部材47と、を有する。
【0058】
コイル41は、ボビン42の外周に巻回されている。ボビン42は、上下方向に延びている。ボビン42は、ベース2に固定されている。固定鉄心43は、ボビン42の内周部に配置されている。ボビン42は、第1フランジ部110と、第2フランジ部120と、配置部130と、を有している。
【0059】
第1フランジ部110は、コイル41の下側の部分である。第1フランジ部110は、板状であり、ベース2に載置されている。第2フランジ部120は、コイル41の上側に配置される。第2フランジ部120は板状である。配置部130は、第2フランジ部120の右端の先端に設けられている。配置部130には、ストッパ部材47が配置される。ストッパ部材47および配置部130については後段にて詳述する。
【0060】
ヨーク44は、前後方向に沿って視て略L字形状であり、コイル41の左方を覆うように配置されている。ヨーク44は、固定鉄心43の下端に接続されている。
【0061】
可動鉄片45は、固定鉄心43の上方に配置されている。可動鉄片45は、左端がヨーク44に回動可能に支持されている。可動鉄片45は、ヨーク44の上端部を支点として回動する。可動鉄片45は、図4に示すように、右端の先端部45aが可動部9の押圧部911に上方から接触する。
【0062】
バネ46は、ヨーク44の上端に前後方向に沿って配置されている。バネ46は、可動鉄片45の上側に配置されている。バネ46は、可動鉄片45を固定鉄心43から離れる方向に付勢する。
【0063】
可動鉄片45は、コイル41への通電によって固定鉄心43に引き寄せられて先端部45aが下方に向かって回動する(図3の矢印B1参照)。コイル41への通電が停止されると、バネ46の作用によって、可動鉄片45は、その先端部45aが上方に向かうように回動する(矢印B2参照)。矢印B1が、押圧方向の一例であり、矢印B2が、解除方向の一例である。
【0064】
ストッパ部材47は、配置部130に配置されている。ストッパ部材47は、バネ46の付勢力による可動鉄片45の所定量以上の上方への移動を規制する。
【0065】
(ストッパ部材47)
図5は、図4のAA間における矢視断面図である。図6(a)は、上方から視たストッパ部材47の斜視図である。図6(b)は、下方から視たストッパ部材47の斜視図である。図7(a)は、上方から視たストッパ部材47の平面図である。図7(b)は、右方向から視たストッパ部材47の側面図である。図7(c)は、前方向から視たストッパ部材47の正面図である。
【0066】
ストッパ部材47は、例えば、細長い板状の部材を折り曲げることによって形成することができる。ストッパ部材47は、ストッパ部471と、被固定部472と、接続部473とを有する。
【0067】
ストッパ部471は、可動鉄片45に接触可能である。ストッパ部471は、細長い板状である。ストッパ部471は、板状の主面が上下方向に対して垂直になるように配置されている。ストッパ部471は、図4および図5に示すように、可動鉄片45の上側に配置されている。ストッパ部471は、前後方向に沿って配置されている。ストッパ部471は、上方から視て可動鉄片45を前後方向に跨ぐように配置されている。なお、本明細書における平行、垂直は、機械的な誤差を含み、社会通念上平行、垂直とみなせる範囲を含む。
【0068】
被固定部472は、配置部130の固定部141(後述する)に固定されている。被固定部472は、細長い板状である。被固定部472は、板状の主面が上下方向に対して垂直になるように配置されている。被固定部472は、前後方向に沿ってストッパ部471と平行に配置されている。被固定部472は、ストッパ部471の下方に配置されている。被固定部472は、可動鉄片45よりも後方側に配置されている。
【0069】
接続部473は、図6(a)および図6(b)に示すように、ストッパ部471の端と被固定部472の端を接続する。接続部473は、細長い板状である。接続部473は、板状の主面が前後方向に対して垂直になるように配置されている。
【0070】
詳細には、接続部473は、ストッパ部471の後側の端471aと、被固定部472の後側の端472aを接続する。接続部473は、図5に示すように、上下方向に沿って配置されている。接続部473の上端からストッパ部471が前方向(同一方向の一例)に向かって延びており、接続部473の下端から被固定部472が前方向(同一方向の一例)に向かって延びている。被固定部472の長さは、ストッパ部471の長さよりも短く形成されている。
【0071】
本実施の形態のストッパ部材47では、図7(b)に示すように、ストッパ部471は接続部473に対して垂直に形成されており、被固定部472は接続部473に対して垂直に形成されている。
【0072】
ストッパ部471は、凸部474と、一対の凹部475と、を有する。凸部474は、ストッパ部471の下方を向く面471cに形成されている。面471cは、ストッパ部471の被固定部472側の面ともいえる。凸部474は、面471cから下方に向かって突出している。図5に示すように、凸部474は、可動鉄片45に接触可能である。一対の凹部475は、図7(a)に示すように、ストッパ部471の凸部474と端471aの間に形成されている。一対の凹部475は、ストッパ部471の幅方向(左右方向)の両端に対向して設けられている。各々の凹部475は、ストッパ部471の下方を向く面471cから上方を向く面471bまで形成されている。一対の凹部475が形成されていることによってストッパ部471の幅が他の部分よりも狭くなっている。これにより、ストッパ部471の凹部475よりも先端側を凹部475の形成部分を基準にして上下方向に回動することができる(図7(b)の矢印参照)。この回動によって、可動鉄片45の上下方向における規制位置を調整することができる。図7(b)には、上方向に回動した状態のストッパ部471が二点鎖線で示されている。
【0073】
接続部473は、膨出部476を有している。膨出部476は、図6(a)、図6(b)および図7(c)に示すように、接続部473の幅方向における中央部分が切り出され、切り出された部分が、ストッパ部471の伸びる方向とは反対方向に突出して形成されている。膨出部476は、接続部473の後方側の面473aから後方側に向かって突出している。膨出部476は、ストッパ部471の伸びる方向とは反対方向に凸に湾曲している。膨出部476は、弾性を有している。
【0074】
(配置部130)
配置部130は、図2および図4に示すように、第2フランジ部120の右側に配置されている。配置部130は、第2フランジ部120の右端に一体的に接続されている。図3に示すように、配置部130の下方の面130aは、第2フランジ部120の下方の面120aと同一面に位置する。配置部130は、第2フランジ部120よりも上方に突出している。
【0075】
配置部130は、図2および図4に示すように、第1端部131と、第2端部132と、中央部133と、を有している。第1端部131は、第2フランジ部120の右端の後部に配置されている。第1端部131は、外形が略直方対形状である。
【0076】
第2端部132は、第2フランジ部の右端の前部に配置されている。第2端部132は、外形が略直方体形状である。第1端部131と第2端部132の上方向への高さは、同じである。
【0077】
中央部133は、第1端部131と第2端部132の間に配置されている。中央部133は、第1端部131と第2端部132に繋がっている。図4に示すように、中央部133の上方向への高さは、第1端部131と第2端部132よりも低く形成されている。可動鉄片45の先端部45aは細く形成されており、中央部133の上側であって第1端部131と第2端部132の間を通って可動部9の押圧部911に向かって延びている。
【0078】
第1端部131は、図5に示すように、固定部141と、規制部142(第1規制部の一例)と、を有している。第1端部131には、前後方向に貫通孔131aが形成されている。貫通孔131aは、略四角柱形状の空間を形成する。固定部141は、第1端部131のうち貫通孔131aの下方側の部分である。固定部141には、後方の側面141aから前方向に向かって挿入孔141bが形成されている。規制部142は、第1端部131の貫通孔131aよりも上側の部分である。規制部142の下方側の面142a(貫通孔131aの上面ともいえる)は、上下方向に対して垂直に形成されている。
【0079】
ストッパ部材47は、第1端部131の固定部141に固定されている。ストッパ部材47の被固定部472が固定部141の挿入孔141bに圧入されている。接続部473は、側面141aに沿って上方に向かって延びるように配置されている。ストッパ部471は、接続部473の上方向側の端から貫通孔131aを通って前方向に延びるように配置されている。ストッパ部471と規制部142の間には、狭小間隔S(隙間の一例)が形成されている。ストッパ部471の先端471eは、第1端部131と第2端部132の間に配置されている。
【0080】
第2端部132にも前後方向に沿って貫通孔132aが形成されている。貫通孔132aは、貫通孔131aと前後方向に沿って直線状に形成されている。
【0081】
図5に示すように、ケース10の上面10aから下方に向かって配置部130を前後で挟むように一対の側壁150、151が形成されている。一対の側壁150、151は、前後方向に対して垂直に配置されている。側壁150は、配置部130の前側に配置されている。側壁151は、配置部130の後側に配置されている。第1端部131の後方に配置される側壁151の前側の面に、ストッパ部材47の膨出部476が当接している。この側壁151の膨出部476への当接によって、ストッパ部材47が配置部130から飛び出すことを規制することができる。
【0082】
<動作>
次に電磁継電器1の動作について説明する。
【0083】
コイル41に電圧が印加されていない状態では、復帰バネ8の弾性力によって可動部9が開離方向に押圧されており、可動接触片90は、開位置に位置している。
【0084】
コイル41に電圧が印加されて駆動装置4が励磁されると、可動鉄片45が固定鉄心43に吸引されて回動し、可動鉄片45によって可動部9が接触方向に押圧される。これにより、可動部9が復帰バネ8の弾性力に抗して接触方向に移動する。
【0085】
可動部9の接触方向への移動に伴い、可動接触片90が閉位置に移動する。これにより、第1可動接点81が第1固定接点62に接触し、第2可動接点82が第2固定接点72に接触する。このとき、接点バネ93によって可動接触片90が接触方向に付勢されているので、第1固定接点62に対する第1可動接点81の接触圧及び第2固定接点72に対する第2可動接点82の接触圧を十分に確保することができる。
【0086】
コイル41の電圧の印加が停止されると、バネ46によって可動鉄片45が固定鉄心43から離間し、可動部9に対する可動鉄片45による押圧が解除される。このため、可動部9は、復帰バネ8の弾性力によって開離方向に移動し、可動接触片90が開位置に戻る。
【0087】
<作用効果等>
本実施の形態の電磁継電器1では、ボビン42にストッパ部材47を固定する固定部141と可動鉄片45の衝突時のストッパ部材47の変形を規制する規制部142を設けている。これによって、可動鉄片45による衝撃荷重がストッパ部材47にかかっても規制部142によってストッパ部材47の変形が規制されるため、ストッパ部材47の変形を低減することができる。
【0088】
本実施の形態の電磁継電器1では、ストッパ部材47が、ストッパ部471と、被固定部472と、接続部473と、を有している。ストッパ部材47は、可動鉄片45に接触可能である。被固定部472は、固定部141に固定されている。接続部473は、被固定部472の端472aとストッパ部471の端471aを接続する。ストッパ部471と被固定部472は、互いに平行に接続部473から同一方向に延びて形成されている。
【0089】
このようにストッパ部材47が折れ曲がって形成されていることにより、ストッパ部材47が弾性を有し、可動鉄片45の衝突による衝撃を緩和することができる。
【0090】
被固定部472は、ストッパ部471よりも可動鉄片45の押圧方向側に配置されている。固定部141は、被固定部472が挿入される挿入孔141bを有している。接続部473は、固定部141の可動鉄片45とは反対側に配置されている。
【0091】
このように被固定部472が固定部141に形成された挿入孔141bに挿入されることによって、ストッパ部材47を固定部141に固定することができる。
【0092】
規制部142は、ストッパ部471の可動鉄片45と反対側に、少なくとも可動鉄片が非接触の状態において、ストッパ部471と所定の狭小間隔Sを空けて対向して配置されている。これにより、可動鉄片45の衝突によって可動鉄片45と反対側に撓むストッパ部471の変形を規制部142によって規制することができる。
【0093】
ストッパ部471は、可動鉄片45側の面に配置され、可動鉄片45と接触可能な凸部474を有する。これにより、ストッパ部材47における可動鉄片45との接触位置を安定することができる。
【0094】
ストッパ部471は、可動鉄片45が接触する部分と端471aの間に形成された凹部475を有する。これにより、凹部475を基準としてストッパ部471の先端側を曲げて、ストッパ部471による可動鉄片45の規制位置を調整することができる。
【0095】
接続部473は、ストッパ部471と被固定部472が延びる方向(前方向)とは反対方向(後方向)に突出し、弾性を有する膨出部476を有する。膨出部476は、ケース10の内側に形成された側壁151に接触する。
【0096】
この場合、ストッパ部材47がボビン42から飛び出すことを押さえることができる。
【0097】
<他の実施形態>
以上、本発明の一態様に係る電磁継電器の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、接点装置3或いは駆動装置4の構成が変更されてもよい。
【0098】
上記実施の形態では、図5に示すように、ストッパ部471の先端が、第2端部132まで届いていないが、第2端部132の貫通孔132aに挿入されていてもよい。図8は、ストッパ部471´の先端が第2端部132の貫通孔132aに挿入されているストッパ部材47´を配置部130に配置した状態を示す断面図である。図9は、ストッパ部材47´を示す斜視図である。ストッパ部材47´は、ストッパ部材47と基本的な構成は同じであるが、ストッパ部471´の長さが、ストッパ部材47のストッパ部471の長さと異なる。図9に示すストッパ部471´は、ストッパ部471よりも凸部474から先端側が長く形成されている。
【0099】
図8に示すように、配置部130にストッパ部材47´を配置した状態では、ストッパ部471´の先端471e´は、第2端部132の貫通孔132aに挿入されている。第2端部132のうち貫通孔132aの上部分が、規制部143(第2規制部の一例)に対応する。規制部143の下方の面143aは上下方向に対して垂直である。規制部143は、ストッパ部471´と狭小間隔Sを空けて配置されている。なお、規制部142とストッパ部471´の間隔と、規制部143とストッパ部471´の間隔は、同じであっても異なっていてもよい。
【0100】
この場合、可動鉄片45の衝突によるストッパ部材47の先端の移動が規制部143によって規制されるため、ストッパ部材47´の変形をより抑えることができる。
【0101】
上記実施の形態で述べたストッパ部材47は、ストッパ部471の先端が第2端部132に届いていないため、第2端部132の貫通孔132aが形成されていなくてもよい。また、第2端部132自体が設けられていなくてもよい。
【0102】
上記実施の形態のストッパ部材47では、ストッパ部471が被固定部472よりも上方に位置しているが、上下方向の高さが高くなってもよい場合には、被固定部472がストッパ部471よりも上方に配置されていてもよい。
【0103】
上記実施の形態では、接続部473が上下方向に沿って配置されているが、上下方向に対して傾斜していてもよい。この場合、接続部473とストッパ部471の成す角度が垂直でなくてもよく、接続部473と被固定部472の成す角度も垂直でなくてもよい。
【0104】
上記実施の形態では、図5に示すように、凹部475は、第1端部131の貫通孔131aの内部に位置しているが、貫通孔131aの外部(第1端部131よりも前方)に位置してもよい。
【符号の説明】
【0105】
1 :電磁継電器
9 :可動部
41 :コイル
42 :ボビン
45 :可動鉄片
47 :ストッパ部材
62 :第1固定接点
72 :第2固定接点
81 :第1可動接点
82 :第2可動接点
141 :固定部
142 :規制部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9