IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東光東芝メーターシステムズ株式会社の特許一覧

特開2022-14134電流検出装置およびこれを用いた電力量計
<>
  • 特開-電流検出装置およびこれを用いた電力量計 図1
  • 特開-電流検出装置およびこれを用いた電力量計 図2
  • 特開-電流検出装置およびこれを用いた電力量計 図3
  • 特開-電流検出装置およびこれを用いた電力量計 図4
  • 特開-電流検出装置およびこれを用いた電力量計 図5
  • 特開-電流検出装置およびこれを用いた電力量計 図6
  • 特開-電流検出装置およびこれを用いた電力量計 図7
  • 特開-電流検出装置およびこれを用いた電力量計 図8
  • 特開-電流検出装置およびこれを用いた電力量計 図9
  • 特開-電流検出装置およびこれを用いた電力量計 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022014134
(43)【公開日】2022-01-19
(54)【発明の名称】電流検出装置およびこれを用いた電力量計
(51)【国際特許分類】
   G01R 15/20 20060101AFI20220112BHJP
   G01R 21/08 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
G01R15/20 C
G01R21/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020116318
(22)【出願日】2020-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】309042071
【氏名又は名称】東光東芝メーターシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】良知 慎一
【テーマコード(参考)】
2G025
【Fターム(参考)】
2G025AA04
2G025AB01
2G025AC01
(57)【要約】
【課題】様々な太さの導体を電流検出装置に挿入した時、導体を中央部に固定する電流検出装置。
【解決手段】第1磁性体取付部1Aa、第1絶縁摺動部1Ab、第1開口側閉固定部1Ad1、第1摺動側閉固定部1Ad2、第1導体固定摺動部1Acを有する第1絶縁体部1Aと、第2電流検出取付部5Aa、第2磁性体取付部5Ab、第1絶縁摺動部に嵌合摺動する第2絶縁摺動部5Ac、第1開口側閉固定部に嵌合固定する第2開口側閉固定部5Ae1、第1摺動側閉固定部に嵌合固定する第2摺動側閉固定部5Ae2、第2導体固定用凹部5Adを有する第2絶縁体部5Aと、第2導体固定用凹部とで導体10を挟み込む導体固定用凸部7Ac、第2絶縁体部の中央部で導体を押え込む導体固定用凹部7Ad、第1導体固定摺動部に篏合する導体固定摺動部7Aa、導体固定ばね受け部7Abを有する導体固定部品7Aと、導体固定部品を押し上げるばね6Aとを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体を流れる被測定電流の方向に直交する面上で前記導体の周囲を囲むように配置され磁気回路の一部を形成する第1磁性体部、第1磁性体部と対向配置した第2磁性体部と、
前記磁気回路の磁路に配置され磁界を検出する電流検出部と、
前記第1磁性体部を取付ける第1磁性体取付部、第1絶縁摺動部、第1開口側閉固定部、第1摺動側閉固定部、第1導体固定摺動部を有する第1絶縁体部と、
前記電流検出部を取付ける第2電流検出取付部、前記第2磁性体部を取付ける第2磁性体取付部、前記第1絶縁体部の第1絶縁摺動部に嵌合して摺動する第2絶縁摺動部、前記第1絶縁体部の第1開口側閉固定部に嵌合して固定する第2開口側閉固定部、前記第1絶縁体部の第1摺動側閉固定部に嵌合して固定する第2摺動側閉固定部、第2導体固定用凹部を有する第2絶縁体部と、
前記第2絶縁体部の第2導体固定用凹部とで前記導体を挟み込む導体固定用凸部、前記第2絶縁体部の中央部で前記導体を押え込む導体固定用凹部、前記第1絶縁体部の第1導体固定摺動部に篏合する導体固定摺動部、導体固定ばね受け部を有する導体固定部品と、
前記第1磁性体部と前記導体固定部品の間に収まり前記導体固定ばね受け部により位置決めされて前記導体固定部品を押し上げるばねとを備え、
前記第1絶縁体部から離れる方向に前記第2絶縁体部を摺動して開状態にし、前記導体を前記第2絶縁体部の第2導体固定用凹部に配置し、前記第1絶縁体部に近づく方向に前記第2絶縁体部を摺動して閉状態にしたとき、前記第1絶縁体部の第1開口側閉固定部が前記第2絶縁体部の第2開口側閉固定部と篏合すると同時に、前記第1絶縁体部の第1摺動側閉固定部が前記第2絶縁体部の第2摺動側閉固定部と篏合し、前記導体固定部品が前記ばねに押され、前記導体固定部品の導体固定用凹部が前記第2絶縁体部の第2導体固定用凹部に前記導体を押え込むことを特徴とする電流検出装置。
【請求項2】
導体を流れる被測定電流の方向に直交する面上で前記導体の周囲を囲むように配置され磁気回路の一部を形成する第1磁性体部、第1磁性体部と対向配置した第2磁性体部と、
前記磁気回路の磁路に配置され磁界を検出する電流検出部と、
前記第1磁性体部を取付ける第1磁性体取付部、第1絶縁摺動部、第1開口側閉固定部、第1摺動側閉固定部、第1導体固定摺動部を有する第1絶縁体部と、
前記電流検出部を取付ける第2電流検出取付部、前記第2磁性体部を取付ける第2磁性体取付部、前記第1絶縁体部の第1絶縁摺動部に嵌合して摺動する第2絶縁摺動部、前記第1絶縁体部の第1開口側閉固定部に嵌合して固定する第2開口側閉固定部、前記第1絶縁体部の第1摺動側閉固定部に嵌合して固定する第2摺動側閉固定部、第2導体固定摺動部を有する第2絶縁体部と、
第1導体固定用凸部と第1導体固定用凹部、第2導体固定用凸部と第2導体固定用凹部、第3導体固定用凸部と第3導体固定用凹部、第4導体固定用凸部と第4導体固定用凹部がそれぞれ対で設けられ、前記第1絶縁体部の第1導体固定摺動部と前記第2絶縁体部の第2導体固定摺動部に篏合して摺動する導体固定摺動部、導体固定ばね受け部を有する、前記第1絶縁体部に取付けられた第1導体固定部品および前記第2絶縁体部に取付けられた第2導体固定部品と、
前記導体固定ばね受け部により位置決めされ、前記第1磁性体部と前記第1導体固定部品の間に収まり前記第1導体固定部品を押し上げる第1ばねおよび前記第2磁性体部と前記第2導体固定部品の間に収まり前記第2導体固定部品を押し上げる第2ばねとを備え、
前記第1絶縁体部から離れる方向に前記第2絶縁体部を摺動して開状態にし、導体を前記第2導体固定部品の中央部に配置し、前記第1絶縁体部に近づく方向に前記第2絶縁体部を摺動して閉状態にしたとき、前記第1絶縁体部の第1開口側閉固定部が前記第2絶縁体部の第2開口側閉固定部と篏合すると同時に、前記第1絶縁体部の第1摺動側閉固定部が前記第2絶縁体部の第2摺動側閉固定部と篏合し、前記第1および第2導体固定部品が前記第1および第2ばねに押され、前記第1導体固定部品と前記第2導体固定部品との間に前記導体を押え込むことを特徴とする電流検出装置。
【請求項3】
導体を流れる被測定電流の方向に直交する面上で前記導体の周囲を囲むように配置され磁気回路の一部を形成する第1磁性体部、第1磁性体部と対向配置した第2磁性体部と、
前記磁気回路の磁路に配置され磁界を検出する電流検出部と、
前記第1磁性体部を取付ける第1磁性体取付部、第1絶縁摺動部、第1開口側閉固定部、第1摺動側閉固定部、第1縦導体固定摺動部、第1横導体固定摺動部を有する第1絶縁体部と
前記電流検出部を取付ける第2電流検出取付部、前記第2磁性体部を取付ける第2磁性体取付部、前記第1絶縁体部の第1絶縁摺動部に嵌合して摺動する第2絶縁摺動部、前記第1絶縁体部の第1開口側閉固定部に嵌合して固定する第2開口側閉固定部、前記第1絶縁体部の第1摺動側閉固定部に嵌合して固定する第2摺動側閉固定部、第2縦導体固定摺動部、第2横導体固定摺動部を有する第2絶縁体部と
第1縦導体固定用凸部と第1縦導体固定用凹部、第2縦導体固定用凸部と第2縦導体固定用凹部、第3縦導体固定用凸部と第3縦導体固定用凹部、第4縦導体固定用凸部と第4縦導体固定用凹部がそれぞれ対で設けられ、前記第1絶縁体部の第1縦導体固定摺動部および前記第2絶縁体部の第2縦導体固定摺動部に篏合して摺動する縦導体固定摺動部、縦導体固定ばね受け部を有する前記第1絶縁体部に取付けられた第1縦導体固定部品および前記第2絶縁体部に取付けられた第2縦導体固定部品と、
第1横導体固定用凸部と第2横導体固定用凸部が中央部で面対称に設けられ、前記第1絶縁体部の第1横導体固定摺動部および前記第2絶縁体部の第2横導体固定摺動部に篏合して摺動する横導体固定摺動部、横導体固定ばね受け部を有する前記第1絶縁体部に取付けられた横導体固定部品および前記第2絶縁体部に取付けられた横導体固定部品と、
前記縦導体固定ばね受け部および前記横導体固定ばね受け部により位置決めされ、前記第1磁性体部および前記第2磁性体部と前記縦導体固定部品および前記横導体固定部品の間に収まり、前記縦導体固定部品と前記横導体固定部品を押し上げるばねとを備え、
前記第1絶縁体部から離れる方向に前記第2絶縁体部を摺動して開状態にし、前記導体を前記縦導体固定部品の中央部に配置した後、前記第1絶縁体部に近づく方向に前記第2絶縁体部を摺動して閉状態にしたとき、前記第1絶縁体部の第1開口側閉固定部が前記第2絶縁体部の第2開口側閉固定部と篏合すると同時に、前記第1絶縁体部の第1摺動側閉固定部が前記第2絶縁体部の第2摺動側閉固定部と篏合し、前記縦導体固定部品が前記ばねに押され、前記第1縦導体固定部品と前記第2縦導体固定部品の間に前記導体を押え込むことと同時に、前記横導体固定部品が前記ばねに押され、前記第1横導体固定部品と前記第2横導体固定部品の間に前記導体を押え込むことを特徴とする電流検出装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の電流検出装置と、
前記導体に発生する電圧を検出する電圧検出部と、
前記電流検出装置により検出された電流と前記電圧検出部で検出された電圧とに基づき電力又は電力量を算出する電力演算部とを備えることを特徴とする電力量計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁電変換により導体を流れる電流の大きさを検出する電流検出装置およびこれを用いた電力量計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般家庭や工場、事務所などに設置されて負荷電流を検出する電流検出装置が知られている。この電流検出装置は、例えば、負荷電流が流れることにより磁界を発生する導体と、この導体により発生された磁界を検出する磁電変換部とを備えている。磁電変換部は、トロイダルコアと呼ばれるドーナツ状の磁性体コアに、エナメル線のような導線を巻いたコイルにより形成される。この電流検出装置を組み立てる際は、磁性体コアの穴に導体を通す必要があり、その作業に手間がかかるので電流検出装置が高価になるという問題点があった。(特許文献1参照)
この問題を解決したのが、磁性体部を2分割して磁性体部を摺動させることで、導体を通すことができる電流検出装置がある(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-37297号公報
【特許文献2】特許第5731876号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、導体の太さが様々あり、太い導体を電流検出装置に挿入できるようにするため、電流検出装置の導体挿入部分を大きくする必要があった。そのため、導体を電流検出装置に挿入して組み込んだ時点において、導体と電流検出装置の間に隙間が生じて導体の位置が固定されない。このため、導体の位置がずれることにより電流の測定誤差が生じ、測定誤差にバラツキが発生していた。
【0005】
本発明の課題は、様々な太さの導体に対しても、導体を電流検出装置に挿入して組み込んだ時点において、導体の位置を中央部に固定して測定精度のバラツキを抑えて、測定精度を高めることができる電流検出装置およびこれを用いた電力量計を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1は、導体を流れる被測定電流の方向に直交する面上で前記導体の周囲を囲むように配置され磁気回路の一部を形成する第1磁性体部、第1磁性体部と対向配置した第2磁性体部と、前記磁気回路の磁路に配置され磁界を検出する電流検出部と、前記第1磁性体部を取付ける第1磁性体取付部、第1絶縁摺動部、第1開口側閉固定部、第1摺動側閉固定部、第1導体固定摺動部を有する第1絶縁体部と、前記電流検出部を取付ける第2電流検出取付部、前記第2磁性体部を取付ける第2磁性体取付部、前記第1絶縁体部の第1絶縁摺動部に嵌合して摺動する第2絶縁摺動部、前記第1絶縁体部の第1開口側閉固定部に嵌合して固定する第2開口側閉固定部、前記第1絶縁体部の第1摺動側閉固定部に嵌合して固定する第2摺動側閉固定部、第2導体固定用凹部を有する第2絶縁体部と、前記第2絶縁体部の第2導体固定用凹部とで前記導体を挟み込む導体固定用凸部、前記第2絶縁体部の中央部で前記導体を押え込む導体固定用凹部、前記第1絶縁体部の第1導体固定摺動部に篏合する導体固定摺動部、導体固定ばね受け部を有する導体固定部品と、前記第1磁性体部と前記導体固定部品の間に収まり前記導体固定ばね受け部により位置決めされて前記導体固定部品を押し上げるばねとを備え、前記第1絶縁体部から離れる方向に前記第2絶縁体部を摺動して開状態にし、前記導体を前記第2絶縁体部の第2導体固定用凹部に配置し、前記第1絶縁体部に近づく方向に前記第2絶縁体部を摺動して閉状態にしたとき、前記第1絶縁体部の第1開口側閉固定部が前記第2絶縁体部の第2開口側閉固定部と篏合すると同時に、前記第1絶縁体部の第1摺動側閉固定部が前記第2絶縁体部の第2摺動側閉固定部と篏合し、前記導体固定部品が前記ばねに押され、前記導体固定部品の導体固定用凹部が前記第2絶縁体部の第2導体固定用凹部に前記導体を押え込むことを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、導体を流れる被測定電流の方向に直交する面上で前記導体の周囲を囲むように配置され磁気回路の一部を形成する第1磁性体部、第1磁性体部と対向配置した第2磁性体部と、前記磁気回路の磁路に配置され磁界を検出する電流検出部と、前記第1磁性体部を取付ける第1磁性体取付部、第1絶縁摺動部、第1開口側閉固定部、第1摺動側閉固定部、第1導体固定摺動部を有する第1絶縁体部と、前記電流検出部を取付ける第2電流検出取付部、前記第2磁性体部を取付ける第2磁性体取付部、前記第1絶縁体部の第1絶縁摺動部に嵌合して摺動する第2絶縁摺動部、前記第1絶縁体部の第1開口側閉固定部に嵌合して固定する第2開口側閉固定部、前記第1絶縁体部の第1摺動側閉固定部に嵌合して固定する第2摺動側閉固定部、第2導体固定摺動部を有する第2絶縁体部と、第1導体固定用凸部と第1導体固定用凹部、第2導体固定用凸部と第2導体固定用凹部、第3導体固定用凸部と第3導体固定用凹部、第4導体固定用凸部と第4導体固定用凹部がそれぞれ対で設けられ、前記第1絶縁体部の第1導体固定摺動部と前記第2絶縁体部の第2導体固定摺動部に篏合して摺動する導体固定摺動部、導体固定ばね受け部とを有する、前記第1絶縁体部に取付けられた第1導体固定部品および前記第2絶縁体部に取付けられた第2導体固定部品と、前記導体固定ばね受け部により位置決めされ、前記第1磁性体部と前記第1導体固定部品の間に収まり前記第1導体固定部品を押し上げる第1ばねおよび前記第2磁性体部と前記第2導体固定部品の間に収まり前記第2導体固定部品を押し上げる第2ばねとを備え、前記第1絶縁体部から離れる方向に前記第2絶縁体部を摺動して開状態にし、導体を前記第2導体固定部品の中央部に配置し、前記第1絶縁体部に近づく方向に前記第2絶縁体部を摺動して閉状態にしたとき、前記第1絶縁体部の第1開口側閉固定部が前記第2絶縁体部の第2開口側閉固定部と篏合すると同時に、前記第1絶縁体部の第1摺動側閉固定部が前記第2絶縁体部の第2摺動側閉固定部と篏合し、前記第1および第2導体固定部品が前記第1および第2ばねに押され、前記第1導体固定部品と前記第2導体固定部品との間に前記導体を押え込むことを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、導体を流れる被測定電流の方向に直交する面上で前記導体の周囲を囲むように配置され磁気回路の一部を形成する第1磁性体部、第1磁性体部と対向配置した第2磁性体部と、前記磁気回路の磁路に配置され磁界を検出する電流検出部と、前記第1磁性体部を取付ける第1磁性体取付部、第1絶縁摺動部、第1開口側閉固定部、第1摺動側閉固定部、第1縦導体固定摺動部、第1横導体固定摺動部を有する第1絶縁体部と、前記電流検出部を取付ける第2電流検出取付部、前記第2磁性体部を取付ける第2磁性体取付部、前記第1絶縁体部の第1絶縁摺動部に嵌合して摺動する第2絶縁摺動部、前記第1絶縁体部の第1開口側閉固定部に嵌合して固定する第2開口側閉固定部、前記第1絶縁体部の第1摺動側閉固定部に嵌合して固定する第2摺動側閉固定部、第2縦導体固定摺動部、第2横導体固定摺動部を有する第2絶縁体部と、第1縦導体固定用凸部と第1縦導体固定用凹部、第2縦導体固定用凸部と第2縦導体固定用凹部、第3縦導体固定用凸部と第3縦導体固定用凹部、第4縦導体固定用凸部と第4縦導体固定用凹部がそれぞれ対で設けられ、前記第1絶縁体部の第1縦導体固定摺動部および前記第2絶縁体部の第2縦導体固定摺動部に篏合して摺動する縦導体固定摺動部、縦導体固定ばね受け部を有する前記第1絶縁体部に取付けられた第1縦導体固定部品および前記第2絶縁体部に取付けられた第2縦導体固定部品と、第1横導体固定用凸部と第2横導体固定用凸部が中央部で面対称に設けられ、前記第1絶縁体部の第1横導体固定摺動部および前記第2絶縁体部の第2横導体固定摺動部に篏合して摺動する横導体固定摺動部、横導体固定ばね受け部を有する前記第1絶縁体部に取付けられた横導体固定部品および前記第2絶縁体部に取付けられた横導体固定部品と、前記縦導体固定ばね受け部および前記横導体固定ばね受け部により位置決めされ、前記第1磁性体部および前記第2磁性体部と前記縦導体固定部品および前記横導体固定部品の間に収まり、前記縦導体固定部品と前記横導体固定部品を押し上げるばねとを備え、前記第1絶縁体部から離れる方向に前記第2絶縁体部を摺動して開状態にし、前記導体を前記縦導体固定部品の中央部に配置した後、前記第1絶縁体部に近づく方向に前記第2絶縁体部を摺動して閉状態にしたとき、前記第1絶縁体部の第1開口側閉固定部が前記第2絶縁体部の第2開口側閉固定部と篏合すると同時に、前記第1絶縁体部の第1摺動側閉固定部が前記第2絶縁体部の第2摺動側閉固定部と篏合し、前記縦導体固定部品が前記ばねに押され、前記第1縦導体固定部品と前記第2縦導体固定部品の間に前記導体を押え込むことと同時に、前記横導体固定部品が前記ばねに押され、前記第1横導体固定部品と前記第2横導体固定部品の間に前記導体を押え込むことを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明の電力量計は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の電流検出装置と、前記導体に発生する電圧を検出する電圧検出部と、前記電流検出装置により検出された電流と前記電圧検出部で検出された電圧とに基づき電力又は電力量を算出する電力演算部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、現行品に比べ、様々な太さの導体に対しても、導体を電流検出装置に挿入して組み込んだ時点において、導体の位置を中央部に固定して測定精度のバラツキを抑えて、測定精度を高めることができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、請求項1に比べ、上下の固定部品により、導体の位置をより中央部に固定することができるため、より測定精度を高めることができる。
【0012】
請求項3の発明によれば、請求項2に比べ、上下の固定部品に加え、左右の固定部品により、導体の位置をより中央部に固定することができるため、より測定精度を高めることができる。
【0013】
請求項4の発明によれば、請求項1~3で挙げられた電流検出装置を利用した電力量計を実現でき、電力量計組立時において、導体に電流検出装置を取り付けたときに、導体を中央部に固定することで測定精度のバラツキを抑えて、測定精度を高めることができるため、電力量計の信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施形態に係る電流検出装置の組立斜視図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る電流検出装置の組立断面図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る電流検出装置の分解斜視図である。
図4】本発明の第2の実施形態に係る電流検出装置の組立斜視図である。
図5】本発明の第2の実施形態に係る電流検出装置の組立断面図である。
図6】本発明の第2の実施形態に係る電流検出装置の分解斜視図である。
図7】本発明の第3の実施形態に係る電流検出装置の組立斜視図である、
図8】本発明の第3の実施形態に係る電流検出装置の組立断面図である。
図9】本発明の第3の実施形態に係る電流検出装置の分解斜視図である。
図10】本発明の第4の実施形態に係る電力量計のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態に係る電流検出装置及び電力量計について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
図1(a)~図1(b)は、本発明の第1の実施形態に係る電流検出装置の組立斜視図である。図1(c)は、本発明の第1の実施形態に係る電流検出装置の斜視図である。図2(a)~図2(b)は、本発明の第1の実施形態に係る電流検出装置の組立断面図、図2(c)は、図2(b)の組立断面図に対応する斜視片側断面図である。図3(a)~図3(b)は、本発明の第1の実施形態に係る電流検出装置の分解斜視図である。図3(c)は、導体固定部品7Aの斜視図である。
【0017】
図1(a)~図1(b)、図2(a)~図2(b)は、第1絶縁体部1Aから離れる方向に第2絶縁体部5Aを縦方向に摺動して開状態とし、導体10を中央部に挿入して第2絶縁体部5Aを第1絶縁体部1Aに近づける方向(縦方向に)に摺動した後、導体固定部品7Aと第2絶縁体部5Aとで導体10を挟み込む状態までの一連の取付手順を示す。
【0018】
電流検出装置は、第1磁性体部2A、第2磁性体部4A、電流検出部3A、第1絶縁体部1A、第2絶縁体部5A、導体固定部品7A、ばね6Aを備えている。
【0019】
導体10は、鉄又は銅などの導電性の金属により構成されている。導体10は、被測定電流である負荷電流が流れることにより磁界を発生する。
【0020】
第1磁性体部2Aは、図2(a)に示すようにコの字状をなす磁性体コアからなり、導体10を流れる被測定電流の方向に直交する面上で、導体10の周囲を囲むように配置されて磁気回路の一部を形成する。
【0021】
第2磁性体部4Aは、L字状をなす磁性体コアからなり、第1磁性体部2Aと対向して配置され、導体10を流れる被測定電流の方向に直交する面上で、第1磁性体部2Aとで導体10の周囲を囲むように配置されて磁気回路の一部を形成する。
【0022】
電流検出部3Aは、例えば、磁気センサから構成され、第1磁性体部2Aと第2磁性体部4Aとで形成される磁気回路の磁路に配置され導体10に流れる電流により発生する磁界を検出する。
【0023】
第1絶縁体部1Aは、例えば樹脂からなり、第2絶縁体部5Aを縦方向に摺動して固定され、図3(b)に示すように、第1磁性体取付部1Aa、第1絶縁摺動部1Ab、第1導体固定摺動部1Ac、第1開口側閉固定部1Ad1、第1摺動側閉固定部1Ad2を有する。
【0024】
第1磁性体取付部1Aaは、コの字状の凹部からなり、コの字状の第1磁性体部2Aを取付ける。第1絶縁摺動部1Abは、凸部からなり、図1に示す第2絶縁体部5Aの縦長の穴部からなる第2絶縁摺動部5Acに嵌合して縦方向に摺動する。
【0025】
第1導体固定摺動部1Acは、凸部からなり、導体固定部品7Aの凹部からなる導体固定摺動部7Aaに篏合して縦方向に摺動する。第1開口側閉固定部1Ad1は、穴部からなり、第2絶縁体部5Aの凸部からなる第2開口側閉固定部5Ae1に嵌合して固定する。第1摺動側閉固定部1Ad2は、凸部からなり、第2絶縁体部5Aの穴部からなる第2摺動側閉固定部5Ae2に嵌合して固定する。
【0026】
第2絶縁体部5Aも、第1絶縁体部1Aと同様に例えば樹脂からなり、第1絶縁体部1Aと対向して配置され、図3(a)に示すように、第2電流検出取付部5Aa、第2磁性体取付部5Ab、第2絶縁摺動部5Ac、第2導体固定用凹部5Ad、第2開口側閉固定部5Ae1、第2摺動側閉固定部5Ae2を有している。
【0027】
第2磁性体取付部5Abに第2磁性体部4Aを取付け、その上部に位置する第2電流検出取付部5Aaに、電流検出部3Aを取り付ける。第2絶縁摺動部5Acは、縦長の穴部からなり、第1絶縁体部1Aの第1絶縁摺動部1Abに嵌合して縦方向に摺動する。第2導体固定用凹部5Adは、V字状の凹部からなり、導体固定部品7AのV字状の導体固定用凸部7Acとで導体10を挟み込む。第2開口側閉固定部5Ae1は、凸部からなり、第1絶縁体部1Aの穴部からなる第1開口側閉固定部1Ad1に嵌合して固定する。第2摺動側閉固定部5Ae2は、穴部からなり、第1絶縁体部1Aの凸部からなる第1摺動側閉固定部1Ad2に嵌合して固定する。
【0028】
導体固定部品7Aは、導体固定摺動部7Aa、導体固定ばね受け部7Ab、導体固定用凸部7Ac、導体固定用凹部7Adを備える。
【0029】
導体固定摺動部7Aaは、凹部からなり、第1絶縁体部1Aの第1導体固定摺動部1Acに篏合して縦方向に摺動する。導体固定ばね受け部7Abは、導体固定部品7Aに円筒状の凹部が形成され、ばね6Aの一端が凹部に接触してばね6Aの位置決めを行う。導体固定用凸部7Acは、第2絶縁体部5Aの第2導体固定用凹部5Adとで導体10を挟み込む。導体固定用凹部7Adは、第2絶縁体部5Aの中央部で導体10を押え込む。
【0030】
ばね6Aは、第1磁性体部2Aと導体固定部品7Aの間に収まり導体固定部品7Aを押し上げる。
【0031】
次に、このように構成された第1の実施形態の電流検出装置の動作を説明する。まず、図1(a)に示すように、第1絶縁体部1Aから離れる方向に第2絶縁体部5Aを縦方向に摺動して開状態とする。次に、導体10を中央部に挿入した後、図1(b)に示すように、第1絶縁体部1Aに近づく方向に第2絶縁体部5Aを縦方向に摺動して閉状態にする。
【0032】
その後、図2(b)に示すように、導体10を第2絶縁体部5Aの第2導体固定用凹部5Adに配置した後、第1絶縁体部1Aに近づく方向に第2絶縁体部5Aを縦方向に摺動して閉状態にしたとき、第1絶縁体部1Aの第1開口側閉固定部1Ad1が第2絶縁体部5Aの第2開口側閉固定部5Ae1と篏合する。
【0033】
この動作と同時に、第1絶縁体部1Aの第1摺動側閉固定部1Ad2が第2絶縁体部5Aの第2摺動側閉固定部5Ae2と篏合し、導体固定部品7Aがばね6Aに押されて、導体固定部品7Aの導体固定用凹部7Adが導体10を押さえ込み、導体固定用凹部7Adに平行して2箇所ある第2絶縁体部5Aの第2導体固定用凹部5Adが導体固定用凹部7Adとは反対向きに押え込む。このとき、導体固定部品7Aの導体固定用凸部7Acと第2絶縁体部5Aの第2導体固定用凹部5Adは相対する形で、導体10を挟み込むことができる。
【0034】
第2絶縁体部5Aの第2導体固定用凹部5Adおよび導体固定部品7Aの導体固定用凹部7Adには、中央部分の凹部分に向けてV字状の勾配が設けられ、この勾配により導体10を中央部に誘導することができる。
【0035】
また、この勾配面で導体10を押え込むため、この勾配面の長さに応じて様々な太さの導体10を押さえ込むことができる。
【0036】
このように第1の実施形態の電流検出装置によれば、現行品に比べ、様々な太さの導体10に対しても、導体10を電流検出装置に挿入して組み込んだ時点において、導体10の位置を中央部に固定して測定精度のバラツキを抑えて、測定精度を高めることができる。
【0037】
(第2の実施形態)
図4(a)~図4(b)は、本発明の第2の実施形態に係る電流検出装置の組立斜視図である。図4(c)は、本発明の第2の実施形態に係る電流検出装置の斜視図である。図5(a)~図5(b)は、本発明の第2の実施形態に係る電流検出装置の組立断面図である。図5(c)は、図5(b)の組立断面図に対応する斜視片側断面図である。斜視図である。図6(a)~図6(b)は、本発明の第2の実施形態に係る電流検出装置の分解斜視図である。図6(c)は、導体固定部品7Bの斜視図である。
【0038】
図4(a)~図4(b)、図5(a)~図5(b)は、第1絶縁体部1Bから離れる方向に第2絶縁体部5Bを縦方向に摺動して開状態とし、導体10を中央部に挿入して第2絶縁体部5Bを第1絶縁体部1Bに近づける方向(縦方向に)に摺動した後、第1絶縁体部1Bに取り付けられた導体固定部品7Bと、第2絶縁体部5Bに取り付けられた導体固定部品7Bの間に導体10を挟み込む状態までの一連の取付手順を示す。
【0039】
電流検出装置は、第1磁性体部2B、第2磁性体部4B、電流検出部3B、第1絶縁体部1B、第2絶縁体部5B、導体固定部品7B、ばね6Bを備えている。
【0040】
第1磁性体部2Bは、図5(a)に示すようにコの字状をなす磁性体コアからなり、導体10を流れる被測定電流の方向に直交する面上で、導体10の周囲を囲むように配置されて磁気回路の一部を形成する。
【0041】
第2磁性体部4Bは、L字状をなす磁性体コアからなり、第1磁性体部2Bと対向して配置され、導体10を流れる被測定電流の方向に直交する面上で、第1磁性体部2Bとで導体10の周囲を囲むように配置されて磁気回路の一部を形成する。
【0042】
電流検出部3Bは、例えば、磁気センサから構成され、第1磁性体部2Bと第2磁性体部4Bとで形成される磁気回路の磁路に配置され導体10に流れる電流により発生する磁界を検出する。
【0043】
第1絶縁体部1Bは、第1磁性体取付部1Ba、第1絶縁摺動部1Bb、第1導体固定摺動部1Bc、第1開口側閉固定部1Bd1、第1摺動側閉固定部1Bd2を有する。
【0044】
第1磁性体取付部1Baは、コの字状の凹部からなり、コの字状の第1磁性体部2Bを取り付ける。第1絶縁摺動部1Bbは、凸部からなり、第2絶縁体部5Bの縦長の穴部からなる第2絶縁摺動部5Bcに嵌合して縦方向に摺動する。第1導体固定摺動部1Bcは、凸部からなり、導体固定部品7Bの凹部からなる導体固定摺動部7Baに嵌合して縦方向に摺動する。第1開口側閉固定部1Bd1は、穴部からなり、第2絶縁体部5Bの凸部からなる第2開口側閉固定部5Be1に嵌合して固定する。第1摺動側閉固定部1Bd2は、凸部からなり、第2絶縁体部5Bの穴部からなる第2摺動側閉固定部5Be2に嵌合して固定する。
【0045】
第2絶縁体部5Bは、第2電流検出取付部5Ba、第2磁性体取付部5Bb、第2絶縁摺動部5Bc、第2導体固定摺動部5Bd、第2開口側閉固定部5Be1、第2摺動側閉固定部5Be2を有している。
【0046】
第2磁性体取付部5Bbは、コの字状の凹部からなり、コの字状の第2磁性体部4Bを取付け、その上部に位置する第2電流検出取付部5Baに、電流検出部3Bを取り付ける。第2絶縁摺動部5Bcは、縦長の穴部からなり、第1絶縁体部1Bの第1絶縁摺動部1Bbに嵌合して縦方向に摺動する。第2導体固定摺動部5Bdは、凸部からなり、導体固定部品7Bの凹部からなる導体固定摺動部7Baに嵌合して縦方向に摺動する。第2開口側閉固定部5Be1は、凸部からなり、第1絶縁体部1Bの穴部からなる第1開口側閉固定部1Bd1に嵌合して固定する。第2摺動側閉固定部5Be2は、穴部からなり、第1絶縁体部1Bの凸部からなる第1摺動側閉固定部1Bd2に嵌合して固定する。
【0047】
導体固定部品7Bは、図6(a)、図6(b)に示すように、上下に2個設けられ、一方の導体固定部品7Bと他方の導体固定部品7Bとが略180度異なる位置で対向するように配置されている。一方の導体固定部品7Bは、第1絶縁体部1Bに取付けられ、他方の導体固定部品7Bは、第2絶縁体部5Bに取付けられている。
【0048】
各々の導体固定部品7Bは、第1導体固定用凸部7Bc1と第1導体固定用凹部7Bd1、第2導体固定用凸部7Bc2と第2導体固定用凹部7Bd2、第3導体固定用凸部7Bc3と第3導体固定用凹部7Bd3、第4導体固定用凸部7Bc4と第4導体固定用凹部7Bd4がそれぞれ対で設けられている。各々の導体固定部品7Bは、導体固定摺動部7Ba、導体固定ばね受け部7Bbを備えている。
【0049】
一方の導体固定部品7Bの導体固定摺動部7Baは、第1絶縁体部1Bの第1導体固定摺動部1Bcに篏合して縦方向に摺動する。他方の導体固定部品7Bの導体固定摺動部7Baは、第2絶縁体部5Bの第2導体固定摺動部5Bdに篏合して縦方向に摺動する。各々の導体固定ばね受け部7Bbは、各々のばね6Bの位置決めを行う。
【0050】
一方のばね6Bは、第1磁性体部2Bと導体固定部品7Bの間に収まり導体固定部品7Bを押し上げる。他方のばね6Bは、第2磁性体部4Bと導体固定部品7Bの間に収まり導体固定部品7Bを押し上げる。
【0051】
次に、このように構成された第2の実施形態の電流検出装置の動作を説明する。まず、図5(a)に示すように、第1絶縁体部1Bから離れる方向に第2絶縁体部5Bを縦方向に摺動して開状態にし、導体10を第2絶縁体部5Bに取付けられた導体固定部品7Bの中央部に配置する。
【0052】
その後、図5(b)に示すように、第1絶縁体部1Bに近づく方向に第2絶縁体部5Bを縦方向に摺動して閉状態にしたとき、第1絶縁体部1Bの第1開口側閉固定部1Bd1が第2絶縁体部5Bの第2開口側閉固定部5Be1と篏合する。
【0053】
この動作と同時に、第1絶縁体部1Bの第1摺動側閉固定部1Bd2が第2絶縁体部5Bの第2摺動側閉固定部5Be2と篏合し、導体固定部品7Bがばね6Bに押されて、第1絶縁体部1Bに取付けられた導体固定部品7Bと、第2絶縁体部5Bに取付けられた導体固定部品7Bの間に導体10を挟み込むことができる。
【0054】
このとき、図5(c)に示すように、第1絶縁体部1Bに取付けられる導体固定部品7Bの第1導体固定用凸部7Bc1が第2絶縁体部5B側に取付けられる導体固定部品7Bの第1導体固定用凹部7Bd1に篏合する。
【0055】
この動作と同時に、図6(b)に示すように、第1絶縁体部1Bに取付けられる導体固定部品7Bの第1導体固定用凹部7Bd1が第2絶縁体部5B側に取付けられる導体固定部品7Bの第1導体固定用凸部7Bc1に篏合する。
【0056】
同様に、図6(b)に示すように、互いの第2導体固定用凸部7Bc2に対して互いの第2導体固定用凹部7Bd2が、互いの第3導体固定用凸部7Bc3に対して互いの第3導体固定用凹部7Bd3が、互いの第4導体固定用凸部7Bc4に対して互いの第4導体固定用凹部7Bd4がそれぞれ篏合する。
【0057】
なお、導体固定用凸部から導体固定用凹部にかけて勾配が設けられており、第1導体固定用凸部7Bc1と第3導体固定用凸部7Bc3の勾配は同じであり、第2導体固定用凸部7Bc2と第4導体固定用凸部7Bc4の勾配は同じである。
【0058】
第1導体固定用凸部7Bc1と第3導体固定用凸部7Bc3の勾配に対して、第2導体固定用凸部7Bc2、第4導体固定用凸部7Bc4の勾配は勾配の略中央部で線対称となっている。この勾配により導体10を中央部に誘導し、互いの勾配面で導体10を押さ込むことができる。また、この勾配面の長さに応じて様々な太さの導体10を押さえ込むことができる。
【0059】
このように第2の実施形態の電流検出装置によれば、第1の実施形態の電流検出装置に比べ、上下の導体固定部品7Bにより、導体10の位置をより中央部に固定することができるため、より測定精度を高めることができる。
【0060】
(第3の実施形態)
図7(a)~図7(b)は、本発明の第3の実施形態に係る電流検出装置の組立斜視図である。図7(c)は、本発明の第3の実施形態に係る電流検出装置の斜視図である。図8(a)~図8(b)は、本発明の第3の実施形態に係る電流検出装置の組立断面図である。図8(c)は、図8(b)の組立断面図に対応する斜視片側断面図である。図9(a)~図9(b)は、本発明の第3の実施形態に係る電流検出装置の分解斜視図である。図9(c)は、横導体固定部品8Cの斜視図である。図9(d)は、縦導体固定部品7Cの斜視図である。
【0061】
図7(a)~図7(b)、図8(a)~図8(b)は、第1絶縁体部1Cから離れる方向に第2絶縁体部5Cを縦方向に摺動して開状態とし、導体10を中央部に挿入して第2絶縁体部5Cを第1絶縁体部1Cに近づける方向(縦方向に)に摺動した後、縦導体固定部品7Cと横導体固定部品8Cで導体10を挟み込む状態までの一連の取付手順を示す。
【0062】
電流検出装置は、第1磁性体部2C、第2磁性体部4C、電流検出部3C、第1絶縁体部1C、第2絶縁体部5C、ばね6C、縦導体固定部品7C、横縦導体固定部品8Cを備えている。
【0063】
第1磁性体部2Cは、図7(a)に示すようにコの字状をなす磁性体コアからなり、導体10を流れる被測定電流の方向に直交する面上で、導体10の周囲を囲むように配置されて磁気回路の一部を形成する。
【0064】
第2磁性体部4Cは、L字状をなす磁性体コアからなり、第1磁性体部2Cと対向して配置され、導体10を流れる被測定電流の方向に直交する面上で、第1磁性体部2Cとで導体10の周囲を囲むように配置されて磁気回路の一部を形成する。
【0065】
電流検出部3Cは、例えば、磁気センサから構成され、第1磁性体部2Cと第2磁性体部4Cとで形成される磁気回路の磁路に配置され導体10に流れる電流により発生する磁界を検出する。
【0066】
第1絶縁体部1Cは、第1磁性体部2Cを取付ける第1磁性体取付部1Ca、第1絶縁摺動部1Cb、第1縦導体固定摺動部1Cc1、第1横導体固定摺動部1Cc2、第1開口側閉固定部1Cd1、第1摺動側閉固定部1Cd2を有する。第1磁性体取付部1Caは、コの字状の凹部からなり、コの字状の第1磁性体部2Cを取付ける。第1絶縁摺動部1Cbは、凸部からなり、第2絶縁体部5Cの縦長の穴部からなる第2絶縁摺動部5Ccに嵌合して縦方向に摺動する。第1縦導体固定摺動部1Cc1は、凸部からなり、縦導体固定部品7Cの凹部からなる縦導体固定摺動部7Caに篏合して縦方向に摺動する。第1横導体固定摺動部1Cc2は、凸部からなり、横導体固定部品8Cの凹部からなる横導体固定摺動部8Caに篏合して横方向に摺動する。第1開口側閉固定部1Cd1は、穴部からなり、第2絶縁体部5Cの凸部からなる第2開口側閉固定部5Ce1に嵌合して固定する。第1摺動側閉固定部1Cd2は、凸部からなり、第2絶縁体部5Cの穴部からなる第2摺動側閉固定部5Ce2に嵌合して固定する。
【0067】
第2絶縁体部5Cは、電流検出部3Cを取付ける第2電流検出取付部5Ca、第2磁性体部4Cを取付ける第2磁性体取付部5Cb、第2絶縁摺動部5Cc、第2縦導体固定摺動部5Cd1、第2横導体固定摺動部5Cd2、第2開口側閉固定部5Ce1、第2摺動側閉固定部5Ce2を有する。第2磁性体取付部5Cbは、コの字状の凹部からなり、コの字状の第2磁性体部4Cを取付け、その上部に位置する第2電流検出取付部5Caに、電流検出部3Cを取付ける。第2絶縁摺動部5Ccは、縦長の穴部からなり、第1絶縁体部1Cの第1絶縁摺動部1Cbに嵌合して縦方向に摺動する。第2縦導体固定摺動部5Cd1は、凸部からなり、縦導体固定部品7Cの凹部からなる縦導体固定摺動部7Caに篏合して縦方向に摺動する。第2横導体固定摺動部5Cd2は、凸部からなり、横導体固定部品8Cの凹部からなる横導体固定摺動部8Caに篏合して横方向に摺動する。第2開口側閉固定部5Ce1は、凸部からなり、第1絶縁体部1Cの穴部からなる第1開口側閉固定部1Cd1に嵌合して固定する。第2摺動側閉固定部5Ce2は、穴部からなり、第1絶縁体部1Cの凸部からなる第1摺動側閉固定部1Cd2に嵌合して固定する。
【0068】
縦導体固定部品7Cは、図9(a)、図9(b)に示すように、上下に2個設けられ、一方の縦導体固定部品7Cと他方の縦導体固定部品7Cとが略180度異なる位置で対向するように配置されている。一方の縦導体固定部品7Cは、第1絶縁体部1Cに取付けられ、他方の縦導体固定部品7Cは、第2絶縁体部5Cに取付けられている。
【0069】
各々の縦導体固定部品7Cは、第1縦導体固定用凸部7Cc1と第1縦導体固定用凹部7Cd1、第2縦導体固定用凸部7Cc2と第2縦導体固定用凹部7Cd2、第3縦導体固定用凸部7Cc3と第3縦導体固定用凹部7Cd3、第4縦導体固定用凸部7Cc4と第4縦導体固定用凹部7Cd4がそれぞれ対で設けられている。各々の縦導体固定部品7Cは、縦導体固定摺動部7Ca、縦導体固定ばね受け部7Cbを備えている。
【0070】
一方の縦導体固定部品7Cの縦導体固定摺動部7Caは、第1絶縁体部1Cの第1導体固定摺動部1Cc1に篏合して縦方向に摺動する。他方の縦導体固定部品7Cの縦導体固定摺動部7Caは、第2絶縁体部5Cの第2縦導体固定摺動部5Cd1に篏合して縦方向に摺動する。各々の縦導体固定ばね受け部7Cbは、各々のばね6Cの位置決めを行う。
【0071】
一方のばね6Cは、第1磁性体部2Cと一方の縦導体固定部品7Cの間に収まり一方の縦導体固定部品7Cを押し上げる。他方のばね6Cは、第2磁性体部4Cと他方の縦導体固定部品7Cの間に収まり他方の縦導体固定部品7Cを押し上げる。
【0072】
横導体固定部品8Cは、図9(a)、図9(b)に示すように、横方向に2個設けられ、第1横導体固定用凸部8Cc1と第2横導体固定用凸部8Cc2が中央部で面対称に設けられ、横導体固定摺動部8Ca、横導体固定ばね受け部8Cbを備える。横導体固定摺動部8Caは、第1絶縁体部1Cの第1横導体固定摺動部1Cc2および第2絶縁体部5Cの第2横導体固定摺動部5Cd2に篏合して横方向に摺動する。
【0073】
ばねは、縦導体固定ばね受け部7Cbおよび横導体固定ばね受け部8Cbにより位置決めされ、第1磁性体部2Cおよび第2磁性体部4Cと縦導体固定部品7Cおよび横導体固定部品8Cの間に収まり、縦導体固定部品7Cと横導体固定部品を8C押し上げる。
【0074】
次に、このように構成された第3の実施形態の電流検出装置の動作を説明する。まず、図7(a)に示すように、第1絶縁体部1Cから離れる方向に第2絶縁体部5Cを縦方向に摺動して開状態にし、導体10を縦導体固定部品7Cの中央部に配置した後、第1絶縁体部1Cに近づく方向に第2絶縁体部5Cを縦方向に摺動して閉状態にしたとき、図8(b)に示すように、第1絶縁体部1Cの第1開口側閉固定部1Cd1が第2絶縁体部5Cの第2開口側閉固定部5Ce1と篏合する。
【0075】
この動作と同時に、第1絶縁体部1Cの第1摺動側閉固定部1Cd2が第2絶縁体部5Cの第2摺動側閉固定部5Ce2と篏合し、縦導体固定部品7Cがばね6Cに押され、上側の縦導体固定部品7Cと下側の縦導体固定部品7Cの間に導体10を押え込む。
【0076】
この動作と同時に、左右(横方向)の横導体固定部品8Cがばね6Cに押されて、左側の横導体固定部品8Cと右側の横導体固定部品8Cの間に導体10を押え込むことができる。
【0077】
このように第3の実施形態の電流検出装置によれば、第2の実施形態の電流検出装置に比べ、上下の縦導体固定部品7Cに加え、左右の横導体固定部品8Cにより、導体10の位置をより中央部に固定することができるため、より測定精度を高めることができる。
【0078】
(第4の実施形態)
図10は、本発明の第4の実施形態に係る電力量計のブロック図である。本発明の第4の実施形態に係る電力量計は、上述した第1の実施形態乃至第3の実施形態に係る電流検出装置を利用した電力量計である。この電力量計は、電流検出装置51、電圧検出部52、電力演算部53、表示部54、記録部55、通信装置56を備えている。
【0079】
電流検出装置51としては、上述した第1の実施形態乃至第3の実施形態に係る電流検出装置のいずれかが利用される。電流検出装置51は、需要家の負荷にて使用される使用電流(AI)を検出し、当該使用電流に応じた電気信号に変換し出力する。
【0080】
電圧検出部52は、被測定系の電圧を検出する部分であり、電圧トランスやアテネッタ等の分圧抵抗器等により構成されており、需要家の負荷にて使用される使用電圧(VI)を検出し、当該使用電圧に正比例した低レベルの電圧信号に変換し出力する。
【0081】
電力演算部53は、電流検出装置51により検出された導体10に流れる電流と、電圧検出部52により検出された導体10の電圧とに基づいて、電力量を演算する。具体的には、電力演算部53は、デジタル乗算回路やDSP(デジタルシグナルプロセッサ)等により構成されており、電流検出装置51から出力された使用電流(AI)に関する信号と、電圧検出部52から出力された使用電圧(VI)に関する信号とを乗算し、需要家の使用電力に正比例したデータ(AI・VI)に変換する。
【0082】
さらに電力演算部53は、使用電力に正比例したデータ(AI・VI)の演算結果を使用量データとして編集し出力する。なお、ここで使用量データとは需要家の負荷にて使用される総積算使用電力量ならびに各時間帯毎の時間帯使用量等、需要家の使用電力に関するデータを言う。
【0083】
この使用量データは記録保持装置等により構成された記録部55に記録され、液晶表示器等により構成された表示部54に使用量データを表示する。記録部55に記録された使用量データについては、通信装置56によりセンター装置57に通報することができる。
以上説明したように、本発明の第4の実施形態に係る電力量計によれば、第1の実施形態乃至第3の実施形態に係る電流検出装置を利用することで、バラツキが少なく精度の高い使用量データを利用することで、品質を高めることができる。
【符号の説明】
【0084】
1A~1C 第1絶縁体部
1Aa~1Ca 第1磁性体取付部
1Ab~1Cb 第1絶縁摺動部
1Ac,1Bc 第1導体固定摺動部
1Cc1 第1縦導体固定摺動部
1Cc2 第1横導体固定摺動部
1Ad1~1Cd1 第1開口側閉固定部
1Ad2~1Cd2 第1摺動側閉固定部
2A~2C 第1磁性体部
3A~3C 電流検出部
4A~4C 第2磁性体部
5A~5C 第2絶縁体部
5Aa~5Ca 第2電流検出取付部
5Ab~5Cb 第2磁性体取付部
5Ac~5Cc 第2絶縁摺動部
5Ad 第2導体固定用凹部
5Bd 第2導体固定摺動部
5Cd1 第2縦導体固定摺動部
5Cd2 第2横導体固定摺動部
5Ae1,5Be1,5Ce1 第2開口側閉固定部
5Ae2,5Be2,5Ce2 第2摺動側閉固定部
6A~6C ばね
7A,7B 導体固定部品
7C 縦導体固定部品
7Aa,7Ba 導体固定摺動部
7Ca 縦導体固定摺動部
7Ab~7Bb 導体固定ばね受け部
7Cb 縦導体固定ばね受け部
7Ac 導体固定用凸部
7Ad 導体固定用凹部
7Bc1 第1導体固定用凸部
7Bc2 第2導体固定用凸部
7Bc3 第3導体固定用凸部
7Bc4 第4導体固定用凸部
7Bd1 第1導体固定用凹部
7Bd2 第2導体固定用凹部
7Bd3 第3導体固定用凹部
7Bd4 第4導体固定用凹部
7Cc1 第1導体固定用凸部
7Cc2 第2導体固定用凸部
7Cc3 第3導体固定用凸部
7Cc4 第4導体固定用凸部
7Cd1 第1導体固定用凹部
7Cd2 第2導体固定用凹部
7Cd3 第3導体固定用凹部
7Cd4 第4導体固定用凹部
8C 横導体固定部品
8Ca 横導体固定摺動部
8Cb 横導体固定ばね受け部
8Cc1 第1横導体固定用凸部
8Cc2 第2横導体固定用凸部
10 導体
51 電流検出装置
52 電圧検出装置
53 電力演算部
54 表示部
55 記録部
56 通信装置
57 センター装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10