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  • 特開-振動測定方法 図1
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  • 特開-振動測定方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022141370
(43)【公開日】2022-09-29
(54)【発明の名称】振動測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01H 1/00 20060101AFI20220921BHJP
   G01V 1/28 20060101ALI20220921BHJP
   E02D 1/02 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
G01H1/00 F
G01V1/28
E02D1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021041633
(22)【出願日】2021-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000219406
【氏名又は名称】東亜建設工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】三枝 弘幸
【テーマコード(参考)】
2D043
2G064
2G105
【Fターム(参考)】
2D043AB07
2G064AB02
2G064BA02
2G064BD02
2G064DD02
2G105AA02
2G105BB01
2G105EE02
2G105LL08
2G105NN02
(57)【要約】
【課題】杭の打設等の工事を行っている施工地盤の測定対象位置における振動量をより簡便に把握できる振動測定方法を提供する。
【解決手段】
格子パターンを有するターゲット3を付した被撮影体4を、工事を行っている施工地盤Gの測定対象位置に配置し、測定対象位置から離れた所定位置に配置した撮影装置4によってターゲット3を撮影する。そして、その撮影装置4が取得したターゲット3の経時変位を示す撮影データを用いて、測定対象位置における振動量を測定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工事を行っている施工地盤の測定対象位置における振動量を測定する振動測定方法において、
格子パターンを有するターゲットを付した被撮影体を前記測定対象位置に配置し、前記測定対象位置から離れた所定位置に配置した撮影装置によって前記ターゲットを撮影し、その撮影装置が取得した前記ターゲットの経時変位を示す撮影データを用いて、前記測定対象位置における振動量を測定することを特徴とする振動測定方法。
【請求項2】
複数箇所の前記測定対象位置にそれぞれ前記ターゲットを付した前記被撮影体を配置し、前記撮影装置によって複数の前記ターゲットを同時に撮影する請求項1に記載の振動測定方法。
【請求項3】
前記測定対象位置の地面上に前記被撮影体を載置する請求項1または2に記載の振動測定方法。
【請求項4】
前記施工地盤に杭の打設施工を行うときに、前記杭を前記被撮影体として、前記杭の周面に前記ターゲットを付して、前記測定対象位置として前記杭の打設位置における振動量を測定する請求項1~3のいずれかに記載の振動測定方法。
【請求項5】
前記施工地盤に杭の打設施工を行うときに、前記杭の周面に付した前記ターゲットと、前記杭の打設位置から離間した前記測定対象位置に配置した前記被撮影体に付した前記ターゲットとを前記撮影装置により同時に撮影して、その前記撮影装置が取得した前記撮影データを用いて、前記杭の貫入状況とともに、前記測定対象位置における振動量を測定する請求項1~4のいずれかに記載の振動測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動測定方法に関し、さらに詳しくは、杭の打設等の工事を行っている施工地盤の測定対象位置における振動量をより簡便に把握できる振動測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
杭を地盤に打設する工事等では施工地盤の測定対象位置に振動センサを設置して工事の影響による施工地盤の振動量を測定している(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、施工地盤は比較的激しく振動するため、振動センサが故障や誤検知し易いという問題がある。複数箇所の振動量を測定する場合には、それぞれの測定対象位置に振動センサを設置する必要があり、測定対象位置が多い場合には多数の振動センサが必要となる。また、それぞれの振動センサの測定データを、施工管理を行うコンピュータにリアルタイムに集約するには、それぞれの振動センサとコンピュータとを通信可能に接続する必要があり、配線作業や通信設定等に多くの手間や時間を要している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-21665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、杭の打設等の工事を行っている施工地盤の測定対象位置における振動量をより簡便に把握できる振動測定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため本発明の振動測定方法は、工事を行っている施工地盤の測定対象位置における振動量を測定する振動測定方法において、格子パターンを有するターゲットを付した被撮影体を前記測定対象位置に配置し、前記測定対象位置から離れた所定位置に配置した撮影装置によって前記ターゲットを撮影し、その撮影装置が取得した前記ターゲットの経時変位を示す撮影データを用いて、前記測定対象位置における振動量を測定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、施工地盤に振動センサ等の電子機器を設置しなくても、測定対象位置に格子パターンを有するターゲットを付した被撮影体を配置し、撮影装置によってターゲットを撮影することで、撮影装置が取得したターゲットの経時変位を示す撮影データを用いて、測定対象位置における振動量を簡便に測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】杭を施工地盤に打設している施工時に振動測定システムを使用して測定対象位置の振動量を測定している状況を断面視で例示する説明図である。
図2】撮影装置により、測定対象位置に載置した被撮影体に付されているターゲットを撮影して取得した画像データを例示する説明図である。
図3】振動測定システムによって測定した測定対象位置における振動量の時系列データを例示するグラフ図である。
図4】撮影装置により、測定対象位置に挿入して設置した被撮影体に付されているターゲットを撮影して取得した画像データを例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の振動測定方法を図に示した実施形態に基づいて説明する。
【0009】
図1に例示する本発明の振動測定方法では、工事を行っている施工地盤Gの測定対象位置における振動量を測定する。以下では、陸上打設機11により杭打設装置12を使用して陸上の施工地盤Gに杭10を打設する工事を行う場合を例示して本発明の振動測定方法を説明する。この振動測定方法は、施工地盤Gに杭10を打設する工事に限らず、例えば、転圧装置などにより施工地盤Gの締固めを行う工事や施工地盤Gを掘削する工事などのその他の工事に採用することもできる。
【0010】
図1に例示するように、施工地盤Gに杭10を打設する工事では、杭10を上下方向に延在して配置し、陸上打設機11に吊り下げられた杭打設装置12により杭10の杭頭部を保持した状態で、杭打設装置12により杭10に対して貫入方向に打撃や振動を加えることで、杭10を施工地盤Gに貫入していく。この実施形態では、杭打設装置12としてバイブロハンマを使用し、バイブロハンマにより杭10に対して貫入方向に振動を加えることで杭10を施工地盤Gに打設する場合を例示する。
【0011】
この振動測定方法で使用する振動測定システム1は、格子パターンを有するターゲット3と、ターゲット3を撮影する撮影装置4と、撮影装置4に通信可能に接続された演算装置5とを有している。
【0012】
ターゲット3は、振動量を測定する測定対象位置に配置した被撮影体2の外面に付して、被撮影体2に対して固定する。被撮影体2は測定対象位置に立設可能な立体物であればよく、形状や大きさ等は特に限定されない。図1および図2では、測定対象位置の地面上に直方体形状の被撮影体2を載置した場合を例示している。被撮影体2として、例えば、一斗缶や鋼材、ブロック部材などを使用することもできる。この実施形態では、さらに、杭10を被撮影体2として、杭10の周面にターゲット3を付している。
【0013】
ターゲット3は、例えば、格子パターン(格子模様)が表面に印刷されたシート部材や板状部材などで構成される。ターゲット3は被撮影体2の地面上に露出した位置に付す。この実施形態では、測定対象位置の地面上に載置している被撮影体2の外周面に、ターゲット3として格子パターンが印刷されたシート部材を貼り付けている。例えば、被撮影体2に格子パターンを直接印刷することで被撮影体2にターゲット3を付すこともできる。また、例えば、被撮影体2に格子パターンが彫られたスタンプを押すことで、被撮影体2にターゲット3を付すこともできる。杭10にターゲット3を付す場合には、シート状のターゲット3を接着剤や結束具、磁石などを用いて杭10の周面に巻き付けた状態で固定するとよい。
【0014】
ターゲット3に設けられる格子パターンは少なくともターゲット3の上下方向または横方向のいずれかの変位を検出できるものであればよい。ターゲット3に設けられる格子パターンの格子の数や格子のサイズ、配色などはこの実施形態に限定されず、他にも様々な構成にすることができる。図2に例示するように、この実施形態では、白地に多数の正方形状の黒い印が上下左右に等間隔で配列された格子パターンを有するターゲット3を例示している。
【0015】
撮影装置4には、動画撮影或いは静止画像を連続撮影可能なカメラを用いる。暗い夜間や天候不良時などには、例えば、ターゲット3を照らす照明機器を併用するとよい。撮影装置4として、例えば、暗所でも撮影可能な赤外線暗視カメラや低照度カメラ(高感度カメラ)等を採用することもできる。撮影装置4によって取得したターゲット3の経時変位を示す撮影データは演算装置5に逐次入力される構成になっている。
【0016】
演算装置5には、コンピュータ等を用いる。この実施形態では、別体の撮影装置4と演算装置5とを通信可能に接続している場合を例示しているが、撮影装置4と演算装置5とが一体化した構成にすることもできる。演算装置5には、撮影装置4から入力されたターゲット3の経時変位を示す撮影データを用いて、そのターゲット3が配置された測定対象位置における振動量を測定するプログラムが格納されている。
【0017】
より詳しくは、演算装置5は、機能要素として、撮影装置4から入力された撮影データの画像からターゲット3に付された格子パターンが写っている解析領域を抽出する解析領域抽出機能と、その抽出した解析領域における格子パターンの経時変位量を算出する変位量算出機能とを有している。演算装置5は、変位量算出機能が算出した格子パターンの経時変位量に基づいて測定対象位置における振動量を求める。
【0018】
以下に、振動測定システム1を用いた振動測定方法の作業手順の一例を説明する。この実施形態では、一台の撮影装置4を用いて複数箇所の測定対象位置の振動量を測定する場合を例示する。
【0019】
図1に例示するように、撮影装置4は、振動量を測定する施工地盤Gの測定対象位置から離れた所定位置に配置する。撮影装置4は、好ましくは施工地盤G上に載置せずに、施工地盤Gの振動が伝わり難い構造物上などに配置するとよい。撮影装置4を施工地盤Gの振動が伝わり易い位置に配置する場合には、免振機能を有する台座上などに撮影装置4を配置するとよい。
【0020】
振動量を測定する施工地盤Gの測定対象位置にターゲット3を付した被撮影体2を配置する。被撮影体2にターゲット3を付す作業は、被撮影体2を施工現場に搬入する前に予め行うこともできるし、施工現場で行うこともできる。この実施形態では、杭10の打設位置から離間した複数箇所の測定対象位置にそれぞれターゲット3を付した被撮影体2を配置している。さらに、杭10の打設位置における振動量を測定する被撮影体2として杭10の周面にターゲット3を付している。ターゲット3は撮影装置4によって撮影可能な向きに配置する。
【0021】
この実施形態のように、一台の撮影装置4を用いて複数箇所の測定対象位置の振動量を測定する場合には、図2に例示するように、撮影装置4の画角(撮影可能範囲)にそれぞれのターゲット3が写り込む位置にそれぞれの被撮影体2を配置する。言い換えると、撮影装置4は、測定対象位置に配置されているそれぞれのターゲット3が画角に収まる位置に配置する。
【0022】
被撮影体2を地面上に載置する場合には、施工地盤が振動した際に地面の動きに対応して被撮影体2が振動するように、被撮影体2は接地面が振動時に地面から離間しない重量に設定する。例えば、被撮影体2として一斗缶などの容器を使用する場合には、被撮影体2の内部に水などの液体や土砂などを入れて被撮影体2の重量を重くするとよい。以上により、振動測定システム1のセッティングが完了する。
【0023】
次いで、陸上打設機11により杭打設装置12を使用して陸上の施工地盤Gに杭10を打設する工事を行う。この際、杭10が打設される際の衝撃が施工地盤Gに伝播して測定対象位置における地面が振動する。地面の振動に伴って測定対象位置に配置されている被撮影体2およびターゲット3も上下方向や左右方向に振動する。この振動しているターゲット3を撮影装置4によって動画撮影或いは静止画像を連続撮影して、ターゲット3の経時変位を示す撮影データを取得する。この実施形態のように、一台の撮影装置4を用いて複数箇所の測定対象位置の振動量を測定する場合には、撮影装置4によって複数のターゲット3を同時に撮影して、複数のターゲット3が写り込んだ撮影データを取得する。撮影装置4によって取得した撮影データは演算装置5に逐次入力する。
【0024】
演算装置5は、撮影装置4から入力されたターゲット3の経時変位を示す撮影データを用いて、そのターゲット3が配置されている測定対象位置における振動量を算出する。より詳しくは、演算装置5は、撮影装置4が取得した撮影データの画像からターゲット3に付された格子パターンが写っている解析領域を抽出するステップと、その抽出した解析領域における格子パターンの経時変位量(所定経過時間毎の変位量)を算出するステップとを行うことで、測定対象位置における振動量を算出する。
【0025】
一台の撮影装置4を用いて複数箇所の測定対象位置の振動量を測定する場合には、撮影データの画像に含まれている複数のターゲット3の格子パターンが写っている解析領域をそれぞれ別々に判別し、抽出した複数の解析領域における格子パターンの経時変位量をそれぞれの別々に算出して、それぞれの測定対象位置における振動量を算出する。
【0026】
杭10を被撮影体2とする場合には、撮影装置4により杭10の周面に付しているターゲット3を撮影して、そのターゲット3の経時変位を示す撮影データを用いて、測定対象位置として杭10の打設位置における振動量を測定する。杭打設装置12としてバイブロハンマを使用する場合には、バイブロハンマにより杭10に対して振動を加える作業を中断した時点から、バイブロハンマにより杭10に振動を加える作業を再開する時点までの間における打設位置における振動量を算出することが可能である。また、撮影装置4が取得した杭10に付されたターゲット3の経時変位を示す撮影データを用いて、演算装置5により杭10の上下変位を算出することで、バイブロハンマにより杭10に振動を加えて杭10を打設している時の杭10の貫入状況(貫入量や貫入深さ、リバウンド量、貫入速度等)を把握することも可能である。
【0027】
図3は、振動測定システム1により測定した測定対象位置における上下方向の振動量(ターゲット3の上下変位)の経時変化を示したグラフ図である。横軸は経過時間を示し、縦軸は測定対象位置における上下方向の振動量を示している。この振動測定方法によって測定した振動量の測定結果は理論値と概ね一致し、この振動測定方法によって比較的高い精度で測定対象位置の振動量を測定できることが確認できた。
【0028】
このように、この振動測定方法によれば、施工地盤Gに振動センサ等の電子機器を設置しなくても、測定対象位置にターゲット3を付した被撮影体2を配置し、撮影装置4によってターゲット3を撮影すれば、その撮影装置4が取得したターゲット3の経時変位を示す撮影データを用いて、測定対象位置における振動量を簡便に測定できる。撮影装置4と演算装置5は施工地盤Gから離れた位置に配置できるので、振動測定に用いる機器が故障するリスクは非常に低い。被撮影体2は施工現場にある一斗缶や鋼材などを用いればよく、ターゲット3も格子パターンを印刷した簡素なシート部材などで構成できるので、この振動測定方法は当業者にとって非常に有用である。この振動測定方法は、測定対象位置の上下方向の振動量だけでなく、同様に測定対象位置の横方向の振動量を測定することも可能である。
【0029】
複数箇所の測定対象位置にそれぞれターゲット3を付した被撮影体2を配置し、撮影装置4によって複数のターゲット3を同時に撮影することで、ターゲット3毎に撮影装置4を設けなくとも、一台の撮影装置4で複数箇所の測定対象位置における振動量を測定することが可能である。少ない機器で、複数箇所の測定対象位置における振動量を簡便に測定できるので、非常に利便性が高い。
【0030】
図2に例示するように、測定対象位置の地面上に被撮影体2を載置すると、被撮影体2およびターゲット3の設置作業と撤去作業を短時間で容易に行える。被撮影体2として施工現場にある一斗缶や鋼材などを地面上に載置して、ターゲット3を付すだけでセッティングが完了するので、測定対象位置における振動量の測定を非常に簡易に行える。被撮影体2を地面上に載置する場合には、被撮影体2の重量を重くして、地面から被撮影体2が離れることを抑制することで、測定対象位置の地面の振動量を精度よく測定することが可能である。
【0031】
図4に例示するように、この振動測定方法では、被撮影体2を施工地盤の地面に挿設することもできる。被撮影体2の下部に設けられた挿入部を地中に挿入して、地上に露出した被撮影体2の上部にターゲット3を付すことで、被撮影体2の重量を重くしなくとも、被撮影体3を地面に対して安定して固定できる。それ故、被撮影体2を地面に挿設すると、簡易に測定対象位置の振動量を精度よく測定できる。図4に例示するように、ターゲット3の格子パターンは、例えば、白地に上下左右に黒い直線が等間隔で配列された構成にすることもできる。
【0032】
施工地盤に杭10の打設施工を行う場合には、杭10を被撮影体2として、杭10の周面にターゲット3を付すことで、杭10の打設位置における地面の振動量を測定することが可能となる。打設位置では地面が激しく振動するため、打設位置の地面に振動センサを設置して振動量を測定することは困難であるが、杭10の周面にターゲット3を付すだけで、簡易に打設位置における振動量を測定することが可能となる。
【0033】
杭10の周面に付されたターゲット3は杭10とともに上下移動し、杭10に付されたターゲット3の上下方向の経時変位は撮影装置4が取得したターゲット3の経時変位を示す撮影データを用いて、演算装置5によって算出することが可能である。そのため、施工地盤に杭10の打設施工を行う場合には、杭10の周面に付したターゲット3と、杭10の打設位置から離間した測定対象位置に配置した被撮影体2に付したターゲット3とを撮影装置4により同時に撮影する。そして、その撮影装置4が取得した撮影データを用いて、杭10の貫入状況とともに、杭10以外の測定対象位置における振動量を測定することで、杭10に加速度計や深度計を設置しなくとも、杭10の貫入状況も簡易に把握できる。それ故、この振動測定方法は、杭10を打設する工事を行う場合に特に有用である。
【0034】
この杭10の貫入状況を把握する方法は、例えば、杭打設装置12として重錘を用いた場合にも採用できる。杭打設装置12として重錘を使用し、杭10を被撮影体2として杭10の周面にターゲット3を付す場合には、重錘が杭10の上方から杭10の杭頭部に落下して杭10に対して貫入方向の打撃を加え終えた時点から次に重錘が杭10の杭頭部に落下する時点までの間における打設位置における振動量を算出することが可能である。また、撮影装置4が取得した杭10に付されたターゲット3の経時変位を示す撮影データを用いて、演算装置5により杭10の上下変位を算出することで、打設時の杭10の貫入状況を把握することも可能である。
【0035】
尚、複数箇所の測定対象位置に配置されたターゲット3を複数の撮影装置4を使用して撮影することもできる。例えば、ターゲット3毎に撮影装置4を設けて、一台の撮影装置4によって一か所のターゲット3を撮影する構成にすることもできる。また、この振動測定方法は、杭10の打設工事に限らず、その他の工事においても同様の方法で測定対象位置における振動量を測定することが可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 振動測定システム
2 被撮影体
3 ターゲット
4 撮影装置
5 演算装置
10 杭
11 陸上打設機
12 杭打設装置
G 施工地盤
図1
図2
図3
図4