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特開2022-141393プルプロガリンの製造方法およびプルプロガリンの精製方法
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  • 特開-プルプロガリンの製造方法およびプルプロガリンの精製方法 図1
  • 特開-プルプロガリンの製造方法およびプルプロガリンの精製方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022141393
(43)【公開日】2022-09-29
(54)【発明の名称】プルプロガリンの製造方法およびプルプロガリンの精製方法
(51)【国際特許分類】
   C25B 3/07 20210101AFI20220921BHJP
   C25B 3/23 20210101ALI20220921BHJP
   C07C 49/747 20060101ALI20220921BHJP
   C07C 45/29 20060101ALI20220921BHJP
   C07C 45/79 20060101ALI20220921BHJP
   A61P 43/00 20060101ALN20220921BHJP
   A61P 29/00 20060101ALN20220921BHJP
   A61P 19/06 20060101ALN20220921BHJP
   A61K 31/122 20060101ALN20220921BHJP
   A23L 33/10 20160101ALN20220921BHJP
【FI】
C25B3/07
C25B3/23
C07C49/747 C
C07C45/29
C07C45/79
A61P43/00 111
A61P29/00
A61P19/06
A61K31/122
A23L33/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021041673
(22)【出願日】2021-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】899000057
【氏名又は名称】学校法人日本大学
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100126882
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 光永
(72)【発明者】
【氏名】山口 勇将
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 日登美
【テーマコード(参考)】
4B018
4C206
4H006
4K021
【Fターム(参考)】
4B018LB10
4B018MD08
4B018ME14
4B018MF10
4C206AA04
4C206CB24
4C206KA04
4C206ZB11
4C206ZC20
4C206ZC31
4H006AA02
4H006AB20
4H006AC28
4H006AC44
4H006AD17
4H006BA91
4H006BC16
4K021AC06
4K021BA02
4K021BA17
4K021BB01
4K021BB02
4K021BB03
4K021BC07
4K021DA13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】収率が高いプルプロガリンの製造方法およびプルプロガリンの精製方法を提供する。
【解決手段】本開示のプルプロガリンの製造方法は、ピロガロールが溶解した電解液に電極を浸漬し、電極を浸漬した後に、電極間に0.9V以下、または1.1V以上電圧を印加し、ピロガロールを電気化学的に酸化し、プルプロガリンを製造する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピロガロールが溶解した電解液に電極を浸漬し、
前記電極を浸漬した後に、前記電極間に0.9V以下、または1.1V以上電圧を印加し、
前記ピロガロールを電気化学的に酸化し、プルプロガリンを製造する、プルプロガリンの製造方法。
【請求項2】
前記電極間に0.8V以下または1.2V以上の前記電圧を印加する、請求項1に記載のプルプロガリンの製造方法。
【請求項3】
前記電極間に0.8V以下の前記電圧を印加する、請求項1または2に記載のプルプロガリンの製造方法。
【請求項4】
前記電解液の前記ピロガロールの溶解度が、前記プルプロガリンの溶解度の100倍以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載のプルプロガリンの製造方法。
【請求項5】
前記電解液の前記ピロガロールの溶解度が、前記プルプロガリンの溶解度の1000倍以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載のプルプロガリンの製造方法。
【請求項6】
前記電解液のpHが3.0~9.0である、請求項1~5のいずれか1項に記載のプルプロガリンの製造方法。
【請求項7】
前記電解液のpHが4.0~7.0である、請求項1~6のいずれか1項に記載のプルプロガリンの製造方法。
【請求項8】
前記電解液のpHが4.0~6.0である、請求項1~7のいずれか1項に記載のプルプロガリンの製造方法。
【請求項9】
前記電解液がリン酸緩衝液である、請求項1~8のいずれか1項に記載のプルプロガリンの製造方法。
【請求項10】
前記電極がグラッシーカーボン電極、白金電極および網状ガラス炭素電極からなる群から選ばれるいずれか1種または2種である、請求項1~9のいずれか1項に記載のプルプロガリンの製造方法。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載のプルプロガリンの製造方法で製造されたプルプロガリンの精製方法であって、
懸濁した電解液をろ過することで、プルプロガリンを精製する、プルプロガリンの精製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プルプロガリンの製造方法およびプルプロガリンの精製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プルプロガリンは、キサンチンオキシダーゼ阻害活性を有することが報告されている。そのため、プルプロガリンは、高尿酸血症(痛風)や炎症性疾患の治療薬としての利用が期待されている。
【0003】
プルプロガリンは、ピロガロールを酸化することで得られる。酸化の方法として化学的に酸化する方法と酵素を用いて酸化する方法がある。
【0004】
特許文献1には、化学的にプルプロガリンを合成した後、カラムクロマトグラフィを用いて精製することで、プルプロガリンを得る方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-237649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のプルプロガリンの製造方法の場合、プルプロガリンの収率が低いという問題がある。
【0007】
本発明は、上記課題を鑑みてなされた発明であり、収率が高いプルプロガリンの製造方法およびプルプロガリンの精製方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
【0009】
<1> 本実施形態に係るプルプロガリンの製造方法は、ピロガロールが溶解した電解液に電極を浸漬し、前記電極を浸漬した後に、前記電極間に0.9V以下、または1.1V以上電圧を印加し、前記ピロガロールを電気化学的に酸化し、プルプロガリンを製造する。
【0010】
<2> 上記<1>に記載のプルプロガリンの製造方法は、前記電極間に0.8V以下または1.2V以上の前記電圧を印加してもよい。
【0011】
<3> 上記<1>または<2>に記載のプルプロガリンの製造方法は、前記電極間に0.8V以下の前記電圧を印加してもよい。
【0012】
<4> 上記<1>~<3>のいずれか1項に記載のプルプロガリンの製造方法は、前記電解液の前記ピロガロールの溶解度が、前記プルプロガリンの溶解度の100倍以上であってもよい。
【0013】
<5> 上記<1>~<4>のいずれか1項に記載のプルプロガリンの製造方法は、前記電解液の前記ピロガロールの溶解度が、前記プルプロガリンの溶解度の1000倍以上であってもよい。
【0014】
<6> 上記<1>~<5>のいずれか1項に記載のプルプロガリンの製造方法は、前記電解液のpHが3.0~9.0であってもよい。
【0015】
<7> 上記<1>~<6>のいずれか1項に記載のプルプロガリンの製造方法は、前記電解液のpHが4.0~7.0であってもよい。
【0016】
<8> 上記<1>~<7>のいずれか1項に記載のプルプロガリンの製造方法は、前記電解液のpHが4.0~6.0であってもよい。
【0017】
<9> 上記<1>~<8>のいずれか1項に記載のプルプロガリンの製造方法は、前記電解液がリン酸緩衝液であってもよい。
【0018】
<10> 上記<1>~<9>のいずれか1項に記載のプルプロガリンの製造方法は、前記電極がグラッシーカーボン電極、白金電極、および網状ガラス炭素電極からなる群から選択されるいずれか1種または2種であってもよい。
【0019】
<11> 本実施形態に係るプルプロガリンの精製方法は、上記<1>~<10>のいずれか1項に記載のプルプロガリンの製造方法で製造されたプルプロガリンの精製方法であって、懸濁した電解液をろ過することで、プルプロガリンを精製する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、収率が高いプルプロガリンの製造方法およびプルプロガリンの精製方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】ピロガロールからプルプロガリンへの推定反応経路を説明するための図である。
図2】ピロガロールの酸化電位の一例と中間体との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(プルプロガリンの製造方法)
本実施形態に係るプルプロガリンの製造方法は、ピロガロールが溶解した電解液に、電極を浸漬し、前記電極間に0.9V以下または1.1V以上の電圧を印加し、前記ピロガロールを電気化学的に酸化することでプルプロガリンを製造する。以下、本発明の実施形態に係るプルプロガリンの製造方法について説明する。
【0023】
本実施形態に係るプルプロガリンの製造方法における、ピロガロールからプルプロガリンへの推定される反応経路について説明する。図1は、ピロガロールからプルプロガリンへの推定される反応経路を示す図である。電気化学的な酸化が進行することで、中間体2、中間体3、中間体4を経由して、中間体5および中間体6が生成される。プルプロガリンは、中間体5および中間体6が縮合することで合成される。
【0024】
図2は、参照電極として銀塩化銀電極を用いたピロガロールの酸化電位の一例を示した図である。横軸は電位(V)を示し、縦軸は電流を示す。ピロガロールでは、2つのピークが確認される。電位が低いほうのピーク(0.4V付近)は、中間体2から中間体3への酸化反応に対応すると推定される。電位が高いほうのピーク(0.8V付近)は、中間体4から中間体5への酸化反応に対応すると推定される。これらのピロガロールのピークは、pHが高いほど低い酸化電位に現れる傾向にある。本実施形態に係るプルプロガリンの製造方法において、電圧はこれらのピーク位置から設定した。
【0025】
(ピロガロールが溶解した電解液)
本実施形態に係るプルプロガリンの製造方法において、ピロガロールが溶解した電解液を用いる。
【0026】
電解液中のピロガロールの濃度は特に限定されない。例えば、ピロガロールの濃度は、0.1mmol/L~10mmol/Lである。
【0027】
ピロガロールを溶解させるための電解液は、少なくとも支持電解質と溶媒とからなる。
【0028】
電解液に用いる溶媒は、ピロガロールが十分に溶解し、支持電解質が十分に解離し、かつ、ピロガロールと比較して反応が起こりにくいのであれば、特に限定されない。溶媒としては、水、メタノール、エタノール、アセトン、Nメチルアセトアミド、ホルムアミド、グリセリン、エチレングリコール、エタノールアミン、ニトロメタン、ジオキサンなどが挙げられる。特に、溶媒としては、副反応を抑制することができる水が好ましい。
【0029】
支持電解質としては、電解液に導電性が発現するのであれば、特に限定されない。支持電解質としては、例えば、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、KCl、NaCl、テトラフルオロほう酸テトラエチルアンモニウム、過塩素酸リチウムなどが挙げられる。
【0030】
電解液のpHは3.0以上9.0以下が好ましい。pHが9.0超であると、図1の中間体6の生成が促進され、副生成物の量が増加する場合があるので好ましくない。pHが3.0未満の場合は、電解液の電流量が低くなり、プルプロガリンの収率が低下する場合があるので好ましくない。より好ましいpHは4.0以上である。pHが4.0以上であることで、電気化学的な酸化以外の酸化反応が抑制されるので、好ましい。さらに好ましいpHは5.0以上である。より好ましい電解液のpHは、7.0以下である。さらに好ましい電解液のpHは、6.0以下である。電解液としては、pHを所定の値に調整したpH緩衝液が好ましい。
【0031】
電解液としては、ピロガロールの溶解度がプルプロガリンの溶解度と比較して100倍以上大きい電解液が好ましい。より好ましくは、ピロガロールの溶解度がプルプロガリンの溶解度と比較して1000倍以上大きい電解液が好ましい。すなわち、電解液は、ピロガロールにとっては良溶媒で、プルプロガリンに対しては貧溶媒であることが好ましい。溶解度は、反応時の温度における溶解度である。ピロガロールの溶解度とプルプロガリンの溶解度とが大きく異なる電解液を用いることで、反応で合成されたプルプロガリンが合成直後に沈殿するので、副反応が起こらず、高純度でプルプロガリンを得ることができる。これによって、精製を容易にできるので、好ましい。溶解度が大きく異なる電解液としては、例えば、リン酸緩衝液などが挙げられる。
【0032】
(電極)
本実施形態に係るプルプロガリンの製造方法において、使用される電極は、一般的な電気化学反応に用いられるものであれば、特に限定されない。電極としては、例えば、グラッシーカーボン電極、網状ガラス炭素電極、白金電極、銀電極などが挙げられる。陽極と陰極は同一でもよいし、異なっていてもよい。電極としては、グラッシーカーボン電極、白金電極、および網状ガラス炭素電極からなる群から選ばれるいずれか1種または2種が好ましい。
【0033】
電極の厚さは電圧を印加できるのであれば、特に限定されない。電極の厚さは、例えば、1mm~5mmである。
【0034】
電極の面積は、電圧を印加できるのであれば、特に限定されない。電極の面積は、例えば、10mm~1000mmである。
【0035】
(電解条件)
本実施形態に係るプルプロガリンの製造方法において、ピロガールを溶解した電解液中に、電極を浸漬し、電極間に電圧を印加することで、プルプロガリンを製造する。
【0036】
本実施形態に係るプルプロガリンの製造方法において、電極間に印加される電圧は、0.9V以下または1.1V以上である。より好ましくは、電極間に印加される電圧は、0.8V以下である。電極間に印加される電圧は、より好ましくは1.2V以上である。電極間に印加される電圧が、0.9V以下または1.1V以上であれば、高い収率でプルプロガリンが得られる。加えて、電極間に印加される電圧が、0.9V以下または1.1V以上であれば、副反応を抑制することができるので、高い理論収率とすることができる。電極間に印加される電圧は、0.6以上であってもよい。そして、電極間に印加される電圧は、1.4V以下であってもよい。
【0037】
本実施形態に係るプルプロガリンの製造方法において、電流密度は、ピロガロールからプルプロガリンを合成できるのであれば、特に限定されない。電流密度は、例えば、0.01A/m~1.00A/mである。
【0038】
電極間の間隔は、ピロガロールからプルプロガリンを合成できるのであれば、特に限定されない。例えば、電極間の間隔は、例えば、2~20mmである。
【0039】
また、電極間に電圧を印加する間、ピロガロールが溶解した電解液を攪拌してもよい。攪拌することで、効率よく反応を進めることができる。
【0040】
電極間に電圧を印加する間の電解液の温度は、電解反応が進むのであれば、特に限定されない。電解液の温度としては例えば、10℃~40℃である。
【0041】
(プルプロガリンの精製方法)
本実施形態に係るプルプロガリンの製造方法では、精密に酸化力を制御することができるので、ピロガロールの副反応を抑制することができる。そのため、プルプロガリンの収率を高くすることができる。電解液にリン酸緩衝液などのプルプロガリンが溶解しない電解液を用いた場合、ピロガロールを電気化学的に酸化して生成されたプルプロガリンは、電解液中に溶解せず、固体の状態で電解液中に分散する。即ち、電解液にリン酸緩衝液などのプルプロガリンが溶解しない電解液を用いた場合、ピロガロールの電気化学的反応によって電解液は懸濁する。この固体状態で分散するプルプロガリンの純度が高いので、ろ過を行うことで、簡易に高純度のプルプロガリンを得ることができる。
【0042】
また、電解液が懸濁していない場合でも、ピロガロールに対し、良溶媒で、プルプロガリンに対し貧溶媒である溶媒を反応後の電解液に投入することで、電解液を懸濁させることができる。この懸濁液をろ過することで、簡易に高純度のプルプロガリンを得ることができる。
【0043】
ろ過によって、得たプルプロガリンの純度を上げるために、再結晶などを行ってもよい。
【0044】
以上、本実施形態に係るプルプロガリンの製造方法および精製方法について詳述した。本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲に記載された本発明の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【実施例0045】
次に、本発明の実施例について説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
【0046】
(0.2Mリン酸二水素ナトリウム溶液)
リン酸二水素ナトリウム二水和物(M.W.156.01、和光純薬株式会社)3.120gを超純水100mLで溶解して、0.2Mリン酸二水素ナトリウム溶液を調整した。
【0047】
(0.2Mリン酸水素二ナトリウム溶液)
リン酸水素二ナトリウム無水(M.W.141.96、和光純薬株式会社)2.839gを超純水100mLで溶解して、0.2Mリン酸水素二ナトリウム溶液を得た。
【0048】
(0.2Mリン酸緩衝液)
0.2Mリン酸二水素ナトリウム溶液に、pHメーターでpHを確認しながら0.2Mリン酸水素二ナトリウム溶液を加え、pH5.0の0.2Mリン酸緩衝液を得た。
【0049】
(実施例1)
ピロガロール60mgに0.2Mリン酸緩衝液(pH:5.0)10mLを加え、ElectraSyn 2.0(IKA、大阪)で電解合成を行った。電解合成条件は、0.8V、1.0F/mol、900rpmとした。電解合成終了後、懸濁液を濾過し、濾物を風乾することにより、実施例1のプルプロガリンを得た。電極にはグラッシーカーボン(厚さ2mm、幅8mm、溶液への浸漬深さ34mm)を用いた。また、電極間の距離は6mmとした。プルプロガリンの同定はH-NMRで行った。
【0050】
(実施例2)
ピロガロール60mgに0.2Mリン酸緩衝液(pH:5.0)10mLを加え、ElectraSyn 2.0(IKA、大阪)で電解合成を行った。電解合成条件は、1.2V、1.0F/mol、900rpmとした。電解合成終了後、懸濁液を濾過し、濾物を風乾することにより、実施例2のプルプロガリンを得た。電極にはグラッシーカーボン(厚さ2mm、幅8mm、溶液への浸漬深さ34mm)を用いた。また、電極間の距離は6mmとした。プルプロガリンの同定はH-NMRで行った。
【0051】
(比較例1)
ピロガロール60mgに0.2Mリン酸緩衝液(pH:5.0)10mLを加え、900rpmで攪拌を行った。攪拌時間は、13.5時間行った。その後、懸濁液を濾過し、濾物を風乾することにより、比較例1のプルプロガリンを得た。プルプロガリンの同定はH-NMRで行った。
【0052】
(比較例2)
ピロガロール60mgに超純水300μLを加えた。過ヨウ素酸ナトリウム48mgを超純水600μLで溶解し、0℃になるまで冷却した。0℃の過ヨウ素酸ナトリウム溶液をピロガロール溶液に添加し、凍結乾燥 (EYELA FDU-506、東京理化器械株式会社、東京)し、比較例2のプルプロガリンを得た。プルプロガリンの同定はH-NMRで行った。
【0053】
(比較例3)
5%(W/V)ピロガロール水溶液1.2mLと0.147M過酸化水素溶液600μLと0.1Mリン酸緩衝液(pH:6.0)1.2mLと超純水8.4mLの混合液を40℃で5分間予備加温した。5分後、1%(W/V)ペルオキシダーゼ溶液600μLを加え、反応を開始した。40℃で30分間反応させた後、2.0N硫酸溶液600μLを加えて、反応を停止させた。そして、凍結乾燥(EYELA FDU-506、東京理化器械株式会社、東京)を行い、比較例3のプルプロガリンを得た。プルプロガリンの同定はH-NMRで行った。なお、1%(W/V)ペルオキシダーゼ溶液は、ペルオキシダーゼ(和光純薬株式会社)10mgを氷冷した0.1Mリン酸緩衝液(pH 6.0)1mLで溶解した。
【0054】
(プルプロガリンの収率および変換率)
実施例1および2、比較例1~3のプルプロガリンの収率および変換率を評価した。プルプロガリンの収率は下記(1)式に基づいて計算した。プルプロガリンの変換率は下記(2)式に基づいて計算した。
プルプロガリン収率=プルプロガリン量(mmol)/理論プルプロガリン量(mmol)・・・(1)
プルプロガリン変換率=プルプロガリン量(mmol)×2/(開始時ピロガロール量(mmol)-反応後残留ピロガロール量(mmol))・・・(2)
【0055】
実施例1のプルプロガリンの場合、収率は34%で、変換率は100%であった。実施例2のプルプロガリンの場合、収率は、26%で、変換率は、68%であった。比較例1のプルプロガリンの場合、電解をかけなかったので、収率4%、変換率は21%であった。比較例2のプルプロガリンの場合、収率は15%で、変換率は、16%であった。比較例3のプルプロガリンの場合、収率は7%で、変換率は、25%であった。
【0056】
(プルプロガリンの純度測定)
実施例1において、通電量を2.85 F/molに増やして電解合成を行った後の懸濁液を濾過した。得られた固形物の純度を評価した。純度は、H-NMRで評価した。得られた純度は95%であった。
【0057】
以上より、本実施形態に係るプルプロガリンの製造方法を用いることで、従来の酸化剤または酵素を用いる製造方法よりも高い収率でプルプロガリンが得られることが確認された。また、従来の方法では、プルプロガリンの変換率が、50%以下であったのに対し、本実施形態に係るプルプロガリンの製造方法を用いることで、50%超の高い変換率が得られることが分かった。加えて、本実施形態に係るプルプロガリンの製造方法では、懸濁液をろ過するのみで、95%という高い純度のプルプロガリンが得られた。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本開示のプルプロガリンの製造方法は、収率が高いので、産業上の利用可能性が高い。
図1
図2