特開 2022-141412 電磁継電器

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2022141412

(43)【公開日】2022-09-29

(54)【発明の名称】電磁継電器

(51)【国際特許分類】

   H01H 50/02 20060101AFI20220921BHJP

【ＦＩ】

H01H50/02 Q

【審査請求】未請求

【請求項の数】8

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2021041697

(22)【出願日】2021-03-15

(71)【出願人】

【識別番号】000002945

【氏名又は名称】オムロン株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100121382

【弁理士】

【氏名又は名称】山下 託嗣

(74)【代理人】

【識別番号】100206760

【弁理士】

【氏名又は名称】黒川 惇

(72)【発明者】

【氏名】塚田 尭

(72)【発明者】

【氏名】西田 剛

(72)【発明者】

【氏名】古川 和樹

(72)【発明者】

【氏名】川口 直樹

(57)【要約】

【課題】電磁継電器において、製造コストの増加を抑えることにある。
【解決手段】電磁継電器は、第１固定端子と、ベースと、磁石とを備える。第１固定端子は、第１固定接点を含む。ベースは、第１固定端子を保持する。ベースは、第１固定接点の近傍に設けられ第１固定端子に向かって開口する磁石挿入孔を含む。磁石は、磁石挿入孔に配置され、第１固定端子によって磁石挿入孔から抜け止めされる。
【選択図】図４

【特許請求の範囲】

【請求項1】

第１固定接点を含む第１固定端子と、
前記第１固定接点の近傍に設けられ前記第１固定端子に向かって開口する磁石挿入孔を含み、前記第１固定端子を保持するベースと、
前記磁石挿入孔に配置され、前記第１固定端子によって前記磁石挿入孔から抜け止めされる磁石と、
を備えた、
電磁継電器。

【請求項2】

前記第１固定端子は、前記磁石挿入孔の全体を塞ぐ、
請求項１に記載の電磁継電器。

【請求項3】

前記磁石は、前記第１固定端子から離れて配置されている、
請求項１又は２に記載の電磁継電器。

【請求項4】

前記第１固定端子は、前記第１固定接点を支持する接点支持部と、前記接点支持部から屈曲して前記ベースから外部に突出する第１延伸部と、を含む、
請求項１から３のいずれか１項に記載の電磁継電器。

【請求項5】

前記第１固定端子は、前記接点支持部に接続され前記第１延伸部と対向する第２延伸部をさらに含み、
前記磁石挿入孔は、前記第１延伸部と前記第２延伸部の間に配置されている、
請求項４に記載の電磁継電器。

【請求項6】

前記第１固定端子は、前記第１固定接点を支持する接点支持部を含み、
前記磁石挿入孔は、前記接点支持部に向かって開口する、
請求項１から５のいずれか１項に記載の電磁継電器。

【請求項7】

前記第１固定接点は、前記第１固定端子にかしめ固定されるかしめ部を含み、
前記かしめ部は、前記磁石挿入孔に配置されている、
請求項１から６のいずれか１項に記載の電磁継電器。

【請求項8】

第２固定接点を含み、前記第１固定端子から離れて配置された第２固定端子と、
前記第１固定接点に対向する第１可動接点と、前記第２固定接点に対向する第２可動接点とを含む可動接触片と、
をさらに備えた
請求項１から７のいずれか１項に記載の電磁継電器。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、電磁継電器に関する。

【背景技術】

【0002】

特許文献１に開示された電磁継電器は、接点に生じるアークを遮断するための磁石を備えている。アークは、磁石の磁力によるローレンツ力によって接点ケース内の消弧空間で伸長される。磁石は、遮断時にアークが磁石を通じて継続することを避けるために、さらにはアークから保護するために、絶縁材で形成された接点ケースの外側に配置されている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２０１２－１０４３６０号公報

【特許文献2】中国実用新案第２０２０１３８５４号明細書

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

特許文献１の電磁継電器において、接点付近の磁束密度を上げるには、磁力が強い磁石を用いる必要があり、電磁継電器の製造コストが増加するおそれがある。また、接点の近くに磁石を配置する場合において、磁石をアークから保護するための部材を別に設けた場合や、磁石を保持するための部材を別に設けた場合も電磁継電器の製造コストが増加するおそれがある。例えば、特許文献２に開示された電磁継電器では、ベースの外側で磁石を保持するためにシール材が塗布されており、製造コストが増加する。

【0005】

本発明の課題は、電磁継電器において、製造コストの増加を抑えることにある。

【課題を解決するための手段】

【0006】

本発明の一態様に係る電磁継電器は、第１固定端子と、ベースと、磁石とを備える。第１固定端子は、第１固定接点を含む。ベースは、第１固定端子を保持する。ベースは、第１固定接点の近傍に設けられ第１固定端子に向かって開口する磁石挿入孔を含む。磁石は、磁石挿入孔に配置され、第１固定端子によって磁石挿入孔から抜け止めされる。

【0007】

この電磁継電器では、磁石は、第１固定端子によって磁石挿入孔から抜け止めされる。すなわち、第１固定端子は、磁石挿入孔の少なくとも一部を覆うように配置されることになるので、第１固定端子によって磁石がアークの影響を受けることを抑えることができる。これにより、磁石をアークから保護するための部材や磁石を保持するための部材を別に設ける場合と比べて、電磁継電器の製造コストの増加を抑えることができる。また、第１固定接点の近傍に磁石を配置できるので、第１固定接点付近において、磁束密度を効率よく上げることができる。その結果、磁力の低い磁石を選定することも可能になるので、さらに電磁継電器の製造コストの増加を抑えることができる。

【0008】

第１固定端子は、磁石挿入孔の全体を塞いでもよい。この場合は、磁石がアークの影響を受けることをさらに抑えることができる。

【0009】

磁石は、第１固定端子から離れて配置されてもよい。この場合は、第１固定端子が磁石に干渉することを抑えることができので、例えば、第１固定接点の高さがばらつくことを避けることができる。

【0010】

第１固定端子は、第１固定接点を支持する接点支持部と、接点支持部から屈曲してベースから外部に突出する第１延伸部と、を含んでもよい。この場合は、例えば、アークが接点支持部から第１延伸部に向かう方向に伸長される場合において、第１延伸部がアークを伸長させるアークホーンの機能を兼ねることができる。

【0011】

第１固定端子は、接点支持部に接続され第１延伸部と対向する第２延伸部をさらに含んでもよい。磁石挿入孔は、第１延伸部と第２延伸部の間に配置されてもよい。この場合は、例えば、極性によってアークの伸長方向が変化する電磁継電器において、第１延伸部及び第２延伸部がアークを伸長させるアークホーンの機能を兼ねることができる。また、第１延伸部、第２延伸部又は接点支持部のいずれかによって磁石を磁石挿入孔から抜け止めできる。

【0012】

第１固定端子は、第１固定接点を支持する接点支持部を含んでもよい。磁石挿入孔は、接点支持部に向かって開口してもよい。この場合は、第１固定接点付近において、磁束密度を効率よく上げることができる。

【0013】

第１固定接点は、第１固定端子にかしめ固定されるかしめ部を含んでもよい。かしめ部は、磁石挿入孔に配置されてもよい。この場合は、磁石挿入孔によってかしめ部がベースと干渉することを避けることができる。すなわち、磁石挿入孔をかしめ部を逃がす空間として用いることができる。

【0014】

電磁継電器は、第１固定端子から離れて配置された第２固定端子と、可動接触片とをさらに備えてもよい。第２固定端子は、第２固定接点を含んでもよい。可動接触片は、第１固定接点に対向する第１可動接点と、第２固定接点に対向する第２可動接点とを含んでもよい。この場合は、第１固定端子と第２固定端子とを備えた電磁継電器において、電磁継電器の製造コストの増加を抑えることができる。

【発明の効果】

【0015】

本発明によれば、電磁継電器において、製造コストの増加を抑えることができる。

【図面の簡単な説明】

【0016】

【図1】電磁継電器の斜視図である。

【図2】電磁継電器の側面図である。

【図3】接点装置を前後方向と直交する平面で切断した断面図である。

【図4】第１固定接点周辺を左右方向と直交する平面で切断した断面図である。

【図5】変形例に係る第１固定端子の断面図である。

【図6】変形例に係る第１固定端子の断面図である。

【図7】変形例に係る第１固定端子の断面図である。

【図8】変形例に係る第１固定端子の断面図である。

【発明を実施するための形態】

【0017】

以下、本発明の一態様に係る電磁継電器の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、各図面において、Ｘ１方向を左方向、Ｘ２方向を右方向、Ｙ１方向を前方向、Ｙ２方向を後方向、Ｚ２方向を上方向、Ｚ１方向を下方向として説明する。なお、これらの方向は、説明の便宜上、定義されるものであって、電磁継電器の配置方向を限定するものではない。

【0018】

図１及び図２に示すように、電磁継電器１は、ベース２と、接点装置３と、駆動装置４とを備えている。ベース２は、樹脂などの絶縁材で形成されている。ベース２は、接点装置３及び駆動装置４を支持している。接点装置３及び駆動装置４は、ベース２に取り付けられる図示しないケースによって覆われる。

【0019】

図３は、接点装置３を前後方向と直交する平面で切断した断面図である。ベース２は、底部２１と、端子支持部２２ａ，２２ｂと、磁石挿入孔２３ａ，２３ｂとを含む。底部２１は、上下方向から見て矩形状である。

【0020】

端子支持部２２ａ，２２ｂは、底部２１から上方に突出して形成されている。端子支持部２２ａは、端子支持部２２ｂと左右方向に離れて配置されている。端子支持部２２ａ，２２ｂの上面は、上下方向に直交する平坦面を含む。

【0021】

磁石挿入孔２３ａは、端子支持部２２ａに設けられている。磁石挿入孔２３ａは、上方に向かって開口する。磁石挿入孔２３ａは、端子支持部２２ａの上面において、下方向に凹むように形成されている。磁石挿入孔２３ａは、左右方向、前後方向及び下方向が端子支持部２２ａで覆われている。磁石挿入孔２３ｂは、端子支持部２２ｂに設けられている。磁石挿入孔２３ｂは、上方に向かって開口する。磁石挿入孔２３ｂは、端子支持部２２ｂの上面において、下方向に凹むように形成されている。

【0022】

接点装置３は、第１固定端子６と、第２固定端子７と、可動接触片８と、可動部材９と、接点バネ１０とを含む。第１固定端子６、第２固定端子７及び可動接触片８は、板状の端子であり、銅などの導電性を有する材料で形成されている。

【0023】

第１固定端子６及び第２固定端子７は、断面がＵ字状であり、左右方向から見て、Ｕ字状に屈曲した形状を有している。第１固定端子６及び第２固定端子７は、ベース２に保持されている。第１固定端子６及び第２固定端子７は、例えば、ベース２に圧入固定されている。

【0024】

第１固定端子６は、第１固定接点６ａと、接点支持部６ｂと、第１延伸部６ｃと、第２延伸部６ｄと、１対の外部接続部６ｅと、を含む。第１固定接点６ａは、接点支持部６ｂに配置されている。第１固定接点６ａは、第１固定端子６にかしめ固定されるかしめ部６ｆを含む。かしめ部６ｆは、接点支持部６ｂから下方に突出する。かしめ部６ｆは、磁石挿入孔２３ａに配置される。

【0025】

接点支持部６ｂは、端子支持部２２ａの上面に支持されている。接点支持部６ｂは、上下方向と直交する方向に延びている。接点支持部６ｂは、第１固定接点６ａを支持する。接点支持部６ｂは、第１固定接点６ａがかしめ固定されている。なお、第１固定接点６ａは、第１固定端子６と一体であってもよく、かしめ部６ｆが省略されてもよい。

【0026】

第１延伸部６ｃ及び第２延伸部６ｄは、ベース２の底部２１に圧入固定されている。第１延伸部６ｃは、接点支持部６ｂに接続され、ベース２から外部に突出する。第１延伸部６ｃは、接点支持部６ｂの前端から下方に屈曲し、ベース２の底部２１から下方に突出する。第１延伸部６ｃは、端子支持部２２ａの前面に接触している。第２延伸部６ｄは、第１延伸部６ｃと前後方向に対向する。第２延伸部６ｄは、接点支持部６ｂに接続され、ベース２から外部に突出する。第２延伸部６ｄは、接点支持部６ｂの後端から下方に屈曲し、ベース２の底部２１から下方に突出する。第２延伸部６ｄは、端子支持部２２ａの後面に接触している。１対の外部接続部６ｅは、第１延伸部６ｃの下端及び第２延伸部６ｄの下端に配置されており、図示しない外部機器と電気的に接続される。

【0027】

第２固定端子７は、第１固定端子６と左右方向に離れて配置されている。第２固定端子７は、第１固定端子６と同様の形状である。第２固定端子７は、第２固定接点７ａと、接点支持部７ｂと、第１延伸部７ｃと、第２延伸部７ｄと、１対の外部接続部７ｅと、を含む。第２固定接点７ａは、かしめ部７ｆを含む。第２固定端子７の各構成は、第１固定端子６の各構成と同様であるため説明を省略する。

【0028】

可動接触片８は、左右方向に延びている。可動接触片８の長手方向は、左右方向と一致する。可動接触片８は、第１固定端子６及び第２固定端子７の上方に配置されている。可動接触片８は、第１可動接点８ａと、第２可動接点８ｂとを含む。第１可動接点８ａは、第１固定接点６ａと上下方向に対向し、第１固定接点６ａに接触可能である。第２可動接点８ｂは、第２固定接点７ａと上下方向に対向し、第２固定接点７ａに接触可能である。なお、本実施形態では、第１可動接点８ａ及び第２可動接点８ｂは、可動接触片８にかしめ固定されているが、第１可動接点８ａ及び第２可動接点８ｂは、可動接触片８と一体であってもよい。

【0029】

可動接触片８は、第１可動接点８ａが第１固定接点６ａに近づく接触方向と、第１可動接点８ａが第１固定接点６ａから開離する開離方向とに移動可能である。本実施形態では、可動接触片８は、上下方向に移動可能である。可動接触片８は、可動部材９に連結されている。可動接触片８は、可動部材９に対して上下方向に相対移動可能である。

【0030】

可動部材９は、上下方向に延びている。可動部材９は、左右方向における可動接触片８の中央に配置されている。可動部材９は、樹脂などの絶縁材で形成されている。可動部材９は、上端が駆動装置４に連結されている。可動部材９は、上下方向に移動可能である。

【0031】

接点バネ１０は、コイルバネであり、可動接触片８を接触方向（ここでは、下方向）に付勢する。接点バネ１０は、可動部材９の内部に収容されている。

【0032】

駆動装置４は、接点装置３の後方に配置されている。駆動装置４は、可動部材９を介して可動接触片８を上下方向に移動させる。駆動装置４は、コイル４ａと、スプール４ｂと、固定鉄心４ｃと、ヨーク４ｄと、可動鉄片４ｅと、ヒンジバネ４ｆ、復帰バネ４ｇとを含む。

【0033】

コイル４ａは、スプール４ｂの外周に巻回されている。スプール４ｂは、上下方向に延びている。固定鉄心４ｃは、スプール４ｂの内周部に配置されている。ヨーク４ｄは、コイル４ａの後方を覆うように配置されている。ヨーク４ｄは、左右方向から見て略Ｌ字状である。ヨーク４ｄは、固定鉄心４ｃの下端に接続されている。

【0034】

可動鉄片４ｅは、ヒンジバネ４ｆを介してヨーク４ｄに回動可能に支持されている。可動鉄片４ｅは、ヨーク４ｄの上端を支点として回動する。可動鉄片４ｅは、前端が可動部材９の上部に配置されている。可動鉄片４ｅは、固定鉄心４ｃの上方に配置されている。ヒンジバネ４ｆは、可動鉄片４ｅを固定鉄心４ｃから離れる方向に付勢する。復帰バネ４ｇは、ベース２の底部２１と可動部材９との間に配置されている。復帰バネ４ｇは、可動部材９を開離方向（ここでは、上方向）に付勢する。

【0035】

次に電磁継電器１の動作について説明する。コイル４ａに電圧が印加されていない状態では、ヒンジバネ４ｆ及び復帰バネ４ｇの弾性力によって可動部材９が開離方向に押圧されている。このため、第１可動接点８ａは、第１固定接点６ａから開離しており、第２可動接点８ｂは、第２固定接点７ａから開離している。

【0036】

コイル４ａに電圧が印加されて駆動装置４が励磁されると、可動鉄片４ｅが固定鉄心４ｃに吸引されて回動し、可動鉄片４ｅによって可動部材９が接触方向に押圧される。これにより、可動部材９がヒンジバネ４ｆ及び復帰バネ４ｇの弾性力に抗して接触方向に移動する。可動部材９の接触方向の移動に伴い、接点バネ１０が接触方向に移動する。これにより、可動接触片８が接触方向に移動して、第１可動接点８ａは、第１固定接点６ａに接触し、第２可動接点８ｂは、第２固定接点７ａに接触する。コイル４ａの電圧の印加が停止されると、可動部材９は、ヒンジバネ４ｆ及び復帰バネ４ｇの弾性力によって開離方向に移動する。

【0037】

図４は、第１固定接点６ａ周辺を左右方向と直交する平面で切断した断面図である。図３及び図４に示すように、電磁継電器１は、磁石３０ａ，３０ｂをさらに備えている。磁石３０ａ，３０ｂは、永久磁石である。磁石３０ａ，３０ｂ、例えばフェライト磁石である。

【0038】

磁石３０ａは、磁石挿入孔２３ａに配置されている。磁石３０ａは、第１固定端子６によって磁石挿入孔２３ａから抜け止めされている。ここで、磁石挿入孔２３ａは、第１固定接点６ａの近傍に設けられており、第１固定端子６に向かって開口する。磁石挿入孔２３ａは、第１延伸部６ｃと第２延伸部６ｄの間に配置されている。本実施形態では、磁石挿入孔２３ａは、接点支持部６ｂの下部に設けられており、接点支持部６ｂに向かって開口する。第１固定端子６は、磁石挿入孔２３ａの全体を塞ぐ。磁石挿入孔２３ａは、第１固定端子６の接点支持部６ｂによってシールされている。なお、磁石３０ａは、磁石挿入孔２３ａに例えば軽圧入されていてもよい。その場合は、電磁継電器１の取り付け方向によって磁石３０ａの位置が変動して遮断性能に影響が出ることを防止できる。

【0039】

磁石３０ａは、第１固定接点６ａの下方に配置されており、上下方向から見て第１固定接点６ａと重なる。磁石３０ａは、第１固定端子６から離れて配置されており、第１固定端子６と接触していない。磁石３０ａは、かしめ部６ｆから上下方向に離れて配置されている。

【0040】

磁石３０ａは、第１固定接点６ａと第１可動接点８ａとの接点間において、磁石３０ａの磁束が上下方向と交差する方向に流れるように配置される。例えば、磁石３０ａは、Ｎ極とＳ極とが左右方向を向くように配置される。なお、磁石３０ａは、Ｎ極とＳ極とが左右方向を向くように配置されてもよい。

【0041】

磁石３０ｂは、磁石３０ａと配置が異なることを除いて磁石３０ａと同様の構成である。磁石３０ｂは、磁石挿入孔２３ｂに配置されている。磁石３０ｂは、第２固定端子７によって磁石挿入孔２３ｂから抜け止めされている。磁石挿入孔２３ｂは、第２固定接点７ａの近傍に設けられており、第２固定端子７に向かって開口する。磁石挿入孔２３ｂは、第１延伸部７ｃと第２延伸部７ｄの間に配置されている。本実施形態では、磁石挿入孔２３ｂは、接点支持部７ｂの下部に設けられており、接点支持部７ｂに向かって開口する。第２固定端子７は、磁石挿入孔２３ｂの全体を塞ぐ。磁石挿入孔２３ｂは、第２固定端子７の接点支持部７ｂによってシールされている。

【0042】

この電磁継電器１では、磁石３０ａは、第１固定端子６によって磁石挿入孔２３ａから抜け止めされる。すなわち、第１固定端子６は、磁石挿入孔２３ａの少なくとも一部を覆うように配置されることになるので、第１固定端子６によって磁石３０ａが第１固定接点６ａと第１可動接点８ａとの間で生じるアークの影響を受けることを抑えることができる。これにより、磁石３０ａをアークから保護するための部材や磁石３０ａを保持するための部材を別に設ける場合と比べて、電磁継電器１の製造コストの増加を抑えることができる。また、第１固定接点６ａの近傍に磁石３０ａを配置できるので、第１固定接点６ａ付近において、磁束密度を効率よく上げることができる。その結果、磁石３０ａにおいて、ネオジム磁石よりも安価なフェライト磁石を選定することも可能になるので、さらに電磁継電器１の製造コストの増加を抑えることができる。なお、磁石３０ｂについては、第２固定接点７ａ付近において磁束密度を効率よく上げることができ、磁石３０ａと同様の効果を得ることができる。

【0043】

本実施形態では、第１固定端子６によって磁石挿入孔２３ａの全体が塞がれているので、磁石３０ａがアークの影響を受けることをさらに抑えることができる。

【0044】

また、第１固定接点６ａの下方に磁石３０ａが配置されるので、第１固定接点６ａの下方に強い磁束が発生することになり、アークが下方に引き延ばされ易くなる。このため、第１延伸部６ｃ及び第２延伸部６ｄは、アークを伸長させるアークホーンの機能を兼ねることができる。また、かしめ部６ｆを磁石挿入孔２３ａに配置することで、磁石挿入孔２３ａをかしめ部６ｆを逃がす空間として用いることができる。

【0045】

以上、本発明の一態様に係る電磁継電器の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、接点装置３或いは駆動装置４の構成が変更されてもよい。

【0046】

前記実施形態では、第１固定端子６は、断面がＵ字状であったが、図５に模式的に示すように、第１固定端子６は、断面がＬ字状であってもよい。例えば、第１延伸部６ｃ又は第２延伸部６ｄのいずれかが省略されてもよい。図５では、第１固定端子６において、第２延伸部６ｄを省略した構成を示している。また、前記実施形態では、第１延伸部６ｃ及び第２延伸部６ｄがベース２の底部２１から下方に突出していたが、第１延伸部６ｃ又は第２延伸部６ｄの一方のみがベース２の底部２１から下方に突出していてもよい。

【0047】

前記実施形態では、磁石挿入孔２３ａが接点支持部６ｂに向かって開口していたが、磁石挿入孔２３ａは、第１延伸部６ｃ又は第２延伸部６ｄに向かって開口していてもよい。すなわち、磁石３０ａは、第１延伸部６ｃ又は第２延伸部６ｄによって磁石挿入孔２３ａから抜け止めされてもよい。また、アークが磁石挿入孔２３ａに向かって伸長されない構成であれば、第１固定端子６は、磁石挿入孔２３ａの全体を塞ぐ必要はない。

【0048】

前記実施形態では、第１固定接点６ａと第１可動接点８ａとが上下方向に対向して配置されていたが、図６から図８に模式的に示すように、第１固定接点６ａと第１可動接点８ａとが前後方向に対向する電磁継電器に本発明を適用してもよい。図６に示す例では、接点支持部６ｂが断面視で上下方向に延びており、断面視で左右方向に延びる延伸部６ｇによって磁石３０ａが磁石挿入孔２３ａから抜け止めされている。延伸部６ｇは、アークホーンの機能を兼ねていてもよい。

【0049】

図７に示す第１固定端子１０６は、板状の端子の両端を互いに異なる方向に屈曲させた形状を有している。第１固定端子１０６は、磁石３０ａを磁石挿入孔２３ａから抜け止めする抜け止め部１０６ａと、抜け止め部１０６ａの後端から上方に延びる接点支持部１０６ｂと、抜け止め部１０６ａの前端から下方に延びる延伸部１０６ｃとを含む。なお、図８に示すように、延伸部１０６ｃは、抜け止め部１０６ａの左右方向の一端から下方に延びていてもよい。

【符号の説明】

【0050】

１ 電磁継電器
２ ベース
６ 第１固定端子
６ａ 第１固定接点
６ｂ 接点支持部
６ｃ 第１延伸部
６ｄ 第２延伸部
６ｆ かしめ部
７ 第２固定端子
７ａ 第２固定接点
８ 可動接触片
８ａ 第１固定接点
８ｂ 第２固定接点
２３ａ 磁石挿入孔
３０ａ 磁石

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】