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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022141413
(43)【公開日】2022-09-29
(54)【発明の名称】電磁継電器
(51)【国際特許分類】
   H01H 50/54 20060101AFI20220921BHJP
【FI】
H01H50/54 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021041698
(22)【出願日】2021-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100206760
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 惇
(72)【発明者】
【氏名】塚田 尭
(72)【発明者】
【氏名】西田 剛
(72)【発明者】
【氏名】古川 和樹
(72)【発明者】
【氏名】川口 直樹
(57)【要約】
【課題】電磁継電器において、第1固定端子と第2固定端子の間が短絡することを抑える。
【解決手段】電磁継電器は、支持部材と、第1固定端子と、第2固定端子と、可動接触片と、可動部材とを備える。支持部材は、絶縁材で形成されている。第1固端子は、第1固定接点を含み、支持部材に支持される。第2固定端子は、第2固定接点を含み、第1固定端子から離れた位置で支持部材に支持される。可動接触片は、第1固定接点に対向する第1可動接点と、第2固定接点に対向する第2可動接点とを含む。可動部材は、可動接触片に連結される。可動部材は、第1重複部を含む。第1重複部は、絶縁材で形成され、第1可動接点が第1固定接点から開離した開状態において、第1固定端子と第2固定端子の間で可動接触片の長手方向に支持部材と重なる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁材で形成された支持部材と、
第1固定接点を含み、前記支持部材に支持された第1固定端子と、
第2固定接点を含み、前記第1固定端子から離れた位置で前記支持部材に支持された第2固定端子と、
前記第1固定接点に対向する第1可動接点と、前記第2固定接点に対向する第2可動接点とを含む可動接触片と
前記第1可動接点が前記第1固定接点から開離した開状態において前記第1固定端子と前記第2固定端子の間で前記可動接触片の長手方向に前記支持部材と重なり絶縁材で形成された第1重複部を含み、前記可動接触片に連結される可動部材と、
を備えた、
電磁継電器。
【請求項2】
前記可動部材は、前記開状態において、前記第1固定端子と前記第2固定端子の間で前記可動接触片の長手方向に前記第1固定接点と重なり絶縁材で形成された第2重複部をさらに含み、
前記第2重複部は、前記可動接触片の長手方向から見て、前記第1固定端子よりも前記可動接触片の短手方向に張り出している、
請求項1に記載の電磁継電器。
【請求項3】
前記可動部材は、前記第1可動接点から前記第1固定接点に向かう第1方向と前記第1固定接点から前記第1可動接点に向かう第2方向とを含む移動方向に移動可能であり、
前記支持部材は、前記可動部材の前記移動方向の移動をガイドするガイド部を含み、
前記可動部材の前記第1重複部は、前記ガイド部に対して摺動する、
請求項1又は2に記載の電磁継電器。
【請求項4】
前記可動部材は、前記ガイド部によって前記移動方向の軸回りの回転が制限されている、
請求項3に記載の電磁継電器。
【請求項5】
前記支持部材と前記可動部材の間に配置され、前記可動部材を前記第2方向に付勢する復帰バネをさら備え、
前記可動部材の前記第1重複部は、前記第1方向に向かって開口し前記復帰バネが収容されるバネ収容部を含む、
請求項3又は4に記載の電磁継電器。
【請求項6】
前記支持部材は、前記第1固定端子と前記第2固定端子の間に配置された壁部を含み、
前記第1重複部は、前記可動接触片の長手方向から前記壁部を囲む形状を有する、
請求項1又は2に記載の電磁継電器。
【請求項7】
前記支持部材の前記壁部は、永久磁石を収容するための収容部を含む、
請求項6に記載の電磁継電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁継電器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された電磁継電器は、第1固定端子及び第2固定端子が固定された収容本体と、収容本体から突出する第1隔壁と第2隔壁とを備えている。第1隔壁及び第2隔壁は、第1固定端子及び第2固定端子の間が短絡することを抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-173939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電磁継電器は、接点が閉状態から開状態に復帰した時に、遮断時間が長くなると、アークにより発生する高温ガスの影響で絶縁性能が低下する。特に、第1隔壁と第2隔壁の間の空間に高温ガスが滞留した場合、第1固定端子と第2固定端子の間の絶縁性能が低下して、第1固定端子と第2固定端子の間が短絡するおそれがある。
【0005】
本発明の課題は、電磁継電器において、第1固定端子と第2固定端子の間が短絡することを抑えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る電磁継電器は、支持部材と、第1固定端子と、第2固定端子と、可動接触片と、可動部材とを備える。支持部材は、絶縁材で形成されている。第1固端子は、第1固定接点を含み、支持部材に支持される。第2固定端子は、第2固定接点を含み、第1固定端子から離れた位置で支持部材に支持される。可動接触片は、第1固定接点に対向する第1可動接点と、第2固定接点に対向する第2可動接点とを含む。可動部材は、可動接触片に連結される。可動部材は、第1重複部を含む。第1重複部は、絶縁材で形成され、第1可動接点が第1固定接点から開離した開状態において、第1固定端子と第2固定端子の間で可動接触片の長手方向に支持部材と重なる。
【0007】
この電磁継電器では、第1可動接点が第1固定接点から開離した開状態において、可動部材の重複部は、第1固定端子と第2固定端子の間で可動接触片の長手方向に支持部材と重なるので、第1固定端子と第2固定端子の間に高温ガスが滞留することを抑制できる。これにより、高温ガスによる第1固定端子と第2固定端子の間の絶縁性能の低下を抑制できる。その結果、第1固定端子と第2固定端子の間が短絡することを抑えることができる。
【0008】
可動部材は、開状態において、第1固定端子と第2固定端子の間で可動接触片の長手方向に第1固定接点と重なり絶縁材で形成された第2重複部をさらに含んでもよい。第2重複部は、可動接触片の長手方向から見て、第1固定端子よりも可動接触片の短手方向に張り出していてもよい。この場合は、第2重複部によってさらに第1固定端子と第2固定端子の間が短絡することを抑えることができる。
【0009】
可動部材は、第1可動接点から第1固定接点に向かう第1方向と第1固定接点から第1可動接点に向かう第2方向とを含む移動方向に移動可能であってもよい。支持部材は、可動部材の移動方向の移動をガイドするガイド部を含んでもよい。可動部材の第1重複部は、ガイド部に対して摺動してもよい。この場合は、可動接触片の長手方向において支持部材と重なる第1重複部がガイド部によってガイドされるので、第1可動接点と第1固定接点との接触、並びに第2可動接点と第2固定接点との接触が安定する。
【0010】
可動部材は、ガイド部によって移動方向の軸回りの回転が制限されてもよい。この場合においても、第1可動接点と第1固定接点との接触、並びに第2可動接点と第2固定接点との接触が安定する。
【0011】
電磁継電器は、支持部材と可動部材の間に配置され、可動部材を第2方向に付勢する復帰バネをさら備えてもよい。可動部材の第1重複部は、第1方向に向かって開口し復帰バネが収容されるバネ収容部を含んでもよい。この場合は、復帰バネがアークによる影響を受けることを抑制できる。
【0012】
支持部材は、第1固定端子と第2固定端子の間に配置された壁部を含んでもよい。第1重複部は、可動接触片の長手方向から壁部を囲む形状を有してもよい。この場合においても、第1重複部は、第1固定端子と第2固定端子の間で可動接触片の長手方向に支持部材と重なるので、第1固定端子と第2固定端子の間に高温ガスが滞留することを抑制できる。
【0013】
支持部材の壁部は、永久磁石を収容するための収容部を含んでもよい。この場合は、壁部によって第1固定端子と第2固定端子の間に高温ガスが滞留することを抑制できるとともに、永久磁石を収容する部材として壁部を用いることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電磁継電器において、第1固定端子と第2固定端子の間が短絡することを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】電磁継電器の斜視図である。
図2】電磁継電器の側面図である。
図3】接点装置を前後方向と直交する平面で切断した断面図である。
図4】ベースの部分斜視図である。
図5】可動部材の部分斜視図である。
図6】変形例に係る電磁継電器の模式図である。
図7】変形例に係る電磁継電器の模式図である。
図8】変形例に係る電磁継電器の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一態様に係る電磁継電器の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、各図面において、X1方向を左方向、X2方向を右方向、Y1方向を前方向、Y2方向を後方向、Z2方向を上方向、Z1方向を下方向として説明する。本実施形態において、Z1方向は、第1方向の一例であり、Z2方向は第2方向の一例である。なお、これらの方向は、説明の便宜上、定義されるものであって、電磁継電器の配置方向を限定するものではない。
【0017】
図1及び図2に示すように、電磁継電器1は、ベース2と、接点装置3と、駆動装置4とを備えている。ベース2は、支持部材の一例である。ベース2は、樹脂などの絶縁材で形成されている。ベース2は、上下方向から見て矩形状である。ベース2は、接点装置3及び駆動装置4を支持している。接点装置3及び駆動装置4は、ベース2に取り付けられる図示しないケースによって覆われる。
【0018】
図3は、接点装置3を前後方向と直交する平面で切断した断面図である。図4は、ベース2の部分斜視図である。ベース2は、底部21と、端子支持部22a,22bと、第1壁部23と、第2壁部24とを含む。底部21は、上下方向から見て矩形状である。
【0019】
端子支持部22a,22bは、底部21から上方に突出して形成されている。端子支持部22aは、端子支持部22bと左右方向に離れて配置されている。端子支持部22a,22bの上面は、上下方向に直交する平坦面を含む。
【0020】
第1壁部23は、端子支持部22aの右方において、端子支持部22aに隣接して配置されている。第1壁部23は、左右方向と直交する方向に延びている。第1壁部23は、底部21から上方に突出するとともに、前後方向に延びている。第1壁部23は、端子支持部22aよりも前後方向に延びている。第1壁部23は、底部21からの高さが、底部21から端子支持部22aまでの高さと同程度である。第2壁部24は、第1壁部23と左右対称形状であり、第1壁部23と左右方向に対向する。第2壁部24は、端子支持部22bの左方において、端子支持部22bに隣接して配置されている。
【0021】
接点装置3は、第1固定端子6と、第2固定端子7と、可動接触片8と、可動部材9と、接点バネ10とを含む。第1固定端子6、第2固定端子7及び可動接触片8は、板状の端子であり、銅などの導電性を有する材料で形成されている。
【0022】
第1固定端子6及び第2固定端子7は、断面がU字状であり、左右方向から見て、U字状に屈曲した形状を有している。第1固定端子6及び第2固定端子7は、ベース2に支持されている。第1固定端子6及び第2固定端子7は、例えば、ベース2に圧入固定されている。
【0023】
第1固定端子6は、第1固定接点6aと、接点支持部6bと、第1延伸部6cと、第2延伸部6dと、1対の外部接続部6eと、を含む。第1固定接点6aは、接点支持部6bに配置されている。第1固定接点6aは、第1固定端子6にかしめ固定されている。
【0024】
接点支持部6bは、端子支持部22aの上面に支持されている。接点支持部6bは、上下方向と直交する方向に延びている。接点支持部6bは、第1固定接点6aを支持する。接点支持部6bは、第1固定接点6aがかしめ固定されている。なお、第1固定接点6aは、第1固定端子6と一体であってもよい。
【0025】
第1延伸部6c及び第2延伸部6dは、ベース2の底部21に圧入固定されている。第1延伸部6cは、接点支持部6bに接続され、ベース2から外部に突出する。第1延伸部6cは、接点支持部6bの前端から下方に屈曲し、ベース2の底部21から下方に突出する。第1延伸部6cは、端子支持部22aの前面に接触している。第2延伸部6dは、第1延伸部6cと前後方向に対向する。第2延伸部6dは、接点支持部6bに接続され、ベース2から外部に突出する。第2延伸部6dは、接点支持部6bの後端から下方に屈曲し、ベース2の底部21から下方に突出する。第2延伸部6dは、端子支持部22aの後面に接触している。1対の外部接続部6eは、第1延伸部6cの下端及び第2延伸部6dの下端に配置されており、図示しない外部機器と電気的に接続される。
【0026】
第2固定端子7は、第1固定端子6と左右方向に離れて配置されている。第2固定端子7は、第1固定端子6と同様の形状である。第2固定端子7は、第2固定接点7aと、接点支持部7bと、第1延伸部7cと、第2延伸部7dと、1対の外部接続部7eと、を含む。第2固定端子7の各構成は、第1固定端子6の各構成と同様であるため説明を省略する。
【0027】
可動接触片8は、左右方向に延びている。可動接触片8の長手方向は、左右方向と一致する。可動接触片8の短手方向は、前後方向と一致する。可動接触片8は、第1固定端子6及び第2固定端子7の上方に配置されている。
【0028】
可動接触片8は、第1可動接点8aと、第2可動接点8bとを含む。第1可動接点8aは、第1固定接点6aと上下方向に対向し、第1固定接点6aに接触可能である。第2可動接点8bは、第2固定接点7aと上下方向に対向し、第2固定接点7aに接触可能である。なお、本実施形態では、第1可動接点8a及び第2可動接点8bは、可動接触片8にかしめ固定されているが、第1可動接点8a及び第2可動接点8bは、可動接触片8と一体であってもよい。
【0029】
可動接触片8は、第1可動接点8aから第1固定接点6aに向かうZ1方向と、第1固定接点6aから第1可動接点8aに向かうZ2方向とを含む移動方向に移動可能である。本実施形態では、可動接触片8は、上下方向に移動可能である。可動接触片8は、可動部材9に連結されている。可動接触片8は、可動部材9を左右方向に貫通している。可動接触片8は、可動部材9に対して上下方向に相対移動可能である。
【0030】
可動部材9は、可動接触片8を保持する。可動部材9は、上下方向に延びている。可動部材9は、左右方向における可動接触片8の中央に配置されている。可動部材9は、樹脂などの絶縁材で形成されている。可動部材9は、上端が駆動装置4に連結されている。可動部材9は、Z1方向とZ2方向とを含む移動方向に移動可能である。本実施形態では、可動部材は、上下方向に移動可能である。
【0031】
ここで、ベース2は、図4に示すように、凹部25と、ガイド部26とを含む。凹部25は、第1壁部23と第2壁部24の間に配置されている。凹部25は、底部21の上面から下方向に凹むように形成されている。凹部25は、上方に向かって開口している。凹部25は、上下方向から見て、非円形状に形成されている。ガイド部26は、可動部材9の上下方向の移動をガイドする。ガイド部26は、凹部25の一部によって構成される。ガイド部26は、凹部25の内側面によって構成されている。ガイド部26は、円形部26aと、円形部26aから前後方向に張り出した凸部26bとを含む。
【0032】
可動部材9は、ガイド部26によって上下方向の移動がガイドされる。可動部材9は、ガイド部26によって、左右方向の移動が制限されるとともに、可動部材9の移動方向の軸回りの回転が制限されている。
【0033】
可動部材9は、第1重複部31と、第2重複部32とを含む。第1重複部31は、可動部材9において、下端に設けられている。第1重複部31は、樹脂などの絶縁材で形成されている。第1重複部31は、上下方向及び前後方向に延びている。第1重複部31は、第1可動接点8aが第1固定接点6aから開離した開状態において、第1固定端子6と第2固定端子7の間で可動接触片8の長手方向にベース2と重なる。
【0034】
開状態は、図1から図3に示すように、第1可動接点8aが第1固定接点6aから開離し、第2可動接点8bが第2固定接点7aから開離した状態である。閉状態は、第1可動接点8aが第1固定接点6aに接触し、第2可動接点8bが第2固定接点7aに接触した状態である。
【0035】
第1重複部31は、第1壁部23と第2壁部24の間に配置されている。第1重複部31は、左右方向から見て、全体が第1壁部23及び第2壁部24と重なる。第1重複部31の下端は、開状態及び閉状態において、第1壁部23の上端及び第2壁部24の上端よりも下方に位置する。第1重複部31は、凹部25の内側に配置されている。第1重複部31は、ガイド部26に対して上下方向に摺動する。
【0036】
第1重複部31は、ガイド部26の形状に沿う形状を有しており、ガイド部26にガイドされる。詳細には、第1重複部31は、円形部31aと、円形部31aから前後方向に張り出した凸部31bとを含む。また、第1重複部31は、バネ収容部31cを含む。バネ収容部31cは、下方向に向かって開口している。バネ収容部31cは、第1重複部31の下面から上方に凹む。
【0037】
第2重複部32は、樹脂などの絶縁材で形成されている。第2重複部32は、第1重複部31の上部に配置されている。第2重複部32は、可動接触片8の下部に配置されている。第2重複部32は、開状態において、第1固定端子6と第2固定端子7の間で可動接触片8の長手方向に第1固定接点6aと重なる。本実施形態では、図2に示すように、第2重複部32は、開状態において、第1可動接点8a、接点支持部6b,7b及び第2可動接点8bと左右方向に重なる。第2重複部32は、可動接触片8の長手方向から見て、第1固定端子6及び第2固定端子7よりも可動接触片8の短手方向に張り出している。すなわち、本実施形態では、第2重複部32は、左右方向から見て、第1固定端子6及び第2固定端子7よりも前後方向に張り出している。
【0038】
接点バネ10は、コイルバネであり、可動接触片8を接触方向(ここでは、下方向)に付勢する。接点バネ10は、可動部材9の内部に収容されている。
【0039】
駆動装置4は、接点装置3の後方に配置されている。駆動装置4は、可動部材9を介して可動接触片8を上下方向に移動させる。駆動装置4は、コイル4aと、スプール4bと、固定鉄心4cと、ヨーク4dと、可動鉄片4eと、ヒンジバネ4f、復帰バネ4gとを含む。
【0040】
コイル4aは、スプール4bの外周に巻回されている。スプール4bは、上下方向に延びている。固定鉄心4cは、スプール4bの内周部に配置されている。ヨーク4dは、コイル4aの後方を覆うように配置されている。ヨーク4dは、左右方向から見て略L字状である。ヨーク4dは、固定鉄心4cの下端に接続されている。
【0041】
可動鉄片4eは、ヒンジバネ4fを介してヨーク4dに回動可能に支持されている。可動鉄片4eは、ヨーク4dの上端を支点として回動する。可動鉄片4eは、右端が可動部材9の上部に配置されている。可動鉄片4eは、固定鉄心4cの上方に配置されている。ヒンジバネ4fは、可動鉄片4eを固定鉄心4cから離れる方向に付勢する。復帰バネ4gは、バネ収容部31cとベース2の凹部25とに収容されている。復帰バネ4gは、可動部材9を開離方向(ここでは、上方向)に付勢する。
【0042】
次に電磁継電器1の動作について説明する。コイル4aに電圧が印加されていない開状態では、ヒンジバネ4f及び復帰バネ4gの弾性力によって可動部材9が開離方向に押圧されている。このため、第1可動接点8aは、第1固定接点6aから開離しており、第2可動接点8bは、第2固定接点7aから開離している。
【0043】
コイル4aに電圧が印加されて駆動装置4が励磁されると、可動鉄片4eが固定鉄心4cに吸引されて回動し、可動鉄片4eによって可動部材9が接触方向に押圧される。これにより、可動部材9がヒンジバネ4f及び復帰バネ4gの弾性力に抗して接触方向に移動する。可動部材9の接触方向の移動に伴い、接点バネ10が接触方向に移動する。これにより、可動接触片8が接触方向に移動して、第1可動接点8aは、第1固定接点6aに接触し、第2可動接点8bは、第2固定接点7aに接触する。コイル4aの電圧の印加が停止されると、可動部材9は、ヒンジバネ4f及び復帰バネ4gの弾性力によって開離方向に移動する。
【0044】
この電磁継電器1では、第1可動接点8aが第1固定接点6aから開離した開状態において、可動部材9の第1重複部31は、第1固定端子6と第2固定端子7の間で可動接触片8の長手方向にベース2と重なる。すなわち、第1重複部31とベース2とによって第1固定端子6と第2固定端子7とを区画できるので、第1固定端子6と第2固定端子7の間に高温ガスが滞留することを抑制できる。これにより、高温ガスによる第1固定端子6と第2固定端子7の間の絶縁性能の低下を抑制できる。その結果、第1固定端子6と第2固定端子7の間が短絡することを抑えることができる。
【0045】
また、本実実施形態では、第2重複部32は、左右方向から見て、第1固定端子6よりも前後方向に張り出しているので、さらに第1固定端子6と第2固定端子7の間が短絡することを抑えることができる。
【0046】
以上、本発明の一態様に係る電磁継電器の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、接点装置3或いは駆動装置4の構成が変更されてもよい。
【0047】
前記実施形態では、可動部材9の全体が樹脂材で形成されていたが、可動部材9は、少なくとも第1重複部31及び第2重複部32が樹脂材で形成されていればよい。
【0048】
前記実施形態では、電磁継電器1は、ヒンジ型であったが、図6及び図7に模式的に示すように、プランジャ型の電磁継電器に本発明を適用してもよい。例えば、図6に示すように、可動部材9を第1固定接点6a及び第2固定接点7aに向けて押し込む構成、或いは、図7に示すように、可動部材9を駆動装置4に向けて引き込む構成の電磁継電器に本発明を適用してもよい。
【0049】
図6に示す例では、第1固定端子6及び第2固定端子7を支持する支持部材は、可動接触片8が収容されるケース102である。また、第1固定端子6及び第2固定端子7は、円柱端子である。第1壁部23及び第2壁部24は、ケース102から下方に延びている。可動部材109は、可動接触片8に連結される軸部材である。図7に示す例では、可動部材109が可動鉄心104eに固定されている。なお、図6及び図7では、前記実施形態の構成に対向する構成は、前記実施形態と同じ符号を付している。
【0050】
可動部材9の第1重複部31は、形状が変更されてもよい。第1重複部31は、必ずしもベース2にガイドされる必要はない。また、第1重複部31は、バネ収容部31cを含まなくてもよい。図8に示す例では、第1重複部31は、第1固定端子6と第2固定端子7の間に形成された壁部40を左右方向から囲む形状を有している。第1重複部31は、壁部40を左右方向から挟むように配置されている。この場合において、第1重複部31は、壁部40の外周面に対して上下方向に摺動してもよい。壁部40は、ベース2の底部21から上方に突出するとともに、前後方向に延びている。壁部40は、永久磁石42を収容するための収容部40aを含む。
【符号の説明】
【0051】
1 電磁継電器
2 ベース(支持部材の一例)
4e 復帰バネ
6 第1固定端子
6a 第1固定接点
7 第2固定端子
7a 第2固定接点
8 可動接触片
8a 第1固定接点
8b 第2固定接点
26 ガイド部
31 第1重複部
31c バネ収容部
32 第2重複部
40 壁部
40a 収容部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8