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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022141442
(43)【公開日】2022-09-29
(54)【発明の名称】絶縁部材挿入装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 15/10 20060101AFI20220921BHJP
   H02K 3/34 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
H02K15/10
H02K3/34 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021041754
(22)【出願日】2021-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000116666
【氏名又は名称】愛知電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003052
【氏名又は名称】特許業務法人勇智国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藤 太加男
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 猛
【テーマコード(参考)】
5H604
5H615
【Fターム(参考)】
5H604AA08
5H604CC01
5H604CC05
5H604CC16
5H604DA17
5H604DB01
5H604DB26
5H604PB04
5H615AA01
5H615BB14
5H615BB16
5H615PP01
5H615PP13
5H615RR02
5H615SS09
5H615SS10
5H615SS19
5H615TT03
5H615TT37
(57)【要約】
【課題】絶縁部材を、固定子に形成されている絶縁部材挿入空間に挿入する作業を自動化することができる絶縁部材挿入装置を提供する。
【解決手段】折り畳み部材610A(610B)は、絶縁部材製造装置530A(530B)で製造された、断面がV字状を有する絶縁部材300を、断面がT字状を有する形状に折り畳む。搬送部材710A(710B)は、絶縁部材300を、T字状に折り畳んだ状態で押し出し位置に搬送する。固定子保持装置800は、固定子100を保持するとともに、固定子100の絶縁部材挿入空間を、押し出し位置に搬送された絶縁部材300に対向する位置に配置する。押し出し部材910は、押し出し位置に搬送された絶縁部材300を、搬送部材710A(710B)から押し出す。押し出された絶縁部材300は、固定子保持装置800に保持されている固定子100の絶縁部材挿入空間に挿入される。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁部材を、固定子の、周方向に沿って離間する位置に、軸方向に沿って延在する絶縁部材挿入空間に挿入する絶縁部材挿入装置であって、
搬送装置と、固定子保持装置と、押し出し装置と、を備え、
前記搬送装置は、待機位置と押し出し位置との間で移動可能であり、絶縁部材を前記待機位置から前記押し出し位置に搬送する搬送部材を有し、
前記固定子保持装置は、固定子を保持可能であるとともに、保持している固定子の複数の絶縁部材挿入空間を、前記押し出し位置に搬送された前記絶縁部材に対向する位置に配置可能に構成され、
前記押し出し装置は、前記搬送部材が前記押し出し位置に移動した状態において、前記搬送部材により搬送された前記絶縁部材を、前記押し出し位置に搬送された前記絶縁部材に対向する位置に配置されている、前記固定子の前記絶縁部材挿入空間側に押し出す押し出し部材を有していることを特徴とする絶縁部材挿入装置。
【請求項2】
請求項1に記載の絶縁部材挿入装置であって、
前記固定子保持装置は、前記押し出し部材により押し出された前記絶縁部材を前記固定子の前記絶縁部材挿入空間に案内する絶縁部材案内部を有していることを特徴とする絶縁部材挿入装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の絶縁部材挿入装置であって、
絶縁部材を製造する絶縁部材製造装置を備え、
前記絶縁部材製造装置で製造された絶縁部材が、前記搬送部材に送られるように構成されていることを特徴とする絶縁部材挿入装置。
【請求項4】
請求項1~3のうちのいずれか一項に記載の絶縁部材挿入装置であって、
前記搬送部材は、両端が開口しているとともに、前記絶縁部材が挿入可能な絶縁部材挿入孔と、両端が開口しているとともに、前記押し出し部材が挿入可能な押し出し部材挿入孔を有し、
前記押し出し部材が、前記押し出し部材挿入孔内を、前記押し出し部材挿入孔の延在方向に沿って移動することによって、前記絶縁部材挿入孔内に挿入されている前記絶縁部材が押し出されるように構成されていることを特徴とする絶縁部材挿入装置。
【請求項5】
請求項4に記載の絶縁部材挿入装置であって、
前記押し出し部材挿入孔は、前記絶縁部材挿入孔と少なくとも部分的に重なる位置に、前記絶縁部材挿入孔の延在方向と平行に延在するように形成されていることを特徴とする絶縁部材挿入装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の絶縁部材挿入装置であって、
絶縁部材は、第1の縁部を含む第1の縁部分と、第2の縁部を含む第2の縁部分と、第1の縁部分と第2の縁部分との間に設けられている第1の中央部分および第2の中央部分が、断面がV字状を有するように折り曲げて形成され、
前記搬送部材の前記絶縁部材挿入孔は、断面がV字状を有する絶縁部材を、断面がT字状を有する形状に折り畳んだ状態で挿入されるように形成されていることを特徴とする絶縁部材挿入装置。
【請求項7】
請求項6に記載の絶縁部材挿入装置であって、
折り畳み装置を備え、
前記折り畳み装置は、断面がV字状を有する絶縁部材を、断面がT字状を有する形状に折り畳む折り畳み部材を有し、
前記折り畳み部材で断面がT字状を有するように折り畳まれた絶縁部材が、前記搬送部材に送られるように構成されていることを特徴とすれ絶縁部材挿入装置。
【請求項8】
請求項6または7に記載の絶縁部材挿入装置であって、
固定子は、周方向に沿って延在するヨークと、前記ヨークから径方向内側に延在する複数のティースと、各ティースの周りに配置されている樹脂ボビンと、前記樹脂ボビンに巻き付けられている固定子巻線と、を有し、
前記固定子の前記絶縁部材挿入空間は、隣接するティースのうちの周方向一方側のティースの周りに配置されている樹脂ボビンに巻き付けられている固定子巻線と周方向他方側のティースの周りに配置されている樹脂ボビンに巻き付けられている固定子巻線との間に形成されている第1の空間部分と、前記周方向一方側のティースの周りに配置されている樹脂ボビンと前記ヨークとの間に形成されている第2の空間部分と、前記周方向他方側のティースの周りに配置されている樹脂ボビンと前記ヨークとの間に形成されている第3の空間部分と、により構成され、
前記押し出し部材により押し出された絶縁部材は、前記第1の中央部分と前記第2の中央部分が、前記絶縁部材挿入空間の前記第1の空間部分に挿入され、前記第1の縁部分が、前記絶縁部材挿入空間の前記第2の空間部分に挿入され、前記第2の縁部分が、前記絶縁部材挿入空間の前記第3の空間部分に挿入されるように構成されていることを特徴とする絶縁部材挿入装置。
【請求項9】
請求項4または5に記載の絶縁部材挿入装置であって、
絶縁部材は、板状に形成され、
前記搬送部材の前記絶縁部材挿入孔は、板状の絶縁部材が挿入可能な形状に形成されていることを特徴とする絶縁部材挿入装置。
【請求項10】
請求項1~9のうちのいずれか一項に記載の絶縁部材挿入装置であって、
前記搬送装置は、第1の搬送部材と、第2の搬送部材と、前記第1の搬送部材と前記第2の搬送部材を支持する支持部材と、を有し、
前記支持部材は、前記第1の搬送部材と前記第2の搬送部材の一方が前記押し出し位置に配置される第1の位置と、他方が前記押し出し位置に配置される第2の位置との間で移動可能に構成されていることを特徴とする絶縁部材挿入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定子に形成されている絶縁部材挿入空間に絶縁部材を挿入する絶縁部材挿入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電動機等の回転機を構成する固定子は、絶縁部材を有している。例えば、特許文献1(特開2002-171704号公報)に、固定子の、隣接するティースに巻き付けられている固定子巻線間に挿入される絶縁部材(「相間絶縁部材」と呼ばれている)を有する固定子が開示されている。
特許文献1に開示されている固定子は、ヨークを形成する本体部と複数のティースにより構成される固定子コアを有している。ティースは、樹脂ボビンを介して固定子巻線が巻き付けられた状態で、後端部が本体部にはめ込まれている。そして、隣接するティースに巻き付けられている固定子巻線間に形成されている絶縁部材挿入空間に絶縁部材が挿入されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-171704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、絶縁部材を固定子の絶縁部材挿入空間に挿入する方法としては、作業員が、手作業で挿入する方法が用いられている。このため、固定子の製造に時間を要していた。
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、固定子に形成されている絶縁部材挿入空間に絶縁部材を挿入する作業を自動化することができる絶縁部材挿入装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の絶縁部材挿入装置は、周方向に沿って離間する位置に、軸方向に沿って延在する絶縁部材挿入空間が形成されている固定子に絶縁部材を挿入する際に用いることができる。絶縁部材は、種々の材料によって形成することができる。好適には、樹脂製の絶縁フィルムにより形成される。絶縁部材挿入空間や絶縁部材は、種々の形状に形成することができる。固定子の絶縁部材挿入空間は、種々の形状に形成される。
本発明は、絶縁部材を搬送する搬送装置、固定子を保持する固定子保持装置、搬送された搬送部材を押し出す押し出し装置を備えている。
搬送装置は、搬送部材を有している。搬送部材は、待機位置と押し出し位置との間で移動可能であり、絶縁部材を待機位置から押し出し位置に搬送する。搬送部材としては、絶縁部材を搬送可能な種々の構成の搬送部材を用いることができる。
固定子保持装置は、固定子を保持可能であるとともに、保持している固定子の複数の絶縁部材挿入空間を、押し出し位置に搬送された絶縁部材に対向する位置に配置可能に構成されている。例えば、固定子保持装置は、固定子を、固定子の中心線(回転子の中心線)を中心に回転可能に保持する。
押し出し装置は、押し出し部材を有している。押し出し部材は、搬送部材が押し出し位置に移動した状態において、搬送部材により搬送された絶縁部材を、押し出し位置に搬送された絶縁部材に対向する位置に配置されている、固定子の絶縁部材挿入空間側に押し出す。押し出し部材としては、押し出し位置に搬送された搬送部材を押し出し可能な種々の構成の押し出し部材を用いることができる。
本発明では、絶縁部材を固定子の絶縁部材挿入空間に挿入する作業を自動化することができる。これにより、固定子を、簡単に短時間で製造することができる。
本発明の異なる形態では、固定子保持装置は、押し出し部材により押し出された絶縁部材を固定子の絶縁部材挿入空間に案内する絶縁部材案内部を有している。
絶縁部材案内部としては、絶縁部材の形状等に応じた適宜の構成の絶縁部材案内部が用いられる。
本形態では、押し出し部材により押し出された絶縁部材を固定子の絶縁部材挿入空間に確実に挿入することができる。
本発明の異なる形態では、絶縁部材を製造する絶縁部材製造装置を備えている。そして、絶縁部材製造装置で製造された絶縁部材が搬送部材に送られるように構成されている。
絶縁部材製装置としては、絶縁部材の形状等に応じた適宜の構成の絶縁部材製造装置が用いられる。絶縁部材製造装置で製造された絶縁部材を搬送部材に送る方法としては、絶縁部材製造装置から直接に送る方法や、他の部材を介して送る方法を用いることができる。
本形態では、絶縁部材の製造から、固定子の絶縁部材挿入空間への絶縁部材の挿入までの作業を自動化することができる。これにより、固定子を、より短時間で製造することができる。
本発明の異なる形態では、搬送部材は、両端が開口しているとともに、絶縁部材が挿入可能な絶縁部材挿入孔と、両端が開口しているとともに、押し出し部材が挿入可能な押し出し部材挿入孔を有している。そして、押し出し部材が、押し出し部材挿入孔内を、押し出し部材挿入孔の延在方向に沿って移動することによって、絶縁部材挿入孔内に挿入されている絶縁部材が押し出されるように構成されている。
本形態では、押し出し位置に搬送された絶縁部材を押し出す押し出し装置を簡単に構成することができる。
本発明の異なる形態では、押し出し部材挿入孔は、絶縁部材挿入孔と少なくとも部分的に重なる位置に、絶縁部材挿入孔の延在方向と平行(「略平行」を含む)に延在するように形成されている。
本形態では、押し出し装置をより簡単に構成することができる。
本発明の異なる形態では、絶縁部材は、第1の縁部を含む第1の縁部分と、第2の縁部を含む第2の縁部分と、第1の縁部分と第2の縁部分との間に設けられている第1の中央部分および第2の中央部分が、断面がV字状を有するように折り曲げて形成される。
そして、搬送部材の絶縁部材挿入孔は、断面がV字状を有する絶縁部材を、断面がT字状を有する形状に折り畳んだ状態で挿入されるように形成されている。
絶縁部材は、搬送部材の絶縁部材挿入孔内に折り畳んだ状態で挿入されることにより、弾性復帰力によって搬送部材挿入孔内に保持される。また、T字状に折り畳まれた状態で絶縁部材挿入孔から押し出されることにより、固定子の絶縁部材挿入空間に容易に挿入することができる。さらに、弾性復帰力によって固定子の絶縁部材挿入空間内に保持される。
本形態では、断面がV字状に折り曲げられて形成された絶縁部材を、固定子の絶縁部材挿入空間に容易に挿入することができる。
本発明の異なる形態では、折り畳み装置を備えている。
折り畳み装置は、断面がV字状を有する絶縁部材を、断面がT字状を有する形状に折り畳む折り畳み部材を有している。そして、折り畳み部材で断面がT字状を有するように折り畳まれた絶縁部材が、搬送部材に送られるように構成されている。
折り畳み部材としては、断面がV字状を有する絶縁部材を、断面がT字状を有する形状に折り畳むことができる種々の構成の折り畳み部材を用いることができる。例えば、両端が開口しているとともに、絶縁部材を挿入可能な絶縁部材挿入孔を有する折り畳み部材が用いられる。絶縁部材挿入孔は、断面がV字状を有する絶縁部材を挿入することによって、断面がT字状を有する形状に折り畳み可能に形成される。
折り畳み部材により、断面がT字状を有する形状に折り畳まれた絶縁部材を搬送部材に送る方法としては、折り畳み部材から直接に送る方法や、他の部材を介して送る方法を用いることができる。なお、絶縁部材製造装置により製造された、断面がV字状を有する絶縁部材を搬送部材に送る場合には、好適には、折り畳み部材を介して搬送部材に送るように構成される。
本形態では、断面がV字状を有する絶縁部材を固定子の絶縁部材挿入空間に挿入する絶縁部材挿入装置を、簡単に構成することができる。
本発明の異なる形態では、固定子は、周方向に沿って延在するヨークと、ヨークから径方向内側に延在する複数のティースと、各ティースの周りに配置されている樹脂ボビンと、樹脂ボビンに巻き付けられている固定子巻線と、を有している。
また、固定子の絶縁部材挿入空間は、隣接するティースのうちの周方向一方側のティースの周りに配置されている樹脂ボビンに巻き付けられている固定子巻線と周方向他方側のティースの周りに配置されている樹脂ボビンに巻き付けられている固定子巻線との間に形成されている第1の空間部分と、周方向一方側のティースの周りに配置されている樹脂ボビンとヨークとの間に形成されている第2の空間部分と、周方向他方側のティースの周りに配置されている樹脂ボビンとヨークとの間に形成されている第3の空間部分とにより構成されている。
そして、押し出し部材により押し出された絶縁部材は、第1の中央部分と第2の中央部分が、絶縁部材挿入空間の第1の空間部分に挿入され、第1の縁部分が、絶縁部材挿入空間の第2の空間部分に挿入され、第2の縁部分が、絶縁部材挿入空間の第3の空間部分に挿入されるように構成されている。
本形態では、隣接するティースのうちの周方向一方側のティースの周りに配置されている樹脂ボビンに巻き付けられている固定子巻線と周方向他方側のティースの周りに配置されている樹脂ボビンに巻き付けられている固定子巻線との間に形成されている第1の空間部分と、周方向一方側のティースの周りに配置されている樹脂ボビンとヨークとの間に形成されている第2の空間部分と、周方向他方側のティースの周りに配置されている樹脂ボビンとヨークとの間に形成されている第3の空間部分とにより構成される絶縁部材挿入空間に、断面がV字状を有する絶縁部材を容易に挿入することができる。
本発明の異なる形態では、絶縁部材は、板状に形成されている。
そして、搬送部材の絶縁部材挿入孔は、板状の絶縁部材が挿入可能な形状に形成されている。
本形態では、板状の絶縁部材を、固定子の絶縁部材挿入空間に挿入する作業を自動化することができる。
本発明の異なる形態では、搬送装置は、第1の搬送部材と、第2の搬送部材と、第1の搬送部材と第2の搬送部材を支持する支持部材と、を有している。
そして、支持部材は、第1の搬送部材と第2の搬送部材の一方が押し出し位置、他方が待機位置に配置される第1の位置と、他方が押し出し位置、一方が待機位置に配置される第2の位置との間で移動可能に構成されている。
本形態では、絶縁部材を、固定子の絶縁部材挿入空間に、より迅速に挿入することができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明の絶縁部材挿入装置を用いることにより、固定子に形成されている絶縁部材挿入空間に絶縁部材を挿入する作業を自動化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】固定子の一例を示す図である。
図2】一例の固定子を構成する固定子コアを示す図である。
図3】一例の固定子を構成する樹脂ボビンを示す図である。
図4】樹脂ボビンを固定子コアのティースに装着する動作を説明する図である。
図5】絶縁部材を絶縁部材挿入空間に挿入する動作を説明する図である。
図6図5を矢印VI-VI方向から見た図である。
図7】本発明の絶縁部材挿入装置の一実施形態を示す図である。
図8図7の一部を拡大した図である。
図9】折り畳み部材の構成を説明する図である。
図10図9を矢印X方向から見た図である。
図11図10を矢印XI-XI方向から見た図である。
図12】搬送部材が待機位置に配置されている状態を示す図である。
図13】搬送部材の構成を説明する図である。
図14】搬送部材の構成を説明する図である。
図15図12を矢印XV方向から見た図である。
図16】搬送装置の動作を説明する図である。
図17】押し出し装置の構成を説明する図である。
図18】固定子保持装置の構成を説明する図である。
図19】固定子保持装置の構成を説明する図である。
図20】固定子保持装置の構成を説明する図である。
図21】押し出し装置の動作を説明する図である。
図22図21の矢印XXIIで示されている部分を拡大した図である。
図23】固定子保持装置に固定子が保持されている状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
本明細書では、「軸方向」という記載は、回転子が固定子に対して相対的に回転可能に配置されている状態において、回転子の回転中心線P(図1参照)の延在方向を示す。回転中心線Pは、「固定子中心線」に対応する。「周方向」という記載は、回転子が固定子に対して相対的に回転可能に配置されている状態において、軸方向に直角な断面(図2参照)で見て、回転中心線(固定子中心線)Pを中心とする円周方向を示す。「径方向」という記載は、回転子が固定子に対して相対的に回転可能に配置されている状態において、軸方向に直角な断面で見て、回転中心線(固定子中心線)Pを通る方向を示す。「径方向内周側」という記載は、径方向に沿って回転中心線(固定子中心線)P側を示し、「径方向外周側」という記載は、径方向に沿って回転中心線(固定子中心線)Pと反対側を示す。
なお、樹脂ボビンに対しては、「軸方向」、「周方向」および「径方向」という記載は、樹脂ボビンが固定子コアのティースに装着されている状態における「軸方向」、「周方向」および「径方向」を示す。
【0009】
先ず、電動機等の回転機を構成する固定子の一例を、図1図6を参照して説明する。
図1は、固定子100を示す図である。図2は、固定子コア110を示す図である。図3は、樹脂ボビン200を示す図である。図4は、樹脂ボビン200を固定子コア110のティース121に装着する動作を説明する図である。図5は、絶縁部材300を固定子100の絶縁部材挿入空間に挿入する動作を説明する図である。図6は、図5をVI-VI方向から見た図である。
【0010】
固定子100は、固定子コア110、樹脂ボビン200、固定子巻線(図示省略)、絶縁部材300により構成されている。
【0011】
固定子コア110は、軸方向一方側および軸方向他方側に固定子コア端面110Aおよび110Bを有し、第1のコア部材120と第2のコア部材130により構成されている(図2参照)。すなわち、固定子コア110は、分割構造の固定子コアとして構成されている。
第1のコア部材120は、径方向に沿って延在する複数のティース121を有している。ティース121は、径方向に沿って延在するティース基部122と、ティース基部122の径方向内周側に設けられ、周方向に沿って延在するティース先端部123を有している。周方向に隣接するティース121のティース先端部123は、連結部125によって連結されている。
第2のコア部材130は、周方向に沿って延在するヨーク131を有している。ヨーク131は、ヨーク外周面132とヨーク内周面133を有している。ヨーク内周面133は、ヨーク内周面部分133a~133cを有している。ヨーク内周面部分133cにより、ティース基部122の、径方向外周側の端部が嵌合可能な凹部134が形成される。ヨーク内周面部分133cの両側に接続されているヨーク内周面部分133aと133bは、ヨーク131の厚さが、ヨーク内周面部分133c側から、ヨーク内周面部分133aと133bの接続部に向って薄くなるように傾斜している。
なお、ティース先端部123の、径方向内周側のティース先端面124によって回転子挿入空間が形成される。
回転機は、固定子100と、回転子挿入空間に回転可能に配置された回転子(図示省略)によって構成される。
【0012】
樹脂ボビン200は、絶縁特性を有する樹脂により形成され、第1の鍔部210、第2の鍔部220、胴部230および貫通孔270を有している(図3参照)。
第1の鍔部210(第2の鍔部220)は、軸方向および周方向に沿って延在するとともに、径方向外周側に外周面210A(220A)、径方向内周側に内周面210B(220B)、軸方向一方側に端面211(221)、軸方向他方側に端面212(222)、周方向一方側に側面213(223)、周方向他方側に側面214(224)を有している。
胴部230は、第1の鍔部210と第2の鍔部220との間に設けられ、径方向に沿って延在している。
貫通孔270は、胴部230に形成され、径方向に沿って延在している。貫通孔270は、内壁面271~274により形成され、両端が開口している。
【0013】
第1の鍔部210には、外周面210Aから径方向外周側に突出する突部240、250および260が設けられている。
突部240は、貫通孔270に対して端面211側に設けられ、端面211側に外壁面241を有している。外壁面241は、端面211側から貫通孔270側に向かって、外周面210Aからの距離が長くなる傾斜面に形成されている。
突部250は、貫通孔270より端面212側で、側面213側の領域に設けられている。突部250は、突部260と対向する側に外壁面251を有している。
突部260は、貫通孔270より端面212側で、側面214側の領域に設けられている。突部260は、突部250と対向する側に外壁面261を有している。
【0014】
また、第1の鍔部210には、外周面210Aから径方向内周側に窪んでいる凹部280および290が設けられている。
凹部280(第1の凹部)は、貫通孔270に対して側面213側(周方向一方側)に設けられている。凹部280は、底面281、端面211側(軸方向一方側)に設けられている壁面282、側面214側(周方向他方側)に設けられている壁面283により形成されている。
凹部290(第2の凹部)は、貫通孔270に対して側面214側(周方向他方側)に設けられえいる。凹部290は、底面291、端面211側(軸方向一方側)に設けられている壁面292、側面213側(周方向一方側)に設けられている壁面293により形成されている。
なお、凹部280および290の少なくとも一方は、端面212側(軸方向他方側)に壁面を有していてもよい。
【0015】
ティース121に樹脂ボビン200が装着されているとともに、樹脂ボビン200の周りに固定子巻線(図示省略)が巻き付けられた状態で、第1のコア部材120と第2のコア部材130を組み付ける。
先ず、第1のコア部材120のティース基部122の端部を、樹脂ボビン200の貫通孔270に、第2の鍔部220側から挿入する。この時、貫通孔270を形成する内壁面271~274の、径方向内周側の案内面271a~274aによって、ティース基部122の端部が貫通孔270内に案内される。ティース基部122は、ティース基部122の端部が第1の鍔部210の外周面210Aから飛び出るように挿入される。
そして、樹脂ボビン200の第1の鍔部210の外周面210Aから飛び出ている、ティース基部122の端部を、第2のコア部材130のヨーク131に形成されている凹部134に圧入(あるいは、焼き嵌めまたは冷し嵌め)する。
【0016】
さらに、絶縁部材300を、固定子100の絶縁部材挿入空間に挿入(配置)する。
絶縁部材300は、絶縁特性を有する樹脂、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂やポリエチレンナフタレート樹脂により形成される絶縁フィルムにより構成される。
絶縁部材300は、図5に示されているように、軸方向に平行に延在する第1の縁部301~第4の縁部304を有する四角形の絶縁フィルムが、断面がV字状を有するように折り曲げられて形成されている。すなわち、四角形の絶縁フィルムを、縁部301を含む第1の縁部分311、縁部301と対向する縁部302を含む第2の縁部分314、第1の縁部分311と第2の縁部分314の間の第1の中央部分312と第2の中央部分313に区分し、折り曲げ線321、322および323の箇所で、第1の縁部301、第2の縁部302の延在方向と直角な方向から見てV字状を有するように折り曲げている。
【0017】
図5では、固定子100の絶縁部材挿入空間は、軸方向に沿って延在している。また、絶縁部材挿入空間は、第1~第3の空間部分により形成されている。
第1の空間部分は、周方向に隣接するティース121に装着されている樹脂ボビン200の周りに巻き付けられている固定子巻線間に形成されている。
第2の空間部分は、周方向に隣接するティース121のうちの周方向一方側のティース121に装着されている樹脂ボビン200(第1の鍔部210の外周面210A)とヨーク131(ヨーク内周面部分133a)との間に形成されている。
第3の空間部分は、周方向他方側のティース121に装着されている樹脂ボビン200(第1の鍔部210の外周面210A)とヨーク131(ヨーク内周面部分133b)との間に形成されている。
絶縁部材挿入空間は、軸方向に直角な断面で見て、T字状を有している。すなわち、第1の空間部分が、T字の縦線を形成し、第2の空間部分が、T字の一方の横線を形成し、第3の空間部分が、T字の他方の横線を形成する。
【0018】
絶縁部材300を絶縁部材挿入空間内に挿入する際には、第1の縁部301(第1の縁部分311)と第2の縁部302(第2の縁部分314)との間の間隔が短くなるように力を加え、絶縁部材300を、断面がT字状を有するように弾性変形させる。すなわち、第1の中央部分312と第2の中央部分313が、T字の縦線を形成し、第1の縁部分311が、T字の一方の横線を形成し、第2の縁部分314が、T字の他方の横線を形成する。
次に、絶縁部材300を、弾性変形させた状態で、樹脂ボビン200の第1の鍔部210の端面211側(軸方向一方側)から、絶縁部材挿入空間に挿入する。具体的には、絶縁部材300の第1の中央部分312と第2の中央部分313を第1の空間部分に挿入し、第1の縁部分311を第2の空間部分に挿入し、第2の縁部分314を第3の空間部分に挿入する。
次に、絶縁部材300を絶縁部材挿入空間に挿入した状態で、絶縁部材300に加えていた力を解除する。これにより、絶縁部材300が弾性復帰し、絶縁部材挿入空間内に保持される。
この時、図5に示されているように、絶縁部材300の第1の縁部分311は、周方向一方側のティース121に装着されている樹脂ボビン200の、周方向他方側の凹部290内に配置され、第2の縁部分314は、周方向他方側のティース121に装着されている樹脂ボビン200の周方向一方側の凹部280内に配置される。これにより、凹部280の壁面282および283によって、絶縁部材300の軸方向一方側および周方向他方側への移動が規制され、凹部290の壁面292および293によって、絶縁部材300の軸方向一方側への移動および周方向一方側への移動が規制される。
従来は、絶縁部材300を固定子100の絶縁部材挿入空間に挿入する作業を、作業員が手作業で行っていた。
【0019】
次に、本発明の絶縁部材挿入装置の一実施形態を説明する。
なお、以下で説明する一実施形態の絶縁部材挿入装置は、断面がV字状を有するように折り曲げて形成された絶縁部材300を、固定子100の絶縁部材挿入空間に挿入する作業(図5参照)を自動化するように構成したものである。
【0020】
図7図8に、一実施形態の絶縁部材挿入装置400の全体図が示されている。なお、図8は、図7の一部を拡大した図である。
一実施形態の絶縁部材挿入装置400は、絶縁部材供給装置500、折り畳み装置600、搬送装置700、固定子保持装置800、押し出し装置900により構成されている。
絶縁部材供給装置500は、絶縁フィルムが巻き付けられているロールにより構成される絶縁フィルム供給装置510、絶縁フィルムを送る絶縁フィルム送り装置520、絶縁フィルムを加工して絶縁部材300を製造する絶縁部材製造装置530を有している。
折り畳み装置600は、絶縁部材製造装置530で製造された、断面がV字状を有する絶縁部材300を、断面がT字状を有する形状に折り畳む折り畳み部材610を有している。
搬送装置700は、断面がT字状を有するように折り畳まれた絶縁部材300を、折り畳んだ状態で搬送する搬送部材710を有している。なお、搬送装置700は、搬送部材710を、絶縁部材製造装置で製造された絶縁部材を受け取る待機位置と、搬送された絶縁部材を押し出す押し出し位置との間で移動させる駆動手段を有している。
固定子保持装置800は、固定子100を保持するとともに、固定子100の絶縁部材挿入空間を、搬送部材710により搬送された絶縁部材300に対向する位置に配置する。なお、固定子保持装置800は、固定子100を保持する保持手段と、保持している固定子100を、固定子中心線を中心に回転させる駆動手段を有している。
押し出し装置900は、搬送部材710により、折り畳まれた状態で搬送された絶縁部材300を、固定子100の絶縁部材挿入空間側に押し出す押し出し部材910を有している。なお、押し出し装置900は、押し出し部材910を移動させる駆動手段を有している。
本実施形態では、固定子100の絶縁部材挿入空間に挿入する絶縁部材300を第1ライン(第1系統)Aと第2ライン(第2系統)Bの2ライン(2系統)で供給するように構成されている。第1ラインAは、絶縁フィルム供給装置510A、絶縁フィルム送り装置520A、絶縁部材製造装置530A、折り畳み部材610Aおよび搬送部材710Aを有している。また、第2ラインBは、絶縁フィルム供給装置510B、絶縁フィルム送り装置520B、絶縁部材製造装置530B、折り畳み部材610Bおよび搬送部材710Bを有している。
【0021】
絶縁部材製造装置530A、530Bは、断面がV字状を有するように折り曲げられた絶縁部材300を製造する。
絶縁部材製造装置530A、530Bとしては、公知の種々の構成の絶縁部材製造装置を用いることができる。例えば、特開2013-192362号公報に開示されている絶縁部材製造装置を用いることができる。
【0022】
折り畳み部材610A、610Bは、絶縁部材製造装置530A、530Bで製造された絶縁部材300を折り畳む。折り畳み部材610A、610Bは、同じ構成である。このため、折り畳み部材610A、610Bの構成を、図9図11に示されている折り畳み部材610を参照して説明する。図9は、折り畳み部材610を示す図であり、図10は、図9を矢印X方向から見た図であり、図11は、図10を矢印XI-XI方向から見た図である。
なお、図9図11には、互いに直交するA方向、B方向およびC方向が示されている。A方向は、後述する折り畳み部材610の絶縁部材挿入孔611が延在する方向を示している。以下では、絶縁部材挿入孔611の延在方向を、「A方向」という。
【0023】
折り畳み部材610は、断面がV字状を有する絶縁部材300(A)を折り畳み、断面がT字状を有する絶縁部材300(B)を送り出す。本実施形態では、折り畳み部材610は、両端が開口しているとともに、絶縁部材300(A)が挿入可能な絶縁部材挿入孔611を有している。絶縁部材挿入孔611は、絶縁部材300(A)が挿入される側(以下、「挿入側」という)に挿入開口部を有し、絶縁部材300(A)が挿入される側と反対側、すなわち、絶縁部材300(B)を送り出す側(以下、「送出側」という)に送出開口部を有している。
本実施形態では、絶縁部材挿入孔611は、A方向に直角な断面(図10参照)で見て、十字状を有している。図9では、絶縁部材挿入孔611は、絶縁部材挿入孔611の中心から十字方向(B方向、C方向)に延在する第1~第4の挿入孔部分611a~611dにより形成されている。
なお、第1~第3の挿入孔部分611a~611cは、T字状に配置されている。すなわち、第1の挿入孔部分611aは、T字の縦線を形成し、第2の挿入孔部分611bは、T字の一方の横線を形成し、第3の挿入孔部分611cは、T字の他方の横線を形成する。第2の挿入孔部分611bおよび第3の挿入孔部分611cは、A方向に直角な断面で見て、第1の挿入孔部分611aの延在方向に対して鋭角に交差する方向に延在している。
本実施形態では、絶縁部材300(A)の第1の中央部分312と第2の中央部分313が、第1の挿入孔部分611aに挿入され、第1の縁部分311が、第2の挿入孔部分611bに挿入され、第2の縁部分314が、第3の挿入孔部分611cに挿入される。
なお、絶縁部材挿入孔611の形状は、断面がV字状を有する絶縁部材300(A)を、断面がT字状を有する形状に折り畳むことができればよく、図9図11に示されている形状に限定されない。
【0024】
折り畳み部材610は、第1の部材620と第2の部材630により構成されている。
第1の部材620は、第1~第6の外壁面621~626を有している。
外壁面622は、A方向およびB方向に沿って延在しており、B方向に沿って、第1~第7の外壁面部分622a~622gを有している。外壁面部分622aと622gは、同じ平面上に存在する。
外壁面部分622c~622eにより、絶縁部材挿入孔611の第1の挿入孔部分611aが形成される。第1の挿入孔部分611aは、外壁面部分622cを一方側の側壁面、外壁面部分622dを底壁面、外壁面部分622eを他方側の側壁面とし、外壁面622~624側が開口している。
外壁面部分622cは、A方向に沿って、挿入側に第1の部分622c1を有し、送出側に第2の部分622c2を有している。同様に、外壁面部分622eは、挿入側に第1の部分622e1を有し、送出側に第2の部分622e2を有している。外壁面部分622cの第1の部分622c1および外壁面部分622eの第1の部分622e1は、第1の挿入孔部分611aの幅が、A方向に沿って、挿入側から送出側に向かって減少するように傾斜状に延在している。外壁面部分622cの第2の部分622c2と外壁面部分622eの第2の部分622e2は、第1の挿入孔部分611aの幅が等しくなるように、A方向と平行(「略平行」を含む)に延在している。
外壁面部分622bは、B方向に沿って、外壁面部分622aとの接続部側から外壁面部分622cとの接続部側に向って、外壁面部分622aから飛び出る方向(C方向)に傾斜状に延在している。また、外壁面部分622bは、A方向に沿って、挿入側に第1の部分622b1を有し、送出側に第2の部分622b2を有している。第1の部分622b1は、外壁面部分622aと第1の部分622b1との間のC方向に沿った距離が、A方向に沿って、挿入側(外壁面623との接続部側)から第2の部分622b2との接続部側に向って大きくなるように傾斜状に延在している。
外壁面部分622fは、B方向に沿って、外壁面部分622gとの接続部側から外壁面部分622eとの接続部側に向って、外壁面部分622gから飛び出る方向(C方向)に傾斜状に延在している。また、外壁面部分622fは、A方向に沿って、挿入側に第1の部分622f1を有し、送出側に第2の部分622f2を有している。第1の部分622f1は、外壁面部分622gと第1の部分622f1との間のC方向に沿った距離が、A方向に沿って、挿入側(外壁面623との接続部側)から第2の部分622f2との接続部側に向って大きくなるように傾斜状に延在している。
第1の挿入孔部分611aは、送出側に、絶縁部材300を折り畳む折り畳み部611a2と、絶縁部材300を折り畳み部611a2側に案内する案内部611a12を有している。
【0025】
第2の部材630は、第1~第6の外壁面631~636を有している。
外壁面631は、A方向およびB方向に沿って延在しており、B方向に沿って、第1~第7の外壁面部分631a~631gを有している。外壁面部分631aと外壁面部分631gは、同じ平面上に存在する。
第3~第5の外壁面部分631c~631eにより、絶縁部材挿入孔611の第4の挿入孔部分611dが形成される。第4の挿入孔部分611dは、外壁面部分631cを一方側の側壁面、外壁面部分631dを底壁面、外壁面部分631eを他方側の側壁面とし、外壁面631、633および634側が開口している。
外壁面部分631bは、B方向に沿って、外壁面部分631aとの接続部側から外壁面部分631cとの接続部側に向って、外壁面部分631aから窪む方向(C方向)に傾斜状に延在している。外壁面部分631fは、B方向に沿って、外壁面部分631gとの接続部側から外壁面部分631eとの接続部側に向って、外壁面部分631gから窪む方向(C方向)に傾斜状に延在している。
外壁面部分631cと651eは、第4の挿入孔部分611dの幅が等しくなるように平行(「略平行」を含む)に延在している。
【0026】
また、第2の部材630は、外壁面633から挿入側に飛び出ている第1の突部637と第2の突部638を有している。
第1の突部637は、第1~第3の外壁面637a~637cを有し、第2の突部638は、第1~第3の外壁面638a~638cを有している。外壁面673a、638aは、先端面を形成する。
第1の突部637の外壁面637bは、外周面831の外壁面部分631cと面一に形成され、突部638の外壁面638bは、外周面831の外壁面部分631eと面一に形成されている。すなわち、外壁面637bと外壁面639bは、A方向と平行に延在している。
第1の突部637の外壁面637cは、B方向に沿って、外壁面633との接続部側から外壁面部分631cとの接続部側に向って、外壁面633から窪む方向に傾斜状に延在しているとともに、C方向に沿って、外壁面637aとの接続部側から外壁面部分631bとの接続部側に向って、外壁面633から窪む方向に傾斜状に延在している。
第2の突部638の外壁面638cは、B方向に沿って、外壁面633との接続部側から外壁面部分631eとの接続部側に向って、外壁面633から窪む方向に傾斜状に延在しているとともに、C方向に沿って、外壁面638aとの接続部側から外壁面部分631fとの接続部側に向って、外壁面638aから窪む方向に傾斜状に延在している。
【0027】
第1の部材620と第2の部材630は、第1の部材620の外壁面部分622aと第1の部材630の外壁面部分631aが対向し、第1の部材620の外壁面部分622gと第2の部材630の外壁面部分631gが対向するように組み付けられる。この時、第1の部材620の外壁面部分622bと第2の部材630の外壁面部分631bとの間に絶縁部材挿入孔611の第2の挿入孔部分611bが形成され、第1の部材620の外壁面部分622fと第2の部材630の外壁面部分631fとの間に絶縁部材挿入孔611の第3の挿入孔部分611cが形成されるように組み付けられる。
第2の挿入孔部分611bおよび第3の挿入孔部分611cは、A方向に直角な方向から見て、第1の挿入孔部分611aの延在方向に対して鋭角の方向に延在している。
これにより、十字状に配置された第1~第4の挿入孔部分611a~611dにより形成され、A方向に沿って延在する絶縁部材挿入孔611を有する折り畳み部材610が得られる。
本実施形態では、絶縁部材挿入孔611の挿入側に、絶縁部材300(A)の絶縁部材挿入孔611内への挿入を案内する案内部が設けられている。第1の挿入孔部分611aは、第1の部材620の外壁面部分622cの第1の部分622c1と外壁面部分622eの第1の部分622e1によって形成される案内部を有している。第2の挿入孔部分611bは、第1の部材620の外壁面部分622bの第1の部分622b1と、第2の部材630の第1の突部637の外壁面637cによって形成される案内部を有している。第3の挿入孔部分611cは、第1の部材620の外壁面部分622fの第1の部分622f1と、第2の部材630の第2の突部638の外壁面638cによって形成される案内部を有している。
【0028】
搬送部材710A、710Bは、折り畳み部材610A、610Bで、断面がT字状を有するように折り畳まれた絶縁部材300(B)を、折り畳んだ状態で搬送する。搬送部材710A、710Bは、同じ構成である。このため、搬送部材710A、710Bの構成を、図12図15に示されている搬送部材710を参照して説明する。図12は、搬送部材710を示す図であり、図13は、搬送部材710を構成する第1の部材と第2の部材を示す図であり、図14は、搬送部材710を構成する第3の部材と第4の部材を示す図であり、図15は、図12を矢印XV方向から見た図である。
なお、図12図15には、互いに直交するA方向、B方向およびC方向が示されている。A方向は、後述する搬送部材710の絶縁部材挿入孔711が延在する方向を示している。以下では、絶縁部材挿入孔711の延在方向を、「A方向」という。
本実施形態では、搬送部材710は、絶縁部材300(B)が挿入可能な絶縁部材挿入孔711を有している。絶縁部材挿入孔711は、絶縁部材300(B)が挿入される側(以下、「挿入側」という)に挿入開口部を有し、絶縁部材300(B)が挿入される側と反対側、すなわち、絶縁部材300(B)が押し出される側(以下、「押出側」という)に押出開口部を有している。
本実施形態では、絶縁部材挿入孔711は、A方向に直角な断面(図15参照)で見て、十字状を有している。図15では、絶縁部材挿入孔711は、絶縁部材挿入孔711の中心から十字方向(B方向、C方向)に延在する第1~第4の挿入孔部分711a~711dにより形成されている。
なお、第1~第3の挿入孔部分711a~711cは、T字状に配置されている。すなわち、第1の挿入孔部分711aは、T字の縦線を形成し、第2の挿入孔部分711bは、T字の一方の横線を形成し、第3の挿入孔部分711cは、T字の他方の横線を形成する。第2の挿入孔部分711bおよび第3の挿入孔部分711cは、A方向に直角な断面で見て、第1の挿入孔部分711aの延在方向に対して鋭角に交差する方向に延在している。
本実施形態では、絶縁部材300(B)の第1の中央部分312と第2の中央部分313が、第1の挿入孔部分711aに挿入され、第1の縁部分311が、第2の挿入孔部分711bに挿入され、第2の縁部分314が、第3の挿入孔部分711cに挿入される。
なお、絶縁部材挿入孔711の形状は、絶縁部材300(B)を、断面がT字状を有するように折り畳んだ状態で挿入することができればよく、図12図15に示されている形状に限定されない。
【0029】
搬送部材710は、第1の部材720、第2の部材730、第3の部材740および第4の部材750により構成されている。
第1の部材720は、第1~第6の外壁面721~726を有している。
外壁面722は、A方向およびB方向に沿って延在しており、B方向に沿って、第1~第7の外壁面部分722a~722gを有している。外壁面部分722a、722b、722e、722gは、A方向およびB方向に沿って延在し、外壁面部分722c、722d、722fは、A方向およびC方向に沿って延在している。
外壁面部分722bは、B方向に沿って、外壁面部分722aとの接続部側から外壁面部分722cとの接続部側に向って、外壁面部分722aから飛び出る方向(C方向)に傾斜状に延在している。
外壁面部分722cは、A方向に沿って、絶縁部材300(B)が挿入される側(以下、「挿入側」という)から絶縁部材300(B)が押し出される側(以下、「押出側」という)に向って、第1の部分722c1、第2の部分722c2、第3の部分722c3を有している。第1の部分722c1と第3の部分722c3は、A方向に平行に延在している。第1の部分722c1は、第3の部分722c3より外壁面部分722a側に配置されている。第2の部分722c2は、第1の部分722c1と第3の部分722c3の間に形成され、A方向に対して傾斜状に延在している。
外壁面部分722dは、外壁面部分722cから窪んでいる凹面であり、A方向に沿って延在している。本実施形態では、外壁面部分722dは、A方向と平行に延在している。
外壁面部分722eと722fは、外壁面部分722cと722gを接続する段差面に形成されている。
【0030】
第2の部材730は、第1~第6の外壁面731~736を有している。
外壁面732は、A方向およびB方向に沿って延在しており、B方向に沿って、外壁面部分732aと732bを有している。外壁面部分732bは、B方向に沿って、外壁面部分732aとの接続部側から外壁面735との接続部側に向って、外壁面部分732aから飛び出る方向(C方向)に傾斜状に延在している。
外壁面735は、A方向およびC方向に沿って延在し、外壁面部分735a~735eを有している。
外壁面部分735aと735bは、外壁面部分735cの、挿入側の部分に、段差状の外壁面部分735dを介して接続されている。外壁面部分735aは、外壁面部分735bより挿入側に配置されている。外壁面部分735aと735cは、A方向に平行に延在している。外壁面部分735aは、外壁面部分735cより外壁面部分732a側に配置されている。外壁面部分735bは、外壁面部分735aと735cの間に形成され、A方向に対して傾斜状に延在している。
外壁面部分735eは、外壁面部分735a~735cから窪んでいる凹面であり、A方向に沿って延在している。本実施形態では、外壁面部分735eは、A方向と平行に延在している。
【0031】
第3の部材740は、第1~第6の外壁面741~746を有している。
外壁面741は、A方向およびB方向に沿って延在しており、B方向に沿って、第1~第6の外壁面部分741a~741fを有している。外壁面部分741a、741b、741d、741fは、A方向およびB方向に沿って延在し、外壁面部分741c、741eは、A方向およびC方向に沿って延在している。
外壁面部分741bは、外壁面部分741aからの高さが、B方向に沿って、外壁面部分741aとの接続部側から外壁面部分741cとの接続部側に向って、外壁面部分741aから窪む方向(C方向)に傾斜状に延在している。
外壁面部分741bは、A方向に沿って、挿入側から払出側に向って、第1~第3の部分741b1~741b3を有している。
外壁面部分741cは、A方向に沿って、挿入側から押出側に向って、第1~第3の部分741c1~741c3を有している。第1の部分741c1と第3の部分741c3は、A方向に平行に延在している。第1の部分741c1は、第3の部分741c3より外壁面部分741a側に配置されている。第2の部分741c2は、第1の部分741c1と第3の部分741c3の間に形成され、A方向に対して傾斜状に延在している。外壁面部分741cの第1~第3の部分741c1~741c3は、外壁面部分741bの第1~第3の部分741b1~741b3に接続されている。
外壁面部分741dと741eは、外壁面部分742cと741fを接続する段差面に形成されている。
【0032】
第4の部材750は、第1~第6の外壁面751~756を有している。
外壁面751は、A方向およびB方向に沿って延在しており、B方向に沿って、第1の外壁面部分751aと第2の外壁面部分751bを有している。外壁面部分751aは、B方向に沿って、外壁面部分751bとの接続部側から外壁面755との接続部側に向って、外壁面部分751bから窪む方向(C方向)に傾斜状に延在している。
外壁面部分751aは、A方向に沿って、挿入側から押出側に向って、第1~第3の部分751a1~751a3を有している。
外壁面755は、A方向およびC方向に沿って延在し、外壁面部分755a~755dを有している。
外壁面部分755aと755bは、外壁面部分755cの、挿入側の部分に、段差状の外壁面部分755dを介して接続されている。外壁面部分755aは、外壁面部分755bより挿入側に配置されている、外壁面部分755aと755cは、A方向に平行に延在している。外壁面部分755bは、外壁面部分755aと755cの間に形成され、A方向に対して傾斜状に延在している。外壁面部分755a~755dは、第2の部材730の外壁面部分735a~735dと同様に形成されている。
【0033】
第1~第4の部材720~750は、例えば、以下のようにして組み付けられる。
第1の部材720と第2の部材730を、第2の部材730の外壁面731、外壁面735の外壁面部分735cが、それぞれ、第1の部材720の外壁面722の外壁面部分722g、722fと対向するよう組み付ける。これにより、第1の部材720の外壁面部分722cおよび722eと、第2の部材730の外壁面部分735a~735dによって、絶縁部材挿入孔711の第1の挿入孔部分711aが形成される。また、第1の部材720の外壁面722の外壁面部分722dと、第2の部材730の外壁面735の外壁面部分735eによって押し出し部材挿入孔711e(後述する)が形成される。
第3の部材740と第4の部材750を、第4の部材750の外壁面752、外壁面755の外壁面部分755cが、第3の部材740の外壁面741の外壁面部分741f、外壁面部分741eと対向するように組み付ける。これにより、第3の部材740の外壁面部分741c、741dと、第4の部材750の外壁面部分755a~755dによって、絶縁部材挿入孔711の第4の挿入孔部分711dが形成される。
そして、第1の部材720と第2の部材730を組み付けた組み付け体と、第3の部材740と第4の部材750を組み付けた組み立て体を、第3の部材740の外壁面741の外壁面部分741aが、第1の部材720の外壁面722の外壁面部分722aと対向し、第4の部材750の外壁面751の外壁面部分751bが、第2の部材730の外壁面732の外壁面部分732aと対向するように組み付ける。これにより、第3の部材740の外壁面741の外壁面部分741bと、第1の部材720の外壁面722の外壁面部分722bによって、絶縁部材挿入孔711の第2の挿入孔部分711bが形成される。また、第4の部材750の外壁面751の外壁面部分751aと、第2の部材730の外壁面732の外壁面部分732bによって、絶縁部材挿入孔711の第3の挿入孔部分711cが形成される。
以上により、A方向に沿って延在し、A方向と直角な断面で見て、十字状に配置されている(B方向およびC方向に沿って延在している)第1~第4の挿入孔部分711a~711dにより形成される絶縁部材挿入孔711と、A方向に沿って延在し、絶縁部材挿入孔711と少なくとも部分的に重なっている押し出し部材挿入孔711eを有する搬送部材710が得られる。
【0034】
次に、搬送装置700の動作を、図16を参照して説明する。
搬送部材710は、断面がT字状を有するように折り畳まれた絶縁部材300(B)が絶縁部材挿入孔711内に挿入される待機位置と、絶縁部材300(B)を絶縁部材挿入孔711から押し出す押し出し位置との間を移動する。
本実施形態では、第1ラインAの搬送部材710Aと第2ラインBの搬送部材710Bが、支持部材760によって支持されている。支持部材760は、第1の位置と第2の位置との間を移動する。支持部材760が第1の位置に移動すると、搬送部材710Aは、待機位置Saに配置され、搬送部材710Bは、押し出し位置Sに配置される。一方、支持部材760が第2の位置に移動すると、搬送部材710Aは、押し出し位置Sに配置され、搬送部材710Bは、待機位置Sbに配置される。
本実施形態では、搬送部材710Aと710Bにより、折り畳まれた絶縁部材300(B)を交互に取り出し位置に搬送するため、絶縁部材を挿入するのに要する時間を短縮することができる。
【0035】
次に、固定子保持装置800と押し出し装置900の構成を、図17図23を参照して説明する。
先ず、押し出し装置900の構成を説明する。押し出し装置900は、搬送装置700によって、折り畳まれた状態で搬送された絶縁部材300(B)を、固定子保持装置800に保持されている固定子100の絶縁部材挿入空間側に押し出す。
本実施形態では、押し出し装置900は、押し出し部材910、支持部材920、駆動手段(図示省略)により構成されている。
押し出し部材910は、長尺状の棒状部材により構成されている。また、押し出し部材910は、搬送部材710に形成されている押し出し部材挿入孔711eに挿入可能に形成されている。
支持部材920は、押し出し部材910を、移動可能に支持する。本実施形態では、支持部材920は、押し出し部材910が挿通可能な孔を有している。
本実施形態では、搬送部材710の押し出し部材挿入孔711eは、絶縁部材挿入孔711と少なくとも部分的に重なるように形成されている。このため、押し出し部材910を、搬送部材710の押し出し部材挿入孔711e内に挿入することによって、絶縁部材挿入孔711内に挿入されている絶縁部材300(B)を、払出開口部から押し出すことができる。
支持部材920は、搬送部材710が押し出し位置に移動した状態において、搬送部材710の押し出し部材挿入孔711eに対向する位置に押し出し部材910が配置されるように、押し出し部材910を支持する。
【0036】
固定子保持装置800は、固定子100を保持可能であるとともに、保持している固定子100の絶縁部材挿入孔を、搬送装置700により搬送された絶縁部材300(B)と対向する位置に配置可能に構成されている。
本実施形態では、固定子保持装置800は、第1の部材810、第2の部材820、駆動手段(図示省略)により構成されている。
【0037】
第1の部材810は、回転中心線を中心に回転可能に構成されている。
第1の部材810は、内側空間を形成する内周面811を有している。内側空間は、後述する、第2の部材820の第1の部分830が挿入可能に形成されている。内周面811には、第2の部材820の第1の部分830の外周に形成されている突部835が挿入可能な凹部812が、少なくとも1つ形成されている。本実施形態では、回転方向に沿って等間隔に3個の凹部812が形成されている。
第1の部材810の外周には、歯車813が形成されている。固定子保持装置800の駆動手段は、歯車813に駆動力を加えることによって、第1の部材810を回転させる。歯車813のピッチを適切に選択することによって、固定子保持装置800に保持される固定子100の絶縁部材挿入空間を、搬送装置700により搬送された絶縁部材300(B)に対向する位置に順次配置することができる。
第1の部材810を回転させる駆動手段としては、第1の部材810の回転位置(固定子保持装置800に保持されている固定子100の回転位置)を調節可能な種々の構成の駆動手段を用いることができる。
【0038】
第2の部材820は、第1の部分830と第2の部分840を有している。
第1の部分830は、端面830A(押し出し位置Sに移動した搬送部材710側の端面)と830B(押し出し位置Sに移動した搬送部材710と反対側の端面)を有しているとともに、円形の外周面831を有している。外周面831には、第1の部材810の凹部812に挿入可能な、少なくとも1つの突部835が設けられている。本実施形態では、周方向に沿って等間隔に3個の突部835が設けられている。第1の部分830は、突部835が第1の部材810の凹部812に挿入された状態で第1の部材810に固定される。第1の部分830の突部835が第1の部材810の凹部812に挿入されることにより、第1の部材810に対する第1の部分830の回転が規制される。
第2の部分840は、第1の部分830の外径より小さい外径を有し、第1の部分830の端面830Bから飛び出ている。
第2の部分840は、円形の外周面831を有している。第2の部分840の外径は、固定子コア110の内側空間に挿入可能に設定されている。なお、固定子コア110は、内側空間内に第2の部分840を挿入した状態(第2の部分840の周りに固定子コア110を配置した状態)で、固定子コア端面110Aと110Bの一方が第1の部分830の端面830Bに当接する位置に配置される。そして、第1の部材810に設けられている固定部材814によって保持される(図23参照)。
なお、固定子100は、固定子コア端面110Aと110Bのうち、絶縁部材300(B)を絶縁部材挿入空間内に挿入可能な開口部を有している側の固定子コア端面が、第1の部分830の端面830Bに当接するように装着される。
【0039】
また、固定子保持装置800は、押し出し部材910により、搬送部材710の絶縁部材挿入孔711の押出開口部から押し出された絶縁部材300(B)を、保持されている固定子100の絶縁部材挿入空間に案内する案内部を有している。
案内部は、第2の部材820の第1の部分830の外周に形成されている絶縁部材案内孔832を含む第1の案内部、第1の部分830の外周面831のうちの、絶縁部材案内孔832より周方向一方側の部分と第1の部材810の内周面811との間に形成される第2の案内部、第1の部分830の外周面831のうちの、絶縁部材案内孔832より周方向他方側の部分と第1の部材810の内周面811との間に形成される第3の案内部を有している(図19参照)。
押し出し部材910により押し出される絶縁部材300(B)は、第1の中央部分312と第2の中央部分313が第1の案内部により案内され、第1の縁部分311が第2の案内部により案内され、第2の縁部分314が第3の案内部により案内される。
第1の案内部には、絶縁部材案内孔832と少なくとも部分的に重なるように形成された押し出し部材案内孔833が含まれている。押し出し部材案内孔833は、押し出し位置に移動した搬送部材710の押し出し部材挿入孔711eと対向する位置に配置される。
これにより、押し出し部材910を、搬送部材710の押し出し部材挿入孔711eおよび第1の案内部の押し出し部材案内孔833に沿って移動させることができ(図21参照)、搬送部材710の絶縁部材挿入孔711内に挿入されている絶縁部材300(B)を、案内部を介して固定子100の絶縁部材挿入空間内に確実に挿入することができる。
また、第1の案内部は、第2の部材820の第1の部分830の絶縁部材案内孔832の先端側に形成されている突部834を含んでいる(図22参照)。
また、第1の案内部は、第1の部分830の外周に形成されている絶縁部材案内孔832に接続され、第2の部分840の外周に形成されている絶縁部材案内孔842を含んでいる。
なお、固定子100の絶縁部材挿入空間が第2の部材820の第1の部分830の外周に形成されている絶縁部材案内孔832に対向するように、第2の部材820に対する固定子100の装着位置(周方向に沿った位置)を規定する位置決め機構が設けられる。位置決め機構としては、種々の構成の位置決め機構を用いることができる。
【0040】
本発明は、実施形態で説明した構成に限定されず、種々の変更、追加、削除が可能である。
第1の縁部分、第2の縁部分、第1の中央部分および第2の中央部分を、断面がV字状を有するように折り曲げた絶縁部材を絶縁部材挿入空間に挿入する場合について説明したが、本発明は、種々の形状の絶縁部材を絶縁部材挿入空間に挿入する場合に用いることができる。例えば、V字状以外の断面形状を有する絶縁部材や、板状の絶縁部材を挿入する場合に用いることができる。なお、固定子の絶縁部材挿入空間は、絶縁部材が挿入可能な形状に形成される。
折り畳み部材を、第1の部材と第2の部材により構成したが、折り畳み部材は、適宜の数(1を含む)の部材により構成することができる。
十字状の絶縁部材挿入孔を有する折り畳み部材を用いたが、折り畳み部材の絶縁部材挿入孔の形状は、これに限定されない。
絶縁部材挿入孔を有する折り畳み部材を用いたが、折り畳み部材としては、絶縁部材を所望の形状に折り畳むことができる種々の構成の折り畳み部材を用いることができる。
折り畳み装置(折り畳み部材)を設けたが、折り畳み装置(折り畳み部材)は、省略することもできる。例えば、板状の絶縁部材を挿入する場合には、絶縁部材を折り畳む作業は不要である。
搬送部材を、第1の部材~第4の部材により構成したが、搬送部材は、適宜の数(1を含む)の部材により構成することができる。
十字状の絶縁部材挿入孔を有する搬送部材を用いたが、搬送部材の絶縁部材挿入孔は、実施形態の形状に限定されない。例えば、板状の絶縁部材を挿入する場合には、直線状の絶縁部材挿入孔(例えば、図12に示されている挿入孔部分711a)を有する搬送部材を用いることができる。この場合、搬送部材の移動中に、板状の絶縁部材が絶縁部材挿入口から抜け出るのを防止する抜け止め防止部を搬送部材に設けるのが好ましい。
絶縁部材挿入孔を有する搬送部材を用いたが、搬送部材としては、絶縁部材を搬送することができる種々の構成の搬送部材を用いることができる。
絶縁部材供給装置、折り畳み装置および搬送装置を2ライン(2系統)設けたが、ライン(系統)の数は、1を含む適宜の数に設定することができる。
絶縁部材を押し出す押し出し装置(押し出し部材)の構成は、実施形態で説明した構成に限定されない。
押し出し装置により押し出された絶縁部材を固定子の絶縁部材挿入空間に案内する案内部の構成は、実施形態で説明した構成に限定されない。また、押し出し部材により押し出された絶縁部材を固定子の絶縁部材挿入空間に案内する案内部の一部あるいは全部を省略することもできる。例えば、板状の絶縁部材を挿入する場合には、絶縁部材案内孔832を含む案内部を用いることができる。
実施形態で説明した各構成は、単独で用いることもできるし、適宜選択した複数の構成を組み合わせて用いることもできる。
【符号の説明】
【0041】
100 固定子
110 固定子コア
110A、110B 固定子コア端面
120 第1のコア部材
121 ティース
122 ティース基部
123 ティース先端部
124 ティース先端面
125 連結部
130 第2のコア部材
131 ヨーク
132 ヨーク外周面
133 ヨーク内周面
133a、133b、133c ヨーク内周面部分
134 凹部
200 樹脂ボビン
210、220 鍔部
210A、220A 外周面
210B、220B 内周面
211、212、221、222 端面
213、214、223、224 側面
230 胴部
240、250、260 突部
241、251、261 外壁面
270 貫通孔
271、272、273、274 内壁面
271a、272a、273a、274a 案内面
280、290 凹部
281、291 底面
282、283、292、293 壁面
300 絶縁部材
301、302、303、304 縁部
311 第1の縁部分
312 第1の中央部分
313 第2の中央部分
314 第2の縁部分
321、322、323 折り曲げ線
400 絶縁部材挿入装置
500 絶縁部材供給装置
510,510A、510B 絶縁フィルム供給装置
520,520A、520B 絶縁フィルム送り装置
530,530A、530B 絶縁部材製造装置
600 折り畳み装置
610、610A、610B 折り畳み部材
611 絶縁部材挿入孔
611a~611d 第1~第4の挿入孔部分
620 第1の部材
621~626 第1~第6の外壁面
622a~622g 第1~第7の外壁面部分
622b1、622c1、622e1、622f1 第1の部分
622b2、622c2、622e2、622f2 第2の部分
630 第2の部材
631~636 第1~第6の外壁面
631a~631g 第1~第7の外壁面部分
637 第1の突部
637a~637c 第1~第3の外壁面
638 第2の突部
638a~638c 第1~第3の外壁面
700 搬送装置
710、710A、710B 搬送部材
711 絶縁部材挿入孔
711a~711d 第1~第4の挿入孔部分
711e 押し出し部材挿入孔
720 第1の部材
721~726 第1~第6の外壁面
722a~722g 第1~第7の外壁面部分
722c1~722c3 第1~第3の部分
730 第2の部材
731~736 第1~第6の外壁面
732a~732b 第1~第2の外壁面部分
735a~735e 第1~第5の外壁面部分
740 第3の部材
741~746 第1~第6の外壁面
741a~741f 第1~第6の外壁面部分
741b1~741b3、741c1~741c3 第1~第3の部分
750 第4の部材
751~756 第1~第6の外壁面
751a~751b 第1~第2の外壁面部分
755a~755d 第1~第4の外壁面部分
760 支持部材
800 固定子保持装置
810 第1の部材
811 内周面
812 凹部
813 歯車
814 固定部材
820 第2の部材
830 第1の部分
830A、830B 端面
831 外周面
832 絶縁部材案内孔
833 押し出し部材案内孔
834 突部
835 突部
840 第2の部分
841 外周面
842 絶縁部材案内孔
900 押し出し装置
910 押し出し部材
920 支持部材
図1
図2
図3
図4
図5
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図20
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