(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022141490
(43)【公開日】2022-09-29
(54)【発明の名称】ミキサ車の制御システム
(51)【国際特許分類】
B60P 3/16 20060101AFI20220921BHJP
B28C 5/42 20060101ALN20220921BHJP
【FI】
B60P3/16 A
B28C5/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021041824
(22)【出願日】2021-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】KYB株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗原 隆輔
(72)【発明者】
【氏名】小森 幸徳
(72)【発明者】
【氏名】石黒 久栄
【テーマコード(参考)】
4G056
【Fターム(参考)】
4G056AA06
4G056CC21
4G056CD14
4G056CD64
(57)【要約】
【課題】表示装置とコントローラとの通信不良が起きた場合でも、自動撹拌を適切に行う。
【解決手段】制御システム100は、ミキサドラム2の動作を制御するコントローラ20と、コントローラ20に接続され、かつ、パーキングブレーキスイッチ22に接続されて、運転室内に配置される表示装置30と、コントローラ20に接続されて、ミキサドラム2に自動撹拌を実行させる旨の入力である自動撹拌入力を検出する第1操作盤41と、を有する。コントローラ20は、表示装置30との情報通信が可能であると判定した場合には、表示装置30から、パーキングブレーキが作動していない旨を示すパーキングオフ情報を取得したことをトリガとして、ミキサドラム2に自動撹拌を実行させ、表示装置30との情報通信が不可能であると判定した場合には、第1操作盤41が、自動撹拌入力を検出したことをトリガとして、ミキサドラム2に自動撹拌を実行させる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミキサドラムを備えるミキサ車の制御システムであって、
前記ミキサドラムの動作を制御するコントローラと、
前記コントローラに接続され、かつ、前記ミキサ車のパーキングブレーキの作動状態を検出するパーキングブレーキスイッチに接続されて、運転室内に配置される表示装置と、
前記コントローラに接続されて、前記ミキサドラムに自動撹拌を実行させる旨の入力である自動撹拌入力を検出する第1操作盤と、
を有し、
前記コントローラは、
前記表示装置との情報通信が可能であると判定した場合には、前記表示装置から、前記パーキングブレーキが作動していない旨を示すパーキングオフ情報を取得したことをトリガとして、前記ミキサドラムに自動撹拌を実行させ、
前記表示装置との情報通信が不可能であると判定した場合には、前記第1操作盤が、前記自動撹拌入力を検出したことをトリガとして、前記ミキサドラムに自動撹拌を実行させる、
ミキサ車の制御システム。
【請求項2】
前記第1操作盤は、さらに、前記ミキサドラムが自動撹拌以外の動作をする場合の、前記ミキサドラムの回転を制御するための入力である回転制御入力を検出し、
前記コントローラは、
前記表示装置との情報通信が可能であると判定した場合には、前記第1操作盤への前記回転制御入力を受け付けつつ、前記第1操作盤への前記自動撹拌入力を受け付けず、
前記表示装置との情報通信が不可能であると判定した場合には、前記第1操作盤への前記回転制御入力を受け付けず、前記第1操作盤への前記自動撹拌入力を受け付ける、請求項1に記載のミキサ車の制御システム。
【請求項3】
前記コントローラに接続され、前記回転制御入力を検出する第2操作盤を更に有し、
前記コントローラは、前記表示装置との情報通信が可能であると判定した場合と、前記表示装置との情報通信が不可能であると判定した場合との両方において、前記第2操作盤への前記回転制御入力を受け付ける、請求項2に記載のミキサ車の制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミキサ車の制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ミキサ車のミキサドラムの回転を電子制御で行う技術が知られている。例えば特許文献1には、ミキサドラムのコントローラと、コントローラに接続される表示装置とを有する制御システムが記載されている。特許文献1においては、コントローラが、表示装置に接続された操作盤の自動撹拌をオンにした旨の信号を、表示装置を介して受信し、かつ、パーキングブレーキスイッチからパーキングブレーキがオフである旨の信号を受信した場合に、ミキサドラムの自動撹拌を開始する旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このようなミキサ車においては、表示装置の故障や盗難、コントローラと表示装置との接続配線が断線したりする等により、表示装置とコントローラとの通信不良が起こるおそれがある。このような場合、特許文献1においては、表示装置を介して自動撹拌がオンである旨の信号を受信できなくなるため、自動撹拌を適切に実行できなくなる。従って、表示装置とコントローラとの通信不良が起きた場合でも、自動撹拌を適切に行うことが求められている。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、表示装置とコントローラとの通信不良が起きた場合でも、自動撹拌を適切に行うことが可能なミキサ車の制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係るミキサ車の制御システムは、ミキサドラムを備えるミキサ車の制御システムであって、前記ミキサドラムの動作を制御するコントローラと、前記コントローラに接続され、かつ、前記ミキサ車のパーキングブレーキの作動状態を検出するパーキングブレーキスイッチに接続されて、運転室内に配置される表示装置と、前記コントローラに接続されて、前記ミキサドラムに自動撹拌を実行させる旨の入力である自動撹拌入力を検出する第1操作盤と、を有し、前記コントローラは、前記表示装置との情報通信が可能であると判定した場合には、前記表示装置から、前記パーキングブレーキが作動していない旨を示すパーキングオフ情報を取得したことをトリガとして、前記ミキサドラムに自動撹拌を実行させ、前記表示装置との情報通信が不可能であると判定した場合には、前記第1操作盤が、前記自動撹拌入力を検出したことをトリガとして、前記ミキサドラムに自動撹拌を実行させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、表示装置とコントローラとの通信不良が起きた場合でも、自動撹拌を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るミキサ車の模式的な平面図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係るミキサ車の模式的な背面図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係るミキサ車のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、自動撹拌の処理フローを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0010】
図1は、本実施形態に係るミキサ車の模式的な平面図であり、
図2は、本実施形態に係るミキサ車の模式的な背面図であり、
図3は、本実施形態に係るミキサ車のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0011】
(ミキサ車の全体構成)
以下、
図1から
図3を参照して、本実施形態に係るミキサ車1の全体構成について説明する。本実施形態に係るミキサ車1は、ミキサドラム2内に投入されたモルタルやレディミクストコンクリート等のいわゆる生コンクリート(以下、「生コン」と称する。)を運搬する車両である。以下の説明では、ミキサ車1が積載物として生コンを積載する場合について説明する。
【0012】
図1に示すように、ミキサドラム2は、架台3に回転可能に搭載される有底円筒形の容器であり、その後端には生コンの投入と排出とが行われる開口部2aが設けられる。ミキサドラム2は、その回転軸Oが車両の前部から後部に向かって徐々に高くなるように傾斜して搭載される。ミキサドラム2内には、図示しないドラムブレードがドラム内壁面に沿って螺旋状に配設されており、ミキサドラム2とともにドラムブレードが回転することによって、ミキサドラム2内に積載された生コンの撹拌等が行われる。
【0013】
図2に示すように、ミキサドラム2の開口部2aの後方上部には、ホッパ16が設けられる。生コン工場においてミキサ車1に投入される生コンは、ホッパ16によって開口部2aへと導かれる。ミキサドラム2の開口部2aの後方下部には、フローガイド17及びシュート18が設けられる。開口部2aから排出される生コンは、フローガイド17によってシュート18に導かれ、シュート18によって所定の方向に排出される。
【0014】
ミキサドラム2は、ミキサ車1に搭載された走行用のエンジン10を駆動源として、
図1に示す駆動装置4を介して回転駆動される。駆動装置4は、エンジン10の回転によって駆動され、作動流体の流体圧によってミキサドラム2を回転駆動する流体圧装置である。
【0015】
図3に示すように、エンジン10は、エンジン10の出力及び回転数を調整するためのスロットル弁10aを有する。スロットル弁10aの開度は、エンジン10によって駆動装置4を駆動させる際に図示しないアクチュエータを介してコントローラ20により制御される。また、エンジン10には、エンジン10の回転速度を検出し、検出された回転速度に応じた信号をコントローラ20へ出力する回転センサ10bが設けられる。
【0016】
駆動装置4を駆動する際のエンジン10の回転数は、回転センサ10bによって検出された回転速度が所定の大きさとなるように、スロットル弁10aを介してコントローラ20により制御される。なお、回転センサ10bは、駆動装置4の入力軸である後述のPTO軸9やドライブシャフト8の回転速度を検出するものであってもよいし、後述の油圧ポンプ5の回転速度を検出するものであってもよい。
【0017】
エンジン10の回転は、エンジン10から常時動力を取り出すPTO軸9(PTO:Power take-off)と、PTO軸9と駆動装置4とを連結するドライブシャフト8と、を介して駆動装置4に伝達される。
【0018】
駆動装置4は、エンジン10によって駆動され作動流体としての作動油OIを吐出する油圧ポンプ5と、油圧ポンプ5から供給される作動油OIによって作動しミキサドラム2を回転駆動する油圧モータ6と、を有する。なお、駆動装置4では、作動流体として作動油OIではなく、他の非圧縮性流体が用いられてもよい。
【0019】
油圧ポンプ5は、図示しない斜板の傾転角に応じて吐出量が変更される斜板型アキシャルピストンポンプであり、油圧ポンプ5から油圧モータ6への作動油OIの流れを制御する制御弁5aと、斜板の傾転角を変化させることで油圧ポンプ5の吐出量を調整する傾転角調整機構5bと、油圧モータ6に供給される作動油OIの圧力を検出する圧力センサ5cと、を有する。
【0020】
油圧ポンプ5は、PTO軸9を介してエンジン10から常時取り出される動力によって回転駆動される。なお、油圧ポンプ5を回転駆動させる駆動源としては、走行用のエンジン10に限定されず、走行に用いられない補機用のエンジンや電動モータであってもよい。
【0021】
制御弁5aは、ミキサドラム2を一方の方向に回転させるように油圧モータ6に作動油OIを導く第1位置と、ミキサドラム2を他方の方向に回転させるように油圧モータ6に作動油OIを導く第2位置と、油圧ポンプ5から油圧モータ6への作動油OIの流れを遮断する遮断位置と、を有する3位置切換弁である。制御弁5aの位置は、コントローラ20により電気的に制御される。
【0022】
傾転角調整機構5bは、斜板の傾転角を変化させる図示しない油圧アクチュエータと、油圧アクチュエータに導かれる作動油圧を制御する図示しないソレノイドバルブと、を有する。傾転角調整機構5bは、コントローラ20からソレノイドバルブに供給される駆動電流の大きさに応じて斜板の傾転角を変化させ、斜板の傾転角の変化に応じて油圧ポンプ5の吐出量が変更される。
【0023】
圧力センサ5cは、検出された作動油OIの圧力に応じた信号をコントローラ20に出力する。なお、圧力センサ5cは、駆動装置4における作動油の圧力である油圧ポンプ5から油圧モータ6に供給される作動油OIの圧力を検出することができれば何処に設けられていてもよく、油圧モータ6に設けられていてもよい。
【0024】
なお、油圧ポンプ5は、上記形式のポンプに限定されず、吐出容量が可変であるポンプ装置であればどのような形式のポンプであってもよい。例えば、油圧ポンプ5は、斜板の傾転角に応じて吐出量及び吐出方向が変更される斜板型アキシャルピストンポンプであってもよい。また、斜板が固定された固定容量型のポンプでもよい。この場合、ポンプに設けられる切替弁の開度によって吐出量が変更されるようにすればよい。
【0025】
油圧モータ6は、図示しない斜板の傾転角に応じて容量が変更される斜板型アキシャルピストンモータであり、油圧モータ6の図示しない出力軸の回転方向と回転速度とを検出する回転センサ6aと、斜板の傾転角を調整する傾転角調整機構6bと、を有する。
【0026】
回転センサ6aは、検出された出力軸の回転方向と回転速度とに応じた信号をコントローラ20に出力する。なお、回転センサ6aにより検出される油圧モータ6の回転数及び回転方向は、後述のようにミキサドラム2の回転数及び回転方向に相関する。
【0027】
傾転角調整機構6bは、斜板の傾転角を変化させる図示しない油圧アクチュエータと、油圧アクチュエータに導かれる作動油圧を制御する図示しないソレノイドバルブと、を有する。コントローラ20からソレノイドバルブに供給される電流値に応じて斜板の傾転角が変化し油圧モータ6の容量が変更される。
【0028】
なお、油圧モータ6は、上記形式のモータに限定されず、任意の形式の油圧モータであってよい。例えば、油圧モータ6は、容量が高速回転用の小容量と通常回転用の大容量との二段階に切り換えられる斜板型アキシャルピストンモータであってもよい。
【0029】
上記構成の駆動装置4において、油圧ポンプ5から吐出された作動油が油圧モータ6に供給されることによって油圧モータ6が回転し、供給される油量や油圧モータ6の斜板の傾転角に応じて、油圧モータ6の回転速度が変更される。また、油圧モータ6の回転方向は、油圧ポンプ5の制御弁5aの位置が切り換えられることで切り換わる。
【0030】
駆動装置4の出力軸、すなわち油圧モータ6の出力軸は、減速機7を介してミキサドラム2の回転軸Oに連結される。このため、油圧モータ6の回転速度を増減することによって、ミキサドラム2の回転速度を増減させることが可能であり、油圧モータ6の回転方向を切り換えることによって、ミキサドラム2の回転方向を正回転方向である撹拌方向と逆回転方向である排出方向とに切り換えることが可能である。
【0031】
このように、ミキサドラム2の回転数及び回転方向は、油圧モータ6の回転数及び回転方向に相関することから、油圧モータ6の回転センサ6aの検出値からミキサドラム2の回転数及び回転方向を把握することが可能である。なお、回転センサ6aは、油圧モータ6に代えて、ミキサドラム2の回転数及び回転方向を検出するものであってもよい。
【0032】
ミキサドラム2が撹拌方向に回転駆動されると、ミキサドラム2内の生コンはドラムブレードにより撹拌されながら前方へと移動する。一方、ミキサドラム2が排出方向に回転駆動されると、ミキサドラム2内の生コンはドラムブレードにより撹拌されながら後方へと移動する。
【0033】
このようにミキサドラム2を撹拌方向とは反対の方向である排出方向に回転させることで、ミキサドラム2の開口部2aから生コンを排出することができる。ミキサドラム2から排出された生コンは、フローガイド17及びシュート18を介して所定位置に誘導される。
【0034】
なお、ホッパ16を介して、ミキサドラム2内へ生コンを投入する場合には、撹拌時よりもミキサドラム2を高速で撹拌方向に回転させることで、投入された生コンを速やかにミキサドラム2の前方へと移動させる。
【0035】
(制御システム)
ミキサ車1には、ミキサ車1のミキサドラム2を制御する制御システム100が設けられている。
図3に示すように、制御システム100は、コントローラ20と、表示装置30と、第1操作盤41と、第2操作盤42と、第3操作盤43と、第4操作盤44とを有する。
【0036】
(コントローラ)
コントローラ20は、駆動装置4を制御して、ミキサドラム2の動作を制御するコンピュータである。コントローラ20は、例えば、CPU(中央演算処理装置)、ROM(リードオンリメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、及びI/Oインターフェース(入出力インターフェース)等を備えたマイクロコンピュータで構成される。RAMはCPUの処理におけるデータを記憶し、ROMはCPUの制御プログラム等を予め記憶し、I/Oインターフェースは接続された機器との情報の入出力に使用される。CPUやRAM等をROMに格納されたプログラムに従って動作させることによって駆動装置4の作動が制御される。
【0037】
コントローラ20には、上述のように、油圧モータ6の回転センサ6aと、エンジン10の回転センサ10bと、油圧ポンプ5の圧力センサ5cとが接続され、これらのセンサ類で検出された検出値が入力される。また、コントローラ20には、上述のように、傾転角調整機構5bのソレノイドバルブと、傾転角調整機構6bのソレノイドバルブと、制御弁5aと、スロットル弁10aと、が接続され、これらを作動させる指令値がコントローラ20から出力される。なお、コントローラ20は、回転センサ6a、回転センサ10b、圧力センサ5c、各ソレノイドバルブ、制御弁5a、及びスロットル弁10aに、有線(配線)で接続されており、有線通信で情報の送受信を行っているが、それに限られず、無線で接続されていてもよく、無線通信で情報の送受信を行ってもよい。
【0038】
(表示装置)
表示装置30は、画像を表示するディスプレイであり、例えばミキサドラム2の作動状態を表示する。表示装置30は、運転室11内に配置され、運転室11内において作業者が見やすい位置に設置されることが好ましい。表示装置30は、例えば、画像を表示するモニタに加えて、コントローラ20と同様に、CPU(中央演算処理装置)、ROM(リードオンリメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、及びI/Oインターフェース(入出力インターフェース)等を備えたマイクロコンピュータを有してよい。
【0039】
表示装置30は、コントローラ20と接続されて、コントローラ20と情報(信号)の送受信を行う。本実施形態では、表示装置30は、CAN(Controller Area Network)を介してコントローラ20に接続されており、コントローラ20のCPUで生成された画像データは、CANを介して表示装置30に送信され、表示装置30のモニタに画像が表示される。なお、画像データの生成は、コントローラ20から送信された信号に基づいて表示装置30のCPUにおいて行われてもよい。なお、表示装置30は、コントローラ20に有線(配線)で接続されており、有線通信で情報の送受信を行っているが、それに限られず、無線で接続されていてもよく、無線通信で情報の送受信を行ってもよい。また、表示装置30とコントローラ20とは、CAN以外の通信規格を利用した通信網を介して接続されてもよい。
【0040】
表示装置30は、車両の車速を検出する車速センサ21と、パーキングブレーキの作動状態を検出するパーキングブレーキスイッチ22とが接続され、これらの機器で検出された検出値が入力される。すなわち、本実施形態では、コントローラ20は、車速センサ21及びパーキングブレーキスイッチ22に直接接続されておらず、表示装置30を介して、車速センサ21及びパーキングブレーキスイッチ22に接続されている。なお、表示装置30は、車速センサ21及びパーキングブレーキスイッチ22に有線(配線)で接続されており、有線通信で情報の送受信を行っているが、それに限られず、無線で接続されていてもよく、無線通信で情報の送受信を行ってもよい。
【0041】
このように、本実施形態では、車速センサ21やパーキングブレーキスイッチ22等の車両に関するデータを取得する機器が、コントローラ20に直接接続されず、表示装置30に接続される。これにより、車両に関するデータを取得する機器とコントローラ20との接続数(ここでは配線数)を少なくすることができ、好適である。特に、車両に関するデータを取得する機器とコントローラ20とを有線で接続する場合には、配線の長さが長くなってしまうため、配線数を減らすことが特に有効となる。なお、車両に関するデータを取得する機器とコントローラ20との情報の送受信は、表示装置30とコントローラ20との間で、一括で行われる。
【0042】
また、表示装置30は、マイクロコンピュータを有することなく、表示機能のみを有するものであってもよい。また、表示装置30は車両に複数設けられてもよい。
【0043】
(第1操作盤)
第1操作盤41は、ミキサドラム2の作動を制御するための作業者の入力(操作)を受け付ける入力装置である。第1操作盤41は、コントローラ20と接続されて、コントローラ20と情報(信号)の送受信を行う。第1操作盤41は、表示装置30を介することなく、コントローラ20に直接接続されている。なお、第1操作盤41は、コントローラ20に有線(配線)で接続されており、有線通信で情報の送受信を行っているが、それに限られず、無線で接続されていてもよく、無線通信で情報の送受信を行ってもよい。
【0044】
本実施形態では、第1操作盤41は、ポテンショメータ41aと、非常停止スイッチ41bと、自動撹拌スイッチ41cとが設けられる。
【0045】
ポテンショメータ41aは、ミキサドラム2の回転方向及び回転速度を変更するためのユーザインターフェースであり、作業者によるミキサドラム2の回転を制御するための入力である回転制御入力を受け付ける。ポテンショメータ41aは、本実施形態ではダイヤルつまみ型である。第1操作盤41は、作業者によるポテンショメータ41aへの回転制御入力を検出して、回転制御入力の内容を示す情報をコントローラ20に出力する。コントローラ20は、回転制御入力の内容を示す情報に基づき、ミキサドラム2の作動を制御する。
【0046】
非常停止スイッチ41bは、ミキサドラム2の回転を停止するためのユーザインターフェースであり、作業者によるミキサドラム2の回転を停止するための入力である緊急停止入力を受け付ける。第1操作盤41は、作業者による非常停止スイッチ41bへの緊急停止入力を検出して、緊急停止入力が検出された旨の情報をコントローラ20に出力する。コントローラ20は、緊急停止入力が検出された旨の情報を取得したら、ミキサドラム2の回転を停止する。
【0047】
自動撹拌スイッチ41cは、ミキサドラム2を自動撹拌するためのユーザインターフェースであり、作業者によるミキサドラム2の自動撹拌を実行するための入力である自動撹拌入力を受け付ける。自動撹拌の実行手順については後述する。
【0048】
第1操作盤41は、本実施形態では運転室11外に設けられている。さらに言えば、
図1に示すように、第1操作盤41は、車両の左側へシュート18を介して排出される生コンの量を見ながらミキサドラム2の操作を可能とするために、ミキサ車1の左後方に設けられる。ただし、第1操作盤41の設置位置は、車両の左後方に限られず、任意の位置であってよい。また、第1操作盤41は、車両に固定された据付型であってもよいし、車両にケーブルを介して接続され取り外すことが可能な着脱型であってもよい。
【0049】
(第2操作盤)
第2操作盤42は、ミキサドラム2の作動を制御するための作業者の入力(操作)を受け付ける入力装置である。第2操作盤42は、コントローラ20と接続されて、コントローラ20と情報(信号)の送受信を行う。第2操作盤42は、表示装置30を介することなく、コントローラ20に直接接続されている。なお、第2操作盤42は、コントローラ20に有線(配線)で接続されており、有線通信で情報の送受信を行っているが、それに限られず、無線で接続されていてもよく、無線通信で情報の送受信を行ってもよい。
【0050】
本実施形態では、第2操作盤42は、ポテンショメータ42aと、非常停止スイッチ42bとが設けられる。
【0051】
ポテンショメータ42aは、第1操作盤41のポテンショメータ41aと同様に、作業者による回転制御入力を受け付ける。第2操作盤42は、作業者によるポテンショメータ42aへの回転制御入力を検出して、回転制御入力の内容を示す情報をコントローラ20に出力する。コントローラ20は、回転制御入力の内容を示す情報に基づき、ミキサドラム2の作動を制御する。
【0052】
非常停止スイッチ42bは、第1操作盤41の非常停止スイッチ41bと同様に、作業者による緊急停止入力を受け付ける。第2操作盤42は、作業者による非常停止スイッチ42bへの緊急停止入力を検出して、緊急停止入力が検出された旨の情報をコントローラ20に出力する。コントローラ20は、緊急停止入力が検出された旨の情報を取得したら、ミキサドラム2の回転を停止する。
【0053】
第2操作盤42は、本実施形態では運転室11外に設けられている。さらに言えば、
図1に示すように、第2操作盤42は、車両の右側へシュート18を介して排出される生コンの量を見ながらミキサドラム2の操作を可能とするために、ミキサ車1の右後方に設けられる。例えば、ミキサ車1を2台並べた状態において生コンを排出する際に、一方の車両の右後方に設けられた第2操作盤42を操作しつつ、他方の車両の左後方に設けられた第1操作盤41を操作することによって、生コンを途切れることなく供給したり多量の生コンを供給したりすることができる。ただし、第2操作盤42の設置位置は、車両の右後方に限られず、任意の位置であってよい。また、第2操作盤42は、車両に固定された据付型であってもよいし、車両にケーブルを介して接続され取り外すことが可能な着脱型であってもよい。
【0054】
(第3操作盤)
第3操作盤43は、ミキサドラム2の作動を制御するための作業者の入力(操作)を受け付ける入力装置である。第3操作盤43は、表示装置30と接続されて、表示装置30と情報(信号)の送受信を行う。すなわち、第3操作盤43は、コントローラ20に直接接続されておらず、表示装置30を介してコントローラ20に接続される。なお、第3操作盤43は、表示装置30に有線(配線)で接続されており、有線通信で情報の送受信を行っているが、それに限られず、無線で接続されていてもよく、無線通信で情報の送受信を行ってもよい。このように表示装置30を介して第3操作盤43の操作信号をコントローラ20へ送信する構成とすることにより、第3操作盤43とコントローラ20とを接続する配線が不要となる。コントローラ20から配索される配線が少なくなることで、表示装置30及び第3操作盤43の配置の自由度が向上し、作業者が作業し易い位置に表示装置30及び第3操作盤43を配置することが可能となる。この結果、作業者によるミキサドラム2の操作作業性を向上させることができる。
【0055】
本実施形態では、第3操作盤43は、ポテンショメータ43aと、非常停止スイッチ43bと、自動撹拌スイッチ43cとが設けられる。
【0056】
ポテンショメータ43aは、第1操作盤41のポテンショメータ41aと同様に、作業者による回転制御入力を受け付ける。第3操作盤43は、作業者によるポテンショメータ43aへの回転制御入力を検出して、回転制御入力の内容を示す情報を表示装置30に出力する。表示装置30は、第3操作盤43から取得した回転制御入力の内容を示す情報を、コントローラ20に送信する。コントローラ20は、表示装置30から取得した回転制御入力の内容を示す情報に基づき、ミキサドラム2の作動を制御する。
【0057】
非常停止スイッチ43bは、第1操作盤41の非常停止スイッチ41bと同様に、作業者による緊急停止入力を受け付ける。第3操作盤43は、作業者による非常停止スイッチ43bへの緊急停止入力を検出して、緊急停止入力が検出された旨の情報を表示装置30に出力する。表示装置30は、第3操作盤43から取得した緊急停止入力が検出された旨の情報を、コントローラ20に送信する。コントローラ20は、表示装置30から緊急停止入力が検出された旨の情報を取得したら、ミキサドラム2の回転を停止する。
【0058】
自動撹拌スイッチ43cは、ミキサドラム2を自動撹拌するためのユーザインターフェースであり、作業者によるミキサドラム2の自動撹拌を実行するための入力である自動撹拌入力を受け付ける。自動撹拌の実行手順については後述する。
【0059】
第3操作盤43は、本実施形態では、車両が走行中であってもミキサドラム2の操作を可能とするために、運転室11内に設けられている。ただし、第3操作盤43の設置位置は、運転室11内に限られず、任意の位置であってよい。また、第3操作盤43は、車両に固定された据付型であってもよいし、車両にケーブルを介して接続され取り外すことが可能な着脱型であってもよい。
【0060】
(第4操作盤)
第4操作盤44は、ミキサドラム2の作動を制御するための作業者の入力(操作)を受け付ける入力装置である。第4操作盤44は、コントローラ20と接続されて、コントローラ20と情報(信号)の送受信を行う。第4操作盤44は、表示装置30を介することなく、コントローラ20に直接接続されている。なお、第4操作盤44は、コントローラ20に有線(配線)で接続されており、有線通信で情報の送受信を行っているが、それに限られず、無線で接続されていてもよく、無線通信で情報の送受信を行ってもよい。
【0061】
本実施形態では、第4操作盤44は、ポテンショメータ44aと、非常停止スイッチ44bとが設けられる。
【0062】
ポテンショメータ44aは、第1操作盤41のポテンショメータ41aと同様に、作業者による回転制御入力を受け付ける。第4操作盤44は、作業者によるポテンショメータ44aへの回転制御入力を検出して、回転制御入力の内容を示す情報をコントローラ20に出力する。コントローラ20は、回転制御入力の内容を示す情報に基づき、ミキサドラム2の作動を制御する。
【0063】
非常停止スイッチ44bは、第1操作盤41の非常停止スイッチ41bと同様に、作業者による緊急停止入力を受け付ける。第4操作盤44は、作業者による非常停止スイッチ44bへの緊急停止入力を検出して、緊急停止入力が検出された旨の情報をコントローラ20に出力する。コントローラ20は、緊急停止入力が検出された旨の情報を取得したら、ミキサドラム2の回転を停止する。
【0064】
第4操作盤44は、本実施形態では運転室11外に設けられている。さらに言えば、
図1に示すように、第4操作盤44は、ミキサドラム2内の生コンの残量を確認しながらミキサドラム2の操作を可能とするために、ホッパ16の周辺、すなわち車両の上方に設けられる。ただし、第4操作盤44の設置位置は、車両の上方に限られず、任意の位置であってよい。また、第4操作盤44は、車両に固定された据付型であってもよいし、車両にケーブルを介して接続され取り外すことが可能な着脱型であってもよい。
【0065】
なお、本実施形態では、操作盤として、第1操作盤41、第2操作盤42、第3操作盤43、第4操作盤44の、4つが設けられるが、操作盤の数や設置位置は以上の説明に限られず任意である。
【0066】
制御システム100は、以上のような構成となっている。以下、制御システム100によるミキサドラム2の制御について説明する。
【0067】
(作業者の操作による制御)
コントローラ20は、作業者が各操作盤41~44に設けられるポテンショメータ41a~44aに、回転制御入力が入力されたら、回転制御入力に応じて駆動装置4を制御して、ミキサドラム2の回転を制御する。各操作盤41~44に設けられるポテンショメータ41a~44aは、回動操作量に応じて電気抵抗値が変化する可変抵抗器であり、作業者によりポテンショメータ41a~44aが回動操作されて、回転制御入力が検出されると、コントローラ20は、ミキサドラム2の回転状態が、ポテンショメータ41a~44aの電気抵抗値に応じた状態となるように、油圧ポンプ5の斜板の傾転角や油圧モータ6の斜板の傾転角、油圧ポンプ5の制御弁5aといった駆動装置4を構成する各機構を制御する。
【0068】
例えば、第3操作盤43において作業者によりポテンショメータ43aが時計回り方向に回動操作されると、コントローラ20は、ミキサドラム2を撹拌方向へとポテンショメータ43aの電気抵抗値に応じた回転速度で回転させる。反対に作業者によりポテンショメータ43aが反時計回り方向に回動操作されると、コントローラ20は、ミキサドラム2を排出方向へとポテンショメータ43aの電気抵抗値に応じた回転速度で回転させる。このように、回転制御入力は、ミキサドラム2の動作(回転方向及び回転速度)を作業者の操作によって行う場合の作業者による入力であり、ミキサドラム2が、後述する自動撹拌以外の動作をする場合の、作業者による入力と言える。
【0069】
このようにミキサ車1には、複数の操作盤41~44が設けられるが、各操作盤41~44のポテンショメータ41a~44aが同時に操作されると、どの操作を優先するべきかをコントローラ20では判別できないため、ミキサドラム2の操作は、操作権利を取得した1つの操作盤によって行われるように設定されてよい。
【0070】
具体的には、例えば、第2操作盤42のポテンショメータ42aを一旦最大位置まで回動操作した後、中立位置に戻すと、第2操作盤42に操作権利が与えられ、以後のミキサドラム2の操作は第2操作盤42により行うことが可能となる。そして、操作権利が与えられた第2操作盤42のポテンショメータ42aが操作されている間は、他の操作盤により操作することは不可能となる。第2操作盤42のポテンショメータ42aが中立位置に戻された状態で、他の操作盤、例えば、第3操作盤43のポテンショメータ43aを一旦最大位置まで回動操作した後、中立位置に戻すと、第3操作盤43に操作権利が移る。
【0071】
なお、操作権利を有する操作盤の情報や、ミキサドラム2の作動状況は、表示装置30に表示されてよい。
【0072】
(自動撹拌制御)
コントローラ20は、パーキングブレーキが作動していない場合に、ミキサドラム2を撹拌方向に回転させる自動撹拌を実行する。ここで、パーキングブレーキの作業状態は、パーキングブレーキスイッチ22により検出され、表示装置30が、パーキングブレーキスイッチ22からパーキングブレーキが作動していない旨を示すパーキングオフ情報を取得して、コントローラ20にパーキングオフ情報を送信する。コントローラ20は、表示装置30からパーキングオフ情報を取得したことをトリガとして、自動撹拌を開始する。
【0073】
このように、コントローラ20は、表示装置30を介してパーキングオフ情報を取得する。そのため、例えば表示装置30が故障、盗難されたり、コントローラ20と表示装置30との接続配線が断線したりする等、表示装置30からコントローラ20へ情報通信が不可能となった場合には、コントローラ20は、パーキングオフ情報を取得できなくなり、自動撹拌を適切に実行できなくなる。それに対して、本実施形態においては、コントローラ20は、コントローラ20と表示装置30との通信が可能である正常モードと、コントローラ20と表示装置30との通信が不可能である異常モードとで、自動撹拌のトリガを異ならせることで、表示装置30からコントローラ20へ情報通信が不可能となった場合でも、自動攪拌を適切に実行することを可能とする。
【0074】
コントローラ20は、正常モードであるか異常モードであるかを判断する。コントローラ20による正常モードであるか異常モードであるかの判断方法は任意であるが、コントローラ20は、コントローラ20と表示装置30との通信状態に基づき、正常モードであるか異常モードであるかを判断してよい。例えば、コントローラ20は、表示装置30から逐次信号を受信しているため、表示装置30からの信号を所定期間以上受信しない場合に、異常モードであると判断してよい。以下、正常モードと異常モードとにおける、自動撹拌の開始手順を説明する。
【0075】
(正常モード)
正常モードにおいて、作業者は、自動撹拌を実行させたい場合には、運転室11内の第3操作盤43の自動撹拌スイッチ43cを操作して、自動撹拌スイッチ43cをオンにする。自動撹拌スイッチ43cがオンにされたら、第3操作盤43は、自動撹拌を実行可能であることを示す自動撹拌入力を検出して、表示装置30に自動撹拌入力を取得した旨の情報を送信する。また、作業者は、ミキサ車1を走行させる場合、パーキングブレーキをオフ(パーキングブレーキを作動させない状態)にして、ミキサ車1を走行させる。パーキングブレーキスイッチ22は、パーキングブレーキがオフにされたことを検出して、パーキングブレーキが作動していない旨を示すパーキングオフ情報を、表示装置30に送信する。また、車速センサ21は、ミキサ車1の車速を逐次検出し、検出した車速の情報を表示装置30に送信する。表示装置30は、自動撹拌スイッチ43cから取得した自動撹拌入力を取得した旨の情報と、パーキングブレーキスイッチ22から取得したパーキングオフ情報と、車速センサ21から取得した車速の情報とを、コントローラ20に送信する。コントローラ20は、自動撹拌入力を取得した旨の情報と、パーキングオフ情報とを取得し、かつ、取得した車速の情報が、ミキサ車1が走行している状態であることを示す場合に、自動撹拌を開始する。
【0076】
このように、本実施形態では、正常モードにおいては、コントローラ20が、パーキングブレーキスイッチ22が検出したパーキングオフ情報と、車速センサ21が検出したミキサ車1が走行している旨の情報と、第3操作盤43が検出した自動撹拌入力の情報とを、表示装置30を介して取得することをトリガとして、自動撹拌を実行する。ただし、自動撹拌を開始するトリガはこれに限られない。例えば、第3操作盤43への自動撹拌入力は必須でなく、コントローラ20が、パーキングオフ情報と、ミキサ車1が走行している旨の情報とを、表示装置30を介して取得することをトリガとして、自動撹拌を実行してよい。第3操作盤43への自動撹拌入力が不要な場合には、第3操作盤43には、自動撹拌スイッチ43cを設けなくてよい。また、車速センサ21の検出結果をトリガとすることも必須ではなく、コントローラ20が、パーキングブレーキスイッチ22が検出したパーキングオフ情報を、表示装置30を介して取得することをトリガとして、自動撹拌を実行してよい。
【0077】
なお、第1操作盤41にも、自動撹拌をオンにするための自動撹拌スイッチ41cが設けられているが、正常モードである場合には、コントローラ20は、第1操作盤41への自動撹拌入力を受け付けないことが好ましい。すなわち、正常モードにおいては、自動撹拌入力が有効となる操作盤は、第3操作盤43のみであり、第1操作盤41の自動撹拌スイッチ41cがオンにされても、コントローラ20は、自動撹拌を実行しないことが好ましい。このように、正常モードにおいては、第1操作盤41は、回転制御入力が有効であるが、自動撹拌入力が無効となる。言い換えれば、正常モードである場合には、コントローラ20は、第1操作盤41への回転制御入力を受け付けつけて、第1操作盤41への回転制御入力に基づきミキサドラム2を制御するが、第1操作盤41への自動撹拌入力を受け付けず、第1操作盤41への自動撹拌入力に基づき自動撹拌を行わない。
【0078】
ただし、コントローラ20は、ミキサ車1が走行中であると判断した場合には、生コンの排出を防止するために、各操作盤41~44によるポテンショメータの操作を原則禁止とすることが好ましい。すなわち、コントローラ20は、ミキサ車1が走行中である場合には、各操作盤41~44への回転制御入力を受け付けず、各操作盤41~44のポテンショメータが操作されても、その操作に応じたミキサドラム2の回転を行わないことが好ましい。
【0079】
(異常モード)
異常モードである場合、コントローラ20は、自動撹拌を開始するトリガを、コントローラ20と直接接続されている第1操作盤41に切り替える。作業者は、異常モードにおいて自動撹拌を実行させたい場合には、第1操作盤41の自動撹拌スイッチ41cを操作して、自動撹拌スイッチ41cをオンにする。自動撹拌スイッチ41cがオンにされたら、第1操作盤41は、自動撹拌を実行可能であることを示す自動撹拌入力を検出して、コントローラ20に自動撹拌入力を取得した旨の情報を送信する。コントローラ20は、第1操作盤41から自動撹拌入力を取得した旨の情報を取得したら、自動撹拌を開始する。
【0080】
なお、第1操作盤41は、ポテンショメータ41aが設けられて、回転制御入力を受け付ける。ただし、異常モードにおいては、コントローラ20は、第1操作盤41への回転制御入力を受け付けないことが好ましい。すなわち、異常モードにおいては、第1操作盤41は、自動撹拌入力を受け付けるための専用の操作盤となり、ポテンショメータ41aが操作されても、コントローラ20は、回転制御入力に応じた制御を行わないことが好ましい。このように、異常モードにおいては、第1操作盤41は、自動撹拌入力が有効となるが、回転制御入力が無効となることが好ましい。言い換えれば、異常モードである場合には、コントローラ20は、第1操作盤41への自動撹拌入力を受け付けて、第1操作盤41への自動撹拌入力に基づき自動撹拌を行うが、第1操作盤41への回転制御入力を受け付けず、第1操作盤41への回転制御入力に基づきミキサドラム2を制御しないことが好ましい。一方、コントローラ20は、第2操作盤42や第4操作盤44については、正常モード及び異常モードの両方において、回転制御入力を受け付ける。そのため、異常モードにおいて回転制御入力をしたい場合には、第2操作盤42や第4操作盤44を操作すればよい。
【0081】
また、本実施形態では、異常モードにおける自動撹拌のトリガ機能を有する第1操作盤41は、自動撹拌をオンにするための専用のスイッチである自動撹拌スイッチ41cを有していたが、自動撹拌をオンにするスイッチは、自動撹拌スイッチ41cに限られない。例えば、ポテンショメータ41aに自動撹拌をオンにするための機能を付与してよい。この場合例えば、ポテンショメータ41aに対して予め決められた操作をすることで、自動撹拌がオンになる。また、第1操作盤41は、異常モードにおける自動撹拌のトリガ機能と、回転制御入力を受け付ける機能との両方を有しているが、それに限られず、例えば回転制御入力を受け付ける機能を有さず、異常モードにおける自動撹拌のトリガ機能の専用の操作盤であってもよい。
【0082】
また、本実施形態では、第1操作盤41が、異常モードにおける自動撹拌のトリガ機能を有し、第2操作盤42及び第4操作盤44は、異常モードにおける自動撹拌のトリガ機能を有さないものであったが、それに限られない。例えば、第1操作盤41、第2操作盤42、及び第4操作盤44の少なくとも1つが、異常モードにおける自動撹拌のトリガ機能を有していてよい。第2操作盤42、及び第4操作盤44が、異常モードにおける自動撹拌のトリガ機能を有する場合には、第2操作盤42、及び第4操作盤44にも、第1操作盤41で説明したような自動撹拌スイッチが設けられてよい。
【0083】
(自動撹拌の処理フロー)
次に、以上説明した自動撹拌の処理フローを説明する。
図4は、自動撹拌の処理フローを説明するフローチャートである。
図4に示すように、コントローラ20は、正常モードであるかを判断する(ステップS10)。正常モードである場合(ステップS10;Yes)、コントローラ20は、表示装置30を介して、第3操作盤43への自動撹拌入力と、パーキングオフ情報と、ミキサ車1が走行している旨を示す車速の情報とを取得したかを判断する(ステップS12)。コントローラ20は、自動撹拌入力と、パーキングオフ情報と、ミキサ車1が走行している旨を示す車速の情報とを取得した場合(ステップS12;Yes)、自動撹拌を実行する(ステップS14)。コントローラ20は、自動撹拌入力と、パーキングオフ情報と、ミキサ車1が走行している旨を示す車速の情報とを取得しない場合には(ステップS12;No)、ステップS12に戻る。
【0084】
一方、正常モードではない場合(ステップS10;No)、すなわち異常モードである場合、コントローラ20は、第1操作盤41が自動撹拌入力を検出したかを判断する(ステップS16)。コントローラ20は、第1操作盤41が自動撹拌入力を検出した場合(ステップS16;Yes)、自動撹拌を実行する(ステップS14)。コントローラ20は、第1操作盤41が自動撹拌入力しない場合(ステップS16;No)、ステップS16に戻る。ステップS14を実行したら、ステップS18に進み、処理を終了しない場合には(ステップS18;No)、ステップS14に戻り、処理を終了する場合には(ステップS18;Yes)、本処理を終了する。
【0085】
(効果)
以上説明したように、本実施形態に係る制御システム100は、ミキサドラム2を備えるミキサ車1を制御するものであり、コントローラ20と、表示装置30と、第1操作盤41とを有する。表示装置30は、コントローラ20に接続され、かつ、ミキサ車の1パーキングブレーキの作動状態を検出するパーキングブレーキスイッチ22に接続される。第1操作盤41は、コントローラ20に接続されて、ミキサドラム2に自動撹拌を実行させる旨の入力である自動撹拌入力を検出する。コントローラ20は、ミキサドラム2の動作を制御するものであり、表示装置30との情報通信が可能であると判定した場合には、表示装置30から、パーキングブレーキが作動していない旨を示すパーキングオフ情報を取得したことをトリガとして、ミキサドラム2に自動撹拌を実行させる。また、コントローラ20は、表示装置30との情報通信が不可能であると判定した場合には、第1操作盤41が、自動撹拌入力を検出したことをトリガとして、ミキサドラム2に自動撹拌を実行させる。
【0086】
ここで、本実施形態においては、パーキングブレーキスイッチ22が表示装置30に接続される。従って、コントローラ20への接続数を少なくすることができる。しかし、表示装置30の故障や盗難、コントローラと表示装置との接続配線が断線したり等が起こることにより、コントローラ20と表示装置30の通信不良が起こる場合がある。このような場合、表示装置30を介してパーキングブレーキスイッチ22からの信号を受信できなくなるため、自動撹拌を適切に実行できなくなるおそれがある。それに対し、本実施形態のコントローラ20は、コントローラ20と表示装置30の通信が正常である場合には、表示装置30を介してパーキングオフ情報を取得することをトリガとして、自動撹拌を行いつつ、コントローラ20と表示装置30の通信が異常である場合には、コントローラ20に接続される第1操作盤41に自動撹拌入力が入力されたことをトリガとして、自動撹拌を行う。従って、コントローラ20と表示装置30の通信不良が起きた場合でも、第1操作盤41が操作されることで、自動撹拌を適切に行うことができる。
【0087】
また、第1操作盤41は、さらに、ミキサドラム2が自動撹拌以外の動作をする場合の、ミキサドラム2の回転を制御するための入力である回転制御入力を検出する。コントローラ20は、表示装置30との情報通信が可能であると判定した場合には、第1操作盤41への回転制御入力を受け付けつつ、第1操作盤41への自動撹拌入力を受け付けない。また、コントローラ20は、表示装置30との情報通信が不可能であると判定した場合には、第1操作盤41への回転制御入力を受け付けず、第1操作盤41への自動撹拌入力を受け付ける。このように、第1操作盤41は、正常モードにおいては回転制御入力の専用の操作盤となり、異常モードにおいては自動撹拌入力の専用の操作盤となるため、状況に応じて作業者が適切に操作することが可能となる。
【0088】
制御システム100は、コントローラ20に接続され、回転制御入力を検出する第2操作盤42を更に有する。コントローラ20は、表示装置30との情報通信が可能であると判定した場合と、表示装置30との情報通信が可能であると判定した場合との両方において、第2操作盤42への回転制御入力を受け付ける。このように、第1操作盤41の他に、常に回転制御入力を受け付ける操作盤を設けることで、状況に応じて作業者が適切に操作することが可能となる。
【0089】
制御システム100は、表示装置30に接続されて、自動攪拌入力を検出する第3操作盤43を更に有する。コントローラ20は、表示装置30との情報通信が可能であると判定した場合には、表示装置30から、パーキングオフ情報と自動攪拌入力とを取得したことをトリガとして、ミキサドラム2に自動撹拌を実行させる。このように、第1操作盤41の他に、正常モードにおいて自動攪拌入力を受け付ける操作盤を設けることで、状況に応じて作業員者が適切に操作することが可能となる。
【0090】
コントローラ20は、表示装置30から所定時間以上信号を受信しない場合に、表示装置30との情報通信が不可能であると判定する。これにより、コントローラ20は、異常モードであるかを適切に判断して、自動攪拌を実行できる。
【0091】
以上、本発明の実施形態及び実施例を説明したが、これら実施形態等の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態等の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0092】
1 ミキサ車
2 ミキサドラム
20 コントローラ
22 パーキングブレーキスイッチ
30 表示装置
41 第1操作盤
42 第2操作盤
43 第3操作盤
44 第4操作盤
100 制御システム