(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022141498
(43)【公開日】2022-09-29
(54)【発明の名称】無人航空機管理システム、無線通信装置、判定装置、判定方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 21/44 20130101AFI20220921BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
G06F21/44
B64C39/02
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021041833
(22)【出願日】2021-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】吉丸 弘治
(57)【要約】
【課題】不正な無人航空機への無線機の取り付けを好適に防ぐ無人航空機管理システム等を提供する。
【解決手段】無人航空機管理システム1は、判定装置30と、UAS10と、無線通信装置20とを備える。UAS10は、自己の識別情報を無線通信により判定装置30に送信する。無線通信装置20は、各々が複数のUAS10の各々に予め対応付けられ、対応付けられたUAS10の識別情報を無線通信により判定装置30に送信する。判定装置30は、UAS10から受信した識別情報と、UAS10の機体に取り付けられた無線通信装置20から受信した識別情報とを照合し、その結果、UAS10が、無線通信装置20に対応付けられるUAS10であるか否かを判定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
判定装置と、
自己の識別情報を無線通信により前記判定装置に送信する無人航空機システム(UAS)と、
各々が複数のUASの各々に予め対応付けられ、対応付けられたUASの識別情報を無線通信により前記判定装置に送信する無線通信装置と
を備え、
前記判定装置は、前記UASから受信した識別情報と、前記UASの機体に取り付けられた無線通信装置から受信した識別情報とを照合し、その結果、前記UASが、前記無線通信装置に対応付けられるUASであるか否かを判定する
無人航空機管理システム。
【請求項2】
前記無線通信装置は、前記対応付けられたUASの識別情報に加えて、対応付けられたUASの機体登録番号を前記判定装置に送信する
請求項1に記載の無人航空機管理システム。
【請求項3】
前記UASから送信される識別情報および前記無線通信装置から送信される識別情報は、UASの機体のシリアル番号に基づく情報である
請求項1または2に記載の無人航空機管理システム。
【請求項4】
前記判定装置は、
前記UASの機体の位置情報と、前記無線通信装置の位置情報とを取得し、
前記UASの機体の位置情報および前記無線通信装置の位置情報に基づいて、前記無線通信装置が前記UASの機体に取り付けられているか否かを判定する
請求項1から3のいずれか一項に記載の無人航空機管理システム。
【請求項5】
前記無線通信装置は、前記無線通信装置が、対応付けられたUASの機体から取り外されたことを検出したことに応じて、警告を出力する
請求項1から4のいずれか一項に記載の無人航空機管理システム。
【請求項6】
前記無線通信装置は、無線通信により、対応付けられたUASの機体の製品型番を前記判定装置に送信し、
前記判定装置は、
前記UASの機体を撮影した撮影画像を生成し、
前記撮影画像と、前記無線通信装置から受信した製品型番に対応する外観画像とを照合する
請求項1から5のいずれか一項に記載の無人航空機管理システム。
【請求項7】
各々が複数の無人航空機システム(UAS)の各々に予め対応付けられ、対応付けられたUASの識別情報を無線通信により判定装置に送信する無線通信装置であって、
前記無線通信装置が送信する前記UASの識別情報は、前記判定装置において、前記無線通信装置が機体に取り付けられるUASから受信した該UASの識別情報との間の照合に用いられる
無線通信装置。
【請求項8】
無人航空機システム(UAS)から該UASの識別情報を無線通信により受信する第1通信部と、
各々が複数のUASの各々に対応付けられる無線通信装置、から該無線通信装置に対応付けられたUASの識別情報を無線通信により受信する第2通信部と、
UASから受信した識別情報と、前記UASの機体に取り付けられた無線通信装置から受信した識別情報と、を照合し、その結果、前記UASが、前記無線通信装置に対応付けられるUASであるか否かを判定する制御部と
を備える判定装置。
【請求項9】
無人航空機システム(UAS)から該UASの識別情報を無線通信により受信する段階と、
各々が複数のUASの各々に予め対応付けられる無線通信装置、から該無線通信装置に対応付けられたUASの識別情報を無線通信により受信する段階と、
UASから受信した識別情報と、前記UASの機体に取り付けられた無線通信装置から受信した識別情報と、を照合し、その結果、前記UASが、前記無線通信装置に対応付けられるUASであるか否かを判定する段階と
を備える判定方法。
【請求項10】
無人航空機システム(UAS)から該UASの識別情報を無線通信により受信する処理と、
各々が複数のUASの各々に予め対応付けられる無線通信装置、から該無線通信装置に対応付けられたUASの識別情報を無線通信により受信する処理と、
UASから受信した識別情報と、前記UASの機体に取り付けられた無線通信装置から受信した識別情報と、を照合し、その結果、前記UASが、前記無線通信装置に対応付けられるUASであるか否かを判定する処理と
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無人航空機管理システム、無線通信装置、判定装置、判定方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ドローン等の無人航空機の普及に伴い、無人航空機が不正に操作されることを防止する技術が提案されている。例えば特許文献1では、飛行前や飛行中に、無人航空機から、その無人航空機の識別情報に基づく情報を受信し、その無人航空機が認可されているものであるかを検証するシステムが開示されている。
【0003】
ここで、自動車がナンバープレートで登録番号を表示させるように、無人航空機も、機体登録番号を設けて、その機体登録番号や位置情報等を無線で周囲に知らしめるようにすることが日本国において義務付けられようとしている。上記報知機能は、将来的に無人航空機に内蔵化されることが予想されるが、導入過渡期においては、無人航空機に上記報知機能を有する無線機を取り付けることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし悪意ある操縦者により、不正な無人航空機、例えばテロ攻撃を目的とした無人航空機に、無線機が取り付けられ不正な情報が報知される恐れがある。したがって、このような不正な無人航空機への無線機の取り付けを好適に防ぐことが求められている。
【0006】
本開示の目的は、上述した課題に鑑み、不正な無人航空機への無線機の取り付けを好適に防ぐ無人航空機管理システム、無線通信装置、判定装置、判定方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様にかかる無人航空機管理システムは、判定装置と、無人航空機システム(UAS)と、無線通信装置とを備える。前記UASは、自己の識別情報を無線通信により前記判定装置に送信する。前記無線通信装置は、各々が複数のUASの各々に予め対応付けられ、対応付けられたUASの識別情報を無線通信により前記判定装置に送信する。前記判定装置は、前記UASから受信した識別情報と、前記UASの機体に取り付けられた無線通信装置から受信した識別情報とを照合し、その結果、前記UASが、前記無線通信装置に対応付けられるUASであるか否かを判定する。
【0008】
本開示の一態様にかかる無線通信装置は、各々が複数の無人航空機システム(UAS)の各々に予め対応付けられ、対応付けられたUASの識別情報を無線通信により判定装置に送信する。前記無線通信装置が送信する前記UASの識別情報は、前記判定装置において、前記無線通信装置が機体に取り付けられるUASから受信した該UASの識別情報との間の照合に用いられる。
【0009】
本開示の一態様にかかる判定装置は、第1通信部と、第2通信部と、制御部とを備える。前記第1通信部は、無人航空機システム(UAS)から該UASの識別情報を無線通信により受信する。前記第2通信部は、各々が複数のUASの各々に対応付けられる無線通信装置、から該無線通信装置に対応付けられたUASの識別情報を無線通信により受信する。前記制御部は、UASから受信した識別情報と、前記UASの機体に取り付けられた無線通信装置から受信した識別情報と、を照合し、その結果、前記UASが、前記無線通信装置に対応付けられるUASであるか否かを判定する。
【0010】
本開示の一態様にかかる判定方法は、無人航空機システム(UAS)から該UASの識別情報を無線通信により受信する段階と、各々が複数のUASの各々に予め対応付けられる無線通信装置、から該無線通信装置に対応付けられたUASの識別情報を無線通信により受信する段階と、UASから受信した識別情報と、前記UASの機体に取り付けられた無線通信装置から受信した識別情報と、を照合し、その結果、前記UASが、前記無線通信装置に対応付けられるUASであるか否かを判定する段階とを備える。
【0011】
本開示の一態様にかかるプログラムは、無人航空機システム(UAS)から該UASの識別情報を無線通信により受信する処理と、各々が複数のUASの各々に予め対応付けられる無線通信装置、から該無線通信装置に対応付けられたUASの識別情報を無線通信により受信する処理と、UASから受信した識別情報と、前記UASの機体に取り付けられた無線通信装置から受信した識別情報と、を照合し、その結果、前記UASが、前記無線通信装置に対応付けられるUASであるか否かを判定する処理とをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0012】
本開示により、不正な無人航空機への無線機の取り付けを好適に防ぐ無人航空機管理システム、無線通信装置、判定装置、判定方法およびプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態1にかかる無人航空機管理システムの概略構成図である。
【
図2】実施形態2にかかる無人航空機管理システムを示す図である。
【
図3】実施形態2にかかる無人航空機管理システムの構成を示すブロック図である。
【
図4】実施形態2にかかる無線通信装置の取り付けの流れの一例を示す図である。
【
図5】実施形態2にかかる無人航空機管理システムで実行される処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図6】実施形態3の第1の例にかかる無人航空機管理システムで実行される処理の具体例を示すシーケンス図である。
【
図7】実施形態3の第2の例にかかる無人航空機管理システムで実行される処理の具体例を示すシーケンス図である。
【
図8】実施形態4にかかる無人航空機管理システムの構成を示すブロック図である。
【
図9】実施形態4にかかる無人航空機管理システムで実行される処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図10】UAS、無線通信装置、及び判定装置として用いられ得るコンピュータの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施形態を通じて本開示を説明するが、特許請求の範囲にかかる発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。説明の明確化のため、以下の記載および図面は、適宜、省略、および簡略化がなされている。なお、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されている。
【0015】
<実施形態1>
まず、本開示の実施形態1について説明する。
図1は、実施形態1にかかる無人航空機管理システム1の概略構成図である。無人航空機管理システム1は、無人航空機システム(以下、UAS;Unmanned Aircraft System)を管理するためのコンピュータシステムである。無人航空機管理システム1は、UAS10と、無線通信装置20と、判定装置30とを備える。
【0016】
UAS10は、コントローラの制御の下で飛行する無人航空機である。例えばUAS10は、ドローン等が挙げられる。UAS10は、判定装置30と無線通信を行うことができ、自己の識別情報(ID)を無線通信により判定装置30に送信する。
【0017】
無線通信装置20は、UAS10の機体に取り付けられる装置である。無線通信装置20は、各々が複数のUAS10の各々に予め対応付けられる。無線通信装置20は、判定装置30と無線通信を行うことができ、対応付けられたUAS10のIDを無線通信により判定装置30に送信する。
【0018】
判定装置30は、UAS10からIDを受信し、UAS10の機体に取り付けられた無線通信装置20からIDを受信する装置である。そして判定装置30は、UAS10から受信したIDと、無線通信装置20から受信したIDとを照合し、その結果、UAS10が、無線通信装置20に対応付けられるUAS10であるか否かを判定する。
【0019】
このように実施形態1の無人航空機管理システム1によれば、UAS10の機体に正規の無線通信装置20が取り付けられているかを判定し、無線通信装置20が機体に不正に取り付けられた不正なUAS10を容易に見つけ出すことができる。したがって、不正なUAS10の機体への無線通信装置20の取り付けを好適に防ぐことができる。
【0020】
<実施形態2>
次に、本開示の実施形態2について説明する。
図2は、実施形態2にかかる無人航空機管理システム1aを示す図である。無人航空機管理システム1aは、実施形態1のUAS10、無線通信装置20および判定装置30が適用されることができるシステムの一例である。
【0021】
無人航空機管理システム1aは、複数のUAS10と、複数の操縦者用送信機16と、複数の無線通信装置20と、判定装置30と、サーバ40とを備える。以下では、UAS10、操縦者用送信機16および無線通信装置20の数は、いずれも2であるが、これに限らず、3以上であってもよい。
【0022】
UAS10は、操縦者用送信機16から制御信号を受信し、制御信号に基づいて飛行する。またUAS10は、自己のIDを判定装置30に送信する。
【0023】
操縦者用送信機16は、UAS10のコントローラである。本図では、操縦者用送信機16-1はUAS10-1に、操縦者用送信機16-2はUAS10-2に対応付けられている。
【0024】
無線通信装置20は、対応付けられたUAS10の機体に取り付けられ、後述する照合判定処理に用いられる、対応付けられたUAS10のIDと、付属情報とを、そのUAS10の機体と連動して移動しながら判定装置30に送信する。
【0025】
本図では、無線通信装置20-1はUAS10-1に、無線通信装置20-2はUAS10-2に、予め対応付けられている。そして無線通信装置20-1はUAS10-1の機体に、無線通信装置20-2はUAS10-2の機体に取り付けられている。
【0026】
判定装置30は、不正なUAS10を検出するために、警察官や該UAS情報を参照したい者等が使用する端末装置である。判定装置30は、UAS10および無線通信装置20との間の無線通信に対応する無線通信機能を有する端末装置であり、例えばスマートフォン又はUAS情報参照用の専用無線通信端末である。判定装置30は、UAS10から受信したIDと無線通信装置20から受信したUAS10のIDとを照合し、その無線通信装置20と、取り付け先のUAS10とが、対応関係にあるか否かを判定する。上記処理を、照合判定処理と呼ぶ。判定装置30は、無線通信装置20とUAS10とが対応関係にある場合、無線通信装置20から受信した付属情報を、取り付け先のUAS10に関連する情報として取得する。
【0027】
また判定装置30は、インターネット4を介してサーバ40と通信可能に接続される。判定装置30は、無線通信装置20から取得した各種情報に基づいて、サーバ40との間でデータの送受信を行い、受信したデータに基づく処理を行う。
【0028】
図3は、実施形態2にかかる無人航空機管理システム1aの構成を示すブロック図である。
【0029】
(UAS10)
UAS10は、通信部11と、制御部12と、記憶部13とを有する。
【0030】
通信部11は、判定装置30の第1通信部31との間で無線通信を行う。無線通信は、近距離無線通信であってよい。近距離無線通信は、例えばBluetooth(登録商標)、BLE(Bluetooth Low Energy)、UWB(Ultra Wide Band)、及びZigBee(登録商標)等が挙げられる。また無線通信は、無線LAN(Local Area Network)通信、特にWi-Fi(登録商標)通信であってもよい。本実施形態2では、通信部11は、BLEの長距離通信(Long Range)モードを使用して、判定装置30の第1通信部31との間で無線通信を行う。長距離通信モードは、データ伝送速度が125kbpsのモードであってよい。また通信部11は、対応する操縦者用送信機16とも無線通信を行う。通信部11と操縦者用送信機16との間の無線通信方式は、通信部11と判定装置30の第1通信部31との間の無線通信方式と同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0031】
記憶部13は、UAS10で実行される処理に必要な情報を記憶する。具体的には、記憶部13は、第1のID14を記憶している。第1のID14は、判定装置30による照合判定処理に用いられるUAS10のIDであり、例えば、UAS10の出荷以前にUAS10に対して付与される識別情報である。本実施形態2では、第1のID14は、UAS10の機体のシリアル番号に基づく情報である。以下では、第1のID14を、UAS10の機体のシリアル番号として説明するが、UAS10の機体のシリアル番号と他の識別子とを組み合わせた情報であってもよく、UAS10の機体のシリアル番号を暗号化した情報であってもよい。
【0032】
制御部12は、UAS10の各種構成要素を制御する。具体的には、制御部12は、通信部11を介して操縦者用送信機16から受信した制御信号に基づいて、機体の飛行制御を行う。また、制御部12は、記憶部13に記憶されているUAS10の第1のID14を、通信部11を介して判定装置30の第1通信部31に送信する。本実施形態2では、上記送信は、所定の間隔で(例えば1秒ごと)、ブロードキャスト方式で行われる。
【0033】
(無線通信装置20)
無線通信装置20は、通信部21と、制御部22と、記憶部23と、センサ26とを有する。
【0034】
通信部21は、判定装置30の第2通信部32に、無線通信により送信情報を送信する。無線通信は、近距離無線通信であってよい。近距離無線通信は、例えばBluetooth、BLE、UWB、およびZigBee等が挙げられる。本実施形態2では、通信部21は、BLEの長距離通信(Long Range)モードを使用する。通信部21と判定装置30の第2通信部32との間の無線通信方式は、UAS10の通信部11と判定装置30の第1通信部31との間の無線通信方式と異なっていてもよい。
【0035】
記憶部23は、無線通信装置20で実行される処理に必要な情報を記憶する。具体的には、記憶部23は、第1のID24と、第2のID25とを記憶している。第1のID24は、無線通信装置20に対応付けられたUAS10の第1のIDであり、判定装置30の照合判定処理に用いられる。第2のID25は、無線通信装置20に対応付けられたUAS10の、第1のIDとは異なる種別の識別情報であり、例えばそのUAS10の出荷後にそのUAS10に対して付与される識別情報である。本実施形態2では、第2のID25は、無線通信装置20に対応付けられたUAS10の機体登録番号である。
【0036】
センサ26は、取り付け先のUAS10の機体に連動して移動する無線通信装置20の状態を計測するセンサである。例えばセンサ26は、無線通信装置20の位置(例えば、高度、緯度及び経度)、加速度および角度等を計測し、計測情報を生成する。センサ26は、無線通信装置20の該位置情報をGNSS(Global Navigation Satellite System)などの測位システム(不図示)から受信してよい。
【0037】
制御部22は、無線通信装置20の各種構成要素を制御する。具体的には、制御部22は、送信情報として、記憶部23に記憶されている第1のID24及び第2のID25と、無線通信装置20の位置情報とを、通信部21を介して判定装置30の第2通信部32に送信する。送信情報は、第1のID24、第2のID25及び位置情報に加えて、センサ26の計測情報を含んでもよい。なお送信情報のうち、第1のID24以外の情報は、付属情報と呼ばれることがある。本実施形態2では、上記送信は、所定の間隔で(例えば1秒ごと)、ブロードキャスト方式で行われる。
【0038】
なお無線通信装置20は、無線通信装置20が対応付けられたUAS10から不正に取り外される等のタンパ行為を検知するタンパ検知機能を有してもよい。例えば、無線通信装置20は、UAS10との間の接続部に、取り外しを検知するセンサ(不図示)を有してよい。そして制御部22は、タンパ行為を検知したことに応じて、出力部(不図示)を介して警告を出力してよい。例えば無線通信装置20は、LED(発光ダイオード)やOLED(有機発光ダイオード)等の発光素子を有し、制御部22は外部から視認可能なように発光素子から光を放射させることで、警告を出力してよい。また無線通信装置20は、スピーカを有し、制御部22はスピーカからアラーム音を出力させることで、警告を出力してよい。これにより、対応付けられたUAS10から無線通信装置20が不正に外されることを回避でき、その結果、外された無線通信装置20が不正なUAS10に取り付けられることを回避できる。また制御部22は、タンパ行為を検知したことに応じて、送信情報に、タンパ行為を検知したことを示すタンパ検知情報を追加して、判定装置30に送信してよい。また制御部22は、タンパ行為を検知したことに応じて、判定装置30への送信情報の送信を停止してもよい。これにより、仮に不正に外された無線通信装置20が不正なUAS10に取り付けられ、使用された場合でも、その摘発が容易となる。
【0039】
(判定装置30)
判定装置30は、第1通信部31と、第2通信部32と、第3通信部33と、制御部34と、表示部35とを有する。
【0040】
第1通信部31は、UAS10の通信部11から、無線通信により、UAS10の送信情報(第1のID14)を受信する。
【0041】
第2通信部32は、無線通信装置20の通信部21から、無線通信により、無線通信装置20の送信情報を受信する。
【0042】
第3通信部33は、インターネット4を介してサーバ40との間で通信を行う。
【0043】
制御部34は、判定装置30の各種構成要素を制御する。制御部34は、UAS10から受信した第1のID14と、無線通信装置20から受信した第1のID24とを照合する。そして制御部34は、照合判定処理の結果、UAS10が、無線通信装置20に対応付けられるUAS10であるか否かを判定する。
【0044】
そして制御部34は、判定結果に応じた処理を行う。例えば、制御部34は、判定結果を表示部35に表示させる。制御部34は、UAS10と無線通信装置20との対応関係が確認されなかった場合、表示部35に警告画面を表示させてよい。また例えば、制御部34は、対応関係が確認された場合、第3通信部33を介して、第2のID25をサーバ40に送信し、サーバ40から、そのUAS10に関する所有者情報を取得してよい。また制御部34は、対応関係が確認されなかった場合、第3通信部33を介してサーバ40に警告を送信してよい。
【0045】
表示部35は、制御部34による処理の結果を表示するディスプレイである。
【0046】
図4は、実施形態2にかかる無線通信装置20の取り付けの流れの一例を示す図である。
まずUAS10を製造する機体メーカは、UAS10の各々に固有のシリアル番号(第1のID)を付与する(ステップS10)。機体メーカは、UAS10の記憶部13に、シリアル番号を書き込む(ステップS11)。そして機体メーカは、UAS10を店舗に出荷する(ステップS12)。
【0047】
所有者は、店舗を介してUAS10を購入する(ステップS13)。そして所有者は、UAS10の機体の登録を、登録機関に申請する(ステップS14)。
【0048】
登録機関は、UAS10に対して機体登録番号(第2のID)を付与し、所有者に通知する(ステップS15)。
【0049】
続いて所有者は、機体登録番号が付与されたUAS10を機体メーカに持ち込む(ステップS16)。
【0050】
機体メーカは、無線通信装置20の記憶部23に、シリアル番号および機体登録番号を書き込む(ステップS17)。これにより無線通信装置20とUAS10との間で対応関係が生じる。このとき機体メーカは、専用の書き込みツールを用いて、書き込み処理を行ってよい。書き込み処理は、機体メーカから委託された業者によって行われてもよい。専用の書き込みツールは、許諾(例えば無線通信装置20の製造元からの許諾)を受けた特定の機体メーカや業者にのみ配布される。許諾を受けた者には管理番号が付与され、管理番号と配布記録とが厳重に管理される。なお専用の書き込みツールを不正にコピーして書き込み処理に用いることを防止するために、専用の書き込みツールはアクティベーションの機能を有してよい。
【0051】
機体メーカは、書き込み処理後、無線通信装置20をUAS10の機体に取り付ける(ステップS18)。なお無線通信装置20が上述したタンパ検知機能を有する場合は、機体メーカは、取り付けが完了したことに応じて、無線通信装置20のタンパ検知機能をオンにしてよい。
【0052】
続いて機体メーカは、無線通信装置20付きのUAS10を所有者に返却し(ステップS19)、所有者は、UAS10の使用を開始する(ステップS20)。
【0053】
図5は、実施形態2にかかる無人航空機管理システム1aで実行される処理の一例を示すシーケンス図である。本図では、UAS10-1に、対応関係にある無線通信装置20-1が取り付けられた場合の処理をステップS21~26に示し、UAS10-1に、対応関係にない無線通信装置20-2が取り付けられた場合の処理をステップS27~32に示す。なお本図の斜線は、その無線通信装置がUAS10-1に取り付けられた状態にあることを示している。
【0054】
まずUAS10-1に、対応関係にある無線通信装置20-1が取り付けられる(ステップS21)。UAS10-1は、飛行開始に応じて、第1のID14であるシリアル番号のブロードキャストを開始する(ステップS22)。これにより、判定装置30は、UAS10-1からシリアル番号を受信する。
【0055】
また無線通信装置20-1も、UAS10-1の飛行開始に応じて、送信情報のブロードキャストを開始する(ステップS23)。本図では送信情報は、第1のID24であるシリアル番号と、第2のID25である機体登録番号と、無線通信装置20-1の位置情報とを含む。これにより、判定装置30は、無線通信装置20-1から送信情報を受信する。
【0056】
判定装置30は、UAS10-1から受信したシリアル番号と、無線通信装置20-1から受信したシリアル番号とを照合する(ステップS24)。判定装置30は、両者のシリアル番号が一致し、UAS10-1と無線通信装置20-1とが対応関係にあると判定する。続いて判定装置30は、対応関係にあると判定した場合の所定の処理を実行する。例えば判定装置30は、サーバ40に機体登録番号を送信し、機体登録番号の真偽及びUAS10-1の所有者情報を問い合わせる(ステップS25)。サーバ40は、自己のデータベース(不図示)から受信した機体登録番号のレコードが存在するかを判定し、存在する場合は、機体登録番号に関連付けられる所有者情報を判定装置30に送信する(ステップS26)。
【0057】
ここで、UAS10-1から、対応関係にある無線通信装置20-1が分離され(ステップS27)、UAS10-1に、対応関係にない無線通信装置20-2が取り付けられたとする(ステップS28)。
【0058】
UAS10-1は、飛行開始に応じて、シリアル番号のブロードキャストを開始する(ステップS29)。これにより、判定装置30は、UAS10-1からシリアル番号を受信する。
【0059】
また無線通信装置20-2も、UAS10-1の飛行開始に応じて、送信情報のブロードキャストを開始する(ステップS30)。これにより、判定装置30は、無線通信装置20-2から送信情報を受信する。
【0060】
判定装置30は、UAS10-1から受信したシリアル番号と、無線通信装置20-2から受信したシリアル番号とを照合する(ステップS31)。判定装置30は、両者のシリアル番号が一致せず、UAS10-1と無線通信装置20-2とが対応関係にないと判定する。そして判定装置30は、警告画面を表示する(ステップS32)。
【0061】
このように実施形態2の無人航空機管理システム1aによれば、UAS10に正規の無線通信装置20が取り付けられているかを判定し、無線通信装置20が不正に取り付けられた不正なUAS10を容易に見つけ出すことができる。したがって、不正なUAS10への無線通信装置20の取り付けを好適に防ぐことができる。
【0062】
また無線通信装置20は、機体登録番号等の付属情報を判定装置30に送信するため、取り付けられる機体のナンバープレートとして機能することができる。これにより判定装置30は、UAS10と無線通信装置20との間の対応関係が確認された場合に、付属情報に基づいて適切な処理を行うことができる。例えば判定装置30は、UAS10が許可されていない空域を飛行している場合や、危険な飛行を行っている場合に、機体登録番号に基づいてUAS10の所有者を特定できる。
【0063】
<実施形態3>
次に、本開示の実施形態3について説明する。実施形態3は、判定装置30が、第1のID24の送信元の無線通信装置20が、第1のID14の送信元のUAS10に取り付けられているかを判定することに特徴を有する。言い換えると、実施形態3では、判定装置30は、UAS10及び無線通信装置20の取り付けペアを特定する。
【0064】
以下では、取り付けペアを特定する形態として、2つの例を説明する。
【0065】
(第1の例)
まず第1の例は、判定装置30がUAS10の機体の位置情報および無線通信装置20の位置情報に基づいて、取り付けペアを特定する例である。第1の例においては、UAS10は、GNSSなどの測位システム(不図示)からUAS10の機体の位置情報を受信する。UAS10の制御部12は、第1のID14及びUAS10の機体の位置情報を含む送信情報を、通信部11を介して判定装置30に送信する。
【0066】
判定装置30の制御部34は、第1通信部31を介してUAS10の機体の位置情報を取得し、第2通信部32を介して無線通信装置20の位置情報を取得する。そして判定装置30の制御部34は、両者の位置情報を比較し、その結果、無線通信装置20がUAS10の機体に取り付けられているか否かを判定する。判定装置30の制御部34は、無線通信装置20がUAS10の機体に取り付けられていると判定した場合、UAS10から受信した第1のID14と無線通信装置20から受信した第1のID24との照合判定処理を実行する。
【0067】
図6は、実施形態3の第1の例にかかる無人航空機管理システム1aで実行される処理の具体例を示すシーケンス図である。
図6では、
図5と同様のステップについては、同一の記号を付し、適宜説明を省略する。
【0068】
対応関係にある無線通信装置20-1が取り付けられたUAS10-1は、飛行開始に応じて、送信情報のブロードキャストを開始する(ステップS50)。上記送信情報は、自己のシリアル番号と自己の機体の位置情報とを含む。これにより、判定装置30は、UAS10-1から送信情報を受信する。
【0069】
また無線通信装置20-1も、UAS10-1の飛行開始に応じて、送信情報のブロードキャストを開始する(ステップS51)。上記送信情報は、UAS10-1の機体のシリアル番号、機体登録番号、及び無線通信装置20-1の位置情報を含む。これにより、判定装置30は、無線通信装置20-1から送信情報を受信する。
【0070】
判定装置30は、UAS10-1から受信した位置情報と、無線通信装置20-1から受信した位置情報とを比較し、UAS10-1及び無線通信装置20-1が取り付けペアであるかを判定する(ステップS52)。例えば、判定装置30は、UAS10-1及び無線通信装置20-1の位置が所定距離未満である場合、無線通信装置20-1がUAS10-1に取り付けられていると判定する。また判定装置30は、複数のUAS10と複数の無線通信装置20との各々から送信情報を受信した場合は、互いの位置が最も近いペアを、取り付けペアとして特定してもよい。そして判定装置30は、取り付けペアであると判定されたUAS10-1及び無線通信装置20-1の各々から受信したシリアル番号を照合する(ステップS24)。
【0071】
UAS10-1に、対応関係にない無線通信装置20-2が取り付けられた場合も、UAS10-1及び無線通信装置20-2は、ステップS50~51と同様に、それぞれ、送信情報のブロードキャストを実行する(ステップS53~54)。判定装置30は、位置情報に基づいて取り付けペアを特定し(ステップS55)、以降の処理は、ステップS31~32と同様である。
【0072】
(第2の例)
第2の例は、無線通信装置20が自己との間で近距離無線通信の接続が確立しているUAS10のアドレス情報を判定装置30に送信し、判定装置30が受信したアドレス情報に基づいて、取り付けペアを特定する例である。第2の例においては、UAS10は、自己のアドレス情報を記憶部13に記憶している。そして無線通信装置20は、取り付け先のUAS10との間で、近距離無線通信の接続を確立させ、接続が確立しているUAS10のアドレス情報を記憶部23に格納する。
【0073】
UAS10の制御部12は、自己のアドレス情報を追加した送信情報を、通信部11を介して判定装置30に送信する。また無線通信装置20の制御部22は、接続が確立しているUAS10のアドレス情報を、送信情報に追加し、通信部21を介して判定装置30に送信する。
【0074】
判定装置30の制御部34は、第1通信部31を介してUAS10からアドレス情報を取得し、第2通信部32を介して無線通信装置20からアドレス情報を取得する。そして判定装置30の制御部34は、両者のアドレス情報を比較し、その結果、無線通信装置20がUAS10に取り付けられているか否かを判定する。具体的には、判定装置30の制御部34は、両者のアドレス情報が一致している場合、無線通信装置20がUAS10の機体に取り付けられていると判定する。判定装置30の制御部34は、無線通信装置20がUAS10の機体に取り付けられていると判定した場合、UAS10から受信した第1のID14と無線通信装置20から受信した第1のID24との照合判定処理を実行する。
【0075】
図7は、実施形態3の第2の例にかかる無人航空機管理システム1aで実行される処理の具体例を示すシーケンス図である。本図においては、アドレス情報は、Bluetooth対応デバイスを識別するBD(Bluetooth Device)アドレスであるが、これに限らず、MAC(Media Access Control address)アドレスであってもよい。
【0076】
UAS10-1に取り付けられた無線通信装置20-1は、UAS10-1との間でペアリングがなされ、UAS10-1のBDアドレスを取得している。無線通信装置20-1は、UAS10-1の飛行前、または飛行開始に応じて、UAS10-1との間でBluetoothの標準モードによる接続を確立する(ステップS60)。標準モードは、データ伝送速度が長距離通信モードよりも大きく(例えば1Mbps)、長距離通信モードよりも到達距離が短い。
【0077】
UAS10-1は、飛行開始に応じて、Bluetoothの長距離通信モードを使用して、送信情報のブロードキャストを開始する(ステップS61)。上記送信情報は、UAS10-1のBDアドレスと、UAS10-1のシリアル番号とを含む。また無線通信装置20-1も、UAS10-1の飛行開始に応じて、Bluetoothの長距離通信モードを使用して、送信情報のブロードキャストを開始する(ステップS62)。上記送信情報は、UAS10-1のBDアドレスと、UAS10-1のシリアル番号、機体登録番号及び機体の位置情報とを含む。
【0078】
判定装置30は、UAS10-1から受信したBDアドレスと、無線通信装置20-1から受信したBDアドレスとを照合し、UAS10-1及び無線通信装置20-1が取り付けペアであるかを判定する(ステップS63)。判定装置30は、UAS10-1及び無線通信装置20-1の各々から受信したBDアドレスが一致した場合、無線通信装置20-1がUAS10-1に取り付けられていると判定する。以降の処理は、ステップS24~26と同様である。
【0079】
UAS10-1に、対応関係にない無線通信装置20-2が取り付けられた場合も、UAS10-1及び無線通信装置20-2は、ステップS60~62と同様に、接続を確立し、それぞれが送信情報のブロードキャストを実行する(ステップS64~66)。判定装置30は、BDアドレスに基づいて取り付けペアを特定し(ステップS67)、以降の処理は、ステップS31~32と同様である。
【0080】
このように実施形態3の無人航空機管理システム1aによれば、判定装置30がUAS10と無線通信装置20との間の取り付けペアを特定する。したがって、同じ空域に複数のUAS10が飛行していたとしても、判定装置30が、特定された取り付けペアを対象に、対応関係の照合判定処理を好適に行うことができる。
【0081】
<実施形態4>
次に、本開示の実施形態4について説明する。上述の実施形態では、判定装置30は、UAS10から、無線通信により、第1のID14を受信していた。しかし、UAS10が、判定装置30が受信可能な無線通信機能を有していない場合や、第1のID14を送信する機能を有していない場合は、判定装置30は、無線通信装置20との対応関係を判定することが困難となる。実施形態4では、判定装置30がUAS10から第1のID14を受信しなくても、無線通信装置20との対応関係を判定できることに特徴を有する。
【0082】
図8は、実施形態4にかかる無人航空機管理システム1bの構成を示すブロック図である。無人航空機管理システム1bは、実施形態1~3の無人航空機管理システム1aと基本的に同様の構成及び機能を有するが、UAS10、無線通信装置20及び判定装置30に代えて、UAS10b、無線通信装置20b及び判定装置30bを備える。
【0083】
UAS10bは、UAS10と基本的に同様の構成及び機能を有するが、通信部11に代えて通信部11bを含む点でUAS10と相違する。
【0084】
通信部11bは、判定装置30の第1通信部31に第1のID14を送信しない点で通信部11と相違する。したがってUAS10bにおいては、第1のID14を記憶する記憶部13は、省略されてよい。
【0085】
本実施形態4において、無線通信装置20bの記憶部23は、照合用識別情報として、第1のID24に代えて第3のID27を記憶する。第3のID27は、UAS10bの機体の外観を特定するために用いられる情報である。例えば第3のID27は、対応付けられたUAS10bの機体の製品型番に基づく情報である。以下では、第3のID27を、対応付けられたUAS10bの機体の製品型番として説明する。無線通信装置20bの制御部22は、第3のIDとして製品型番を含む送信情報を、通信部21を介して、判定装置30bの第2通信部32に送信する。
【0086】
判定装置30bは、制御部34に代えて、制御部34b及び撮像部36を含む。
【0087】
制御部34bは、無線通信装置20bから製品型番を含む送信情報を受信したことに応じて、サーバ40から製品型番に対応する製品の外観画像を取得する。外観画像は、製品の機体を撮影した画像である。また制御部34bは、撮像部36を起動し、UAS10bの機体を撮影した撮影画像を生成する。制御部34bは、撮影画像と、無線通信装置20bから受信した製品型番に対応する外観画像とを照合し、UAS10b及び無線通信装置20bが対応関係にあるかを判定する。
【0088】
撮像部36は、飛行中のUAS10bの機体を撮影するカメラである。
【0089】
図9は、実施形態4にかかる無人航空機管理システム1bで実行される処理の一例を示すシーケンス図である。
【0090】
まずUAS10b-1に、対応関係にある無線通信装置20b-1が取り付けられる(ステップS21)。
【0091】
無線通信装置20b-1は、UAS10b-1の飛行開始に応じて、送信情報のブロードキャストを開始する(ステップS70)。本図では送信情報は、第3のID27である製品型番と、第2のID25である機体登録番号と、無線通信装置20b-1の位置情報とを含む。
【0092】
続いて判定装置30bは、無線通信装置20b-1から受信した製品型番の情報をサーバ40に送信し(ステップS71)、サーバ40から製品型番に対応する製品の外観画像を受信する(ステップS72)。
【0093】
また判定装置30bは、UAS10bの機体を撮影し、撮影画像を生成する(ステップS73)。このとき判定装置30bは、撮像した画像における、UAS10bの機体の画像領域を切り出した画像を、撮影画像として生成してもよい。続いて判定装置30bは、撮影画像と、外観画像とを照合する(ステップS74)。例えば判定装置30bは、表示部35に撮影画像と外観画像とを表示させ、判定装置30bのユーザに対して照合判定を促し、判定結果の入力を受け付けてよい。また例えば判定装置30bは、撮影画像及び外観画像の各々について、特徴量を算出し、両者の特徴量に基づいて類似度を算出する。このとき例えば判定装置30bは、画像を入力とし画像に対応する特徴量を出力する、あるいは、2つの画像を入力とし2つの画像間の類似度を算出する、学習済の畳み込みニューラルネットワークを用いてよい。しかしこれに限らず、判定装置30bは、既存の方法で類似度を算出してよい。判定装置30bは、類似度が所定閾値未満である場合、UAS10b-1と無線通信装置20b-1とが対応関係にあると判定してよい。また、更に判定装置30bは、上述の類似度判定の結果、および、ユーザによる照合判定の結果を組み合わせて、UAS10b-1と無線通信装置20b-1とが対応関係にあるか否かを判定してもよい。以降の処理は、ステップS25~26と同様である。
【0094】
UAS10b-1に、対応関係にない無線通信装置20b-2が取り付けられた場合も、無線通信装置20b-2は、ステップS70と同様に、送信情報のブロードキャストを実行する(ステップS75)。そして判定装置30bは、ステップS71~74と同様の処理を行う(ステップS76~78)。以降の処理は、ステップS31~32と同様である。
【0095】
なお、判定装置30bは、判定装置30と同様の機能を有してよく、UASから第1のID14を受信可能であると判定した場合は、実施形態1~3と同様の照合判定処理(
図5、6及び7に示す処理)を行ってよい。この場合、無線通信装置は、判定装置30bへの送信情報に、照合用識別情報の種別を示す情報を含ませてよい。照合用識別情報の種別を示す情報は、例えば、照合用識別情報が第1のIDであるか第3のIDであるかを示す識別子であってよい。そして判定装置30bは、無線通信装置から受信した照合用識別情報の種別を示す情報に基づいて、UASから第1のID14を受信可能であるか否かを判定してよい。
【0096】
このように実施形態4の無人航空機管理システム1bによれば、判定装置30bがUAS10bから第1のID14を受信できない場合にも、実施形態1~3と同様の効果を得ることができる。
【0097】
続いて、UAS、無線通信装置、及び判定装置の物理構成を説明する。
図10は、UAS、無線通信装置、及び判定装置として用いられ得るコンピュータの構成例を示す図である。コンピュータ1000は、プロセッサ1010、記憶部1020、ROM(Read Only Memory)1030、RAM(Random Access Memory)1040、通信インタフェース(IF:Interface)1050、及びユーザインタフェース1060を有する。
【0098】
通信インタフェース1050は、有線通信手段又は無線通信手段などを介して、コンピュータ1000と通信ネットワークとを接続するためのインタフェースである。ユーザインタフェース1060は、例えばディスプレイなどの表示部を含む。また、ユーザインタフェース1060は、キーボード、マウス、及びタッチパネルなどの入力部を含む。
【0099】
記憶部1020は、各種のデータを保持できる補助記憶装置である。記憶部1020は、必ずしもコンピュータ1000の一部である必要はなく、外部記憶装置であってもよいし、ネットワークを介してコンピュータ1000に接続されたクラウドストレージであってもよい。
【0100】
ROM1030は、不揮発性の記憶装置である。ROM1030には、例えば比較的容量が少ないフラッシュメモリなどの半導体記憶装置が用いられる。プロセッサ1010が実行するプログラムは、記憶部1020又はROM1030に格納され得る。記憶部1020又はROM1030は、例えばUAS、無線通信装置、又は判定装置内の各部の機能を実現するための各種プログラムを記憶する。
【0101】
上記プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体を用いて格納され、コンピュータ1000に供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記憶媒体を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、又はハードディスクなどの磁気記録媒体、例えば光磁気ディスクなどの光磁気記録媒体、CD(compact disc)、又はDVD(digital versatile disk)などの光ディスク媒体、及び、マスクROM、PROM(programmable ROM)、EPROM(erasable PROM)、フラッシュROM、又はRAMなどの半導体メモリを含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体を用いてコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバなどの有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0102】
RAM1040は、揮発性の記憶装置である。RAM1040には、DRAM(Dynamic Random Access Memory)又はSRAM(Static Random Access Memory)などの各種半導体メモリデバイスが用いられる。RAM1040は、データなどを一時的に格納する内部バッファとして用いられ得る。プロセッサ1010は、記憶部1020又はROM1030に格納されたプログラムをRAM1040に展開し、実行する。プロセッサ1010がプログラムを実行することで、UAS、無線通信装置、又は判定装置内の各部の機能が実現され得る。プロセッサ1010は、データなどを一時的に格納できる内部バッファを有してもよい。
【0103】
以上、本開示の実施形態を詳細に説明したが、本開示は上記実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
例えば、実施形態1~3において、UAS10から判定装置30への送信情報には、第1のID14が含まれ、無線通信装置20から判定装置30への送信情報には、第1のID14に対応する第1のID24が含まれるとした。しかし、無線通信装置20から判定装置30への送信情報には、第1のID24に代えて、秘密鍵を用いて第1のID24を暗号化した情報(暗号化情報)が含まれてよい。またUAS10から判定装置30への送信情報には、当該秘密鍵に対応する公開鍵の情報がさらに含まれていてよい。そして判定装置30は、UAS10から取得した公開鍵を用いて、暗号化情報を復号し、照合判定処理を行ってよい。これにより、不正な操作者により無線通信装置20に、対応関係にないUAS10の第1のIDが書き込まれ、あたかも無線通信装置20がそのUAS10と対応関係にあるものとなりすますことを防止できる。
【0104】
また上述の実施形態では、UAS10を無人航空機として説明したが、UAS10は、無人航空機と、操縦者用送信機16とを含むように構成されてもよい。そして操縦者用送信機16は、予め第1のID14を記憶しており、操縦者用送信機16が、無人航空機に代えて第1のID14を含む送信情報を判定装置30の第1通信部31に送信してよい。なお実施形態3の第1の例においては、UAS10の無人航空機は、自己の機体の位置情報を定期的に操縦者用送信機16に送信してよい。この場合、操縦者用送信機16から送信される送信情報には、第1のID14に加えて、UAS10の機体の位置情報が含まれる。実施形態3の第2の例においては、操縦者用送信機16は予め無人航空機のアドレス情報を記憶し、または、UAS10の無人航空機が、自己の機体のアドレス情報を操縦者用送信機16に送信してよい。この場合、操縦者用送信機16から送信される送信情報には、第1のID14に加えて、UAS10のアドレス情報が含まれる。
【0105】
上述の実施形態では、判定装置30が照合判定処理を行うとしたが、判定装置30に代えてサーバ40が行ってもよい。この場合、判定装置30は、照合判定に必要な情報をサーバ40に送信し、サーバ40から判定結果を受信するようにしてよい。なお、判定装置30は、UAS10及び無線通信装置20の対応関係確認後の処理の一例として、サーバ40に機体登録番号の真偽及び所有者情報の問い合わせを行うことを説明した。しかし、判定装置30が機体登録番号及び所有者情報を記録したデータベースを有しており、サーバ40への上記問い合わせを省略してもよい。
【0106】
上述の実施形態4では、判定装置30bが製品型番に紐づく製品画像により照合判定処理を行うとしたが、機体登録番号登録時にUAS10bの製品型番をサーバ40にあらかじめ登録しておき、無線通信装置20bの第3のID27が示す製品型番とサーバ40に格納された製品型番とを比較し照合してもよい。
【符号の説明】
【0107】
1,1a,1b 無人航空機管理システム
4 インターネット
10,10b 無人航空機システム(UAS)
11,11b 通信部
12 制御部
13 記憶部
14 第1のID
16 操縦者用送信機
20,20b 無線通信装置
21 通信部
22 制御部
23 記憶部
24 第1のID
25 第2のID
26 センサ
27 第3のID
30,30b 判定装置
31 第1通信部
32 第2通信部
33 第3通信部
34 制御部
35 表示部
36 撮像部
40 サーバ
1000 コンピュータ
1010 プロセッサ
1020 記憶部
1030 ROM
1040 RAM
1050 通信インタフェース
1060 ユーザインタフェース