(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022141499
(43)【公開日】2022-09-29
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理装置の制御方法、情報処理装置の制御プログラム、及び通信システム
(51)【国際特許分類】
H04W 76/18 20180101AFI20220921BHJP
H04W 28/04 20090101ALI20220921BHJP
H04W 52/02 20090101ALI20220921BHJP
H04W 4/70 20180101ALI20220921BHJP
【FI】
H04W76/18
H04W28/04 110
H04W52/02 110
H04W4/70
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021041834
(22)【出願日】2021-03-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-07-08
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.3GPP
2.SWIFT
(71)【出願人】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】特許業務法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 司
(72)【発明者】
【氏名】志村 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 優斗
(72)【発明者】
【氏名】今川 輝哉
(72)【発明者】
【氏名】根岸 宏明
(72)【発明者】
【氏名】阿部 修
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA26
5K067AA33
5K067BB21
5K067CC22
5K067DD11
5K067DD17
5K067DD24
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
5K067GG02
5K067HH22
5K067HH28
5K067JJ12
5K067JJ13
(57)【要約】
【課題】eDRX(extended Discontinuous Reception)を採用したIoT(Internet of Things)/M2M(Machine to Machine)システムの運用を進めるにあたって生じた現象への対策を提供すること
【解決手段】情報処理装置は、間欠的にデータを受信する省電力状態で動作する通信装置との間で、ネットワークを介した通信を行う通信部と、通信装置へ送信したデータに対する応答を通信装置から受信しない場合、通信装置から送信されたデータを受信したことに応じて、通信装置へ所定のデータを送信する制御部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
間欠的にデータを受信する省電力状態で動作する通信装置との間で、ネットワークを介した通信を行う通信部と、
前記通信装置へ送信したデータに対する応答を前記通信装置から受信しない場合、前記通信装置から送信されたデータを受信したことに応じて、前記通信装置へ所定のデータを送信する制御部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記所定のデータとして、前記通信装置と自装置との間に確立された通信経路の再設定に関する指示を、前記通信装置へ送信する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記通信経路が再設定された旨を示すデータを受信してから第1所定期間経過後に、前記通信装置へ送信済みであって、前記通信装置からの応答が未受信のデータを、前記通信装置へ再送する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記通信経路が再設定された旨を示すデータを受信してから第2所定期間経過後に、未送信の新たなデータであって、前記通信装置からの応答を要求するデータを、前記通信装置へ送信する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記通信経路の再設定に関する指示として、前記通信装置を再起動させる指示を前記通信装置へ送信する、
請求項2~4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記通信装置と自装置との間に通信経路が確立しなかった旨を示す失敗情報を受信済みの場合、前記通信装置から送信されたデータを受信したことに応じて、前記所定のデータを前記通信装置へ送信する、
請求項2~5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記通信装置から送信されたデータを受信した場合に、前記失敗情報を参照して、当該通信装置が、自装置との間に通信経路が確立しなかった通信装置であるか否かを判定する、
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記通信装置から最新のデータを受信してから経過した期間が第3所定期間となった場合、前記通信装置へ、前記通信装置からの応答を要求するデータを送信する、
請求項1~7のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
間欠的にデータを受信する省電力状態で動作する通信装置との間で、ネットワークを介した通信を行う通信部と、
前記通信装置へ送信したデータに対する応答を前記通信装置から受信しない場合、前記通信装置から送信されたデータを受信したことに応じて、前記ネットワークにおける前記前記通信装置の再登録に関する指示を送信する制御部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項10】
前記情報処理装置は、前記ネットワークに配置されたMME(Mobile Management Entity)であって、
前記通信部は、前記通信装置と、当該通信装置から送信されたデータを収集する他の情報処理装置との間の通信を行い、
前記制御部は、前記通信装置へ送信すべきデータを前記他の情報処理装置から受信した場合、前記通信装置がデータを受信可能なタイミングで、前記通信装置へ、前記ネットワークとの無線セッションの確立を要求するページング信号を送信し、当該ページング信号に対する応答を前記通信装置から受信しない場合、前記通信装置から送信されたデータを受信したことに応じて、前記通信装置の再登録に関する指示を前記通信装置へ送信する、
請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記通信装置の再登録に関する指示として、前記通信装置をデタッチ及びアタッチさせる指示を前記通信装置へ送信する、
請求項9または10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
情報処理装置に、
間欠的にデータを受信する省電力状態で動作する通信装置との間で、ネットワークを介した通信を行うステップと、
前記通信装置へ送信したデータに対する応答を前記通信装置から受信しない場合、前記通信装置から送信されたデータを受信したことに応じて、前記通信装置へ所定のデータを送信するステップと、
を実行させる、情報処理装置の制御方法。
【請求項13】
情報処理装置に、
間欠的にデータを受信する省電力状態で動作する通信装置との間で、ネットワークを介した通信を行う機能と、
前記通信装置へ送信したデータに対する応答を前記通信装置から受信しない場合、前記通信装置から送信されたデータを受信したことに応じて、前記通信装置へ所定のデータを送信する機能と、
を実現させる、情報処理装置の制御プログラム。
【請求項14】
間欠的にデータを受信する省電力状態で動作する通信装置と、前記通信装置との間で、ネットワークを介した通信を行う情報処理装置とを含む通信システムであって、
前記情報処理装置は、
前記通信装置へ送信したデータに対する応答を前記通信装置から受信しない場合、前記通信装置から送信されたデータを受信したことに応じて、前記通信装置へ所定のデータを送信する第1制御部を備え、
前記通信装置は、
前記所定のデータを受信したことに応じた所定の処理を実行する第2制御部を備える、
通信システム。
【請求項15】
請求項14に記載の通信システムにおける通信装置であって、
前記第2制御部は、前記所定のデータとして、自装置を再起動させる指示を受信し、自装置の再起動を実行する、
通信装置。
【請求項16】
前記第2制御部は、自装置を再起動した場合、前記ネットワークへのアタッチ処理を実行する、
請求項15に記載の通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理装置の制御方法、情報処理装置の制御プログラム、及び通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、IoT(Internet of Things)/M2M(Machine to Machine)デバイスの普及に伴い、既存の移動通信向け無線ネットワーク(モバイルネットワーク/セルラーネットワーク)を、IoT/M2M通信に利用するための検討が進められている。例えば、LTE(Long Term Evolution)等の移動通信システムに関する標準仕様の策定を進める3GPP(Third Generation Partnership Project)は、IoT/M2M通信を含むMTC(Machine Type Communication)に関する標準化を行なっている。3GPPは、IoT/M2M通信に関して、例えば、非特許文献1,2の技術仕様群(リリース(Release))を公開している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】3GPP TS24.301 V13.6.1, 3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Core Network and Terminals; Non-Access-Stratum (NAS) protocol for Evolved Packet System (EPS); Stage 3 (Release 13)
【非特許文献2】3GPP TS23.682 V13.5.0, 3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Services and System Aspects; Architecture enhancements to facilitate communications with packet data networks and applications (Release 13)
【発明の概要】
【0004】
外部から電力を供給されず電池によって駆動されるIoT/M2Mデバイスは、電池寿命の観点から、消費電力を低減することが求められる。上記の非特許文献1,2は、IoT/M2Mデバイスの低消費電力化の技術として、eDRX(extended Discontinuous Reception)技術を公開している。eDRXは、IoT/M2Mデバイスが、下りリンクの信号を間欠的に受信し、受信しない間は無線通信機能を停止させる技術である。
【0005】
しかしながら、eDRXを採用したIoT/M2Mシステムの運用を進めるにあたり、IoT/M2Mデバイスの動作が不安定になる等の現象が生じる場合があった。
【0006】
本発明の一実施形態に係る情報処理装置は、間欠的にデータを受信する省電力状態で動作する通信装置との間で、ネットワークを介した通信を行う通信部と、通信装置へ送信したデータに対する応答を通信装置から受信しない場合、通信装置から送信されたデータを受信したことに応じて、通信装置へ所定のデータを送信する制御部とを備える。
【0007】
本発明の一実施形態に係る情報処理装置において、制御部は、所定のデータとして、通信装置と自装置との間に確立された通信経路の再設定に関する指示を、通信装置へ送信してもよい。
【0008】
本発明の一実施形態に係る情報処理装置において、制御部は、通信経路が再設定された旨を示すデータを受信してから第1所定期間経過後に、通信装置へ送信済みであって、通信装置からの応答を未受信のデータを、通信装置へ再送してもよい。
【0009】
本発明の一実施形態に係る情報処理装置において、制御部は、通信経路が再設定された旨を示すデータを受信してから第2所定期間経過後に、未送信の新たなデータであって、通信装置からの応答を要求するデータを、通信装置へ送信してもよい。
【0010】
本発明の一実施形態に係る情報処理装置において、制御部は、通信経路の再設定に関する指示として、通信装置を再起動させる指示を通信装置へ送信してもよい。
【0011】
本発明の一実施形態に係る情報処理において、制御部は、通信装置と自装置との間に通信経路が確立しなかった旨を示す失敗情報を受信済みの場合、通信装置から送信されたデータを受信したことに応じて、所定のデータを通信装置へ送信してもよい。
【0012】
本発明の一実施形態に係る情報処理において、制御部は、通信装置から送信されたデータを受信した場合に、失敗情報を参照して、当該通信装置が、自装置との間に通信経路が確立しなかった通信装置であるか否かを判定してもよい。
【0013】
本発明の一実施形態に係る情報処理において、制御部は、通信装置から最新のデータを受信してから経過した期間が第3所定期間となった場合、通信装置へ、通信装置からの応答を要求するデータを送信してもよい。
【0014】
本発明の一実施形態に係る情報処理は、間欠的にデータを受信する省電力状態で動作する通信装置との間で、ネットワークを介した通信を行う通信部と、通信装置へ送信したデータに対する応答を通信装置から受信しない場合、通信装置から送信されたデータを受信したことに応じて、ネットワークにおける通信装置の再登録に関する指示を送信する制御部と、を備える。
【0015】
本発明の一実施形態に係る情報処理装置は、ネットワークに配置されたMME(Mobile Management Entity)であって、通信部は、通信装置と、当該通信装置から送信されたデータを収集する他の情報処理装置との間の通信を行い、制御部は、通信装置へ送信すべきデータを他の情報処理装置から受信した場合、通信装置がデータを受信可能なタイミングで、通信装置へ、ネットワークとの無線セッションの確立を要求するページング信号を送信し、当該ページング信号に対する応答を通信装置から受信しない場合、通信装置から送信されたデータを受信したことに応じて、通信装置の再登録に関する指示を通信装置へ送信してもよい。
【0016】
本発明の一実施形態に係る情報処理において、制御部は、通信装置の再登録に関する指示として、通信装置をデタッチ及びアタッチさせる指示を通信装置へ送信してよい。
【0017】
本発明の一実施形態に係る情報処理装置の制御方法は、情報処理装置に、間欠的にデータを受信する省電力状態で動作する通信装置との間で、ネットワークを介した通信を行うステップと、通信装置へ送信したデータに対する応答を通信装置から受信しない場合、通信装置から送信されたデータを受信したことに応じて、通信装置へ所定のデータを送信するステップと、を実行させる。
【0018】
本発明の一実施形態に係る情報処理装置の制御プログラムは、間欠的にデータを受信する省電力状態で動作する通信装置との間で、ネットワークを介した通信を行う機能と、通信装置へ送信したデータに対する応答を通信装置から受信しない場合、通信装置から送信されたデータを受信したことに応じて、通信装置へ所定のデータを送信する機能と、を実現させる。
【0019】
本発明の一実施形態に係る通信システムは、間欠的にデータを受信する省電力状態で動作する通信装置と、通信装置との間で、ネットワークを介した通信を行う情報処理装置とを含む通信システムであって、情報処理装置は、通信装置へ送信したデータに対する応答を通信装置から受信しない場合、通信装置から送信されたデータを受信したことに応じて、通信装置へ所定のデータを送信する第1制御部を備え、通信装置は、所定のデータを受信したことに応じた所定の処理を実行する第2制御部を備える。
【0020】
本発明の一実施形態に係る通信装置は、第2制御部が、所定のデータとして、自装置を再起動させる指示を受信し、自装置の再起動を実行してよい。
【0021】
本発明の一実施形態に係る通信装置は、第2制御部が、自装置を再起動した場合、ネットワークへのアタッチ処理を実行してよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る通信システム、通信装置、およびサーバ(情報処理装置)を概略的に示す機能ブロック図である。
【
図2】
図2は、eDRXの概略を説明する図である。
【
図3】
図3は、eDRXで動作する通信装置への、下りリンクのデータ送信の概略を説明するシーケンス図である。
【
図4】
図4は、eDRXで動作する通信装置からの、上りリンクのデータ送信の概略を説明するシーケンス図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態に係る、通信装置、コアネットワーク、サーバ間のシーケンスの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の一実施形態に係る、通信装置、コアネットワーク、サーバ間のシーケンスの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の一実施形態に係る、通信装置、コアネットワーク、サーバ間のシーケンスの一例を示す図である。
【
図8】
図8は、本発明の一実施形態に係る、通信装置、コアネットワーク、サーバ間のシーケンスの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以降、諸図面を参照しながら、本発明の一実施形態を詳細に説明する。
【0024】
<システム構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る通信システムの構成例を示す図である。通信システム500は、IoT/M2Mを実現するシステムであってよい。IoT(Internet of Things)は、様々なモノ(物)がインターネットに接続されて、データの収集、遠隔操作などが可能となる仕組みを指してよい。また、M2M(Machine to Machine:機器間通信)は、機器同士で相互にデータをやり取りする仕組みを指してよい。M2Mにおいて、機器同士はインターネットを介して接続されてもよく、直接接続されてもよい。なお、これ以降、通信システム500が、IoT/M2Mを実現するネットワークとして、LTEによる無線通信を利用する場合を説明する。しかしながら、本発明はLTEに限らず、例えば、第5世代(5G)の通信規格や、第6世代(6G)以降の通信規格等による無線通信を利用してもよい。
【0025】
通信システム500は、サーバ(情報処理装置)100、通信装置(UE:User Equipment)300(300A,300B,300C)、ネットワーク400を含む。なお、ネットワーク400は、基地局(eNB:eNodeB)200で構成される無線ネットワーク(E-UTRAN(Evolved Universal Terrestrial Radio Network))と、コアネットワーク(EPC:Evolved Packet Core)10とで構成されてよい。なお、
図1において、通信システム500を構成する各ノードを別個に示してあるが、1つのハードウェアに、複数のノードの機能が組み込まれてもよい。通信装置300、基地局200、EPC 10を構成する各構成要素は、プロセッサがメモリに格納されたプログラムを実行することによって動作するコンピュータ装置であってもよい。
【0026】
基地局200は、通信装置300との間で無線セッション(RRC Connection)を確立して直接に通信を行い、コアネットワーク10と通信装置300との間でパケットの転送を行う。そのため、基地局200は、通信装置300からの発信(上りリンクデータの通知)を受け付けたり、通信装置300向けの下りリンクデータがある場合に、通信装置300を呼び出すためのページング(Paging)を送信したりする。
【0027】
EPC 10は、MME(Mobility Management Entity:モビリティ管理エンティティ)110、S-GW(Serving Gateway:サービング・ゲートウェイ)120、P-GW(Packet Data Network Gateway:パケット・データ・ネットワーク・ゲートウェイ)130を含む。MME 110は、通信装置300の位置管理、認証管理や、各ノード間のセッションの管理(すなわち、通信経路(ベアラ)の管理)等を行う機能を有する。また、MME 110は、通信装置300を呼び出す際に、基地局200へページングを送信する機能も有する。S-GW 120は、基地局200とEPC 10との間で、ユーザパケットのルーティングや転送を行うゲートウェイとしての機能を有する。P-GW 130は、ネットワーク400で使用可能な通信装置300のIP(Internet Protocol)アドレスを割り当て、そのIPアドレスによって、通信装置300とネットワーク400の外部ネットワークとの通信を可能とするゲートウェイとしての機能を有する。なお、S-GW 120とP-GW 130とは、統合して1つのノードとして実現される場合もあり、これ以降、統合した場合をS/P-GW 120/130として示す場合もある。
【0028】
通信装置300は、本発明の一実施形態において、IoTデバイスであってよい。
図1の例では、通信装置300を3つ示してあるが、通信装置300の数はこれに限定されない。なお、これ以降、特に区別する必要が無い場合、通信装置300の符号における英字は省略して説明する。
【0029】
一実施形態に係る通信システム500において、サーバ100は、ネットワーク400を介して、IoT/M2M機器を管理し、それらIoT/M2M機器から送信された各種データを収集する機能を有してよい。例えば、サーバ100は、各家庭、企業、施設等に設置された、IoT/M2M機器である例えばメーターに設置された通信装置300から、メーターに関する情報を収集することができる。すなわち、サーバ100は、各通信装置300から送信された情報を処理し、各通信装置300の管理者へ必要なデータを受け渡すIoT-PF(プラットフォーム)としての機能を有してよい。従って、管理者の図示しない集中監視センタが、サーバ100に接続されてよい。また、サーバ100は、ネットワーク400を介して、通信装置300を遠隔制御してもよい。メーターは、例えば、水道、ガス(都市ガス、LPガス)、石油、電気等の使用量を測定してよい。なお、本発明は、IoT/M2M機器をメーターに限定するものではない。また、メーターが測定する対象は、上記の例に限定されない。すなわち、サーバ100は、メーターの測定対象に応じて任意の情報を収集してよい。なお、
図1において、サーバ100は単体で示してあるが、これに限られるものではない。サーバ100は、各実施形態において記載する機能を実現できる情報処理装置であればどのような装置であってもよい。例えば、サーバ100は、サーバ装置、コンピュータ(限定でなく例として、デスクトップ、ラップトップ、タブレット等)、コミュニケーションプラットホーム等を含んでもよい。
【0030】
なお、ネットワーク400は、図示しないHSS(Home Subscriber Server:ホーム加入者サーバ)、MTC-IWF(Machine Type Communications - Interworking Function)を含んでもよい。HSSは、認証処理や、通信装置300の位置情報を管理するノードである。MTC-IWFは、サーバ100とMME 110とに接続され、サーバ100とEPC 10との間で、データの転送を行う。
【0031】
<サーバ>
サーバ100は、制御部101、通信部102、及び記憶部105を備える。記憶部105は、典型的には、HDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等各種の記録媒体により実現され、サーバ100が動作するうえで必要とする各種プログラム及びデータを記憶する機能を有してよい。また、記憶部105には、サーバ100との通信を行うための、通信装置300及びメーターに関する情報が記憶されてよい。例えば、記憶部105には、各通信装置300を一意に識別可能な識別子である装置ID、通信装置300の位置情報、メーターを一意に識別可能な識別子であるメーターID、メーターの管理者に係る管理者ID、通信装置300とのネットワーク400を介した通信に必要なネットワークID等が記憶されてよい。ネットワークIDは、例えば、通信装置300との間のベアラ(通信経路)の確立時に、P-GW 130から通信装置300に付与されたIPアドレスであってよい。
【0032】
制御部101は、典型的には中央処理装置(CPU)であってよい。制御部101は、記憶部105に記憶されるプログラムを読み出し、読み出したプログラムに含まれるコード又は命令を実行することによって、各実施形態に示す機能、方法を実行してよい。制御部101は、集積回路(IC(Integrated Circuit)チップ、LSI(Large Scale Integration))等に形成された論理回路(ハードウェア)や専用回路によって各実施形態に開示される各処理を実現してもよい。また、これらの回路は、1又は複数の集積回路により実現されてよく、各実施形態に示す複数の処理を1つの集積回路により実現されることとしてもよい。
【0033】
通信部102は、ネットワークアダプタ等のハードウェアや通信用ソフトウェア、及びこれらの組み合わせとして実装されてよい。通信部102は、サーバ100と各通信装置300の間で確立されたベアラを用いて、ネットワーク400を介して各種データの送受信を行ってよい。
【0034】
<通信装置>
通信装置300は、制御部310、通信部320、及び記憶部350を備えてよい。通信装置300を構成する制御部310や通信部320は、プロセッサがメモリに格納されたプログラムを実行することによって処理が実行されるソフトウェアもしくはモジュールであってもよい。または、通信装置300を構成する構成要素は、回路もしくはチップ等のハードウェアであってもよい。本発明の一実施形態において、制御部310は、通信装置300をLTEに準拠して動作させるための処理を実現してよい。また、詳細は後述するが、制御部310は、通信装置300に、間欠的にデータを受信する省電力状態の動作であるeDRX動作を実行させてよい。また、制御部310は、図示しないメーターからの各種情報を取得する機能を有してよい。また、制御部310は、自装置の再起動を実行したり、ネットワーク400への接続や、ネットワーク400との接続を解除したりするための各種処理を実行してよい。
【0035】
通信部320は、無線通信においてデータの送受信機能を実現するハードウェアや通信用ソフトウェア、及びこれらの組み合わせとして実装されてよい。通信部320は、ネットワーク400を介して、サーバ100との間で各種データの送受信を行い、サーバ100から受信した各種データを、制御部310へ伝達してよい。なお、通信部320は、図示しない第1通信部を含み、サーバ100との間で、第1の通信方式を用いた通信を行ってよい。第1の通信方式は、例えば、カテゴリーM(Category M)、カテゴリーM1(Category M1)、NB-IoT(Narrow Band IoT)等のIoT向けの無線通信方式であり、LTE(Long Term Evolution)を拡張した通信方式であってよい。また、第1の通信方式は、例えば、電波法における免許を必要とする通信方式(公衆無線)であってもよい。
【0036】
記憶部350は、通信装置300が動作するうえで必要とする各種プログラムや各種データを記憶する。記憶部350は、例えば、半導体メモリ(磁気メモリ、フラッシュメモリ等)を含んでよい。また、記憶部350は、制御部101に対する作業領域を提供するメモリ(RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等)を含んでよい。また、本発明の一実施形態において、記憶部350は、eDRX動作を実行するための各種パラメータ、ネットワーク400に接続するための各種ネットワークパラメータ(例えば、IPアドレス等)、通信装置300に固有の識別情報(デバイスID等)を記憶してもよい。
【0037】
<eDRXについて>
ここで、
図2を用いて、eDRXについて概略を説明する。
図2は、横軸に時間、縦軸に通信装置300の無線機能のオン/オフ状態を例示している。eDRXは、LTEにおける低消費電力を実現するためのLPWA(Low Power Wide Area)を、IoT/M2Mデバイス向けに拡張した無線技術であって、カテゴリーM、カテゴリーM1、NB-IoT等の通信規格の一機能である。
【0038】
LTEにおいて、通信装置300は、基地局200との間の無線セッションがある接続状態(RRC_CONNECTED)と、基地局200との間の無線セッションがないアイドル状態(RRC_IDLE)(待受け状態)との2つの状態を遷移する。アイドル状態とは、接続状態よりも通信装置300の機能が制限された状態であってよい。例えば、通信装置300は、接続状態において、基地局200との間でデータの送受信が可能であるが、アイドル状態において、データの受信のみが可能であってよい。具体的には、例えば、通信装置300は、アイドル状態において、基地局200との間では、ページングや、ブロードキャスト情報の受信のみが可能であってよい。アイドル状態の通信装置300は、ページングを受信した場合にアイドル状態を解除し、基地局200との間の無線セッションを確立してよい。
【0039】
ここで、上述のように通信装置300は、ページングの受信を試みるため、アイドル状態においても待機電力を消費する。これに対し、通信装置300は、アイドル状態において、eDRXによりページングの受信を制御してよい。例えば、通信装置300は、アイドル状態において、ページングの受信を間欠的に実行してよい。すなわち、通信装置300は、ページングの受信を試みない期間には、自装置の無線機能を停止させてよい。具体的には、
図2に例示するように、通信装置300は、ページングの受信を試みるタイミングで、無線機能をオンにし、それ以外の時間では、無線機能をオフにしてよい。つまり、通信装置300は、間欠的にデータを受信することにより消費電力を低減可能な省電力状態で動作してよい。なお、
図2において、PTW(Paging Time Window)は、eDRX動作中の通信装置300が、ページングの受信を試みる区間を表す。また、
図2において、eDRX周期は、無線機能のオンとオフの周期を表す。すなわち、eDRX周期は、PTWの始期から次のPTWの始期までの期間を表す。したがって、通信装置300は、PTWの長さと、次のPTWまでの周期(eDRX周期)とを設定することにより、アイドル状態における通信装置300の消費電力量を制御することができる。
【0040】
通信装置300、基地局200、MME 110は、通信装置300ごとに設定されたeDRX周期に関する情報をそれぞれ共有してよい。すなわち、通信装置300、基地局200、MME110は、それぞれどのタイミングで通信装置300がPTWとなるかを算出してよい。そして、通信装置300、基地局200、MME 110は通信装置300のPTWの情報に基づいて同期してよい。これにより、基地局200は、通信装置300がページングを受信可能なタイミングに、通信装置300へページングを送出することができる。
【0041】
<eDRX動作中の通信装置とネットワークとの間のシーケンス>
図3は、eDRX動作を行うアイドル状態の通信装置300に対して、サーバ100からデータを送信する場合を説明するシーケンス図である。なお、
図3を含むこれ以降のシーケンス図において、S-GW120とP-GW130とは統合して示してある。また、
図3において、通信装置300のネットワーク400へのアタッチ(Attach)処理は完了し、ネットワーク400(より詳細には、MME 110)において、通信装置300に関する情報(コンテキスト情報)が保持されているものとする。また、サーバ100への通信装置300の登録処理(Registration)は完了し、サーバ100は、通信装置300を管理対象として通信が実行できる状態にあるものとする。
【0042】
サーバ100の制御部101は、通信部102を介して、通信装置300へ送信すべきデータをS/P-GW 120/130へ送信する(ステップS11)。S/P-GW 120/130は、サーバ100から受信したデータをバッファリングし(ステップS12)、MME 110へ、通信装置300へ送信すべきデータがある旨を通知する(ステップS13)。MME 110は、データ通知に対する応答をS/P-GW 120/130へ送信する(ステップS14)。なお、MME 110は、通信装置300のeDRX周期に関する情報から、次のPTWとなる時間を算出し、S/P-GW 120/130への応答に、必要なバッファリング期間についての情報を含めてもよい。MME 110は、通信装置300においてPTWとなるまで、通信装置300へのページングの送信を保留する(ステップS15)。
【0043】
MME 110は、基地局200へページングを送信する(ステップS16)。このとき、MME 110は、通信装置300におけるPTWのタイミングで、基地局200が通信装置300へページングを送信できるように、そのタイミングに合わせてページングを送信する。MME 110からのページングを受け、基地局200は、通信装置300へページングを送信する(ステップS17)。なお、基地局200は、ページングを受信した後、PTWのタイミングまでページングをバッファし、PTWのタイミングとなった場合に通信装置300へページングを送信する。このため、MME 110と基地局200との間の同期の精度を高め、基地局200が、MME 110からのページングを受信してから遅滞なく通信装置300へページングを送信できるようにすることにより、基地局200におけるバッファ量を低減することが好ましい。
【0044】
PTWの間にページングを受信した通信装置300は、基地局200との間で無線セッションの確立処理(RRC Connection Procedure)を実行する。これにより、通信装置300と基地局200との間の無線セッションが確立する(ステップS18)。その後、所定の手順を経て、通信装置300、基地局200、S/P-GW 120/130、サーバ100の間のベアラが設定される(ステップS19)。ベアラが設定されると、S/P-GW 120/130にバッファされていたデータが、通信装置300へ送信される(ステップS20)。その後、基地局200は、通信装置300との間の無線セッションを解放する(ステップS21)。無線セッションの解放は、予め無線セッションが確立してから解放するまでの時間を定め、時間が満了したことをトリガとして基地局200によって行われてよい。なお、無線セッションの解放は、通信装置300によって行われてもよい。例えば、通信装置300は、基地局200との間で適切に同期を取ることができない場合に、無線セッションを解放してもよい。無線セッションを解放してアイドル状態となった通信装置300は、引き続きeDRX周期に従って、ページングの間欠受信を行う。
【0045】
なお、通信装置300からネットワーク400への、上りリンクデータの送信(通信装置300による発信)は、eDRX周期に依存せず、任意のタイミングで行うことができる。
図4は、通信装置300からネットワーク400へデータを送信する場合を説明するシーケンス図である。
図4でも、通信装置300のネットワーク400へのアタッチ(Attach)処理は完了し、ネットワーク400において、通信装置300に関する情報(コンテキスト情報)が保持されているものとする。
【0046】
通信装置300の制御部310は、通信部320を介して、基地局200との間で無線セッションを確立するための接続要求(RRC Connection Request)を送信する(ステップS31)。基地局200は、無線セッションを確立するための接続情報(RRC Connection Setup)を通信装置300へ送信する(ステップS32)。その後、通信装置300と基地局200との間の無線セッションが確立する(ステップS33)。次に、通信装置300は、ネットワーク400へ、ベアラの設定要求を送信する。その後、所定の手順を経て、通信装置300、基地局200、S/P-GW 120/130、サーバ100の間のベアラが設定される(ステップS34)。ベアラが設定されると、所定のノードを経て、通信装置300は、サーバ100へデータを送信する(ステップS35)。その後、通信装置300は、基地局200との間の無線セッションを解放する(ステップS36)。
【0047】
<第1実施形態>
図5は、本発明の第1実施形態による、通信装置300とサーバ100との間のシーケンスの一例である。なお、
図5は一例であって、本発明はこれに限定されない。
図5は、
図3と同様に、eDRX動作を行うアイドル状態の通信装置300に対して、サーバ100からデータを送信する場合を説明するシーケンス図である。
図3と同様に、通信装置300のネットワーク400へのアタッチ(Attach)処理は完了し、ネットワーク400において、通信装置300に関する情報が保持されている。
【0048】
ステップP11~P16までは、
図3のステップS11~S16と同様であるため説明を省略する。ここで、ステップP17において、PTWのタイミングの計算誤差や通信環境の悪化といった何らかの原因により、基地局200から通信装置300へ送信されたページングが、通信装置300へ到達しないことがある。なお、ページングが、通信装置300へ到達しない場合とは、ページングが物理的に通信装置300に到達しない場合に限定されない。例えば、ページングが通信装置300へ到達しない場合として、通信装置300によりページングが受信されない場合、通信装置300が受信を拒否した場合、通信装置300がページングを認識できなかった場合等を含んでもよい。
【0049】
この場合、MME 110は、通信装置300から、例えばベアラの設定要求といったページングに対する応答を受信しないため、ページングが失敗したと判定してよい(ステップP18)。そしてMME 110は、ページングが失敗した旨を示す情報を、S/P-GW 120/130へ送信してよい(ステップP19)。S/P-GW 120/130は、ページングが失敗した旨を示す情報をサーバ100へ送信する(ステップP20)とともに、バッファしていたデータを削除してもよい。サーバ100は、ページングが失敗したことを、記憶部105に履歴として記憶してよい(ステップP21)。
【0050】
その後、例えば、定期的な検針データの送信等、通信装置300がネットワーク400へ接続する必要が生じたとする。この場合、通信装置300は、所定の手順を経て、基地局200との間の無線セッションを確立する(ステップP23)。そして、通信装置300は、アイドル状態から接続状態へ遷移し、ネットワーク400に対してベアラの設定要求を送信する。その後、所定の手順を経て、通信装置300、基地局200、S/P-GW 120/130、サーバ100間でベアラが設定されてよい(ステップP24)。通信装置300は、設定されたベアラを用いて、サーバ100へデータを送信してよい(ステップP25)。
【0051】
eDRXを採用したIoT/M2Mシステムの運用にあたり、このように、通信装置300からの発信は可能であるが、サーバ100からの着信は不可能であるといった不具合が生じ得る。本発明の一実施形態によれば、このような不具合を解消することができる。
【0052】
具体的に説明する。ステップP25において、通信装置300からのデータを受信すると、サーバ100は、記憶部105に記憶された処理履歴を参照して、通信装置300が、ページングに失敗した通信装置であると判定してよい。そして、サーバ100は、通信装置300に対して、通信装置300を再起動させる指示(Reboot)を送信してよい(ステップP26)。S/P-GW 120/130は、通信装置300による発信時に設定されたベアラを用いて、サーバ100から受信した、通信装置300を再起動させる指示を、通信装置300へ送信してよい(ステップP27)。
【0053】
上述の、サーバ100から通信装置300にページングを送信できないという不具合は、その原因が不明であっても、通信装置300を再起動させることによって解消する可能性がある。また、ページングによる、基地局200と通信装置300との間の無線セッションの確立が不可能であっても、通信装置300の発信によって設定されたベアラを利用すれば、通信装置300へデータを到達させることができる。この点、本発明の一実施形態によれば、通信装置300の発信によるベアラの設定をトリガとして、再起動指示を送信し、不具合を解消させることができる。
【0054】
なお、再起動の指示の送信は、通信装置300と基地局200との間の無線セッションが確立されている間に送信する必要がある。従って、再起動の指示の送信を早めるため、ページングに失敗した通信装置300であるか否かの判定が、ベアラが確立されたことを示す情報を、ネットワーク400からサーバ100が受信したタイミングで行われてもよい。そして、通信装置300からのデータを受信してすぐに、通信装置300へ再起動の指示が送信されてよい。
【0055】
再起動の指示を受信した通信装置300は、基地局200との間の無線セッションを解放してよい(ステップP28)。なお、通信装置300は、自装置が再起動する旨を基地局200へ送信し、無線セッションの解放は、基地局200によって行われてもよい。その後、通信装置300は、自装置の再起動を行ってよい(ステップP30)。なお、通信装置300が再起動する前に、通信装置300からネットワーク400へ、自装置のネットワーク400への登録を解除するデタッチ(Detach)情報が送信されてもよい。あるいは、サーバ100から送信された再起動の指示をネットワーク400の各ノードが読み取り、通信装置300が再起動されることを認知してもよい。これにより、ネットワーク400と通信装置300との間で、通信装置300の登録状態を一致させることができる。
【0056】
図6に、通信装置300の再起動後におけるシーケンスの一例を示す。通信装置300は、ステップP30にて再起動すると、所定の手順を経て、基地局200との間の無線セッションの確立を行う(ステップP31~P33)。その後、通信装置300は、ネットワーク400へのアタッチ要求とベアラの設定要求を実行し(ステップP34)、所定の手順を経て、通信装置300のネットワーク400へのアタッチ処理が完了する。また、ネットワーク400を介した通信装置300とサーバ100との間のベアラが設定される。その後、通信装置300は、サーバ100に登録要求(Registration)を送信してよい(ステップP35)。登録要求は、サーバ100との通信を確立するために送信されるものであって、通信装置300の識別名(Endpoint Client Name)、登録の有効期限(Lifetime)等を含んでよい。通信装置300から登録要求を受信したサーバ100は、当該通信装置300を通信対象として登録することができる。その後、サーバ100は、通信装置300へ、登録が完了した旨を示す登録完了情報を送信してよい(ステップP36)。通信装置300または基地局200は、データの送受信が所定時間発生しない等といったことを契機に、無線セッションを解放し、通信装置300は、アイドル状態へ遷移してよい(ステップP37)。
【0057】
ステップP35にてサーバ100が登録要求を受信したことは、通信装置300が再起動され、通信装置300とサーバ100との間で、ベアラの再設定がされたことを示す。本発明の一実施形態によれば、サーバ100の制御部101は、ベアラが再設定された旨を示すデータを受信してから第1所定期間経過後に、通信装置300へ送信済みであって、通信装置300からの応答を未受信のデータを、通信装置300へ再送してよい。すなわち、ステップP38において、サーバ100は、
図5のステップP11で通信装置300への送信を試みたものの、通信装置300へ到達しなかったデータを再送してよい。その後、
図3のステップS11~S20と同様のステップP38~P47を経て、サーバ100からのデータが、通信装置300へ再送されてよい。なお、第1所定期間の長さは特に限定されるものではない。例えば、第1所定期間の長さは、eDRX動作する通信装置300へ、問題なくデータを送信可能であるかをサーバ100が確認可能な長さであってよい。具体的には、例えば、第1所定期間の長さは、通信装置300が再起動してから、少なくとも1回はアイドル状態へ遷移するまでに要する期間であってよい。
【0058】
これにより、通信装置300の再起動後に、無線セッションを問題なく確立できるか否かの確認とともに、未送信のデータを通信装置300へ送信することができる。
【0059】
なお、ステップP38にて再送されるデータは、通信装置300へ未送信のデータでなくともよい。本発明の一実施形態によれば、サーバ100の制御部101は、ベアラが再設定された旨を示すデータを受信してから第2所定期間経過後に、通信装置300へ未送信の新たなデータであって、通信装置300からの応答を要求するデータを、通信装置300へ送信してもよい。すなわち、ステップP38において、通信装置300へ、テストデータが送信されてよい。テストデータは、テストデータ自体、また、通信装置300からの応答が、ネットワーク資源を圧迫しない軽いデータであってよい。また、第2所定期間の長さは特に限定されるものではない。例えば、第2所定期間は、第1所定期間と同様に、eDRX動作する通信装置300へ、問題なくデータを送信可能であるかをサーバ100が確認可能な長さであってよい。
【0060】
これにより、通信装置300の再起動後に、無線セッションを問題なく確立できるか否かの確認を行うことができる。
【0061】
<第2実施形態>
第1実施形態では、通信装置300との間のネットワークが不安定な状態を解消する手法として、通信装置300を再起動させる場合について説明した。しかしながら、本発明の一実施形態によれば、ネットワークが不安定な状態を解消する手法は通信装置300の再起動に限定されない。例えば、本発明の他の実施形態によれば、通信装置300とサーバ100との間に確立されたベアラの再設定を促すことによっても、ネットワークが不安定な状態を解消し得る。すなわち、本発明の他の実施形態によれば、例えば、ベアラの設定処理を契機として、サーバ100と通信装置300とのデタッチ処理を実行してもよい。このことについて、第2実施形態として説明する。
【0062】
図7は、本発明の第2実施形態による、通信装置300とサーバ100との間のシーケンスの一例である。なお、
図7は一例であって、本発明はこれに限定されない。
図7は、
図5と同様に、eDRX動作を行うアイドル状態の通信装置300に対して、サーバ100からデータを送信する場合を説明するシーケンス図である。
図5と同様に、通信装置300のネットワーク400へのアタッチ(Attach)処理は完了し、ネットワーク400において、通信装置300に関する情報が保持されている。
【0063】
ステップT11~T20までは、
図5のステップP11~P20と同様であるため説明を省略する。
図5の第1実施形態では、ページングが失敗した旨をサーバ100が記憶した。これに対し第2実施形態では、ページングが失敗した旨を、MME 110が記憶してよい(ステップT21)。その後、
図5のステップP23~P25と同様に、通信装置300は、所定の手順を経て、基地局200との間の無線セッションを確立し、サーバ100へデータを送信してよい(ステップT23~T25)。
【0064】
第1実施形態と異なり、第2実施形態では、ステップT25で通信装置300からのデータを受信したMME 110は、通信装置300に対して、デタッチ要求を送信してよい(ステップT26)。なお、デタッチ要求は、サーバ100にも送信されてよい。デタッチ要求を受信した通信装置300は、ネットワーク400に対するデタッチ処理を実行する(ステップT27)。ここで、デタッチは、ネットワーク400への通信装置300の登録を解除し、ネットワーク400から通信装置300に関する情報を削除することを意味する。なお、デタッチ要求は、通信装置300からの無線セッションの確立後、任意の時間で送信されてよい。ここで、無線セッションは、例えば、データの送受信が所定時間発生しないことを契機に、基地局200からの指示により解放されてよい。したがって、デタッチ要求は、例えば、基地局200からの指示に基づいてセッションが解放される前に送信されてもよい。すなわち、例えば、デタッチ要求は、通信装置300からの無線セッションの確立後、所定時間が経過する前に送信されてもよい。なお、デタッチが完了した通信装置300は、ネットワーク400へのアタッチ処理を必要とする。すなわち、
図6のステップP31~P37と同様の処理を経て、ネットワーク400へのアタッチ処理と、サーバ100への登録処理を完了させることができる。
【0065】
本発明の第2実施形態によれば、アタッチ処理によって、ネットワーク400への登録が一からやり直され、通信装置300へのページングが失敗する不具合を解消する可能性を高めることができる。
【0066】
なお、第2実施形態において、MME 110から通信装置300へ送信される指示は、デタッチ指示に限定されず、通信装置300を再起動させる指示であってよい。これにより、第1実施形態と同様に、通信システム500の不安定な状態を解消させることができる。
【0067】
<第3実施形態>
図8は、本発明の第3実施形態による、通信装置300とサーバ100との間のシーケンスの一例である。なお、
図8は一例であって、本発明はこれに限定されない。ここで、
図8のステップU11~U23は、
図7のステップT11~T23と同様であるため説明を省略する。第2実施形態では、
図7に例示したように、ステップT23の無線セッションの確立後、ステップT24にてベアラが設定されたことを契機としてデタッチ処理が実行される。ここで、本発明のさらに他の実施形態によれば、
図8に例示されるように、ステップU23の無線セッションの確立後、ステップU24において通信装置300から基地局200へのサービス要求が送信されたことを契機としてデタッチ処理が実行されてもよい。具体的には、例えば、第3実施形態では、ステップU24で通信装置300からサービス要求を受信したMME 110が、通信装置300に対して、デタッチ要求を送信してよい(ステップU25)。デタッチ要求を受信した通信装置300は、ネットワーク400に対するデタッチ処理を実行してよい(ステップU26)。これにより、本発明の第3実施形態によれば、通信システム500の不安定な状態を解消させ得る。
【0068】
<その他の実施形態>
通信装置300がサーバ100との間でデータを送受信する頻度は、IoT/M2Mデバイスの場合、携帯電話と比べて少ない。したがって、データの送受信における上述の不具合を発見できないおそれがある。したがって、通信装置300と基地局200との間の不具合を早期に発見可能な仕組みがあってよい。本発明の一実施形態によれば、サーバ100の制御部101は、通信装置300から最新のデータを受信してから経過した期間が第3所定期間となった場合、通信装置300へ、通信装置300からの応答を要求するデータを送信してもよい。サーバ100から通信装置300へ、応答を要求するデータを送信し、通信装置300からの応答が受信されない場合、上述した不具合が発生していると判定することができる。第3所定期間は、限定するものではないが、12時間、24時間、3日等であってよい。なお、不具合の発生頻度に応じて、第3所定期間を流動的に変更させてもよい。これにより、不具合を早期に発見し、システムの不安定な状態を解消させることができる。
【0069】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部、各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部やステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したり、必要に応じて適宜省略又は変更することが可能である。また、上記実施の形態に示す構成を適宜組み合わせることとしてもよい。例えば、サーバ100が備えるとして説明した各機能部は、コアネットワーク10におけるノードのいずれかによって実現されてもよい。逆に、コアネットワーク10におけるノードのいずれかが備えるとして説明した各機能部を、サーバ100が備えてもよい。
【0070】
例えば、上述では、
図5のステップP26において、サーバ100から通信装置300へ、通信装置300を再起動させる指示が送信される態様について説明した。しかしながら、本発明の一実施形態において、サーバ100は、再起動指示ではなく、通信装置300へ到達しなかったデータを再送してもよい。
【0071】
例えば、上述では、MME 110から通信装置300へ、デタッチ要求が送信される場合について説明した。しかしながら、MME 110から通信装置300へ、再起動を指示する情報が送信されてもよい。
【0072】
また、サーバ100から送信されP-GW 130バッファされたデータは、サーバ100でバッファされてもよいし、MME 110でバッファされてもよい。
【0073】
また、上述では、eDRXに準拠する通信システムについて説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されず、通信装置300とネットワーク400との間の接続状態が不安定となり得る通信方式やプロトコルを用いた場合に適用可能であってよい。
【0074】
本開示の各実施形態のプログラムは、通信装置や情報処理装置に読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供されてもよい。記憶媒体は、「一時的でない有形の媒体」に、プログラムを記憶可能であってよい。プログラムは、例えば、ソフトウェアプログラムや情報処理装置プログラムを含んでよい。
【0075】
記憶媒体は適切な場合、1つ又は複数の半導体ベースの、又は他の集積回路(IC)(例えば、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、特定用途向けIC(ASIC)等)、ハード・ディスク・ドライブ(HDD)、ハイブリッド・ハード・ドライブ(HHD)、光ディスク、光ディスクドライブ(ODD)、光磁気ディスク、光磁気ドライブ、フロッピィ・ディスケット、フロッピィ・ディスク・ドライブ(FDD)、磁気テープ、固体ドライブ(SSD)、RAMドライブ、セキュア・デジタル・カードもしくはドライブ、任意の他の適切な記憶媒体、又はこれらの2つ以上の適切な組合せを含むことができる。記憶媒体は、適切な場合、揮発性、不揮発性、又は揮発性と不揮発性の組合せであってよい。
【0076】
また、本開示のプログラムは、当該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して、サーバ100に提供されてもよい。
【0077】
また、本開示の各実施形態は、プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0078】
なお、本開示のプログラムは、例えば、JavaScript(登録商標)、Python等のスクリプト言語、C言語、Go言語、Swift,Koltin、Java(登録商標)等の任意のプログラミング言語を用いて実装されてよい。
【符号の説明】
【0079】
100 サーバ
101 制御部
102 通信部
105 記憶部
10 EPC
110 MME
120 S-GW
130 P-GW
200 基地局
300 通信装置
310 制御部
320 通信部
350 記憶部
400 ネットワーク
500 通信システム
【手続補正書】
【提出日】2022-05-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
間欠的にデータを受信する省電力状態で動作する通信装置との間で、ネットワークを介した通信を行う通信部と、
送信したデータに対する応答を受信しなかった前記通信装置から、当該通信装置による発信によって設定された自装置と前記通信装置との間の通信経路を用いてデータを受信した場合、前記通信装置へ所定のデータを送信する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記所定のデータとして、送信したデータに対する応答を受信しなかった前記通信装置による発信によって設定された自装置と前記通信装置との間の通信経路の再設定に関する指示を、前記通信装置へ送信する、情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記通信経路が再設定された旨を示すデータを受信してから第1所定期間経過後に、前記通信装置へ送信済みであって、前記通信装置からの応答が未受信のデータを、前記通信装置へ再送する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記通信経路が再設定された旨を示すデータを受信してから第2所定期間経過後に、未送信の新たなデータであって、前記通信装置からの応答を要求するデータを、前記通信装置へ送信する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記通信経路の再設定に関する指示として、前記通信装置を再起動させる指示を前記通信装置へ送信する、
請求項1~3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記通信装置と自装置との間に通信経路が確立しなかった旨を示す失敗情報を受信済みであることにより、送信したデータに対する応答を受信しなかったと判定される場合、前記通信装置による発信時に設定された自装置と前記通信装置との間の通信経路を用いて前記通信装置から送信されたデータを受信したことに応じて、前記所定のデータを前記通信装置へ送信する、
請求項1~4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記通信装置から最新のデータを受信してから経過した期間が第3所定期間となった場合、前記通信装置へ、前記通信装置からの応答を要求するデータを送信する、
請求項1~5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
情報処理装置に、
間欠的にデータを受信する省電力状態で動作する通信装置との間で、ネットワークを介した通信を行うステップと、
送信したデータに対する応答を受信しなかった前記通信装置から、当該前記通信装置による発信によって設定された自装置と前記通信装置との間の通信経路を用いてデータを受信した場合、前記通信装置へ所定のデータを送信するステップと、
を実行させ、
前記所定のデータとして、送信したデータに対する応答を受信しなかった前記通信装置による発信によって設定された自装置と前記通信装置との間の通信経路の再設定に関する指示が、前記通信装置へ送信される、情報処理装置の制御方法。
【請求項8】
情報処理装置に、
間欠的にデータを受信する省電力状態で動作する通信装置との間で、ネットワークを介した通信を行う機能と、
送信したデータに対する応答を受信しなかった前記通信装置から、当該通信装置による発信によって設定された自装置と前記通信装置との間の通信経路を用いてデータを受信した場合、前記通信装置へ所定のデータを送信する機能と、
を実現させ、
前記所定のデータとして、送信したデータに対する応答を受信しなかった前記通信装置による発信によって設定された自装置と前記通信装置との間の通信経路の再設定に関する指示が、前記通信装置へ送信される、情報処理装置の制御プログラム。
【請求項9】
間欠的にデータを受信する省電力状態で動作する通信装置と、前記通信装置との間で、ネットワークを介した通信を行う情報処理装置とを含む通信システムであって、
前記情報処理装置は、
送信したデータに対する応答を受信しなかった前記通信装置から、当該前記通信装置による発信によって設定された自装置と前記通信装置との間の通信経路を用いてデータを受信した場合、前記通信装置へ所定のデータを送信する第1制御部を備え、
前記第1制御部は、前記所定のデータとして、送信したデータに対する応答を受信しなかった前記通信装置による発信によって設定された自装置と前記通信装置との間の通信経路の再設定に関する指示を、前記通信装置へ送信し、
前記通信装置は、
前記所定のデータを受信したことに応じた所定の処理を実行する第2制御部を備える、
通信システム。
【請求項10】
請求項9に記載の通信システムにおける通信装置であって、
前記第2制御部は、前記所定のデータとして、自装置を再起動させる指示を受信し、自装置の再起動を実行する、
通信装置。
【請求項11】
前記第2制御部は、自装置を再起動した場合、前記ネットワークへのアタッチ処理を実行する、
請求項10に記載の通信装置。