(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022141552
(43)【公開日】2022-09-29
(54)【発明の名称】海水からのしぶき採塩とリチウム磁着採取法
(51)【国際特許分類】
C01D 3/06 20060101AFI20220921BHJP
C01D 15/04 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
C01D3/06 K
C01D15/04
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021076800
(22)【出願日】2021-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】592040284
【氏名又は名称】川合 宣雄
(72)【発明者】
【氏名】川合 宣雄
(57)【要約】
【課題】塩は人間の生命維持のためには欠かせない必須のものであり、日本では古来から海水からの採取が試みられてきて現在に至るも、その作業は広大な土地や甚大な労力、そして大きな熱エネルギーを必要とするものである。同じように海水中には貴重なリチウムが、ほぼ無尽蔵に含まれているが、これを分離して採取することは難しく、単離精錬に成功した事例もあるが、費用対効果の面からは採算がとれるものではなかった。
【解決手段】塩を海水から効率よく分離採取する方法である。海水を吹き飛ばしてしぶきにすると、泡沫に包まれた塩の結晶がより遠くまで達するので、これを布やネット、あるいはほかの採取装置を用いて収集し、乾燥精製すれば自然塩ができる。海水を散布する前工程で、強力な磁場を加圧すると、常磁性を有しているリチウム原子などがより強い磁性を有するので、これを電磁石で吸着採取するのが、リチウム磁着採取法である。電磁石に付着するのは不揃いなレアメタル粒子であるから、これを単離精錬させてリチウムのみを取り出す。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海水からの塩の採取法である。海水をしぶき、あるいはミストなどの微細な状態にして吹き飛ばし、泡沫に包まれた結晶塩をネットや容器などの採取装置を用いて採取する。
【請求項2】
海水からのリチウム採取法である。海水を磁気増強装置を通過させてリチウムの帯電を増大させた上で散布、強力な電磁石で吸着採取する。
【請求項3】
上記は陸上に設置した場合であって、ボートや小型船舶に同様の装置を積載して、舳先があげるしぶきを利用したり、あるいは走行中に故意にしぶきを発生させても応用することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海水から容易に塩だけを分離採取しようとする方法であり、それ自体が磁性を有している海水中のリチウム原子の磁力をさらに増大させて、強力な電磁石によって分離採取しようとする方法である。
【背景技術】
【0002】
日本において塩は、海水から採取されていたが、天日あるいは煮沸等の手間をかけて凝縮し、さらに乾燥精製するなどの手間がかかるものであった。
【0003】
イオン交換膜製塩法もあるが、濃縮までの過程が電気的に変わっただけである。
【0004】
海水中に無尽蔵にあるといわれるリチウムの採取にも多くの方法が取り入れられているが、いずれも大げさな装置を必要とするものであり、その割には効率がよくない。
【0005】
塩とリチウムという全く性質の異なるものを同一の装置で採取しようとするのは、共通して使用できる設備があるからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
海水から塩を取るのは、広い場所や濃縮するための熱源、多くの人力や時間など、ずいぶんと大変な作業であった。これらの採塩作業を室内で短時間に効率よく、しかも塩の結晶に近い形で採取しようとするのがしぶき採塩である。一方で海水中に混じり込んでいる希少金属類を分離させるのも難しく、特にこれから需要が増えると予想されるリチウムの海水からの分離は困難であった。しぶき採塩時の海水を強力な磁場を通過させ、磁気を帯びたリチウム原子を大きな電磁石で吸着するのがリチウム磁着採取法である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
海水中のリチウム原子は常磁性を帯びているので、外部からの強い磁性を加えられることによって強磁性の物質となる。
【0008】
強磁性となったリチウム原子を含む海水を空気中に散布させ、側面あるいは上面に設置した強力な電磁石で吸着すれば集積される。
【0009】
一方で海水中に含まれる塩分子は、小さな泡沫に包まれると結晶化する性質があり、これを勢いよく吹き飛ばすことによって、より遠くまで達する。
【0010】
結晶となって飛ばされる塩成分を適当な採取装置で受け止めると、高濃度の塩が採取できる。
【0011】
海水中の状態も性質も違って見えるリチウムと塩を同室内で採取するのは、その過程において共通の装置が使用できるからである。
【発明の効果】
【0012】
塩は人が生命を維持していく上で欠かせない必須のものであり、リチウムは産業界においてますます需要が高まっていく傾向があるが、いずれも海水中から分離採取するのは大変な労力や時間が必要である。本発明はその両者を同一の装置を用いて、効率よく集積させようとするものである。従来より莫大なエネルギーを消費して採取していた塩とリチウムを、より少ないエネルギーで、短時間に効率的に分離採取できるのが本発明の最大の効果である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】 本発明の斜視図である。1は強制送風装置、2は海水噴出装置、3は磁力加圧装置、4は電磁石、5は結晶塩の採取装置である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[
図1]によって説明すると、強力な送風装置1によって、図面の右斜め上方に風が送られている。
【0015】
モーター等によって送られる海水は、2の噴出装置によって室内に散布されるが、その時に3の磁力加圧装置によって強制的に磁場が与えられ、常磁性のリチウム原子などが強磁性を帯びる。
【0016】
しぶき、あるいはミスト状などになった海水が室内に放出されると、まず強磁性を帯びたレアメタルのすべてが強力な電磁石で吸着される。
【0017】
磁力を有するレアメタルのすべてが混じっているので、その後の単離精錬作業を経てリチウムのみを取り出す。
【0018】
一方で勢いよく風圧を受けた海水は飛沫となって吹き飛ばされるが、塩の結晶を効率よく布やネット、その他の採取装置で受け止める。
【0019】
採取装置に付着した塩の結晶を払い落し、乾燥させれば自然塩ができる。
【手続補正書】
【提出日】2022-04-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海水からのリチウム採取法で、海水を磁気増強装置を通過させてリチウムの帯電を増大させた上で散布、強力な電磁石で吸着採取する。