(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022141553
(43)【公開日】2022-09-29
(54)【発明の名称】電磁石
(51)【国際特許分類】
H01F 7/06 20060101AFI20220921BHJP
【FI】
H01F7/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021076801
(22)【出願日】2021-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】521184379
【氏名又は名称】石川 文男
(72)【発明者】
【氏名】石川 文男
【テーマコード(参考)】
5E048
【Fターム(参考)】
5E048AA06
5E048AB10
(57)【要約】
【課題】電磁石の磁力より強い磁力を持つマグネット(ネオジューム磁石等)と これに反発する電磁石を有する装置において マグネットを電磁石に押し付けた時 反発力がなくなり 逆に電磁石の鉄芯に引き付けられたままになる事がある。
本発明は この様な事が 起こらない構造の電磁石とする事にある。
【解決手段】電磁石の鉄芯の端面を コイルの端面より少し内側に配置する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁石とマグネットを組み合わせて反発力を利用する構造において 電磁石の鉄芯の先端が コイルの端より1mm以上 内側にある電磁石構造。
【請求項2】
鉄芯の先端が コイルの内側にあり 鉄芯の先端が コイルの端より2mmから5mmの範囲内にある請求項1の電磁石。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は マグネットと電磁石間の反発力を利用する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置の文献として レーダー駆動用電磁アクチュエーターがある(特許文献1)。そこで使われている電磁石は
図7の様に ボビンにコイルを巻き ボビンの穴に鉄芯を入れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-7882
【特許文献2】
【非特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
電磁石の磁力より強い磁力を持つマグネット(ネオジューム磁石等)と これに反発する電磁石を有する装置において マグネットを電磁石に押し付けた時 反発力がなくなり 逆に電磁石の鉄芯に引き付けられたままになる事がある。
本発明は この様な事が 起こらない構造の電磁石を作る事にある。
【課題を解決するための手段】
電磁石の鉄芯の端面を コイルの端面より少し内側になる様に配置する。
【発明の効果】
マグネットが 電磁石の近くに来ても 電磁石に引き付けられる事は なくなる。
(同極性の磁石は反発する)と言う単純なルールで考えれるので 設計の自由度が増す。
【実施例001】
図1は 本発明の電磁石12の断面図であり、コイル4は 鍔3を付けた円筒状巻き枠2(7φx22)に ポリウレタン線(0.29φ)を35m巻いた。(コイルの抵抗値 9Ω)
鉄芯1は 軟鉄の棒(6φx22)の端に 鉄芯ストッパー6(20φ)を嵌合した。
20x40x0.7の鉄板(市販トランスの芯材)を コの字状に折り曲げ 中央に6φ穴を開けた板5を鉄芯1に挿入する事で 反発力を20%程大きくできた。
鉄芯1の端部は コイル巻き枠2の鍔3の表面より 3mm内側に収めた。
【002】
一般に ソレノイド状のコイルの磁力は コイルの端部より数ミリ内側より外側に向かって 順次小さくなる事が知られている。
その為 端部付近の鉄芯は弱い磁石になり 同極性のマグネットが近づくと 反発せずに ついには引き合う様になると考えている。
そこで 電磁石の最も強い部分を マグネットの正面にする必要があり 本発明の電磁石は この弱い電磁石部分の鉄芯を除去した事になる。
【003】
図2は 巻き枠の表面から鉄心1まで位置を変えた3種類の電磁石について 反発力を測定したデータである。(電磁石の断面と測定方法も添付)
又 電流が流れてない状態(電磁石ではなく、ただの鉄芯)での引力も 同時に測定した。
【004】
巻き枠の鍔の上面と 鉄芯表面間の距離が2mmの電磁石は 巻き枠の鍔面から3.4mm以内にマグネットが近づくと 引力が働き マグネットは電磁石に吸い寄せられてしまう。(電磁石には反発する方向に電流が流れているのに)
そこで この電磁石は マグネットを3.4mm以内に近付けない様に設計する必要がある。
【005】
鍔の上面と鉄芯表面間の距離が6mmの時電磁石は 巻き枠の鍔面にマグネットが接触した時 反発力は最大となる。(この反発力は上記2mm内側の時のピーク値の1.5倍になっている)
マグネットが電磁石に当たり反発を始めた後 10mm程の間 反発力を大きくしたいので鉄芯の位置は 巻き枠の鍔の上面より3~6mm内側が最適と考える。
【006】
図3は
図2と同様の測定方法で この電磁石12にかける電圧を2.5v、3.0v、4.5vとした時の 反発力の測定データである。
電圧が大いほど 反発力のカーブの形状は変わらないが 反発力は強くなっている。 電圧が4.5vでは マグネットがコイルの巻き枠の鍔に当たっても 反発力を保持している。
【007】
図2、
図3のデータより(カーブの形は コイルの電圧(電流)ではなく 鉄芯の位置が巻き枠のどこにあるかで決まる)事がわかった。
【008】
図4は 本発明の電磁石12を実装した しーそー(自称)装置のコントロールユニットであり
図5は コントロールユニットの回路図である。
このユニットに電源電圧がかかると コントロール基板のタイマーICが動作し 電磁石12に 0.5秒程電流を流す。電磁石12は マグネット15と同極性になり 反発して可動部7を押し上げる。
押し上げられた可動部7は 数秒の後 落ちて来て 可動部7の下部が 押圧検知器9のボタン16を押し 検知した信号が出る。この信号はタイマーICを動作させ 可動部を押し上げる。
以後 この動作を 電源電圧が切れるまで 繰り返す。
【009】
図6は この電磁石12を搭載した しーそー装置の外観である。
可動部7には しーそーの様に回転軸14があり マグネット15の反対側には 重りを付けている為 この重りを調整する事で 可動部7が降りて来るまでの時間を数秒と長くする。
この為 ボタン16にかかる押圧は 可動部7の重量と比べて 非常に小さい。
【010】
背板の右上には 人検知基板13がある。
このしーそーの装置に 人が近付くと 設定した時間(10秒程度)コントロール基板に電源を供給し 可動部7が 上下動をする。
この可動部7は 導光体で構成されており 上下動をしている間 LED11で発光する。
又 人検知基板16には メロディICも付加されており 可動部7が上下動をしている間 メロディを流す。
【011】
図7は 従来の電磁石の構造である。
マグネットと電磁石の反発力を利用する装置だが 電磁石の鉄芯1は 本発明とは異なり コイルの端面より 突き出ている。