(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022141572
(43)【公開日】2022-09-29
(54)【発明の名称】アンテナパターンを変更するように構成されたアンテナカバー
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/42 20060101AFI20220921BHJP
H01Q 15/10 20060101ALI20220921BHJP
H01Q 3/26 20060101ALI20220921BHJP
G01S 7/03 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
H01Q1/42
H01Q15/10
H01Q3/26 B
G01S7/03 246
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021147974
(22)【出願日】2021-09-10
(31)【優先権主張番号】110109227
(32)【優先日】2021-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】508205811
【氏名又は名称】明泰科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100084375
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 康夫
(74)【代理人】
【識別番号】100125221
【弁理士】
【氏名又は名称】水田 愼一
(74)【代理人】
【識別番号】100142077
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 真之
(72)【発明者】
【氏名】李奕儒
(72)【発明者】
【氏名】林丁丙
(72)【発明者】
【氏名】蔡念志
【テーマコード(参考)】
5J020
5J021
5J046
5J070
【Fターム(参考)】
5J020AA02
5J020BB03
5J020DA03
5J021BA03
5J021GA08
5J046AA02
5J046AA04
5J046RA05
5J070AF03
5J070AK07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】アンテナのアンテナパターンを変更するアンテナカバーを提供する。
【解決手段】アンテナのアンテナパターンを変更するために、アンテナからの放射を通過させる、アンテナと共に用いられるアンテナカバー10であって、第1表面及び第2表面を有するハウジング100と、ハウジングを貫通して第1表面102から第2表面104へと伸長する複数のスルーホール130と、を備える。アンテナカバーは、複数のスルーホール間の距離及び/又は複数のスルーホールの大きさを調整することで、第1アンテナパターンから第2アンテナパターンへとアンテナ放射を調整するように機能する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナからの放射を通過させ該アンテナのアンテナパターンを変更するように適応されたアンテナカバーであって、
第1表面及び第2表面を有するハウジングと、
前記ハウジングを貫通して前記第1表面から前記第2表面へと伸長する複数のスルーホールと、を備え、
前記複数のスルーホール間の距離及び/又は前記複数のスルーホールの大きさを調整することで、第1アンテナパターンから第2アンテナパターンへとアンテナ放射を調整するように機能することを特徴とするアンテナカバー。
【請求項2】
前記ハウジングの第1表面は、無孔領域及び有孔領域を含み、前記複数のスルーホールは、特定の配置パターン及び特定の大きさで前記有孔領域に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のアンテナカバー。
【請求項3】
前記有孔領域は、複数のスルーホールブロックカラムを含む第1有孔サブ領域を有し、前記複数のスルーホールブロックカラムは、互いに横並びに配置され、且つ前記無孔領域の一縁から前記ハウジングの一端まで広がっていることを特徴とする請求項2に記載のアンテナカバー。
【請求項4】
前記第1有孔サブ領域において1つの前記スルーホールブロックカラムでは、前記スルーホールは同じ大きさとなっており、前記第1有孔サブ領域において互いに異なる前記スルーホールブロックカラムでは、前記スルーホールは互いに異なる大きさとなっていることを特徴とする請求項3に記載のアンテナカバー。
【請求項5】
前記有孔領域は、前記無孔領域により前記第1有孔サブ領域から分離され複数のスルーホールブロックカラムを含む第2有孔サブ領域を有し、これら複数のスルーホールブロックカラムは、互いに横並びに配置され、且つ前記無孔領域の他縁から前記ハウジングの他端まで広がっていることを特徴とする請求項4に記載のアンテナカバー。
【請求項6】
前記第2有孔サブ領域において1つの前記スルーホールブロックカラムでは、前記スルーホールは同じ大きさとなっており、前記第2有孔サブ領域において互いに異なる前記スルーホールブロックカラムでは、前記スルーホールは互いに異なる大きさとなっていることを特徴とする請求項5に記載のアンテナカバー。
【請求項7】
前記第2有孔サブ領域において前記ハウジングの他端に近い方の前記スルーホールブロックカラムに設けられたスルーホールの大きさは、前記第2有孔サブ領域において前記無孔領域に近い方の前記スルーホールブロックカラムに設けられたスルーホールの大きさよりも大きいことを特徴とする請求項6に記載のアンテナカバー。
【請求項8】
前記第1有孔サブ領域において前記ハウジングの一端に近い方の前記スルーホールブロックカラムに設けられたスルーホールの大きさは、前記第1有孔サブ領域において前記無孔領域に近い方の前記スルーホールブロックカラムに設けられたスルーホールの大きさよりも大きいことを特徴とする請求項7に記載のアンテナカバー。
【請求項9】
前記第2有孔サブ領域において1つの前記スルーホールブロックカラムに設けられた複数のスルーホールは、線状に配列されていることを特徴とする請求項5に記載のアンテナカバー。
【請求項10】
前記第1有孔サブ領域において1つの前記スルーホールブロックカラムに設けられた複数のスルーホールは、線状に配列されていることを特徴とする請求項9に記載のアンテナカバー。
【請求項11】
前記ハウジングは、前記無孔領域に前記アンテナの中央が投影される中央投影位置を有し、前記第2有孔サブ領域における複数のスルーホールブロックカラムから前記中央投影位置への垂直距離は、それぞれ異なることを特徴とする請求項5に記載のアンテナカバー。
【請求項12】
前記第1有孔サブ領域における複数のスルーホールブロックカラムから前記中央投影位置への垂直距離は、それぞれ異なることを特徴とする請求項11に記載のアンテナカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナパターンの変更に関し、特に、アンテナのアンテナパターンを変更するように構成されたアンテナカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
運転安全性を考慮すると、障害物を検知するために車両の側面にレーダを設置することは必須である。車両側面への設置に適した小型及び中型サイズのレーダアンテナとして好まれるものの一つは、特別に配設された昔ながらのパッチアンテナから成るブロックアレイアンテナである。このようなブロックアレイアンテナの検知レンジを任意に調整することは困難なため、特に、ブロックアレイアンテナが地面に近い車両の下方位置に設置された場合やブロックアレイアンテナが比較的広い検知範囲を持つ場合には、信号受信体によって受信されたレーダ信号は、地面又は車両自身により反射された信号を含み得る。その結果、信号受信体により受信されたエネルギは、不適切に増大する。
【0003】
比較的大きい検知範囲により引き起こされる課題を解決するために、従来技術は、生じる放射パターンを集約させるために多くの付加的なパッチアンテナを用いている。しかしながら、このような付加的なアンテナは、付加的な資源を消費すると共に付加的なスペースを占有し、不利にレーダを大きくしたり設計を複雑にする。
【発明の概要】
【0004】
上述したような課題を解決するために、本発明は、アンテナパターンを調整するアンテナカバーを提供する。このアンテナカバーの目的の一つは、アンテナカバーを通過した後に、アンテナの放射パターンを変化させることである。このようなアンテナカバーを備えたアンテナを用いることで、アンテナパターンを調整するための付加的なパッチアンテナが不要となる又はその数を減らすことができる。
【0005】
一態様では、本発明は、アンテナのアンテナパターンを調整するためのアンテナカバーを提供する。このようなアンテナカバーは、アンテナカバーを通過するアンテナ放射パターンを第1アンテナパターンから第2アンテナパターンへと変化させつつ、アンテナを保護する。アンテナカバーは、第1表面及び第2表面を有するハウジングと、第1表面から第2表面へと伸長してハウジングを貫通した複数のスルーホールと、を備える。複数のスルーホール間の距離を調整する及び/又は複数のスルーホールの大きさを調整することで、アンテナカバーは、第1アンテナパターンから第2アンテナパターンからへとアンテナ放射を調整するのに機能する。
【0006】
本発明は、以下の詳細な説明及び添付の図面を参照することで、当業者には容易に明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施形態に係るアンテナカバーの概略図。
【0008】
【
図2A】本発明の一実施形態に係るアンテナカバーの上面図。
【0009】
【
図2B】
図1に示したアンテナカバーのハウジングにおける第1有孔サブエリアを示す図。
【0010】
【
図2C】
図1に示したアンテナカバーのハウジングにおける第2有孔サブエリアを示す図。
【0011】
【
図3A】アンテナカバーを備えていないアンテナのアンテナパターンを示す図。
【0012】
【
図3B】本発明の一実施形態に係るアンテナカバーを備えたアンテナのアンテナパターンを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、以下の実施形態を参照してより具体的に記載される。本発明の好ましい実施形態に関する以下の記載は、単に図示及び記載の目的のために提示されるものであることに留意すべきである。開示した形態そのものに包括又は限定されるものではない。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係るアンテナカバー及びそれによりカバーされるアンテナの相対位置を示す概略図である。図示するように、アンテナカバー10は、アンテナ15から放射された電磁波の殆どがアンテナカバー10を通過するように、アンテナ15の放射側をカバーしている。アンテナカバー10のハウジング100は、例えば、PBT(ポリブチレンテレフタレート)のような、誘電率が1より大きい材料から成る。更に、アンテナカバー10のハウジング100には、複数のスルーホール130が形成されている。スルーホール130は、ハウジング100を貫通し、ハウジング100の第1表面102からその反対側でアンテナ15に面するハウジング100の第2表面104へと伸長している。
【0015】
電磁波の原理に基づけば、異なる誘電率は電場の放射方向に影響を与える。そのため、アンテナ15から放射された電磁波により形成されたアンテナパターンを所定位置に集約させるには、アンテナカバー10の集約領域に近いアンテナカバー10の特定位置が大きな誘電率を有するようにアンテナカバー10を設計することが望ましい。アンテナカバー10の他領域の誘電率は、集約領域からの距離が大きくなるほど小さくなる。スルーホール130間のギャップ又はスルーホール130の大きさを調整することで、本発明は、実用的要求に従ってアンテナ15から放射されてアンテナカバー10を通過した放射アンテナパターンを変更することができる。
【0016】
図2Aは、本発明の一実施形態に係るアンテナカバーの上面図である。図示するように、アンテナカバーのハウジング200は中央領域250を有し、中央領域250は、アンテナの中央が投影される中央投影位置2502を有する。元々のアンテナパターンよりも調整したアンテナパターンを中央領域250に集約させるため、すなわち、アンテナの中央投影位置を中央投影位置2502により近づけるため、ハウジング200の中央領域250は、ハウジング200のすべての他の領域よりも大きな誘電率を有するように設計されている。一方、ハウジング200を貫通するスルーホールの大きさ及び位置は、誘電率分布がハウジング200に亘ってハウジング200の端部に向かうにつれて減少するよう特別に設計されている。
【0017】
アンテナカバー20を通過した後にアンテナパターンをアンテナ中央線近傍に集約させるために、ハウジング200の表面は、中央領域250を囲む無孔領域210と有孔領域220とを含む複数領域へと仮想的に分割される。無孔領域210におけるハウジング200の誘電率がアンテナカバー20全体の中で最も大きく、原材料の誘電率と実質的に同じになるように無孔領域210にはスルーホールが形成されない。
【0018】
無孔領域210に隣接して有孔領域220が配置され、有孔領域220は、無孔領域210の両側にそれぞれ配置され無孔領域210により分断された第1有孔サブ領域222と第2有孔サブ領域224とを含む。第1有孔サブ領域222は、スルーホールブロックカラム2220、2222、2224、2226を含み、第2有孔サブ領域224は、スルーホールブロックカラム2240、2242、2244、2246を含む。これらスルーホールブロックカラム2220-2226、2240-2246は、それぞれ第1方向、すなわち、Y軸に沿って伸長し、スルーホールブロックカラム2220-2226は、第1有孔サブ領域222において第2方向、すなわち、X軸に沿って並び、スルーホールブロックカラム2240-2246は、第2有孔サブ領域224において第2方向、すなわち、X軸に沿って並んでいる。
【0019】
空気は、真空に近い非常に小さな誘電率を持つ媒体だと理解されている。そこで、本発明では、そのような特性がアンテナカバーのハウジングにおける誘電率分布を調整するのに利用される。ハウジング200は、スルーホールブロックカラム2220、2222、2224、2226でスルーホールを有するように形成され、各々のスルーホールブロックカラムにおける平均誘電率は、ハウジング200のソリッドボディ及びそのスルーホールブロックカラムにおけるスルーホール中の空気により決定される。例えば、スルーホールブロック2220の平均誘電率は、スルーホールブロック2220におけるハウジング200のボディ及びスルーホール2600中の空気により決定され、スルーホールブロック2222の平均誘電率は、スルーホールブロック2222におけるハウジング200のボディ及びスルーホール2602中の空気により決定され、スルーホールブロック2224の平均誘電率は、スルーホールブロック2224におけるハウジング200のボディ及びスルーホール2604中の空気により決定され、スルーホールブロック2226の平均誘電率は、スルーホールブロック2226におけるハウジング200のボディ及びスルーホール2606中の空気により決定される。上述のように、ハウジング200における誘電率は、ハウジング200の端部に向かうにつれて減少することが本発明では好ましい。そこで、無孔領域210の平均誘電率を最も高くして、スルーホールブロック2226の平均誘電率を無孔領域210のものより低くし、スルーホールブロック2224の平均誘電率をスルーホールブロック2226のものより低くし、スルーホールブロック2222の平均誘電率をスルーホールブロック2224のものより低くし、スルーホールブロック2220の平均誘電率をスルーホールブロック2222のものより低くする。これにより、電磁波のより良い集約効果を達成することができる。
【0020】
実用的要求に基づいて、各々のスルーホールブロックカラム2220-2226の平均誘電率をどの程度にするかが最初に決定され、次いで、各々のスルーホールブロックカラム2220-2226がどの程度の領域を占有するかが電磁波の波長及び焦点距離に従って決定される。最終的に、占有領域及び平均誘電率に従って、個々のスルーホールブロックカラム2220-2226においてどのようにスルーホールを形成するか、例えば、個々のスルーホールブロックカラム2220-2226におけるスルーホールの領域比が決定される。
【0021】
図2Bに示すようにハウジング200の左側部分、すなわち、第1有孔サブ領域222では、スルーホールブロックカラム2226の右側境界とアンテナの中央投影位置2502との間の垂直距離がR1で、スルーホールブロックカラム2224の右側境界とアンテナの中央投影位置2502との間の垂直距離がR2で、スルーホールブロックカラム2222の右側境界とアンテナの中央投影位置2502との間の垂直距離がR3で、スルーホールブロックカラム2220の右側境界とアンテナの中央投影位置2502との間の垂直距離がR4となっている。そして、アンテナの中央投影位置2502とハウジング200の左側境界との間の垂直距離は、R5となっている。各々のスルーホールブロックカラム2220-2226は、それぞれ物理的部分に対するスルーホールの最適体積比を独自に有し、それは必要とされる平均誘電率に従って決定される。スルーホールブロックカラム2220-2226のすべての領域においてハウジング200の厚みが均一であると仮定すると、体積比は、スルーホールブロックカラム2220-2226の領域比により表され得る。スルーホールブロックカラムの領域比は、スルーホールブロックカラムにおける物理的部分の全表面領域に対するスルーホールの全開口領域として定義される。更に、1つのスルーホールブロックカラムにおいてスルーホールが同じ大きさで均等に分布している場合には、スルーホールブロックカラムにおける体積比は、物理的部分の大きさに対するスルーホールの大きさの比により表される。
【0022】
同様に、
図2Cに示すようにハウジング200の右側部分、すなわち、第2有孔サブ領域224では、スルーホールブロックカラム2246の左側境界とアンテナの中央投影位置2502との間の垂直距離がR1で、スルーホールブロックカラム2244の左側境界とアンテナの中央投影位置2502との間の垂直距離がR2で、スルーホールブロックカラム2242の左側境界とアンテナの中央投影位置2502との間の垂直距離がR3で、スルーホールブロックカラム2240の左側境界とアンテナの中央投影位置2502との間の垂直距離がR4となっている。そして、アンテナの中央投影位置2502とハウジング200の右側境界との間の垂直距離は、R5となっている。第2有孔サブ領域224に形成されるスルーホールブロックカラム及び個々のスルーホールの大きさ並びに互いに隣接するスルーホール間の距離は、第1有孔サブ領域222と対称に形成され得る。
【0023】
本実施形態では、本発明における中央投影位置2502からの距離に伴う誘電率の減少は、スルーホール大きさの増加により達成される。或いは、スルーホール間の間隔を減少させる又は中央からハウジング200の端部に向かうにつれてスルーホールの数を増加させることにより誘電率を調整することも可能である。当然ながら、大きさ、間隔及び数のような上述のパラメータ又は他の要素は、アンテナカバーを設計する際に組み合わせられ得る。誘電率が大きく減少すれば、それだけ電磁波の集約効果が高くなることは、当業者により理解される。従って、本発明によれば、スルーホールブロックカラム及びスルーホールを適切に配置することで、集約効果を最適化することができる。
【0024】
例えば、
図2Bに示した第1有孔サブ領域222の実施形態では、スルーホールブロックカラム2220におけるスルーホール2600の大きさは、スルーホールブロックカラム2222におけるスルーホール2602の大きさよりも大きい上に、スルーホールブロックカラム2220において互いに隣接する2つのスルーホール2600間の距離は、スルーホールブロックカラム2222において互いに隣接する2つのスルーホール2602間の距離よりも短い。そのため、スルーホールブロックカラム2220とスルーホールブロックカラム2222との間の平均誘電率の差は、より顕著になる。同様に、より高い集約効果を達成するために、スルーホールブロックカラム2222におけるスルーホール2602の大きさは、スルーホールブロックカラム2224におけるスルーホール2604の大きさよりも大きい上に、スルーホールブロックカラム2222において互いに隣接する2つのスルーホール2602間の距離は、スルーホールブロックカラム2224において互いに隣接する2つのスルーホール2604間の距離よりも短いことが望ましく、スルーホールブロックカラム2224におけるスルーホール2604の大きさは、スルーホールブロックカラム2226におけるスルーホール2606の大きさよりも大きい上に、スルーホールブロックカラム2224において互いに隣接する2つのスルーホール2604間の距離は、スルーホールブロックカラム2226において互いに隣接する2つのスルーホール2606間の距離よりも短いことが望ましい。同様の議論は、
図2Cに示した第2有孔サブ領域224の実施形態にも適用することができる。つまり、スルーホールブロックカラム2240におけるスルーホール2620の大きさは、スルーホールブロックカラム2242におけるスルーホール2622の大きさよりも大きい上に、スルーホールブロックカラム2240において互いに隣接する2つのスルーホール2620間の距離は、スルーホールブロックカラム2242において互いに隣接する2つのスルーホール2622間の距離よりも短く、スルーホールブロックカラム2242におけるスルーホール2622の大きさは、スルーホールブロックカラム2244におけるスルーホール2624の大きさよりも大きい上に、スルーホールブロックカラム2242において互いに隣接する2つのスルーホール2622間の距離は、スルーホールブロックカラム2244において互いに隣接する2つのスルーホール2624間の距離よりも短く、そして、スルーホールブロックカラム2244におけるスルーホール2624の大きさは、スルーホールブロックカラム2246におけるスルーホール2626の大きさよりも大きい上に、スルーホールブロックカラム2244において互いに隣接する2つのスルーホール2624間の距離は、スルーホールブロックカラム2246において互いに隣接する2つのスルーホール2626間の距離よりも短い。
【0025】
更に、可能な限り一貫してアンテナパターンに対するスルーホールブロックカラムの効果を維持するために、同じスルーホールブロックカラムにおけるすべてのスルーホールは、同じサイズで設けられる共に均等に配置される。例として第1有孔サブ領域222のスルーホールブロックカラム2220を挙げると、同じ大きさの11個のスルーホール2600が均等に形成され、11個のスルーホール2600各々の中心点は、同じ直線上に位置する。本実施形態の他のスルーホールブロックカラムも、同様にして構成される。当然ながら、例えば、一般的な車両側方レーダのようにアンテナパターンが決定的ではない幾つかのケースでは、スルーホールは不均等な様式で構成されてもよい。更に、異なるスルーホールブロックカラム2222-2226におけるスルーホールは、それぞれ異なる様式で構成されてもよい。例えば、幾つかは同じ大きさで構成され、幾つかは均等配置で構成され、幾つかは同じ大きさや均等配置を特別に考慮せずに構成される。同様の議論は、第2有孔サブ領域224にも適用することができる。
【0026】
次に、
図3A、3Bを参照する。
図3Aは、本発明のアンテナカバーを備えていないアンテナのアンテナパターンを示す図であり、
図3Bは、例えば、
図2A、2B、2Cに示した本発明に係るアンテナカバーで覆うことによる、
図3Aに示したアンテナのアンテナパターンの変化を示す図である。表1は、第1有孔サブ領域222のスルーホールブロックカラム2222-2226における物理的部分及びスルーホールの大きさを例示しており、同様の議論は、第2有孔サブ領域224にも適用することができる。表1でレイヤー1は、アンテナの中央投影位置2502とスルーホールブロックカラム2226の右側境界との間の領域を指し、レイヤー2は、スルーホールブロックカラム2226の領域を指し、レイヤー3は、スルーホールブロックカラム2224の領域を指し、レイヤー4は、スルーホールブロックカラム2222の領域を指し、レイヤー5は、スルーホールブロックカラム2220の領域を指す。更に、Riは、各レイヤーにおける上述の垂直距離を指し、Siは、各レイヤーにおける互いに隣接したスルーホールの中心間距離を指し、diは、各レイヤーにおけるスルーホールの半径を指し、i=1-5である。
【表1】
【0027】
本実施形態では、レイヤーがアンテナカバーの左端又は右端に近づく、すなわち、アンテナカバーの中央投影位置からのレイヤー垂直距離(Ri)が大きくなると、レイヤー中で互いに隣接したスルーホール間の距離(Si)が小さくなる一方、各々のスルーホールの大きさ(di)は大きくなることが表1から読み取れる。その結果生じるアンテナカバーでは、レイヤーがアンテナカバーの左端又は右端に近づくと、スルーホールが占有するスペースが急激に増加する。アンテナのアンテナパターンに対する本構成の効果は、
図3Aと
図3Bとを比較することで認識することができる。
【0028】
図3A、3Bに示したアンテナパターンより、アンテナカバーが無い場合には、アンテナパターンの100度方位点で最大放射が測定される。最大放射は-37.3dbで、半電波強度ビーム幅(HPBW)は、約72度から約138度の間の略66度幅である。一方、本発明に係るアンテナカバーが有る場合にも、アンテナパターンの100度方位点で最大放射が測定される。しかしながら、最大放射は-35.6dbに増加し、半電波強度ビーム幅(HPBW)は、約92.5度から約107.5度の間の略15度幅に集約される。このことから、アンテナカバーがアンテナの集約効果を実際に効率良く増強可能なことは明確である。
【0029】
要約すると、本発明により設計されたアンテナカバーは、ハウジングの異なる領域における平均誘電率を調整するため、上で記載及び例示した様式でスルーホールを適切に形成及び配置してアンテナパターンを変更することができる。そのため、従来技術で用いられているような更なるアンテナが不要となる。そして、従来技術の欠点を克服するため、本発明に従って設計された構成を有するアンテナカバーを用いることでアンテナパターンを変更することができる。
【0030】
本発明は、最も実用的且つ好ましい実施形態だと現時点で考えられるものとして記載されているが、開示された実施形態に限定されないことを理解すべきである。また、本発明は、広義に理解される添付クレームの精神及び展望の範囲に含まれる種々の変更及び同様の構成も包含するものである。