(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022141574
(43)【公開日】2022-09-29
(54)【発明の名称】建物の換気構造
(51)【国際特許分類】
E04B 1/70 20060101AFI20220921BHJP
F24F 7/00 20210101ALI20220921BHJP
F24F 7/10 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
E04B1/70 C
E04B1/70 E
F24F7/00 C
F24F7/10 A
F24F7/10 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021193663
(22)【出願日】2021-11-29
(31)【優先権主張番号】P 2021041121
(32)【優先日】2021-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100161230
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雅博
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀年
(72)【発明者】
【氏名】笹川 拓也
(72)【発明者】
【氏名】有富 由香
(72)【発明者】
【氏名】藤原 友英
(72)【発明者】
【氏名】今山 祐一
【テーマコード(参考)】
2E001
3L056
【Fターム(参考)】
2E001DB02
2E001DD01
2E001FA12
2E001FA17
2E001FA21
2E001GA24
2E001HD11
2E001NA07
2E001NB01
2E001NC05
2E001ND01
2E001ND02
2E001ND21
3L056BA01
3L056BA05
3L056BB04
(57)【要約】
【課題】居住空間の空気を床下空間等の裏空間に供給しながら裏空間の換気を行う建物の換気構造において、電気的な制御を必要とせず、簡素な構成で、裏空間から居住空間への空気の流入を抑制する建物の換気構造を提供する。
【解決手段】
LDK42の床下の空間である床下空間66と、LDK42と床下空間66とを連通する連通路71と、床下空間66と屋外とを連通する床下換気口67と、LDK42から連通路71を通じて床下空間66に空気が流れ、その空気が床下空間66から床下換気口67を通じて屋外に排出されるようにする床下換気扇68と、傾動により連通路71を開閉するシート状のフラップ114と、を備えている。フラップ114は、自重により閉位置に向けて常時付勢されているとともに、LDK42から連通路71を通じて床下空間66に流れる空気により前記付勢されている側とは反対側に押されて開位置に保持されるようになっている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
居住空間の床下又は屋根裏の空間である裏空間と、
前記居住空間と前記裏空間とを連通する連通路と、
前記裏空間と屋外とを連通する換気通路と、
前記居住空間から前記連通路を通じて前記裏空間に空気が流れ、その空気が前記裏空間から前記換気通路を通じて屋外に排出されるように、空気の流れを生じさせる気流発生手段と、
を備える建物の換気構造であって、
前記連通路を閉鎖する閉位置と前記連通路を開放する開位置との間で傾動可能に設けられたシート状の開閉部材を備え、
前記開閉部材は、前記閉位置に向けて常時付勢されているとともに、前記居住空間から前記連通路を通じて前記裏空間に流れる空気により前記付勢されている側とは反対側に押されて前記開位置に保持されるようになっている、建物の換気構造。
【請求項2】
前記開閉部材は、当該開閉部材に作用する重力により前記閉位置に向けて付勢されていることを特徴とする、請求項1に記載の建物の換気構造。
【請求項3】
前記裏空間は、前記居住空間の床部の下方に形成された床下空間であり、
前記床部には床開口部が設けられ、その床開口部を含んで前記居住空間と前記床下空間とを連通する前記連通路が構成され、
前記床下空間は、周囲が前記建物の基礎により囲まれており、
前記基礎には、前記換気通路としての換気口が設けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の建物の換気構造。
【請求項4】
前記床部には、前記床開口部を通じて物が落下するのを防止する落下防止部が設けられ、
前記落下防止部は、前記床開口部の周縁部から下方に延びる側板部と、前記側板部の下端部により囲まれる内側に設けられた底板部とを有する箱状に形成され、
前記落下防止部には、前記側板部と前記底板部とにより囲まれた内側空間と、その内側空間と前記床下空間とを連通する通気口とが設けられ、
前記床開口部と前記内側空間と前記通気口とを含んで前記連通路が構成されており、
前記開閉部材は、前記落下防止部に取り付けられ、前記通気口を閉鎖する閉位置と前記通気口を開放する開位置との間で傾動可能とされていることを特徴とする、請求項3に記載の建物の換気構造。
【請求項5】
前記通気口は前記側板部に設けられ、
前記開閉部材は、前記側板部の外面側に設けられ、上端部が前記側板部に吊り部を介して吊り下げ支持されていることで、自重により前記閉位置に付勢されており、
前記開閉部材は、前記通気口を通じて前記床下空間に流れる空気により前記側板部から離れる側に押されて前記開位置に保持されることを特徴とする、請求項4に記載の建物の換気構造。
【請求項6】
前記吊り部は、環状のリング部材であり、
前記側板部には、前記リング部材を挿通可能であるとともに上下に並んで配置された一対の開口部が形成され、
前記リング部材は、前記各開口部に挿通されることにより前記側板部に取り付けられており、
前記開閉部材の上端部には、前記リング部材を挿通可能な孔部が形成され、
前記開閉部材は、前記孔部に前記リング部材が挿通されることにより前記リング部材に吊り下げ支持されていることを特徴とする、請求項5に記載の建物の換気構造。
【請求項7】
前記一対の開口部は、横方向に延びており、
前記側板部には、上下方向に延び前記一対の開口部と連続するスリット部が形成され、
前記スリット部の幅は前記リング部材の幅よりも大きいことを特徴とする、請求項6に記載の建物の換気構造。
【請求項8】
前記開閉部材は、可撓性を有して形成され、
前記リング部材は、横方向に複数配置され、
前記側板部には、前記リング部材ごとに前記スリット部が形成され、
前記複数のリング部材のうち、両端に配置された2つのリング部材に対応する各前記スリット部は第1スリット部及び第2スリット部であり、
前記第1スリット部と前記第2スリット部との間隔は、前記2つのリング部材の間隔よりも小さくなっており、
前記第1スリット部に連続する前記一対の開口部は、前記第1スリット部よりも前記第2スリット部側とは反対側に延びており、
前記第2スリット部に連続する前記一対の開口部は、前記第2スリット部よりも前記第1スリット部側とは反対側に延びていることを特徴とする、請求項7に記載の建物の換気構造。
【請求項9】
前記開口部は、前記スリット部としての縦スリット部から横方向に延びる横スリット部であり、
前記横スリット部において前記縦スリット部側とは反対側の端部はスリット端部であり、
前記スリット端部の前記縦スリット部側に隣接した位置に、前記スリット端部の下端よりも上方に立ち上がった立ち上がり部が設けられていることを特徴とする、請求項7又は8に記載の建物の換気構造。
【請求項10】
前記一対の開口部は、前記通気口よりも上方に配置されていることを特徴とする、請求項6乃至9のいずれか一項に記載の建物の換気構造。
【請求項11】
前記開閉部材が設けられる前記側板部には、前記開閉部材を挟んだ左右両側にそれぞれ外面側に突出する凸部が設けられ、
前記凸部は、前記リング部材と同じ高さ位置において突出していることを特徴とする、請求項6乃至10のいずれか一項に記載の建物の換気構造。
【請求項12】
前記落下防止部は、前記開閉部材が設けられる前記側板部の上辺部から側方に張り出した張出部を有し、
前記張出部が前記床部の上に載置されることにより前記落下防止部が支持されており、
前記張出部は、前記上辺部の全域に亘って設けられていることを特徴とする、請求項6乃至11のいずれか一項に記載の建物の換気構造。
【請求項13】
前記通気口は、横方向に延びる横長状とされており、
前記開閉部材は、前記通気口の長手方向の全域に亘って延びる横長状とされていることを特徴とする、請求項5乃至12のいずれか一項に記載の建物の換気構造。
【請求項14】
前記通気口の長手方向の中間部には、前記閉位置に位置する前記開閉部材と重なる重なり部が設けられていることを特徴とする、請求項13に記載の建物の換気構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の換気構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の住宅においては、住宅の快適性やエネルギー効率を向上するために、高断熱性が求められるようになってきている。そして、高断熱性を実現するために、床に断熱材を施工する床断熱工法に代え、基礎に発泡性樹脂等からなる断熱材を施工する基礎断熱工法の採用が活発化している。
【0003】
基礎断熱が施されている建物では、基礎によって囲まれた床下空間が閉ざされているため、夏場に床下空間に熱や湿気が溜まりやすい。そこで、かかる建物には、一般に床下空間の換気を行う換気構造が設けられている。例えば特許文献1には、かかる換気構造として、屋内空間部の床部に屋内空間部から床下空間への空気の供給を可能とする通気口を設け、基礎に床下空間の空気を屋外に排出する排気口を設けたものが開示されている。この換気構造では、排気口に換気扇が設けられており、夏場においては、その換気扇を作動させることにより、屋内空間部の空気を通気口を通じて床下空間に供給しながら、床下空間の空気を排気口を通じて屋外に排出することが可能となっている。
【0004】
上述した特許文献1の換気構造では、床下空間の換気を行う必要のない冬場においては、換気扇を停止させることになる。ここで、かかる換気構造では、通気口が開放されているため、冬場に床下空間の冷えた空気が通気口を通じて屋内空間部に流れ込むおそれがある。その場合、ユーザの快適性が損われるおそれがある。特に、キッチンの換気扇等、屋内空間部の換気を行う換気扇が作動している場合には、屋内空間部の気圧が床下空間の気圧よりも小さくなり、床下空間から屋内空間部への冷気の流入が生じ易くなると考えられる。
【0005】
そこで、特許文献1の換気構造では、上記の問題に対する対策として、通気口を開閉可能なシャッタを設けている。シャッタは電気的に開閉を制御され、換気の必要がない冬場においては、シャッタを閉状態にしておくことで床下空間から屋内空間部への冷気の流入を防止できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、シャッタを電気的に制御することにより通気口の開閉を行う上記特許文献1の換気構造では、その構成が大掛かりなものになるおそれがある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、居住空間の空気を床下空間等の裏空間に供給しながら当該裏空間の換気を行う建物の換気構造において、電気的な制御を必要とせず、簡素な構成で、裏空間から居住空間への空気の流入を抑制することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決すべく、第1の発明の建物の換気構造は、居住空間の床下又は屋根裏の空間である裏空間と、前記居住空間と前記裏空間とを連通する連通路と、前記裏空間と屋外とを連通する換気通路と、前記居住空間から前記連通路を通じて前記裏空間に空気が流れ、その空気が前記裏空間から前記換気通路を通じて屋外に排出されるように、空気の流れを生じさせる気流発生手段と、を備える建物の換気構造であって、前記連通路を閉鎖する閉位置と前記連通路を開放する開位置との間で傾動可能に設けられたシート状の開閉部材を備え、前記開閉部材は、前記閉位置に向けて常時付勢されているとともに、前記居住空間から前記連通路を通じて前記裏空間に流れる空気により前記付勢されている側とは反対側に押されて前記開位置に保持されるようになっていることを特徴とする。
【0010】
第1の発明によれば、気流発生手段による裏空間の換気が行われている場合には、連通路を通じて居住空間から裏空間に流れる空気により開閉部材が押されて開位置に保持される。これにより、夏場等において裏空間の換気を継続して行うことができる。
【0011】
また、気流発生手段による裏空間の換気が行われていない場合、つまり居住空間から連通路を通じて裏空間へ空気が流れていない場合には、開閉部材が閉位置に付勢され当該閉位置に保持される。これにより、裏空間の換気を行う必要がない冬場等において、裏空間の空気が連通路を通じて居住空間に流れ込むのを抑制することができる。また、この場合、電気的な制御を行うことなく、重力等の付勢力により開閉部材が閉位置に保持されるため、簡素な構成で裏空間の空気が居住空間に流れ込むのを抑制することができる。
【0012】
第2の発明の建物の換気構造は、第1の発明において、前記開閉部材は、当該開閉部材に作用する重力により前記閉位置に向けて付勢されていることを特徴とする。
【0013】
第2の発明によれば、開閉部材を閉位置に付勢するばね等の付勢部材を設ける必要がない。そのため、より一層簡素な構成により上記第1の発明の効果を得ることができる。
【0014】
第3の発明の建物の換気構造は、第1又は第2の発明において、前記裏空間は、前記居住空間の床部の下方に形成された床下空間であり、前記床部には床開口部が設けられ、その床開口部を含んで前記居住空間と前記床下空間とを連通する前記連通路が構成され、前記床下空間は、周囲が前記建物の基礎により囲まれており、前記基礎には、前記換気通路としての換気口が設けられていることを特徴とする。
【0015】
第3の発明によれば、居住空間と床下空間とを連通する連通路を介して、居住空間から床下空間に空気を取り込みながら、基礎に設けられた換気口を通じて床下空間の空気を屋外に排出するようになっている。つまり、第3の発明では、床下空間の換気を行う構成となっている。また、かかる床下換気を行う構成にあって、開閉部材が設けられているため、床下換気が行われない冬場においては開閉部材により連通路が閉鎖される、これにより、冬場に床下空間から居住空間に冷気が流れ込むのを抑制することができ、その結果、ユーザの快適性が損なわれるのを抑制することができる。
【0016】
第4の発明の建物の換気構造は、第3の発明において、前記床部には、前記床開口部を通じて物が落下するのを防止する落下防止部が設けられ、前記落下防止部は、前記床開口部の周縁部から下方に延びる側板部と、前記側板部の下端部により囲まれる内側に設けられた底板部とを有する箱状に形成され、前記落下防止部には、前記側板部と前記底板部とにより囲まれた内側空間と、その内側空間と前記床下空間とを連通する通気口とが設けられ、前記床開口部と前記内側空間と前記通気口とを含んで前記連通路が構成されており、前記開閉部材は、前記落下防止部に取り付けられ、前記通気口を閉鎖する閉位置と前記通気口を開放する開位置との間で傾動可能とされていることを特徴とする。
【0017】
第4の発明によれば、床部に、床開口部を通じて物が落下するのを防止する落下防止部が設けられている。落下防止部は、側板部と底板部とを有する上方開口の箱状に形成されている。また、落下防止部は、内側空間と、内側空間と床下空間を連通する通気口とを有しており、床開口部と内側空間と通気口とを含んで連通路が構成されている。これにより、落下防止部により物の落下防止を図りながら、落下防止部の内部を通じて居住空間から床下空間への空気の供給が可能となっている。
【0018】
また、落下防止部には、通気口を開閉する開閉部材が取り付けられている。これにより、落下防止部を開閉部材を取り付けるための取付部材として利用することができる。そのため、落下防止部の有効利用を図ることができる。
【0019】
第5の発明の建物の換気構造は、第4の発明において、前記通気口は前記側板部に設けられ、前記開閉部材は、前記側板部の外面側に設けられ、上端部が前記側板部に吊り部を介して吊り下げ支持されていることで、自重により前記閉位置に付勢されており、前記開閉部材は、前記通気口を通じて前記床下空間に流れる空気により前記側板部から離れる側に押されて前記開位置に保持されることを特徴とする。
【0020】
第5の発明によれば、開閉部材が上端部において吊り下げ支持されているため、床下空間の換気が行われない場合に、開閉部材を自重により閉位置に保持させ易くすることができる。これにより、冬場に連通路を確実に閉鎖することが可能となる。
【0021】
第6の発明の建物の換気構造は、第5の発明において、前記吊り部は、環状のリング部材であり、前記側板部には、前記リング部材を挿通可能であるとともに上下に並んで配置された一対の開口部が形成され、前記リング部材は、前記各開口部に挿通されることにより前記側板部に取り付けられており、前記開閉部材の上端部には、前記リング部材を挿通可能な孔部が形成され、前記開閉部材は、前記孔部に前記リング部材が挿通されることにより前記リング部材に吊り下げ支持されていることを特徴とする。
【0022】
第6の発明によれば、落下防止部の側板部にリング部材を縦向きの状態で取り付けることができる。そして、そのリング部材に開閉部材を吊り下げることができる。この場合、リング部材を用いて開閉部材の傾動を円滑に行わせることができる。
【0023】
第7の発明の建物の換気構造は、第6の発明において、前記一対の開口部は、横方向に延びており、前記側板部には、上下方向に延び前記一対の開口部と連続するスリット部が形成され、前記スリット部の幅は前記リング部材の幅よりも大きいことを特徴とする。
【0024】
第7の発明によれば、リング部材を縦向きの状態でスリット部に挿し入れ、その後左右方向にスライドさせることにより、リング部材を各開口部に挿通させることができる。この場合、リング部材として、切れ目のない無端状のものを用いることができる。そのため、開閉部材の傾動をより確実に円滑に行わせることができる。
【0025】
第8の発明の建物の換気構造は、第7の発明において、前記開閉部材は、可撓性を有して形成され、前記リング部材は、横方向に複数配置され、前記側板部には、前記リング部材ごとに前記スリット部が形成され、前記複数のリング部材のうち、両端に配置された2つのリング部材に対応する各前記スリット部は第1スリット部及び第2スリット部であり、前記第1スリット部と前記第2スリット部との間隔は、前記2つのリング部材の間隔よりも小さくなっており、前記第1スリット部に連続する前記一対の開口部は、前記第1スリット部よりも前記第2スリット部側とは反対側に延びており、前記第2スリット部に連続する前記一対の開口部は、前記第2スリット部よりも前記第1スリット部側とは反対側に延びていることを特徴とする。
【0026】
開閉部材を側板部に取り付ける際には、予め複数のリング部材が取り付けられた開閉部材を側板部に取り付けることが考えられる。その点、第8の発明によれば、このように開閉部材を側板部に取り付ける際、開閉部材を左右に撓ませることにより両端の2つのリング部材の間隔を小さくすることで、各リング部材を第1スリット部及び第2スリット部にそれぞれ挿し入れることが可能となる。そして、その後、開閉部材の撓みを解除することで、2つのリング部材をそれぞれ一対の開口部に入り込ませた状態とすることができる。これにより、リング部材付きの開閉部材を側板部に比較的容易に取り付けることが可能となる。
【0027】
第9の発明の建物の換気構造は、第7又は第8の発明において、前記開口部は、前記スリット部としての縦スリット部から横方向に延びる横スリット部であり、前記横スリット部において前記縦スリット部側とは反対側の端部はスリット端部であり、前記スリット端部の前記縦スリット部側に隣接した位置に、前記スリット端部の下端よりも上方に立ち上がった立ち上がり部が設けられていることを特徴とする。
【0028】
第9の発明によれば、リング部材をスリット端部に挿通させることにより、リング部材が縦スリット部側に変位するのを抑制することができる。これにより、リング部材が縦スリット部を通じて脱落するのを抑制することができる。
【0029】
第10の発明の建物の換気構造は、第6乃至第9のいずれかの発明において、前記一対の開口部は、前記通気口よりも上方に配置されていることを特徴とする。
【0030】
上述した第6の発明では、開閉部材の上端が、落下防止部の側板部に形成される一対の開口部の間に位置する。第10の発明では、一対の開口部が通気口よりも上方に配置されているため、開閉部材の上端と通気口の上端との距離を比較的大きく確保することができる。これにより、通気口の上方において開閉部材と側板部との接触面積を比較的大きく確保することができる。そのため、開閉部材により通気口をより確実に閉鎖することが可能となる。
【0031】
第11の発明の建物の換気構造は、第6乃至第10のいずれかの発明において、前記開閉部材が設けられる前記側板部には、前記開閉部材を挟んだ左右両側にそれぞれ外面側に突出する凸部が設けられ、前記凸部は、前記リング部材と同じ高さ位置において突出していることを特徴とする。
【0032】
開閉部材が落下防止部にリング部材を介して取り付けられた状態では、リング部材が落下防止部の側板部よりも外側に突出する状態とされる。そのため、かかる取付状態で、落下防止部を床開口部を通じて設置する際には、リング部材が床開口部の内周面に干渉するおそれがある。そこで、かかる干渉を回避するために、落下防止部の側板部と床開口部の内周面との間に所定の隙間を設けることが考えられる。しかしながら、その場合であっても、落下防止部の設置向き等によっては、リング部材が床開口部の内周面に干渉するおそれがある。
【0033】
そこで、第11の発明では、こうした点に鑑み、リング部材と同じ高さ位置において側板部の外面側に突出する凸部を設けている。この場合、開閉部材を取り付けた状態で落下防止部を床開口部を通じて設置する際に、凸部が床開口部の内周面に当たることで、リング部材が床開口部の内周面に当たるのを抑制することができる。そのため、リング部材が床開口部の内周面に当たって変形等するのを抑制することができる。
【0034】
第12の発明の建物の換気構造は、第6乃至第11のいずれかの発明において、前記落下防止部は、前記開閉部材が設けられる前記側板部の上辺部から側方に張り出した張出部を有し、前記張出部が前記床部の上に載置されることにより前記落下防止部が支持されており、前記張出部は、前記上辺部の全域に亘って設けられていることを特徴とする。
【0035】
落下防止部の設置の際に、リング部材が床開口部の内周面に干渉するのを回避すべく、床開口部の内周面と落下防止部の側板部との間に隙間を設ける上述の構成では、その隙間を通じて居住空間と床下空間との間で空気の流れが生じ、居住空間の気密性が低下することが懸念される。
【0036】
そこで、第12の発明では、そのような点に鑑み、落下防止部において、側板部の上辺部から張り出して床部上に載置される張出部を上辺部の全域に亘って設けている。この場合、張出部により、側板部と床開口部の内周面との隙間を上方から塞ぐことができる。また、張出部が床部上に載置されることにより落下防止部が支持されているため、張出部と床部との密着性を高めることができる。これにより、側板部と床開口部の内周面との隙間を通じた空気の流れを防止することができ、その結果、居住空間における気密性の低下を防止することができる。
【0037】
第13の発明の建物の換気構造は、第5乃至第12のいずれかの発明において、前記通気口は、横方向に延びる横長状とされており、前記開閉部材は、前記通気口の長手方向の全域に亘って延びる横長状とされていることを特徴とする。
【0038】
第13の発明によれば、通気口及び開閉部材が横長状とされているため、開閉部材が開位置側に少しだけ開いた場合にも通気口を通じて所定量の空気を流すことができる。これにより、所望の換気量を好適に確保することができる。
【0039】
第14の発明の建物の換気構造は、第13の発明において、前記通気口の長手方向の中間部には、前記閉位置に位置する前記開閉部材と重なる重なり部が設けられていることを特徴とする。
【0040】
一般に、建物には、居住空間の空気を屋外に排出する換気扇が設けられている。例えば、床下空間の換気が行われない冬場において、換気扇が作動する場合には、居住空間の気圧が床下空間の気圧よりも低くなることが想定される。その場合、かかる気圧差により、閉位置に位置する開閉部材が、開位置側とは反対側に向けて押されることが考えられる。
【0041】
ここで、開閉部材が通気口を通じて流れる空気により開位置側に押される上述の構成では、開閉部材が軽量の材料により形成されることが考えられる。しかしながら、その場合、開閉部材が撓み易くなる等、変形し易くなるため、開閉部材が気圧差により反開位置側に押されると、開閉部材が変形しながら通気口に入り込むおそれがある。
【0042】
そこで、第14の発明では、こうした点に鑑み、通気口の長手方向の中間部に、開位置に位置する開閉部材と重なる重なり部を設けている。この場合、開閉部材が気圧差により反開位置側に押されると、開閉部材が重なり部に当たることになる。そのため、開閉部材が通気口に入り込むのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図2】通気用ガラリ及び落下防止部の構成を示す斜視図。
【
図3】通気用ガラリ、落下防止部及びフラップの構成を示す斜視図。
【
図5】床開口部周辺の構成を示す縦断面図であって、(a)は床下空間の換気が行われている場合を示し、(b)は床下空間の換気が行われていない場合を示す。
【
図6】第2実施形態における床開口部周辺の構成を示す縦断面図。
【
図7】第2実施形態における床開口部周辺の構成を示す縦断面図。
【
図8】リング及びコ字状スリットの構成を示す拡大図。
【
図9】第2実施形態における床開口部周辺の構成を示す縦断面図。
【
図10】フラップをリングを介して側板部に取り付ける際の手順を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0044】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した一実施の形態を
図1に基づいて説明する。本実施の形態では、建物に適用される換気構造について具体化している。
【0045】
図1に示すように、建物10は、1階建ての建物であり、基礎61と、その基礎61上に設置された建物本体11と、建物本体11の上方に設けられた屋根12とを有している。建物本体11には、居住空間としてのLDK42が設けられている。LDK42は、リビングとダイニングとキッチンとが連続した連続空間とされている。また、LDK42は、外壁部21により屋外と仕切られている。外壁部21は、外壁材22と、内壁材24と、それら各壁材22,24の間に設けられた壁内断熱材23とを有している。
【0046】
建物本体11と屋根12との間には屋根裏空間33が形成されている。屋根裏空間33は、LDK42の天井材31の上方に設けられ、天井材31によりLDK42と上下に仕切られている。また、天井材31の上方には屋根裏断熱材32が設けられている。
【0047】
外壁部21においてLDK42のキッチンに隣接する壁部分21aには、屋内外に貫通するキッチン換気口47が形成されている。キッチン換気口47には、キッチン換気扇48が取り付けられている。キッチン換気扇48は、居住者がスイッチ(図示略)を操作することで、オン/オフを切り替えることができる。キッチン換気扇48を駆動させると、キッチン内の空気ひいてはLDK42の空気がキッチン換気口47を通じて屋外に排出される。
【0048】
LDK42の床部51の下方には、床下空間66が形成されている。床下空間66は、床部51によりLDK42と上下に仕切られている。床部51は、床下地材52と、床下地材52の上に設けられた床仕上材53とを有する。床下地材52は、例えばパーティクルボードからなり、床仕上材53は、例えばフローリング材からなる。
【0049】
床下空間66は、その周囲が基礎61により囲まれている。基礎61は、建物10の外周部に沿って設けられた鉄筋コンクリート造の外周基礎であり、地盤に埋設されたフーチング部61aと、その上方に延びる立ち上がり部61bとを有してなる。立ち上がり部61bの内面には基礎断熱材62が配設されている。また、床下空間66における床下地盤上には防湿コンクリート64が打設され、防湿コンクリート64上には地盤断熱材65が敷設されている。したがって、本建物10では、基礎断熱工法が採用されている。なお、床下空間66が裏空間に相当する。
【0050】
基礎61の立ち上がり部61bには、床下空間66と屋外とを連通する床下換気口67(換気通路に相当)が形成されている。床下換気口67には、床下換気扇68(気流発生手段に相当)が取り付けられている。床下換気扇68は、床下空間66の空気を床下換気口67を通じて屋外に排出するものである。これにより、床下空間66の換気が行われるようになっている。また、床下換気扇68は、夏場において作動され、冬場においては作動が停止されるようになっている。つまり、床下空間66の換気は夏場においてのみ行われ、冬場には行われないようになっている。また、夏場においては、床下換気扇68が常時作動状態とされ、それにより、床下空間66の換気が常時行われるようになっている。
【0051】
ところで、基礎断熱工法が採用されている本建物10では、夏場において床下空間66に湿気が溜まりやすい。そのため、本建物10では、LDK42の空気を床下空間66に送りながら、床下空間66の換気を行う換気構造を設けている。そこで、以下では、かかる換気構造について説明する。
【0052】
LDK42の床部51には、LDK42と床下空間66とを連通する床開口部72が形成されている。床開口部72は、平面視で略長方形状に形成されており、床部51を構成する床仕上材53及び床下地材52を貫通している。したがって、床開口部72は、床仕上材53を貫通する床開口部72aと、床下地材52を貫通する床開口部72bとを含んでいる。また、床開口部72aは、その開口面積が床開口部72bよりも大きくなっている。それにより、床下地材52における床開口部72bの周縁部は、床開口部72aの周縁部に対して内側に向けた段差状をなす段差部52aとされている(
図4参照)。
【0053】
床開口部72には、通気用ガラリ131が設けられている。
図2に示すように、通気用ガラリ131は、プラスチックからなり、略矩形板状に形成されている。通気用ガラリ131には、通気用ガラリ131を厚み方向に貫通する複数のスリット134が設けられている。これにより、これらのスリット134を通じて床開口部72を介した通気が可能となっている。また、通気用ガラリ131は、床開口部72aに嵌め込まれるとともに、床下地材52の段差部52a上に載置された状態で設置されている。
【0054】
通気用ガラリ131の下方には、床開口部72を通じて物が落下するのを防止する落下防止部101が設けられている。落下防止部101は、上方に開口する略直方体状の箱状に形成されている。落下防止部101は、平面視で長方形状をなしており、詳しくは平面視の形状及び大きさが床開口部72(床開口部72b)の形状及び大きさと略同じとなっている。落下防止部101は、床開口部72bに挿通された状態で、床部51(床下地材52)に設けられている。
【0055】
落下防止部101は、床開口部72bの周縁部のうち各長辺部から下方に延びる一対の側板部104と、床開口部72bの周縁部のうち各短辺部から下方に延びる一対の側板部106と、各側板部104,106の下端部により囲まれる内側に設けられた底板部108とを有する。落下防止部101の内部には、各側板部104,106及び底板部108により囲まれた内側空間109が形成されている。内側空間109は、床仕上材53の床開口部72aと連通されている。
【0056】
落下防止部101が床開口部72bに挿通された状態において、各側板部104,106は床開口部72bの内周面に当接している。このため、落下防止部101と床開口部72bの内周面との間に隙間が生じないようになっている(
図4も参照)。
【0057】
一対の側板部106には、それらの上端部にフック部121がそれぞれ設けられている。各フック部121は、側板部106の上端部からそれぞれ上方に延び、上端部にて互いに反対側に向けて折り曲げられている。これにより、各フック部121は、L字状に形成されている。各フック部121は、落下防止部101が床開口部72bに挿通されている状態において、床下地材52の段差部52a上に引っ掛けられている。これにより、落下防止部101が床下地材52に対して支持されている。また、落下防止部101が床下地材52に支持された状態において、落下防止部101は床下地材52よりも下方に突出した状態とされている。なお、段差部52a上に設けられた通気用ガラリ131には、各フック部121との干渉を回避すべく、凹状の切り欠き部135が一対形成されている。
【0058】
一対の側板部104には、落下防止部101の内側空間109と床下空間66とを連通する通気口111がそれぞれ形成されている。通気口111は、側板部104において床下地材52(床部51)よりも下方に突出した突出部分に形成されている。通気口111は、横方向に延びる横長状の矩形の開口とされている。通気口111の長手方向の中央部には、当該通気口111を左右に仕切る柱部112が設けられている。柱部112は、通気口111の上面及び下面を繋いで上下に延びている。これにより、通気口111は、柱部112により左右に分割された2つの開口部111a,111bから構成されている。なお、柱部112が重なり部に相当する。
【0059】
上記のように、LDK42は、床開口部72(詳しくは床開口部72a)と、落下防止部101の内側空間109と通気口111とを介して床下空間66と連通されている。この場合、床開口部72と、落下防止部101の内側空間109及び通気口111とを含んで連通路71が構成されており、その連通路71を介してLDK42と床下空間66とが連通されている。かかる構成において、床下換気扇68が作動されると、LDK42の空気が連通路71を通じて床下空間66に供給されるとともに、床下空間66の空気が床下換気口67を通じて屋外に排出される。これにより、床下空間66の換気が行われるようになっている。
【0060】
ところで、上述した換気構造では、夏場においては、床下換気扇68を作動させることにより床下空間66の換気を行う一方、冬場においては、床下空間66の換気を行う必要がないため床下換気扇68の作動を停止させることとなる。ここで、上述の換気構造では、LDK42と床下空間66とが連通路71を介して連通されているため、冬場に、床下空間66の冷えた空気が連通路71を通じてLDK42に流れ込むおそれがある。この場合、居住者の快適性が損なわれてしまうため好ましくない。特に、キッチン換気扇48が作動している場合には、LDK42内の気圧が床下空間66の気圧よりも低下するため、床下空間66の冷気がLDK42に流れ込み易くなる。
【0061】
そこで、かかる課題を解決するために、本実施形態では、通気口111を開閉する開閉部材としてのフラップ114を設けている。その点が本実施形態の特徴となっており、以下では、その特徴的構成について、
図3及び
図4に基づき説明する。
【0062】
図3及び
図4に示すように、落下防止部101の側板部104の外面側には、フラップ114が設けられている。フラップ114は、横方向に長い横長のシート状に形成され、軽量のプラスチック製シートからなる。フラップ114は、通気口111よりも一回り大きく形成され、通気口111全体を覆うように設けられている。
【0063】
フラップ114は、その上端部が吊り部としてのリング115を介して側板部104に取り付けられている。リング115は、フラップ114の長手方向に所定の間隔で複数配置され、これら複数のリング115を介してフラップ114が側板部104に取り付けられている。これにより、フラップ114は、各リング115を介して側板部104に吊り下げ支持された状態となっている。
【0064】
フラップ114の取付構成について詳しくは、側板部104における通気口111の上方には、各リング115ごとに、リング115を挿通する2つの挿通孔118,119が設けられている。各挿通孔118,119は、上下に並んで設けられ、上側が挿通孔118、下側が挿通孔119となっている。これら各挿通孔118,119にはそれぞれリング115が挿通され、それにより、リング115が側板部104に取り付けられている。また、フラップ114には、各リング115をそれぞれ挿通する複数の挿通孔119が設けられている。それら各挿通孔119にはそれぞれリング115が挿通されている。これにより、フラップ114が各リング115を介して側板部104に取り付けられている。
【0065】
フラップ114は、その上端部がリング115を介して側板部104に吊り下げ支持されることにより、下端側が傾動可能となっている。具体的には、フラップ114は、幅方向(短手方向)が鉛直方向を向くことで通気口111を閉鎖する閉位置(
図5(b)参照)と、閉位置に対して側板部104から離れる側に傾くことで通気口111を開放する開位置(
図5(a)参照)との間で傾動可能(換言すると回動可能)となっている。
【0066】
フラップ114は、自重によって閉位置に向けて常時付勢された状態となっている。また、フラップ114が閉位置にある場合には、フラップ114が側板部104における通気口111の周縁部と柱部112とにそれぞれ重なる状態となる。このため、フラップ114は、閉位置から開位置側に傾動可能となっている一方、閉位置から反開位置側への傾動については規制されている。したがって、フラップ114が閉位置にある場合に、側板部104においてフラップ114と重なる重なり部(詳しくは、側板部104における通気口111の周縁部と柱部112)は、フラップ114の反開位置側への傾動を規制する規制部として機能している。
【0067】
続いて、フラップ114の開閉動作について説明する。まず、夏場に床下換気扇68を作動させて床下空間66の換気を行う場合におけるフラップ114の動作について、
図5(a)に基づき説明する。
【0068】
夏場において、フラップ114が閉位置にある場合に、床下換気扇68を作動させると、床下空間66の空気が床下換気口67より屋外に排出される。そして、その排出に伴い、床下空間66の気圧がLDK42の気圧よりも低くなる。これにより、
図5(a)に示すように、フラップ114が両空間42,66の気圧差により開位置側(換言すると、落下防止部101の側板部104から離れる側)に押されて傾き、開状態となる。フラップ114が開状態になると、LDK42の空気が連通路71を通じて床下空間66に流れ込み、その後床下空間66から屋外に床下換気口67を通じて排出される。つまり、この場合、LDK42の空気が床下空間66に供給されながら、床下空間66の換気が行われる。
【0069】
床下空間66の換気が行われている場合には、LDK42から床下空間66に連通路71を通じて流れる空気によりフラップ114が開位置側に押される。詳しくは、通気口111を通じて床下空間66に流れる空気によりフラップ114が開位置側に押される。これにより、フラップ114は自重により閉位置側に付勢されているにもかかわらず、開位置において保持されるようになっている。なお、フラップ114は、開位置において、側板部104に対して概ね10°の角度で傾いた状態となっている。
【0070】
続いて、冬場に床下換気扇68の作動が停止している場合におけるフラップ114の動作について、
図5(b)に基づき説明する。
【0071】
冬場において、床下換気扇68の作動が停止している場合には、床下空間66の気圧とLDK42の気圧とがほぼ同じとなる。そのため、
図5(b)に示すように、フラップ114が自重により閉位置に保持される。この場合、連通路71が閉鎖されるため、床下空間66の冷たい空気が連通路71を通じてLDK42に流入するのを抑制することができる。
【0072】
また、キッチン換気扇48が作動した場合には、LDK42の気圧が床下空間66の気圧がよりも低くなる。そのため、この場合には、フラップ114が、両空間42,66の気圧差により開位置側とは反対側に向けて押されることになる。この点、落下防止部101の側板部104には、フラップ114と重なる重なり部が設けられているため、フラップ114が開位置側とは反対側に傾くことはなく、フラップ114が閉位置において保持される。そのため、キッチン換気扇48の作動時にも、床下空間66からLDK42に冷気が流れ込むのを抑制することができる。
【0073】
また、キッチン換気扇48の作動時には、LDK42と床下空間66との気圧差により、フラップ114が閉位置において側板部104の重なり部(通気口111の開口周縁部及び柱部112)に押し付けられ密着した状態とされる。そのため、通気口111ひいては連通路71が強固に閉鎖され、床下空間66からLDK42への冷気の流入を確実に抑制することができる。
【0074】
なお、LDK42の気圧が床下空間66の気圧がよりも低くなるのは、必ずしもキッチン換気扇48が作動している場合に限らない。例えば、建物10の窓を強風時に開放したり、エアコン等の空調装置を駆動したりする場合にも、LDK42の気圧が床下空間66の気圧よりも低くなる可能性がある。そのような場合にも、上記のフラップ114によれば、閉位置に保持されるため、床下空間66からLDK42への冷気の流入を抑制することができる。
【0075】
以上、詳述した本第1実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0076】
建物10においては、床下換気扇68を作動させると、LDK42と床下空間66とを連通する連通路71を介して、LDK42から床下空間66に空気を取り込みながら、基礎61に設けられた床下換気口67を通じて床下空間66の空気を屋外に排出するようになっている。そして、床下換気扇68による床下空間66の換気が行われている場合には、連通路71を通じてLDK42から床下空間66に流れる空気により、フラップ114が押されて開位置に保持される。これにより、夏場等において床下空間66の換気を継続して行うことができる。
【0077】
また、フラップ114は、上端部が側板部104にリング115を介して吊り下げ支持された状態で設けられている。このため、フラップ114には、自重による閉方向への付勢力が常時作用している。したがって、冬場等に床下換気扇68による床下空間66の換気が行われていない場合、つまりLDK42から連通路71を通じて床下空間66へ空気が流れていない場合には、フラップ114は閉位置に付勢され当該閉位置に保持される。これにより、冬場に床下空間66の冷気が連通路71を通じてLDK42に流れ込むことで、居住者の快適性が損なわれるのを抑制することができる。
【0078】
フラップ114は、重力の付勢力により閉位置に保持されるため、フラップ114を閉位置とするために、電気的な制御を行ったり、別途ばね等の付勢部材を設けたりする必要はない。このため、換気構造の構成を簡素なものとすることができる。
【0079】
床開口部72aには、床開口部72を通じて物が落下するのを防止する落下防止部101が設けられている。落下防止部101は、側板部104,106と底板部108とを有する上方開口の箱状に形成されている。また、落下防止部101は、内側空間109と、内側空間109と床下空間66を連通する通気口111とを有しており、床開口部72と内側空間109と通気口111とを含んで連通路71が構成されている。これにより、落下防止部101により物の落下防止を図りながら、落下防止部101の内部を通じてLDK42から床下空間66への空気の供給が可能となっている。
【0080】
また、落下防止部101には、通気口111を開閉するフラップ114が取り付けられている。これにより、落下防止部101をフラップ114を取り付けるための取付部材として利用することができる。そのため、落下防止部101の有効利用を図ることができる。
【0081】
フラップ114は、その上端部において吊り下げ支持されているため、床下空間66の換気が行われない場合に、フラップ114を自重により閉位置に保持させ易くすることができる。これにより、冬場に通気口111を確実に閉鎖することが可能となる。
【0082】
フラップ114は、開位置においては、側板部104に対して概ね10°の角度で傾くようになっている。このため、床下換気扇68が作動を停止した場合には、自重によって、閉状態に即座に傾動する。また、開状態においてフラップ114と通気口111との間に生じる隙間が大きいと、昆虫等がLDK42に侵入することが懸念される。しかし、本第1実施形態の構成によれば、かかる不都合の発生は抑制される。
【0083】
通気口111及びフラップ114は、横長状とされている。このため、フラップ114が開位置側に少しだけ開いた場合にも通気口111を通じて所定量の空気を流すことができる。これにより、所望の換気量を好適に確保することができる。
【0084】
通気口111の長手方向の中央部には、開位置に位置するフラップ114と重なる柱部112が設けられている。この場合、フラップ114が気圧差により反開位置側に押されると、フラップ114が柱部112に当たることになる。そのため、フラップ114が通気口111に入り込むのを抑制することができる。
【0085】
(第2実施形態)
本第2実施形態では、落下防止部に設けられるリング取付用の開口部の構成が第1実施形態と異なる。以下、本第2実施形態の構成について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0086】
落下防止部201は、上記第1実施形態と基本的に同様の構成を有している。すなわち、落下防止部201は、
図6、
図7及び
図9に示すように、長辺側の一対の側板部202と、短辺側の一対の側板部203と、底板部204と、通気口205と、内側空間209とを有している。
【0087】
落下防止部201の各側板部202には、上記第1実施形態と同様、通気口205を開閉可能なフラップ206がリング211を介して取り付けられている(
図6参照)。フラップ206は、横長のプラスチック製シートであり、可撓性を有している。また、リング211は、左右方向(横方向)に所定の間隔で複数(具体的には3つ)配置されている。なお、左右方向とは、側板部202の横幅方向と同じ方向のことである。
【0088】
リング211は、金属製であり、円環状(真円環状)に形成されている。詳しくは、リング211は、切れ目のない無端状に形成されている。ここで、リング211が無端状に形成されていると、リング211を落下防止部201の側板部202にいかにして取り付けるかが問題となる。そこで、本第2実施形態では、側板部202に、リング211ごとにコ字状スリット215を形成し、それにより無端状のリング211を側板部202に取付可能としている。以下では、そのコ字状スリット215の構成について説明する。
【0089】
図8に示すように、コ字状スリット215は、上下方向に延びる縦スリット部216と、縦スリット部216の上端部及び下端部からそれぞれ横方向(左右方向)に延びる上下一対の横スリット部217とを有する。コ字状スリット215は、これら各スリット部216,217により全体として略コ字状に形成され、側板部202を厚み方向に貫通している。なお、一対の横スリット部217が「一対の開口部」に相当する。また、縦スリット部216が「一対の開口部と連続するスリット部」に相当する。
【0090】
各スリット部216,217の幅W1,W2(すなわち、各スリット部216,217の短手方向の長さ)は、リング211を構成する線材の径よりも若干大きくなっており、換言するとリング211の幅W3(すなわち、リング211の中心軸方向における長さ)よりも若干大きくなっている。本実施形態では、縦スリット部216の幅W1と、各横スリット部217の幅W2(詳しくは、後述するスリット端部217aの幅を除く)とが同じ大きさとなっている。また、各横スリット部217の間隔は、リング211の内径よりも若干小さくなっている。
【0091】
各横スリット部217において縦スリット部216側とは反対側の端部は丸孔状のスリット端部217aとなっている。スリット端部217aの径(幅)は、横スリット部217におけるスリット端部217a以外の部分の幅W3よりも大きくなっている。このため、横スリット部217は、スリット端部217aにおいて上方及び下方にそれぞれ凹んでいる。この場合、下方に凹んだ凹み部219の内面のうち、その下端(つまりスリット端部217aの下端)から縦スリット部216側の領域が、スリット端部217aの下端よりも上方に立ち上がった立ち上がり部221となっている。この立ち上がり部221は、スリット端部217aの縦スリット部216側に隣接している。
【0092】
コ字状スリット215は、左右方向に所定の間隔で複数(具体的には3つ)形成されている(
図6及び
図7参照)。各コ字状スリット215は、その全体が通気口205よりも上方に配置されている。各コ字状スリット215のうち、左右両端に位置するコ字状スリット215A,215Bはいずれも、各横スリット部217を左右方向の外側に向けた状態で配置されている。この場合、コ字状スリット215Aにおいては、各横スリット部217が縦スリット部216からコ字状スリット215B側とは反対側に延びている。また、コ字状スリット215Bにおいては、各横スリット部217が縦スリット部216からコ字状スリット215A側とは反対側に延びている。なお、コ字状スリット215Aの縦スリット部216が「第1スリット部」に相当し、コ字状スリット215Bの縦スリット部216が「第2スリット部」に相当する。
【0093】
各コ字状スリット215A,215Bの縦スリット部216の間隔D1は、左右両端に位置する各リング211の間隔D2よりも小さくなっている。また、各コ字状スリット215A,215Bのスリット端部217aの間隔は、上記各リング211の間隔D2と同じとなっている。
【0094】
なお、各コ字状スリット215のうち、中間部に位置するコ字状スリット215Cは、コ字状スリット215Aと同じ向きで配置されている。但し、コ字状スリット215Cは、コ字状スリット215Bと同じ向きで配置されていてもよい。
【0095】
続いて、側板部203に取り付けられるリング211の取付構成について説明する。
【0096】
各リング211はそれぞれ、対応するコ字状スリット215に挿通されている。リング211は、その上端部分が上側の横スリット部217に挿通され、その下端部分が下側の横スリット部217に挿通されている。これにより、リング211は、縦向きの状態で(換言すると中心軸方向が左右方向を向く状態で)側板部203に取り付けられている。
【0097】
リング211の上端部分は、上側の横スリット部217のスリット端部217aに挿通されている。また、リング211の下端部分は、下側の横スリット部217のスリット端部217aに挿通されている。リング211の上端部分及び下端部分は、スリット端部217aにおいて凹み部219に入り込んだ状態となっている。そのため、リング211が縦スリット部216側に変位することが立ち上がり部221により抑制されている。
【0098】
各リング211には、フラップ206が取り付けられている(
図6参照)。フラップ206の上端側には、各リング211に対応して円形の孔部207が形成されている。各孔部207にはリング211が挿通され、詳しくはリング211の下端部分が挿通されている。これにより、フラップ206が各リング211を介して側板部202に吊り下げ支持されている。
【0099】
フラップ206には、各孔部207に対応して切り込み208が形成されている。各切り込み208は、孔部207の周面からフラップ206の上端まで延びている。詳しくは、孔部207の周面のうち上端よりも下方の位置から延びている。これにより、無端状のリング211を切り込み208を通じて孔部207に挿通させることが可能となっている。また、各切り込み208は、孔部207から上方に傾斜して延びている。これにより、切り込み208を有する構成にあって、フラップ206がリング211から脱落することが抑制されている。さらに、各切り込み208には、傾斜の向きが互いに異なる複数の切り込み208が含まれている。これにより、フラップ206のリング211からの脱落がさらに抑制されている。
【0100】
リング211は、スリット端部117aに遊びを有した状態で挿通されている。このため、
図9に示すように、リング211は、その遊び分、側板部102の厚み方向に変位可能となっている。リング211は、その変位により、側板部102の外面から突出する突出寸法(以下、リング211の突出寸法という)が変化する。リング211の突出寸法は、リング211が最も側板部102の外面側に変位した場合、換言するとリング211が最も側板部102の外面側に突出した場合に最大となる。以下、この場合の突出寸法を最大突出寸法L1という。また、リング211の突出寸法は、リング211が最も側板部102の内面側に変位した場合、換言するとリング211が最も側板部102の内面側に引っ込んだ場合に最小となる。以下、この場合の突出寸法を最小突出寸法L2という。
【0101】
ここで、落下防止部201を床開口部72に設置する際には、予めフラップ206をリング211を介して落下防止部201に取り付けた状態で設置することが考えられる。この場合、リング211は、上記のように落下防止部201の側板部102から外側に突出しているため、リング211が床開口部72(特に床開口部72b)の内周面に干渉することが懸念される。そこで、本第2実施形態では、その点に鑑み、側板部202と床開口部72bの内周面との間に所定の隙間240を形成し、それにより、リング211が床開口部72bに干渉するのを抑制している。この隙間240の寸法L3(すなわち、側板部202の外面と床開口部72bの内周面との離間寸法)は、リング211の最小突出寸法L2よりも若干大きく設定されている。
【0102】
床開口部72bの内周面と側板部202との間に隙間240を設ける上述の構成では、その隙間240を通じてLDK42と床下空間66との間で空気の流れが生じ、LDK42の気密性が低下することが懸念される。そこで、本第2実施形態では、その対策として、落下防止部201に、各側板部202,203の上辺部から側方に張り出した張出部231,232を設けている。
【0103】
張出部231は、各側板部202の上辺部の全域からそれぞれ側方に張り出している(
図6参照)。また、張出部232は、各側板部203の上辺部の全域からそれぞれ側方に張り出している(
図9参照)。各張出部231,232は、床下地材52の段差部52a上に載置されている。これにより、落下防止部201が床部51に支持されている。また、各張出部231により、上記の隙間240が上方から塞がれている。これにより、隙間240を通じた空気の流れを防止することができ、その結果、LDK42における気密性の低下を防止することができる。なお、張出部231が、特許請求の範囲に記載の「張出部」に相当する。
【0104】
床開口部72には、通気用ガラリ235が設けられている。通気用ガラリ235は、各張出部231,232の上面に載置された状態で配置されている。通気用ガラリ235の上面と床仕上材53の上面とは、同じ高さ位置に設定されている。
【0105】
続いて、落下防止部201の側板部202に設けられた凸状部材225について説明する。
【0106】
凸状部材225は、側板部202の外面においてフラップ206を挟んだ左右両側に配置されている(
図6参照)。凸状部材225は、帯状の金属板により形成され、上下方向に延びている。凸状部材225は、側板部202に溶接により固定されている。
【0107】
凸状部材225は、側板部202の外面側(換言すると、側板部202の外面から離間する側)に突出する第1凸部226及び第2凸部228を有している。これら各凸部226,228は、金属板が折り曲げられることにより山形状に形成されている。また、各凸部226,228の頂部226a,228aは左右方向に延びている。
【0108】
各凸部226,228は上下に並んでおり、第1凸部226が下側、第2凸部228が上側に位置している。第1凸部226は、リング211と同じ高さ位置に配置されている。詳しくは、第1凸部226は、その頂部226aがリング211の上下方向の中央部と同じ高さ位置となるように配置され、つまりは、頂部226aが、リング211において最も側板部202の外面側に突出した部分と同じ高さ位置となるように配置されている。また、第1凸部226の側板部202の外面からの突出寸法L4は、リング211の最小突出寸法L2よりも若干大きい寸法に設定されている(
図9参照)。但し、第1凸部226の突出寸法L4は、リング211の最小突出寸法L2以上であれば、その大きさは任意でよい。
【0109】
第2凸部228は、落下防止部201の側板部202と床開口部72bの内周面との間の隙間240に位置している。第2凸部228の突出寸法L5は、隙間240の寸法L3と略同一に設定され、詳しくは隙間240の寸法L3よりも若干小さくされている。これにより、落下防止部201の側板部202と床開口部72bの内周面との間に隙間240を設けた構成にあって、落下防止部201が位置ずれするのを抑制することができる。
【0110】
続いて、フラップ206をリング211を介して落下防止部201の側板部202に取り付ける際の手順について、
図10を参照しつつ説明する。なお、
図10では、リング211を分かりやすくするため、リング211を黒塗りで示している。
【0111】
まず、
図10(a)に示すように、フラップ206に各リング211を取り付ける。この場合、リング211をフラップ206の切り込み208を通じて孔部207に導入する。なお、以下では、各リング211を区別するため、各リング211をそれぞれコ字状スリット215A~215Cに対応させてリング211A~211Cという。
【0112】
次に、
図10(b)に示すように、各リング211A~211Cのうち、2つのリング211A,211Cを、それぞれ縦向きの状態で各コ字状スリット215A,215Cの縦スリット部216に挿し入れる。
【0113】
次に、
図10(c)に示すように、フラップ206を横方向に移動させて、各リング211A,211Cを、縦スリット部216から上下の各横スリット部217に入り込ませる。そして、各リング211A,211Cをそれぞれ横スリット部217を通じてスリット端部217aまで導く。
【0114】
次に、リング211Bを縦向きの状態でコ字状スリット215Bの縦スリット部216に挿し入れる。この際、フラップ206を左右に撓ませることにより、各リング211A,211Bの間隔D2を小さくして、リング211Bを縦スリット部216に挿し入れる(
図10(c)参照)。
【0115】
次に、
図10(d)に示すように、フラップ206の撓みを解除して、リング211Bを、コ字状スリット215Bの縦スリット部216から上下の各横スリット部217に入り込ませる。そして、リング211Bを横スリット部217を通じてスリット端部217aまで導く。これにより、各リング211A~211Cがコ字状スリット215A~215Cのスリット端部217aにそれぞれ挿通され、フラップ206が各リング211A~211Cを介して側板部202に取り付けられる。
【0116】
以上のように、本第2実施形態では、フラップ206をリング211を介して側板部202に比較的簡単に取り付けることができる。
【0117】
以上、詳述した第2実施形態の構成によれば、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本第2実施形態の構成によれば、以下に示す各効果をさらに得ることができる。
【0118】
・側板部202には、リング211を挿通可能であるとともに上下一対に並んで配置された横スリット部217を形成した。フラップ206の上端側には、リング211を挿通可能な孔部207を形成した。これにより、側板部202にリング211を縦向きの状態で取り付けることができる。そして、そのリング211にフラップ206を吊り下げることができる。この場合、リング211を用いてフラップ206の傾動を円滑に行わせることができる。
【0119】
・側板部202には、上下方向に延び、横スリット部217と連続する縦スリット部216を形成した。縦スリット部216の幅W1は、リング211の幅W2よりも大きく設定した。これにより、リング211を縦向きの状態で縦スリット部216に挿し入れ、その後左右方向にスライドさせることにより、リング211を各横スリット部217(スリット端部217a)に挿通させることができる。
【0120】
・また、この場合、リング部材として、切れ目のない無端状のリング211を用いることができる。このため、フラップ206の傾動をより確実に円滑に行わせることができる。
【0121】
・フラップ206を、可撓性を有するプラスチック製シートにより形成した。また、側板部202の両側端部に配置されたコ字状スリット215A,215Bは、互いに左右方向に反転した形状とした。フラップ206(リング211)を側板部202に取り付けた状態において、コ字状スリット215Aの縦スリット部216とコ字状スリット215Bの縦スリット部216との間隔D1が、リング211Aとリング211Bとの間隔D2よりも小さくなるようにした。
【0122】
この場合、フラップ206をわざわざ撓ませない限り、リング211がスリット端部217aから縦スリット部216側に変位する可能性は低いと考えられる。したがって、リング211が縦スリット部216を通じて脱落するのを抑制することができる。
【0123】
・一方、フラップ206においては、各切り込み208は、孔部207から上方に傾斜して延びている。これにより、切り込み208を有する構成にあって、フラップ206がリング211から脱落するのを抑制することができる。さらに、各切り込み208には、傾斜の向きが互いに異なる複数の切り込み208が含まれている。これにより、フラップ206のリング211からの脱落を更に抑制することができる。
【0124】
・横スリット部217には、丸孔状のスリット端部217aを形成した。スリット端部217aは、下方に凹む凹み部219を有し、凹み部219は、スリット端部217aの下端よりも上方に立ち上がった立ち上がり部221を有している。リング211をスリット端部217aに挿通すると、リング211は、スリット端部217aの凹み部219に入り込んだ状態となる。この場合、リング211が縦スリット部216側に変位するのが立ち上がり部221により抑制される。これにより、リング211が縦スリット部216を通じて脱落するのを好適に抑制することができる。
【0125】
・フラップ206の上端が、側板部202に形成される一対の横スリット部217(スリット端部217a)の間に位置するようにした。この場合、一対の横スリット部217が通気口205よりも上方に配置されているため、フラップ206の上端と通気口205の上端との距離を比較的大きく確保することができる。これにより、通気口205の上方においてフラップ206と側板部202との接触面積を比較的大きく確保することができる。そのため、フラップ206により通気口205をより確実に閉鎖することが可能となる。
【0126】
・フラップ206が落下防止部201にリング211を介して取り付けられた状態では、リング211が側板部202よりも外側に突出する状態とされる。そのため、かかる取付状態で、落下防止部201を床開口部72を通じて設置する際には、リング211が床開口部72(特に、床開口部72b)の内周面に干渉するおそれがある。そこで、本第2実施形態では、かかる干渉を回避するために、側板部202と床開口部72bの内周面との間に隙間240を設けた。これにより、落下防止部201が床開口部72bの内周面に当たるのを抑制することができる。
【0127】
・しかし、隙間240が設けられた構成においても、落下防止部201の設置向き等によっては、リング211が床開口部72の内周面に干渉するおそれがある。そこで、本第2実施形態では、こうした点に鑑み、リング211と同じ高さ位置において側板部202の外面側に突出する第1凸部226を設けている。この場合、フラップ206を取り付けた状態で落下防止部201を床開口部72を通じて設置する際に、第1凸部226が床開口部72の内周面に当たることで、リング211が床開口部72の内周面に当たるのを抑制することができる。そのため、リング211が床開口部72の内周面に当たって変形等するのを抑制することができる。
【0128】
・また、側板部202に取り付けられた状態のリング211は、内側空間209側に変位することができる。このため、リング211は、床開口部72の内周面に当たった場合であっても、上記変位により、ある程度衝撃を受け流すことができる。そこで、本第2実施形態では、第1凸部226の側板部202の外面からの突出寸法L4は、リング211が最も内側空間209側に変位した際におけるリング211の側板部202の外面からの最小突出寸法L2よりも、わずかに大きく設定されている。この場合、第1凸部226は、リング211が床開口部72の内周面に干渉するのを抑制しつつも、その突出寸法L4を極力小さく設定することができる。
【0129】
・また、第1凸部226の突出寸法L4を小さく設定すると、落下防止部201を床開口部72を通じて設置しやすくなるため、隙間240の寸法L3を縮小することが可能となる。
【0130】
・隙間240を設けた場合、その隙間240を通じてLDK42と床下空間66との間で空気の流れが生じ、LDK42の気密性が低下することが懸念される。そこで、本第2実施形態では、そのような点に鑑み、落下防止部201において、側板部102の上辺部から張り出して床下地材52上に載置される張出部231を設けている。この場合、張出部231により、隙間240を上方から塞ぐことができる。
【0131】
また、張出部231が床下地材52上に載置されることにより落下防止部201が支持されているため、張出部231と床下地材52との密着性を高めることができる。これにより、隙間240を通じた空気の流れを防止することができ、その結果、LDK42における気密性の低下を防止することができる。
【0132】
・フラップ206は、プラスチックからなる。このため、フラップ206が閉方向に傾動してフラップ206と側板部202の外面部とが接触した際に、接触音が発生するのを抑制することができる。
【0133】
・フラップ206を側板部202に取り付ける際には、予め複数のリング211が取り付けられたフラップ206を側板部202に取り付けることが考えられる。本第2実施形態によれば、このようにフラップ206を側板部202に取り付ける際には、まず、リング211A,211Cを、それぞれ縦向きの状態で、各コ字状スリット215A,215Cの縦スリット部216に挿し入れる。続いて、フラップ206を横方向に移動させ、各リング211A,211Cを、上下の各横スリット部217を通じてスリット端部217aまで導く。続いて、フラップ206を左右に撓ませて、リング211Bをコ字状スリット215Bの縦スリット部216に挿し入れる。続いて、フラップ206の撓みを解除して、各リング211A,211Cを、上下の各横スリット部217を通じてスリット端部217aまで導く。このようにして、フラップ206をリング211を介して側板部202に比較的簡単に取り付けることができる。
【0134】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0135】
(1)上記実施形態では、床下空間66を換気対象の裏空間として想定しているが、これに限定されない。例えば、建物10は、屋根裏空間33を有しているが、かかる屋根裏空間には、夏場に熱気や湿気が滞留しやすい。このため、屋根裏空間33と屋外とを連通する屋根裏換気口と、屋根裏空間33内の空気を屋根裏換気口から屋外に排出させるように、空気の流れを生じさせる屋根裏換気扇とを設け、それにより、夏場において屋根裏空間33の換気を行う場合がある。また、屋根裏空間33の換気を行う場合に、LDK42と屋根裏空間33とを連通する天井開口部(連通路に相当)を設け、それにより屋根裏空間33にLDK42から空気を取り込みながら換気を行うことも想定される。しかしながら、このような構成では、夏場にキッチン換気扇48を作動させると、LDK42の気圧が屋根裏空間33の気圧よりも低くなり、屋根裏空間33から天井開口部を通じてLDK42に熱気が流れ込むおそれがある。
【0136】
そこで、上記の不都合に対する対策として、上述した屋根裏空間33の換気構造に本発明の換気構造を適用してもよい。具体的な構成例としては、屋根裏空間33側から天井開口部を覆う覆い部材を設けることが考えられる。覆い部材は、上記実施形態における落下防止部101に類似した構成を有しており、天井開口部に向けて下方に開口する箱状に形成されている。覆い部材の側板部には、覆い部材の内外を連通する通気口が設けられている。この場合、通気口と覆い部材の内側空間と天井開口部とを含んでLDK42と屋根裏空間33とを連通する連通路が構成される。
【0137】
そして、覆い部材の側板部の通気口には、シート状のフラップを開閉可能に設ける。この際、フラップは、側板部の外面側から通気口を覆うように設けるとよい。かかる構成とすることで、夏場において屋根裏換気扇により屋根裏空間33の換気が行われている場合には、連通路を通じて屋根裏空間33に流れる空気によりフラップが開位置側に押されて開状態に保持される。一方、キッチン換気扇48が作動してLDK42の気圧が屋根裏空間33の気圧よりも低くなった場合には、気圧差によりフラップが閉位置側に押されて当該閉位置に保持される。これにより、キッチン換気扇48の作動時には連通路が閉鎖されるため、屋根裏空間33から連通路を通じてLDK42に熱気が流れ込むのを抑制することができる。
【0138】
(2)上記実施形態では、落下防止部101の側板部104に通気口111を設けたが、通気口111を設ける位置や通気口111の数はこれに限定されない。例えば、側板部106に設けてもよいし、全ての側板部104,106に設けてもよい。
【0139】
また、底板部108に通気口111を設けることも可能である。この場合には、重力が開閉部材を付勢する方向が、開閉部材の閉方向とは異なるため、ばね等の付勢部材を別途設けるなどして、開閉部材が閉方向に付勢されるようにする。
【0140】
(3)上記実施形態では、開閉部材としてのフラップ114を落下防止部101に設けたが、建物によっては落下防止部101が設けられていない場合がある。その場合、開閉部材を床開口部72の床下空間66側の開口周縁部に設け、その開閉部材が床開口部72を開閉する構成としてもよい。なお、この場合、床開口部72が連通路に相当する。
【0141】
また、床開口部72の開口周縁部から床下空間66側に延びるダクトを設け、そのダクト内通路を開閉する開閉部材を設けるようにしてもよい。この場合、ダクト内通路は床開口部72と連通させる。なお、この場合、ダクト内通路と床開口部72とを含んで連通路が構成される。
【0142】
(4)上記(1)で説明した屋根裏空間33の換気構造において、開閉部材を覆い部材に設けることに代え、開閉部材を天井開口部の屋根裏空間33側の開口周縁部に取り付け、その開閉部材により天井開口部を開閉する構成を採用してもよい。例えば、開閉部材を、回動軸を介して上記開口周縁部に取り付け、回動により開閉部材が傾動するようにする。具体的には、開閉部材を、天井開口部を閉鎖する閉位置において水平の向きとなるように設け、開閉部材が自重により閉位置側に付勢されるようにする。
【0143】
かかる構成によれば、屋根裏空間33の換気時には、開閉部材がLDK42から屋根裏空間33に天井開口部を通じて流れる空気により押され開位置に保持される。また、キッチン換気扇48が作動してLDK42の気圧が屋根裏空間33の気圧よりも低くなった場合には、気圧差により開閉部材が閉位置側に押されるとともに、自重により閉位置側に付勢されて閉位置に保持される。このため、かかる構成においても、屋根裏空間33からLDK42に熱気が流れ込むのを抑制することができる。
【0144】
(5)上記実施形態では、開閉部材としてのフラップ114を、通気口111を覆うように設けたが、開閉部材を設ける位置はこれに限定されない。例えば、連通路71の中間部に設けるようにしてもよい。この場合、床下空間66の換気が行われる場合には、開閉部材が開位置となって連通路71を通じてLDK42から床下空間66に空気が流れるようにする一方で、床下空間66の換気が行われない場合には、開閉部材が閉状態となって連通路71を遮断することで、床下空間66からLDK42への空気の流入を抑制するようにすればよい。
【0145】
(6)上記実施形態では、通気口111の形状及びフラップ114の形状が横長の長方形状とされているが、例えば、通気口111及びフラップ114の形状を略正方形状とする等、他の形状としてもよい。
【0146】
(7)上記実施形態では、フラップ114をリング115を介して落下防止部101(詳しくは側板部104)に取り付けたが、フラップ114の取り付け方は必ずしもこれに限定されない。例えば、フラップ114を回動軸を介して落下防止部101に取り付けてもよい。この場合、フラップ114が回動軸を中心として回動することで、フラップ114が閉位置と開位置との間で傾動することになる。
【0147】
また、フラップ114を可撓性に優れた材質(例えばフィルム)により形成するとともに、フラップ114の上端部を側板部106に接着剤等で接着することにより取り付けてもよい。この場合、フラップ114の下部が撓み変形することにより、フラップ114が閉位置と開位置との間で傾動することになる。
【0148】
(8)上記実施形態では、床下空間66側に突出して設けられた落下防止部101に通気口111及びフラップ114を設けたが、これに限定されない。例えば、連通路の一部をLDK42側に突出させ、当該突出した部分に通気口及びフラップを設けるようにしてもよい。
【0149】
また、この場合、通気口においては、LDK42から床下空間66に流れる空気は連通路の外部側から内部側へと流れ、床下空間66からLDK42に流れる空気は連通路の内部側から外部側へと流れることになる。このため、フラップは、連通路の内側面に取り付けるようにするとよい。この場合、床下空間66の換気時には、フラップがLDK42から床下空間66に流れる空気に押されて開状態に保持される。また、床下空間66の換気が行われていない場合には、自重によって閉状態に保持される。
【0150】
(9)上記第2実施形態では、リング部材の形状は、真円環状としたが、これに限定されるものではない。例えば、リング部材の形状は、全体として楕円状であってもよいし、円環状以外の環状であってもよい。ただし、開閉部材を円滑に傾動させる上では、リング部材の形状は真円環状が好ましい。
【0151】
(10)上記第2実施形態では、リング部材は切れ目のない無端状に形成されていたが、有端状としてもよい。この場合、リング部材を落下防止部に取り付け易くなる。しかし、リング部材が有端状であると、リング部材の解放部分(端部)が開閉部材の傾動を妨げたり、リング部材の解放部分を通じてリング部材が開閉部材から脱落したりすることを回避できるため、リング部材は無端状に形成するのが好ましい。
【0152】
(11)上記第1及び第2実施形態では、リング部材の数は、3つとしたが、これに限定されるものではない。
【0153】
(12)横スリット部のスリット端部の形状は、上記第2実施形態のものに限定されない。例えば、横スリット部のスリット端部は、丸孔状である必要はなく、四角孔状であってもよい。横スリット部の上辺部が、全域に亘って直線状をなすようにしてもよく、下方への凹みが形成されていれば、所望の効果を得ることができる。
【0154】
また、凹み部219は、必須の構成ではない。例えば、横スリット部の下辺部から突出する突出部を設け、この突出部によりリング部材の縦スリット部方向への変位を抑制するようにしてもよい。この場合、突出部が立ち上がり部に相当し、横スリット部のうち突出部により縦スリット部側の領域から区画された部分が、スリット端部に相当する。
【0155】
また、立ち上がり部についても、必須の構成ではない。例えば、横スリット部の上辺部及び下辺部が、全域に亘って直線状をなすようにしてもよい。かかる構成においても、第1スリット部と第2スリット部との間隔を、両端のリング部材の間隔よりも小さく設定することで、開閉部材(リング部材)の変位を抑制することが可能である。
【0156】
(13)上記第2実施形態では、縦スリット部216と上下一対の横スリット部217とが、全体として略コ字状のコ字状スリット215を形成するようにした。そして、かかるコ字状スリット215が、左右方向に所定の間隔で3つ並べて配置されていた。しかし、縦スリット部や横スリット部の構成は、これに限定されるものではない。例えば、3つの横スリット部217同士を横方向に連続させてもよい。この場合、1つの横スリット部を3つのリング211が挿通することになる。つまり、1つの横スリット部と複数のリング部材とが対応する構成とすることも可能である。
【0157】
また、1つの横スリット部を複数のリング部材が挿通する構成においては、縦スリット部は、リング部材の数だけ設けられている必要はない。縦スリット部は、横スリット部ごとに設けられていればよい。つまり、1つの縦スリット部と複数のリング部材とが対応する構成とすることも可能である。
【0158】
(14)上記第2実施形態では、上下一対の開口部として、一対の横スリット部217とを設けたが、これに限定されるものではない。例えば、通気口が、上下一対の開口部のうち、下側の開口部に相当するようにしてもよい。この場合、縦スリット部は、通気口の上方に設けられた横スリット部と、通気口とを繋ぐように設けるようにする。かかる構成においても、容易にリング部材を落下防止部に取り付けることが可能となる。ただし、通気口の上方において開閉部材と側板部との接触面積を比較的大きく確保したり、開閉部材の孔部が通気口と重ならないようにしたりして、開閉部材により通気口をより確実に閉鎖可能である点では、上記第2実施形態の構成が好ましい。
【0159】
(15)上記第2実施形態では、落下防止部にリング部材を取り付けてから、落下防止部を床開口部を通じて設置することを想定したが、これに限定されるものではない。落下防止部を床開口部を通じて設置してから、リング部材を取り付けるようにしてもよい。この場合、リング部材が床開口部の内周面に干渉するのを回避すべく、落下防止部の外側面と床開口部の内周面との間に隙間を設けなくてもよい。つまり、落下防止部の外側面と床開口部の内周面との間の隙間は必須の構成ではない。ただし、上述のとおり、リング部材を落下防止部に取り付ける際の作業性の点からは、上記第2実施形態の手順が好ましいと考えられる。
【0160】
(16)上記第2実施形態では、落下防止部201に第1凸部226を設けたが、第1凸部226は必須の構成ではない。また、第1凸部226の突出寸法L4は、上記第2実施形態の寸法に限定されるものではない。例えば、リング211の最大突出寸法L1と略同一としてもよい。この場合、リング211が床開口部72bの内周面に当たって変形等してしまうのを好適に回避することができる。ただし、落下防止部を床開口部を通じて設置可能とすべく、落下防止部の外側面と床開口部の内周面との間の隙間の寸法を、上記第2実施形態よりも大きく設定する必要がある。
【0161】
(17)上記第2実施形態では、落下防止部201に第2凸部228を設けたが、第2凸部228は必須の構成ではない。また、第2凸部228の突出寸法L5は、上記第2実施形態の寸法に限定されるものではなく、落下防止部の外側面と床開口部の内周面との間の隙間の寸法以下に設定されていればよい。
【0162】
(18)上記第2実施形態では、第1凸部226と第2凸部228とは、それぞれ独立して形成されているが、上下に連続して延びる1つの凸部として設けられていてもよい。また、第1凸部226の突出寸法L4と第2凸部228の突出寸法L5とは、同一でなくてもよい。
【0163】
(19)上記第2実施形態では、隙間240によるLDK42の気密性低下を抑制すべく、張出部231を設けたが、張出部231は必須の構成ではない。例えば、上記第1実施形態のように、フック部121により落下防止部が床開口部において支持されている構成としてもよい。その場合、気密性向上のための構成を別途設けることが考えられる。具体的には、床下地材の上面と落下防止部の上端との境界部分にテープ材を貼り、落下防止部の外側面と床開口部の内周面との間の隙間を上方から塞ぐことが考えられる。また、落下防止部の外側面と床開口部の内周面との間の隙間に、ゴム等により形成された気密材を充填するようにしてもよい。
【0164】
(20)フラップ206をリング211を介して側板部202に取り付ける手順については、上記第2実施形態のものに限定されない。例えば、リング211を側板部202に取り付けてから、リング211にフラップ206を取り付けるようにしてもよい。
【0165】
(21)上記第2実施形態では、コ字状スリット215Aの縦スリット部216とコ字状スリット215Bの縦スリット部216との間隔D1が、両端のリング211Aとリング211Bとの間隔D2よりも小さくなるようにした。しかし、コ字状スリット215A及びコ字状スリット215Bの形状をそれぞれ左右に反転させ、間隔D1が間隔D2よりも大きくなるようにしてもよい。ただし、かかる構成とした場合には、リング211が取り付けられた状態のフラップ206を側板部202に取り付けようとすると、フラップ206を左右に引き延ばすことになり好ましくない。なお、かかる構成とした場合であっても、リング211を側板部202に取り付けてから、フラップ206をリング211に取り付けるようにすれば、フラップ206をリング211を介して側板部202に取り付けることは可能である。
【0166】
(22)上記第2実施形態では、両端に位置するコ字状スリット215A,215Bの間に位置するコ字状スリット215Cは、コ字状スリット215Aと同じ向きで配置したが、コ字状スリット215Bと同じ向きで配置してもよい。
【0167】
(23)開閉部材の素材は、プラスチック製に限定されるものではない。ただし、開閉部材と落下防止部との接触音を抑制する点からは、プラスチックのような軟質の素材を用いることが好ましい。なお、開閉部材を金属のような硬質の素材により形成した場合には、落下防止部を軟質の素材で形成したり、開閉部材と落下防止部との間に緩衝部材を設けたりすることで、接触音の抑制を図るとよい。
【0168】
(24)フラップ206の切り込み208の形状は、上記第2実施形態のものに限定されるものではない。例えば、L字状としてもよい。ただし、切り込み208は、切り込み208を通じてリング211が脱落することを回避するため、孔部207の内周面のうち上端を除いた部分から延びるように形成する。
【0169】
(25)コ字状スリット215のうちスリット端部217aを除いた部分は、リング211をスリット端部217aに挿通した後で塞ぐようにするとよい。例えば、側板部202の内面にテープを貼り付けて、コ字状スリット215のうちスリット端部217aを除いた部分を覆うようにすることが考えられる。フラップ206の切り込み208についても同様に、フラップ206の側板部202側の面にテープを貼りつけて、切り込み208を覆うようにするとよい。
【符号の説明】
【0170】
10…建物、42…居住空間としてのLDK、61…基礎、66…裏空間としての床下空間、67…換気通路及び換気口としての床下換気口、68…気流発生手段としての床下換気扇、71…連通路、72…連通路を構成する床開口部、101…落下防止部、104,106…側板部、108…底板部、109…連通路を構成する内側空間、111…連通路を構成する通気口、112…重なり部としての柱部、114…開閉部材としてのフラップ、115…吊り部としてのリング、201…落下防止部、202,203…側板部、204…底板部、205…通気口、206…開閉部材としてのフラップ、207…孔部、209…連通路を構成する内側空間、211…吊り部及びリング部材としてのリング、216…スリット部としての縦スリット部、217…開口部としての横スリット部、217a…スリット端部、221…立ち上がり部、226…凸部としての第1凸部、231…張出部。