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特開2022-141595樹脂組成物、成形体及びポリオレフィン樹脂用の流動性向上剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022141595
(43)【公開日】2022-09-29
(54)【発明の名称】樹脂組成物、成形体及びポリオレフィン樹脂用の流動性向上剤
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/00 20060101AFI20220921BHJP
   C08L 93/04 20060101ALI20220921BHJP
   C08L 23/06 20060101ALI20220921BHJP
   C08L 23/12 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
C08L23/00
C08L93/04
C08L23/06
C08L23/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022035396
(22)【出願日】2022-03-08
(31)【優先権主張番号】P 2021040944
(32)【優先日】2021-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000168414
【氏名又は名称】荒川化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】芝原 遼
(72)【発明者】
【氏名】佐俣 雄吾
(72)【発明者】
【氏名】洲脇 瑞華
(72)【発明者】
【氏名】柴地 功基
(72)【発明者】
【氏名】中谷 隆
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002AF022
4J002BB031
4J002BB041
4J002BB051
4J002BB071
4J002BB081
4J002BB091
4J002BB111
4J002BB121
4J002BB141
4J002BB161
4J002BB171
4J002BB191
4J002FD022
(57)【要約】
【課題】本発明は、ポリオレフィン樹脂が有する機械的強度を維持しつつ、成形加工性に優れるポリオレフィン樹脂組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】ポリオレフィン樹脂(A)及びロジン酸(B)を含み、前記ロジン酸(B)の重量平均分子量が280~340であり、前記ロジン酸(B)の含有量が、ポリオレフィン樹脂(A)100質量部に対して、0.1~5質量部である、樹脂組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン樹脂(A)及びロジン酸(B)を含み、
前記ロジン酸(B)の重量平均分子量が280~340であり、
前記ロジン酸(B)の含有量が、ポリオレフィン樹脂(A)100質量部に対して、0.1~5質量部である、樹脂組成物。
【請求項2】
(A)成分が、ポリエチレン及びポリプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
(B)成分の酸価が、130~200mgKOH/gである、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
(B)成分が、天然ロジン、精製ロジン、水素化ロジン及び不均化ロジンからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1~3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の樹脂組成物から得られる、成形体。
【請求項6】
重量平均分子量が280~340であるロジン酸(B)を含む、ポリオレフィン樹脂用の流動性向上剤。
【請求項7】
前記ポリオレフィン樹脂が、ポリエチレン及びポリプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項6に記載のポリオレフィン樹脂用の流動性向上剤。
【請求項8】
(B)成分の酸価が、130~200mgKOH/gである、請求項6又は7に記載のポリオレフィン樹脂用の流動性向上剤。
【請求項9】
(B)成分が、天然ロジン、精製ロジン、水素化ロジン及び不均化ロジンからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項6~8のいずれか1項に記載のポリオレフィン樹脂用の流動性向上剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物、成形体及びポリオレフィン樹脂用の流動性向上剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィン樹脂は、優れた機械的性質を有しているため、射出成形品、中空成形品、フィルム、シート、繊維などに加工され各種用途に用いられている。
【0003】
これらポリオレフィン樹脂は、優れた衝撃強度を有しているが、溶融時の流動性が悪く、高速成形を行うとメルトフラクチャーなどの問題を生じる。このため、通常、ポリオレフィン樹脂に滑剤等の添加剤を添加することにより、溶融時における見かけの流動粘度を低下させて、成形加工性を向上させるとともに、押出量を増加させて生産性を向上させている(特許文献1)。
【0004】
しかしながら、従来の滑剤を用いた場合には、滑剤の増量にともなって溶融流動性は向上する一方で、ポリオレフィン樹脂の機械的強度が低下するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-009754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ポリオレフィン樹脂が有する機械的強度を維持しつつ、成形加工性に優れるポリオレフィン樹脂組成物を提供することを課題とする。
【0007】
また、本発明は、ポリオレフィン樹脂が有する機械的強度を維持しつつ、ポリオレフィン樹脂の成形加工性を向上し得る、新規な流動性向上剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、ポリオレフィン樹脂に、特定のロジン酸を所定の使用量で用いた組成物によって、上記課題を解決することを見出した。また、本発明者は、特定のロジン酸を含む流動性向上剤によって、上記課題を解決することを見出した。すなわち、本発明は、以下の樹脂組成物、成形体及び流動性向上剤に関する。
【0009】
1.ポリオレフィン樹脂(A)及びロジン酸(B)を含み、
前記ロジン酸(B)の重量平均分子量が280~340であり、
前記ロジン酸(B)の含有量が、ポリオレフィン樹脂(A)100質量部に対して、0.1~5質量部である、樹脂組成物。
【0010】
2.(A)成分が、ポリエチレン及びポリプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種である、上記項1に記載の樹脂組成物。
【0011】
3.(B)成分の酸価が、130~200mgKOH/gである、上記項1又は2に記載の樹脂組成物。
【0012】
4.(B)成分が、天然ロジン、精製ロジン、水素化ロジン及び不均化ロジンからなる群より選択される少なくとも1種である、上記項1~3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【0013】
5.上記項1~4のいずれか1項に記載の樹脂組成物から得られる、成形体。
【0014】
6.重量平均分子量が280~340であるロジン酸(B)を含む、ポリオレフィン樹脂用の流動性向上剤。
【0015】
7.前記ポリオレフィン樹脂が、ポリエチレン及びポリプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種である、上記項6に記載のポリオレフィン樹脂用の流動性向上剤。
【0016】
8.(B)成分の酸価が、130~200mgKOH/gである、上記項6又は7に記載のポリオレフィン樹脂用の流動性向上剤。
【0017】
9.(B)成分が、天然ロジン、精製ロジン、水素化ロジン及び不均化ロジンからなる群より選択される少なくとも1種である、上記項6~9のいずれか1項に記載のポリオレフィン樹脂用の流動性向上剤。
【発明の効果】
【0018】
本発明の樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂が有する機械的強度を維持しつつ、溶融時の流動性に優れるため、成形加工性に優れる。また、本発明の流動性向上剤は、ポリオレフィン樹脂に用いることにより、ポリオレフィン樹脂の機械的強度を維持しつつ、溶融時の流動性を向上させるため、その成形加工性を向上させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂(A)(以下、(A)成分とも記す)及びロジン酸(B)(以下、(B)成分とも記す)を含むものである。
【0020】
<ポリオレフィン樹脂(A)>
(A)成分は、特に限定されず、各種公知のものを使用できる。(A)成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせても良い。
【0021】
(A)成分は、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン等の炭素数2~8程度のα-オレフィンの単独重合体;それらα-オレフィンと、エチレン、プロピレン、1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-オクタデセン等の炭素数2~18程度の他のα-オレフィンや酢酸ビニル等との二元あるいは三元の(共)重合体等が挙げられる。
【0022】
(A)成分は、例えば、ポリエチレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-1-ブテン共重合体、エチレン-プロピレン-1-ブテン共重合体、エチレン-4-メチル-1-ペンテン共重合体、エチレン-1-ヘキセン共重合体、エチレン-1-ヘプテン共重合体、エチレン-1-オクテン共重合体等のエチレン系樹脂;ポリプロピレン、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-エチレン-1-ブテン共重合体、プロピレン-エチレン-4-メチル-1-ペンテン共重合体、プロピレン-エチレン-1-ヘキセン共重合体等のプロピレン系樹脂;1-ブテン単独重合体、1-ブテン-エチレン共重合体、1-ブテン-プロピレン共重合体等の1-ブテン系樹脂;4-メチル-1-ペンテン単独重合体、4-メチル-1-ペンテン-エチレン共重合体等の4-メチル-1-ペンテン系樹脂等が挙げられる。
【0023】
(A)成分は、成形加工性に優れる点から、エチレン、プロピレン、1-ブテン等の炭素数2~8程度のα-オレフィンの単独重合体;前記α-オレフィンとエチレン、プロピレン、1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-オクタデセン等の炭素数2~18程度の他のα-オレフィンとの二元あるいは三元の(共)重合体が好ましく、同様の点から、ポリエチレン及びポリプロピレンからなる群より選択される少なくとも一種がより好ましい。
【0024】
なお、(A)成分が、上記α-オレフィンと不飽和カルボン酸との共重合体、又は該共重合体の塩である場合は、成形加工性が低下するため好ましくはない。不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等が挙げられる。
【0025】
<ロジン酸(B)>
(B)成分は、重量平均分子量(Mw)が280~340であるロジン酸であれば、特に限定されず、各種公知のものを使用できる。(B)成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせても良い。
【0026】
本発明の樹脂組成物は、(B)成分を用いることにより、樹脂組成物の溶融時における流動性が向上して成形加工性に優れ、且つ(A)成分が有する機械的強度を維持し得る。上記樹脂組成物は、(B)成分以外のロジン系樹脂、例えば、ロジン酸とアルコールとの反応物であるロジンエステル類、ロジン酸の各種金属塩などを用いる場合は、樹脂組成物の溶融時における流動性が向上せず、又は低下してしまうため、成形加工性が向上しない。
【0027】
(B)成分は、例えば、馬尾松(Pinus massoniana)、スラッシュ松(Pinus elliottii)、メルクシ松(Pinus merkusii)、カリビア松(Pinus caribaea)、思茅松(Pinus kesiya)、テーダ松(Pinus taeda)及び大王松(Pinus palustris)等に由来する天然ロジン(ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン)、精製ロジン(以下、天然ロジンと精製ロジンを纏めて、未変性ロジンともいう)、水素化ロジン、不均化ロジン及びこれらロジンに含まれる樹脂酸等が挙げられる。
【0028】
上記精製ロジンは、各種公知の手段を用いて得ることができる。具体的には、例えば、蒸留法、抽出法、再結晶法、吸着法等の各種公知の精製手段を用いて得ることができる。蒸留法は、例えば、上記天然ロジンを通常200~300℃程度の温度、0.01~3kPa程度の減圧下で蒸留する方法等が挙げられる。抽出法は、例えば、上記天然ロジンをアルカリ水溶液とし、不溶性の不ケン化物を各種の有機溶媒により抽出した後に水層を中和する方法等が挙げられる。再結晶法は、例えば、上記天然ロジンを良溶媒としての有機溶媒に溶解し、ついで溶媒を留去して濃厚な溶液とし、更に貧溶媒としての有機溶媒を添加する方法等が挙げられる。良溶媒は、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、クロロホルムなどの塩素化炭化水素溶媒、低級アルコール、アセトンなどのケトン類、酢酸エチルなどの酢酸エステル類等が挙げられる。貧溶媒は、例えばn-ヘキサン、n-ヘプタン、シクロヘキサン、イソオクタン等が挙げられる。吸着法は、例えば、溶融状態の上記天然ロジン又は有機溶媒に溶解させた溶液状の上記天然ロジンを、多孔質吸着剤に接触させる方法等が挙げられる。多孔質吸着剤は、例えば、活性炭、金属酸化物、たとえばアルミナ、ジルコニア、シリカ、モレキュラーシーブス、ゼオライト、微細孔の多孔質クレー等が挙げられる。
【0029】
また、上記精製ロジンとしては、得られた精製ロジンに、更に後述の不均化、後述の水素化の各操作を単独で、又は2種以上を組み合わせて行ってもよい。
【0030】
上記不均化ロジンは、各種公知の手段を用いて得ることができる。具体的には、例えば、上記未変性ロジンを不均化触媒の存在下に加熱する方法(不均化)により得ることができる。不均化触媒としては、パラジウム-カーボン、ロジウム-カーボン、白金-カーボン等の担持触媒;ニッケル、白金等の金属粉末;ヨウ素、ヨウ化鉄等のヨウ化物の各種公知のものを使用できる。該触媒の使用量は、未変性ロジン100質量部に対して通常0.01~5質量部程度であり、好ましくは0.01~1質量部程度である。反応温度は100~300℃程度であり、好ましくは150~290℃程度である。
【0031】
また、上記不均化ロジンとしては、得られた不均化ロジンに、更に上記精製、不均化、後述の水素化の各操作を単独で、又は2種以上を組み合わせて行ってもよい。
【0032】
上記水素化ロジンは、各種公知の手段を用いて得ることができる。具体的には、例えば、公知の水素化条件を用いて上記未変性ロジンを水素化することにより得ることができる。水素化条件は、例えば、水素化触媒の存在下、水素圧2~20MPa程度で、100~300℃程度に上記未変性ロジンを加熱する方法等が挙げられる。また、水素圧は5~20MPa程度、反応温度は150~300℃程度とすることが好ましい。水素化触媒としては、担持触媒、金属粉末等、各種公知のものを使用することができる。担持触媒としては、パラジウム-カーボン、ロジウム-カーボン、ルテニウム-カーボン、白金-カーボン等が挙げられる。金属粉末としては、ニッケル、白金等が挙げられる。これらの中でもパラジウム、ロジウム、ルテニウム、及び白金系触媒が、上記未変性ロジンの水素化率が高くなり、水素化時間が短くなるため好ましい。なお、水素化触媒の使用量は、上記未変性ロジン100質量部に対して、通常0.01~5質量部程度であり、好ましくは0.01~2質量部程度である。
【0033】
上記水素化は、必要に応じて、上記未変性ロジンを溶剤に溶解した状態で行ってもよい。使用する溶剤は特に限定されないが、反応に不活性で原料や生成物が溶解しやすい溶剤であればよい。具体的には、例えば、シクロヘキサン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、デカリン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等を1種または2種以上を組み合わせて使用できる。溶剤の使用量は特に制限されないが、通常、上記未変性ロジンに対して固形分が10質量%以上、好ましくは10~70質量%程度の範囲となるように用いればよい。
【0034】
また、上記水素化ロジンとしては、得られた水素化ロジンに、更に上記精製、水素化、不均化の各操作を単独で、又は2種以上を組み合わせて行ってもよい。
【0035】
また、(B)成分の色調を向上させることを目的に、精製ロジン、水素化ロジン、不均化ロジンに対して、さらに脱水素化処理を行ってもよい。脱水素化処理は、特に限定されず、通常の条件を採用できる。脱水素化処理は、例えば、(B)成分を脱水素化触媒の存在下、密閉容器中で水素初圧10kg/cm2未満、好ましくは5kg/cm2未満、反応温度100~300℃程度、好ましくは下限200℃、上限280℃の範囲で行う。脱水素化触媒としては特に制限なく各種公知のものを使用できるが、好ましくはパラジウム系、ロジウム系、白金系の触媒を例示でき、通常シリカ、カーボンなどの担体に担持して使用される。また、該触媒の使用量は、(B)成分に対して通常0.01~5重量%程度、好ましくは下限0.05重量%、上限3重量%とされる。
【0036】
上記樹脂酸は、例えば、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、レボピマル酸、パラストリン酸、ピマル酸、イソピマル酸、サンダラコピマル酸、デヒドロアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸、テトラヒドロピマル酸、テトラヒドロイソピマル酸、コムン酸(Communic acid)、ジヒドロアガト酸(Dihydroagathic acid)等が挙げられる。
【0037】
(B)成分は、樹脂組成物の機械的強度及び成形加工性に優れる点から、天然ロジン、精製ロジン、水素化ロジン及び不均化ロジンからなる群より選択される少なくとも1種であるのが好ましい。
【0038】
(ロジン酸(B)の物性)
(B)成分の重量平均分子量(Mw)は、280~340である。なお、本明細書において、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算値である。
【0039】
(B)成分の重量平均分子量が280以上である場合は、樹脂組成物の機械的強度に優れる。(B)成分の重量平均分子量が340以下である場合は、樹脂組成物の機械的強度及び成形加工性に優れる。(B)成分の重量平均分子量は、樹脂組成物の機械的強度及び成形加工性に優れる点から、300~320程度が好ましい。
【0040】
(B)成分の重量平均分子量が340超である場合は、樹脂組成物において成形加工性や機械的強度が低下する。そのようなロジン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸により変性されたロジン(不飽和カルボン酸変性ロジン)、重合ロジン等が挙げられる。
【0041】
(B)成分は、重量平均分子量以外の物性は特に限定されない。(B)成分の酸価は、樹脂組成物の機械的強度及び成形加工性に優れる点から、130~200mgKOH/g程度が好ましく、同様の点から、150~195mgKOH/g程度がより好ましい。なお、本発明において、酸価は、JIS K0070により測定した値、又は後述の実施例に記載の方法により測定した値である。
【0042】
(B)成分の色調は、樹脂組成物における着色が抑制される点から、8ガードナー以下が好ましく、10~400ハーゼン程度がより好ましく、10~200ハーゼン程度が特に好ましい。なお、本明細書において、色調は、ハーゼン単位はJIS K 0071-1に準拠して、ガードナー単位はJIS K 0071-2に準拠して測定されたものである。
【0043】
(B)成分は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて各種公知の添加剤を含み得る。添加剤は、例えば、脱水剤、耐候剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、光安定剤等が挙げられる。上記添加剤は、1種を単独で、又は2種以上を併用して用いる事が出来る。
【0044】
(添加剤)
上記樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて、添加剤を含んでいてもよい。添加剤は、例えば、難燃剤(例えば、リン含有エポキシ樹脂や赤燐、ホスファゼン化合物、リン酸塩類、リン酸エステル類等)、シリコーンオイル、湿潤分散剤、消泡剤、脱泡剤、天然ワックス類、合成ワックス類、直鎖脂肪酸の金属塩、脂肪酸アミド、エステル類、パラフィン類等の離型剤、結晶質シリカ、溶融シリカ、ケイ酸カルシウム、アルミナ、炭酸カルシウム、タルク、無機顔料、有機顔料、脱水剤、結晶核剤、可塑剤、(B)成分以外の流動性改良剤、耐候剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、光安定剤等が挙げられる。
【0045】
上記無機顏料は、カドミウムレッド、カドミウムレモンイエロー、カドミウムイエローオレンジ、二酸化チタン、カーボンブラック、黒色酸化鉄、黒色錯体無機顏料等が例示される。
【0046】
上記有機顏料は、アニリンブラック、ペリレンブラック、アントラキノンブラック、 ベンジジン系黄色顏料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等が例示される。
【0047】
(各成分の含有量)
上記樹脂組成物における(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、0.1~5質量部である。
【0048】
(B)成分の含有量が、(A)成分100質量部に対して0.1質量部以上である場合は、樹脂組成物の成形加工性に優れる。(B)成分の含有量が(A)成分100質量部に対して5質量部以下である場合は、樹脂組成物の成形加工性に優れ、その機械的強度も維持される。
【0049】
上記樹脂組成物における(B)成分の含有量は、樹脂組成物の機械的強度及び成形加工性に優れる点から、(A)成分100質量部に対して、0.3~2質量部であるのが好ましい。
【0050】
上記樹脂組成物における上記添加剤の含有量は、特に限定されないが、上記樹脂組成物100質量部に対して、通常0.001質量部以上、好ましくは0.005質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、また、通常100質量部以下、好ましくは50質量部以下である。
【0051】
(樹脂組成物の製造方法)
上記樹脂組成物の製造方法は、特に限定されず、各種公知の方法を採用できる。上記樹脂組成物の製造方法は、例えば、(A)成分、(B)成分及び必要に応じて上記添加剤を、タンブラーミキサーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用い予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどの混合機で溶融混練する方法が挙げられる。当該溶融混練の温度は、特に制限されないが、通常170~300℃、好ましくは180~250℃の範囲である。
【0052】
[成形体]
本発明の成形体は、各種公知の成形法により、上記樹脂組成物を成形して得られる。成形体の形状としては、特に制限はなく、成形体の用途、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、板状、プレート状、ロッド状、シート状、フィルム状、円筒状、環状、円形状、楕円形状、多角形形状、異形品、中空品、枠状、箱状、パネル状のもの等が挙げられる。
【0053】
上記成形体を成形する方法としては、特に制限されず、従来公知の成形法を採用できる。具体的には、例えば、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、延伸フィルム成形、インフレーション成形、異形押出法、トランスファー成形法、中空成形法、ガスアシスト中空成形法、ブロー成形法、押出ブロー成形、IMC(インモールドコ-ティング成形)成形法、プレス成形法、回転成形法、多層成形法、2色成形法、インサート成形法、サンドイッチ成形法、発泡成形法、加圧成形法等が挙げられる。中でも、成形は射出成形法により行われることが好ましい。射出成形機としては、超高速射出成形機、射出圧縮成形機等の公知の射出成形機等が挙げられる。
【0054】
上記成形体は、家庭用品から工業用品に亘る広い用途、例えば、自動車内装材、外板及びバンパー等の自動車材料、電気電子機器、家電部品、OA機器、情報端末機器、機械部品、包装用資材、建築資材、土木資材、水産資材、各種容器、照明機器、フィルム、シート、繊維、その他工業用資材等に好適に用いられる。
【0055】
上記電気電子機器は、例えば、カーナビ、パソコン、ゲーム機、テレビ、電子ペーパーなどのディスプレイ装置、プリンター、コピー機、ファックス、電子手帳やPDA、電子式卓上計算機、電子辞書、カメラ、ビデオカメラ、DVD等のディスプレイ機器、携帯電話、タブレット型携帯機器、タッチパネル式携帯機器等が挙げられる。
【0056】
[流動性向上剤]
本発明の流動性向上剤は、上述の(B)成分を含むものである。本発明の流動性向上剤は、ポリオレフィン樹脂に用いることにより、ポリオレフィン樹脂の機械的強度を維持しつつ、ポリオレフィン樹脂の溶融時における流動性を向上させ、その成形加工性を向上させる。上記流動性向上剤が、(B)成分以外のロジン系樹脂、例えば、ロジン酸とアルコールとの反応物であるロジンエステル類、ロジン酸の各種金属塩などを含む場合は、ポリオレフィン樹脂の溶融時における流動性を向上させることができず、又は低下させてしまうため、その成形加工性を向上させることができない。なお、本発明の流動性向上剤は、上記樹脂組成物とは異なるものである。
【0057】
上記流動性向上剤は、各種公知のポリオレフィン樹脂に対して用いることができる。当該ポリオレフィン樹脂としては、例えば、上述の(A)成分が挙げられる。ポリオレフィン樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせても良い。
【0058】
上記流動性向上剤が用いられるポリオレフィン樹脂としては、成形加工性に優れる点から、エチレン、プロピレン、1-ブテン等の炭素数2~8程度のα-オレフィンの単独重合体;前記α-オレフィンとエチレン、プロピレン、1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-オクタデセン等の炭素数2~18程度の他のα-オレフィンとの二元あるいは三元の(共)重合体が好ましく、同様の点から、ポリエチレン及びポリプロピレンからなる群より選択される少なくとも一種がより好ましい。
【0059】
上記流動性向上剤における(B)成分は、ポリオレフィン樹脂の機械的強度及び成形加工性に優れる点から、天然ロジン、精製ロジン、水素化ロジン及び不均化ロジンからなる群より選択される少なくとも1種であるのが好ましい。
【0060】
上記流動性向上剤における(B)成分の重量平均分子量(Mw)は、280~340である。なお、本明細書において、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算値である。
【0061】
(B)成分の重量平均分子量が280以上である場合は、ポリオレフィン樹脂の機械的強度が維持される。(B)成分の重量平均分子量が340以下である場合は、ポリオレフィン樹脂の機械的強度を維持しつつ、その成形加工性を向上させる。(B)成分の重量平均分子量は、ポリオレフィン樹脂の機械的強度及び成形加工性に優れる点から、300~320程度が好ましい。
【0062】
(B)成分の重量平均分子量が340超である場合は、ポリオレフィン樹脂における成形加工性や機械的強度が低下する。そのようなロジン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸により変性されたロジン(不飽和カルボン酸変性ロジン)、重合ロジン等が挙げられる。
【0063】
上記流動性向上剤における(B)成分は、重量平均分子量以外の物性は特に限定されない。(B)成分の酸価は、ポリオレフィン樹脂の機械的強度及び成形加工性に優れる点から、130~200mgKOH/g程度が好ましく、同様の点から、150~195mgKOH/g程度がより好ましい。なお、本発明において、酸価は、JIS K0070により測定した値、又は後述の実施例に記載の方法により測定した値である。
【0064】
上記流動性向上剤における(B)成分の色調は、ポリオレフィン樹脂の着色が抑制される点から、8ガードナー以下が好ましく、10~400ハーゼン程度がより好ましく、10~200ハーゼン程度が特に好ましい。なお、本明細書において、色調は、ハーゼン単位はJIS K 0071-1に準拠して、ガードナー単位はJIS K 0071-2に準拠して測定されたものである。
【0065】
上記流動性向上剤の使用量は、特に限定されないが、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、0.1~5質量部であるのが好ましい。
【0066】
上記流動性向上剤の使用量が、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して0.1質量部以上である場合は、ポリオレフィン樹脂の成形加工性がより優れる。上記流動性向上剤の使用量が、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して5質量部以下である場合は、ポリオレフィン樹脂の成形加工性がより優れ、その機械的強度も維持される。
【0067】
上記流動性向上剤の使用量は、ポリオレフィン樹脂の機械的強度及び成形加工性に優れる点から、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、0.3~2質量部であるのがより好ましい。
【0068】
本発明の流動性向上剤は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて各種公知の添加剤を含み得る。添加剤は、例えば、脱水剤、耐候剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、光安定剤等が挙げられる。上記添加剤は、1種を単独で、又は2種以上を併用して用いる事が出来る。上記添加剤の含有量は、特に限定されないが、流動性向上剤100質量部に対して、0.5~10質量部であることが好ましい。
【0069】
本発明の流動性向上剤の使用方法は、特に限定されない。上記流動性向上剤の使用方法は、例えば、混合機に、ポリオレフィン樹脂と共に流動性向上剤を添加し、当該混合機で溶融混練する方法等が挙げられる。上記混合機は、例えば、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダー等が挙げられる。
【実施例0070】
以下、本発明の実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実
施例に限定されるものではない。なお、例中の「部」および「%」とあるのは、それぞれ
「質量部」および「質量%」を表す。
【0071】
(ロジン酸(B)の製造)
製造例1
撹拌機、温度計、還流冷却器及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、ガムロジン(酸価172mgKOH/g、軟化点75℃)1000部に不均化触媒として5%パラジウムカーボン(含水率50%)0.3部を加え、窒素シール下、280℃で4時間攪拌して不均化反応を行ない、酸価160mgKOH/g、重量平均分子量320、色調6ガードナーの不均化ロジン(以下、(B1)成分とする)を得た。
【0072】
製造例2
3リットルのオートクレーブにガムロジン(酸価171mgKOH/g、軟化点76℃、色調ガードナー6)1000部と水素化触媒として5%パラジウムカーボン(含水率50%)2部を仕込み、系内の酸素を除去した後、系内を水素にて100Kg/cmに加圧後、撹拌下に260℃まで昇温し、同温度で3時間水素化反応を行ない、水素化ロジンを得た。次に、前記水素化ロジンを窒素シール下に3mmHgの減圧下で蒸留し、精製水素化ロジンを得た。そして、前記精製水素化ロジン200部と5%パラジウムカーボン(含水率50%)0.1部を1リットル振とう式オートクレーブに仕込み、窒素置換して系内の酸素を除去した後、系内を250℃まで昇温し、同温度で3時間脱水素化反応を行ない、酸価172.6mgKOH/g、重量平均分子量300、色調80ハーゼンの水素化ロジン(以下、(B2)成分とする)を得た。
【0073】
(酸価)
(B1)~(B2)成分及び(b1)~(b3)成分の酸価はJIS K 0070により測定した。結果を表1及び2に示す。
【0074】
(b4)成分の酸価は、以下の方法により測定した。結果を表1及び2に示す。
【0075】
(b4)成分0.3gをアセトン50mlに溶解させたアセトン溶液に対して、0.1mol/Lの水酸化カリウム水溶液を25ml加えた溶液を調製した。次に、当該溶液を10分放置して、指示薬としてフェノールフタレインを2,3滴加えた後、0.1mol/Lの塩酸によって滴定を行った。塩酸滴定量と(b4)成分の上記重量から、下記式によって(b4)成分の酸価を算出した。

酸価(mgKOH/g)={25-塩酸滴定量(ml)}×5.611/(b4)成分の重量(g)
【0076】
(色調)
(B1)~(B2)成分の色調は、ハーゼン単位はJIS K 0071-1に準拠して、ガードナー単位はJIS K 0071-2に準拠して測定した。
【0077】
(重量平均分子量(Mw)の測定)
(B1)~(B2)成分及び(b1)~(b4)成分の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、標準ポリスチレンの検量線から求めた、ポリスチレン換算値として算出した。なお、GPC法は以下の条件で測定した。結果を表1及び2に示す。
分析装置:HLC-8320(東ソー(株)製)
カラム:TSK guardcolumnHXL-L、TSK-GEL G2000HXL及びTSK-GEL G1000HXLの3種類のカラムを連結
溶離液:テトラヒドロフラン
注入試料濃度:3mg/mL
サンプル側流速:1.0mL/min
リファレンス側流速:0.5mL/min
注入量:40μL
カラム温度:40℃
検出器:RI、UV(254nm)
【0078】
[樹脂組成物の調製]
実施例1
ローラミキサ型混練装置((株)東洋精機製作所製、商品名「ラボプラストミル モデル 10C100」)に、ポリプロピレン(日本ポリプロ(株)製、商品名「ノバテックPP MA3」)(以下、PPとする)を100部及び(B1)成分を1部投入し、ローラ回転数40rpm、温度190℃で5分間混練した。その後、得られた混練物を当該混練装置から取り出し、200℃で熱プレスして、厚さ1.0mmのシート状に成形し、裁断機で5mm×5mmに裁断することでペレット(樹脂組成物)を得た。
【0079】
実施例2
実施例1において、(B1)成分の代わりに(B2)成分を1部使用した以外は、実施例1と同様に調製を行い、樹脂組成物を得た。
【0080】
実施例3
実施例1において、(B1)成分を0.3部使用した以外は、実施例1と同様に調製を行い、樹脂組成物を得た。
【0081】
比較例1
ローラミキサ型混練装置((株)東洋精機製作所製、商品名「ラボプラストミル モデル 10C100」)に、PPを100部投入し、ローラ回転数40rpm、温度190℃で5分間混練した。その後、得られた混練物を当該混練装置から取り出し、200℃で熱プレスして、厚さ1.0mmのシート状に成形し、裁断機で5mm×5mmに裁断することでペレット(樹脂組成物)を得た。
【0082】
比較例2
実施例1において、(B1)成分の代わりに水素化ロジンエステル(荒川化学工業(株)製、商品名「KE-311」、重量平均分子量780、酸価6mgKOH/g)(以下、(b1)成分という)を1部使用した以外は、実施例1と同様に調製を行い、ペレット(樹脂組成物)を得た。
【0083】
比較例3
実施例1において、(B1)成分の代わりにアクリル酸変性ロジンの水素化物(荒川化学工業(株)製、商品名「KE-604」、重量平均分子量380、酸価240mgKOH/g)(以下、(b2)成分という)を1部使用した以外は、実施例1と同様に調製を行い、ペレット(樹脂組成物)を得た。
【0084】
比較例4
実施例1において、(B1)成分の代わりに重合ロジン(荒川化学工業(株)製、商品名「R-140」、重量平均分子量520、酸価145mgKOH/g)(以下、(b3)成分という)を1部使用した以外は、実施例1と同様に調製を行い、ペレット(樹脂組成物)を得た。
【0085】
比較例5
実施例1において、(B1)成分の代わりにマレイン酸変性ロジンエステル(荒川化学工業(株)製、商品名「マルキードNo.32」、重量平均分子量1,740、酸価180mgKOH/g)(以下、(b4)成分という)を0.3部使用した以外は、実施例1と同様に調製を行い、ペレット(樹脂組成物)を得た。
【0086】
実施例4
ローラミキサ型混練装置((株)東洋精機製作所製、商品名「ラボプラストミル モデル 10C100」)に、ポリエチレン((株)ロンビック製、商品名「LLDPE RLL1BF」)(以下、PEとする)を100部及び(B1)成分を1部投入し、ローラ回転数40rpm、温度210℃で5分間混練した。その後、得られた樹脂(組成物)を当該混練装置から取り出し、180℃で熱プレスして、厚さ1.0mmのシート状に成形し、裁断機で5mm×5mmに裁断することでペレットを得た。
【0087】
実施例5
実施例4において、(B1)成分の代わりに(B2)成分を1部使用した以外は、実施例4と同様に調製を行い、樹脂組成物を得た。
【0088】
実施例6
実施例4において、(B1)成分を0.3部使用した以外は、実施例4と同様に調製を行い、樹脂組成物を得た。
【0089】
比較例6
ローラミキサ型混練装置((株)東洋精機製作所製、商品名「ラボプラストミル モデル 10C100」)に、PEを100部投入し、ローラ回転数40rpm、温度210℃で5分間混練した。その後、得られた混練物を当該混練装置から取り出し、180℃で熱プレスして、厚さ1.0mmのシート状に成形し、裁断機で5mm×5mmに裁断することでペレット(樹脂組成物)を得た。
【0090】
比較例7
実施例4において、(B1)成分の代わりに(b1)成分を1部使用した以外は、実施例4と同様に調製を行い、ペレット(樹脂組成物)を得た。
【0091】
比較例8
実施例4において、(B1)成分の代わりに(b2)成分を1部使用した以外は、実施例4と同様に調製を行い、ペレット(樹脂組成物)を得た。
【0092】
比較例9
実施例4において、(B1)成分の代わりに(b4)成分を0.3部使用した以外は、実施例4と同様に調製を行い、ペレット(樹脂組成物)を得た。
【0093】
(成形加工性の評価)
JIS K 7210に準拠して、実施例1~3及び比較例1~5のペレットは温度230℃、荷重21.2N(2.16kg)の条件下にて、実施例4~6及び比較例6~9のペレットは温度190℃、荷重21.2N(2.16kg)の条件下にて、各ペレットのMFRを測定した。結果を表1及び2に示す。
【0094】
(機械的強度の評価)
上記で得られたペレット(樹脂組成物)を、100mm×100mm×1.0mmの金型に入れ、実施例1~3及び比較例1~5のペレットは温度200℃、実施例4~6及び比較例6~9のペレットは温度180℃でプレス成型することにより、厚さ1.0mmの樹脂シート(成形体)を得た。得られた樹脂シートをJIS K7139-A23形状の打ち抜き刃で打ち抜き、機械強度測定用ダンベル試験片を得た。この試験片を島津製作所(株)製「万能試験機 AGX-V」を用いて引張試験を行い、破断呼び歪み(%)を測定した。結果を表1及び2に示す。
【0095】
【表1】
【0096】
【表2】
【0097】
表1、2の配合量は、質量部の値である。表1、2中の略語は、以下の通りである。
(化合物の略語及び詳細)
PP:ポリプロピレン、商品名「ノバテックPP MA3」、日本ポリプロ(株)製
PE:ポリエチレン、商品名「LLDPE RLL1BF」、(株)ロンビック製