(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022141600
(43)【公開日】2022-09-29
(54)【発明の名称】防カビ剤
(51)【国際特許分類】
A01N 37/20 20060101AFI20220921BHJP
A01P 1/00 20060101ALI20220921BHJP
A01N 31/06 20060101ALI20220921BHJP
A01N 37/18 20060101ALI20220921BHJP
A01N 47/16 20060101ALI20220921BHJP
A01N 37/02 20060101ALI20220921BHJP
A01N 37/10 20060101ALI20220921BHJP
A01N 31/02 20060101ALI20220921BHJP
A01N 31/04 20060101ALI20220921BHJP
A01N 35/02 20060101ALI20220921BHJP
A01N 61/00 20060101ALI20220921BHJP
A01N 37/44 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
A01N37/20
A01P1/00
A01N31/06
A01N37/18 Z
A01N47/16 A
A01N37/02
A01N37/10
A01N31/02
A01N31/04
A01N35/02
A01N61/00 D
A01N37/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022036776
(22)【出願日】2022-03-10
(31)【優先権主張番号】P 2021041587
(32)【優先日】2021-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000207584
【氏名又は名称】大日本除蟲菊株式会社
(72)【発明者】
【氏名】三石 帆波
(72)【発明者】
【氏名】▲柳▼澤 太洋
(72)【発明者】
【氏名】川尻 由美
(72)【発明者】
【氏名】中山 幸治
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011AA01
4H011BB03
4H011BB05
4H011BB06
4H011BB13
4H011BB19
4H011DA13
4H011DH11
(57)【要約】
【課題】本発明は、食品由来生ゴミの表面や内部へのカビの発生を防ぐことで、食品由来生ゴミの腐敗を抑制し、食品由来生ゴミの腐敗臭発生も抑制すること課題とする。
【解決手段】3-(N-n-ブチル-N-アセチル)アミノプロピオン酸エチルエステル、p-メンタン-3,8-ジオール、ディート、イカリジン、メントール、酢酸メンチル、酢酸シンナミル、テルピネオール、p-オキシ安息香酸メチル、p-オキシ安息香酸エチル、サリチル酸、ソルビン酸、ノニルアルコール、ノニルアルデヒド、1,2-ペンタンジオール、1,2-オクタンジオール、ポリリジン、1,2-ベンゾチアゾリン-3-オン、1,4-ビス[3,3‘-(1-デシルピリジニウム)メチルオキシ]ブタンジブロマイド、フェノキシエタノール及びグリセリンモノ-2-エチルヘキシルエーテルからなる群より選択される1種以上を含有することを特徴とする防カビ剤により解決する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3-(N-n-ブチル-N-アセチル)アミノプロピオン酸エチルエステル、p-メンタン-3,8-ジオール、ディート、イカリジン、メントール、酢酸メンチル、酢酸シンナミル、テルピネオール、p-オキシ安息香酸メチル、p-オキシ安息香酸エチル、サリチル酸、ソルビン酸、ノニルアルコール、ノニルアルデヒド、1,2-ペンタンジオール、1,2-オクタンジオール、ポリリジン、1,2-ベンゾチアゾリン-3-オン、1,4-ビス[3,3‘-(1-デシルピリジニウム)メチルオキシ]ブタンジブロマイド、フェノキシエタノール及びグリセリンモノ-2-エチルヘキシルエーテルからなる群より選択される1種以上を含有することを特徴とする防カビ剤。
【請求項2】
前記防カビは、食品由来生ごみの腐敗抑制及び/又は食品由来生ゴミの腐敗臭発生抑制であることを特徴とする請求項1に記載の防カビ剤。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の化合物を含有することを特徴とする生ゴミ臭消臭組成物。
【請求項4】
液剤、泡剤、錠剤、カプセル又は薬剤含浸体のいずれかの形態であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の化合物を含有することを特徴とするコバエ類及び/又はハエ類防除組成物。
【請求項6】
さらに殺虫成分を含有することを特徴とする請求項5に記載のコバエ類及び/又はハエ類防除組成物。
【請求項7】
前記殺虫成分は、ピレトリン、プラレトリン、トランスフルトリン、メトフルトリン、プロフルトリン、レスメトリン、フタルスリンからなる群より選択される1種以上を含有することを特徴とする請求項6に記載のコバエ類及び/又はハエ類防除組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防カビ剤、及びこれらを含有する生ゴミ臭消臭組成物並びにコバエ類及び/又はハエ類防除組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生活における消臭に対する意識が高まりつつあり、例えば、トイレ臭、生ゴミ臭、室内臭、ペット臭、ペットの糞尿臭等の各種の悪臭に適した消臭剤が種々開発されてきている。食品由来生ゴミの腐敗や、それに由来する腐敗臭は、キッチンや隣接するリビング等で過ごす人にも不快感を与える可能性がある。そのため、食品由来生ゴミの腐敗や、食品由来生ゴミの腐敗臭を予防できる消臭剤の開発が求められている。
【0003】
従来、悪臭の消臭に適した消臭剤が、種々提案されている。例えば、特許文献1には、アルカノールアミン化合物、ポリカルボン酸化合物、及び水を含有する生ゴミや変性油汚れに由来する悪臭の消臭に効果的な消臭剤組成物が開示されている。
【0004】
また、例えば、特許文献2には、4価金属リン酸塩とケイ酸アルミニウムより選ばれる少なくとも1種と、水和酸化ジルコニウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、塩基性炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト化合物又はその焼成物及び銅イオン、亜鉛イオン又はマンガンイオンのうち少なくとも1種の金属イオンを担持させた無機化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種とからなる、ヒトやペットの糞尿又は生ゴミから発する悪臭に対して優れた消臭性能を有する消臭剤組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-23090号公報
【特許文献2】特開2003-38623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1、2に記載されている消臭剤組成物は、既に発生している悪臭を消臭することを目的としたものである。しかし、通常、生ゴミはゴミ回収車に収集されるまで、一定期間各家庭内等で保管しておく必要があるため、その間に生ゴミ(特に、食品)が腐敗することで腐敗臭が発生し、次第に生ゴミ臭が強くなるという問題があった。そのため、既に発生している生ゴミ臭を消臭するだけでは、食品由来生ゴミの腐敗や食品由来生ゴミの腐敗臭に対する手段としては必ずしも十分な効果であるとは言えなかった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、従来の、既に発生した生ゴミ臭を消臭することよりも、予め食品由来生ゴミの腐敗、及び食品由来生ゴミの腐敗臭の発生を抑制することを重点的に着目し、種々検討を行った結果、ある特定の防カビ成分が、食品由来生ゴミの表面や内部へのカビの発生を防ぐことで、食品由来生ゴミの腐敗を抑制し、食品由来生ゴミの腐敗臭発生も抑制することを見出した。さらに、これらを含有する組成物や製品が、生ゴミ臭に対する優れた消臭効果も示すこと、さらには、コバエ類及び/又はハエ類を防除できることを見出し、本発明の完成に至った。
【0008】
すなわち、本発明は以下に関する。
[1]3-(N-n-ブチル-N-アセチル)アミノプロピオン酸エチルエステル、p-メンタン-3,8-ジオール、ディート、イカリジン、メントール、酢酸メンチル、酢酸シンナミル、テルピネオール、p-オキシ安息香酸メチル、p-オキシ安息香酸エチル、サリチル酸、ソルビン酸、ノニルアルコール、ノニルアルデヒド、1,2-ペンタンジオール、1,2-オクタンジオール、ポリリジン、1,2-ベンゾチアゾリン-3-オン、1,4-ビス[3,3‘-(1-デシルピリジニウム)メチルオキシ]ブタンジブロマイド、フェノキシエタノール及びグリセリンモノ-2-エチルヘキシルエーテルからなる群より選択される1種以上を含有することを特徴とする防カビ剤。
[2]前記防カビは、食品由来生ごみの腐敗抑制及び/又は食品由来生ゴミの腐敗臭発生抑制であることを特徴とする[1]に記載の防カビ剤。
[3][1]又は[2]に記載の化合物を含有することを特徴とする生ゴミ臭消臭組成物。
[4]液剤、泡剤、錠剤、カプセル又は薬剤含浸体のいずれかの形態であることを特徴とする[1]~[3]のいずれか1に記載の組成物。
[5][1]又は[2]に記載の化合物を含有することを特徴とするコバエ類及び/又はハエ類防除組成物。
[6]さらに殺虫成分を含有することを特徴とする[5]に記載のコバエ類及び/又はハエ類防除組成物。
[7]前記殺虫成分は、ピレトリン、プラレトリン、トランスフルトリン、メトフルトリン、プロフルトリン、レスメトリン、フタルスリンからなる群より選択される1種以上を含有することを特徴とする[6]に記載のコバエ類及び/又はハエ類防除組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、防カビ剤、及びこれらを用いた組成物や製品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[防カビ]
本発明の「防カビ」とは、カビの発生を防ぐことであるが、具体的には、食品由来生ゴミの表面や内部へのカビの発生を防ぐことで、食品由来生ゴミの腐敗を抑制すること及び/又は食品由来生ゴミの腐敗臭発生を抑制すること等である。
【0011】
<食品由来生ゴミ>
本発明の「食品由来生ゴミ」における食品とは、例えば、肉類、甲殻類、野菜類、乳製品類、パン類、果物類、魚類、米類、キノコ類、調味料類、海藻類、飲料類、豆類、菓子類、麺類等が挙げられるが、これらには限定されない。
具体的には、豚肉、牛肉、鶏肉等の肉類、イカ、カニ、タコ、エビ、等の甲殻類、大根、ジャガイモ、ナス、ニンジン、ブロッコリー、らっきょう、ホウレン草、ゴーヤ、ネギ、レンコン、ミョウガ、菜の花、カイワレ、白菜、大葉、ピーマン、キャベツ、タマネギ、生姜、ニンニク、カボチャ、梅、落花生、セロリ、ニラ、トウモロコシ等の野菜類、チーズ、ヨーグルト、練乳、バター、乳酸菌飲料等の乳製品類、食パン、菓子パン、フランスパン等のパン類、リンゴ、キウイ、レモン、トマト、バナナ、ミカン、リンゴ、梨、柚子、ブドウ、柿等の果物類、シラス、ブリ、サバ、アジ、サンマ等の魚類、米飯、モチ等の米類、シイタケ、エノキ、シメジ等のキノコ類、タルタルソース、メープルシロップ、調味酢、みりん、中華だし、和風だし、砂糖、塩、胡椒、ハチミツ、ケチャップ、ソース、マヨネーズ、醤油、味噌、スパイス等の調味料類、卵、もずく、わかめ、昆布等の海藻類、ビール、ワイン、日本酒、ジュース、緑茶、紅茶、コーヒー等の飲料類、エンドウ豆、大豆、もやし等の豆類、クッキー、ポテトチップス、チョコレート、マドレーヌ、アップルパイ等の菓子類、ラーメン、うどん、蕎麦、スパゲティー、マカロニ等の麺類、等が挙げられる他、例えば、鉄火巻き、炒めもの、唐揚げ、炊き込みご飯、胡麻和え、生姜焼き、ゆで卵等の食品を調理したものや、冷凍チャーハン、冷凍グラタン、冷凍餃子、冷凍ミックスベジタブル等の冷凍食品、納豆、豆腐、煮干し、ウインナー、おから、いかの燻製、カニみそ、ちりめんじゃこ、カマボコ、コンニャク、ちくわ、煮干し、干し柿、レーズン等の加工食品等、通常、食品由来の生ゴミと考えられるものが挙げられるが、これらには限定されない。
【0012】
[食品由来生ゴミの腐敗]
食品由来生ゴミの腐敗としては、例えば、食品由来生ゴミの変色や変質等が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、本発明の防カビ剤は、食品由来生ゴミの変色や変質といった腐敗を抑制出来る。
【0013】
[食品由来生ゴミの腐敗臭]
食品由来生ゴミに含まれる腐敗臭としては、例えば、アンモニア、トリメチルアミン、メチルメルカプタン、硫化水素、N-酪酸、N-吉草酸等の公知の悪臭成分が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、本発明の防カビ剤は、アンモニア、トリメチルアミン及びメチルメルカプタンの腐敗臭を抑制出来る。
【0014】
以下、本発明の防カビ剤について詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施形態に記載される構成に限定されることを意図しない。
【0015】
[防カビ剤]
本発明で用いる食品由来生ゴミの防カビ剤は、3-(N-n-ブチル-N-アセチル)アミノプロピオン酸エチルエステル、p-メンタン-3,8-ジオール、ディート、イカリジン、メントール、酢酸メンチル、酢酸シンナミル、テルピネオール、p-オキシ安息香酸メチル、p-オキシ安息香酸エチル、サリチル酸、ソルビン酸、ノニルアルコール、ノニルアルデヒド、1,2-ペンタンジオール、1,2-オクタンジオール、ポリリジン、1,2-ベンゾチアゾリン-3-オン、1,4-ビス[3,3‘-(1-デシルピリジニウム)メチルオキシ]ブタンジブロマイド、フェノキシエタノール及びグリセリンモノ-2-エチルヘキシルエーテルからなる群より選択される1種以上を含有することを特徴とする。
【0016】
[コバエ類及び/又はハエ類の防除]
本発明の防カビ剤又は組成物は、さらに、コバエ類及び/又はハエ類の防除効果も有する。このようなコバエ類及び/又はハエ類としては、例えば、ショウジョウバエ、ノミバエ、クロバネキノコバエ、キノコバエ、チョウバエ等のコバエ類、イエバエ、クロバエ、キンバエ、ニクバエ等のハエ類が挙げられるが、これらに限定されない。なお、本明細書では、コバエ類及び/又はハエ類に対するノックダウン効果、致死効果、忌避効果、誘引阻止効果等を合わせて防除効果と呼ぶ。
【0017】
本発明の防カビ剤又は組成物は、殺虫成分を配合することにより、コバエ類及び/又はハエ類の防除効果をより高めることができるため好ましい。殺虫成分としては、ピレトリン、アレスリン、プラレトリン、フラメトリン、トランスフルトリン、メトフルトリン、プロフルトリン、エムペントリン、レスメトリン、フタルスリン、イミプロトリン、フェノトリン、シフェノトリン、ペルメトリン、シペルメトリン、シフルトリン、トラロメトリン、ビフェントリン、及びエトフェンプロックス等のピレスロイド系化合物、シラフルオフェン等のケイ素系化合物、ジクロルボス、フェニトロチオン等の有機リン系化合物、プロポクスル等のカーバメート系化合物、ジノテフラン、イミダクロプリド、クロチアニジン等のネオニコチノイド系化合物、フィプロニル、インドキサカルブ等が挙げられ、ピレスロイド系化合物が好ましく、ピレトリン、プラレトリン、トランスフルトリン、メトフルトリン、プロフルトリン、レスメトリン、フタルスリンがより好ましい。
上記殺虫成分は、一種単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いても良い。
【0018】
[液剤、泡剤、錠剤、カプセルもしくは薬剤含浸体等]
本発明の防カビ剤が液剤又は泡剤である場合、上記各成分は、溶媒中に分散又は溶解していることが好ましい。上記各成分が溶媒中に分散又は溶解していることにより、カビの発生を効果的に防ぐことができる。
【0019】
本発明に用いることが出来る溶媒は水性でも油性でもよく、特に限定されないが、例えば、水、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール(IPA)、1-ブタノール、2-ブタノール等の炭素数が1~4、好ましくは炭素数2~3のアルコール系溶媒、ヘキサン、キシレン、トルエン、ケロシン、石油ベンジン、ノルマルパラフィン、及びイソパラフィン等の炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、炭素数3~10のグリコールエーテル系溶媒、メチルイソブチルケトン、アセトン等のケトン系溶剤、ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコール、ベンジルグリコール、トリプロピレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール系溶媒、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、及びトリプロピレングリコールモノメチルエーテル、フェノキシエタノール、2-(2-エトキシエトキシ)エタノール等のグリコールエーテル系溶媒等、トリアセチン、クエン酸トリエチルを用いても良い他に、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酪酸エステル、イソ酪酸エステル、ギ酸エステル等のエステル系溶媒を用いてもよく、このようなエステル系溶媒としては、炭素数の総数が16~20のものが好ましく、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、パルミチン酸イソプロピル等を好ましく挙げることが出来るが、これらに限定されない。
上記溶媒は、一種単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いても良い。
【0020】
溶媒の含有量は、特に限定されないが、防カビ剤100質量%に対し、500~50000質量%が好ましく、1000~25000質量%がより好ましい。
【0021】
前記溶媒には、さらに、通常の界面活性剤、乳化剤、分散剤、展着剤、湿潤剤、安定剤、噴射剤等の添加剤を配合することができ、塗布形態、接着剤形態、乳剤、分散剤、懸濁剤、エアゾール、ローション、ペースト、クリーム、マイクロエマルジョン等の形態で利用することができる。
【0022】
本発明に用いられる好ましい界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン高級アルキルエーテル(ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル)、ポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル等の非イオン系界面活性剤や、ラウリルアミンオキサイド、ステアリルアミンオキサイド、ラウリル酸アミドプロピルジメチルアミンオキサイド等の高級アルキルアミンオキサイド系界面活性剤等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
また、本発明の防カビ剤は、トリガー式やポンプ式のスプレー容器に充填し、噴射剤を要しないスプレー形態や、耐圧製容器に充填し噴射剤を配合してなるエアゾール形態で使用してもよい。後者は、エアゾール容器にエアゾール原液を入れ、噴射剤としては、特に限定されないが、ジメチルエーテル、液化石油ガス(LPG)、ハイドロフルオロオレフィン等の液化ガス、窒素ガス、炭酸ガス、亜酸化窒素、圧縮空気等の圧縮ガス等が挙げられ、これらを加圧充填することで、本発明のエアゾールを提供することができる。前記エアゾールは、定量噴射バルブを備えることで、定量噴射型エアゾールとすることも可能である。定量噴射バルブの容量としては、0.08mL~3.0mLが好ましい。エアゾールの種類としては、水性エアゾール、油性エアゾールのいずれでも製剤することが可能である。
【0024】
また、本発明の防カビ剤は、錠剤であってもよい。錠剤は、当分野で従来公知の方法に基づいて製造することが出来るが、例えば、錠剤の製造に用いられる補助剤としては、固体担体や有機材料等を挙げることができる。固体担体としては粘土類(カオリン、ベントナイト類等)、タルク類等の微粉末又は粉状物等が挙げられ、その他、適宜、カゼイン、ゼラチン、でんぷん粉、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸ナトリウム、アラビアゴム、キサンタンガム等の固着剤、結合剤、増粘剤や分散剤等の当分野で公知の成分が使用されてよい。
【0025】
また、本発明の防カビ剤は、カプセルであってもよい。カプセルは、当分野で従来公知の方法に基づいて製造することが出来るが、例えば、防カビ剤を皮膜で被包成型することにより得られるカプセルや、多孔物質に防カビ剤を充填することにより得られるカプセル等を用いることができる。カプセルは、水溶型、徐放型、崩壊型のいずれであってもよく、これらに限定されない。このうち、より長く防カビ効果を発揮できる点で、徐放型のカプセルが好ましい。
多孔物質としては、例えば、ケイ酸塩、シリカ、ゼオライト等の無機多孔物質等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
本発明の防カビ剤は、ゲルやビーズに含まれて用いられてもよい。ゲル又はビーズに含まれて用いられることにより、本発明の防カビ剤が、より長く、防カビ効果を発揮することができる。ビーズにはゲルビーズも含まれる。なお、ゲルやビーズは、当分野で従来公知の方法に基づいて製造することが出来るが、例えば、ゲル化剤を、ゲル状体の調製に用いてもよい。このようなゲル化剤として、例えば、カラギーナン、キサンタンガム、ジェランガム、ゼラチン、オクチル酸アルミニウム、12-ヒドロキシステアリン酸などが好ましく挙げられるが、これらに限定されない。またビーズは、例えば、吸水性ポリマーによるビーズに、液状の、本発明の防カビ剤を保持させること等によって調整できる。また、このような吸水性ポリマーとしては、例えば、アクリル酸系吸水性ポリマー等が好ましい。アクリル酸系吸水性ポリマーとしては、アクリル酸/アクリル酸塩共重合体(アクリル酸/アクリル酸ナトリウム塩共重合体やアクリル酸/アクリル酸カリウム塩共重合体等)やアクリルアミド/アクリル酸又はその塩の共重合体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
本発明の防カビ剤は、薬剤含浸体に含まれていてもよい。このような、上記防カビ剤を含む薬剤含浸体もまた、本発明の好ましい1つの形態である。薬剤含浸体は、例えば、吸収性の担体に薬剤を染み込ませたものであり、このような担体としては、パルプ不織布やフェルト、液体を吸収可能なスポンジ、紙、繊維集合体等が好ましく挙げられるが、これらに限定されない。また、担体を肉厚にするために、薄手のパルプ不織布、フェルト等を複数枚積層したり、繊維集合体を複数個集めて使用してもよい。担体は、形状を保持しつつ、薬剤を効率良く吸収するために、スパンレース法で表面にウェブを形成したり、エンボス加工を施したりしてもよい。
【0028】
本発明の防カビ剤又はこれを含む組成物は、上記した化合物自体であってもよいし、当該化合物と、例えば、賦形剤、担体などの添加剤との混合物であってもよい。添加剤は、上記したものの他、従来充分に確立されているので、本発明において、それらに従ってよい。
【実施例0029】
次に、実験例、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
【0030】
なお、本発明に使用する実施例の化合物は市販されたものを容易に入手することができ、それを使用することができる。
【0031】
(製造例1)
3-(N-n-ブチル-N-アセチル)アミノプロピオン酸エチルエステル10gにエタノールを加えて全量を100mLとして、プラスチック製ポンプスプレー(1回あたりの噴射量0.07mL)に充填し、スプレー製品1を得た。
【0032】
(製造例2)
p-メンタン-3,8-ジオール10gにエタノールを加えて全量を100mLとして、プラスチック製ポンプスプレー(1回あたりの噴射量0.07mL)に充填し、スプレー製品2を得た。
【0033】
(製造例3)
ディート10gにエタノールを加えて全量を100mLとして、プラスチック製ポンプスプレー(1回あたりの噴射量0.07mL)に充填し、スプレー製品3を得た。
【0034】
(製造例4)
イカリジン10gにエタノールを加えて全量を100mLとして、プラスチック製ポンプスプレー(1回あたりの噴射量0.07mL)に充填し、スプレー製品4を得た。
【0035】
(製造例5)
メントール3gにエタノールを加えて全量を100mLとして、プラスチック製ポンプスプレー(1回あたりの噴射量0.07mL)に充填し、スプレー製品5を得た。
【0036】
(製造例6)
酢酸メンチル3gにエタノールを加えて全量を100mLとして、プラスチック製ポンプスプレー(1回あたりの噴射量0.07mL)に充填し、スプレー製品6を得た。
【0037】
(製造例7)
酢酸シンナミル10gにエタノールを加えて全量を100mLとして、プラスチック製ポンプスプレー(1回あたりの噴射量0.07mL)に充填し、スプレー製品7を得た。
【0038】
(製造例8)
p-オキシ安息香酸メチル1g、及びサリチル酸0.2gにエタノールを加えて全量を100mLとして、プラスチック製ポンプスプレー(1回あたりの噴射量0.07mL)に充填し、スプレー製品8を得た。
【0039】
(製造例9)
p-オキシ安息香酸エチル1g、及びサリチル酸0.2gにエタノールを加えて全量を100mLとして、プラスチック製ポンプスプレー(1回あたりの噴射量0.07mL)に充填し、スプレー製品9を得た。
【0040】
(製造例10)
1,2-ペンタンジオール5g、グリセリンモノ-2-エチルヘキシルエーテル0.5gにエタノールを加えて全量を100mLとして、プラスチック製ポンプスプレー(1回あたりの噴射量0.07mL)に充填し、スプレー製品10を得た。
【0041】
(製造例11)
1,2-オクタンジオール0.7g、グリセリンモノ-2-エチルヘキシルエーテル0.5gにエタノールを加えて全量を100mLとして、プラスチック製ポンプスプレー(1回あたりの噴射量0.07mL)に充填し、スプレー製品11を得た。
【0042】
(製造例12)
ポリリジン0.025g、1,4-ビス[3,3‘-(1-デシルピリジニウム)メチルオキシ]ブタンジブロマイド0.15gにエタノールを加えて全量を100mLとして、プラスチック製ポンプスプレー(1回あたりの噴射量0.07mL)に充填し、スプレー製品12を得た。
【0043】
(製造例13)
1,2-ベンゾチアゾリン-3-オン2g、メントール1gにエタノールを加えて全量を100mLとして、プラスチック製ポンプスプレー(1回あたりの噴射量0.07mL)に充填し、スプレー製品13を得た。
【0044】
(製造例14)
フェノキシエタノール10gにエタノールを加えて全量を100mLとして、プラスチック製ポンプスプレー(1回あたりの噴射量0.07mL)に充填し、スプレー製品14を得た。
【0045】
(製造例15)
テルピネオール10gにエタノールを加えて全量を100mLとして、プラスチック製ポンプスプレー(1回あたりの噴射量0.07mL)に充填し、スプレー製品14を得た。
【0046】
(製造例16)
ソルビン酸10gにエタノールを加えて全量を100mLとして、プラスチック製ポンプスプレー(1回あたりの噴射量0.07mL)に充填し、スプレー製品15を得た。
【0047】
(製造例17)
ノニルアルコール10gにエタノールを加えて全量を100mLとして、プラスチック製ポンプスプレー(1回あたりの噴射量0.07mL)に充填し、スプレー製品16を得た。
【0048】
(製造例18)
ノニルアルデヒド10gにエタノールを加えて全量を100mLとして、プラスチック製ポンプスプレー(1回あたりの噴射量0.07mL)に充填し、スプレー製品17を得た。
【0049】
[試験例1]食品由来生ゴミの腐敗抑制試験
19個の透明のPETカップ(860cc)に、それぞれ直方体形に切断した食パン約20gを入れ、水道水を約5mL加えた。1日につき1回(0.07mL)上記スプレー製品1~18をそれぞれ噴霧処理し、7日後に食パンの様子を観察した。なお、無処理区として、1日につき1回(0.07mL)エタノールを噴霧処理し、7日後に食パンの様子を観察した。
観察の結果、腐敗抑制効果を以下の基準でA~Dの4段階で評価した。(試験結果を表1に示す。)
A:食パンに全く変質が見られない。
B:食パンに小さな変質・変色が僅かに見られる。
C:食パンに小さな変質・変色が多数みられる。
D:食パンに大きな変質・変色が多数みられる。
【0050】
【0051】
試験の結果、エタノールのみを噴射したコントロールでは、試験終了時には食パンに大きな変質・変色が多数みられ、試験開始後3日目以降にコバエの発生が認められた。これに対して試験例1~18では、コントロールに対して食パンへの防カビ効果が認められ、同時に試験期間中コバエの寄り付きと発生も抑えられた。
【0052】
[試験例2]食品由来生ゴミの腐敗臭発生抑制試験
(1)パルプ製含侵体(三和インセクティサイド株式会社製、製品名Papermat、25mm×47mm、2.8mmの長方形状)にp-メンタン3,8-ジオール1gを滴下することにより、本発明の防カビ剤を含む薬剤含侵体を調製した。生しらすを入れたプラカップ内に、生しらすと直接接触しないように前記薬剤含侵体を吊り下げ、蓋をして室温(25℃)で保管し、7日後に、カップ内のトリメチルアミンの臭気濃度を気体検知管(株式会社ガステック製)で測定した。
また、無処理区として、薬剤含侵体を吊り下げないこと以外は上記の処理区と同じ条件で、7日後のカップ内のトリメチルアミンの臭気濃度も気体検知管で測定した。
測定結果に基づいて、腐敗臭発生抑制率(%)=[1-処理区臭気濃度/無処理区臭気濃度]×100を算出したところ、腐敗臭発生抑制率は95%以上であった。
【0053】
(2)上記(1)において、p-メンタン3,8-ジオール1gに代えて、酢酸メンチル1gを滴下し、他は(1)と同様に試験を実施した。
試験の結果、腐敗臭発生抑制率は90%以上であった。
【0054】
(3)上記(1)において、p-メンタン3,8-ジオール1gに代えて、メントール1gを滴下し、他は(1)と同様に試験を実施した。
試験の結果、腐敗臭発生抑制率は95%以上であった。
【0055】
(4)上記(1)において、p-メンタン3,8-ジオール1gに代えて、テルピネオール1gを滴下し、他は(1)と同様に試験を実施した。
試験の結果、腐敗臭発生抑制率は95%以上であった。
【0056】
(5)上記(1)において、p-メンタン3,8-ジオール1gに代えて、ノニルアルデヒド1gを滴下し、他は(1)と同様に試験を実施した。
試験の結果、腐敗臭発生抑制率は90%以上であった。
本発明により得られる防カビ剤は、食品由来生ゴミの腐敗抑制活性、及び食品由来生ゴミの腐敗臭発生抑制活性等の防カビ効果を示した。また、該防カビ剤を用いることにより、生ゴミ臭消臭組成物、コバエ類及び/又はハエ類防除組成物を提供することができる。