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特開2022-141624路面性状調査システム、路面性状調査装置、及び路面性状調査方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022141624
(43)【公開日】2022-09-29
(54)【発明の名称】路面性状調査システム、路面性状調査装置、及び路面性状調査方法
(51)【国際特許分類】
   E01C 23/01 20060101AFI20220921BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20220921BHJP
   G01C 7/04 20060101ALI20220921BHJP
   G01B 11/24 20060101ALI20220921BHJP
   G01B 11/30 20060101ALI20220921BHJP
   G01B 21/00 20060101ALI20220921BHJP
   G01B 21/22 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
E01C23/01
G08G1/00 D
G08G1/00 J
G01C7/04
G01B11/24 K
G01B11/30 A
G01B21/00 A
G01B21/22
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022075640
(22)【出願日】2022-05-02
(62)【分割の表示】P 2021041644の分割
【原出願日】2021-03-15
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り ▲1▼ 頒布開始日 令和2年7月27日 ▲2▼ 頒布を決定した場所 社内営業部長会議 ▲1▼ 公開日 令和2年9月9日 ▲2▼ 公開した場所 https://www.pasco.co.jp/seminar/infra-2020web-03.html
(71)【出願人】
【識別番号】000135771
【氏名又は名称】株式会社パスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安井 嘉文
(72)【発明者】
【氏名】前田 近邦
(72)【発明者】
【氏名】西村 修
【テーマコード(参考)】
2D053
2F065
2F069
5H181
【Fターム(参考)】
2D053AA34
2D053AB03
2D053FA03
2F065AA01
2F065AA04
2F065AA24
2F065AA25
2F065AA31
2F065AA49
2F065AA51
2F065DD03
2F065DD06
2F065FF04
2F065FF09
2F065HH05
2F065JJ19
2F065JJ26
2F065MM07
2F065QQ08
2F065QQ23
2F065QQ24
2F065QQ25
2F065QQ29
2F065QQ31
2F065SS01
2F069AA01
2F069AA61
2F069AA71
2F069BB24
2F069DD19
2F069GG07
2F069JJ04
2F069JJ22
2F069NN09
2F069QQ01
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB13
5H181BB20
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC27
5H181FF04
5H181FF07
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF27
5H181FF32
5H181FF35
5H181MC16
5H181MC19
5H181MC27
(57)【要約】
【課題】道路面の三次元的な性状をユーザがより精度よく詳細に把握可能な情報を生成する路面性状調査システム、路面性状調査装置及び路面性状調査方法を提供する。
【解決手段】路面性状調査システムは、車両に搭載されて車両が走行する道路面の高さを光切断法によりひび割れ検出精度に応じた間隔で計測し、車両に固定された座標系で道路面の各地点の高さを含む路面計測データを出力する路面計測手段と、高さ計測と対応する期間に車両の地理的位置及び姿勢を計測して、計測結果を含む車両計測データを出力する車両計測手段と、路面計測データと車両計測データにより道路面の各地点の地理的三次元位置を特定する位置特定手段と、路面計測データに含まれる高さに基づいてひび割れ地点を検出するひび割れ検出手段と、ひび割れ地点の地理的三次元位置を示す三次元ひび割れ図を生成する三次元ひび割れ図生成手段と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されて当該車両が走行する道路面の高さを光切断法により検出対象のひび割れの検出精度に応じた間隔で計測して、前記車両に固定された座標系での前記道路面の各地点の高さを含む路面計測データを出力する路面計測手段と、
前記路面計測手段による前記高さの計測と対応する期間に前記車両の地理的位置及び姿勢を計測して、当該計測の結果を含む車両計測データを出力する車両計測手段と、
前記路面計測データ及び前記車両計測データにより前記道路面の前記各地点の地理的三次元位置を特定する位置特定手段と、
前記路面計測データに含まれる前記高さに基づいて前記各地点の中から前記ひび割れが生じているひび割れ地点を検出するひび割れ検出手段と、
前記ひび割れ地点の地理的三次元位置を示す三次元ひび割れ図を生成する三次元ひび割れ図生成手段と、
を備えることを特徴とする路面性状調査システム。
【請求項2】
前記三次元ひび割れ図生成手段は、指定された地理的三次元位置から見た前記ひび割れ地点の空間分布を示す表示画像を前記三次元ひび割れ図として生成することを特徴とする請求項1記載の路面性状調査システム。
【請求項3】
前記路面計測手段による計測範囲の周囲の形状を含む三次元道路データを記憶する記憶手段を備え、
前記三次元ひび割れ図生成手段は、前記三次元道路データにより前記周囲の空間分布を表す前記三次元ひび割れ図を生成することを特徴とする請求項1又は2記載の路面性状調査システム。
【請求項4】
前記三次元ひび割れ図生成手段は、前記ひび割れ地点の前記ひび割れの深さをそれぞれ示す前記三次元ひび割れ図を生成することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の路面性状調査システム。
【請求項5】
前記ひび割れ検出手段は、検出されたあるひび割れ地点と他のひび割れ地点との距離が所定値以下である場合に、前記あるひび割れ地点と前記他のひび割れ地点とを同一のひび割れグループに属するものとして特定し、
前記三次元ひび割れ図生成手段は、前記ひび割れグループを識別可能に前記三次元ひび割れ図を生成する
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の路面性状調査システム。
【請求項6】
前記ひび割れ検出手段は、前記ひび割れグループごとに前記ひび割れの深さの最大値を特定し、
前記三次元ひび割れ図生成手段は、前記ひび割れグループごとに前記最大値の情報を含む前記三次元ひび割れ図を生成する
ことを特徴とする請求項5記載の路面性状調査システム。
【請求項7】
前記ひび割れ検出手段は、前記ひび割れグループごとに前記道路面に沿った前記ひび割れの長さを特定し、
前記三次元ひび割れ図生成手段は、前記ひび割れグループごとに前記長さの情報を含む前記三次元ひび割れ図を生成する
ことを特徴とする請求項5又は6記載の路面性状調査システム。
【請求項8】
車両に搭載されて当該車両が走行する道路面の高さを光切断法により検出対象のひび割れの検出精度に応じた間隔で計測して、前記車両に固定された座標系での前記道路面の各地点の高さを含む路面計測データを出力する路面計測手段から前記路面計測データを取得する路面計測データ取得手段と、
前記路面計測手段による前記高さの計測と対応する期間に前記車両の地理的位置及び姿勢を計測して、当該計測の結果を含む車両計測データを出力する車両計測手段から前記車両計測データを取得する車両計測データ取得手段と、
前記路面計測データ及び前記車両計測データにより前記道路面の前記各地点の地理的三次元位置を特定する位置特定手段と、
前記路面計測データに含まれる前記高さに基づいて前記各地点の中から前記ひび割れが生じているひび割れ地点を検出するひび割れ検出手段と、
前記ひび割れ地点の地理的三次元位置を示す三次元ひび割れ図を生成する三次元ひび割れ図生成手段と、
を備えることを特徴とする路面性状調査装置。
【請求項9】
走行する車両から道路面の高さを光切断法により検出対象のひび割れの検出精度に応じた間隔で計測して、前記車両に固定された座標系での前記道路面の各地点の高さを含む路面計測データを出力する路面計測ステップ、
前記路面計測ステップにおける前記高さの計測と対応する期間に前記車両の地理的位置及び姿勢を計測して、当該計測の結果を含む車両計測データを出力する車両計測ステップ、
前記路面計測データ及び前記車両計測データにより前記道路面の前記各地点の地理的三次元位置を特定する位置特定ステップ、
前記路面計測データに含まれる前記高さに基づいて前記各地点の中から前記ひび割れが生じているひび割れ地点を検出するひび割れ検出ステップ、
前記ひび割れ地点の地理的三次元位置を示す三次元ひび割れ図を生成する三次元ひび割れ図生成ステップ、
を含むことを特徴とする路面性状調査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、道路面の性状の調査結果を生成する路面性状調査システム、路面性状調査装置及び路面性状調査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
道路網が広範囲に広がり、膨大な距離の道路が伸びていくのにつれて、これら道路の損傷や老朽化も問題になっている。これに伴い、道路面のひび割れなどの劣化箇所を検出して補修する重要度も増している。膨大な道路の路面性状の調査を省力化するために、従来、走行する車両にカメラを搭載して道路面を撮影し、撮影画像の陰影などを解析してひび割れを検出する技術が知られている。
例えば、特許文献1に記載の路面状態管理装置においては、走行する車両から路面画像と前方画像とを撮影し、路面画像を解析して走行距離で定まる区間ごとにひび割れ率、ひび割れの延長距離及びひび割れの本数を検出していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-057861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来、ひび割れの検出情報は、区間ごとのひび割れ率などとして区間ごとに集約されて出力されている。したがって、道路面におけるひび割れなどの正確な位置関係、サイズや形状などの三次元的な性状を精度よく詳細に把握するには情報が足りず、ユーザが詳細を把握するには路面画像や前方画像を1枚ずつ確認する必要があった。また路面画像の解析は基本的に路面の陰影を解析するものであり、汚れや影などの影響でひび割れを誤検出する問題があった。
【0005】
本開示の目的は、道路面の三次元的な性状をユーザがより精度よく詳細に把握可能な情報を生成することのできる路面性状調査システム、路面性状調査装置及び路面性状調査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示は、
車両に搭載されて当該車両が走行する道路面の高さを光切断法により検出対象のひび割れの検出精度に応じた間隔で計測して、前記車両に固定された座標系での前記道路面の各地点の高さを含む路面計測データを出力する路面計測手段と、
前記路面計測手段による前記高さの計測と対応する期間に前記車両の地理的位置及び姿勢を計測して、当該計測の結果を含む車両計測データを出力する車両計測手段と、
前記路面計測データ及び前記車両計測データにより前記道路面の前記各地点の地理的三次元位置を特定する位置特定手段と、
前記路面計測データに含まれる前記高さに基づいて前記各地点の中から前記ひび割れが生じているひび割れ地点を検出するひび割れ検出手段と、
前記ひび割れ地点の地理的三次元位置を示す三次元ひび割れ図を生成する三次元ひび割れ図生成手段と、
を備えることを特徴とする路面性状調査システムである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、道路面の三次元的な性状をユーザがより精度よく詳細に把握可能な情報を生成することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の路面性状調査システムにおける路面計測について説明する図である。
図2】本実施形態の路面性状調査システムの全体構成図を示す。
図3】各計測部の計測タイミングについて説明する図である。
図4】路面高さの計測について説明する図である。
図5】ひび割れ検出出力制御処理の制御手順を示すフローチャートである。
図6】ひび割れ検出出力制御処理内で呼び出される絶対位置特定処理の制御手順を示すフローチャートである。
図7】三次元ひび割れ図の表示画面の例を示す図である。
図8】三次元ひび割れ図の表示画面において、ひび割れの特性情報を表示させた例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の路面性状調査システム1における路面計測について説明する図である。
【0010】
路面性状調査システム1は、道路の路面(道路面)並びに車両Wの位置及び姿勢などを計測するための計測装置100を含む。計測装置100は、車両Wのルーフ上などに搭載されて計測動作し、走行する車両Wの後方側から鉛直下向きに道路面を計測可能である。また、計測装置100は、車両Wに対して固定されており、車両Wの走行、向きの変化、傾きや上下動などの運動により変化する位置及び姿勢を計測する。
【0011】
車両Wは、計測装置100を搭載して固定することが可能であれば、一般的な車種のものであってよく、計測のための専用車両である必要もない。計測装置100は、車両Wのルーフへの取り付け固定部材などを備えていてもよい。
【0012】
図2には、本実施形態の路面性状調査システム1の全体構成図を示す。
路面性状調査システム1は、上記の計測装置100と、本実施形態の路面性状調査装置として計測データを処理する処理装置200とを含む。
【0013】
計測装置100は、路面計測部110(路面計測手段)と、車両計測部120(車両計測手段)と、周囲計測部130と、同期信号出力部140と、制御部150と、記憶部160と、通信部170などを備える。これらのうち、路面計測部110、車両計測部120及び周囲計測部130(まとめて各計測部とも記す)が路面性状調査に係る計測を行う。上記図1で示した形態にかかわらず、計測装置100のうち制御部150、記憶部160及び通信部170は、車両Wの内側に位置して各計測部と通信接続されていてもよい。
【0014】
路面計測部110は、照射部111と、撮影部112と、計時部113などを備え、道路面の高さを計測し、その結果である路面計測データを出力する。
照射部111は、発光部1111と、走査部1112とを有する。発光部1111は、レーザ光を生成して出射する。走査部1112は、発光部1111から出射されるレーザ光を走査させて、走査方向について広がる幕状の範囲に光を出力する。走査範囲は、車両Wが道路(車線)に沿って走行している場合に、計測対象である道路(車線)の幅方向(横断方向。すなわち、鉛直方向及び車両Wの走行方向のいずれにも垂直な方向)について全幅又はこれに準じる範囲とされてよい。検出間隔は、検出精度に応じた間隔に定められる。幅方向(走査方向)に沿っての計測の位置間隔は、検出対象のひび割れの幅の下限値以下である必要があり、例えば、1mmである。また、車両Wの走行方向(道路の延在方向)についての計測の位置間隔は、撮影部112の撮影間隔と車両Wの走行速度との組合せにより定まる。
【0015】
撮影部112は、照射部111により出射されたレーザ光の道路面からの反射光を検出する撮影動作を行う。撮影部112は、光切断法により反射位置、すなわち道路面の高さ(路面高さ)を特定するために、レーザ光の道路面への入射方向(鉛直下向き方向)に対して斜めに反射光を検出し、撮影可能な場所に位置している。すなわち、計測装置100が搭載された車両W上で、照射部111と撮影部112とが固定されている。撮影部112の焦点位置、光軸方向、視野角及びレンズ歪などのカメラパラメータ、並びに照射部111の出射位置及び出射角などの撮影条件が不図示の記憶部に記憶され、不図示の制御部によって、撮影部112において反射光を検出した画素の位置と撮影条件とから、車両Wに固定された座標系における光の出射位置に対する相対的な反射位置(路面位置)が算出される。この反射位置の計測結果は、光の出射位置からの距離として得られてもよい。この光切断法により、撮影部112は、各走査線上で、反射位置の高さ、すなわち路面高さと反射強度の分布を路面計測データとして取得する。路面高さの検出精度は、検出対象のひび割れの検出下限値以下である必要があり、例えば、計測装置100の解像度と設置条件は、0.6mm間隔で計測可能なものとされる。計測を行う各日時で、車両Wの走行に応じて照射部111と撮影部112の位置が変化することで、取得する路面計測データの絶対位置(地球表面に固定された座標系における地理的位置)が変化する。
【0016】
この光切断法による計測は、レーザ光を照射しての計測であるので、レーザ光の照射を行わない通常の撮影による計測と比較して陰影の影響が生じにくく、ひび割れの深さや形状などの計測を従来よりも高精度で行いやすい。また、計測が時刻、季節や天気の制限を受けづらいため、計測時期の限定や計測予定の延期などが生じにくい。
【0017】
計時部113は、計時して現在の日時を出力する。計時部113は、例えば、発振子の発振により生成される所定の周波数信号を計数して日時を特定する。発振子は、例えば、水晶発振子やMEMS発振子である。この発振子を有する発振器は、発振周波数についての温度補償などがなされていてもよいし、恒温槽付きなどであってもよい。しかしながら、計時部113の出力する日時には、時間経過とともに正確な日時からずれが生じ得る。計時部113は、例えば、撮影部112から撮影タイミングで撮影信号が入力されると、このタイミングの日時を撮影日時として出力する。撮影日時は、当該撮影日時の撮影結果に基づく路面計測部110の計測結果に対応付けられて、路面計測データに含まれる。また、同期信号出力部140から同期信号が入力されると、計時部113は、当該同期信号が入力されたタイミングの日時を同期日時として出力する。同期日時は、計測結果と対応付けられずに路面計測データに含まれる。
【0018】
車両計測部120は、衛星測位部121と、姿勢計測部122と、計時部123などを備え、車両(基準位置)に係る計測を行って車両計測データとして出力する。車両に係る計測は、少なくとも路面計測部110による道路面の高さの計測に対応する期間行われる。車両計測データには、衛星測位部121により得られる車両の絶対位置データと、姿勢計測部122により得られる車両の姿勢データとが含まれる。
【0019】
衛星測位部121は、GNSS(Global Navigation Satellite System)に係る複数(少なくとも4機)の測位衛星からの電波を受信することで現在の車両Wの絶対位置(すなわち、計測装置100が搭載されている車両Wの基準位置)を計測する測位動作を行って、絶対位置データを出力する。衛星測位部121は、電波の受信及び復号が可能な測位衛星に、例えば、米国の衛星測位システムであるGPS(Global Positioning System)に係る衛星を含んでいてもよく、また、これに限られなくてもよい。例えば、受信対象の測位衛星には、ロシアの衛星測位システムであるGLONASS(Globalnaya Navigatsionnaya Sputnikovaya Sistema / Global Navigation Satellite System)などに係る衛星が含まれていてもよく、これらが併用されてもよい。また、各衛星測位システムにおける複数の周波数帯の送信電波が併用されてもよい。絶対位置は、例えば、緯度、経度及び高度の3成分により表される。また、絶対位置とともに現在の日時が取得される。
【0020】
姿勢計測部122は、加速度センサ1221及びジャイロセンサ1222を備え、計測装置100が搭載されている車両Wの姿勢を計測して、姿勢データを出力する。加速度センサ1221及びジャイロセンサ1222の各々は、直交する3軸方向についての加速度と回転速度とをそれぞれ計測可能である(3軸と回転軸とを合わせて6軸)。これらのそれぞれを順次加算し、初期姿勢を加算することにより特定される車両の姿勢には、車両の向き(道路面に平行な面内での回転)、傾き(道路に垂直な方向を含む面内での回転)、上下動(振動)、及び加減速(平行移動速度の変化)が含まれ得る。
【0021】
計時部123は、計時部113と同様に、計時して現在の日時を出力する。また、ここでは、計時部123は、衛星測位部121により特定された日時により計時する日時が随時補正される。すなわち、計時部123が出力する日時は本実施形態の路面性状調査システム1で要求される水準において正確である。計時部123は、衛星測位部121及び姿勢計測部122から計測タイミングで各々計測信号が入力されると、それらのタイミングの日時をそれぞれ測位日時、計測日時として出力する。測位日時は、当該測位日時に計測された絶対位置と対応付けられて絶対位置データに含められ、計測日時は、当該計測日時に計測された姿勢と対応付けられて、姿勢データに含められる。また、計時部123は、同期信号出力部140から同期信号が入力されると、そのタイミングの日時を同期日時として出力する。同期日時は、絶対位置及び姿勢のいずれにも対応付けられずに車両計測データに含まれる。
【0022】
周囲計測部130は、レーザスキャナ131を有する。レーザスキャナ131は、周囲全方向に順次レーザ光を出射し、その反射光を検出して、検出されるまでの経過時間と光速とからTOF(Time of Flight)により車両周囲の反射面までの距離を計測して、周囲計測データを出力する。車両周囲の反射面は、路面計測部110の計測範囲外の道路面を含み、好適にはさらに周囲の道路設備、建物、植物及び地表面などを含む。周囲計測部130による継続的な計測結果の統合により、路面計測部110による計測範囲の周囲の道路面の形状を含む三次元道路データが生成される。周囲計測データの解像度は、路面計測データの解像度よりも低くてよく、周囲計測データから道路面のひび割れを検出できなくてよい。
【0023】
周囲計測部130の計測結果は、車両Wの計測装置100の位置を基準とした相対的なものである。特に限定するものではないが、車両計測部120及び周囲計測部130は、まとめて同一筐体内に位置していてもよい。ここでは、周囲計測部130は、計時部123が計数する日時を車両計測部120と共用する。計時部123は、周囲計測部130からレーザスキャナ131による計測タイミングで計測信号が入力されると、その計測タイミングにおける日時を計測日時として出力する。計測日時は、当該計測日時における周囲計測の結果に対応付けられて周囲計測データに含まれる。
【0024】
同期信号出力部140は、路面計測部110、車両計測部120及び周囲計測部130に対して上述の同期信号を出力する。同期信号出力部140は、例えば、MCU(Micro Control Unit)で実現され、図示略の距離計から取得される自身の移動量に基づいて所定距離、例えば、3mの移動ごとに同期信号を出力する。例えば、車両Wが速度60km/hで等速走行している場合には、同期信号の時間間隔は180msecとなる。あるいは、同期信号出力部140は、発振回路を有して所定時間の経過ごとに同期信号を出力してもよい。
【0025】
制御部150は、CPU(Central Processing Unit)などを有し、各計測部から計測データと同期日時データとを取得して記憶部160に記憶させる。また、制御部150は、記憶部160に記憶させたデータの通信部170による送信出力を制御する。
【0026】
記憶部160は、各計測部による計測データを記憶する。記憶部160は、不揮発性メモリを有する。不揮発性メモリは、例えば、フラッシュメモリ及び/又はHDD(Hard Disk Drive)であってよい。
【0027】
通信部170は、インターネット回線やLAN(Local Area Network)などのネットワークを経由して外部と通信を行う。外部には、処理装置200が含まれる。計測装置100の各計測部による計測データは、処理装置200に対して送信されて処理される。通信部170は、計測装置100による計測動作中に常に外部と通信が可能となっている必要はない。計測の終了後に通信部170がネットワークに接続されてもよい。
【0028】
処理装置200は、制御部210と、記憶部220(記憶手段)と、通信部230と、入出力部240などを備える。処理装置200は、例えば、通常のPCなどであってもよく、計測装置100とは別体であってよい。
【0029】
制御部210は、CPU(Central Processing Unit)などを備え、演算処理を実行し
て、本実施形態の位置特定手段、ひび割れ検出手段及び三次元ひび割れ図生成手段として、計測装置100から受信した計測データの解析処理及び表示画像の生成処理を行う。解析処理には、後述のように道路面のひび割れ地点の検出、ひび割れ地点の地理的三次元位置の特定、及びひび割れ地点のグループごとの特性値の算出などが含まれる。
【0030】
記憶部220は、計測装置100から受信した計測データ(路面計測データ、車両計測データ、及び周囲計測データ)、制御部210によるこれらの計測データの解析データ(後述のひび割れ地点データ、三次元ひび割れ図データ、三次元道路データ221を含む)、及び解析処理に係る処理用のプログラム222などを記憶する。記憶部220は、例えば、揮発性メモリ(RAM:Random Access Memory)と、不揮発性メモリなどを有する。不揮発性メモリには、HDD(Hard Disk Drive)が含まれていてもよい。揮発性メモリ
は、制御部210のCPUに作業用のメモリ空間を提供する。
なお、路面性状調査システム1は、記憶部220とはさらに異なるデータベース装置などを処理装置200の外に含んでいてもよい。あるいは、HDDなどが計測装置100に直接外付けで取り付けられて計測データがリアルタイムでこのHDDに書き込まれてもよい。計測終了後にHDDが計測装置100から取り外され、持ち運ばれて処理装置200に取り付けられて、記憶部220として動作してもよい。
【0031】
通信部230は、インターネット回線やLANなどのネットワークを経由して外部と通信を行う。外部には、計測装置100が含まれ、計測装置100における計測データが随時又は計測終了後などにまとめて取得され得る。なお、計測装置100と処理装置200とがネットワークにおいて直接接続されるのではなく、間にデータサーバなどを挟んで間接的にデータのやり取りがなされるのであってもよい。
【0032】
入出力部240は、解析結果をそのユーザに示す出力部、例えば、表示画面を有する表示部241や画像を形成するプリンターなどと、出力させる内容の要求などを受け付ける操作受付部242などの入力部とを含む。制御部210の処理により取得された解析データのうち入力部により指定された内容及び表示形態で出力部により出力される。
【0033】
次に、本実施形態の路面性状調査システム1の計測装置100による計測動作について説明する。
【0034】
図3は、各計測部の計測タイミングについて説明する図である。
図3(a)には、各計測部の動作の一覧を示している。
【0035】
路面計測部110は、同期信号に基づいて初回の計測タイミングが規定され、以降、3mの移動の間に均等な時間間隔a、例えば、0.12msec間隔で道路面の計測を行う、という動作を繰り返す(路面計測ステップ)。車両Wが速度60km/hで等速走行している場合には、3m間隔の2回の同期信号の間、すなわち、180msecの間に2mmの距離間隔で1500回の計測が行われる。上記のように、各計測タイミングにおいて路面計測部110が出力する計測結果には、計時部113の日時t1が付される。また、路面計測部110は、同期信号Tk(k=0、1、2…)が入力されたタイミングを示す同期日時t1(Tk)も出力する。
【0036】
衛星測位部121は、同期信号とは独立して一定の時間間隔b、例えば、50msec間隔で測位動作を行い、車両Wの絶対位置データとして出力する。すなわち、上記180msecの間に測位動作が約3.6回実行される。絶対位置データには、各々計時部123の日時t2、すなわち、測位動作で特定、調整されている日時が付される。上記のように、この日時t2は正確である。また、衛星測位部121から出力されるデータには、同期信号Tkが入力されたタイミングにおける同期日時t2(Tk)も含まれる。
【0037】
姿勢計測部122は、同期信号とは独立して一定の時間間隔c、例えば、5msec間隔で加速度センサ1221及びジャイロセンサ1222の計測結果を取得して車両Wの姿勢データとして出力する。姿勢データには、各々計時部123の計数する日時t3(ここではt2と等しい)が付される。上記の180msecの間に姿勢データは36回取得される。
衛星測位部121による測位動作と姿勢計測部122による計測動作とが本発明の路面性状調査方法における車両計測ステップを構成する。
【0038】
周囲計測部130のレーザスキャナ131は、同期信号Tkとは独立して一定の時間間隔d、例えば、5msecの間隔で、路面計測部110による計測範囲外の道路面(周囲道路面)を含む周囲の物体の位置を計測して、それぞれ周囲計測データとして出力する。周囲計測データには、周囲の計測タイミングにおける計時部123の日時t4(ここではt2と等しい)が付される。
【0039】
図3(b)は、各計測部による計測データの同期について説明する図である。
上述のように、同期信号出力部140からは、同期信号Tkが3mの移動ごとに出力されて、路面計測部110、車両計測部120及び周囲計測部130へ入力される。路面計測部110及び車両計測部120は、それぞれ同期信号Tkが入力されたタイミングで各々計数している同期日時t1(Tk)、t2(Tk)を取得する。
【0040】
これらの同期日時の関係を多項式近似することにより日時t1から日時t2への変換関数が算出される。日時t1は、時間経過とともに日時t2とのずれの大きさが変化し得る。そのため、変換関数は日時の関数とするのが好適である。例えば、日時t1の日時t2に対するずれ量g(t1)を二次の多項式g(t1)=t1-t2=A・t1+B・t1+Cで定義するとともに日時t1からずれ量g(t1)を減算する変換関数f(t1)=t1-g(t1)を定義して、{t1(Tk),t1(Tk)-t2(Tk)}=[{t1(T0),t1(T0)-t2(T0)},{t1(T1),t1(T1)-t2(T1)},…]を近似的に成立させる定数A,B,Cを回帰分析により算出することができる。g(t1)=t2-t1と定義する場合はf(t1)=t1+g(t1)となる。また例えば、日時t1を日時t2に直接変換する変換関数f(t2)を二次の多項式t2=D・t1+E・t1+Fで定義し、(t1,t2)=[{t1(T0),t2(T0)},{t1(T1),t2(T1)},…]を近似的に成立させる定数D,E,Fを回帰分析により算出することもできる。なお二次の多項式は一例であり、変換関数は一次関数であってもよいし三次以上の関数であってもよい。
また変換関数は、計測データを所定時間(例えば1時間)ごとに分割した区間ごとに算出され、区間ごとに用いられてもよい。計測時の温度変化が大きな場合に有用である。
算出された変換関数に路面計測部110の路面計測データに付されている計測日時を代入することで、衛星測位に基づく正確な日時t2を基準とした全ての路面計測のタイミングが特定される。日時t3、t4が日時t2と異なる場合には、これらについても同じ手順で日時t3から日時t2への変換関数及び日時t4から日時t2への変換関数が算出されて、いずれも日時t2を基準とした計測タイミングが特定される。
【0041】
路面性状調査システム1では、路面計測の日時t1と同時に他の計測がなされているわけではないので、路面計測の日時t1での絶対位置や車両の姿勢などは、日時t1の前後のデータで補間的に(例えば線形補間で)求められる。例えば、日時t1(3)の絶対位置は、日時t2(0)、t2(1)の絶対位置の内分点として求められ、日時t1(3)の車両の姿勢は、日時t3(0)、t3(1)の姿勢の内分点として求められる。あるいは、前後3回以上の日時での計測データを用いた補間により絶対位置及び姿勢が求められてもよい。
【0042】
なお、一定時間間隔で計測されるものについては、必ずしも全ての計測データに対して計測日時のデータが付されなくてもよい。同期タイミングの日時、同期タイミングからその後最初の計測までのタイムラグ(図3(b)のaL、bL、cL、dL)、及び計測の時間間隔a、b、c、dにより、全ての計測日時が特定され得る。
これらのように計測タイミングの正確な日時を特定する処理は、特に限定するものではないが、計測データを計測装置100から取得した処理装置200により行われればよい。すなわち、制御部210は、計測装置100の通信部170と処理装置200の通信部230との間での通信を利用して、路面計測データを取得する路面計測データ取得手段としても動作し、また、車両計測データを取得する車両計測データ取得手段としても動作し、周囲計測データを取得する周囲計測データ取得手段としても動作する。
【0043】
次に、処理装置200の制御部210がひび割れ検出手段として行うひび割れ検出動作について説明する。
図4は、路面高さの計測について説明する図である。
図4(a)に示すように、各測位日時における車両Wの基準位置P(t2(i))が取得されている。ここでは、i=0~2についての各基準位置が示されている。基準位置Pは、衛星測位部121の位置であってよく、すなわち、衛星測位の結果がそのまま用いられてよい。
【0044】
次いで、道路面を計測した日時t1(j)を日時t2に換算した日時t2(t1(j))(j=0、1、2…)を特定し、この日時における車両Wの基準位置P(t2(t1(j))を当該日時の前後の基準位置の線形補間により特定する。また、この日時t2(t1(j))における車両Wの姿勢を、車両計測データにおける当該日時の前後の車両Wの姿勢を線形補間することなどにより求める。
【0045】
車両Wの基準位置Pと道路面の計測位置との相対関係と、車両Wの姿勢とを考慮することで、図4(b)に示すように、各計測タイミングにおける路面計測の基準範囲を示す計測測線L(j)が定まる。車両Wが平坦な道を等速でまっすぐ走っていれば、各計測測線Lは等間隔かつ互いに平行となるが、車両Wの進行方向が変化したり、加減速したりすることで、計測測線Lの一部が非平行となったり、不均等な間隔となったりする。
【0046】
路面計測部110による各計測測線Lのタイミングでの計測結果は、計測測線Lに対する相対的な高さ方向のずれを示している。すなわち、図4(c)に示すように、各計測測線Lを基準として当該計測測線L上の道路面の高さH(j)が特定される。これにより、計測対象の道路上の水平方向絶対位置(緯度、経度)に対して道路面の高さのデータが各々得られる。計測測線Lは、車高が予め特定されていれば、平坦な道路において本来の窪みやひび割れなどのない路面高と同一面内となる。したがって、求められた道路面の高さH(j)と計測測線Lの高さ(路面高)との差が本来の道路面からの凹凸量となる。
【0047】
路面性状調査システム1では、上記のようにして路面計測データに基づいて得られた道路面の高さのデータからひび割れを生じているひび割れ地点を検出する。ひび割れ地点では、この道路面の高さが局所的に低い領域となっている。道路面の高さが低い領域には、そのほか、道路面自体の傾きや、わだちなどによる凹凸によるものなどが含まれ得る。ひび割れは、延在方向に垂直な幅がわだちなどと比較して顕著に狭いことから識別が可能である。路面性状調査システム1では、道路面の傾きやわだちなどを検出対象から除外しつつひび割れを特定する。
【0048】
ひび割れは、例えば、検出対象のひび割れの下限値を基準深さ(例えば、6mm)として、各計測地点の高さH(j)の路面高(計測測線Lの高さ)からの深さが基準深さ以上であるか否かによって判別される。なお、道路面上に石、落ち葉やごみなどの物体がある場合には、ひび割れと反対向きに高さH(j)が変化する(深さが負の値となる)ので、ひび割れの特定では、高さの変化の向きを併せて考慮する。
【0049】
道路面の傾斜やわだちなどのひび割れに比して水平スケールの大きな高さの変化は、高さH(j)の変化又は高さH(j)と路面高の差の変化をそのまま用いるのではなく、例えば、判別対象地点の周囲の所定範囲内における平均高さHa(j)(すなわち、判別対象地点を基準にした移動平均値。背景データ)を高さH(j)から減算した差分の変化を用いることで除外、低減することができる。これにより、道路面の傾きやわだちなどにより周囲も含めて緩やかに高さが変化(減少)している部分は、ひび割れとして検出されない。所定範囲は、計測測線Lごと、すなわち、走査方向についてのみ定められてもよいし、前後複数の計測測線Lを含む、すなわち、走査方向についての幅に加えて車両Wの走行方向についても幅を有していてもよい。
また、移動平均の代わりに低域通過フィルタ(LPF)などを適用して全体の変化傾向を反映した値を本来の路面高として取得し、背景データとして利用してもよい。また、ウェーブレット解析を利用して対象とするひび割れ以外の空間周波数に応じた変化を除去することとしてもよい。
【0050】
ひび割れは、複数の計測地点にわたって連続することが多い。このような連続したひび割れ地点は、同一グループ(ひび割れグループ)として特定、分類される。分類は、例えば、あるひび割れ地点から基準距離以内に他のひび割れ地点があるか否かによって判別される。基準距離は、例えば、予め15mmに定められる。基準距離内に他のひび割れ地点があるひび割れ地点は、当該他のひび割れ地点(複数ある場合にはいずれとも)と同一のグループとされる。
【0051】
グループ化においては、分岐を有するひび割れグループをその分岐点で更に分割したグループも生成するのが好適である。分割処理は、以下の画像処理により行われてもよい。処理される画像データは、道路面の計測地点についてそれぞれひび割れ地点であるか否かを表す二値データを鉛直方向上方から見た各位置の画素とした平面視の画像、すなわち、水平面への平行投影画像である。上記のように、車両の走行方向及びこれに垂直な幅方向についてそれぞれ略等間隔で計測地点が並ぶので(道路の延在方向に沿った間隔とこれに垂直な交差方向(幅方向)に沿った間隔とは異なっていてもよい)、画像データは、通常の二次元マトリクス状の配列データとして表される。
【0052】
分割に係る画像処理は、例えば、モルフォロジー変換を含む。平行投影画像において、ひび割れ地点である画素の範囲を予め定めた度合で膨張させたのち、膨張させた領域を上記度合で収縮することにより、この度合で規定されるひび割れ地点間の隙間が接続される。画素のサイズが道路の延在方向(走行方向)とこれに垂直な交差方向(道路の幅方向)とで異なる場合には、それぞれ所定の度合が異なっていてもよい。
モルフォロジー変換後の画像に対し、さらに細線化処理が施される。
分岐点は、例えば、細線化処理後の細線化画像において複数通りの分岐点パターンのいずれかに一致する画素に対応する位置として検出される。分岐点パターンは、8個の近傍画素のうち3個以上と中心画素とが線の画素でありそれ以外の画素を線の画素ではないことを表す3×3画素のパターンとすることができる。分岐点での分割は、細線化画像において分岐点にて分岐している3以上の線の組のうちの分岐点にてなす角が最も大きな組以外を別の線として分割する処理とすればよい。
【0053】
グループ化されたひび割れ地点には、グループごとに同一の識別符号(ID)が付される。分岐点での分割により生成されたひび割れグループについては、平行投影画像におけるひび割れ地点の画素ごとに当該画素と細線化画像における各ひび割れグループの線との距離を算出し、各ひび割れ地点に最も近い線のひび割れグループを当該ひび割れ地点が属するひび割れグループと判定すればよい。
【0054】
同一の識別符号が付されてグループ化されたひび割れ地点については、グループの特性値が求められる。特性値には、例えば、ひび割れの最大深さやひび割れの延長(長さ)などが含まれる。ひび割れの最大深さは、グループ内のひび割れ地点における深さの最大値が単純に特定されればよい。道路面に沿ったひび割れの延長は、例えば、上記細線化画像において各グループに属する線ごとに当該線をトレースして、当該線を構成する画素の緯度、経度及び高度を用いて画素間の長さを実距離に換算しながら積算すればよい。ひび割れに周回部分や分岐部分がある場合には、これらを合計した延長であってよい。グループの識別符号及び特性値を含む特性情報は、記憶部220に記憶される。特性情報には、ひび割れが検出された道路の計測日時(又は日付のみ)が含まれてもよい。日時は、例えば、当該道路の計測開始日時であってもよいし、グループ内のひび割れ地点のうち最も早く計測がなされた地点の日時であってもよい。
【0055】
なお、識別符号は、過去の計測において重複する範囲にひび割れグループが特定されていた場合には、当該過去のひび割れグループとの関係が知得可能に定められてもよい。ユーザが異なる計測日時の同一範囲の計測結果を比較したい場合には、容易に対応するひび割れグループを特定することが可能となる。あるいは、識別符号とは別に、同一地点で異なる日時に計測されたひび割れグループを対応付けるための関連付け符号が付されてもよい。
【0056】
一方で、周囲計測部130により得られて処理装置200に送信された周囲計測データは、処理装置200において、それぞれ絶対位置(地理的三次元位置)が特定された後、重ね合わせて統合されることで、三次元道路データとなる。周囲の走行車両のように、複数回の計測の間で位置が変化するものは、適宜除外され得る。上述のように、周囲計測部130の計測では、道路外の点の位置も特定されるが、これらの道路外の地点も三次元道路データに含まれたままであってよい。得られた三次元道路データ221は、記憶部220に記憶される。
【0057】
図5は、本実施形態の路面性状調査システム1の処理装置200において実行されるひび割れ検出出力制御処理の制御部210による制御手順を示すフローチャートである。
このひび割れ検出出力制御処理は、例えば、車両Wを走らせて路面計測部110、車両計測部120及び周囲計測部130による計測が行われた後などに、計測装置100の計測データに処理装置200からアクセスが可能になった状況でユーザによる所定の入力操作などにより実行される。
【0058】
路面計測データ取得手段(制御部210)は、通信部230を介して計測装置100から路面計測データを取得し、車両計測データ取得手段(制御部210)は、通信部230を介して計測装置100から車両計測データを取得する(ステップS101)。周囲計測データ取得手段(制御部210)は、通信部230を介して周囲計測データを取得する(ステップS102)。これらステップS101、S102で取得される3種類のデータの取得順番は任意に入れ替え可能であり、また、並行して取得されてもよい。
【0059】
位置特定手段(制御部210)は、後述する絶対位置特定処理を実行する(ステップS103)。これにより、路面計測データ及び周囲計測データの各絶対位置が特定される。
【0060】
ひび割れ検出手段(制御部210)は、路面計測データの凹凸パターン、主に凹凸の空間スケールに基づいて、道路の凹凸のうち道路面自体の傾斜及びわだちなどによる凹凸の成分を除去又は低減する(ステップS104)。除去される対象には、その他、マンホールの蓋、排水溝の蓋や格子などが含まれていてもよい。これら、マンホールの蓋や排水溝の格子などは、道路面とは異なる材質であるので、レーザ光の反射率、すなわち、撮影部112が検出した反射光の強度によって区別されてもよい。ここでいう除去は、該当する各計測地点をひび割れの検出対象から除外するということであってもよいし、これらの凹凸を一時的に埋め合わせるようなデータ処理を行うことであってもよい。
【0061】
ひび割れ検出手段は、残りの路面計測データの凹凸パターンからひび割れを検出する(ステップS105)。検出対象とするひび割れの深さの下限(基準深さ)は、上述のように、例えば6mmであってもよい。あるいは、単純に固定値で区切るのではなく、路面材質などに応じて基準値(ひび割れとして特定するための基準を満たす条件)が予め定められて変更されてもよい。
なお、上記のように移動平均などを減算することによりわだちや傾斜などの影響を除去する場合には、ステップS104、S105の処理は、判別対象の計測地点ごとに続けて繰り返し行われてもよい。
【0062】
ステップS104、S105の処理によりひび割れ地点の検出が終了すると、ひび割れ検出手段は、検出されたひび割れに該当する計測地点の位置関係に基づいて、ひび割れ地点をグループ化する(ステップS106)。ひび割れ検出手段は、上述したように、所定の基準距離内に他のひび割れ地点が存在するひび割れ地点同士をグループ化する。ひび割れ検出手段は、さらにそれらのグループごとにひび割れ地点とそれ以外とで値を異ならせた二値の平行投影画像を生成し、平行投影画像にモルフォロジー変換及び細線化処理を施し、細線化画像と分岐点パターンとのパターンマッチングを行って分岐点を検出し、各グループを分岐点で分割したグループも生成する。
【0063】
ひび割れ検出手段は、各ひび割れグループに対して、識別符号を付し、計測日時データを対応付ける(ステップS107)。計測日時は、ユーザが時系列的にひび割れの発生や変化を追う場合にも利用され得る。
ステップS104~S107の処理が本発明の路面性状調査方法におけるひび割れ検出ステップを構成する。
【0064】
制御部210は、絶対日時及び絶対位置が対応付けられた路面計測データと当該路面計測データから検出されたひび割れデータと特定されたひび割れグループのデータとを記憶部220に記憶させる(ステップS108)。なお、ステップS101、S102で取得された未処理の各計測データは、別個に記憶部220に記憶保持されてもよい。
【0065】
制御部210は、絶対日時及び絶対位置が対応付けられた周囲計測データを三次元道路データ221として記憶部220に記憶させる(ステップS109)。三次元ひび割れ図生成手段(制御部210)は、指定された視点位置、視線方向、視野角及び表示サイズに応じて三次元道路データ221と路面計測データに含まれるそれぞれの計測地点の投影位置(撮影面上の位置)を算出することで、三次元ひび割れ図を生成する。三次元ひび割れ図生成手段は、生成した三次元ひび割れ図の画像を表示部241などにより表示させ、更に道路面の計測地点のうちひび割れ地点を他の色などでハイライト表示させる(ステップS110;三次元ひび割れ図生成ステップ)。このとき、制御部210は、ひび割れのグループごとにその特性情報を吹き出し表示などにより表示させてもよい。その際、分岐点で分割されていないひび割れグループと分岐点で分割されたひび割れグループのいずれかを操作受付部242を介してユーザに選択させ、選択されたグループを表示させるのが好適である。そして、制御部210は、ひび割れ検出出力制御処理を終了する。
【0066】
なお、ステップS110の表示制御動作は、ステップS109までの解析処理とは切り離して実行されてもよい。すなわち、表示制御処理が別個に実行されて、操作受付部242を介して解析済のデータに係る日付及び/又は地点が呼び出され、表示部241の表示画面内に解析済みデータに基づく画像が表示されてもよい。
【0067】
図6は、図5のステップS103で実行される絶対位置特定処理の制御手順を示すフローチャートである。
基準状態での路面計測部110及び周囲計測部130の相対位置(計測基準位置からの相対位置及び道路からの高さ)、並びに初期姿勢(計測開始時点の車両Wの姿勢)は、予め記憶部220に記憶されている。
絶対位置特定処理が開始されると、位置特定手段(制御部210)は、路面計測データ、車両計測データ及び周囲計測データを参照してステップS201~S209の処理を行う。
位置特定手段は、同期日時t2(Tk)と同期日時t1(Tk)とを用いて、日時t1から日時t2への変換関数を算出する(ステップS201)。位置特定手段は、この変換関数を路面の計測日時t1(j)にそれぞれ適用して絶対日時に変換する(ステップS202)。
【0068】
位置特定手段は、測位日時t2(i)が変換後の各計測日時t1(j)の前後のである絶対位置に対する線形補間により当該計測日時t1(j)における計測基準位置(車両位置)を算出する(ステップS203)。
【0069】
位置特定手段は、姿勢計測の結果を順次加算して計測日時t3(i)における姿勢を算出し、姿勢の計測日時t3(i)が変換後の各計測日時t1(j)の前後である姿勢に対する線形補間により当該計測日時t1(j)における車両の姿勢を算出する(ステップS204)。
【0070】
位置特定手段は、計測基準位置、初期姿勢、車両の姿勢、及び基準状態での路面計測部110の相対位置に基づいて、各計測日時t1(j)での計測測線を算出する(ステップS205)。位置特定手段は、各計測日時t1(j)に各計測地点で計測された相対高さを当該日時の計測線上の対応する位置に加算することで、路面高さの絶対位置を算出する(ステップS206)。
ステップS201~S206の処理が、本発明の路面性状調査方法における位置特定ステップを構成する。
【0071】
なお、計測データの全体に対してステップS201~S206の各処理を実行する代わりに、計測データを所定時間ごとに分割した区間に対するステップS201~S206の各処理を区間数だけ繰り返し行うのであってもよい。
【0072】
次いで、制御部210は、周囲の計測日時t4(j)のそれぞれにおける計測基準位置(車両位置)を、測位日時t2(i)が当該計測日時t4(j)の前後である絶対位置に対する線形補間により算出する(ステップS207)。ここでは、日時t4は、日時t2とずれがないので、そのまま利用されてよい。
【0073】
制御部210は、各計測日時t4(j)における車両の姿勢を、計測日時t3(i)が当該計測日時t4(j)の前後である姿勢に対する線形補間により算出する(ステップS208)。
【0074】
制御部210は、各計測日時t4(j)において得られた計測基準位置、初期姿勢、車両の姿勢、基準状態での周囲計測部130の相対位置及び周囲計測データ(レーザスキャナ131に対する周囲の物体の相対位置)に基づいて、当該計測日時t4(j)においてレーザが反射された各地点(周囲道路面)の絶対位置を算出する(ステップS209)。
なお、周囲計測データの全体に対してステップS207~S209の各処理を実行する代わりに、計測データを所定時間ごとに分割した区間に対するステップS207~S209の処理を区間数だけ繰り返し行ってもよい。
【0075】
制御部210は、複数の計測日時t4(j)の周囲計測データを絶対位置に基づいて統合する(ステップS210)。例えば、制御部210は異なる計測日時の間で水平位置が所定距離以下だが高さの差が所定値以上である地点については移動物を計測したデータであるとみなしていずれも除外する、などの統合を行う。一部の計測日時で陰などにより得られなかった地点については、他の計測日時に得られたデータで補われる。これらの統合の判断に係る条件や基準は、周知の技術なども援用して適宜定められてよい。これにより、周囲計測データに基づく三次元道路データ221が得られる。そして、制御部210は、絶対位置特定処理を終了して、処理をひび割れ検出出力制御処理に戻す。
【0076】
図7は、表示画像としての三次元ひび割れ図の表示画面の例を示す図である。
ここでは、表示ウインドウ内の表示画像D1には、三次元道路データ221に含まれる各計測地点(道路の路面を含む)及び路面計測データに含まれる各計測地点(ひび割れ検出地点を含む)をある指定された視点位置(地理的三次元位置)から見た空間分布(中心投影画像)が白点で表示される。この表示画像は3Dビューと呼ばれる。視点位置、視線方向や視野角は、例えば、ポインティングデバイスなどによる入力操作を介して(GUI(Graphical User Interface)を介して)インタラクティブに指定、調整可能であってもよい。視線方向や視野角(ズーム率)は、仮想的なカメラを設定してその撮影面の向きや焦点距離(投影面サイズ、例えば、フルサイズやAPS-Cなど、が変更可能であってもよい)などにより指定可能とされてもよい。すなわち、表示画像D1は、この仮想的なカメラの撮影面に投影された投影画像である。
【0077】
ここでは、表示画像D1の中心付近を通って左上から右下へ斜めに走る境界の下側の表示範囲A1が路面計測データの表示範囲であり、境界の上側の表示範囲A2が周囲計測データの表示範囲である。路面計測データは周囲計測データよりも高密度である。周囲計測データには、路面計測データに含まれていない対向車線の道路面、道路の外側にある地表面、植物や建物などの計測地点も含まれている。表示範囲A1には、検出されたひび割れ地点が、ひび割れのない計測地点とは異なる他の色(ここでは黒色)で重畳表示されている。
【0078】
なお、ひび割れ地点は、単に黒色などの単一色で表されるだけではなく、深さに応じた複数段階の色で表示されてもよい。また、ひび割れ地点がポインティングデバイスなどの操作受付部242で選択されると、当該選択されたひび割れ地点のひび割れの深さが各々表示されてもよい。
【0079】
ひび割れは、グループC1~C4の4か所に分かれている。グループC1~C4は、分岐点で分割されていないひび割れグループの例である。ひび割れは、グループC3、C4のように線状に伸びるだけでなく、グループC1、C2のように分岐、交差、周回する部分が生じ得る。ひび割れのグループC1~C4は、各々異なる色などで表示されることなどにより、グループC1~C4の範囲をそれぞれ識別可能とされてもよい。
【0080】
右側の画像D2は、表示画像D1の表示位置を特定しやすいように表示した画像であり、三次元道路データ221を鉛直方向上方から見た平行投影画像である。この表示は2Dビューと呼ばれる。この画像D2にひび割れ地点をハイライト表示して三次元ひび割れ図とすることもできる。
【0081】
図8は、三次元ひび割れ図の表示画面において、ひび割れの特性情報を表示させた例を示す図である。
【0082】
ひび割れのグループごとに、特性情報が吹き出し表示U1などにより示される。ひび割れのグループ数が多い場合、全ての特性情報が表示されると、三次元ひび割れ図におけるひび割れの表示自体が見えなくなるなどの問題が生じ得る。ここでは、例えば、ポインティングデバイスなどの動作に応じて移動するカーソルM1などで選択された又はカーソルM1に最も近いもの(グループC3)以外については、「!」により存在のみを示すこととしているが、これに限られるものではない。例えば、カーソルM1に最も近いもの以外はそもそも特性情報の表示を行わなくてもよい。この場合、カーソルM1が移動されると、自動的に最も近いグループのひび割れに係る特性情報の吹き出し表示に切り替えられる。また、特性情報が表示されているグループのひび割れ地点を他のグループのひび割れ地点とは異なる色(例えば、赤色など)によりハイライト表示させてもよい。
【0083】
[変形例]
本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、道路面におけるひび割れによる深さの変化構造は、空間周波数に基づく解析処理では、種々の実際の路面形状に対してうまく適用しきれない場合があり得る。そこで、路面性状調査システム1では、ひび割れ形状に伴う深さ分布の空間構造を機械学習させて、路面計測データの入力に対して当該路面計測データの各計測地点がひび割れ地点であるか否かを二値出力する学習済モデルを生成し、計測データを学習済モデルに入力することによってひび割れを検出することとしてもよい。
【0084】
学習済モデルの生成は、例えば、予め、所定サイズの区画における各計測地点の道路面の高さを有する学習用の路面計測データとそれらに対して各計測地点がそれぞれひび割れであるか否かを示す正解データとからなる教師データを用意し、当該教師データを用いて機械学習モデルを学習させることで行われる。なお、路面計測データには、各計測地点からのレーザ光の反射強度が含まれていてもよい。
【0085】
機械学習モデルは、例えば、ひび割れ地点とそれ以外とを分類するセマンティックセグメンテーションを行うためのニューラルネットワークなどとしてモデル化し、その機械学習には、ディープラーニングのアルゴリズムなどを利用することができる。
【0086】
学習済モデルが得られると、ひび割れ検出制御処理では、制御部210は、ステップS103の処理で、絶対位置が特定された路面計測データを上記所定サイズの区画ごとに学習済モデルに入力させて、各計測地点がひび割れ地点であるか否かを判別する。
【0087】
また、他の変形例として、上記実施の形態では、三次元ひび割れ図に係る画像の視点位置を任意に変更可能としたが、視点位置は、例えば、路面高より低い位置、上限高さより高い位置や道路の境界から所定距離以上離れた位置などに設定されないように制限が設けられてもよい。また、視点位置は、予め定められた複数か所などから選択されるものであってもよい。
【0088】
また、視点位置の初期値として指定される本来の道路面からの高さ、視線方向及び視野角などが予め定められていてもよい。初期値は、ユーザが変更可能であってもよい。
【0089】
また、上記実施の形態では、周囲計測データから得られた三次元道路データ221と路面計測データの各計測地点が重ねて表示されることとしたが、必ずしも三次元道路データ221の計測地点が路面計測データの計測地点に重ねて表示されなくてもよい。あるいは、反対に、広大な範囲を俯瞰表示するなどで、細かい路面形状を視認するのが困難な場合には、三次元道路データ221とひび割れ地点データの計測地点だけを重ねて表示することで、データ密度の高い路面計測データの表示に係る負荷を低減させた処理で、道路のどの辺りにひび割れが検出されたかのみをユーザが容易に知得可能としてもよい。
【0090】
また、上記実施の形態では、三次元道路データ221は、各回の周囲計測データで生成されるものとして説明したが、同一の道路を複数回計測している場合には、複数回の計測データを用いて三次元道路データ221が生成され、又は更新されてもよい。また、三次元道路データ221は、必ずしもレーザスキャナ131による計測結果により得られた各計測地点の点群で表されるものではなくてもよい。点群に基づいたメッシュ表示面などであってもよい。また、計測結果に基づいてCAD(Computer-Aided Design)などに編集
された画像データとして保持されていてもよい。これらの処理の際に、細かい凹凸が除去されて道路の表面形状などが三次元モデル化されてもよい。
【0091】
また、三次元道路データ221は、レーザスキャナ131により計測されたものでなくてもよい。路面計測とは別個に計測された路面位置のデータなどに基づいて三次元道路データ221が生成されて、記憶部220に記憶されていてもよい。また、レーザスキャナ131は、TOFによる計測の代わりに位相差(Phase Shift)を用いた計測を行うもの
であってもよい。
【0092】
また、上記実施の形態では、計測装置100による計測の終了後に計測データが処理装置200へ送られて処理が行われるものとして説明したが、これに限られない。計測装置100による計測を実行しながらリアルタイム又は多少の遅延時間を伴って(まとめて略リアルタイムで)計測データの処理が行われてもよい。この場合、通信部170と通信部230との間は、無線通信などで接続されていてもよいし、処理装置200が車両Wの内部に位置していてもよい。また、上記実施の形態では、絶対位置特定処理の処理がまとめて一度に行われることとしたが、これに限られない。日時t1からt2へ変換する変換関数の算出(ステップS201。ステップS202の処理を含めてもよい)、路面高さの算出(ステップS202~S206。ステップS202の処理を除いてもよい)、周囲の位置の算出(ステップS207~S210)の処理は、各々異なる処理、異なる処理装置で別個に行われてもよい。
【0093】
また、処理装置200により略リアルタイムでの計測データの処理が行われる場合、ひび割れ検出ステップのS104とS105は、各計測測線Lを単位として行われてもよい。その場合、ステップS104とS105とを位置特定ステップS103(S201~S206)の前に実行することが可能である。
【0094】
また、ひび割れグループの特性情報は、吹き出しU1などで示される代わりに、別途表示画面を設けて表形式で一覧表示されてもよい。この場合には、例えば、表におけるあるひび割れグループの特性情報が示されている行の範囲にカーソルM1位置する場合に、当該カーソルM1が位置されているひび割れグループに属するひび割れ地点の表示色を他のひび割れ地点の表示色とは異ならせるハイライト表示を行わせてもよい。
【0095】
また、特性情報には、最大深さ及び長さの他、幅なども特定可能な場合には加えられてよい。
【0096】
また、上記実施の形態では、姿勢計測部122が加速度センサ1221及びジャイロセンサ1222を備えることとしたが、これらに限られない。その他のセンサ、例えば、方位センサや傾斜センサなどを有していてもよい。
また、上記実施の形態では、路面計測部110が3mごとの同期信号あるいは所定時間ごとの同期信号を時間間隔aでの計測の開始契機とするトリガ信号としても用いる例を示したが、同期制御の手法はこれに限られない。同期信号出力部140が3mごとの同期信号に加えて路面計測部110のみに対する2mmごとのトリガ信号を出力し、路面計測部110が時間間隔aでの計測をせずにトリガ信号ごとに計測してもよい。また、計時部123も随時絶対日時に調時することによって同期信号出力部140を省略するなど、公知の種々の手法を用いることができる。
【0097】
また、以上の説明では、本発明のひび割れ検出出力制御に係るプログラム222を記憶するコンピュータ読み取り可能な媒体としてHDDなどを含む不揮発性メモリなどを有する記憶部220を例に挙げて説明したが、これらに限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、フラッシュメモリ、MRAMなどの他の不揮発性メモリや、CD-ROM、DVDディスクなどの可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)も本発明に適用される。
【0098】
以上のように、本実施形態の路面性状調査システム1は、車両Wに搭載されて当該車両Wが走行する道路面の高さを光切断法により検出対象のひび割れの検出精度に応じた間隔で計測して、車両Wに固定された座標系での道路面の各地点の高さを含む路面計測データを出力する路面計測部110と、路面計測部110による高さの計測と対応する期間に車両Wの地理的位置及び姿勢を計測して、当該計測の結果を含む車両計測データを出力する車両計測部120と、処理装置の制御部210と、を備える。制御部210は、位置特定手段として、路面計測データ及び車両計測データにより道路面の各地点の地理的三次元位置を特定し、ひび割れ検出手段として、路面計測データに含まれる高さに基づいて各地点の中からひび割れが生じているひび割れ地点を検出し、三次元ひび割れ図生成手段として、ひび割れ地点の地理的三次元位置を示す三次元ひび割れ図を生成する。
このように、道路面の計測位置を車両計測データにより正確に位置合わせして得られた地理的三次元位置により、ひび割れ地点の空間分布が正確に表される三次元ひび割れ図を生成することで、ユーザに対して道路面におけるひび割れ位置、その形状や深さなどの情報を従来よりも正確に示すことができる。したがって、この路面性状調査システム1では、道路面の三次元的な性状をユーザがより精度よく詳細に把握可能な情報を生成することができる。また、このような情報を時系列的に複数回取得した場合に、容易に同一位置における性状の変化をユーザが正確に知得することができる。
【0099】
また、制御部210は、三次元ひび割れ図生成手段として、指定された地理的三次元位置から見たひび割れ地点の空間分布を示す表示画像を三次元ひび割れ図として生成する。すなわち、実際に道路上などから視認する場合と同じ見え方でひび割れを表示させる画像を生成することができる。また、このひび割れを見る角度なども任意に指定することができる。よって、この路面性状調査システム1では、ユーザは、検出されたひび割れの性状を見慣れた姿勢及び見にくい姿勢のいずれでも精度よく詳細に視認することが可能になり、当該ひび割れの進行状態や補修の要否などを容易かつ確実に判断することができる。
【0100】
また、路面性状調査システム1は、路面計測部110による計測範囲の周囲の形状を含む三次元道路データ221を記憶する記憶部220を備える。制御部210は、三次元ひび割れ図生成手段として、路面計測データにより表される道路面の範囲の周囲の空間分布を三次元道路データ221により表す三次元ひび割れ図を生成する。路面計測データだけではなく三次元道路データ221も用いて三次元ひび割れ図を生成することで、路面性状調査システム1では、カーブ、交差点や道路施設を含めて道路全体や周辺などの状況も視認、把握しやすくなるので、補修の要否の判断がしやすくなる。また、補修が必要と判断され得るひび割れ地点の実地調査における当該ひび割れ地点の特定がより容易になる。
【0101】
また、制御部210は、三次元ひび割れ図生成手段として、ひび割れ地点のひび割れの深さをそれぞれ示す三次元ひび割れ図を生成する。三次元ひび割れ図で視認されるひび割れの表面的な発生位置だけでなく、ひび割れの深さの情報を併せて知得可能とすることで、この路面性状調査システム1では、ユーザがより精度よく詳細にひび割れの規模を知得することができ、これにより、補修の要否の判断がより適切に行われやすくなる。
【0102】
また、制御部210は、ひび割れ検出手段として、検出されたあるひび割れ地点と他のひび割れ地点との距離が所定幅以下である場合に、あるひび割れ地点と他のひび割れ地点とを同一のひび割れグループに属するものとして特定し、三次元ひび割れ図生成手段として、ひび割れグループを識別可能に三次元ひび割れ図を生成する。このようにひび割れグループを特定することで、路面性状調査システム1では、三次元ひび割れ図によりひび割れの進行状況や進行の規模をより精度よく詳細にユーザが知得することができる。
【0103】
また、制御部210は、ひび割れ検出手段として、ひび割れグループごとにひび割れの深さの最大値を特定し、三次元ひび割れ図生成手段として、ひび割れグループごとにこの最大値の情報を含む三次元ひび割れ図を生成する。
ひび割れ深さを全てのひび割れ地点について表示するのではなく、ひび割れグループの最大値として集約表示することで、この路面性状調査システム1では、より簡潔に集約された情報により、ユーザがひび割れの進行状況や進行の規模をより精度よく詳細に知得することができる。
【0104】
また、制御部210は、ひび割れ検出手段として、ひび割れグループごとに道路面に沿ったひび割れの長さを特定し、三次元ひび割れ図生成手段として、ひび割れグループごとに長さの情報を含む三次元ひび割れ図を生成する。ひび割れの長さについても、定量的な数値としてユーザが知得可能とすることで、三次元ひび割れ図で視認して推測するよりも容易かつ客観的にひび割れの進行状況や規模を精度よく知得することができる。
【0105】
また、本実施形態の路面性状調査装置である処理装置200は、制御部210を備える。制御部210は、路面計測データ取得手段として、路面計測部110から路面計測データを取得し、車両計測データ取得手段として、車両計測部120から車両計測データを取得し、位置特定手段として、路面計測データ及び車両計測データにより道路面の各地点の地理的三次元位置を特定し、ひび割れ検出手段として、路面計測データに含まれる道路面の高さに基づいて計測された各地点の中からひび割れが生じているひび割れ地点を検出し、三次元ひび割れ図生成手段として、ひび割れ地点の地理的三次元位置を示す三次元ひび割れ図を生成する。
このように、取得した路面計測データに含まれる道路面の計測位置を、取得した車両計測データにより正確に位置合わせして得られた地理的三次元位置により、ひび割れ地点の空間分布が正確に表される三次元ひび割れ図を生成することで、ユーザに対して道路面のひび割れ位置、その形状や深さなどの情報を従来よりも正確に示すことができる。したがって、この処理装置200では、道路面の三次元的な性状をユーザがより精度よく詳細に把握可能な情報を生成することができる。
【0106】
また、本実施形態の路面性状調査方法は、走行する車両から道路面の高さを光切断法により検出対象のひび割れの検出精度に応じた間隔で計測して、車両Wに固定された座標系での道路面の各地点の高さを含む路面計測データを出力する路面計測ステップ、路面計測ステップでの高さの計測に応じた期間に車両Wの地理的位置及び姿勢を計測して、当該計測の結果を含む車両計測データを出力する車両計測ステップ、路面計測データ及び車両計測データにより道路面の各地点の地理的三次元位置を特定する位置特定ステップ(ステップS201~S206)、路面計測データに含まれる高さに基づいて各地点の中からひび割れが生じているひび割れ地点を検出するひび割れ検出ステップ(ステップS104~S107)、ひび割れ地点の地理的三次元位置を示す三次元ひび割れ図を生成する三次元ひび割れ図生成ステップ(ステップS110)、を含む。
このように、路面計測データに含まれる道路面の計測位置を、車両計測データにより正確に位置合わせして得られた地理的三次元位置により、ひび割れ地点の空間分布が正確に表される三次元ひび割れ図を生成することで、ユーザに対して道路面のひび割れ位置、その形状や深さなどの情報を従来よりも正確に示すことができる。したがって、この路面性状調査方法によれば、道路面の三次元的な性状をユーザがより精度よく詳細に把握可能な情報を生成することができる。
【0107】
上記実施の形態で示した具体的な構成、処理動作の内容及び手順などは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。本発明の範囲は、特許請求の範囲に記載した発明の範囲とその均等の範囲を含む。
【符号の説明】
【0108】
1 路面性状調査システム
100 計測装置
110 路面計測部
111 照射部
1111 発光部
1112 走査部
112 撮影部
113 計時部
120 車両計測部
121 衛星測位部
122 姿勢計測部
1221 加速度センサ
1222 ジャイロセンサ
123 計時部
130 周囲計測部
131 レーザスキャナ
140 同期信号出力部
150 制御部
160 記憶部
170 通信部
200 処理装置
210 制御部
220 記憶部
221 三次元道路データ
222 プログラム
230 通信部
240 入出力部
241 表示部
242 操作受付部
L 計測測線
M1 カーソル
P 基準位置
U1 吹き出し表示
W 車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2022-05-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示は、
車両に搭載されて当該車両が走行する道路面の高さを光切断法により検出対象のひび割れの検出精度に応じた間隔で計測して、前記車両に固定された座標系での前記道路面の各地点の高さを含む路面計測データを出力する路面計測手段と、
前記路面計測手段による前記高さの計測と対応する期間に前記車両の地理的位置及び姿勢を計測して、当該計測の結果を含む車両計測データを出力する車両計測手段と、
前記車両計測データに基づいて、前記光切断法により前記間隔の各タイミングで行われた計測それぞれの基準範囲を示す計測測線の地理的三次元位置を求め、前記路面計測データに含まれる各地点の前記高さをその計測のタイミングの前記計測測線上の対応する地理的三次元位置加算することで前記道路面の前記各地点の地理的三次元位置を特定する位置特定手段と、
前記路面計測データに含まれる前記高さに基づいて前記各地点の中から前記ひび割れが生じているひび割れ地点を検出するひび割れ検出手段と、
前記ひび割れ地点の地理的三次元位置を示す三次元ひび割れ図を生成する三次元ひび割れ図生成手段と、
を備えることを特徴とする路面性状調査システムである。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0070
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0070】
位置特定手段は、計測基準位置、初期姿勢、車両の姿勢、及び基準状態での路面計測部110の相対位置に基づいて、各計測日時t1(j)での計測測線を算出する(ステップS205)。位置特定手段は、各計測日時t1(j)に各計測地点で計測された相対高さを当該日時の計測線上の対応する位置に加算することで、路面高さの絶対位置を算出する(ステップS206)。
ステップS201~S206の処理が、本発明の路面性状調査方法における位置特定ステップを構成する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されて当該車両が走行する道路面の高さを光切断法により検出対象のひび割れの検出精度に応じた間隔で計測して、前記車両に固定された座標系での前記道路面の各地点の高さを含む路面計測データを出力する路面計測手段と、
前記路面計測手段による前記高さの計測と対応する期間に前記車両の地理的位置及び姿勢を計測して、当該計測の結果を含む車両計測データを出力する車両計測手段と、
前記車両計測データに基づいて、前記光切断法により前記間隔の各タイミングで行われた計測それぞれの基準範囲を示す計測測線の地理的三次元位置を求め、前記路面計測データに含まれる各地点の前記高さをその計測のタイミングの前記計測測線上の対応する地理的三次元位置加算することで前記道路面の前記各地点の地理的三次元位置を特定する位置特定手段と、
前記路面計測データに含まれる前記高さに基づいて前記各地点の中から前記ひび割れが生じているひび割れ地点を検出するひび割れ検出手段と、
前記ひび割れ地点の地理的三次元位置を示す三次元ひび割れ図を生成する三次元ひび割れ図生成手段と、
を備えることを特徴とする路面性状調査システム。
【請求項2】
前記位置特定手段は、前記車両計測データから、前記車両の基準位置と前記タイミングにおける前記道路面の計測位置との相対関係と、前記タイミングにおける前記車両の姿勢とを考慮して、前記計測測線の地理的三次元位置を求めることを特徴とする請求項1記載の路面性状調査システム。
【請求項3】
前記三次元ひび割れ図生成手段は、指定された地理的三次元位置から見た前記ひび割れ地点の空間分布を示す表示画像を前記三次元ひび割れ図として生成することを特徴とする請求項1又は2記載の路面性状調査システム。
【請求項4】
前記路面計測手段による計測範囲の周囲の形状を含む三次元道路データを記憶する記憶手段を備え、
前記三次元ひび割れ図生成手段は、前記三次元道路データにより前記周囲の空間分布を表す前記三次元ひび割れ図を生成することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の路面性状調査システム。
【請求項5】
前記三次元ひび割れ図生成手段は、前記ひび割れ地点の前記ひび割れの深さをそれぞれ示す前記三次元ひび割れ図を生成することを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の路面性状調査システム。
【請求項6】
車両に搭載されて当該車両が走行する道路面の高さを光切断法により検出対象のひび割れの検出精度に応じた間隔で計測して、前記車両に固定された座標系での前記道路面の各地点の高さを含む路面計測データを出力する路面計測手段から前記路面計測データを取得する路面計測データ取得手段と、
前記路面計測手段による前記高さの計測と対応する期間に前記車両の地理的位置及び姿勢を計測して、当該計測の結果を含む車両計測データを出力する車両計測手段から前記車両計測データを取得する車両計測データ取得手段と、
前記車両計測データに基づいて、前記光切断法により前記間隔の各タイミングで行われた計測それぞれの基準範囲を示す計測測線の地理的三次元位置を求め、前記路面計測データに含まれる各地点の前記高さをその計測のタイミングの前記計測測線上の対応する地理的三次元位置加算することで前記道路面の前記各地点の地理的三次元位置を特定する位置特定手段と、
前記路面計測データに含まれる前記高さに基づいて前記各地点の中から前記ひび割れが生じているひび割れ地点を検出するひび割れ検出手段と、
前記ひび割れ地点の地理的三次元位置を示す三次元ひび割れ図を生成する三次元ひび割れ図生成手段と、
を備えることを特徴とする路面性状調査装置。
【請求項7】
走行する車両から道路面の高さを光切断法により検出対象のひび割れの検出精度に応じた間隔で計測して、前記車両に固定された座標系での前記道路面の各地点の高さを含む路面計測データを出力する路面計測ステップ、
前記路面計測ステップにおける前記高さの計測と対応する期間に前記車両の地理的位置及び姿勢を計測して、当該計測の結果を含む車両計測データを出力する車両計測ステップ、
前記車両計測データに基づいて、前記光切断法により前記間隔の各タイミングで行われた計測それぞれの基準範囲を示す計測測線の地理的三次元位置を求め、前記路面計測データに含まれる各地点の前記高さをその計測のタイミングの前記計測測線上の対応する地理的三次元位置加算することで前記道路面の前記各地点の地理的三次元位置を特定する位置特定ステップ、
前記路面計測データに含まれる前記高さに基づいて前記各地点の中から前記ひび割れが生じているひび割れ地点を検出するひび割れ検出ステップ、
前記ひび割れ地点の地理的三次元位置を示す三次元ひび割れ図を生成する三次元ひび割れ図生成ステップ、
を含むことを特徴とする路面性状調査方法。