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特開2022-141638構造色を付与した物品および構造色を付与した物品の製造方法並びに使用方法
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  • 特開-構造色を付与した物品および構造色を付与した物品の製造方法並びに使用方法 図1
  • 特開-構造色を付与した物品および構造色を付与した物品の製造方法並びに使用方法 図2
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  • 特開-構造色を付与した物品および構造色を付与した物品の製造方法並びに使用方法 図3B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022141638
(43)【公開日】2022-09-29
(54)【発明の名称】構造色を付与した物品および構造色を付与した物品の製造方法並びに使用方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 7/023 20190101AFI20220921BHJP
   B32B 9/00 20060101ALI20220921BHJP
   B32B 1/06 20060101ALI20220921BHJP
   A43B 13/20 20060101ALI20220921BHJP
   A43B 13/12 20060101ALI20220921BHJP
   G02B 5/08 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
B32B7/023
B32B9/00 A
B32B1/06
A43B13/20 A
A43B13/12 Z
G02B5/08 A
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022096212
(22)【出願日】2022-06-15
(62)【分割の表示】P 2020518473の分割
【原出願日】2018-09-28
(31)【優先権主張番号】62/565,299
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/565,306
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/565,310
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/565,313
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/633,666
(32)【優先日】2018-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514144250
【氏名又は名称】ナイキ イノベイト シーブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100167623
【弁理士】
【氏名又は名称】塚中 哲雄
(72)【発明者】
【氏名】ジェニファー ビー
(72)【発明者】
【氏名】ジェレミー ガンツ
(72)【発明者】
【氏名】キム コヴェル
(57)【要約】      (修正有)
【課題】染料や顔料の使用およびそれらの使用に関連する環境への影響を考慮することなく、美的に魅力的な色をブラダに付与することができる構造色を付与したブラダを提供する。
【解決手段】構造色を付与する多層光学フィルムを組み込んだブラダを提供する。ブラダ壁はポリウレタンとエチレンビニルアルコールコポリマーを交互に積層した構造を有し、多層光学フィルムは金属層と金属酸化物層を積層した構造を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面および外面を有するブラダ壁と、第1の面および第1の面の反対の第2の面を有す
る多層光学フィルムとを備えるブラダであって、
ブラダ壁の内面はブラダの内側の領域の少なくとも一部を確定し、ブラダ壁の、内面と
外面との間の平均壁厚さは5mm未満であり、
多層光学フィルムの第1の面は、ブラダ壁の外面上に操作可能に配置され、多層光学フ
ィルムは、ブラダ壁に構造色を付与する、ブラダ。
【請求項2】
ブラダ壁が、15cm3/m2・atm・day以下の窒素ガス透過率を示す、請求項1に記載のブ
ラダ。
【請求項3】
ブラダ壁が、交互の第1と第2のポリマー層をさらに含み、第1のポリマー層は1つま
たは複数の熱可塑性ポリウレタンをそれぞれ含み、第2のポリマー層は1つまたは複数の
熱可塑性エチレンビニルアルコールポリマーをそれぞれ含む、請求項1または2に記載の
ブラダ。
【請求項4】
ブラダ壁が、1つまたは複数の熱可塑性ポリウレタンを含む、請求項1~3のいずれか
1項に記載のブラダ。
【請求項5】
多層光学フィルムが、
酸化されていない金属を組成上含む第1の層と、
第1の金属酸化物を組成上含む第2の層と、
を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のブラダ。
【請求項6】
第1の金属酸化物とは異なる、第2の金属酸化物を組成上含む第3の層をさらに含む、
請求項1~5のいずれか1項に記載のブラダ。
【請求項7】
多層光学フィルムが、
第1の金属酸化物を組成上含む第1の層と、
第1の金属酸化物とは異なる第2の金属酸化物を組成上含む第2の層と、
を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のブラダ。
【請求項8】
ブラダ壁の外面上に配置されたプライマー層を含み、多層光学フィルムの第1の面はプ
ライマー層上に配置される、請求項1~7のいずれか1項に記載のブラダ。
【請求項9】
プライマー層が、約10~100μmの範囲の厚さを有する、請求項8に記載のブラダ
【請求項10】
膨張させたブラダであり、ブラダの内部に充填させたガスをさらに含む、請求項1~9
のいずれか1項に記載のブラダ。
【請求項11】
ガスは窒素により実質的になる、請求項1~10のいずれか1項に記載のブラダ。
【請求項12】
1つまたは複数の側壁の少なくとも1つの外面から延在する複数のトポグラフィ構造を
さらに含み、その結果、多層光学フィルムが複数のトポグラフィ構造を被覆する、請求項
1~11のいずれか1項に記載のブラダ。、請求項1~11のいずれか1項に記載のブラ
ダ。
【請求項13】
ブラダに付与する構造色が、観察角度に関係なく単一色相を有する、請求項1~12の
いずれか1項に記載のブラダ。
【請求項14】
ブラダに付与する構造色が、金属的な外観を有する、請求項1~13のいずれか1項に
記載のブラダ。
【請求項15】
ブラダに付与する構造色が、2つまたはそれ以上の色相を有する、請求項1~14のい
ずれか1項に記載のブラダ。
【請求項16】
ブラダに付与する構造色が、玉虫調である、請求項1~15のいずれか1項に記載のブ
ラダ。
【請求項17】
フットウェア用品のための緩衝素子である、請求項1~16のいずれか1項に記載のブ
ラダ。
【請求項18】
多層光学フィルムをブラダの第1のブラダ壁の外面上または内面上に操作可能に配置す
るステップを含み、内面はブラダの内側の領域の少なくとも一部を画定し、多層光学フィ
ルムは、第1の面と第2の反対の面とを有し、多層光学フィルムの第1の面または多層光
学フィルムの第2の面は、ブラダ壁の外面に配置され、多層光学フィルムがブラダ壁に構
造色を付与する、ブラダの製造方法。
【請求項19】
多層光学フィルムを操作可能に配置するステップに先立って、ブラダをガスで膨張させ
るステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
多層光学フィルムを操作可能に配置するステップに先立って、プライマー層を外面上ま
たは内面上に配置するステップをさらに含み、プライマー層を配置するステップは、堆積
プロセスを使用して金属酸化物を配置するステップを含む、請求項18または19に記載
の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2017年9月29日に出願された「STRUCTURALLY COLORED ARTICLES AND METHODS
OF MAKING STRUCTURALLY COLORED ARTICLES」の名称の米国仮出願第62/565,299号および
2018年2月22日に出願された「ARTICLES HAVING STRUCTURAL COLOR AND METHODS AND SYST
EMS FOR MAKING ARTICLES HAVING STRUCTURAL COLOR」の名称の米国仮出願第62/633,666
号および2017年9月29日に出願された「STRUCTURALLY COLORED STRUCTURES AND ARTICLES,
METHODS OF MAKING STRUCTURES AND ARTICLES」の名称の米国仮出願第62/565,313号およ
び2017年9月29日に出願された「STRUCTURES HAVING STRUCTURAL COLOR AND METHODS AND
SYSTEMS FOR MAKING STRUCTURES HAVING STRUCTURAL COLOR」の名称の米国仮出願第62/56
5,310号および2017年9月29日に出願された「STRUCTURES HAVING STRUCTURAL COLOR AND M
ETHODS AND SYSTEMS FOR MAKING STRUCTURES HAVING STRUCTURAL COLOR」の名称の米国仮
出願第62/565,310号、の利益および優先権を主張し、これらの開示は、その全体が参照に
より本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
その化学的特性に基づいて特定の波長の光を吸収または反射する染料または顔料の存在
に由来する色とは対照的に、構造色は、光と表面のマイクロまたはナノフィーチャおよび
バルク材料との物理的相互作用によって引き起こされる。染料および顔料による色は、多
くの点で問題となり得る。例えば、染料および顔料、並びに、製造および完成品の導入の
ためのそれらに関連する化学的性質は、環境に優しくない場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0003】
本発明のさらなる態様は、添付の図面と併せて、以下に記載される様々な実施形態の詳
細な説明を検討することによりさらに容易に理解される。
図1図1は、本発明の多層光学フィルムを含む、フットウェア用品を示す。
図2図2は、本発明の例示的な多層光学フィルムを有するブラダの一部の側面図を示す。
図3図3A~3Bは本発明の例示的な多層光学フィルムの側面図を示す。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、構造色を付与されたブラダを提供する。ブラダはブラダの表面上に配置され
た多層光学フィルムを含む。ブラダ上に配置された多層光学フィルムは、構造色(例えば
、1つの色相、構造色、多色構造色、玉虫調構造色等)を付与するという特徴を有する。
構造色は、染料や顔料の使用およびそれらの使用に関連する環境への影響を考慮すること
なく、美的に魅力的な色をブラダに付与することができる。1つの実施形態では、ブラダ
はフットウェア用品、フットウェアの構成部分、アパレル用品、アパレルの構成部分、ス
ポーツ用品、スポーツ用品の構成部分などとして使うことができる。さらに、ブラダは他
のタイプの消費財にも使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
多層光学フィルムは、単独でまたは任意にテクスチャ表面(例えばテクスチャ層やテク
スチャ表面)と組合せて、任意にプライマー層と組合せて、任意にテクスチャ表面とプラ
イマー層の両方と組合せて、構造色を付与することができる。任意のテクスチャ表面およ
び/またはプライマー層は、多層光学フィルムの一部であってもよく、多層光学フィルム
から分離させることもできるが、多層光学フィルムと共に使用される場合には、組合せて
構造色を付与する。言い換えれば、多層光学フィルムは単独で第1の構造色を付与するこ
とができるが、多層光学フィルムと任意のテクスチャ構造またはプライマー層との組み合
わせ、またはその両方との組み合わせにより、色相、明度または玉虫調(iridescence)の
タイプといった色パラメータに基づいて、第1の構造色多層光学フィルムとは異なる第2
の構造色を付与できるようになる。そのような場合、多層光学フィルムとテクスチャ表面
および/またはプライマー層との組み合わせは、ブラダに構造色を付与することができる
【0006】
多層光学フィルムをブラダ壁の面上または表面上またはブラダの別の構成部分上に配置し
た後、染料および/または顔料を構造色と組合せて使用することができるものの、ブラダ
へ顔料または染料を適用しなくとも、ブラダ(例えばブラダ壁)は、着色されて見える(
すなわち、新しい、ブラダ壁または構成部分の表面が配置前に有していた色とは異なる色
を有する)。多層光学フィルムブラダの外面または内面に配置(例えば、貼り付け、取り
付け、接着、結合、接合)することができる。ブラダはそして、例えばフットウェア用品
のソールまたはアッパーなどの物品に組み合わせることができる。物品(例えばソールお
よび/またはアッパー)は、構造色を付与されたブラダ壁または構成部分を含むブラダの
1つまたは複数の部分が、開口部や構造色を付与した構成部分を覆う透明な構成部分を含
む等によって、完成品において見えるように設計することができる。
【0007】
第1のブラダ壁は、20ミルの平均フィルム厚に対して、15cm3/m2・atm・day以下の窒
素ガスに対するガス透過率を有し、多層光学フィルムは第1の面と第2の面とを有し、第
1の面と第2の面は反対の面であり、多層光学フィルムの第1の面、多層光学フィルムの
第2の面またはその両方が構造色をもたらし、多層光学フィルムはブラダの外面上または
内面上に配置され、または多層光学フィルムはブラダの内部の空洞に配置される。多層光
学フィルムは光学層を含むことができる。光学層と組合せたテクスチャ表面および/また
はプライマー層は、構造色をもたらすことができる。本発明は、緩衝素子を含むフットウ
ェア用品またはスポーツ用品も提供し、緩衝素子はブラダを含む。本発明はそのような物
品の製造方法もまた提供する。
【0008】
本発明は内面と外面を有するブラダ壁を含む、膨張させたブラダもまた提供し、内面は
膨張させたブラダの内側の領域の少なくとも一部を画定し、ブラダ壁はさらに内面と外面
の間の5mm未満の平均壁厚みをさらに含み、多層光学フィルムは第1の面と第2の反対
の面とを有し、多層光学フィルムの第1の面はブラダ壁の外面上に操作可能に配置され、
多層光学フィルムはブラダ壁に構造色を付与する。本発明はそのような物品の製造方法も
また提供する。本発明は、内面と外面を有するブラダ壁を含むブラダもまた提供し、内面
はブラダの内側の領域の少なくとも一部を画定し、複数のトポグラフィ構造はブラダ壁の
外面から延在し、多層光学フィルムは第1の面と第2の反対の面とを有し、多層光学フィ
ルムの第1の面は、ブラダの外面に配置され、複数のトポグラフィ構造を被覆し、多層光
学フィルムはブラダ壁に構造色を付与する。本発明はそのような物品の製造方法もまた提
供する。
【0009】
本発明は、フットウェアのアッパーを含むフットウェア用品を提供し、膨張させたブラ
ダは、フットウェアのアッパーに操作可能に固着させた頂壁、頂壁と反対の底壁、および
膨張させたブラダの頂壁と底壁の間に延在する、1つまたは複数の側壁を含み、頂壁、底
壁、1つまたは複数の側壁は、合わせて膨張させたブラダの内側の領域を画定し、1つま
たは複数の側壁はそれぞれ外面を含み、多層光学フィルムは、1つまたは複数の側壁の少
なくとも1つの外面上に操作可能に配置され、1つまたは複数の側壁に構造色を付与する
。本発明はそのような物品の製造方法もまた提供する。
【0010】
特定の例では、プライマー層またはテクスチャ表面またはその両方が、多層光学フィル
ムの中またはブラダ上に含まれる。プライマー層を形成するにはたくさんの可能性のある
材料を使うことができる一方、プライマー層のプライマー材料に二酸化チタンを使用する
か、または二酸化チタンから実質的になるプライマー材料を使用すると、ポリウレタンを
含む柔軟なポリマー材料によく接着するプライマー層が得られることが分かった。
【0011】
本発明の多くの例では、玉虫調の構造色(例えば、異なる角度から見たときに広範囲の
色相にわたってシフトする色)を得ることができ、他の例では、異なる角度から見たとき
に広範囲の色相にわたってシフトしない構造色(例えば、色相がシフトしない、または限
られた数の色相にわたってシフトする構造色)も得ることができる。
【0012】
一例では、本発明は、ブラダ上に配置された多層光学フィルムを提供し、物品が、‐15
°~+60°の間の3つの測定角で所定の照明条件下でCIE1976色空間に従って測定
された場合、第1の観察角度における第1の測色(color measurement)の座標がL
、a およびb であり、第2の観察角度における第2の測色の座標がL 、a
およびb であり、第3の観察角度における第3の測色の座標がL 、a およ
びb であり、ここで、L 、L およびL の値は同じであっても異なってい
てもよく、a 、a およびa の座標値は、同じであっても異なっていてもよく
、b1 、b およびb の座標値は、同じであっても異なっていてもよく、組み合
わされたa 、a およびa の値の範囲は、aが取り得る値の全スケールの約
40%未満であることを特徴とする。
【0013】
別の例では、本発明は、ブラダ上に配置された多層光学フィルムを提供し、物品が、‐
15°~+60°の間の2つの測定角で所定の照明条件下でCIE1976色空間に従って測
定された場合、第1の観察角度における第1の測色の座標がL 、a およびb
であり、第2の観察角度における第2の測色の座標がL 、a およびb であり
、ここで、L およびL の値は同じであっても異なっていてもよく、a および
の座標値は、同じであっても異なっていてもよく、b1 およびb の座標値は
、同じであっても異なっていてもよく、第1の測色と第2の測色との間のΔEabは約100
以下であり、ここでΔE ab=[(L1 ‐L2 2+(a1 ‐a2 2+(b1 *‐b2 21
/2であることを特徴とする。
【0014】
さらに別の例では、ブラダ上に配置された多層光学フィルムを提供し、物品が、‐15°
~+60°の間の3つの測定角で所定の照明条件下でCIELCH色空間に従って測定された場合
、第1の観察角度における第1の測色の座標がL 、C およびh°であり、第2の
観察角度における第2の測色の座標がL2 、C2 およびh2°であり、第3の観察角度に
おける第3の測色の座標がL3 、C3 およびh3°であり、ここで、L 、L およ
びL の値は同じであっても異なっていてもよく、C 、C およびC の座標値
は、同じであっても異なっていてもよく、h1°、h2°およびh3°の座標値は、同じであっ
ても異なっていてもよく、組み合わされたh1°、h2°およびh3°の値の範囲は、約60°未
満であることを特徴とする。
【0015】
1つの実施形態において、本発明は、上述のブラダを提供するステップと、ブラダをソ
ール構造上に組合せるステップを含むフットウェア用品の製造方法を提供する。加えて、
本方法は、ソール構造をアッパー構造に貼り付けてフットウェア用品を形成するステップ
を含む。
【0016】
本発明は、多層光学フィルムをブラダの表面上に配置するステップを含む、ブラダの製
造方法を提供する。ブラダは、第1のブラダ壁厚さと、第1の熱可塑性材料を含む外面と
、第2の熱可塑性材料を含む内面とを備える第1のブラダ壁を有するブラダであり得る。
任意に第1のブラダ壁は20ミルの平均フィルム厚に対して、15cm3/m2・atm・day以下の
窒素ガスに対するガス透過率を有し、多層光学フィルムをブラダの少なくとも1つの領域
上に配置する。多層光学フィルムは、第1の面と第2の面とを有し、第1の面と第2の面
は反対の面であり、多層光学フィルムの第1の面、多層光学フィルムの第2の面またはそ
の両方が構造色を付与する。多層光学フィルムはブラダの外面上または内面上に配置する
ことができ、またブラダの内部の空洞の中に配置することができる。本発明はそのような
物品の製造方法もまた提供する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ここで、本発明の実施形態を一般的に説明してきたが、実施形態に関するさらなる議論
が、より詳細に説明される。
【0018】
本発明は、説明された特定の実施形態に限定されず、したがって、もちろん、変更する
ことが可能である。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明する目的で用いられ、それによ
って限定することを意図しない。
【0019】
値域が与えられる場合、各介在値は、文脈が特に明確に指示しない限り、下限の単位の
1/10まで、その範囲の上限および下限と、その記載された範囲内の任意の他の記載または
介在値との間は、本発明内に包含される。これらのより小さい範囲の上限および下限は、
独立して、より小さい範囲に含まれてもよく、また、記載された範囲における任意の特に
除外された制限の制約のもとで、開示内に包含される。記載された範囲が限界の一方また
は両方を含む場合、これらの限界の一方または両方を除外する範囲もまた、開示に含まれ
る。
【0020】
本発明を読めば当業者には明らかであるように、本明細書に記載され図示された個々の
実施形態の各々は、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、他のいくつかの実施
形態のいずれかの特徴から容易に分離したり、またはそれらと組み合わせることができる
、個別の構成部分および特徴を有する。任意の記載された方法は、記載されたイベントの
順序または論理的に可能な任意の他の順序で実行することができる。
【0021】
本発明の実施形態は、特に断らない限り、材料科学、化学、繊維学、ポリマー化学など
の技術を使用し、これらは当業者の技術の範囲内である。このような技術は特許文献で全
て説明されている。
【0022】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、材
料科学、化学、繊維学、ポリマー化学などの当業者によって一般に理解されるものと同じ
意味を有する。本明細書に記載されるものと類似または同等の方法および材料を、本発明
の実施または試験において使用することができるが、好適な方法および材料が本明細書に
記載される。
【0023】
明細書および特許請求範囲において用いられているように、単数形「a」、「an」およ
び「the」は、文脈が他の点を明確に指示しない限り、複数の指示対象を含み得る。従っ
て、例えば、「支持体」が指すものは、複数の支持体を含む。本明細書および以下の特許
請求の範囲において、反対の意図が明らかでない限り、以下の意味を有するように定義さ
れるいくつかの用語が参照される。
【0024】
本発明は、構造色を有するブラダを提供する。構造色はブラダに組み込まれた多層光学
フィルムを用いて生成することができる。多層光学フィルムはブラダ、例えばブラダの外
面上または外表面上、内面上または内表面上に組み込むことができる。ブラダはソール構
造に組み込むことができ、任意に他の構成部分とともにアッパーに貼り付けてフットウェ
ア用品を形成することができる。ソール構造および/またはアッパーは構造色を含む1つ
または複数の部分が被覆されず、開口部を含み、または露出して、フットウェア用品の完
成品において構造色が見えるように設計することができ、美的に満足のいく外観を提供す
る。
【0025】
ある態様において、ブラダはフットウェア用品、フットウェアの構成部分、アパレル用
品、アパレルの構成部分、スポーツ装備用品、スポーツ装備の構成部分といった多数の異
なるタイプの製造物品に組み込むことができる。例えば、ブラダはひとたび膨張させたら
緩衝素子として使用することができる(例えば、流体充填ブラダ)。特に製造物品はフッ
トウェア(例えばドレスシューズ、アスレチックフットウェア、ハイキングブーツ、ワー
クブーツ等)、スケート(例えば、ホッケースケート、フィギュアスケート、インライン
スケート、ローラースケート当)、アパレル(例えば、シャツ、ジャージ、パンツ、ショ
ーツ、手袋、眼鏡、靴下、帽子、キャップ、ジャケット、下着等)またはそれらの構成部
分、入れ物(例えば、バックパック、バッグ)および家具用の室内装飾品(例えば、椅子
、カウチ、自動車シート)、ベッドカバー(例えば、シーツ、毛布)、テーブルカバー、
タオル、旗、テント、帆およびパラシュート、を含むことができる。さらに、ブラダは、
打撃器具(例えば、バット、ラケット、スティック、打球づち(mallets)、ゴルフクラ
ブ、パドルなど)、運動用具(例えば、ゴルフバッグ、野球およびフットボールグローブ
、サッカーボール制限構造)、保護用具(例えば、パッド、ヘルメット、ガード、バイザ
ー、マスク、ゴーグルなど)、移動用具(例えば、自転車、自動二輪車、スケートボード
、自動車、トラック、ボート、サーフボード、スキー板、スノーボードなど)、様々なス
ポーツで使用される球またはパック、釣りまたは狩猟用品、家具、電子機器、建築用資材
、アイウェア、時計、宝飾品などの物品または物品上に配置されるアイテムを製造するた
めに使用することができる。ある態様において、ブラダは、バックパックまたは他のバッ
グのストラップの緩衝素子として使用することができる。
【0026】
フットウェア用品は、スポーツ、運動、軍隊、仕事関連、レクリエーションまたはカジ
ュアル用途などの様々な用途のために設計することができる。主に、フットウェア用品は
、それが競技用の地面としてであろうと、一般的な屋外地面としてであろうと、芝生(gr
ass)、芝生(turf)、砂利、砂、ダート(dirt)、土(clay)、泥(mad)、舗道などの1つ以
上を含む地面などの未舗装面(部分的または全体的)での屋外使用を意図する。しかしな
がら、フットウェア用品は、例えば、ダートの地面を含む屋内スポーツ(例えば、内野部
分がダートの屋内野球場)などの屋内用途にも望ましい場合がある。
【0027】
フットウェア用品は、グローバルフットボール/サッカー、ゴルフ、アメリカンフット
ボール、ラグビー、野球、ランニング、陸上競技、サイクリング(例えば、ロードバイク
およびマウンテンバイク)等の屋外のスポーツ活動において使用されるように設計される
。フットウェア用品は、柔らかく滑りやすい表面上に摩擦を提供するために、摩擦要素(
例えば、滑り止めの突起、クリート、スタッドおよびスパイク並びにトレッドパターン)
を任意に含むことができ、ここで、本発明の構成部分は、摩擦要素の間または隙間および
任意に摩擦要素の面上であって、地面または表面に接触する摩擦要素の表面上に使用また
は適用することができる。クリート、スタッドおよびスパイクは、一般に、グローバルフ
ットボール/サッカー、ゴルフ、アメリカンフットボール、ラグビー、野球などのスポー
ツに使用するように設計されたフットウェアに含まれ、これらは舗装されていない地面で
頻繁にプレーされる。滑り止めの突起および/または誇張されたトレッドパターンは、一
般に、トレイルランニング、ハイキングおよび軍事的使用などのでこぼこの屋外の条件下
で使用するためのブーツの設計を含むフットウェアに含まれる。
【0028】
ブラダがフットウェアに組込まれるとき、ブラダはソール構造に組込むことができ、ソ
ール構造は他の構成部分と同様にアッパーに貼り付けられてフットウェアを形成すること
ができる。ある態様において、構造色が観察できるように、ソールおよび/またはアッパ
ーは、ブラダの1つまたは複数の部分が被覆されないように、開口部を含むように、また
は他の方法で露出するように設計することができる。
【0029】
図1は、本発明の多層光学フィルムを含むブラダ11を有するフットウェア用品につい
て説明する。多層光学フィルムは、斜線領域12によって表される。多層光学フィルムの
位置は、多層光学フィルムが配置されうる一つの可能な領域を示すためのみに提供される
。また、図には一つの位置が提供されるが、これは、ブラダが一つまたは多数の多層光学
フィルムを含むことができるので、例示の目的だけのためにされるものであって、大きさ
および位置はアイテムに基づいて決定することができる。各物品上に位置する多層光学フ
ィルムは、数字、文字、記号、デザイン、エンブレム、グラフィックマーク、アイコン、
ロゴ等を表すことができる。
【0030】
図2は、ブラダの断面形状を示し、第1のブラダ壁上に配置する多層光学フィルムの可
能な位置を説明する図である。図2に示すように、第1のブラダ壁190は複数の層を有
するコア層224を有し、任意にキャップ層214、任意にプライマー層204、任意に
テクスチャ構造またはテクスチャ層202、および多層光学フィルム200を有する。任
意に、プライマー層およびテクスチャ構造またはテクスチャ層の位置は、逆にすることが
できる(図示しない)。任意にキャップ層は第1の熱可塑性材料で形成され、テクスチャ
表面(図示されない)を含むことができる。代替としてまたは追加で、キャップ層214
に面した多層光学フィルム200の面はプライマー層またはテクスチャ表面またはその両
方を含むことができる。
【0031】
本発明のブラダは、構造色などの光学効果を生成する特徴を有する多層光学フィルムを
含む。多層光学フィルムは、少なくとも1つの光学層(例えば、多層反射材または多層フ
ィルタ)を、任意にテクスチャ表面(例えば、多層光学フィルムと組合せてまたはブラダ
の表面の一部として)と組み合わせて、任意にプライマー層と組み合わせて、任意に保護
層と組み合わせて、または任意にテクスチャ表面、プライマー層、および保護層の組合せ
と組み合わせて、含む。多層光学フィルムまたは、多層光学フィルムと任意のテクスチャ
表面および/またはプライマー層との組み合わせは、構造色(例えば、単色、多色、玉虫
調)をブラダに付与する。ブラダに多層光学フィルムを配置した後、ブラダは、物品の表
面が以前に有していたよりも、例えば、新しい、異なる、またはより強い色(例えば、色
相または本明細書中で定義されるその他において)で着色されているように見え、そして
これは、ブラダへの顔料または染料の適用の有無にかかわらず美的に満足のいく効果を生
み出すことができる。
【0032】
本明細書で説明したように、構造色は、多数の色のうちの1つを含むことができる。観
察者によって知覚されるブラダの「色」は、観察者によって知覚される色が、ブラダの実
際の色によって、ブラダによって反射される光の波長を検出する観察者の能力によって、
ブラダを照明するために使用される光の波長、並びにブラダの環境の着色および入射光の
タイプ(例えば、太陽光、蛍光灯の明かりなど)といった他の要因によって決定されるた
め、ブラダの実際の色とは異なることがある。その結果、観察者によって知覚される物体
の色は、ブラダの実際の色とは異なることがある。
【0033】
従来、着色顔料または染料を物品に適用することによって、人工の物品に色が付与され
てきた。より最近では、人工の物品に「構造色」を付与する方法が開発されている。構造
色は、表面に接触する可視光を妨害する、微視的に構造化された表面によって少なくとも
部分的に生成される色である。構造色とは、色材による可視光の吸収や放射による色とは
異なり、光の散乱、屈折、反射、干渉、回折などの物理現象による色である。例えば、構
造色を生じさせる光学現象は、多層干渉、薄膜干渉、屈折、分散液、光散乱、ミー散乱、
回折および回折格子を含むことがある。本明細書に記載される様々な態様では、物品に付
与される構造色は、物品から約1メートルの距離からの20/20の正常視力(visual acuity
)および正常な色覚を有する観察者に視認できる。
【0034】
構造色は、構造色の色相、色相と明度または色相と明度および彩度が、観察角度とは無
関係であるか、または実質的に(例えば、約90パーセント、約95パーセントまたは約99パ
ーセント)無関係である角度非依存性の構造色であってもよい。例えば、単一色相角度非
依存性構造色は、少なくとも3つの、互いに少なくとも15°離れた異なる角度から見たと
きに、同じ色相または実質的に同じ色相を表示することができる(例えば、単一色相構造
色)。
【0035】
本明細書に記載されるように、構造色は、顔料および/または染料のみによって生成さ
れる色とは対照的に、多層光学フィルムによって少なくとも部分的に付与される。構造色
を生成したブラダの着色は、構造色のみで付与することができる(すなわちブラダ、ブラ
ダの着色された部分またはブラダの着色された外層は、顔料および/または染料を実質的
に含まなくてもよい)。構造色は、例えば、構造色の全部または一部を変えるために、顔
料および/または染料と組合せて使用することもできる。
【0036】
「色相」は、一般に、可視光の主波長に基づいて識別可能な色の特性を記述するために
使用され、しばしば、マゼンタ、赤、橙、黄、緑、シアン、青、インディゴ、バイオレッ
トなどの用語を使用して記述されるか、またはこれらのうちの1つに関連して(例えば、
類似または非類似として)記述することができる。色の色相は、一般に、色の強度または
明度とは無関係であると考えられる。例えば、マンセルカラーシステムでは、色の特性は
、色相、値(明度)および彩度(色純度)を含む。特定の色相は、一般に、可視スペクト
ルにおける波長の特定の範囲に関連し、約700~635ナノメートルの範囲の波長は、赤に関
連し、約635~590ナノメートルの範囲は、橙に関連し、約590~560ナノメートルの範囲は
、黄に関連し、約560~520ナノメートルの範囲は、緑に関連し、約520~490ナノメートル
の範囲は、シアンに関連し、約490ナノメートル~450ナノメートルの範囲は、青に関連し
、約450~400ナノメートルの範囲は、紫に関連する。
【0037】
観察者によって知覚されるブラダの色(色相を含む)は、ブラダの実際の色とは異なる
ことがある。観察者によって知覚される色は、ブラダの物理学だけでなく、その環境、並
びに知覚する眼および脳の特性にもよる。例えば、観察者によって知覚される色は、ブラ
ダの実際の色(例えば、ブラダの表面を出る光の色)、ブラダによって反射または放出さ
れる光の波長を検出する観察者の能力、ブラダを照明するために使用される光の波長、並
びにブラダの環境の着色および入射光のタイプ(例えば、太陽光、蛍光灯の光など)など
の他の要因によって決定される。その結果、観察者によって知覚される物体の色は、物品
の実際の色とは異なることがある。
【0038】
構造色の文脈で使用される場合、物品の構造色を付与した部分が吸収および反射(例え
ば、線形または非線形に)する光の波長に基づいて、構造色を付与した物品(ブラダ)、
すなわち、物品(例えば、ブラダ)に光学素子を組み込むことによって構造色を付与した
物品の、色相を特徴付けることができる。光学素子は、第1の構造色を付与することがで
きるが、任意のテクスチャ表面および/またはプライマー層の存在により、構造色を変え
ることができる。被膜または透明部品のような他の要因により、知覚される構造色をさら
に変化させることができる。構造色を付与した物品の色相は、本明細書に記載される色相
のいずれか、並びに他の色相または色相の組み合わせを含むことができる。構造色は、「
単一色相」(すなわち色相は、観察および/または照明の角度にかかわらず実質的に同じ
ままである)または「多色相」(すなわち色相は、観察および/または照明の角度に応じ
て変化する)と分類することができる。多色相の構造色は、玉虫調(すなわち、観察また
は照明の角度の変化に応じて、色相が2つ以上の色相にわたって徐々に変化する)をとる
ことができる。玉虫調の多色構造色の色相は、観察または照明の角度の変化に応じて、可
視スペクトル内の全ての色相にわたって徐々に変化することができる(例えば、「虹」の
ように)。玉虫調の多色相構造色の色相は、観察または照明の角度の変化に応じて、可視
スペクトルの限られた数の色相にわたって徐々に変化することができ、言い換えれば、可
視スペクトルの1つ以上の色相(例えば、赤、橙、黄など)は、観察または照明の角度が
変化しても、構造色において観察されない。単一色相の構造色については、可視スペクト
ルにおける1つの色相または実質的に1つの色相のみが、存在することができる。多色相構
造色の色相は、観察または照明の角度の変化に応じて、限られた数の色相の間(例えば、
2~8色相の間または2~4色相の間または2色相の間)でより急激に変化することができる
【0039】
構造色は、構造色によって2つ以上の色相が付与される多色相(multi‐hued)構造色とす
ることができる。
【0040】
構造色は、単一の視角で見た場合または互いに少なくとも15°離れている2つ以上の異
なる視角から見た場合に、構造色の色相が広い数の色相(例えば、4、5、6、7、8または
それ以上の色相)にわたって変化する玉虫調の多色相構造色とすることができる。
【0041】
構造色は、互いに少なくとも15°離れた2つ以上の異なる視角から見たときに、構造
色の色相が限られた数の色相(例えば、2つの色相または3つの色相)にわたって変化す
るか、または実質的に(例えば、約90パーセント、約95パーセントまたは約99パー
セント)変化する限られた玉虫調の多色相構造色であってもよい。いくつかの態様では、
限られた玉虫調を有する構造色は、赤、黄および青のRYB原色、任意に赤、黄、青、緑
、橙および紫のRYB原色および第二色または任意に赤、黄、青、緑、橙―紫、緑‐黄、
黄‐橙、橙‐赤、赤‐紫、紫‐青および青‐緑のRYB原色、第二色および第三色から選
択される2つ、3つまたは4つの色相に限定される。
【0042】
構造色は、構造色の色相、色相と明度または色相と明度および彩度が、観察角度とは無
関係であるか、または実質的に(例えば、約90パーセント、約95パーセントまたは約99パ
ーセント)無関係である単一色相の角度非依存性の構造色であってもよい。例えば、単一
色相角度非依存性構造色は、少なくとも3つの、互いに少なくとも15°離れた異なる角度
から見たときに、同じ色相または実質的に同じ色相を表示することができる(例えば、単
一色相構造色)。
【0043】
付与される構造色は、限定された玉虫調を有する構造色であってもよく、その結果、各
観察の可能な角度で観察される各色が、赤黄青(RYB)カラーホイール上の原色、第二色
および第三色からなる群から選択される単一色相に割り当てられる場合、単一の構造色相
のすべてが、単一色相群に入り、ここで、単一色相群は、a)緑-黄、黄および黄-橙、b
)黄、黄-橙および橙、c)黄-橙、橙および橙-赤、d)橙-赤および赤-紫、e)赤、赤-
紫および紫、f)赤-紫、紫および紫-青、g)紫、紫-青および青、h)紫-青、青およ
び青-緑、i)青、青-緑および緑、j)青-緑、緑および緑-黄である。言い換えれば、
限定された玉虫調のこの例では、構造色によって与えられる色相(または色相および明度
または色相、明度および彩度)は、構造色が観察される角度に応じて変化するが、観察の
様々な角度で観察される異なる色のそれぞれの色相は、限られた数の取り得る色相にわた
って変化する。各観察角度で見える色相は、赤黄青(RYB)カラーホイール上の単一の原
色、第二色および第三色の色相(すなわち、赤、黄、青、緑、橙紫、緑‐黄、黄‐橙、橙
‐赤、赤‐紫、紫‐青および青‐緑からなる色相のグループ)に割り当てることができる
。例えば、観察角度がずれるにつれて、複数の異なる色が観察されるが、観察された各色
相が、赤、黄、青、緑、橙紫、緑―黄、黄‐橙、橙‐赤、赤‐紫、紫‐青および青‐緑の
うちの1つに分類される場合、割り当てられた色相のリストは、RYB原色、第二色および第
三色のリストから選択された1つ、2つまたは3つ以下の色相を含む。限られた玉虫調のい
くつかの例では、割り当てられた色相のすべてが、色相グループa)~j)から選択された
単一色相グループに入り、色相グループのそれぞれが、RYB原色、第二色および第三色の
カラーホイール上の3つの隣接する色相を含む。例えば、割り当てられた色相の全ては、
色相グループh)内の単一色相(例えば、青)とすることができ、割り当てられた色相の
幾つかは、色相グループh)内の2つの色相(例えば、紫‐青および青)または色相グルー
プh)内の3つの色相(例えば、紫‐青、青および青‐緑)を表すことができる。
【0044】
同様に、色の明度、色の飽和度および色の純度など、構造色の他の特性は、観察または
照明の角度にかかわらず実質的に同じであってもよく、または観察または照明の角度に応
じて変化してもよい。構造色は、艶消し外観、光沢外観、金属外観またはそれらの組み合
わせを有することができる。
【0045】
上述のように、構造色を付与したブラダの色(色相を含む)は、構造色を付与したブラ
ダが観察または照明される角度に応じて変化することができる。ブラダの色相または複数
の色相は、一定の照明条件を用いて様々な角度で物品を観察することまたは物品を照明す
ることによって決定することができる。本明細書で使用されるように、照度または視野の
「角度」とは、表面に直交する軸または面から測定される角度である。視野角または照明
角は、約0~180°の間で設定することができる。観察角度または照明角度は、0°、15°
、30°、45°、60°および‐15°に設定することができ、色は、ブラダの特定の領域に焦
点を合わせて色を測定する測色計または分光光度計(例えば、コニカミノルタ)を使用し
て測定することができる。観察角度または照明角度は、0°、15°、30°、45°、60°、7
5°、90°、105°、120°、135°、150°、165°、180°、195°、210°、225°、240°
、255°、270°、285°、300°、315°、330°および345°に設定することができ、色は
、測色計または分光光度計を使用して測定することができる。構造色のみを使用して着色
された多色ブラダの特定の例では、0°、15°、30°、45°、60°および‐15°で測定さ
れた場合、ブラダについて測定された色相は、測定角度のうちの3つで「青」、測定角度
のうちの2つで「青‐緑」および測定角度のうちの1つで「紫」からなっていた。
【0046】
他の実施形態では、構造色を付与したブラダの色(色相、明度および/または彩度を含
む)は、ブラダが観察または照明される角度に応じて、実質的には変化しない。このよう
な場合、構造色は、観察される色相、色相と明度または色相と明度と彩度が実質的に独立
であるか、または観察角度とは独立であるという点で、角度に依存しない構造色とするこ
とができる。
【0047】
色座標系を定義するための様々な方法が存在する。1つの例は、Lab色空間であり
、ここで、所定の照明条件に対して、Lは明度に対する値であり、aおよびbは、CIE
座標(CIE1976色空間またはCIELAB)に基づく反対色座標(color‐opponent dimension)に
対する値である。一実施形態では、構造色を有する構造色を付与したブラダは、ブラダに
ついて測定された色の変化が、0°、15°、30°、45°、60°および‐15°の観察角度ま
たは照明角度で測定されたものから選択された3つ以上の測定された観察角度または照明
角度で、Labスケール(CIE1976色空間)のaまたはb座標の合計スケールの約10
%以内または約5%以内である場合、「単一」色を有すると考えることができる。特定の
実施形態では、a座標およびb座標のスケールの少なくとも5パーセントだけ、またはa
座標およびb座標のスケールの少なくとも10パーセントだけ異なるLabシステム
において測定され、値を割り当てられた場合、異なる色であると考えられる。構造色を付
与したブラダは、3つ以上の測定された観察角度または照明角度において、Labスケ
ール(CIE1976色空間)のa座標またはb座標の全スケールの約40%未満または約30%
未満または約20%未満または約10%未満の変化することができる。
【0048】
CIELAB空間における2つの測定値の間の色の変化は、数学的に決定することができる。
たとえば、最初の測定は座標L1 、a1 およびb1 を持ち、2番目の測定は座標L2 、a2
およびb2 をとる。CIELABスケールでのこれら2つの測定値の差の合計は、ΔEabで表
すことができ、次のように計算される:ΔEab=[(L1 ‐L2 2+(a1 ‐a2 2+(b1
‐b2 21/2。一般的に、2つの色のΔEabが1以下の場合、色の違いは人間の目には
認識されず、2つの色のΔEabが100を超える場合、その色は逆の色と見なされ、2~3の
ΔEabが認識可能な色の違いの閾値と見なされる。特定の実施形態では、構造色を有す
る構造色を付与されたブラダは、0°、15°、30°、45°、60°および‐15°の観察角度
または照明角度で測定されるものから選択される3つ以上の測定観察角度または照明角度
の間で、ΔEabが60未満または50未満または40未満または30未満である場合、「単一」
色を有するとみなすことができる。構造色を付与したブラダは、2つ以上の測定された観
察角度または照明角度の間で、約100未満または約80未満または約60未満であるΔEabを
とることができる。
【0049】
カラースケールの別の例は、CIELCH色空間であり、ここで、所定の照明条件について、
Lは明度の値であり、Cは彩度の値であり、h°は角度測定としての色相を示す。一実
施形態では、構造色を有する構造色を付与されたブラダは、ブラダについて測定された色
が、0°、15°、30°、45°、60°および‐15°の観察角度または照明角度で測定された
ものから選択された3つ以上の測定された観察角度または照明角度で、CIELCH色空間のh°
角度座標で10°未満異なるか、または5°未満異なる場合、「単一」色を有すると考える
ことができる。特定の実施形態では、CIELCHシステムにおいて測定され割り当てられた値
が、h°測定において少なくとも45°変化する場合は異なる色と考えられる。構造色を付
与したブラダは、3つ以上の測定された観察角度または照明角度におけるCIELCHシステム
のh°測定において、約60°未満または約50°未満または約40°未満または約30°未満ま
たは約20°未満または約10°未満の変化を有することができる。
【0050】
色を特徴付けるための別のシステムは、「PANTONE」マッチングシステム(Pantone LLC
、Carlstadt、New Jersey、USA)を含み、これは、任意の媒体を通して色を選択し、指定
し、ブロードキャストし、マッチングするための正確な方法を提供する表示色標準システ
ムを提供する。一例では、構造色を有する構造色を付与されたブラダは、ブラダについて
測定された色が、0°、15°、30°、45°、60°および‐15°から選択された3つ以上の測
定された観察角度または照明角度で、例えば、20の隣接するPANTONE標準内の特定の数の
隣接する標準内にある場合、「単一」色を有すると考えることができる。
【0051】
ここで色について説明したが、多層光学フィルムについて更に詳細に説明する。本明細
書に記載されるように、物品は多層光学フィルムを含む。多層光学フィルムは、少なくと
も1つの光学層を含むことができる。多層光学フィルムは、単層または多層反射材または
多層フィルタであるか、またはこれを含むことができる。多層光学フィルムは、物品に構
造色が付与されるように、多層光学フィルムに入射する光を修正するように機能すること
ができる。多層光学フィルムは、少なくとも1つの光学層と、任意に1つまたは複数の追加
の層(例えば、保護層、テクスチャ層、プライマー層、ポリマー層など)とを含むことが
できる。
【0052】
構造色を付与した物品を製造する方法は、多層光学フィルムを、物品(例えば、フット
ウェア用品、アパレル用品、スポーツ用品など)の表面または物品の構成部分上に配置す
る(例えば、貼り付ける、取り付ける、結束する、留める、接合する、添える、連結する
、巻き付ける、実施可能に配置することなどを含む)ことを含むことができる。物品は、
構成部分を含み、構成部分は、その上に多層光学フィルムを配置することができる表面を
有する。物品の表面は、本明細書に記載されるように、熱可塑性材料または熱硬化性材料
などの材料から作製することができる。例えば、物品は、熱可塑性材料(すなわち第1の
熱可塑性材料)、例えば、構成部分の外面または構成部分(例えば、ブラダの外面または
内面)の内面を含む表面を有する。多層光学フィルムは、例えば、熱可塑性材料上に配置
することができる。
【0053】
多層光学フィルムは、第1の面(外表面を含む)と、第1の面(反対の外面を含む)の反
対の第2の面とを有し、第1の面または第2の面は物品に隣接する。例えば、多層光学フィ
ルムが、フィルムまたはブラダのような、内面および外面を有する構成部分と併せて使用
される場合、多層光学フィルムの第1の面は、:多層光学フィルムの第2の面/多層光学
フィルムのコア/多層光学フィルムの第1の面/構成部分の内面/構成部分のコア/構成
部分の外面、などの順序で、構成部分の内面上に配置され得る。また、多層光学フィルム
の第2の面は、多層光学フィルムの第1の面/多層光学フィルムのコア/多層光学フィル
ムの第2の面/構成部分の内面/構成部分壁のコア/構成部分の外面、などの順序で、構
成部分の内面上に配置され得る。別の例では、多層光学フィルムの第1の面は、構成部分
の内面/構成部分のコア/構成部分の外面/多層光学フィルムの第1の面/多層光学フィ
ルムのコア/多層光学フィルムの第2の面、などの順に、構成部分の外面上に配置され得
る。同様に、多層光学フィルムの第2の面は、構成部分の内面/構成部分のコア/構成部
分の外面/多層光学フィルムの第2の面/多層光学フィルムのコア/多層光学フィルムの
第1の面、などの順序で、構成部分の外面上に配置され得る。任意のテクスチャ表面、任
意のプライマー層またはその両方が存在する例では、テクスチャ表面および/またはプラ
イマー層は、構成部分の表面と多層光学フィルムの面との間の界面に配置することができ
る。
【0054】
多層光学フィルムまたは層またはその一部(例えば、光学層)は、物理蒸着、電子ビー
ム蒸着、原子層堆積法、分子ビームエピタクシー法、陰極アーク蒸着法、パルスレーザ蒸
着法、スパッタリング蒸着(例えば、高周波、直流、反応性、非反応性)法、気相成長法
、プラズマ増強気相成長法、低圧気相成長法および層毎蒸着法、ゾル‐ゲル蒸着法、Lang
muirブロッジェット法などの湿式化学技術などの周知技術を使用して形成され得る。第1
の面の温度は、多層光学フィルムおよび/または別個のシステムを形成して温度を調節す
る技術を使用して調節することができる。さらなる詳細は、本明細書において提供される
【0055】
多層光学フィルムの1つまたは複数の光学層は、多層反射材を含んでもよい。多層反射
材は、多層反射材の層の材料選択、厚さおよび数に少なくとも部分的に依存して、光の所
定の波長(または波長の範囲)で一定の反射率を有するように構成することができる。言
い換えれば、多層反射材の層の材料、厚さおよび数、並びに任意に1つまたは複数の他の
層とのその相互作用を注意深く選択することができ、その結果、ある波長の光(または波
長範囲)を反射して、所望の構造色を生成することができる。光学層は、隣接する層が異
なる屈折率を有する少なくとも2つの隣接する層を含むことができる。光学層の隣接する
層の屈折率の差は、約0.0001~50パーセント、約0.1~40パーセント、約0.1~30パー
セント、約0.1~20パーセント、約0.1~10パーセント(およびそれらの間の他の範囲(
例えば、範囲は、0.0001~5パーセントの増分であり得る))であり得る。屈折率は、少
なくとも部分的に光学層の材料に依存し、1.3~2.6の範囲とすることができる。
【0056】
光学層は、2~20層、2~10層、2~6層または2~4層を含むことができる。光学層の各層
は、所望の構造色を生成するために、反射される光の波長の約1/4である厚さを有するこ
とができる。光学層の各層は、約10~500ナノメートルまたは約90~200ナノメートルの厚
さを有することができる。光学層は、少なくとも2つの層を有することができ、隣接する
層は、異なる厚さを有し、任意に、同じまたは異なる屈折率を有する。
【0057】
多層光学フィルムは、多層フィルタを含んでもよい。多層フィルタは、ブラダに衝突す
る光と破壊的に干渉し、光の破壊的干渉および任意に1つまたは複数の他の層または構造
(例えば、多層反射材、テクスチャ構造)との相互作用によって、構造色が生じる。この
点に関して、多層フィルタの層は、単一の波長の光または特定の範囲の波長の光が構造色
を構成するように設計することができる(例えば、材料の選択、厚さ、層の数など)。例
えば、光の波長範囲は、プラスまたはマイナス30パーセントまたは単一の波長内または単
一の波長のプラスまたはマイナス20パーセント内または単一の波長のプラスまたはマイナ
ス10パーセント内またはプラスまたはマイナス5パーセントまたは単一の波長内に制限す
ることができる。波長の範囲は、より玉虫調の構造色を生成するために、より広くするこ
とができる。
【0058】
1つまたは複数の光学層は、複数の層を含むことができ、各層は、遷移金属、メタロイ
ド、ランタノイドおよびアクチニド元素、並びにこれらの窒化物、酸窒化物、硫化物、硫
酸塩、セレン化物およびテルル化物から選択される材料を独立して含む。材料は、多層光
学フィルムの他の層と任意に組み合わされたときに所望の結果を達成する屈折率を提供す
るように選択することができる。光学層の1つ以上の層は、液晶で作ることができる。光
学層の各層は、液晶で作ることができる。光学層の1つまたは複数の層は、二酸化ケイ素
、二酸化チタン、硫化亜鉛、フッ化マグネシウム、五酸化タンタル、酸化アルミニウムま
たはそれらの組合せなどの材料から作製することができる。光学層の各層は、二酸化ケイ
素、二酸化チタン、硫化亜鉛、フッ化マグネシウム、五酸化タンタル、酸化アルミニウム
またはそれらの組み合わせなどの材料から作製することができる。
【0059】
多層光学フィルムは、無色(例えば、構造またはその層に顔料または染料を添加しない
)、着色(例えば、顔料および/または染料を構造またはその層に添加する(例えば、暗
い色または黒色))、反射性および/または透明(例えば、75パーセント以上の透過率)
であってもよい。多層光学フィルムが配置される面は、無色(例えば、顔料または染料が
材料に添加されていない)、着色(例えば、顔料および/または染料が材料に添加されて
いる(例えば、暗い色または黒色))、反射性および/または透明(例えば、75パーセン
ト以上の透過率)であってもよい。
【0060】
1つまたは複数の光学層は、各層が異なる屈折率を有する層ごとに形成することができ
る。光学層の各層は、気相成長法、パルスレーザ蒸着法、蒸発蒸着法、スパッタリング蒸
着(例えば、高周波、直流、反応性、非反応性)法、プラズマ強化気相成長法、電子ビー
ム蒸着法、電子ビーム蒸着法、原子層堆積法、分子ビームエピタクシー法、陰極アーク蒸
着法、低圧気相成長法および層毎蒸着法、ゾル‐ゲル蒸着法、Langmuirブロッジェット法
などの湿式化学技術などの周知技術を用いて形成することができる。
【0061】
上述のように、多層光学フィルムは、1つまたは複数の光学層に加えて1つ以上の層を
含むことができる。多層光学フィルムは、第1の面(例えば、表面を有する面)および第2
の面(例えば、表面を有する面)を有し、第1の面または第2の面は、構成部分の表面に隣
接する。多層光学フィルムの1つ以上の他の層は、多層光学フィルムの第1の側および/ま
たは第2の側にあってもよい。例えば、多層光学フィルムは、保護層および/または熱可
塑性ポリマー層などのポリマー層を含むことができ、保護層および/またはポリマー層は
、多層光学フィルムの第1の面および第2の面の一方または両方にあることができる。別の
例では、多層光学フィルムは、本明細書に記載のプライマー層を含むことができる。1つ
以上の任意の他の層は、テクスチャ表面を含むことができる。代替的にまたは追加的に、
多層光学フィルムの1つ以上の光学層は、テクスチャ表面を含むことができる。
【0062】
保護層は、光学層を保護するために、光学層の第1および/または第2の面上に配置され
得る。保護層は、光学層よりも耐久性または耐摩耗性がある。保護層は、可視光に対して
光学的に透明である。保護層は、多層光学フィルムの第1の面上にあり、光学層を保護す
ることができる。保護層の全部または一部は、構造色の外観を変えるために染料または顔
料を含むことができる。保護層は、二酸化ケイ素、ガラス、金属酸化物の組み合わせまた
はポリマーの混合物を含むことができる。保護層は、約3ナノメートル~1ミリメートルの
厚さを有することができる。
【0063】
保護層は、物理蒸着法、気相成長法、パルスレーザ蒸着法、蒸発蒸着法、スパッタリン
グ蒸着(例えば、高周波、直流、反応性、非反応性)法、プラズマ強化気相成長法、電子
ビーム蒸着法、陰極アーク蒸着法、低圧気相成長法および層毎蒸着法、ゾル‐ゲル蒸着法
、Langmuirブロッジェット法などの湿式化学技術を使用して形成することができる。また
さらに、保護層は、スプレーコーティング、ディップコーティング、ブラッシング、スピ
ンコーティング、ドクターブレードコーティングなどによって適用され得る。
【0064】
ポリマー層は、多層光学フィルムの第1および/または第2の面上に配置することができ
る。ポリマー層は、例えば、物品が多層光学フィルムを接着するための熱可塑性材料を含
まない場合のように、物品上に多層光学フィルムを配置するために使用することができる
。ポリマー層は、ホットメルト接着剤などのポリマー接着材料を含むことができる。ポリ
マー層は、熱可塑性材料とすることができ、1つ以上の層を含むことができる。熱可塑性
材料は、本明細書に記載の熱可塑性材料のいずれか1つとすることができる。ポリマー層
は、スピンコーティング、浸漬コーティング、ドクターブレードコーティングなどのよう
な様々な方法を用いて適用することができる。ポリマー層は、約3ナノメートル~1ミリメ
ートルの厚さを有することができる。
【0065】
上述のように、本発明の1つ以上の実施形態は、物品の構成部分の面に多層光学フィル
ム(例えば、単一または多層構造)を組み込んで構造色を付与する物品を提供する。多層
光学フィルムは、物品の面の熱可塑性材料の上に配置することができ、物品の面は、熱可
塑性材料から成る布を含むことができる。
【0066】
構造色構造を説明してきたが、任意のテクスチャ加工表面についてのさらなる詳細を以
下に説明する。本明細書に記載されるように、構成部分は、多層光学フィルムを含み、多
層光学フィルムは、少なくとも1つの光学層と、任意にテクスチャ表面とを含むことがで
きる。テクスチャ表面は、テクスチャ構造またはテクスチャ層の表面であり得る。テクス
チャ表面は、多層光学フィルムの一部として提供されてもよい。例えば、多層光学フィル
ムは、テクスチャ層またはテクスチャ表面を含むテクスチャ構造を含むことができる。テ
クスチャ表面は、多層光学フィルムの第1または第2の面上に形成されてもよい。例えば、
光学層の面は、テクスチャ表面を提供するように形成または改良されてもよく、またはテ
クスチャ層またはテクスチャ構造は、多層光学フィルムの第1または第2の面上に貼り付け
られてもよい。テクスチャ表面は、多層光学フィルムが配置される構成部分の一部として
提供されてもよい。例えば、多層光学フィルムは、構成部分の表面がテクスチャ表面であ
るか、構成部分の表面がテクスチャ構造または貼り付けられたテクスチャ層を含む構成部
分の表面上に配置されてもよく、
【0067】
テクスチャ表面(またはテクスチャ表面を含むテクスチャ構造またはテクスチャ層)は
、転写媒体などの別の媒体上またはその一部のフィーチャとして提供され、多層光学フィ
ルムの面または層に、あるいは構成部分の表面に付与されてもよい。例えば、テクスチャ
表面の鏡像、すなわちレリーフ形状を転写媒体の側に設けることができ、転写媒体は、多
層光学フィルムまたは物品にテクスチャ表面を付与するように多層光学フィルムの側また
は構成部分の表面に接触する。本明細書の様々な実施形態は、多層光学フィルムのテクス
チャ表面に関して説明することができるが、テクスチャ表面またはテクスチャ構造もしく
はテクスチャ層の特徴は、これらの方法のいずれかで付与することができることを理解さ
れたい。
【0068】
テクスチャ表面は、多層光学フィルムから生じる構造色に寄与し得る。本明細書に記載
されるように、構造色は、少なくとも部分的には、多層光学フィルムからの光線の散乱、
回折、反射、干渉または不均等な屈折などの物理現象から生じる光学効果によって付与さ
れる。テクスチャ表面(またはその鏡像すなわちレリーフ)は、複数のプロファイルフィ
ーチャおよび平坦または平面領域を含むことができる。テクスチャ表面に含まれる複数の
プロファイルフィーチャは、それらのサイズ、形状、向き、空間配置などを含めて、多層
光学フィルムから生じる光散乱、回折、反射、干渉および/または屈折に影響を及ぼすこ
とができる。テクスチャ表面に含まれる、それらのサイズ、形状、向き、空間配置などを
含む平坦または平面領域は、多層光学フィルムから生じる光散乱、回折、反射、干渉およ
び/または屈折に影響を及ぼすことができる。所望の構造色は、少なくとも部分的に、プ
ロファイルフィーチャの特性および/またはテクスチャ表面の平坦または平面領域の1つ
または複数を調整することによって設計することができる。
【0069】
プロファイルフィーチャ(「トポグラフィ構造」ともいわれる)は、平坦領域の面から
延在して、その中に突起部および/または陥没部の外観を提供することができる。プロフ
ァイルフィーチャは、突起部および陥没部の様々な組合せを含むことができる。例えば、
プロファイルフィーチャは、1つ以上の窪みを有する突起部、1つ以上の突起部を有する窪
み、1つ以上のさらなる突起部を有する突起部、1つ以上のさらなる窪みを有する窪みなど
を含んでもよい。平坦領域は、完全に平坦である必要はなく、テクスチャ、粗さなどを含
むことができる。平坦な領域のテクスチャは、あったとしても、付与された構造色には、
あまり寄与しないかもしれない。平坦な領域のテクスチャは、典型的には、付与された構
造色に寄与する。明瞭化のために、プロファイルフィーチャおよび平坦領域は、平坦領域
の上方に延在するプロファイルフィーチャを参照して記載されるが、プロファイルフィー
チャがテクスチャ構造の窪みである場合には、逆のもの(例えば、寸法、形状など)が適
用され得る。
【0070】
テクスチャ表面は、熱可塑性材料または熱硬化性材料を含むことができる。プロファイ
ルフィーチャ部および平坦領域は、熱可塑性材料を使用して形成することができる。例え
ば、熱可塑性材料がその軟化温度を超えて加熱されると、テクスチャ表面は、成形、スタ
ンピング、印刷、圧縮、切断、エッチング、真空成形などによって熱可塑性材料に形成さ
れて、その中にプロファイルフィーチャおよび平坦領域を形成することができる。テクス
チャ表面は、熱可塑性材料の面に付与することができる。テクスチャ表面は、熱可塑性材
料の層で形成することができる。プロファイルフィーチャおよび平坦領域は、同じ熱可塑
性材料または異なる熱可塑性材料で作ることができる。実施形態において、ブラダの外面
および/または内面は、熱可塑性材料から作ることができ、テクスチャ表面は記載された
ように形成することができる。
【0071】
テクスチャ表面は、概して、x軸に沿って延在する長さ寸法と、z軸に沿って延在する
幅寸法と、y軸に沿って延在する厚さ寸法とを有する。テクスチャ表面は、x軸およびz軸
に沿って延在する第1の平面内に延在する略平面部分を有する。プロファイルフィーチャ
は、平面xの上または下に延在するように、第1の平面から外向きに延在することができる
。プロファイルフィーチャは、第1の平面にほぼ直交して、または第1の平面に対して90°
よりも大きいかまたは小さい角度で延在することができる。
【0072】
各プロファイルフィーチャの寸法(例えば、プロファイルフィーチャの形状に応じて、
長さ、幅、高さ、直径)は、ナノメートル~マイクロメートルの範囲内であり得る。テク
スチャ表面は、約10ナノメートル~約500マイクロメートルの寸法を有するプロファイル
フィーチャおよび/または平坦領域を有することができる。プロファイルフィーチャは、
ナノメートル範囲、例えば、約10ナノメートル~約1000ナノメートルの寸法を有すること
ができる。プロファイルフィーチャの寸法(例えば、幾何学的形状に応じて、長さ、幅、
高さ、直径)の全ては、ナノメートルの範囲、例えば、約10ナノメートル~約1000ナノメ
ートルであり得る。テクスチャ表面は、1マイクロメートル以下の寸法を有する複数のプ
ロファイルフィーチャを有することができる。この文脈において、「複数のプロファイル
フィーチャ」という語句は、プロファイルフィーチャの約50パーセント以上、約60パーセ
ント以上、約70パーセント以上、約80パーセント以上、約90パーセント以上または約99パ
ーセント以上がこの範囲の寸法を有することを意味する。プロファイルフィーチャは、幅
:高さ寸法および/または長さ:高さ寸法において、約1:2と1:100または1:5と1:50
または1:5と1:10の比を有することができる。
【0073】
テクスチャ表面は、マイクロメーターの範囲内の寸法を有するプロファイルフィーチャ
および/または平坦領域を有することができる。テクスチャ表面は、約1マイクロメート
ル~約500マイクロメートルの寸法を有するプロファイルフィーチャおよび/または平坦
領域を有することができる。プロファイルフィーチャの全ての寸法(例えば、幾何学的形
状に応じて、長さ、幅、高さ、直径)は、マイクロメートルの範囲、例えば、約1マイク
ロメートル~約500マイクロメートルであり得る。テクスチャ表面は、約1マイクロメート
ルから約500マイクロメートルの寸法を有する複数のプロファイルフィーチャを有するこ
とができる。この文脈において、「複数のプロファイルフィーチャ」という語句は、プロ
ファイルフィーチャの約50パーセント以上、約60パーセント以上、約70パーセント以上、
約80パーセント以上、約90パーセント以上または約99パーセント以上がこの範囲の寸法を
有することを意味する。プロファイルフィーチャの高さ(または陥没部の場合は深さ)は
、約0.1~50マイクロメートル、約1~5マイクロメートルまたは2~3マイクロメートルと
することができる。プロファイルフィーチャは、約1:2および1:100または1:5および1
:50または1:5および1:10の幅:高さおよび/または長さ:高さ寸法の比を有すること
ができる。
【0074】
テクスチャ表面は、ナノメートル~マイクロメートル範囲内で大きさの次元が混在する
複数のプロファイルフィーチャを有することができる(例えば、プロファイルフィーチャ
の一部はナノメートルスケールにあり、プロファイルフィーチャの一部はマイクロメート
ルスケールにある)。テクスチャ表面は、様々な寸法比の混ざった複数のプロファイルフ
ィーチャを有することができる。テクスチャ表面は、1つまたは複数のナノメートルスケ
ールの突出部またはマイクロメートルスケールの突出部または窪み部を有するプロファイ
ルフィーチャを有することができる。
【0075】
プロファイルフィーチャは、互いの3倍(プロファイルフィーチャにおいて、wが幅であ
り、hが高さである場合、0.33w≦h≦3w)以内の高さおよび幅寸法および/または互いの
3倍(プロファイルフィーチャにおいて、Iが長さであり、hが高さである場合、0.33I≦h
≦3I)内の高さおよび長さ寸法を有することができる。プロファイルフィーチャは、約1
:3~約3:1または約1:2~約2:1または約1:1.5~約1.5:1または約1:1.2~約1.2
:1または約1:1である長さ:幅の比を有することができる。プロファイルフィーチャの
幅および長さは、実質的に同じであっても異なっていてもよい。
【0076】
プロファイルフィーチャは、一定の空間配置を有することができる。プロファイルフィ
ーチャの空間的配置は、均等に離間するか、またはパターンを形成するなど、均一であっ
てもよい。空間配置は、ランダムであってもよい。隣接するプロファイルフィーチャは、
約1~100マイクロメートル離れていてもよく、または約5~100マイクロメートル離れてい
てもよい。所望の間隔は、少なくとも部分的に、プロファイル表面のサイズおよび/また
は形状、並びに所望の構造色効果に依存し得る。
【0077】
プロファイルフィーチャは、(第1の平面と平行な平面に関して)一定の断面形状を有
することができる。テクスチャ表面は、同一または類似の断面形状を有する複数のプロフ
ァイルフィーチャを有することができる。テクスチャ表面は、異なる様々な断面形状を有
する複数のプロファイルフィーチャを有する。プロファイルフィーチャの断面形状は、多
角形(例えば、正方形または三角形または長方形の断面)、円形、半円形、管状、卵形、
ランダム、高いおよび低いアスペクト比、重複するプロファイルフィーチャなどを含み得
る。
【0078】
プロファイルフィーチャ(例えば、約10ナノメートル~500マイクロメートル)は、上
側の凸状に曲面を含むことができる。曲面は、最上点のいずれかの側に対称的に延在して
もよい。
【0079】
プロファイルフィーチャは、テクスチャ表面からの突起を含むことができる。プロファ
イルフィーチャは、テクスチャ表面に形成されたインデント(中空領域)を含むことがで
きる。プロファイルフィーチャは、滑らかで湾曲した形状(例えば、湾曲した角を有する
多角形断面)を有することができる。
【0080】
プロファイルフィーチャ(突起または陥没部のいずれであっても)は、ほぼ円錐状また
は切頭円錐状(すなわち、突起または陥没部は、水平または斜めに平坦化された頂部を有
してもよい)であってもよく、またはほぼ部分球面(part‐spherical surface)(例え
ば、それぞれ実質的に均一な曲率半径を有する凸面または凹面)を有してもよい。
【0081】
プロファイルフィーチャは、テクスチャ表面の第1の平面に対してある角度を形成する
方向に延在する1つまたは複数の面または縁部を有することができる。第1の平面とプロフ
ァイルフィーチャの面部または縁部との間の角度は、約45°以下、約30°以下、約25°以
下または約20°以下である。1つまたは複数の面部または縁部は、鎖状または平面配向で
延在することができ、または角度が第1の平面からの距離の関数として変化するように湾
曲することができる。プロファイルフィーチャは、段および/または平坦な面を含む1つ
または複数の面を有することができる。プロファイルフィーチャは、テクスチャ表面の第
1の平面に直交または垂直であり得るか、または第1の平面に対して約10°~89°(第1の
平面に垂直または直交する90°)の角度で延在し得る、1つ以上の面(またはその一部)
を有し得る。プロファイルフィーチャは、階段状構成を有する面を有することができ、面
の部分は、テクスチャ表面の第1の平面に平行であることができ、または約1°~179°(0
°は第1の平面に平行である)の角度を有することができる。
【0082】
テクスチャ表面は、変化する形状を有するプロファイルフィーチャ(例えば、プロファ
イルフィーチャは、プロファイルフィーチャの間で形状、高さ、幅および長さを変化させ
ることができる)または実質的に均一な形状および/または寸法を有するプロファイルフ
ィーチャを有することができる。テクスチャ表面によって生成される構造色は、少なくと
も部分的には、プロファイルフィーチャの形状、寸法、間隔などによって決定することが
できる。
【0083】
プロファイルフィーチャは、光がテクスチャ表面の第一の平面に垂直に入射するときに
、表面の一部(例えば、約25~50パーセント以上)が入射光に対して垂直になるように成
形することができる。プロファイルフィーチャは、光がテクスチャ表面の第1の平面に対
して最大45°の角度で入射するときに、表面の一部(例えば、約25~50パーセント以上)
が入射光に対して垂直になるように成形することができる。
【0084】
テクスチャ表面上のプロファイルフィーチャの空間的配向は、例えば、表面の構造色に
関する1つのプロファイルフィーチャの別のプロファイルフィーチャとの干渉によって生
じる歪み効果を低減するように設定される。プロファイルフィーチャの形状、寸法、相対
姿勢は、テクスチャ表面を横切ってかなり変化することができるので、プロファイルフィ
ーチャを有する特定の領域(例えば、マイクロメートル範囲または約1~10平方マイクロ
メートル)に対する所望の間隔および/または相対位置を適切に決定することができる。
本明細書で論じられるように、プロファイルフィーチャの形状、寸法、相対姿勢は、光学
層の外形に影響を及ぼすため、テクスチャ層のテクスチャ面を設計する際に、光学層内の
寸法(例えば、厚さ)、屈折率、層の数が考慮される。
【0085】
プロファイルフィーチャは、テクスチャ表面の特定の領域にわたって相互にほぼランダ
ムな位置(例えば、マイクロメートル範囲、すなわち、約1~10平方マイクロメートルま
たはセンチメートル範囲、すなわち、約0.5~5平方センチメートルおよびその中のすべ
ての範囲増分)に配置され、ランダム性は、構造色を生成する目的を損なわない。言い換
えると、ランダム性は、構造色を達成することを目標として、プロファイルフィーチャの
間隔、形状、寸法および相対姿勢、光学層内の寸法(例えば、厚さ)、屈折率および層数
などと一致する。
【0086】
プロファイルフィーチャは、構造色を生成する目的を達成するために、テクスチャ表面
の特定の領域にわたって相互に設定された様式で配置される。プロファイルフィーチャの
相対位置は、必ずしもパターンに従う必要はないが、所望の構造色と一致するパターンに
従うことができる。上述したように、また本明細書では、プロファイルフィーチャ、平坦
領域および光学層に関連する様々なパラメータを使用して、プロファイルフィーチャを相
互に設定された方法で位置決めすることができる。
【0087】
テクスチャ表面は、格子(例えば、回折格子)、フォトニック結晶構造、選択的ミラー
構造、結晶ファイバ構造、変形マトリクス構造、螺旋コイル構造、表面格子構造およびそ
れらの組み合わせを形成し得るマイクロおよび/またはナノスケールプロファイルフィー
チャを含むことができる。テクスチャ表面は、所望の構造色を生成するために周期的また
は非周期的設計構造を有する格子を形成するマイクロおよび/またはナノスケールプロフ
ァイルフィーチャを含むことができる。マイクロおよび/またはナノスケールプロファイ
ルフィーチャは、所望の構造色を生成するために、プロファイルフィーチャおよび/また
は平坦領域のピーク‐谷パターンを有することができる。グレーディングは、エシェレッ
ト格子とすることができる。
【0088】
多層光学フィルム内のテクスチャ表面のプロファイルフィーチャおよび平坦領域は、光
学層の各層内のトポグラフィック起伏として現れ得る。例えば、図3Aおよび3Bを参照する
と、多層光学フィルム200は、複数のプロファイルフィーチャ222および平坦領域224を有
するテクスチャ表面220を含む。本明細書に記載されるように、プロファイルフィーチャ2
22のうちの1つ以上は、(図3Aに示されるように)テクスチャ表面220の表面からの突起で
あってもよくおよび/またはプロファイルフィーチャ222のうちの1つ以上は、(図3Bに示
されるように)テクスチャ表面220の表面の陥没部であってもよい。1つまたは複数の光学
層240が、プロファイルフィーチャ222および平坦領域224を有するテクスチャ表面220の面
または表面上に配置される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の光学層240の得ら
れる形態は、テクスチャ表面220の形態と同一ではなく、むしろ、1つまたは複数の光学層
240は、平坦領域244の高さに対して隆起または陥没し、テクスチャ構造220のプロファイ
ルフィーチャ222の位置におおよそ対応する隆起または陥没領域242を有することができる
。また、1つ以上の光学層240は、テクスチャ表面220の平坦領域224の位置に大まかに対応
する平面領域244を有する。高さ方向または低さ方向の領域242および平面領域244が存在
するため、結果として生じる光学層240の全体的な形態は、起伏のある、すなわち、波打
ちのような構造のものとすることができる。光学層の層の数、各層の厚さ、各層の屈折率
および材料の種類とともに、プロファイルフィーチャの寸法、形状および間隔は、特定の
構造色をもたらす多層光学フィルムを生成するために使用され得る。
【0089】
ここで、多層光学フィルムおよびテクスチャ表面を一般的に説明してきたが、任意に存
在するプライマー層について、更に詳細に説明する。多層光学フィルムは、構造色を生成
するために使用され、ここで、多層光学フィルムは、(例えば、多層光学フィルムの一部
として)を含むことができ、または構造色を生成するためにプライマー層を使用すること
ができる。本明細書に記載されるように、多層光学フィルムは、テクスチャ層および/ま
たはテクスチャ表面などの任意のテクスチャ表面を(例えば、多層光学フィルムの一部と
して)含むこともできる。多層光学フィルムと任意のテクスチャ層および任意のプライマ
ー層との組み合わせは、以下の設計:テクスチャ層/プライマー層/多層光学フィルムま
たはプライマー層/テクスチャ層/多層光学フィルムのうちの1つを有する構造を形成す
ることができる。プライマー層は、約3ナノメートル~200マイクロメートルまたは約1マ
イクロメートル~約200マイクロメートルまたは約10マイクロメートル~約100マイクロメ
ートルまたは約10マイクロメートル~約80マイクロメートルの厚さを有することができる
。構造は、プライマー層、多層光学フィルムおよび(任意に)テクスチャ表面の組み合わ
せを含むことができる。プライマー層、テクスチャ層および多層光学フィルムに関連する
変数の選択は、所望の構造色を制御および選択するために使用され得る。
【0090】
構造は、プライマー層、テクスチャ表面(任意に)および多層光学フィルム(例えば、
光学素子または層)を含むことができ、多層光学フィルムは、設計に応じて、テクスチャ
表面またはプライマー層上に配置される。プライマー層、テクスチャ表面および多層光学
フィルムの組み合わせは、構造色を物品に付与し、ここで、構造色は、任意に顔料または
染料のブラダへの適用を伴うことも伴わないこともあり、プライマー色(primer color)と
は異なる。多層光学フィルムは、プライマー層および/またはテクスチャ表面上に配置す
ることができる。プライマー層は、本明細書に記載されるようなテクスチャ表面を含むこ
とができる。例えば、プライマー層は、テクスチャ表面を有するように形成することがで
きる。
【0091】
プライマー層は、塗料層(例えば、染料、顔料およびそれらの組み合わせ)、インク層
、再粉砕(reground:再生リグラインド材料)層、少なくとも部分的に分解されたポリマ
ー層、金属層、酸化物層またはそれらの組み合わせを含むことができる。プライマー層は
、明るい色または暗い色を有することができる。プライマー層は、暗い色を有することが
できる。例えば暗い色は、黒、褐色のシェイド(shade)、褐色の暗いシェイド、赤の暗
いシェイド、橙色の暗いシェイド、黄の暗いシェイド、緑の暗いシェイド、シアンの暗い
シェイド、青の暗いシェイド、紫の暗いシェイド、灰色の暗いシェイド、灰色の暗いシェ
イド、マゼンタの暗いシェイド、インディゴの暗いシェイド、トーン(tone)、ティント(t
ints)、シェイド(shade)またはこれらのいずれかの色相およびこれらの組み合わせから
選択することができる。色は、Labシステムを用いて定義することができ、ここで
、Lの値は、約70以下、約60以下、約50以下、約40以下または約30以下とすることがで
き、aおよびb座標値は、正および負の値スケールにわたって変化することができる。
【0092】
プライマー層は、デジタル印刷、インクジェット印刷、オフセット印刷、パッド印刷、
スクリーン印刷、フレキソ印刷、熱転写印刷、物理的気相成長法を含む、気相成長法、パ
ルスレーザ蒸着、蒸発蒸着、スパッタリング蒸着(高周波、直流、反応性、非反応性)、
プラズマ増強気相成長法、電子ビーム蒸着、陰極アーク蒸着、低圧気相成長法および層毎
蒸着、ゾル‐ゲル蒸着またはLangmuirブロッジェットなどの湿式化学技術を使用して形成
することができる。代替的にまたはさらに、プライマー層は、スプレーコーティング、デ
ィップコーティング、ブラッシング、スピンコーティング、ドクターブレードコーティン
グなどによって適用され得る。
【0093】
プライマー層は、約40%以下、約30%以下、約20%以下、約15%以下、約10%以下、約
5%以下または約1%以下のパーセント透過率を有することができ、「未満」は、約0%(
例えば、0~0.01または0~0.1)、約1%、約2.5%または約5%を含むことができる。
【0094】
塗料層は、ブラダに適用すると薄層を形成する塗料組成物を含むことができる。薄層は
、上記のような暗い色を有する固体フィルムであってもよい。塗料は、1つ以上の塗料樹
脂、1つ以上のポリマー、1つ以上の染料および1つ以上の顔料並びに水、フィルム形成溶
媒、乾燥剤、厚化剤、界面活性剤、皮張防止剤、可塑剤、防カビ剤、耐擦傷剤、浸水防止
剤およびそれらの組合せを含み得る既知の塗料組成物を含む。
【0095】
プライマー層は、再粉砕された、少なくとも部分的に分解されたポリマー層を含むこと
ができる。再粉砕され、少なくとも部分的に分解されたポリマー層は、上記のような暗い
色を有することができる。
【0096】
プライマー層は、金属層または酸化物層を含むことができる。金属層または酸化物層は
、上記のような暗い色を有することができる。酸化物層は、金属酸化物、ドープされた金
属酸化物またはそれらの組み合わせをとることができる。金属層、金属酸化物またはドー
プされた金属酸化物は、以下を含むことができる:遷移金属、メタロイド、ランタノイド
およびアクチニド元素、並びに窒化物、酸窒化物、硫化物、硫酸塩、セレン化物、テルル
化物およびこれらの組み合わせ。金属酸化物は、酸化チタン、酸化アルミニウム、二酸化
ケイ素、二酸化スズ、クロミア、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化銀、酸化コバルト、酸化亜
鉛、酸化白金、酸化パラジウム、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化鉛およびこれら
の組み合わせ、並びにそれぞれのドープしたものを含むことができる。いくつかの態様で
は、プライマー層は、実質的に金属酸化物からなることができる。いくつかの態様では、
プライマー層は、実質的に二酸化チタンまたは二酸化ケイ素からなることができる。いく
つかの態様では、プライマー層は、実質的に二酸化チタンからなることができる。金属酸
化物は、水、不活性ガス(例えば、アルゴン)、反応性ガス(例えば、酸素または窒素)
、金属、小さい分子およびそれらの組み合わせでドープすることができる。いくつかの態
様では、プライマー層は、実質的に、ドープされた金属酸化物またはドープされた金属酸
窒化物またはその両方からなることができる。
【0097】
プライマー層は、ブラダの表面上のコーティングであり得る。コーティングは、ブラダ
の表面に化学的に結合(例えば、共有結合、イオン結合、水素結合など)させることがで
きる。コーティングは、ポリマー材料で作られた表面に良好に結合することが見出された
。一例では、ブラダの表面は、本明細書に記載されるように、熱可塑性ポリウレタン(TP
U)を含むポリウレタンなどのポリマー材料から作製することができる。
【0098】
コーティングは、固体顔料粒子または染料などの1つまたは複数の着色剤を含む架橋コ
ーティングとすることができる。架橋コーティングは、架橋ポリマー(例えば、架橋ポリ
エステルポリウレタンポリマーまたはコポリマー)のマトリックスであり得る。着色剤は
、架橋ポリマーのマトリックス中に捕捉されることを含めて、コーティング中に捕捉する
ことができる。固体顔料粒子または染料は、架橋ポリマーマトリックス中に物理的に捕捉
することができ、化学的に結合(例えば、共有結合、イオン結合、水素結合などにより、
ポリマーマトリックスを含むコーティングまたはコーティングが適用されるブラダの表面
を形成する材料と結合する)することができ、またはコーティングまたはブラダと物理的
および化学的に結合する組合せとすることができる。架橋コーティングは、約0.01マイ
クロメートル~1000マイクロメートルの厚さを有することができる。
【0099】
コーティングは、ポリマーコーティング組成物を架橋してなる製品(または「架橋製品
」とも呼ばれる)。ポリマーコーティング組成物は、ポリマーの分散体中に1つ以上の着
色剤(例えば、固体顔料粒子または染料)を含むことができる。ポリマーの分散体は、ポ
リエステルポリウレタンコポリマーを含むポリウレタンポリマーの水性分散体などのポリ
マーの水性分散体を含むことができる。ポリマーの水性分散体は、着色剤を捕捉するため
に架橋することができる。着色剤は、架橋製品中に物理的に捕捉されてもよく、化学的に
結合されてもよく(例えば、架橋コポリマーマトリックスと共有結合、イオン結合、水素
結合など)、または、架橋製品と物理的および化学的に結合されてもよい。生成物は、ポ
リマーコーティング組成物を架橋することによって形成することができる。製品は、約0
.01マイクロメートル~1000マイクロメートルの厚さを有することができる。
【0100】
コーティングは、顔料(例えば、固体顔料粒子)または染料などの着色剤を含むことが
できる。固体顔料粒子は、金属および金属酸化物、例えば、均質な無機顔料、コア‐シェ
ル顔料などのような無機顔料、並びに炭素顔料(例えば、カーボンブラック)、粘土土類
顔料およびウルトラマリン顔料を含むことができる。固体顔料粒子は、生物学的顔料また
は有機顔料であってよい。固体顔料粒子は、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、マイカ
、クレー、シリカ、硫酸バリウムなどを含むが、これらに限定されない増量剤顔料として
当技術分野で知られているタイプのものであってよい。所望の色強度、色合いおよび不透
明度を達成するのに十分な固体顔料粒子の量は、コーティングの約5重量パーセント~25
重量パーセントまたはそれ以上までの量とすることができる。顔料は、パール顔料、カラ
ーシフト顔料(例えば、CALYPSO、JEDI、VERO、BLACKHOLE、LYNX、ROSE GOLDなど)、ハ
イパーシフト顔料、干渉顔料などのKP Pigmentによって販売されているものを含むことが
できる。着色剤は、アニオン性染料、カチオン性染料、直接染料、金属錯体染料、塩基性
染料、分散染料、溶媒染料、ポリマー染料、ポリマー染料着色剤または非イオン性染料な
どの染料であってよく、コーティングは、1つ以上の染料および/または染料のタイプを
含むことができる。染料は、水混和性染料であってもよい。染料は、可溶化染料であって
もよい。アニオン性染料は、酸性染料であってもよい。染料は、コーティングとは別個に
適用することができる(例えば、コーティングが適用および/または硬化される前または
後のいずれか)。
【0101】
酸性染料は、水溶性アニオン性染料である。酸性染料は、鈍いトーンから鮮やかなシェ
イドまで、幅広く利用可能である。化学的には、酸性染料には、アゾ、アントラキノンお
よびトリアリールメタン化合物が含まれる。「カラーインデックス」(C.I.)は、Soci
ety of Dyersand Colourists(UK)およびAmerican Association of Textile Chemists and
Colorists(USA)によって共同出版され、2000C.I.一般名において12000製品を含む、大
規模着色目的のための最も広範な染料および顔料である。C.I.において各化合物は、色お
よび化学分類を参照する2つの番号が表示される。「一般名(generic name)」とは、応
用分野や着色方法を指し、その他の番号は「構成番号」である。酸性染料の例としては、
Acid Yellow 1、17、23、25、34、42、44、49、61、79、99、110、116、127、151、158:
1、159、166、169、199、204、220、232、241、246および250;酸性赤色 1、14、17、18、
88、97、118、119、151、183、184、186、195、198、211、225、226、249、251、260、27
8、283、315、336、337、359、361、374、405、418、419および447が挙げられる。バイオ
レット3、5、7、17、54、90および92;酸性褐色4、14、15、45、50、58、75、97、98、14
7、160:1、161、165、239、248、282、289、298、322、343、349、354、355、357、365
、384、402、414、422、425、432および434;酸性橙色3、7、10、19、33、56、61、67、7
4、86、80、94、142、154および162;酸性青色1、7、9、15、92、133、158、195、277、2
77、1、314、324、335および342;酸性緑色1、12、68、114および119;60、64、65、71、
82、84、107、164、172、187、194、207、210、234、235およびこれらの組み合わせ。酸
性染料は、インク組成物中で単独で、または任意の組み合わせで使用することができる。
【0102】
酸性染料および非イオン性分散染料は、Dystar L.P.、Charlotte、NC、商品名TELON、H
untsman Corporation、Woodlands、TX、USA、商品名ERIONYLおよびTECTILON、BASF SE、L
udwigshafen、Germany、商品名BASACIDおよびBezema AG、Montlingen、Switzerland、商
品名Bemacidを含む多くの販売元から市販されている。
【0103】
着色剤は、特に染料が酸性染料である場合、染料および第四級(テトラアルキルアンモ
ニウム)アンモニウム塩を含むことができる。第四級(テトラアルキルアンモニウム)ア
ンモニウム塩は、染料(例えば、酸性染料)と反応して、コーティングに使用することが
できる錯化染料を形成することができる。「アルキル」基は、C1~C10アルキル基を含む
ことができる。第四級(テトラアルキルアンモニウム)アンモニウム塩は、水溶性テトラ
ブチルアンモニウムクロライド化合物およびテトラヘキシルアンモニウム化合物から選択
することができる。第四級アンモニウム塩の対イオンは、第四級アンモニウム塩が染料(
例えば、アニオン性染料)と安定な溶液を形成するように選択されるべきである。第四級
アンモニウム化合物は、例えば、ハロゲン化物(例えば、塩化物、臭化物またはヨウ化物
)、水酸化物、硫酸塩、亜硫酸塩、炭酸塩、過塩素酸塩、塩素酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸
塩、硝酸塩、亜硝酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、六蛍光亜リン酸塩、ホウ酸塩、テトラフ
ルオロボレート、シアン化物、イソシアニド、アジド、チオ硫酸塩テトラアルキルアンモ
ニウム化合物は、ハロゲン化物テトラブチルアンモニウムクロライドまたはハロゲン化物
テトラヘキシルアンモニウム、特に臭化テトラブチルアンモニウムクロライドまたは塩化
物または臭化テトラヘキシルアンモニウムまたは塩化物であるか、またはそれらを含むこ
とができる。コーティング(例えば、コーティング、ポリマーコーティング組成物(硬化
前))は、約1~15重量パーセントの第四級アンモニウム塩を含むことができる。酸性染
料対第四級アンモニウム化合物のモル比は、約3:1~1:3または約1.5:1~1:1.5の範
囲であり得る。
【0104】
コーティング(例えば、コーティング、ポリマーコーティング組成物(硬化前)、架橋
ポリマーのマトリックスのモノマーおよび/またはポリマーまたはコーティングの前駆体
)は、コーティングのポリマー構成部分を架橋するように機能する架橋剤を含むことがで
きる。架橋剤は、水性架橋剤であり得る。架橋剤は、ポリカルボン酸架橋剤、アルデヒド
架橋剤、ポリイソシアネート架橋剤またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含むこ
とができる。ポリカルボン酸架橋剤は、2~9個の炭素原子を有するポリカルボン酸であり
得る。例えば、架橋剤は、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、酸のコポリマー、マレイン
酸、フマル酸または1、2、3、4‐ブタンテトラカルボン酸のコポリマーを含むことができ
る。架橋剤の濃度は、コーティングの約0.01~5重量パーセントまたは1~3重量パーセン
トであり得る。
【0105】
コーティング(例えば、コーティング、ポリマーコーティング組成物(硬化前)、架橋
ポリマーのマトリックスのモノマーおよび/またはポリマーまたはコーティングの前駆体
)は、溶媒を含むことができる。溶媒は、有機溶媒であり得る。有機溶媒は、水混和性有
機溶媒であり得る。コーティングは、水を含まなくてもよく、または実質的に水を含まな
くてもよい。例えば、溶媒は、アセトン、エタノール、2‐プロパノール、酢酸エチル、
酢酸イソプロピル、メタノール、メチルエチルケトン、1‐ブタノール、t‐ブタノールま
たはそれらの任意の混合物であり得るか、またはそれらを含む。
【0106】
本明細書で参照されるポリマー材料、例えば、ブラダ、ブラダの構成部分、構造、層、
フィルム、発泡体、下塗り層、コーティングなどに関して記載されるポリマーを更に詳細
に説明する。ポリマーは、熱硬化性ポリマーまたは熱可塑性ポリマーであり得る。ポリマ
ーは、エラストマー熱硬化性ポリマーまたはエラストマー熱可塑性ポリマーを含むエラス
トマーポリマーであり得る。ポリマーは、ポリウレタン(エラストマーポリウレタン、熱
可塑性ポリウレタン(TPU)およびエラストマーTPUを含む)、ポリエステル、ポリエーテ
ル、ポリアミド、ビニルポリマー(例えば、ビニルアルコール、ビニルエステル、エチレ
ン、アクリレート、メタクリレート、スチレンなどのコポリマー)、ポリアクリロニトリ
ル、ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート、ポリ尿素、ポリスチレン、それらのコ
ポリマー(ポリエステル‐ポリウレタン、ポリエーテル‐ポリウレタン、ポリカーボネー
ト‐ポリウレタン、ポリエーテルブロックポリアミド(PEBA)およびスチレンブロックコ
ポリマーを含む)、並びに本明細書に記載されるようなそれらの任意の組み合わせから選
択され得る。ポリマーは、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ポリウレタン、そ
れぞれのポリオレフィンコポリマーおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される
1つ以上のポリマーを含むことができる。
【0107】
「ポリマー」という用語は、モノマーと呼ばれる構造単位の複数の繰り返しから形成さ
れる化合物を指す。ポリマーは、しばしば、複数の構造単位が相互に共有結合していく重
合反応によって形成される。ポリマーを形成する単量体単位が全て同じ化学構造を有する
場合、ポリマーはホモポリマーである。ポリマーが異なる化学構造を有する2つ以上の単
量体単位を含む場合、ポリマーはコポリマーである。コポリマーのタイプの一例は、三つ
の異なるタイプのモノマー単位を含む三元コポリマーである。コポリマーは、ポリマー中
にランダムに分布した2つ以上の異なるモノマー(例えば、ランダムコポリマー)を含む
ことができる。また、複数の第1のタイプのモノマーを含有する1つ以上のブロックを、複
数の第2のタイプのモノマーを含有する1つ以上のブロックに結合させて、ブロックコポリ
マーを形成することができる。単一のモノマー単位は、1つ以上の異なる化学官能基を含
むことができる。
【0108】
2つ以上のタイプの化学官能基を含む繰り返し単位を有するポリマーは、2つ以上のセグ
メントを有すると言うことができる。例えば、同じ化学構造の繰り返し単位を有するポリ
マーは、繰り返しセグメントを有すると言うことができる。セグメントは、一般に、それ
らの化学構造に基づいて比較的ハードまたはソフトであると記載され、ポリマーは、単一
のモノマー単位または異なるモノマー単位で互いに結合された比較的ハードなセグメント
および比較的ソフトなセグメントを含むことが一般的である。ポリマーが反復セグメント
を含む場合、物理的相互作用または化学的結合は、セグメント内またはセグメント間また
はセグメント内およびセグメント間の両方に存在し得る。しばしばハードセグメントと呼
ばれるセグメントの例には、イソシアネートをポリオールと反応させてポリウレタンを形
成することから形成することができるウレタン結合を含むセグメントが含まれる。しばし
ばソフトセグメントと呼ばれるセグメントの例には、エーテルまたはエステル官能基を含
むセグメントなどのアルコキシ官能基を含むセグメントおよびポリエステルセグメントが
含まれる。セグメントは、セグメント(例えば、ポリエーテルセグメント、ポリエステル
セグメント)中に存在する官能基の名称に基づいて、並びにセグメント(例えば、ポリオ
ール誘導セグメント、イソシアネート誘導セグメント)を形成するために反応させた化学
構造の名称に基づいて言及することができる。セグメントが誘導された特定の官能基また
は特定の化学構造のセグメントに言及する場合、ポリマーは、10モルパーセントまでの他
の官能基のセグメントまたは他の化学構造に由来するセグメントを含有することができる
ことが理解される。例えば、本明細書で使用されるように、ポリエーテルセグメントは、
10モルパーセントまでの非ポリエーテルセグメントを含むと理解される。
【0109】
前述のように、ポリマーは熱可塑性ポリマーであってもよい。一般に、熱可塑性ポリマ
ーは、加熱されると軟化または溶融し、冷却されると固体状態に戻る。熱可塑性ポリマー
は、その温度がその軟化温度以上の温度に上昇すると、固体状態から軟化状態に遷移し、
その温度がその溶融温度以上の温度に上昇すると、液体状態に遷移する。十分に冷却され
ると、熱可塑性ポリマーは、軟化状態または液体状態から固体状態に遷移する。そのよう
なものとして、熱可塑性ポリマーは、複数のサイクルを通して軟化または溶融され、成形
され、冷却され、再軟化または再溶融され、再成形され、そして再び冷却され得る。非晶
質熱可塑性ポリマーについては、固体状態は、ポリマーのガラス転移温度を超える「ゴム
状」状態であると理解される。熱可塑性ポリマーは、本明細書中以下に記載されるASTM D
3418‐97に従って測定される場合、約90℃~約190℃の溶融温度を有し得、そして1℃の増
分でその中に全てのサブレンジを含む。熱可塑性ポリマーは、本明細書で説明されるASTM
D3418‐97に従って決定される場合、約93℃~約99℃の溶融温度を有し得る。熱可塑性ポ
リマーは、本明細書で説明されるASTM D3418‐97に従って決定される場合、約112℃~約1
18℃の溶融温度を有し得る。
【0110】
ガラス転移温度は、アモルファスポリマーが比較的脆い「ガラス状」状態から比較的柔
軟な「ゴム状」状態に転移する温度である。熱可塑性ポリマーは、本明細書で説明される
ASTM D3418‐97に従って決定される場合、約‐20℃~約30℃のガラス転移温度を有し得る
。熱可塑性ポリマーは、以下に記載するASTM D3418‐97に従って測定した場合、ガラス転
移温度(約‐13℃~約‐7℃)を有することができる。熱可塑性ポリマーは、本明細書で
説明されるASTM D3418‐97に従って決定される場合、約17℃~約23℃のガラス転移温度を
有し得る。
【0111】
熱可塑性ポリマーは、2.16キログラム(kg)の重量を用いて160℃で以下に記載するAS
TM D1238‐13に従って試験した場合、約10~約30立方センチメートル/10分(cm3/10分
)のメルトフローインデックスを有することができる。熱可塑性ポリマーは、2.16kgの
重量を用いて160℃で以下に記載するASTM D1238‐13に従って試験した場合、約22cm3/10
分~約28cm3/10分のメルトフローインデックスを有することができる。
【0112】
熱可塑性ポリマーは、本明細書において以下に記載されるように、冷間Ross屈曲(Ross
flex)試験に従って熱可塑性ポリマーの熱成形プラーク上で試験された場合、亀裂または
増白なしに、約120,000~約180,000サイクルの冷間Ross屈曲試験結果を有することがで
きる。熱可塑性ポリマーは、以下に記載されるような冷間ロスフレックス試験に従って熱
可塑性ポリマーの熱成形プラーク上で試験された場合、亀裂または白化なしに、約140,0
00~約160,000サイクルの冷間ロスフレックス試験結果を有することができる。
【0113】
熱可塑性ポリマーは、以下に説明する改良を加えて、加硫ゴムおよび熱可塑性のゴムお
よび熱可塑性エラストマーの引張強度に関するASTM D412‐98標準試験方法に従い、熱形
成プラーク上で決定されるとき、約5メガパスカル(MPa)から約100MPまでの値をとるこ
とができる。熱可塑性ポリマーは、加硫ゴムおよび熱可塑性ゴムおよび熱可塑性エラスト
マーの引張強度に関するASTM D412‐98標準試験方法に従い、熱形成プラーク上で決定し
たとき、約20MPaから約80MPaの弾性率を有することができる。
【0114】
ポリマーは、熱硬化性ポリマーであり得る。本明細書で使用される「熱硬化性ポリマー
」は、その溶融温度がその分解温度以上であるので、加熱して溶融することができないポ
リマーを指すと理解される。「熱硬化性材料」は、少なくとも1つの熱硬化性ポリマーを
含む材料を指す。熱硬化性ポリマーおよび/または熱硬化性材料は、熱エネルギーおよび
/または化学線(例えば、紫外線、可視光線、高エネルギー放射線、赤外線)を使用して
、前駆体(例えば、未硬化または部分硬化ポリマーまたは材料)から調製されて、もはや
完全に熱可塑性のままではない部分硬化または完全硬化ポリマーまたは材料を形成するこ
とができる。場合によっては、硬化したまたは部分的に硬化したポリマーまたは材料は、
高温および/または高圧下でポリマーまたは材料を部分的に軟化させ、成形することが可
能であるため、熱弾性特性を保つことができるが、硬化したまたは部分的に硬化したポリ
マーまたは材料は、ポリマーまたは材料を溶融させることは不可能である。硬化は、例え
ば、高圧および/または触媒を使用して促進することができる。多くの例において、硬化
プロセスは、前駆体の架橋および/または重合反応をもたらすので、不可逆的である。未
硬化または部分的に硬化したポリマーまたは材料は、硬化前に可鍛性(malleable)または
液体であってもよい。場合によっては、未硬化または部分的に硬化したポリマーまたは材
料を、それらの最終形状に成形するか、または接着剤として使用することができる。一旦
硬化すると、熱硬化性ポリマーまたは材料は、再成形するために再溶融することができな
い。テクスチャ表面は、テクスチャ構造のテクスチャ表面に固定するために、未硬化の前
駆体材料を部分的にまたは完全に硬化させることによって形成することができる。
【0115】
ポリウレタン
ポリウレタンポリマーは、熱可塑性ポリウレタン(「TPU」とも呼ばれる)などのポリ
ウレタンとすることができる。また、ポリマーは熱硬化性ポリウレタンであってもよい。
さらに、ポリウレタンは、エラストマーTPUまたはエラストマー熱硬化性ポリウレタンを
含むエラストマーポリウレタンであり得る。エラストマーポリウレタンは、ハードおよび
ソフトセグメントを含むことができる。ハードセグメントは、ウレタンセグメント(例え
ば、イソシアネート誘導セグメント)を含むか、またはウレタンセグメントからなること
ができる。ソフトセグメントは、アルコキシ基セグメント(例えば、ポリエーテルセグメ
ントを含むポリオール由来セグメント、またはポリエステルセグメント、またはポリエー
テルセグメントとポリエステルセグメントの組み合わせ)を含むか、またはそれらからな
ることができる。ポリウレタンは、反復ハードセグメントおよび反復ソフトセグメントを
有するエラストマーポリウレタンを含むか、または実質的にそれからなることができる。
【0116】
1つ以上のポリウレタンは、1つ以上のイソシアネートを1つ以上のポリオールと重合さ
せて、以下の式1に例示されるようなカルバメート結合(‐N(CO)O‐)を有するポリマ
ー鎖を生成することによって生成され得、ここで、イソシアネートは、各々、好ましくは
、1分子あたり2、3、または4個のイソシアネート基など、1分子あたり2つ以上のイソシア
ネート(‐NCO)基を含む(ただし、単官能イソシアネートは、例えば、鎖末端単位とし
て任意に含まれ得る)。
【0117】
【化1】
【0118】
各R1基およびR2基は、独立して、脂肪族または芳香族基である。任意に、各R2は、1つ
以上の水酸基を有する基を含む、比較的親水性の基であり得る。
【0119】
さらに、イソシアネートはまた、2つ以上のイソシアネートを架橋するために、1つ以上
の鎖延長剤で鎖延長され得、ハードセグメントの長さを増加させる。これにより、R3が鎖
延長剤を含む、以下の式2に示すようなポリウレタンポリマー鎖を生成することができる
。各R1およびR3と同様に、各R3は独立して脂肪族または芳香族官能基である。
【0120】
【化2】
【0121】
式1および2における各R1基は、独立して、使用される特定のイソシアネートに基づいて
、3~30個の炭素原子を有する直鎖または分岐基を含むことができ、脂肪族、芳香族であ
ることができ、または脂肪族部分および芳香族部分の組み合わせを含むことができる。用
語「脂肪族」とは、非局在化π電子を有する環状共役環系を含まない飽和または不飽和の
有機分子または分子の一部をいい、これに対して、用語「芳香族」とは、非局在化π電子
を有する仮定の環系よりも大きな安定性を示す、非局在化π電子を有する環状共役環系を
有する有機分子または分子の一部をいう。
【0122】
各R1基は、ポリマーを形成する反応化合物またはモノマーの総重量に基づいて、約5重
量パーセント~約85重量パーセント、約5重量パーセント~約70重量パーセント、または
約10重量パーセント~約50重量パーセントの量で存在することができる。
【0123】
脂肪族実施形態(脂肪族イソシアネートから)では、各R1基は、直鎖脂肪族基、分岐脂
肪族基、脂環式基、またはそれらの組み合わせを含むことができる。例えば、各R1基は、
3~20個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキレン基(例えば、4~15個の炭素原子
を有するアルキレン、または6~10個の炭素原子を有するアルキレン)、3~8個の炭素原
子を有する1つ以上のシクロアルキレン基(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シ
クロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、またはシクロオクチル)およびそれら
の組み合わせを含むことができる。用語「アルケン」または「アルキレン」は、本明細書
で使用される場合、二価炭化水素を指し、用語「Cn」と関連して使用される場合、アルケ
ンまたはアルキレン基が「n」個の炭素原子を有することを意味する。例えば、C1~6アル
キレンは、例えば、1、2、3、4、5、または6個の炭素原子を有するアルキレン基を指す。
【0124】
ポリウレタンポリマー鎖を製造するための適切な脂肪族ジイソシアネートの例としては
、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ブ
チレンジイソシアネート(BDI)、ビスイソシアネートシクロヘキシルメタン(HMDI)、2
,2,4‐トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、ビスイソシアネートメチ
ルシクロヘキサン、ビスイソシアネートメチルトリシクロデカン、ノルボルナンジイソシ
アネート(NDI)、シクロヘキサンジイソシアネート(CHDI)、4,4´‐ジシクロヘキシ
ルメタンジイソシアネート(H12MDI)、ジイソシアネートデカン、リジンジイソシアネー
トおよびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0125】
イソシアネート誘導セグメントは、脂肪族ジイソシアネートに由来するセグメントを含
むことができる。イソシアネート誘導セグメントの大部分は、脂肪族ジイソシアネートに
由来するセグメントを含むことができる。イソシアネート誘導セグメントの少なくとも90
%は、脂肪族ジイソシアネートから誘導される。イソシアネート誘導セグメントは、脂肪
族ジイソシアネートから誘導されるセグメントから実質的になることができる。脂肪族ジ
イソシアネート誘導セグメントは、直鎖状脂肪族ジイソシアネートから実質的に(例えば
、約50パーセント以上、約60パーセント以上、約70パーセント以上、約80パーセント以上
、約90パーセント以上)誘導することができる。脂肪族ジイソシアネート誘導セグメント
の少なくとも80%は、側鎖を含まない脂肪族ジイソシアネートから誘導することができる
。脂肪族ジイソシアネートから誘導されるセグメントは、2~10個の炭素原子を有する直
鎖状脂肪族ジイソシアネートを含むことができる。
【0126】
イソシアネート誘導セグメントが芳香族イソシアネートから誘導される場合、各R1基は
、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、フェナントレニル、ビフェニレニル、イ
ンダニル、インデニル、アントラセニルおよびフルオレニルなどの1つまたは複数の芳香
族基を含むことができる。特に断らない限り、芳香族基は、非置換芳香族基または置換芳
香族基であってもよく、ヘテロ芳香族基を含むこともできる。「複素芳香族」は、単環式
または多環式(例えば、縮合二環式および縮合三環式)芳香族環系を指し、ここで、1~4
個の環原子は、酸素、窒素、または硫黄から選択され、残りの環原子は炭素であり、環系
は、環原子のいずれかによって分子の残りの部分に結合される。適切なヘテロアリール基
の例としては、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾ
リル、チアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、
オキサジアゾリル、フラニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾオキサゾリル、ベン
ゾイミダゾリルおよびベンゾチアゾリル基が挙げられる。
【0127】
ポリウレタンポリマー鎖を製造するための適切な芳香族ジイソシアネートの例としては
、トルエンジイソシアネート(TDI)、トリメチルオイルプロパン(TMP)とのTDI付加物
、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、テ
トラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、水素化キシレンジイソシアネート(H
XDI)、ナフタレン1,5‐ジイソシアネート(NDI)、1,5‐テトラヒドロナフタレンジイ
ソシアネート、パラ‐フェニレンジイソシアネート(PPDI)、3,3´‐ジメチルジフェニ
ル1‐4,4´‐ジイソシアネート(DDDI)、4,4´‐ジベンジルジイソシアネート(DBDI
)、4‐クロロ‐1,3‐フェニレンジイソシアネートおよびそれらの組み合わせが挙げら
れる。ポリマー鎖は、芳香族基を実質的に含まなくてもよい。
【0128】
ポリウレタンポリマー鎖は、HMDI、TDI、MDI、H12脂肪族およびそれらの組み合わせを
含むジイソシアネートから製造することができる。例えば、ポリウレタンは、HMDI、TDI
、MDI、H12脂肪族およびそれらの組み合わせを含むジイソシアネートから製造される1つ
以上のポリウレタンポリマー鎖を含むことができる。
【0129】
少なくとも部分的に架橋されるか、または架橋され得るポリウレタン鎖は、本発明に従
って使用され得る。多官能性イソシアネートを反応させてポリウレタンを形成することに
よって、架橋または架橋可能なポリウレタン鎖を製造することが可能である。ポリウレタ
ン鎖を製造するための適切なトリイソシアネートの例には、トリメチロイルプロパン(TM
P)、ウレトジオン(すなわち、二量化イソシアネート)、ポリメリックMDIおよびそれら
の組み合わせを有するTDI、HDIおよびIPDI付加体が含まれる。
【0130】
式2中のR3基は、使用される特定の鎖延長剤ポリオールに基づいて、2~10個の炭素原子
を有する直鎖または分枝鎖基を含むことができ、例えば、脂肪族、芳香族、またはエーテ
ルもしくはポリエーテルであり得る。ポリウレタンを製造するための適切な鎖延長剤ポリ
オールの例には、エチレングリコール、エチレングリコール(例えば、ジエチレングリコ
ール、トリエチレングリコールおよびテトラエチレングリコール)、1,2‐プロピレング
リコール、プロピレングリコールの低級オリゴマー(例えば、ジプロピレングリコール、
トリプロピレングリコールおよびテトラプロピレングリコール)、1,4‐ブチレングリコ
ール、1,6‐ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4‐シクロヘキサンジメタ
ノール、2‐エチル‐1,6‐ヘキサンジオール、1‐メチル‐1,3‐プロパンジオール、ジ
ヒドロキシアルキル化芳香族化合物(例えば、ハイドロキノンのビス(2‐ヒドロキシエ
チル)エーテル、レゾルシノール、キシレン‐a、a‐ジオール、キシレン‐a,a‐ジオー
ルのビス(2‐ヒドロキシエチル)エーテル)およびその組合せが含まれる。
【0131】
式1および2におけるR2基は、ポリエーテル基、ポリエステル基、ポリカーボネート基、
脂肪族基、または芳香族基を含むことができる。各R2基は、反応モノマーの総重量を基準
にして、約5重量パーセント~約85重量パーセント、約5重量パーセント~約70重量パーセ
ントまたは約10重量パーセント~約50重量パーセントの量で存在することができる。
【0132】
ポリウレタンの少なくとも1つのR2基は、ポリエーテルセグメント(すなわち、1つ以上
のエーテル基を有するセグメント)を含む。適切なポリエーテル基としては、ポリエチレ
ンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリテトラヒドロフラン(PTHF)
、ポリテトラメチレンオキシド(PTMO)およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これ
らに限定されない。「アルキル」とは、炭素数1~30、炭素数1~20、炭素数1~10の直鎖
・分岐飽和炭化水素基をいい、「Cn」と併用する場合、「n」個の炭素数を有することを
意味する。例えば、C4アルキルは、4個の炭素原子を有するアルキル基を指す。C1~7アル
キルは、全範囲を包含する多数の炭素原子(すなわち、1~7個の炭素原子)、並びにすべ
てのサブグループ(例えば、1~6個、2~7個、1~5個、3~6個、1個、2個、3個、4個、5
個、6個および7個の炭素原子)を有するアルキル基を指す。アルキル基の非限定的な例と
しては、メチル、エチル、n‐プロピル、イソプロピル、n‐ブチル、sec‐ブチル(2‐メ
チルプロピル)、t‐ブチル(1,1ジメチルエチル)、3,3‐ジメチルペンチルおよび2‐
エチルヘキシルが挙げられる。特に断らない限り、アルキル基は、非置換アルキル基また
は置換アルキル基であり得る。
【0133】
ポリウレタンのいくつかの例では、少なくとも1つのR2基は、ポリエステル基を含む。
ポリエステル基は、1つ以上の二価アルコール(例えば、エチレングリコール、1,3‐プ
ロピレングリコール、1,2‐プロピレングリコール、1,4‐ブタンジオール、1,3‐ブタ
ンジオール、2‐メチルペンタンジオール、1,5‐ジエチレングリコール、1,5‐ペンタ
ンジオール、1,5‐ヘキサンジオール、1,2‐ドデカンジオール、シクロヘキサンジメタ
ノールおよびこれらの組み合わせ)と1つ以上のジカルボン酸(例えば、アジピン酸、コ
ハク酸、セバシン酸、スベリン酸、スベリン酸、メチルアジピン酸、グルタル酸、ピメリ
ン酸、アゼライン酸、チオジプロピオン酸およびこれらの組み合わせ)とのポリエステル
化から誘導することができる。ポリエステル基は、ポリ(ヘキサメチレンカーボネート)
グリコール、ポリ(プロピレンカーボネート)グリコール、ポリ(テトラメチレンカーボ
ネート)グリコールおよびポリ(ノナンメチレンカーボネート)グリコールなどのポリカ
ーボネートプレポリマーから誘導することもできる。適切なポリエステルとしては、例え
ば、ポリエチレンアジペート(PEA)、ポリ(1,4‐ブチレンアジペート)、ポリ(テト
ラメチレンアジペート)、ポリ(ヘキサメチレンアジペート)、ポリカプロラクトン、ポ
リヘキサメチレンカーボネート、ポリ(プロピレンカーボネート)、ポリ(テトラメチレ
ンカーボネート)、ポリ(ノナンメチレンカーボネート)およびこれらの組み合わせが挙
げられ得る。
【0134】
少なくとも1つのR2基は、ポリカーボネート基を含むことができる。ポリカーボネート
基は、1つ以上の二価アルコール(エチレングリコール、1,3‐プロピレングリコール、1
,2‐プロピレングリコール、1,4‐ブタンジオール、1,3‐ブタンジオール、2‐メチル
ペンタンジオール1,5‐ジエチレングリコール、1,5‐ペンタンジオール、1,5‐ヘキサ
ンジオール、1,2‐ドデカンジオール、シクロヘキサンジオール、それらの組み合わせな
ど)とエチレンカーボネートとの反応から誘導できる。
【0135】
脂肪族基は、直鎖であってもよく、例えば、1~20個の炭素原子を有するアルキレン鎖
または1~20個の炭素原子を有するアルケニレン鎖(例えば、メチレン、エチレン、プロ
ピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシ
レン、デクジレン、ドデシレン、トリデシレン、エチレン、プロペニレン、ブテニレン、
ペンテニレン、ヘキセニレン、ヘプテニレン、オクテニレン、ノニレン、ノネニレン、デ
セニレン、ウンデセニレン、ドデセニレン、ドデセニレン、トリデセニレン)を含むこと
ができる。「アルケン」または「アルキレン」という用語は、二価炭化水素を指し、「ア
ルケニレン」という用語は、少なくとも1つの二重結合を有する二価炭化水素分子または
分子の一部を指す。
【0136】
脂肪族および芳香族基は、1つ以上のペンダント型の比較的親水性かつ/または荷電し
た基で置換され得る。ペンダント親水基は、1個以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9
、10個以上)の水酸基を含むことができる。ペンダント親水基は、1個以上(例えば、2、
3、4、5、6、7、8、9、10個以上)のアミノ基を含む。場合によっては、ペンダント親水
基は、1個以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10個以上)のカルボキシレート基を
含む。例えば、脂肪族基は、1つ以上のポリアクリル酸基を含むことができる。場合によ
っては、ペンダント親水基は、1個以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10個以上)
のスルホン酸基を含む。場合によっては、ペンダント親水基は、1個以上(例えば、2、3
、4、5、6、7、8、9、10個以上)のリン酸基を含む。いくつかの例では、ペンダント親水
基は、1つ以上のアンモニウム基(例えば、第三級および/または第四級アンモニウム)
を含む。他の例では、ペンダント親水基は、1つ以上の両性基(例えば、ポリ(カルボキ
シベタイン(pCB)などのベタインおよびホスファチジルコリン基などのアンモニウムホ
スホネート基)を含む。
【0137】
R2基は、対イオンに結合してポリマーをイオン架橋し、アイオノマーを形成することが
できる荷電基を含むことができる。例えば、R2は、ペンダントアミノ基、カルボキシレー
ト基、スルホネート基、リン酸基、アンモニウム基、もしくは両性基またはそれらの組み
合わせを有する脂肪族または芳香族基である。
【0138】
ペンダント親水基が存在する場合、ペンダント親水基は、少なくとも1つのポリエーテ
ル基、例えば2つのポリエーテル基であり得る。他の場合において、ペンダント親水基は
、少なくとも1つのポリエステルである。ペンダント親水基は、ポリラクトン基(例えば
、ポリビニルピロリドン)であり得る。ペンダント親水基の各炭素原子は、例えば、1~6
個の炭素原子を有するアルキル基で置換されていてもよい。脂肪族および芳香族基はグラ
フトポリマー基であってよく、ペンダント基はホモポリマー基(例えば、ポリエーテル基
、ポリエステル基、ポリビニルピロリドン基)である。
【0139】
ペンダント親水基は、ポリエーテル基(例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)基、ポ
リエチレングリコール(PEG)基)、ポリビニルピロリドン基、ポリアクリル酸基または
それらの組み合わせであり得る。
【0140】
ペンダント親水基は、リンカーを介して脂肪族基または芳香族基に結合することができ
る。リンカーは、ペンダント親水基を脂肪族または芳香族基に連結することができる任意
の二官能性低分子(例えば、1~20個の炭素原子を有するもの)であり得る。例えば、リ
ンカーは、ペンダント親水基および脂肪族または芳香族基に連結された場合にカルバメー
ト結合を形成する、明細書されたようなジイソシアネート基を含み得る。リンカーは、以
下に示すように、4,4´‐ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)であり得る。
【0141】
【化3】
【0142】
ペンダント親水基は、以下に示すように、ポリエチレンオキシド基であってもよく、結
合基はMDIであってもよい。
【0143】
【化4】
【0144】
ペンダント親水基は、任意にリンカーを介して、脂肪族または芳香族基に結合すること
を可能にするために官能化され得る。例えば、ペンダント親水基がアルケン基を含む場合
、これは、スルフヒドリル含有二官能性分子(すなわち、水酸基またはアミノ基などの第
2の反応性基を有する分子)とのマイケル付加を受けることができ、その結果、第2の反応
性基を使用して、任意にリンカーを介してポリマー主鎖と反応することができる親水基が
得られる。例えば、ペンダント親水基がポリビニルピロリドン基である場合、下記に示す
ように、メルカプトエタノール上のスルフヒドリル基と反応して、水酸基官能基化ポリビ
ニルピロリドンを生じることができる。
【0145】
【化5】
【0146】
ポリウレタン中の少なくとも1つのR2基は、ポリテトラメチレンオキシド基を含むこと
ができる。ポリウレタンの少なくとも1つのR2基は、ポリエチレンオキシド基またはポリ
ビニルピロリドン基で官能化された脂肪族ポリオール基(例えば、欧州特許第2462908号
(これは、本明細書中に参照により援用される)に記載されるポリオール)を含み得る。
例えば、R2基は、ポリオール(例えば、ペンタエリスリトールまたは2,2,3‐トリヒド
ロキシプロパノール)とMDI誘導体化メトキシポリエチレングリコール(式6または7に示
す化合物を得るため)またはMDI誘導体化ポリビニルピロリドン(式8または9に示す化合
物を得るため)との反応生成物から誘導することができ、これ(R2基)は、以下に示すよ
うに、メルカプトエタノールと予め反応させておいた。
【0147】
【化6】
【0148】
【化7】
【0149】
【化8】
【0150】
【化9】
【0151】
ポリウレタンの少なくとも1つのR2は、ポリシロキサンであり得、これらの場合、R2基
は、例えば米国特許第5,969,076号に開示される、式10のシリコーンモノマーから誘導
することができ、本明細書中に参照により援用される。
【0152】
【化10】
【0153】
式中、aは、1~10以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10)であり、各R4
は、独立して、水素、1~18個の炭素原子を有するアルキル基、2~18個の炭素原子を有す
るアルケニル基、アリールまたはポリエーテルであり、各R5は、独立して、1~10個の炭
素原子を有するアルキレン基、ポリエーテルまたはポリウレタンである。
【0154】
各R4基は、独立して、H、1~10個の炭素原子を有するアルキル基、2~10個の炭素原子
を有するアルケニル基、1~6個の炭素原子を有するアリール基、ポリエチレン、ポリプロ
ピレンまたはテレフタレート基であり得る。各R4基は、独立して、メチル、エチル、n‐
プロピル、イソプロピル、n‐ブチル、イソブチル、s‐ブチル、t‐ブチル、ビニル(eth
enyl)、プロペニル、フェニルおよびポリエチレン基からなる群から選択され得る。
【0155】
各R5基は、独立して、1~10個の炭素原子を有するアルキレン基(例えば、メチレン、
エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、
ノニレンまたはデシレン基)を含むことができる。各R5基は、ポリエーテル基(例えば、
ポリエチレン、ポリプロピレンまたはテレフタレート基)であり得る。各R5基は、ポリウ
レタン基であり得る。
【0156】
任意に、ポリウレタンは、ポリウレタンの誘導体であるポリマー鎖を含む少なくとも部
分的に架橋されたポリマーネットワークを含むことができる。架橋の特性は、ポリウレタ
ンが熱可塑性を保持するような特性であり得る(すなわち、架橋された熱可塑性ポリウレ
タンは、本明細書に記載される処理条件下で溶融および再固化され得る)。架橋ポリウレ
タンは、熱硬化性ポリマーであり得る。この架橋ポリマーネットワークは、以下の式11お
よび12に示すように、1つ以上のイソシアネートを1つ以上のポリアミノ化合物、ポリスル
フヒドリル化合物またはそれらの組み合わせと重合させることによって製造することがで
きる。
【0157】
【化11】
【0158】
【化12】
【0159】
ここで、変数は上記の通りである。さらに、イソシアネートはまた、式2のポリウレタ
ンについて上述したように、2つ以上のイソシアネートを架橋するために、1つ以上のポリ
アミノまたはポリチオール鎖延長剤で鎖延長され得る。
【0160】
ポリウレタン鎖は、例えば、ポリマー(ハードセグメント)のウレタンまたはカルバメ
ート基間の非極性または極性相互作用を介して、別のポリウレタン鎖に物理的に架橋され
得る。式1のR1基、並びに式2のR1およびR3基は、しばしば「ハードセグメント」と呼ばれ
るポリマーの部分を形成し、R2基は、しばしば「ソフトセグメント」と呼ばれるポリマー
の部分を形成する。ソフトセグメントはハードセグメントに共有結合している。物理的に
架橋されたハードおよびソフトセグメントを有するポリウレタンは、親水性ポリウレタン
(すなわち、本明細書に開示されるような親水基を含む熱可塑性ポリウレタンを含むポリ
ウレタン)であり得る。
【0161】
ポリウレタンは、米国特許第4,523,005号に記載されているように、MDI、PTMOおよび
1,4‐ブチレングリコールからなる熱可塑性ポリウレタンとすることができる。本発明の
使用に適した市販のポリウレタンには、「SANCURE」(例えば、「SANCURE」20025Fなどの
ポリマーの「SANCURE」一連)または「TECOPHILIC」(例えば、TG‐500、TG‐2000、SP‐
80A‐150、SP‐93A‐100、SP‐60D‐60)(Lubrizol、Countryside、IL、USA)、「PELLETH
ANE」2355‐85ATPおよび2355‐95AE(Dow Chemical Company of Midland、MI、USA)、「E
STANE」(例えば、ALR G 500または58213; Lubrizol、Countryside、IL、USA)の商品名
でのポリウレタンが含まれるが、これらに限定されない。
【0162】
1つ以上のポリウレタン(例えば、コーティングとしてプライマーに使用されるもの(
例えば、水分散性ポリウレタン))は、1つ以上のイソシアネートを1つ以上のポリオール
と重合させて、カルバメート結合(‐N(C=O)O‐)および1つ以上の水分散性増強部分
を有するコポリマー鎖を生成することによって生成され得、ここで、ポリマー鎖は、1つ
以上の水分散性増強部分(例えば、ポリマー鎖中のモノマー)を含む。水分散型のポリウ
レタンは、「水性ポリウレタンポリマー分散体」とも呼ばれ、水分散性向上部分は、式1
または式2の鎖(chain)(鎖内部および/または側鎖としての鎖上)に加えることができ
る。水分散性向上部分の含有は、水性ポリウレタン分散体の形成を可能にする。「水性」
という用語は、本明細書では、約50重量パーセント~100重量パーセントの水、約60重量
パーセント~100重量パーセントの水、約70重量パーセント~100重量パーセントの水また
は約100重量パーセントの水の分散液または製剤の連続相を意味し、「水性分散液」とい
う用語は、共溶媒を含まない水中の成分(例えば、ポリマー、架橋剤など)の分散液を指
す。共溶媒は、水性分散液中で使用することができ、共溶媒は、有機溶媒とすることがで
きる。ポリマー、ポリウレタン、イソシアネートおよびポリオールに関するさらなる詳細
を以下に提供する。
【0163】
ポリウレタン(例えば、水性ポリウレタンポリマー分散液)は、1つ以上の水分散性増
強部分を含むことができる。水分散性増強部分は、ポリウレタンの分散を助けるために、
少なくとも1つの親水性(例えば、ポリ(エチレンオキシド))、イオン性または潜在的
にイオン性の基を有することができ、それによって分散液の安定性を増強する。水分散性
ポリウレタンは、少なくとも1つの親水基または親水性にすることができる基(例えば、
中和などの化学修飾によって)を有する部分をポリマー鎖に組み込むことによって形成す
ることができる。例えば、これらの化合物は、非イオン性、アニオン性、カチオン性また
は両性イオン性またはそれらの組み合わせであり得る。一例では、カルボン酸基などのア
ニオン性基を不活性形態で鎖に組み込み、続いて第三級アミンなどの塩形成化合物によっ
て活性化することができる。他の水分散性増強部分もまた、ウレタン結合または尿素結合
(側鎖または末端の親水性エチレンオキシドまたは尿素単位を含む)を介して骨格に反応
させることができる。
【0164】
水分散性増強部分は、カルボキシル基を含むものであり得る。カルボキシル基を含む水
分散性増強部分は、一般式(HO)xQ(COOH)yを有するヒドロキシカルボン酸から形成す
ることができ、式中、Qは、1~12個の炭素原子を含有する直鎖または分岐二価炭化水素基
であることができ、xおよびyは、それぞれ独立して1~3であることができる。例示的な例
としては、ジメチロールプロパン酸(DMPA)、ジメチロールブタン酸(DMBA)、クエン酸
、酒石酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、ジヒドロキシマル酸、ジヒドロキシタルタル
酸などおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0165】
水分散性増強部分は、ポリウレタンに水分散性特性を付与するために主鎖に重合するこ
とができるペンダントアニオン性基を含有する反応性ポリマーポリオール構成部分を含む
ことができる。アニオン性官能性ポリマーポリオールとしては、アニオン性ポリエステル
ポリオール、アニオン性ポリエーテルポリオールおよびアニオン性ポリカーボネートポリ
オールが挙げられ得、さらなる詳細は、米国特許第5,334,690号において提供される。
【0166】
水分散性増強部分は、側鎖親水性モノマーを含むことができる。例えば、側鎖親水性モ
ノマーを含む水分散性増強部分は、米国特許第6,897,281号に示されるように、アルキ
レンオキシド基が2~10個の炭素原子を有するアルキレンオキシドポリマーおよびコポリ
マーを含むことができる。さらなるタイプの水分散性増強部分には、チオグリコール酸、
2,6‐ジヒドロキシ安息香酸、スルホイソフタル酸、ポリエチレングリコールなどおよび
それらの混合物が含まれ得る。水分散性増強部分に関するさらなる詳細は、米国特許第7
,476,705号に見出すことができる。
【0167】
ポリアミド
ポリマーは、熱可塑性ポリアミドなどのポリアミドまたは熱硬化性ポリアミドといった
ポリアミドを含むことができる。ポリアミドは、エラストマー熱可塑性ポリアミドまたは
エラストマー熱硬化性ポリアミドを含むエラストマーポリアミドであり得る。ポリアミド
は、同じ化学構造の繰り返しポリアミドセグメントを有するポリアミドホモポリマーであ
り得る。また、ポリアミドは、異なるポリアミド化学構造を有する多数のポリアミドセグ
メント(例えば、ポリアミド6セグメント、ポリアミド11セグメント、ポリアミド12セグ
メント、ポリアミド66セグメントなど)を含み得る。異なる化学構造を有するポリアミド
セグメントは、ランダムに配置することができ、または繰り返しブロックとして配置する
ことができる。
【0168】
ポリアミドは、コポリアミド(すなわち、ポリアミドセグメントおよび非ポリアミドセ
グメントを含むコポリマー)であり得る。コポリアミドのポリアミドセグメントは、ポリ
アミド6セグメント、ポリアミド11セグメント、ポリアミド12セグメント、ポリアミド66
セグメントまたはそれらの任意の組み合わせを含み得るか、またはそれらからなり得る。
コポリアミドのポリアミドセグメントは、ランダムに配置されてもよく、または反復セグ
メントとして配置されてもよい。ポリアミドセグメントは、ポリアミド6セグメントまた
はポリアミド12セグメントまたはポリアミド6セグメントおよびポリアミド12セグメント
の両方を含み得るか、またはそれらからなり得る。コポリアミドのポリアミドセグメント
がポリアミド6セグメントおよびポリアミド12セグメントを含む例では、セグメントはラ
ンダムに配置することができる。コポリアミドの非ポリアミドセグメントは、ポリエーテ
ル・セグメント、ポリエステル・セグメントまたはポリエーテル・セグメントおよびポリ
エステル・セグメントの両方から構成されるか、または構成されることができる。コポリ
アミドは、ブロックコポリアミドであってもよく、またはランダムコポリアミドであって
もよい。コポリアミドは、ポリアミドオリゴマーまたはプレポリマーと第2のオリゴマー
プレポリマーとの重縮合から形成されて、コポリアミド(すなわち、ポリアミドセグメン
トを含むコポリマー)を形成することができる。任意に、第2のプレポリマーは親水性プ
レポリマーであってもよい。
【0169】
ポリアミドは、ポリアミド含有ブロックコポリマーであり得る。例えば、ブロックコポ
リマーは、繰り返しのハードセグメントおよび繰り返しのソフトセグメントを有すること
ができる。ハードセグメントはポリアミドセグメントを含むことができ、ソフトセグメン
トは非ポリアミドセグメントを含むことができる。ポリアミド含有ブロックコポリマーは
、反復ハードセグメントおよび反復ソフトセグメントを有するポリアミド含有ブロックコ
ポリマーを含むかまたはそれからなるエラストマーコポリアミドであり得る。反復ハード
セグメントおよびソフトセグメントを有するブロックコポリマーを含むブロックコポリマ
ーにおいて、物理的架橋は、セグメント内またはセグメント間またはセグメント内および
セグメント間の両方に存在し得る。
【0170】
ポリアミド自体またはポリアミド含有ブロックコポリマーのポリアミドセグメントは、
ラクタム、アミノ酸および/またはジアミノ化合物などのポリアミドプレポリマーと、ジ
カルボン酸またはそれらの活性化形態との縮合から誘導することができる。得られるポリ
アミドセグメントは、アミド結合(‐(CO)NH‐)を含む。用語「アミノ酸」は、少なく
とも1つのアミノ基および少なくとも1つのカルボキシル基を有する分子を指す。ポリアミ
ドの各ポリアミドセグメントは、同じであっても異なっていてもよい。
【0171】
ポリアミドまたはポリアミド含有ブロックコポリマーのポリアミドセグメントは、ラク
タムおよび/またはアミノ酸の重縮合から誘導され得、そして以下の式13に示される構造
を有するアミドセグメントを含み得、ここで、R6基は、ラクタムまたはアミノ酸から誘導
されるポリアミドの部分を表す。
【0172】
【化13】
【0173】
R6基は、ラクタムに由来し得る。R6基は、3~20個の炭素原子を有するラクタム基また
は4~15個の炭素原子を有するラクタム基または6~12個の炭素原子を有するラクタム基か
ら誘導することができる。R6基は、カプロラクタムまたはラウロラクタムから誘導するこ
とができる。R6基は、1つ以上のアミノ酸に由来し得る。R6基は、4~25個の炭素原子を有
する酸性基個の炭素原子を有するアミノ酸基または8~15個の炭素原子を有するアミノ酸
基に由来し得る。R6基は、12‐アミノラウリン酸または11‐アミノウンデカン酸から誘導
することができる。
【0174】
任意に、ポリアミド含有ブロックコポリマーの相対親水性度を増加させるために、式13
は、以下に示すように、ポリアミド‐ポリエーテルブロックコポリマーセグメントを含む
ことができる。
【0175】
【化14】
【0176】
式中、mは3~20であり、nは1~8である。任意に、mは4~15または6~12(例えば、6、7
、8、9、10、11または12)とすることができ、nは1、2または3とすることができる。例え
ば、mは11または12であり得、nは1または3であり得る。ポリアミド含有ブロックコポリマ
ーのポリアミドまたはポリアミドセグメントは、ジアミノ化合物とジカルボン酸またはそ
の活性化形態との縮合から誘導することができ、下記の式15に示す構造を有するアミドセ
グメントを含むことができ、式中、R7基は、ジアミノ化合物に由来するポリアミドの部分
を表し、R8基は、ジカルボン酸化合物に由来する部分を表す。
【0177】
【化15】
【0178】
R7基は、4~15個の炭素原子または5~10個の炭素原子または6~9個の炭素原子を有する
脂肪族基を含むジアミノ化合物から誘導することができる。ジアミノ化合物は、フェニル
、ナフチル、キシリルおよびトリルなどの芳香族基を含むことができる。R7基が誘導され
得る適切なジアミノ化合物としては、ヘキサメチレンジアミン(HMD)、テトラメチレン
ジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン(TMD)、m‐キシリレンジアミン(MXD)
および1,5‐ペンタミンジアミンが挙げられるが、これらに限定されない。R8基は、4~1
5個の炭素原子または5~12個の炭素原子または6~10個の炭素原子を有する脂肪族基を含
む、ジカルボン酸またはその活性化形態から誘導することができる。R8を誘導することが
できるジカルボン酸またはその活性化形態には、フェニル、ナフチル、キシリルおよびト
リル基などの芳香族基が含まれる。R8が誘導され得る適切なカルボン酸またはその活性化
形態としては、アジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸およびイソフタル酸が挙げられる
。ポリアミド鎖は、芳香族基を実質的に含まなくてもよい。
【0179】
ポリアミドの各ポリアミドセグメント(ポリアミド含有ブロックコポリマーを含む)は
、12‐アミノラウリン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミンおよびアジピン酸か
らなる群から選択されるポリアミドプレポリマーから独立して誘導することができる。
【0180】
ポリアミドは、ポリ(エーテル‐ブロック‐アミド)を含むか、またはそれから実質的
になることができる。ポリ(エーテル‐ブロック‐アミド)は、式16に示すように、カル
ボン酸末端ポリアミドプレポリマーとヒドロキシル末端ポリエーテルプレポリマーとの重
縮合から形成されて、ポリ(エーテル‐ブロック‐アミド)を形成することができる:
【0181】
【化16】
【0182】
ポリ(エーテルブロックアミド)ポリマーは、反応性末端を含有するポリアミドブロッ
クと反応性末端を含有するポリエーテルブロックとの重縮合によって調製することができ
る。例としては、1)カルボン酸鎖末端を含有するポリオキシアルキレンブロックを有す
るジアミン鎖末端を含有するポリアミドブロック;2)ポリエーテルジオールとして知ら
れる脂肪族ジヒドロキシル化アルファ‐オメガポリオキシアルキレンのシアノエチル化お
よび水素化によって得られるジアミン鎖末端を含有するポリオキシアルキレンブロックを
有するジカルボン酸鎖末端を含有するポリアミドブロック;3)ポリエーテルジオールを
有するジカルボン酸鎖末端を含有するポリアミドブロック(この特定の場合に得られる生
成物はポリエーテルエステルアミドである)が挙げられる。ポリ(エーテル‐ブロック‐
アミド)のポリアミドブロックは、前述のように、ラクタム、アミノ酸および/またはジ
カルボン酸を有するジアミノ化合物から誘導することができる。ポリエーテルブロックは
、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリテトラヒドロフ
ラン(PTHF)、ポリテトラメチレンオキシド(PTMO)およびそれらの組み合わせからなる
群より選択される1つ以上のポリエーテルから誘導され得る。
【0183】
ポリ(エーテルブロックアミド)ポリマーは、α、ω‐アミノカルボキシル酸、ラクタ
ムまたはジカルボキシル酸と鎖限定ジカルボキシル酸の存在下のジアミンの縮合に由来す
るジカルボキシル鎖末端を含むポリアミドブロックを含むことができる。このタイプのポ
リ(エーテルブロックアミド)ポリマーにおいて、α、ω‐アミノカルボン酸(例えば、
アミノウンデカン酸)が使用され得る;ラクタム(例えば、カプロラクタムまたはラウリ
ルラクタム)が使用され得る;ジカルボン酸(例えば、アジピン酸、デカンジオン酸また
はドデカンジオン酸)が使用され得る;そしてジアミン(例えば、ヘキサメチレンジアミ
ン)が使用され得る;または上記のいずれかの種々の組み合わせが使用され得る。コポリ
マーは、ポリアミド12またはポリアミド6を含むポリアミドブロックを含むことができる
【0184】
ポリ(エーテルブロックアミド)ポリマーは、4~12個の炭素原子を含有するジカルボ
ン酸の存在下で、1つ以上のα、ω‐アミノカルボン酸および/または6~12個の炭素原子
を含有する1つ以上のラクタムの縮合から誘導されるポリアミドブロックを含むものを含
むことができ、低質量であり、すなわち、400~1000の数平均分子量を有する。この種の
ポリ(エーテルブロックアミド)ポリマーでは、α、ω‐アミノカルボン酸、例えばアミ
ノウンデカン酸またはアミノドデカン酸を使用することができ;ジカルボン酸、例えばア
ジピン酸、セバシン酸、イソフタル酸、ブタンジオン酸、1,4‐シクロヘキシルジカルボ
ン酸、テレフタル酸、スルホイソフタル酸のナトリウム塩またはリチウム塩、二量体化脂
肪酸(これらの二量体化脂肪酸は少なくとも98質量%の二量体含有量を有し、好ましくは
水素化されている)およびドデカンジオン酸HOOC‐(CH2)10‐COOHを使用することがで
き;ならびにラクタム、例えばカプロラクタムおよびラウリルラクタムを使用することが
でき;または上記のいずれかの様々な組合せを使用することができる。コポリマーは、ア
ジピン酸またはドデカンジオン酸の存在下でラウリラクタムの縮合によって得られるポリ
アミドブロックを含むことができ、少なくとも750の数平均分子量を有し、約127~約130
℃の溶融温度を有し、ポリアミドブロックの様々な成分およびそれらの割合は、150℃未
満または約90℃~約135℃の融点を得るために選択することができる。
【0185】
ポリ(エーテルブロックアミド)ポリマーは、少なくとも1つのα、ω‐アミノカルボ
ン酸(またはラクタム)、少なくとも1つのジアミンおよび少なくとも1つのジカルボン酸
の縮合から誘導されるポリアミドブロックを含むポリマーを含むことができる。このタイ
プのコポリマーでは、α、ω‐アミノカルボン酸、ラクタムおよびジカルボン酸は、上記
のものから選択することができ、6~12個の原子を含有する脂肪族ジアミンなどのジアミ
ンは、非環状および/または飽和環式であり、例えば、ヘキサメチレンジアミン、ピペラ
ジン、1‐アミノエチルピペラジン、ビスアミノプロピルピペラジン、テトラメチレンジ
アミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、1
,5‐ジアミノヘキサン、2,2,4‐トリメチル‐1,6‐ジアミノヘキサン、ジアミンポリ
オール、イソホロンジアミン(IPD)、メチルペンタメチレンジアミン(MPDM)、ビス(
アミノシクロヘキシル)メタン(BACM)およびビス(3‐メチル‐4‐アミノシクロヘキシ
ル)メタン(BMACM)を使用することができるが、これらに限定されない。
【0186】
ポリアミドは、熱可塑性ポリアミドであってもよく、ポリアミドブロックの成分は、約
90℃~約135℃の融点など、150℃未満の融点を得るために選択されてもよく、熱可塑性ポ
リアミドブロックの様々な成分およびそれらの割合は、約150℃未満、例えば、約90℃~
約135℃の融点を得るために選択されてもよい。
【0187】
ポリアミドブロックの数平均モル質量は、約300グラム/モル~約15,000グラム/モル
、約500グラム/モル~約10,000グラム/モル、約500グラム/モル~約6,000グラム/
モル、約500グラム/モル~約5,000グラム/モルまたは約600グラム/モル~約5,000グ
ラム/モルであり得る。ポリエーテルブロックの数平均分子量は、約100~約6,000、約4
00~約3000または約200~約3,000の範囲であり得る。ポリ(エーテルブロックアミド)
ポリマーのポリエーテル(PE)含有量(x)は、約0.05~約0.8(すなわち、約5モルパ
ーセント~約80モルパーセント)であり得る。ポリエーテルブロックは、約10重量パーセ
ント~約50重量パーセント、約20重量パーセント~約40重量パーセントまたは約30重量パ
ーセント~約40重量パーセントの量でポリアミド中に存在することができる。ポリアミド
ブロックは、約50重量パーセント~約90重量パーセント、約60重量パーセント~約80重量
パーセントまたは約70重量パーセント~約90重量パーセントの量でポリアミド中に存在す
ることができる。
【0188】
ポリエーテルブロックは、エチレンオキシド単位以外の単位、例えば、プロピレンオキ
シドまたはポリテトラヒドロフラン(ポリテトラメチレングリコール配列をもたらす)を
含有することができる。PEGブロック、すなわち、エチレンオキシド単位からなるもの、
ポリプロピレングリコール(PPG)ブロック、すなわち、プロピレンオキシド単位からな
るものおよびポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール(PTMG)ブロック、すなわち、
ポリテトラヒドロフランとしても知られるテトラメチレングリコール単位からなるものを
同時に使用することも可能である。PPGまたはPTMGブロックが有利に使用される。ポリア
ミドおよびポリエーテルブロックを含有するこれらのコポリマー中のポリエーテルブロッ
クの量は、コポリマーの約10重量パーセント~約50重量パーセントまたは約35重量パーセ
ント~約50重量パーセントであり得る。
【0189】
ポリアミドブロックおよびポリエーテルブロックを含有するコポリマーは、ポリアミド
ブロックおよびポリエーテルブロックを付着させるための任意の手段によって調製するこ
とができる。実際には、2つのプロセスが実質的に使用され、一方は2ステッププロセス(2
‐step process)であり、他方は1ステッププロセス(one‐step process)である。
【0190】
2ステッププロセスでは、ジカルボン酸鎖末端を有するポリアミドブロックが最初に調
製され、次いで、第2ステップで、これらのポリアミドブロックがポリエーテルブロック
に連結される。ジカルボン酸鎖末端を有するポリアミドブロックは、連鎖停止剤(chain
‐stopper)ジカルボン酸の存在下でのポリアミド前駆体の縮合から誘導される。ポリア
ミド前駆体がラクタムまたはα、ω‐アミノカルボン酸のみである場合、ジカルボン酸を
添加する。前駆体が既にジカルボン酸を含む場合、これはジアミンの化学量論に対して過
剰に使用される。反応は、通常、約180~約300℃、例えば約200~約290℃で起こり、反応
器内の圧力は、約5~約30バールに設定し、約2~3時間維持することができる。反応器内
の圧力をゆっくりと大気圧まで下げ、次いで過剰の水を、例えば1または2時間留去する。
【0191】
カルボン酸末端基を有するポリアミドが調製されると、次に、ポリエーテル、ポリオー
ルおよび触媒が添加される。ポリエーテルの総量は、触媒と同様に、分割して1つ以上の
部分に添加することができる。最初にポリエーテルを添加し、ポリエーテルのOH末端基お
よびポリオールとポリアミドのCOOH末端基との反応を開始し、エステル結合の形成および
水の脱離を伴う。水は、蒸留によって反応混合物からできるだけ多く除去され、次いで、
ポリアミドブロックのポリエーテルブロックへの連結を完了するために触媒が導入される
。この第2のステップは、撹拌しながら、好ましくは少なくとも50ミリバール(5000パス
カル)の真空下で、得られる反応物およびコポリマーが溶融状態にあるような温度で行わ
れる。例として、この温度は、約100~約400℃、例えば約200~約250℃とすることができ
、反応は、ポリマー溶融物によって撹拌機に及ぼされるトルクを測定することによって、
または撹拌機によって消費される電力を測定することによって監視される。反応の終了は
、トルクまたは目標出力の値によって決定される。触媒は、エステル化によってポリアミ
ドブロックのポリエーテルブロックへの連結を促進する任意の製品であると定義される。
触媒は、チタン、ジルコニウムおよびハフニウムによって形成される群から選択される金
属(M)の誘導体であり得る。誘導体は、一般式M(OR)4と一致するテトラアルコキシド
から調製することができ、式中、Mはチタン、ジルコニウムまたはハフニウムを表し、Rは
同一であっても異なっていてもよく、1~24個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アル
キル基を表す。
【0192】
触媒は、金属(M)の塩、特に(M)および有機酸の塩、ならびに(M)および/または
(M)の酸化物および/または(M)の水酸化物の錯塩および有機酸を含むことができる。
有機酸は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリ
ル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール
酸、リノレン酸、シクロヘキサンカルボン酸、フェニル酢酸、安息香酸、サリチル酸、シ
ュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル
酸またはクロトン酸であり得る。有機酸は、酢酸またはプロピオン酸であり得る。Mはジ
ルコニウムとすることができ、このような塩はジルコニル塩と呼ばれ、例えば、酢酸ジル
コニルの名称で市販されている製品である。
【0193】
触媒の重量割合は、ジカルボン酸ポリアミドとポリエーテルジオールおよびポリオール
との混合物の重量の約0.01~約5パーセントで変化し得る。触媒の重量割合は、ジカルボ
ン酸ポリアミドとポリエーテルジオールおよびポリオールとの混合物の重量の約0.05~
約2パーセントで変化し得る。
【0194】
1ステッププロセス(one‐step process)では、ポリアミド前駆体、連鎖停止剤(cha
in stopper)およびポリエーテルを一緒にブレンドし、次いで得られるものは、実質的に
可変長のポリエーテルブロックおよびポリアミドブロックを有するポリマーであるが、ラ
ンダムに反応した種々の反応物もポリマー鎖に沿ってランダムに分布している。これらは
、上記の2ステッププロセスと同じ反応物および同じ触媒である。ポリアミド前駆体がラ
クタムのみである場合、少量の水を添加することが有利である。このコポリマーは、実質
的に同じポリエーテルブロックおよび同じポリアミドブロックを有するが、ランダムに反
応した種々の反応物の一部分も有し、これらはポリマー鎖に沿ってランダムに分布してい
る。上述の2ステッププロセスの第1のステップと同様に、反応器を閉じ、撹拌しながら加
熱する。設定される圧力は、約5~約30バールである。圧力がもはや変化しなくなったと
き、反応器を減圧下に置きながら、溶融反応物の激しい撹拌を維持し続ける。反応は、2
ステッププロセスの場合に前述したように監視される。
【0195】
ポリアミド対ポリエーテルブロックの適切な比は、単一のポリ(エーテルブロックアミ
ド)中に見出すことができ、または2つ以上の異なる組成のポリ(エーテルブロックアミ
ド)のブレンドを、適切な平均組成と共に使用することができる。高いレベルのポリアミ
ド基を有するブロックコポリマーを、高いレベルのポリエーテルブロックを有するブロッ
クコポリマーとブレンドして、ポリ(アミド‐ブロック‐エーテル)コポリマーの全ブレ
ンドの約20~約40重量パーセントまたは約30~約35重量パーセントの平均レベルのポリエ
ーテルブロックを有するブレンドを生成することが有用であり得る。コポリマーは、35重
量パーセント未満のポリエーテルブロックのレベルを有する少なくとも1つのブロックコ
ポリマーと、少なくとも45重量パーセントのポリエーテルブロックを有する第2のポリ(
エーテルブロックアミド)とを含む2つの異なるポリ(エーテルブロックアミド)のブレ
ンドを含むことができる。
【0196】
例示的な市販のコポリマーには、「VESTAMID」(Evonik Industries、Essen、Germany)
、「PLATAMID」(Arkema、Colombes、France)、例えば、成形品コードH2694、「PEBAX」
(Arkema)、例えば、成形品コード「PEBAX MH1657」および「PEBAX MV1074」、「PEBAX
RNAW」(Arkema)、「GRILAMID」(EMS‐Chemie AG、Domat‐Ems、Switzerland)の商標で
入手可能なものまたは種々他の供給業者によって製造される他の同様の材料も含まれるが
、これらに限定されない。
【0197】
ポリアミドは、例えば、ポリマーのポリアミド基間の非極性または極性相互作用によっ
て物理的に架橋することができる。ポリアミドがコポリアミドである例では、コポリアミ
ドは、ポリアミド基間の相互作用および任意にコポリマー基間の相互作用によって物理的
に架橋することができる。コポリアミドがポリアミド基間の相互作用によって物理的に架
橋される場合、ポリアミドセグメントは、ハードセグメントと呼ばれるポリマーの部分を
形成することができ、コポリマーセグメントは、ソフトセグメントと呼ばれるポリマーの
部分を形成することができる。例えば、コポリアミドがポリ(エーテル‐ブロック‐アミ
ド)である場合、ポリアミドセグメントはポリマーのハードセグメントを形成し、ポリエ
ーテルセグメントはポリマーのソフトセグメントを形成する。したがって、いくつかの例
では、ポリマーは、アミド結合を有する1つまたは複数のポリマー鎖を有する物理的に架
橋されたポリマーネットワークを含むことができる。
【0198】
コポリアミドのポリアミドセグメントは、ポリアミド‐11またはポリアミド‐12を含む
ことができ、ポリエーテルセグメントは、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシ
ドおよびポリテトラメチレンオキシドセグメント、ならびにそれらの組み合わせからなる
群から選択されるセグメントであり得る。
【0199】
ポリアミドは、本明細書中に先に記載されるように、部分的にまたは完全に共有結合的
に架橋され得る。場合によっては、ポリアミド中に存在する架橋の程度は、例えば、本発
明の物品を形成するためにヤーン(yarn)または繊維の形態で熱処理される場合、部分的
に共有結合的に架橋された熱可塑性ポリアミドが、部分的に共有結合的に架橋された熱可
塑性ポリアミドが処理中に溶融され、再固化するのに十分な熱可塑性を保持するようなも
のである。他の場合には、架橋ポリアミドは熱硬化性ポリマーである。
【0200】
ポリマーは、ポリエステルを含むことができる。ポリエステルは、熱可塑性ポリエステ
ルまたは熱硬化性ポリエステルを含むことができる。さらに、ポリエステルは、熱可塑性
ポリエステルまたは熱硬化性エラストマーポリエステルを含むエラストマーポリエステル
であってもよい。ポリエステルは、1種以上のカルボン酸またはそのエステル形成誘導体
と、1種以上の二価もしくは多価脂肪族、脂環式、芳香族もしくは芳香族アルコールまた
はビスフェノールとの反応によって形成することができる。ポリエステルは、同じ化学構
造の繰り返しポリエステルセグメントを有するポリエステルホモポリマーであり得る。あ
るいは、ポリエステルは、異なるポリエステル化学構造を有する多数のポリエステルセグ
メント(例えば、ポリグリコール酸セグメント、ポリ乳酸セグメント、ポリカプロラクト
ンセグメント、ポリヒドロキシアルカノエートセグメント、ポリヒドロキシブチレートセ
グメントなど)を含むことができる。異なる化学構造を有するポリエステルセグメントは
、ランダムに配置することができ、または繰り返しブロックとして配置することができる
【0201】
ポリエステルを調製するために使用することができる例示的なカルボン酸には、アジピ
ン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカ
ンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、アルキル置換
またはハロゲン化テレフタル酸、アルキル置換またはハロゲン化イソフタル酸、ニトロテ
レフタル酸、4,4´‐ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4´‐ジフェニルチオエーテ
ルジカルボン酸、4,4´‐ジフェニルスルホン‐ジカルボン酸、4,4´‐ジフェニルアル
キレンジカルボン酸、ナフタレン‐2,6‐ジカルボン酸、シクロヘキサン‐1,4‐ジカル
ボン酸およびシクロヘキサン‐1,3‐ジカルボン酸が含まれるが、これらに限定されない
。ポリエステルの調製に適した例示的なジオールまたはフェノールとしては、エチレング
リコール、ジエチレングリコール、1,3‐プロパンジオール、1,4‐ブタンジオール、1
,6‐ヘキサンジオール、1,8‐オクタンジオール、1,10‐デカンジオール、1,2‐プロ
パンジオール、2,2‐ジメチル‐1,3‐プロパンジオール、2,2,4‐トリメチルヘキサ
ンジオール、p‐キシレンジオール、1,4‐シクロヘキサンジオール、1,4‐シクロヘキ
サンジメタノールおよびビス‐フェノールAが挙げられるが、これらに限定されない。
【0202】
ポリエステルは、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレ
ート、ポリヘキサメチルテレフタレート、ポリヘキサレンテレフタレート、ポリ‐1、4‐
ジメチルシクロヘキサンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエ
チレンイソフタレート(PEI)、ポリアリレートリール酸(PAR)、ポリブチレンナフタレ
ート(PBN)、液晶ポリエステルまたは前述の2つ以上の混合物であってもよい。
【0203】
ポリエステルは、コポリエステル(すなわち、ポリエステルセグメントおよび非ポリエ
ステルセグメントを含むコポリマー)であり得る。共ポリエステルは、脂肪族共ポリエス
テル(すなわち、ポリエステルセグメントと非ポリエステルセグメントの両方が脂肪族で
ある共ポリエステル)とすることができる。代わりに、コポリエステルは芳香族セグメン
トを含むことができる。コポリエステルのポリエステルセグメントは、ポリグリコール酸
セグメント、ポリ乳酸セグメント、ポリカプロラクトンセグメント、ポリヒドロキシアル
カノエートセグメント、ポリヒドロキシブチレートセグメントまたはそれらの任意の組み
合わせを含むか、またはそれらから実質的になることができる。コポリエステルのポリエ
ステルセグメントは、ランダムに配置することができ、または繰り返しブロックとして配
置することができる。
【0204】
例えば、ポリエステルは、比較的硬い同じ化学構造のポリマー単位の繰り返しブロック
(ハードセグメント)と、比較的軟らかい同じ化学構造の繰り返しブロック(ソフトセグ
メント)とを有するブロックコポリエステルであってもよい。繰り返しハードセグメント
およびソフトセグメントを有するブロックコポリエステルを含むブロックコポリエステル
において、物理的架橋は、ブロック内またはブロック間またはブロック内およびブロック
間の両方に存在し得る。ポリマーは、ハードセグメントの反復ブロックおよびソフトセグ
メントの反復ブロックを有するエラストマーコポリエステルを含むか、または実質的にそ
れからなることができる。
【0205】
共ポリエステルの非ポリエステルセグメントは、ポリエーテルセグメント、ポリアミド
セグメントまたはポリエーテルセグメントおよびポリアミドセグメントの両方を含むか、
または実質的に含むことができる。コポリエステルは、ブロックコポリエステルであって
もよく、またはランダムコポリエステルであってもよい。コポリエステルは、ブロックコ
ポリエステルを形成するために、ポリエステルオリゴマーまたはプレポリマーと第2のオ
リゴマープレポリマーとの重縮合から形成することができる。任意に、第2のプレポリマ
ーは親水性プレポリマーであってもよい。例えば、コポリエステルは、テレフタル酸また
はナフタレンジカルボン酸とエチレングリコール、1,4‐ブタンジオールまたは1,3‐プ
ロパンジオールとの重縮合から形成することができる。コポリエステルの例としては、ポ
リエチレンアジパテ、ポリブチレンスクシネート、ポリ(3‐ヒドロキシブチレート‐co
‐3‐ヒドロキシバレート)、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
ト、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナプタレートおよびこれらの組合せ
が挙げられる。コ‐ポリアミドは、ポリエチレンテレフタレートを含むことができるか、
またはポリエチレンテレフタレートからなることができる。
【0206】
ポリエステルは、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレ
ート、ポリヘキサメチルテレフタレート、ポリ‐1、4‐ジメチルシクロヘキサンテレフタ
レート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、ポ
リアリレートリール酸(PAR)、ポリブチレンナフタレート(PBN)および液晶ポリエステ
ルのうちの1つ以上のセグメントを含むブロックコポリマーとすることができる。例えば
、ブロックコポリマーである適切なポリエステルは、PET/PEIコポリマー、ポリブチレン
テレフタレート/テトラエチレングリコールコポリマー、ポリオキシアルキレンジイミド
二酸/ポリブチレンテレフタレートコポリマーまたは上記のいずれかのブレンドもしくは
混合物であり得る。
【0207】
ポリエステルは、生分解性樹脂、例えば、ポリグリコール酸やポリ乳酸などのポリ(α
‐ヒドロキシ酸)を主繰り返し単位として含む共重合ポリエステルであってもよい。
【0208】
開示されたポリエステルは、溶媒重合または溶融重合プロセスなどの当業者に知られて
いる様々な重縮合方法によって調製することができる。
【0209】
ポリオレフィンポリマーは、ポリオレフィンを含むか、または実質的にポリオレフィン
からなることができる。ポリオレフィンは、熱可塑性ポリオレフィンまたは熱硬化性ポリ
オレフィンであり得る。さらに、ポリオレフィンは、熱可塑性エラストマーポリオレフィ
ンまたは熱硬化性エラストマーポリオレフィンを含むエラストマーポリオレフィンであっ
てもよい。例示的なポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびオレ
フィンエラストマー(例えば、4~約8個の炭素原子を有するエチレンおよびα‐オレフィ
ンのメタロセン触媒ブロックコポリマー)が挙げられ得る。ポリオレフィンは、ポリエチ
レン、エチレン‐α‐オレフィンコポリマー、エチレン‐プロピレンゴム(EPDM)、ポリ
ブテン、ポリイソブチレン、ポリ‐4‐メチルペント‐1‐エン、ポリイソプレン、ポリブ
タジエン、エチレン‐メタクリル酸コポリマーおよびポリプロピレン(PP)およびエチレ
ン‐プロピレンゴム(EPDM)から得られる動的架橋ポリマーなどのオレフィンエラストマ
ーを含むポリマー、ならびにこれらのブレンドまたは混合物とすることができる。さらな
る例示的なポリオレフィンには、シクロペンテンまたはノルボルネンなどのシクロオレフ
ィンのポリマーが含まれる。
【0210】
任意に架橋することができるポリエチレンは、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低
密度ポリエチレン(LLDPE)、(VLDPE)および(ULDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)
、高密度ポリエチレン(HDPE)、高密度およびポリマー量ポリエチレン(HDPE‐HMW)、
高密度および超ポリマー量ポリエチレン(HDPE‐UHMW)、ならびに前記のポリエチレンの
いずれかのブレンドまたは混合物を含む、様々なポリエチレンを含むことを理解されたい
。ポリエチレンはまた、ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エチル、ビニル
アルコールおよび/または酢酸ビニルと共重合したモノオレフィンおよびジオレフィンの
モノマーから誘導されるポリエチレンコポリマーであり得る。酢酸ビニル誘導単位を含む
ポリオレフィンコポリマーは、高酢酸ビニル含量コポリマー、例えば、約50重量パーセン
トを超える酢酸ビニル誘導組成物であり得る。
【0211】
ポリオレフィンは、当業者に周知の方法(例えば、過酸化物開始剤、加熱および/また
は光を使用する)によって、フリーラジカル重合、カチオン重合および/またはアニオン
重合によって形成することができる。開示されたポリオレフィンは、高圧および高温下で
のラジカル重合によって調製することができる。あるいは、ポリオレフィンは、IVb、Vb
、VIbまたはVIII族金属からの1種以上の金属を通常含有する触媒を用いた触媒重合によっ
て調製することができる。触媒は、通常、IVb、Vb、VIbまたはVIII族金属とp‐またはs‐
配位錯体を形成することができる1つ以上の配位子、典型的には酸化物、ハロゲン化物、
アルコラート、エステル、エーテル、アミン、アルキル、アルケニルおよび/またはアリ
ールを有する。金属錯体は、遊離形態であってもよく、または基材、典型的には活性化塩
化マグネシウム、塩化チタン(III)、アルミナまたは酸化ケイ素上に固定されていても
よい。金属触媒は、重合媒体中に可溶性であっても不溶分であってもよい。触媒は、それ
自体で重合に使用することができ、またはさらなる活性剤、典型的にはIa、IIaおよび/
またはIIIa族金属アルキル、金属水素化物、金属アルキルハライド、金属アルキルオキシ
ドまたは金属アルキルオキサンを使用することができる。活性化剤は、さらなるエステル
、エーテル、アミンまたはシリルエーテル基で都合よく修飾することができる。
【0212】
適切なポリオレフィンは、本明細書中に記載されるように、モノオレフィンおよびジオ
レフィンのモノマーの重合によって調製され得る。ポリオレフィンを調製するために使用
することができる例示的な一量体には、エチレン、プロピレン、1‐ブテン、1‐ペンテン
、1‐ヘキセン、2‐メチル‐1‐プロペン、3‐メチル‐1‐ペンテン、4‐メチル‐1‐ペ
ンテン、5‐メチル‐1‐ヘキセンおよびそれらの混合物が含まれるが、これらに限定され
ない。
【0213】
適切なエチレン‐α‐オレフィンコポリマーは、3~12の炭素数を有するプロピレン、
ブテン‐1、ヘキセン‐1、オクテン‐1,4‐メチル‐1‐ペンテンなどのα‐オレフィン
とのエチレンの共重合によって得ることができる。
【0214】
適切な動的架橋されたポリマーは、ソフトセグメントとしてゴム成分を架橋すると同時
に、バンバリーミキサーのような混練機および二軸押出機を使用することによって、PPの
ようなハードセグメントおよびEPDMのようなソフトセグメントを物理的に分散させること
によって得ることができる。
【0215】
ポリオレフィンは、ポリオレフィンの混合物(例えば、本明細書中上記に開示される2
つ以上のポリオレフィンの混合物)であり得る。例えば、ポリオレフィンの適切な混合物
は、ポリプロピレンとポリイソブチレンとの混合物、ポリプロピレンとポリエチレンとの
混合物(例えば、PP/HDPE、PP/LDPE)または異なるタイプのポリエチレンの混合物(例
えば、LDPE/HDPE)であり得る。
【0216】
ポリオレフィンは、適切なモノオレフィンモノマーのコポリマーまたは適切なモノオレ
フィンモノマーとビニルモノマーとのコポリマーであり得る。例示的なポリオレフィンコ
ポリマーには、エチレン/プロピレンコポリマー、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)
、プロピレン/but‐1エンコポリマー、エチレン/but‐1エンコポリマー、エチレン/ヘ
キセンコポリマー、エチレン/ヘプテンコポリマー、エチレン/オクテンコポリマー、プ
ロピレン/ブタジエンコポリマー、エチレン/イソプレンコポリマー、エチレン/アルキ
ルメタクリレートコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマーおよびそれらの一酸化炭
素またはエチレン/アクリル酸コポリマーおよびそれらの塩とのコポリマー(イオノマー
)、ならびにエチレンとヘキサジエン、ジシクロペンタジエンまたはエチリデン‐ノルボ
ルネンなどのジエンとのターポリマー、ならびにこれらのコポリマーと上記1)で言及し
たポリマー、例えばポリプロピレン/エチレン‐プロピレンコポリマーとの混合物が含ま
れる。LDPE/エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、LDPE/エチレンアクリル酸コポリ
マー(EAA)、LLDPE/EVA、LLDPE/EAAおよび交互またはランダムポリアルキレン/一酸
化炭素コポリマーまた、他のポリマー、例えばポリアミドとの混合物であってもよい。
【0217】
ポリオレフィンは、ポリプロピレンホモポリマー、ポリプロピレンコポリマー、ポリプ
ロピレンランダムコポリマー、ポリプロピレンブロックコポリマー、ポリエチレンホモポ
リマー、ポリエチレンランダムコポリマー、ポリエチレンブロックコポリマー、ポリエチ
レンブロックコポリマー、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDP
E)、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)または前述のポリマーの1つ以上
のブレンドもしくは混合物であり得る。
【0218】
ポリオレフィンは、ポリプロピレンであってもよい。本明細書で使用される「ポリプロ
ピレン」という用語は、プロピレンモノマーを、単独でまたは他のランダムに選択され、
配向されたポリオレフィン、ジエン、もしくは他のモノマー(エチレン、ブチレンなど)
との混合物もしくはコポリマーのいずれかで含む任意のポリマー組成物を包含することが
意図される。このような用語はまた、構成モノマー(アタクチック、シンジオタクチック
、アイソタクティックポリプロピレンなど)の任意の異なる成分の配置構成を包含する。
したがって、繊維に適用される用語は、延伸ポリマーの実際の長いストランド、テープ、
糸(threads)などを包含することが意図される。ポリプロピレンは、任意の標準的なメ
ルトフロー(試験による)であり得るが、標準的な繊維グレードのポリプロピレン樹脂は
、約1~1000のメルトフローインデックスの範囲を有する。
【0219】
ポリオレフィンはポリエチレンであってもよい。本明細書で使用される用語「ポリエチ
レン」は、単独でまたは他のランダムに選択され、配向されたポリオレフィン、ジエンま
たは他のモノマー(プロピレン、ブチレンなど)との混合物またはコポリマーのいずれか
で、エチレンモノマーを含む任意のポリマー組成物を包含することが意図される。このよ
うな用語はまた、構成モノマーの任意の異なる成分の配置構成(アタクチック、シンジオ
タクチック、アイソタクティックなど)を包含する。したがって、繊維に適用される用語
は、延伸ポリマーの実際の長いストランド、テープ、糸などを包含することが意図される
。ポリエチレンは、任意の標準的なメルトフロー(試験による)であり得るが、標準的な
繊維グレードのポリエチレン樹脂は、約1~1000のメルトフローインデックスの範囲を有
する。
【0220】
熱可塑性および/または熱硬化性材料は、1つ以上の加工助剤をさらに含むことができ
る。加工助剤は、非ポリマー材料であってもよい。これらの加工助剤は、硬化剤、開始剤
、可塑剤、離型剤、潤滑剤、酸化防止剤、難燃剤、染料、顔料、強化および非強化充填剤
、繊維補強および光安定剤を含む群から独立して選択することができるが、これらに限定
されない。
【0221】
ここで、本発明の様々な態様を説明してきたが、ブラダの構造に関するさらなる議論が
、より詳細に説明される。ブラダは、構造設計(例えば、多層光学フィルム)がブラダ上
に配置されたとき、充填されないか、部分的に膨張されるか、または完全に膨張され得る
。ブラダは、ある体積の流体を含むことができるブラダである。充填されていないブラダ
は、流体充填可能なブラダと、大気圧以上の圧力の流体で少なくとも部分的に膨張された
充填済みブラダである。フットウェア、アパレル、スポーツ用品上に配置されるか、また
はその中に組み込まれる場合、ブラダは、一般に、その時点で、流体で満たされたブラダ
である。流体は、気体または液体である。ガスは、空気、窒素ガス(N2)、または他の適
切なガスを含むことができる。
【0222】
ブラダは、例えば、所定の厚さのブラダ壁が、本明細書に記載されるブラダの厚さと実
質的に同じ厚さのブチルゴム層の窒素についてのガス透過率よりも少なくとも約10倍低い
窒素についてのガス透過率を有する、窒素ガスについてのガス透過率を有することができ
る。ブラダは、第1のブラダ壁厚(例えば、約0.1~40ミル)を有する第1のブラダ壁を有
することができる。ブラダは、20ミルの平均壁厚に対して、約15cm3/m2・atm・day未満
、約10m3/m2・atm・day未満、約5cm3/m2・atm・day未満、約1cm3/m2・atm・day未満(
例えば、約0.001cm3/m2・atm・day~約1cm3/m2・atm・day、約0.01cm3/m2・atm・da
y~約1cm3/m2・atm・dayまたは約0.1cm3/m2・atm・day~約1cm3/m2・atm・day)の窒
素ガスに対するガス透過率(GTR)を有することができる第1のブラダ壁を有することがで
きる。ブラダは、第1のブラダ壁厚を有する第1のブラダ壁を有することができ、第1のブ
ラダ壁は、20ミルの平均壁厚に対して15cm3/m2・atm・day以下の気体透過率を有する。
【0223】
一態様では、ブラダは、内部に面する側と外部に面する側とを有するブラダ壁を有し、
内部に面する側は、ブラダの内部領域の少なくとも一部を画定する。第1の面および第2の
反対側を有する多層光学フィルムは、ブラダの外側に面する面、ブラダの内側に面する面
、またはその両方に配置することができる。ブラダの外側に面する側、ブラダの内側に面
する側、またはその両方は、ブラダ壁の外側に面する側、ブラダの内側に面する側、また
はその両方から延在するいくつかのまたは全ての複数のトポグラフィ構造を含むことがで
き、多層光学フィルムの第1の側または第2の側は、ブラダ壁の外側に面する側に配置され
、いくつかのまたは全ての複数のトポグラフィ構造を覆い、ブラダ壁の内側に面する側お
よび複数のトポグラフィ構造を覆い、またはその両方であり、多層光学フィルムは、ブラ
ダ壁に構造色を与える。プライマー層は、ブラダの外側に面する側、ブラダの内側に面す
る側、またはその両方に、ブラダ壁と多層光学フィルムとの間に配置することができる。
【0224】
特定の態様では、ブラダは、フットウェア用品のアッパー部分に実施可能に固定された
上壁と、上壁と反対側の底壁と、膨張したブラダの上壁と底壁との間に延在する1つまた
は複数の側壁とを含むことができる。上壁、底壁、および1つ以上の側壁は、集合的に、
膨張したブラダの内部領域を画定し、1つ以上の側壁は、それぞれ、外部に面する面を備
える。第1の面および第2の反対側を有する多層光学フィルムは、ブラダの外側に面する面
、ブラダの内側に面する面、またはその両方に配置することができる。ブラダの外側に面
する側、ブラダの内側に面する側、またはその両方は、ブラダ壁の外側に面する側、ブラ
ダの内側に面する側、またはその両方から延在するいくつかのまたは全ての複数のトポグ
ラフィ構造を含むことができ、多層光学フィルムの第1の側または第2の側は、ブラダ壁の
外側に面する側に配置され、いくつかのまたは全ての複数のトポグラフィ構造を覆い、ブ
ラダ壁の内側に面する側および複数のトポグラフィ構造を覆い、またはその両方であり、
多層光学フィルムは、ブラダ壁に構造色を与える。プライマー層は、ブラダの外側に面す
る側、ブラダの内側に面する側、またはその両方に、ブラダ壁と多層光学フィルムとの間
に配置することができる。
【0225】
膨張したブラダの相対透過度、透過率、および拡散を測定するための認可された方法は
、ASTM D‐1434‐82‐Vである。例えば、米国特許第6,127,026号を参照のこと(これは
、本明細書中に完全に記載されるかのように、参考として援用される)。ASTM D‐1434‐
82‐Vによれば、透過度、透過率および拡散は、以下の式によって測定される。
透過度(Permeance)
(気体量)/[(面積)×(時間)×(圧力差)]=透過度(GTR)/(圧力差)=cm3/m2・atm
・day(すなわち24時間)
透過率(Permeability)
[(気体量)×(膜厚)][(面積)×(時間)×(圧力差)]=透磁率[(GTR)×(膜厚
)]/(圧力差)=[(cm3)(mil)]/m2・atm・day(すなわち24時間)

1気圧の拡散(Diffusion at one atmosphere)
(気体量)/[(面積)x(時間)]=GTR=cm3/m2・day(すなわち24時間)
【0226】
ブラダは、少なくとも1つのポリマー層または少なくとも2つ以上のポリマー層を含むフ
ィルムを含むブラダ壁を含むことができる。ポリマー層の各々は、約0.1~40ミル(mil)
の厚さであり得る。
【0227】
ポリマー層は、上述したように熱可塑性材料などのポリマー材料から形成することがで
きる。熱可塑性材料は、熱可塑性エラストマー材料などのエラストマー材料を含むことが
できる。熱可塑性材料は、上述したように熱可塑性ポリウレタン(TPU)を含むことがで
きる。熱可塑性材料は、ポリエステルベースのTPU、ポリエーテルベースのTPU、ポリカプ
ロラクトンベースのTPU、ポリカーボネートベースのTPU、ポリシロキサンベースのTPU、
またはそれらの組み合わせを含むことができる。使用することができる熱可塑性材料の非
限定的な例には、「PELLETHANE」2355‐85ATPおよび2355‐95AE(Dow Chemical Company o
f Midland、MI、USA)、「ELASTOLLAN」(BASF Corporation、Wyandotte、MI、USA)およ
び「ESTANE」(Lubrizol、Brecksville、OH、USA)が含まれ、これらはすべて酸エステル
またはエーテル系である。追加の熱可塑性材料としては、米国特許第5,713,141号、第5,
952,065号、第6,082,025号、第6,127,026号、第6,013,340号、第6,203,868号、
第6,321,465号に記載されているものを挙げることができ、これらの特許の開示内容は
、参照することによって本願に組み込まれるものとする
【0228】
ポリマー層は、エチレンビニルアルコールコポリマー(EVOH)、ポリ(塩化ビニル)、
ポリビニリデンポリマーおよびコポリマー(例えば、ポリ塩化ビニリデン)、ポリアミド
(例えば、非晶質ポリアミド)、アクリロニトリルポリマー(例えば、アクリロニトリル
‐メチルアクリレートコポリマー)、ポリウレタンエンジニアリングプラスティック、ポ
リメチルペンテン樹脂、エチレン‐一酸化炭素コポリマー、液晶ポリマー、ポリエチレン
テレフタレート、ポリエーテルイミド、ポリアクリルイミド、および比較的低いガス透過
率を有することが知られている他のポリマー材料のうちの1つ以上から形成され得る。こ
れらの材料のブレンドおよび合金、ならびに本明細書に記載されるTPU、ならびに任意選
択でポリイミドおよび結晶性ポリマーの組合せを含むTPUも適切である。例えば、ポリイ
ミドと液晶ポリマーとのブレンド、ポリアミドとポリエチレンテレフタレートとのブレン
ド、およびポリアミドとスチレンとのブレンドが好適である。
【0229】
ポリマー層のポリマー材料の具体例としては、Ineos(Rolle、Switzerland)から入手可
能な「BAREX」樹脂、ポリウレタンエンジニアリングプラスチックとしては、Lubrizol(Br
ecksville、OH、USA)から入手可能な「ISPLAST」ETPU、エチレン‐ビニルアルコールコ
ポリマーとしては、Kuraray(Houston、TX、USA)から商品名「EVAL」で、Nippon Gohsei(
Hull、England)から入手可能な「SOARNOL」およびDuPont(Wilmington、DE、USA)から入
手可能な「SELAR OH」などがある。Johnson(Racine、WI、USA)は「SARAN」という商品名
で、液晶ポリマーは、Solvay(Brussels、Belgium)は「IXAN」という商品名で、Celanese
(Irving、TX、USA)および「XYDAR」という商品名でSolvayから、ナイロンとアモルファ
スナイロンは、「NOVAMID」X21という商品名で、Koninklijke DSM N.V(Heerlen、Netherl
ands)から、「SELAR PA」という商品名でDuPontから、ポリエーテルイミドは「ULTEM」
という商品名SABIC(Riyadh、Saudi Arabia)で販売されている。ポリ(ビニルアルコール
)、およびポリメチルペンテン樹脂は商標名「TPX」で三井化学(東京、日本)から入手
可能である。
【0230】
フィルムの各ポリマー層は、熱可塑性ポリマーの組み合わせを含むことができる熱可塑
性材料で形成することができる。1つ以上の熱可塑性ポリマーに加えて、熱可塑性材料は
、任意に、着色剤、充填剤、加工助剤、フリーラジカルスカベンジャー、紫外線吸収剤な
どを含むことができる。フィルムの各ポリマー層は、異なるタイプの熱可塑性ポリマーを
含む異なる熱可塑性材料で作ることができる。
【0231】
ブラダは、フィルムに加熱、圧力および/または真空を加えることによって作ることが
できる。ブラダ(例えば、1つ以上のポリマー層)は、1つ以上のポリマー材料を使用して
形成され得、そして例えば、押出成形、ブロー成形、射出成形、真空成形、回転成形、ト
ランスファー成形、圧空成形、ヒートシール、鋳造、低圧鋳造、スピン鋳造、反応射出成
形、無線周波数(RF)溶接などを含む1つ以上の加工技術を使用してブラダを形成する。
ブラダは、同時押出成形に続いて、ブラダが流体(例えば、気体)で満たされることを可
能にする1つ以上の弁(例えば、一方向弁)を任意に含み得る、膨張可能なブラダを与え
るために、ヒートシールまたは溶接によって作製され得る。
【0232】
本明細書で説明したように、多層光学フィルムはブラダの内面(面)上または外面(面
)上に配置することができる。テクスチャ層は、ブラダの内面(面)または外面であり得
る。多層光学フィルムは光学層と任意にプライマー層とテクスチャ構造とを含むことがで
きる。テクスチャ層は、ブラダの内面(面)または外面(面)(例えば、内面または外面
が熱可塑性材料から作られる場合)、その上に配置されたプライマー層およびプライマー
層上に配置された多層光学フィルムであり得る。
【0233】
ここで、本発明の実施形態を説明してきたが、本明細書に記載される様々な性質(prope
rty)および特徴(characteristics)の評価は、本明細書において以下に記載されるような
様々な試験手順によるものである。
【0234】
溶融温度およびガラス転移温度の測定方法。
溶融温度およびガラス転移温度は、ASTM D3418-97に従って、市販の示差走査熱量計(
「DSC」)を使用して決定される。簡潔に言えば、10~15グラムのサンプルをアルミニウ
ムDSCパンに入れ、次いで鉛をクリンパープレスで密封した。DSCは、20℃/分の昇温速度
で-100℃から225℃まで走査し、225℃で2分間保持し、次いで-10℃/分の速度で25℃ま
で冷却するように構成される。次いで、この走査から作成されたDSC曲線を標準的な技術
を用いて分析して、ガラス転移温度および溶融温度を決定する。
【0235】
メルトフローインデックスを決定する方法。
メルトフローインデックスは、ASTM D1238‐13 Standard Test Method for Melt Flow
Rates of Thermoplastics by Extrusion Plastometerで詳述されている試験方法に従って
、その中に記載されている手順Aを用いて決定される。簡潔に言えば、メルトフローイン
デックスは、所定の温度および荷重でオリフィスを通る熱可塑性樹脂の押出速度を測定す
る。試験方法では、約7グラムの材料を、材料に指定された温度に加熱されたメルトフロ
ー装置のバレルに装填する。材料に指定された重量がプランジャーに適用され、溶融した
材料が金型を通過するように強制される。押出し時間を測定された押出物を集め、秤量す
る。溶融流量値はg/10分で計算される。
【0236】
本発明の様々な実施形態は、以下の各節セットにおいて説明される。各節セットにおい
て、「配置」は「実施可能に配置」と置き換えることができる。

第1節
第1のブラダ壁を有するブラダと、ブラダ上または内部に配置された多層光学フィルム
とを備える物品であって、
第1のブラダ壁は第1のブラダ壁厚、第1の熱可塑性材料を含む外面および第2の熱可
塑性材料を含む内面を有し、第1のブラダ壁は、20ミルの平均フィルム厚に対して、15cm
3/m2・atm・day以下の窒素ガスに対するガス透過率を有し、
多層光学フィルムは、第1の面と第2の面とを有し、第1の面と第2の面は反対の面で
あり、多層光学フィルムの第1の面または第2の面が、第1のブラダ壁の外面上、第1の
ブラダ壁の内面上、またはブラダの内部の空洞の中の構成部分の面上に配置され、多層光
学フィルムの第1の面、多層光学フィルムの第2の面またはその両方がブラダに構造色を
付与する、物品。
第2節
第1のブラダ壁の外部または内部、または多層光学フィルムの第1の面または第2の面
、またはその組合せのいずれかがテクスチャ表面を含み、テクスチャ表面と多層光学フィ
ルムの組合せがブラダに構造色を付与する、1節に記載の物品。
第3節
テクスチャ表面がテクスチャ層またはテクスチャ構造の一部である、1節または2節に
記載の物品。
第4節
多層光学フィルムが、テクスチャ表面を含む、1~3節に記載の物品。
第5節
テクスチャ表面、テクスチャ層またはテクスチャ構造が多層光学フィルムの第1の面上
にあり、多層光学フィルムの第1の面は第1のブラダ壁の外面上に配置される、1~4節
に記載の物品。
第6節
テクスチャ表面、テクスチャ層またはテクスチャ構造が多層光学フィルムの第2の面上
にあり、多層光学フィルムの第1の面が第1のブラダ壁の内面上に配置される、1~5節
に記載の物品。
第7節
テクスチャ表面は、複数のトポグラフィ構造と複数の平面領域を有する、1~6節に記
載の物品。
第8節
テクスチャ表面は、複数のトポグラフィ構造と複数の平面領域を有し、トポグラフィ構
造はテクスチャ表面の平面領域に延在する、1~7節に記載の物品。
第9節
光学層と組合せた、トポグラフィ構造の寸法、トポグラフィ構造の形状、複数のトポグ
ラフィ構造の間隔、が構造色を付与する、1~8節に記載の物品。
第10節
少なくとも5平方mmの表面領域を有するテクスチャ表面の領域に渡って、トポグラフ
ィ構造は相互にランダムな位置にある、1~9節に記載の物品。
第11節
トポグラフィ構造の間隔は、トポグラフィ構造の歪み効果が、付与された構造色で互い
に干渉することを減少するように設定される、1~10節に記載の物品。
第12節
トポグラフィ構造と平面領域は、起伏のあるトポグラフィを有する、多層光学フィルム
の少なくとも1つの光学層をもたらし、テクスチャ表面の平面領域とともに平面である、
隣接する凹凸またはその両方との間の平面領域が存在し、平面領域は、構造色を付与する
ための、トポグラフィ構造に対する寸法を有する、1~11節に記載の物品。
第13節
トポグラフィ構造と平面領域は、多層光学フィルムの少なくとも1つの層にテクスチャ
表面に渡って起伏のあるトポグラフィを生じさせる、1~12節に記載の物品。
第14節
トポグラフィ構造と平面領域は、多層光学フィルムの各層が、テクスチャ構造に渡って
起伏のあるようにする原因となる、1~13節に記載の物品。
第15節
多層光学フィルムが少なくとも2つの光学層を含む、1~14節に記載の物品。
第16節
多層光学フィルムの少なくとも1つの層が、金属を含むか、実質的になり、任意に金属
はチタンまたはシリコンから選ばれる、1~15節に記載の物品。
第17節
多層光学フィルムが、金属酸化物を含むか、実質的になる、少なくとも1つの層を含み
、任意に金属酸化物は二酸化チタンまたは二酸化シリコンである1~16節に記載の物品

第18節
多層光学フィルムは少なくとも3層を含み、金属を含む第1の層と、金属酸化物を含む
第2の層を含む、1~17節に記載の物品。
第19節
多層光学フィルムが、多層反射材または多層フィルタを含む、1~18節に記載の物品

第20節
多層反射材が、屈折率が異なる少なくとも2つの隣接した層を含む、少なくとも2つの
層を有する、1~19節に記載の物品。
第21節
少なくとも2つの隣接した層の屈折率が、少なくとも5%、任意に10%または任意に
15%異なる、1~20節に記載の物品。
第22節
多層反射材の層の少なくとも1つが、多層光学フィルムに反射されて構造色を付与する
可視光の波長の約1/4の厚みを有する、1~21節のいずれか1節に記載の物品。
第23節
多層反射材の層の少なくとも1つが、二酸化ケイ素、二酸化チタン、硫化亜鉛、フッ化
マグネシウム、五酸化タンタル、およびこれらの組合せから成る群から選択される材料を
含む、1~22節のいずれか1節に記載の物品。
第24節
ブラダの構造色が、ブラダから約1メートルの距離から、20/20の正常視力および正常
な色覚を有する観察者に視認できる、1~23節のいずれか1節に記載の物品。
第25節
見る角度に関係なく、ブラダに付与する構造色はブラダの外面に渡って単一色相を有す
る、1~24節のいずれか1節に記載の物品。
第26節
ブラダに付与される構造色が、2つ以上の色相を含み、2つ以上の色相のそれぞれは、
ブラダの外面に渡る1つの領域に局在し、2つ以上の色相は、観察角度が変更されてもシ
フトしない、1~25節のいずれか1節に記載の物品。
第27節
ブラダに付与される構造色が、玉虫調である、1~26節のいずれか1節に記載の物品

第28節
ブラダの構造色が玉虫調を有する、1~27節のいずれか1節に記載の物品。
第29節
構造色が、各観察可能な角度から視認できる各色を、赤黄青(RYB)カラーホイール上
の原色、二次色および三次色からなる群から選択される単一色相に割り当てた場合、割り
当てられた色相の全てが、単一色相群に属し、単一色相群はa)緑‐黄、黄および黄‐橙
、b)黄、黄‐橙および橙、c)黄‐橙、橙および橙‐赤、d)橙‐赤および赤‐紫、e)赤、
赤‐紫および紫、f)赤‐紫、紫および紫‐青、g)紫、紫‐青および青、h)紫‐青、青
および青‐緑、i)青、青‐緑、緑、j)青‐緑、緑および緑‐黄、のうちの1つであるよ
うな限定された玉虫調を有する、1~28節のいずれか1節に記載の物品。
第30節
ブラダ上に配置された多層光学フィルムが、‐15°~+60°の間の3つの測定角で所定
の照明条件下でCIE1976色空間に従って測定された場合、第1の観察角度における
第1の測色の座標がL 、a およびb であり、第2の観察角度における第2の
測色の座標がL 、a およびb であり、第3の観察角度における第3の測色の
座標がL 、a およびb であり、ここで、L 、L およびL の値は
同じであっても異なっていてもよく、a 、a およびa の座標値は、同じであ
っても異なっていてもよく、b1 、b およびb の座標値は、同じであっても異
なっていてもよく、組み合わされたa 、a およびa の値の範囲は、aが取
り得る値の全スケールの約40%未満であり、任意に、aが取り得る値の全体スケール
の約30%未満であり、任意にaが取り得る値の全体スケールの約20%未満であり、また
は任意に、aが取り得る値の全体スケールの約10%未満である色を示す、1~29節の
いずれか1節に記載の物品。
第31節
ブラダ上に配置された多層光学フィルムが、‐15°~+60°の間の3つの測定角で所定
の照明条件下でCIE1976色空間に従って測定された場合、第1の観察角度における
第1の測色の座標がL 、a およびb であり、第2の観察角度における第2の
測色の座標がL 、a およびb であり、第3の観察角度における第3の測色の
座標がL 、a およびb であり、ここで、L 、L およびL の値は
同じであっても異なっていてもよく、a 、a およびa の座標値は、同じであ
っても異なっていてもよく、b1 、b およびb の座標値は、同じであっても異
なっていてもよく、組み合わされたb 、b およびb の値の範囲は、bが取り得
る値の全スケールの約40%未満であり、任意に、bが取り得る値の全体スケールの約3
0%未満であり、任意にbが取り得る値の全体スケールの約20%未満であり、または任意
に、bが取り得る値の全体スケールの10%である色を示す、1~30節のいずれか1節
に記載の物品。
第32節
ブラダ上に配置された多層光学フィルムが、‐15°~+60°の間の2つの測定角で所定
の照明条件下でCIE1976色空間に従って測定された場合、第1の観察角度における
第1の測色の座標がL 、a およびb であり、第2の観察角度における第2の
測色の座標がL 、a およびb であり、ここで、L およびL の値は同
じであっても異なっていてもよく、a およびa の座標値は、同じであっても異な
っていてもよく、b1 およびb の座標値は、同じであっても異なっていてもよく、
第1の測色と第2の測色の間のΔEabは、100以下であり、ここで、ΔEab=[(L1
‐L2 2+(a1 ‐a2 2+(b1 *‐b2 21/2であり、任意に約80以下であり、ま
たは任意に約60以下である色を示す、1~31節のいずれか1節に記載の物品。
第33節
ブラダ上に配置された多層光学フィルムが、‐15°~+60°の間の3つの測定角で所定
の照明条件下でCIELCH色空間に従って測定された場合、第1の観察角度における第1の測
色の座標がL 、C およびh°であり、第2の観察角度における第2の測色の座標
がL2 、C2 およびh2°であり、第3の観察角度における第3の測色の座標がL3 、C3
およびh3°であり、ここで、L 、L およびL の値は同じであっても異なっ
ていてもよく、C 、C およびC の座標値は、同じであっても異なっていてもよ
く、h1°、h2°およびh3°の座標値は、同じであっても異なっていてもよく、組み合わさ
れたh1°、h2°およびh3°の値の範囲は、約60°未満であり、任意に、50°未満であり、
任意に、40°未満であり、任意に、30°未満であり、または任意に、20°未満である色を
示す、1~32節のいずれか1節に記載の物品。
第34節
プライマー層が、テクスチャ表面上に配置される、1~33節のいずれか1節に記載の
方法。
第35節
プライマー層が、ブラダ壁の外面上またはブラダ壁の内面上に配置され、多層光学フィ
ルムが、プライマー層上に配置される、1~34節のいずれか1節に記載の方法。
第36節
プライマー層、テクスチャ表面およびその両方が多層光学フィルムと第1の熱可塑性材
料の間に配置した状態で、多層光学フィルムが、ブラダ壁の外面の第1の熱可塑性材料上
または内面の第2の熱可塑性材料上に配置される、1~35節のいずれか1節に記載の方
法。
第37節
プライマー層はテクスチャ表面を含み、プライマー層のテクスチャ表面、プライマー層
および多層光学フィルムが構造色を付与する、1~36節のいずれか1節に記載の方法。
第38節
プライマー層が、デジタル印刷層、オフセット印刷層、パッド印刷層、スクリーン印刷
層、フレキソ印刷層、熱転写印刷層である、1~37節のいずれか1節に記載の物品。
第39節
プライマー層が、塗料を含む、1~38節のいずれか1節に記載の方法。
第40節
プライマー層が、インクを含む、1~39節のいずれか1節に記載の方法。
第41節
プライマー層が、再粉砕(reground:再生リグラインド材料)および少なくとも部分的
に分解されたポリマー層を含む、1~40節のいずれか1節に記載の方法。
第42節
プライマー層が、酸化物層である、1~41節のいずれか1節に記載の方法。
第43節
プライマー層が、金属酸化物または酸窒化物を含む、1~42節のいずれか1節に記載
の方法。
第44節
金属酸化物または金属酸窒化物がドープされた、1~43節のいずれか1節に記載の方
法。
第45節
プライマー層は、金属酸化物から実質的になり、任意にチタン酸化物から実質的になる
、1~44節のいずれか1節に記載の方法。
第46節
プライマー層が、ドープ金属酸化物またはドープ金属酸窒化物またはその両方から実質
的になる、1~45節のいずれか1節に記載の物品。
第47節
プライマー層が、約1~約200マイクロメートルまたは任意で約10~約100マイクロメー
トルまたは任意で約10~約80マイクロメートルの厚さを有する、1~46節のいずれか1
節に記載の物品。
第48節
プライマー層はコーティングであり、コーティングは架橋ポリマーのマトリックスを含
む架橋コーティングである、1~47節のいずれか1節に記載の物品。
第49節
コーティングが、架橋ポリマーのマトリックス中に捕捉された複数の固体顔料粒子を含
む、1~48節のいずれか1節に記載の物品。
第50節
架橋ポリマーのマトリックスが、架橋エラストマーポリマーを含む、1~49節のいず
れか1節に記載の物品。
第51節
架橋エラストマーポリマーは、架橋ポリウレタンホモポリマーまたはコポリマーまたは
その両方を含む、1~50節のいずれか1節に記載の物品。
第52節
架橋ポリウレタンコポリマーは、架橋ポリエステルポリウレタンを含む、1~51節の
いずれか1節に記載の物品。
第53節
固体顔料粒子が存在するとき、固体顔料粒子は、金属および金属酸化物、炭素顔料、粘
土土類顔料、ウルトラマリン顔料およびその組合せからなる群から選ばれる、1~52節
のいずれか1節に記載の物品。
第54節
コーティングが、さらに染料を含む、1~53節のいずれか1節に記載の物品。
第55節
染料が存在するとき、染料が酸性染料である、1~54節のいずれか1節に記載の物品

第56節
コーティングがさらに第四級アンモニウム化合物を含む、1~55節のいずれか1節に
記載の物品。
第57節
第四級アンモニウム化合物がテトラブチルアンモニウム化合物である、1~56節のい
ずれか1節に記載の物品。
第58節
テトラブチルアンモニウム化合物がハロゲン化テトラブチルアンモニウムである、1~
57節のいずれか1節に記載の物品。
第59節
ポリマーコーティング組成物が存在するとき、1~15重量パーセントの第四級アンモニ
ウム化合物を含む、1~57節のいずれか1節に記載の物品。
第60節
第四級アンモニウム化合物に対する酸性染料のモル比が、約3:1~1:3である、1~5
9節のいずれか1節に記載の物品。
第61節
第四級アンモニウム化合物に対する酸性染料のモル比が、約1.5:1~1:1.5である、1
~60節のいずれか1節に記載の物品。
第62節
コーティングの架橋ポリマーのマトリックスが、ポリウレタンポリマーを含む、1~6
0節のいずれか1節に記載の物品。
第63節
ポリウレタンポリマーが、熱可塑性ポリウレタンポリマーを含む、1~62節のいずれ
か1節に記載の物品。
第64節
ポリウレタンポリマーが、エラストマーポリウレタンポリマーを含む、1~63節のい
ずれか1節に記載の物品。
第65節
ポリウレタンポリマーが、ポリエステルポリウレタンコポリマーを含む、1~64節の
いずれか1節に記載の物品。
第66節
ポリウレタンポリマーが、ポリエステルポリウレタンコポリマーから実質的になる、1
~65節のいずれか1節に記載の物品。
第67節
プライマー層が、3~200ナノメートルの厚さを有する、1~66節のいずれか1節に記
載の物品。
第68節
プライマー層が、黒、暗い褐色、暗い赤、暗い橙、暗い黄、暗い緑、暗いシアン、暗い
青、暗いバイオレット、グレー、暗いマゼンタ、暗いインディゴ、それらのトーン(tone
s)、それらのティント(tints)、それらのシェイド(shade)およびそれらの組合せか
らなる群から選ばれる色を有する、1~67節のいずれか1節に記載の物品。
第69節
プライマー層の色が、構造色の色と異なる、1~68節のいずれか1節に記載の物品。
第70節
プライマー層の色が、1~69節の基準の構造色の色とは異なる、1~69節のいずれ
か1節に記載の物品。
第71節
第1のポリマー材料および第2のポリマー材料が、熱可塑性材料である、1~70節の
いずれか1節に記載の物品。
第72節
熱可塑性材料が、エラストマー熱可塑性材料である、1~71節のいずれか1節に記載
の物品。
第73節
熱可塑性材料が、1つまたは複数の熱可塑性ポリウレタンを含む、1~72節のいずれ
か1節に記載の物品。
第74節
エラストマー熱可塑性材料が、1つまたは複数の、熱可塑性ポリウレタン、ポリエステ
ル、ポリアミド、ポリオレフィンまたはその組合せを含む、1~73節のいずれか1節に
記載の物品。
第75節
エラストマー熱可塑性材料が、ポリエステルポリウレタンコポリマーを含む、1~74
節のいずれか1節に記載の物品。
第76節
第1の熱可塑性材料と第2の熱可塑性材料が、同じポリマータイプの熱可塑性ポリマー
を含む、1~75節のいずれか1節に記載の物品。
第77節
第1の熱可塑性材料と第2の熱可塑性材料が、異なるポリマータイプの熱可塑性ポリマ
ーを含む、1~76節のいずれか1節に記載の物品。
第78節
第1の熱可塑性材料が熱可塑性ポリウレタンを含み、任意にエラストマー熱可塑性ポリ
ウレタンまたは任意にエラストマー熱可塑性ポリエステルポリウレタンコポリマーを含む
、1~77節のいずれか1節に記載の物品。
第79節
第1の熱可塑性材料が、熱可塑性ポリエステルポリウレタンコポリマーを含む、1~7
8節のいずれか1節に記載の物品。
第80節
第1のブラダ壁が、第3の熱可塑性材料の層と交互になっている第1の熱可塑性材料の
層を含むバリア膜(barrier menbrane)を含む、1~79節のいずれか1節に記載の物品。
第81節
第3の熱可塑性材料がエチレンビニルアルコールコポリマーを含む、1~80節のいず
れか1節に記載の物品。
第82節
多層光学フィルムの第1の面が、多層光学フィルムの第2の面に配置される、1~81
節のいずれか1節に記載の物品。
第83節
プライマー層、テクスチャ構造またはその両方が多層光学フィルムと第1のブラダ壁の
外面との間に位置した状態で、多層光学フィルムが、第1のブラダ壁の外面上に配置され
る、1~82節のいずれか1節に記載の物品。
第84節
ブラダが、ブラダの内部の空洞において、上記節いずれか1つに記載の多層光学フィル
ム、任意に上記節いずれか1つに記載のテクスチャ表面、および、任意に上記節いずれか
1つに記載のプライマー層を含む構成部分を含む、1~83節のいずれか1節に記載の物
品。
第85節
構成部分が、固体ポリマー材料で形成されたスペーサ、発泡ポリマー材料で形成された
スペーサ、布で形成されたスペーサまたはそれらの組合せから選ばれる、1~84節のい
ずれか1節に記載の物品。
第86節
ブラダを含み、ブラダが、1~85節のいずれか1節に記載のブラダである、アパレル
用品。
第87節
ブラダを含み、ブラダが、1~86節のいずれか1節に記載のブラダである、スポーツ
用品。
第88節
ブラダを含み、ブラダが、1~87節のいずれか1節に記載のブラダである、フットウ
ェア用品。
第89節
ソールを含み、ソールが、1~88節のいずれか1節に記載のブラダを含む、フットウ
ェア用品。
第90節
1~89節のいずれか1節に記載のブラダを第2の素子に貼り付けるステップと、フッ
トウェア、アパレルまたはスポーツ用品を形成するステップと、を含む、フットウェア、
アパレルまたはスポーツ用品の製造方法。
第91節
物品は、ソール内にブラダを含み、
ソールをアッパーに貼り付けてフットウェア用品を形成するステップをさらに含む、9
0節に記載の方法。
第92節
以下の方法に関する節いずれか1つに記載のステップをさらに含む、90節または91
節に記載の方法。
第93節
多層光学フィルムをブラダの第1のブラダ壁の外面上または内面上に配置するステップ
を含み、ブラダ壁は第1のブラダ壁厚さ、および、20ミルの平均フィルム厚に対して、15
cm3/m2・atm・day以下の窒素ガスに対するガス透過率を有し、外面は第1の熱可塑性材
料を含み、内面は第2の熱可塑性材料を含み、多層光学フィルムは第1の面と第2の面を
有し、第1の面と第2の面は反対の面であり、多層光学フィルムの第1の面または第2の
面はブラダ壁の外面上、第1のブラダ壁の内面上、またはブラダの内部の空洞の中の構成
部分上に配置され、多層光学フィルムの第1の面、多層光学フィルムの第2の面、または
その両方がブラダに構造色を付与する、ブラダの製造方法。
第94節
熱、圧力、真空またはそれらの組合せを適用することによってフィルムにブラダを形成
するステップを含み、フィルムは20ミルの平均フィルム厚に対して、15cm3/m2・atm・da
y以下の窒素ガスに対するガス透過率を有し、
ブラダを形成するステップは、多層光学フィルムをブラダ壁の外面上または内面上に形
成するステップに先立って、または引き続いて、実施される、90~93節のいずれか1
節に記載の方法。
第95節
ブラダを形成した後、ブラダを膨張させるステップをさらに含む、90~94節のいず
れか1節に記載の方法。
第96節
多層光学フィルムを配置するステップが、ブラダを膨張させるステップに先立って実施
される、90~95節のいずれか1節に記載の方法。
第97節
多層光学フィルムを配置するステップが、膨張させたブラダ上で実施される、90~9
6節のいずれか1節に記載の方法。
第98節
多層光学フィルムを配置するステップの間、膨張させたブラダの温度が、第1の熱可塑
性材料のガラス転位温度未満に維持される、90~97節のいずれか1節に記載の方法。
第99節
多層光学フィルムを配置するステップの間、膨張させたブラダの温度が、80℃以下に
維持される、90~98節のいずれか1節に記載の方法。
第100節
多層光学フィルムを配置するステップが、多層光学フィルムの第1の面を第1のブラダ
壁の外面上に配置するステップを含む、90~99節のいずれか1節に記載の方法。
第101節
多層光学フィルムを配置するステップに先立って、テクスチャ表面、プライマー層、ま
たはその両方を第1のブラダ壁の外面上または第1のブラダ壁の内面上に形成するステッ
プをさらに含む、90~100節のいずれか1節に記載の方法。
第102節
多層光学フィルムがテクスチャ表面、プライマー層またはその両方を含む、90~10
1節のいずれか1節に記載の方法。
第103節
配置するステップは、多層光学フィルムの第1の面を第1のブラダ壁の内面上に配置す
るステップを含む、90~102節のいずれか1節に記載の方法。
第104節
第1のブラダ壁の内面が、テクスチャ表面を含む、90~103節のいずれか1節に記
載の方法。
第105節
テクスチャ表面が、テクスチャ層またはテクスチャ構造の一部である、90~104節
のいずれか1節に記載の方法。
第106節
多層光学フィルムが、テクスチャ層またはテクスチャ構造を含む、90~105節のい
ずれか1節に記載の方法。
第107節
テクスチャ表面が、1~89節のいずれか1節に記載のテクスチャ表面である、90~
106節のいずれか1節に記載の方法。
第108節
多層光学フィルムが、1~89節のいずれか1節に記載の多層光学フィルムである、9
0~107節のいずれか1節に記載の方法。
第109節
多層光学フィルムを配置するステップに先立って、プライマー層を第1のブラダ壁の外
面上または第1のブラダ壁の内面上に配置するステップを含み、プライマー層と光学層が
構造色を付与する、90~108節のいずれか1節に記載の方法。
第110節
外面または内面がテクスチャ表面を含み、
プライマー層をテクスチャ表面に形成するステップをさらに含み、
外面、内面、テクスチャ表面、プライマー層、および、光学層が、構造色を付与する、
90~109節のいずれか1節に記載の方法。
第111節
プライマー層を形成するステップが、デジタル印刷、オフセット印刷、パッド印刷、ス
クリーン印刷、フレキソ印刷、熱転写印刷を使用してプライマー層を形成するステップを
含む、90~110節のいずれか1節に記載の方法。
第112節
配置するステップが、多層光学フィルムを構成部分上に配置するステップを含み、ブラ
ダを膨張させるステップに先立って、構造色を付与した構成部分をブラダの内部の空洞の
中に配置するステップをさらに含む、90~111節のいずれか1節に記載の方法。
第113節
構成部分が、固体ポリマー材料で形成されたスペーサ、発泡ポリマー材料で形成された
スペーサ、布で形成されたスペーサ、またはその組合せから選ばれる、90~112節の
いずれか1節に記載の方法。
第114節
物品は、1~89節のいずれか1節に記載の物品である、90~113節のいずれか1
節に記載の方法。
第115節
82~99節に記載の方法を使用して形成されたブラダを含む物品。
第116節
内面および外面を有するブラダ壁と、第1の面および第2の反対側の面を有する多層光
学フィルムとを備える、フットウェア用品に用いられる膨張させたブラダであって、
内面は膨張させたブラダの内側の領域の少なくとも一部を画定し、ブラダ壁は内面と外
面の間の5mm未満の平均壁厚さをさらに含み、
多層光学フィルムの第1の面はブラダ壁の外面上に操作可能に配置され、多層光学フィ
ルムはブラダ壁に構造色を付与する、フットウェア用品に用いられる膨張させたブラダ。
第117節
ブラダ壁が15cm3/m2・atm・day以下のガス透過率を示す、1~116節のいずれか1
節に記載の膨張させたブラダ。
第118節
ブラダ壁が、交互の第1と第2のポリマー層をさらに含み、第1のポリマー層は1つま
たは複数の熱可塑性ポリウレタンをそれぞれ含み、第2のポリマー層は1つまたは複数の
熱可塑性エチレンビニルアルコールポリマーをそれぞれ含む、1~117節のいずれか1
節に記載の膨張させたブラダ。
第119節
ブラダ壁が、1つまたは複数の熱可塑性ポリウレタンを含む、1~118節のいずれか
1節に記載の膨張させたブラダ。
第120節
多層光学フィルムが、
酸化されていない金属を組成上含む第1の層と、
第1の金属酸化物を組成上含む第2の層と、
を含む、1~119節のいずれか1節に記載の膨張させたブラダ。
第121節
第1の金属酸化物とは異なる、第2の金属酸化物を組成上含む第3の層をさらに含む、
1~120節のいずれか1節に記載の膨張させたブラダ。
第122節
多層光学フィルムが、
第1の金属酸化物を組成上含む第1の層と、
第1の金属酸化物とは異なる第2の金属酸化物を組成上含む第2の層と、
を含む、1~121節のいずれか1節に記載の膨張させたブラダ。
第123節
ブラダ壁の外面上に配置されたプライマー層をさらに含み、多層光学フィルムの第1の
面がプライマー層上に配置される、1~122節のいずれか1節に記載の膨張させたブラ
ダ。
第124節
プライマー層が、約10~100μmの範囲の厚さを有する、1~123節のいずれか
1節に記載の膨張させたブラダ。
第125節
内面および外面を有するブラダ壁と、
ブラダ壁の外面から延在する複数のトポグラフィ構造と、
第1の面および第2の面を有する多層光学フィルムとを備える、フットウェア用品に用
いられるブラダであって、
ブラダ壁の内面はブラダの内側の領域の少なくとも一部を画定し、
多層光学フィルムの第1の面は、ブラダ壁の外面に配置され、複数のトポグラフィ構造
を被覆し、多層光学フィルムはブラダ壁に構造色を付与する、
フットウェア用品に用いられるブラダ。
第126節
多層光学フィルムが、
第1の金属酸化物を組成上含む第1の層であって、複数のトポグラフィ構造と少なくと
も部分的に一致する第1の層と、
第1の層上に配置され、第1の酸化物とは異なる第2の金属酸化物を組成上含む第2の
層と、
を含む、1~125節のいずれか1節に記載の膨張させたブラダ。
第127節
ブラダの内側の領域内に保持されたガスを含む、1~126節のいずれか1節に記載の
膨張させたブラダ。
第128節
ガスが窒素により実質的になる、1~127節のいずれか1節に記載の膨張させたブラ
ダ。
第129節
ブラダ壁が15cm3/m2・atm・day以下のガス透過率を示す、1~128節のいずれか1
節に記載の膨張させたブラダ。
第130節
フットウェアのアッパーと、膨張させたブラダと、多層光学フィルムとを備えるフット
ウェア用品であって、
膨張させたブラダは、
フットウェアのアッパーに操作可能に固着した頂壁と、
頂壁と反対の底壁と、
膨張させたブラダの頂壁と底壁の間に延在する、1つまたは複数の側壁とを備え、
頂壁、底壁、1つまたは複数の側壁は合わせて膨張させたブラダの内側の領域を画定し
、1つまたは複数の側壁は、それぞれ外面を含み、
多層光学フィルムは、1つまたは複数の側壁の少なくとも1つの外面に操作可能に配置
され、1つまたは複数の側壁に構造色を付与する、
フットウェア用品。
第131節
多層光学フィルムが複数のトポグラフィ構造を被覆するように、膨張させたブラダが、
1つまたは複数の側壁の少なくとも1つの外面から延在する複数のトポグラフィ構造をさ
らに含む、1~130節のいずれか1節に記載のフットウェア用品。
第132節
多層光学フィルムが、
第1の金属酸化物を組成上含む第1の層であって、複数のトポグラフィ構造と少なくと
も部分的に一致する第1の層と、
第1の層上に配置され、第1の金属酸化物と異なる第2の金属酸化物を組成上含む第2
の層と、
を含む、1~131節のいずれか1節に記載のフットウェア用品。
第133節
1つまたは複数の側壁に付与された構造色が、観察角度に関係なく1つの色相を有する
、1~132節のいずれか1節に記載のフットウェア用品。
第134節
1つまたは複数の側壁に付与された構造色が、金属的な色を含む、金属的な外観を有す
る、1~133節のいずれか1節に記載のフットウェア用品。
第135節
1つまたは複数の側壁に付与された構造色が、2つ以上の色相を有する、1~134節
のいずれか1節に記載のフットウェア用品。
第136節
多層光学フィルムを第1のブラダ壁の外面上または内面上に配置するステップを含み、
内面が、膨張させたブラダの内側の領域の少なくとも一部を画定し、ブラダ壁は内面と外
面の間の5mm未満の平均壁厚さをさらに含み、
多層光学フィルムは、第1の面と第2の面とを有し、多層光学フィルムの第1の面はブ
ラダ壁の外面上に操作可能に配置され、多層光学フィルムはブラダ壁に構造色を付与する
、ブラダの製造方法。
第137節
熱、圧力、真空またはそれらの組合せを適用することによってフィルムにブラダを形成
するステップをさらに含み、
ブラダを形成するステップが、多層光学フィルムをブラダ壁の外面上または内面上に操
作可能に配置するステップに先立ってまたは引き続いて実施される、1~136節のいず
れか1節に記載のフットウェア用品の製造方法。
第138節
1~137節のいずれか1節に記載の物品を含む、1~137節に記載のフットウェア
用品の製造方法。
第139節
ブラダが、内面と外面とを有するブラダ壁を含み、内面は、ブラダの内側の領域の少な
くとも一部を画定し、
複数のトポグラフィ構造はブラダ壁の外面から延在し、
多層光学フィルムは、第1の面と第2の反対の面とを有し、多層光学フィルムの第1の
面はブラダ壁の外面上に配置され複数のトポグラフィ構造を被覆し、多層光学フィルムは
ブラダ壁に構造色を付与する、フットウェア用品に用いられるブラダ。
第140節
多層光学フィルムをブラダの第1のブラダ壁の外面上または内面上に配置するステップ
を含み、内面が膨張させたブラダの内側の領域の少なくとも一部を画定し、複数のトポグ
ラフィ構造がブラダ壁の外面から延在し、多層光学フィルムの第1の面がブラダ壁の外面
に配置され、複数のトポグラフィ構造を被覆し、多層光学フィルムはブラダ壁に構造色を
付与する、ブラダの製造方法。
第141節
膨張させたブラダを操作可能にフットウェアのアッパーの頂壁に固着させるステップを
含み、ブラダは、頂壁、頂壁と反対の底壁、および膨張させたブラダの頂壁と底壁の間に
延在する1つまたは複数の側壁を含み、頂壁、底壁および1つまたは複数の側壁は、合わ
せて膨張させたブラダの内側の領域を画定し、1つまたは複数の側壁はそれぞれ外面を含
み、1つまたは複数の側壁の少なくとも1つの外面上に配置された多層光学フィルムは、
1つまたは複数の側壁に構造色を付与する、フットウェア用品の製造方法。

比率、濃度、量および他の数値データは、本明細書では範囲形式で表され得ることに留
意されたい。そのような範囲フォーマットは、利便性および簡潔さのために使用され、し
たがって、範囲の限界として明示的に列挙された数値だけでなく、各数値およびサブ範囲
が明示的に列挙されているかのように、その範囲内に包含されるすべての個々の数値また
はサブ範囲も含むように、柔軟な方法で解釈されるべきであることを理解されたい。例え
ば、「約0.1パーセント~約5パーセント」の濃度範囲は、約0.1重量パーセント~約5重
量パーセントの明示的に列挙された濃度だけでなく、個々の濃度(例えば、1パーセント
、2パーセント、3パーセント、4パーセント)およびサブレンジ(例えば、0.5パーセン
ト、1.1パーセント、2.2パーセント、3.3パーセント、4.4パーセント)をも含むと解
釈されるべきであり、「約」という用語は、数値の有効数字による従来の丸めを含むこと
ができ、さらに、「約“x”~“y”」という語句は、「約“x”~約“y”」を含む。
上述の実施形態に対して多くの変形および修正を行うことができる。これらの変更およ
び変形は本発明の範囲に含まれると考えられ、以下の請求項によって保護される。
図1
図2
図3A
図3B
【手続補正書】
【提出日】2022-07-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面および外面を有するブラダ壁と、第1の面および第1の面の反対の第2の面を有する多層光学フィルムとを備えるブラダであって、
ブラダ壁の内面はブラダの内側の領域の少なくとも一部を確定し、ブラダ壁の、内面と外面との間の平均壁厚さは5mm未満であり、
多層光学フィルムの第1の面は、ブラダ壁の外面上に配置され、多層光学フィルムは、ブラダ壁に構造色を付与し、
多層光学フィルムは、多層フィルタまたは多層反射材を含み、その結果、構造色が、色相が観察角度または照明角度の変化によって隣接する色相を飛ばして変化し、可視スペクトルの1つ以上の色相(例えば、赤、橙、黄など)は、観察または照明の角度が変化しても、構造色において観察されない、2つ以上の色相を有する多色相である、ブラダ。
【請求項2】
ブラダ壁が、20ミルの平均フィルム厚に対して、15cm3/m2・atm・day以下の窒素ガス透過率を示す、請求項1に記載のブラダ。
【請求項3】
ブラダ壁が、交互の第1と第2のポリマー層をさらに含み、第1のポリマー層は熱可塑性ポリウレタン材料の1種または複数種を含み、第2のポリマー層は熱可塑性エチレンビニルアルコールポリマー材料の1種または複数種を含む、請求項1に記載のブラダ。
【請求項4】
ブラダ壁が、熱可塑性ポリウレタン材料の1種または複数種を含む、請求項1に記載のブラダ。
【請求項5】
多層光学フィルムが、
酸化されていない金属を組成上含む第1の層と、
第1の金属酸化物を組成上含む第2の層と、
を含む、請求項1に記載のブラダ。
【請求項6】
第1の金属酸化物とは異なる、第2の金属酸化物を組成上含む第3の層をさらに含む、請求項5に記載のブラダ。
【請求項7】
多層光学フィルムが、
第1の金属酸化物を組成上含む第1の層と、
第1の金属酸化物とは異なる第2の金属酸化物を組成上含む第2の層と、
を含む、請求項1に記載のブラダ。
【請求項8】
ブラダ壁の外面上に配置されたプライマー層を含み、多層光学フィルムの第1の面はプライマー層上に配置される、請求項1に記載のブラダ。
【請求項9】
膨張させたブラダであり、ブラダの内部に充填させたガスをさらに含む、請求項1に記載のブラダ。
【請求項10】
1つまたは複数の側壁の少なくとも1つの外面から延在する複数のトポグラフィ構造をさらに含み、その結果、多層光学フィルムが複数のトポグラフィ構造を被覆する、請求項1に記載のブラダ。
【請求項11】
各観察の可能な角度で観察される各色が、赤黄青(RYB)カラーホイール上の原色、第二色および第三色からなる群から選択される単一色相に割り当てられる場合、割り当てられた色相のすべてが、単一色相群に入り、ここで、単一色相群は、a)緑-黄、黄および黄-橙、b)黄、黄-橙および橙、c)黄-橙、橙および橙-赤、d)橙-赤および赤-紫、e)赤、赤-紫および紫、f)赤-紫、紫および紫-青、g)紫、紫-青および青、h)紫-青、青および青-緑、i)青、青-緑および緑、j)青-緑、緑および緑-黄である、請求項1に記載のブラダ。
【請求項12】
ブラダに付与する構造色が、金属的な外観を有する、請求項1に記載のブラダ。
【請求項13】
多層反射材が、屈折率が異なる少なくとも2つの隣接した層を含み、多層反射材の層の少なくとも1つが、多層光学フィルムに反射されて構造色を付与する可視光の波長の約1/4の厚みを有する、請求項1に記載のブラダ。
【請求項14】
多層光学フィルムをブラダのブラダ壁の外面上に配置するステップを含み、多層光学フィルムは、第1の面と第2の反対の面とを有し、多層光学フィルムの第1の面または多層光学フィルムの第2の面は、ブラダ壁の外面に配置され、多層光学フィルムがブラダ壁に構造色を付与し、
多層光学フィルムは、多層フィルタまたは多層反射材を含み、構造色が、2つ以上の色相を有する多色相であって、色相が観察角度または照明角度の変化によって隣接する色相を飛ばして変化し、可視スペクトルの1つ以上の色相(例えば、赤、橙、黄など)は、観察または照明の角度が変化しても、構造色において観察されない、ブラダの製造方法。
【請求項15】
多層光学フィルムを配置するステップに先立って、プライマー層を外面上に配置するステップをさらに含み、プライマー層を配置するステップは、堆積プロセスを使用して金属酸化物を配置するステップを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
多層光学フィルムが、
第1の金属酸化物を組成上含む第1の層と、
第1の金属酸化物とは異なる第2の金属酸化物を組成上含む第2の層と、
を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
ブラダが、1つまたは複数のブラダ壁の少なくとも1つの外面から延在する複数のトポグラフィ構造をさらに含み、その結果、多層光学フィルムが複数のトポグラフィ構造を被覆する、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
各観察の可能な角度で観察される各色が、赤黄青(RYB)カラーホイール上の原色、第二色および第三色からなる群から選択される単一色相に割り当てられる場合、割り当てられた色相のすべてが、単一色相群に入り、ここで、単一色相群は、a)緑-黄、黄および黄-橙、b)黄、黄-橙および橙、c)黄-橙、橙および橙-赤、d)橙-赤および赤-紫、e)赤、赤-紫および紫、f)赤-紫、紫および紫-青、g)紫、紫-青および青、h)紫-青、青および青-緑、i)青、青-緑および緑、j)青-緑、緑および緑-黄である、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
ブラダに付与する構造色が、金属的な外観を有する、請求項14に記載の方法。
【外国語明細書】