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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022141641
(43)【公開日】2022-09-29
(54)【発明の名称】血管コロニー形成細胞
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/0735 20100101AFI20220921BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20220921BHJP
【FI】
C12N5/0735 ZNA
C12N15/12
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022097159
(22)【出願日】2022-06-16
(62)【分割の表示】P 2019087461の分割
【原出願日】2007-04-13
(31)【優先権主張番号】60/792,224
(32)【優先日】2006-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】60/801,993
(32)【優先日】2006-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】60/846,163
(32)【優先日】2006-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】60/852,142
(32)【優先日】2006-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】60/860,676
(32)【優先日】2006-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】60/918,832
(32)【優先日】2007-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】509236520
【氏名又は名称】アステラス インスティテュート フォー リジェネレイティブ メディシン
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ランツァ
(72)【発明者】
【氏名】シ - チアン ルー
(57)【要約】
【課題】ヒト血管幹細胞または血管コロニー形成細胞を試験管内で生成して増殖させる方法を提供する。
【解決手段】本発明は、治療用途に使用するヒト血管幹細胞または血管コロニー形成系統細胞(すなわち、造血細胞及び内皮細胞)を生成する方法を提供する。本発明の方法は、商業的規模で使用できる多数のヒト血管幹細胞または血管コロニー形成細胞のみならず、造血細胞及び内皮細胞、そしてこれより分化された細胞を生成できるという点でも有用である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載された発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にヒト血管コロニー形成細胞を生成して増殖させる方法に係り、さらに具体的に、本発明は、胚芽幹細胞の胚様体(embroid body)への分化を誘導するのに十分な量である1つ以上の成長因子の存在下に無血清培地でヒト胚芽由来の幹細胞を培養する第1段階、及び胚様体を含む培地でヒト血管コロニー形成細胞を増殖させるのに十分な量である1つ以上の成長因子の存在下に無血清培地で胚様体を培養する第2段階の2段階工程を利用して、試験管内でヒト血管コロニー形成細胞を生成して増殖させる方法に関する。また、本発明は、ヒト血管コロニー形成細胞製剤に関する。さらに、本発明は、造血系統または内皮系統でヒト血管コロニー形成単位を分化させる方法だけではなく、血管コロニー形成細胞から部分または完全分化された細胞型を製造する方法に関する。血管コロニー形成細胞及びこれより分化された細胞は、試験管内及び生体内で用途が多様である。増殖されたヒト血管コロニー形成細胞を試験管内で多量に生成する能力は、なによりも各種治療用途で有用な多数のヒト血管コロニー形成誘導体細胞型、例えば、ヒト造血母細胞または内皮細胞、分化された造血細胞、例えば、赤血球及び血小板の誘導可能性を提供する。また、本発明により誘導された増殖された数のヒト血管コロニー形成細胞は、造血細胞及び内皮細胞疾患治療において新規な治療戦略法で、または血液銀行で利用しうる。
【背景技術】
【0002】
造血母細胞(HSC)は、自家再生でき、あらゆる血液細胞系統に発生しうる。骨髄に存在するこれら細胞は、成体造血系の基本となる。これら細胞の移植は、現在臨床で適用される最も一般的な細胞系療法である。
【0003】
HSC移植は、急性または慢性白血病、再生不良性貧血及び各種兔疫不全症候群のみならず、各種悪性非-血液腫よう及び自家免疫疾患患者の治療に利用される。悪性血液腫よう患者の場合、HSCを移植すれば、高容量の化学療法及び/または放射線療法後に発生しうる治療による形成不全症から患者を救いうる。
【0004】
HSC移植の臨床的有用性は、広範囲であるが、体性HSC移植が必要な患者のうち、2/3は、一致型供与者がないために、3種の主要HSCの供給源(ヒト骨髄、可動化末梢血及び臍帯血)は制限されている。例えば、任意の特定患者の場合に、兄弟姉妹のヒト白血球抗原(HLA)が同一に一致する可能性は25%だけである。
【0005】
HLAは、免疫系が細胞を自家(身体に属する)または非自家(外来または身体外から由来)として確認することを補助する細胞表面上の蛋白質である。このHLA蛋白質は、主組織的合成複合体、すなわち、MHCとして知られたヒト6番染色体上に位置した領域を形成する遺伝子クラスターがコーディングするに当たって、移植片拒否反応においてMHC遺伝子座がコーディングする蛋白質が重要な役割をすると知られている。したがって、HLA蛋白質をMHC蛋白質とも称する。移植物のMHC分子が受容者のMHC分子と一致(符合)すれば、臨床的移植の成功率を留意的に向上させうるが、HLAが同じ兄弟姉妹の間で移植する場合であっても、拒否反応を予防することができない。そのような拒否反応は、副組織的合成抗原間の差によって触発されうる。これら多型抗原は、一般的に移植組織細胞上のMHC分子に結合された“非自家”ペプチドであり、免疫抑制薬物を使用しなければ、たといMHC抗原が一致するとしても、たびたび副組織的合成抗原間の差によって移植物受容者の免疫系が、結局移植物を拒否することとなる。
【0006】
I型及びII型HLA各々には、3種類がある。I型及びII型HLAが一致する人(普通は、兄弟姉妹)を関連供与者という。受容者と供与者との間にI型HLA-A、HLA-B、HLA-Cと、II型HLA-DRB1及びHLA-DQB1の一致は生存率の増加と関連される(森ら、2002 Blood(99):4200-6)。一致する関連供与者のいない患者の場合には、供与者銀行を通じて調べてHLA類型が一致する人を求める。しかし、HSC移植物のような細胞または組織移植物が必要な患者の数は、移植に適した利用可能な細胞及び組織供給量よりはるかに多い。このような状況下で、受容者のHMC蛋白質と移植物のMHC蛋白質とが良好に一致することが、不可能であるとしても驚くべきことではない。したがって、多くの移植物受容者は、MHC一致型移植物が得られるまで待っか、またはMHC一致型でない移植物を受け入れた後、高容量の免疫抑制薬物を耐えて拒否反応危険を甘受しなければならない。したがって、HSCを生成及び操作能及び/または受容者の移植物に対する耐性誘導能は、ヒト疾病の治療及び管理において相当有利であろう。
【0007】
鳥類胚芽研究と、以後のカエル及びほ乳動物での研究に基づき、血液及び内皮の発生プログラムが密接に関連されているということが立証された。例えば、内皮細胞及び造血細胞は、卵黄嚢の血島で同時に非常に近接に現れる。卵黄嚢の血島は、卵黄嚢をコロニー化した中はい葉細胞の凝集体から誘導される。これら凝集体の中心は、胚芽造血細胞で発生する一方、周辺群は内部血液細胞を取り囲む血管を形成する内皮細胞に分化する。これら観察結果は、内皮細胞と造血細胞との先祖が共通するという考えを裏付ける。
【0008】
また、ミノカサゴ及びマウス胚芽において内皮系統及び造血系統は、いずれも特定遺伝子、例えば、Flk1、Flt1、Tie1、Tie2、CD34、Sc1、及びRunx1の発現を共有する(Finaら,1990 Blood(75):2417-2426;Millauerら,1993 Cell(72):835-846;Yamaguchiら,1993 Development(118):489-498;Anagnostouら,1994 PNAS USA(91):3974-3978;Kallianpurら,1994 Blood(83):1200-12081;Youngら,1995 Blood(85):96-105,Asaharaら,1997 Science(275):964-967;Kabrunら,1997 Development(124):2039-2048)。同様に、特定の遺伝子突然変異は、内皮細胞及び造血細胞発生にいずれも影響を及ぼす(Shalabyら,1995 Mature(376):62-66;Robbら,1995 PNAS USA(92):7075-7079;Shivdasaniら,1995 Nature(373):432-434;Stainierら,1995 Development(121):3141-3150;Bollerotら,2005 APMIS(113):790-803)。また、血管内皮成長因子(VEGF)に対する受容体であるFlk1またはFlt1が欠失されればマウス胚芽で造血及び内皮発生が中断される。
【0009】
マウス胚芽幹細胞からマウス血管幹細胞の試験管内生成が文献に報告されたことがある(Choiら,1998 Development125:727-732)。また、造血細胞及び内皮細胞の両方に発生しうるヒト前駆細胞をヒトES細胞から誘導したが(Wangら、2004 Immunity(21):31-41及びWangら、JExpMed(201):1603-1614)、せいぜいして多くの細胞から少量のみ誘導される。また、血管幹細胞前駆細胞の試験管内増殖のための方法、または条件はない。
【0010】
したがって、多数のヒト血管幹細胞と血管幹細胞誘導体細胞型、すなわち、造血細胞及び内皮細胞を生成して増殖させる方法と、そのような量の血管幹細胞または誘導体細胞型を含むあらゆる溶液/混合物に対する必要性は、依然として存在する。このような方法は、移植のための細胞の利用可能性を増加させ、免疫学的耐性の誘導のような各種の他の治療用途で有用である。
【0011】
また、輸血用として利用可能な血液に対する必要性も重要である。赤十字社と他の血液供給会社は、血液がほぼ常に不足するといっている。これは、特に特有の血液型患者、Rh+患者、または大量死傷者を招く事故または災難後に実際にそうである。また、戦争時に群隊では、交戦と関連した外傷の治療に使用するために、利用可能な緊急血液が必要である。本発明は、血液銀行及び輸血に使用するための分化された造血細胞を提供する。本発明の細胞及び方法は、伝統的に献血に依存していた方法を乗越え、安全で信頼できるほどの進歩をなし得、利用可能な血液の決定的な不足を防止するのに助けになろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、ヒト血管幹細胞または血管コロニー形成細胞を試験管内で生成して増殖させる方法を提供することによって、前記開示された問題点を解消する。本願に開示された新規な方法によりヒト血管幹細胞または血管コロニー形成細胞の増殖能により各種治療用途に使用する細胞を生産しうる。また、本発明は、治療用途に使用するヒト血管幹細胞または血管コロニー形成系統細胞(すなわち、造血細胞及び内皮細胞)を生成する方法を提供する。本発明の方法は、商業的規模で使用できる多数のヒト血管幹細胞または血管コロニー形成細胞のみならず、造血細胞及び内皮細胞、そしてこれより分化された細胞を生成できるという点でも有用である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、ヒト血管コロニー形成細胞を試験管内で生成して増殖させる方法であって、(a)ヒト胚芽由来細胞の胚様体への分化を誘導するのに十分な量である1つ以上の成長因子の存在下に無血清培地でヒト胚芽由来細胞を含む細胞培養物を培養する段階と、(b)胚様体を含む前記培養物に1つ以上の成長因子を添加して無血清培地で前記培養物を培養し続ける段階であって、前記成長因子は、前記胚様体培養物中でヒト血管コロニー形成細胞を増殖させるのに十分な量に存在する段階を含み、前記幹細胞、胚様体及び血管コロニー形成細胞は、(a)及び(b)段階を通じて無血清培地で培養される方法を提供する。
【0014】
また、本発明は、ヒト血管コロニー形成細胞を試験管内で生成して増殖させる方法であって、(a)ヒト胚芽由来細胞胚様体への分化を誘導するのに十分な量である1つ以上の成長因子の存在下に無血清培地でヒト胚芽由来細胞を含む細胞培養物を培養する段階と、(b)胚様体を含む前記培養物に1つ以上の成長因子を添加して、無血清培地で前記培養物を培養し続ける段階であって、前記成長因子は、前記胚様体培養物中でヒト血管コロニー形成細胞を増殖させるのに十分な量に存在する段階と、(c)前記胚様体を単一細胞に解体させる段階と、(d)前記単一細胞を含む前記培養物に1つ以上の成長因子を添加して無血清培地で前記培養物を培養し続ける段階であって、前記成長因子は、前記単一細胞を含む培養物中でヒト血管コロニー形成細胞を増殖させるのに十分な量に存在する段階を含み、前記幹細胞、胚様体及び血管コロニー形成細胞は、前記(a)ないし(d)段階を通じて無血清培地で培養される方法を提供する。
【0015】
本発明の特定の実施形態で、胚芽由来細胞は胚芽幹細胞である。
【0016】
本発明のヒト血管コロニー形成細胞を生成して増殖させる方法の特定の実施形態で、成長因子は、ホメオボックス蛋白質またはその機能性変移体または活性断片を含む蛋白質である。特定の実施形態で、ホメオボックス蛋白質は、HOXB4またはその機能性変移体または活性断片を含む蛋白質である。HOXB4がマウス及びヒトHOXB4をはじめとするほ乳動物HOXB4であることも考慮される。HOXB4蛋白質は、全長HOXB4蛋白質である。追加実施形態で、HOXB4は、配列番号1または配列番号4のアミノ酸配列を含む。
【0017】
本発明のヒト血管コロニー形成細胞を生成して増殖させる方法の特定の実施形態で、HOXB4を含む成長因子は、HOXB4と蛋白質伝達ドメイン(PTD)とを含む融合蛋白質である。追加実施形態で、PTD及びHOXB4は、リンカーを通じて接合される。追加実施形態で、PTDはTAT蛋白質、その機能性変移体または活性断片(TATポリペプチド含む)である。特定の実施形態で、TAT蛋白質は、配列番号14のアミノ酸配列を含む。追加実施形態で、PTDは配列番号14のアミノ酸配列を有するTATポリペプチドの1つ以上のコピーを含む。特定の実施形態で、PTDは配列番号15である。
【0018】
本発明のヒト血管コロニー形成細胞を生成して増殖させる方法の特定の実施形態で、成長因子は、血管内皮成長因子(VEGF)、骨形態形成蛋白質(BMP)、幹細胞因子(SCF)、Flt-3L(FL)、トロンボポエチン(TPO)及びエリスロポエチン(EPO)からなる群から選択される。追加実施形態で、血管内皮成長因子(VEGF)または骨形態形成蛋白質(BMP)、または両方ともを、hES細胞を含む細胞培養物の培養0~48時間内に培養段階(a)に添加する。さらなる追加実施形態で、幹細胞因子(SCF)、Flt-3L(FL)またはトロンボポエチン(TOP)、またはその任意の組合わせを培養段階(a)の開始後、48~72時間内にhES細胞を含む細胞培養物に添加する。
【0019】
本発明のヒト血管コロニー形成細胞を生成して増殖させる方法の特定の実施形態で、HOXB4蛋白質またはその機能性変移体または活性断片(またはドメイン)を含む成長因子を前記段階に添加するが、この際、前記蛋白質は、複数回、例えば、1日1回または隔日1回添加される。
【0020】
本発明のヒト血管コロニー形成細胞を生成して増殖させる方法の特定の実施形態で、ホメオボックス蛋白質を含む成長因子を段階(a)開始後、48~72時間内に段階(b)に添加する。本発明の方法の特定の実施形態で、H0XB4蛋白質またはその機能性変移体または活性断片を段階(a)開始後、48~72時間内に段階(b)に添加する。
【0021】
特定の実施形態で、本発明のヒト血管コロニー形成細胞を生成して増殖する方法は、段階(b)にエリスロポエチン(EPO)を添加する段階をさらに含む。特定の実施形態で、0016段落に記載した本発明の方法は段階(b)及び(d)にエリスロポエチン(EPO)を添加する段階をさらに含む。
【0022】
特定の実施形態で、本発明のヒト血管コロニー形成細胞を生成して増殖する方法は、ヒト血管コロニー形成細胞を精製し/するか、分離する段階(s)をさらに含む。血管コロニー形成細胞は、抗-CD71抗体による免疫親和性カラムクロマトグラフィーを利用することによって精製しうる。血管コロニー形成細胞は、大きさ及び/または形態により分離されうる。
【0023】
本発明のヒト血管コロニー形成細胞を生成して増殖する方法の特定の実施形態で、ヒト胚芽由来幹細胞を含む細胞培養物はヒト胚芽幹細胞のライブラリーから由来し前記ヒト胚芽幹細胞のライブラリーは、各々ヒト集団に存在した1つ以上のMHC対立遺伝子に対して半接合体または同種接合体である幹細胞を含み、前記幹細胞のライブラリーのうち、各メンバーは、前記ライブラリーのうち、残りのメンバーに関する他のセットのMHC対立遺伝子に対して半接合体または同種接合体である。追加実施形態で、ヒト胚芽幹細胞のライブラリーは、ヒト集団に存在したあらゆるMHC対立遺伝子に対して半接合体または同種接合体である幹細胞を含む。これら方法は、各々ヒト集団に存在した1つ以上のMHC対立遺伝子に対して半接合体または同種接合体である、ヒト血管コロニー形成細胞のライブラリーを生成し、前記幹細胞のライブラリーの各メンバーは、前記ライブラリーのうち、残りのメンバーに関する他のセットのMHC対立遺伝子に対して半接合体または同種接合体である。追加実施形態で、これら方法は、ヒト集団に存在したあらゆるMHC対立遺伝子に対して半接合体(hemizygous)または同種接合体(homozygous)であるヒト血管コロニー形成細胞のライブラリーを生成する。したがって、本発明はまた、このような方法により製造されたヒト血管コロニー形成細胞のライブラリーを提供する。このライブラリーは、次のように使われうる。
【0024】
本発明は、治療が必要な患者にヒト造血母細胞(human hematopoietic stem cell)またはヒト内皮細胞を投与することを含んで、前記患者を治療する方法であって、(a)前記患者を選択する段階と、(b)前記患者の細胞表面上に発現されたMHC蛋白質を確認する段階と、(c)以前0024段落に記載したヒト血管コロニー形成細胞のライブラリーを提供する段階と、(d)前記患者の細胞上に前記患者のMHC蛋白質と一致(符合)するライブラリーからヒト血管コロニー形成細胞を選択する段階と、(e)段階(d)で確認された前記ヒト血管コロニー形成細胞を必要によってヒト造血母細胞、内皮細胞または両方ともに分化する段階と、(f)段階(e)から前記造血母細胞、内皮細胞または両方ともを前記患者に投与する段階を含む方法を提供する。地域センター、例えば、病院または医療センター、または任意の他の適した施設でこの方法を行える。
【0025】
特定の実施形態で、本発明のヒト血管コロニー形成細胞を生成して増殖する方法は、前記ヒト血管コロニー形成細胞のヒト造血母細胞に分化を誘導するのに適した条件下に前記ヒト血管コロニー形成細胞を成長させる段階をさらに含む。
【0026】
特定の実施形態で、本発明のヒト血管コロニー形成細胞を生成して増殖する方法は、前記ヒト血管コロニー形成細胞のヒト内皮細胞に分化を誘導するのに適した条件下に前記ヒト血管コロニー形成細胞を成長させる段階をさらに含む。追加実施形態で、前記ヒト血管コロニー形成細胞のヒト内皮細胞に分化を誘導するのに適した条件は、繊維結合素被覆培養プレート上で前記ヒト血管コロニー形成細胞を成長させることを含む。
【0027】
本発明の特定の実施形態で、ヒト血管コロニー形成細胞を生成して増殖する方法で10,000個以上のヒト血管コロニー形成細胞、50,000個以上のヒト血管コロニー形成細胞、100,000個以上のヒト血管コロニー形成細胞、500,000個以上のヒト血管コロニー形成細胞、1×106個以上のヒト血管コロニー形成細胞、2×106個以上のヒト血管コロニー形成細胞、3×106個以上のヒト血管コロニー形成細胞または4×106個以上のヒト血管コロニー形成細胞を生成する。これら方法により10,000ないし4百万個のヒト血管コロニー形成細胞を含むことができる細胞液を生成する。
【0028】
したがって、本発明はまた、10,000個以上のヒト血管コロニー形成細胞、50,000個以上のヒト血管コロニー形成細胞、100,000個以上のヒト血管コロニー形成細胞、500,000個以上のヒト血管コロニー形成細胞、1×106個以上のヒト血管コロニー形成細胞、2×106個以上のヒト血管コロニー形成細胞、3×106個以上のヒト血管コロニー形成細胞または4×106個以上のヒト血管コロニー形成細胞を含むヒト血管コロニー形成細胞(無血清培地で成長されうる)の溶液を提供する。これら溶液を被験体に注射可能である。これら溶液は、無血清でありうる。これら溶液のうち、前記ヒト血管コロニー形成細胞は、少なくとも造血細胞(hematopoietic cell)及び内皮細胞(endothelial cell)に分化できるが、他の細胞型に分化する発生能がより大きい。本発明はまた、血管コロニー形成細胞、造血細胞または内皮細胞の投与により治療可能な疾患を治療する医薬の製造のためのこれら溶液の用途を提供する。
【0029】
本発明はまた、以前段落に記載した前記細胞液を分離する段階及び前記細胞を患者に注射するのに適した溶液に入れる段階を含む患者に注射するのに適したヒト血管コロニー形成細胞溶液を製造する方法を提供する。本発明はまた、以前段落に記載した前記細胞液を分離する段階及び前記細胞を冷凍に適した溶液に入れる段階を含む冷凍に適したヒト血管コロニー形成細胞溶液を製造する方法を提供する。
【0030】
本発明はまた、ヒト造血母細胞の投与が必要な患者にヒト造血母細胞を投与する方法であって、(a)ヒト造血母細胞の投与が必要な患者を選択する段階と、(b)本発明の方法により生成されて増殖されたヒト血管コロニー形成細胞を供給する段階と、(c)前記ヒト血管コロニー形成細胞をヒト造血母細胞に分化する段階と、(d)前記ヒト造血母細胞の一部または全部を前記患者に投与する段階を含む方法を提供する。
【0031】
本発明はまた、ヒト造血母細胞の投与が必要な患者にヒト造血母細胞を投与する方法であって、(a)ヒト造血母細胞の投与が必要な患者を選択する段階と、(b)ヒト血管コロニー形成細胞を細胞数10,000個以上の量で供給する段階と、(c)前記ヒト血管コロニー形成細胞をヒト造血母細胞に分化する段階と、(d)前記ヒト造血母細胞の一部または全部を前記患者に投与する段階を含む方法を提供する。
【0032】
本発明はまた、ヒト内皮細胞の投与が必要な患者にヒト内皮細胞を投与する方法であって、(a)ヒト内皮細胞の投与が必要な患者を選択する段階と、(b)本発明の方法により生成されて増殖されたヒト血管コロニー形成細胞を供給する段階と、(c)前記ヒト血管コロニー形成細胞をヒト内皮細胞に分化する段階と、(d)前記ヒト内皮細胞の一部または全部を前記患者に投与する段階を含む方法を提供する。
【0033】
本発明はまた、ヒト内皮細胞の投与が必要な患者にヒト内皮細胞を投与する方法であって、(a)ヒト内皮細胞の投与が必要な患者を選択する段階と、(b)ヒト血管コロニー形成細胞を細胞数10,000個以上の量で供給する段階と、(c)前記ヒト血管コロニー形成細胞をヒト内皮細胞に分化する段階と、(d)前記ヒト内皮細胞の一部または全部を前記患者に投与する段階を含む方法を提供する。
【0034】
特定の実施形態で、前記ヒト血管コロニー形成細胞は10,000ないし4百万個の細胞数の量で存在する。
【0035】
本発明はまた、内皮細胞疾患の治療が必要な患者の内皮細胞疾患を治療する方法であって、(a)内皮細胞疾患の治療が必要な患者を選択する段階と、(b)前記に記載した方法により生成されて増殖されたヒト血管コロニー形成細胞を供給する段階と、(c)前記ヒト血管コロニー形成細胞をヒト内皮細胞に分化する段階と、(d)前記ヒト内皮細胞の一部または全部を前記患者に投与する段階を含む方法を提供する。
【0036】
本発明はまた、内皮細胞疾患の治療が必要な患者の内皮細胞疾患を治療する方法であって、(a)内皮細胞疾患の治療が必要な患者を選択する段階と、(b)ヒト血管コロニー形成細胞を細胞数10,000個以上の量で供給する段階と、(c)前記ヒト血管コロニー形成細胞をヒト内皮細胞に分化する段階と、(d)前記ヒト内皮細胞の一部または全部を前記患者に投与する段階を含む方法を提供する。
【0037】
特定の実施形態で、前記ヒト血管コロニー形成細胞は、10,000ないし4百万個の細胞数の量で存在する。
【0038】
これら方法により治療される内皮細胞疾患は、心筋梗塞症(myocardium infacrtion)、発作(stroke)、アテローム性動脈硬化症(atherosclerosis)及び虚血(ischemia)を含む。虚血は、脳、四肢、心臓、肺、皮膚及び目から発生しうる。
【0039】
本発明は、試験管内でヒト造血母細胞を製造する方法であって、
(a)本発明の方法により生成されて増殖されたヒト血管コロニー形成細胞を供給する段階と、(b)前記ヒト血管コロニー形成細胞のヒト造血母細胞に分化を誘導するのに適した条件下に前記ヒト血管コロニー形成細胞を成長させる段階を含む方法を提供する。
【0040】
本発明は、試験管内でヒト内皮細胞を製造する方法であって、(a)本発明の方法により生成されて増殖されたヒト血管コロニー形成細胞を供給する段階と、(b)前記ヒト血管コロニー形成細胞のヒト内皮細胞に分化を誘導するのに適した条件下に前記ヒト血管コロニー形成細胞を成長させる段階を含む方法を提供する。
【0041】
本発明はまた、前記血管幹細胞(hemangioblast cell)の増殖を支持するのに十分な量でホメオボックス蛋白質(例えば、HOXB4)を含む蛋白質または該機能性等価物または活性断片の存在下にほ乳動物の血管コロニー形成細胞を無血清培地中で成長させることを含む血管コロニー形成細胞を増殖する方法を提供する。増殖される前記血管コロニー形成細胞は、臍帯血液(cord blood)、末梢血液、または骨髄から濃縮されるか、精製されるか、または分離されうる。前記血管コロニー形成細胞は、ヒト血管コロニー形成細胞でありうる。この方法により10,000ないし4×106個、またはそれ以上の血管コロニー形成細胞を含む溶液を生成しうる。この方法で使われたHOXB4蛋白質は、本発明のヒト血管コロニー形成細胞を生成して増殖する方法に使用するのに適した任意蛋白質でありうる。
【0042】
本発明はまた、本発明の方法によって生成されて増殖されるか、増殖されたヒト血管コロニー形成細胞を使用する免疫耐性の誘導方法を提供する。耐性化ヒト血管コロニー形成細胞は、組織的合成マーカーを同種移植片と共有するように選択され、患者により必要な細胞機能を再生する同種移植片(allograft)または細胞治療前に、またはそれと同時に人間受容者に投与しうる。次いで生成された免疫耐性は同種移植片または細胞治療の急性または慢性拒否危険を減らす。
【0043】
本願で開示された方法により生成された多数の血管コロニー形成細胞は、毒性前処理が除外されうる耐性プロトコルを可能にする。供与者ヒト血管コロニー形成細胞は、移植片(graft)の移植前に、または供与者の血管コロニー形成細胞に対して符合する機関、組織、または細胞の移植前に人間受容者に投与しうる。前記ヒト血管コロニー形成細胞及び移植片は、同じ供与者から得られる。前記移植片は、分化された供与者ヒト血管コロニー形成細胞から由来しうる。前記ヒト血管コロニー形成細胞及び移植片は、別途に供与者と符合する他の供与者から得られる。前記ヒト血管コロニー形成細胞は、人間受容者に投与されて耐性が必要な受容者に耐性を誘導しうる。
【0044】
特定の実施形態で、本発明は、供与者同種移植片に対して人間受容者の耐性を誘導する方法に係り、この方法は、(a)前記受容者にT細胞共刺激(co-stimulation)を抑制する薬剤を投与する段階、(b)前記受容者に本願で記載した方法によって、生成されて増殖されるか、増殖されるヒト血管コロニー形成細胞を導入する段階、及び(c)前記同種移植片を前記受容者に移植する段階を含む。前記ヒト血管コロニー形成細胞(供与者細胞)は、受容者が同種移植片を容認するようにする。特定の実施形態で、T細胞共刺激を抑制する薬剤は、CD40配位子-CD40共刺激相互作用を抑制するか、遮断する薬剤である。この方法は、CD28-B7相互作用を抑制する薬剤を投与することをさらに含むことができる。この方法は、胸腺照射及び/またはT細胞欠乏または不活性化を含めるか、含めない。前述した方法はまた、全身照射により生成された造血空間(hematopoietic space)の不在下に混合されたキメラ現象が現れうる。
【0045】
本発明はまた、供与者同種移植片に対して人間受容者の耐性を増進する方法を提供し、この方法は、(a)前記受容者のうち、胸腺空間(thymic space)を生成する段階と、(b)前記受容者の供与者反応性T細胞を減らすか、不活性化する段階と、(c)前記供与者の供与者ヒト血管コロニー形成細胞または前記供与者に符合する供与者ヒト血管コロニー形成細胞を前記受容者に導入する段階と、(d)前記同種移植片を前記受容者に移植する段階と、を含み、前記供与者血管コロニー形成細胞は同種移植片に対して耐性を誘導する。特定の実施形態で、この方法は、造血空間生成照射を含まない。この方法は、前記受容者に胸腺照射(分別可能)、ステロイド、コルチコステロイド、ブレキナー(brequinar)、または免疫抑制剤または薬物のうち、選択された1つ以上の治療法で治療することによって、胸腺空間を生成することを含むことができる。
【0046】
本発明はまた、輸血に使用するのに適した細胞を生成する方法を提供する。例えば、本発明は、輸血に使用しうる赤血球を生成する方法を提供する。それ自体として、本発明は、献血を利用する血液の慢性的欠乏を緩和するのに役に立つ溶液を提供する。
【0047】
特定の実施形態で、本発明は、ヒト血管コロニー形成細胞から試験管内で分化された造血細胞を生成する方法を提供し、前記方法は、(a)ヒト血管コロニー形成細胞を提供する段階と、(b)前記血管コロニー形成細胞を分化された造血細胞に分化する段階と、を含む。
【0048】
特定の実施形態で、本発明は、ヒト血管コロニー形成細胞から試験管内で分化された造血細胞を利用する輸血方法を提供し、前記方法は、(a)ヒト血管コロニー形成細胞を提供する段階と、(b)前記血管コロニー形成細胞を分化された造血細胞に分化する段階と、(c)前記分化された造血細胞に輸血する段階と、を含む。
【0049】
特定の実施形態で、前記血管コロニー形成細胞は冷凍培養物から回収される。
【0050】
特定の実施形態で、本発明は、ヒト血管コロニー形成細胞から試験管内で分化された造血細胞を利用する輸血方法を提供し、前記方法は、(a)ヒト胚芽由来細胞の胚様体に分化を誘導するのに十分な量で1つ以上の成長因子の存在下に前記ヒト胚芽由来細胞を含む細胞培養物を培養する段階と、(b)1つ以上の成長因子を胚様体を含む前記培養物に添加する段階と、(c)前記血管コロニー形成細胞を分化された造血細胞に分化する段階と、(d)前記分化された造血細胞を輸血する段階と、を含み、ここで、前記成長因子は、前記胚様体培養物でヒト血管コロニー形成細胞を増殖するのに十分な量で存在する。
【0051】
特定の実施形態で、前記胚芽由来細胞、胚様体及び血管コロニー形成細胞は、前記方法のうち、段階(a)の間、無血清培地で成長する。
【0052】
特定の実施形態で、胚芽由来細胞は、胚芽幹細胞(embryonic stem cell)である。
【0053】
特定の実施形態で、本発明は、ヒト血管コロニー形成細胞から試験管内で分化された造血細胞を利用する輸血方法を提供し、前記方法は、(a)ヒト胚芽由来細胞の胚様体に分化を誘導するのに十分な量で1つ以上の成長因子の存在下に前記ヒト胚芽由来細胞を含む細胞培養物を培養する段階と、(b)1つ以上の成長因子を胚様体を含む前記培養物に添加する段階と、(c)前記血管コロニー形成細胞を分化された造血細胞に分化する段階と、(d)前記分化された造血細胞を輸血する段階と、を含み、ここで、前記成長因子は、前記胚様体培養物でヒト血管コロニー形成細胞を増殖するのに十分な量で存在する。
【0054】
特定の実施形態で、前記幹細胞、胚様体及び血管コロニー形成細胞は、前記方法のうち、段階(a)及び(b)の間に無血清培地で成長する。
【0055】
本発明の特定の実施形態で、前記胚芽由来細胞は胚芽幹細胞である。
【0056】
特定の実施形態で、前記血管コロニー形成細胞は冷凍培養物から回収する。
【0057】
特定の実施形態で、本発明は、ヒト血管コロニー形成細胞から試験管内で分化された造血細胞を利用する輸血方法を提供し、前記方法は、(a)ヒト胚芽由来細胞の胚様体に分化を誘導するのに十分な量で1つ以上の成長因子の存在下に前記ヒト胚芽由来細胞を含む細胞培養物を培養する段階と、(b)1つ以上の成長因子を胚様体を含む前記培養物に添加する段階(ここで、前記成長因子は、前記胚様体培養物でヒト血管コロニー形成細胞を増殖するのに十分な量で存在する)と、(c)前記胚様体を単一細胞に解体する段階と、(d)1つ以上の成長因子を前記単一細胞を含む前記培養物に添加する段階(ここで、前記成長因子は、前記単一細胞を含む前記培養物でヒト血管コロニー形成細胞を増殖するのに十分な量で存在する)と、(e)前記血管コロニー形成細胞を分化された造血細胞に分化する段階と、(f)前記分化された造血細胞を輸血する段階と、を含む。
【0058】
特定の実施形態で、前記幹細胞、胚様体及び血管コロニー形成細胞は、前記方法の段階(a)~(d)全体にわたって無血清培地で成長される。
【0059】
本発明の特定の実施形態で、胚芽由来細胞は胚芽幹細胞である。
【0060】
特定の実施形態で、成長因子は、ホメオボックス蛋白質、またはその機能性変形体または活性断片を含む蛋白質である。特定の実施形態で、ホメオボックス蛋白質は、HOXB4蛋白質、またはその機能性変形体または活性変形体を含む。
【0061】
特定の実施形態で、分化造血細胞は単一細胞類型として生成される。特定の実施形態で、単一細胞類型は、赤血球、血小板または食細胞(phagocyte)から選択される。特定の実施形態で、食細胞は顆粒球(granulocyte):好中球(neutrophil)、好塩球(basophil)、好酸球(eosinophil)、リンパ球(lymphocyte)または単核球(monocyte)から選択される。特定の実施形態で、赤血球は、ヘモグロビンFを発現する。特定の実施形態で、単一細胞類型は、血中から発見される分化細胞類型の比率を適切に均等にするために混合し、ここで血中から発見される分化細胞類型の比率は96%赤血球、1%血小板及び3%食細胞である。
【0062】
特定の実施形態で、複数分化造血細胞類型は同じ段階で生成される。特定の実施形態で、複数分化造血細胞類型は、赤血球、血小板または食細胞から選択される。特定の実施形態で、食細胞は、顆粒球、好中球、好塩球、好酸球、リンパ球または単核球から選択される。特定の実施形態で、赤血球は、ヘモグロビンFを発現する。特定の実施形態で、複数分化造血細胞類型は、血中から発見された分化造血細胞類型の比率と適切に均等な割合で生成され、ここで血中から発見される分化細胞類型の比率は96%赤血球、1%血小板及び3%食細胞である。
【0063】
特定の実施形態で、血しょうは輸血前に分化造血細胞に添加される。
【0064】
特定の実施形態で、血管コロニー形成細胞は、患者自身の血液型の分化造血細胞が生成されることを保障するために患者と一致される。特定の実施形態で、血管コロニー形成細胞は抗原因子A、B、Rhまたはこれらの任意組合わせに対して陰性である。特定の実施形態で、分化造血細胞は赤血球であり、ここで、赤血球を分化する段階はエリスロポエチン(EPO)を含む。
【0065】
本発明はまた、ヒト血管コロニー形成細胞を提供し、その細胞は分化されて少なくとも造血または内皮細胞類型を生成し、ここで、ヒト血管コロニー形成細胞は他のヒト血管コロニー形成細胞に緩く付着される。
【0066】
特定の実施形態で、本発明は、ヒト血管コロニー形成細胞を提供し、その細胞は分化されて少なくとも造血または内皮細胞類型を生成し、ここで、ヒト血管コロニー形成細胞は他のヒト血管コロニー形成細胞に緩く付着される。
【0067】
特定の実施形態で、本発明は、ヒト血管コロニー形成細胞を提供し、その細胞は分化されて少なくとも造血または内皮細胞類型を生成し、ここでヒト血管コロニー形成細胞は他のヒト血管コロニー形成細胞に緩く付着され、そしてヒト血管コロニー形成細胞はCD34蛋白質を発現しない。
【0068】
特定の実施形態で、本発明は、ヒト血管コロニー形成細胞を提供し、その細胞は分化されて少なくとも造血または内皮細胞類型を生成し、ここでヒト血管コロニー形成細胞は次の蛋白質:CD23、CD31、KDR及びCD133をいずれも発現しない。
【0069】
特定の実施形態で、本発明は、ヒト血管コロニー形成細胞を含む細胞培養物を提供し、その細胞は分化されて少なくとも造血または内皮細胞類型を生成し、ここでヒト血管コロニー形成細胞は互いに緩く付着される。
【0070】
特定の実施形態で、本発明は、ヒト血管コロニー形成細胞を含む細胞培養物を提供し、その細胞は分化されて少なくとも造血または内皮細胞類型を生成し、ここでヒト血管コロニー形成細胞は互いに緩く付着される。
【0071】
特定の実施形態で、本発明は、ヒト血管コロニー形成細胞の実質的に精製された集合体を含む細胞培養物を提供し、その細胞は分化されて少なくとも造血または内皮細胞類型を生成し、ここでヒト血管コロニー形成細胞は互いに付着され、そしてヒト血管コロニー形成細胞はCD34蛋白質を発現しない。
【0072】
特定の実施形態で、本発明は、胚芽由来細胞から分化されたヒト血管コロニー形成細胞を含む細胞培養物を提供し、ここでヒト血管コロニー形成細胞は互いに緩く付着される。
【0073】
特定の実施形態で、細胞培養物は1×106以上のヒト血管コロニー形成細胞を含む。
特定の実施形態で、細胞培養物は5×106以上のヒト血管コロニー形成細胞を含む。
【0074】
特定の実施形態で、胚芽由来細胞は、胚芽幹細胞株である。特定の実施形態で、胚芽由来細胞は、胚芽(embryo)、割球(blastomere)、胞胚(blastocyt)または内部細胞塊(innercell mass)から選択される。
【0075】
特定の実施形態で、本発明は、ヒト血管コロニー形成細胞を含む薬学製剤を提供し、その細胞は分化されて少なくとも造血または内皮細胞類型を生成し、ここでヒト血管コロニー形成細胞は互いに緩く付着される。
【0076】
特定の実施形態で、本発明は、ヒト血管コロニー形成細胞を含む薬学製剤を提供し、その細胞は分化されて少なくとも造血または内皮細胞類型を生成し、ここでヒト血管コロニー形成細胞は互いに緩く付着される。
【0077】
特定の実施形態で、本発明は、ヒト血管コロニー形成細胞を含む薬学製剤を提供し、その細胞は分化されて少なくとも造血または内皮細胞類型を生成し、ここでヒト血管コロニー形成細胞は次の蛋白質:CD34、CD31、KDR及びCD133をいずれも発現しない。
【0078】
特定の実施形態で、薬学製剤は1×106以上のヒト血管コロニー形成細胞を含む。特定の実施形態で、薬学製剤は5×106以上のヒト血管コロニー形成細胞を含む。
【0079】
特定の実施形態で、ヒト血管コロニー形成細胞を含む薬学製剤は胚芽由来細胞から分化される。特定の実施形態で、胚芽由来細胞は胚芽幹細胞である。特定の実施形態で、胚芽由来細胞は、胚芽、割球、胞胚または内部細胞塊から選択される。
【0080】
特定の実施形態で、本発明は、前述した文壇は、いずれもヒト血管コロニー形成細胞の冷凍保存された製剤を提供する。
【0081】
特定の実施形態で、本発明は、1×106以上のヒト血管コロニー形成細胞の冷凍保存された製剤を提供し、ここでヒト血管コロニー形成細胞は次の蛋白質:CD34、CD31、KDR及びCD133をいずれも発現しない。
【0082】
特定の実施形態で、冷凍保存された製剤は、5×106以上のヒト血管コロニー形成細胞を含む。
【0083】
特定の実施形態で、ヒト血管コロニー形成細胞を含む冷凍保存された製剤は、CD34蛋白質を発現しない。特定の実施形態で、ヒト血管コロニー形成細胞を含む冷凍保存された製剤はCD34、CD31、CD133及びKDR蛋白質を発現しない。特定の実施形態で、ヒト血管コロニー形成細胞を含む冷凍保存された製剤はLM02及びGATA2蛋白質を発現しない。
【0084】
特定の実施形態で、本発明は、前述したようなヒト血管コロニー形成細胞から分化された造血細胞を含む培養物を提供する。
【0085】
特定の実施形態で、本発明は、前述したようなヒト血管コロニー形成細胞から分化された内皮細胞を含む培養物を提供する。
【0086】
特定の実施形態で、本発明は、前述したようなヒト血管コロニー形成細胞から分化された平滑筋細胞を含む培養物を提供する。
【0087】
特定の実施形態で、本発明は、前述したようなヒト血管コロニー形成細胞から分化された心筋細胞(cardiomyocyte)を含む培養物を提供する。
【0088】
特定の実施形態で、本発明は、前述したようなヒト血管コロニー形成細胞を必要とする患者における病態を治療する薬剤の製造での前記ヒト血管コロニー形成細胞の用途を提供する。
【0089】
特定の実施形態で、本発明は、前述したような細胞培養物を必要とする患者における病態を治療する薬剤の製造での前記細胞培養物の用途を提供する。
【0090】
特定の実施形態で、本発明は、前述したような薬学製剤を必要とする患者における病態を治療する薬剤の製造での前記薬学製剤の用途を提供する。
【0091】
本発明は例えば、以下の項目を提供する:
(項目1) 試験管内でヒト血管コロニー形成細胞(human hemangio-colony forming cell)を生成して増殖させる方法であって、
(a)ヒト胚芽由来細胞の胚様体への分化を誘導するのに十分な量の少なくとも1種の成長因子の存在下に無血清培地中でヒト胚芽由来細胞を含む細胞培養物を培養する段階と、(b)胚様体を含む前記培養物に少なくとも1種の成長因子を添加して無血清培地中で前記培養物を培養し続ける段階であって、前記成長因子は、前記胚様体培養物中でヒト血管コロニー形成細胞を増殖させるのに十分な量に添加される段階と、を含み、
前記胚芽由来細胞、胚様体及び血管コロニー形成細胞は、この方法の段階(a)及び(b)の全般にわたって無血清培地中で培養される方法。
(項目2) 試験管内でヒト血管コロニー形成細胞を生成して増殖させる方法であって、(a)ヒト胚芽由来細胞の胚様体への分化を誘導するのに十分な量の少なくとも1種の成長因子の存在下に無血清培地中でヒト胚芽由来細胞を含む細胞培養物を培養する段階と、(b)胚様体を含む前記培養物に少なくとも1種の成長因子を添加して無血清培地中で前記培養物を培養し続ける段階であって、前記成長因子は、前記胚様体培養物中でヒト血管コロニー形成細胞を増殖させるのに十分な量に添加される段階と、
(c)前記胚様体を単一細胞に解体させる段階と、
(d)前記単一細胞を含む前記培養物に少なくとも1種の成長因子を添加して無血清培地中で前記培養物を培養し続ける段階であって、前記成長因子は、前記単一細胞を含む前記培養物中でヒト血管コロニー形成細胞を増殖させるのに十分な量に添加される段階と、を含み、
前記胚芽由来細胞、胚様体及び血管コロニー形成細胞は、この方法の段階(a)~(d)の全般にわたって無血清培地中で培養される方法。
(項目3) 前記胚芽由来細胞が胚芽幹細胞である項目1または2に記載の方法。
(項目4) 前記成長因子がホメオボックス蛋白質またはその機能性変移体または活性変移体を含む蛋白質である項目1または2に記載の方法。
(項目5) 前記ホメオボックス蛋白質がHOXB4蛋白質またはその機能性変移体または活性変移体を含む項目4に記載の方法。
(項目6) 前記成長因子が血管内皮成長因子(VEGF)、骨形態形成蛋白質(BMP)、幹細胞因子(SCF)、Flt-3L(FL)トロンボポエチン(TPO)及びエリスロポエチン(EPO)で構成された群から選択される項目1ないし5のうちいずれか1項に記載の方法。
(項目7) 前記血管内皮成長因子(VEGF)または骨形態形成蛋白質(BMP)または両者を細胞培養0~48時間以内に前記段階(a)に添加する項目6に記載の方法。
(項目8) 前記幹細胞因子(SCF)、Flt-3L(FL)またはトロンボポエチン(TPO)またはこれらの任意の組合わせを段階(a)開始時点から48~72時間以内に前記培養物に添加する項目6に記載の方法。
(項目9) 前記成長因子を段階(a)開始時点から48~72時間以内に段階(b)に添加する項目4または5に記載の方法。
(項目10) 前記成長因子を段階(a)開始時点から48~72時間以内に培養段階(b)に添加する項目5に記載の方法。
(項目11) 段階(b)にエリスロポエチン(EPO)を添加する段階をさらに含む項目1に記載の方法。
(項目12) 段階(b)及び(d)にエリスロポエチン(EPO)を添加する段階をさらに含む項目2に記載の方法。
(項目13) 前記培養物から前記ヒト血管コロニー形成細胞を精製する段階をさらに含む項目1ないし3のうちいずれか1項に記載の方法。
(項目14) 前記血管コロニー形成細胞を精製する段階は、抗-CD71抗体を使用した免疫親和性カラムクロマトグラフィーを利用する段階を含む項目13に記載の方法。
(項目15) 前記培養物から前記ヒト血管コロニー形成細胞を分離する段階をさらに含む項目1ないし3のうちいずれか1項に記載の方法。
(項目16) 前記血管コロニー形成細胞を分離する段階は、大きさ及び/または形態で前記血管コロニー形成細胞を分離する段階を含む項目15に記載の方法。
(項目17) 前記成長因子がH0XB4と蛋白質伝達ドメイン(PTD)とを含む融合蛋白質である項目4または5に記載の方法。
(項目18) 前記PTDと前記HOXB4とがリンカーにより接合される項目17に記載の方法。
(項目19) 前記蛋白質伝達ドメイン(PTD)がTAT蛋白質、その機能性変移体または活性断片である項目17に記載の方法。
(項目20) 前記HOXB4がほ乳動物HOXB4である項目5に記載の方法。
(項目21) 前記ほ乳動物HOXB4がマウスまたはヒトHOXB4である項目20に記載の方法。
(項目22) 前記ほ乳動物HOXB4がヒトHOXB4である項目21に記載の方法。(項目23) 前記HOXB4が全長蛋白質を含む項目5に記載の方法。
(項目24) 前記HOXB4が配列番号1または配列番号3のアミノ酸配列を含む項目22に記載の方法。
(項目25) 前記TAT蛋白質が配列番号14のアミノ酸配列を含む項目19に記載の方法。
(項目26) 前記PTDが配列番号14のアミノ酸配列を有する1つ以上のTATポリペプチドコピーを含む項目17に記載の方法。
(項目27) ヒト胚芽由来細胞を含む前記細胞培養物は、ヒト胚芽幹細胞のライブラリーから由来し、前記ヒト胚芽幹細胞のライブラリーは、各々ヒト集団に存在する少なくとも1つのMHC対立遺伝子に対して半接合性または同型接合性である幹細胞を含み、前記幹細胞ライブラリーの各構成員は、前記ライブラリーの残りの構成員に対する異なるセットのMHC対立遺伝子に対して半接合性または同型接合性であり、この方法は、各々ヒト集団に存在する少なくとも1つのMHC対立遺伝子に対して半接合性または同型接合性である血管コロニー形成細胞のライブラリーを生成し、前記幹細胞ライブラリーの各構成員は、前記ライブラリーの残りの構成員に対する異なるセットのMHC対立遺伝子に対して半接合性または同型接合性である項目1ないし3のうちいずれか1項に記載の方法。
(項目28) 前記ヒト胚芽幹細胞のライブラリーは、ヒト集団に存在するあらゆるMHC対立遺伝子に対して半接合性または同型接合性である幹細胞を含み、この方法は、ヒト集団に存在するあらゆるMHC対立遺伝子に対して半接合性または同型接合性である血管コロニー形成細胞を含む血管コロニー形成細胞のライブラリーを生成する項目27に記載の方法。
(項目29) 前記ヒト血管コロニー形成細胞のヒト造血母細胞への分化を誘導するのに適切な条件下に前記ヒト血管コロニー形成細胞を培養する段階をさらに含む項目1ないし3のうちいずれか1項に記載の方法。
(項目30) 前記ヒト血管コロニー形成細胞のヒト内皮細胞への分化を誘導するのに適切な条件下に前記ヒト血管コロニー形成細胞を培養する段階をさらに含む項目1ないし3のうちいずれか1項に記載の方法。
(項目31) 前記条件は、フィブロネクチンでコーティングされた培養プレート上で前記ヒト血管コロニー形成細胞を培養することを含む項目30に記載の方法。
(項目32) 前記培養物は、少なくとも1×106個のヒト血管コロニー形成細胞を含む項目1ないし3のうちいずれか1項に記載の方法。
(項目33) 前記培養物は、少なくとも2×106個のヒト血管コロニー形成細胞を含む項目32に記載の方法。
(項目34) 前記培養物は、少なくとも3×106個のヒト血管コロニー形成細胞を含む項目33に記載の方法。
(項目35) 前記培養物は、少なくとも4×106個のヒト血管コロニー形成細胞を含む項目34に記載の方法。
(項目36) 少なくとも1×106個のヒト血管コロニー形成細胞を含むヒト血管コロニー形成細胞溶液。
(項目37) 被験体に注射することができる項目36に記載の溶液。
(項目38) 凍結に適した項目36に記載の溶液。
(項目39) 少なくとも2×106個のヒト血管コロニー形成細胞を含む項目36に記載の溶液。
(項目40) 少なくとも3×106個のヒト血管コロニー形成細胞を含む項目39に記載の溶液。
(項目41) 少なくとも4×106個のヒト血管コロニー形成細胞を含む項目40に記載の溶液。
(項目42) 前記ヒト血管コロニー形成細胞は、少なくとも造血細胞または内皮細胞に分化し得る項目36に記載の溶液。
(項目43) 血管コロニー形成細胞、造血細胞または内皮細胞の投与で治療可能な疾病の治療のための医薬の製造における項目36ないし42のうち、いずれか1項に記載の溶液の使用。
(項目44) ヒト血管コロニー形成細胞をその投与が必要な患者に投与する方法であって、
(a)前記投与が必要な患者を選別する段階と、
(b)項目1ないし35のうち、いずれか1項に記載の方法で製造されたヒト血管コロニー形成細胞を供給する段階と、
(c)前記ヒト血管コロニー形成細胞のうち、一部または全部を前記患者に投与する段階と、を含む方法。
(項目45) ヒト血管コロニー形成細胞をその投与が必要な患者に投与する方法であって、
(a)前記投与が必要な患者を選別する段階と、
(b)ヒト血管コロニー形成細胞を細胞数少なくとも10,000個の量に供給する段階と、
(c)前記ヒト血管コロニー形成細胞のうち、一部または全部を前記患者に投与する段階と、を含む方法。
(項目46) 前記ヒト血管コロニー形成細胞は、細胞数10,000~4,000,000個の量である項目45に記載の方法。
(項目47) ヒト造血母細胞をその投与が必要な患者に投与する方法であって、
(a)前記投与が必要な患者を選別する段階と、
(b)項目1ないし35のうち、いずれか1項に記載の方法で製造されたヒト血管コロニー形成細胞を供給する段階と、
(c)前記ヒト血管コロニー形成細胞をヒト造血母細胞に分化させる段階と、
(d)前記ヒト造血母細胞のうち、一部または全部を前記患者に投与する段階と、を含む方法。
(項目48) ヒト造血母細胞をその投与が必要な患者に投与する方法であって、
(a)前記投与が必要な患者を選別する段階と、
(b)ヒト血管コロニー形成細胞を細胞数少なくとも10,000個の量で供給する段階と、
(c)前記ヒト血管コロニー形成細胞をヒト造血母細胞に分化させる段階と、
(d)前記ヒト造血母細胞のうち、一部または全部を前記患者に投与する段階と、を含む方法。
(項目49) 前記ヒト血管コロニー形成細胞は、細胞数10,000~4,000,000個の量である項目48に記載の方法。
(項目50) ヒト内皮細胞をその投与が必要な患者に投与する方法であって、
(a)前記投与が必要な患者を選別する段階と、
(b)項目1ないし35のうち、いずれか1項に記載の方法で製造されたヒト血管コロニー形成細胞を供給する段階と、
(c)前記ヒト血管コロニー形成細胞をヒト内皮細胞に分化させる段階と、及び
(d)前記ヒト内皮細胞のうち、一部または全部を前記患者に投与する段階と、を含む方法。
(項目51) ヒト内皮細胞をその投与が必要な患者に投与する方法であって、
(a)前記投与が必要な患者を選別する段階と、
(b)ヒト血管コロニー形成細胞を細胞数少なくとも10,000個の量で供給する段階と、
(c)前記ヒト血管コロニー形成細胞をヒト内皮細胞に分化させる段階と、及び
(d)前記ヒト内皮細胞のうち、一部または全部を前記患者に投与する段階と、を含む方法。
(項目52) 前記ヒト血管コロニー形成細胞は、細胞数10,000~4,000,000個の量である項目51に記載の方法。
(項目53) 治療が必要な患者の造血母細胞疾患を治療する方法であって、
(a)治療が必要な患者を選別する段階と、
(b)項目1ないし35のうち、いずれか1項に記載の方法で製造されたヒト血管コロニー形成細胞を供給する段階と、
(c)前記ヒト血管コロニー形成細胞をヒト造血母細胞に分化させる段階と、
(d)前記ヒト造血母細胞のうち、一部または全部を前記患者に投与する段階と、を含む方法。
(項目54) 治療が必要な患者の造血母細胞疾患を治療する方法であって、
(a)治療が必要な患者を選別する段階と、
(b)ヒト血管コロニー形成細胞を細胞数少なくとも10,000個の量で供給する段階と、
(c)前記ヒト血管コロニー形成細胞をヒト造血母細胞に分化させる段階と、
(d)前記ヒト造血母細胞のうち、一部または全部を前記患者に投与する段階と、を含む方法。
(項目55) 前記ヒト血管コロニー形成細胞は、細胞数10,000~4,000,000個の量である項目54に記載の方法。
(項目56) 治療が必要な患者の内皮細胞疾患を治療する方法であって、
(a)治療が必要な患者を選別する段階と、
(b)項目1ないし35のうち、いずれか1項に記載の方法で製造されたヒト血管コロニー形成細胞を供給する段階と、
(c)前記ヒト血管コロニー形成細胞をヒト内皮細胞に分化させる段階と、
(d)前記ヒト内皮細胞のうち、一部または全部を前記患者に投与する段階と、を含む方法。
(項目57) 治療が必要な患者の内皮細胞疾患を治療する方法であって、
(a)治療が必要な患者を選別する段階と、
(b)ヒト血管コロニー形成細胞を細胞数少なくとも10,000個の量で供給する段階と、
(c)前記ヒト血管コロニー形成細胞をヒト内皮細胞に分化させる段階と、
(d)前記ヒト内皮細胞のうち、一部または全部を前記患者に投与する段階と、を含む方法。
(項目58) 前記ヒト血管コロニー形成細胞は、細胞数10,000~4,000,000個の量である項目57に記載の方法。
(項目59) 前記内皮細胞疾患は、心筋梗塞、脳卒中、アテローム性動脈硬化症及び虚血で構成された群から選択される項目57または58に記載の方法。
(項目60) 前記虚血は、脳、四肢、心臓、肺、皮膚及び目から発生する項目59に記載の方法。
(項目61) 試験管内でヒト造血母細胞を生成する方法であって、
(a)項目1ないし34のうち、いずれか1項に記載の方法で製造されたヒト血管コロニー形成細胞を供給する段階と、
(b)前記ヒト血管コロニー形成細胞のヒト造血母細胞への分化を誘導するのに適切な条件下に前記ヒト血管コロニー形成細胞を培養する段階と、を含む方法。
(項目62) 試験管内でヒト内皮細胞を生成する方法であって、
(a)項目1ないし35のうち、いずれか1項に記載の方法で製造されたヒト血管コロニー形成細胞を供給する段階と、
(b)前記ヒト血管コロニー形成細胞のヒト内皮細胞への分化を誘導するのに適切な条件下に前記ヒト血管コロニー形成細胞を培養する段階と、を含む方法。
(項目63) 項目27または28に記載の方法で製造されたヒト血管コロニー形成細胞のライブラリー。
(項目64) ヒト造血母細胞またはヒト内皮細胞を患者に投与することを含む治療が必要な人間患者を治療する方法であって、
(a)前記患者を選別する段階と、
(b)前記患者の細胞表面上に発現されたMHC蛋白質を確認する段階と、
(c)項目63に記載のヒト血管コロニー形成細胞のライブラリーを提供する段階と、
(d)前記患者の細胞上の該患者のMHC蛋白質と符合するヒト血管コロニー形成細胞を選別する段階と、
(e)段階(d)で確認された前記ヒト血管コロニー形成細胞を必要によってヒト造血母細胞、内皮細胞または両者に分化させる段階と、
(f)段階(e)から得た前記ヒト造血母細胞、内皮細胞または両者のうち、一部または全部を前記患者に投与する段階と、を含む方法。
(項目65) 地域センター(regional center)で行われる項目64に記載の方法。
(項目66) 前記地域センターが病院である項目65に記載の方法。
(項目67) ほ乳動物血管コロニー形成細胞の増殖を保持するのに十分な量のホメオボックス蛋白質またはその機能性等価体または活性断片を含む蛋白質存在下に無血清培地中で前記血管コロニー形成細胞を培養する段階を含む血管コロニー形成細胞の増殖方法。
(項目68) 前記血管コロニー形成細胞は、臍帯血、末梢血または骨髄から濃縮、精製または分離する項目67に記載の方法。
(項目69) 前記血管コロニー形成細胞がヒト血管コロニー形成細胞である項目67に記載の方法。
(項目70) 前記血管コロニー形成細胞を少なくとも1×106個の血管コロニー形成細胞になるように試験管内で培養する項目67に記載の方法。
(項目71) ホメオボックス蛋白質またはその機能性等価体または活性断片を含む前記蛋白質はHOXB4蛋白質またはその機能性等価体または活性断片を含む蛋白質である項目67に記載の方法。
(項目72) 前記蛋白質がHOXB4と蛋白質伝達ドメイン(PTD)とを含む融合蛋白質である項目71に記載の方法。
(項目73) 前記蛋白質伝達ドメイン(PTD)がTAT蛋白質、その機能性変移体または活性断片である項目72に記載の方法。
(項目74) 前記HOXB4がほ乳動物HOXB4である項目71に記載の方法。
(項目75) 前記ほ乳動物HOXB4がマウスまたはヒトHOXB4である項目74に記載の方法。
(項目76) 前記ほ乳動物HOXB4がヒトHOXB4である項目75に記載の方法。(項目77) 前記HOXB4が全長蛋白質を含む項目71に記載の方法。
(項目78) 前記HOXB4が配列番号1または配列番号3のアミノ酸配列を含む項目71に記載の方法。
(項目79) 前記TAT蛋白質が配列番号14のアミノ酸配列を含む項目73に記載の方法。
(項目80) 前記PTDが配列番号14のアミノ酸配列を有するTATポリペプチドコピー1つ以上含む項目72に記載の方法。
(項目81) 前記成長因子を段階(b)の全般にわたって複数回段階(b)の前記培養物に添加する項目4または5に記載の方法。
(項目82) 前記成長因子を段階(b)及び(d)の全般にわたって複数回段階(b)及び(d)の前記培養物に添加する項目4または5に記載の方法。
(項目83) 前記蛋白質を1日1回添加する項目81または82に記載の方法。
(項目84) 前記蛋白質を2日に1回添加する項目81または82に記載の方法。
(項目85) 項目1に記載の方法で製造された分離された血管コロニー形成細胞。
(項目86) 項目2に記載の方法で製造された分離された血管コロニー形成細胞。
(項目87) 供与体同種移植片に対して人間受容者の耐性を誘導する方法であって、
(a)T細胞補助刺激を抑制する製剤を前記受容者に投与する段階と、
(b)項目1に記載の方法で生成されたヒト血管コロニー形成細胞を前記受容者に導入する段階であって、前記血管コロニー形成細胞は供与者に対して符合する段階と、
(c)前記同種移植片を前記受容者に移植する段階であって、前記ヒト血管コロニー形成細胞は、前記同種移植片に対して受容者の耐性を誘導する段階と、を含む方法。
(項目88) T細胞補助刺激を抑制する製剤がCD40配位子-CD40相互作用を抑制する製剤である項目87に記載の方法。
(項目89) CD28-B7相互作用を抑制する製剤を投与する段階をさらに含む項目87に記載の方法。
(項目90) 胸腺放射線照射またはT細胞枯渇または不活性化段階を含まない項目87ないし89のうち、いずれか1項に記載の方法。
(項目91) 前記受容者に胸腺放射線照射を実施する段階をさらに含む項目87ないし89のうち、いずれか1項に記載の方法。
(項目92) 前記受容者にT細胞を枯渇させるか、不活性化させる処理を実施する段階をさらに含む項目87ないし89のうち、いずれか1項に記載の方法。
(項目93) 前記受容者にT細胞を枯渇させるか、不活性化させる処理及び胸腺放射線照射を実施する段階をさらに含む項目87ないし89のうち、いずれか1項に記載の方法。
(項目94) 供与者同種移植片に対して人間受容者の耐性を誘導する方法であって、
(a)前記受容者に胸腺内空間を形成する段階と、
(b)前記受容者の供与者反応性T細胞を枯渇させるか、不活性化させる段階と、
(c)項目1に記載の方法で生成されたヒト血管コロニー形成細胞を前記受容者に導入する段階であって、前記血管コロニー形成細胞は、前記供与者に対して符合する段階と、
(d)同種移植片を前記受容者に移植する段階と、を含み、
前記ヒト血管コロニー形成細胞は、前記同種移植片に対して受容者の耐性を誘導する方法。
(項目95) 前記胸腺内空間は、胸腺放射線照射、ステロイド、コルチコステロイド、ブレキナー及び免疫抑制化学物質または薬物で構成された群から選択される少なくとも1種の処理を前記受容者に実施して形成する項目94に記載の方法。
(項目96) 前記胸腺内空間は、前記受容者に胸腺放射線照射を実施して形成する項目95に記載の方法。
(項目97) 前記胸腺内空間は、前記受容者に免疫抑制化学物質または薬物を投与して形成する項目95に記載の方法。
(項目98) 前記胸腺内空間は、前記受容者にシクロスポリンを投与して形成する項目95に記載の方法。
(項目99) 前記受容者に血管コロニー形成細胞を複数回投与する項目87または94に記載の方法。
(項目100) 前記耐性は、全身放射線照射により形成された造血空間なしに誘導される項目87または94に記載の方法。
(項目101) 前記ヒト血管コロニー形成細胞と前記同種移植片は、同じ供与者から得る項目87または94に記載の方法。
(項目102) 前記ヒト血管コロニー形成細胞と前記同種移植片は、互いに異なる供与者から得る項目87または94に記載の方法。
(項目103) 少なくとも造血細胞類型または内皮細胞類型を形成するように分化され得るヒト血管コロニー形成細胞であって、他のヒト血管コロニー形成細胞に対する付着性の弱いヒト血管コロニー形成細胞。
(項目104) 少なくとも造血細胞類型及び内皮細胞類型を形成するように分化され得るヒト血管コロニー形成細胞であって、他のヒト血管コロニー形成細胞に対する付着性の弱いヒト血管コロニー形成細胞。
(項目105) 少なくとも造血細胞類型及び内皮細胞類型を形成するように分化され得るヒト血管コロニー形成細胞であって、他のヒト血管コロニー形成細胞に対する付着性が弱く、CD34蛋白質を発現しないヒト血管コロニー形成細胞。
(項目106) 少なくとも造血細胞類型及び内皮細胞類型を形成するように分化され得るヒト血管コロニー形成細胞であって、CD34、CD31、KDR及びCD133蛋白質のうち、いずれも発現しないヒト血管コロニー形成細胞。
(項目107) 少なくとも造血細胞類型または内皮細胞類型を形成するように分化され得るヒト血管コロニー形成細胞を含む細胞培養物であって、前記ヒト血管コロニー形成細胞は互いに付着性の弱い細胞培養物。
(項目108) 少なくとも造血細胞類型及び内皮細胞類型を形成するように分化され得るヒト血管コロニー形成細胞の実質的に精製された集合体を含む細胞培養物であって、前記血管コロニー形成細胞は互いに付着性が弱く、CD34蛋白質を発現しない細胞培養物。
(項目109) 胚芽由来細胞から分化されるヒト血管コロニー形成細胞を含む細胞培養物であって、前記血管コロニー形成細胞は互いに付着性の弱い細胞培養物。
(項目110) 少なくとも造血細胞類型及び内皮細胞類型を形成するように分化され得るヒト血管コロニー形成細胞を含む細胞培養物であって、前記血管コロニー形成細胞は互いに付着性の弱い細胞培養物。
(項目111) 少なくとも造血細胞類型または内皮細胞類型を形成するように分化され得るヒト血管コロニー形成細胞を含む薬学製剤であって、前記血管コロニー形成細胞は互いに付着性の弱い薬学製剤。
(項目112) 少なくとも造血細胞類型及び内皮細胞類型を形成するように分化され得るヒト血管コロニー形成細胞を含む薬学製剤であって、前記血管コロニー形成細胞は互いに付着性の弱い薬学製剤。
(項目113) 少なくとも造血細胞類型及び内皮細胞類型を形成するように分化され得るヒト血管コロニー形成細胞を含む薬学製剤であって、前記血管コロニー形成細胞は、CD34、CD31、KDR及びCD133蛋白質のうち、いずれも発現しない薬学製剤。(項目114) 項目103ないし113のうち、いずれか1項に記載の血管コロニー形成細胞の低温保存製剤。
(項目115)少なくとも1×106個のヒト血管コロニー形成細胞を含む低温保存製剤であって、前記血管コロニー形成細胞は、CD34、CD31、KDR及びCD133蛋白質のうち、いずれも発現しない低温保存製剤。
(項目116) CD34、CD31、KDR及びCD133のうち、選択される1種以上の蛋白質を発現しない項目103に記載の血管コロニー形成細胞。
(項目117) CD34蛋白質を発現しない項目103に記載の血管コロニー形成細胞。
(項目118) CD34、CD31、KDR及びCD133を発現しない項目103に記載の血管コロニー形成細胞。
(項目119) LMO2及びGATA2蛋白質を発現する項目103に記載の血管コロニー形成細胞。
(項目120) LMO2及びGATA2蛋白質を発現する項目116に記載の血管コロニー形成細胞。
(項目121) LMO2及びGATA2蛋白質を発現する項目117に記載の血管コロニー形成細胞。
(項目122) LMO2及びGATA2蛋白質を発現する項目118に記載の血管コロニー形成細胞。
(項目123) CD34、CD31、KDR及びCD133のうち、選択される1種以上の蛋白質を発現しない項目104に記載の血管コロニー形成細胞。
(項目124) CD34蛋白質を発現しない項目104に記載の血管コロニー形成細胞。
(項目125) CD34、CD31、KDR及びCD133を発現しない項目104に記載の血管コロニー形成細胞。
(項目126) LMO2及びGATA2蛋白質を発現する項目104に記載の血管コロニー形成細胞。
(項目127) LMO2及びGATA2蛋白質を発現する項目123に記載の血管コロニー形成細胞。
(項目128) LMO2及びGATA2蛋白質を発現する項目124に記載の血管コロニー形成細胞。
(項目129) LMO2及びGATA2蛋白質を発現する項目125に記載の血管コロニー形成細胞。
(項目130) CD31、CD133またはKDRのうち、選択される1種以上の蛋白質を発現しない項目105に記載の血管コロニー形成細胞。
(項目131) CD31、CD133及びKDR蛋白質を発現しない項目105に記載の血管コロニー形成細胞。
(項目132) LMO2及びGATA2蛋白質を発現する項目105に記載の血管コロニー形成細胞。
(項目133) LMO2及びGATA2蛋白質を発現する項目130に記載の血管コロニー形成細胞。
(項目134) LMO2及びGATA2蛋白質を発現する項目131に記載の血管コロニー形成細胞。
(項目135) LMO2及びGATA2蛋白質を発現する項目106に記載の血管コロニー形成細胞。
(項目136) 少なくとも1×106個のヒト血管コロニー形成細胞を含む項目107に記載の細胞培養物。
(項目137) 少なくとも5×106個のヒト血管コロニー形成細胞を含む項目136に記載の細胞培養物。
(項目138) 少なくとも1×106個のヒト血管コロニー形成細胞を含む項目108に記載の細胞培養物。
(項目139) 少なくとも5×106個のヒト血管コロニー形成細胞を含む項目138に記載の細胞培養物。
(項目140) 前記胚芽由来細胞が胚芽幹細胞株である項目109に記載の細胞培養物。
(項目141) 前記胚芽由来細胞が胚芽、割球、胞胚または内細胞塊から選択される項目109に記載の細胞培養物。
(項目142) 少なくとも1×106個のヒト血管コロニー形成細胞を含む項目110に記載の細胞培養物。
(項目143) 少なくとも5×106個のヒト血管コロニー形成細胞を含む項目142に記載の細胞培養物。
(項目144) 前記血管コロニー形成細胞がCD34、CD31、CD133またはKDRのうち、選択される1種以上の蛋白質を発現しない 項目107に記載の細胞培養物。
(項目145) 前記血管コロニー形成細胞がCD34蛋白質を発現しない項目107に記載の細胞培養物。
(項目146) 前記血管コロニー形成細胞がCD34、CD31、CD133及びKDR蛋白質を発現しない項目107に記載の細胞培養物。
(項目147) 前記血管コロニー形成細胞がLMO2及びGATA2蛋白質を発現する項目107に記載の細胞培養物。
(項目148) 前記血管コロニー形成細胞がLMO2及びGATA2蛋白質を発現する項目144に記載の細胞培養物。
(項目149) 前記血管コロニー形成細胞がLMO2及びGATA2蛋白質を発現する項目145に記載の細胞培養物。
(項目150) 前記血管コロニー形成細胞がLMO2及びGATA2蛋白質を発現する項目146に記載の細胞培養物。
(項目151) 前記血管コロニー形成細胞がCD31、CD133またはKDRのうち、選択される1種以上の蛋白質を発現しない項目108に記載の細胞培養物。
(項目152) 前記血管コロニー形成細胞がCD31、CD133及びKDR蛋白質を発現しない項目108に記載の細胞培養物。
(項目153) 前記血管コロニー形成細胞がLMO2及びGATA2蛋白質を発現する項目108に記載の細胞培養物。
(項目154) 前記血管コロニー形成細胞がLMO2及びGATA2蛋白質を発現する項目151に記載の細胞培養物。
(項目155) 前記血管コロニー形成細胞がLMO2及びGATA2蛋白質を発現する項目152に記載の細胞培養物。
(項目156) 前記血管コロニー形成細胞がCD34、CD31、CD133またはKDRのうち、選択される1種以上の蛋白質を発現しない項目109に記載の細胞培養物。(項目157) 前記血管コロニー形成細胞がCD34蛋白質を発現しない項目109に記載の細胞培養物。
(項目158) 前記血管コロニー形成細胞がCD34、CD31、CD133及びKDR蛋白質を発現しない項目109に記載の細胞培養物。
(項目159) 前記血管コロニー形成細胞がLMO2及びGATA2蛋白質を発現する項目109に記載の細胞培養物。
(項目160) 前記血管コロニー形成細胞がLMO2及びGATA2蛋白質を発現する項目156に記載の細胞培養物。
(項目161) 前記血管コロニー形成細胞がLMO2及びGATA2蛋白質を発現する項目157に記載の細胞培養物。
(項目162) 前記血管コロニー形成細胞がLMO2及びGATA2蛋白質を発現する項目158に記載の細胞培養物。
(項目163) 前記血管コロニー形成細胞がCD34、CD31、CD133またはKDRのうち、選択される1種以上の蛋白質を発現しない項目110に記載の細胞培養物。(項目164) 前記血管コロニー形成細胞がCD34蛋白質を発現しない項目110に記載の細胞培養物。
(項目165) 前記血管コロニー形成細胞がCD34、CD31、CD133及びKDR蛋白質を発現しない項目110に記載の細胞培養物。
(項目166) 前記血管コロニー形成細胞がLMO2及びGATA2蛋白質を発現する項目110に記載の細胞培養物。
(項目167) 前記血管コロニー形成細胞がLMO2及びGATA2蛋白質を発現する項目163に記載の細胞培養物。
(項目168) 前記血管コロニー形成細胞がLMO2及びGATA2蛋白質を発現する項目164に記載の細胞培養物。
(項目169) 前記血管コロニー形成細胞がLMO2及びGATA2蛋白質を発現する項目165に記載の細胞培養物。
(項目170) 少なくとも1×106個のヒト血管コロニー形成細胞を含む項目111に記載の薬学製剤。
(項目171) 少なくとも5×106個のヒト血管コロニー形成細胞を含む項目170に記載の薬学製剤。
(項目172) 少なくとも1×106個のヒト血管コロニー形成細胞を含む項目112に記載の薬学製剤。
(項目173) 少なくとも5×106個のヒト血管コロニー形成細胞を含む項目172に記載の薬学製剤。
(項目174) 少なくとも1×106個のヒト血管コロニー形成細胞を含む項目113に記載の薬学製剤。
(項目175) 少なくとも5×106個のヒト血管コロニー形成細胞を含む項目174に記載の薬学製剤。
(項目176) 少なくとも5×106個のヒト血管コロニー形成細胞を含む項目115に記載の低温保存製剤。
(項目177) 前記血管コロニー形成細胞がLMO2及びGATA2蛋白質を発現する項目115に記載の低温保存製剤。
(項目178) 前記血管コロニー形成細胞が胚芽由来細胞から分化される項目111ないし113のうち、いずれか1項に記載の薬学製剤。
(項目179) 前記胚芽由来細胞が胚芽幹細胞である項目178に記載の薬学製剤。
(項目180) 前記胚芽由来細胞が胚芽、割球、胞胚または内細胞塊のうち、選択される項目178に記載の薬学製剤。
(項目181) 前記血管コロニー形成細胞がCD34、CD31、CD133またはKDRのうち、選択される1種以上の蛋白質を発現しない項目111に記載の薬学製剤。
(項目182) 前記血管コロニー形成細胞がCD34蛋白質を発現しない項目111に記載の薬学製剤。
(項目183) 前記血管コロニー形成細胞がCD34、CD31、CD133及びKDR蛋白質を発現しない項目111に記載の薬学製剤。
(項目184) 前記血管コロニー形成細胞がLMO2及びGATA2蛋白質を発現する項目111に記載の薬学製剤。
(項目185) 前記血管コロニー形成細胞がLMO2及びGATA2蛋白質を発現する項目181に記載の薬学製剤。
(項目186) 前記血管コロニー形成細胞がLMO2及びGATA2蛋白質を発現する項目182に記載の薬学製剤。
(項目187) 前記血管コロニー形成細胞がLMO2及びGATA2蛋白質を発現する項目183に記載の薬学製剤。
(項目188) 前記血管コロニー形成細胞がCD34、CD31、CD133またはKDRのうち、選択される1種以上の蛋白質を発現しない項目112に記載の薬学製剤。
(項目189) 前記血管コロニー形成細胞がCD34蛋白質を発現しない項目112に記載の薬学製剤。
(項目190) 前記血管コロニー形成細胞がCD34、CD31、CD133及びKDR蛋白質を発現しない項目112に記載の薬学製剤。
(項目191) 前記血管コロニー形成細胞がLMO2及びGATA2蛋白質を発現する項目112に記載の薬学製剤。
(項目192) 前記血管コロニー形成細胞がLMO2及びGATA2蛋白質を発現する項目188に記載の薬学製剤。
(項目193) 前記血管コロニー形成細胞がLMO2及びGATA2蛋白質を発現する項目189に記載の薬学製剤。
(項目194) 前記血管コロニー形成細胞がLMO2及びGATA2蛋白質を発現する項目190に記載の薬学製剤。
(項目195) 前記血管コロニー形成細胞がLMO2及びGATA2蛋白質を発現する項目113に記載の薬学製剤。
(項目196) 項目103ないし115のうち、いずれか1項に記載の血管コロニー形成細胞から分化された造血細胞を含む培養物。
(項目197) 項目103ないし115のうち、いずれか1項に記載の血管コロニー形成細胞から分化された内皮細胞を含む培養物。
(項目198) 項目103ないし115のうち、いずれか1項に記載の血管コロニー形成細胞から分化された平滑筋細胞を含む培養物。
(項目199) 項目103ないし115のうち、いずれか1項に記載の血管コロニー形成細胞から分化された心筋細胞を含む培養物。
(項目200) 疾患の治療が必要な患者の疾患を治療するための医薬の製造における項目103ないし106のうち、いずれか1項に記載のヒト血管コロニー形成細胞の使用。(項目201) 疾患の治療が必要な患者の疾患を治療するための医薬の製造における項目107ないし110のうち、いずれか1項に記載の細胞培養物の使用。
(項目202) 疾患の治療が必要な患者の疾患を治療するための医薬の製造における項目111ないし113のうち、いずれか1項に記載の薬学製剤の使用。
(項目203) 試験管内でヒト血管コロニー形成細胞から分化された造血細胞を生成する方法であって、
(a)ヒト血管コロニー形成細胞を提供する段階と、
(b)前記血管コロニー形成細胞を分化された造血細胞に分化させる段階と、を含む方法。
(項目204) 試験管内でヒト血管コロニー形成細胞から分化された造血細胞を使用して輸血を実施する方法であって、
(a)ヒト血管コロニー形成細胞を提供する段階と、
(b)前記血管コロニー形成細胞を分化された造血細胞に分化させる段階と、
(c)前記分化された造血細胞に輸血を実施する段階と、を含む方法。
(項目205) 前記血管コロニー形成細胞は、凍結された培養物から回復させる項目203または204に記載の方法。
(項目206) 試験管内でヒト血管コロニー形成細胞から分化された造血細胞を使用して輸血を実施する方法であって、
(a)ヒト胚芽由来細胞の血管コロニー形成細胞への分化を誘導するのに十分な量の少なくとも1種の成長因子の存在下にヒト胚芽由来細胞を含む細胞培養物を培養する段階と、(b)前記血管コロニー形成細胞を分化された造血細胞に分化させる段階と、
(c)前記分化された造血細胞に輸血を実施する段階と、を含む方法。
(項目207) 前記胚芽由来細胞及び血管コロニー形成細胞を該方法の段階(a)全般にわたって無血清培地中で培養する項目206に記載の方法。
(項目208) 前記胚芽由来細胞が胚芽幹細胞である項目206に記載の方法。
(項目209) 試験管内でヒト血管コロニー形成細胞から分化された造血細胞を使用して輸血を実施する方法であって、
(a)ヒト胚芽由来細胞の胚様体への分化を誘導するのに十分な量の少なくとも1種の成長因子の存在下にヒト胚芽由来細胞を含む細胞培養物を培養する段階と、
(b)胚様体を含む前記細胞培養物に少なくとも1種の成長因子を添加する段階であって、前記成長因子は、前記胚様体培養物中でヒト血管コロニー形成細胞を増殖させるのに十分な量に添加される段階と、
(c)前記血管コロニー形成細胞を分化された造血細胞に分化させる段階と、
(d)前記分化された造血細胞に輸血を実施する段階と、を含む方法。
(項目210) 前記胚芽由来細胞、胚様体及び血管コロニー形成細胞を該方法の段階(a)及び(b)全般にわたって無血清培地中で培養する項目209に記載の方法。
(項目211) 前記成長因子がホメオボックス蛋白質またはその機能性変移体または活性断片を含む蛋白質である項目209に記載の方法。
(項目212) 前記ホメオボックス蛋白質がHOXB4蛋白質またはその機能性変移体または活性変移体を含む項目211に記載の方法。
(項目213) 前記胚芽由来細胞が胚芽幹細胞である項目209に記載の方法。
(項目214) 試験管内でヒト血管コロニー形成細胞から分化された造血細胞を使用して輸血を実施する方法であって、
(a)ヒト胚芽由来細胞の胚様体への分化を誘導するのに十分な量の少なくとも1種の成長因子の存在下にヒト胚芽由来細胞を含む細胞培養物を培養する段階と、
(b)胚様体を含む前記培養物に少なくとも1種の成長因子を添加する段階であって、前記成長因子は、前記胚様体培養物中でヒト血管コロニー形成細胞を増殖させるのに十分な量に添加される段階と、
(c)前記胚様体を単一細胞に解体させる段階と、
(d)前記単一細胞を含む培養物に少なくとも1種の成長因子を添加する段階であって、前記成長因子は、前記単一細胞を含む培養物中でヒト血管コロニー形成細胞を増殖させるのに十分な量に添加される段階と、
(e)前記血管コロニー形成細胞を分化された造血細胞に分化させる段階と、
(f)前記分化された造血細胞を使用して輸血を実施する段階と、を含む方法。
(項目215) 前記胚芽由来細胞、胚様体及び血管コロニー形成細胞を該方法の段階(a)~(d)全般にわたって無血清培地中で培養する項目214に記載の方法。
(項目216) 前記成長因子がホメオボックス蛋白質またはその機能性変移体または活性断片を含む蛋白質である項目214に記載の方法。
(項目217) 前記ホメオボックス蛋白質がHOXB4蛋白質またはその機能性変移体または活性変移体を含む項目216に記載の方法。
(項目218) 前記胚芽由来細胞が胚芽幹細胞である項目214に記載の方法。
(項目219) 前記分化された造血細胞は単一細胞類型に生成される項目203ないし218のうち、いずれか1項に記載の方法。
(項目220) 前記単一細胞類型が赤血球、血小板または食細胞のうち、選択される項目219に記載の方法。
(項目221) 前記食細胞が顆粒球、好中球、好塩球、好酸球、リンパ球または単核球のうち、選択される項目220に記載の方法。
(項目222) 前記赤血球がヘモグロビンFを発現する項目220に記載の方法。
(項目223) 前記単一細胞類型は、血液で発見される分化された細胞類型の比率とほぼ同一に混合されており、血液で発見される分化された細胞類型の比率は赤血球96%、血小板1%及び食細胞3%である項目219に記載の方法。
(項目224) 複数の分化された造血細胞類型が同一段階で生成される項目203ないし218のうち、いずれか1項に記載の方法。
(項目225) 前記複数の分化された造血細胞類型が赤血球、血小板または食細胞のうち、選択される項目224に記載の方法。
(項目226) 前記食細胞が顆粒球、好中球、好塩球、好酸球、リンパ球または単核球のうち、選択される項目225に記載の方法。
(項目227) 前記赤血球がヘモグロビンFを発現する項目225に記載の方法。
(項目228) 前記複数の分化された造血細胞類型は、血液で発見される分化された造血細胞類型の比率とほぼ同じ割合で生成され、血液で発見される分化された細胞類型の比率は赤血球96%、血小板1%及び食細胞3%である項目224に記載の方法。
(項目229) 輸血前に前記分化された造血細胞に血しょうを添加する項目203ないし218のうち、いずれか1項に記載の方法。
(項目230) 前記血管コロニー形成細胞は、患者自身の血液型の分化された造血細胞が生成されるように患者に符合する項目203ないし218のうち、いずれか1項に記載の方法。
(項目231) 前記血管コロニー形成細胞は、抗原因子A、B、Rhまたはこれらの任意の組合わせに対して陰性である項目203ないし218のうち、いずれか1項に記載の方法。
(項目232) 前記分化された造血細胞が赤血球であり、前記赤血球を分化させる段階は、エリスロポエチン(EPO)を含む項目203ないし218のうち、いずれか1項に記載の方法。
本発明は、本発明の前述した様態及び実施形態のうち、任意のものからなった組合わせを含む。
【図面の簡単な説明】
【0092】
図1】H1-GFP ES細胞から生成された血管芽細胞から誘導された造血CFUを例示した図面である。
図2】無血清(Stemline)培養培地中に培養された赤血球系(erythroid)コロニー形成ユニット(CFU-E)の細胞形態を例示した図面である。
図3】無血清(Stemline)培養培地中に培養された多能性(multipotent)コロニー形成ユニット(CFU-GEMM/Mix)の細胞形態を例示した図面である。
図4】無血清(Stemline)培養培地中に培養された多能性コロニー形成ユニット(CFU-GEMM/Mix)の細胞形態を例示した図面である。
図5】無血清(Stemline)培養培地中に培養された顆粒球コロニー形成ユニット(CFU-G)及び大食細胞コロニー形成ユニット(CFU-M)の細胞形態を例示した図面である。
図6】無血清(Stemline)培養培地中に培養された顆粒球/大食細胞コロニー形成ユニット(CFU-GM)及び巨核球大食細胞コロニー形成ユニット(CFU-Mk)の細胞形態を例示した図面である。
図7】マトリゲル系(Matrigel-based)培地上で(a)H9 ES細胞及び(b)ACT30 ES細胞から誘導された血管芽細胞の再プレートを行った後、チューブコード(tube-cord)構造の形成を例示した図面である。
図8】実施例2に説明されているように、EGM-2培地中でフィブロネクチン-コーティングされたプレート上に、次いでマトリゲル上に培養されたH1-GFP ES細胞から生成された血管芽細胞のチューブコード構造を例示した図面である。また図8は、実施例2に説明されているように、アレキサフルアー(Alexa Fluor)標識化されたAc-LDLにより恒温処理される時、細胞によるAc-LDLの吸収を例示した図面である。中間パネル上部及び右側パネル上部は、位相差写真(phase contrast picture)を表す。
図9】実施例2に説明されているように、EGM-2培地中でフィブロネクチン-コーティングされたプレート上に培養されたH1-GFP ES細胞から生成された血管芽細胞でフォン・ヴィレブランド因子(vWF)の発現(薄い灰色染色)を例示した図面である。
図10】実施例4に説明されているように、SCIDマウス内に注入されたヘマトキシリン及びエオシン(H&E)染色されたマトリゲルプラグの断面内血管の形成を例示した図面である。
図11】実施例4に説明されているように、ヒト特異的核抗体に対する陽性染色(薄い灰色染色)により示されたような、マトリゲルプラグの断面から得た血管がヒト血管芽細胞から誘導された細胞である点を例示した図面である。
図12】ヒトHOXB4のmRNA配列(受託番号:NM-024015.4;GI:85376187)(配列番号:2)を例示した図面である。
図13】ヒトHOXB4のアミノ酸配列(受託番号:NP-076920.1;GI:13273315)(配列番号:1)を例示した図面である。
図14】ヒトHOXB4のmRNA配列(受託番号:BC049204.1;GI:29351567)(配列番号:4)を例示した図面である。
図15】ヒトHOXB4のアミノ酸配列(受託番号:AAH49204.1;GI:29351568)(配列番号:3)を例示した図面である。
図16】実施例1及び実施例2に説明されているように、ヒトES細胞から誘導された血管芽細胞(BL-CFC)の表現型特性化を例示した図面である:(a)血管芽細胞コロニーまたは芽細胞コロニー(BL-CFCまたはBC、×400);(b)二次的EB(×400);(c)ライト・ギムザ(Wright-Giemsa)染色による芽細胞(hES-BC細胞)(×1000);(d-f)GATA-1染色:(d)GATA-1で染色された芽細胞(×600);(e)GATA-1及びDAPIで染色された芽細胞(×600);(f)GATA-1及びDAPIで染色されたBM細胞(×400);(g-i)LMO2染色:(g)LM02で染色された芽細胞(×600);(h)LMO2及びDAPIで染色された芽細胞(×600);(i)LMO2及びDAPIで染色されたK562細胞(×1000);(j-m)CD71染色(明るい灰色または薄い灰色):(j)CD71で染色された芽細胞(×600);(k)CD71及びDAPIで染色された芽細胞(×600);(m)CD71及びDAPIで染色されたBM細胞(×1000);(n-p)CXCR-4染色(明るい灰色または薄い灰色):(n)CXCR-4で染色された芽細胞(×600);(o)CXCR-4及びDAPIで染色された芽細胞(×600);(p)CXCR-4及びDAPIで染色されたBM細胞(×600);(q-s)Epo-受容体染色(中間灰色):(q)Epo-受容体で染色された芽細胞(×600);(r)Epo-受容体及びDAPIで染色された芽細胞(×600);(s)Epo-受容体及びDAPIで染色されたBM細胞(×600);(t-v)Tpo-受容体染色(中間灰色):(t)Tpo-受容体で染色された芽細胞(×600);(u)Tpo-受容体及びDAPIで染色された芽細胞(×600);(v)Tpo-受容体及びDAPIで染色されたBM細胞(×1000)。留意:パネル(d)及び(n)で、hES-BC(血管芽細胞)細胞は、GATA-1及びCXCR-4抗体で二重染色したが、個別的に表示し;パネル(q)及び(t)でhES-BC(血管芽細胞)細胞は、Epo-受容体抗体及びTpo-受容体抗体でさらに二重染色し、個別的に表示した。
図17-1】 図17a-u。試験管内ヒトES細胞から誘導された血管芽細胞(BL-CFCまたは芽細胞)の機能性特性化を例示した図面である:(a-d)精製された血管芽細胞から誘導された造血CFU):(a)CFU-赤血球系(×100);(b)CFU-顆粒球(×100);(c)CFU-大食細胞(×100);及び(d)CFU-多系統(multilineage)(混合物、×100);(e-h)CFU-細胞のライト・ギムザ染色:(e)赤血球系(×1000);(f)顆粒球(×1000);(g)大食細胞(×400);及び(h)混合物(×1000);(i-k)CFU細胞の免疫染色:(i)CD235aで染色されたCFU-赤血球系細胞(矢印、×1000);(j)CD13で染色されたCFU-顆粒球細胞(矢印、×1000);(k)CD45で染色されたCFU-混成物細胞(矢印、×1000);(m-p及びv-y)プーリングされたCFU細胞のFACS分析:(m)マウスIgGイソタイプ対照群;(n)CD45;(o)CD13;及び(p)CD235;(q-u)精製された血管芽細胞、または芽細胞またはhES-BC細胞から誘導された内皮細胞:(q)血管芽細胞から誘導された付着性細胞をプレートした後、マトリゲル上に形成された毛細管類似構造(×100);(r)血管芽細胞から誘導された内皮細胞によるAc-LDL吸収(灰色)(×200);(s)核がDAPIで染色されている血管芽細胞-誘導された内皮細胞でvWFの発現(矢印)(×600);(t)核(図面内円形フィーチャー)がDAPIで染色されている血管芽細胞-誘導された内皮細胞でPEC AMI(明るい染色)の偏在化(×200);(u)核(図面内円形フィーチャー)がDAPIにより染色されている血管芽細胞-誘導された内皮細胞でVE-カドヘリンの偏在化(矢印)(×200)。実施例2を参照。
図17-2】 図17v-cc。試験管内ヒトES細胞から誘導された血管芽細胞(BL-CFCまたは芽細胞)の機能性特性化を例示した図面である:(v)マウスIgGイソタイプ対照群;(w)CD45及びCD235a;(x)CD13及びCD45;及び(y)CD13及びCD235a;(z-cc)精製された血管芽細胞、または芽細胞またはhES-BC細胞から誘導された内皮細胞:(z)Ac-LDLアップデート(矢印ヘッド部)及びvWF発現(矢印、×600);(aa)Ac-LDLのアップデート(矢印ヘッド部)及びVE-カドヘリンの発現(矢印ヘッド部、×600);(bb)vWFの発現(矢印)及びCD31の発現(矢印ヘッド部、×600);(cc)VE-カドヘリンの発現(矢印)及びCD31の発現(矢印ヘッド部、×600)。実施例2を参照。
図18】hES細胞から誘導された芽細胞コロニーのクロン形成性(clonogenicity)を例示した図面である:(a-c)芽細胞コロニーのクロン形成性:(a)及び(b)芽細胞コロニーのクロン起源を立証した、WA01-GFPとMAO1 EBとの混合物で発育された2種の芽細胞コロニー:(a)相イメージ(×100);(b)GFPイメージ(×100);(c)単一細胞から発育された芽細胞コロニー(×400);(d-e)造血系統及び内皮系統の両者が観察される(×200)、液体培養物で単一芽細胞コロニーの増殖:(d)×200;(e)×400;(f-h)単一BCから誘導された内皮細胞:(f)単一BCから誘導された付着性細胞をプレートした後、マトリゲル上に形成された毛細管類似構造(×100);(g)核がDAPIで染色されている、単一BCから誘導された内皮細胞によるAc-LDL吸収(矢印)(×400);(h)核がDAPIで染色されている、単一BC-誘導された内皮細胞でvWFの発現(矢印)(×400);(i-m)単一BCから誘導された造血CFU:(i)CFU-赤血球系(×100);(j)CFU-顆粒球(×100);(k)CFU-大食細胞(×100);及び(m)CFU-多系統(混合物、×100)。ゲルはWA01-GFP+細胞とMA01-GFP-細胞とのプレート混合物から誘導されたGFP+及びGFP-hES-BC(血管芽細胞)でGFP配列のPCR分析の結果を表す。レーン:WA01-GFP+、母体WA01/GFP+hES細胞;MA01-GFP-、母体MA01hES細胞;H20、水陰性対照群;BC-GFP+、細胞混合プレートから吸収されたGFP陽性BC;1-10、細胞-混合プレートから吸収されたGFP陰性BC.ミオゲニン遺伝子はPCR反応対照群として使用した。実施例2を参照。
図19】tPTD-HOXB4融合蛋白質の特徴を提供する。(A)6xHis-融合されたtPTD-HOXB4組み換え型蛋白質をE.coliで発現させ、ニッケルプロバンド(ProBand)樹脂を通じて精製した。脱塩化されたtPTD-HOXB4蛋白質の二バッチ((1)及び(2)で表示)に対してSDS-PAGEゲルを通じてその純度及び濃度を確認した。(B)tPTD-HOXB4蛋白質は5%FBSを含む培地中では不安定であったが、(C)生存ES細胞を含む無血清培地中では無欠状態を保持した(N=幹細胞II培地単独;h=時間)。
図20-1】 図20a-b。hES-誘導された血管幹細胞を全身注入した後、虚血性網膜血管構造が剛健に復旧されることを示す図面である。網膜虚血症は、マウス眼球の前室に対して静水圧を2時間ほど加えて誘導した。7日後、蛍光標識された(GFP+)血管幹細胞をガラス体内、または静脈内に注入した。1日後、この動物を安楽死させた。眼球を摘出して切開し、網膜を扁平に固定させ、レーザー走査共焦点顕微鏡を通じて映像化するか、映像化のために切片化した。(a)背景に緑色蛍光発光のない典型的な網膜の血管解剖図を示す代表的な対照群(未損傷)眼球の併合図であり、個別GFP+(下部挿入部)及びGFP-(上部挿入部)チャンネルをさらに確認でき;(b)虚血性血管構造で導入された蛍光標識された(GFP+)血管幹細胞-誘導された細胞(血管構造の明るい部分)を示す、同一動物の処理された眼球の併合図であり、実施例5に記述したように、個別緑色(GFP+血管幹細胞、下部挿入部)及び未標識細胞(上部挿入部)も見られる。実施例5を参照。
図20-2】 図20c-e。hES-誘導された血管幹細胞を全身注入した後、虚血性網膜血管構造が剛健に復旧されることを示す図面である。網膜虚血症は、マウス眼球の前室に対して静水圧を2時間ほど加えて誘導した。7日後、蛍光標識された(GFP+)血管幹細胞をガラス体内、または静脈内に注入した。1日後、この動物を安楽死させた。眼球を摘出して切開し、網膜を扁平に固定させ、レーザー走査共焦点顕微鏡を通じて映像化するか、映像化のために切片化した。(c)未損傷対照群(GFP蛍光発光無し(明るいか、薄い灰色))の併合図である、(d)及び(e)は全身血管幹細胞投与以後2日(d)及び7日(e)の虚血性眼球の併合図である(GFP+細胞は明るいか、薄い灰色に見える)。実施例5を参照。
図20-3】 図20f。hES-誘導された血管幹細胞を全身注入した後、虚血性網膜血管構造が剛健に復旧されることを示す図面である。網膜虚血症は、マウス眼球の前室に対して静水圧を2時間ほど加えて誘導した。7日後、蛍光標識された(GFP+)血管幹細胞をガラス体内、または静脈内に注入した。1日後、この動物を安楽死させた。眼球を摘出して切開し、網膜を扁平に固定させ、レーザー走査共焦点顕微鏡を通じて映像化するか、映像化のために切片化した。(f、X600、共焦点)、蛍光免疫細胞化学でI/R損傷を受けたマウス眼球の横断面で存在する損傷された血管構造に対して血管幹細胞(hES-BC)-誘導された内皮細胞を共存させた;内境界膜に隣接した神経節細胞層内血管内腔の高配率拡大図では、周辺に内皮細胞(矢印、CD31)及び血管幹細胞(hES-BC)から誘導された成熟した内皮細胞(矢印、ヒト核抗原)で取り囲まれた内腔が見られる。挿入上部及び中間パネルは、複合映像を作るために使われた個別ヒト核抗原及びCD31チャンネルである。下部パネルは、前記のような領域の低倍率拡大図であって、ボックスはあらゆるパネルに表した部分を示す。V=ガラス体;IPL=内部網状層;RPE=網膜色素上皮細胞層;Ch=脈絡膜。実施例5を参照。
図21】糖尿病性ラットの網膜血管構造に血管幹細胞、または未分化細胞またはhES-BC細胞が導入されたことを示す図面である。(a)及び(b)は、ガラス体内の血管幹細胞投与後、約2日の糖尿病性ラットの網膜血管構造の併合映像であって、ここでは、大型血管及び小型血管の両方ともに大量で血管幹細胞が導入されたことを示す(明るいか、薄い灰色部分)と、(c)血管幹細胞の投与後、約2日の対照群(非糖尿病性)ラットの併合図であり、血管幹細胞(または血管幹細胞-誘導された細胞)が血管構造で導入されず、網膜の上部上に位置するシートを形成すると現れた(軟らかい灰色層)。(d、X100)、ガラス体内の未分化細胞注入後、約2日の非糖尿病性対照群ラット由来切片は、ヒト核抗原染色に対しては陰性であったが、内皮に対しては明らかに陽性であった(CD31、矢印)。(e、X100)及び(f、X600、共焦点)はガラス体内の血管幹細胞の注入後、約2日の糖尿病性ラット由来のラット眼球切片であって、CD31及びヒト核抗原抗体で染色したが、ガラス体と神経網膜とを分離する内境界膜に対して直ちに背面に存在する網膜の神経節細胞層内の血管内腔の内層細胞にCD31及びヒト核抗原が共存染色されたことを確かに見ることができる(明るい部分を示す矢印)。実施例6を参照。
図22】血管幹細胞注入後、虚血性後ろ足筋肉及び梗塞された心臓での内皮分化を示す図面である。a、b、h及びi:梗塞された心臓で血管幹細胞またはhES-BC細胞の分化.(a(200X))、ヒト特異的vWF抗体で免疫染色した対照群マウス由来の梗塞心筋切片であって、ヒトvWFで染色されなかったと現れ、(b、200X)及び(i、X600共焦点)、ヒト特異的vWF抗体で免疫染色した、血管幹細胞の注入後、4週経過した梗塞心筋切片である((b)及び(i)で薄い灰色または明るい部分)と、(h)シャム手術、培地対照群及び血管幹細胞を処理したマウスの生存曲線である。c-g:虚血性後ろ足筋肉で血管幹細胞の分化。(c、50X)、ヒト特異的vWF抗体で免疫染色した対照群マウス由来の後ろ足筋肉切片であって、ヒトvWFで染色されなかったと現れ、(d、50x)及び(e、600X、共焦点)、ヒト特異的vWF抗体で免疫染色した、血管幹細胞注入後、4週ごろの虚血性後ろ足筋肉切片である(薄い灰色);(f)手術的に誘導させた虚血性脚に対する血流復元を示す図面である。後ろ足血流は、6×105血管幹細胞を与えられたマウス及び培地のみを受けたマウスで結紮後、ないし30日間連続してモニターリングした。血流は、非虚血性脚に対する虚血性脚での流速として算出し、(g)レーザードップラー血流映像。対照群(培地)及びBC細胞を注入した虚血性動物(各群に対して、n=6)の映像である。実施例7及び8を参照。
図23】心筋梗塞(MI)マウス由来の心臓組織切片に対するGFP(最も薄いか、明るい部分)及びcTnI(中間灰色)の免疫染色を示す図面である。実施例8を参照。矢印は、注入された血管幹細胞(hES-BC)から誘導された二重陽性染色細胞を示す。
図24】平滑筋で血管幹細胞(hES-BC)が分化したことを表す図面である。血管幹細胞(hES-BC)で単離したRNAのPCRを通じて確認時、血管幹細胞は平滑筋特異的遺伝子を発現した。血管幹細胞(hES-BC)はまた、試験管内でも平滑筋細胞に分化した。カルポニン及びα-SMAに対する免疫染色によれば、分化された細胞はこれら2つの平滑筋細胞マーカーを発現すると現れた。
【発明を実施するための形態】
【0093】
以下、本発明を完全に理解させるために、下記に詳細な説明を記述する。
特に定義しなければ、本発明で使われるあらゆる技術的用語及び科学用語は、本発明が属する分野の当業者に通常的に分かるものと同じ意味を有する。本発明の記述と類似するか、同等な方法及び材料を本発明または本発明を試験するのに使用できるが、適した方法及び材料を下記に記述する。この物質、材料及び実施例は、説明の便宜のためのものに過ぎず、これを制限しようとするものではない。
【0094】
本発明で言及したあらゆる出版物、特許、特許公開書及び出願書及びその他の文献を全体として参照して含める。
【0095】
本明細書の全般にわたって、単語“含む(comprise)”またはその異なる形態である、例えば“含む(comprises)”または“含んでいる(comprising)”は、言及した整数または整数群を含めるものであり、任意の他の整数または整数群を排除しようとするものではない。
【0096】
本発明をさらに明確にするために、ここで、下記用語及び定義を提供する。
【0097】
用語“ヒト胚芽幹細胞”(human embryonic stem cell:hES細胞)は当分野で使われるものと同じ意味であって、本発明で使用する。この用語は、細胞株として連続継代培養できるヒト桑実胚または胚盤胞の内部細胞群で誘導された細胞を含む。hES細胞は、精子またはDNAを利用した卵細胞の受精、核移植、処女生殖から、またはHLA領域に同型接合体を利用したhES細胞の生成方法を通じて誘導しうる。ヒトES細胞はまた、精子と卵細胞の融合、核移植、処女生殖、または染色質の再プログラム化及び細胞生産のために前記再プログラム化された染色質を円形質膜に後続導入することを通じて生産された、接合体、卵割球、または胚盤胞段階の哺乳類胚芽から誘導された細胞である。本発明のヒト胚芽幹細胞は、ACT-4、No.3、Hl、H7、H9、H14及びACT30胚芽幹細胞を含むことができるが、これに制限されるものではない。
【0098】
用語“蛋白質伝達ドメイン”(protein transduction domain:“PTD”)は、細胞膜を横切って細胞内に転位されるか、または、例えば、PTDが付着される他の分子(例えば、蛋白質ドメイン)が細胞膜を横切って細胞内への転位速度を高めるか、速度を与える任意のアミノ酸配列を意味するものである。蛋白質伝達ドメインは、巨大蛋白質の一部として天然的に発生したドメインまたは配列(例えば、ウイルス蛋白質、例えばHIV TATのPTD)であるか、または合成または人工アミノ酸配列でありうる。
概要
本発明は、ヒト胚芽由来細胞由来のヒト血管コロニー形成細胞の生成及び増殖のための方法、ヒト血管コロニー形成細胞を含む調製物及び組成物、血管コロニー形成細胞から部分的に、または最終的に分化された多様な細胞類型を生産する方法、血管コロニー形成細胞を治療的に使用する方法、及び血管コロニー形成細胞から部分的に、または最終的に分化された多様な細胞類型を治療的に使用する方法を提供する。
【0099】
用語“血管幹細胞(hemangioblast)”及び“血管コロニー形成細胞(hemangio-colony forming cell)”は、本出願書の全般にわたって相互交換的に使われる。これら細胞は、これに制限されるものではないが、1つ以上のマーカーの発現(RNAまたは蛋白質)または発現欠如(RNAまたは蛋白質)をはじめとする多様な構造的及び機能的特性に基づいて説明しうる。血管コロニー形成細胞は、少なくとも造血細胞類型または内皮細胞類型を生成するように分化される。血管コロニー形成細胞は、望ましく両性能(bipotential)で少なくとも造血細胞類型及び内皮細胞類型を生成するように分化される。このように、本発明の血管コロニー形成細胞は、少なくとも単性能であり、望ましくは、陽性能である。しかし、追加的に血管コロニー形成細胞は、相当な発生能を有することができ、一定実施形態では、他の系統の細胞類型を生成するように分化される。一実施形態で、血管コロニー形成細胞は、他の中はい葉誘導体(mesodermal derivative)、例えば、心臓細胞(例えば、心筋細胞(cardiomyocyte))及び/または平滑筋細胞(smooth muscle cell)を生成するように分化される。
【0100】
本発明はまた、ES細胞、胚盤胞(blastocyts)または卵割球(blastomere)、胎盤または臍帯組織(umbilical tissue)由来臍帯血、末梢血液、骨髄または他の組織を含む任意供給源から得るか、または当分野の他の方法により得た哺乳類血管コロニー形成細胞を増殖させる方法を提供する。ヒト血管コロニー形成細胞はまた、ヒト胚芽由来細胞から生成させうる。ヒト胚芽由来細胞は、実質的に同種細胞個体群、異種細胞個体群、または胚芽組織の一部または全部でありうる。本発明の方法で使用できる胚芽由来細胞の例として、ヒト血管コロニー形成細胞は、ヒト胚芽幹細胞から生成させることができる。このような胚芽幹細胞は、例えば、胚盤胞、プレートされたICM、1つ以上の卵割球、または受精、体細胞核移植(SCNT)、処女生殖(parthenogensis)、童貞生殖(androgenesis)、またはその他の有性または無性方式による生産方式とは関係なく、着床前段階胚芽または胚芽類似構造物の他の部分を利用するか、これより誘導された胚芽幹細胞を含む。
【0101】
一定実施形態で、血管幹細胞は、血小板及び赤血球細胞を含む造血細胞にさらに分化され、これに制限されるものではない。このような細胞は、輸血時に使用しうる。輸血のための大量の細胞を生成する能力は、国全体の血液銀行及び病院で体験している慢性的な血液不足を軽減させるようになる。一定実施形態で、本発明の方法は、輸血のための万能(universal)細胞を生産可能にする。具体的に、O型及びRh-型の赤血球細胞を容易に生成できて、輸血用の万能血液供給源として提供される。
【0102】
本発明の方法は、多様な商業的及び臨床的応用分野で、血管幹細胞を容易に多量に試験管内で増幅させうる。試験管内の血管幹細胞の増幅は、血管幹細胞を増殖させることを意味する。本発明の方法は、ヒト造血細胞の増殖量が商業的に有用な量に到達可能にし、また本発明は、多量の血管幹細胞及び多量のヒト血管幹細胞(例えば、10,000、100,000または500,000細胞以上)を含む細胞調製物に関する。一定実施形態で、細胞調製物は、1×106細胞以上を含む。他の実施形態で、細胞調製物は、ヒト血管幹細胞を2×106細胞以上に含み、さらに他の実施形態では、ヒト血管幹細胞を3×106細胞以上に含む。さらに他の実施形態で、細胞調製物は、ヒト血管幹細胞を4×106細胞以上に含む。
【0103】
本発明は、10,000ないし4百万以上の哺乳類(例えば、ヒト)血管幹細胞を含む溶液、調製物及び組成物に関する。このような溶液、調製物及び組成物のうち、血管幹細胞の数は、10,000ないし4百万またはそれ以上の範囲内の任意の数でありえる。この数は、例えば、20,000、50,000、100,000、500,000、1百万でありうる。
【0104】
同様に、本発明は、ヒト血管幹細胞の子孫細胞の調製物(例えば、ヒト造血細胞、及び内皮細胞を含むヒト造血母細胞)に関する。本発明はまた、血管幹細胞及び/または血管幹細胞系統細胞を生産、保管及び分配する方法に関するものである。
【0105】
本発明はまた、ヒトまたは動物患者に輸血するために適した方法及び溶液を提供する。具体的な実施形態で、本発明は輸血のための赤血細胞及び/または血小板、及び/または他の造血細胞類型を製造する方法を提供する。一実施形態で、本発明は血管関連疾患または疾病の治療で、または外傷後の輸血のための血液を提供する血液銀行及び病院での使用に適している。一実施形態で、本発明は万能供与者細胞である赤血細胞を提供する。一実施形態で、前記赤血細胞は、輸血前に機能性であり、ヘモオグロビンFを発現する。
【0106】
本発明はまた、ヒト血管コロニー形成細胞、ヒト血管コロニー形成細胞の実質的に精製された個体群を含む細胞培養物、ヒト血管コロニー形成細胞を含む薬学調製物及び血管コロニー形成細胞の凍結保存調製物を提供する。一実施形態で、本発明は、病態の治療を必要とする患者で病態を治療するための薬物製造でのヒト血管コロニー形成細胞の用途を提供する。一方、本発明は、病態の治療を必要とする患者で病態を治療するための薬物の製造での細胞培養物の用途を提供する。本発明はまた、病態の治療を必要とする患者で病態を治療するための薬物の製造での薬学調製物の用途を提供する。
【0107】
血管コロニー形成細胞はこれらの構造的特性に基づいて同定して特徴を糾明する。具体的に、一実施形態で、これら細胞は、互いに緩く付着するという点で独特である(他の血管コロニー形成細胞に緩く付着)。これら細胞は、相互緩く付着するために、血管コロニー形成細胞の培養物またはコロニーは酵素的解体方法を必要とせず、機械的解体法のみを使用して単一細胞に解体させることができる。この細胞は、酵素的解体または機械的解体と酵素的解体との組合わせよりは、機械的解体のみでも、実質的に細胞の生存能を損傷させずに、培養物またはコロニーを十分に脱凝集化させるように、相互緩く付着されている。言い換えれば、酵素的な細胞凝集物の解体以後に観察されるものと比較して、実質的に細胞損傷または死滅をもたらすほどの強い力が加えられる機械的解体を必要としない。
【0108】
また、血管コロニー形成細胞は、1つ以上のマーカーの発現または発現欠如(遺伝子レベルまたは蛋白質レベルで評価時)に基づいて、同定するか、または特徴を糾明しうる。例えば、一実施形態で、血管コロニー形成細胞は、1つ以上の下記細胞表面マーカーの発現欠如(例えば、下記マーカーの1つ以上、2つ以上、3つ以上または4つ以上の発現欠如に基づいて、前記細胞の特徴を糾明する)に基づいて同定するか、または特徴を糾明しうる:CD34、KDR、CD133またはCD31。これとは異なって、または追加的に、血管コロニー形成細胞は、GATA2及び/またはLMO2の発現に基づいて同定するか、または特徴を糾明しうる。追加的に、または代案的に、血管コロニー形成細胞は、表2に分析した1つ以上のマーカーの発現欠如または発現(遺伝子レベルまたは蛋白質レベルで評価時)に基づいて同定するか、特徴を糾明しうる。
【0109】
本発明の血管コロニー形成細胞は、これらの構造的または機能的特徴のうち、1つまたはその任意組合わせに基づいて同定するか、特徴を糾明しうる。これら細胞が任意の多数供給源、例えば、胚芽組織(embryonic tissue)、出生期組織(prenatal tissue)、または周産期組織(perinatal tissue)から誘導できるが、用語“血管コロニー形成細胞(hemangio-colony forming cells)”という供給源と関係なく、少なくとも造血細胞類型及び/または内皮細胞類型を生成するように分化することができ、前述した構造的または技術的特性を有する細胞に対して使用するということを留意せねばならない。
胚様体及び血管幹細胞を得るためのヒト胚芽幹細胞の試験管内分化
本発明は、ヒト胚芽幹細胞からまたはヒト胞胚または割球で誘導されるヒト血管幹細胞を生成及び増殖させる方法を提供する。このように生成される血管幹細胞は精製及び/または分離しうる。
【0110】
ヒト血管コロニー形成細胞はまたヒト胚芽で誘導される細胞から形成しうる。ヒト胚芽で誘導される細胞は、実質的に同種の細胞群集、異種細胞群集または胚芽組織の一部または全部でありうる。本発明の方法に使われうる、胚芽で誘導される細胞の例として、ヒト血管コロニー形成細胞をヒト胚芽幹細胞から発生させることができる。このような胚芽幹細胞は、受精、体細胞核転移(SCNT)、単性生殖、雄性発生またはその他の生殖または非生殖手段による生成とは関係なく、例えば、胞胚、プレートされたICM、1つ以上の割球または着床前段階の胚芽または胚芽類似構造の他の部分から、またはこれらを使用して誘導される胚芽幹細胞を含む。
【0111】
さらに、または択一的に、血管コロニー形成細胞は、他の胚芽で誘導される細胞から生成させることができる。例えば、血管コロニー形成細胞は、受精、体細胞核転移(SCNT)、単性生殖、雄性発生またはその他の生殖または非生殖手段による生成とは関係なく、(必ずしも、胚芽幹細胞誘導段階を経る必要はなく)プレートされた胚芽、ICM、胞胚、栄養膜/栄養膜はい葉細胞、1つ以上の割球、栄養膜幹細胞、胚芽生殖細胞または着床前段階の胚芽または胚芽類似構造の他の部分から、またはこれらを使用して生成させることができる。同様に、血管コロニー形成細胞は、胚芽で誘導される細胞から部分的に分化された細胞または細胞株を使用して生成させることができる。例えば、ヒト胚芽幹細胞株を使用して発達可能性及び適応性面で血管コロニー形成細胞より発達学的にさらに初期の細胞を生成させる場合、このような胚芽で誘導される細胞を使用して血管コロニー形成細胞を発生させることができる。
【0112】
さらに、または択一的に、血管コロニー形成細胞は、非制限的に臍帯、臍帯血、羊水、羊水幹細胞及び胎盤を含む他の胎児期または周産期供給源から発生させることができる。
【0113】
血管コロニー形成細胞をヒト胚芽組織から生成させる場合、胚様体形成段階が必要でありえる。しかし、胚様体の形成は、初期発達の間に発生するはい葉の3次元的相互作用を反復するのに少なくとも部分的に助けになるので、胚芽で誘導される細胞が既に胚様体の形成と実質的に同じ目的のための組織化または構造を有する場合、このような段階が必ずしも必要なものではない。例えば、血管コロニー形成細胞をプレートされた胞胚から生成させる場合、胞胚細胞中に一定レベルの3次元的組織化が既に存在する。したがって、細胞間信号、誘導信号または3次元的構造を提供するのに胚様体形成段階が必ずしも必要なものではない。
【0114】
本発明の方法及び用途は、胚芽で誘導される細胞から血管コロニー形成細胞を生成させるのに使われうる。特定の実施形態で、胚芽で誘導される細胞は、胚芽幹細胞である。他の特定の実施形態で、胚芽で誘導される細胞は、プレートされた胚芽、ICM、胞胚、栄養膜/栄養膜はい葉細胞、1つ以上の割球、栄養膜幹細胞または初期着床前胚芽の他の部分である。前記のうち、任意のものに対し、胚芽で誘導される細胞は、受精、体細胞核転移(SCNT)、単性生殖、雄性発生またはその他の生殖または非生殖手段によって生成される胚芽で由来されうる。
【0115】
本出願を通じて、胚芽幹細胞から血管コロニー形成細胞を特異的に生成させることと関連して本発明を開示する場合、本発明はまた、胚芽で誘導される他の細胞から、またはこれを使用して任意の同じ治療用途のために生成させた細胞を使用して血管コロニー形成細胞を生成させることを含む。
【0116】
本発明の一部様態で、ヒト胚芽幹細胞はこの方法の出発材料でありうる。胚芽幹細胞は、例えば、栄養供給細胞の存在または不在下に業界に公知された任意の方法で培養しうる。
【0117】
胚芽幹細胞は、血清を含有する培地のうち、懸濁物で胚様体(embroid body:“EB”)を形成しうる(Wang et al.2005 J Exp Med(201):1603-1614と、Wang et al.2004 Immunity(21):31-41と、Chadwick et al.2003 Blood(102):906-915)。しかし、血清の添加は、実験での可変性、費用、感染性製剤の可能性及び供給制限をはじめとする若干の問題がある。また、臨床的用途及び特定商業的用途で、血清の使用は、生物学的生成物を規正するさらなる米国及び国際規制の遵守を必要とする。
【0118】
本発明は、血清が使われていない胚芽幹細胞からヒト血管幹細胞を生成及び増殖させる方法を提供する。無血清条件が血清を必要とする条件より良好な製造工程(GMP)ガイドライン下での大規模製造にさらに有利である。また、無血清条件は、培地に添加される特定因子の半減期を延長させる(例えば、血清が存在しない場合、培地で成長因子、サイトカイン及びHOXB4を含む蛋白質の半減期が増加する)。特定の実施形態では、無血清培地がヒト血管幹細胞を生成及び増殖させるための本発明方法を通じて使われる。
【0119】
ヒト血管幹細胞を生成及び増殖させるための本方法の第1段階で、ヒト幹細胞は無血清培地で成長されて胚様体に分化されるように誘導される。胚様体形成を誘導するために、胚芽幹細胞をペレット化して1つ以上の形態形成因子及びサイトカインを補充した後、低付着(例えば、超低付着)培養プレートにプレートした無血清培地に(例えば、Stemline IまたはII培地(SigmaTM)中に)再懸濁させうる。形態形成因子及びサイトカインは、骨形態形成蛋白質(例えば、BMP2、BMP-4、BMP-7、しかしBMP-3は除き)及びVEGF、SCF及びFLを含むことができるが、これに限定されない。骨形態形成蛋白質及びVEGFは、単独でまたは他の因子と共に使われうる。形態形成因子及びサイトカインは、細胞培養0~48時間から培地に添加されうる。このような条件下に恒温処理した後、血小板形成因子(TPO)、Flt-3配位子及び幹細胞因子(SCF)を含むが、これに限定されない初期造血増殖サイトカインの存在下で恒温処理すれば、プレートされたES細胞がEBを形成しうる。TPO、Flt-3配位子及びSCF以外に、VEGF、BMP-4及びHoxB4も培地に添加されうる。一実施形態で、まずヒトES細胞をBMP-4及びVEGF165(例えば、25~100ng/ml)の存在下に成長させた後、BMP-4、VEGF165、SCF、TPO及びFLT3配位子(ligand)(例えば、10~50ng/ml)及びHoxB4(例えば、本願に開示されたような1.5~5μg/mlのトリプル蛋白質伝達ドメイン-HoxB4融合蛋白質)の存在下に成長させる。追加因子をプレートの後、48~72時間に添加しうる。
【0120】
本発明の前記方法で、ヒト血管幹細胞は、初期胚様体(“EB”)から分離される。初期EBから血管幹細胞の分離は、試験管内の細胞の増殖を支援する。ヒト細胞で、血管幹細胞は、10日未満で成長したEBから得られる。本発明の特定の実施形態で、血管幹細胞は2~6日間成長したヒトEBで発生する。一実施形態によれば、血管幹細胞を確認して4~6日間成長したヒトEBから分離しうる。他の実施形態では、血管幹細胞を分離する前にヒトEBを2~5日間成長させる。特定の実施形態では、血管幹細胞を分離する前にヒトEBを3~4.5日間成長させる。
【0121】
特定の実施形態で、初期EBを洗浄し(例えば、トリプシン/EDTAまたはコラゲン分解酵素Bによって)分離する。選択された数の細胞(例えば、2~5x1O5細胞)を血管幹細胞成長のために最適化された無血清メチルセルロース培地(例えば、BL-CFU培地、例えばStem Cell Technologies Catalogue H4436、または血管幹細胞増殖培地(HGM)、またはMDMのうち、1.0%メチルセルロース、1~2%牛血清アルブミン、0.1mM2-メルカプロエタノール、10μg/mlrh-インシュリン、200μg/mlの鉄結合ヒトトランスフェリン、20ng/mlのrh-GM-CSF、20ng/mlのrh-IL-3、20ng/mlのrh-IL-6、20ng/mlのrh-G-CSFを含有する任意の培地)(“rh”は、“組み換えヒト”を意味する)と混合する。このような培地には、初期段階サイトカイン(EPO、TPO、SCF、FL、FLt-3、VEGF、BMP、例えばBMP2、BMP4及びBMP7を含むが、これに限定されない、しかしBMP3は除き)及びHOXB4(または、さらなるホメオボックス蛋白質)を補充しうる。特定の実施形態では、エリスロポエチン(EPO)を培地に添加する。追加実施形態では、EPO、SCF、VEGF、BMP-4及びHoxB4を培地に添加する。追加実施形態では、細胞をEPO、TPO及びFLの存在下に成長させる。H9が出発ヒトES細胞株である特定の実施形態では、EPO、TPO及びFLを培地に添加する。EPO、TPO及びFL以外に、H9から誘導された細胞または他のES細胞のための培地はVEGF、BMP-4及びHoxB4をさらに含むことができる。
【0122】
血管幹細胞を含む、本方法によって得られる細胞(前記細胞はBL-CFU培地内にありえる)を超低付着培養プレートにプレートし、CO2恒温処理器で恒温処理して血管幹細胞コロニーを成長させる。一部細胞は、2次EBを形成しうる。3~6日後、一部の場合3~4.5日後、血管幹細胞コロニーが観察される。血管幹細胞コロニーは、特徴的な葡萄状形態及び/または小型サイズによって2次EBのような他の細胞と区別されうる。また、血管幹細胞は、特定マーカーの発現(例えば、初期造血細胞マーカー及び内皮細胞マーカーの発現)及び少なくとも造血細胞及び内皮細胞への分化能(以下、血管幹細胞系統細胞誘導参照)で確認されることができる。例えば、血管幹細胞は、成熟した内皮細胞または造血細胞の特徴的な一定の特徴を欠如しても、これら細胞は(例えば、CD71+のような)特定マーカーの存在及び他のマーカー(例えば、CD34-)の不在で確認されることができる。血管幹細胞はまた、GATA-1及びGATA-2蛋白質、CXCR-4、及びTPOとEPO受容体を発現させることができる。また、血管幹細胞は他のマーカー(例えば、CD31、CD34、KDR、または他の付着分子)の発現が低いか、ないということを特徴とすることができる。また、血管幹細胞は、特定遺伝子、例えば、血管幹細胞及び初期の未発達赤芽細胞発達と関連した遺伝子、例えば、SCL、LMO2、FLT-I、胚芽胎児グロビン遺伝子、NF-E2、GATA-1、EKLF、ICAM-4、グリコホリウンス(glicophoriuns)及びEPO受容体の発現を特徴とすることができる。
【0123】
したがって、血管幹細胞は大きさ(他の細胞より小さい)によって分離するか、または例えば、免疫親和性カラムクロマトグラフィーによってアンチ-CD71+抗体で精製しうる。
【0124】
血管幹細胞は、以下の手続によって大きさ及び/または形態により分離されうる。6~7日成長後、前記細胞混合物はEB(これは丸くて多数の細胞の塊りである)及び血管幹細胞(これは葡萄状であり、EBより小さく、単一細胞である)を含有する。したがって、血管幹細胞は、形態及び大きさを基準に分離しうる。血管幹細胞は、例えば、細胞混合物を顕微鏡で観察する場合、手作業で選び出すことができる。以後、細胞をコロニー(各コロニーは100~150個の細胞を有する)に成長させることができる。
【0125】
前記のように誘導されるヒト血管幹細胞コロニーを選び出してメチルセルロースCFU-培地上で再プレートして造血CFUを形成しうる。特定の実施形態で、CFU-培地は、Stem Cell Technologies H4436を含む。追加実施形態では、血管幹細胞をサイトカイン及び他の因子を補充したStemlineII培地でプレートする。例えば、個々のBL-CFCコロニーを手で取ってStemlineIIと組み換え型ヒトSCF(例えば、20ng/ml)、TPO(例えば、20ng/ml)、FL(例えば、20ng/ml)、IL-3(例えば、20ng/ml)、VEGF(例えば、20ng/ml)、G-CSF(例えば、2Onng/ml)、BMP-4(例えば、15ng/ml)、IL-6(例えば、10ng/ml)、IGF-1(例えば、10ng/ml)、内皮細胞成長補充物(ECGS、例えば、100μg/ml)、Epo(例えば、3U/ml)を含有するフィブロネクチン-コーティングプレートに移すことができる。試験管内で1週間成長させた後、用心深くピペットで採取して非付着造血細胞を除去し、造血CFU分析に直接使用することができる。非付着細胞を除去した後、付着群集をEGM-2内皮細胞培地(CambrexTM)で1週間成長させた後、vWFの発現を調べることができる。
試験管内血管幹細胞の増殖
本発明の特定様態は、血管幹細胞の試験管内増殖に関する。特定の実施形態で、本発明の方法で増殖される血管幹細胞は、前記のようにヒト胚芽幹細胞から誘導される初期胚様体から得られる。
【0126】
ヒト胚芽幹細胞(hES細胞)から血管幹細胞を誘導する以外に、増殖させる血管幹細胞はまた、ほ乳動物胚芽(Ogawa et al.2001 Int Rev Immunol(20):21-44、米国特許公報2004/0052771号)、臍帯組織及び胎盤からの臍帯血(Pelosi、et al. 2002 Blood(100):3203-3208;Cogle et al. 2004 Blood(103):133-5)、末梢血液及び骨髄(Pelosietal.2002 Hematopoiesis(100):3203-3208)のような他のほ乳動物供給源から分離しうる。特定の実施形態では、増殖させる非ヒト血管幹細胞を(マウス及び非ヒト霊長類のような)非ヒト胚芽幹細胞から生成させることができる。特定の実施形態で、血管幹細胞は、例えば、磁気ビード陽性選別または精製技術(例えば、MACSカラム)のような方法によって臍帯血(UCB)または骨髄から得られる。細胞は、そのCD71+状態を基準に選択され、CD34-として確認されることがある。また、分離された血管幹細胞は、造血細胞系統及び内皮細胞系統の生成可能性に対して試験しうる。特定の実施形態で、分離または精製され、任意に胚芽、臍帯血、末梢血液、骨髄または他の組織から濃厚化された血管幹細胞は純度95%を超過する。
【0127】
骨髄由来細胞は、出生前(例えば、胚芽または胎児)、幼児期(例えば、ヒトで出生から約3才)、児童期(例えば、ヒトで約3才から約13才)、思春期(例えば、ヒトで約13才ないし約18才)、青年期(例えば、ヒトで約18才ないし約35才)、壮年期(ヒトで約35才ないし約55才)または老年期(例えば、ヒトで約55才以上)をはじめとする供与者個人の任意の発達段階から得られる。
【0128】
ヒトの骨髄は、例えば、手術中の患者の分層胸骨から採取して得られる。以後、骨髄は体積で0.1~1mm3の組織塊りで保存した後、マウス胚芽栄養供給層(例えば、ミトマイシンC-処理または照射された栄養供給層)で成長させうる。骨髄細胞は、1~2週の培養期間にわたってプレートに付着し、血管幹細胞は、形態特性及び/または細胞マーカーを基準に確認及び分離しうる(US2004/0052771号参照)。以後、細胞を本願に開示された方法によって無血清条件で成長及び増殖させうる。
【0129】
また、骨髄細胞及び血液または他の組織で由来する細胞を分別して血管幹細胞を得られる。分別方法は、業界に広く公知されており、一般的に陽性選別(すなわち、特定特性を基準にした細胞の保持)及び陰性選別(すなわち、特定特性を基準にした細胞の除去)をいずれも含む。骨髄由来細胞の濃厚化及び分別方法は、ヒト及びマウス細胞に対して最も特徴的である。
【0130】
骨髄由来細胞または他の細胞の各種濃厚化及び分別方法が業界に公知されている。CD71を発現させる細胞の濃厚化のような陽性選別方法を使用しうる。CD3、CD10、CD11b、CD14、CD16、CD15、CD16、CD19、CD20、CD32、CD45、CD45R/B220またはLy6Gを発現させる細胞を除去または減少させる陰性選別方法も単独で、または陽性選別技術と共に使用しうる。骨髄細胞の場合、供与者骨髄由来細胞が自家組織でない場合、分化されたT細胞を減少または除去させるために細胞製造物で陰性選別を実施しうる。
【0131】
一般的に、骨髄由来細胞、血液細胞または他の細胞の選択/濃厚化に使われる方法は、免疫親和性技術を利用するが、密度遠心分離方法も有用である。免疫親和性技術は、業界に公知されたような多様な形態を行えるが、一般的に抗体または抗体誘導体を一部類型の分離技術と共に利用する。前記分離技術は、一般的に抗体によって結合された細胞及び抗体によって結合されていない細胞を物理的に分離させるが、一部の場合、抗体によって結合された細胞を死滅させる分離技術が陰性選別に使われうる。
【0132】
蛍光-活性細胞分類(FACS)、パンニング、免疫磁気分離、免疫親和性クロマトグラフィー、抗体-媒介補体固定、免疫毒素、密度勾配分離などをはじめとする任意の適当な免疫親和性技術を骨髄由来細胞、血液細胞または他の細胞で由来する血管幹細胞の選択/濃厚化に利用しうる。免疫親和性過程で処理した後、所定細胞(陽性選別の場合、免疫親和性試薬によって結合された細胞、陰性選別の場合、免疫親和性試薬によって結合されていない細胞)を回収し、追加回収の免疫親和性選択/濃厚化を経させうる。
【0133】
免疫親和性選択/補強は、通常、骨髄で誘導された細胞を含む細胞の製剤を抗体または抗体で誘導された親和性試薬(例えば、所定表面マーカーに対して特異的な抗体)で培養した後、抗体が結合された細胞のために、または細胞に対して選択するのに結合された親和性試薬を使用することで実施する。選択工程は一般的に、 固相基質に(直接または間接)結合された抗体を利用して(パンニング、免疫親和性クロマトグラフィー)または親和性試薬を通じて磁気粒子に結合された細胞の収集に磁場を利用し(免疫磁気分離)、結合された親和性試薬の存否(FACS)によって単一細胞を含有する液滴を異なる容器に誘導することで達成しうる物理的分離を伴う。代案として、細胞毒性損傷を親和性試薬により結合された細胞に誘導する親和性試薬を利用して骨髄で誘導された細胞製剤から所望しない細胞を除去しうる。細胞毒性損傷は、親和性試薬により活性化されるか(例えば、補体結合)、または親和性試薬により目標細胞に局所化させうる(例えば、リシンB鎖のような免疫毒素)。
【0134】
前記方法は、骨髄で誘導された細胞または血液細胞の製剤から細胞を補強することに関するものであるが、当業者ならば、類似した陽性及び陰性選択技術を他の組織から出た細胞製剤に適用できるであろう。
【0135】
本発明の特定様態は、血管幹細胞の試験管内増殖に関する。特定の実施形態で、本発明の方法により増殖された血管幹細胞は、前述したようなヒト胚芽幹細胞から誘導された早期胚様体から得る。他の実施形態で、血管幹細胞は、ヒト組織(例えば、胎盤または臍帯血液、末梢血液、骨髄など)から単離または補強する。
【0136】
特定の実施形態で、血管幹細胞は、ホメオドメイン蛋白質(本明細書でホメオボックス蛋白質とも称する)の存在下に増殖させる。追加実施形態で、血管幹細胞は、HOXB4の存在下に増殖させる。特定の実施形態で、HOXB4は血管幹細胞の増殖方法を通じて血管幹細胞に添加する。
【0137】
HOXB4は、骨髄の幹細胞分画で細胞内発現され、次いで、分化の間に下方調節されるホメオドメイン転写因子である(HOX2F、HOX2、HOX-2.6、そしてラットではH0XA5とも称する)。HOXB4遺伝子の発現は、原始幹細胞表現型の保持と関連している[文献(Sauvageau et al.1995 Genes Dev9:1753-1765;Buske et al.2002 Blood 100:862-868;Thorsteinsdottir et al.1999 Blood 94:2605-2612;Antonchuk et al. 2001 Exp Hematol 29:1125-1134)]。
【0138】
本発明の方法で血管幹細胞の生成及び増殖に使われるHOXB4は全長HOXB4(例えば、公開受託番号GI:13273315、GI:29351568と特定されたHOXB4ポリペプチド)だけでなく、その任意の機能性変移体及び活性断片を含むが、これに限定されない。野生型HOXB4蛋白質は、配列番号1、配列番号3のアミノ酸配列またはその蛋白質の任意の他の代案的な対立遺伝子形態でコーディングされうる。このような配列は、Genbankのように公開的に入手可能なデータベースを通じて接近しうる。また、HOXB4は、細胞内でエクトピカル(ectopical)に発現されるか、培地に提供されうる。エクトピカルに発現されたHOXB4は、誘発促進者に実施可能に連結されうる。培地に提供されたHOXB4は、他の細胞形態(例えば、フィーダ層)により分泌されるか、または培地に直接添加されうる。
【0139】
本発明はまた、HOXB4(全長HOXB4またはHOXB4機能性変移体またはHOXB4の活性断片を含む融合蛋白質含む)を含む融合蛋白質に関する。HOXB4以外に、この融合蛋白質はまた、任意の追加蛋白質、蛋白質ドメインまたはペプチドを含むことができる。特定の実施形態で、HOXB4は培地から細胞に、次いで核区域に蛋白質が転位されるように、蛋白質伝達ドメイン(PTD)に結合しうる。融合蛋白質は、蛋白質ドメイン間に位置した1以上のリンカー配列を含めるか、含めない。
【0140】
HOXB4の機能性変移体は、HOXB4の突然変異及び対立遺伝子変移体及びその活性断片を含む。HOXB4の機能性変移体は、本発明の方法によって血管幹細胞を増殖させうる任意のHOXB4ポリペプチド及びその活性断片を含む。HOXB4機能性変移体はまた、本来のHOXB4蛋白紙に比べて転写活性がさらに大きいHOXB4ポリペプチドを含む。HOXB4変移体は、野生型HOXB4と関連して1以上のアミノ酸が置換、付加及び/または欠失された蛋白質を含む。HOXB4変移体はまた、配列番号1または配列番号3に提供された配列と75%以上類似したポリペプチドを含むが、これに限定されない。したがって、HOXB4変移体は、配列番号1または配列番号3に提供されたアミノ酸配列と80%、85%、90%、95%及び99%類似したポリペプチドを含む。
【0141】
HOXB4変移体はまた、その補体をコーディングする核酸配列と80%以上同じ核酸配列でコーディングされたポリペプチドを含む[例えば、野生型HOXB4蛋白質は、配列番号2(GI:85376187)または配列番号4(GI:29351567)の核酸配列によりコーディングされうる]。したがって、HOXB4変移体は、配列番号2または配列番号4に提供された配列と85%、90%、95%及び99%同一である核酸配列またはその相補配列でコーディングされたHOXB4ポリペプチドを含む。
【0142】
HOXB4をコーディングする核酸配列は、厳格な条件下で配列番号2または4の核酸配列で結合する任意の核酸配列またはその相補配列またはその断片を含むが、これに限定されない。同様に、遺伝子コードの縮退性によって、配列番号2または4に記載された核酸と異なる核酸も本発明の範囲に含まれる。HOXB4変移体ポリペプチドはまた、スプライス変移体または他の自然発生HOXB4蛋白質または核酸配列を含む。
【0143】
HOXB4の活性断片は、本発明の方法によって血管幹細胞を保持しうる全長HOXB4ポリペプチドの任意の断片を含むが、これに限定されない。したがって、一実施形態で、本発明のHOXB4蛋白質は、N末端の一部、例えば、全長HOXB4のN末端31、32、または33アミノ酸が欠失されたHOXB4蛋白質である。HOXB4蛋白質のうち、任意のものは追加蛋白質または蛋白質ドメインで融合されうる。例えば、HOXB4は蛋白質伝達ドメイン(PTD)に連結されうる。
【0144】
HOXB4に共有または非共有結合された蛋白質伝達ドメインは、HOBX4が細胞膜を横切って転位させて、蛋白質を細胞の核区域に最終的に到達させうる。
【0145】
HOXB4蛋白質で融合されるPTDは、HIV転写活性蛋白質(TAT)(Tat47-57)のPTDを含む[文献(Schwarze and Dowdy 2000 Trends Pharmacol.Sci.21:45-48;Krosl et al.2003 Nature Medicine(9):1428-1432)]。HIV TAT蛋白質において、膜転位活性を与えるアミノ酸配列は、残基47-57(YGRKKRRQRRR、配列番号5)に該当する[文献(Ho et al.、2001、Cancer Research 61:473-477;Vives et al.,1997,J.Biol.Chem.272:16010-16017)]。この配列は、単独で蛋白質転位活性を与える。TAT PTDはまた、9個のアミノ酸ペプチド配列RKKRRQRRR(配列番号6)[文献((Park et al.MoI Cells 2002(30):202-8)]。TAT PTD配列は、YARKARRQARR(配列番号7)、YARAAARQARA(配列番号8)、YARAARRAARR(配列番号9)及びRARAARRAARA(配列番号10)をはじめとして文献(Ho et al.,2001,Cancer Research 61:473-477)(その開示内容を本明細書で参考にして引用する)に開示されたペプチド配列のうち、任意のものでありうる。
【0146】
本発明のHOXB4蛋白質に融合されうるPTDを含む他の蛋白質は、単純疱疹ウイルス1(HSV-I)DNA結合蛋白質VP22及びショウジョウバエアンテナペジア(Drosophila Antennapedia、Antp)ホメオチック転写因子を含む[文献(Schwarze et al.2000 Trends Cell Biol.(10):290-295)]。Antpに対してアミノ酸43-58(RQIKIWFQNRRMKWKK、配列番号11)は、蛋白質伝達ドメインを表し、HSV VP22に対してPTDは残基DAATATRGRSAASRPTERPRAPARSASRPRRPVE(配列番号12)で表示される。代案として、伝達活性を与える人工ペプチドまたはHeptaARG(RRRRRRR、配列番号13)が本発明のPTDとして使われうる。
【0147】
追加実施形態で、PTDペプチドは二重化または多重化されたPTDペプチドでありうる。特定の実施形態で、PTDは、TAT PTDペプチドYARAAARQARA(配列番号14)のうち、1つ以上である。特定の実施形態で、PTDは、TAT PTDペプチドYARAAARQARA(配列番号15)のうち、3つで構成されたマルチマーである。例えば、三重化合成蛋白質伝達ドメイン(tPTD)のようなマルチマーPTDに融合または結合されたHOXB4蛋白質は、細胞内で減少した不安定性及び増加した安定性を表すことができる。このようなHOXB4構造はまた、hES細胞の存在下に、そして無血清培地内で安定的でありうる。
【0148】
融合蛋白質をコーディングする融合遺伝子の製造技術は、当業系に公知されている。実質的に、異なるポリペプチド配列をコーディングする多様なDNA断片の連結は、通常的な技術によって行う。他の実施形態で、融合遺伝子は、自動DNA合成器をはじめとする通常的な技術により合成しうる。代案として、遺伝子断片のPCR増幅は、後続してアニーリング処理してキメラ遺伝子配列を生成させる2個の連続遺伝子断片間に補完的懸垂を誘発するアンカープライマ(anchorprimer)を使用して行える[例えば、文献(Current Protocolsin Molecular Biology,eds.Ausubel et al.,JohnWiley&Sons:1992)参照]。
【0149】
特定の実施形態で、ポリ-(His)配列のように精製先導配列をコーディングする融合遺伝子がHOXB4ポリペプチドまたはHOXB4-融合蛋白質の所定部分のN末端に結合されて、Ni2+金属樹脂を利用する親和性クロマトグラフィーにより融合蛋白質が精製されうる。次いで、精製先導配列をエンテロキナーゼで処理して除去し、精製されたHOXB4ポリペプチドを提供しうる[例えば、文献(Hochuli et al.,(1987)J.Chromatography 411:177;and Janknecht et al.、PNAS USA 88:8972)参照]。
【0150】
特定の実施形態で、HOXB4蛋白質またはその機能性変移体または活性ドメインは、リンカー配列を介在するか、介在せず、第2蛋白質または蛋白質ドメイン(例えば、PDT)のC末端またはN末端に連結される。リンカーの正確な長さ及び配列及び連結された配列に対するその配向は多様でありえる。リンカーは、例えば、2、10、20、30個以上のアミノ酸を含むことができ、溶解度、長さ、立体分離のような所定特性を基準に選択しうる。特定の実施形態で、リンカーは、例えば、融合蛋白質の精製、検出または改質に有用な機能性配列を含むことができる。特定の実施形態で、リンカーは、2個以上のグルシンのポリペプチドを含む。
【0151】
ドメインが融合される蛋白質ドメイン及び/またはリンカーを改質してHOXB4の効率、安定性及び/または機能特性を変更しうる。
【0152】
特定の実施形態で、HOXB4は、血管幹細胞内でエクトピカルに発現されるか、または培地に提供される。エクトピカルに発現されたHOXB4は、調節配列に実施可能に連結される。調節配列は、当業系に認知されており、HOXB4ポリペプチドの発現を誘導するために選択される。
【0153】
培地に提供されたHOXB4は、他の細胞類型により分泌されうる。他の細胞類型は、分泌可能なHOXB4を発現するために伝えられたマウス間質細胞層のようなフィーダ層でありうる。例えば、HOXB4は、蛋白質の流出及び分泌を促進する疎水性配列または単一ペプチドを含むように融合または操作されうる。代案として、PTDに共有または非共有結合された融合蛋白質のようなHOXB4は培地に直接添加されうる。追加的に、HOXB4は、レトロウイルスベクターまたはアデノウィルスベクターのようなウイルスベクター上に媒介されうる。このようなベクターは、その培養物で血管幹細胞または他の細胞を伝達しうる。
【0154】
特定の実施形態で、使われるHOXB4蛋白質によって、血管幹細胞の増殖の間に選択された時間でHOXB4を培地に添加する。血管幹細胞は、無血清培地で増殖されるために、HOXB4は比較的安定的である。したがって、特定の実施形態で、HOXB4蛋白質または融合蛋白質を毎日ヒト血管幹細胞に添加する。他の実施形態で、HOXB4蛋白質または融合蛋白質を隔日で添加し、また他の実施形態でHOXB4蛋白質または融合蛋白質を二日ごとに添加する。一実施形態で、HOXB4融合蛋白質、HOXB4-PTDは二日ごとに培地に添加する。
【0155】
特定の実施形態で、血管幹細胞は、このような細胞の増殖に十分に存在する任意の他の成長因子または蛋白質の存在下に増殖させることができる。
【0156】
ヒトまたは非ヒトES細胞、骨髄、胎盤またはヘソ臍帯血液、末梢血液または他の組織をはじめとする任意の供給源から得た血管幹細胞を前記方法によって増殖させることができる。したがって、特定の実施形態で、選択された数の精製された血管幹細胞または補強された細胞を血管幹細胞成長に対して最適化された無血清メチルセルロース培地(例えば、BL-CFU培地、実施例1及び2参照)と混合する。この培地を初期段階サイトカイン(EPO、TPO、FL、VGF、BMP類似BMP2、BMP4及びBMP7を含むが、これに限定されない。BMP3は除外)及びHOXB4で補完されうる。特定の実施形態で、エリトロ蛋白質(EPO)を培地に添加する。特定の実施形態で、EPO、TPO及びFLを培地に添加する。次いで、細胞を超低付着培養プレートに置いてCO2インキュベータで成長させる。前記のように、血管幹細胞コロニは、特有の葡萄類似外形を表し、他の細胞より比較的小さく、よって、他の細胞類型と区別されうる。血管幹細胞に対してマーカーのみならず、造血細胞または内皮細胞血統でさらに分化されうるその能力を試験しうる。次いで、血管幹細胞を単離し、試験管内で増殖させる。増殖に使われる培地は、初期段階サイトカイン及びHOXB4で補完された血管幹細胞成長に対して最適化された無血清メチルセルロース培地(例えば、BL-CFU)を含む。初期段階サイトカインは、EPO、TPO、FL、VEGF、BMP類似BMP2、BMP4及びBMP7を含むが、これに限定されず、BMP3は除外する。特定の実施形態で、エリトロ蛋白質(EPO)を培地に添加する。追加実施形態で、EPO、TPO及びFLを培地に添加する。
【0157】
したがって、血管幹細胞増殖用培地は、VEGF、SCF、EPO、BMP-4及びHoxB4を含み、特定の実施形態で培地は、TPO及びFLをさらに含むことができる。約3.5日間培養されたEBから製造された単一細胞を収集し、2ないし5分間0.05%トリプシン-0.53mM EDTA(Invitrogen)に解離し、22G針を3ないし5回通過させて単一細胞懸濁液を製造した。5分間1,000rpmで遠心分離して細胞を収集した。細胞ペレットを50ないし200μlのStemline I培地に再懸濁させた。血管幹細胞を増殖させるために、2~5×105hES細胞の分化で誘導された単一細胞懸濁液を、50ng/μlのTpo及びFLを含有するか、含有せず、IsocveのMDMのうち、1.0%のメチルセルロース、1ないし2%の牛血清アルブミン、0.1mMの2-メルカプロエタノール、10μg/mlのrh-インシュリン、200μg/mlの鉄で飽和されたヒトトランスフェリン、20ng/mlのrh-GM-CSF、20ng/mlのrh-IL-3、20ng/mlのrh-IL-6、20ng/mlのrh-G-CSF、3-6単位/mlのrh-Epo、50ng/mlのrh-SCF、50ng/mlのrh-VEGF、50ng/mlのrh-BMP-4及び1.5μg/mlのtPTD-HoxB4を含有する2mlの血管幹細胞増殖培地(HGM)と混合した。細胞混合物を超低プレートに置き、4ないし6日間5%CO2内で37℃で培養した。
【0158】
特定状況では、患者または患者親戚から血管幹細胞を得て前記血管幹細胞を試験管内で増殖させることが望ましい。このような状況は、例えば、化学療法または放射線治療を計画している患者、または(患者自身の幹細胞を利用する)自家HSC移植を利用しうる他の状況を含む。したがって、本発明は、本発明の増殖された血管幹細胞または血管幹細胞血統細胞を利用して、細胞に基づいた治療を必要とする患者(例えば、造血再構成または治療、または虚血をはじめとする血管損傷の治療または血管成長を必要とする患者、下記参照)を治療する方法であって、血管幹細胞を患者または患者親戚の骨髄、血液または他の組織から得る治療方法を提供する。したがって、特定の実施形態で、血管幹細胞(または血管幹細胞血統細胞)を必要とする患者の治療方法は、患者または患者親戚から血管幹細胞を単離する段階を含むことができる。患者または患者親戚から単離した血管幹細胞は、本発明の方法によって試験管内で増殖させ、次いで患者に投与しうる。代案として、増殖された血管幹細胞は、さらに成長させて患者治療前に造血細胞または内皮細胞を生成させることができる。
【0159】
体細胞核移植のような当業系に公知された任意の方法により、このような患者からヒトES細胞をも得られる。次いで、本発明の方法を利用して、この患者の血管幹細胞を生成させ、該固有なES細胞から増殖させる。これら血管幹細胞またはその血統誘導体を、その患者に、または該親戚に投与しうる。
【0160】
本発明の方法を使用して、ヒト血管幹細胞を増殖させ、次いで多様な治療及び臨床分野で使われうる商業的量産に到達することができる。また、本願に開示された方法で得た血管幹細胞をさらに分化させて臨床分野で使用するための造血細胞または内皮細胞系統を発生させうる。
【0161】
ヒトES細胞からヒト血管幹細胞を生成及び増殖させる本発明の方法から得た血管幹細胞は、少なくとも内皮細胞または造血細胞に分化する潜在性を有する(すなわち、それらは少なくとも両側潜在性である)。他の血管幹細胞また両側潜在性であり得る。しかし、他の血管幹細胞は、造血細胞及び内皮細胞以外の他の細胞に分化されることもある(すなわち、それらは複合または多数潜在性である)。
複雑性が低下した血管幹細胞を得るためのヒト胚芽幹細胞中のMHC遺伝子の処理
本発明によるヒト血管幹細胞を生成及び増殖させる方法において出発地点として使われるヒト胚芽幹細胞はまた、ヒト胚芽幹細胞のライブラリから由来し、それらそれぞれは、ヒト個体群に存在する1以上のMHC対立遺伝子に半接合または同型接合である。所定の実施例において、前記幹細胞ライブラリの各構成員は、前記ライブラリの残りの構成員に比べて異なるセットのMHC対立遺伝子に対して半接合または同型接合である。所定の実施例において、前記幹細胞のライブラリは、ヒト個体群に存在するあらゆるMHC対立遺伝子に対して半接合または同型接合である。本発明において、1以上の組織適合抗原遺伝子に同型接合である幹細胞は、1以上の(及び一抹の実施例で、全ての)かかる遺伝子に対して無接合である細胞を含む。遺伝子座に対する無接合は、前記遺伝子がその遺伝子座で0、すなわちその遺伝子の対立遺伝子二つとも消失されるか、または非活性化されたことを意味する。あらゆるMHC遺伝子に無接合である幹細胞は、当業界に公知の標準方法、例えば、遺伝子ターゲッティング及び/または二重接合性の欠損(LOH)によって生成されうる。例えば、米国特許出願US 20040091936、US 20030217374及びUS 20030232430、及びUS仮出願番号第60/729,173号を参考にする(これらいずれの開示内容も本願に参考として含まれる)。
【0162】
従って本発明は、MHC複雑性が低下した血管幹細胞のライブラリを含む血管幹細胞を得る方法に係るものである。MHC複雑性が低下した血管幹細胞及び血管幹細胞系統細胞は、それが患者一致と関連した困難さを除去するとき、治療分野で利用可能な細胞の供給が増加するであろう。かかる細胞は、MHC複合体の遺伝子に対して半接合または同型接合になるように処理された幹細胞から由来しうる。
【0163】
ヒトES細胞は、細胞のMHC複合体で姉妹染色体の対立遺伝子のうち一つへの変形を含むことができる。遺伝子ターゲッティングのような遺伝子変形を生成させる多様な方法は、MHC複合体で遺伝子を変形させるのに利用されうる。また、前記細胞でMHC複合体の変形された対立遺伝子は、次に同型接合になるように処理し、同じ対立遺伝子が姉妹染色体に存在するようにできる。二重接合性の欠損(LOH)のような方法は、細胞がMHC複合体で同型接合対立遺伝子を有するように処理するのに利用されうる。例えば、親の対立遺伝子からの1セットのMHC遺伝子のうち1以上の遺伝子がターゲットされ、半接合細胞を生成させることができる。他のセットのMHC遺伝子は、遺伝子ターゲッティングまたはLOHによって除去され、ヌル(null)細胞株を作ることができる。このヌル細胞株は、多数のHLA遺伝子、または個別遺伝子を振り落とし、他の点で均一な遺伝的背景を有した半接合または同型接合バンクを製造する胚芽細胞株として再び使われうる。
【0164】
一様態において、ライブラリの各構成員が1以上のHLA遺伝子に対して同型接合であるES細胞株のライブラリは、本発明の方法によって、血管幹細胞を誘導するのに使われる。他の一様態において、本発明は、血管幹細胞(及び/または血管幹細胞系統細胞)のライブラリを提供するが、このとき、いくつかのES細胞株価選択されて血管幹細胞に分化される。かような血管幹細胞及び/または血管幹細胞系統細胞は、細胞系治療が必要な患者に使われうる。
【0165】
従って、本発明の所定の実施例は、複雑性が低下した胚芽幹細胞から由来したヒト血管幹細胞、造血母細胞、またはヒト内皮細胞を、これを必要とする患者に投与する方法に係るものである。所定の実施例で、該方法は、(a)ヒト血管幹細胞、造血母細胞またはヒト内皮細胞を、投与することを含む治療が必要な患者を確認する段階と、(b)患者の細胞表面で発現されたMHC蛋白質を確認する段階と、(c)本発明の試験管内ヒト血管幹細胞を生成及び増殖させる方法によって製造された、MHC複雑性が低下したヒト血管幹細胞のライブラリを提供する段階と、(d)該患者のMHC蛋白質を、その細胞に一致させるライブラリからヒト血管幹細胞細胞を選択する段階と、(e)選択的に、段階(d)で確認されたヒト血管幹細胞細胞をヒト造血母細胞、内皮細胞または二つとも、または必要によってこれら二系統のうち一つまたは二つともで追加分化される細胞に分化させる段階と、(f)段階(d)及び/または(e)からの任意の細胞を前記患者に投与する段階とを含む。該方法は、地域センター、例えば、病院、クリニック、診療室及び他の健康管理施設で遂行されうる。また、患者に一致すると選択された血管幹細胞は、少ない細胞数で保存される場合、患者治療に先立ち増殖されうる。
ヒト血管コロニー形成細胞/血管幹細胞
所定の様態において、本発明はヒト血管コロニー形成細胞を提供する。これら細胞は、多様な治療及び他の用途を有した唯一の初生細胞類型である。また、この細胞類型は、少なくとも造血及び/または内皮系統の進化を研究するのに重要なツールを提供する。このように本発明は、ヒト血管コロニー形成細胞を含む組成物及び多様な調製物(薬学調製物を含む)だけではなく、血管コロニー形成細胞から部分的または定期的に分化された1以上の細胞類型を含む組成物及び調製物(薬学調製物を含む)に係るものである。
【0166】
「血管幹細胞」及び「血管コロニー形成細胞」という用語は、本出願全体で入れ替えて使われるであろう。これらの細胞は、以下に限定されるものではないが、1以上のマーカの発現(RNAまたは蛋白質)または発現不足(RNAまたは蛋白質)を含む多数の構造的及び機能的特性を基に記述されうる。血管コロニー形成細胞は分化し、少なくとも造血細胞類型または内皮細胞類型を発生させることができる。血管コロニー形成細胞は両性潜在性でであり、分化して少なくとも造血細胞類型及び内皮細胞類型を発生させることができることが望ましい。このように、本発明の血管コロニー形成細胞は、少なくとも単一潜在性であり、望ましくは両性潜在性である。追加的ではあるが、血管コロニー形成細胞は、さらに大きいレベルの進化潜在性を有することができ、所定の実施例において、分化して他系統の細胞類型を発生させることができる。所定の実施例において、前記血管コロニー形成細胞は分化し、心臓細胞(例えば、心筋細胞)及び/または平滑筋細胞のような他の中胚葉誘導体を生成できる。
【0167】
また、血管コロニー形成細胞は、それらの構造的特性に基づいて確認されたり特性化されうる。具体的に、そして所定の実施例において、これらの細胞は、それらが単に緩く互いに付着されている(他の血管コロニー形成細胞に緩く付着する)という点で唯一である。これらの細胞が互いに単に緩く付着しているために、血管コロニー形成細胞の培養物またはコロニーは、単に機械的な解離技術を利用して酵素的解離技術の必要なしに、単一細胞に解離されうる。前記細胞は、酵素的解離または機械的及び酵素的解離の組合わせよりは機械的解離のみで、前記細胞の生存能を実質的に損傷させずに、前記培養物またはコロニーを解体させるのに十分である。すなわち、機械的な解離は、細胞集合体の酵素的解離に続いて観察されることと比較するとき、実質的な細胞損傷または死亡を引き起こすほど多くの力を必要としない。
【0168】
また血管コロニー形成細胞は、1以上のマーカの発現または発現不足(遺伝子濃度または蛋白質の濃度で評価)に基づいて確認されたり特性化されうる。例えば、所定の実施例で、血管コロニー形成細胞は、次の細胞表面マーカ:CD34、KDR、CD133、またはCD31のうち1以上の発現不足を基に確認されたり特性化されうる(例えば、前記細胞は、前記マーカのうち1以上、2以上、3以上または4以上の発現不足を基に特性化されうる)。付加的にまたは代案として、血管コロニー形成細胞は、GATA2及び/またはLMO2の発現に基づいて確認されたり特性化されうる。付加的にまたは代案として、血管コロニー形成細胞は、表2で分析した1以上のマーカの発現または発現不足(遺伝子の濃度または蛋白質の濃度で評価)に基づいて確認されたり特性化されうる。
【0169】
本発明の血管コロニー形成細胞は、かような構造的または機能的特性のうち一つまたは任意の組合わせに基づいて確認されたり特性化されうる。これらの細胞が任意の多数供給源、例えば、胚芽組織、胎児組織または周生期組織から由来しうるが、「血管コロニー形成細胞」という用語は供給源に関係なしに、分化して少なくとも造血細胞類型及び/または内皮細胞類型を生成でき、前述の構造的または機能的特性のうち1以上を有する細胞に適用される。
【0170】
次に述べれば、本発明のヒト血管コロニー形成細胞は、下記の構造的特性のうち1以上を有する:(a)分化して少なくとも造血細胞類型または内皮細胞類型を生成できる、(b)分化して少なくとも造血細胞類型及び内皮細胞類型を生成できる、(c)互いに(他のヒト血管コロニー形成細胞に)緩く付着する、(d)CD34蛋白質を発現しない、(e)CD31蛋白質を発現しない、(f)KDR蛋白質を発現しない、(g)CD133蛋白質を発現しない、(h)GATA2蛋白質を発現する、(i)LMO2蛋白質を発現する。所定の実施例において、ヒト血管コロニー形成細胞は、本願に記載された構造的または機能的特性のうち2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上または9以上を有する。
【0171】
本発明は、ヒト血管コロニー形成細胞を提供する。かような細胞は分化し、少なくとも造血及び/または内皮細胞類型を生成できる。所定の実施例において、前記細胞は、他のヒト血管コロニー形成細胞に緩く付着することを特徴とする。代案としてまたは付加的に、これらの細胞はまた、所定のマーカの発現または発現不足を基に記述されうる。例えば、これらの細胞はまた、下記の蛋白質:CD34、KDR、CD133及びCD31のうち1以上の発現不足を基に記述されうる。
【0172】
前述のように、ヒト血管コロニー形成細胞の興味深い特性のうち一つは、互いに緩く付着しているということである。これらの細胞は単に互いに緩く付着しているために、血管コロニー形成細胞の培養物またはコロニーは、単に機械的解離技術によって、酵素的解離技術の必要なしに単一細胞に解離されうる。前記細胞は互いに十分に緩く付着しており、酵素的解離またはそれらの組合わせよりは、機械的解離だけで前記細胞の生存能を実質的に損傷させずに、前記培養物またはコロニーを解体させるのに十分である。すなわち、機械的解離は、細胞損傷または死亡を引き起こすほどに多くの力を必要としない。
【0173】
該特性は、前記細胞を技術してそれらを他の細胞類型と表現型で区分するのに有用であるだけではなく、重要な治療上に意味を有する。例えば、比較的大量(1x106より大きいか、またはさらに1x107より大きかったり、さらに1x1O8より大きい)の血管コロニー形成細胞が凝血または塞栓、または他の点で肺でのロッジングを引き起こす危険が実質的に少ないヒトまたは他の動物に注入されうる。これは、細胞上治療において重要な進歩である。比較的大量の細胞を安全に投与する能力は、細胞性治療が増加する多数の疾患及び病態の効果的な治療において実用的であって可能なものにする。
【0174】
「緩く付着された(付着性が弱い)」という用語は、前記で定性的に記述され、互いに対するヒト血管コロニー形成細胞の行為を指す。血管コロニー形成細胞の培養物またはコロニーは、単に機械的解離技術を利用し、酵素的解離技術の必要なしに単一細胞に解離されうる。前記細胞は互いに十分に緩く付着しており、酵素的解離またはこれらの組合わせよりは、機械的解離だけで前記細胞の生存能を実質的に損傷させずに、前記培養物またはコロニーを解体させるのに十分である。すなわち、機械的解離は、細胞損傷または死亡を引き起こすほどに多くの力を必要としない。
【0175】
また前記用語は、さらに定量的に記述されもする。例えば、そして所定の実施例において、「緩く付着した」という用語は、前記培養物のうち細胞の50%以上が単に機械的解離技術を利用し、酵素的解離技術の必要なしに単一細胞に解離されうる血管コロニー形成細胞の培養物またはコロニーを指すのに使われる。他の実施例において、前記用語は、前記培養物のうち細胞の60%、65%、70%または75%以上が単に機械的解離技術を利用し、酵素的解離技術の必要なしに単一細胞に解離されうる培養物を指す。さらに他の実施例において、前記用語は、前記培養物のうち細胞の80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%以上またはさらに100%が単に機械的解離技術を利用し、酵素的解離技術の必要なしに単一細胞に解離されうる培養物を指す。
【0176】
単に機械的解離技術を利用し、酵素的解離技術の必要なしに前記血管コロニー形成細胞を解離させる能力は、機械的解離による前記細胞の健康及び生存能を基にまた評価されうる。すなわち、酵素的解離のない解離が前記細胞のうち相当数を損傷させたり殺すほどに多くの機械的力を要求する場合、前記細胞は、本願で定義したように緩く付着していない。例えば、そして所定の実施例において、「緩く付着した」という用語は、単に機械的解離技術を利用し、酵素的解離技術の必要なしに、同じ細胞を酵素的解離技術を利用して解離したことと比較するとき、前記細胞の健康または生存能に実質的な損傷を与えずに、単一細胞に解離されうる細胞の培養物を指す。例えば、前記細胞の健康または生存能は、同じ細胞の培養物を酵素的解離技術を利用して解離する場合に観察したことと比較するとき、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%より少なく、またはさらに1%より少なく減少する。
【0177】
実例的な酵素的解離技術としては、以下に限定されるものではないが、トリプシン、コラゲナーゼ、または細胞-細胞または細胞-マトリックス相互作用を破壊する他の酵素を使用した処理がある。実例的な機械的解離技術としては)、以下に限定されるものではないが、ピペットを介した1以上の通過がある。
【0178】
本発明によるヒト血管コロニー形成細胞は、構造的及び機能的に定義される。かような細胞は、胚芽組織、胎児組織、周生組織、及びさらに成人組織を含む多くの供給源のうち任意の供給源から生成されうる。例としては、ヒト血管コロニー形成細胞は、ヒト胚芽幹細胞、他の胚芽誘導細胞(胚盤胞、卵割球、ICM、胚芽、栄養膜/栄養膜胚葉細胞、栄養膜幹細胞、原始生殖細胞、胚芽生殖細胞など)、羊水、羊膜幹細胞、胎盤、胎盤幹細胞、及び臍帯から生成されうる。
【0179】
本発明は、ヒト血管コロニー形成細胞、ヒト血管コロニー形成細胞を含む組成物、及びヒト血管コロニー形成細胞を含む製剤(薬学製剤を含む)を提供する。本発明のかような様態の特定された特徴は、下記に詳細に記載されている。本発明は、本発明の下記様態及び実施例の任意の組合わせを含む。
【0180】
1つの様態で、本発明は、ヒト血管コロニー形成細胞を提供する。該細胞は分化し、少なくとも造血及び/または内皮細胞類型を生成できる。特定実施例で該細胞は、他のヒト血管コロニー形成細胞に緩く付着される。特定実施例で該細胞は、CD34蛋白質を発現しない。他の特定実施例で該細胞は、下記蛋白質のうち一つ以上を発現しない(例えば、該細胞は、下記蛋白質のうち1個以上、2個以上、3個以上、または4個以上を発現しない):CD34、CD31、CD133、KDR。他の特定実施例で該細胞は、GATA2及び/またはLMO2蛋白質を発現する。他の特定実施例で該細胞は、表2に記載されたマーカのうち一つ以上(例えば、少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個など)を発現するか、または発現しない。他の特定実施例で該細胞は、表2に記載されたような発現プロファイルを有する。
【0181】
他の様態で本発明は、ヒト血管コロニー形成細胞を提供する。該細胞は分化し、少なくとも造血及び/または内皮細胞類型を生成でき、該細胞は、任意の下記蛋白質を発現しない:CD34、CD31、KDR、及びCD133。特定実施例で該細胞は、他のヒト血管コロニー形成細胞に緩く付着される。他の実施例で該細胞は、GATA2及び/またはLMO2蛋白質を発現する。他の特定実施例で該細胞は、表2に記載されたマーカのうち一つ以上(例えば、少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個など)を発現するか、または発現しない。他の特定実施例で該細胞は、表2に記載されたような発現プロファイルを有する。
【0182】
さらに他の様態で本発明は、実質的に精製された個体数のヒト血管コロニー形成細胞を含む細胞培養物を提供する。該細胞は分化し、少なくとも造血及び内皮細胞類型を生成でき、該細胞は互いに緩く付着される。特定実施例で該細胞は、CD34蛋白質を発現しない。他の特定実施例で該細胞は、下記蛋白質のうち一つ以上を発現しない(例えば、該細胞は、下記蛋白質のうち1個以上、2個以上、3個以上、または4個以上を発現しない):CD34、CD31、CD133、KDR。他の特定実施例で該細胞は、GATA2及び/またはLMO2発現する。他の特定実施例で該細胞は、表2に記載されたマーカのうち一つ以上(1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個など)を発現するか、または発現しない。他の特定実施例で該細胞は、表2に記載されたような発現プロファイルを有する。
【0183】
さらに他の様態で本発明は、胚芽組織から分化されたヒト血管コロニー形成細胞を含む細胞培養物を提供する。特定実施例で血管コロニー形成細胞は、互いに他に緩く付着される。特定実施例で該細胞は分化し、少なくとも造血及び/または内皮細胞類型を生成でき、該細胞は互いに緩く付着される。特定実施例で該細胞は、CD34蛋白質を発現しない。他の特定実施例で該細胞は、下記蛋白質のうち一つ以上を発現しない(例えば、該細胞は、下記蛋白質のうち1個以上、2個以上、3個以上、または4個以上を発現しない):CD34、CD31、CD133、KDR。他の特定実施例で該細胞は、GATA2及び/またはLMO2蛋白質を発現する。他の特定実施例で該細胞は、表2に記載されたマーカのうち一つ以上(1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個など)を発現するか、または発現しない。他の特定実施例で該細胞は、表2に記載されたような発現プロファイルを有する。
【0184】
さらに他の様態で本発明は、ヒト血管コロニー形成細胞を含む細胞培養物を提供し、該細胞は分化し、少なくとも造血及び/または内皮細胞類型を生成できる。特定実施例で該細胞は、互いに緩く付着される。特定実施例で該細胞は、CD34蛋白質を発現しない。他の特定実施例で該細胞は、下記蛋白質のうち一つ以上を発現しない(例えば、該細胞は、下記蛋白質のうち1個以上、2個以上、3個以上、または4個以上を発現しない):CD34、CD31、CD133、KDR。他の特定実施例で該細胞は、GATA2及び/またはLMO2蛋白質を発現する。他の特定実施例で該細胞は、表2に記載されたマーカのうち一つ以上(1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個など)を発現するか、または発現しない。他の特定実施例で該細胞は、表2に記載されたような発現プロファイルを有する。
【0185】
さらに他の様態で本発明は、ヒト血管コロニー形成細胞を含む薬学製剤を提供し、該細胞は分化し、少なくとも造血及び/または内皮細胞類型を生成できる。特定実施例で、血管コロニー形成細胞は互いに緩く付着される。特定実施例で該細胞は、CD34蛋白質を発現しない。他の特定実施例で該細胞は、下記蛋白質のうち一つ以上を発現しない(例えば、該細胞は、下記蛋白質のうち1個以上、2個以上、3個以上、または4個以上を発現しない):CD34、CD31、CD133、KDR。他の特定実施例で該細胞は、GATA2及び/またはLMO2蛋白質を発現する。他の特定実施例で該細胞は、表2に記載されたマーカのうち一つ以上(1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個など)を発現するか、または発現しない。他の特定実施例で該細胞は、表2に記載されたような発現プロファイルを有する。薬学製剤は、任意の薬学的に許容可能な担体または賦形剤を使用して製造できる。
【0186】
さらに他の様態で本発明は、ヒト血管コロニー形成細胞を含む薬学製剤を提供し、該血管コロニー形成細胞は、任意の下記蛋白質を発現しない:CD34、CD31、KDR、及びCD133。特定実施例で、該血管コロニー形成細胞は分化し、少なくとも造血及び/または内皮細胞類型を生成できる。特定実施例で、該血管コロニー形成細胞は互いに緩く付着される。他の特定実施例で該細胞は、GATA2及び/またはLMO2蛋白質を発現する。他の特定実施例で該細胞は、表2に記載されたマーカのうち一つ以上(1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個など)を発現するか、または発現しない。他の特定実施例で該細胞は、表2に記載されたような発現プロファイルを有する。薬学製剤は、任意の薬学的に許容可能な担体または賦形剤を使用して製造できる。
【0187】
前述のうち特定実施例で該組成物または薬学製剤は、1×1O5以上のヒト血管コロニー形成細胞を含む。前述のうち他の特定実施例で、該組成物または薬学製剤は、1×1O6以上、5×1O6以上、1×1O7以上、または1×1O7超過のヒト血管コロニー形成細胞を含む。
【0188】
追加細胞、組成物、及び製剤は、ヒト血管コロニー形成細胞から部分または末端分化された細胞を含む。例えば、本発明は、血管コロニー形成細胞から分化された一つ以上の造血及び/または内皮細胞類型を含む組成物及び製剤を含む。例示的な造血細胞類型は、造血幹細胞、血小板、RBC、リンパ球、巨核球などを含む。追加的な例として、本発明は、血管コロニー形成細胞から分化された、一つ以上の他の細胞類型、例えば、一つ以上の部分または末端分化された中胚葉性細胞類型を含む組成物及び製剤を含む。
【0189】
前述のうち特定実施例で本発明は、ヒト血管コロニー細胞またはその細胞から部分または末端分化された細胞の冷凍保存製剤を提供する。
【0190】
前述のうち特定実施例で本発明は、ヒト血管コロニー形成細胞、またはヒト血管コロニー形成細胞の組成物または製剤の治療用途を提供する。かような細胞及び製剤は、明細書を介して記述されたものだけではなく、血液銀行産業での任意の症状または疾患治療時に使用できる。さらに、ヒト血管コロニー形成細胞から分化された細胞、またはヒト血管コロニー形成細胞の組成物または製剤は、明細書を介して記述されたものだけではなく、血液銀行産業での任意の症状または疾患治療時に治療学的に使用できる。
【0191】
本発明のヒト血管コロニー形成細胞は、治療学的に使用できる。追加でまたは代案的に、ヒト血管コロニー形成細胞は、内皮及び造血系譜の分化を研究するために、または診断検査で、例えば、(i)ヒト血管コロニー形成細胞を維持させるために、または(ii)ヒト血管コロニー形成細胞の、一つ以上の部分または末端分化された細胞類型への分化を促進させるために使用できる因子を確認するために使用できる。さらに、ヒト血管コロニー形成細胞は、実験室内または生体内使用に対する一つ以上の部分または末端分化された細胞類型を生成させるために使用できる。
【0192】
本発明のヒト血管コロニー形成細胞は、本願に記載された任意の疾患または状態の治療時を含み(これに制限されるものではない)、本願に記載された任意の方法または利用分野で使用できる。
実験室内で増殖された血管幹細胞を含む細胞製剤
本発明の特定実施例で、哺乳動物(ヒトを含む)の血管幹細胞は、商業用数量に達するほどに増殖され、多様な治療学的及び臨床的利用分野で使用する。特定実施例で、血管幹細胞は、10,000ないし4百万(またはそれ以上)の次数の細胞数に達するように増殖される。かような細胞数は、出発初期の製剤の3ないし4日内に到達しうる。従って本発明は、多量の血管幹細胞を含む製剤であって、前記製剤が少なくとも10,000、50,000、100,000、500,000、百万、2百万、3百万または4百万の細胞を含む製剤に係るものである。
【0193】
また本発明は、多量の血管幹細胞を含む溶液、組成物、及び製剤であって、前記溶液、前記組成物、及び前記製剤が少なくとも10,000、50,000、100,000、500,000、百万、2百万、3百万または4百万の細胞を含む溶液、組成物、及び製剤に係るものである。血管幹細胞はヒトのものでありうる。
【0194】
本発明の他の様態は、本願に開示された方法によって収得された血管幹細胞を、臨床的利用分野で後続的に使われる、造血または内皮の細胞系譜、または系譜二つともに分化させるものに係るものである。従って本発明はまた、多量の造血または内皮細胞を含む細胞製剤に係るものである。本発明はまた、本願に開示された方法によって収得された血管幹細胞を造血及び内皮細胞以外の他の細胞系譜に分化させることに係るものである。従って本発明はまた、多量の他の血管幹細胞分化細胞を含む細胞製剤に係るものである。
【0195】
多量(例、千万または百万)の血管幹細胞を含む組成物及び製剤は、本願に記載された通りに収得した血管幹細胞を増殖させることによって収得できる。従って本発明は、ES細胞(例えば、ヒトES細胞)または臍帯血、末梢血または骨髄血から収得された血管幹細胞を増殖させることによってなされた多量の血管幹細胞を含む組成物及び製剤に係るものである。さらに増殖方法として、例えば、マウス、ラット、牛、または非ヒト霊長類の血管幹細胞に利用される。また本発明は、ヒト以外の他種の多量の血管幹細胞を含む組成物及び製剤に係るものである。本発明の方法によって増殖された血管幹細胞は、二分化性(bi-potential)でありうる。すなわち、その細胞は、内皮細胞または造血幹細胞に分化されうる。特定実施例で、ヒトES細胞から生成されて増殖されたヒト血管幹細胞は、二分化性である。血管コロニー形成細胞は、少なくとも造血細胞類型または内皮細胞類型を提供するために分化されうる。血管コロニー形成細胞は望ましくは二分化性であり、少なくとも造血細胞類型及び内皮細胞類型を提供するために分化されうる。かかる機能において、本発明の血管コロニー形成細胞は少なくとも単一分化性(uni-potential)、望ましくは二分化性である。さらにしかし、血管コロニー形成細胞は高い程度の発生潜在力を有することができ、特定実施例で、他の系譜の細胞類型を提供するために分化されうる。特定実施例で、血管コロニー形成細胞は、他の中胚葉性分化体、例えば、心臓細胞(例えば、心筋細胞)及び/または平滑筋細胞を提供するために分化されうる。
哺乳動物血管幹細胞細胞マーカ
前述の通り、血管コロニー形成細胞は、成体内皮または造血細胞の特徴的な特定の特性が不足している。しかし、かような血管コロニー形成細胞または血管幹細胞は、例えば、CD71+、GATA-1及びGATA-2蛋白質、CXCR-4、及びTPO及びEPOの受容体のような多様なマーカによって確認しうる。追加実施例で、血管幹細胞はLMO-2を発現する。さらに血管幹細胞は、他のマーカの不在または低い発現によって特徴づけられる。従って血管幹細胞は、CD34-CD31-、及びKDR-でありうる。追加実施例で、血管幹細胞CD34-、CD31-、KDR-、及びCD133-でありうる。
【0196】
従って特定実施例で、本発明の方法によって生成されて増殖された血管幹細胞は、表2に記載された任意の一つ以上のマーカの存在または不在によって特徴づけられる。例えば、血管幹細胞は、「BL-CFC」の下に「-」で表示された表2に記載された任意の一つ以上のマーカの発現に対する検査に陰性でありうる。従って、一部実施例で血管幹細胞は、CD34発現に対して陰性でありうる。該細胞は、追加でまたは代案的にCD31、CD133、及び/またはKDR発現に対して陰性でありうる。追加実施例で血管幹細胞は、「+」で表2に表示された任意のマーカを発現できる。例えば該細胞は、マーカのうち一つ以上を発現できる。LMO-2及びGATA-2。マーカの発現は、例えば、蛋白質発現を検査するための免疫組織化学または免疫吸取紙(immunoblotting)、またはRNAレベルで発現を検査するためのmRNA分析のような任意の方法によって検定できる。
血管幹細胞系譜細胞の分化
また本発明の方法及び細胞製剤は、血管幹細胞分化細胞に係るものである。本発明によって生成されて増殖されたヒト血管幹細胞、及び本発明の方法によって増殖された哺乳動物血管幹細胞は、実験室内で分化して造血細胞(造血幹細胞(HSC)を含む)または内皮細胞だけではなく、かような2種系譜でさらに分化された細胞を収得できる。かような細胞は、後述の治療学的及び商業的利用分野で後続的に使用できる。
【0197】
特定実施例で造血細胞は、血管幹細胞を無血清BL-CFUで3~10日間成長させて誘導する。他の実施例で、hES-誘導されたBL-CFC細胞の単一細胞懸濁液を10~14日間成長させる。無血清条件が拡大生産及び調節の指針との適合性だけではなく、コスト減少を促進する限り、無血清条件を維持することが最も望ましい。本発明の血管幹細胞はまた、無血清Hem-培養で成長させることができ(Bhatia et al.1997 J Exp Med(186):619-624)、これはヒト造血母細胞を維持させ、BSA(例えば、1%BSA)、インシュリン(例えば、5μg/mlヒトインシュリン)、トランスフェリン培地またはトランスフェリン(例えば、100μg/mlヒトトランスフェリン)、L-グルタミン、ベータ-メルカプトエタノール(例えば、10-4M)及び成長因子を含む。成長因子は、SCF(例えば、300ng/ml)、顆粒球-コロニー-刺激因子(G-CSF)(例えば、50ng/ml)、Flt-3(例えば、300ng/ml)、IL-3(例えば、10ng/ml)及びIL-6(例えば、10ng/ml)を含むことができる。血管幹細胞から造血細胞を得るのに有用な他の因子としては、血小板形成因子(TPO)及びVEGF(例えば、文献[Wang et al.2005 Ann NY Acad Sex(1044):29-40]参照)及びBMP-4を挙げることができる。前記血管幹細胞はまた、多血統造血成長因子カクテルを補充した無血清メチルセルロース培地で成長できる。従って血管幹細胞は、早期活性成長因子(例えば、c-kit配位子、flt3配位子)、多血統成長因子(例えば、IL-3、顆粒球大食細胞-CSF(GM-CSF))及び単一血統成長因子(例えば、G-CSF、M-CSF、EPO、TPO))、VEGF及びbFGFを補充し、BSA、飽和ヒトトランスフェリン、ヒトLDLを含むイスコーブ改質されたDulbecco培地(IMDM:Iscove modified Dulbecco medium)中のメチルセルロースで成長できる。代案として血管幹細胞は、造血細胞(例えば、赤血球、大食細胞または顆粒球)の一類型の成長を支援する単一血統成長因子を含む培地で成長できる。
【0198】
一実施例で血管幹細胞コロニーは、Stemline I培地で再懸濁される。次に、細胞を無血清造血CFU培地(H4436、Stem Cell TechnologiesTM)1ml+tPTD-HoxB4及び0.5%EX-CYTE(Serologicals Proteins Inc.TM)1.5μg/mlと混合する。次に、細胞混合物を細胞培養未処理プレート上でプレーティングし、37℃で10~14日間恒温処理した。初期プレーティング10~14日後に発生する造血CFUは、形態学的に、例えばWright-Giemsa染料によって染色されることを特徴とすることができる。
【0199】
造血細胞はまた、当業界に公知のその他条件を利用して血管幹細胞から誘導できる(例えば、IMDM、30%牛胎児血清(FCS)、1%ウシ血清アルブミン(BSA)、10-4Mベータ-メルカプトエタノール及び2mM L-グルタミンを含む培地で)。また他の実施例で、基本繊維芽細胞成長因子を使用してEB内でBL-CFCいずれの頻度も向上させ、造血分化を促進できる(Faloon et al.2000 Development(127):1931-1941)。他の実施例で、成長因子造血(HAPO)を利用して血管幹細胞の成長及び造血分化を促進する(Liu et al.2004 Blood(103):4449-4456)。造血細胞への分化は、例えばCD45状態(CD45+)及びCFU分析によって評価できる。
【0200】
造血細胞を形成するために、ヒト血管幹細胞は、CFU-培地で3~10日間、または任意にさらに長時間(例えば、10~24日)の間成長できる。本発明のヒト血管幹細胞は、顆粒球、赤血球、大食細胞及び巨核細胞(CFU-GEMM/混合)を含むCFUだけではなく、以下の細胞類型(例えば、CFU-G、CFU-E、CFU-M及びCFU-GM)のうちただ一つを含有するユニットを形成するコロニーを形成できる。特定実施例で、hES-誘導されたBL-CFC細胞の単一細胞懸濁液は10~14日間成長し、例えば赤血球、骨髄、大食細胞及び多血統造血細胞のような造血細胞を誘導する。
【0201】
本発明のさらに他の様態は、本願で記述された方法によって収得されて増殖されたヒト血管幹細胞、またはこれによって増殖された哺乳動物血管幹細胞から誘導された内皮細胞に係るものである。血管幹細胞は、上皮成熟に望ましい条件で成長できる。
【0202】
本発明の特定実施例で、内皮細胞を得るために、血管幹細胞をまずファイブロネクチン・コーティングされた表面にプレーティングし、3~5日(または、他の実施例で3~7日後)後に、Matrigelの厚い層で再プレーティングして内皮細胞への分化を支援する。前記条件は、血管幹細胞発達中に形成される無血清条件を維持させる。代案として血管幹細胞は、公知の培地で成長して内皮細胞への分化を支援する。かような条件は、例えば20%胎児ウシ血清(FBS)、50ng/ml内皮細胞成長補充物(すなわち、脳下垂体抽出物)、10 IU/mlヘパリン及び5ng/mlヒトVEGF-A165を含むEndo-培養を含む(Terramani et al.2000 In Vitro Cell Dev Biol Anim(36):125-132)。当業界に公知の他の条件としては、25%FCS/ウマ血清を補充した培地があり、一部実施例では、ヘパリン(例えば、10U/ml)、インシュリン類似成長因子(IGFl)(例えば、2ng)及びEC成長補充物(ECGS、例えば100μg)を補充した培地がある。成長因子VEGF及びEGFをまたHAPOと共に使用し、内皮分化を支援できる(Liu et al.2004)。血管幹細胞はまた、コラーゲン及びファイブロネクチンでコーティングされたプレート上にシーディングし、例えば内皮細胞への分化を促進できる。該細胞は、フォンビレブラント因子(vWF:von Willebrand factor)及び内皮酸化窒素合成酵素(eNOS)及び試験管内内皮ネットワーク形成能に対して分析することができる。
【0203】
従って、内皮細胞を形成するために、前述の方法によって誘導された血管幹細胞コロニーをピッキングし、内皮分化への第1段階に最適化されたファイブロネクチン・コーティングされた培養プレート上に再プレーティングする。前記細胞は、EGM-2またはEGM-2MV完全培地(CambrexTM)でプレーティングできる。3~5日、代案的な実施例では3~7日後に、前記細胞を内皮分化を支援するMatrigel層のような表面上に再プレーティングする。恒温処理16~24時間後、分枝型チューブコード(branched tube-cord)の形成(例えば、図8参照)で典型的な内皮細胞の挙動が確認される。内皮特定分析、例えばLDL-吸収はまた、前記細胞が内皮特徴を有するということを確認するのに利用できる。
【0204】
本発明の他の様態で、本発明によって生成されて増殖されたヒト血管幹細胞及び本発明の方法によって増殖された哺乳動物血管幹細胞は、試験管内で分化されて他の細胞だけではなく、前記細胞血統からさらに分化された細胞を得ることができる。かようなさらなる細胞血統は、本発明によって生成されて増殖された血管幹細胞及び本発明の方法によって増殖された哺乳動物血管幹細胞から誘導されうるが、これは、前記血管幹細胞が造血及び内皮細胞への分化後の潜在的な発達程度がさらに大きくありうるためである。
【0205】
ヒト血管幹細胞及び血管幹細胞血統細胞の臨床的及び商業的実施例
細胞療法
ヒト血管幹細胞は、生体内で他の造血または内皮細胞に分化する可能性がある一方、これらは、前記2個の細胞類型が必要であるか、または治療を向上させることができる細胞治療で使われうる。また、血管幹細胞血統細胞(すなわち、造血細胞及び/または内皮細胞)を含む任意の療法または治療によって処置されうる。下記部分は、本発明の方法によって生成されて増殖されたり、または本発明の方法によって増殖された本発明のヒト血管幹細胞を使用する方法を記述する。
【0206】
本発明の特定実施例で、造血細胞を増加させたり治療する処置及び血管成長増加及び/または血管回復促進のための処置が考慮される。従って、特定様態で本発明は、造血細胞または血管成長または回復が必要な患者を治療するための方法及び組成物に係るものである。血管幹細胞は、被験体の血管に注射したり、または手術を介して被験体の血管に投与できる。前記患者及び被験体はヒトでありうる。
【0207】
本発明の特定実施例で、ヒト血管幹細胞は移植に使われ、これと異なる場合には、HSC移植が使われうる。かような移植は、例えば急性または慢性白血病、再生不良性貧血及び多様な免疫欠乏症だけではなく、多様な非血液学的悪性腫瘍及び自家免疫障害を病む患者の治療のための造血再構成に利用し、高い投与量の化学療法及び/または放射線療法後の治療誘発性形成不全から患者を救済するのに利用できる。かような移植は、生体内または生体外で実施できる(例えば、骨髄移植)。
【0208】
本発明の他の実施例でヒト血管幹細胞は、造血再構成または造血治療が必要な患者を治療するのに使われる。かような患者としては、例えばサラセミア(地中海貧血)、鎌状赤血球貧血症、再生不良性貧血症(低形成貧血症ともいう)、血球減少症、骨髄低形成症、血小板欠乏症、造血悪性腫瘍、例えば白血病、夜間発作性血尿症(PNH)及びADA(例えば、脱アミノ酵素(ADA)-欠乏重症複合免疫欠乏症(SCID))を病む患者を挙げることができる。
【0209】
従って、本発明の具体的な実施例は、本発明の血管幹細胞を利用した造血再構成または造血治療を必要とする患者の治療方法に係るものである。従って本発明は、造血再構成または治療を必要とする患者の治療方法であって、これを必要とする患者の選別、本発明の方法によるヒト血管幹細胞の生成と増殖または増殖、前記ヒト血管幹細胞の患者への投与を含む方法に係るものである。従って前記方法は、生成及び増殖されたり、または増殖されたヒト血管幹細胞をヒト造血細胞に分化させた後、造血細胞を患者に投与することを含むことができる。
【0210】
代案的な実施例は、ヒト血管幹細胞を大規模に生成し、これを必要とする患者の先立って保管する方法を含む。従って本発明のさらに他の実施例は、造血再構成または治療を必要とする患者の治療方法であって、これを必要とする患者の選択、前述の方法によってすでに分離されて増殖されたヒト血管幹細胞に対する処方、及び前記ヒト血管幹細胞の前記患者への投与を含む方法に係るものである。同様に前記方法は、前記ヒト血管幹細胞をヒト造血細胞に分化させることと、前記造血細胞を患者に投与することとを含むことができる。追加実施例で、1以上のMHC対立遺伝子に対して半接合であるか、または同型接合である血管幹細胞を成長させ、任意に商業的な量に成長させ、任意に企業体が保管する。患者がかような細胞または血管幹細胞血統細胞を必要とする場合、臨床医または病院は、事業体にかような細胞を注文する。
【0211】
本発明のヒト血管幹細胞は、血管形成微小棲息環境下で内皮細胞に増殖及び分化するために、ヒト血管幹細胞は、治療的方式に使われて患者の傷部位で新しい血管を提供したり、または損傷血管の回復を誘導できる。従って、特定様態で本発明は、新しい血管の成長または損傷血管系の回復を促進させる方法に係るものである。本発明のヒト血管幹細胞は、内皮損傷、例えば心筋梗塞、脳卒中及び虚血性脳、虚血性四肢及び虚血性四肢を含む皮膚傷及び糖尿病動物または患者から発生する傷、及び網膜での虚血性再貫流損傷を治療するのに使用できる。本発明の血管幹細胞で治療できるその他虚血性病態としては、腎臓虚血、肺虚血及び虚血性心筋病症を挙げることができる。血管幹細胞はまた、気球血管形成または脳血管ステントの発達後に損傷された血管の回復を助けるのに使用できる。血管幹細胞はまた、組織移植、手術、及び放射線損傷後に使用できる。また血管幹細胞は、アテローム性動脈硬化症の治療及び/または進展の防止だけではなく、全身硬化症及びレイロード現象(RP)で発生する内皮細胞損傷を回復させるのに使用できる(Blann et al.1993 J Rheumatol.(20):1325-30)。
【0212】
従って本発明は、血管成長の提供や、これを必要とする患者の回復と関連した多様な方法を提供する。一実施例で本発明は、虚血性組織での新しい血管形成をこれを必要とする患者で誘導する方法であって、前記患者に前述のヒト血管幹細胞の精製された製剤を有効量で投与し、前記虚血性組織に新しい血管を形成させることを含む方法を提供する。従って本発明の特定様態は、血管形成をこれを必要とする患者で増大させる方法であり、これを必要とする患者の選別、前述のようなヒト血管幹細胞の分離、及び前記血管幹細胞の前記患者への投与を含む方法を提供する。他の様態で本発明は、損傷された血管の治療を必要とする患者で損傷された血管を治療する方法であって、これを必要とする患者の選別、前述のようなヒト血管幹細胞の増殖または生成と増殖、及び前記血管幹細胞の前記患者への投与を含む方法を提供する。前述の実施例以外に、血管幹細胞は大規模に生成し、血管幹細胞を必要とする患者の選別以前に保管できる。追加実施例で、1以上のMHC対立遺伝子に対して半接合であるか、または同型接合である血管幹細胞を成長させ、任意に商業的な量に成長させ、血管幹細胞治療の対象として患者を選別する前に任意に保管する。前述の血管幹細胞または血管幹細胞製剤のうち任意のものを循環系に直接(静脈内に)投与できる。特定実施例(例えば、目での血管回復が必要な場合、例えば網膜の虚血/再貫流損傷の治療の場合)、血管幹細胞または血管幹細胞製剤は、ガラス体内の注射によって投与できる。
【0213】
血管幹細胞またはその誘導体細胞の溶液または製剤は、任意の経路で投与でき、かような投与は個別的に決定できる。また、血管幹細胞またはその誘導体細胞の溶液または製剤の投与される有効量は、治療的に有効であって個別的に決定されうる量である。
【0214】
追加様態で血管幹細胞血統細胞は、治療的用途、例えば前述の徴候の治療で使われる。従って、本願で記述される方法で生成及び増殖されたり、または増殖される血管幹細胞は、まず試験管内で分化されて造血及び/または内皮細胞を産出した後、前記2個の血統でさらに分化される細胞を産出する。かような細胞は、以後、例えば造血病態の治療、または造血再構成、または虚血または血管損傷の治療のために被験体または患者に投与できる。
【0215】
本願で開示される方法によって収得されるヒト血管幹細胞から誘導されるHSCは、成長してさらにHSCを増殖させ、かつ/または他の造血血統細胞類型を誘導する。本発明の特定様態は、移植中の血管幹細胞から誘導されたHSCの用途に係るものである。追加実施例で、分化された造血細胞(例えば、顆粒球、赤血球、骨髄細胞、巨核細胞、血小板、大食細胞、肥満細胞及び好中性白血球(Wiles and Keller 1991 Development(111):259)が多様な治療、例えば輸血療法または感染治療に使われる。従って本発明の他の実施例は、本発明の血管幹細胞から誘導されたHSCまたは造血血統細胞を利用した造血再構成または治療を必要とする患者の治療方法に係るものである。
【0216】
一部様態で本発明は、造血細胞を必要とする患者の治療方法または治療を必要とする患者を選択する段階、本発明の方法によってヒト血管幹細胞を増殖したりまたは分離及び増殖する段階、前記血管幹細胞を造血母細胞及び/または成熟造血細胞に分化させる段階、及び前記造血細胞を前記患者に投与する段階を含む治療に係るものである。
【0217】
本発明の他の様態で血管幹細胞は、ここに開示された方法によって成長して内皮細胞を発生させる。前記内皮は、その後患者の損傷部位で損傷された血管の復旧を誘導したり、または新しい血管を提供するのに使われうる。従って、一部様態で本発明は、新しい血管成長を促進したり、または損傷された脈管構造を復旧する方法に係り、ここで血管幹細胞から誘導された内皮細胞が治療剤として使われる。前記内皮細胞は、内皮損傷、例えば心筋梗塞及び肺虚血、発作及び虚血性脳損傷、四肢虚血及び四肢虚血を含む皮膚損傷及び糖尿病動物でも患者に発生する損傷、網膜内虚血性再貫流損傷、腎臓虚血を治療するのに使われうる。前記内皮細胞はまた、気球血管形成術または血管内ステントだけではなく、グラフティングでの配置、手術及び以後の放射線損傷後に損傷された血管の復旧を助けるのに使われうる。また前記内皮細胞は、アテローム性動脈硬化症進行の治療及び/または予防だけではなく、全身硬化症及びレイノー現象で発生する内皮細胞損傷を復旧するのに使われうる。
【0218】
前記内皮細胞はさらに分化され、これらの細胞は、例えば前記文段に列挙された一つ以上の前記「内皮細胞」疾病または状態を治療するのに適切に使われうる。
【0219】
従って本発明の一部様態は、治療を必要とする患者を選択する段階、本発明の方法によってヒト血管幹細胞を増殖したりまたは分離及び増殖する段階、前記血管幹細胞を内皮細胞に分化させる段階、及び前記内皮細胞を前記患者に投与する段階を含む、内皮または血管損傷を有する患者、または血管成長や復旧を必要とする患者の治療方法に係るものである。
血液銀行
本発明の他の様態は、移植に適した造血細胞を生成する方法を提供する。かような細胞及び方法は数多くの用途を有するが、特に重要な用途は、移植用血液の適合性を向上させるところにあるのである。望ましい一部実施例で本発明は、血管幹細胞/血管コロニー形成単位から分化された赤血球を提供する。かような分化された赤血球は移植に使われうる。
【0220】
本発明のさらに他の様態は、血管幹細胞/血管コロニー形成単位から分化された、これを必要とする者のための輸血に使われる造血細胞を生成する方法に係るものである。一部実施例で分化された造血細胞は、外傷、手術中の血液損失、血液疾患、例えば貧血、鎌状赤血球貧血、または溶血性疾患、または悪性疾患を治療するために移植される。一部実施例で赤血球は、外傷、手術中の血液損失、または血液疾患、例えば貧血、鎌状赤血球貧血、または溶血性疾患を治療するために移植される。一部実施例で血小板は、先天性血小板疾患または悪性疾患を治療するために移植される。一部実施例で、赤血球及び血小板の混合群が移植される。
【0221】
多くの分化された造血細胞種、特に赤血球は、一般的に生体内混合群として存在するということに注意せねばならない。特に、多様な年齢及び分化レベルの循環赤血球が生体内で発見される。また赤血球は、時間が経過しつつ成熟され、さらに少ない胎児ヘモグロブリン及びさらに多くの成体ヘモグロビンを発現する。本発明は、赤血球の純粋群、または多様な年齢レベル及び分化レベルを有する赤血球の混合群どちらの移植をも考慮する。特定実施例で本発明は、胎児ヘモグロビン(ヘモグロビンF)を発現する赤血球の移植を考慮する。
【0222】
本発明は、試験管内ヒト血管コロニー形成細胞から分化された造血細胞を生成する方法を提供し、前記方法は、下記段階を含む:
(a)ヒト血管コロニー形成細胞を提供する段階、及び
(b)前記血管コロニー形成細胞を分化された造血細胞に分化する段階。
【0223】
本発明はまた、ヒト血管コロニー形成細胞から試験管内分化された造血細胞を使用した輸血を遂行する方法を提供し、前記方法は、下記段階を含む:
(a)ヒト血管コロニー形成細胞を提供する段階、
(b)前記血管コロニー形成細胞を分化された造血細胞に分化する段階、及び
(c)前記分化された造血細胞で輸血を遂行する段階。
【0224】
本発明はまた、ヒト血管コロニー形成細胞から試験管内分化された造血細胞を使用した輸血を遂行する方法を提供し、前記方法は、下記段階を含む:
(a)胚芽幹細胞の胚状体への分化を誘導するのに十分な量の一つ以上の成長因子の存在下で、無血清培地内にヒト胚芽幹細胞を含む細胞培養物を培養する段階、
(b)胚状体を含む前記培養物に一つ以上の成長因子を加え、無血清培地内の前記培養物を培養し続ける段階であって、前記成長因子が前記胚状体培養物内のヒト血管コロニー形成細胞を増殖させるのに十分な量である段階、
(c)前記血管コロニー形成細胞を分化された造血細胞に分化する段階、及び
(d)前記分化された造血細胞で輸血を遂行する段階。
【0225】
一部実施例で、前記幹細胞、胚状体及び血管コロニー形成は、無血清培地内で前記方法の段階(a)及び(b)を介して成長する。
【0226】
本発明はまた、ヒト血管コロニー形成細胞から試験管内分化された造血細胞を使用した輸血を遂行する方法を提供し、前記方法は、下記段階を含む:
(a)胚芽誘導細胞の胚状体への分化を誘導するのに十分な量の一つ以上の成長因子の存在下で、無血清培地内にヒト胚芽誘導細胞を含む細胞培養物を培養する段階、
(b)胚状体を含む前記培養物に一つ以上の成長因子を加え、無血清培地内の前記培養物を培養し続ける段階であって、前記成長因子が前記胚状体培養物内のヒト血管コロニー形成細胞を増殖させるのに十分な量である段階、
(c)前記胚状体を単一細胞に解体させる段階、
(d)前記単一細胞を含む前記培養物に一つ以上の成長因子を加え、無血清培地内の前記培養物を培養し続ける段階であって、前記成長因子が前記単一細胞を含む培養物内ヒト血管コロニー形成細胞を増殖させるのに十分な量である段階、
(e)前記血管コロニー形成細胞を分化された造血細胞に分化する段階、及び
(f)前記分化された造血細胞で輸血を遂行する段階。
【0227】
一部実施例で、前記胚芽誘導細胞、胚状体、血管コロニー形成細胞及び単一細胞は、無血清培地内で前記方法の段階(a)ないし(d)を介して成長する。
【0228】
一部実施例で、前記胚芽誘導細胞は胚芽幹細胞である。
【0229】
一部実施例で前記成長因子は、ホメオボックス蛋白質、またはそれらの機能性変異体または活性断片を含む蛋白質である。一部実施例で前記ホメオボックス蛋白質は、HOXB4蛋白質、またはそれらの機能性変異体または活性断片を含む。
【0230】
一部実施例で前記分化された造血細胞は、単一細胞形態、例えば赤血球、血小板、及び食細胞として生成される。しかし、単一細胞形態が生成されるとき、前記細胞形態は、特定細胞形態の成熟度または分化度レベルの側面で異種でありうることに注意せねばならない。例として、分化された赤血球は、成熟度及び細胞年齢レベルの側面で異種でありうる。理論によって拘束されるものではないが、かような赤血球細胞の異種性は、赤血球が生体内で発見される方式を摸倣するために、メリットがありうる。
【0231】
一部実施例で前記単一細胞形態は、血液内で発見される分化された細胞形態の比率と同一に混合される。一部実施例で、多重分化された造血細胞形態が同じ段階で生成される。一部実施例で前記食細胞は、顆粒性白血球、好中性白血球、好塩球、好酸球、リンパ球または単核球から選択される。一部実施例で前記造血細胞形態は、血液内で発見される分化された造血細胞形態の比率(96%赤血球、1%血小板、及び3%食細胞)とほぼ同じ割合で生成される。一部実施例で、移植前に前記分化された造血母細胞に血漿が添加される。一部実施例で、充填細胞、例えば充填赤血球は、血漿の不在または実質的な不在下で移植される。
【0232】
一部実施例で、本出願の方法から生成された分化された造血細胞は機能性である。一部実施例で、本出願の方法から生成された血小板は機能性である。一部実施例で、本出願の方法から生成された食細胞は機能性である。一部実施例で、本出願の方法から生成された赤血球は機能性である。一部実施例で前記赤血球は、移植前にヘモグロビンFを発現する。一部実施例で、前記赤血球は酸素を運搬する。一部実施例で前記赤血球は、自然に誘導された赤血球と同じ寿命を有する。一部実施例で前記赤血球は、自然に誘導された赤血球寿命の75%の寿命を有する。一部実施例で前記赤血球は、自然に誘導された赤血球寿命の50%の寿命を有する。一部実施例で前記赤血球は、自然に誘導された赤血球寿命の25%の寿命を有する。
【0233】
一部実施例で本出願方法は、100mmディシュ当たり1x106細胞を生成する。一部実施例で、100mmディシュ当たり2x106細胞が生成される。一部実施例で、100mmディシュ当たり3x106細胞が生成される。一部実施例で、100mmディシュ当たり4x106細胞が生成される。一部実施例で、100mmディシュ当たり5x106細胞が生成される。一部実施例で、100mmディシュ当たり6x106細胞が生成される。一部実施例で、100mmディシュ当たり7x106細胞が生成される。一部実施例で、100mmディシュ当たり8x106細胞が生成される。一部実施例で、100mmディシュ当たり9x106細胞が生成される。一部実施例で、100mmディシュ当たり1x107細胞が生成される。一部実施例で、100mmディシュ当たり5x107細胞が生成される。一部実施例で、100mmディシュ当たり1x108細胞が生成される。
【0234】
一部実施例で前記分化段階は、前記技術分野の技術者に公知の条件を使用して遂行される。一部実施例で前記分化段階は、細胞から赤血球への分化に特異的な方法を使用して遂行される(参照としてここに統合されるWO2005/118780参考)。一部実施例で前記分化段階は、細胞から血小板への分化に特異的な方法を使用して遂行される。一部実施例で前記分化段階は、細胞から白血球への分化に特異的な方法を使用して遂行される。
【0235】
本発明によって使われうる分化剤は、サイトカイン、例えばインターフェロン-アルファA、インターフェロン-アルファA/D、インターフェロン-ベータ、インターフェロン-ガンマ、インターフェロン-ガンマ-誘導性蛋白質-10、インターロイキン-1、インターロイキン-2、インターロイキン-3、インターロイキン-4、インターロイキン-5、インターロイキン-6、インターロイキン-7、インターロイキン-8、インターロイキン-9、インターロイキン-10、インターロイキン-1、インターロイキン-12、インターロイキン-13、インターロイキン-15、インターロイキン-17、ケラチノサイト成長因子、レプチン、白血病阻害因子、大食細胞コロニー刺激因子、及び大食細胞炎症蛋白質-1アルファを含む。
【0236】
本発明による分化剤はまた、成長因子、例えば6Ckine(組換え)、アクチビンA、アルファA-インターフェロン、アルファ-インターフェロン、アンフィレグリン、アンギオゲニン、B-内皮細胞成長因子、ベータセルリン、B-インターフェロン、脳誘因性神経栄養因子、C1O(組換え)、カルジオトロフィン-1、繊毛神経栄養因子、サイトカイン誘導好中性白血球化学走性体-1、内皮細胞成長補助剤、エオタキシン、表皮成長因子、上皮好中性白血球活性化ペプチド-78、エリスロポイエチン、エストロゲン受容体-アルファ、エストロゲン受容体-B、繊維芽細胞成長因子(酸性/塩基性、ヘパリン安定化、組換え)、FLT-3/FLK-2配位子(FLT-3配位子)、ガンマ-インターフェロン、神経膠細胞株誘導神経栄養因子、Gly-His-Lys、顆粒性白血球コロニー刺激因子、顆粒性白血球大食細胞コロニー刺激因子、GRO-アルファ/MGSA、GRO-B、GRO-ガンマ、HCC-1、ヘパリン結合表皮成長因子類似成長因子、肝細胞成長因子、ヘレグリン-アルファ(EGF domain)、インシュリン成長因子結合蛋白質-1、インシュリン類似成長因子結合蛋白質-1/IGF-1複合体、インシュリン類似成長因子、インシュリン類似成長因子II、2.5S神経成長因子(NGF)、7S-NGF、大食細胞炎症蛋白質-1B、大食細胞炎症蛋白質-2、大食細胞炎症蛋白質-3アルファ、大食細胞炎症蛋白質-3B、単核細胞走化性蛋白質-1、単核細胞走化性蛋白質-2、単核細胞走化性蛋白質-3、神経栄養因子-3、神経栄養因子-4、NGF-B(ヒトまたはラット組換え)、オンコスタチン(ヒトまたはマウス組換え)、脳下垂体抽出物、胎盤成長因子、血小板誘導内皮細胞成長因子、血小板誘導成長因子、プレイオトロフィン、rantes、幹細胞因子、基質細胞誘導因子lB/pre-B細胞成長刺激因子、トロンボポエチン、変形成長因子アルファ、変形成長因子-B1、変形成長因子-B2、変形成長因子-B3、変形成長因子-B5、腫瘍懐死因子(アルファ及びB)、及び血管内皮成長因子を含む。
【0237】
本発明による分化剤は、ホルモン及びホルモン拮抗剤、例えば17B-エストラジオール、副腎皮質刺激ホルモン、アドレノメデュリン、アルファ-メラニン細胞刺激ホルモン、絨毛膜性生殖線刺激ホルモン、コルチコステロイド結合グロブリン、コルチコステロン、デキサメタゾン、エストリオール、濾胞刺激ホルモン、ガストリン1、グルカゴン、ゴナドトロピン、ヒドロコルチゾン、インシュリン、インシュリン型成長因子結合蛋白質、L-3,3’,5’-トリヨードサイロニン、L-3,3’,5-トリヨードサイロニン、レプチン、黄体(leutinizing)ホルモン、L-チロキシン、メラトニン、MZ-4、オキシトシン、副甲状腺ホルモン、PEC-60、脳下垂体成長ホルモン、プロゲステロン、プロラクチン、セクレチン、性ホルモングロブリン、甲状腺刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン放出因子、チロキシン結合グロブリン、及びバソプレシンを含む。
【0238】
また本発明による分化剤は、細胞外基質成分、例えばフィブロネクチン、フィブロネクチンの蛋白質造血コロニー形成細胞加水分解断片、ラミニン、スロンボスポンジン、アグレカン、及びシンデカンを含む。
【0239】
本発明による分化剤はまた、各種因子に対する抗体、例えば抗低密度脂蛋白質受容体抗体、抗プロゲステロン受容体、内部抗体、抗-アルファインターフェロン受容体鎖2抗体、抗-c-cケモカイン受容体1抗体、抗-CD 118抗体、抗-CD 119抗体、抗コロニー刺激要因-1抗体、抗CSF-1受容体/c-フィン抗体、抗上皮性成長因子(AB-3)抗体、抗上皮性成長因子受容体抗体、抗上皮性成長因子受容体、リン特異的抗体、抗上皮性成長因子(AB-1)抗体、抗エリスロポイエチン受容体抗体、抗エストロゲン受容体抗体、抗エストロゲン受容体、C末端抗体、抗エストロゲン受容体-B抗体、抗繊維芽細胞成長因子受容体抗体、抗繊維芽細胞成長因子、基本抗体、抗ガンマインターフェロン受容体鎖抗体、抗ガンマインターフェロンヒト組換え抗体、抗GFRアルファ-1C末端抗体、抗GFRアルファ-2C末端抗体、抗顆粒球コロニー刺激因子(AB-1)抗体、抗顆粒球コロニー-刺激因子受容体抗体、抗インシュリン受容体抗体、抗インシュリン型成長因子-1受容体抗体、抗インターロイキン-6ヒト組換え抗体、抗インターロイキン-1ヒト組換え抗体、抗インターロイキン-2ヒト組換え抗体、抗レプチンマウス組換え抗体、抗神経成長因子術溶体抗体、抗p60、ニワトリ抗体、抗副甲状腺ホルモン型蛋白質抗体、抗血小板由来成長因子受容体抗体、抗血小板由来成長因子受容体-B抗体、抗血小板由来成長因子-アルファ抗体、抗プロゲステロン受容体抗体、抗レチノ酸受容体-アルファ抗体、抗甲状腺ホルモン核受容体抗体、抗甲状腺ホルモン核受容体-アルファ1/Bi抗体、抗トランスフェリン受容体/CD71抗体、抗形質変換成長因子-アルファ抗体、抗形質変換成長因子-B3抗体、抗腫瘍懐死因子-アルファ抗体、及び抗血管内皮成長因子抗体を含む。
【0240】
本発明はまた、前記のように潜在的患者受容者に一致した細胞を提供できる分化された造血細胞のライブラリを提供する。特定実施例において該細胞は、凍結状態で保管される。従って、一実施例において本発明は、一つ以上の適合性抗原に対して同型接合性である分化された造血細胞調製物を提供する段階を含み、ここで該細胞は、本願に開示された方法によって増殖できるヒト血管コロニー形成細胞のライブラリを含む細胞の銀行で選択され、各血管コロニー形成細胞調製物は、ヒト集団に存在する一つ以上のMHC対立遺伝子に対して半接合性であるか同型接合性であり、前記血管コロニー形成細胞の銀行は、細胞銀行の残りの構成員について異なるセットのMHC対立遺伝子に係ってそれぞれ半接合性であるか同型接合性である細胞を含む製薬事業の実施方法を提供する。前述のように、遺伝子的中法(targeting)または異型接合性の損失法を使用し、血管コロニー形成細胞を誘導するのに使われた半接合体または同型接合体MHC対立遺伝子幹細胞を生成できる。特定実施例において、あらゆる血液型の血管コロニー形成細胞が銀行に含まれる。特定実施例において、血管コロニー形成細胞が患者に一致することによって、患者自身の血液型の分化された造血細胞が生産されることを保証する。特定実施例において血管コロニー形成細胞は、抗原因子A、B、Rh、またはその任意の組合わせに対して陰性である。特定実施例において分化された造血細胞は、普遍的な供与細胞である。例えば、O型のRhマイナスである造血細胞は、血液輸血に普遍的に使われうる。特定実施例において本発明は、普遍的輸血のためのO型のRhマイナス赤血球の生産方法を提供する。
【0241】
特定実施例において、血管コロニー形成細胞から分化された赤血球は、胎児ヘモグロビンを発現する。胎児ヘモグロビンを発現する赤血球の輸血は、特に鎌状赤血球貧血症の治療時に有用でありうる。従って本発明は、鎌状赤血球貧血症の治療のための改善された方法を提供する。
【0242】
一実施例において、特定血管コロニー形成細胞調製物を患者に適当に選択した後、その後それを増殖させて患者の治療に適した量に達すれば分化させ、分化された造血細胞を得た後で受容者に細胞を投与する。製薬事業の実施方法はまた、販売用調製物の分配のための分配システムを確立させることを含んだり、または薬学調製物をマーケティングするための販売グループを確立させることを含むこともできる。
【0243】
任意の前記内容で、血管コロニー形成細胞は、直ちに分化させることができたり、または血管コロニー形成細胞は、後続使用のために凍結させることができる。特定実施例において本発明は、後続解凍及び増殖に適当であり、また造血細胞または内皮系統への分化に適当な血管コロニー形成細胞の凍結培養法を提供する。
【0244】
ヒト血管コロニー形成細胞は、輸血に使用できる相当数の造血細胞類型を生成するのに使用できる。例えば、相当数の同種性または異種性集団のRBC及び/または血小板は、ヒト血管コロニー形成細胞から生成されうる。これから分化された血管コロニー形成細胞及び造血細胞類型は預置可能であり、血液製品を広く供与し、輸血及びその他治療に使用する。かような製品を預置することは、供与された血液製品の危険な保管を緩和するように助けになるであろう。さらに、血管コロニー形成細胞及び誘導製品は、生体内遺伝的に操作されて普遍的な供与血液製品を提供できる。
【0245】
従って、特定様態において本発明は、血液銀行事業の実施方法を提供する。被験体銀行事業は、そこから生成された血管コロニー形成細胞及び/または造血細胞類型(例、RBC、血小板、リンパ球など)の誘導及び保管(長期間または短期間)に関与する。該細胞は、長期間保管のために低温保存されたり、比較的短期間保管のために培養状態で維持されうる。現在使用可能な血液製品を分類するの非常に類似した方式で細胞を分類して交差一致させることができ、該細胞は、類型を基準にして保管できる。さらに、そして特定実施例において、細胞を変形させてA陰性及び/またはB陰性及び/またはRh陰性の細胞を特異的に生成させることによって、普遍的であるか、またはほぼ普遍的に任意の患者に輸血するのに適当な細胞を生産できる。
【0246】
血管コロニー形成細胞及び/または分化された造血細胞類型は、明細書を介して詳細化した任意の本発明の方法を使用して生成できることに留意しなければならない。
【0247】
血液銀行事業の実施方法の特定実施例において、細胞(血管コロニー形成細胞及び/または分化された造血細胞類型)は、一つ以上の主要施設で生成して保管する。その後細胞は、例えば患者治療時に使用するために病院または治療施設に伝達されうる。他の特定実施例において、細胞は低温保存状態で維持され、病院またはその他治療施設の規定を基に輸血のためにこれを特別に解凍して準備させる。かかる規定は、議事規定(standing orders)(例えば、一定数の単位の細胞の一定量を生成させて提供する)でありうる
特定実施例において、当該方法は、病院に請求するためのシステムまたは預置された製品と関連したコストのための保険会社を含む。
【0248】
任意の前記内容のうち特定実施例において当該細胞は、患者に投与される投与量を定量し、かつ/または標準血液輸血の間投与される投与量を比較するために、使用者に許容される細胞数、体積、または任意の単位を基準に割り当てられる。
【0249】
特定実施例において該細胞は、混合された細胞集団として生成、保管、及び投与される。例えば調製物は、別個の細胞類型と同様に、変化された発生段階の細胞を含むことができる。他の実施例において該細胞は、単一細胞類型の実質的に精製された調製物として生成、保管、及び/または投与される。
【0250】
特定実施例において細胞の該調製物は、一つ以上の感染疾病に対して選別される。選別は、発生または保管前後に起こりうる。例えば細胞の該調製物は、前記製品の受容者に伝達されうる肝炎、HIV、またはその他血因性感染疾病を確認するために選別されうる。
移植体受容者内での耐性誘導
本発明の方法によって生成されて増殖されたり、または本発明の方法によって増殖されたヒト血管幹細胞を使用して免疫耐性を誘導できる。免疫耐性とは、例えば受容者に非自我(nonself)MHC抗原(例、移植体及び耐性化された血管幹細胞と共有された抗原)の導入に対して、そうでなけば発生する移植体受容者の免疫反応の抑制をいう。従って耐性とは、免疫抑制剤を使用して引き出しうる広範囲なスペクトルの免疫抑制と反対して特異的な供与者抗原によって誘導される免疫反応の抑制をいう。耐性は、体液性反応、細胞性反応、または体液性及び細胞性いずれもの反応を伴うことができる。耐性は、先在する成熟した供与者反応性T細胞の除去及び/または不活性化、及び新規に発生した供与者反応性T細胞の長期間(例、一生)の除去及び/または不活性化を含むことができる。
【0251】
本発明に記載されたヒト血管幹細胞の生成及び増殖方法は、耐性を誘導するのにいくつかの利得を提供する。本発明の方法は莫大であり、従来には得難い数のヒト血管幹細胞を生成させる。莫大な量のヒト血管幹細胞は、あまり有害ではないあらかじめ調整されたプロトコルを利用して移植体受容者で耐性を誘導できる。また本発明の方法は、ヒト血管幹細胞のライブラリを生成するために提供され、ここでそのそれぞれは、ヒト集団に存在する一つ以上のMHC対立遺伝子に対して半接合性であるか同型接合性であり、前記血管幹細胞のライブラリのうち各構成員は、ライブラリ内の他の構成員に対して異なるセットのMHC対立遺伝子に対して半接合性であるか同型接合性である。かかるヒト血管幹細胞のライブラリは細胞を選択し、任意の使用可能な供与者移植体と一致できるように耐性のなされたヒト血管幹細胞の選択に使われうる。
【0252】
造血細胞または混合されたキメラ現象の骨髄移植及び後続確立(establishment)は、以前にネズミ及びヒトモデルいずれででも造血母細胞から由来した新しい組織類型に対して特異的耐性を誘導するということを提示した。造血細胞または混合されたキメラ現象とは、供与者及び受容者幹細胞いずれからも由来した造血細胞の受容者で生産されることをいう。従って、受容者が造血細胞キメラ現象を実現する場合、受容者は、供与者特異的抗体に対して耐性を有するようになるのである。耐性誘導に対する多数のプロトコルで、受容者に投与される耐性がある供与者細胞は、受容者の骨髄に移植する。供与者細胞に対して受容者の骨髄で造血細胞空間が形成されるために、一部プロトコルは(例えば、全身への照射によって)、造血細胞空間を形成する段階を要求するが、かかる段階は、典型的に受容者に毒性を有するか有害である。しかし、非常に莫大な数の供与者耐性がある細胞が使用可能な場合、照射が完全に除去され、あまり有害ではなくあらかじめ調整された処方計画の利点と共に、造血細胞または混合されたキメラ現象を実現するという設置類モデルからの証拠がある。従って、混合されたキメラ現象は、例えば特異的骨髄非破壊性受容者の調節で実現できる。
【0253】
従って、本願に記載された新規方法が莫大な数のヒト血管幹細胞を生産できるために、本発明は、調節プロトコルがあまり苛酷ではないか、あまり有害ではない免疫耐性が誘導される利点を提供する。例えば、造血細胞空間の形成段階は、十分な数の耐性がある供与者細胞が使われる場合に省略されうる。
【0254】
従って、本発明の特定実施例において、本願に記載された方法によって生成されて増殖されたり、または増殖されたヒト血管幹細胞を使用して免疫耐性を誘導できる。前記メカニズムを基に任意の理論によって拘束されることを希望しない一方、ヒト血管幹細胞は、受容者の骨髄に受容され、受容者の骨髄に移植されて混合されたキメラ現象を生産することによって免疫耐性を誘導できる。
【0255】
特定実施例において、供与者ヒト血管幹細胞は、受容者患者に供与者からの移植体を移植したり器官、組織、または細胞を移植する前に(例えば、静脈注射によって)、受容者患者に投与される。特定実施例において、ヒト血管幹細胞は、耐性の誘導の必要がある患者(例、移植組織または移植体受容者)に耐性を誘導するために投与される。従って、特定実施例において、ヒト受容者患者で耐性を誘導する方法は、(a)移植または細胞治療の必要がある患者を選択する段階、(b)供与者から由来したり供与者に一致(符合)するヒト血管幹細胞を前記患者に投与する段階であって、ここで前記血管幹細胞は、本発明によって生成されて増殖されたり増殖される段階、及び(c)受容者患者に供与者の器官、組織、または細胞移植体を移植する段階であって、ここで前記血管幹細胞は、供与者抗原に対する耐性を誘導する段階を含む。特定実施例において患者は、器官、組織、または細胞治療を受容し、ここで前記器官、組織、または細胞は、供与者または供与者細胞源から得られる。例えば、供与者からの血管幹細胞は、(1)前記記載された方法によって増殖されて多数の供与者耐性細胞を生成し、(2)生体内増殖されて分化されて造血細胞または内皮細胞または組織を得るが、これは、後続して受容者患者に移植されうる。他の実施例において、器官、組織、または細胞治療は、供与者血管幹細胞から由来しないが、供与者血管幹細胞と一致する。
【0256】
本願に使われた用語である「一致した(符合した)」というのは、供与者及び受容者(例、移植体)間のHLA類型がどれほど類似しているかに係るものである。一実施例において、供与者血管幹細胞及び移植体について、用語「一致した」というのは、拒否反応が起きないようにというMHC I型及び/またはMHC II型対立遺伝子との一致度をいう。他の実施例において、供与者血管幹細胞及び移植体について用語「一致した」というのは、供与者移植体がその一致する供与者血管幹細胞によって耐性化されるようにというMHC I型及び/またはMHC II型対立遺伝子との一致度をいう。さらに他の実施例において、供与者血管幹細胞及び移植体について用語「一致した」というのは、免疫抑制が要求されないようにというMHC I型及び/またはMHC II型対立遺伝子との一致度をいう。
【0257】
同種異系抗原または同種異系グラフト(graft)に対して耐性を誘導するための前述の方法は、供与体と受容体との間に、MHC遺伝子座またはその他遺伝子座でグラフト拒否反応を招くほどの不一致が存在する場合に使われうる。従って、例えば特定実施例で、1個以上のMHC遺伝子座で、または認識及び拒否反応を媒介する他の1個以上の遺伝子座で、例えば、極小抗原遺伝子座で不一致が起こりうる。一部実施例で例えば、受容体と供与体とのHLA対立遺伝子が不一致であって、一つ以上の不一致の抗原を招く。I型及びII型MHC遺伝子座の場合、供与体と受容体は、例えば、I型で一致し、II型で不一致であり、I型で不一致であり、II型で一致し、I型で不一致であり、II型で不一致であり、I型で一致し、II型で一致しうる。認識及び拒否反応を統制する他の遺伝子座の任意の組合わせで、例えば、極小抗原遺伝子座が一致または不一致でありうる。MHC I型で不一致であるというのは、一つ以上のMHC I型遺伝子座が不一致であるということを意味し、例えば、HLA-A、HLA-B、またはHLA-Cのうち一つ以上で不一致であるということを意味する。MHC II型で不一致であるというのは、一つ以上のMHC II型遺伝子座が不一致であるということを意味し、例えば、DPA、DPB、DQA、DQB、DRA、またはDRBのうち一つ以上で不一致であるということを意味する。例えば、血管幹細胞(hemangioblast)とグラフトは、II型HLA-DRB1及びDQB1対立遺伝子で一致しうる。血管幹細胞とグラフトは(一致したDRB1及びDQB1対立遺伝子に追加して)、2個以上のI型HLA-A、B、またはC、対立遺伝子で一致しうる。
【0258】
他の実施例で、耐性化された(tolerizing)供与体細胞は、前述の方法によって生成及び増殖または増殖された血管幹細胞から由来した細胞である。この実施例によれば、供与体ヒト血管幹細胞は、試験管内分化されて供与体造血母細胞を生成し、この供与体造血母細胞を受容体患者に投与して耐性を誘導する。前記方法のうち一部の場合、供与体血管幹細胞またはそれから由来した造血母細胞を前記受容体に投与し、前記受容体で耐性を誘導することによって(供与体耐性化細胞に対して)、一致した移植またはグラフトを準備する。
【0259】
他の実施例で耐性を誘導する方法は、造血スペースを生成する段階(これによって血管幹細胞またはそれから由来した造血母細胞のグラフト化を促進する)をさらに含む。他の実施例で耐性を誘導する方法は、例えば、先在する供与体-反応性T細胞を除去及び/または不活性化することによって、供与体血管幹細胞またはそれから由来した造血母細胞の拒否反応を一時的に阻害する段階をさらに含む。造血スペースを生成するために、該方法は、照射(irradiation)(例、全身、リンパ球、または選択的胸腺照射)を含むことができる。供与体細胞の拒否反応を予防するために、該方法は、薬物または抗体(例、細胞増殖阻害剤、抗代謝剤、または抗-T細胞または抗-CD8または抗-CD4抗体)の投与、及び/または供与体細胞のグラフト化及び生存、及び混合キメラ現象の形成を促進するその他処理(例、ストローマ細胞または成長因子、サイトカインなどを前記受容体に投与、または受容体の天然抗体を枯渇または不活性化させる他の製剤の投与)をさらに含むことができる。特定実施例で、受容体内で供与体の生存を促進し、かつ/または造血スペースを生成するために、投与される照射、抗体、薬物及び/またはその他製剤は、受容体で胸腺細胞及び/またはT細胞を不活性化するのに十分である。かような造血スペースを生成し、かつ/または供与体細胞の拒否反応を一時的に阻害する段階は、例えば、供与体血管幹細胞を前記受容体に導入させる前に遂行できる。代案として、患者に製剤を摂取させたり、または供与体耐性化細胞の投与と同時に、T-細胞を遮断、除去または不活性化する方法を施行することもできる。
【0260】
特定実施例で、造血スペース生成と免疫抑制法とを組合わせて使用する。例えば、受容体に抗-T細胞抗体摂取を低容量全身照射及び/または胸腺照射と共に遂行する。一実施例で、受容体に抗-CD4及び抗-CD8抗体を摂取させ、その後温和な、非骨髄破壊性(nonmyeloablative)容量の全身照射(例、骨髄が回復不可能にならないように受容体の骨髄分画を除去する容量)と選択的な胸腺照射とを遂行するか、代案的に追加的な容量のT細胞不活性化抗体または共同刺激遮断試薬(例、CTLA4-Ig及び/または抗-CD40L抗体)を摂取させる。照射後、供与体血管幹細胞またはそれから由来した造血母細胞を受容体に(例、静脈注射によって)投与できる。この実施例で、供与体細胞のグラフト化を促進するための全身照射は、さまざまな供与体ヒト血管幹細胞またはそれから由来した造血母細胞を投与することに代替されうる。かようなさまざまな供与体ヒト細胞を得ることは、前述の方法によって行われうる。
【0261】
他の実施例で、受容体T細胞を枯渇または不活性化するための処理は、投与された供与体耐性化ヒト血管幹細胞の生存を促進してグラフト化阻害を予防するのに助けになりうる。他の実施例でこの方法は、受容体患者で供与体反応細胞のクローン枯渇を含むことができる。例えば、患者に温和な投与量の全身照射を遂行した後、T細胞共同刺激遮断及び供与体ヒト血管幹細胞の投与を遂行しうる。代案として、患者に照射なしにT細胞共同刺激遮断及びさまざまな供与体ヒト血管幹細胞への投与を遂行することもできる。
【0262】
他の実施例で、受容体の骨髄破壊調節なしに耐性を得ることも可能である。一実施例で、受容体に供与体ヒト血管幹細胞を供与体血管幹細胞のグラフト化を容易にするために、抗-CD40Lと共に摂取させることができる。例えば、受容体にさまざまな供与体血管幹細胞を抗-CD40L単一クローン抗体と共に摂取させた後、何日か以内にCTLA4-Ig投与量を摂取させる。かようなプロトコルは供与体反応性T細胞を除去し、CD40-CD40L相互作用を遮断させる。ヒト血管幹細胞を試験管内生成及び増大させるための前述の新規方法は、かような温和な耐性プロトコルを実行可能にする。
【0263】
受容体調節及び/または供与体反応性T細胞の枯渇または遮断後、本発明の方法で生成した供与体耐性化ヒト血管幹細胞を受容体に投与する。供与体ヒト血管幹細胞は、供与体からの組織または細胞源から収得した血管幹細胞に由来しうる。代案として、供与体ヒト血管幹細胞は、供与体と一致する異なる非供与体源から収得できる。
【0264】
特定実施例で、供与体ヒト血管幹細胞を多重投与で(例えば、2、3、4またはその以上の供与体細胞の投与)投与することによって、耐性が誘導される。従って耐性は、供与体耐性化細胞の多重投与を含む方法へ誘導でき、ここで多重投与は、週またはそれ未満の期間内に受容体に行われる。
【0265】
特定実施例で、本発明ヒト血管幹細胞が免疫耐性を誘導する能力は、異なる実験モデルシステムを使用して評価できる。例えば、SCIDマウスにヒト免疫システムを樹立する能力は、実験モデル内でヒト免疫反応を研究するのに使われてきた。ヒト胎児肝及び胸腺組織を使用し、免疫不全マウス受容体で機能的なヒト免疫システムを再構成できるということはすでに明らかにされている。同様に、本発明ヒト血管幹細胞の機能的力量を類似の実験モデルシステムを使用して評価できる。例えば、マウス内の機能的なヒト免疫システムを設立するのに、ヒト胎児肝を代替するヒト血管幹細胞の能力は、前述の実験モデルを使用して評価できる。また、機能的なヒト免疫システムを有するマウスで(例えば、ヒト胎児肝及び胸腺組織をSCIDマウス内のヒト免疫システムを設立するのに使用してhu-SCIDマウスを生産した場合)、混合キメラ現象を得るために、ヒト「供与体」血管幹細胞(hu-SCIDマウスを設立するのに使われた胎児肝及び胸腺組織に対して不一致)を前述の方法のうちいずれか一つによってhu-SCIDマウスに投与できる。その後、供与体血管幹細胞に対して一致する同種移植片(allograft)をこれらの動物に移植する場合、供与体抗原に対する耐性を評価できる。
【0266】
特定実施例で本発明は、細胞配合物に係るものである。効果的な細胞配合物は、次の2成分を含む:免疫耐性を誘導する第1細胞類型及び必要な機能を再生する第2細胞類型。二種の細胞類型は、本発明の方法で製造でき、同じ供与体から収得できる。例えば、供与体由来ヒト血管幹細胞が耐性化供与体細胞として使われうる。供与体由来細胞(例、胚芽幹細胞、多能性(pluripotent)幹細胞または初期先祖細胞、または血管幹細胞)も使われ、例えば、造血細胞または内皮細胞(ここに叙述される)、神経細胞、例えば、希突起膠細胞、肝細胞、心筋芽細胞または心筋芽細胞先祖細胞、または造骨細胞及びこれらの先祖細胞を生成できる。従って、前記供与体血管幹細胞または前記供与体胚芽または多能性幹細胞から由来した細胞または組織に受容体が耐性を有するように、供与体ヒト血管幹細胞を受容体で耐性を誘導するのに使用できる。
【0267】
他の実施例で、本発明の細胞配合物の二細胞成分を異なる供給源または供与体から得ることができ、このとき2個の供給源または供与体は一致する。例えば、血管幹細胞を胚芽幹細胞供給源から生成でき、グラフト細胞または組織は、ヒト血管幹細胞を生成するのに使われた胚芽幹細胞供給源と異なる供給源から収得できる。かような実施例で、2つの供給源は一致する。
【0268】
本明細書に叙述された治療目的のうちいずれかのために、免疫耐性のためのヒト血管幹細胞またはそれから由来した造血細胞が、ヒト投与のための十分な滅菌条件下で製造された等張添加剤を含む薬学組成物の形態で提供できる。
遺伝子治療法での血管幹細胞
本発明の他の様態は、血管幹細胞細胞、またはそれから分化された造血または内皮細胞、または順にこれらの細胞から追加分化された細胞を遺伝子治療法に利用することに係るものである。本発明の哺乳類血管幹細胞の製剤は、治療遺伝子の遺伝子産物によって治療されうる疾病を有する患者に治療遺伝子を伝達するのに使われうる。血管幹細胞は、新生血管形成(例、虚血性組織で側副(collaterals)の形成を誘導するVEGF)、造血作用(例、赤血球生成を誘導するエリスロポイエチン)、血管機能(例、動脈瘤を治療するために血管平滑筋の増殖を誘導する成長因子)または血液細胞機能(例、出血を減少させる凝固因子)または分泌ホルモン(例、成長ホルモン)に係るコードに関与したり、または影響を与える治療遺伝子を伝達するのに特に有用である。遺伝子治療法に係る方法は、先行技術に示されている。例えば、米国特許第5,399,346号(Anderson et al.)を参考にしうる。遺伝物質を伝達するための生体適合性カプセルについては、PCT公開WO95/05452(Baetge et al.)に記述されている。骨髄由来細胞に遺伝子を伝達する方法についてもすでに報告されている(米国特許第6,410,015号(Gordon et al.)参考)。治療遺伝子は、疾病予防または治療に関与する遺伝子産物または蛋白質を暗号化する遺伝子、または疾病予防または治療に関与する細胞調節効果を有する遺伝子と共に、臨床的有用性を有する任意の遺伝子でありうる。かような遺伝子産物は、患者で欠陥があったり消失された遺伝子産物、蛋白質を代替したり細胞調節の効果を有し、患者の疾病または疾患の予防または治療を可能にできる。
【0269】
従って本発明は、遺伝子治療法を受けなければならない疾病を有する患者に治療遺伝子を伝達する方法をさらに提供し、該方法は、これを必要とする患者を選別する段階、細胞が治療遺伝子を保有するように血管幹細胞製剤を変形させる段階、及び患者に変形された製剤を投与する段階を含む。かような製剤は、本技術分野に一般的に公知の技法によって変形されうる。変形には血管幹細胞の治療効果を増強させる遺伝子産物を暗号化するDNAまたはRNA断片を哺乳類血管幹細胞に挿入することが含まれうる。変形された血管幹細胞が患者身体で治療遺伝子産物を生産したり、または所定の治療効果を有するようにする方式で遺伝子を挿入する。一実施例で血管幹細胞は、骨髄と共に患者から収得した細胞供給源から製造される。任意の遺伝子伝達手続き、例えば、ネイキドDNA統合、DNAの直接注入、受容体媒介されたDNA摂取、レトロウイルス媒介された形質感染、ウイルス媒介された形質感染、非ウイルス形質感染、脂質媒介された形質感染、電子伝達、電気泳動、リン酸カルシウム媒介された形質感染、マイクロ注入またはプロテオリポゾーム(これら全ての方法には、遺伝子治療法ベクターを含むことができること)を使用し、遺伝子を血管幹細胞に挿入できる。その他ベクターとしては、レトロウイルスベクター以外にも、DNAウイルス及びその他RNAウイルスから由来したベクターを使用できる。RNAウイルスを使用する場合に明白なように、かようなウイルスは、かようなRNAウイルスに形質感染された血管幹細胞が治療遺伝子産物を暗号化するDNAを提供するように、所定の薬剤を暗号化するRNAを含む。遺伝子を細胞に導入する方法は、本技術分野に公知である(例えば、Ausubel,id.参考)。
【0270】
本発明の他の様態によれば、治療遺伝子を保有するように変形されたヒト血管幹細胞の精製された製剤が、容器または商業的パッケージで提供され、かような容器または商業的パッケージは、治療遺伝子伝達によって疾病を予防及び/または治療するための遺伝子治療法で、製剤の使用のための説明書をさらに含む。従って本発明は、本発明の哺乳類血管幹細胞の製剤(かような製剤は、製剤の細胞が治療遺伝子を保有するように変形される)、及び遺伝子治療法で治療可能な疾病を有する患者を治療するための説明書を含む商業的パッケージ(すなわち、キット)をさらに提供する。
その他商業的応用及び方法
本発明の特定様態は、ヒト血管幹細胞を商業的量に増大させるものである。特定実施例で、ヒト血管幹細胞を大規模に生産し、必要な場合に保存し、病院、臨床医またはその他ヘルスケア機関に供給する。患者が、例えば、虚血または血管損傷のような処方を受けた場合、または造血再構成が要求される場合、ヒト血管幹細胞を注文して相応の時に供給できる。従って本発明は、商業的規模で細胞を得るために、ヒト血管幹細胞を生成及び増大させる方法と、前記方法から由来したヒト血管幹細胞を含む細胞製剤、及びヒト血管幹細胞を病院及び臨床に提供(すなわち、生産、必要な場合に保存、及び販売)する方法とに係るものである。さらに、血管幹細胞系統細胞を試験管内で生産し、必要な場合に保存し、病院及び臨床医に販売できる。
【0271】
従って本発明の特定様態は、本明細書に記述された方法によって増大した血管幹細胞を生産、保存及び分配する方法に係るものである。ヒト血管幹細胞を試験管内で生産及び増大させた後、患者治療に先立ってヒト血管幹細胞を回収、精製、及び必要な場合に保存しうる。代案として、血管幹細胞系統細胞が望まれた場合、患者治療に先立って、ヒト血管幹細胞を試験管内でさらに分化させることもできる。従って、特定実施例では本発明は、血管幹細胞を病院、ヘルスケアセンター、及び臨床医に供給する方法を提供し、本明細書に公開された方法によって生産された血管幹細胞または血管幹細胞系統細胞は保存され、病院、ヘルスケアセンターまたは臨床医の要求によって注文され、血管幹細胞または血管幹細胞系統治療法が要求される患者に投与される。代案的な実施例で、病院、ヘルスケアセンター、または臨床医は、患者の特定データに基づいてヒト血管幹細胞を注文し、ヒト血管幹細胞を患者の状態によって生産し、注文した病院または臨床医に供給される。
【0272】
本発明の追加的な様態は、潜在的な患者受容体に一致する細胞を提供できる血管幹細胞及び/または血管幹細胞系統細胞のライブラリに係るものである。従って、一実施例で本発明は、1個以上の組織接合性抗原に対して同質の(homozygous)血管幹細胞製剤を提供する段階を含む薬学ビジネスを遂行する方法を提供し、このとき細胞は、本明細書に公開された方法によって増大しうるヒト血管幹細胞ライブラリを含むかような細胞銀行から選択され、それぞれの血管幹細胞製剤は、ヒト群集に存在する1個以上のMHC対立遺伝子に対して半同質(hemizygous)であるか同質であり、前記血管幹細胞銀行は、細胞銀行の他のメンバーと比較するとき、MHC対立遺伝子の異なるセットに対してそれぞれ半同質であるか同質である。前述のように、遺伝子標的化または異質性(heterozygosity)の消失は、血管幹細胞を誘導するのに使われる半同質または同質のMHC対立遺伝子幹細胞を生成するのに使われうる。一実施例で、患者に適するように特定血管幹細胞製剤を選択した後、患者治療に適切な量に増大させられる。かような方法は、受容体に細胞を投与するに先立って、血管幹細胞を分化させて造血及び/または内皮細胞を収得する段階をさらに含むことができる。薬学ビジネスを遂行する方法はまた、販売用製剤を分配する分配システムを遂行することを含むことができ、薬学製剤のマーケッティングのための販売グループを設立することを含むこともできる。
【0273】
本発明の他の様態は、薬学的、化学的、またはバイオ技術会社、病院、または学術または研究機関の設備内の調査機器として、本発明のヒト血液母細胞を利用することに係るものである。例えば、ヒト血液母細胞及び血液母細胞誘導細胞(例えば、内皮細胞)は、新生血管及び抗-新生血管因子をスクリーン及び評価するのに使われ、または組織エンジニアリンに使われうる。また、ここに公知の方法によって得られて拡張された血管幹細胞は、造血及び内皮細胞に分化されうる二重の可能性有するために、これらは、造血及び血管形成の細胞及び分子生物学用として使われうる。さらにヒト血管幹細胞は、これらの細胞、遺伝子、成長因子、及び造血と血管生成とに役割を担当する分化因子の新しいマーカの発見、または潜在的な毒性または保護剤のためのスクリーニング・アッセイの発展及び薬物発見のために使われうる。
【0274】
本発明の他の実施例で、(血液細胞のような)血管幹細胞系統細胞はまた、商業的に使われうる。造血細胞は、臨床及びリサーチ適用のために使われうる、ヘモグロビン及び成長因子のような血液生成物を生成するのに使われうる。
【0275】
本発明はまた、患者から得たヒトES細胞収得方法及びES細胞から由来したヒト血管幹細胞膨脹方法を含む。この血管幹細胞は保存されうる。またこの血管幹細胞は、ESを得た患者、またはこの患者の親戚を治療するのに使われうる。
【0276】
前述の方法及び適用は、血管幹細胞の治療、薬学的製剤及び保存に係り、本発明はまた、かような適用に適した血管幹細胞溶液に係るものである。従って本発明は、患者に注射用に適した血管幹細胞の溶液に係るものである。かような溶液は、生理学的に許容される液体(例えば、生理食塩水、緩衝食塩水または均衡食塩水溶液)内で製剤化された細胞を含みうる。溶液は、選択的に生体内細胞分化を促進する因子を含みうる。溶液は、骨髄移植用に使われる方法を許容する技術によって、患者に血管投与(例えば、静脈内注入)することによって投与できる。一部実施例で細胞溶液は、末梢血管、表面末梢血管、または代案として中心静脈投与(例えば、中心静脈カテーテルを介する)内に投与される。溶液内細胞の数はおよそ102以上であって、およそ109細胞未満でありうる。他の実施例で溶液内細胞の数は、およそ101、102、5X102、103、5X103、104、105、106,107、または108ないしおよそ5X102、103、5X103、104、105、106,107、108、または1010の範囲であって、下限線が常に上限性未満であることを除き、上限線及び下限線は、非独立的に選択される。さらに細胞は、単一または複合投与で投与されうる。
【0277】
本発明は、次の実施例を参考としてさらに具体的に技術され、それは単に説明のためであり、前述の前述の発明の制限として考慮されるものではない。
【実施例0278】
実施例1:造血及び内皮可能性をいずれも示すヒトES細胞から由来した血管幹細胞
ヒト胚芽幹細胞系H1とH9とをマウス胚芽線維芽細胞(MEFs)のES細胞培地で培養する。培養されたヒトES細胞を200gで遠心分離して分離、ペレット化し、胚状体(EB)形成培地で再懸濁する。EB形成培地は、BMP-4及びVEGFが補充された無血清Stemline培地(Sigma(登録商標))を含む。この後、細胞を超低付着(ultra-low attachment)培養プレート上にプレーティングし、CO2インキュベータで培養する。24-48時間後、初期造血サイトカイン(TPO、Flt-3KYE、及びSCF)を加え、EBを形成するためにさらに24-48時間培養する。
【0279】
胚状体(EB)は2-6日間または選択的に2-5日間培養され、この後PBSで収集、洗浄し、トリプシン/EDTAを使用した単一細胞懸濁液で脱凝集する。EBの数を測定し、ほぼ5-10X106細胞/mLを、BL-CFU培地(Stem Cell TechnologyTM)を含み、サイトカイン及びPTD-HOXB4融合蛋白質で補充された血管幹細胞成長に最適化された無血清メチルセルロース培地で培養する。この後細胞は、血管幹細胞コロニーを成長させるために、新たな超低付着培養プレート上に再プレーティングする。
【0280】
EBは、血管幹細胞コロニーの形成のために、毎日モニタリングする。ほぼ3日目に、血管幹細胞コロニーの形成が観察される。血管幹細胞は、非常に特徴的なブドウ型細胞形態によって特定される。
【0281】
細胞の一部からさらにEBを形成できるであろう(第2 EBs)。第2 EBsは、図16bから分かるように、ブドウ型形態を有さない。血管幹細胞はまた、第2 EBsより小さい。
【0282】
その後、これら血管幹細胞コロニーは選択、識別されて及び造血コロニー形成ユニット(CFUs)を形成し、さらに分化する能力を検査するために、メチルセルロースCFU-培地内に再プレーティングされる。同様に、これら血管幹細胞コロニーは選択され、識別され、内皮分化への最初の段階のために最適化されたフィブロネクチン-コーティング培養プレート上に再プレーティングされる。
【0283】
該選択された血管幹細胞コロニーから造血前駆細胞の発生を検査するために、顆粒球、赤血球、大食細胞及び巨大核細胞のためのコロニー形成ユニット(CFU)の成長は、成長した後の3-10日間に測定される。
【0284】
該分離された血管幹細胞コロニーから内皮細胞の発生を検査するために、Matrigelの厚い層内に再プレーティングされるとき、分枝された管-腱(tube-cord)を形成する血管幹細胞の能力を測定する。
【0285】
内皮細胞に分化する分離された血管幹細胞コロニーの能力はまた、内皮細胞表面マーカの存在またはLDL uptakeのような他の内皮特異アッセイを利用して確認しうる。
実施例2:血管幹細胞またはhESC由来BC細胞の副次的な特徴ヒトES細胞培養
【0286】
本研究に使われるhES細胞系は、以前に記述された(WAOl、WA07、及びWA09としてNIH登録されている)H1、H7、及びH9細胞系及びAdvanced Cell Technologyから由来した4個の系(MAOl、MA03、MA40、及びMA09)である。未分化のヒトES細胞は、80%合流さっるまで、完全なhES培地Eで非活性(ミトマイシンC-処理の)マウス胚芽線維芽細胞(MEF)細胞で培養される(Klimanskaya & McMahon,Approaches of derivation and maintenance of human ES cells:Detailed procedures and alternatives,in Handbook of Stem Cells.Volume 1:Embryonic Stem Cells,ed.Lanza,R.et al.(Elsevier/Academic Press,San Diego,2004)。その後、未分化のhES細胞を2-5分間0.05%トリプシン-0.53m MEDTA(InvitrogenTM)で分離し、5分間1,000rpmで遠心分離して収集する。
EB形成
血管幹細胞前駆体(中胚葉)形成を誘導するために、hES細胞(2ないし5X105細胞/ml)をBMP-4及びVEGF165(50ng/ml、R&D SystemsTM)の添加された無血清Stemline培地(例えば、Stemline IまたはII、SigmaTM)内の超低付着プレート(CorningTM)上にプレーティングし、5%CO2で培養する。48時間後、EB培地は、初期造血/内皮成長因子の混合物(cockatil)で補充及び充填する。例えば、培地の半分を48時間後に除去し、新たな培地にBMP-4及びVEGFさらにSCF、TPO及びFLT3配位子(20ng/ml、R&D Systems)を同じ最終濃度で加えた。トリプル蛋白質形質の導入、ドメイン(tPTD)-HoxB4融合蛋白質(1.5μg/ml)を血管幹細胞及びその前駆体を増殖させるために48-72時間培養培地に加えた。
血管幹細胞または芽細胞(blast)増殖
3.5-5日後、EBsを2-5分間0.05%トリプシン-0.53mM EDTA(InvitrogenTM)で分離、収集し、単一細胞懸濁液を22Gニードルを介して3-5回及び40μM ストレイナを通過させて製造する。細胞は、5分間1,000rpmで遠心分離して収集されてカウントされる。細胞ペレットは、無血清Stemline培地の50-200mlで再懸濁される。血管幹細胞を増殖するために、2ないし5X105 hES細胞の分化から由来したEBsから得た単一細胞懸濁液は、IscoveのMDM、1-2%牛血清アルブミン、0.1mM 2-メルカプトエタノール及び成長因子の混合物内の1.0%メチルセルロースLを含む2mlのBL-CFC/血管幹細胞増殖培地(BGM)で混合される。例えば、10μg/ml rh-インシュリン、200 μg/ml鉄飽和ヒトトランスフェリン、20ng/ml rh-GM-CSF、20ng/ml rh-IL-3、20ng/ml rh-IL-6、20ng/ml rh-G-CSF、3ないし6ユニット/ml rh-EPO、50ng/ml rh-SCF、50ng/ml rh-FLt3配位子、50ng/ml rh-VEGF及び50ng/ml rh-BMP-4)(「rh」は「ヒト組換え」を示す)、及びTPO及びFLの1.5μg/ml包含/非包含PTD-HoxB4融合蛋白質の1.5μg/mlを加えた。細胞混合物は、超低付着プレート(例えば、6-ウェルプレートの1ウェル内2-5X105細胞/2ml)にプレーティングし、4-7日間37℃、5%CO2で培養した。4-6日後、ブドウ型血管幹細胞芽細胞コロニー(BL-CFCsまたはBCsと示す)は、図16aから分かるように、顕微鏡によって観察された。
【0287】
WAO1 hES細胞及びMAO1 hES細胞から得た個別細胞の0.35±0.01%及び0.52±0.06%は、それぞれブドウ型母細胞コロニー(BCs)に発育された。開始3日目、BCsは、<10細胞を含み、4日ないし6日間早く増殖して>100細胞になった(図16a)。コロニーは、一般的に二次EBsほど密集しておらず、形態的にさらに均一であった(図16b)。hES由来母細胞コロニーのWright-Giemsa染色及びサイトスピン(cytospin)製造は、未成熟芽細胞の形態的特徴を確認した(図16c)。他のhES細胞系(WA07[H7]、WA09[H9]、MAO1、MA03、MAO9、及びMA40)にこの結果を拡大するために、FL(50ng/ml)及びTpo(50ng/ml)の補充物は、BCコロニーの持続的な成長のために必要である(FLとTpoとがなければ、収得された小(10-20細胞)hES-BCsは、4-8日後に死滅)。他のhESC系間に観察される矛盾は、Bowles et al.によって以前に観察された通り、この細胞系の内因的特性に起因したものでありうる(2006 Stem Cells 24:1359-1369)。Epo(ヒト組換えEpoの3-6units/ml)はまた、検査されたあらゆるhESの成長及びBC形成に必須であった。
【0288】
時間過程(2日ないし6日)は、EB内のヒトBL-CFC形成を検査し、狭い時間周期は、ヒトESC由来EBsが多数のBL-CFCs(またはhES-BCs)を生成する間に発見された。2日目にEBsは、低頻度でhES-BCsを生成し(WAO1 hES cellsの場合、57.3±7.4 BCs/1x105 EB cells、平均±SE、n=3;MAO1 hES cellsの場合、395±10.4 BCs/lx105 EB cells、n=3)、そして6日目に造血(赤血球)前駆体が発生した。しかし、3.5日目にEBsは、両胞胚(WAO1及びWA09)及び単一分割細胞(MAO1及びMA09)から由来したhESC系を含む、あらゆる検査hESC系内で多数の血管幹細胞またはhES-BCs(WAO1 hES細胞の場合、347.4±11.1 BCs/lX105 EB細胞、n=3;MAO1 hES細胞の場合,523.3±60.1 BCs/lx105 EB細胞、n=3)を生成した。効率(efficiency)は、hESC系と成長条件とによって変わるにもかかわらず(表1参照)、WAO1-GFP及びMAO1 hES細胞(12-13X106細胞)の1つの6-ウェルプレートは、それぞれ22.18±3.51X105(6-8日間増殖、平均±SE、n=17)、そして49.73±7.23X106(6-8日間増殖、n=9)そして396.4±91.63x106(10-13日間増殖、n=6)の血管幹細胞またはhES-BC細胞を生成した。従って細胞は、前述の良好に定義されて再生可能な条件下で容易に増殖できる。
【0289】
【表1】
【0290】
血管幹細胞の冷凍保存
血管幹細胞(または芽細胞またはhES-BC細胞)は、無血清培地で冷凍保存されうる。血管幹細胞の冷凍保存のために、精製された細胞を同じ二部分に分けた:この細胞の半分を2つの造血CFUアッセイ及び内皮細胞発達のために直接プレーティングし、他の半分は、Stemline培地の8%DMSOに再懸濁して液体窒素内保存した。その後細胞は、造血及び内皮発達可能性のために解凍して検査した。解凍してから、血管幹細胞をここに記述されているように造血及び内皮系発達のためにプレーティングし、新鮮な、精製された細胞と比較した。内皮細胞系統の場合、冷凍過程後に細胞の78±2%(平均+SE、n=3)が回収された一方、総造血CFUsの61±7%(n=3)とCFU-赤血球の46±4%(n=3)とが新鮮なhES-BC細胞と比較するときに残った。CFU-混合のためのさらに原始的な多潜在性前駆体の損失は、液体窒素保存でhES-BC細胞回収後にはないと観察された。
血管幹細胞の特徴
BL-CFC免疫細胞の化学分析において、精製されたBL-CFCsは、ポリリジン処理したグラススライド上にサイトスピンし、4%パラホルムアルデヒドで固定した。最大遺伝子の発現を検査するために、第1抗体を4℃で一晩培養し、次に蛍光染料で第2抗体を標識し、最後に蛍光顕微鏡で検査した。正常ヒトBM細胞、K562細胞及びHUVECを対照群として使用した。
【0291】
免疫細胞化学分析は、hES細胞由来BL-CFCsまたはBCsがCD31、CD34及びKDRがない蛋白質、または他の付着分子と関連したさまざまな血管幹細胞を発現することを明らかにした。hES-BCsは、GATA-1(図16d及び16e)及びGATA-2蛋白質を示す。GATA-1は、2つの原始(胚芽)及び最終(成体)造血いずれにも必須な亜鉛フィンガ転写因子であり、マウスの血管幹細胞内で発現される(Ferreira et al.2005 MoI Cell Biol 25:1215-1227 and Yokomizo et al.2007 EMBO J 26:184-196)。GATA-2は、血管幹細胞発達及び分化内多様な段階で作用する亜鉛フィンガ転写因子である(Lugus et al.2007 Development 134:393-405))。hES細胞由来BL-CFCsまたはBCsはまた、LMO2(血管幹細胞発達に重要なLIM-ドメイン蛋白質(Gering et al.2003 Development 130:6187-6199)(図16g及び16h)とCXCR-4(図16n及び16o)とを示す。CXCR-4はケモカインSDF-I用受容体であって、hESCs、造血母細胞及びマウス血管幹細胞から由来した内皮細胞の表面で発現される。CXCR-4は、骨髄内造血前駆体の移動、貯留及び発達に重要な役割を果たす。細胞はさらにTPO及びEPO受容体(図16t及び16u、及び16q及び16r、及び表1)を示し、CD71、トランスフェリン受容体用特異抗体に容易に反応する(図16j及び16k)(表2及び図16d-v参考)。細胞は、他の付着分子またはCD31、CD34及びKDRをほとんどまたは発現させない(表2)。CD34、CD31、及びKDR発現の不在、及びCD 133発現の不在は、表面マーカ発現の独特なプロファイルである。
【0292】
遺伝子プロファイル分析において、総RNAは、精製されたBL-CFCs/hES-BC細胞、3.5日になったEBs及び未分化のES細胞からRNAeasy kit(Qiagen)を使用して分離される。切断されたアンチセンスcRNAは、マサチューセッツ(Worcester、MA)大学のコアゲノムファシリティでヒトU133.2アレイ(Affymetrix(登録商標),Inc)への混成化のために使われた。β-クラスタグロービン遺伝子の発現プロファイルのために、個別CFUコロニーが選択され、RNAは分離及び増幅され、β-,γ-及びε-グロービン遺伝子発現は、前述の(Lu et al.2004 Blood(103):4134-4141)で分析された。
【0293】
AffymetrixTMアレイによる分子プロファイルは、血管幹細胞と関連した遺伝子内の相当な増加及び初期段階EBsと比較し、初期原始赤血球母細胞の発達を示す(表2)。SCL及びLMO2、血管幹細胞発生に重要な2つの遺伝子(D’Souza et al.2005 Blood(105):3862-3870;Park et al.2004 Development(131):2749-2762;Gering et al.2003 Development(130):6187-6199))だけではなく、FLT-I(VEGF用受容体)は、BL-CFCs/母細胞コロニー内で容易に検出された。胚芽(ε-グロービン、549倍)及びfatal(γ-グロービン、817倍)グロービン遺伝子発現は、BL-CFCs/hES-BCs内で劇的に増加し、NF-E2(12倍)、GATA-1(6倍)、EKLF(7倍)、ICAM-4(4倍)、グリコフォリン(14倍)及びEpo受容体(4倍)メッセージ(message)数値もまた適度に増加した。
【0294】
【表2-1】
【0295】
【表2-2】
【0296】
血管幹細胞の機能的特性化
ブドウ状の血管幹細胞コロニーをピッキングし、解剖顕微鏡下で手動に単離して無血清Stemline(Stemline I)培地に再懸濁した。その後、この細胞を後述する方法で系統潜在性(lineage potential)についてテストした。
hES-母細胞のクローン形成能(Clonality)
hES-母細胞コロニーが複製的であって一般的な二分化能(bipotential)前駆細胞から由来しているか否かを決定するために、マウス研究(Choi et al.1998 Development(125):725-732;Kennedy et al.1997 Nature(386):488-493)にすでに記載されたような細胞混合実験を遂行した。WAO1 -GFPのEBからの細胞及びMAO1 hES細胞を混合してBGMにプレーティングした。hES-母細胞コロニーを4-6時間後に位相及び蛍光顕微鏡で調べた。一連の3ro、母細胞コロニーの100%(77個のうち77個)がGFP陽性またはGFP陰性ということが明らかにされている(混合BCは観察されていない、図18a及び18b) GFP陰性コロニーが非活性GFP遺伝子を有した細胞を含有する可能性を排除するために、GFP陽性及びGFP陰性コロニーをGFP配列の存在について調べた。混合実験から12個の個別GFP陽性及び12個の個別GFP陰性コロニーを位相及び蛍光顕微鏡下でハンドピッキングした。遺伝子のDNAをMicroDNA kit(QiagenTM)で単離させ、GFP特異wjrR反応を遂行した。PCR反応に対する内部対照群として、ミオゲニンプライマーをあらゆるPCR反応に含めたが、これは、245bpの断片を生成させる。PCR生成物を2%アガロースゲルで分離させ、臭化エチジウム染色によって視覚化させた。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)分析は、あらゆる陰性コロニーでGFP遺伝子配列の不在を確認させた(図18、PCR分析)。
【0297】
希釈研究で1次及び2次BCのクローン形成性(Clonogenicity)をさらに確認した(表3、図18c)。限界希釈研究は、分化されたEBから異なる数(1.5X103~1.5X104)の細胞を利用して遂行された。単一EB-細胞懸濁液を150ml BGM(100細胞s/ml)で希釈させた後、これらを15の超低96-ウェルプレートにプレーティングし、BC発生のために37℃で培養した。母細胞コロニーのクローン原因を確認するために、このプレートを、プレーティング後の4時間後に2名の研究員によってマスキングされた条件下でチェックした。二重または三重細胞塊を有したウェルは追加調査から排除した。
【0298】
マウスES細胞研究で、Kennedyら(1997 Nature 386:488-493)によって報告されたように、ヒト母細胞コロニー(hES-BCまたはBC)発生はまた、少ない細胞数で発生が貧弱であって細胞密度依存的である。7個のBCは、15個の96-ウェルプレートから発生した(図18c)。追加的な限界希釈研究は、BCが二次BCを生成する潜在性を有した細胞を含有しているか否かを決定するために遂行した。
【0299】
二次BC成長に対して、一次母細胞コロニーをハンドピッキングして単一細胞に分離させた。その後、単一細胞を20ml BGMと混合し(それぞれ200、300、及び1,000細胞)、一連の希釈物を作り、6個の超低96-ウェルプレートにプレーティングした(0.1ml/ウェル)。二重または三重細胞塊を有したウェルは研究から排除した。一次BCと同じ形態上の特徴を有した29個の二次BCは、いずれも5個の96-ウェルプレートから発生した。かような実験は、一次及び二次hES-BCのクローン形成性を確認した(表3)。
hES-母細胞コロニーの二分化能力(bipotentialcapacity)
クローン的に誘導された母細胞の二分化能力を説明するために、2つの戦略を使用した。第一の方法で、単一BC増殖のために、個別hES-BCコロニーをハンドピッキングして造血及び内皮系統の成長を支持する成長因子を有したStemline IIを含有するフィブロネクチン被覆された48-ウェルプレートに移した。液体培養での成長因子は、組換えヒトSCF(20ng/ml)、Tpo(20ng/ml)、FL(20ng/ml)、IL-3(20ng/ml)、VEGF(20ng/ml)、G-CSF(2Onng/ml)、BMP-4(15ng/ml)、IL-6(10ng/ml)、IGF-I(10ng/ml)、内皮細胞成長補充因子(ECGS、100μg/ml)及びEpo(3U/ml)を含有した。培養1週間後、非付着造血細胞を温和にピペッティングして除去し、造血CFU分析に直接使用した。非付着細胞を除去した後、付着集団をEGM-2内皮細胞培地(CambrexTM)で1週以上培養した後、vWFの発現を調べた。
【0300】
個別BL-CFCを造血及び内皮系統の成長を支持する成長因子を含む液体培養に移したとき、非付着及び付着細胞いずれも60%以上(24のうち15)のBL-CFCを発生させ(図18d及び18e、表2)、多様な造血サイトカインで補充された半固形培地に再プレーティングした後、これらの65%(24のうち16)は、赤血球(図18i)、骨髄(図18j及び18k)及び多系統(図18m)を含む造血コロニーを形成した。個別BCの95%以上(24のうち23)は、付着、ストローマ類似細胞を発生させたが、これはAc-LDLを吸収して(図18g)vWFを発現する(図18h)Matrigel(図18f)に毛細血管構造を形成した。
【0301】
第二の方法で、一次及び二次母細胞コロニーからの個別BCをピッキングして2つの群に分け、1つの群は造血CFUについてテストし、他の1つの群は内皮前駆細胞形成についてテストした。一次BCに対して、90%以上(24のうち22)が造血及び内皮系統を発生させ、100%及び92%がそれぞれ造血及び内皮細胞を発生させた(表3)。同様に、限界希釈実験からの7個の個別BCも造血及び内皮系統に分化するこれらの潜在性について調べた。5個のBCは、造血及び内皮子孫細胞いずれもを生成し(表3)、通常の実験からのBCと比較して低い効率を示したが(71%vs.92%)、これは、発生条件が最適ではないためでありうる。29個の二次BCに対して、半分以上(29のうち15)が造血及び内皮系統を発生させた一方、6(21%)及び3(10%)は、それぞれ造血または内皮細胞満を生成させた(表3)。たとえ一次BCが造血及び内皮細胞の前駆体を含んで異種集団を含むとしても、二次限界希釈実験は、一次BCで血管幹細胞の存在を明白に示す。
【0302】
【表3】
【0303】
造血前駆細胞分析
造血前駆細胞分析のために、細胞の半分を無血清造血コロニー形成単位(CFU)培地(H4436、Stem Cell TechnologiesTM)1ml、0.5%EX-CYTE(Serologicals Proteins Inc.TM)及びtPTD-HoxB41.5μg/mlと混合した。細胞はまた、Iscove’s MDMのうち1.0%メチルセルロース、1-2%牛血清アルブミン、0.1mM 2-メルカプトエタノール、10μg/ml rh-インシュリン、200μg/ml鉄飽和されたヒトトランスフェリン、20ng/ml rh-GM-CSF、20ng/ml rh-IL-3、20ng/ml rh-lL-6、20ng/ml rh-G-CSF、3units/ml rh-Epo、50ng/ml rh-SCF)及び1.5to5μg/ml PTD-HoxB4融合蛋白質を含有する無血清造血コロニー形成細胞分析培地と混合させることができる。細胞混合物を未処理12-ウェル細胞培養プレートにプレーティングして37℃で10-14日間培養した。
【0304】
造血CFUを最初のプレーティング後の10-14日に顕微鏡下で調べた。形態的特性化のために、単一造血CFUをピッキングしてPBSで2回洗浄し、ガラススライド上にサイトスピンし、Wright-Giemsa染料で染色し、細胞形態を顕微鏡下で調べた。
【0305】
図1から分かるように、血管幹細胞の造血潜在性の例示として造血CFUは、H1-GFP ES細胞から生成された血管幹細胞から観察された。
【0306】
観察された他の造血CFUの形態は、図2ないし6に図示する。赤血球のためのCFU(CFU-E)は、図2から分かる形態に特徴があった。多機能CFU(CFU-GEMM/Mix)は、図3及び図4に示される形態に特徴があった。顆粒白血球のためのCFU(CFU-G)及び大食細胞のためのCFU(CFU-M)は、図5で示される形態に特徴があった。顆粒白血球/大食細胞のためのCFU(CFU-GM)及び巨核球(megakaryocyte)大食細胞のためのCFU(CFU-Mk)は、図6で示される形態に特徴があった。
【0307】
血管幹細胞の造血潜在能の他の例示として、単一細胞懸濁液を10-14日間前述の多様なサイトカインを含有する無血清メチルセルロース培地にプレーティングしたとき、赤血球コロニー(図17a)、顆粒白血球(図17b)、大食細胞(図17c)及び多系統(図17d)造血細胞がさらに観察された。CD235a(赤血球)、CD13(骨髄)及びCD45(白血球)に対する抗体を利用したPACS分析(図17v-y)、Wright-Giemsa染色(図17e-g)及び免疫染色(図17i-k)で、これらの造血系統の同一性を確認した。ほとんどのCFU(>50%)は、赤血球コアを有した系統であり、プレーティング後の数日内に形成された(例えば、図1参照)。
【0308】
赤血球コロニーは、明赤色を有した原始赤血球のものと類似しており、Wright-Giemsa染色は、あらゆる赤血球が核が形成されたということを示している(図17e-g)。赤血球の発生段階をさらに区別するために、CFUコロニーをβ-クラスタグロービン遺伝子の発現パターンについて分析した(Lu et al.2004 Blood(103):4134-4141)。あらゆる赤血球及び多系統コロニーは、胚芽ε-グロービン遺伝子を主に発現し、β-グロービン遺伝子メッセージは検出されず(示すデータなし)、原始卵黄嚢のような状態を暗示した。
【0309】
免疫学的特性化のために、ガラススライド上にサイトスピンされたCFU-E、CFU-G、及びCFU-Mix細胞を抗ヒトCD235a、CD 13、及びCD45抗体で染色した。図17m-pに示されたFACS分析のために、1つのウェルから収集されたCFU細胞は、マウスIgGlイソタイプ対照群、CD235a、CD13、及びCD45で染色させ、Coulterフロー細胞測定器で分析した。Wright-Giemsa染色、免疫染色、及びFACS分析でこれらの造血系統の同一性を確認した(図17e-p)。
【0310】
図17v-yに与えられたFACS分析のために、LSRIIの流れ細胞測定器(BD BiosciencesTM)で標準手続を利用して3色細胞測定分析を行った。細胞を多様な類型の造血CFUを有するウェルから収集し、IMDM培地5体積でメチルセルロースを希釈することによって、単離させた。単一細胞懸濁液を部分に分けてイソタイプ対照群または抗原特異的抗体で染色させた。使われた抗体組合わせは、フルオロセイン-イソチオシアネート(FITC)に接合されたCD235a、R-フィコエリトリン(R-PE)に接合されたCD45及びアロピコシアニン(APC)に接合されたCD13であった。また細胞の一定部分はまた、イソタイプ対照群としてAPC、PE、及びFITCに接合されたマウスIgGで染色させた(BDBioscienceTM)。サンプルをLSRII流れ細胞測定器で)操作し、FlowJoTMバージョン6.3.2ソフトウェアで分析した。
内皮前駆細胞分析
内皮前駆細胞分析のために、細胞の残りの伴分を3-7日間EGM-2またはEGM-2MV完全培地(CambrexTM)でフィブロネクチン被覆されたプレート(BD BioscienceTM)上にプレートした。単離された血管幹細胞コロニーの内皮細胞への分化能は、Matrigel上の管形成、LDL吸収及び内皮細胞表面マーカーの存在を検出する免疫組織化学を利用して確認された。
Matrigel上の官形成
Matrigel(BDBioscienceTM)を4-ウェル組織培養プレート(0.2ml)または96-ウェルプレート(0.05ml)のそれぞれのウェルに添加し、37℃で45-90分間固形化した。ゲル形成後、前記培養物から由来した0.5-1.5X105細胞を含有するEGM-2またはEGM-2MV培地に細胞懸濁液0.2-0.3ml(例えば、96-ウェルプレートに対して0.1ml)をMatrigelの上部に位置させ、37℃、5%CO2で培養させた。毛細管類似(管)構造の形成を16-24時間培養後にチェックした。図7は、H9(a)及びACT30(b)細胞から由来した血管幹細胞の管-コード(cord)形成の代表的な写真を表す;Matrigel基材培地上に再プレートした後、血管幹細胞は、毛細血管類似構造を形成し、またAc-LDLを吸収する付着細胞を発生させた。図8(a)は、またHl-GFP細胞から由来した内皮潜在性を有する血管幹細胞の管-コード構造の代表的な写真を示す。また、図17qは、血管幹細胞から由来した付着細胞の再プレート後Matrigel上に形成された毛細管類似構造を示す。このような細胞は、AC-LDLを吸収しうる(データは示さない)。
AC-LDL吸収
フィブロネクチン被覆されたウェルで3-7日間成長された血管幹細胞をAlexa Fluor647-標識AC-LDL(InvitrogenTM)10μg/mlと添加し、4-6時間培養した。次いで、細胞を1XPBSで3回洗浄し、30分間4%パラホルムアルデヒドで固定させた。AC-LDLの吸収は、蛍光顕微鏡下で視覚化された。例えば、図8bは、Hl-GFP細胞から由来した血管幹細胞のAC-LDL吸収を表す。図17z及び17aaはAlexa Fluor594標識AC-LDLとの培養が内皮細胞の中断(punctuate)染色パターン特性を表すということを示す。
免疫細胞化学
フィブロネクチン被覆ウェル上で3-7日間成長した血管幹細胞を1XPBSで3回洗浄させ、4%パラホルムアルデヒドでO30分間固定させた。Von Willebrand因子(vWF)、PECAM-1(CD31)、VE-カドヘリン、KDR及びCD34の発現のために、細胞を透過させた後、1次抗-ヒトvWF(DakoTMまたはChemiconTM)、PECAM-1及びKDR(Cell Signaling TechnologiesTM)、VE-カドヘリン(R&D SystemsTM)、及びCD34(Dako)抗体と共に各々4℃で一晩中培養させた後、ロダミンまたはFITC(Jackson LaboratoryTM)で標識された相応する2次抗体で30-60分間培養させた。vWF蛋白質の発現は、ヤギ抗-マウスIgG-Alexa Fluor647 2次抗体(Jackson LaboratoryTM)と共に30-60分間培養することによって検出された。最終洗浄後、細胞を蛍光顕微鏡下でチェックした。図9は、Hl-GFP ES細胞から由来した血管幹細胞でのvWF発現を表す。図17sは、血管幹細胞由来の内皮細胞でのvWFの発現(矢)を表す。血管類似構造での付着細胞は、PECAM-1(CD31)、KDR及びVE-カドヘリンに対して陽性であった(図17t、17u、及び17z-17cc)。
【0311】
また、新生血管形成は、付着細胞またはハンドピックされたBL-CFCをMatrigelと混合して4-5週間生体内の移植する場合に観察された。Matrigelプラグの組織学的検査は、ヒト特異的核及びvWF抗体と免疫反応性である微細管の存在を確認させた。図10及び11参照.
実施例3:代表的なHOXB4蛋白質を製造及び精製する方法
代表的なHOXB4蛋白質を製造して精製する。これはTAT-HA-HOXB4融合蛋白質である。
【0312】
pTAT-HA-HoxB4発現ベクターは、N-末端TAT PTDを含む、pTAT-HA発現ベクターのNcoI及びEcoRI部位(agiftfrom Dr.SF.Dowdy,University of California SanDiego,LaJolla,CA)内にN-末端32アミノ酸を保有及び未保有するHoxB4 ORF(open reading frame)を含むPCR断片(センスprimer 5’-TAC CTA CCC ATG GAC CAC TCG CCC-3’(SEQ ID NO:16)及びアンチセンスprimer 5’-TCG TGG CTC CCG AAT TCG GGG GCA-3’(SEQ ID NO:17))をクローニングすることで生成させた。生成されたpTAT-HA-HoxB4 プラスミドは配列分析により確認され、BL21(DE3)pLysSバクテリア(InvitrogeneTM)内に形質転換された。
【0313】
対数期で成長するバクテリア細胞は、30℃で4時間1mM IPTGで誘導させ、遠心分離により収集した。6xHis融合された組み換え型TAT-HoxB4蛋白質は、宿主バクテリアにより包含体内に隔離されたことが明らかになったので、細胞を変性溶液(6Mグアニジウム、20mM NaPO4、及び0.5M NaCl、pH7.8)で超音波処理することによって粉砕させ、次いで、6xHis融合されたTAT-HoxB4組み換え型蛋白質をニッケル樹脂(ProBond resin、InvitrogenTM)に結合させた。数回洗浄後、TAT-HoxB4融合蛋白質を20mM NaPO4、pH4.0,0.5M NaCl、8Mウレア及び10mMイミダゾールで溶出させた。次いで、TAT-HoxB4融合蛋白質をSephadexG-25カラムでIMDM培地内に脱塩し、部分に分け、直ちに-80℃で保管した。
【0314】
TAT-HoxB4融合蛋白質の純度及び濃度をSDS-PAGEゲル電気移動により測定し、Coomassieブルー染色で視覚化した。精製されたTAT-HA-HoxB4組み換え型蛋白質は、≒37KD蛋白質として作用した。精製されたTAT-HA-HoxB4蛋白質の濃度は、同じゲルでBSA蛋白質標準と比較して評価された。
【0315】
コンピュータモデリングに基づいて、文献[Ho et al.(2001 Cancer Res61:474-477)]は変形されたPTDが試験管内、及び生体内の両方で本来のTAT PTDに比べて相当向上した蛋白質伝達可能性を保有するという事実を立証した。変形されたPTD-HA-HoxB4融合蛋白質を製造するために、センス5’-CGA TGG GGA TCC GGC TAC GCA CGC GCA GCT GCG CGC CAG GCT CGC GCC GGT GGA TCC ACC ATG-3’(配列番号18)及びアンチセンス5’-CAT GGT GGA TCC ACC GGC GCG AGC CTG GCG CGC AGC TGC GCG TGC GTA GCC GGA TCC CCA TCG-3’(配列番号19)オリゴをBamHIで分解し、キット(QiagenTM)を使用して精製した。次いで、pTAT-HA-HoxB4プラスミドプラスミド内のTAT断片を、変形されたPTD断片に置換し、三重化(triplicated)PTD挿入物を制限断片サイズに基づいて選別し、DNA配列分析で確認した。このプラスミドは、ptPTD-HA-HoxB4として指摘する。pTAT-HA-HoxB4及びptPTD-HA-HoxB4プラスミドはBL21(DE3)pLysSバクテリア(InvitrogenTM)で形質転換し、4時間30℃で1mMIPTGを添加することによって、HoxB4融合蛋白質発現を誘導した。6xHis-融合された組み換え型TAT-HoxB4及びtPTD-HoxB4蛋白質を宿主バクテリアにより封入体内に隔離し、細胞を変性溶液(6Mグアニジウム、20mMNaPO4及び0.5MNaCl、pH7.8)で超音波処理で破壊した後、6xHis-融合されたTAT-HoxB4及びtPTD-HoxB4組み換え型蛋白質をニッケル樹脂(ProBond resin、InvitrogenTM)に結合した。数回の洗浄後、TAT-HoxB4及びtPTD-HoxB4融合蛋白質を20mMNaPO4、pH4.0,0.5 M NaCl、8Mウレア+10mMイミダゾールで溶出させた。TAT-HoxB4及びtPTD-HoxB4融合蛋白質をSephadex G-25カラムでIMDM培地で脱塩(desalt)し、分取して、-80℃で直ちに保存した。TAT-HoxB4及びtPTD-HoxB4融合蛋白質の純度及び濃度は、SDS-PAGEゲル電気永動法で決定し、クマーシーブルー染色(Coomassie blue staining)で視覚化した。精製されたTAT-HoxB4及びtPTD-HoxB4組み換え型蛋白質は≒38KD蛋白質として作用する。精製されたTAT-HoxB4及びtPTD-HoxB4蛋白質の濃度は、同じゲルでBSA蛋白質標準物と比較することで推定した。安定性試験のために、TAT-HoxB4及びtPTDHoxB4蛋白質をウルトラロー(Ultra low)24-ウェルプレート内の生存するhESCを含有するステムライン(Stem line)II培地または5%FBSを含有するIMDM培地に添加し、37℃で培養した。培地の分取液を多様な時間で除去し、SDS-PAGEゲル電気永動法で処理し、クマーシーブルー染色で視覚化した。
【0316】
文献[Beslu et al.(2002 Blood1 00:22a)]には、HoxB4のN-末端の最初31個のアミノ酸がその機能のために省略され、N-末端33個のアミノ酸の除去は、さらに安定した蛋白質を生成するという事実が記録された。その結果は全長TAT-HoxB4蛋白質が不安定であり、数回の融解周期後≒30KD蛋白質を形成した一方、N-末端-除去されたTAT-HoxB4及びtPTD-HoxB4蛋白質が反復された融解及び37℃で一夜間培養しった後、その本来の形状を保持したことを確認させた(図19C)。図19Aで示したように、tPTD-HoxB4及びTATHoxB4は、変性条件及び脱塩条件下で多数のカラムクロマトグラフィー後、比較的純粋な蛋白質となった。精製されたtPTD-HoxB4蛋白質は、BSA蛋白質標準物と比較して推定したものであって、250ないし300μg/mlのPBSまたはIMDM培地のうち、最大溶解度を有しつつ、本来のSDS-PAGE下で単一≒38KDバンドとして作用した。TAT-HoxB4融合蛋白質から類似した結果を得る。
【0317】
文献[Krosl et al.(2003 Nat Medicine 9:1428-1432)]には、TAT-HoxB4蛋白質はFBSを含有する環境で非常に不安定であり、生物学的機能を保持するためには、2時間ごとに改めなければならない説明した。本明細書で存在する結果は、tPTD-HoxB4が5%FBSを含有する培地で不安定であり、1時間未満の半減期を有することを確認させた(図19B)。70℃で30分間のFBS前処理は大部分の酵素活動を除去した。その安定性をさらに調べるために、tPTD-HoxB4蛋白質を無血清ステムライン培地に添加し、37℃でhESCで培養した。図19Cで示したように、hESCへの48時間培養後にも、tPTD-HoxB4蛋白質の実質的な断片が検出された。
実施例4:SCIDマウスに移植されたマトリゲルプラグが内皮細胞を発生させる
血管幹細胞由来内皮細胞またはHl-GFPヒトES細胞から由来の純粋な血管幹細胞(1×106細胞)を精製し、700μlのマトリゲル(BD BiosciencesTM)で再懸濁した。この細胞を4週齢SCIDマウス(Jackson LaboratoryTM)の脊椎領域に皮下注射した。注射後5週目、動物からマトリゲルプラグを除去し、このプラグから凍結標本を製造した。マトリゲルプラグの横断面を固定し、標準ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)染色だけでなく、抗-ヒト特異的核抗体(MAB1281、ChemiconTM)及びヒト特異的抗-vWF抗体後、蛍光染料標識化された該当2次抗体(MAB1281のためのヤギ抗-マウスIgG-テキサスレッド2次抗体)を利用する免疫組織化学法で染色した。図10は、H&E染色されたマトリゲルプラグの横断面内の血管を立証し、図11はマトリゲルプラグの横断面内の血管がヒト特異的核抗体に対して陽性であるヒト血管幹細胞由来の細胞であることを立証する。
実施例5:眼球の生体内の虚血/再潅流研究
2種の技術、ガラス体内注射及び養子移入(adoptive transfer)を利用して、生体内の復旧過程に対するhES由来血管幹細胞の寄与度を直接的に調べた。虚血/再潅流(I/R)損傷は、眼内圧の上昇を誘発した。I/Rが損傷されたモデルは、血管閉塞(vaso-obliteration)及び無細胞毛細管の生成を含む網膜内皮に対する損傷を起こす。網膜I/R損傷後7日目、マウスに6日目、血管幹細胞(“hES-BC”とも称される)から収集された蛍光標識化された血管幹細胞をretro-orbitalsinusを通じて全身注射したか(n=13)、またはガラス体内注射した(n=4)。
【0318】
注射後1日目、マウスを安楽死させ、網膜を除去し、ロダミン-接合されたリシヌスコミュニスアグルチニンIで標識化した。このようなアグルチニンは、内皮細胞により特異的に発現された糖蛋白質に結合するので、血管外部表面を蛍光標識化するのに利用される。共焦点顕微鏡は、血管幹細胞(hES-BC)由来内皮細胞に対する緑色蛍光標識を立証し、これは33.5±10%の損傷された眼球の網膜脈管構造を表した。対照群眼球(図20a及び20b、各々)では、緑色蛍光が観察されず、これは血管幹細胞(hES-BC)細胞が単に損傷された領域にのみ同化される無細胞領域に帰り、損傷された網膜内に非潅流性(non-perfused)無細胞毛細管の再内皮化を起こすという事実を立証する(図21a及び21b)。このような復旧過程は、同じ方式であらゆる動物(n=l7)で観察された。
【0319】
I/R損傷された動物の2番目群(n=6)を前述したように取扱った後、犠牲させる前に、血管の血管ルメン(vascular lumen)を視覚化し、決定的にこのような細胞により回復された血管を開き、したがって、機能性であるを立証するために3-5mlのTRITC-接合された(conjugated)デキストリンを使用して潅流固定した。赤色染色は開いた血管を表し、緑色染色は血管幹細胞(hES-BC)由来の内皮細胞を立証し、黄色染色は血管幹細胞(hES-BC)細胞が開いた脈管構造を発生させた位置を示した。図21dは、hES-BC細胞注射後2日目、黄色(赤色及び緑色、薄い灰色で現れる)蛍光を有する大血管を図示し、これは細胞が血管壁で統合され、血管が潅流されたことを表す。この動物で、特に顕著なのは緑色だけ観察された多数の微細血管であり、これは開いたルメンを発生させるのに充分に成熟されていない新たな横補償新生脈管構造(collateral compensatory neovasculature)を表すものと見られ、よって悲観類されたままで残っていた。図20cは、同じ動物の非損傷された対照群眼球を図示し、明白にBC細胞がいかなる方式でも非損傷された脈管構造と関連されなかったことを立証する。hES-BC細胞注射後7日目に犠牲されたマウスからの網膜扁平標本(mount)で、緑色管(非ルメン化、非潅流性血管)の数は、2日目犠牲されたマウスに比べて少なかった。TRITC-デキストリン(赤色)で潅流されたhES-BC細胞由来の血管(緑色)を表す黄色血管(薄い灰色または白色で現れる)がさらに多く存在した。これは完全に機能性の血管を表し、血管幹細胞(hES-BC)細胞が損傷された眼球の血管内に統合され、潅流された微細血管を有する面積をさらに広げたしたを立証した(図2Oe)。
【0320】
蛍光免疫組織化学法は、血管幹細胞(hES-BC)細胞由来の内皮細胞を同時位置させて(colocalize)、I/R損傷されたマウス眼球の横断面内の損傷された脈管構造を示し、損傷された眼球からの網膜内の神経節細胞層の血管の代表的な横断面を示す(図2Of)。血管の抗-CD31染色とヒト核抗原染色の同時位置は、脈管構造内の内皮細胞のうち、一部が血管幹細胞(hES-BC)細胞から由来したことを提示する。図20fは、内境界膜に隣接する神経節細胞層内の血管ルメンの高配率写真を示す。ルメンは、内皮細胞により囲まれており(図2Of、矢印、CD31)、血管幹細胞(hES-BC)細胞由来の成熟した内皮細胞により囲まれている(図2Of、矢印、ヒト核抗原)。
方法
生体内の虚血/再潅流研究のために、C57BL6/Jマウス(Jackson Laboratory)は研究の序盤に7ないし10週齢であった。虚血/再潅流損傷は、眼内圧(IOP)の上昇を誘発した。虚血の誘発間マウスを吸入麻酔(イソフルラン蒸気)下に置いた。眼球の前方(anterior chamber)を食塩水注入ラインに付着された30-ゲージ針でキャニュラーをさし、眼球前方に2時間の静水圧(80-90mmHg、TonoPenにより測定し、Medtronic Solan、Jacksonville、Fla)処理した。これは紅彩の白色症及び赤色反射の損失により確認されるような網膜虚血を引き起こす。120分後、針を除去し、IOPを正常化し、これは再潅流損傷を引き起こす。反対側眼球は対照群として作用した。
【0321】
網膜虚血再潅流損傷後7日目、マウスに6日目hES-BCsから収集された蛍光標識化された血管幹細胞をretro-orbital sinusを通じて全身注射したか(n=13)、またはガラス体内注射した(n=4)。血管幹細胞の蛍光バイタル標識化は製造社の説明書によって染料PKH-67(Sigma-AldrichTM)を使用して行った。全身注射の場合、各マウスは4×105標識化された血管幹細胞を100μl投与した一方、ガラス体内注射の場合、各マウスは5×104血管幹細胞を2μl投与した。ガラス体内注射群の反対側対照群の眼球には、無菌性等張食塩水の当量体積を注射した。1日後、マウスを安楽死させ、眼球を除去し、4%パラホルムアルデヒドで1時間固定した。洗浄後、周辺切開術(circumferential limbicincision)で眼球を切開して角膜及び水晶体を除去した後、ガラス体液を除去した。次いで、非損傷された神経網膜を、下の脈絡膜から柔らかに取って除去した。非損傷された網膜を均質化(permeabilization)緩衝液に位置させた。網膜を単離し、10mM HEPES、150mM NaCl及び0.1% Tween20(pH7.5)のうち、1:1000ロダミン-接合されたR.コミュニスアグルチニンI(Vector Laboratories)内で4℃で一夜間培養した。24時間後、網膜を40℃で24時間10mM HEPES及び150mMNaClで洗浄した後、フロリダ大学(Gainesville)の光学顕微鏡施設でのMRC-1024共焦点レーザー顕微鏡(Confocal Laser Scanning Microscope)(BioRad)を使用するイメージ化のためにカバースリップ上に標本化した。代案として、Zeissレーザースキャニング共焦点顕微鏡を利用して網膜をイメージ化した。
【0322】
Zeiss共焦点レーザー顕微鏡を使用して顕微鏡検査する場合、網膜はガラスカバースリップ上に位置させ、その湾曲はまつげきわで視神経乳頭の1mm以内まで延びる4または5番の放射能切開術により扁平化された。標本化された網膜の同時性赤色及び緑色蛍光デジタルイメージキャップチャーは1OXまたは2OX対物レンズを使用してZeiss共焦点レーザー顕微鏡からなった。z-区画深さは2μmで一定に保持し、神経網膜の厚さを通過して全体網膜血管系(表面、中間部及び深い血管プレキシを含む)をスキャニングし、蛍光チャンネル当り典型的に25-35個のz-区画イメージが発生する。イメージキャップチャーは、網膜の中間部周辺の任意的位置でなされたが、このモデルで大部分の血管損傷が典型的に観察される所がこの領域であるためである。3次元z-スタックは、3個の血管プレキシが単一2次元平面に見られるようにImageJソフトウェア(ImageJ 1.37c,Wayne Rasband,National Institutes of Health,USA,http://rsb.info.nih.gov/ij/index.html)を使用して扁平化させた。
【0323】
右側眼球がI/R損傷処理されたマウスの2番目群(n=6)は約2×105 PKH-67標識化されたhES-BCまたは血管幹細胞を左側retro-orbitalsinus注射で100μl投与された。マウスは、損傷後2日目及び7日目(各n=3)安楽死させ、左心室穴を通じて4%緩衝されたパラホルムアルデヒドで3-5ml TRITC-接合されたデキストリン(Sigma-Aldrich,St.Louis,MO,5mg/ml)で潅流した。次いで、眼球を除去し、切開し、前述したような共焦点顕微鏡によるデジタルイメージキャップチャーのために網膜を扁平に標本化した。反対側(非損傷)眼球は、対照群として作用した。このような潅流固定方法は、機能性血管のみを潅流できるために、開いた血管の視覚化を許容する。
実施例6:糖尿病モデルの生体内の復旧
生体内の復旧は、3ヵ月超過の第2類型糖尿病がある自発的に糖尿病性肥満であるBBZDR/Worラットで研究した。このラットは、無細胞毛細管及び内皮機能異常、外膜細胞損失及び血液網膜障害破壊を含む予備増殖性糖尿病網膜病症の多数の特徴を発生させる(文献[Shi et al.1998 Blood(92):362-367;Asahara et al.1997 Science(275):964-967;Kalka et al.2000 Circ.Res.(86):1198-1202;Murohara et al.2000 J.Clin.Invest.(105):1527-1536;Urbich et al.2004 Trends Cardiovasc.Med.(14):318-322]参照)。
【0324】
3ヵ月以上糖尿病が持続されたオスの肥満である第2類型糖尿病性BBZDR/Worラット(Biomedical Research models、Worcester、MA)、やせた年齢一致対照群及び性一致対照群を使用して損傷された毛細管の再内皮化に参与するBCの能力を調べた。ラットは、細胞を投与する1日前から研究期間の間、続けてシクロスポリンを筋肉内注射(2mg/Kg/日)を行うことによって免疫抑制した。hES-EBcを遠心分離でペレット化し、3×104/μlの濃度で無菌性食塩水で再懸濁させ、5μlのこの懸濁液をそれぞれ6個の糖尿病性及び対照群ラットの各眼球内に注射した。hES-BC投与後の2日目(n=3糖尿病性、n=3対照群)及び7日目(n=3糖尿病性、n=3対照群)に動物を安楽死させた。各処理群から6個の眼球のうち4個を処理し、網膜扁平標本は、血管を視覚化するためにロダミン共役のR.コミュニスを利用し、マウスI/R研究で記述されているように製造した。ラット網膜は、さらに単一クローン抗-GFP(ChemiconTM、Temecula、CA;PBS中で1:250)と反応した後、FITC共役ヤギ抗マウスIgG(AbeamTM、Cambridge、MA;PBS中で1:200)と反応し、GFP-発現BCを視覚化した。マウスI/R研究で述べたような高焦点顕微鏡でデジタルイメージキャプチャを遂行した。
【0325】
各処理群からの残り2個の眼球を固定し、2.5Mスクロースで脱水した後、冷凍切断のためにOCT培地に挿入した。50個以上の切片(10μm厚、10番目ごとに切片を維持する)を収集し、モノクローンラット抗CD31(AbeamTM、PBS中で1:100)、ウサギ抗ヒトvWF(Sigma-AldrichTM、PBS中で1:200)及び1:50ビオチニル化抗ヒト核抗原と反応させた後、FITC共役抗ラットIgG(Sigma-Aldrich、PBS中で1:320)及びAMCA共役ヤギ抗ウサギIgG(Vector LaboratoriesTM、Burlingame、VT、PBS中で1:75)及び最後にテキサスレッド共役ストレプタビジン(Vector Laboratories、PBS中で1:500)と反応させた(培養間に適切な洗浄が行われている)。その後、切片をVectashield antifade培地(Vector LaboratoriesTM)で標本化し、スポットCCDカメラと連結されたZeiss Axioplan 2蛍光顕微鏡でデジタルイメージをキャプチャした。
【0326】
I/Rマウスモデルと同じように、ガラス体内投与されたhES-BC細胞(血管幹細胞)が広い脈管構造及び狭い脈管構造(図21a及び21b)いずれも有する領域内に広範囲に統合された。図20bはまた、ほぼいずれも緑色であり、非常に急激に狭くなる大血管(図21bの右側上の薄灰色血管)を示す。かような「ピンチオフ」血管は予備増殖性糖尿病網膜病症の特徴であり、このとき、微小血栓症(microthrombi)は、血管変性及び下流虚血を起こす。かようなピンチされた広い血管からの広範囲に分枝化され、連続される牛血管は、緑色BC細胞の高度の統合を示す(図21で薄灰色で図示する)。対照的に、緑色hES-BC細胞は、非糖尿病性対照群動物からの眼球内の残留血管と同時位置していない。非糖尿病性対照群動物からの眼球は、BC細胞が非損傷の脈管構造内に統合されるのではなく、hES-BC細胞のガラス体内投与後に、網膜の端にシートとして残っているということを確認させた(図21c、薄灰色領域)。
【0327】
免疫組織化学的分析によって、ガラス体と神経網膜とを分離する内部境界膜直後部の、糖尿病性ラット網膜の神経節細胞層内細胞ライニング血管ルーメン内のヒト核抗原及びCD31を利用する同時局所化染色(colocalized staining)を確認した(図21e及び21f)。この解剖学的位置は、外見上の網膜血管叢の位置であり、糖尿病で血管病理学の典型的な位置である。かような正確な局所化及び強力な統合によって、血管幹細胞が糖尿病性網膜症に関連した血管の修復に参与することを明白に確認した。ほとんどの切片は、周辺が内皮(CD31)及びヒト核抗原マーカいずれに対しても染色される細胞でライニングされた明確に可視的なルーメンを有した血管を示した一方(図21e及び21fの矢印)、BC細胞も注入した非糖尿病性対照群ラット眼球内血管幹細胞(hES-BC)の細胞統合の証拠は確認されなかった(図21d、矢印)。
実施例7:ミューリン後肢虚血モデルでの生体内修復
また、ミューリン後肢虚血モデルを介して血管内皮細胞を生成できるBC細胞の能力を調べた。実験は8週齢ないし12週齢(20~30g)NOD-SCID β2マウス(Jackson Laboratory)を利用して遂行した。右側後肢の虚血は大腿動脈連結術を利用して誘導し、血管幹細胞(hES-BC)(6x105 hES-BC細胞)または無細胞培地を、前記連結術手術直後に虚血性筋肉周辺部位に注入した。
【0328】
注入した血管幹細胞(hES-BC)の生理的な機能を立証するために、右側虚血性後肢血行を4週間モニタリングし、左側の正常後肢の血行と比較した。免疫蛍光技法を利用してヒト特異的vWF(R and D systmeTM、MN)を検出し、移植された血管幹細胞(hES-BC)由来の血管内皮細胞を確認した。Alexa Fluor 594と接合された第2抗体を使用した。血行分析のために、レーザドップラ血液イメージング技法を使用し、大腿動脈連結以前(0日)及び以後(3日から30日)でのマウスの血行を分析し、血行速度は、非虚血性足での血行に対する虚血性足での血行の割合で計算した。
【0329】
図22f及び図22gで確認しうるように、血管幹細胞(hES-BC)は、培地対照群に比べて虚血性足での血行速度の回復に有意的に増強させた(p<0.0001)。かような改善は、正常血行速度が得られるまで4週間持続された。
【0330】
虚血性筋肉内にhES-母細胞コロニー細胞を注入してから4週目に動物を犠牲にし、ヒト特異的vWFに対して免疫染色した。筋肉内部位は、ヒト特異的vWF細胞の陽性染色を保有すると確認されたが、これは、血管組織化を示すものである(図22d-e)。無細胞培地が注入された梗塞された筋肉から取った対照群組織は、ヒトvWF染色を表さなかった(図22c)。
実施例8:ミューリン心筋梗塞モデルでの生体内修復
ミューリン心筋梗塞(MI)モデルを利用した一連の実験で、前述のように[参照:Yang et al.、2002 J.Appl.Physiol(93):1140-1151]、左側冠状動脈の連結によって、8週齢ないし12週齢(~20~30g)NOD-SCID β2マウス(Jackson LaboratoryTM)で心筋梗塞を誘導した。心筋梗塞を誘導して15分後に、H1-GFP hES細胞由来の3x105 GFP-血管幹細胞(hES-BC)または無細胞培地を虚血性心筋及び虚血性心筋の周辺に移植した。実験プロトコルは、Memorial Sloam-Ketteringガンセンターの動物保護委員会から承認された。血管幹細胞(hES-BC)注入後30日目に、注入された血管幹細胞(hES-BC)の71%(12/17)は生存した一方、培地対照群を注入した動物の場合、42%(8/19)が生存した(図22h、p<0.002)。
【0331】
虚血性心筋及び虚血性心筋の周辺に血管幹細胞(hES-BC)を注入し、4週目に動物を犠牲にし、迅速に心臓を摘出した後でPBS中て洗浄した。心臓は、組織冷凍培地(Fisher ScientificTM、NJ)内に包埋した。冷凍組織は、10-μmスライドに切片化した。
【0332】
免疫染色のために回収した梗塞された組織から再生組織部位がヒトvWFに対して特異的に染色される相当数の内皮細胞を含有していることを確認した。高焦点顕微鏡で梗塞された組織内微細血管のルーメン内にヒト特異的vWF陽性内皮細胞の混入を確認した(図22i)。これらの細胞は近接して会合しているが、まだ高度に組織化された血管組織を形成することはなかった(図22b)。対照群マウスから取った梗塞された心臓組織内で検出できるヒトvWF陽性細胞はなかった。
【0333】
また、移植された血管幹細胞(hES-BC)は、心筋細胞を生成させた。移植された血管幹細胞(hES-BC)から再生された心筋細胞を確認するために、二重免疫蛍光染色技法を使用し、H1-GFP hES細胞(Santa Cruz Biotechnology Inc.TM、CA)由来のヒト細胞でのみ発現されるGFP及びcTnI、心筋細胞マーカ(Santa Cruz Biotechnology Inc.TM、CA)を検出した。GFPのためにはAlexa Fluor 488、またはTnIのためにはAlexa Fluor 594と接合された第2抗体を使用した。イメージは、蛍光顕微鏡で撮影した。N=3.図23は、MIマウスでGFP(最も明るく染色された部位)及びcTnI(中間ほどに曇った部位)の免疫染色を表し、GFP及びcTnIに対して陽性に染色された細胞は、注入されたhES-BC細胞から由来した心筋細胞であった(図23、倍率200x)。矢印は、注入されたhES-BC細胞から由来した二重陽性染色細胞を示す。
【0334】
実施例7及び実施例8の結果から確認しうるように、血管幹細胞は、心筋梗塞後の死亡率を低下させ、虚血性後肢でほぼ正常レベルに血行を回復させた。
実施例9:血管幹細胞またはhES-BC細胞は、試験管内で平滑筋細胞を生成させることが可能
本発明の血管幹細胞またはhES-BC細胞はまた、平滑筋細胞に分化され、従って特定実施例で全能細胞(pluripotent)でありうる。
【0335】
血管幹細胞(hES-BC)内での遺伝子発現を調べるために、6日目に細胞を解剖顕微鏡下で注意深く取り、全体RNAを分離した。RNAeasyマイクロkit(QiagenTM)を利用し、前記RNAから単一鎖cDNAを合成し、このとき、SMART II及びCDSプライマー(ClonetechTM)とスーパースクリプトIII逆転写酵素(InvitrogenTM)を使用し、cDNAプールは、SMART cDNA合成kit(ClonetechTM)を利用して構成した。平滑筋遺伝子発現パターンは、SM22、平滑筋アクチン(α-SMA)、GAPDH(特質対照群)及び平滑筋カルポニン(CNN1)に対して特異的なプライマーを利用し、PCRで分析した。ヒト大動脈平滑筋細胞(AoSM)由来の全体RNAは、陽性対照群として使用し、マウス線維芽細胞3T3全体RNAは、陰性対照群として使用した。PCR生成物は、1%アガロースゲル上で分離し、EtBr蛍光によって露出させた。
【0336】
図24は、血管幹細胞(hES-BC)が平滑筋特異性遺伝子CNN1、α-SMA及びSM22を発現するところを示す。
【0337】
本発明の血管幹細胞から平滑筋細胞を誘導するために、平滑筋培地(LonzaTM)内のフィブロネクチンコーティングされた培養スライド(BD BioscienceTM)上に精製した血管幹細胞(hES-BC)をプレーティングし、2-9日間分化を誘導した。次に、細胞を15分間4%パラホルムアルデヒドで固定し、1X PBSで洗浄し、0.4%Triton X100で透過化(permeabilize)した。平滑筋蛋白質の発現の検出のために、透過化した細胞を4℃で一晩カルポニン(CNN1)及びα-SMA(Dako)に対して一次抗体と共に培養した後、ロダミン標識された二次抗体を利用して蛍光顕微鏡で検査した。
【0338】
図24に提示した結果は、前記条件下での試験管内分化後に、ある血管幹細胞(hES-BC)はCNN1及びα-SMA陽性平滑筋細胞を発生させるということを明確に立証する。
実施例10:マウスモデル系の移植受容者での免疫寛容の誘導
本発明の方法によって生成及び増殖されたヒト血管幹細胞は、移植受容者で供与者特異的免疫寛容を誘導するのに利用できる。血管幹細胞または誘導された造血母細胞は、細胞が多数で提供されるとき、無条件受容者(unconditioned recipient)に移植されうる。移植されてキメラ現象を発生させる血管幹細胞の能力は、マウスをヒト免疫細胞で再構成した免疫低下NOD/SCID-Tgマウスモデル系でテストできる。免疫欠乏NOD/SCID-Tgマウスは、全身照射(irradiation)で処理し、同じ日にヒト供与者血管幹細胞を注射できる。ヒト胎児胸腺及び胎児肝断片をマウスの腎臓被膜(capsule)下部に移植し、ヒトリンパ球生成及びヒト免疫系の再構成を達成する。移植されたヒト胸腺及び肝断片は、ヒト供与者血管幹細胞に対して不一致(mismatch)である。次に、第三の非一致(non-match)移植片に係る耐性と比較し、ヒト血管幹細胞に対して一致した(match)移植片に対して耐性をマウスに対して検査できる。
【0339】
移植を最適化するために、胸腺照射の投与によって胸腺スペース(thymic space)を誘導できる。マウスモデルで、受容者マウスは、抗-CD4及び抗-CD8mAbのような抗-T細胞mAbを受容することができ、0日目に7 Gy胸腺照射、そして0ないし4日目にヒト血管幹細胞を受容することができる。
【0340】
耐性を評価するために、混合リンパ球反応及び細胞媒介リンパ球溶解研究を遂行しうる。
【0341】
また、hu-SCIDマウスまたは類似のモデル系でキメラ現象を誘導する血管幹細胞の能力を検査するために、前述の方法でヒト胎児肝断片をヒト血管幹細胞に代用できる。
実施例11:移植受容者での免疫寛容の誘導
ヒトで、耐性は、本発明の方法によって生成及び増殖または増殖された多数のヒト血管幹細胞を利用して達成できる。
【0342】
末梢キメラ現象は、全身照射の必要なしに多数の血管幹細胞を介して達成できる。しかし、中枢欠損性(central deletional)耐性を達成するためには、高いレベルの胸腺内のキメラ現象を発達させるために、胸腺にスペース(space)を生成することが最適でありうる。胸腺内のスペースは、特異的照射によってまたは抗-T細胞抗体の多数の投与の利用によって、または胸腺を枯渇させる薬物によって達成できる。
【0343】
移植された臓器、組織または細胞が患者で生存する時間(移植片生存)を延長させるために、そして移植手続きで要求される免疫抑制のレベルを低下させるために、次の手続きを設計する。臓器は任意の臓器、例えば肝、腎臓、膵臓または心臓でありうる。組織は任意の類型の組織、例えば皮膚、骨、角膜、筋肉、靱帯、心臓弁膜などになりうる。細胞または細胞療法は、造血細胞(例えば、虚血治療としての肝葉幹細胞または血液障害の治療のためのその他細胞のようなもの)、糖尿病治療のためのインシュリン分泌性膵臓ベータ細胞のような膵臓細胞、黄斑変性の治療のための網膜色素上皮細胞、及び神経障害の治療のための細胞基盤療法を含むが、これらに限定されるものではない。
【0344】
本方法は、次の段階のうち一つ以上を含みうる:共通刺激遮断(costimulatory blockade)または受容者T細胞の不活性化、耐性誘導細胞、例えばヒト血管幹細胞の移植、選択的に、供与者基質組織の移植またはヒトサイトカイン投与、胸腺照射の投与。十分に多くの個数の供与者ヒト血管幹細胞と胸腺照射及び/またはT細胞共通刺激遮断の組合わせは、全身照射の必要性を顕著に減少または除去する。本方法は、これら段階のうち任意のもの、または全部を含むことができ、段階は、次の順序で遂行しうる。
【0345】
まず、ウマの抗ヒト胸腺細胞グロブリン(ATG)またはその他枯渇性抗T細胞枯渇剤の調製物を受容者に静脈注射する。この抗体調製物は、成熟したT細胞を除去する。もし除去されなければ、成熟したT細胞は、ヒト血管幹細胞またはこれから誘導される造血母細胞、そして敏感化後には移植片自体の双方いずれの拒否も促進できる。ATG調製物は、自然殺傷(NK)細胞をさらに除去する。NK細胞は、移植された臓器には恐らく効果を示さないが、新しく導入されたヒト血管幹細胞を拒否するように即刻作用できる。
【0346】
受容者T細胞が移植後に再生する時間の間、受容者胸腺内の供与者抗原の存在は、受容者T細胞を耐性化するのに重要である。もし受容者T細胞が再生する前に供与者ヒト血管幹細胞が受容者胸腺で確立されて耐性を誘導できなければ、非骨髄除去性(non-myeloablative)治療法全体を介して、抗受容者T細胞抗体の反復された投与量が必要でありうる。受容者T細胞の連続的枯渇が数週間要求できる。
【0347】
非骨髄形成過程での第二段階は、特定成長因子またはサイトカインを提供し、ヒト供与者の血管幹細胞または幹細胞の接種(engraftment)を促進するためのものでありうる。
【0348】
その後、供与者のヒト血管幹細胞(または供与者と一致するもの)は受容者に注射できる。供与細胞は、受容者の適切なところに位置を占め、受容者の残りの細胞と隣接して成長して増殖し、キメラリンパ造血器系母集団を形成する。かような過程によって、新しく形成されたB細胞(及びこれらが生成する抗体)が供与者抗原に露出され、前記移植が自家移植として認識されるのである。
【0349】
ヒト血管幹細胞または由来した造血母細胞接種が達成される受容者のT細胞レベルで供与者に対する耐性も観察される。一致した臓器移植が造血器系または骨髄キメラ現象が起きた後で何ヵ月が過ぎた受容者で起こる場合に、移植が免疫システムの体液性及び細胞性アーム(arm)双方いずれでも受容されねばならない。かような接近は、受容者の患者の正常健康及び免疫力が臓器移植時点には回復されうるように、ヒト供与者血管幹細胞の移植後に十分に長い間の後にも、臓器移植の遂行を可能にするというさらなる利点を有する。
【0350】
造血空間を生成する多くの方法が全身照射(irradiation)を使用して接種を促進させる。照射の必要性は、多数の供与者血管幹細胞を投与することによって実質的に減少されたり除去できる。供与者ヒト血管幹細胞の投与は、例えば、胸腺空間を誘導する胸腺照射またはT細胞共同刺激遮断と同じ処置と共になされうる。
【0351】
最後に、T細胞、特に胸腺またはリンパ節T細胞は、受容者に短期間の間免疫抑制剤、例えば、サイクロスポリンまたはその他製剤を投与することによってさらに抑制できる。耐性を測定するために、混合リンパ球反応及び細胞媒介リンパ球溶解研究が受容者でなされうる。
【0352】
かような過程のうちいかなるものでも移植された臓器、組織または細胞の生存を助けることができるが、最上の結果は、前記段階の一部または全部が組合わせとして使われる場合に得られる。
実施例12:ヒトRBC輸血
本発明の方法によって製造された赤血球(RBC)の生存力及び機能性を確認するために、ヒトRBCを使用した輸血がNOD-scidマウスで遂行される。マウスは、輸血1週間前にネンブタル麻酔下で脾臓摘出される。受容者は輸血直前に出血させ、ヘマトクリット25%を滴下する。出血後1時間以内に、受容者は、0.5mL PBS内の6x109ヒトRBVを静脈注射を介して輸血される。初期に輸血される細胞は、蛍光モニタリングの目的のためにカルボキシフルオレサインジアセテート(CFSE)で標識される。輸血は2日目に、そしてその後4日ごとに反復される。輸血後1日目、そしてその後4週間の間4日ごとにヘパリン処理された毛細管にテールニック(tail nick)から20μlの血液を収集して受容者マウスをモニタリングする。RBC及びヒトRBCのパーセントは、顕微鏡検査及びFITC-抗-Fy6抗体を使用する遊細胞分析器によって測定される。移植された細胞の半減期が測定される。ヘモグロビンFの発現を測定してRBCの酸素輸送能を検証する。RBCがヘモグロビンFを発現し、一般的に由来したRBCと比べられる半減期を有することが期待される。従って、RBCが機能性であることが期待される。
【0353】
本明細書は、良好に定義され、かつ再現可能な条件下で血管幹細胞、またはヒトES-BC細胞が確実に由来して増殖されることを証明し、本来の機能を発揮できない血管構造を有する患者のための限りない細胞源を示す。かような細胞の濃度は利用率で限定されず、むしろ個別的な正確な臨床要求に合わせることができる。医師が必要であるとと判断する場合、患者の全生涯にわたって同じ細胞集団が反復的に注入されることも可能なことである。また、一致するまたは減少された複雑性のHLA hESラインの銀行を作りだす能力は、免疫抑制薬物及び/または免疫調節プロトコルいずれの必要性をも潜在的に減少させたり除去できる。
【0354】
本明細書はまた、胚芽幹細胞から由来した血管幹細胞が四種の互いに異なる動物モデルで血管復旧を達成するのに使われうることを初めて証明する。新たな血管の形成は早くて活発であり、hES由来血管幹細胞が生体内で活発な復旧潜在力を有するということを示す。かような結果はまた、血管性疾病を有する患者で、血管化及び機能を回復するのに血管幹細胞が使われうることを示す。従って、血管幹細胞のような内皮前駆体細胞の入養転移(adoptive transfer)は、血管フローを回復させて毛細管密度を向上させ、四肢損失を減少させ、心筋損傷からの回復を促進するのに有用でありうる。
【0355】
本明細書はまた、輸血に使用するための分化された細胞種類を生成する方法を提供する。例えば、本明細書は輸血で使用するための赤血球を生成する方法を提供する。特定実施例で、赤血球はヘモグロビンFを発現する。
【0356】
あらゆる実験は、目及び視覚研究に動物を使用するためのARVO規定の教義及びフロリダ大学の動物管理及び使用委員会が許可したプロトコルによって遂行される。


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17-1】
図17-2】
図18
図19
図20-1】
図20-2】
図20-3】
図21
図22
図23
図24
【配列表】
2022141641000001.app
【誤訳訂正書】
【提出日】2022-07-12
【誤訳訂正1】
【訂正対象書類名】特許請求の範囲
【訂正対象項目名】全文
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト胚芽幹細胞由来の血管芽細胞をインビトロで生成する方法であって、
(a)血管内皮増殖因子(VEGF)及び骨形態形成タンパク質4(BMP-4)を含む無血清培地でヒト胚芽幹細胞を培養する工程;
(b)工程(a)で作製した細胞を、VEGF、BMP-4、幹細胞因子(SCF)、トロンボポエチン(TPO)、FLT3(FL)、及び塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)からなる群から選択される少なくとも2つの成長因子を含む無血清培地で培養して、胚様体を形成する工程;
(c)前記胚様体を単一細胞に解離する工程;及び
(d)幹細胞因子(SCF)、トロンボポエチン(TPO)、及びFLT3(FL)を含む無血清メチルセルロース培地で前記単一細胞を培養し、それにより血管芽細胞を生成する工程、
を含み、ヒト胚芽幹細胞由来の血管芽細胞が、造血細胞及び内皮細胞に分化することができる、方法。
【請求項2】
工程(d)の無血清培地が、さらに、インスリン、トランスフェリン、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、インターロイキン-3(IL-3)、インターロイキン-6(IL-6)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、骨形態形成タンパク質4(BMP-4)、血管内皮成長因子(VEGF)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の成長因子をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ヒト胚芽幹細胞が、工程(a)において、細胞培養の少なくとも最初の48時間、BMP-4及びVEGFを含む無血清培地中で培養される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
工程(a)及び(b)が、細胞培養48~72時間以内にて実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
工程(d)が、細胞培養72時間後に実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
工程(b)の無血清培地が、エリスロポエチン(EPO)をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
工程(b)または工程(d)の無血清培地が、HOXB4タンパク質をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
工程(a)、工程(b)、及び工程(d)における培養が、低付着条件下で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
工程(a)において、VEGFの濃度が25~100ng/mlであり、BMP-4の濃度が25~100ng/mlである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
工程(b)において、VEGFの濃度が、25~100ng/mlであり、BMP-4の濃度が、25~100ng/mlであり、SCFの濃度が10~50ng/mlであり、FLの濃度が10~50ng/mlであり、TPOの濃度が10~50ng/mlであり、EPOの濃度が3~6ユニット/mlである、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
工程(d)において、インスリンの濃度が10μg/mlであり、トランスフェリンの濃度が200μg/mlであり、GM-CSFの濃度が20ng/mlであり、IL-3の濃度が20ng/mlであり、IL-6の濃度が10ng/mlまたは20ng/mlであり、G-CSFの濃度が20ng/mlであり、SCFの濃度が20ng/mlまたは50ng/mlであり、TPOの濃度が20ng/mlまたは50ng/mlであり、FLの濃度が20ng/mlまたは50ng/mlであり、VEGFの濃度が25~100ng/mlであり、BMP-4の濃度が25~100ng/mlの濃度である、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
胚芽幹細胞が、ヒト集団に存在する少なくとも1つの主組織的合成複合体(MHC)対立遺伝子について半接合性または同種接合性である胚芽幹細胞のライブラリーから由来し、ライブラリーの各メンバーは、前記胚芽幹細胞のライブラリーの他のメンバーと比較して特有のセットのMHC対立遺伝子に対して半接合体または同種接合体であり、それによりヒト集団に存在する少なくとも1つの主組織的合成複合体(MHC)対立遺伝子に対して半接合体または同種接合体であるヒト血管芽細胞のライブラリーを生成し、前記ヒト血管芽細胞のライブラリーの各メンバーは、前記ヒト血管芽細胞のライブラリーの他のメンバーと比較して特有のセットのMHC対立遺伝子に対して半接合体または同種接合体である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ヒト血管芽細胞を精製する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
血管芽細胞の精製工程が、抗CD71抗体を用いた免疫親和性カラムクロマトグラフィーの使用を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ヒト血管芽細胞を分離することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
血管芽細胞の分離工程が、サイズ及び/または形態によって前記血管芽細胞を分離することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
血管芽細胞をヒト造血細胞に分化させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
血管芽細胞をヒト内皮細胞に分化させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【誤訳訂正2】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0009
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0009】
マウス胚芽幹細胞からマウス血管芽細胞の試験管内生成が文献に報告されたことがある(Choiら,1998 Development125:727-732)。また、造血細胞及び内皮細胞の両方に発生しうるヒト前駆細胞をヒトES細胞から誘導したが(Wangら、2004 Immunity(21):31-41及びWangら、JExpMed(201):1603-1614)、せいぜいして多くの細胞から少量のみ誘導される。また、血管芽細胞前駆細胞の試験管内増殖のための方法、または条件はない。
【誤訳訂正3】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0010
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0010】
したがって、多数のヒト血管芽細胞血管芽細胞誘導体細胞型、すなわち、造血細胞及び内皮細胞を生成して増殖させる方法と、そのような量の血管芽細胞または誘導体細胞型を含むあらゆる溶液/混合物に対する必要性は、依然として存在する。このような方法は、移植のための細胞の利用可能性を増加させ、免疫学的耐性の誘導のような各種の他の治療用途で有用である。
【誤訳訂正4】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0012
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0012】
本発明は、ヒト血管芽細胞または血管コロニー形成細胞を試験管内で生成して増殖させる方法を提供することによって、前記開示された問題点を解消する。本願に開示された新規な方法によりヒト血管芽細胞または血管コロニー形成細胞の増殖能により各種治療用途に使用する細胞を生産しうる。また、本発明は、治療用途に使用するヒト血管芽細胞または血管コロニー形成系統細胞(すなわち、造血細胞及び内皮細胞)を生成する方法を提供する。本発明の方法は、商業的規模で使用できる多数のヒト血管芽細胞または血管コロニー形成細胞のみならず、造血細胞及び内皮細胞、そしてこれより分化された細胞を生成できるという点でも有用である。
【誤訳訂正5】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0041
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0041】
本発明はまた、前記血管芽細胞(hemangioblast cell)の増殖を支持するのに十分な量でホメオボックス蛋白質(例えば、HOXB4)を含む蛋白質または該機能性等価物または活性断片の存在下にほ乳動物の血管コロニー形成細胞を無血清培地中で成長させることを含む血管コロニー形成細胞を増殖する方法を提供する。増殖される前記血管コロニー形成細胞は、臍帯血液(cord blood)、末梢血液、または骨髄から濃縮されるか、精製されるか、または分離されうる。前記血管コロニー形成細胞は、ヒト血管コロニー形成細胞でありうる。この方法により10,000ないし4×106個、またはそれ以上の血管コロニー形成細胞を含む溶液を生成しうる。この方法で使われたHOXB4蛋白質は、本発明のヒト血管コロニー形成細胞を生成して増殖する方法に使用するのに適した任意蛋白質でありうる。
【誤訳訂正6】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0092
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0092】
図1】H1-GFP ES細胞から生成された血管芽細胞から誘導された造血CFUを例示した図面である。
図2】無血清(Stemline)培養培地中に培養された赤血球系(erythroid)コロニー形成ユニット(CFU-E)の細胞形態を例示した図面である。
図3】無血清(Stemline)培養培地中に培養された多能性(multipotent)コロニー形成ユニット(CFU-GEMM/Mix)の細胞形態を例示した図面である。
図4】無血清(Stemline)培養培地中に培養された多能性コロニー形成ユニット(CFU-GEMM/Mix)の細胞形態を例示した図面である。
図5】無血清(Stemline)培養培地中に培養された顆粒球コロニー形成ユニット(CFU-G)及び大食細胞コロニー形成ユニット(CFU-M)の細胞形態を例示した図面である。
図6】無血清(Stemline)培養培地中に培養された顆粒球/大食細胞コロニー形成ユニット(CFU-GM)及び巨核球大食細胞コロニー形成ユニット(CFU-Mk)の細胞形態を例示した図面である。
図7】マトリゲル系(Matrigel-based)培地上で(a)H9 ES細胞及び(b)ACT30 ES細胞から誘導された血管芽細胞の再プレートを行った後、チューブコード(tube-cord)構造の形成を例示した図面である。
図8】実施例2に説明されているように、EGM-2培地中でフィブロネクチン-コーティングされたプレート上に、次いでマトリゲル上に培養されたH1-GFP ES細胞から生成された血管芽細胞のチューブコード構造を例示した図面である。また図8は、実施例2に説明されているように、アレキサフルアー(Alexa Fluor)標識化されたAc-LDLにより恒温処理される時、細胞によるAc-LDLの吸収を例示した図面である。中間パネル上部及び右側パネル上部は、位相差写真(phase contrast picture)を表す。
図9】実施例2に説明されているように、EGM-2培地中でフィブロネクチン-コーティングされたプレート上に培養されたH1-GFP ES細胞から生成された血管芽細胞でフォン・ヴィレブランド因子(vWF)の発現(薄い灰色染色)を例示した図面である。
図10】実施例4に説明されているように、SCIDマウス内に注入されたヘマトキシリン及びエオシン(H&E)染色されたマトリゲルプラグの断面内血管の形成を例示した図面である。
図11】実施例4に説明されているように、ヒト特異的核抗体に対する陽性染色(薄い灰色染色)により示されたような、マトリゲルプラグの断面から得た血管がヒト血管芽細胞から誘導された細胞である点を例示した図面である。
図12】ヒトHOXB4のmRNA配列(受託番号:NM-024015.4;GI:85376187)(配列番号:2)を例示した図面である。
図13】ヒトHOXB4のアミノ酸配列(受託番号:NP-076920.1;GI:13273315)(配列番号:1)を例示した図面である。
図14】ヒトHOXB4のmRNA配列(受託番号:BC049204.1;GI:29351567)(配列番号:4)を例示した図面である。
図15】ヒトHOXB4のアミノ酸配列(受託番号:AAH49204.1;GI:29351568)(配列番号:3)を例示した図面である。
図16】実施例1及び実施例2に説明されているように、ヒトES細胞から誘導された血管芽細胞(BL-CFC)の表現型特性化を例示した図面である:(a)血管芽細胞コロニーまたは芽細胞コロニー(BL-CFCまたはBC、×400);(b)二次的EB(×400);(c)ライト・ギムザ(Wright-Giemsa)染色による芽細胞(hES-BC細胞)(×1000);(d-f)GATA-1染色:(d)GATA-1で染色された芽細胞(×600);(e)GATA-1及びDAPIで染色された芽細胞(×600);(f)GATA-1及びDAPIで染色されたBM細胞(×400);(g-i)LMO2染色:(g)LM02で染色された芽細胞(×600);(h)LMO2及びDAPIで染色された芽細胞(×600);(i)LMO2及びDAPIで染色されたK562細胞(×1000);(j-m)CD71染色(明るい灰色または薄い灰色):(j)CD71で染色された芽細胞(×600);(k)CD71及びDAPIで染色された芽細胞(×600);(m)CD71及びDAPIで染色されたBM細胞(×1000);(n-p)CXCR-4染色(明るい灰色または薄い灰色):(n)CXCR-4で染色された芽細胞(×600);(o)CXCR-4及びDAPIで染色された芽細胞(×600);(p)CXCR-4及びDAPIで染色されたBM細胞(×600);(q-s)Epo-受容体染色(中間灰色):(q)Epo-受容体で染色された芽細胞(×600);(r)Epo-受容体及びDAPIで染色された芽細胞(×600);(s)Epo-受容体及びDAPIで染色されたBM細胞(×600);(t-v)Tpo-受容体染色(中間灰色):(t)Tpo-受容体で染色された芽細胞(×600);(u)Tpo-受容体及びDAPIで染色された芽細胞(×600);(v)Tpo-受容体及びDAPIで染色されたBM細胞(×1000)。留意:パネル(d)及び(n)で、hES-BC(血管芽細胞)細胞は、GATA-1及びCXCR-4抗体で二重染色したが、個別的に表示し;パネル(q)及び(t)でhES-BC(血管芽細胞)細胞は、Epo-受容体抗体及びTpo-受容体抗体でさらに二重染色し、個別的に表示した。
図17-1】 図17a-u。試験管内ヒトES細胞から誘導された血管芽細胞(BL-CFCまたは芽細胞)の機能性特性化を例示した図面である:(a-d)精製された血管芽細胞から誘導された造血CFU):(a)CFU-赤血球系(×100);(b)CFU-顆粒球(×100);(c)CFU-大食細胞(×100);及び(d)CFU-多系統(multilineage)(混合物、×100);(e-h)CFU-細胞のライト・ギムザ染色:(e)赤血球系(×1000);(f)顆粒球(×1000);(g)大食細胞(×400);及び(h)混合物(×1000);(i-k)CFU細胞の免疫染色:(i)CD235aで染色されたCFU-赤血球系細胞(矢印、×1000);(j)CD13で染色されたCFU-顆粒球細胞(矢印、×1000);(k)CD45で染色されたCFU-混成物細胞(矢印、×1000);(m-p及びv-y)プーリングされたCFU細胞のFACS分析:(m)マウスIgGイソタイプ対照群;(n)CD45;(o)CD13;及び(p)CD235;(q-u)精製された血管芽細胞、または芽細胞またはhES-BC細胞から誘導された内皮細胞:(q)血管芽細胞から誘導された付着性細胞をプレートした後、マトリゲル上に形成された毛細管類似構造(×100);(r)血管芽細胞から誘導された内皮細胞によるAc-LDL吸収(灰色)(×200);(s)核がDAPIで染色されている血管芽細胞-誘導された内皮細胞でvWFの発現(矢印)(×600);(t)核(図面内円形フィーチャー)がDAPIで染色されている血管芽細胞-誘導された内皮細胞でPEC AMI(明るい染色)の偏在化(×200);(u)核(図面内円形フィーチャー)がDAPIにより染色されている血管芽細胞-誘導された内皮細胞でVE-カドヘリンの偏在化(矢印)(×200)。実施例2を参照。
図17-2】 図17v-cc。試験管内ヒトES細胞から誘導された血管芽細胞(BL-CFCまたは芽細胞)の機能性特性化を例示した図面である:(v)マウスIgGイソタイプ対照群;(w)CD45及びCD235a;(x)CD13及びCD45;及び(y)CD13及びCD235a;(z-cc)精製された血管芽細胞、または芽細胞またはhES-BC細胞から誘導された内皮細胞:(z)Ac-LDLアップデート(矢印ヘッド部)及びvWF発現(矢印、×600);(aa)Ac-LDLのアップデート(矢印ヘッド部)及びVE-カドヘリンの発現(矢印ヘッド部、×600);(bb)vWFの発現(矢印)及びCD31の発現(矢印ヘッド部、×600);(cc)VE-カドヘリンの発現(矢印)及びCD31の発現(矢印ヘッド部、×600)。実施例2を参照。
図18】hES細胞から誘導された芽細胞コロニーのクロン形成性(clonogenicity)を例示した図面である:(a-c)芽細胞コロニーのクロン形成性:(a)及び(b)芽細胞コロニーのクロン起源を立証した、WA01-GFPとMAO1 EBとの混合物で発育された2種の芽細胞コロニー:(a)相イメージ(×100);(b)GFPイメージ(×100);(c)単一細胞から発育された芽細胞コロニー(×400);(d-e)造血系統及び内皮系統の両者が観察される(×200)、液体培養物で単一芽細胞コロニーの増殖:(d)×200;(e)×400;(f-h)単一BCから誘導された内皮細胞:(f)単一BCから誘導された付着性細胞をプレートした後、マトリゲル上に形成された毛細管類似構造(×100);(g)核がDAPIで染色されている、単一BCから誘導された内皮細胞によるAc-LDL吸収(矢印)(×400);(h)核がDAPIで染色されている、単一BC-誘導された内皮細胞でvWFの発現(矢印)(×400);(i-m)単一BCから誘導された造血CFU:(i)CFU-赤血球系(×100);(j)CFU-顆粒球(×100);(k)CFU-大食細胞(×100);及び(m)CFU-多系統(混合物、×100)。ゲルはWA01-GFP+細胞とMA01-GFP-細胞とのプレート混合物から誘導されたGFP+及びGFP-hES-BC(血管芽細胞)でGFP配列のPCR分析の結果を表す。レーン:WA01-GFP+、母体WA01/GFP+hES細胞;MA01-GFP-、母体MA01hES細胞;H20、水陰性対照群;BC-GFP+、細胞混合プレートから吸収されたGFP陽性BC;1-10、細胞-混合プレートから吸収されたGFP陰性BC.ミオゲニン遺伝子はPCR反応対照群として使用した。実施例2を参照。
図19】tPTD-HOXB4融合蛋白質の特徴を提供する。(A)6xHis-融合されたtPTD-HOXB4組み換え型蛋白質をE.coliで発現させ、ニッケルプロバンド(ProBand)樹脂を通じて精製した。脱塩化されたtPTD-HOXB4蛋白質の二バッチ((1)及び(2)で表示)に対してSDS-PAGEゲルを通じてその純度及び濃度を確認した。(B)tPTD-HOXB4蛋白質は5%FBSを含む培地中では不安定であったが、(C)生存ES細胞を含む無血清培地中では無欠状態を保持した(N=幹細胞II培地単独;h=時間)。
図20-1】 図20a-b。hES-誘導された血管芽細胞を全身注入した後、虚血性網膜血管構造が剛健に復旧されることを示す図面である。網膜虚血症は、マウス眼球の前室に対して静水圧を2時間ほど加えて誘導した。7日後、蛍光標識された(GFP+)血管芽細胞をガラス体内、または静脈内に注入した。1日後、この動物を安楽死させた。眼球を摘出して切開し、網膜を扁平に固定させ、レーザー走査共焦点顕微鏡を通じて映像化するか、映像化のために切片化した。(a)背景に緑色蛍光発光のない典型的な網膜の血管解剖図を示す代表的な対照群(未損傷)眼球の併合図であり、個別GFP+(下部挿入部)及びGFP-(上部挿入部)チャンネルをさらに確認でき;(b)虚血性血管構造で導入された蛍光標識された(GFP+)血管芽細胞-誘導された細胞(血管構造の明るい部分)を示す、同一動物の処理された眼球の併合図であり、実施例5に記述したように、個別緑色(GFP+血管芽細胞、下部挿入部)及び未標識細胞(上部挿入部)も見られる。実施例5を参照。
図20-2】 図20c-e。hES-誘導された血管芽細胞を全身注入した後、虚血性網膜血管構造が剛健に復旧されることを示す図面である。網膜虚血症は、マウス眼球の前室に対して静水圧を2時間ほど加えて誘導した。7日後、蛍光標識された(GFP+)血管芽細胞をガラス体内、または静脈内に注入した。1日後、この動物を安楽死させた。眼球を摘出して切開し、網膜を扁平に固定させ、レーザー走査共焦点顕微鏡を通じて映像化するか、映像化のために切片化した。(c)未損傷対照群(GFP蛍光発光無し(明るいか、薄い灰色))の併合図である、(d)及び(e)は全身血管芽細胞投与以後2日(d)及び7日(e)の虚血性眼球の併合図である(GFP+細胞は明るいか、薄い灰色に見える)。実施例5を参照。
図20-3】 図20f。hES-誘導された血管芽細胞を全身注入した後、虚血性網膜血管構造が剛健に復旧されることを示す図面である。網膜虚血症は、マウス眼球の前室に対して静水圧を2時間ほど加えて誘導した。7日後、蛍光標識された(GFP+)血管芽細胞をガラス体内、または静脈内に注入した。1日後、この動物を安楽死させた。眼球を摘出して切開し、網膜を扁平に固定させ、レーザー走査共焦点顕微鏡を通じて映像化するか、映像化のために切片化した。(f、X600、共焦点)、蛍光免疫細胞化学でI/R損傷を受けたマウス眼球の横断面で存在する損傷された血管構造に対して血管芽細胞(hES-BC)-誘導された内皮細胞を共存させた;内境界膜に隣接した神経節細胞層内血管内腔の高配率拡大図では、周辺に内皮細胞(矢印、CD31)及び血管芽細胞(hES-BC)から誘導された成熟した内皮細胞(矢印、ヒト核抗原)で取り囲まれた内腔が見られる。挿入上部及び中間パネルは、複合映像を作るために使われた個別ヒト核抗原及びCD31チャンネルである。下部パネルは、前記のような領域の低倍率拡大図であって、ボックスはあらゆるパネルに表した部分を示す。V=ガラス体;IPL=内部網状層;RPE=網膜色素上皮細胞層;Ch=脈絡膜。実施例5を参照。
図21】糖尿病性ラットの網膜血管構造に血管芽細胞、または未分化細胞またはhES-BC細胞が導入されたことを示す図面である。(a)及び(b)は、ガラス体内の血管芽細胞投与後、約2日の糖尿病性ラットの網膜血管構造の併合映像であって、ここでは、大型血管及び小型血管の両方ともに大量で血管芽細胞が導入されたことを示す(明るいか、薄い灰色部分)と、(c)血管芽細胞の投与後、約2日の対照群(非糖尿病性)ラットの併合図であり、血管芽細胞(または血管芽細胞-誘導された細胞)が血管構造で導入されず、網膜の上部上に位置するシートを形成すると現れた(軟らかい灰色層)。(d、X100)、ガラス体内の未分化細胞注入後、約2日の非糖尿病性対照群ラット由来切片は、ヒト核抗原染色に対しては陰性であったが、内皮に対しては明らかに陽性であった(CD31、矢印)。(e、X100)及び(f、X600、共焦点)はガラス体内の血管芽細胞の注入後、約2日の糖尿病性ラット由来のラット眼球切片であって、CD31及びヒト核抗原抗体で染色したが、ガラス体と神経網膜とを分離する内境界膜に対して直ちに背面に存在する網膜の神経節細胞層内の血管内腔の内層細胞にCD31及びヒト核抗原が共存染色されたことを確かに見ることができる(明るい部分を示す矢印)。実施例6を参照。
図22血管芽細胞注入後、虚血性後ろ足筋肉及び梗塞された心臓での内皮分化を示す図面である。a、b、h及びi:梗塞された心臓で血管芽細胞またはhES-BC細胞の分化.(a(200X))、ヒト特異的vWF抗体で免疫染色した対照群マウス由来の梗塞心筋切片であって、ヒトvWFで染色されなかったと現れ、(b、200X)及び(i、X600共焦点)、ヒト特異的vWF抗体で免疫染色した、血管芽細胞の注入後、4週経過した梗塞心筋切片である((b)及び(i)で薄い灰色または明るい部分)と、(h)シャム手術、培地対照群及び血管芽細胞を処理したマウスの生存曲線である。c-g:虚血性後ろ足筋肉で血管芽細胞の分化。(c、50X)、ヒト特異的vWF抗体で免疫染色した対照群マウス由来の後ろ足筋肉切片であって、ヒトvWFで染色されなかったと現れ、(d、50x)及び(e、600X、共焦点)、ヒト特異的vWF抗体で免疫染色した、血管芽細胞注入後、4週ごろの虚血性後ろ足筋肉切片である(薄い灰色);(f)手術的に誘導させた虚血性脚に対する血流復元を示す図面である。後ろ足血流は、6×105 血管芽細胞を与えられたマウス及び培地のみを受けたマウスで結紮後、ないし30日間連続してモニターリングした。血流は、非虚血性脚に対する虚血性脚での流速として算出し、(g)レーザードップラー血流映像。対照群(培地)及びBC細胞を注入した虚血性動物(各群に対して、n=6)の映像である。実施例7及び8を参照。
図23】心筋梗塞(MI)マウス由来の心臓組織切片に対するGFP(最も薄いか、明るい部分)及びcTnI(中間灰色)の免疫染色を示す図面である。実施例8を参照。矢印は、注入された血管芽細胞(hES-BC)から誘導された二重陽性染色細胞を示す。
図24】平滑筋で血管芽細胞(hES-BC)が分化したことを表す図面である。血管芽細胞(hES-BC)で単離したRNAのPCRを通じて確認時、血管芽細胞は平滑筋特異的遺伝子を発現した。血管芽細胞(hES-BC)はまた、試験管内でも平滑筋細胞に分化した。カルポニン及びα-SMAに対する免疫染色によれば、分化された細胞はこれら2つの平滑筋細胞マーカーを発現すると現れた。
【誤訳訂正7】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0099
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0099】
用語“血管芽細胞(hemangioblast)”及び“血管コロニー形成細胞(hemangio-colony forming cell)”は、本出願書の全般にわたって相互交換的に使われる。これら細胞は、これに制限されるものではないが、1つ以上のマーカーの発現(RNAまたは蛋白質)または発現欠如(RNAまたは蛋白質)をはじめとする多様な構造的及び機能的特性に基づいて説明しうる。血管コロニー形成細胞は、少なくとも造血細胞類型または内皮細胞類型を生成するように分化される。血管コロニー形成細胞は、望ましく両性能(bipotential)で少なくとも造血細胞類型及び内皮細胞類型を生成するように分化される。このように、本発明の血管コロニー形成細胞は、少なくとも単性能であり、望ましくは、陽性能である。しかし、追加的に血管コロニー形成細胞は、相当な発生能を有することができ、一定実施形態では、他の系統の細胞類型を生成するように分化される。一実施形態で、血管コロニー形成細胞は、他の中はい葉誘導体(mesodermal derivative)、例えば、心臓細胞(例えば、心筋細胞(cardiomyocyte))及び/または平滑筋細胞(smooth muscle cell)を生成するように分化される。
【誤訳訂正8】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0101
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0101】
一定実施形態で、血管芽細胞は、血小板及び赤血球細胞を含む造血細胞にさらに分化され、これに制限されるものではない。このような細胞は、輸血時に使用しうる。輸血のための大量の細胞を生成する能力は、国全体の血液銀行及び病院で体験している慢性的な血液不足を軽減させるようになる。一定実施形態で、本発明の方法は、輸血のための万能(universal)細胞を生産可能にする。具体的に、O型及びRh-型の赤血球細胞を容易に生成できて、輸血用の万能血液供給源として提供される。
【誤訳訂正9】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0102
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0102】
本発明の方法は、多様な商業的及び臨床的応用分野で、血管芽細胞を容易に多量に試験管内で増幅させうる。試験管内の血管芽細胞の増幅は、血管芽細胞を増殖させることを意味する。本発明の方法は、ヒト造血細胞の増殖量が商業的に有用な量に到達可能にし、また本発明は、多量の血管芽細胞及び多量のヒト血管芽細胞(例えば、10,000、100,000または500,000細胞以上)を含む細胞調製物に関する。一定実施形態で、細胞調製物は、1×106細胞以上を含む。他の実施形態で、細胞調製物は、ヒト血管芽細胞を2×106細胞以上に含み、さらに他の実施形態では、ヒト血管芽細胞を3×106細胞以上に含む。さらに他の実施形態で、細胞調製物は、ヒト血管芽細胞を4×106細胞以上に含む。
【誤訳訂正10】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0103
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0103】
本発明は、10,000ないし4百万以上の哺乳類(例えば、ヒト)血管芽細胞を含む溶液、調製物及び組成物に関する。このような溶液、調製物及び組成物のうち、血管芽細胞の数は、10,000ないし4百万またはそれ以上の範囲内の任意の数でありえる。この数は、例えば、20,000、50,000、100,000、500,000、1百万でありうる。
【誤訳訂正11】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0104
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0104】
同様に、本発明は、ヒト血管芽細胞の子孫細胞の調製物(例えば、ヒト造血細胞、及び内皮細胞を含むヒト造血母細胞)に関する。本発明はまた、血管芽細胞及び/または血管芽細胞系統細胞を生産、保管及び分配する方法に関するものである。
【誤訳訂正12】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0109
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0109】
本発明の血管コロニー形成細胞は、これらの構造的または機能的特徴のうち、1つまたはその任意組合わせに基づいて同定するか、特徴を糾明しうる。これら細胞が任意の多数供給源、例えば、胚芽組織(embryonic tissue)、出生期組織(prenatal tissue)、または周産期組織(perinatal tissue)から誘導できるが、用語“血管コロニー形成細胞(hemangio-colony forming cells)”という供給源と関係なく、少なくとも造血細胞類型及び/または内皮細胞類型を生成するように分化することができ、前述した構造的または技術的特性を有する細胞に対して使用するということを留意せねばならない。
胚様体及び血管芽細胞を得るためのヒト胚芽幹細胞の試験管内分化
本発明は、ヒト胚芽幹細胞からまたはヒト胞胚または割球で誘導されるヒト血管芽細胞を生成及び増殖させる方法を提供する。このように生成される血管芽細胞は精製及び/または分離しうる。
【誤訳訂正13】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0118
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0118】
本発明は、血清が使われていない胚芽幹細胞からヒト血管芽細胞を生成及び増殖させる方法を提供する。無血清条件が血清を必要とする条件より良好な製造工程(GMP)ガイドライン下での大規模製造にさらに有利である。また、無血清条件は、培地に添加される特定因子の半減期を延長させる(例えば、血清が存在しない場合、培地で成長因子、サイトカイン及びHOXB4を含む蛋白質の半減期が増加する)。特定の実施形態では、無血清培地がヒト血管芽細胞を生成及び増殖させるための本発明方法を通じて使われる。
【誤訳訂正14】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0119
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0119】
ヒト血管芽細胞を生成及び増殖させるための本方法の第1段階で、ヒト幹細胞は無血清培地で成長されて胚様体に分化されるように誘導される。胚様体形成を誘導するために、胚芽幹細胞をペレット化して1つ以上の形態形成因子及びサイトカインを補充した後、低付着(例えば、超低付着)培養プレートにプレートした無血清培地に(例えば、Stemline IまたはII培地(SigmaTM)中に)再懸濁させうる。形態形成因子及びサイトカインは、骨形態形成蛋白質(例えば、BMP2、BMP-4、BMP-7、しかしBMP-3は除き)及びVEGF、SCF及びFLを含むことができるが、これに限定されない。骨形態形成蛋白質及びVEGFは、単独でまたは他の因子と共に使われうる。形態形成因子及びサイトカインは、細胞培養0~48時間から培地に添加されうる。このような条件下に恒温処理した後、血小板形成因子(TPO)、Flt-3配位子及び幹細胞因子(SCF)を含むが、これに限定されない初期造血増殖サイトカインの存在下で恒温処理すれば、プレートされたES細胞がEBを形成しうる。TPO、Flt-3配位子及びSCF以外に、VEGF、BMP-4及びHoxB4も培地に添加されうる。一実施形態で、まずヒトES細胞をBMP-4及びVEGF165(例えば、25~100ng/ml)の存在下に成長させた後、BMP-4、VEGF165、SCF、TPO及びFLT3配位子(ligand)(例えば、10~50ng/ml)及びHoxB4(例えば、本願に開示されたような1.5~5μg/mlのトリプル蛋白質伝達ドメイン-HoxB4融合蛋白質)の存在下に成長させる。追加因子をプレートの後、48~72時間に添加しうる。
【誤訳訂正15】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0120
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0120】
本発明の前記方法で、ヒト血管芽細胞は、初期胚様体(“EB”)から分離される。初期EBから血管芽細胞の分離は、試験管内の細胞の増殖を支援する。ヒト細胞で、血管芽細胞は、10日未満で成長したEBから得られる。本発明の特定の実施形態で、血管芽細胞は2~6日間成長したヒトEBで発生する。一実施形態によれば、血管芽細胞を確認して4~6日間成長したヒトEBから分離しうる。他の実施形態では、血管芽細胞を分離する前にヒトEBを2~5日間成長させる。特定の実施形態では、血管芽細胞を分離する前にヒトEBを3~4.5日間成長させる。
【誤訳訂正16】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0121
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0121】
特定の実施形態で、初期EBを洗浄し(例えば、トリプシン/EDTAまたはコラゲン分解酵素Bによって)分離する。選択された数の細胞(例えば、2~5x1O5細胞)を血管芽細胞成長のために最適化された無血清メチルセルロース培地(例えば、BL-CFU培地、例えばStem Cell Technologies Catalogue H4436、または血管芽細胞増殖培地(HGM)、またはMDMのうち、1.0%メチルセルロース、1~2%牛血清アルブミン、0.1mM2-メルカプロエタノール、10μg/mlrh-インシュリン、200μg/mlの鉄結合ヒトトランスフェリン、20ng/mlのrh-GM-CSF、20ng/mlのrh-IL-3、20ng/mlのrh-IL-6、20ng/mlのrh-G-CSFを含有する任意の培地)(“rh”は、“組み換えヒト”を意味する)と混合する。このような培地には、初期段階サイトカイン(EPO、TPO、SCF、FL、FLt-3、VEGF、BMP、例えばBMP2、BMP4及びBMP7を含むが、これに限定されない、しかしBMP3は除き)及びHOXB4(または、さらなるホメオボックス蛋白質)を補充しうる。特定の実施形態では、エリスロポエチン(EPO)を培地に添加する。追加実施形態では、EPO、SCF、VEGF、BMP-4及びHoxB4を培地に添加する。追加実施形態では、細胞をEPO、TPO及びFLの存在下に成長させる。H9が出発ヒトES細胞株である特定の実施形態では、EPO、TPO及びFLを培地に添加する。EPO、TPO及びFL以外に、H9から誘導された細胞または他のES細胞のための培地はVEGF、BMP-4及びHoxB4をさらに含むことができる。
【誤訳訂正17】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0122
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0122】
血管芽細胞を含む、本方法によって得られる細胞(前記細胞はBL-CFU培地内にありえる)を超低付着培養プレートにプレートし、CO2恒温処理器で恒温処理して血管芽細胞コロニーを成長させる。一部細胞は、2次EBを形成しうる。3~6日後、一部の場合3~4.5日後、血管芽細胞コロニーが観察される。血管芽細胞コロニーは、特徴的な葡萄状形態及び/または小型サイズによって2次EBのような他の細胞と区別されうる。また、血管芽細胞は、特定マーカーの発現(例えば、初期造血細胞マーカー及び内皮細胞マーカーの発現)及び少なくとも造血細胞及び内皮細胞への分化能(以下、血管芽細胞系統細胞誘導参照)で確認されることができる。例えば、血管芽細胞は、成熟した内皮細胞または造血細胞の特徴的な一定の特徴を欠如しても、これら細胞は(例えば、CD71+のような)特定マーカーの存在及び他のマーカー(例えば、CD34-)の不在で確認されることができる。血管芽細胞はまた、GATA-1及びGATA-2蛋白質、CXCR-4、及びTPOとEPO受容体を発現させることができる。また、血管芽細胞は他のマーカー(例えば、CD31、CD34、KDR、または他の付着分子)の発現が低いか、ないということを特徴とすることができる。また、血管芽細胞は、特定遺伝子、例えば、血管芽細胞及び初期の未発達赤芽細胞発達と関連した遺伝子、例えば、SCL、LMO2、FLT-I、胚芽胎児グロビン遺伝子、NF-E2、GATA-1、EKLF、ICAM-4、グリコホリウンス(glicophoriuns)及びEPO受容体の発現を特徴とすることができる。
【誤訳訂正18】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0123
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0123】
したがって、血管芽細胞は大きさ(他の細胞より小さい)によって分離するか、または例えば、免疫親和性カラムクロマトグラフィーによってアンチ-CD71+抗体で精製しうる。
【誤訳訂正19】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0124
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0124】
血管芽細胞は、以下の手続によって大きさ及び/または形態により分離されうる。6~7日成長後、前記細胞混合物はEB(これは丸くて多数の細胞の塊りである)及び血管芽細胞(これは葡萄状であり、EBより小さく、単一細胞である)を含有する。したがって、血管芽細胞は、形態及び大きさを基準に分離しうる。血管芽細胞は、例えば、細胞混合物を顕微鏡で観察する場合、手作業で選び出すことができる。以後、細胞をコロニー(各コロニーは100~150個の細胞を有する)に成長させることができる。
【誤訳訂正20】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0125
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0125】
前記のように誘導されるヒト血管芽細胞コロニーを選び出してメチルセルロースCFU-培地上で再プレートして造血CFUを形成しうる。特定の実施形態で、CFU-培地は、Stem Cell Technologies H4436を含む。追加実施形態では、血管芽細胞をサイトカイン及び他の因子を補充したStemlineII培地でプレートする。例えば、個々のBL-CFCコロニーを手で取ってStemlineIIと組み換え型ヒトSCF(例えば、20ng/ml)、TPO(例えば、20ng/ml)、FL(例えば、20ng/ml)、IL-3(例えば、20ng/ml)、VEGF(例えば、20ng/ml)、G-CSF(例えば、2Onng/ml)、BMP-4(例えば、15ng/ml)、IL-6(例えば、10ng/ml)、IGF-1(例えば、10ng/ml)、内皮細胞成長補充物(ECGS、例えば、100μg/ml)、Epo(例えば、3U/ml)を含有するフィブロネクチン-コーティングプレートに移すことができる。試験管内で1週間成長させた後、用心深くピペットで採取して非付着造血細胞を除去し、造血CFU分析に直接使用することができる。非付着細胞を除去した後、付着群集をEGM-2内皮細胞培地(CambrexTM)で1週間成長させた後、vWFの発現を調べることができる。
試験管内血管芽細胞の増殖
本発明の特定様態は、血管芽細胞の試験管内増殖に関する。特定の実施形態で、本発明の方法で増殖される血管芽細胞は、前記のようにヒト胚芽幹細胞から誘導される初期胚様体から得られる。
【誤訳訂正21】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0126
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0126】
ヒト胚芽幹細胞(hES細胞)から血管芽細胞を誘導する以外に、増殖させる血管芽細胞はまた、ほ乳動物胚芽(Ogawa et al.2001 Int Rev Immunol(20):21-44、米国特許公報2004/0052771号)、臍帯組織及び胎盤からの臍帯血(Pelosi、et al. 2002 Blood(100):3203-3208;Cogle et al. 2004 Blood(103):133-5)、末梢血液及び骨髄(Pelosietal.2002 Hematopoiesis(100):3203-3208)のような他のほ乳動物供給源から分離しうる。特定の実施形態では、増殖させる非ヒト血管芽細胞を(マウス及び非ヒト霊長類のような)非ヒト胚芽幹細胞から生成させることができる。特定の実施形態で、血管芽細胞は、例えば、磁気ビード陽性選別または精製技術(例えば、MACSカラム)のような方法によって臍帯血(UCB)または骨髄から得られる。細胞は、そのCD71+状態を基準に選択され、CD34-として確認されることがある。また、分離された血管芽細胞は、造血細胞系統及び内皮細胞系統の生成可能性に対して試験しうる。特定の実施形態で、分離または精製され、任意に胚芽、臍帯血、末梢血液、骨髄または他の組織から濃厚化された血管芽細胞は純度95%を超過する。
【誤訳訂正22】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0128
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0128】
ヒトの骨髄は、例えば、手術中の患者の分層胸骨から採取して得られる。以後、骨髄は体積で0.1~1mm3の組織塊りで保存した後、マウス胚芽栄養供給層(例えば、ミトマイシンC-処理または照射された栄養供給層)で成長させうる。骨髄細胞は、1~2週の培養期間にわたってプレートに付着し、血管芽細胞は、形態特性及び/または細胞マーカーを基準に確認及び分離しうる(US2004/0052771号参照)。以後、細胞を本願に開示された方法によって無血清条件で成長及び増殖させうる。
【誤訳訂正23】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0129
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0129】
また、骨髄細胞及び血液または他の組織で由来する細胞を分別して血管芽細胞を得られる。分別方法は、業界に広く公知されており、一般的に陽性選別(すなわち、特定特性を基準にした細胞の保持)及び陰性選別(すなわち、特定特性を基準にした細胞の除去)をいずれも含む。骨髄由来細胞の濃厚化及び分別方法は、ヒト及びマウス細胞に対して最も特徴的である。
【誤訳訂正24】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0132
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0132】
蛍光-活性細胞分類(FACS)、パンニング、免疫磁気分離、免疫親和性クロマトグラフィー、抗体-媒介補体固定、免疫毒素、密度勾配分離などをはじめとする任意の適当な免疫親和性技術を骨髄由来細胞、血液細胞または他の細胞で由来する血管芽細胞の選択/濃厚化に利用しうる。免疫親和性過程で処理した後、所定細胞(陽性選別の場合、免疫親和性試薬によって結合された細胞、陰性選別の場合、免疫親和性試薬によって結合されていない細胞)を回収し、追加回収の免疫親和性選択/濃厚化を経させうる。
【誤訳訂正25】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0135
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0135】
本発明の特定様態は、血管芽細胞の試験管内増殖に関する。特定の実施形態で、本発明の方法により増殖された血管芽細胞は、前述したようなヒト胚芽幹細胞から誘導された早期胚様体から得る。他の実施形態で、血管芽細胞は、ヒト組織(例えば、胎盤または臍帯血液、末梢血液、骨髄など)から単離または補強する。
【誤訳訂正26】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0136
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0136】
特定の実施形態で、血管芽細胞は、ホメオドメイン蛋白質(本明細書でホメオボックス蛋白質とも称する)の存在下に増殖させる。追加実施形態で、血管芽細胞は、HOXB4の存在下に増殖させる。特定の実施形態で、HOXB4は血管芽細胞の増殖方法を通じて血管芽細胞に添加する。
【誤訳訂正27】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0138
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0138】
本発明の方法で血管芽細胞の生成及び増殖に使われるHOXB4は全長HOXB4(例えば、公開受託番号GI:13273315、GI:29351568と特定されたHOXB4ポリペプチド)だけでなく、その任意の機能性変移体及び活性断片を含むが、これに限定されない。野生型HOXB4蛋白質は、配列番号1、配列番号3のアミノ酸配列またはその蛋白質の任意の他の代案的な対立遺伝子形態でコーディングされうる。このような配列は、Genbankのように公開的に入手可能なデータベースを通じて接近しうる。また、HOXB4は、細胞内でエクトピカル(ectopical)に発現されるか、培地に提供されうる。エクトピカルに発現されたHOXB4は、誘発促進者に実施可能に連結されうる。培地に提供されたHOXB4は、他の細胞形態(例えば、フィーダ層)により分泌されるか、または培地に直接添加されうる。
【誤訳訂正28】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0140
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0140】
HOXB4の機能性変移体は、HOXB4の突然変異及び対立遺伝子変移体及びその活性断片を含む。HOXB4の機能性変移体は、本発明の方法によって血管芽細胞を増殖させうる任意のHOXB4ポリペプチド及びその活性断片を含む。HOXB4機能性変移体はまた、本来のHOXB4蛋白紙に比べて転写活性がさらに大きいHOXB4ポリペプチドを含む。HOXB4変移体は、野生型HOXB4と関連して1以上のアミノ酸が置換、付加及び/または欠失された蛋白質を含む。HOXB4変移体はまた、配列番号1または配列番号3に提供された配列と75%以上類似したポリペプチドを含むが、これに限定されない。したがって、HOXB4変移体は、配列番号1または配列番号3に提供されたアミノ酸配列と80%、85%、90%、95%及び99%類似したポリペプチドを含む。
【誤訳訂正29】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0143
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0143】
HOXB4の活性断片は、本発明の方法によって血管芽細胞を保持しうる全長HOXB4ポリペプチドの任意の断片を含むが、これに限定されない。したがって、一実施形態で、本発明のHOXB4蛋白質は、N末端の一部、例えば、全長HOXB4のN末端31、32、または33アミノ酸が欠失されたHOXB4蛋白質である。HOXB4蛋白質のうち、任意のものは追加蛋白質または蛋白質ドメインで融合されうる。例えば、HOXB4は蛋白質伝達ドメイン(PTD)に連結されうる。
【誤訳訂正30】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0152
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0152】
特定の実施形態で、HOXB4は、血管芽細胞内でエクトピカルに発現されるか、または培地に提供される。エクトピカルに発現されたHOXB4は、調節配列に実施可能に連結される。調節配列は、当業系に認知されており、HOXB4ポリペプチドの発現を誘導するために選択される。
【誤訳訂正31】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0153
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0153】
培地に提供されたHOXB4は、他の細胞類型により分泌されうる。他の細胞類型は、分泌可能なHOXB4を発現するために伝えられたマウス間質細胞層のようなフィーダ層でありうる。例えば、HOXB4は、蛋白質の流出及び分泌を促進する疎水性配列または単一ペプチドを含むように融合または操作されうる。代案として、PTDに共有または非共有結合された融合蛋白質のようなHOXB4は培地に直接添加されうる。追加的に、HOXB4は、レトロウイルスベクターまたはアデノウィルスベクターのようなウイルスベクター上に媒介されうる。このようなベクターは、その培養物で血管芽細胞または他の細胞を伝達しうる。
【誤訳訂正32】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0154
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0154】
特定の実施形態で、使われるHOXB4蛋白質によって、血管芽細胞の増殖の間に選択された時間でHOXB4を培地に添加する。血管芽細胞は、無血清培地で増殖されるために、HOXB4は比較的安定的である。したがって、特定の実施形態で、HOXB4蛋白質または融合蛋白質を毎日ヒト血管芽細胞に添加する。他の実施形態で、HOXB4蛋白質または融合蛋白質を隔日で添加し、また他の実施形態でHOXB4蛋白質または融合蛋白質を二日ごとに添加する。一実施形態で、HOXB4融合蛋白質、HOXB4-PTDは二日ごとに培地に添加する。
【誤訳訂正33】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0155
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0155】
特定の実施形態で、血管芽細胞は、このような細胞の増殖に十分に存在する任意の他の成長因子または蛋白質の存在下に増殖させることができる。
【誤訳訂正34】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0156
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0156】
ヒトまたは非ヒトES細胞、骨髄、胎盤またはヘソ臍帯血液、末梢血液または他の組織をはじめとする任意の供給源から得た血管芽細胞を前記方法によって増殖させることができる。したがって、特定の実施形態で、選択された数の精製された血管芽細胞または補強された細胞を血管芽細胞成長に対して最適化された無血清メチルセルロース培地(例えば、BL-CFU培地、実施例1及び2参照)と混合する。この培地を初期段階サイトカイン(EPO、TPO、FL、VGF、BMP類似BMP2、BMP4及びBMP7を含むが、これに限定されない。BMP3は除外)及びHOXB4で補完されうる。特定の実施形態で、エリトロ蛋白質(EPO)を培地に添加する。特定の実施形態で、EPO、TPO及びFLを培地に添加する。次いで、細胞を超低付着培養プレートに置いてCO2インキュベータで成長させる。前記のように、血管芽細胞コロニは、特有の葡萄類似外形を表し、他の細胞より比較的小さく、よって、他の細胞類型と区別されうる。血管芽細胞に対してマーカーのみならず、造血細胞または内皮細胞血統でさらに分化されうるその能力を試験しうる。次いで、血管芽細胞を単離し、試験管内で増殖させる。増殖に使われる培地は、初期段階サイトカイン及びHOXB4で補完された血管芽細胞成長に対して最適化された無血清メチルセルロース培地(例えば、BL-CFU)を含む。初期段階サイトカインは、EPO、TPO、FL、VEGF、BMP類似BMP2、BMP4及びBMP7を含むが、これに限定されず、BMP3は除外する。特定の実施形態で、エリトロ蛋白質(EPO)を培地に添加する。追加実施形態で、EPO、TPO及びFLを培地に添加する。
【誤訳訂正35】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0157
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0157】
したがって、血管芽細胞増殖用培地は、VEGF、SCF、EPO、BMP-4及びHoxB4を含み、特定の実施形態で培地は、TPO及びFLをさらに含むことができる。約3.5日間培養されたEBから製造された単一細胞を収集し、2ないし5分間0.05%トリプシン-0.53mM EDTA(Invitrogen)に解離し、22G針を3ないし5回通過させて単一細胞懸濁液を製造した。5分間1,000rpmで遠心分離して細胞を収集した。細胞ペレットを50ないし200μlのStemline I培地に再懸濁させた。血管芽細胞を増殖させるために、2~5×105hES細胞の分化で誘導された単一細胞懸濁液を、50ng/μlのTpo及びFLを含有するか、含有せず、IsocveのMDMのうち、1.0%のメチルセルロース、1ないし2%の牛血清アルブミン、0.1mMの2-メルカプロエタノール、10μg/mlのrh-インシュリン、200μg/mlの鉄で飽和されたヒトトランスフェリン、20ng/mlのrh-GM-CSF、20ng/mlのrh-IL-3、20ng/mlのrh-IL-6、20ng/mlのrh-G-CSF、3-6単位/mlのrh-Epo、50ng/mlのrh-SCF、50ng/mlのrh-VEGF、50ng/mlのrh-BMP-4及び1.5μg/mlのtPTD-HoxB4を含有する2mlの血管芽細胞増殖培地(HGM)と混合した。細胞混合物を超低プレートに置き、4ないし6日間5%CO2内で37℃で培養した。
【誤訳訂正36】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0158
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0158】
特定状況では、患者または患者親戚から血管芽細胞を得て前記血管芽細胞を試験管内で増殖させることが望ましい。このような状況は、例えば、化学療法または放射線治療を計画している患者、または(患者自身の幹細胞を利用する)自家HSC移植を利用しうる他の状況を含む。したがって、本発明は、本発明の増殖された血管芽細胞または血管芽細胞血統細胞を利用して、細胞に基づいた治療を必要とする患者(例えば、造血再構成または治療、または虚血をはじめとする血管損傷の治療または血管成長を必要とする患者、下記参照)を治療する方法であって、血管芽細胞を患者または患者親戚の骨髄、血液または他の組織から得る治療方法を提供する。したがって、特定の実施形態で、血管芽細胞(または血管芽細胞血統細胞)を必要とする患者の治療方法は、患者または患者親戚から血管芽細胞を単離する段階を含むことができる。患者または患者親戚から単離した血管芽細胞は、本発明の方法によって試験管内で増殖させ、次いで患者に投与しうる。代案として、増殖された血管芽細胞は、さらに成長させて患者治療前に造血細胞または内皮細胞を生成させることができる。
【誤訳訂正37】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0159
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0159】
体細胞核移植のような当業系に公知された任意の方法により、このような患者からヒトES細胞をも得られる。次いで、本発明の方法を利用して、この患者の血管芽細胞を生成させ、該固有なES細胞から増殖させる。これら血管芽細胞またはその血統誘導体を、その患者に、または該親戚に投与しうる。
【誤訳訂正38】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0160
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0160】
本発明の方法を使用して、ヒト血管芽細胞を増殖させ、次いで多様な治療及び臨床分野で使われうる商業的量産に到達することができる。また、本願に開示された方法で得た血管芽細胞をさらに分化させて臨床分野で使用するための造血細胞または内皮細胞系統を発生させうる。
【誤訳訂正39】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0161
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0161】
ヒトES細胞からヒト血管芽細胞を生成及び増殖させる本発明の方法から得た血管芽細胞は、少なくとも内皮細胞または造血細胞に分化する潜在性を有する(すなわち、それらは少なくとも両側潜在性である)。他の血管芽細胞また両側潜在性であり得る。しかし、他の血管芽細胞は、造血細胞及び内皮細胞以外の他の細胞に分化されることもある(すなわち、それらは複合または多数潜在性である)。
複雑性が低下した血管芽細胞を得るためのヒト胚芽幹細胞中のMHC遺伝子の処理
本発明によるヒト血管芽細胞を生成及び増殖させる方法において出発地点として使われるヒト胚芽幹細胞はまた、ヒト胚芽幹細胞のライブラリから由来し、それらそれぞれは、ヒト個体群に存在する1以上のMHC対立遺伝子に半接合または同型接合である。所定の実施例において、前記幹細胞ライブラリの各構成員は、前記ライブラリの残りの構成員に比べて異なるセットのMHC対立遺伝子に対して半接合または同型接合である。所定の実施例において、前記幹細胞のライブラリは、ヒト個体群に存在するあらゆるMHC対立遺伝子に対して半接合または同型接合である。本発明において、1以上の組織適合抗原遺伝子に同型接合である幹細胞は、1以上の(及び一抹の実施例で、全ての)かかる遺伝子に対して無接合である細胞を含む。遺伝子座に対する無接合は、前記遺伝子がその遺伝子座で0、すなわちその遺伝子の対立遺伝子二つとも消失されるか、または非活性化されたことを意味する。あらゆるMHC遺伝子に無接合である幹細胞は、当業界に公知の標準方法、例えば、遺伝子ターゲッティング及び/または二重接合性の欠損(LOH)によって生成されうる。例えば、米国特許出願US 20040091936、US 20030217374及びUS 20030232430、及びUS仮出願番号第60/729,173号を参考にする(これらいずれの開示内容も本願に参考として含まれる)。
【誤訳訂正40】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0162
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0162】
従って本発明は、MHC複雑性が低下した血管芽細胞のライブラリを含む血管芽細胞を得る方法に係るものである。MHC複雑性が低下した血管芽細胞及び血管芽細胞系統細胞は、それが患者一致と関連した困難さを除去するとき、治療分野で利用可能な細胞の供給が増加するであろう。かかる細胞は、MHC複合体の遺伝子に対して半接合または同型接合になるように処理された幹細胞から由来しうる。
【誤訳訂正41】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0164
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0164】
一様態において、ライブラリの各構成員が1以上のHLA遺伝子に対して同型接合であるES細胞株のライブラリは、本発明の方法によって、血管芽細胞を誘導するのに使われる。他の一様態において、本発明は、血管芽細胞(及び/または血管芽細胞系統細胞)のライブラリを提供するが、このとき、いくつかのES細胞株価選択されて血管芽細胞に分化される。かような血管芽細胞及び/または血管芽細胞系統細胞は、細胞系治療が必要な患者に使われうる。
【誤訳訂正42】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0165
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0165】
従って、本発明の所定の実施例は、複雑性が低下した胚芽幹細胞から由来したヒト血管芽細胞、造血母細胞、またはヒト内皮細胞を、これを必要とする患者に投与する方法に係るものである。所定の実施例で、該方法は、(a)ヒト血管芽細胞、造血母細胞またはヒト内皮細胞を、投与することを含む治療が必要な患者を確認する段階と、(b)患者の細胞表面で発現されたMHC蛋白質を確認する段階と、(c)本発明の試験管内ヒト血管芽細胞を生成及び増殖させる方法によって製造された、MHC複雑性が低下したヒト血管芽細胞のライブラリを提供する段階と、(d)該患者のMHC蛋白質を、その細胞に一致させるライブラリからヒト血管芽細胞細胞を選択する段階と、(e)選択的に、段階(d)で確認されたヒト血管芽細胞細胞をヒト造血母細胞、内皮細胞または二つとも、または必要によってこれら二系統のうち一つまたは二つともで追加分化される細胞に分化させる段階と、(f)段階(d)及び/または(e)からの任意の細胞を前記患者に投与する段階とを含む。該方法は、地域センター、例えば、病院、クリニック、診療室及び他の健康管理施設で遂行されうる。また、患者に一致すると選択された血管芽細胞は、少ない細胞数で保存される場合、患者治療に先立ち増殖されうる。
ヒト血管コロニー形成細胞/血管芽細胞
所定の様態において、本発明はヒト血管コロニー形成細胞を提供する。これら細胞は、多様な治療及び他の用途を有した唯一の初生細胞類型である。また、この細胞類型は、少なくとも造血及び/または内皮系統の進化を研究するのに重要なツールを提供する。このように本発明は、ヒト血管コロニー形成細胞を含む組成物及び多様な調製物(薬学調製物を含む)だけではなく、血管コロニー形成細胞から部分的または定期的に分化された1以上の細胞類型を含む組成物及び調製物(薬学調製物を含む)に係るものである。
【誤訳訂正43】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0166
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0166】
血管芽細胞」及び「血管コロニー形成細胞」という用語は、本出願全体で入れ替えて使われるであろう。これらの細胞は、以下に限定されるものではないが、1以上のマーカの発現(RNAまたは蛋白質)または発現不足(RNAまたは蛋白質)を含む多数の構造的及び機能的特性を基に記述されうる。血管コロニー形成細胞は分化し、少なくとも造血細胞類型または内皮細胞類型を発生させることができる。血管コロニー形成細胞は両性潜在性でであり、分化して少なくとも造血細胞類型及び内皮細胞類型を発生させることができることが望ましい。このように、本発明の血管コロニー形成細胞は、少なくとも単一潜在性であり、望ましくは両性潜在性である。追加的ではあるが、血管コロニー形成細胞は、さらに大きいレベルの進化潜在性を有することができ、所定の実施例において、分化して他系統の細胞類型を発生させることができる。所定の実施例において、前記血管コロニー形成細胞は分化し、心臓細胞(例えば、心筋細胞)及び/または平滑筋細胞のような他の中胚葉誘導体を生成できる。
【誤訳訂正44】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0192
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0192】
本発明のヒト血管コロニー形成細胞は、本願に記載された任意の疾患または状態の治療時を含み(これに制限されるものではない)、本願に記載された任意の方法または利用分野で使用できる。
実験室内で増殖された血管芽細胞を含む細胞製剤
本発明の特定実施例で、哺乳動物(ヒトを含む)の血管芽細胞は、商業用数量に達するほどに増殖され、多様な治療学的及び臨床的利用分野で使用する。特定実施例で、血管芽細胞は、10,000ないし4百万(またはそれ以上)の次数の細胞数に達するように増殖される。かような細胞数は、出発初期の製剤の3ないし4日内に到達しうる。従って本発明は、多量の血管芽細胞を含む製剤であって、前記製剤が少なくとも10,000、50,000、100,000、500,000、百万、2百万、3百万または4百万の細胞を含む製剤に係るものである。
【誤訳訂正45】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0193
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0193】
また本発明は、多量の血管芽細胞を含む溶液、組成物、及び製剤であって、前記溶液、前記組成物、及び前記製剤が少なくとも10,000、50,000、100,000、500,000、百万、2百万、3百万または4百万の細胞を含む溶液、組成物、及び製剤に係るものである。血管芽細胞はヒトのものでありうる。
【誤訳訂正46】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0194
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0194】
本発明の他の様態は、本願に開示された方法によって収得された血管芽細胞を、臨床的利用分野で後続的に使われる、造血または内皮の細胞系譜、または系譜二つともに分化させるものに係るものである。従って本発明はまた、多量の造血または内皮細胞を含む細胞製剤に係るものである。本発明はまた、本願に開示された方法によって収得された血管芽細胞を造血及び内皮細胞以外の他の細胞系譜に分化させることに係るものである。従って本発明はまた、多量の他の血管芽細胞分化細胞を含む細胞製剤に係るものである。
【誤訳訂正47】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0195
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0195】
多量(例、千万または百万)の血管芽細胞を含む組成物及び製剤は、本願に記載された通りに収得した血管芽細胞を増殖させることによって収得できる。従って本発明は、ES細胞(例えば、ヒトES細胞)または臍帯血、末梢血または骨髄血から収得された血管芽細胞を増殖させることによってなされた多量の血管芽細胞を含む組成物及び製剤に係るものである。さらに増殖方法として、例えば、マウス、ラット、牛、または非ヒト霊長類の血管芽細胞に利用される。また本発明は、ヒト以外の他種の多量の血管芽細胞を含む組成物及び製剤に係るものである。本発明の方法によって増殖された血管芽細胞は、二分化性(bi-potential)でありうる。すなわち、その細胞は、内皮細胞または造血幹細胞に分化されうる。特定実施例で、ヒトES細胞から生成されて増殖されたヒト血管芽細胞は、二分化性である。血管コロニー形成細胞は、少なくとも造血細胞類型または内皮細胞類型を提供するために分化されうる。血管コロニー形成細胞は望ましくは二分化性であり、少なくとも造血細胞類型及び内皮細胞類型を提供するために分化されうる。かかる機能において、本発明の血管コロニー形成細胞は少なくとも単一分化性(uni-potential)、望ましくは二分化性である。さらにしかし、血管コロニー形成細胞は高い程度の発生潜在力を有することができ、特定実施例で、他の系譜の細胞類型を提供するために分化されうる。特定実施例で、血管コロニー形成細胞は、他の中胚葉性分化体、例えば、心臓細胞(例えば、心筋細胞)及び/または平滑筋細胞を提供するために分化されうる。
哺乳動物血管芽細胞細胞マーカ
前述の通り、血管コロニー形成細胞は、成体内皮または造血細胞の特徴的な特定の特性が不足している。しかし、かような血管コロニー形成細胞または血管芽細胞は、例えば、CD71+、GATA-1及びGATA-2蛋白質、CXCR-4、及びTPO及びEPOの受容体のような多様なマーカによって確認しうる。追加実施例で、血管芽細胞はLMO-2を発現する。さらに血管芽細胞は、他のマーカの不在または低い発現によって特徴づけられる。従って血管芽細胞は、CD34-CD31-、及びKDR-でありうる。追加実施例で、血管芽細胞CD34-、CD31-、KDR-、及びCD133-でありうる。
【誤訳訂正48】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0196
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0196】
従って特定実施例で、本発明の方法によって生成されて増殖された血管芽細胞は、表2に記載された任意の一つ以上のマーカの存在または不在によって特徴づけられる。例えば、血管芽細胞は、「BL-CFC」の下に「-」で表示された表2に記載された任意の一つ以上のマーカの発現に対する検査に陰性でありうる。従って、一部実施例で血管芽細胞は、CD34発現に対して陰性でありうる。該細胞は、追加でまたは代案的にCD31、CD133、及び/またはKDR発現に対して陰性でありうる。追加実施例で血管芽細胞は、「+」で表2に表示された任意のマーカを発現できる。例えば該細胞は、マーカのうち一つ以上を発現できる。LMO-2及びGATA-2。マーカの発現は、例えば、蛋白質発現を検査するための免疫組織化学または免疫吸取紙(immunoblotting)、またはRNAレベルで発現を検査するためのmRNA分析のような任意の方法によって検定できる。
血管芽細胞系譜細胞の分化
また本発明の方法及び細胞製剤は、血管芽細胞分化細胞に係るものである。本発明によって生成されて増殖されたヒト血管芽細胞、及び本発明の方法によって増殖された哺乳動物血管芽細胞は、実験室内で分化して造血細胞(造血幹細胞(HSC)を含む)または内皮細胞だけではなく、かような2種系譜でさらに分化された細胞を収得できる。かような細胞は、後述の治療学的及び商業的利用分野で後続的に使用できる。
【誤訳訂正49】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0197
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0197】
特定実施例で造血細胞は、血管芽細胞を無血清BL-CFUで3~10日間成長させて誘導する。他の実施例で、hES-誘導されたBL-CFC細胞の単一細胞懸濁液を10~14日間成長させる。無血清条件が拡大生産及び調節の指針との適合性だけではなく、コスト減少を促進する限り、無血清条件を維持することが最も望ましい。本発明の血管芽細胞はまた、無血清Hem-培養で成長させることができ(Bhatia et al.1997 J Exp Med(186):619-624)、これはヒト造血母細胞を維持させ、BSA(例えば、1%BSA)、インシュリン(例えば、5μg/mlヒトインシュリン)、トランスフェリン培地またはトランスフェリン(例えば、100μg/mlヒトトランスフェリン)、L-グルタミン、ベータ-メルカプトエタノール(例えば、10-4M)及び成長因子を含む。成長因子は、SCF(例えば、300ng/ml)、顆粒球-コロニー-刺激因子(G-CSF)(例えば、50ng/ml)、Flt-3(例えば、300ng/ml)、IL-3(例えば、10ng/ml)及びIL-6(例えば、10ng/ml)を含むことができる。血管芽細胞から造血細胞を得るのに有用な他の因子としては、血小板形成因子(TPO)及びVEGF(例えば、文献[Wang et al.2005 Ann NY Acad Sex(1044):29-40]参照)及びBMP-4を挙げることができる。前記血管芽細胞はまた、多血統造血成長因子カクテルを補充した無血清メチルセルロース培地で成長できる。従って血管芽細胞は、早期活性成長因子(例えば、c-kit配位子、flt3配位子)、多血統成長因子(例えば、IL-3、顆粒球大食細胞-CSF(GM-CSF))及び単一血統成長因子(例えば、G-CSF、M-CSF、EPO、TPO))、VEGF及びbFGFを補充し、BSA、飽和ヒトトランスフェリン、ヒトLDLを含むイスコーブ改質されたDulbecco培地(IMDM:Iscove modified Dulbecco medium)中のメチルセルロースで成長できる。代案として血管芽細胞は、造血細胞(例えば、赤血球、大食細胞または顆粒球)の一類型の成長を支援する単一血統成長因子を含む培地で成長できる。
【誤訳訂正50】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0198
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0198】
一実施例で血管芽細胞コロニーは、Stemline I培地で再懸濁される。次に、細胞を無血清造血CFU培地(H4436、Stem Cell TechnologiesTM)1ml+tPTD-HoxB4及び0.5%EX-CYTE(Serologicals Proteins Inc.TM)1.5μg/mlと混合する。次に、細胞混合物を細胞培養未処理プレート上でプレーティングし、37℃で10~14日間恒温処理した。初期プレーティング10~14日後に発生する造血CFUは、形態学的に、例えばWright-Giemsa染料によって染色されることを特徴とすることができる。
【誤訳訂正51】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0199
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0199】
造血細胞はまた、当業界に公知のその他条件を利用して血管芽細胞から誘導できる(例えば、IMDM、30%牛胎児血清(FCS)、1%ウシ血清アルブミン(BSA)、10-4Mベータ-メルカプトエタノール及び2mM L-グルタミンを含む培地で)。また他の実施例で、基本繊維芽細胞成長因子を使用してEB内でBL-CFCいずれの頻度も向上させ、造血分化を促進できる(Faloon et al.2000 Development(127):1931-1941)。他の実施例で、成長因子造血(HAPO)を利用して血管芽細胞の成長及び造血分化を促進する(Liu et al.2004 Blood(103):4449-4456)。造血細胞への分化は、例えばCD45状態(CD45+)及びCFU分析によって評価できる。
【誤訳訂正52】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0200
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0200】
造血細胞を形成するために、ヒト血管芽細胞は、CFU-培地で3~10日間、または任意にさらに長時間(例えば、10~24日)の間成長できる。本発明のヒト血管芽細胞は、顆粒球、赤血球、大食細胞及び巨核細胞(CFU-GEMM/混合)を含むCFUだけではなく、以下の細胞類型(例えば、CFU-G、CFU-E、CFU-M及びCFU-GM)のうちただ一つを含有するユニットを形成するコロニーを形成できる。特定実施例で、hES-誘導されたBL-CFC細胞の単一細胞懸濁液は10~14日間成長し、例えば赤血球、骨髄、大食細胞及び多血統造血細胞のような造血細胞を誘導する。
【誤訳訂正53】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0201
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0201】
本発明のさらに他の様態は、本願で記述された方法によって収得されて増殖されたヒト血管芽細胞、またはこれによって増殖された哺乳動物血管芽細胞から誘導された内皮細胞に係るものである。血管芽細胞は、上皮成熟に望ましい条件で成長できる。
【誤訳訂正54】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0202
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0202】
本発明の特定実施例で、内皮細胞を得るために、血管芽細胞をまずファイブロネクチン・コーティングされた表面にプレーティングし、3~5日(または、他の実施例で3~7日後)後に、Matrigelの厚い層で再プレーティングして内皮細胞への分化を支援する。前記条件は、血管芽細胞発達中に形成される無血清条件を維持させる。代案として血管芽細胞は、公知の培地で成長して内皮細胞への分化を支援する。かような条件は、例えば20%胎児ウシ血清(FBS)、50ng/ml内皮細胞成長補充物(すなわち、脳下垂体抽出物)、10 IU/mlヘパリン及び5ng/mlヒトVEGF-A165を含むEndo-培養を含む(Terramani et al.2000 In Vitro Cell Dev Biol Anim(36):125-132)。当業界に公知の他の条件としては、25%FCS/ウマ血清を補充した培地があり、一部実施例では、ヘパリン(例えば、10U/ml)、インシュリン類似成長因子(IGFl)(例えば、2ng)及びEC成長補充物(ECGS、例えば100μg)を補充した培地がある。成長因子VEGF及びEGFをまたHAPOと共に使用し、内皮分化を支援できる(Liu et al.2004)。血管芽細胞はまた、コラーゲン及びファイブロネクチンでコーティングされたプレート上にシーディングし、例えば内皮細胞への分化を促進できる。該細胞は、フォンビレブラント因子(vWF:von Willebrand factor)及び内皮酸化窒素合成酵素(eNOS)及び試験管内内皮ネットワーク形成能に対して分析することができる。
【誤訳訂正55】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0203
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0203】
従って、内皮細胞を形成するために、前述の方法によって誘導された血管芽細胞コロニーをピッキングし、内皮分化への第1段階に最適化されたファイブロネクチン・コーティングされた培養プレート上に再プレーティングする。前記細胞は、EGM-2またはEGM-2MV完全培地(CambrexTM)でプレーティングできる。3~5日、代案的な実施例では3~7日後に、前記細胞を内皮分化を支援するMatrigel層のような表面上に再プレーティングする。恒温処理16~24時間後、分枝型チューブコード(branched tube-cord)の形成(例えば、図8参照)で典型的な内皮細胞の挙動が確認される。内皮特定分析、例えばLDL-吸収はまた、前記細胞が内皮特徴を有するということを確認するのに利用できる。
【誤訳訂正56】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0204
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0204】
本発明の他の様態で、本発明によって生成されて増殖されたヒト血管芽細胞及び本発明の方法によって増殖された哺乳動物血管芽細胞は、試験管内で分化されて他の細胞だけではなく、前記細胞血統からさらに分化された細胞を得ることができる。かようなさらなる細胞血統は、本発明によって生成されて増殖された血管芽細胞及び本発明の方法によって増殖された哺乳動物血管芽細胞から誘導されうるが、これは、前記血管芽細胞が造血及び内皮細胞への分化後の潜在的な発達程度がさらに大きくありうるためである。
【誤訳訂正57】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0205
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0205】
ヒト血管芽細胞及び血管芽細胞血統細胞の臨床的及び商業的実施例
細胞療法
ヒト血管芽細胞は、生体内で他の造血または内皮細胞に分化する可能性がある一方、これらは、前記2個の細胞類型が必要であるか、または治療を向上させることができる細胞治療で使われうる。また、血管芽細胞血統細胞(すなわち、造血細胞及び/または内皮細胞)を含む任意の療法または治療によって処置されうる。下記部分は、本発明の方法によって生成されて増殖されたり、または本発明の方法によって増殖された本発明のヒト血管芽細胞を使用する方法を記述する。
【誤訳訂正58】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0206
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0206】
本発明の特定実施例で、造血細胞を増加させたり治療する処置及び血管成長増加及び/または血管回復促進のための処置が考慮される。従って、特定様態で本発明は、造血細胞または血管成長または回復が必要な患者を治療するための方法及び組成物に係るものである。血管芽細胞は、被験体の血管に注射したり、または手術を介して被験体の血管に投与できる。前記患者及び被験体はヒトでありうる。
【誤訳訂正59】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0207
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0207】
本発明の特定実施例で、ヒト血管芽細胞は移植に使われ、これと異なる場合には、HSC移植が使われうる。かような移植は、例えば急性または慢性白血病、再生不良性貧血及び多様な免疫欠乏症だけではなく、多様な非血液学的悪性腫瘍及び自家免疫障害を病む患者の治療のための造血再構成に利用し、高い投与量の化学療法及び/または放射線療法後の治療誘発性形成不全から患者を救済するのに利用できる。かような移植は、生体内または生体外で実施できる(例えば、骨髄移植)。
【誤訳訂正60】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0208
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0208】
本発明の他の実施例でヒト血管芽細胞は、造血再構成または造血治療が必要な患者を治療するのに使われる。かような患者としては、例えばサラセミア(地中海貧血)、鎌状赤血球貧血症、再生不良性貧血症(低形成貧血症ともいう)、血球減少症、骨髄低形成症、血小板欠乏症、造血悪性腫瘍、例えば白血病、夜間発作性血尿症(PNH)及びADA(例えば、脱アミノ酵素(ADA)-欠乏重症複合免疫欠乏症(SCID))を病む患者を挙げることができる。
【誤訳訂正61】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0209
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0209】
従って、本発明の具体的な実施例は、本発明の血管芽細胞を利用した造血再構成または造血治療を必要とする患者の治療方法に係るものである。従って本発明は、造血再構成または治療を必要とする患者の治療方法であって、これを必要とする患者の選別、本発明の方法によるヒト血管芽細胞の生成と増殖または増殖、前記ヒト血管芽細胞の患者への投与を含む方法に係るものである。従って前記方法は、生成及び増殖されたり、または増殖されたヒト血管芽細胞をヒト造血細胞に分化させた後、造血細胞を患者に投与することを含むことができる。
【誤訳訂正62】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0210
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0210】
代案的な実施例は、ヒト血管芽細胞を大規模に生成し、これを必要とする患者の先立って保管する方法を含む。従って本発明のさらに他の実施例は、造血再構成または治療を必要とする患者の治療方法であって、これを必要とする患者の選択、前述の方法によってすでに分離されて増殖されたヒト血管芽細胞に対する処方、及び前記ヒト血管芽細胞の前記患者への投与を含む方法に係るものである。同様に前記方法は、前記ヒト血管芽細胞をヒト造血細胞に分化させることと、前記造血細胞を患者に投与することとを含むことができる。追加実施例で、1以上のMHC対立遺伝子に対して半接合であるか、または同型接合である血管芽細胞を成長させ、任意に商業的な量に成長させ、任意に企業体が保管する。患者がかような細胞または血管芽細胞血統細胞を必要とする場合、臨床医または病院は、事業体にかような細胞を注文する。
【誤訳訂正63】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0211
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0211】
本発明のヒト血管芽細胞は、血管形成微小棲息環境下で内皮細胞に増殖及び分化するために、ヒト血管芽細胞は、治療的方式に使われて患者の傷部位で新しい血管を提供したり、または損傷血管の回復を誘導できる。従って、特定様態で本発明は、新しい血管の成長または損傷血管系の回復を促進させる方法に係るものである。本発明のヒト血管芽細胞は、内皮損傷、例えば心筋梗塞、脳卒中及び虚血性脳、虚血性四肢及び虚血性四肢を含む皮膚傷及び糖尿病動物または患者から発生する傷、及び網膜での虚血性再貫流損傷を治療するのに使用できる。本発明の血管芽細胞で治療できるその他虚血性病態としては、腎臓虚血、肺虚血及び虚血性心筋病症を挙げることができる。血管芽細胞はまた、気球血管形成または脳血管ステントの発達後に損傷された血管の回復を助けるのに使用できる。血管芽細胞はまた、組織移植、手術、及び放射線損傷後に使用できる。また血管芽細胞は、アテローム性動脈硬化症の治療及び/または進展の防止だけではなく、全身硬化症及びレイロード現象(RP)で発生する内皮細胞損傷を回復させるのに使用できる(Blann et al.1993 J Rheumatol.(20):1325-30)。
【誤訳訂正64】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0212
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0212】
従って本発明は、血管成長の提供や、これを必要とする患者の回復と関連した多様な方法を提供する。一実施例で本発明は、虚血性組織での新しい血管形成をこれを必要とする患者で誘導する方法であって、前記患者に前述のヒト血管芽細胞の精製された製剤を有効量で投与し、前記虚血性組織に新しい血管を形成させることを含む方法を提供する。従って本発明の特定様態は、血管形成をこれを必要とする患者で増大させる方法であり、これを必要とする患者の選別、前述のようなヒト血管芽細胞の分離、及び前記血管芽細胞の前記患者への投与を含む方法を提供する。他の様態で本発明は、損傷された血管の治療を必要とする患者で損傷された血管を治療する方法であって、これを必要とする患者の選別、前述のようなヒト血管芽細胞の増殖または生成と増殖、及び前記血管芽細胞の前記患者への投与を含む方法を提供する。前述の実施例以外に、血管芽細胞は大規模に生成し、血管芽細胞を必要とする患者の選別以前に保管できる。追加実施例で、1以上のMHC対立遺伝子に対して半接合であるか、または同型接合である血管芽細胞を成長させ、任意に商業的な量に成長させ、血管芽細胞治療の対象として患者を選別する前に任意に保管する。前述の血管芽細胞または血管芽細胞製剤のうち任意のものを循環系に直接(静脈内に)投与できる。特定実施例(例えば、目での血管回復が必要な場合、例えば網膜の虚血/再貫流損傷の治療の場合)、血管芽細胞または血管芽細胞製剤は、ガラス体内の注射によって投与できる。
【誤訳訂正65】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0213
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0213】
血管芽細胞またはその誘導体細胞の溶液または製剤は、任意の経路で投与でき、かような投与は個別的に決定できる。また、血管芽細胞またはその誘導体細胞の溶液または製剤の投与される有効量は、治療的に有効であって個別的に決定されうる量である。
【誤訳訂正66】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0214
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0214】
追加様態で血管芽細胞血統細胞は、治療的用途、例えば前述の徴候の治療で使われる。従って、本願で記述される方法で生成及び増殖されたり、または増殖される血管芽細胞は、まず試験管内で分化されて造血及び/または内皮細胞を産出した後、前記2個の血統でさらに分化される細胞を産出する。かような細胞は、以後、例えば造血病態の治療、または造血再構成、または虚血または血管損傷の治療のために被験体または患者に投与できる。
【誤訳訂正67】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0215
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0215】
本願で開示される方法によって収得されるヒト血管芽細胞から誘導されるHSCは、成長してさらにHSCを増殖させ、かつ/または他の造血血統細胞類型を誘導する。本発明の特定様態は、移植中の血管芽細胞から誘導されたHSCの用途に係るものである。追加実施例で、分化された造血細胞(例えば、顆粒球、赤血球、骨髄細胞、巨核細胞、血小板、大食細胞、肥満細胞及び好中性白血球(Wiles and Keller 1991 Development(111):259)が多様な治療、例えば輸血療法または感染治療に使われる。従って本発明の他の実施例は、本発明の血管芽細胞から誘導されたHSCまたは造血血統細胞を利用した造血再構成または治療を必要とする患者の治療方法に係るものである。
【誤訳訂正68】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0216
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0216】
一部様態で本発明は、造血細胞を必要とする患者の治療方法または治療を必要とする患者を選択する段階、本発明の方法によってヒト血管芽細胞を増殖したりまたは分離及び増殖する段階、前記血管芽細胞を造血母細胞及び/または成熟造血細胞に分化させる段階、及び前記造血細胞を前記患者に投与する段階を含む治療に係るものである。
【誤訳訂正69】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0217
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0217】
本発明の他の様態で血管芽細胞は、ここに開示された方法によって成長して内皮細胞を発生させる。前記内皮は、その後患者の損傷部位で損傷された血管の復旧を誘導したり、または新しい血管を提供するのに使われうる。従って、一部様態で本発明は、新しい血管成長を促進したり、または損傷された脈管構造を復旧する方法に係り、ここで血管芽細胞から誘導された内皮細胞が治療剤として使われる。前記内皮細胞は、内皮損傷、例えば心筋梗塞及び肺虚血、発作及び虚血性脳損傷、四肢虚血及び四肢虚血を含む皮膚損傷及び糖尿病動物でも患者に発生する損傷、網膜内虚血性再貫流損傷、腎臓虚血を治療するのに使われうる。前記内皮細胞はまた、気球血管形成術または血管内ステントだけではなく、グラフティングでの配置、手術及び以後の放射線損傷後に損傷された血管の復旧を助けるのに使われうる。また前記内皮細胞は、アテローム性動脈硬化症進行の治療及び/または予防だけではなく、全身硬化症及びレイノー現象で発生する内皮細胞損傷を復旧するのに使われうる。
【誤訳訂正70】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0219
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0219】
従って本発明の一部様態は、治療を必要とする患者を選択する段階、本発明の方法によってヒト血管芽細胞を増殖したりまたは分離及び増殖する段階、前記血管芽細胞を内皮細胞に分化させる段階、及び前記内皮細胞を前記患者に投与する段階を含む、内皮または血管損傷を有する患者、または血管成長や復旧を必要とする患者の治療方法に係るものである。
血液銀行
本発明の他の様態は、移植に適した造血細胞を生成する方法を提供する。かような細胞及び方法は数多くの用途を有するが、特に重要な用途は、移植用血液の適合性を向上させるところにあるのである。望ましい一部実施例で本発明は、血管芽細胞/血管コロニー形成単位から分化された赤血球を提供する。かような分化された赤血球は移植に使われうる。
【誤訳訂正71】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0220
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0220】
本発明のさらに他の様態は、血管芽細胞/血管コロニー形成単位から分化された、これを必要とする者のための輸血に使われる造血細胞を生成する方法に係るものである。一部実施例で分化された造血細胞は、外傷、手術中の血液損失、血液疾患、例えば貧血、鎌状赤血球貧血、または溶血性疾患、または悪性疾患を治療するために移植される。一部実施例で赤血球は、外傷、手術中の血液損失、または血液疾患、例えば貧血、鎌状赤血球貧血、または溶血性疾患を治療するために移植される。一部実施例で血小板は、先天性血小板疾患または悪性疾患を治療するために移植される。一部実施例で、赤血球及び血小板の混合群が移植される。
【誤訳訂正72】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0250
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0250】
特定実施例において細胞の該調製物は、一つ以上の感染疾病に対して選別される。選別は、発生または保管前後に起こりうる。例えば細胞の該調製物は、前記製品の受容者に伝達されうる肝炎、HIV、またはその他血因性感染疾病を確認するために選別されうる。
移植体受容者内での耐性誘導
本発明の方法によって生成されて増殖されたり、または本発明の方法によって増殖されたヒト血管芽細胞を使用して免疫耐性を誘導できる。免疫耐性とは、例えば受容者に非自我(nonself)MHC抗原(例、移植体及び耐性化された血管芽細胞と共有された抗原)の導入に対して、そうでなけば発生する移植体受容者の免疫反応の抑制をいう。従って耐性とは、免疫抑制剤を使用して引き出しうる広範囲なスペクトルの免疫抑制と反対して特異的な供与者抗原によって誘導される免疫反応の抑制をいう。耐性は、体液性反応、細胞性反応、または体液性及び細胞性いずれもの反応を伴うことができる。耐性は、先在する成熟した供与者反応性T細胞の除去及び/または不活性化、及び新規に発生した供与者反応性T細胞の長期間(例、一生)の除去及び/または不活性化を含むことができる。
【誤訳訂正73】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0251
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0251】
本発明に記載されたヒト血管芽細胞の生成及び増殖方法は、耐性を誘導するのにいくつかの利得を提供する。本発明の方法は莫大であり、従来には得難い数のヒト血管芽細胞を生成させる。莫大な量のヒト血管芽細胞は、あまり有害ではないあらかじめ調整されたプロトコルを利用して移植体受容者で耐性を誘導できる。また本発明の方法は、ヒト血管芽細胞のライブラリを生成するために提供され、ここでそのそれぞれは、ヒト集団に存在する一つ以上のMHC対立遺伝子に対して半接合性であるか同型接合性であり、前記血管芽細胞のライブラリのうち各構成員は、ライブラリ内の他の構成員に対して異なるセットのMHC対立遺伝子に対して半接合性であるか同型接合性である。かかるヒト血管芽細胞のライブラリは細胞を選択し、任意の使用可能な供与者移植体と一致できるように耐性のなされたヒト血管芽細胞の選択に使われうる。
【誤訳訂正74】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0253
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0253】
従って、本願に記載された新規方法が莫大な数のヒト血管芽細胞を生産できるために、本発明は、調節プロトコルがあまり苛酷ではないか、あまり有害ではない免疫耐性が誘導される利点を提供する。例えば、造血細胞空間の形成段階は、十分な数の耐性がある供与者細胞が使われる場合に省略されうる。
【誤訳訂正75】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0254
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0254】
従って、本発明の特定実施例において、本願に記載された方法によって生成されて増殖されたり、または増殖されたヒト血管芽細胞を使用して免疫耐性を誘導できる。前記メカニズムを基に任意の理論によって拘束されることを希望しない一方、ヒト血管芽細胞は、受容者の骨髄に受容され、受容者の骨髄に移植されて混合されたキメラ現象を生産することによって免疫耐性を誘導できる。
【誤訳訂正76】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0255
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0255】
特定実施例において、供与者ヒト血管芽細胞は、受容者患者に供与者からの移植体を移植したり器官、組織、または細胞を移植する前に(例えば、静脈注射によって)、受容者患者に投与される。特定実施例において、ヒト血管芽細胞は、耐性の誘導の必要がある患者(例、移植組織または移植体受容者)に耐性を誘導するために投与される。従って、特定実施例において、ヒト受容者患者で耐性を誘導する方法は、(a)移植または細胞治療の必要がある患者を選択する段階、(b)供与者から由来したり供与者に一致(符合)するヒト血管芽細胞を前記患者に投与する段階であって、ここで前記血管芽細胞は、本発明によって生成されて増殖されたり増殖される段階、及び(c)受容者患者に供与者の器官、組織、または細胞移植体を移植する段階であって、ここで前記血管芽細胞は、供与者抗原に対する耐性を誘導する段階を含む。特定実施例において患者は、器官、組織、または細胞治療を受容し、ここで前記器官、組織、または細胞は、供与者または供与者細胞源から得られる。例えば、供与者からの血管芽細胞は、(1)前記記載された方法によって増殖されて多数の供与者耐性細胞を生成し、(2)生体内増殖されて分化されて造血細胞または内皮細胞または組織を得るが、これは、後続して受容者患者に移植されうる。他の実施例において、器官、組織、または細胞治療は、供与者血管芽細胞から由来しないが、供与者血管芽細胞と一致する。
【誤訳訂正77】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0256
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0256】
本願に使われた用語である「一致した(符合した)」というのは、供与者及び受容者(例、移植体)間のHLA類型がどれほど類似しているかに係るものである。一実施例において、供与者血管芽細胞及び移植体について、用語「一致した」というのは、拒否反応が起きないようにというMHC I型及び/またはMHC II型対立遺伝子との一致度をいう。他の実施例において、供与者血管芽細胞及び移植体について用語「一致した」というのは、供与者移植体がその一致する供与者血管芽細胞によって耐性化されるようにというMHC I型及び/またはMHC II型対立遺伝子との一致度をいう。さらに他の実施例において、供与者血管芽細胞及び移植体について用語「一致した」というのは、免疫抑制が要求されないようにというMHC I型及び/またはMHC II型対立遺伝子との一致度をいう。
【誤訳訂正78】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0257
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0257】
同種異系抗原または同種異系グラフト(graft)に対して耐性を誘導するための前述の方法は、供与体と受容体との間に、MHC遺伝子座またはその他遺伝子座でグラフト拒否反応を招くほどの不一致が存在する場合に使われうる。従って、例えば特定実施例で、1個以上のMHC遺伝子座で、または認識及び拒否反応を媒介する他の1個以上の遺伝子座で、例えば、極小抗原遺伝子座で不一致が起こりうる。一部実施例で例えば、受容体と供与体とのHLA対立遺伝子が不一致であって、一つ以上の不一致の抗原を招く。I型及びII型MHC遺伝子座の場合、供与体と受容体は、例えば、I型で一致し、II型で不一致であり、I型で不一致であり、II型で一致し、I型で不一致であり、II型で不一致であり、I型で一致し、II型で一致しうる。認識及び拒否反応を統制する他の遺伝子座の任意の組合わせで、例えば、極小抗原遺伝子座が一致または不一致でありうる。MHC I型で不一致であるというのは、一つ以上のMHC I型遺伝子座が不一致であるということを意味し、例えば、HLA-A、HLA-B、またはHLA-Cのうち一つ以上で不一致であるということを意味する。MHC II型で不一致であるというのは、一つ以上のMHC II型遺伝子座が不一致であるということを意味し、例えば、DPA、DPB、DQA、DQB、DRA、またはDRBのうち一つ以上で不一致であるということを意味する。例えば、血管芽細胞(hemangioblast)とグラフトは、II型HLA-DRB1及びDQB1対立遺伝子で一致しうる。血管芽細胞とグラフトは(一致したDRB1及びDQB1対立遺伝子に追加して)、2個以上のI型HLA-A、B、またはC、対立遺伝子で一致しうる。
【誤訳訂正79】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0258
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0258】
他の実施例で、耐性化された(tolerizing)供与体細胞は、前述の方法によって生成及び増殖または増殖された血管芽細胞から由来した細胞である。この実施例によれば、供与体ヒト血管芽細胞は、試験管内分化されて供与体造血母細胞を生成し、この供与体造血母細胞を受容体患者に投与して耐性を誘導する。前記方法のうち一部の場合、供与体血管芽細胞またはそれから由来した造血母細胞を前記受容体に投与し、前記受容体で耐性を誘導することによって(供与体耐性化細胞に対して)、一致した移植またはグラフトを準備する。
【誤訳訂正80】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0259
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0259】
他の実施例で耐性を誘導する方法は、造血スペースを生成する段階(これによって血管芽細胞またはそれから由来した造血母細胞のグラフト化を促進する)をさらに含む。他の実施例で耐性を誘導する方法は、例えば、先在する供与体-反応性T細胞を除去及び/または不活性化することによって、供与体血管芽細胞またはそれから由来した造血母細胞の拒否反応を一時的に阻害する段階をさらに含む。造血スペースを生成するために、該方法は、照射(irradiation)(例、全身、リンパ球、または選択的胸腺照射)を含むことができる。供与体細胞の拒否反応を予防するために、該方法は、薬物または抗体(例、細胞増殖阻害剤、抗代謝剤、または抗-T細胞または抗-CD8または抗-CD4抗体)の投与、及び/または供与体細胞のグラフト化及び生存、及び混合キメラ現象の形成を促進するその他処理(例、ストローマ細胞または成長因子、サイトカインなどを前記受容体に投与、または受容体の天然抗体を枯渇または不活性化させる他の製剤の投与)をさらに含むことができる。特定実施例で、受容体内で供与体の生存を促進し、かつ/または造血スペースを生成するために、投与される照射、抗体、薬物及び/またはその他製剤は、受容体で胸腺細胞及び/またはT細胞を不活性化するのに十分である。かような造血スペースを生成し、かつ/または供与体細胞の拒否反応を一時的に阻害する段階は、例えば、供与体血管芽細胞を前記受容体に導入させる前に遂行できる。代案として、患者に製剤を摂取させたり、または供与体耐性化細胞の投与と同時に、T-細胞を遮断、除去または不活性化する方法を施行することもできる。
【誤訳訂正81】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0260
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0260】
特定実施例で、造血スペース生成と免疫抑制法とを組合わせて使用する。例えば、受容体に抗-T細胞抗体摂取を低容量全身照射及び/または胸腺照射と共に遂行する。一実施例で、受容体に抗-CD4及び抗-CD8抗体を摂取させ、その後温和な、非骨髄破壊性(nonmyeloablative)容量の全身照射(例、骨髄が回復不可能にならないように受容体の骨髄分画を除去する容量)と選択的な胸腺照射とを遂行するか、代案的に追加的な容量のT細胞不活性化抗体または共同刺激遮断試薬(例、CTLA4-Ig及び/または抗-CD40L抗体)を摂取させる。照射後、供与体血管芽細胞またはそれから由来した造血母細胞を受容体に(例、静脈注射によって)投与できる。この実施例で、供与体細胞のグラフト化を促進するための全身照射は、さまざまな供与体ヒト血管芽細胞またはそれから由来した造血母細胞を投与することに代替されうる。かようなさまざまな供与体ヒト細胞を得ることは、前述の方法によって行われうる。
【誤訳訂正82】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0261
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0261】
他の実施例で、受容体T細胞を枯渇または不活性化するための処理は、投与された供与体耐性化ヒト血管芽細胞の生存を促進してグラフト化阻害を予防するのに助けになりうる。他の実施例でこの方法は、受容体患者で供与体反応細胞のクローン枯渇を含むことができる。例えば、患者に温和な投与量の全身照射を遂行した後、T細胞共同刺激遮断及び供与体ヒト血管芽細胞の投与を遂行しうる。代案として、患者に照射なしにT細胞共同刺激遮断及びさまざまな供与体ヒト血管芽細胞への投与を遂行することもできる。
【誤訳訂正83】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0262
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0262】
他の実施例で、受容体の骨髄破壊調節なしに耐性を得ることも可能である。一実施例で、受容体に供与体ヒト血管芽細胞を供与体血管芽細胞のグラフト化を容易にするために、抗-CD40Lと共に摂取させることができる。例えば、受容体にさまざまな供与体血管芽細胞を抗-CD40L単一クローン抗体と共に摂取させた後、何日か以内にCTLA4-Ig投与量を摂取させる。かようなプロトコルは供与体反応性T細胞を除去し、CD40-CD40L相互作用を遮断させる。ヒト血管芽細胞を試験管内生成及び増大させるための前述の新規方法は、かような温和な耐性プロトコルを実行可能にする。
【誤訳訂正84】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0263
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0263】
受容体調節及び/または供与体反応性T細胞の枯渇または遮断後、本発明の方法で生成した供与体耐性化ヒト血管芽細胞を受容体に投与する。供与体ヒト血管芽細胞は、供与体からの組織または細胞源から収得した血管芽細胞に由来しうる。代案として、供与体ヒト血管芽細胞は、供与体と一致する異なる非供与体源から収得できる。
【誤訳訂正85】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0264
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0264】
特定実施例で、供与体ヒト血管芽細胞を多重投与で(例えば、2、3、4またはその以上の供与体細胞の投与)投与することによって、耐性が誘導される。従って耐性は、供与体耐性化細胞の多重投与を含む方法へ誘導でき、ここで多重投与は、週またはそれ未満の期間内に受容体に行われる。
【誤訳訂正86】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0265
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0265】
特定実施例で、本発明ヒト血管芽細胞が免疫耐性を誘導する能力は、異なる実験モデルシステムを使用して評価できる。例えば、SCIDマウスにヒト免疫システムを樹立する能力は、実験モデル内でヒト免疫反応を研究するのに使われてきた。ヒト胎児肝及び胸腺組織を使用し、免疫不全マウス受容体で機能的なヒト免疫システムを再構成できるということはすでに明らかにされている。同様に、本発明ヒト血管芽細胞の機能的力量を類似の実験モデルシステムを使用して評価できる。例えば、マウス内の機能的なヒト免疫システムを設立するのに、ヒト胎児肝を代替するヒト血管芽細胞の能力は、前述の実験モデルを使用して評価できる。また、機能的なヒト免疫システムを有するマウスで(例えば、ヒト胎児肝及び胸腺組織をSCIDマウス内のヒト免疫システムを設立するのに使用してhu-SCIDマウスを生産した場合)、混合キメラ現象を得るために、ヒト「供与体」血管芽細胞(hu-SCIDマウスを設立するのに使われた胎児肝及び胸腺組織に対して不一致)を前述の方法のうちいずれか一つによってhu-SCIDマウスに投与できる。その後、供与体血管芽細胞に対して一致する同種移植片(allograft)をこれらの動物に移植する場合、供与体抗原に対する耐性を評価できる。
【誤訳訂正87】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0266
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0266】
特定実施例で本発明は、細胞配合物に係るものである。効果的な細胞配合物は、次の2成分を含む:免疫耐性を誘導する第1細胞類型及び必要な機能を再生する第2細胞類型。二種の細胞類型は、本発明の方法で製造でき、同じ供与体から収得できる。例えば、供与体由来ヒト血管芽細胞が耐性化供与体細胞として使われうる。供与体由来細胞(例、胚芽幹細胞、多能性(pluripotent)幹細胞または初期先祖細胞、または血管芽細胞)も使われ、例えば、造血細胞または内皮細胞(ここに叙述される)、神経細胞、例えば、希突起膠細胞、肝細胞、心筋芽細胞または心筋芽細胞先祖細胞、または造骨細胞及びこれらの先祖細胞を生成できる。従って、前記供与体血管芽細胞または前記供与体胚芽または多能性幹細胞から由来した細胞または組織に受容体が耐性を有するように、供与体ヒト血管芽細胞を受容体で耐性を誘導するのに使用できる。
【誤訳訂正88】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0267
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0267】
他の実施例で、本発明の細胞配合物の二細胞成分を異なる供給源または供与体から得ることができ、このとき2個の供給源または供与体は一致する。例えば、血管芽細胞を胚芽幹細胞供給源から生成でき、グラフト細胞または組織は、ヒト血管芽細胞を生成するのに使われた胚芽幹細胞供給源と異なる供給源から収得できる。かような実施例で、2つの供給源は一致する。
【誤訳訂正89】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0268
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0268】
本明細書に叙述された治療目的のうちいずれかのために、免疫耐性のためのヒト血管芽細胞またはそれから由来した造血細胞が、ヒト投与のための十分な滅菌条件下で製造された等張添加剤を含む薬学組成物の形態で提供できる。
遺伝子治療法での血管芽細胞
本発明の他の様態は、血管芽細胞細胞、またはそれから分化された造血または内皮細胞、または順にこれらの細胞から追加分化された細胞を遺伝子治療法に利用することに係るものである。本発明の哺乳類血管芽細胞の製剤は、治療遺伝子の遺伝子産物によって治療されうる疾病を有する患者に治療遺伝子を伝達するのに使われうる。血管芽細胞は、新生血管形成(例、虚血性組織で側副(collaterals)の形成を誘導するVEGF)、造血作用(例、赤血球生成を誘導するエリスロポイエチン)、血管機能(例、動脈瘤を治療するために血管平滑筋の増殖を誘導する成長因子)または血液細胞機能(例、出血を減少させる凝固因子)または分泌ホルモン(例、成長ホルモン)に係るコードに関与したり、または影響を与える治療遺伝子を伝達するのに特に有用である。遺伝子治療法に係る方法は、先行技術に示されている。例えば、米国特許第5,399,346号(Anderson et al.)を参考にしうる。遺伝物質を伝達するための生体適合性カプセルについては、PCT公開WO95/05452(Baetge et al.)に記述されている。骨髄由来細胞に遺伝子を伝達する方法についてもすでに報告されている(米国特許第6,410,015号(Gordon et al.)参考)。治療遺伝子は、疾病予防または治療に関与する遺伝子産物または蛋白質を暗号化する遺伝子、または疾病予防または治療に関与する細胞調節効果を有する遺伝子と共に、臨床的有用性を有する任意の遺伝子でありうる。かような遺伝子産物は、患者で欠陥があったり消失された遺伝子産物、蛋白質を代替したり細胞調節の効果を有し、患者の疾病または疾患の予防または治療を可能にできる。
【誤訳訂正90】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0269
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0269】
従って本発明は、遺伝子治療法を受けなければならない疾病を有する患者に治療遺伝子を伝達する方法をさらに提供し、該方法は、これを必要とする患者を選別する段階、細胞が治療遺伝子を保有するように血管芽細胞製剤を変形させる段階、及び患者に変形された製剤を投与する段階を含む。かような製剤は、本技術分野に一般的に公知の技法によって変形されうる。変形には血管芽細胞の治療効果を増強させる遺伝子産物を暗号化するDNAまたはRNA断片を哺乳類血管芽細胞に挿入することが含まれうる。変形された血管芽細胞が患者身体で治療遺伝子産物を生産したり、または所定の治療効果を有するようにする方式で遺伝子を挿入する。一実施例で血管芽細胞は、骨髄と共に患者から収得した細胞供給源から製造される。任意の遺伝子伝達手続き、例えば、ネイキドDNA統合、DNAの直接注入、受容体媒介されたDNA摂取、レトロウイルス媒介された形質感染、ウイルス媒介された形質感染、非ウイルス形質感染、脂質媒介された形質感染、電子伝達、電気泳動、リン酸カルシウム媒介された形質感染、マイクロ注入またはプロテオリポゾーム(これら全ての方法には、遺伝子治療法ベクターを含むことができること)を使用し、遺伝子を血管芽細胞に挿入できる。その他ベクターとしては、レトロウイルスベクター以外にも、DNAウイルス及びその他RNAウイルスから由来したベクターを使用できる。RNAウイルスを使用する場合に明白なように、かようなウイルスは、かようなRNAウイルスに形質感染された血管芽細胞が治療遺伝子産物を暗号化するDNAを提供するように、所定の薬剤を暗号化するRNAを含む。遺伝子を細胞に導入する方法は、本技術分野に公知である(例えば、Ausubel,id.参考)。
【誤訳訂正91】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0270
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0270】
本発明の他の様態によれば、治療遺伝子を保有するように変形されたヒト血管芽細胞の精製された製剤が、容器または商業的パッケージで提供され、かような容器または商業的パッケージは、治療遺伝子伝達によって疾病を予防及び/または治療するための遺伝子治療法で、製剤の使用のための説明書をさらに含む。従って本発明は、本発明の哺乳類血管芽細胞の製剤(かような製剤は、製剤の細胞が治療遺伝子を保有するように変形される)、及び遺伝子治療法で治療可能な疾病を有する患者を治療するための説明書を含む商業的パッケージ(すなわち、キット)をさらに提供する。
その他商業的応用及び方法
本発明の特定様態は、ヒト血管芽細胞を商業的量に増大させるものである。特定実施例で、ヒト血管芽細胞を大規模に生産し、必要な場合に保存し、病院、臨床医またはその他ヘルスケア機関に供給する。患者が、例えば、虚血または血管損傷のような処方を受けた場合、または造血再構成が要求される場合、ヒト血管芽細胞を注文して相応の時に供給できる。従って本発明は、商業的規模で細胞を得るために、ヒト血管芽細胞を生成及び増大させる方法と、前記方法から由来したヒト血管芽細胞を含む細胞製剤、及びヒト血管芽細胞を病院及び臨床に提供(すなわち、生産、必要な場合に保存、及び販売)する方法とに係るものである。さらに、血管芽細胞系統細胞を試験管内で生産し、必要な場合に保存し、病院及び臨床医に販売できる。
【誤訳訂正92】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0271
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0271】
従って本発明の特定様態は、本明細書に記述された方法によって増大した血管芽細胞を生産、保存及び分配する方法に係るものである。ヒト血管芽細胞を試験管内で生産及び増大させた後、患者治療に先立ってヒト血管芽細胞を回収、精製、及び必要な場合に保存しうる。代案として、血管芽細胞系統細胞が望まれた場合、患者治療に先立って、ヒト血管芽細胞を試験管内でさらに分化させることもできる。従って、特定実施例では本発明は、血管芽細胞を病院、ヘルスケアセンター、及び臨床医に供給する方法を提供し、本明細書に公開された方法によって生産された血管芽細胞または血管芽細胞系統細胞は保存され、病院、ヘルスケアセンターまたは臨床医の要求によって注文され、血管芽細胞または血管芽細胞系統治療法が要求される患者に投与される。代案的な実施例で、病院、ヘルスケアセンター、または臨床医は、患者の特定データに基づいてヒト血管芽細胞を注文し、ヒト血管芽細胞を患者の状態によって生産し、注文した病院または臨床医に供給される。
【誤訳訂正93】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0272
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0272】
本発明の追加的な様態は、潜在的な患者受容体に一致する細胞を提供できる血管芽細胞及び/または血管芽細胞系統細胞のライブラリに係るものである。従って、一実施例で本発明は、1個以上の組織接合性抗原に対して同質の(homozygous)血管芽細胞製剤を提供する段階を含む薬学ビジネスを遂行する方法を提供し、このとき細胞は、本明細書に公開された方法によって増大しうるヒト血管芽細胞ライブラリを含むかような細胞銀行から選択され、それぞれの血管芽細胞製剤は、ヒト群集に存在する1個以上のMHC対立遺伝子に対して半同質(hemizygous)であるか同質であり、前記血管芽細胞銀行は、細胞銀行の他のメンバーと比較するとき、MHC対立遺伝子の異なるセットに対してそれぞれ半同質であるか同質である。前述のように、遺伝子標的化または異質性(heterozygosity)の消失は、血管芽細胞を誘導するのに使われる半同質または同質のMHC対立遺伝子幹細胞を生成するのに使われうる。一実施例で、患者に適するように特定血管芽細胞製剤を選択した後、患者治療に適切な量に増大させられる。かような方法は、受容体に細胞を投与するに先立って、血管芽細胞を分化させて造血及び/または内皮細胞を収得する段階をさらに含むことができる。薬学ビジネスを遂行する方法はまた、販売用製剤を分配する分配システムを遂行することを含むことができ、薬学製剤のマーケッティングのための販売グループを設立することを含むこともできる。
【誤訳訂正94】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0273
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0273】
本発明の他の様態は、薬学的、化学的、またはバイオ技術会社、病院、または学術または研究機関の設備内の調査機器として、本発明のヒト血液母細胞を利用することに係るものである。例えば、ヒト血液母細胞及び血液母細胞誘導細胞(例えば、内皮細胞)は、新生血管及び抗-新生血管因子をスクリーン及び評価するのに使われ、または組織エンジニアリンに使われうる。また、ここに公知の方法によって得られて拡張された血管芽細胞は、造血及び内皮細胞に分化されうる二重の可能性有するために、これらは、造血及び血管形成の細胞及び分子生物学用として使われうる。さらにヒト血管芽細胞は、これらの細胞、遺伝子、成長因子、及び造血と血管生成とに役割を担当する分化因子の新しいマーカの発見、または潜在的な毒性または保護剤のためのスクリーニング・アッセイの発展及び薬物発見のために使われうる。
【誤訳訂正95】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0274
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0274】
本発明の他の実施例で、(血液細胞のような)血管芽細胞系統細胞はまた、商業的に使われうる。造血細胞は、臨床及びリサーチ適用のために使われうる、ヘモグロビン及び成長因子のような血液生成物を生成するのに使われうる。
【誤訳訂正96】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0275
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0275】
本発明はまた、患者から得たヒトES細胞収得方法及びES細胞から由来したヒト血管芽細胞膨脹方法を含む。この血管芽細胞は保存されうる。またこの血管芽細胞は、ESを得た患者、またはこの患者の親戚を治療するのに使われうる。
【誤訳訂正97】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0276
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0276】
前述の方法及び適用は、血管芽細胞の治療、薬学的製剤及び保存に係り、本発明はまた、かような適用に適した血管芽細胞溶液に係るものである。従って本発明は、患者に注射用に適した血管芽細胞の溶液に係るものである。かような溶液は、生理学的に許容される液体(例えば、生理食塩水、緩衝食塩水または均衡食塩水溶液)内で製剤化された細胞を含みうる。溶液は、選択的に生体内細胞分化を促進する因子を含みうる。溶液は、骨髄移植用に使われる方法を許容する技術によって、患者に血管投与(例えば、静脈内注入)することによって投与できる。一部実施例で細胞溶液は、末梢血管、表面末梢血管、または代案として中心静脈投与(例えば、中心静脈カテーテルを介する)内に投与される。溶液内細胞の数はおよそ102以上であって、およそ109細胞未満でありうる。他の実施例で溶液内細胞の数は、およそ101、102、5X102、103、5X103、104、105、106,107、または108ないしおよそ5X102、103、5X103、104、105、106,107、108、または1010の範囲であって、下限線が常に上限性未満であることを除き、上限線及び下限線は、非独立的に選択される。さらに細胞は、単一または複合投与で投与されうる。
【誤訳訂正98】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0278
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0278】
実施例1:造血及び内皮可能性をいずれも示すヒトES細胞から由来した血管芽細胞
ヒト胚芽幹細胞系H1とH9とをマウス胚芽線維芽細胞(MEFs)のES細胞培地で培養する。培養されたヒトES細胞を200gで遠心分離して分離、ペレット化し、胚状体(EB)形成培地で再懸濁する。EB形成培地は、BMP-4及びVEGFが補充された無血清Stemline培地(Sigma(登録商標))を含む。この後、細胞を超低付着(ultra-low attachment)培養プレート上にプレーティングし、CO2インキュベータで培養する。24-48時間後、初期造血サイトカイン(TPO、Flt-3KYE、及びSCF)を加え、EBを形成するためにさらに24-48時間培養する。
【誤訳訂正99】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0279
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0279】
胚状体(EB)は2-6日間または選択的に2-5日間培養され、この後PBSで収集、洗浄し、トリプシン/EDTAを使用した単一細胞懸濁液で脱凝集する。EBの数を測定し、ほぼ5-10X106細胞/mLを、BL-CFU培地(Stem Cell TechnologyTM)を含み、サイトカイン及びPTD-HOXB4融合蛋白質で補充された血管芽細胞成長に最適化された無血清メチルセルロース培地で培養する。この後細胞は、血管芽細胞コロニーを成長させるために、新たな超低付着培養プレート上に再プレーティングする。
【誤訳訂正100】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0280
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0280】
EBは、血管芽細胞コロニーの形成のために、毎日モニタリングする。ほぼ3日目に、血管芽細胞コロニーの形成が観察される。血管芽細胞は、非常に特徴的なブドウ型細胞形態によって特定される。
【誤訳訂正101】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0281
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0281】
細胞の一部からさらにEBを形成できるであろう(第2 EBs)。第2 EBsは、図16bから分かるように、ブドウ型形態を有さない。血管芽細胞はまた、第2 EBsより小さい。
【誤訳訂正102】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0282
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0282】
その後、これら血管芽細胞コロニーは選択、識別されて及び造血コロニー形成ユニット(CFUs)を形成し、さらに分化する能力を検査するために、メチルセルロースCFU-培地内に再プレーティングされる。同様に、これら血管芽細胞コロニーは選択され、識別され、内皮分化への最初の段階のために最適化されたフィブロネクチン-コーティング培養プレート上に再プレーティングされる。
【誤訳訂正103】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0283
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0283】
該選択された血管芽細胞コロニーから造血前駆細胞の発生を検査するために、顆粒球、赤血球、大食細胞及び巨大核細胞のためのコロニー形成ユニット(CFU)の成長は、成長した後の3-10日間に測定される。
【誤訳訂正104】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0284
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0284】
該分離された血管芽細胞コロニーから内皮細胞の発生を検査するために、Matrigelの厚い層内に再プレーティングされるとき、分枝された管-腱(tube-cord)を形成する血管芽細胞の能力を測定する。
【誤訳訂正105】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0285
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0285】
内皮細胞に分化する分離された血管芽細胞コロニーの能力はまた、内皮細胞表面マーカの存在またはLDL uptakeのような他の内皮特異アッセイを利用して確認しうる。
実施例2:血管芽細胞またはhESC由来BC細胞の副次的な特徴ヒトES細胞培養
【誤訳訂正106】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0286
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0286】
本研究に使われるhES細胞系は、以前に記述された(WAOl、WA07、及びWA09としてNIH登録されている)H1、H7、及びH9細胞系及びAdvanced Cell Technologyから由来した4個の系(MAOl、MA03、MA40、及びMA09)である。未分化のヒトES細胞は、80%合流されるまで、完全なhES培地Eで非活性(ミトマイシンC-処理の)マウス胚芽線維芽細胞(MEF)細胞で培養される(Klimanskaya & McMahon,Approaches of derivation and maintenance of human ES cells:Detailed procedures and alternatives,in Handbook of Stem Cells.Volume 1:Embryonic Stem Cells,ed.Lanza,R.et al.(Elsevier/Academic Press,San Diego,2004)。その後、未分化のhES細胞を2-5分間0.05%トリプシン-0.53m MEDTA(InvitrogenTM)で分離し、5分間1,000rpmで遠心分離して収集する。
EB形成
血管芽細胞前駆体(中胚葉)形成を誘導するために、hES細胞(2ないし5X105細胞/ml)をBMP-4及びVEGF165(50ng/ml、R&D SystemsTM)の添加された無血清Stemline培地(例えば、Stemline IまたはII、SigmaTM)内の超低付着プレート(CorningTM)上にプレーティングし、5%CO2で培養する。48時間後、EB培地は、初期造血/内皮成長因子の混合物(cockatil)で補充及び充填する。例えば、培地の半分を48時間後に除去し、新たな培地にBMP-4及びVEGFさらにSCF、TPO及びFLT3配位子(20ng/ml、R&D Systems)を同じ最終濃度で加えた。トリプル蛋白質形質の導入、ドメイン(tPTD)-HoxB4融合蛋白質(1.5μg/ml)を血管芽細胞及びその前駆体を増殖させるために48-72時間培養培地に加えた。
血管芽細胞または芽細胞(blast)増殖
3.5-5日後、EBsを2-5分間0.05%トリプシン-0.53mM EDTA(InvitrogenTM)で分離、収集し、単一細胞懸濁液を22Gニードルを介して3-5回及び40μM ストレイナを通過させて製造する。細胞は、5分間1,000rpmで遠心分離して収集されてカウントされる。細胞ペレットは、無血清Stemline培地の50-200mlで再懸濁される。血管芽細胞を増殖するために、2ないし5X105 hES細胞の分化から由来したEBsから得た単一細胞懸濁液は、IscoveのMDM、1-2%牛血清アルブミン、0.1mM 2-メルカプトエタノール及び成長因子の混合物内の1.0%メチルセルロースLを含む2mlのBL-CFC/血管芽細胞増殖培地(BGM)で混合される。例えば、10μg/ml rh-インシュリン、200 μg/ml鉄飽和ヒトトランスフェリン、20ng/ml rh-GM-CSF、20ng/ml rh-IL-3、20ng/ml rh-IL-6、20ng/ml rh-G-CSF、3ないし6ユニット/ml rh-EPO、50ng/ml rh-SCF、50ng/ml rh-FLt3配位子、50ng/ml rh-VEGF及び50ng/ml rh-BMP-4)(「rh」は「ヒト組換え」を示す)、及びTPO及びFLの1.5μg/ml包含/非包含PTD-HoxB4融合蛋白質の1.5μg/mlを加えた。細胞混合物は、超低付着プレート(例えば、6-ウェルプレートの1ウェル内2-5X105細胞/2ml)にプレーティングし、4-7日間37℃、5%CO2で培養した。4-6日後、ブドウ型血管芽細胞芽細胞コロニー(BL-CFCsまたはBCsと示す)は、図16aから分かるように、顕微鏡によって観察された。
【誤訳訂正107】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0288
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0288】
時間過程(2日ないし6日)は、EB内のヒトBL-CFC形成を検査し、狭い時間周期は、ヒトESC由来EBsが多数のBL-CFCs(またはhES-BCs)を生成する間に発見された。2日目にEBsは、低頻度でhES-BCsを生成し(WAO1 hES cellsの場合、57.3±7.4 BCs/1x105 EB cells、平均±SE、n=3;MAO1 hES cellsの場合、395±10.4 BCs/lx105 EB cells、n=3)、そして6日目に造血(赤血球)前駆体が発生した。しかし、3.5日目にEBsは、両胞胚(WAO1及びWA09)及び単一分割細胞(MAO1及びMA09)から由来したhESC系を含む、あらゆる検査hESC系内で多数の血管芽細胞またはhES-BCs(WAO1 hES細胞の場合、347.4±11.1 BCs/lX105 EB細胞、n=3;MAO1 hES細胞の場合,523.3±60.1 BCs/lx105 EB細胞、n=3)を生成した。効率(efficiency)は、hESC系と成長条件とによって変わるにもかかわらず(表1参照)、WAO1-GFP及びMAO1 hES細胞(12-13X106細胞)の1つの6-ウェルプレートは、それぞれ22.18±3.51X105(6-8日間増殖、平均±SE、n=17)、そして49.73±7.23X106(6-8日間増殖、n=9)そして396.4±91.63x106(10-13日間増殖、n=6)の血管芽細胞またはhES-BC細胞を生成した。従って細胞は、前述の良好に定義されて再生可能な条件下で容易に増殖できる。
【誤訳訂正108】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0290
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0290】
血管芽細胞の冷凍保存
血管芽細胞(または芽細胞またはhES-BC細胞)は、無血清培地で冷凍保存されうる。血管芽細胞の冷凍保存のために、精製された細胞を同じ二部分に分けた:この細胞の半分を2つの造血CFUアッセイ及び内皮細胞発達のために直接プレーティングし、他の半分は、Stemline培地の8%DMSOに再懸濁して液体窒素内保存した。その後細胞は、造血及び内皮発達可能性のために解凍して検査した。解凍してから、血管芽細胞をここに記述されているように造血及び内皮系発達のためにプレーティングし、新鮮な、精製された細胞と比較した。内皮細胞系統の場合、冷凍過程後に細胞の78±2%(平均+SE、n=3)が回収された一方、総造血CFUsの61±7%(n=3)とCFU-赤血球の46±4%(n=3)とが新鮮なhES-BC細胞と比較するときに残った。CFU-混合のためのさらに原始的な多潜在性前駆体の損失は、液体窒素保存でhES-BC細胞回収後にはないと観察された。
血管芽細胞の特徴
BL-CFC免疫細胞の化学分析において、精製されたBL-CFCsは、ポリリジン処理したグラススライド上にサイトスピンし、4%パラホルムアルデヒドで固定した。最大遺伝子の発現を検査するために、第1抗体を4℃で一晩培養し、次に蛍光染料で第2抗体を標識し、最後に蛍光顕微鏡で検査した。正常ヒトBM細胞、K562細胞及びHUVECを対照群として使用した。
【誤訳訂正109】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0291
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0291】
免疫細胞化学分析は、hES細胞由来BL-CFCsまたはBCsがCD31、CD34及びKDRがない蛋白質、または他の付着分子と関連したさまざまな血管芽細胞を発現することを明らかにした。hES-BCsは、GATA-1(図16d及び16e)及びGATA-2蛋白質を示す。GATA-1は、2つの原始(胚芽)及び最終(成体)造血いずれにも必須な亜鉛フィンガ転写因子であり、マウスの血管芽細胞内で発現される(Ferreira et al.2005 MoI Cell Biol 25:1215-1227 and Yokomizo et al.2007 EMBO J 26:184-196)。GATA-2は、血管芽細胞発達及び分化内多様な段階で作用する亜鉛フィンガ転写因子である(Lugus et al.2007 Development 134:393-405))。hES細胞由来BL-CFCsまたはBCsはまた、LMO2(血管芽細胞発達に重要なLIM-ドメイン蛋白質(Gering et al.2003 Development 130:6187-6199)(図16g及び16h)とCXCR-4(図16n及び16o)とを示す。CXCR-4はケモカインSDF-I用受容体であって、hESCs、造血母細胞及びマウス血管芽細胞から由来した内皮細胞の表面で発現される。CXCR-4は、骨髄内造血前駆体の移動、貯留及び発達に重要な役割を果たす。細胞はさらにTPO及びEPO受容体(図16t及び16u、及び16q及び16r、及び表1)を示し、CD71、トランスフェリン受容体用特異抗体に容易に反応する(図16j及び16k)(表2及び図16d-v参考)。細胞は、他の付着分子またはCD31、CD34及びKDRをほとんどまたは発現させない(表2)。CD34、CD31、及びKDR発現の不在、及びCD 133発現の不在は、表面マーカ発現の独特なプロファイルである。
【誤訳訂正110】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0292
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0292】
遺伝子プロファイル分析において、総RNAは、精製されたBL-CFCs/hES-BC細胞、3.5日になったEBs及び未分化のES細胞からRNAeasy kit(Qiagen)を使用して分離される。切断されたアンチセンスcRNAは、マサチューセッツ(Worcester、MA)大学のコアゲノムファシリティでヒトU133.2アレイ(Affymetrix(登録商標),Inc)への混成化のために使われた。β-クラスタグロービン遺伝子の発現プロファイルのために、個別CFUコロニーが選択され、RNAは分離及び増幅され、β-,γ-及びε-グロービン遺伝子発現は、前述の(Lu et al.2004 Blood(103):4134-4141)で分析された。
【誤訳訂正111】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0293
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0293】
AffymetrixTMアレイによる分子プロファイルは、血管芽細胞と関連した遺伝子内の相当な増加及び初期段階EBsと比較し、初期原始赤血球母細胞の発達を示す(表2)。SCL及びLMO2、血管芽細胞発生に重要な2つの遺伝子(D’Souza et al.2005 Blood(105):3862-3870;Park et al.2004 Development(131):2749-2762;Gering et al.2003 Development(130):6187-6199))だけではなく、FLT-I(VEGF用受容体)は、BL-CFCs/母細胞コロニー内で容易に検出された。胚芽(ε-グロービン、549倍)及びfatal(γ-グロービン、817倍)グロービン遺伝子発現は、BL-CFCs/hES-BCs内で劇的に増加し、NF-E2(12倍)、GATA-1(6倍)、EKLF(7倍)、ICAM-4(4倍)、グリコフォリン(14倍)及びEpo受容体(4倍)メッセージ(message)数値もまた適度に増加した。
【誤訳訂正112】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0294
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0294】
【表2-1】
【誤訳訂正113】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0296
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0296】
血管芽細胞の機能的特性化
ブドウ状の血管芽細胞コロニーをピッキングし、解剖顕微鏡下で手動に単離して無血清Stemline(Stemline I)培地に再懸濁した。その後、この細胞を後述する方法で系統潜在性(lineage potential)についてテストした。
hES-母細胞のクローン形成能(Clonality)
hES-母細胞コロニーが複製的であって一般的な二分化能(bipotential)前駆細胞から由来しているか否かを決定するために、マウス研究(Choi et al.1998 Development(125):725-732;Kennedy et al.1997 Nature(386):488-493)にすでに記載されたような細胞混合実験を遂行した。WAO1 -GFPのEBからの細胞及びMAO1 hES細胞を混合してBGMにプレーティングした。hES-母細胞コロニーを4-6時間後に位相及び蛍光顕微鏡で調べた。一連の3ro、母細胞コロニーの100%(77個のうち77個)がGFP陽性またはGFP陰性ということが明らかにされている(混合BCは観察されていない、図18a及び18b) GFP陰性コロニーが非活性GFP遺伝子を有した細胞を含有する可能性を排除するために、GFP陽性及びGFP陰性コロニーをGFP配列の存在について調べた。混合実験から12個の個別GFP陽性及び12個の個別GFP陰性コロニーを位相及び蛍光顕微鏡下でハンドピッキングした。遺伝子のDNAをMicroDNA kit(QiagenTM)で単離させ、GFP特異wjrR反応を遂行した。PCR反応に対する内部対照群として、ミオゲニンプライマーをあらゆるPCR反応に含めたが、これは、245bpの断片を生成させる。PCR生成物を2%アガロースゲルで分離させ、臭化エチジウム染色によって視覚化させた。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)分析は、あらゆる陰性コロニーでGFP遺伝子配列の不在を確認させた(図18、PCR分析)。
【誤訳訂正114】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0301
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0301】
第二の方法で、一次及び二次母細胞コロニーからの個別BCをピッキングして2つの群に分け、1つの群は造血CFUについてテストし、他の1つの群は内皮前駆細胞形成についてテストした。一次BCに対して、90%以上(24のうち22)が造血及び内皮系統を発生させ、100%及び92%がそれぞれ造血及び内皮細胞を発生させた(表3)。同様に、限界希釈実験からの7個の個別BCも造血及び内皮系統に分化するこれらの潜在性について調べた。5個のBCは、造血及び内皮子孫細胞いずれもを生成し(表3)、通常の実験からのBCと比較して低い効率を示したが(71%vs.92%)、これは、発生条件が最適ではないためでありうる。29個の二次BCに対して、半分以上(29のうち15)が造血及び内皮系統を発生させた一方、6(21%)及び3(10%)は、それぞれ造血または内皮細胞満を生成させた(表3)。たとえ一次BCが造血及び内皮細胞の前駆体を含んで異種集団を含むとしても、二次限界希釈実験は、一次BCで血管芽細胞の存在を明白に示す。
【誤訳訂正115】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0305
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0305】
図1から分かるように、血管芽細胞の造血潜在性の例示として造血CFUは、H1-GFP ES細胞から生成された血管芽細胞から観察された。
【誤訳訂正116】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0307
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0307】
血管芽細胞の造血潜在能の他の例示として、単一細胞懸濁液を10-14日間前述の多様なサイトカインを含有する無血清メチルセルロース培地にプレーティングしたとき、赤血球コロニー(図17a)、顆粒白血球(図17b)、大食細胞(図17c)及び多系統(図17d)造血細胞がさらに観察された。CD235a(赤血球)、CD13(骨髄)及びCD45(白血球)に対する抗体を利用したPACS分析(図17v-y)、Wright-Giemsa染色(図17e-g)及び免疫染色(図17i-k)で、これらの造血系統の同一性を確認した。ほとんどのCFU(>50%)は、赤血球コアを有した系統であり、プレーティング後の数日内に形成された(例えば、図1参照)。
【誤訳訂正117】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0310
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0310】
図17v-yに与えられたFACS分析のために、LSRIIの流れ細胞測定器(BD BiosciencesTM)で標準手続を利用して3色細胞測定分析を行った。細胞を多様な類型の造血CFUを有するウェルから収集し、IMDM培地5体積でメチルセルロースを希釈することによって、単離させた。単一細胞懸濁液を部分に分けてイソタイプ対照群または抗原特異的抗体で染色させた。使われた抗体組合わせは、フルオロセイン-イソチオシアネート(FITC)に接合されたCD235a、R-フィコエリトリン(R-PE)に接合されたCD45及びアロピコシアニン(APC)に接合されたCD13であった。また細胞の一定部分はまた、イソタイプ対照群としてAPC、PE、及びFITCに接合されたマウスIgGで染色させた(BDBioscienceTM)。サンプルをLSRII流れ細胞測定器で)操作し、FlowJoTMバージョン6.3.2ソフトウェアで分析した。
内皮前駆細胞分析
内皮前駆細胞分析のために、細胞の残りの伴分を3-7日間EGM-2またはEGM-2MV完全培地(CambrexTM)でフィブロネクチン被覆されたプレート(BD BioscienceTM)上にプレートした。単離された血管芽細胞コロニーの内皮細胞への分化能は、Matrigel上の管形成、LDL吸収及び内皮細胞表面マーカーの存在を検出する免疫組織化学を利用して確認された。
Matrigel上の官形成
Matrigel(BDBioscienceTM)を4-ウェル組織培養プレート(0.2ml)または96-ウェルプレート(0.05ml)のそれぞれのウェルに添加し、37℃で45-90分間固形化した。ゲル形成後、前記培養物から由来した0.5-1.5X105細胞を含有するEGM-2またはEGM-2MV培地に細胞懸濁液0.2-0.3ml(例えば、96-ウェルプレートに対して0.1ml)をMatrigelの上部に位置させ、37℃、5%CO2で培養させた。毛細管類似(管)構造の形成を16-24時間培養後にチェックした。図7は、H9(a)及びACT30(b)細胞から由来した血管芽細胞の管-コード(cord)形成の代表的な写真を表す;Matrigel基材培地上に再プレートした後、血管芽細胞は、毛細血管類似構造を形成し、またAc-LDLを吸収する付着細胞を発生させた。図8(a)は、またHl-GFP細胞から由来した内皮潜在性を有する血管芽細胞の管-コード構造の代表的な写真を示す。また、図17qは、血管芽細胞から由来した付着細胞の再プレート後Matrigel上に形成された毛細管類似構造を示す。このような細胞は、AC-LDLを吸収しうる(データは示さない)。
AC-LDL吸収
フィブロネクチン被覆されたウェルで3-7日間成長された血管芽細胞をAlexa Fluor647-標識AC-LDL(InvitrogenTM)10μg/mlと添加し、4-6時間培養した。次いで、細胞を1XPBSで3回洗浄し、30分間4%パラホルムアルデヒドで固定させた。AC-LDLの吸収は、蛍光顕微鏡下で視覚化された。
例えば、図8bは、Hl-GFP細胞から由来した血管芽細胞のAC-LDL吸収を表す。図17z及び17aaはAlexa Fluor594標識AC-LDLとの培養が内皮細胞の中断(punctuate)染色パターン特性を表すということを示す。
免疫細胞化学
フィブロネクチン被覆ウェル上で3-7日間成長した血管芽細胞を1XPBSで3回洗浄させ、4%パラホルムアルデヒドでO30分間固定させた。Von Willebrand因子(vWF)、PECAM-1(CD31)、VE-カドヘリン、KDR及びCD34の発現のために、細胞を透過させた後、1次抗-ヒトvWF(DakoTMまたはChemiconTM)、PECAM-1及びKDR(Cell Signaling TechnologiesTM)、VE-カドヘリン(R&D SystemsTM)、及びCD34(Dako)抗体と共に各々4℃で一晩中培養させた後、ロダミンまたはFITC(Jackson LaboratoryTM)で標識された相応する2次抗体で30-60分間培養させた。vWF蛋白質の発現は、ヤギ抗-マウスIgG-Alexa Fluor647 2次抗体(Jackson LaboratoryTM)と共に30-60分間培養することによって検出された。最終洗浄後、細胞を蛍光顕微鏡下でチェックした。図9は、Hl-GFP ES細胞から由来した血管芽細胞でのvWF発現を表す。図17sは、血管芽細胞由来の内皮細胞でのvWFの発現(矢)を表す。血管類似構造での付着細胞は、PECAM-1(CD31)、KDR及びVE-カドヘリンに対して陽性であった(図17t、17u、及び17z-17cc)。
【誤訳訂正118】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0317
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0317】
文献[Krosl et al.(2003 Nat Medicine 9:1428-1432)]には、TAT-HoxB4蛋白質はFBSを含有する環境で非常に不安定であり、生物学的機能を保持するためには、2時間ごとに改めなければならない説明した。本明細書で存在する結果は、tPTD-HoxB4が5%FBSを含有する培地で不安定であり、1時間未満の半減期を有することを確認させた(図19B)。70℃で30分間のFBS前処理は大部分の酵素活動を除去した。その安定性をさらに調べるために、tPTD-HoxB4蛋白質を無血清ステムライン培地に添加し、37℃でhESCで培養した。図19Cで示したように、hESCへの48時間培養後にも、tPTD-HoxB4蛋白質の実質的な断片が検出された。
実施例4:SCIDマウスに移植されたマトリゲルプラグが内皮細胞を発生させる
血管芽細胞由来内皮細胞またはHl-GFPヒトES細胞から由来の純粋な血管芽細胞(1×106細胞)を精製し、700μlのマトリゲル(BD BiosciencesTM)で再懸濁した。この細胞を4週齢SCIDマウス(Jackson LaboratoryTM)の脊椎領域に皮下注射した。注射後5週目、動物からマトリゲルプラグを除去し、このプラグから凍結標本を製造した。マトリゲルプラグの横断面を固定し、標準ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)染色だけでなく、抗-ヒト特異的核抗体(MAB1281、ChemiconTM)及びヒト特異的抗-vWF抗体後、蛍光染料標識化された該当2次抗体(MAB1281のためのヤギ抗-マウスIgG-テキサスレッド2次抗体)を利用する免疫組織化学法で染色した。図10は、H&E染色されたマトリゲルプラグの横断面内の血管を立証し、図11はマトリゲルプラグの横断面内の血管がヒト特異的核抗体に対して陽性であるヒト血管芽細胞由来の細胞であることを立証する。
実施例5:眼球の生体内の虚血/再潅流研究
2種の技術、ガラス体内注射及び養子移入(adoptive transfer)を利用して、生体内の復旧過程に対するhES由来血管芽細胞の寄与度を直接的に調べた。虚血/再潅流(I/R)損傷は、眼内圧の上昇を誘発した。I/Rが損傷されたモデルは、血管閉塞(vaso-obliteration)及び無細胞毛細管の生成を含む網膜内皮に対する損傷を起こす。網膜I/R損傷後7日目、マウスに6日目、血管芽細胞(“hES-BC”とも称される)から収集された蛍光標識化された血管芽細胞をretro-orbitalsinusを通じて全身注射したか(n=13)、またはガラス体内注射した(n=4)。
【誤訳訂正119】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0318
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0318】
注射後1日目、マウスを安楽死させ、網膜を除去し、ロダミン-接合されたリシヌスコミュニスアグルチニンIで標識化した。このようなアグルチニンは、内皮細胞により特異的に発現された糖蛋白質に結合するので、血管外部表面を蛍光標識化するのに利用される。共焦点顕微鏡は、血管芽細胞(hES-BC)由来内皮細胞に対する緑色蛍光標識を立証し、これは33.5±10%の損傷された眼球の網膜脈管構造を表した。対照群眼球(図20a及び20b、各々)では、緑色蛍光が観察されず、これは血管芽細胞(hES-BC)細胞が単に損傷された領域にのみ同化される無細胞領域に帰り、損傷された網膜内に非潅流性(non-perfused)無細胞毛細管の再内皮化を起こすという事実を立証する(図21a及び21b)。このような復旧過程は、同じ方式であらゆる動物(n=l7)で観察された。
【誤訳訂正120】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0319
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0319】
I/R損傷された動物の2番目群(n=6)を前述したように取扱った後、犠牲させる前に、血管の血管ルメン(vascular lumen)を視覚化し、決定的にこのような細胞により回復された血管を開き、したがって、機能性であるを立証するために3-5mlのTRITC-接合された(conjugated)デキストリンを使用して潅流固定した。赤色染色は開いた血管を表し、緑色染色は血管芽細胞(hES-BC)由来の内皮細胞を立証し、黄色染色は血管芽細胞(hES-BC)細胞が開いた脈管構造を発生させた位置を示した。図21dは、hES-BC細胞注射後2日目、黄色(赤色及び緑色、薄い灰色で現れる)蛍光を有する大血管を図示し、これは細胞が血管壁で統合され、血管が潅流されたことを表す。この動物で、特に顕著なのは緑色だけ観察された多数の微細血管であり、これは開いたルメンを発生させるのに充分に成熟されていない新たな横補償新生脈管構造(collateral compensatory neovasculature)を表すものと見られ、よって悲観類されたままで残っていた。図20cは、同じ動物の非損傷された対照群眼球を図示し、明白にBC細胞がいかなる方式でも非損傷された脈管構造と関連されなかったことを立証する。hES-BC細胞注射後7日目に犠牲されたマウスからの網膜扁平標本(mount)で、緑色管(非ルメン化、非潅流性血管)の数は、2日目犠牲されたマウスに比べて少なかった。TRITC-デキストリン(赤色)で潅流されたhES-BC細胞由来の血管(緑色)を表す黄色血管(薄い灰色または白色で現れる)がさらに多く存在した。これは完全に機能性の血管を表し、血管芽細胞(hES-BC)細胞が損傷された眼球の血管内に統合され、潅流された微細血管を有する面積をさらに広げたしたを立証した(図2Oe)。
【誤訳訂正121】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0320
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0320】
蛍光免疫組織化学法は、血管芽細胞(hES-BC)細胞由来の内皮細胞を同時位置させて(colocalize)、I/R損傷されたマウス眼球の横断面内の損傷された脈管構造を示し、損傷された眼球からの網膜内の神経節細胞層の血管の代表的な横断面を示す(図2Of)。血管の抗-CD31染色とヒト核抗原染色の同時位置は、脈管構造内の内皮細胞のうち、一部が血管芽細胞(hES-BC)細胞から由来したことを提示する。図20fは、内境界膜に隣接する神経節細胞層内の血管ルメンの高配率写真を示す。ルメンは、内皮細胞により囲まれており(図2Of、矢印、CD31)、血管芽細胞(hES-BC)細胞由来の成熟した内皮細胞により囲まれている(図2Of、矢印、ヒト核抗原)。
方法
生体内の虚血/再潅流研究のために、C57BL6/Jマウス(Jackson Laboratory)は研究の序盤に7ないし10週齢であった。虚血/再潅流損傷は、眼内圧(IOP)の上昇を誘発した。虚血の誘発間マウスを吸入麻酔(イソフルラン蒸気)下に置いた。眼球の前方(anterior chamber)を食塩水注入ラインに付着された30-ゲージ針でキャニュラーをさし、眼球前方に2時間の静水圧(80-90mmHg、TonoPenにより測定し、Medtronic Solan、Jacksonville、Fla)処理した。これは紅彩の白色症及び赤色反射の損失により確認されるような網膜虚血を引き起こす。120分後、針を除去し、IOPを正常化し、これは再潅流損傷を引き起こす。反対側眼球は対照群として作用した。
【誤訳訂正122】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0321
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0321】
網膜虚血再潅流損傷後7日目、マウスに6日目hES-BCsから収集された蛍光標識化された血管芽細胞をretro-orbital sinusを通じて全身注射したか(n=13)、またはガラス体内注射した(n=4)。血管芽細胞の蛍光バイタル標識化は製造社の説明書によって染料PKH-67(Sigma-AldrichTM)を使用して行った。全身注射の場合、各マウスは4×105標識化された血管芽細胞を100μl投与した一方、ガラス体内注射の場合、各マウスは5×104 血管芽細胞を2μl投与した。ガラス体内注射群の反対側対照群の眼球には、無菌性等張食塩水の当量体積を注射した。1日後、マウスを安楽死させ、眼球を除去し、4%パラホルムアルデヒドで1時間固定した。洗浄後、周辺切開術(circumferential limbicincision)で眼球を切開して角膜及び水晶体を除去した後、ガラス体液を除去した。次いで、非損傷された神経網膜を、下の脈絡膜から柔らかに取って除去した。非損傷された網膜を均質化(permeabilization)緩衝液に位置させた。網膜を単離し、10mM HEPES、150mM NaCl及び0.1% Tween20(pH7.5)のうち、1:1000ロダミン-接合されたR.コミュニスアグルチニンI(Vector Laboratories)内で4℃で一夜間培養した。24時間後、網膜を40℃で24時間10mM HEPES及び150mMNaClで洗浄した後、フロリダ大学(Gainesville)の光学顕微鏡施設でのMRC-1024共焦点レーザー顕微鏡(Confocal Laser Scanning Microscope)(BioRad)を使用するイメージ化のためにカバースリップ上に標本化した。代案として、Zeissレーザースキャニング共焦点顕微鏡を利用して網膜をイメージ化した。
【誤訳訂正123】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0323
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0323】
右側眼球がI/R損傷処理されたマウスの2番目群(n=6)は約2×105 PKH-67標識化されたhES-BCまたは血管芽細胞を左側retro-orbitalsinus注射で100μl投与された。マウスは、損傷後2日目及び7日目(各n=3)安楽死させ、左心室穴を通じて4%緩衝されたパラホルムアルデヒドで3-5ml TRITC-接合されたデキストリン(Sigma-Aldrich,St.Louis,MO,5mg/ml)で潅流した。次いで、眼球を除去し、切開し、前述したような共焦点顕微鏡によるデジタルイメージキャップチャーのために網膜を扁平に標本化した。反対側(非損傷)眼球は、対照群として作用した。このような潅流固定方法は、機能性血管のみを潅流できるために、開いた血管の視覚化を許容する。
実施例6:糖尿病モデルの生体内の復旧
生体内の復旧は、3ヵ月超過の第2類型糖尿病がある自発的に糖尿病性肥満であるBBZDR/Worラットで研究した。このラットは、無細胞毛細管及び内皮機能異常、外膜細胞損失及び血液網膜障害破壊を含む予備増殖性糖尿病網膜病症の多数の特徴を発生させる(文献[Shi et al.1998 Blood(92):362-367;Asahara et al.1997 Science(275):964-967;Kalka et al.2000 Circ.Res.(86):1198-1202;Murohara et al.2000 J.Clin.Invest.(105):1527-1536;Urbich et al.2004 Trends Cardiovasc.Med.(14):318-322]参照)。
【誤訳訂正124】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0326
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0326】
I/Rマウスモデルと同じように、ガラス体内投与されたhES-BC細胞(血管芽細胞)が広い脈管構造及び狭い脈管構造(図21a及び21b)いずれも有する領域内に広範囲に統合された。図20bはまた、ほぼいずれも緑色であり、非常に急激に狭くなる大血管(図21bの右側上の薄灰色血管)を示す。かような「ピンチオフ」血管は予備増殖性糖尿病網膜病症の特徴であり、このとき、微小血栓症(microthrombi)は、血管変性及び下流虚血を起こす。かようなピンチされた広い血管からの広範囲に分枝化され、連続される牛血管は、緑色BC細胞の高度の統合を示す(図21で薄灰色で図示する)。対照的に、緑色hES-BC細胞は、非糖尿病性対照群動物からの眼球内の残留血管と同時位置していない。非糖尿病性対照群動物からの眼球は、BC細胞が非損傷の脈管構造内に統合されるのではなく、hES-BC細胞のガラス体内投与後に、網膜の端にシートとして残っているということを確認させた(図21c、薄灰色領域)。
【誤訳訂正125】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0327
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0327】
免疫組織化学的分析によって、ガラス体と神経網膜とを分離する内部境界膜直後部の、糖尿病性ラット網膜の神経節細胞層内細胞ライニング血管ルーメン内のヒト核抗原及びCD31を利用する同時局所化染色(colocalized staining)を確認した(図21e及び21f)。この解剖学的位置は、外見上の網膜血管叢の位置であり、糖尿病で血管病理学の典型的な位置である。かような正確な局所化及び強力な統合によって、血管芽細胞が糖尿病性網膜症に関連した血管の修復に参与することを明白に確認した。ほとんどの切片は、周辺が内皮(CD31)及びヒト核抗原マーカいずれに対しても染色される細胞でライニングされた明確に可視的なルーメンを有した血管を示した一方(図21e及び21fの矢印)、BC細胞も注入した非糖尿病性対照群ラット眼球内血管芽細胞(hES-BC)の細胞統合の証拠は確認されなかった(図21d、矢印)。
実施例7:ミューリン後肢虚血モデルでの生体内修復
また、ミューリン後肢虚血モデルを介して血管内皮細胞を生成できるBC細胞の能力を調べた。実験は8週齢ないし12週齢(20~30g)NOD-SCID β2マウス(Jackson Laboratory)を利用して遂行した。右側後肢の虚血は大腿動脈連結術を利用して誘導し、血管芽細胞(hES-BC)(6x105 hES-BC細胞)または無細胞培地を、前記連結術手術直後に虚血性筋肉周辺部位に注入した。
【誤訳訂正126】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0328
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0328】
注入した血管芽細胞(hES-BC)の生理的な機能を立証するために、右側虚血性後肢血行を4週間モニタリングし、左側の正常後肢の血行と比較した。免疫蛍光技法を利用してヒト特異的vWF(R and D systmeTM、MN)を検出し、移植された血管芽細胞(hES-BC)由来の血管内皮細胞を確認した。Alexa Fluor 594と接合された第2抗体を使用した。血行分析のために、レーザドップラ血液イメージング技法を使用し、大腿動脈連結以前(0日)及び以後(3日から30日)でのマウスの血行を分析し、血行速度は、非虚血性足での血行に対する虚血性足での血行の割合で計算した。
【誤訳訂正127】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0329
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0329】
図22f及び図22gで確認しうるように、血管芽細胞(hES-BC)は、培地対照群に比べて虚血性足での血行速度の回復に有意的に増強させた(p<0.0001)。かような改善は、正常血行速度が得られるまで4週間持続された。
【誤訳訂正128】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0330
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0330】
虚血性筋肉内にhES-母細胞コロニー細胞を注入してから4週目に動物を犠牲にし、ヒト特異的vWFに対して免疫染色した。筋肉内部位は、ヒト特異的vWF細胞の陽性染色を保有すると確認されたが、これは、血管組織化を示すものである(図22d-e)。無細胞培地が注入された梗塞された筋肉から取った対照群組織は、ヒトvWF染色を表さなかった(図22c)。
実施例8:ミューリン心筋梗塞モデルでの生体内修復
ミューリン心筋梗塞(MI)モデルを利用した一連の実験で、前述のように[参照:Yang et al.、2002 J.Appl.Physiol(93):1140-1151]、左側冠状動脈の連結によって、8週齢ないし12週齢(~20~30g)NOD-SCID β2マウス(Jackson LaboratoryTM)で心筋梗塞を誘導した。心筋梗塞を誘導して15分後に、H1-GFP hES細胞由来の3x105 GFP-血管芽細胞(hES-BC)または無細胞培地を虚血性心筋及び虚血性心筋の周辺に移植した。実験プロトコルは、Memorial Sloam-Ketteringガンセンターの動物保護委員会から承認された。血管芽細胞(hES-BC)注入後30日目に、注入された血管芽細胞(hES-BC)の71%(12/17)は生存した一方、培地対照群を注入した動物の場合、42%(8/19)が生存した(図22h、p<0.002)。
【誤訳訂正129】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0331
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0331】
虚血性心筋及び虚血性心筋の周辺に血管芽細胞(hES-BC)を注入し、4週目に動物を犠牲にし、迅速に心臓を摘出した後でPBS中て洗浄した。心臓は、組織冷凍培地(Fisher ScientificTM、NJ)内に包埋した。冷凍組織は、10-μmスライドに切片化した。
【誤訳訂正130】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0333
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0333】
また、移植された血管芽細胞(hES-BC)は、心筋細胞を生成させた。移植された血管芽細胞(hES-BC)から再生された心筋細胞を確認するために、二重免疫蛍光染色技法を使用し、H1-GFP hES細胞(Santa Cruz Biotechnology Inc.TM、CA)由来のヒト細胞でのみ発現されるGFP及びcTnI、心筋細胞マーカ(Santa Cruz Biotechnology Inc.TM、CA)を検出した。GFPのためにはAlexa Fluor 488、またはTnIのためにはAlexa Fluor 594と接合された第2抗体を使用した。イメージは、蛍光顕微鏡で撮影した。N=3.図23は、MIマウスでGFP(最も明るく染色された部位)及びcTnI(中間ほどに曇った部位)の免疫染色を表し、GFP及びcTnIに対して陽性に染色された細胞は、注入されたhES-BC細胞から由来した心筋細胞であった(図23、倍率200x)。矢印は、注入されたhES-BC細胞から由来した二重陽性染色細胞を示す。
【誤訳訂正131】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0334
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0334】
実施例7及び実施例8の結果から確認しうるように、血管芽細胞は、心筋梗塞後の死亡率を低下させ、虚血性後肢でほぼ正常レベルに血行を回復させた。
実施例9:血管芽細胞またはhES-BC細胞は、試験管内で平滑筋細胞を生成させることが可能
本発明の血管芽細胞またはhES-BC細胞はまた、平滑筋細胞に分化され、従って特定実施例で全能細胞(pluripotent)でありうる。
【誤訳訂正132】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0335
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0335】
血管芽細胞(hES-BC)内での遺伝子発現を調べるために、6日目に細胞を解剖顕微鏡下で注意深く取り、全体RNAを分離した。RNAeasyマイクロkit(QiagenTM)を利用し、前記RNAから単一鎖cDNAを合成し、このとき、SMART II及びCDSプライマー(ClonetechTM)とスーパースクリプトIII逆転写酵素(InvitrogenTM)を使用し、cDNAプールは、SMART cDNA合成kit(ClonetechTM)を利用して構成した。平滑筋遺伝子発現パターンは、SM22、平滑筋アクチン(α-SMA)、GAPDH(特質対照群)及び平滑筋カルポニン(CNN1)に対して特異的なプライマーを利用し、PCRで分析した。ヒト大動脈平滑筋細胞(AoSM)由来の全体RNAは、陽性対照群として使用し、マウス線維芽細胞3T3全体RNAは、陰性対照群として使用した。PCR生成物は、1%アガロースゲル上で分離し、EtBr蛍光によって露出させた。
【誤訳訂正133】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0336
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0336】
図24は、血管芽細胞(hES-BC)が平滑筋特異性遺伝子CNN1、α-SMA及びSM22を発現するところを示す。
【誤訳訂正134】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0337
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0337】
本発明の血管芽細胞から平滑筋細胞を誘導するために、平滑筋培地(LonzaTM)内のフィブロネクチンコーティングされた培養スライド(BD BioscienceTM)上に精製した血管芽細胞(hES-BC)をプレーティングし、2-9日間分化を誘導した。次に、細胞を15分間4%パラホルムアルデヒドで固定し、1X PBSで洗浄し、0.4%Triton X100で透過化(permeabilize)した。平滑筋蛋白質の発現の検出のために、透過化した細胞を4℃で一晩カルポニン(CNN1)及びα-SMA(Dako)に対して一次抗体と共に培養した後、ロダミン標識された二次抗体を利用して蛍光顕微鏡で検査した。
【誤訳訂正135】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0338
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0338】
図24に提示した結果は、前記条件下での試験管内分化後に、ある血管芽細胞(hES-BC)はCNN1及びα-SMA陽性平滑筋細胞を発生させるということを明確に立証する。
実施例10:マウスモデル系の移植受容者での免疫寛容の誘導
本発明の方法によって生成及び増殖されたヒト血管芽細胞は、移植受容者で供与者特異的免疫寛容を誘導するのに利用できる。血管芽細胞または誘導された造血母細胞は、細胞が多数で提供されるとき、無条件受容者(unconditioned recipient)に移植されうる。移植されてキメラ現象を発生させる血管芽細胞の能力は、マウスをヒト免疫細胞で再構成した免疫低下NOD/SCID-Tgマウスモデル系でテストできる。免疫欠乏NOD/SCID-Tgマウスは、全身照射(irradiation)で処理し、同じ日にヒト供与者血管芽細胞を注射できる。ヒト胎児胸腺及び胎児肝断片をマウスの腎臓被膜(capsule)下部に移植し、ヒトリンパ球生成及びヒト免疫系の再構成を達成する。移植されたヒト胸腺及び肝断片は、ヒト供与者血管芽細胞に対して不一致(mismatch)である。次に、第三の非一致(non-match)移植片に係る耐性と比較し、ヒト血管芽細胞に対して一致した(match)移植片に対して耐性をマウスに対して検査できる。
【誤訳訂正136】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0339
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0339】
移植を最適化するために、胸腺照射の投与によって胸腺スペース(thymic space)を誘導できる。マウスモデルで、受容者マウスは、抗-CD4及び抗-CD8mAbのような抗-T細胞mAbを受容することができ、0日目に7 Gy胸腺照射、そして0ないし4日目にヒト血管芽細胞を受容することができる。
【誤訳訂正137】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0340
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0340】
耐性を評価するために、混合リンパ球反応及び細胞媒介リンパ球溶解研究を遂行しうる。
【誤訳訂正138】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0341
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0341】
また、hu-SCIDマウスまたは類似のモデル系でキメラ現象を誘導する血管芽細胞の能力を検査するために、前述の方法でヒト胎児肝断片をヒト血管芽細胞に代用できる。
実施例11:移植受容者での免疫寛容の誘導
ヒトで、耐性は、本発明の方法によって生成及び増殖または増殖された多数のヒト血管芽細胞を利用して達成できる。
【誤訳訂正139】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0342
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0342】
末梢キメラ現象は、全身照射の必要なしに多数の血管芽細胞を介して達成できる。しかし、中枢欠損性(central deletional)耐性を達成するためには、高いレベルの胸腺内のキメラ現象を発達させるために、胸腺にスペース(space)を生成することが最適でありうる。胸腺内のスペースは、特異的照射によってまたは抗-T細胞抗体の多数の投与の利用によって、または胸腺を枯渇させる薬物によって達成できる。
【誤訳訂正140】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0344
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0344】
本方法は、次の段階のうち一つ以上を含みうる:共通刺激遮断(costimulatory blockade)または受容者T細胞の不活性化、耐性誘導細胞、例えばヒト血管芽細胞の移植、選択的に、供与者基質組織の移植またはヒトサイトカイン投与、胸腺照射の投与。十分に多くの個数の供与者ヒト血管芽細胞と胸腺照射及び/またはT細胞共通刺激遮断の組合わせは、全身照射の必要性を顕著に減少または除去する。本方法は、これら段階のうち任意のもの、または全部を含むことができ、段階は、次の順序で遂行しうる。
【誤訳訂正141】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0345
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0345】
まず、ウマの抗ヒト胸腺細胞グロブリン(ATG)またはその他枯渇性抗T細胞枯渇剤の調製物を受容者に静脈注射する。この抗体調製物は、成熟したT細胞を除去する。もし除去されなければ、成熟したT細胞は、ヒト血管芽細胞またはこれから誘導される造血母細胞、そして敏感化後には移植片自体の双方いずれの拒否も促進できる。ATG調製物は、自然殺傷(NK)細胞をさらに除去する。NK細胞は、移植された臓器には恐らく効果を示さないが、新しく導入されたヒト血管芽細胞を拒否するように即刻作用できる。
【誤訳訂正142】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0346
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0346】
受容者T細胞が移植後に再生する時間の間、受容者胸腺内の供与者抗原の存在は、受容者T細胞を耐性化するのに重要である。もし受容者T細胞が再生する前に供与者ヒト血管芽細胞が受容者胸腺で確立されて耐性を誘導できなければ、非骨髄除去性(non-myeloablative)治療法全体を介して、抗受容者T細胞抗体の反復された投与量が必要でありうる。受容者T細胞の連続的枯渇が数週間要求できる。
【誤訳訂正143】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0347
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0347】
非骨髄形成過程での第二段階は、特定成長因子またはサイトカインを提供し、ヒト供与者の血管芽細胞または幹細胞の接種(engraftment)を促進するためのものでありうる。
【誤訳訂正144】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0348
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0348】
その後、供与者のヒト血管芽細胞(または供与者と一致するもの)は受容者に注射できる。供与細胞は、受容者の適切なところに位置を占め、受容者の残りの細胞と隣接して成長して増殖し、キメラリンパ造血器系母集団を形成する。かような過程によって、新しく形成されたB細胞(及びこれらが生成する抗体)が供与者抗原に露出され、前記移植が自家移植として認識されるのである。
【誤訳訂正145】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0349
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0349】
ヒト血管芽細胞または由来した造血母細胞接種が達成される受容者のT細胞レベルで供与者に対する耐性も観察される。一致した臓器移植が造血器系または骨髄キメラ現象が起きた後で何ヵ月が過ぎた受容者で起こる場合に、移植が免疫システムの体液性及び細胞性アーム(arm)双方いずれでも受容されねばならない。かような接近は、受容者の患者の正常健康及び免疫力が臓器移植時点には回復されうるように、ヒト供与者血管芽細胞の移植後に十分に長い間の後にも、臓器移植の遂行を可能にするというさらなる利点を有する。
【誤訳訂正146】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0350
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0350】
造血空間を生成する多くの方法が全身照射(irradiation)を使用して接種を促進させる。照射の必要性は、多数の供与者血管芽細胞を投与することによって実質的に減少されたり除去できる。供与者ヒト血管芽細胞の投与は、例えば、胸腺空間を誘導する胸腺照射またはT細胞共同刺激遮断と同じ処置と共になされうる。
【誤訳訂正147】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0353
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0353】
本明細書は、良好に定義され、かつ再現可能な条件下で血管芽細胞、またはヒトES-BC細胞が確実に由来して増殖されることを証明し、本来の機能を発揮できない血管構造を有する患者のための限りない細胞源を示す。かような細胞の濃度は利用率で限定されず、むしろ個別的な正確な臨床要求に合わせることができる。医師が必要であるとと判断する場合、患者の全生涯にわたって同じ細胞集団が反復的に注入されることも可能なことである。また、一致するまたは減少された複雑性のHLA hESラインの銀行を作りだす能力は、免疫抑制薬物及び/または免疫調節プロトコルいずれの必要性をも潜在的に減少させたり除去できる。
【誤訳訂正148】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0354
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0354】
本明細書はまた、胚芽幹細胞から由来した血管芽細胞が四種の互いに異なる動物モデルで血管復旧を達成するのに使われうることを初めて証明する。新たな血管の形成は早くて活発であり、hES由来血管芽細胞が生体内で活発な復旧潜在力を有するということを示す。かような結果はまた、血管性疾病を有する患者で、血管化及び機能を回復するのに血管芽細胞が使われうることを示す。従って、血管芽細胞のような内皮前駆体細胞の入養転移(adoptive transfer)は、血管フローを回復させて毛細管密度を向上させ、四肢損失を減少させ、心筋損傷からの回復を促進するのに有用でありうる。
【誤訳訂正149】
【訂正対象書類名】図面
【訂正対象項目名】図1
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
図1
【誤訳訂正150】
【訂正対象書類名】図面
【訂正対象項目名】図7
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
図7
【誤訳訂正151】
【訂正対象書類名】図面
【訂正対象項目名】図8
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
図8
【誤訳訂正152】
【訂正対象書類名】図面
【訂正対象項目名】図9
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
図9
【誤訳訂正153】
【訂正対象書類名】図面
【訂正対象項目名】図16
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
図16
【誤訳訂正154】
【訂正対象書類名】図面
【訂正対象項目名】図17-1
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
図17-1】
【誤訳訂正155】
【訂正対象書類名】図面
【訂正対象項目名】図17-2
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
図17-2】
【誤訳訂正156】
【訂正対象書類名】図面
【訂正対象項目名】図22
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
図22
【外国語明細書】