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特開2022-141663熱療法用の改良された医療用パッド及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022141663
(43)【公開日】2022-09-29
(54)【発明の名称】熱療法用の改良された医療用パッド及びシステム
(51)【国際特許分類】
   A61F 7/00 20060101AFI20220921BHJP
【FI】
A61F7/00 331H
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022102317
(22)【出願日】2022-06-27
(62)【分割の表示】P 2020144074の分割
【原出願日】2016-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】501091589
【氏名又は名称】メディヴァンス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MEDIVANCE,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】ボールヒーズ、マーク イー.
(72)【発明者】
【氏名】ホグランド、マイケル アール.
(72)【発明者】
【氏名】ハート、キア デビッド
(57)【要約】      (修正有)
【課題】パッド製造効率性の実現及びパッド製造施設要件の減少を容易にする、患者との熱交換のための医療用パッドを提供する。
【解決手段】患者との接触熱交換のための改良された医療用パッド10は、その内部を通じて循環可能な熱交換流体を収容するための流体循環層と、熱交換流体を流体循環層内外へと循環させるための第1ポート12a及び第2ポート12bと、流体循環層の片面に相互連結され且つその片面にわたって広がる、患者の皮膚に付着させるための粘着面を構成するヒドロゲル層とを含む。ヒドロゲル層は、組成物の約15~30重量%の量の架橋性コポリマーと、組成物の約15~40重量%の量の水と、組成物の約25~35重量%の量のグリセロールとを含む紫外線硬化性組成物を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者との接触及び熱交換のための医療用パッドであって、
流体循環層であって、該層を通じて循環可能な熱交換流体を収容するための前記流体循環層と、
前記熱交換流体を前記流体循環層内へと循環させるための、前記流体循環層に流体的に相互連結された第1ポートと、
前記熱交換流体を前記流体循環層外へと循環させるための、前記流体循環層に流体的に相互連結された第2ポートと、
前記流体循環層の片面に相互連結され且つその片面にわたって広がる、患者の皮膚に付着させるための粘着面を構成するヒドロゲル層とを備え、
前記ヒドロゲル層が紫外線硬化性組成物を含み、前記組成物が、
前記組成物の約15~30重量%の量の架橋性コポリマーと、
前記組成物の約15~40重量%の量の水と、
前記組成物の約25~35重量%の量のグリセロールとを含む、
医療用パッド。
【請求項2】
前記紫外線硬化性組成物が、前記組成物の約25~30重量%の量の架橋性コポリマーと、前記組成物の約25~35重量%の量の水と、前記組成物の約27.5~32.5重量%の量のグリセロールとを含む、請求項1に記載の医療用パッド。
【請求項3】
前記ヒドロゲル層が少なくとも約1.9カロリー/時間・cm・℃の熱伝導率を有する、請求項1に記載の医療用パッド。
【請求項4】
前記ヒドロゲル層が約1.9~2.37カロリー/時間・cm・℃の熱伝導率を有する、請求項3に記載の医療用パッド。
【請求項5】
前記粘着面がISO 9665:1998(E)に準拠した測定で約20~65gの粘着力を有する、請求項1に記載の医療用パッド。
【請求項6】
前記ヒドロゲル層が約1.9~2.37カロリー/時間・cm・℃の熱伝導率を有する、請求項5に記載の医療用パッド。
【請求項7】
前記ヒドロゲル層が約0.04572~0.1016センチメートル(0.018~0.04インチ)の厚さを有する、請求項1に記載の医療用パッド。
【請求項8】
前記ヒドロゲル層が約0.05588~0.08128センチメートル(0.022~0.032インチ)の厚さを有する、請求項7に記載の医療用パッド。
【請求項9】
前記流体循環層が、
可撓性フィルム層及び
前記フィルム層に相互連結された可撓性ベース部材
により構成され、前記可撓性フィルム層及び前記可撓性ベース部材が、それらの間に画成された内部空間で前記循環可能熱交換流体を収容するためのものであり、前記ヒドロゲル層が少なくとも約1.9カロリー/時間・cm・℃の熱伝導率を有する、請求項1に記載の医療用パッド。
【請求項10】
前記流体循環層が少なくとも約0.1524センチメートル(0.06インチ)の幾何学的高さを前記流体循環層にわたって有する内部空間を画成する、請求項1に記載の医療用パッド。
【請求項11】
前記流体循環層が、
可撓性フィルム層と、
前記フィルム層に相互連結された可撓性ベース部材とを備え、前記可撓性フィルム層及び前記可撓性ベース部材が、それらの間に画成された内部空間で前記循環可能熱交換流体を収容するためのものであり、前記可撓性ベース部材が、前記可撓性フィルム層に相互連結された複数のリブ部材を含む、請求項10に記載の医療用パッド。
【請求項12】
前記複数のリブ部材が、前記流体循環層を通じる複数の流体流チャネルを画成する、請求項11に記載の医療用パッド。
【請求項13】
前記流体流チャネルが、流入ポートと流出ポートとの間で前記循環可能流体流の流れを指向させる、請求項12に記載の医療用パッド。
【請求項14】
前記リブ部材が前記ベース部材のベース部から前記循環層の前記幾何学的高さを画定する距離で突出する、請求項11に記載の医療用パッド。
【請求項15】
前記突出距離が約0.1524~0.254センチメートル(0.06~0.1インチ)である、請求項14に記載の医療用パッド。
【請求項16】
前記ベース部材がさらに、前記突出距離に実質的に等しい距離で前記ベース部材の前記ベース部から突出する複数のオフセット突出部を含む、請求項15に記載の医療用パッド。
【請求項17】
前記ヒドロゲル層が約1.9~2.37カロリー/時間・cm・℃の熱伝導率を有する、請求項16に記載の医療用パッド。
【請求項18】
前記粘着面がISO 9665:1998(E)に準拠した測定で約20~65gの粘着力を有する、請求項17に記載の医療用パッド。
【請求項19】
前記紫外線硬化性組成物が、前記組成物の約25~30重量%の量の架橋性コポリマーと、前記組成物の約25~35重量%の量の水と、前記組成物の約27.5~32.5重量%の量のグリセロールとを含む、請求項18に記載の医療用パッド。
【請求項20】
前記ヒドロゲル層が約0.05588~0.08128センチメートル(0.022~0.032インチ)の厚さを有する、請求項19に記載の医療用パッド。
【請求項21】
患者との接触熱交換のためのシステムであって、
医療用パッドと、
流体調節アセンブリと、
コントローラと、を備え、
前記医療用パッドが、
流体循環層であって、該層を通じて循環可能な熱交換流体を収容するための前記流体循環層と、
前記熱交換流体を前記流体循環層内へと循環させるための、前記流体循環層に流体的に相互連結された第1ポートと、
前記熱交換流体を前記流体循環層外へと循環させるための、前記流体循環層に流体的に相互連結された第2ポートと、
前記流体循環層の片面に相互連結され且つその片面にわたって広がる、患者の皮膚に付着させるための粘着面を構成するヒドロゲル層とを含み、
前記ヒドロゲル層が紫外線硬化性組成物を含み、前記組成物が、
前記組成物の約15~30重量%の量の架橋性コポリマーと、
前記組成物の約15~40重量%の量の水と、
前記組成物の約25~35重量%の量のグリセロールとを含む前記医療用パッドであり、
前記流体調節アセンブリが、
前記熱交換器及び前記医療用パッドを通じて前記熱交換流体を循環させるための流体ポンプと、
前記循環流体の温度の制御に使用するための熱交換器とを含む前記流体調節アセンブリであり、
前記コントローラが、前記熱交換器の動作を制御することで既定の態様で前記循環流体の温度制御を行う出力信号を送るための前記コントローラである、システム。
【請求項22】
前記流体ポンプが前記流体を前記パッドにおいて陰圧で循環させることができる、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
患者の温度を検知し且つそれを示す患者温度信号を送るための患者温度センサをさらに備え、前記コントローラが、前記熱交換器に前記出力信号を送るにあたって前記患者温度信号を利用できる、請求項21に記載のシステム。
【請求項24】
前記流体調節アセンブリが、
前記循環流体の温度を検知し且つそれを示す流体温度信号を送るための流体温度センサを含み、前記コントローラが、前記熱交換器に前記出力信号を送るにあたって前記流体温度信号を利用できる、請求項21に記載のシステム。
【請求項25】
前記医療用パッドの前記ヒドロゲル層が約1.9~2.37カロリー/時間・cm・℃の熱伝導率を有する、請求項21に記載のシステム。
【請求項26】
前記医療用パッドの前記流体循環層が少なくとも約0.1524センチメートル(0.06インチ)の幾何学的高さを前記流体循環層にわたって有する内部空間を画成する、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記医療用パッドの前記ヒドロゲル層の前記紫外線硬化性組成物が、前記組成物の約25~30重量%の量の架橋性コポリマーと、前記組成物の約25~35重量%の量の水と、前記組成物の約27.5~32.5重量%の量のグリセロールとを含む、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記医療用パッドの前記ヒドロゲル層が約0.05588~0.08128センチメートル(0.022~0.032インチ)の厚さを有する、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記医療用パッドの前記流体循環層が少なくとも約0.1524センチメートル(0.06インチ)の幾何学的高さを前記流体循環層にわたって有する内部空間を画成する、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記医療用パッドの前記流体循環層が、
可撓性フィルム層と、
前記フィルム層に相互連結された可撓性ベース部材とを備え、前記可撓性フィルム層及び前記可撓性ベース部材が、それらの間に画成された内部空間で前記循環可能熱交換流体を収容するためのものであり、前記可撓性ベース部材が、前記可撓性フィルム層に相互連結された複数のリブ部材を含み、
前記リブ部材が前記ベース部材のベース部から前記循環層の前記幾何学的高さを規定する距離で突出する、請求項29に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の温度制御において、特には治療として患者の温度を下げて低体温を誘発し、任意で正常体温になるまで患者を加温するのに使用するための改良された医療用パッド及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
全身の冷却が有効な療法となる医学的な状態は多数ある。例えば、脳卒中、頭部外傷、心停止及び心筋梗塞の患者の全身を速やかに冷却することには、治療上、大きなメリットがある。
【0003】
それに関し、脳卒中は神経学的な障害の主な原因であるが、脳卒中に襲われた人間の脳細胞が発作中に機能を喪失したとしても、必ずしもすぐに死亡するわけではないことが研究で判明している。脳卒中で生じる脳の損傷は、最高レベルに達するのに何時間もかかることがある。その間に神経を保護するような冷却療法を行えば神経学的な損傷を抑制し、脳卒中患者の予後が改善される可能性がある。
【0004】
同様の可能性は、例えば車両の衝突、転落などで起こり得る外傷を受けた患者にもある。そのような外傷は、脳卒中患者における神経学的な損傷の発生と共通した要素を有するメカニズムでもって脳障害をもたらし得る。最初の頭部外傷イベント後の細胞レベルでの遅発性二次障害は、脳障害後に起きる最終的な組織喪失への主な寄与因子であると認識されている。
【0005】
さらに、対応する可能性は、心停止及び心筋梗塞の患者でも存在する。ここでもまた、そのような患者を速やかに冷却することで神経学的な損傷を抑制し得る。加えて、冷却により心臓を保護し得る。それに関してさらに、再灌流処置(例えば、頸動脈ステント留置術)に先立って心筋停止患者の心臓を速やかに冷却することで、再灌流に関連した障害を大幅に低減し得る。
【0006】
加えて、神経疾患を抱えた患者は、発熱を起こすことも多い。昨今、そのような患者の冷却が治療的なメリットがあるとして提唱されているが、それには長時間にわたる冷却が伴い得る。
【0007】
冷却療法を適用するために様々なアプローチが開発されてきた。ある非侵襲的なアプローチでは、1つ以上の接触パッドを患者の体(例えば、患者の胴体及び/又は下肢)上に載せ得て、冷却流体、例えば冷却された水又は空気がパッド内を循環する。次に、熱エネルギーを患者と循環流体との間で交換させることで患者を冷却する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、パッド製造効率性の実現及びパッド製造施設要件の減少を容易にする、患者との熱交換のための医療用パッドを提供することである。
本発明の別の目的は、患者との速やかな熱交換のための医療用パッドを提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、安定した物理的性質を提供することで長時間にわたる患者での連続使用を容易にする、患者との熱交換のための医療用パッドを提供することである。
本発明の追加の目的は、生体適合性であり、そうでないとしても快適である、患者との熱交換のための医療用パッドを提供することである。
【0010】
本発明のさらに別の目的は、取り外しが比較的容易であり且つ取り外した後に患者を入念に衛生的にきれいにする必要がない、患者との熱交換のための医療用パッドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一実施形態において、患者との接触及び熱交換のための改良された医療用パッドは、その内部を通じて循環可能な熱交換流体を収容するための流体循環層と、流体を流体循環層内へと循環させるための、流体循環層に流体的に相互連結された第1ポートと、流体を流体循環層外へと循環させるための、流体循環層に流体的に相互連結された第2ポートとを備える。さらに、医療用パッドは、流体循環層の片面に相互連結され且つその片面にわたって広がる、患者の皮膚に付着させるための粘着面を構成するヒドロゲル層を備える。
【0012】
独特の特徴として、このヒドロゲル層は、組成物の約15~30重量%の量、好ましくは組成物の約25~30重量%の量の架橋性コポリマーと、組成物の約15~40重量%の量、好ましくは組成物の約25~35重量%の量の水と、組成物の約25~35重量%の量、好ましくは組成物の約27.5~32.5重量%の量のグリセロールとを含む紫外線硬化性組成物を含む。驚くべきことに、ヒドロゲル層で用いる含水量が、施設で手軽に行える工業生産規模での製造のための紫外線硬化性組成物の利用を円滑にし、それでいで望ましい物理的性質、すなわち所望の度合いの熱伝導性、貯蔵寿命安定性及び粘着性を有するヒドロゲル層も得られる。
【0013】
幾つかの実施形態において、ヒドロゲル層は、少なくとも約1.9カロリー/時間・cm・℃の熱伝導率を有するように設け得る。より具体的には、ヒドロゲル層は、約1.9~2.37カロリー/時間・cm・℃の熱伝導率を有し得る。
【0014】
幾つかの実施例において、ヒドロゲル層の粘着面は、ISO 9665:1998(E)に準拠した測定で約20~65gの粘着力を有するように設け得る。
考えられ得る実施形態において、ヒドロゲル層は、約0.04572~0.1016センチメートル(0.018~0.04インチ)の厚さを有し得る。より具体的には、ヒドロゲル層は、約0.05588~0.08128センチメートル(0.022~0.032インチ)の厚さを有し得る。
【0015】
さらに、考えられ得る実施形態において、流体循環層は、少なくとも約0.1524センチメートル(0.06インチ)、好ましくは約0.1524~0.254センチメートル(0.06~0.1インチ)の平均の又は実質的に等しい幾何学的高さ又は厚さを流体循環層にわたって有する内部空間を画成し得る。流体を流体循環層において陰圧で循環させる又は引きだす医療用パッド用途において、流体収容層は、循環流体が流れる間、約0.1016~0.2032センチメートル(0.04~0.08インチ)の有効内部空間高さを有し得る。
【0016】
考えられ得る配置構成において、流体循環層は、可撓性フィルム層と、フィルム層に相互連結された可撓性ベース部材とを、それらの間に循環用熱交換流体を収容するために備え得る。そのような配置構成において、ヒドロゲル層は、上記のような熱伝導率を有し得る。
【0017】
患者と接触熱交換するためのシステムの実施形態において、上述したように流体循環層、ヒドロゲル層及び任意の追加の特徴を有する医療用パッドは、コントローラ並びにパッドの流入ポート及び流出ポートに流体的に相互連結可能な流体調節アセンブリと組み合わせて使用し得る。流体調節アセンブリは、循環流体の温度の制御で使用するために(例えば、冷却するため、また冷却された流体を任意で再度加温するため)、パッド及び熱交換器内で熱交換流体を循環させるための流体ポンプを含み得る。後者に関し、コントローラは、熱交換器の動作を制御するための出力信号を送ることで、既定の態様で循環熱交換流体の温度制御を行い得る。
【0018】
システムの実施形態において、患者の温度(例えば、患者の深部体温)を検知し且つそれを示す患者温度信号を送るために患者温度センサを設け得て、コントローラを、熱交換器に出力信号を送るにあたって患者温度信号を利用するように設け得る。さらに、流体調節アセンブリは、循環熱交換流体の温度を検知し且つそれを示す流体温度信号を送るための流体温度センサを含み得て、コントローラを、熱交換器に出力信号を送るにあたって流体温度信号を利用するように設け得る。
【0019】
以下の詳しい説明を検討することで、当業者は追加の特徴及び利点を理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】医療用パッドの実施形態の斜視図。
図2】図解を目的として医療用パッドの実施形態の各種層を分離した、図1の医療用パッドの実施形態の一角の斜視図。
図3図1の医療用パッドの実施形態の分解斜視図。
図4図1の医療用パッドの実施形態のベース部材の底面図。
図5図1の医療用パッドの実施形態を含むシステムの実施形態の概略図。
図6図5のシステムの実施形態の流体調節アセンブリの概略図。
図7図5のシステムの実施形態のコントローラの実施形態の概略図。
図8図5~7のシステムの実施形態を利用した方法の実施形態のステップを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
患者の皮膚領域との接触及び熱交換のための医療用パッド10の一実施形態を図1~4に示す。図1に示すように、パッド10は、パッド10の流体循環層内外へと熱交換流体(例えば、水等の液体)を循環させるための流入ポート16a及び流出ポート16bを含み得る。そのような目的のために、流入ポート12a及び流出ポート12bは、パッド10の流体収容層と流体連通する対応する第1端部をそれぞれ有し得る。流入ポート12a及び流出ポート12bはさらに、同一方向に流体収容層の外側に横方向に延びる対応する第2端部を含み得る。図示のように、流入ポート12a及び流出ポート12bの第2端部は、それぞれ流体循環ライン40a及び40bと固定的に相互連結するために設け得る。1つのアプローチにおいて、流体循環ライン40a及び40bは、ある長さの可撓性チューブで構成し得る。流体循環ライン40a、40bは、流体調節アセンブリとの選択的な相互連結及び分離に使用するためのコネクタ42を備え得て、熱交換流体はパッド10内を循環し得て、追って詳述する通りである。
【0022】
図2~4に最もよく図示されているように、パッド10は、相互連結されてパッド10の流体循環層を構成する可撓性ベース部材14と可撓性フィルム層15とを含み得て、流体循環層は、ベース部材14とフィルム層15との間に内部空間を有する。さらに、パッド10は、フィルム層15に相互連結された可撓性ヒドロゲル層16を備え得る。追って説明するように、ヒドロゲル層16は、循環熱交換流体と患者との間で熱伝導を行い、またさらに熱交換を最適化できるように患者の皮膚領域と密着させ且つその密着を維持する粘着面16aとなる。ヒドロゲル層は、流体循環層の片面の一部、大部分又は実質的に全てにわたって広がり得る。
【0023】
使用前に粘着面16aを覆うための着脱式ライナー層17を設け得る。さらに、任意の外層18を、流体収容層のもう一方の面に設け得る。
図2及び図4に示すように、ベース部材14は、ベース部材14を貫通する2組の1つ以上の孔14cを有し得て、一組は流入ポート12aに揃えて配置され、もう一組は流出ポート12bに揃えて配置される。同様に、任意の層18は、この層18を貫通する2組の1つ以上の孔18cを有し得て、一組は流入ポート12aに揃えて配置され、もう一組は流出ポート12bに揃えて配置される。次に、循環流体は流入ポート12aから第1組の孔を通って流体循環層へと流れ、次に第2組の孔及び流出ポート12bを通って流体収容層から流出し得る。
【0024】
図2及び図4に示すように、流体循環層は、流入ポート12aと流出ポート12bとの間で流体流を指向させるための1つ又は複数の流体チャネルを備え得る。それに関し、ベース部材14は、ベース部14dから突出し且つフィルム層15に相互連結される1つ又は複数のリブ部材14aを含み得る。流体チャネルは隣り合うリブ部材14a間及び/又はパッド10の封止された縁部間及び/又はリブ部材14aとパッド10の封止された縁部との間に延び得る。
【0025】
流体チャネルは、流体をパッド10の横の広がりにわたって流すように構成し得る。幾つかの実施形態において、流入ポート12a及び流体チャネルを離間させることで、複数のチャネルのそれぞれの第1端部に隣接し且つ流体的に相互連結された流体収容層内のステージング領域を画成し得る。さらに、流出ポート12b及び流体チャネルを離間させることで、複数のチャネルのそれぞれの第2端部に隣接し且つ流体的に相互連結された流体収容層内のステージング領域を画成し得る。
【0026】
リブ部材14aは、流体循環層の内部空間の幾何学的高さ又は厚さを規定する距離でベース部14dから突出するように設け得る。理解され得るように、リブ部材14aは、流体チャネルを画成するだけでなくフィルム層15を支持するように設け得る。
【0027】
後者に関し、ベース部材14は、リブ部材14aの突出距離と実質的に同じ又は異なる距離でベース部14dから突出する複数のオフセット突出部14bも備え得る。考えられる配置構成において、リブ部材14a及び突出部14bは全てベース部14dから同じ距離で突出し得て、この共通距離はベース部14dから約0.1524~0.254センチメートル(0.06~0.10インチ)である。そのため、約0.1524~0.254センチメートル(0.06~0.10インチ)の幾何学的高さ又は厚さを有する内部空間が生じる。次に、流体循環層において陰圧で流体を循環させる又は引きだす医療用パッド適用例において、流体収容層は、循環流体が中を流れる間、少なくとも約0.1016~0.2032センチメートル(0.04~0.08インチ)の有効内部空間高さを維持し得る。つまり、リブ部材14a及び突出部14bをフィルム層15と支持的に係合するように設けることで、フィルム層15をベース部材14にわたって潰れないようにすることで流体循環層を通じる流体流路を画成及び維持し得る。
【0028】
ヒドロゲル層16は、組成物の約15~30重量%の量、好ましくは組成物の約25~30重量%の量の架橋性コポリマーと、組成物の約15~40重量%の量、好ましくは組成物の約25~35重量%の量の水と、組成物の約25~35重量%の量、好ましくは組成物の約27.5~32.5重量%の量のグリセロールとを含む紫外線硬化性組成物を含み得る。さらに、組成物は、例えば組成物の約1.75~2.25重量%の量の塩化カリウム及び/又は例えば組成物の約1.25~1.75重量%の量の(ポリ)ビニルピロリドンを含み得る。
【0029】
一実施例において、ヒドロゲル層16は、下の表1に記載の配合の紫外線硬化性組成物を含み得る。
【0030】
【表1】

このような配合において、架橋性コポリマーは、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウムとアクリル酸とを含む。
【0031】
考えられ得る実施形態において、ヒドロゲル層は、少なくとも約1.9カロリー/時間・cm・℃、好ましくは約1.9~2.37カロリー/時間・cm・℃の熱伝導率を有するように設け得る。さらに、様々な配置構成において、フィルム層15は、約3.44~4.3カロリー/時間・cm・℃の熱伝導率を有するように設け得る。
【0032】
幾つかの実施例において、ヒドロゲル層の粘着面は、ISO 9665:1998(E)に準拠した測定で約20~65gの粘着力を有し得る。
考えられ得る実施形態において、ヒドロゲル層は、約0.04572~0.1016センチメートル(0.018~0.04インチ)の厚さを有し得る。より具体的には、ヒドロゲル層は、約0.022~0.032インチ(0.05588~0.08128センチ)の厚さを有し得る。
【0033】
幾つかの実施例において、ベース部材14は、熱プレスされてリブ部材14a及び突出部14bを形成する独立気泡材料(例えば、ポリマー発泡材)により構成し得る。フィルム層15は熱活性型フィルム(例えば、ポリマー材料)を含み得て、この熱活性型フィルムはその周縁部付近でベース部材14の周縁部に熱ラミネート加工により封止接合し得る。さらに、熱ラミネート加工によりフィルム層15をリブ部材14aの、界面となる上面、また任意で突出部14bの界面となる上面に接合し得る。
【0034】
幾つかの実施形態において、着脱式ライナー層17は、粘着面16aから剥離するように設け得る。それに関し、ライナー層17の連続部分を粘着面16aから引っ張ることで、患者の皮膚領域で、粘着面16aの異なる部分を連続的に位置決めして付着させ得る。
【0035】
図5は、患者の温度を制御するためのシステム1の一実施形態を概略的に描いたものである。システム1は、1つ以上の医療用パッド10で熱交換流体を冷却し任意で加温するとともに循環させるように流体調節アセンブリ20を操作することに使用するための出力信号52を送るためのコントローラ50を含み得る。
【0036】
流体調節アセンブリ20は、流体カップリングインターフェース30及びパッド10へと続く熱交換器23に熱交換流体を循環させるための流体ポンプ21を含み得る。一実施例において、コントローラ50、流体調節アセンブリ20及び流体カップリングインターフェース30は、第1支持構造体100に支持的に相互連結し得る。
【0037】
上述したように、コントローラ50は、流体調節アセンブリ20の操作で使用するための出力信号を送り得る。より具体的には、出力信号52は、流体ポンプ21の速度及び/又はデューティサイクルの制御に使用するための信号並びに熱交換器23の冷却速度、任意で熱交換器23の加温速度を制御するための信号を含み得る。例えば、出力信号52は、熱交換器23のデューティサイクルを制御するための及び/又は熱交換器が行う単位操作時間あたりの流体熱交換の大きさを制御するための信号を含み得る。
【0038】
次に、出力信号52を送ることで循環流体と患者Pとの間でのパッド10を介した熱交換を制御し得る。例えば、循環流体と患者Pとの間での熱交換率を、低体温を引き起こすために患者の温度を下げる及び任意で正常体温にするために患者の温度を上げる望ましい度合いが達成されるように制御し得る。
【0039】
出力信号52を生成するために、コントローラ50を、システム1を構成する1つ以上のセンサにより提供される1つ又は多数の信号を利用するように設け得る。特に、システム1は、循環流体の温度を検知し且つそれを示す第1流体温度信号25をコントローラ10に送るための少なくとも第1流体温度センサ24を含み得る。第1流体温度センサ24は、流体調節アセンブリ20の一部として、また流体カップリングインターフェース30を介してパッド10に供給される循環流体の温度を検知するように配置し得る。加えて、コントローラ10をさらに、患者温度センサ80から患者温度信号82を受け取るように設け得て、患者温度信号は患者Pの検知された温度を示す(例えば、患者の深部体温)。
【0040】
任意で、流体調節システム20は、循環流体の流量を測定し(例えば、ポンプ21と熱交換器22との間)且つそれを示す流量信号26をコントローラ10に送るための流量計センサ22と、熱交換モジュール40から戻ってくる循環流体の温度を検知し(例えば、ポンプ21の上流)且つそれを示す第2流体温度信号をコントローラ10に送るための第2流体温度センサ(図1には図示せず)も含み得る。コントローラ10は、流量信号26及び/又は第2流体温度信号も利用して出力信号12aの1つ以上を生成し得る。
【0041】
図示のように、流体カップリングインターフェース30は、患者Pとの熱交換に利用し得る1つ以上の医療用パッド10と選択的に相互連結するために設け得る。流体循環ライン40a、40bを流体調節アセンブリ20に流体的に相互連結することを目的として、コネクタ42は、インターフェース30で流体と相互連結及び分離可能な再使用可能なホースアセンブリ上に設けられたコンパチブルコネクタ70との選択的な連結及び分離に合わせて構成し得る。それに関し、コネクタは、参照により全て本願に援用される米国特許第6802855号で教示されるように用い得る。
【0042】
図6は、図5のシステムの実施形態で使用するための流体調節アセンブリ20の実施形態を描いたものである。図示のように、流体調節アセンブリ20は、流体を、流量計22を介して熱交換器23にポンプ輸送するための流体ポンプ21を含む。流体ポンプ21を作動させると、流体を、熱交換器23から流出ライン27、流体カップリングインターフェース30の流出ポート34、流体的に相互連結された医療用パッド10、流体カップリングインターフェース30の流入ポート33及び流入ライン28を介して引き出し得る。理解され得るように、記載の操作により有利には医療用パッド10で陰圧を生じさせ、循環流体を医療用パッドで流し得る。例えば、約-0.5~-10psiの陰圧が生じ得る。
【0043】
熱交換機23は、流体ポンプ21から循環流体を受け取るための循環タンク210を含み得る。十分な量の流体を送るために、熱交換器23は任意で、記載の配置構成での流れに関して既定の最小量の流体を必要に応じて循環タンク210で維持するために、循環タンク210に流し得る流体を収容するための供給タンク214も含み得る。
【0044】
熱交換器23はさらに、冷却タンク212と、循環タンク210から冷却タンク212へと流体をポンプ輸送するための混合ポンプ230とを含み得る。加えて、熱交換器23は冷却ポンプ232及びエバポレータ/冷却器234を含み得て、冷却ポンプ233を作動させると、流体は冷却タンク212からエバポレータ/冷却器234を通ってまた冷却タンク212へとポンプ輸送され、冷却タンク212内での流体の冷却を生じさせ得る。次に、冷却タンク212に収容された流体は循環タンク210に(例えば、バリアから溢れることで)戻り得て、循環タンク210に収容されている流体は、混合ポンプ230、冷却ポンプ232及びエバポレータ/冷却器234の作動により所望の温度に冷却され得る。
【0045】
それに関し、混合ポンプ230、冷却ポンプ232及びエバポレータ/冷却器234の動作は、コントローラ50の出力信号52により制御し得る。上述したように、出力信号52は、第1温度センサ24により送られた第1温度信号25を利用してコントローラ50により生成され得る。図6に示すように、第1温度センサ24は、循環タンク210内の流体の温度を検知するように位置決めされ得る。
【0046】
図6でさらに示すように、第2流体温度センサ26を流入ポート33の下流に設けることで、パッド10から戻ってくる循環流体の温度を検知させ得る。第2流体温度センサ26は、出力信号52の生成に使用するための、検知した温度を示す第2温度信号をコントローラ50に送り得る。さらに、第3流体温度センサ227を、冷却タンク212内の流体の温度を検知し、また検知した温度を示す第3温度信号を送るように設け得る。次に、コントローラ50は第3温度信号を利用して出力信号52を生成し得る。第1流体温度センサ24に関して冗長性をもたせるために、第4流体温度センサ228も循環タンク210内に設けることで、出力信号52を生成するにあたってコントローラ50が冗長性を利用する場合のために、検知した温度を示す第4温度信号を送り得る。
【0047】
図6に描いた配置構成において、流体圧力センサ28も設けることで、医療用パッド10から戻ってくる循環流体の圧力を検知させ得る。次に、圧力センサ28は、検知した圧力を示す圧力信号をコントローラ50に送り得る。次に、コントローラ50は、例えば流体ポンプ21の速度を制御して医療用パッド10内で所望の陰圧を得るために、圧力信号を利用して、流体ポンプ21に送られる出力信号52を生成し得る。
【0048】
図6をさらに参照するが、熱交換器23は、循環タンク210に収容された流体を選択的に加熱するためのヒータ229を含み得る。それに関し、ヒータ229は、コントローラ50からの出力信号52を受け取って循環タンク210内の流体を所望の度合いまで加熱するように設け得る。理解され得るように、様々な実施形態において患者を再加温できるように、ヒータ229の動作を利用して循環流体を加熱し得る。
【0049】
図7は、コントローラ50の一実施形態を描いたものである。コントローラ50はコンピュータベース(例えば、マイクロプロセッサ)になり得て、またプログラマブル制御モジュール120及びユーザ制御入力を受け取り且つ対応する信号112をプログラマブル制御モジュール120に送るためのユーザインターフェース110を含み得る。ユーザインターフェース110をさらに、制御及び測定データの表示に使用するために、またユーザインターフェース110でのユーザとのオペラティブ且つインタラクティブなインターフェースのために、プログラマブル制御モジュール120から信号114を受け取るように適合させ得る。
【0050】
プログラマブル制御モジュール120は、(例えば、コンピュータ可読性媒体を介して)制御データを記憶し、複数の異なる温度制御フェーズに対応した信号を生成するように設け得る。それに関して、プログラマブル制御モジュールは、制御データを利用して出力信号を熱交換器23及び/又は流体ポンプ21に送るための制御ロジックを含み得て、循環流体の温度は、複数の異なる温度制御フェーズのそれぞれについて既定の態様で制御される。加えて又はあるいは、プログラマブル制御モジュール120を設けることで、それぞれが複数の温度制御フェーズのそれぞれの制御で使用するための制御データを含む1つ以上のプログラムされたプロトコルの確立を容易にし得る。例えば、所与のプロトコルは、複数の治療フェーズのそれぞれについてのターゲット患者温度データを含む制御データを含み得る。さらに、フェーズの1つ以上に関して、プロトコルは、熱治療の設定時間を含む制御データを含み得る。理解され得るように、ユーザインターフェース110をユーザ入力の受け取りにおける使用に合わせて適合させることで、プロトコル固有ベースで複数の異なる患者温度制御フェーズのそれぞれに対応する制御データを確立し得る。
【0051】
所与の各プロトコルに関し、プログラマブル制御モジュール120は、出力信号52を少なくとも熱交換器23及び任意で流体ポンプ21にフェーズ固定ベースで送り得る。次に、熱交換器23を設けることで循環流体の温度を応答的に変化させて患者との所望の熱交換に影響を及ぼし、例えば接触パッド90を介した接触熱交換により患者の温度を下げ、維持し又は患者を加温し得る。例えば、また上述したように、熱交換器23は、プログラマブル制御モジュール120からの制御信号52出力に対応して循環流体の温度を変化させるように作動する多様な部品を含み得る。
【0052】
上述したように、システム1は、継続的に循環流体の温度を検知し且つ対応する第1流体温度信号25をコントローラ50に送るための第1流体温度センサ24を備え得る。さらに、患者温度センサ80を設置することで、継続的に患者Pの温度を検知させ且つ対応する信号82をコントローラ50に送り得る。次に、制御データ及び事前設定したアルゴリズムと共にプログラマブル制御モジュール120は信号を利用して(例えば、プロセッサロジックを介して)熱交換器23に送る制御信号52を生成し、循環流体の温度を所望のものにし得る(例えば、シングルフェーズ又はフェーズ固定ベースで)。
【0053】
1つのアプローチにおいて、複数の異なる制御フェーズの第1フェーズに関する制御データを、第1フェーズ中に、循環流体が冷却されて患者が確立されたターゲット患者温度(例えば、低体温療法に対応)になるように確立し得る。そのような目的のために、コントローラ50は、上で言及したように、患者温度信号82を利用して患者が確立されたターゲット患者温度に達したか否か、またそれがいつかを(例えば、対応する患者温度を確立されたターゲット患者温度と比較して)求め、それに応答して出力信号52を熱交換器23及び/又は流体ポンプ21に送り得る。一実施例においては、循環流体を既定の速度(例えば、既定の最大速度)で冷却することで患者を確立されたターゲット患者温度まで、可能な限り迅速に冷却し得る(例えば、既定のシステム限度内で)。
【0054】
任意で、複数の異なる制御フェーズの第1フェーズに関する制御データはさらに確立された時間を含み得て、確立されたターゲット患者温度に一旦達したら、患者は確立されたターゲット患者温度で確立された時間の残りの時間にわたって維持される。あるいは、複数の異なる制御フェーズの第2フェーズに関する制御データを、第2フェーズ中、循環流体がある温度で維持され、医療用パッドでの熱交換により、患者が確立されたターゲット患者温度で確立された第2フェーズ時間にわたって維持されるように確立し得る。ここでもまた、そのような目的のために、コントローラ10は、上で言及したように、患者温度信号82を利用して(例えば、対応する患者温度を確立されたターゲット患者温度と比較し)、それに応答してまた出力信号52を熱交換器23及び/又は流体ポンプ21に送り得る。
【0055】
さらに記載のアプローチと共に、第1フェーズ後の追加のフェーズに関する制御データ(例えば、複数の異なる制御フェーズの第2フェーズ又は第3フェーズ)を、そのようなフェーズ中、循環流体が加温されて(例えば、既定の速度で)患者が別の確立されたターゲット患者温度(例えば、正常体温に対応)に達し、任意で一旦そのような別の確立されたターゲット患者温度に達したら、患者はその別の確立されたターゲット患者温度で確立された追加フェーズの残り時間にわたって又は熱療法手順をユーザが手動で終了させるまで維持されるように確立し得る。そのような目的のために、コントローラ50はここでも、上で言及したように、患者温度信号82を利用し(例えば、対応する患者温度を別の確立されたターゲット患者温度と比較して)、それに応答して出力信号52を熱交換器23及び/又は流体ポンプ21に送り得る。
【0056】
上述したように、コントローラは、ユーザ入力を受け取り且つユーザ制御信号を送るためのユーザインターフェース110を備え得て、プログラマブルプロセッサ制御モジュール110の制御ロジックはユーザ制御信号を制御データと共に利用して出力信号52を送る。ユーザインターフェース110をさらに設けることで、プログラマブル制御モジュールが記憶する制御データを確立及び変更し得る。
【0057】
幾つかの配置構成において、プログラマブル制御モジュールは、対応する異なる制御データを含む少なくとも2つのプロトコルを記憶し得る。次に、ユーザはユーザインターフェース110を使用して、出力信号の生成にあたってプログラマブル制御モジュールで使用するための2つのプロトコルのいずれかを選択し得る。
【0058】
任意で、ユーザインターフェース110にグラフィックディスプレイを含めて、複数の異なる温度制御フェーズに関する記憶された制御データに基づいたターゲット患者温度調節速度のプロットを視覚的に提示し得る。さらに、グラフィックディスプレイは、ターゲット患者温度調節速度のプロットに対応した時間関係の検知された患者温度(例えば、患者温度センサにより検知)のプロットを表示し得る。さらに、グラフィックディスプレイは、ターゲット患者温度調節速度のプロットに対応した時間関係の循環流体の検知された温度のプロット(第1流体温度センサで検知)を表示し得る。
【0059】
システム1の一例との関係で、流体調節アセンブリ20は、米国コロラド州ルイスヴィルにあるメディヴァンス(Medivance)社の製品アークティックサン5000温度管理システム(Arctic Sun 5000 Temperature Management System)を利用し得る。
【0060】
図8は、マルチフェーズ温度制御システムにおいて循環流体の温度を制御することで患者の温度を制御するための方法400の一実施形態を描いたものである。図示のように、方法400はプロトコルを確立する最初のステップ402を含み得て、プロトコルは複数の異なる温度制御フェーズに関するターゲット患者温度を含む(例えば、異なる患者温度交換対象を有する2つ以上の非重複フェーズ)。そのようなフェーズは時間的に連続し得る及び/又は時間的に離間され得る。プロトコルの確立は、プログラマブル制御モジュール120及び動作的に相互連結された図3のユーザインターフェース110の使用を介して達成し得る。
【0061】
例えば、プロトコルを、少なくとも3つのフェーズに関するターゲット患者温度を含むように確立し得る。そのようなアプローチは、患者を第1ターゲット患者温度まで療法の第1フェーズで冷却し、第2フェーズ中、第2ターゲット患者温度(例えば、第1ターゲット温度と等しい又は異なる)で又はその既定の範囲内で維持し、第3フェーズ中に第3ターゲット患者温度まで加温する手順を円滑にする。他の実施形態においては、療法の第3フェーズに続いて、療法の第4フェーズ中の温度制御で使用するための第4ターゲット患者温度を確立するのが望ましくなり得る。
【0062】
この方法はさらに、複数のフェーズのそれぞれに関するプロトコルに基づいて、例えば図5~7の循環流体の温度を制御する出力信号52を介して熱交換器23を制御することで、循環流体の温度を制御するステップ404を含み得る。それに関し、プロトコルをさらに、ステップ406で、例えばプログラマブル制御モジュール120及び図3のユーザインターフェース110を使用することで、フェーズの1つ以上に関する設定時間を含むように確立し得る。次に、制御ステップ404を、そのようなフェーズ中に、設定時間に対応する時間にわたって行い得る。
【0063】
1つのアプローチにおいて、制御ステップ404を、検知された患者温度及びそのようなフェーズに関するターゲット患者温度に基づいて循環流体の温度を制御することで(例えば、患者温度センサ80からの患者温度信号82の図1のプログラマブル制御モジュール120による使用を介して)、各フェーズに関してステップ408において実行し得る。例えば、患者温度を所与のフェーズで継続的に検知し、そのようなフェーズに関する対応するターゲット患者温度と比較し得る。そのような比較に基づいて、システム1は、例えば図5のコントローラ50のプログラマブルマルチフェーズ制御モジュール120による熱交換器23の制御により、複数の事前に確立されたアルゴリズムのいずれかにしたがって循環流体を冷却及び/又は加熱し得る。
【0064】
1つのアプローチにおいて、制御アルゴリズムは、検知された患者温度とターゲット患者温度とを比較することで生じる差の程度に依存した間隔でシステム1の熱交換器23の冷却/加熱部品(例えば、流体冷却用のエバポレータ/冷却器234、冷却ポンプ232及び混合ポンプ並びに流体加熱用のヒータ229)を単純にオン/オフし得る。別のアプローチにおいて、制御アルゴリズムは、測定患者温度とターゲット患者温度とを比較することで生じる差の程度に基づいて、システム1の熱交換器23の冷却/加熱部品(例えば、流体冷却用のエバポレータ/冷却器234、冷却ポンプ232及び混合ポンプ並びに流体加熱用のヒータ229)の出力の大きさを制御し得る。
【0065】
別のアプローチにおいては、制御ステップ404を、所与のフェーズについてステップ410として、検知された患者温度、そのようなフェーズに関する確立されたターゲット患者温度及びそのようなフェーズに関する確立された設定時間に基づいて熱交換媒体の温度を制御することで完了し得る。例えば、言及したパラメータを利用することでフェーズに関するターゲット患者温度調節速度の決定及び制御使用に対応し、所望の時間にわたる段階的な患者の冷却/加温を容易にし得る。
【0066】
さらに別のアプローチにおいて、1つ以上の検知された循環流体温度(例えば、第1温度センサ23及び任意で第2温度センサ26により検知)を、検知された患者温度(例えば、患者温度センサ80で検知)及び確立されたターゲット患者温度(例えば、プログラマブル制御モジュール110に記録された制御データを含む)と共に使用して循環流体の加熱/冷却を制御し得る。そのようなアプローチはより高いシステム応答をもたらし得る。
【0067】
図示の方法400はさらに、ステップ412で、ユーザ入力に基づいて所与のプロトコルを、例えば図7のユーザインターフェース110でのユーザ入力により、変更し得る。これに関し、変更したプロトコルは、変更したフェーズの残り時間及びまだ開始していない任意のフェーズにわたって使用し得る。
【0068】
図示の方法において、所与のフェーズは、ステップ414で、そのようなフェーズに関するプログラムされたプロトコル内に含まれる対応する設定時間が過ぎると自動的に終了し得る。それに関し、所与のフェーズの終了は概して、モードの変更(例えば、冷却又は加熱)又は循環流体と患者との熱交換の大きさにおける変化に対応し得る。
【0069】
方法400は、検知された患者温度とターゲット患者温度とを比較した結果に応答して、ステップ416で連続的なフェーズの終了及び開始も行い得る。すなわち、所与のフェーズ中にターゲット患者温度に達したと判断したら(例えば、検知された患者温度と治療の初期フェーズに関するターゲット患者温度との比較による)、そのようなフェーズを自動的に終了させ、続くフェーズを自動的に開始し得る。あるいは及び/又は加えて、方法400は、2つの連続するフェーズの1つ目に関する設定時間の経過に応答して連続するフェーズの終了及び開始も行い得る。自動的にフェーズを終了させる/開始させるこの特徴は、フェーズ固定ベースで、所与のプロトコルに関してユーザが選択的に確立し得る。
【0070】
本発明のこれまでの記載内容は、例示及び説明を目的として提示したものである。さらに、記載内容は、本発明を本明細書で開示の形態に限定するものではない。したがって、上記の教示並びに関連分野の技術及び知識と同等の変化形及び改変は本発明の範囲内にある。上記の実施形態はさらに、本発明を実践するための既知の様式について説明し、また他の当業者が本発明をそのような又は他の実施形態で、また本発明の特定の適用例又は用途で必要とされる様々な改変をもって利用できるようにするためのものである。添付の請求項は、先行技術が許容する程度まで代替の実施形態を含むと解釈されるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2022-07-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者との接触及び熱交換のための医療用パッドの製造方法であって、
流体循環層であって、該層を通じて循環可能な熱交換流体を収容するための前記流体循環層を提供することと、
前記熱交換流体を前記流体循環層内へと循環させるため、前記流体循環層に第1ポートを連結することと、
前記熱交換流体を前記流体循環層外へと循環させるため、前記流体循環層に第2ポートを連結することと、
約1.9~2.37カロリー/時間・cm・℃の熱伝導率を有するヒドロゲル層が前記流体循環層の片面にわたって広がって患者の皮膚に付着させるための粘着面を構成するように、前記ヒドロゲル層を前記流体循環層に加えることとを含む、医薬用パッドの製造方法
【請求項2】
前記ヒドロゲル層が紫外線硬化性組成物を含み、前記紫外線硬化性組成物が、
前記紫外線硬化性組成物の約15~30重量%の量の架橋性コポリマーと、
前記紫外線硬化性組成物の約15~40重量%の量の水と、
前記紫外線硬化性組成物の約25~35重量%の量のグリセロールとを含む、請求項1に記載の医療用パッドの製造方法。
【請求項3】
前記ヒドロゲル層が紫外線硬化性組成物を含み、前記紫外線硬化性組成物が
前記紫外線硬化性組成物の約25~30重量%の量の架橋性コポリマーと
前記紫外線硬化性組成物の約25~35重量%の量の水と
前記紫外線硬化性組成物の約27.5~32.5重量%の量のグリセロールとを含む、請求項1に記載の医療用パッドの製造方法
【請求項4】
前記ヒドロゲル層が約0.04572~0.1016センチメートル(0.018~0.04インチ)の厚さを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の医療用パッドの製造方法
【請求項5】
前記ヒドロゲル層が約0.05588~0.08128センチメートル(0.022~0.032インチ)の厚さを有する、請求項に記載の医療用パッドの製造方法
【請求項6】
前記流体循環層が、
可撓性フィルム層及び
前記フィルム層に相互連結された可撓性ベース部材
により構成され、前記可撓性フィルム層及び前記可撓性ベース部材が、それらの間に画成された内部空間で前記循環可能熱交換流体を収容するためのものである、請求項1~5のいずれか一項に記載の医療用パッドの製造方法
【請求項7】
前記流体循環層が少なくとも約0.1524センチメートル(0.06インチ)の幾何学的高さを前記流体循環層にわたって有する内部空間を画成する、請求項1~6のいずれか一項に記載の医療用パッドの製造方法
【請求項8】
前記流体循環層が、
可撓性フィルム層と、
前記フィルム層に相互連結された可撓性ベース部材とを備え、前記可撓性フィルム層及び前記可撓性ベース部材が、それらの間に画成された内部空間で前記循環可能熱交換流体を収容するためのものであり、前記可撓性ベース部材が、前記可撓性フィルム層に相互連結された複数のリブ部材を含む、請求項に記載の医療用パッドの製造方法
【請求項9】
前記複数のリブ部材が、前記流体循環層を通じる複数の流体流チャネルを画成する、請求項に記載の医療用パッドの製造方法
【請求項10】
前記流体流チャネルが、流入ポートと流出ポートとの間で前記循環可能流体流の流れを指向させる、請求項に記載の医療用パッドの製造方法
【請求項11】
前記リブ部材が前記ベース部材のベース部から前記循環層の前記幾何学的高さを画定する距離で突出する、請求項に記載の医療用パッドの製造方法
【請求項12】
前記突出距離が約0.1524~0.254センチメートル(0.06~0.1インチ)である、請求項11に記載の医療用パッドの製造方法
【請求項13】
前記ベース部材がさらに、前記突出距離に実質的に等しい距離で前記ベース部材の前記ベース部から突出する複数のオフセット突出部を含む、請求項12に記載の医療用パッドの製造方法
【請求項14】
前記粘着面がISO 9665:1998(E)に準拠した測定で約20~65gの粘着力を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の医療用パッドの製造方法
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0070
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0070】
本発明のこれまでの記載内容は、例示及び説明を目的として提示したものである。さらに、記載内容は、本発明を本明細書で開示の形態に限定するものではない。したがって、上記の教示並びに関連分野の技術及び知識と同等の変化形及び改変は本発明の範囲内にある。上記の実施形態はさらに、本発明を実践するための既知の様式について説明し、また他の当業者が本発明をそのような又は他の実施形態で、また本発明の特定の適用例又は用途で必要とされる様々な改変をもって利用できるようにするためのものである。添付の請求項は、先行技術が許容する程度まで代替の実施形態を含むと解釈されるものとする。
(付記)
好ましい実施形態として、上記実施形態から把握できる技術的思想について、以下に記載する。
[項目1]
患者との接触及び熱交換のための医療用パッドであって、
流体循環層であって、該層を通じて循環可能な熱交換流体を収容するための前記流体循環層と、
前記熱交換流体を前記流体循環層内へと循環させるための、前記流体循環層に流体的に相互連結された第1ポートと、
前記熱交換流体を前記流体循環層外へと循環させるための、前記流体循環層に流体的に相互連結された第2ポートと、
前記流体循環層の片面に相互連結され且つその片面にわたって広がる、患者の皮膚に付着させるための粘着面を構成するヒドロゲル層とを備え、
前記ヒドロゲル層が紫外線硬化性組成物を含み、前記組成物が、
前記組成物の約15~30重量%の量の架橋性コポリマーと、
前記組成物の約15~40重量%の量の水と、
前記組成物の約25~35重量%の量のグリセロールとを含む、
医療用パッド。
[項目2]
前記紫外線硬化性組成物が、前記組成物の約25~30重量%の量の架橋性コポリマーと、前記組成物の約25~35重量%の量の水と、前記組成物の約27.5~32.5重量%の量のグリセロールとを含む、項目1に記載の医療用パッド。
[項目3]
前記ヒドロゲル層が少なくとも約1.9カロリー/時間・cm・℃の熱伝導率を有する、項目1に記載の医療用パッド。
[項目4]
前記ヒドロゲル層が約1.9~2.37カロリー/時間・cm・℃の熱伝導率を有する、項目3に記載の医療用パッド。
[項目5]
前記粘着面がISO 9665:1998(E)に準拠した測定で約20~65gの粘着力を有する、項目1に記載の医療用パッド。
[項目6]
前記ヒドロゲル層が約1.9~2.37カロリー/時間・cm・℃の熱伝導率を有する、項目5に記載の医療用パッド。
[項目7]
前記ヒドロゲル層が約0.04572~0.1016センチメートル(0.018~0.04インチ)の厚さを有する、項目1に記載の医療用パッド。
[項目8]
前記ヒドロゲル層が約0.05588~0.08128センチメートル(0.022~0.032インチ)の厚さを有する、項目7に記載の医療用パッド。
[項目9]
前記流体循環層が、
可撓性フィルム層及び
前記フィルム層に相互連結された可撓性ベース部材により構成され、前記可撓性フィルム層及び前記可撓性ベース部材が、それらの間に画成された内部空間で前記循環可能熱交換流体を収容するためのものであり、前記ヒドロゲル層が少なくとも約1.9カロリー/時間・cm・℃の熱伝導率を有する、項目1に記載の医療用パッド。
[項目10]
前記流体循環層が少なくとも約0.1524センチメートル(0.06インチ)の幾何学的高さを前記流体循環層にわたって有する内部空間を画成する、項目1に記載の医療用パッド。
[項目11]
前記流体循環層が、
可撓性フィルム層と、
前記フィルム層に相互連結された可撓性ベース部材とを備え、前記可撓性フィルム層及び前記可撓性ベース部材が、それらの間に画成された内部空間で前記循環可能熱交換流体を収容するためのものであり、前記可撓性ベース部材が、前記可撓性フィルム層に相互連結された複数のリブ部材を含む、項目10に記載の医療用パッド。
[項目12]
前記複数のリブ部材が、前記流体循環層を通じる複数の流体流チャネルを画成する、項目11に記載の医療用パッド。
[項目13]
前記流体流チャネルが、流入ポートと流出ポートとの間で前記循環可能流体流の流れを指向させる、項目12に記載の医療用パッド。
[項目14]
前記リブ部材が前記ベース部材のベース部から前記循環層の前記幾何学的高さを画定する距離で突出する、項目11に記載の医療用パッド。
[項目15]
前記突出距離が約0.1524~0.254センチメートル(0.06~0.1インチ)である、項目14に記載の医療用パッド。
[項目16]
前記ベース部材がさらに、前記突出距離に実質的に等しい距離で前記ベース部材の前記ベース部から突出する複数のオフセット突出部を含む、項目15に記載の医療用パッド。
[項目17]
前記ヒドロゲル層が約1.9~2.37カロリー/時間・cm・℃の熱伝導率を有する、項目16に記載の医療用パッド。
[項目18]
前記粘着面がISO 9665:1998(E)に準拠した測定で約20~65gの粘着力を有する、項目17に記載の医療用パッド。
[項目19]
前記紫外線硬化性組成物が、前記組成物の約25~30重量%の量の架橋性コポリマーと、前記組成物の約25~35重量%の量の水と、前記組成物の約27.5~32.5重量%の量のグリセロールとを含む、項目18に記載の医療用パッド。
[項目20]
前記ヒドロゲル層が約0.05588~0.08128センチメートル(0.022~0.032インチ)の厚さを有する、項目19に記載の医療用パッド。
[項目21]
患者との接触熱交換のためのシステムであって、
医療用パッドと、
流体調節アセンブリと、
コントローラと、を備え、
前記医療用パッドが、
流体循環層であって、該層を通じて循環可能な熱交換流体を収容するための前記流体循環層と、
前記熱交換流体を前記流体循環層内へと循環させるための、前記流体循環層に流体的に相互連結された第1ポートと、
前記熱交換流体を前記流体循環層外へと循環させるための、前記流体循環層に流体的に相互連結された第2ポートと、
前記流体循環層の片面に相互連結され且つその片面にわたって広がる、患者の皮膚に付着させるための粘着面を構成するヒドロゲル層とを含み、
前記ヒドロゲル層が紫外線硬化性組成物を含み、前記組成物が、
前記組成物の約15~30重量%の量の架橋性コポリマーと、
前記組成物の約15~40重量%の量の水と、
前記組成物の約25~35重量%の量のグリセロールとを含む前記医療用パッドであり、
前記流体調節アセンブリが、
前記熱交換器及び前記医療用パッドを通じて前記熱交換流体を循環させるための流体ポンプと、
前記循環流体の温度の制御に使用するための熱交換器とを含む前記流体調節アセンブリであり、
前記コントローラが、前記熱交換器の動作を制御することで既定の態様で前記循環流体の温度制御を行う出力信号を送るための前記コントローラである、システム。
[項目22]
前記流体ポンプが前記流体を前記パッドにおいて陰圧で循環させることができる、項目21に記載のシステム。
[項目23]
患者の温度を検知し且つそれを示す患者温度信号を送るための患者温度センサをさらに備え、前記コントローラが、前記熱交換器に前記出力信号を送るにあたって前記患者温度信号を利用できる、項目21に記載のシステム。
[項目24]
前記流体調節アセンブリが、
前記循環流体の温度を検知し且つそれを示す流体温度信号を送るための流体温度センサを含み、前記コントローラが、前記熱交換器に前記出力信号を送るにあたって前記流体温度信号を利用できる、項目21に記載のシステム。
[項目25]
前記医療用パッドの前記ヒドロゲル層が約1.9~2.37カロリー/時間・cm・℃の熱伝導率を有する、項目21に記載のシステム。
[項目26]
前記医療用パッドの前記流体循環層が少なくとも約0.1524センチメートル(0.06インチ)の幾何学的高さを前記流体循環層にわたって有する内部空間を画成する、項目25に記載のシステム。
[項目27]
前記医療用パッドの前記ヒドロゲル層の前記紫外線硬化性組成物が、前記組成物の約25~30重量%の量の架橋性コポリマーと、前記組成物の約25~35重量%の量の水と、前記組成物の約27.5~32.5重量%の量のグリセロールとを含む、項目26に記載のシステム。
[項目28]
前記医療用パッドの前記ヒドロゲル層が約0.05588~0.08128センチメートル(0.022~0.032インチ)の厚さを有する、項目27に記載のシステム。
[項目29]前記医療用パッドの前記流体循環層が少なくとも約0.1524センチメートル(0.06インチ)の幾何学的高さを前記流体循環層にわたって有する内部空間を画成する、項目28に記載のシステム。
[項目30]
前記医療用パッドの前記流体循環層が、
可撓性フィルム層と、
前記フィルム層に相互連結された可撓性ベース部材とを備え、前記可撓性フィルム層及び前記可撓性ベース部材が、それらの間に画成された内部空間で前記循環可能熱交換流体を収容するためのものであり、前記可撓性ベース部材が、前記可撓性フィルム層に相互連結された複数のリブ部材を含み、
前記リブ部材が前記ベース部材のベース部から前記循環層の前記幾何学的高さを規定する距離で突出する、項目29に記載のシステム。
【外国語明細書】