(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022141743
(43)【公開日】2022-09-29
(54)【発明の名称】消化管癌および胃癌を含む数種の腫瘍に対する新規免疫療法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/12 20060101AFI20220921BHJP
C07K 7/06 20060101ALI20220921BHJP
C07K 14/47 20060101ALI20220921BHJP
C07K 14/74 20060101ALI20220921BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20220921BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20220921BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20220921BHJP
C12N 5/0784 20100101ALI20220921BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20220921BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20220921BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20220921BHJP
C12P 21/02 20060101ALI20220921BHJP
C12N 5/0783 20100101ALI20220921BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220921BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20220921BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20220921BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20220921BHJP
A61K 38/08 20190101ALI20220921BHJP
A61K 39/00 20060101ALI20220921BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220921BHJP
A61K 47/64 20170101ALI20220921BHJP
A61K 39/385 20060101ALI20220921BHJP
A61K 47/68 20170101ALN20220921BHJP
A61K 39/395 20060101ALN20220921BHJP
【FI】
C12N15/12
C07K7/06 ZNA
C07K14/47
C07K14/74
C07K19/00
C12N15/63 Z
C12N5/10
C12N5/0784
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12P21/02 C
C12N5/0783
A61P35/00
A61P37/04
A61K35/17 Z
A61K48/00
A61K38/08
A61K39/00 H
A61P43/00 107
A61K47/64
A61K39/385
A61K47/68
A61K39/395 C
A61K39/395 L
【審査請求】有
【請求項の数】27
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108874
(22)【出願日】2022-07-06
(62)【分割の表示】P 2020106497の分割
【原出願日】2011-03-15
(31)【優先権主張番号】61/315,704
(32)【優先日】2010-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】1004551.6
(32)【優先日】2010-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】506258073
【氏名又は名称】イマティクス バイオテクノロジーズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100174252
【弁理士】
【氏名又は名称】赤津 豪
(72)【発明者】
【氏名】ヴァインシェンク,トニ
(72)【発明者】
【氏名】フリッチェ,イェンス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルター,シュテフェン
(72)【発明者】
【氏名】レヴァントロフスキ,ペテル
(72)【発明者】
【氏名】シン,ハープリート
(57)【要約】 (修正有)
【課題】胃がんなどに対して、重度の副作用に至る可能性のある化学療法剤などを使用せずに、患者の健康を高める有効で安全な新たな治療選択肢を提供する。
【解決手段】癌などに対する免疫療法で用いられるペプチド、核酸および細胞を開示する。さらに、腫瘍関連障害性T細胞(CTL)のペプチドエピトープ単独について、あるいは抗腫瘍免疫応答を刺激するワクチン組成物の薬剤有効成分として働く他の腫瘍関連ペプチドとこれらエピトープとの組み合わせを開示する。また、抗腫瘍免疫応答を誘発するワクチン組成物で使用され得る、ヒト腫瘍細胞のHLAクラスI分子に由来する95個の新規ペプチド配列と変異体も開示する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号6に示されるアミノ酸配列からなるペプチド、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項2】
ペプチドがヒト主要組織適合複合体(MHC)クラスIへの結合能力を有する、請求項1に記載のペプチド。
【請求項3】
請求項1または2に記載のペプチドが、修飾されている、および/または非ペプチド結合を含む、ペプチド。
【請求項4】
HLA-DR抗原関連変異体鎖(Ii)のN-末端アミノ酸および請求項1~3のいずれか1項に記載のペプチドを含む、融合ペプチド。
【請求項5】
請求項1もしくは2に記載のペプチドまたは請求項4に記載の融合ペプチドをコードする核酸、または請求項1もしくは2に記載のペプチド
または請求項4に記載の融合ペプチドをコードする核酸であり、前記核酸が、DNA、cDNA、PNA、CNA、RNAまたはそれらの組み合わせである、
核酸。
【請求項6】
請求項5に記載の核酸を発現する能力のある発現ベクター。
【請求項7】
請求項1~3のいずれか1項に記載のペプチド、請求項4に記載の融合ペプチド、請求項5に記載の核酸、または請求項6に記載の発現ベクターを含有する医薬。
【請求項8】
請求項5に記載の核酸、または請求項6に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
【請求項9】
宿主細胞が抗原提示細胞である、または
宿主細胞が抗原提示細胞であって、前記抗原提示細胞が樹状細胞である、
請求項8に記載の宿主細胞。
【請求項10】
請求項8に記載の宿主細胞を培養する工程と、該宿主細胞またはその培地からペプチドまたは融合ペプチドを単離する工程を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のペプチドまたは請求項4に記載の融合ペプチドを作製する方法。
【請求項11】
抗原特異的方法で細胞傷害性Tリンパ球(CTL)を活性化するのに十分な期間、適当な抗原提示細胞表面上で発現された抗原を負荷したヒトクラスI MHC分子とCTLをin vitroで接触させることを含むものであって、前記抗原は請求項1~3のいずれか1項に記載のペプチドまたは請求項4に記載の融合ペプチドである、活性化細胞傷害性Tリンパ球(CTL)を作製するin vitro方法。
【請求項12】
抗原提示細胞と十分な量の抗原を接触させることにより、適当な抗原提示細胞表面上で発現されたクラスI MHC分子上に抗原が負荷される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
抗原提示細胞は、請求項1に記載のペプチドを発現可能な発現ベクターを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
請求項11~13のいずれか1項に記載の方法によって作製され、請求項1または2に記載のペプチドを異常に発現する細胞を選択的に認識する、活性化細胞傷害性Tリンパ球(CTL)。
【請求項15】
請求項1または2に記載のペプチドを異常に発現する細胞を標的とする、有効量の請求項14に記載の細胞傷害性Tリンパ球(CTL)を含む、標的細胞死滅用薬剤。
【請求項16】
医薬の製造における、請求項1~3のいずれか1項に記載のペプチド、請求項4に記載の融合ペプチド、請求項5に記載の核酸、請求項6に記載の発現ベクター、請求項8もしくは9に記載の宿主細胞、または請求項14に記載の活性化細胞傷害性Tリンパ球の使用。
【請求項17】
医薬がワクチンである、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
医薬がガンに対して活性がある、または
医薬がガンに対して活性があって、ガンは胃癌、消化管癌、結腸直腸癌、膵臓癌、肺癌、もしくは腎臓癌である、
請求項16または17に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫療法で用いられるペプチド、核酸および細胞に関する。特に、本発明は、がんの免疫療法に関する。本発明はさらに、腫瘍関連CD8+T細胞認識エピトープ単独について、あるいは抗腫瘍免疫応答を刺激するワクチン組成物の薬剤有効成分として働く他の腫瘍関連ペプチドとこれらエピトープとの組み合わせに関する。本発明は、抗腫瘍免疫応答を誘発するワクチン組成物、特に細胞傷害性T細胞(CTL)応答で使用され得る、ヒト腫瘍細胞のHLAクラスI分子に由来する33個の新規ペプチド配列と変異体に関する。
【背景技術】
【0002】
胃癌は胃壁に悪性細胞が形成する疾患である。胃癌は胃の一部に発生し、胃全体さらにその他の器官特に食道、肺、および肝臓まで転移する可能性がある。胃癌は、世界で4番目に一般的ながんであり、2002年には930,000症例が診断されている。
胃癌は、がんによる死亡原因では肺癌に続き世界で2番目であり、高い死亡率(約80万人/年)の疾患である男性で多く見られ、アジア諸国や開発途上国ではより多く発生する。(http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs297/en/.)
【0003】
米国では胃癌は毎年新ながん発生患者のおよそ2%(25,500例)であるが、他の国々ではより一般的である。韓国では最も多いがんのタイプであり、悪性新生物の20.8%を占めている。日本では胃癌が男性では最も一般的ながんとなっている。米国では毎年、男性13,000人、女性8,000人が胃癌と診断されている。殆どの患者が70歳を超えている。
【0004】
胃癌は、肺癌、乳癌、大腸癌に続き世界で4番目に一般的ながんである。さらに、胃癌はがんによる死亡率が2番目に高くなっている。米国がん協会の推定によれば、2007年にはおよそ100万人が新に胃癌と診断され、そのうち70%近くが開発途上国で発生し、約80万人が死亡している(http://www.cancer.org/downloads/STT/Global_Facts_and_Figures_2007_rev2.pdf.)。
【0005】
本疾患の世界中での発生には地理的な変動が大きい。胃癌の発生率はアジアと一部の南米で最も高く、北米で最も低い。最も死亡率が高いのは、チリ、日本、南米、および旧ソ連である。
【0006】
胃癌は、進行した段階で診断されることが多いが、これは日本と韓国の上流階級(多くは早期に発見される)を除き、世界の殆どの地域でスクリーニングが実施されていないからである。そのため、ヘルスケア専門家達にとって大きな課題となり続けている。胃癌のリスク要因は、ピロリ菌(H.pylori)の感染、喫煙、塩分の高摂取、および他の食事要因である。胃癌の遺伝的素因症候に関係しているのは、少数である(1%~3%)。常染色体優性の素因を有する家族の約25%にE-カドヘリンの変異が発生して胃癌のタイプを拡散する。この胃癌のサブセットは胃癌の遺伝的拡散と言われてきた12。遺伝的カウンセリングを提供し、さらに生殖細胞系が欠失されている、若くて無症状のキャリアーには予防的胃切除を考えるのは有用と思われる。
【0007】
胃壁は、粘膜(最内部)層、筋層(中間)、および漿膜(最外部)層の3層から成っている。胃癌は、粘膜層の内側を覆っている細胞で始まり、増殖に従い外側層に広がる。標準的治療には4種類ある。胃癌の治療には手術、化学療法、放射線療法、または化学放射線療法が入ると思われる。胃癌の一次療法は手術である。手術の目標は、切除断片陰性(R0切除)で完全に切除することである。しかし、局所領域の胃癌患者の約50%はR0切除で手術することはできない。R1は顕微鏡的残存がん(切除断片陽性)を示し、R2は肉眼的残存がんを示すが遠隔疾患はない。患者の転帰は診断時の癌の初期病期に依存する(NCCN Clinical Practice Guidelines in OncologyTM)。
【0008】
治癒的切除術後の5年生存率は、病期IIの患者で30~50%、病期IIIで10~25%である。 これらの患者は局所および全身での再発傾向が高い。胃癌患者の80-90%が転移し、6ヶ月生存率は早期病期で診断されると65%、末期病期では15%未満である。
【0009】
それ故、胃癌、前立腺癌、口腔上皮内癌、口腔扁平上皮癌(OSCC)、急性骨髄性白血病(AML)、ピロリ菌誘発性MALTリンパ腫、大腸癌(結腸癌/結腸直腸癌)、神経膠芽腫、非小細胞肺癌(NSCLC)、子宮頸癌、ヒト乳癌、前立腺癌、大腸癌、膵臓癌、膵管腺癌、卵巣癌、肝細胞癌、肝臓癌、様々な表現型の脳腫瘍、急性リンパ芽球性白血病(ALL)などの白血病、肺癌、ユーイング肉腫、子宮内膜癌、頭頸部扁平上皮細胞癌、咽頭上皮癌、食道癌、口腔癌、膀胱癌、卵巣癌、腎細胞癌、非定型髄膜腫、甲状腺乳頭癌、脳腫瘍、唾液腺癌、子宮頸癌、節外性T/NK細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、および肺と乳房の悪性固形腫瘍、さらに重度の副作用に至る可能性のある化学療法剤または他の薬剤を使用せずに患者の健康を高める他の腫瘍に対してなおも、有効で安全な新たな治療選択肢を必要としている。
【発明の概要】
【0010】
本発明は免疫系を刺激し、非浸潤型の抗腫瘍剤として作用するペプチドを盛り込んでいる。
【0011】
免疫応答の刺激は、宿主の免疫系により異物であると認識された抗原が存在するかに依存する。腫瘍関連坑原が存在することが発見され、腫瘍の成長に介入するため、宿主の免疫系を利用する可能性が浮上している。体液性免疫応答と細胞性免疫応答の両方を結びつける様々なメカニズムが、現在、がんの免疫療法において研究されつつある。
【0012】
細胞性免疫応答の特定の要素は、腫瘍細胞を特異的に認識し破壊することができる。細胞傷害性T細胞(CTL)が腫瘍浸潤細胞群や末梢血から単離されることから、このような細胞ががんに対する自然免疫防御において重要な役割を果たしていることが示唆される。タンパク質に由来する通常8個から10個のアミノ酸残基のペプチドを持つ、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスI分子、つまりシトソールに存在する不完全なリボソーム産物(defectiveribosomalproducts、DRIPs)を認識するCD8陽性T細胞(TCD8+)は特に、この応答に重要な働きをしている。ヒトのMHC分子はヒト白血球型抗原(HLA)とも呼ばれる。
【0013】
MHC分子には2つのクラスがあり、MHCクラスI分子は核を持つほとんどの細胞に存在していることが分かっている。MHC分子は、それぞれ、重鎖(α鎖)とβ2-ミクログロブリンから(MHCクラスI受容体)、または、α鎖とβ鎖(MHCクラスII受容体)から成る。これらの分子は3次元をとることで、ペプチドとの非共有結合に使われる結合溝を作り出している。MHCクラスIは、主に内在性のタンパク質の分解により生成するペプチドである、DRIPおよびより大きなペプチドを示す。MHCクラスII分子は主にプロフェッショナル抗原提示細胞(APC)上に認められる。これらは、エンドサイトーシスの過程でAPCにより取り込まれた後処理される、外因性タンパクまたは膜貫通型タンパクのペプチドを主に提示する。ペプチドとMHCクラスI分子の複合体は、適切なTCR(T細胞受容体)を持つCD8陽性細胞傷害性Tリンパ球により認識され、ペプチドとMHCクラスII分子の複合体は、適切なTCRを持つCD4陽性ヘルパーT細胞により認識される。TCRとペプチドとMHC分子は1:1:1の量比で与えられることが良く知られている。
【0014】
ペプチドが細胞性免疫応答を引き起こすには、MHC分子へ結合が必要である。この過程はMHC分子の対立遺伝子とペプチドアミノ酸配列の固有の多型性によって決定される。MHCクラスI結合ペプチドは通常8個から12個のアミノ酸残基長であり、MHC分子の対応する結合溝と相互作用するペプチドの配列内に通常2つの保存された残基(「アンカー」)を持つ。このようにして、個々のMHC対立遺伝子は、どのペプチドが結合溝に特異的に結合できるかを決定する「結合モチーフ」を有する。
【0015】
MHCクラスI依存性免疫反応において、ペプチドは、腫瘍細胞によって発現中のある種のMHCクラスI分子と結合可能であることが必要であり、特定のT細胞受容体(TCR)を持つT細胞によって認識されることも必要である。
【0016】
腫瘍に特異的なCTLに認識される抗原、つまりCTLのエピトープは、酵素、受容体、転写因子などすべての種類のタンパク質に由来した分子である可能性があり、それらの分子は発現され、さらに起源が同一で変化していない細胞と比較して、各々の腫瘍細胞内でアップレギュレートされている。
【0017】
腫瘍関連抗原(TAA)の最新の分類は、以下にあげる主要グループからなる。
a)がん精巣抗原:これまでに同定されたT細胞が認識できる最初のTAAはこのクラスに属し、このクラスは、メンバーが、組織学的に異なるヒト腫瘍および正常組織では、精巣の精母細胞/精原細胞および時折胎盤でのみ発現していることから、初めはがん精巣(CT)抗原と呼ばれていた。精巣の細胞はクラスIおよびクラスIIのHLA分子を発現しないため、これらの抗原は通常の組織ではT細胞によって認識されず、よって免疫学的には腫瘍特異的であると考えられる。CT抗原として良く知られている例は、MAGEファミリーのメンバーまたはNY-ESO-1である。
b)分化抗原:これらのTAAは腫瘍および腫瘍の発生源となった正常組織間で共有され、多くがメラノーマまたは正常のメラニン細胞内で見出されている。これらのメラニン細胞系列関連のタンパク質の多くはメラニンの生合成に関与しており、それゆえに腫瘍特異的でないにもかかわらずがんの免疫療法に広く使用されている。例として、チロシナーゼやMelan-A/MART-1がメラノーマに、PSAが前立腺がんに使用されているが、これだけには限定されない。
c)過剰発現TAA:広く発現しているTAAをコード化している遺伝子は組織学的に異なる型の腫瘍で検出され、また正常組織でも低い発現レベルで検出される。正常細胞により処理され潜在的に提示されるエピトープの多くがT細胞に認識される閾値を下回っているが、一方、これらの腫瘍細胞の過剰発現が以前に獲得された耐性を破って抗がん作用を始動させる可能性はありうる。このクラスのTAAの代表例は、Her-2/neu、サバイビン、テロメラーゼおよびWT1である。
d)腫瘍特異的抗原:これらの特有のTAAは正常の遺伝子(例えばβカテニン、CDK4など)の突然変異により生じる。これらの分子変化の一部は腫瘍性形質転換と進行の両方又は一方に関与している。腫瘍特異抗原は正常組織に対する自己免疫反応のリスクを持たずに、通常強い免疫応答を始動させることができる。一方、これらのTAAは多くの場合、これらが同定されたまさにその腫瘍のみに関連しており、通常、個々の多数の腫瘍間では共有されない。
e)異常な翻訳後修飾により生ずるTAA:このようなTAAは、腫瘍内で特異的でもなく過剰発現もされないタンパク質から生ずるにもかかわらず、腫瘍内で主に活性な翻訳後工程に関連する腫瘍となる。このクラスの例として、MUC1に関しては腫瘍細胞で新規エピトープに導く、変化したグリコシル化パターンや、腫瘍細胞に特異的または非特異的な、分解過程中のタンパク質スプライシングなどが挙げられる。
f)オンコウイルスタンパク質:これらのTAAは腫瘍形成プロセスで非常に重要な役割を果たす可能性のあるウイルスタンパク質であり、異種(ヒト由来ではない)であるので、T細胞応答を喚起できる。このようなタンパク質の例として、子宮頸癌で発現されるヒトのパピローマタイプ16ウイルスタンパク質、E6とE7がある。
【0018】
タンパク質が腫瘍特異抗原または腫瘍関連抗原として細胞傷害性Tリンパ球に認識され、更に、治療に使用されるには、特定の条件を満たしていなければならない。この抗原は主に腫瘍細胞から発現されるものであり、正常で健康な組織において比較的少量で発現されるものではない。個々の抗原はあるタイプの腫瘍細胞に存在するだけでなく、濃度(1細胞につき各々のペプチドのコピー数)が高いことがさらに好ましい。腫瘍特異抗原および腫瘍関連抗原は、例えば細胞周期調節やアポトーシス抑制のような機能を原因とする、正常細胞から腫瘍細胞への転換に直接関わるタンパク質から生ずる。更に、転換の直接原因となるタンパク質の下流ターゲットはアップレギュレートされるため、腫瘍には間接的に関連している可能性がある。このような間接的腫瘍関連抗原は、ワクチン摂取のターゲットにもなることがある(Singh-JasujaH.,Emmerich N.P.,Rammensee H.G.,Cancer Immunol.Immunother.2004 Mar;453(3):187-95)。両方の場合とも、エピトープが抗原のアミノ酸配列に存在することが不可欠である。というのは、このような腫瘍関連抗原由来のペプチド(「免疫原性ペプチド」)が、in vitroまたはin vivoでT細胞応答を引き起こすはずだからである。
【0019】
基本的に、MHC分子に結合できるいずれのペプチドも、T細胞エピトープとして機能しうる。in viroまたはin vivoにおいてT細胞応答を誘発するには、対応するTCRを有するT細胞の存在と、さらにこの固有エピトープに対する免疫学的耐性の欠損が必須条件である。
【0020】
そのため、TAAは腫瘍ワクチンの開発における出発点である。TAAを同定し、その特性を示す方法は、患者または健康な被験者から単離できるCTLを使用することに基づくか、または腫瘍と正常組織の間の異なる転写プロファイルまたは異なるペプチド発現パターンの生成に基づいている。
【0021】
しかしながら、腫瘍組織またはヒト腫瘍細胞株に過剰発現しているか、選択的にそのような組織や細胞株に発現している遺伝子の同定では、免疫療法でこれらの遺伝子から転写中の抗原を利用することに関して正確な情報は得られない。これは、対応するTCRを持つT細胞の存在が必要であり、また、この特定エピトープに対する免疫耐性の欠損、または最小化が必要であることから、これらの抗原エピトープの個々の亜集団のみがそのような用途に適しているからである。それゆえ、機能的T細胞が認められるMHC分子と結合した状態で存在する、過剰発現または選択的に発現しているタンパクから生ペプチドのみを選択することが重要となる。そのような機能的T細胞は、特異抗原の刺激によって、クローンを増やし、エフェクター機能を行使できるT細胞として定義される(「エフェクターT細胞」)。
【0022】
ヘルパーT細胞は、抗腫瘍免疫性において、CTLのエフェクター機能を統合する際に重要な役割を果たす。TH1タイプのヘルパーT細胞応答を始動させるヘルパーT細胞エピトープは、腫瘍関連ペプチド/MHC複合体を細胞表面に有している腫瘍細胞に対する傷害機能など、CD8陽性キラーT細胞のエフェクター機能をサポートしている。このようにして、腫瘍関連ヘルパーT細胞ペプチドのエピトープは、単独で、または他の主要関連ペプチドと共に、抗腫瘍免疫応答を刺激するワクチン組成物の薬剤有効成分とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1-1】:原発性腫瘍サンプルGC2464上にその存在を示すCDC2-001の典型的な質量スペクトル。NanoESI-LCMSは、GCサンプル2464から溶出したペプチドプール上で実施された。A)m/z597.3501±0.001Da,z=2での質量分析クロマトグラムは、保持時間151.63minでペプチドピークを示している。B)マスクロマトグラムで検出された151.63minのピークは、質量スペクトルではm/z597.3501のシグナルを示した。C)特定の保持時間でのnanoESI-LCMS実験で記録された、特定の前駆体m/z597.3501から衝突誘発された減衰質量スペクトルから、GC2464腫瘍サンプル中のCDC2-001の存在が確認された。D)合成CDC2-0011のフラグメンテーションパターンが記録され、配列確認のためにCで示した、得られた天然TUMAPのフラグメンテーションパターンと比較された。
【
図2】:選択したタンパク質の正常組織と25個の胃癌サンプルおけるmRNAの発現プロフィールを示す。a)CDC2(Probeset ID:203213_at)b)ASPM(Probeset ID:219918_s_at)
【
図3】:クラスI TUMAPのペプチド特異的in vitro免疫原性の典型的な結果。CD8+T細胞は、関連(左パネル)および非関連ペプチド(右パネル)を各々装填した人工APCを使ってプライムされた。刺激サイクルを3回実施後、関連A
*2402多量体と非関連A
*2402多量体を合わせた二重染色により、ペプチド反応性細胞の検出が行われた。示された細胞はCD8+リンパ球のゲートを通過し、プロットの数値は多量体陽性細胞の割合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明で使用される全ての用語は、特に記載されない限り、以下に定義されたとおりである。「ペプチド」という用語は、本明細書では、隣接したアミノ酸の*アミノ基とカルボニル基間のペプチド結合によって、通常互いに結合された一連のアミノ酸残基を表すために使用される。前記ペプチドは、好ましくは9アミノ酸長であるが、最短で8アミノ酸長、最長で10、11、12、13、または14アミノ酸長である。
【0025】
「オリゴペプチド」という用語は、本明細書では、隣接したアミノ酸のαアミノ基およびカルボニル基間のペプチド結合によって、通常お互いの間を接続する一連のアミノ酸残基を表すために使用される。正しいエピトープの1つあるいは複数がそこに維持される限り、オリゴペプチドの長さは本発明に決定的なものではない。オリゴペプチドの長さは通常、アミノ酸残基約30個未満で、アミノ酸は約14個を超える「ポリペプチド」という用語は、隣接したアミノ酸のα位のアミノ基およびカルボニル基間のペプチド結合によって、通常お互いの間を接続する一連のアミノ酸残基を表す。正しいエピトーップがそこに維持される限り、ポリペプチドの長さは本発明に決定的なものではない。ペプチドやオリゴペプチドという用語に比べ、ポリペプチドという用語は、アミノ酸残基が約30個を超えるタンパク質分子を示す。
【0026】
そのような分子をコード化するペプチド、オリゴペプチド、タンパク質、またはポリヌク
レオチドは、免疫応答を誘発できる場合、「免疫原性」(したがって本発明内の「免疫原」)である。本発明の場合には、免疫原性はT細胞が介在する応答を誘発する能力としてより明確に定義される。したがって、「免疫原」は、免疫応答の誘発が可能な分子で、本発明の場合は、T細胞の応答を誘発できる分子と考えられる。
【0027】
T細胞の「エピトープ」は、クラスIMHC受容体に結合し、三元複合体(MHCクラスIα鎖、β-2-ミクログロブリン、およびペプチド)を形成する短鎖ペプチドを必要とし、この三元複合体は、適度な親和性でMHC/ペプチド複合体と結合する対応T細胞受容体を有するT細胞によって認識されうる。MHCクラスI分子と結合するペプチドは通常、8~14アミノ酸長で、最も典型的には9アミノ酸長である。
【0028】
ヒトでは、MHCクラスI分子をコード化する3つの異なる遺伝子座、HLA-A、HLA-BおよびHLA-Cがある(ヒトMHC分子はまたヒト白血球抗原(HLA)と呼ばれる)。HLA-A*01、HLA-A*02およびHLA-A*024は、これらの遺伝子座から発現されうる異なるMHCクラスI対立遺伝子の例である。
【0029】
表1:HLA
*A024および最も発現頻度の高いHLA
*A02402血清型の発現頻度F。ハーディー・ワインベルク式F=1-(1-Gf)
2 を利用し、Moriら(Mori et al.1017-27)の文献から採用した米国人集団のハプロタイプ頻度Gfから頻度を推測した。
詳細については、Chanockらの文献を参照(Chanock et al.,1211-23)。
【表1】
【0030】
本明細書で使用しているように、DNA配列とは、一本鎖と二本鎖DNAの両方を意味する。そのため、特に記載のない限り、特異的配列とは、かかる配列の一本鎖DNA、かかる配列の相補鎖との二本鎖(二本鎖DNA)、およびかかる配列の相補鎖を示す。「コード領域」という用語は、天然ゲノム環境すなわち、in vivoにおける遺伝子の天然発現産物のコード領域において、天然にまたは通常に該遺伝子の発現産物をコード化する、遺伝子のそ
の部分を示す。
【0031】
コード領域は、非変異(「正常」)、変異、または改変した遺伝子に由来するか、DNA合成の当業者にはよく知られた方法で完全に合成したDNA配列、または遺伝子に由来する。
【0032】
「ヌクレオチド配列」という用語は、デオキシリボヌクレオチドのヘテロ多量体を示す。
【0033】
特定のペプチド、オリゴペプチドまたはポリペプチドをコード化するヌクレオチド配列は天然に発生することも、合成されることもある。一般的に、本発明のペプチド、ポリペプチド、およびタンパク質をコード化するDNAセグメントは、cDNAフラグメントおよび短いオリゴヌクレオチドリンカー、または一連のオリゴヌクレオチドから作成され、微生物またはウイルスオペロン由来の調節エレメントからなる遺伝子組換え転写単位内で発現されうる合成遺伝子を与える。
【0034】
「発現産物」という用語は、遺伝子コード縮重の結果、同等物をコードし、次いで同一アミノ酸をコード化する、遺伝子およびあらゆるヌクレオチド配列から天然に翻訳された産物である、ポリペプチドまたはタンパク質を意味する。
【0035】
「フラグメント」という用語は、コード配列に関する場合は、完全なコード領域より短いDNAの一部を意味し、その発現産物は、完全なコード領域の発現産物と本質的に同一の生物学的機能または活性を保持する。
【0036】
「DNAセグメント」という用語は、分離フラグメントあるいはより大きいDNA構成物の一組成の形であるDNAポリマーを示し、このポリマーは十分に純粋な形、すなわち、内因性物質の混在がない形で、しかも、標準的な生化学的方法たとえばクローニングベクターによりセグメントやその構成ヌクレオチド配列の同定、操作、回収が可能な量と濃度で、少なくとも1回単離されたDNAから誘導されている。そのようなセグメントは、真核生物の遺伝子中で通常提示される内在性非翻訳配列、すなわちイントロンによって中断されないオープンリーンディングフレームの形で供給される。非翻訳DNA配列は、オープンリーンディングフレームの下流に存在することがあるが、コード領域の調節や発現を邪魔することはない。
【0037】
「プライマー」という用語は一本鎖DNAと対になることができ、DNAポリメラーゼがデオキシリボ核酸鎖の合成を開始する遊離3’OH末端となる短い核酸配列を意味する。
【0038】
「プロモーター」という用語は、転写を開始するRNAポリメラーゼの結合に関わるDNAの一領域を意味する。
【0039】
「単離される」という用語は、物質がその本来の環境(例えば、それが自然に発生するのであれば、自然環境)から取り除かれることを意味する。例えば、生存する動物のポリヌクレオチドまたはポリペプチドは単離されているとは言えないが、自然界の一部または全ての共存物質から分けられた同じポリヌクレオチドまたはポリペプチドは単離されていると言える。そのようなポリヌクレオチドはベクターの一部である可能性があり、および/またはそのようなポリヌクレオチドまたはポリペプチドは組成物の一部となる可能性があり、そのようなベクターまたは組成物がその自然環境の一部ではないため、単離されていると言える。
【0040】
本発明によって公表されているポリヌクレオチドおよび、遺伝子組換えポリペプチドまたは免疫原性ポリペプチドも、「精製されている」状態である。「精製される」という用語
は、完全に精製される必要はなく、むしろ、相対的な定義を意味し、高純度に精製された調製物または、部分的にのみ精製された調製物も含むが、これらの用語は関連分野の当業者には理解されている。
例えば、cDNAライブラリーから単離された個々のクローンは、電気泳動的に均一になるように従来法で精製される。出発物質または天然物質の精製では、最低でも有効数字1桁、好ましくは2桁または2桁、より好ましくは4桁または5桁が明確に意図される。さらに、請求項におけるポリペプチドでは、重量で、好ましくは99.999%、少なくとも99.99%または99.9%、さらに望ましくとも99%以上の純度を有することが明確に意図される。
【0041】
本発明によって公表される核酸およびポリペプチド発現産物、およびそのような核酸および/またはポリペプチドを含む発現ベクターは「濃縮型」である。本明細書で使われている「濃縮型」と言う用語は、物質の濃度が例えば、それ自身の自然に存在する濃度の少なくとも約2、5、10、100、または1000倍であり、また、重量で0.01%であれば有利であり、好ましくは少なくとも約0.1%であることを意味する。また、濃縮調製物で期待されるのは、重量で約0.5%、1%、5%、10%、および20%である。本発明における配列、構造物、ベクター、クローンおよび他の物質は、濃縮型または単離型であることが有利である。
【0042】
「活性フラグメント」という用語は、選択的に適切なアジュバントと共に、または単独で、動物例えばウサギまたはマウス、およびヒトも含む哺乳動物に投与した際、免疫応答を起こす(すなわち免疫原性活性を有する)フラグメントを意味し、このような免疫応答は、ヒトなどの受容動物内でT細胞応答を刺激するという形を取る。また、この「活性フラグメント」は、in vitroでT細胞応答の誘導に使用されることもある。
【0043】
本明細書では、「一部分」、「セグメント」、「フラグメント」という用語は、ポリペプチドに関して使用される時、アミノ酸残基のような残基の連続的な配列を指し、その配列はより大きな配列のサブセットを形成する。例えば、ポリペプチドがトリプシンまたはキモトリプシンのような一般的なエンドペプチダーゼの処理を受けた場合、そのような処理により得られるオリゴペプチドは、出発ポリペプチドの一部分、セグメントあるいはフラグメントに相当すると思われる。このことは、そのようなフラグメントのいずれも、SEQID NO:1からNO:33の配列に全く同一でなくとも、実質的に同一なセグメント、フラグメントまたは一部分を、そのアミノ酸配列の一部として、必要に含んでいることを意味しており、それらは、自然界に生ずる、またはSEQ ID NO:1からNO:33の「親」タンパク質に相当する。
ポリヌクレオチドに関連して使用する時、そのような用語は任意の共通のエンドヌクレアーゼをもつ前記ポリヌクレオチドの処理によって生成された生成物を指す。
【0044】
本発明に従って、配列に言及する場合、「同一性パーセント」または「同一パーセント」という用語は、比較する配列(「比較配列」)を報告済みまたは請求項の配列(「参照配列」)とアラインメントした後に、ある配列を、報告済みまたは請求項の配列と比較することを意味する。続いて、同一性パーセントは次式により決定される:
同一性パーセント=100[I-(C/R)]
Cは、参照配列と比較配列間のアラインメントの長さ上の参照配列と比較配列間とで異なる残基数を示す。ここで、
(i)比較配列上で相当する整列した塩基やアミノ酸を持たない参照配列の各塩基またはアミノ酸、および
(ii)参照配列の各ギャップ、および
(iii)比較配列でアラインメントした塩基あるいはアミノ酸と異なる参照配列で整列した、各塩基あるいはアミノ酸が、差に相当する、つまりRは、塩基またはアミノ酸としても数えられる参照配列で生成する、任意のギャップを伴った比較配列を持つ、アラインメント長を超える参照配列の塩基またはアミノ酸の数である。
【0045】
もし、アラインメントが比較配列と参照配列の間に存在し、上記のように計算した同一性パーセントが、指定の最小同一性パーセント以上である場合、たとえ、本明細書で上述した計算した同一性パーセントが指定の同一パーセントより小さいアラインメントが存在する可能性があったとしても、比較配列は参照配列に対し指定の最小同一性パーセントを有する。
【0046】
そのような置換は保存的であってもよく、例えば、疎水性アミノ酸が別の疎水性アミノ酸に置き換わるように、1個のアミノ酸が類似構造および特性を持つアミノ酸に置換される。さらにもっと保存的なのは、ロイシンがイソロイシンに置換されるように、サイズおよび化学的性質が同一あるいは類似のアミノ酸の交換にあることが考えられる。自然発生的な相同タンパク質ファミリーにおける配列多様性の研究において、ある種のアミノ酸置換は他のアミノ酸置換より認容性が高いことが多く、これらは元のアミノ酸とその置換物との間で、大きさ、電荷、極性、疎水性が類似の相関関係を示すことが多く、これが、「保存的置換」の定義の基礎である。
【0047】
保存的置換は、本明細書では次の5つのグループのうちの1つ以内で交換されると定義される:グループ1-分子量が小さい脂肪族の、非極性またはやや極性残基(Ala、Ser、Thr、Pro、Gly);グループ2-極性、負電荷残基およびそれらのアミド(Asp、Asn、Glu、Gln));グループ3-極性、正電荷残基(His,Arg,Lys);グループ4-分子量が大きい脂肪族の、非極性残基(Met,Leu,Ile,Val,Cys);そしてグループ5-分子量が大きい、芳香残基(Phe、Tyr、Trp)である。
【0048】
より保存性の少ない置換は、イソロイシン残基によるアラニンの置換のように、類似の特性を有するがサイズが多少異なる別の分子によるアミノ酸1個の置換を含む可能性があるかもしれない。非常に非保存的な置換では、酸性アミノ酸の極性、あるいは塩基性アミノ酸との置換を含む可能性もあるかもしれない。しかしながら、化学効果が全く予測不可能で、ラジカル置換がその他単純な化学原理から予測不能な予期せぬ良い結果を生じさせるかもしれないので、そのような「ラジカルな」置換を潜在的に効果がないものとして片付けることができない。
【0049】
もちろん、そのような置換は、共通のL-アミノ酸以外の構造を含むことがある。そのため、D-アミノ酸は、本発明の抗原ペプチドで一般に見つかるL-アミノ酸の代わりに用いられ、依然として開示により本明細書に包含されている。さらに、標準的でないR基(すなわち、天然タンパク質に共通する20個のアミノ酸に見られない他のR基)を有するアミノ酸は、本発明にしたがって免疫原および免疫原性ポリペプチドを生成するための置換目的に使用してもよい。
【0050】
2つ以上の場所での置換が、以下に定義するように、実質的に同等かまたはより大きな抗原活性を有するペプチドに帰着することがわかる場合、組み合わせた置換がペプチド抗原性への相加効果あるいは相乗効果に帰着するかを判断するために、これらの置換の組み合わせが試験される。ペプチド内で同時に置換されるのは多くても4箇所までであろう。
【0051】
「T細胞応答」という用語は、in vitroまたはin vivoにおいて、ペプチドによって引き起こされるエフェクター機能の特異的増殖および活性化を意味する。MHCクラスI限定CTLに対するエフェクター機能は、ペプチドパルス、ペプチド前駆体パルスまたは天然ペプチド提示ターゲット細胞の溶解、サイトカイン好ましくはインターフェロンγ、TNF-α、またはペプチド誘発IL-2の分泌、エフェクター分子好ましくはペプチド誘発に
よるグランザイムまたはパーフォリンの分泌、または脱顆粒である。
【0052】
好ましくは、置換ペプチドについて、SEQ ID NO:1~33からまでのペプチドに特異的なCTLを分析する際、バックグラウンドと比較して、溶解増加の最大値の半分に達する置換ペプチドのペプチド濃度は、1mM程度、好ましくは1μM程度、より好ましくは約1nM程度、更により好ましくは約100pM程度、最も好ましくは10pM程度である。また、置換ペプチドが1つを超えた、少なくとも2つの個体からCTLによって認識されることは好ましく、3つの個体ならさらに好ましい。
【0053】
よって本発明におけるエピトープは、実質的に同一抗原活性を持つ限り、自然発生の腫瘍関連エピトープまたは腫瘍特異的エピトープと同一であってもよく、または、参照ペプチドと異なる残基が多くとも4個に留まるエピトープを含んでいてもよい。
【0054】
治療の免疫療法アプローチ
免疫応答の刺激は、ホストの免疫システムにより異物であると認識された抗原が存在するかに依存する。腫瘍関連坑原が存在することが発見され、現在、腫瘍の発育に介入するため、宿主の免疫系を利用する可能性が浮上している。体液性免疫系と細胞性免疫系の両方を結びつける様々なメカニズムが、現在、がんの免疫療法において研究されつつある。
【0055】
細胞性免疫応答の特定の要素は腫瘍細胞を特異的に認識し破壊することができる。細胞傷害性T細胞(CTL)が腫瘍浸潤細胞群や末梢血から単離されることから、このような細胞ががんに対する自然免疫防御において重要な役割を果たしていることが示唆される。タンパク質に由来する通常8個から12個の残基ペプチドを持つ、主要組織適合遺伝子複合体クラスI分子(MHCクラスI分子)、つまりシトソールに存在する不完全なリボソーム産物(defect ribosomal products、DRIP)を認識するCD8陽性T細胞は特に、この応答に重要な働きをしている。ヒトのMHC分子はヒト白血球型抗原(HLA)とも呼ばれる。
【0056】
MHCクラスI分子は、核を有する殆どの細胞にみられ、主に内因性、細胞質性または核タンパク質、DRIPS、より大きなペプチドのタンパク質分解的切断によって生じたペプチドを提示する。しかし、エンドソーム区画または外因性供給源に由来するペプチドも、MHCクラスI分子に認められることが多い。この非古典的なクラスIの提示方法は、文献ではクロスプレゼンテーションと呼ばれている。
【0057】
タンパク質が腫瘍特異抗原または腫瘍関連抗原として細胞傷害性Tリンパ球に認識され、更に、治療に使用されるには、特定の条件を満たしていなければならない。この抗原は主に腫瘍細胞に発現されるものであり、正常な健康組織には発現されないか、比較的少量で発現される。個々の抗原はあるタイプの腫瘍細胞に存在するだけでなく、濃度(1細胞につき各々のペプチドのコピー数)が高いことがさらに好ましい。腫瘍特異抗原および腫瘍関連抗原は、例えば細胞周期の制御やアポトーシスのような機能により、正常細胞から腫瘍細胞への形質転換に直接関わるタンパク質から生ずる。更に、形質転換の直接原因となるタンパク質の下流ターゲットはアップレギュレートされるため、腫瘍に間接的に関連している可能性がある。このような間接的腫瘍関連抗原が、ワクチン療法のターゲットであってもよい。いずれの場合も、エピトープが抗原のアミノ酸配列に存在することが不可欠であり、これは、このような腫瘍関連抗原由来のペプチド(「免疫原性ペプチド」)が、in vitroまたはin vivoでT細胞応答を引き起こすためである。
【0058】
基本的に、MHC分子に結合できるいずれのペプチドも、T細胞エピトープとして機能しうる。in viroまたはin vivoにおいてT細胞応答を誘発するには、対応するTCRを有するT細胞の存在と、さらにこの固有エピトープに対する免疫学的耐性の欠損が必須条件で
ある。
【0059】
そのため、TAAは腫瘍ワクチンの開発における出発点である。TAAを同定し、特性を示す方法は、患者または健康な被験者から単離できるCTLを使用することに基づくか、または腫瘍と正常組織の間の異なる転写プロファイルまたは異なるペプチド発現パターンの生成に基づいている(Lemmel et al.450-54;Weinschenk et al.5818-27)。
しかしながら、腫瘍組織またはヒト腫瘍細胞株に過剰発現しているか、選択的にそのような組織や細胞株に発現している遺伝子の同定では、免疫療法でこれらの遺伝子から転写中の抗原を利用することに関して正確な情報は得られない。これは、対応するTCRを持つT細胞の存在が必要であり、また、この特定エピトープに対する免疫耐性の欠損、または最小化が必要であることから、これらの抗原エピトープの個々の亜集団のみがそのような用途に適しているからである。それゆえ、機能的T細胞が認められるMHC分子と結合した状態で存在する、過剰発現または選択的に発現しているタンパクから生ペプチドのみを選択することが重要となる。そのような機能的T細胞は、特異抗原の刺激によって、クローンを増やし、エフェクター機能を行使できるT細胞として定義される(「エフェクターT細胞」)。
【0060】
ヘルパーT細胞は、抗腫瘍免疫性において、CTLのエフェクター機能を統合する際に重要な役割を果たす。TH1タイプのヘルパーT細胞応答を始動させるヘルパーT細胞エピトープは、腫瘍関連ペプチド/MHC複合体を細胞表面に有している腫瘍細胞に対する傷害機能など、CD8陽性キラーT細胞のエフェクター機能をサポートしている。このようにして、腫瘍関連ヘルパーT細胞ペプチドのエピトープは、単独または他の主要関連ペプチドと共に、抗腫瘍免疫応答を刺激するワクチン組成物の薬剤有効成分として働く。
【0061】
CD8およびCD4依存型の2つの免疫応答タイプは共に、連携し、相乗的に抗腫瘍効果に寄与しているため、CD8+CTL(MHCクラスI分子)またはCD4陽性CTL(MHCクラスII分子)のいずれかにより認識される腫瘍関連抗原の同定と特徴決定は腫瘍ワクチンの開発において重要である。そのため、いずれかのクラスのMHC複合体に結合するペプチドを含むペプチド組成物を提供することが、本発明の目的である。
【0062】
重度な副作用とがん治療における予後と診断に関連する費用を考慮することは必要不可欠である。それ故、がん、特に胃癌に対するバイオマーカーを代表する他の要因を同定する必要がある。さらに、がん特に胃癌で使用されうる要因を同定することも必要である。
【0063】
さらに、前立腺全摘術後、局所進行性がんの増殖があり、腫瘍の原発部位での残存が通常原因である生化学的な再発を伴う、胃癌患者に対する治療デザインは確立されていない。現在使用で治療方法に比べ、治療の有効性は匹敵しているが死亡率が低い新たな治療方法が望ましいのである。
【0064】
本発明は胃癌および本発明のペプチドを過剰発現させる他の腫瘍の治療に有用であるペプチドを提供する。これらのペプチドはヒト原発性胃癌サンプル上でHLA分子によって天然に提示されることが質量分析法により示された(例1および
図1)。
【0065】
ペプチドが由来する遺伝子源は、正常組織と比較して、胃癌、肝細胞癌、大腸癌、非小細胞肺癌、腺癌、前立腺癌で高く過剰発現することが示され、ペプチドの腫瘍関与への高い割合を証明している(例2と
図2を参照)。すなわち、これらのペプチドは正常組織ではなく腫瘍組織で強く提示される。
【0066】
免疫系、とくにTリンパ球/T細胞によって、HLAと結合したペプチドを認識できる。T細胞は、例えば由来ペプチドを提示する胃癌細胞など、認識されうるHLA/ペプチド複合体を提示する細胞を破壊できる。
【0067】
本発明で検証したプラットフォーム(例3を参照)と互換性のあるペプチド全てが、T細胞の応答刺激能力を有していることが示されている(例3と
図3参照)。したがってこれらのペプチドは、患者の腫瘍細胞を破壊できる免疫応答を起こすことができるため有用である。上記のペプチド、または適当な前駆体(例えば伸張ペプチド、タンパク質またはこれらのペプチドをコード化する核酸)を、理想的には免疫原性を促進する薬剤(例えばアジュバントなど)とともに直接患者に投与して、患者の免疫応答は誘発できる。本発明のターゲットペプチドは、正常組織では同程度のコピー数で提示されず、患者の正常細胞に対する不要な自己免疫反応を抑制できるため、このような治療的ワクチンの接種で誘導された免疫反応は、腫瘍細胞に極めて特異的であることが期待できる。
【0068】
薬剤組成物は、遊離型のペプチドあるいは薬剤的に認容可能な塩型のペプチドのいずれかを含む。ここに使用されるような「薬剤的に認容可能な塩」は、公表されたペプチドの誘導体を言い、前記ペプチドは、作用薬の酸性または塩基性塩を調製することにより修飾される。例えば、酸性塩は、適切な酸との反応に関与する遊離塩基(通常、中性型の薬物は中性NH2 基を持つ)から調製される。酸性塩の調製に適当な酸は、無機酸(例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸リン酸、同様なもの)と同様に、有機酸(例えば酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸など)の両方を含む。反対に、ペプチドに存在する酸部分の塩基性塩の調製は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、トリメチルアミンのような薬剤的に認容可能な塩基を使用して調製される。
【0069】
特に好ましい実施態様では、薬剤組成物は酢酸(酢酸塩)あるいは塩酸(塩化物)の塩類としてペプチドを含む。
【0070】
本発明のペプチドはがんの治療に有効であるのに加えて、診断にも有効である。本発明のペプチドは胃癌から発生し、しかも正常組織には提示されないことから、腫瘍の有無を診断するのに使用できる。
【0071】
請求項のペプチドが組織生検に存在することを、病理学者の腫瘍診断に役立てることができる。病理学者は、抗体、質量分析法、または当該分野で既知の他の方法を用いてペプチドを検出し、その組織が悪性または炎症性、あるいは病変組織であるかを判断できる。ペプチドのグループが存在すれば、病変組織の分類または下位分類ができる。
【0072】
特に、Tリンパ球が既知で、またはTリンパ球が作用機序に関わっていると予想される場合は、病変組織標本でペプチドを検出することにより、免疫学的療法の有効性を決定できる。MHCの発現欠失が、感染した悪性腫瘍細胞が免疫学的監視から逃れる機序を良く示している。したがって、ペプチドの存在は、この機序が分析した細胞により使用されていないことを示している。
【0073】
ペプチドを使用して、ペプチドまたはMHC分子に結合したペプチドに対するT細胞応答や抗体応答のような、リンパ球応答を分析することもある。これらのリンパ球応答は、それ以上の治療段階を決定する際、予後マーカーとして使用できる。これらの応答は、タンパク質ワクチン、核酸、自己物質、リンパ球養子免疫療法など異なる方法を使った、リンパ球応答の誘発を目的とした免疫療法的アプローチにおいて、代理マーカーとしても使用できる。遺伝療法において、副作用を評価する際、ペプチドに対するリンパ球応答を考慮できる。また、リンパ球応答を監視することで、移植片対宿主病を検出するなど、移植治療のフォローアップに有効なこともたまにある。
【0074】
ペプチドは、MHC/ペプチド複合体の特異的抗体を生成/開発するのに利用できる。これらは毒物や放射性物質を、病変組織に対するターゲットとして治療に利用できる。これらの抗体の別な用途として、PETなどの画像を得るために、放射線核種を病変組織対してターゲットとすることができる。これによって、小さな転移の検出、サイズの測定、病変組織の正確な場所の決定などができる。
【0075】
更に、生検サンプルに基に病理学者が腫瘍診断を検証するのにこれらを利用できる。
【0076】
表2は、本発明に従うペプチド、各々のSEQ識別番号、ペプチド結合に対するHLA対立遺伝子、ペプチド由来タンパク質を示すものである。ペプチドすべてがHLAA
*024対立遺伝子に結合している。
【表2-1】
【0077】
本発明でさらに関心のあるHLAA
*024ペプチド
【表2-2】
【0078】
本発明の別の実施形態では、胃癌に対するHLAA*02結合ペプチドを開示している。A*02および/またはA*24陽性の人については、開示ペプチドの混合物が胃癌に使用できる。好ましくは、2~20個のペプチド混合物および2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19および20個の混合物である。
【0079】
【0080】
細胞分裂周期2タンパク質(CDC2)
セリン/スレオニンキナ-ゼCDC2は、Cdk1(サイクリン依存キナーゼ1)としても知られており、細胞周期のコントロールで重要な役割を果たしている。G2/M移行の主な調節因子として知られている。中間期の最後にA型サイクリンと結合する。核エンベロープの破壊後、A型サイクリンは、Cdc2により有糸分裂促進因子を形成するサイクリンBと交換されるMPFは有糸分裂を通じて細胞誘導に不可欠である。
【0081】
細胞分裂でCdc2の機能は重複せず、Cdk2、4および6など他のCdk活性によって補償されない。
これに反して、Cdc2がG1/S移行のような細胞周期の他の相で同様に働くことが報告され、つまり、「中間期Cdk」の代わりになり得る。その故、Cdc2は唯一の不可欠な細胞周期Cdkであると思われる。
【0082】
Cdc2の過剰発現は数種のがんで認められ、予後悪化と相関することが多かった。それらの癌は、前立腺癌、口腔癌、口腔扁平上皮癌(OSCC)、急性骨髄性白血病(AML)(Qian et al.)、ピロリ菌誘発性MALTリンパ腫(Banerjee et al.,217-25)、大腸癌(Yasui et al.,36-41)である。胃癌では、過剰発現/活性の強化が報告され、原因となる役割を果たしている可能性がある。Cdc2および他のCdkの阻害物質は、がんの薬物治療法の候補として考慮されてきた(Shapiro,1770-83)。
【0083】
異常紡錘体様小頭症関連タンパク質(ASPM)
異常紡錘体様小頭症関連(ASPM)遺伝子は、ショウジョウバエ異常紡錘体(asp)のヒト相同分子種である。この遺伝子は神経形成調節に関与し、変異により常染色体欠損原発性小頭症を引き起こす。ASPMは細胞分裂中紡錘体極に局在化している。ASPMの過剰発現は、神経芽細胞腫のマーカーおよび可能な治療ターゲットとして示唆された。
siRNA媒介ノックダウンは腫瘍細胞増殖および神経幹細胞増殖を阻害する。ASPM過剰発現は、浸潤性/転移促進の可能性、早期腫瘍再発および肝臓細胞癌の予後悪化を予測する。ASPM は不死化細胞および非小細胞肺癌組織でアップレギュレートされた(Jung,Choi,and Kim 703-13)。
【0084】
基質メタロプロテアーゼ3(MMP3)
MMP3はプロゲラチナーゼまたはストロメリシン1とも呼ばれ、フィブロネクチン、ラミニン、エラスチン、プロテオグリガンコアタンパク質およびコラーゲンの非らせん領域のような、細胞外基質成分を開裂するエンドペプチダーゼである。MMPは、胚形成中の細胞遊走、組織リモデリング、脈管化、乳分泌乳房の退縮、および創傷治癒のようなECM再配列を必要とするいくつかの生理的プロセスで重要である。MMP3は血小板凝集でも役割を果たしている。MMP3の発現と分泌の亢進に関与する生理的条件には、自己免疫炎状態とがんがある。
MMP3は一部の腫瘍で過剰発現し、上皮間葉転換(EMT)において役割を果たしている。発がんの早期段階に寄与し、後成的変化を始動させる結果、がん表現型が発生する可能性があるかもしれない(Lochter et al.180-93)。発現レベルに関連するMMP3プロモーターの遺伝子多型が、食道腺癌(Bradbury et al.793-98)や口腔扁平上皮細胞癌(Vairaktaris et al.4095-100)(Liu et al.430-35)のような一部のがんのリスクと予後に影響することが示された。MMP3-およびMMP7の血清レベルが高いピロリ菌陽性胃癌患者は、高いリンパ節浸潤と短い生存期間を示した。74名の胃癌患者のコホート研究で、MMP3は症例の27%で発現していた(Murray et al.791-97)。
【0085】
c-Met
c-Metは、細胞成長の促進、運動性、生存率、細胞外基質分解、血管新生など、肝細胞成長因子(HGF)/散乱因子の可能な発がん活性に介在する。HGF結合は、Ras、ホスファチジルイノシトール3’-キナーゼ、ホスホリパーゼCγ、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ関連経路など、下流シグナル伝達を活性化する(Dong et al.5911-18;Furge et al.10722-27;Furge, Zhang,and Vande Woude 5582-89;Montesano et al.355-65;Naldini et al.501-04;Ponzetto et al.4600-08)。
c-Metは、圧倒的に上皮細胞で発現する。(非上皮悪性組織においても)c-Metの発がん活性は、増幅/過剰発現、変異活性化、HGF/c-Met自己分泌ループの捕捉、または構成的リン酸化の結果である(Di Renzo et al.147-54;Ferracini et al.739-49;Fischer et al.733-39;Koochekpour et al.5391-98;Li et al.8125-35;Maulik et al.41-59;Qian et al.589-96;Ramirez et al.635-44;Tuck et al.225-32)(Nakaigawa et al.3699-705)。HGF過剰発現トランスジェニックマウスの構成的活性化は、広範な腫瘍形成を促進する(Takayama et al.701-06;Wang et al.1023-34)。METサイレンシングの結果、腫瘍成長と転移が阻害される(Corso et al.684-93)。METの増幅は、ヒト胃癌の進行と関連している(Lin et al.5680-89)(Yokozaki,Yasui,and Tahara 49-95)。
【0086】
ユビキチンカルボキシル末端ヒドラーゼL5(UCHL5)
UCHL5は、ユビキチンC末端ヒドラーゼ(UCH37)またはINO80Rとしても知られており、プロテアソーム関連脱ユビキチナーゼである。この酵素は、C末端Cys76とLys48間のイソペプチド結合を開裂させることにより、遠位端からタンパク質に結合したポリユビキチン鎖を分解する(Nishio et al.855-60)。UCHL5は核内で、Ino80クロマチン再構成複合体にも関連している。プロテアソームと結合すると、活性化され、Ino80とプロテアソームによって介在されると示唆されている転写とDNA修復の調節に寄与する可能性がある。
【0087】
UCHL5のようなユビキチン特異的プロテアーゼは、細胞周期進行のコントロール、分化、DNA複製と修復、転写、タンパク質品質制御、免疫応答およびアポトーシスなどいくつかのプロセスに関与している。UCHL5は悪性形質変換に寄与しているかもしれない。その活性は、ヒト頸部組織で、隣接する正常組織に比べアップレギュレートされることが示された。脱ユビキチン化が可能なので、TGF-β受容体と、その下流メディエーターであるSmadを安定化し、その結果TGF-βシグナル伝達を亢進する。亢進したTGF-βシグナル伝達は、がん進行の末期で腫瘍プロモーターとして作用するが、2つの機能を有し、早期および開始前に腫瘍サプレッサーにもなる(Bierie and Moses 29-40;Horton et al.138-43;Wicks et al.8080-84;Wicks et al.761-63)。
【0088】
マクロファージ刺激タンパク質受容体(MST1R)
MST1R(別名RON)受容体は、細胞表面受容体チロシンキナーゼのMetファミリーのメンバーで、上皮細胞とマクロファージで主に発現する。MST1Rは、各リガンドに対応して、細胞遊走、浸潤、増殖および生存を誘発する。発がん性は、in vitroおよびin vivo動物モデルで示され、ヒトがんでは頻繁に脱調節される(Dussault and Bellon,2009)。臨床試験では、MST1Rの過剰発現は質の悪い診断と転移に関連していることが示された。MST1Rの発現は、胃癌組織および対応する腫瘍随伴性組織で著しいが、正常の胃粘膜では観察されない(Zhou et al.236-40)。前立腺癌細胞のMST1Rノックダウンの結果、in vitroで内皮細胞の走化性を減少させ、in vivoで前立腺への同所移植後、腫瘍成長および微小管密度を低減させる。発がん性の高い大腸癌細胞株中でMST1RをsiRNAを介してノックダウンすると、対照細胞と比較して増殖が減少した。
【0089】
キネシン様タンパク質(KIF2C)
KIF2Cは紡錘体形成中に適切な動原体微小管の付着を調節する微小管脱ポリメラーゼである。後期染色体分離で重要であり、姉妹セントロメア分離の開始の調整が必要である可能性がある。動原体での微少管付着が妨害されると、染色体分離の誤りや異数性が起こり、これは殆どの固形腫瘍で観察される(Maney et al.67-131;Moore and Wordeman 537-46)。KIF2Cは、乳癌細胞(Shimo et al.62-70)、大腸癌、結腸直腸癌および胃癌で過剰発現する(Nakamura et al.543-49)。KIF2Cを安定して発現する胃癌細胞株(AZ521)では、mockトランスフェクト細胞に比べ、増殖と遊走が高まることが示された。胃癌におけるKIF2C発現の上昇は、リンパ浸潤、リンパ節転移、および予後不良と関連している可能性がある。乳癌細胞をKIF2Cに対する低分子干渉RNAで治療するとその成長が阻害された。
【0090】
染色体タンパク質4(SMC4)の構造的維持
SMCタンパク質は、染色体ATPアーセであり、高次染色体の組織化および動態に関与している。SMC4は、クロマチン縮合で役割を持つコンデンシン複合体の中心成分であり、核小体分離、DNA修復、およびクロマチン骨格の維持にも関連している。SMC4遺伝子は、正常な前立腺および唾液腺では高く発現し、結腸、膵臓、腸では非常に弱く発現し、その他の組織では全く発現しないことが見出された。RNA発現は、乳癌、前立腺癌、大腸癌
、膵臓癌など多数の癌細胞株と癌標本において高レベルで観察された(Egland et al.5929-34)。
【0091】
A型エフリン受容体2(EPAH2)
Eph受容体は受容体チロシンキナーゼ(RTK)に特有のファミリーであり、胚パターン化、神経細胞ターゲティング、および正常胚形成中の血管発生で不可欠な役割を果たしている。EphA2をそのリガンド(ephrin-A1)により刺激するとEphA2の自己リン酸化が起こり、その刺激により発がん性形質転換を逆転させる。Eph受容体とそのリガンドであるエフリンは、様々ながんで過剰発現することが多い。EphA2は、悪性の腫瘍細胞で頻繁に過剰発現して機能が変化し、細胞と細胞外基質との接着、足場非依存性増殖、および血管新生を高めることにより腫瘍成長を促進させると考えられる。EphA2とEphrinA-1の過剰発現は胃癌で見られ、腫瘍浸潤性の深さ、腫瘍リンパ節転移(TNM)病期、リンパ節転移および予後悪化と相関した(Yuan et al.2410-17)。
【0092】
ATAD2
ATAD2(ANCCAとしても知られる)は、AAA+ATPアーゼファミリータンパク質の新しいメンバーである。アンドロゲン受容体(AR)とエストロゲン受容体(ER)の転写活性を高め、IGF1R、IRS-2、SGK1とサービビン(AR)、およびサイクリンD1、c-mycとE2F1(ER)などの遺伝子転写を起こす。c-Mycの転写活性も高める。
乳癌、前立腺癌および骨肉腫のようないくつかのヒト腫瘍で、ATAD2の発現は高い。発現は予後悪化と関連していた。
【0093】
AVL9
驚いたことに、AVL9タンパク質はソースタンパク質として発見され、それ自体および対応する遺伝子の機能について非常に限られたデータしか得られない。
【0094】
コラーゲンα-1(XII)鎖タンパク質(Col12A1)
コラーゲンα-1(XII)鎖は、ヒトでCOL12A1遺伝子によってコード化されるタンパク質である。この遺伝子は、FACIT(中断した三重らせん構造を有する原繊維関連コラーゲン)コラーゲンファミリーメンバーであるXII型コラーゲンのα鎖をコード化する。XII型コラーゲンは、I型コラーゲンに関連して発見されたホモ三量体で、その関連性とは、I型コラーゲン小繊維と周囲基質間の相互作用を改変するものと考えられている。異なるイソフォームをコード化する、別にスプライスされた転写変異体が同定されている。
【0095】
コラーゲンα-3(VII)鎖タンパク質(COL6A3)
COL6A3は、VI型コラーゲンの3つのα鎖の1つである、α-3鎖をコード化する。タンパク質ドメインは細胞外基質タンパク質と結合し、その相互作用は、基質成分の調整におけるこのコラーゲンの重要性を説明している。コラーゲンVIの過剰発現を通じた細胞外基質のリモデリングが、卵巣癌細胞のシスプラチン耐性に寄与している。VI型コラーゲンの存在は、卵巣癌の予後因子である腫瘍悪性度と相関していた(Sherman-Baust et al.377-86)。COL6A3は、結腸直腸腫瘍(Smith et al.1452-64)と唾液腺癌で過剰発現し(Leivo et al.104-13)、さらに胃癌では別の型で発現する(Yang et al.1033-40)。COL6A3は、腫瘍特異的なスプライス変異を有する7つの遺伝子の1つとして同定された。検証された腫瘍特異的スプライシング変化は非常に一貫性があり、正常および癌サンプルを明確に分離可能であり、場合によっては腫瘍病期が異なっても分離可能である(Thorsen et al.1214-24)。
【0096】
ファンコニ貧血相補性群I(FANCI)
FANCIタンパク質は、DNA損傷に応答してクロマチンに局在化し、DNA修復に関与する(Smogorzewska et al.289-301)。FANCI遺伝子の変異は、細胞毒による不安定性、DNA架橋剤への過敏症、染色体切断の増加、および防御的DNA修復などによって、特徴付けられる不均質な劣性遺伝疾患であるファンコニ貧血を引き起こす。FANCIの選択的スプライシングの結果、異なるイソフォームをコード化する2つの転写変異体ができる。
【0097】
熱ショックタンパク質90kDaβメンバー1(HSP90B1)
HSP90(グルコース調節タンパク質94、Grp94としても知られる)メンバー1は、ヒトシャペロンタンパク質である。これは、翻訳、タンパク質品質管理とER関連分解(ERAD)、ERストレスセンシングおよびERのカルシウム結合/カルシウム保持などのER関連プロセスに関与している(Christianson et al.272-82;Fu and Lee 741-44)。HSP90は、ER保持タンパク質に典型的なKDEL配列を含んでいるが、腫瘍細胞表面(Altmeyer et al.340-49)と細胞外にも現れる。HSPは壊死細胞(アポトーシスを起こした細胞ではない)および熱ショック、酸化的ストレスなど様々な刺激によりストレスがかかった細胞から放出されることが知られており、これは血液循環でも起こる(Basu et al.1539-46;Tsan and Gao 274-79)。細胞外では、HSP90は免疫応答を調節し(主に刺激し)、抗原提示に関与している。細胞表面では、病原の侵入および/またはシグナル伝達の受容体として働いている可能性がある(Cabanes et al.2827-38)。腫瘍特異的な細胞表面の発現または放出の場合、抗腫瘍免疫性を誘発することもある(Zheng et al.6731-35)。HSP90系ワクチンは、予防と治療の両プロトコールでがんや感染症に免疫性を与えることが示されてきた(Bolhassani and Rafati 1185-99;Castelli et al.227-33;Murshid, Gong, and Calderwood 1019-30でレビューされている)。
しかし、HSP90は、1)腫瘍進行と関連があり、アポトーシスへの抵抗性を起こし、それは照射または化学療法にも依存する、2)胃癌、骨肉腫(Guo et al.62-67)、乳癌(Hodorova et al.31-35)など多くのがんで過剰発現することから腫瘍治療のターゲットとしても検討することができる。HSP90の過剰発現は、胃癌の悪性挙動と予後の悪化に関連している(Wang,Wang,and Ying 35-41;Zheng et al.1042-49)。胃癌におけるHSP90のダウンレギュレーションは、癌細胞をアポトーシスに導く(Sheu,Liu,and Lan e1096)。
【0098】
MUC6
MUC6は粘膜細胞で発現する。その主な機能は、広範囲にわたる内因性腐食剤またはタンパク質分解剤への持続的曝露による損傷効果から、弱い上皮細胞表面を保護することであると考えられている(Toribara et al.,1997)。MUC6は上皮性器官発生に関与している可能性がある(Reid and Harris,1999)。MUC6の発現は正常の胃粘膜でも認められる。MUC6は、腸腺腫および腸癌、肺癌(Hamamoto et al.891-96)、直腸結腸ポリープ(Bartman et al.210-18)、および乳癌(Pereira et al.210-13)のような一部のがんで過剰発現するが、各々の正常細胞ではいずれも発現しない。粘液性がんにおいてMUC6発現の割合が高いことから、がん化の広がりのバリアとして作用し、その結果、悪性度の低い生体挙動を起こすことが示唆された(Matsukita et al.26-36)。胃癌におけるMUC6の発現は、腺腫または正常粘膜よりも低く、さらに腫瘍サイズ、浸潤の深さ、リンパおよび静脈への浸潤、リンパ節への転移およびUICC病期と逆相関した。MUC6のダウンレギュレーションは、胃上皮細胞の悪性形質転換に寄与し、胃癌の増殖、浸潤、転移および分化の分子的基礎を成している可能性がある(Zheng et al.817-23)。胃癌の主な原因の1つであるピロリ菌感染は、MUC6発現の低減に関与しているという証拠もある(Kang et al.29-35;Wang and Fang 425-31)。
【0099】
動原体タンパク質Nuf2
NUF2(CDCA-1)遺伝子は、動原体と関連した保存タンパク質複合体の成分である、酵母Nuf2に非常に似たタンパク質をコード化する。酵母Nuf2は、動原体が紡錘体極体との接続を失う時、減数分裂前期中に動原体から消失し、染色体分離の調節の役割を果たす。サービビンおよびhNuf2 csiRNAは、それらのmRNAを一時的にノックダウンし、それぞれ多核細胞化や有糸分裂停止による細胞死を起こすことが示された(Nguyen et al.394-403)。Nuf2およびHec1は、動原体で双方向に必須な極方向力の維持に必要とされる、外部プレート中の安定な微小管プラス端集積因子部位の組織化に必要である(DeLuca et al.519-31)。
Nuf2タンパク質は、NSCLCで過剰発現し予後不良に関連しており(Hayama et al.10339-48)、さらに子宮頸癌でも過剰発現することが認められた(Martin et al.333-59)。切除された胃癌組織(びまん性6、腸型4)では、2つのNUF2変異体がアップレギュレートされた。この試験で検出された別のスプライシング変異体が、抗がん治療の診断マーカーおよび/または新しいターゲットとして有用である可能性が示唆された(Ohnuma et al.57-68)。
NUF2をsiRNAを介してノックダウンすると、NSCLC、卵巣癌、子宮頸癌、胃癌、結腸直腸癌、および神経膠腫における細胞増殖およびアポトーシス誘導を阻害することが見出された(Kaneko et al.1235-40)。
【0100】
リン脂質リン酸ヒドラーゼ2(PPAP2C)
ホスファチジン酸ホスファターゼ(PAP)は、ホスファチジン酸をジアシルグリセロールに変換し、グリセロ脂質のデノボ合成、およびホスホリバーゼDにより媒介された受容体活性化シグナル変換で機能する。異なるイソフォームをコード化する、3つの別のスプライスされた転写変異体が報告されている。PPAP2Cは、形質転換一次ヒト成人間葉幹細胞(MSC)および多数のヒト癌でアップレギュレートされる。細胞増殖の増大に必要であるのかもしれない。PPAP2Cだが触媒的に不活性な突然変異体ではないものが過剰発現し、早期のS相への進行を起こし、サイクリンAの早期蓄積が伴った。ノックダウンすると、S相内への参入を遅延することにより細胞増殖を低減させる(Flanagan et al.249-60)。
【0101】
40Sリボソームタンパク質S11はタンパク質(RPS11)である。
リボソームは小型の40Sサブユニットと大型の60Sサブユニットから構成される。これらのサブユニットはともに、4種のRNAと約80個の構造的にはっきり区別できるタンパク質から構成される。RPS11遺伝子は40Sサブユニットの成分である、リボソームタンパク質をコード化するRPS11は、結腸直腸癌の診断における便によるRNA系マーカーのスクリーンで6遺伝子の中から発見された。癌患者由来の便の大腸細胞から特異的に見出された(Yajima et al.1029-37)。
【0102】
E3ユビキチンタンパク質リガーゼSeven in absentia homolog2(SIAH2)
SIAH2はE3ユビキチンリガーゼである。その基質にはβカテニン、TRAF2、およびDCCがある(大腸癌で検出)(Habelhah et al.5756-65;Hu and Fearon 724-32;Nakayama, Qi, and Ronai 443-51)。SIAH2も核タンパク質repp86を分解に導き、その結果、このタンパク質の過剰発現により誘発される有糸分裂停止を無効にする(Szczepanowski et al.485-90)。SIAH2は少なくとも次の2つの経路を通じて、腫瘍特性と転移促進特性を有すると説明されている(Nakayama,Qi,and Ronai 443-51)。第1の経路は、低酸素応答経路でのタンパク質のユビキチン化と分解に導き、その経路では、低酸素誘発因子(HIF)の転写活性の促進に導く(Nakayama,Qi,and Ronai 443-51)(Calzado et al.85-91)。第2の経路は、Ras/ERKシグナル伝達の特異的阻害剤であるSprouty2を抑制する。SIAH2活性は、Rasシグナル伝達へのプラス効果を通じ、膵臓腫瘍発生傾向と関連している(Nakayama,Qi,and Ronai 443-51)
がんでのSIAH2の役割は一部議論があるが、一部の報告では、低レベルのSIAH2が予後不良または治療奏効不良に関連することを示し(Confalonieri et al.2959-68)(Jansen et al.263-71)、他の報告では腫瘍発生機能との関連性を示している(Frasor et al.13153-57)。SIAH2がメラノーママウスでの異種移植片の成長を阻害すること(Qi et al.16713-18;Shah et al.799-808)、およびヌードマウスへ異種移植されたヒト肺癌細胞株の成長を阻害すること(Ahmed et al.1606-29)が示されていることから、SIAH2の阻害が抗がん治療として検討されている。
【0103】
ナトリウムおよび塩化物依存タウリントランスポーター(SLC6A6)
SLC6A6は、ナトリウムおよび塩化物依存タウリントランスポーター(TauT)である(Han et al.,2006)。タウリントランスポーターノックアウト(taut-/-)マウスは、ミトコンドリアの機能不全に関与する可能性のある、タウリン欠乏症により慢性肝疾患にかかる(Warskulat et al.,2006)。SLC6A6の発現は、p53腫瘍サップレサー遺伝子によって抑制され、WT1、c-Jun、およびc-Mybのようながん原遺伝子によって転写活性化される。SLC6A6の過剰発現は、シスプラチンが誘発する腎臓毒性から腎細胞を保護する(Han et al.,2006;Han and Chesney,2009)。SLC6A6 mRNAの発現は、ヒト腸上皮Caco-2細胞中の腫瘍壊死因子αによってアップレギュレートされた(Mochizuki et al.,2005)。
【0104】
ユビキノールチトクロームcレダクターゼ結合タンパク質(UQCRB)
UQCRB遺伝子によってコード化されるタンパク質は、ユビキノールチトクロームc酸化還元酵素複合体の一部である。ユビキノンと結合し、電子の移動に関与する。この遺伝子の突然変異が、ミトコンドリア複合体III欠乏症に関連している。偽遺伝子がX染色体上で説明された。
【0105】
UQCRB遺伝子は、膵管腺癌の潜在的癌遺伝子または腫瘍抑制遺伝子の可能性がある(Harada et al.13-24)。肝細胞癌で過剰発現することが見出された(Jia et al.1133-39)。
【0106】
ヒト上皮細胞増殖因子受容体3(ERBB3)
ERBB3は、受容体チロシンキナーゼの上皮細胞増殖因子受容体(EGFR)ファミリーメンバーをコード化する。それは、ニューレグリンによって、他のERBBと非ERBB受容体、さらに他のキナーゼ、および新規メカニズムによって活性化される。ERBB3は下流で、ホスホイノシトール3キナーゼ/AKT残存物/有糸分裂経路で顕著に相互作用するが、GRB、SHC、SRC、ABL、rasGAP、SYKおよび転写レギュレータEBP1とも同様に相互作用する(Sithanandam and Anderson 413-48)。ERBB3の過剰発現は、胃癌など多数の癌で見出されており、多数のがんで重要な原因となる役割をはたす可能性があり、予後にマエナスの影響を与える可能性がある(Kobayashi et al.1294-301)(Slesak et al.2727-32)。ERBB3の過剰発現は、胃癌のびまん型(26.2%)では腸型(5.0%)より多いことが見出された(Zhang et al.2112-1)。両方の型で、過剰発現は予後不良と関連していた。がん治療でERBB3をターゲットとするアプローチには、細胞外ドメインへのRNAアプタマー(Chen et al.9226-31)、合成転写因子による遺伝子発現の遮断(Lund et al.9082-91)、ビタミンEアイソマーγトコトリエノールなどの小分子阻害因子(Samant and Sylvester 563-74)、miRNA(Scott et al.1479-86)、およびsiRNA(Sithanandam et al.1847-59)などの小分子阻害因子が含まれる。
【0107】
プロミニン1(Prom1)
機能:プロミニン1はCD133とも呼ばれ、元々CD34+造血前駆細胞に特異な分子として同定され(Yin et al.,1997)、様々な組織中の正常肝細胞とがん肝細胞(CSC)のマーカーであることが示された。細胞膜突起部に主に存在し、細胞膜トポロジーの組織化および細胞膜の脂質成分の維持に関与するかもしれない。AC133-2と呼ばれ27個のアミノ酸で小エクソンが欠損しているプロミン-1のスプライスアイソフォームは、さらに良好な幹細胞マーカーを提示する可能性があることが示唆された(Mizrak et al.,2008;Bidlingmaier et al.,2008)。
CSCマーカーに予想したように、僅かなパーセントの腫瘍細胞のみが、通常プロミニン1に陽性である。腫瘍タイプによって、腫瘍質量当たりの陽性細胞数は1~15%であり、大抵は約2%である。
プロミニン-1は腫瘍形成、血管新生、および化学療法耐性に関連している(Zhu et al.,2009a)(Bruno et al.,2006;Hilbe et al.,2004)(Bertolini et al.,2009)。しかし、プロミニン-1陽性細胞は、NK細胞(Castriconi et al.,2007;Pietra et al.,2009)や細胞傷害性T細胞(Brown et al.,2009)によって死滅するので、免疫系が近づきやすいのかもしれない。
多数のがんの実体に対し、プロニン-1陽性細胞は機能的にCSCであり発現は予後不良と頻繁に関連することが示されているが、なおも議論されている。一部の報告では、プロニン-1陽性細胞をCSCと同定するには必要でも十分でもないと述べている(Cheng et al.,2009;Wu and Wu,2009)。プロミニン-1とCD44のような他の分子、またはprom1(+)、CD34(+)、CD44(+)、CD38(-)、CD24(-)などの複数の組み合わせは、おそらく良好なCSCマーカーとして働く(Zhu et al.,2009b;Fulda and Pervaiz,2010)。
びまん性胃癌では、コンピュータによる解析に基づきPROM1の発現が示唆され(Katoh and Katoh,2007)、さらに正常な胃組織に比べ胃癌のタンパク質レベルでの過剰発現が報告されている(Smith et al.,2008)。しかし、BoeglおよびPrinz(2009)は、プロミニン-1の発現は胃癌、特に後期では減少すると報告し、プロミニン-1の発現は腫瘍成長ではなくむしろ血管形成(後期でも減少する)と相関すると主張した。胃癌細胞株を使った研究では(Takaishi et al.,2009)、プロミニン-1ではなくCD44が胃癌のCSCマーカーであると主張している。
【0108】
基質メタロプロテイナーゼ11(MMP11)
他のMMPのように、MMP11は、発達、創傷治癒、および瘢痕形成などの組織再構築に必要なプロセスで機能を有するエンドペプチダーゼである。含脂肪細胞の分化を低減させることで、脂肪ホメオスターシスを負に調節する可能性もあるかもしれない。他のMMPとは対照的に、コラーゲンVIを除き典型的な細胞外基質分子を開裂することはできない。しかし、α1抗トリプシン、インスリン様成長因子結合タンパク質1およびラミニン受容体など、ある種のセリンプロテアーゼ阻害剤(セルピン類)であるα2-マクログロブリンのような他の基質が同定されている。がんにおいて、MMP11の殆どは腫瘍組織周辺の間質細胞で発現する。これは多数の腫瘍の実体に認められる。MMP11は、殆どのヒト浸潤性癌の間質で過剰発現するが、肉腫や他の非上皮腫瘍ではまれであることが明言された。全てではないが殆どの場合、MMP11は腫瘍に直接隣接する間質細胞に発現する一方、腫瘍細胞自身、正常組織、および腫瘍から遠隔な間質細胞では発現しない。高レベルのMMP11は、悪性表現型/高い浸潤性および予後の悪化と相関している。しかし、甲状腺乳頭癌では、MMP11の発現は悪性な特徴とは逆な関係となった。MMP11は、腫瘍組織および胃癌患者の血清で発見され、発現は転移と相関している(Yang et al.,2008)。さらに、MMP11は腫瘍細胞株と胃癌の原発性腫瘍で高く発現し(これに対し他の癌では、間質細胞に独占的でない)、腫瘍細胞の増殖を高めるらしいことが示された(Deng et al.274-81)。
【0109】
核転写因子Yサブユニットβ(NFYB)
NFYBはCBF-BまたはCBF-Aとも呼ばれ、NFYAとNFYCに加えて多数の遺伝子のプロモーターおよびエンハンサー中でCCAATモチーフまたはY-boxと呼ばれる逆転モチーフATTGGと結合する、ヘテロ三量体基底転写因子NF-Y(CCAAT結合因子すなわちCBF)の一部である。NF-Yターゲット遺伝子間に、MHCクラスI遺伝子、PDGFβ受容体、いくつかの熱ショックタンパク質、ミスマッチ修復遺伝子hMLH1およびトポイソメラーゼIIαがある。
NFYBは古典的ながん遺伝子ではないが、その機能は腫瘍形成に寄与しているかもしれない。第1に、サイクリンA、サイクリンB1、AuroraAおよびcdk1のような多数の細胞周期遺伝子はNF-Yのターゲットである。
細胞は機能的NFYBがないとG2/M相で停止する。
結腸直腸腺癌におけるサイクリンB2および他の細胞周期関連遺伝子のアップレギュレーションはNF-Y活性化によることが示されている(Park et al.)第2にNF-Y活性はアポトーシスに対抗する。NF-Yがない細胞は、p53の活性化により、さらにBcl-2のようなプロモーター内にCCAATボックスを含む抗アポトーシス遺伝子の転写低減によりアポトーシスを受ける(Benatti et al.1415-28)。第3に、腫瘍形成の特性は、他の転写因子と組み合わさると高められる。例えば、変異したp53はNF-Yおよびp300タンパク質と結合して、NF-Y誘発細胞周期遺伝子の発現を増大させる。
【0110】
ABL1
タンパク質チロシンキナーゼC-Ablは核と細胞質コンパートメント間を往復する。核c-Ablは、細胞成長阻害およびアポトーシスに関与し、一方、細胞質c-Ablは、アクチンの動態、形態形成、および成長因子やインテグリンリガンドのような細胞外刺激により誘発されたシグナル伝達に役割を果たしている。細胞質c-Ablは有糸分裂誘発を促進すると報告された。
c-Ablタンパク質の活性はそのSH3ドメインによって負に調節され、SH3ドメインを削除するとABL1はがん遺伝子に変化する。慢性骨髄性白血病(CML)では、遺伝子が22染色体のBCR(breakpoint cluster region:切断点クラスター領域)遺伝子内の形質変換により活性化される。この結果得られる融合タンパク質BCR-ABLは、サイトゾルに存在し、サイトカインによる調節なしで細胞を増殖させる(Zhao et al.)。
c-Abl活性も、乳癌やNSCLCで示したように固形腫瘍でアップレギュレートされる。過剰発現は十分でなく、構成的なキナーゼ活性がタンパク質リン酸化には必要である。乳癌細胞では、c-Ablリン酸化が、SFK、EGFRファミリーメンバーおよびIGF-1受容体などの細胞膜チロシンキナーゼにより誘発される。ABL融合タンパク質は固形腫瘍では検出されていない(Lin and Arlinghaus,2008)。ABLは胃癌や関連する微小血管で発現されることが示され、血管新生での可能な役割を示唆している。特に、ピロリ菌細胞毒性関連遺伝子A(CagA)はc-Ablを活性化に導き、引き続きEGFRをリン酸化し、そのためEGFRのエンドサイトーシスを遮断する(Bauer,Bartfeld,and Meyer 156-69)。いくつかのチロシンキナーゼ阻害剤は少なくともAblに特異的である。イマニチブ(Gleevec)はCMLの第1選択薬として使用され、KITもターゲットとするので進行性消化管間質性腫瘍(GIST)の患者にも承認された(Pytel et al.66-76)(Croom and Perry,2003)。がん治療で使用されるその他の阻害薬は、ダサチニブとニロチニブである(Pytel et al.66-76)(Deremer,Ustun,and Natarajan 1956-75)。
【0111】
ポロ様キナーゼ4(Plk4)
ポロキナーゼファミリーのメンバー(Plk1-4)は、細胞分裂において重要であり、有糸分裂中にいくつかのステップを調節する。Plk4は、中心小体形成と複製のオーガナイザーである(Rodrigues-Martins et al.1046-50)。Plk1は明確ながん遺伝子であるが、がんでのPlk4の働きは明確ではない。Plk4のダウンレギュレーションと過剰発現は、ヒト、マウス、およびハエのがんに関連している(Cunha-Ferreira et al.43-49)。例えば、結腸直腸癌ではPlk4が過剰表現することが認められたが、僅かなグループの患者では強いPlk4のダウンレギュレーションを示した(Macmillan et al.729-40)。Plk4の過剰発現と欠損により異常な中心小体の形成が起こり、その結果、腫瘍細胞で頻繁に検出され、染色体誤分離と異数性を起こす有糸分裂異常に寄与する中心体の数および構造の異常が発生する、という事実によって、このことは説明されうる(Peel et al.834-43)。(Kuriyama et al.2014-23).(Korzeniewski et al.6668-75)。
【0112】
IQモチーフ含有GTPアーゼ活性化タンパク質3(IQGAP3)
IQGAPは、細胞シグナル伝達経路と細胞骨格構造および細胞接着に関与している。RasGAPに類似の配列を持つドメインを有し、それに従い小さいGTPアーゼに結合する。しかし、(その名前に反して)、いずれもGTPアーゼ活性化作用を持っていない。IQGAP1およびIQGAP2はRac1およびCdc42のGTPとの結合状態さえも安定化することが示され、IQGAP3は活性化Rasを安定化することが示唆された(Nojima et al.971-78;White,Brown,and Sacks 1817-24)。IQGAPはIQドメインを介してカルシウム/カルモジュリンと結合し、カルポニン相同性ドメインを介してアクチンフィラメントと結合する(White,Brown,and Sacks 1817-24)IQGAP3は脳で発現し、そこで、アクチンフィラメント、Rac1およびCdc42に関連することが報告されている(Wang et al.567-77)。軸索の遠位領域で蓄積し、Rac1/Ccd42依存性軸索伸長を促進する。IQGAPは、がんに関与していると見なされていた。IQGAP1は、がん遺伝子であると考えられている。MAPキナーゼ、βカテニンおよびVEGF媒介シグナル伝達のような数種のがん関連経路を高め、多数の腫瘍で過剰発現する。IQGAP2はむしろ、腫瘍サプレッサーとして機能するようにみえ、予後不良の胃癌では低下していることが見出された(White,Brown,and Sacks 1817-24)。IQGAP3に関する情報はほとんど得られていない。IQGAP3が肝細胞癌で有意にアップレギュレートされる遺伝子に存在することが見出された(Skawran et al.505-16)。2件の研究では、IQGAP3がマウス小腸、大腸、および肝臓の増殖(Ki67+)細胞に特異的に発現することが報告されている(Nojima et al.971-78)(Kunimotoet al.621-31)。
【0113】
88a含有コイルドコイルドメイン(CCDC88A)
CCDC88Aは、アクチンの組織化および線維芽細胞のAkt依存的細胞運動性に関与する、アクチン結合Akt基質である。CCDC88A/Akt経路もVEGF介在の0歳児血管新生では不可欠である。
CCDC88Aは、乳癌、大腸癌、肺癌、および子宮頸癌など様々なヒト悪性組織でも高く発現する。Aktシグナル伝達経路の異常な活性化を伴う腫瘍進行で重要な役割を果たす。
【0114】
サイクリンB1(CCNB1)
CCNB1は、有糸分裂のG2/M相中で誘発され、サイクリン依存性キナーゼ1(Cdk1)/Cdc2と共に分裂促進因子(MPF)を形成する。過剰発現は、様々ながんに認められ予後不良に関連することが多い。例えば乳癌(Aaltonen et al.,2009;Agarwal et al.,2009;Suzuki et al.,2007)、髄芽細胞腫(de et al.,2008)、NSCLC(Cooper et al.,2009)、子宮頸癌(Zhao et al.,2006)およびその他の癌などである。サイクリンB1は、12種の異なるがんタイプを用いて患者の疾病再発までの短いインターバルを予測することが分かった、11個の遺伝子特性に含まれる遺伝子の1つであった(Glinsky,2006)。胃癌に関する具体的な情報は見出されなかった。
【0115】
サイクリンD2(CCNB1)
CCND2は他のD型サイクリン(D1とD3)のように、サイクリン依存性キナーゼ4(Cdk4)またはCdk6と結合し活性化する。これはG1/S相の移行に必要である。CCND2は、睾丸および卵巣腫瘍(Sicinski et al.,1996)、血液悪性腫瘍(Hoglund et al.,1996;Gesk et al.,2006)、および胃癌など多数の腫瘍で過剰発現することが見出され、胃癌はピロリ菌感染に起因し予後不良に関連する可能性がある(Yu et al.,2003)。(Yu et al.,2001)(Oshimo et al.,2003)(Takano et al.,1999)(Takano et al.,2000)。
【0116】
サイクリンE2(CCNE2)
CCNE2は他のE型サイクリンCCNE1のように、Cdk2と結合し活性化する。この作用はG1/S相移行でピークとなる。健康な状態で、CCNE2は静止細胞中では検出されず、分裂が活発な組織でのみ認められる(Payton and Coats,2002)。CCNE2はがん、例えば乳癌(Desmedt et al.,2006;Ghayad et al.,2009;Payton et al.,2002;Sieuwerts et al.,2006)および転移性前立腺癌で異常発現することが多くあり、乳癌では予後悪化と関連する(Wu et al.,2009)。
【0117】
癌胎児抗原関連細胞接着分子1、5および6(CEACAM1、5、および6)
CEACAMは、細胞-細胞相互作用を媒介し、インテグリンシグナル伝達経路を活性化する、膜アンカー型糖タンパク質である(Chan and Stanners,2007)。大腸菌などの病原体受容体としても働き(Berger et al.,2004)(Hauck et al.,2006)、免疫調節に関与している(Shao et al.,2006)可能性がある。
CEACAM5とCEACAM6は、発がん促進機能を有する。アノイキスを阻害し(Ordonez et al.,2000)、転移を促進し(Marshall,2003;Ordonez et al.,2000)、さらに細胞極性化と組織構築を妨害する(Chan and Stanners,2007)。がんにおけるCEACAM1の役割は、明確ではない。早期では腫瘍サプレッサーであり、後期では転移形成、腫瘍免疫回避および血管新生に寄与する可能性がある(Hokari et al.,2007;Liu et al.,2007;Moh and Shen,2009)。CEACAM1が11個のスプライス変異体で起こり、その割合によりシグナル伝達成績が決定するので、その機能の役割はアイソフォームに依存する(Gray-Owen and Blumberg,2006;Leung et al.,2006;Neumaier et al.,1993;Nittka et al.,2008)。スプライス変異体の割合はがんでは変化する可能性がある(Gaur et al.,2008)。
CEACAM5またはCEACAM6あるいはその両方は、ヒト全腫瘍の70%で過剰発現し、予後不良に関連することが多い(Chan and Stanners,2007;Chevinsky,1991)。血清CEACAM5は、結腸直腸癌の臨床マーカーとして確立されており、そのレベルが高いことは予後不良または再発を示す(Chevinsky,1991;Goldstein and Mitchell,2005)。胃癌など他の実体に対するマーカーとしても指摘されたが、予後の検出力は限定的である(Victorzon et al.,1995)。CEACAM1はがんにおいて、アップレギュレートまたはダウンレギュレートされ、その挙動は実体に依存する(Kinugasa et al.,1998)(Dango et al.,2008)(Simeone et al.,2007)。9種の胃癌細胞株で高レベルのCEACAM5とCEACAM6が発見され、CEACAM1は検出されなかった(Han et al.,2008)。これに比べ、患者222名の原発性腫瘍サンプルの解析では、CEACAM1に対する細胞質または膜の染色は示されなかった。膜結合形成は、血管新生の促進と関連していた(Zhou et al.,2009)。胃腺癌でアップレギュレーションを認めた研究もある(Kinugasa et al.,1998)。
一部の腫瘍で、CEACAM1は腫瘍細胞でダウンレギュレートされ、VEGFをアップレギュレーションに導く。またVEGFあるいは低酸素状態は隣接する内皮細胞でCEACAM1を誘発する可能性がある。それに応じて、抗CEACAM1モノクローナル抗体は、VEGF誘発性の内皮管形成を遮断した(Oliveira-Ferrer et al.,2004;Tilki et al.,2006;Ergun et al.,2000)。
特に、CEACAM5は抗がん剤、とりわけ予防接種アプローチのターゲットとして試験されてきた。これらの研究は、CEACAM5が細胞免疫反応のターゲットになり得ることを示した(Cloosen et al.,2007;Marshall,2003)。CEACAM5 T細胞エピトープの概要は文献に提供されている(Sarobe et al.,2004)。
【0118】
クロライドチャネル3(CLCN3)
CLCN3は、容量依存性で、調節性の容量低下(RVD)に寄与する可能性のあるクロライドチャネルであり、RVDは細胞周期または低浸透圧性のような状況下で細胞量増加への反応として起こる(Lemonnier et al.,2004;Sardini et al.,2003)。しかし、この点は、議論を呼んでおり(Wangetal.,2004)、アポトーシス中に活性化される容量低下チャネルはCLCN3とは異なる(Okada et al.,2006)。
CLCN3の発現は細胞周期中に変化し、S相でピークに達する(Wang et al.,2004)。CLCN3の流れは、神経膠腫のようなCLCN3がアップレギュレートする実体でのがん関連プロセスでは重要である。腫瘍細胞は増殖量の増加に対処し、低浸透圧状態、例えば腫瘍周辺の浮腫に対抗する必要がある(Ernest et al.,2005;Olsen et al.,2003;Sontheimer,2008)。
さらに、CLCN3は後期細胞内区画の酸性化を増すことにより、エトポシド耐性を高めることが報告された(Weylandt et al.,2007)。
CLCN3のsiRNA媒介ノックダウンは、in vitroで鼻咽頭癌細胞の遊走を抑制した(Mao et al.,2008)。
【0119】
DNAJC10
DNAJC10は、超分子ER関連分解(ERAD)複合体のメンバーであり、誤って折りたたまれたタンパク質を認識、アンフォールディングし、レトロ転位の効率を良くする(Ushioda et al.,2008)。このタンパク質は、肝細胞癌で上昇することが示された(Cunnea et al.,2007)。神経外胚葉性腫瘍細胞中のsiRNAによるDNAJC10ノックダウンは、化学療法薬フェンレチニドへのアポトーシス応答を増大した(Corazzari et al.,2007)。ERdj5は、小胞体ストレス応答(UPR)をダウンレギュレートすることにより、神経芽細胞腫細胞の生存を低減させることが示された(Thomas and Spyrou,2009)。
【0120】
真核生物翻訳開始因子2、サブユニット3γ(EIF2S3)
EIF2S3は、開始メチオニルtRNAを40Sリボソームサブユニットに補充するタンパク質複合体(EIF2)の最大サブユニットである(Clemens,1997)。RNA依存性タンパク質キナーゼ(PKR)のようなEIF活性をダウンレギュレートするキナーゼの作用は、プロアポトーシスおよび腫瘍抑制作用と考えられる(Mounir et al.,2009)。胃癌では、高レベルのリン酸化および非リン酸化EIF2が報告され、核への再分布が観察された。この脱調節は、消化器癌にeIF2alphaが関与していることを指摘している(Lobo et al.,2000)。
【0121】
真核生物翻訳開始因子3サブユニットL(EIF3L)
EIF3Lは、小型リボソームサブユニットに関連する、EIF3の10~13サブユニットの1つである。EIF3は、大型リボソームサブユニットの未熟な結合を防止する役割を果たしている。EIF3LはEIF3形成には必須ではないと報告されてきた5つのサブユニットの1つである(Masutani et al.,2007)。アンチセンスライブラリにより選別すると、EIF3Lのダウンレギュレートにより、肝細胞癌細胞中の5-フルオロウラシルの抗腫瘍形成活性が高まることが示唆された(Doh,2008)。
【0122】
エピプラキン1(EPPK1)
EPPK1は大部分が未知の機能を有するプラキンファミリー遺伝子である。プラキン遺伝子は、細胞骨格線維を相互接続し、この線維を細胞膜関連接着の分岐点で固定する機能を有していることが知られている(Yoshida et al.,2008)。
【0123】
Gタンパク質共役受容体39(GPR39)
GPR39は、消化管および代謝機能に関与すると考えられるGqタンパク質共役受容体である(Yamamoto et al.,2009)。そのシグナル伝達により、cAMPおよび血清応答要素が活性化される(Holst et al.,2004)。GPR39の内因性リガンドはおそらく亜鉛である(Chen and Zhao,2007)。GPR39は細胞死の新たな阻害因子であり、アポトーシスやがんのような小胞体ストレスが関与するプロセスに関係した治療ターゲットとなるかもしれない(Dittmer et al.,2008)。GPR39は、ヒト胎児の腎臓HFKと芽体が多く含まれる幹様ウィルムス腫瘍異種移植片(Metsuyanim et al.,2009)の両方のマイクロアレイにおいて、また細胞死の多様な刺激物に対する海馬細胞株抵抗物質中でアップレギュレートされることが見出された(Dittmer et al.,2008)。
【0124】
ERBB2/HER2/NEU
ERBB2は受容体チロシンキナーゼEGFRファミリーのメンバーである。そのリガンドは知られていないが、HERファミリーの他のメンバーに対する好ましいヘテロ二量化のパートナーである(Olayioye,2001)。がんでは、HER2はがん遺伝子として働くが、その主な理由は、遺伝子の高レベル増幅により、細胞膜でタンパク質が過剰発現し、それに続き、悪性細胞に有利な特性が取得されるからである(Slamon et al.,1989)。過剰発現は胃癌を始めとする多数のがんにおいて、一定の割合で観察される。大抵は、予後悪化と関連している(Song et al.,2010)(Yonemura et al.,1991)(Uchino et al.,1993)(Mizutani et al.,1993)。
ERBB2は、モノクローナル抗体トラスツズマブ(商品名ハーセプチン)のターゲットであり、化学療法剤と併用して、HER2陽性進行胃癌患者の治療選択肢として示唆されている(Meza-Junco et al.,2009;Van Cutsem et al.,2009)。別のモノクローナル抗体ペルツズマブは、HER2とHER3受容体の二量化を阻害し、治験後期に入っている(Kristjansdottir and Dizon,2010)。2つの組織型の胃癌(腸型とびまん性)におけるHER2とHER3の選択的過剰発現は、予後悪化と強く関連している(Zhang et al.,2009)。
【0125】
β-4インテグリン(ITGB4)
インテグリンは細胞接着と外から内、内から外へのシグナル変換を媒介する。インテグリンβ-4サブユニットはα-6サブユニットとヘテロ二量化する。結果として形成するインテグリンは、細胞内ケラチン細胞骨格と基底膜との間でヘミデスモソームの形成を促進する(Giancotti,2007)。インテグリンβ-4は、がんで二重の機能を有し、一方で安定な接着を媒介し、他方で浸潤促進シグナル伝達(Ras/ErkおよびPI3Kシグナル伝達など)と血管新生を媒介する(Giancotti,2007;Raymond et al.,2007)。多数の腫瘍と血管新生内皮細胞で過剰発現し、がんの進行および転移と関連することが多い。胃癌、特に間質浸潤細胞では高レベルである(Giancotti,2007;Tani et al.,1996)。しかし、腫瘍がより深く浸潤するとβ-4インテグリンは上皮インテグリンのため、おそらく上皮から間葉細胞への段階的移行のため、未分化型胃癌でダウンレギュレートされた(Yanchenko et al.,2009)。
【0126】
リポカリン(LCN2)
LCN2または好中球ゲラチナーゼ関連リポカリン(NGAL)は、単量体、ホモ二量体として、またはMMP9とのジスルフィド結合ヘテロ二量体として存在する鉄調節タンパク質である(Coles et al.,1999;Kjeldsen et al.,1993)。発現はいくつかのがんで、進行が伴う一部の症例で増大する。メカニズムとしては、リポカリンはMMP9を安定化し、Eカドヘリン媒介細胞-細胞接着を変化させ、それによって浸潤を増加させる。MMP-9とLCN2の複合体は、胃癌生存率の悪化と関連していた(Kubben et al.,2007)(Hu et al.,2009)。明らかな腫瘍促進効果がヒトの様々な腫瘍で観察されているが、一部の研究では、LCN2が壊死促進因子HIF-1α、FA-キナーゼリン酸化、さらにVEGF合成も阻害できることを明らかにし、故に、別の条件ではLCN2も逆説的には、例えば大腸、卵巣、膵臓の新生組織形成において抗腫瘍および抗転移効果を有することを示唆している。(Bolignano et al.,2009;Tong et al.,2008)。LCN2は、ras活性化を示すがんで、腫瘍転移を抑制するのに加え、腫瘍血管新生の阻害に有用な可能性がある(Venkatesha et al.,2006)。
【0127】
コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体サブユニットC(SDHC)
SDHCは、コハク酸デヒドロゲナーゼ(ミトコンドリア複合体II)の4つ核コード化サブユニットの1つであり、コハク酸塩からユビキノンに電子を移動させ、フマル酸エステルとユビキノールを生成する。コハク酸デヒドロゲナーゼの不足はGISTを引き起こす可能性がある(McWhinney et al.,2007)。家族性消化管間質腫瘍はサブユニット遺伝子SDHB、SDHC、およびSDHDの変異によって起こり、さらに消化管腫瘍に関連する腹部傍神経節腫はSDHCの変異によって独自に起こる可能性がある(Pasini et al.,2008)。トランスジェニックマウスの突然変異体SDHCタンパク質は酸化的ストレスを発生し、核DNAの損傷、突然変異発生および最終的に腫瘍形成に寄与する(Ishii et al.,2005)。コハク酸デヒドロゲナーゼは、腫瘍サプレッサーと考えられる(Baysal,2003;Gottlieb and Tomlinson,2005)。この酵素複合体のレベルが減少すると、腫瘍形成が起こる可能性がある(Eng et al.,2003)。
【0128】
PDZ結合キナーゼ(PBK)
PBKは、例えば成長因子受容体下流のp38MAPキナーゼを活性化するMEK3/6関連MAPKKである(Abe et al.,2000;Ayllon and O’connor,2007)。JNKは、二次ターゲットである可能性がある(Oh et al.,2007)。成人のPBKは精巣で発現するので(以下参照)、精子形成の機能が提言された(Abe et al.,2000;Zhao et al.,2001)。それとは別に、PBKは腫瘍細胞で増殖とアポトーシス抵抗性に寄与している。PBKは有糸分裂中にリン酸化および活性化され、紡錘体形成と細胞質分裂に必要である(Gaudet et al.,2000;Matsumoto et al.,2004;Park et al.,2009)(Abe et al.,2007)。他の成長促進および抗アポトーシス機能には、p53のダウンレギュレーションとヒストンリン酸化などがある(Park et al.,2006;Zykova et al.,2006)(Nandi et al.,2007)。PBKは、がん精巣抗原として分類され(Abe et al.,2000;Park et al.,2006)、多数のがんで過剰発現することが認められた。
【0129】
ポリメラーゼ(DNA依存性)、3、アクセサリサブユニット(POLD3)
DNAポリメラーゼ 複合体は、DNAの複製と修復に関与している。それは、増殖細胞核抗原(PCNA)、マルチサブユニットの複製因子C、および4サブユニットのポリメラーゼ複合体であるPOLD1、POLD2、POLD3、およびPOLD4から構成される(Liu and Warbrick,2006)。POLD3は、DNA複製の伸長相でpol の解離会合サイクル中に、PCNAの効果的な再利用で不可欠な役割を果たしている(Masuda et al.,2007)。
【0130】
プロテアソーム(プロソーム、マクロペイン)26Sサブユニット、非ATPアーゼ、14(PSMD14)
PSMD14は26Sプロテアソームの一成分である。プロテアソームの分解中に基質脱ユビキチン化に関与する(Spataro et al.,1997)、19S複合体に属している(19S cap;PA700)。ほ乳類細胞のPSMD14過剰発現が、細胞増殖およびビンブラスチン、シスプラチンとドキソルビシンのような細胞毒性薬物への奏効に影響を及ぼす(Spataro et al.,2002)。
HeLa細胞でのPSMD14によるsiRNA抑制の結果、細胞生存能力が低減しポリユビキチン化タンパク質レベルが増大した(Gallery et al.,2007)。siRNAによるPSMD14のダウンレギュレーションは、細胞生存能力にかなりの影響を持ち、G0-G1相での細胞停止、最終的には老化を導いた(Byrne et al.,2010)。
【0131】
プロテアソーム(プロソーム、マクロペイン)26Sサブユニット、ATPアーゼ、2(PSMC2)
PSMC2は、26Sプロテアソーム系の一成分である。シャペロン様活性を有するATPアーゼのトリプルAファミリーのメンバーである。このサブユニットは、いくつかの基底転写因子と相互作用することが示され、プロテアソーム機能に関与に加え、このサブユニットは転写調節に関与している可能性がある。骨格筋中の26SプロテアソームシステムはTNF-αによって活性化されることが示された(Tan et al.,2006)。B型肝炎調節遺伝子HBxをその生殖細胞系列に持ち、HCC、PSMC2および他のプロテアソームを発生するHBxトランスジェニックマウスで、腫瘍組織のサブユニットがアップレギュレートされる。19S複合体のATPアーゼサブユニットPSMC2のmRNAレベルは、がんの悪液質で増大した(Combaret et al.,1999)。
【0132】
タンパク質チロシンキナーゼ2(PTK2)
PTK2は、インテグリンシグナル伝達を調節する非受容体チロシンキナーゼであり、腫瘍成長、進行および転移を促進する可能性がある(Giaginis et al.,2009)(Hauck et al.,2002)(Zhao and Guan,2009)。PTK2は、発がんおよびがん進行のマーカーであると示唆された(Su et al.,2002;Theocharis et al.,2009;Jan et al.,2009)。
過剰発現および/または活性の増大は、胃癌をはじめとする多種多様なヒトのがんで起こる。PTK2はまた、シグナルを胃癌細胞の増殖に寄与するガストリン受容体下流に伝達する(Li et al.,2008b)。胃癌の8%がエプスタイン・バー・ウイルス(EBV)を保因することが示されている。EBV感染ヒト胃癌細胞株の亜系統はPTK2リン酸化を増大した(Kassis et al.,2002)。胃上皮細胞でのPTK2チロシンリン酸化レベルは、cagA陽性ピロリ菌生成物によって減少する。
【0133】
テトラスパニン1(TSPAN1)およびテトラスパニン8(TSPAN8)
TSPAN1およびTSPAN8は、4つの膜貫通型ドメインと細胞内N-およびC-末端により特徴付けられ、さらに細胞接着、運動性、活性化および腫瘍浸潤など様々なプロセスで役割を有する、テトラスパニンファミリーに属している。細胞表面のインテグリンのように他のタンパク質と大きな分子複合体を形成することが多い(Tarrant et al.,2003;Serru et al.,2000)。TSPAN1の機能はまだ知られておらず、分泌で役割を有している可能性がある(Scholz et al.,2009)。TSPAN1はいくつかのがんで過剰発現し、病期、進行、および臨床成績の悪化に相関することが多い。特に、胃癌の86症例のうち56.98%において、臨床病期、浸潤性とリンパ節転移状態とは正の相関で、さらに生存率と腫瘍分化度とは負の相関で、過剰発現することが報告された(Chen et al.,2008)。TSPAN8は、腫瘍の多くのタイプで転移に関連する遺伝子として報告されている(PMID:16467180)。消化管癌では、TSPAN8発現が予後不良と関連している(PMID:16849554)。
【0134】
亜鉛フィンガータンパク質598(ZNF598)
ZNF598はまだ機能が知られていない亜鉛フィンガータンパク質である。
【0135】
ディスインテグリンおよびメタロプロテイナーゼ10(ADAM10)
ADAM10は血管新生、発達および腫瘍形成に関与している。胃癌で過剰発現する。ADAM-10に対する選択的ADAM阻害剤に対し、現在がん治療の臨床試験が実施されている。(PMID:19408347)
【0136】
基質メタロプロテイナーゼ12(MMP12)
MMP12は、エラスチンと、他の多くの基質/非基質タンパク質を分解する亜鉛エンドペプチターゼであり、マクロファージ遊走と血管新生阻害に関与している(Chakraborti et al.,2003;Chandler et al.,1996;Sang,1998)。また、喘息、肺気腫、および慢性閉塞性肺疾患(COPD)、関節リウマチおよび腫瘍成長など、組織崩壊の病理学的プロセスに役割を果たしている(Cataldo et al.,2003;Wallace et al.,2008)。MMP12阻害剤は、これらの疾患の治療薬として検討されている(Churg et al.,2007;Norman,2009)。MMP12はがんで過剰発現することが多いが、その機能はあいまいである。MMP12は基質溶解すなわち転移に関与している可能性がある一方、アンジオスタチンの生成を通じて腫瘍成長を阻害し、血管新生にマイナスの影響を与える。MMP12の発現亢進が胃癌で報告され、好ましいことが示された。つまり、MMP12の発現亢進は、微小管密度、VEGF、腫瘍分化度、血管浸潤、リンパ節転移および再発と負の相関を有する。MMP12を過剰発現する患者は、生存率が有意に良好であることが明らかになった(Cheng et al.,2010;Zhang et al.,2007b;Zhang et al.,2007a)。
【0137】
リボヌクレオチドレダクターゼM2(RRM2)
RRM2は、リボヌクレオチドからデオキシリボヌクレオチドを生成する、2つのリボヌクレオチドレダクターゼサブユニットの1つである。RRM2の過剰発現は、胃癌などの腫瘍で観察され、転移の可能性を高める(PMID:18941749)(PMID:19250552)。RRM2のsiRNAノックダウンは、様々な種(マウス、ラット、サル)で腫瘍成長を遅延させた(PMID:17929316;PMID:17404105)。
【0138】
膜通過型プロテアーゼ、セリン4(TMPRSS4)
TMPRSS4は、膵臓癌、大腸癌、および胃癌などいくつかの癌組織で高く発現する、細胞表面で認められるII型膜貫通型セリンプロテアーゼである。がんにおけるTMPRSS4の生体機能はまだ知られていない。TMPRSS4は、4つのスプライス変異体を有する(Scott et al.,2001;Sawasaki et al.,2004)。卵巣癌での発現は病期と相関がある(Sawasaki et al.,2004)。TMPRSS4は、肺癌組織で非常に増加しており、肺癌および大腸癌細胞株における低分子干渉RNA治療によるTMPRSS4のsiRNAノックダウンは、細胞浸潤および細胞基質接着の低減、さらに細胞増殖の調節に関連していた(Jung et al.,2008)。
【0139】
脱ヨウ素酵素、II型ヨードチロニン(DIO2)
DIO2は、プロホルモンチロキシン(T4)を生体活性3,3’,5-トリヨードチロニン(T3)に変換する。TMPRSS4は、甲状腺で高く発現し、発現および/または活性は、甲状腺のがんでは脱調節されることが認められた(de Souza Meyer et al.,2005)(Arnaldi et al.,2005)。しかし、正常な肺、肺癌(Wawrzynska et al.,2003)、および脳腫瘍(Murakami et al.,2000)など他の組織でも見出された(Murakami et al.,2000)。
【0140】
インスリン様成長因子2mRNA結合タンパク質3(IGF2BP3)
IGF2BP3は核小体に主に存在し、そこでIGF2mRNAと結合しその翻訳を抑制する。胚形成に関与し、成人組織でダウンレギュレードされる。腫瘍細胞ではアップレギュレードされ、そのためがん胎児性タンパク質と考えられている(Liao et al.2005)胃癌をはじめとする多数のがんで、過剰発現し、予後不良に関連することが認められた(Jeng et al.2009)(Jiang et al.2006)。IGF2BP3に由来するペプチドが、がん予防接種の研究で試験された(Kono et al.2009)。
【0141】
ラミンB1(LMNB1)
ラミンB1は、核ラミナ基質のタンパク質であり、核安定性、クロマチン構造および遺伝子発現に関与している。アポトーシスの早い病期で、ラミンは分解される(Neamati et al.1995)(Sato et al.2008b;Sato et al.2008a;Sato et al.2009)。LMNB1は、本質的に正常な体細胞すべてである程度発現し、予備研究では胃癌など一部のがんの発生中に低減される可能性がある(Moss et al.1999)。肝細胞癌のような他のがんで、LMNB1がダウンレギュレートされ、腫瘍病期、サイズ、およびリンパ節転移数と正の相関を示すことが見出された(Lim et al.2002)。
【0142】
無翼型MMTV組込み部位ファミリー、メンバー5A
WNT5Aは、発生プロセスと腫瘍形成に関与する分泌シグナル伝達タンパク質である。Frizzled受容体およびLRP5/LRP6受容体を通じた標準的なWNT5Aシグナル伝達は、幹細胞/前駆細胞を維持し、Frizzled受容体およびROR2/PTK/RYK受容体を通じた非標準的なWNT5Aシグナル伝達は、例えば腫瘍と間質細胞の接触面の組織極性、細胞接着または運動を制御し、浸潤に導く(Katoh and Katoh,2007)。一部のがんでは腫瘍サプレッサーである可能性があるが、胃癌など他のがんではアップレギュレートされ、進行と転移に寄与し、予後不良に導く(Li et al.,2010)(Yamamoto et al.,2009)(Kurayoshi et al.,2006)。
【0143】
線維芽球活性化タンパク質α(FAP)
FAPは内在性膜ゲラチナーゼである。そのセリンプロテアーゼ推定活性は、発生、組織修復、および上皮癌形成中で、線維芽球成長または上皮細胞-間葉細胞相互作用をコントロールするのに役割を果たす可能性がある(Scanlan et al.1994)。FAPは、細胞接着および遊走プロセス、ECM成分の迅速な分解を通じて、がん成長、転移および血管新生に役割を有する可能性がある。FAPは、ECMを浸潤する腫瘍細胞上、反応活性ながん関連線維芽球、および血管新生に関与する内皮細胞に存在するが、同じタイプでも不活性細胞には存在しない。(Dolznig et al.2005;Kennedy et al.2009;Rettig et al.1993;Rettig et al.1994;Scanlan et al.1994;Zhang et al.010).FAP発現は、胃癌細胞および関連する間質腺芽球で見出される(Zhi et al.2010)(Chen et al.2006)(Mori et al.2004;Okada et al.2003)。マウスモデルにおいて、FAP発現細胞は、腫瘍微小環境の非冗長、免疫抑制成分であることが示された(Kraman et al.2010)。腫瘍予防接種のマウスモデルでは、FAPはCD8+およびCD4+T細胞応答へのターゲットとして使用することに成功した(Loeffler et al.2006;Wen et al.2010)(Lee et al.2005)(Fassnacht et al.2005)。
【0144】
コートマータンパク質複合体サブニットγ(COPG);
コートマータンパク質複合体サブニットγ2(COPG2);
コートマータンパク質複合体サブニットβ1(COPG1)
COPG、COPG2およびCOPB1は、非クラスリン被覆小胞に関連するコートタンパク質複合体1(COPI)とも呼ばれるコートマー複合体のサブユニットである。COPI被覆小胞はゴルジ体からERへの逆輸送と内部ゴルジ体の運搬を媒介する(Watson et al.,2004)。順行性輸送にも関与している可能性がある(Nickel et al.,1998)。逆行性輸送は、特に、COPGと結合するEGFRのEGF依存性核輸送を調節する(Wang et al.,2010)。COPGは、肺癌細胞および肺癌関連微小管内皮細胞で過剰発現することが見出された(Park et al.,2008)。
偏在的に発現したCOPG2の配列は、80%GOPGと一致している(Blagitko et al.,1999)。COPG2は、GOPGの代わりにCOPI様複合体を形成し、それはおそらく機能的に重複している(Futatsumori et al.,2000)。
細胞株を発現する、嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)のCOPB1ノックダウンは、コートマー複合体が細胞膜へのCRTR輸送に関与していることを示唆した(Denning et al.,1992)(Bannykh et al.,2000)。
【0145】
ユビキチン共役酵素E2S(UBE2S)
UBE2Sは、後期促進複合体(APC)、すなわち細胞周期調節因子をターゲットとすることにより、分裂終了とG1を調節するE3ユビキチンリガーゼの補助因子である。基質が他の成分によって前もってユビキチン化されていると、UBE2Sは、ユビキチン鎖を伸長させる(Wu et al.,2010)。UBE2Sはまた、VHLタンパク質をプロテアソーム分解のターゲットとし、その結果HIF-1αを安定化し(Lim et al.,2008)、場合によって増殖、上皮間葉移行、および転移を支援する(Chen et al.,2009)(Jung et al.,2006)。UBE2Sは、いくつかのがんの実体で過剰発現する。
【0146】
ケネシンファミリーメンバー11(KIF11)
KIF11は、双極有糸分裂紡錘体の集合に必要とされる。いくつかのがんでアップレギュレートされることが見出され、臨床病理学的パラメータと相関することが多い(Liu et al.,2010)(Peyre et al.,2010)。潜在的抗がん剤として開発された、S-トリチル-L-システイン(STLC)様KIF11低分子阻害剤は、有糸分裂で細胞を停止し、がん細胞のアポトーシスを促進する(Tsui et al.,2009)(Wiltshire et al.,2010)(Ding et al.,2010)。臨床では、KIF11阻害剤は低い活性のみ示した(Kaan et al.,2010;Tunquist et al.,2010;Wiltshire et al.,2010;Zhang and Xu,2008)。
【0147】
ディスインテグリンおよびメタロプロテイナーゼドメイン8(ADAM8)
ADAM8は最初免疫特異的ADAMであると考えられたが、がんや喘息のような呼吸器疾患など炎症およびECMリモデリングを含む状態で、頻繁に他の細胞タイプでも認められた(Koller et al.2009)。ADAM8など多数のADAM種がヒト悪性腫瘍で発現し、そこでは成長因子活性やインテグリン機能の調節に関与し、細胞成長や浸潤の促進に導くが、これらの正確なメカニズムは現在明らかではない(Mochizuki and Okada 2007)。マウスの胃腫瘍では、おそらくEGFRシグナル伝達が高められたために、ADAM8と他のADAMが増大した(Oshima et al.2011)。
細胞周期調節因子6ホモログ(出芽酵母)(CDC6)
CDC6はDNA複製の開始に不可欠である。G1相中は核に存在するが、S相の開始時に細胞質に転座する。CDC6はATRとの相互作用を通じて複製チェックポイントの活性化を調節する(Yoshida et al.2010)。CDC6の脱調節は、3つの重要な腫瘍サプレッサー遺伝子をコード化するINK4/ARF遺伝子座の不活性化を引き起こす可能性があり、このうちp16INK4aとp15INK4bは両方とも網膜芽腫経路の活性化因子であり、ARFはp53の活性化因子である(Gonzalez et al.2006)。
CDC6のsiRNAノックダウンは増殖を防止し、アポトーシスを促進する(Lau et al.2006)。CDC6は、胃癌などの癌でアップレギュレートされる(Nakamura et al.2007)(Tsukamoto et al.2008)
【0148】
F2R凝固因子II(トロンビン)受容体(F2R)
F2Rはプロテイナーゼ活性化受容体(PAR1)とも呼ばれ、Gタンパク質共役型受容体である。PAR1、PAR2、およびPAR4によるシグナルは、カルシウム放出またはマイトジェン活性化タンパク質キナーゼの活性化を調節し、血小板凝集、血管弛緩、細胞増殖、サイトカイン放出および炎症を導く(Oikonomopoulou et al.2010)。F2Rは、内皮細胞および腫瘍細胞の増殖と血管新生に関与すると考えられ、浸潤および転移腫瘍の多くのタイプで過剰発現する。発現レベルは癌の浸潤性の割合と直接相関がある(Garcia-Lopez et al.2010)(Lurje et al.2010)。胃癌細胞でF2Rが活性化すると、腫瘍細胞の成長と浸潤、例えば、NF-B、EGFR、およびテネイシン-C(TN-C)の過剰発現を促進する多数の応答が始動する可能性がある。従って、胃癌のF2R発現が、胃壁浸潤の深さ、腹膜播種、および予後不良に関連することが見出された(Fujimoto et al.2008)。トロンビン受容体のN末端内でエピトープ(SFLLRNPN)を認識するマウスモノクローナル抗ヒトPAR1抗体(ATAP-2)は、PAR1アゴニストペプチドTFLLRNPNDKと同様に説明された(Hollenberg and Compton 2002;Mari et al.1996;Xu et al.1995)。
【0149】
オルファクトメジン4(OLFM4)
OLFM4はその機能の大部分は未知であり、炎症した大腸上皮および多数のヒト腫瘍タイプ、特に消化器系の腫瘍で過剰発現する(Koshida et al.,2007)。OLFM4は、ヒト腸内の幹細胞の強固なマーカーであり、結腸直腸癌細胞のサブセットをマークする(van der Flier et al.,2009)。OLFM4は、アポトーシス促進タンパク質GRIM-19を阻害し(Zhang et al.,2004)(Huang et al.,2010)、細胞周期を調節し、さらにがん細胞増殖でS相の移行を促進する。さらに、OLFM4は、がん接着および転移と関連している(Yu et al.,2011b)。マウス前立腺腫瘍細胞中でOLFM4の過剰発現を強制すると、同系宿主でより迅速な腫瘍形成に至った(Zhang et al.,2004)。OLFM4は、GCで過剰発現することが見出された(Aung et al.,2006)。OLFM4発現の阻害は、胃癌細胞中の細胞毒性薬の存在下で、アポトーシスを誘発する可能性もある(Kim et al.,2010)。手術前の胃癌患者におけるOLFM4の血清濃度も、健常ドナーに比べて上昇した(Oue et al.,2009)。OLFM4は、レチノイン酸(RA)および脱メチル化剤5-アザ-2’-デオキシシチジンの新規ターゲット遺伝子として同定された。これらの2つの薬剤は、ある種の骨髄性白血病患者の治療に効果的であることが証明された(Liu et al.,2010)。
【0150】
Thy-1細胞表面抗体(THY)
Thy-1(CD90)は、T細胞、ニューロン、内皮細胞および線維芽細胞など、多数の細胞タイプで見出されたGPI固定糖タンパク質である。Thy-1は、接着、神経再生、腫瘍成長、腫瘍抑制、遊走、細胞死およびT細胞活性化などのプロセスに関与する。(Rege and Hagood 2006b;Rege and Hagood 2006a)(Jurisic et al.2010)。Thy-1は、成人の血管形成マーカーであるように見えるが、胎児の血管形成マーカーにはならない(Lee et al.1998)。さらに、様々な種類の幹細胞のマーカーとして考えられた(間葉幹細胞、肝幹細胞(「卵形細胞」)(Masson et al.2006)、ケラチノサイト幹細胞(Nakamura et al.2006)および造血幹細胞(Yamazaki et al.2009))。Thy-1は胃癌とGISTなどのいくつかの癌でアップレギュレートされ、そのためマーカーであると提案された(Yang and Chung 2008;Zhang et al.2010)(Oikonomou et al.2007)。
中心体タンパク質250kDa(CEP250)
【0151】
Cep250は、微小管形成中心の粘着に関与している(Mayor et al.,2000)。Cep250は、共局在化すると中心体Nek2関連タンパク質またはC-Nap1とも呼ばれ、セリン/スレオニンキナーゼNek2の基質である。Nek2キナーゼとその基質は、中心体間の結合を調節する(Bahmanyar et al.,2008)。有糸分裂の開始時に、中心体が双極紡錘体形成を分離すると、C-Nap1はリン酸化され、続いて中心体から解離する。In vitro実験で、Cep250の過剰発現は中心体の微小管形成を弱めることを示した(Mayor et al.,2002)。
【0152】
低酸素誘導因子1、αサブユニット(塩基性ヘリックスループヘリックス転写因子)(HIF1A)
HIF1Aは、低酸素誘導因子の酸素感受性サブユニット(HIF)、すなわち腫瘍で頻繁に認められる低酸素条件下で活性な転写因子である。生存、糖代謝、浸潤、転移および血管新生(例、VEGF)に関与する60個を超える遺伝子の転写を媒介する。HIF1は多数のがんで過剰発現し、予後不良に関連することが多く、薬理学的処置の興味深いターゲットと考えられている(Griffiths et al.2005;Quintero et al.2004;Stoeltzing et al.2004)(Zhong et al.1999)。
胃癌では、HIF1Aは血管新生(Nam et al.2011)に寄与し、腫瘍サイズ、低分化、生存率が短い腫瘍病期(Qiu et al.2011)および転移(Wang et al.2010)と相関している(Han et al.2006;Kim et al.2009;Oh et al.2008;Ru et al.2007)。薬物誘発アポトーシスの阻害による5-FUのような化学療法剤への耐性、および細胞内薬物蓄積の減少に導くとも考えらている(Nakamura et al.2009)(Liu et al.2008)。HIF-1α阻害剤2-メトキシ-エストラジオールは胃癌細胞の転移特性を有意に低減させた(Rohwer et al.2009)。
【0153】
v-Ki-ras2Kirstenラット肉腫ウイルスがん遺伝子ホモログ(KRAS)
KRASは、低分子GTPアーゼスーパーファミリーのメンバーであり、発がん性の可能性のあるMAPKおよびAKTによる媒介経路のような、多数のシグナル変換経路の早期段階に関与するがん原遺伝子である。単一アミノ酸の置換により、突然変異が活性化に至り、結果として、胃癌を含む様々な悪性腫瘍で重要な役割を果たす形質転換タンパク質となる(Capella et al.,1991)KRASの発がん突然変異は、胃癌ではめったに起こらない。胃癌のサブセットで、KRAS遺伝子座が増幅され、その結果KRASタンパク質が過剰発現する。そのため、遺伝子増幅は、胃癌におけるKRASの過剰活性化の分子的基礎を形成する可能性が高い(Mita et al.,2009)。変異体KRASの対立遺伝子は、低酸素症由来VEGFの誘発に寄与する(Kikuchi et al.,2009;Zeng et al.,2010)。変異したKRASはまた、がん患者の血清または血漿で検出することもでき、そのため容易に入手可能な腫瘍マーカーとして示唆された(Sorenson,2000)。ペプチドKRAS-001は、2つのスプライス変異体、NP_004976(アミノ酸188個)とスプライス変異体からではないNP_203524(アミノ酸189個)のたった1つから誘導される。スプライス変異体は、その最後のエクソンと異なり、KRAS-001が存在する。
【0154】
非SMCIコンデンシン複合体、サブユニットG(NCAPG)
NCAPGは、コンデンシンI複合体の一部であり、染色体構造維持(SMC)タンパク質と非SMCタンパク質から構成され、有糸分裂中に染色体の縮合と分離を調節する(Seipold et al.,2009)。NCAPGの過剰発現は、鼻咽頭癌(Li et al.,2010)、肝細胞癌(Satow et al.,2010)およびメラノーマ(Ryu et al.,2007)など、多数の腫瘍で認められた。正常組織の間で、NCAPGは精巣で最も高い発現を示した。増殖マーカーおよびがんの予後指標の可能性があると示唆された(Jager et al.,2000)。
【0155】
トポイソメラーゼ(DNA)IIα(TOP2A)およびトポイソメラーゼ(DNA)IIβ(TOP2B)
TOP2AとTOP2Bは、DNAトポイソメラーゼの高相同性アイソフォームをコード化し、DNAトポイソメラーゼは、転写中にDNAのトポロジー状態を制御し変化させ、染色体縮合、染色分体の分離、複製および転写に関与するトポイトメラーゼは、アンスラサイクリンのようないくつかの抗がん剤のターゲットであり、様々な突然変異が薬剤耐性に関与していた(Kellner et al.,2002)(Jarvinen and Liu,2006)。TOP2A(TOP2Bではなく)は細胞増殖に不可欠である。HER2がん遺伝子に隣接して存在し、HER2増幅乳房腫瘍の大半で増幅されるが、HER2増幅がなくとも(Jarvinen and Liu,2003)、さらに多数の他の腫瘍実体においても増幅される。胃癌のサブセットでTOP2Aは、増幅、過剰発現され、それはHER2と共に起こることが多いことが見出された(Varis et al.,2002)(Liang et al.,2008)。
【0156】
ラミニン、γ2(LAMC2)
ラミニンは、基底膜の主な非コラーゲン構成成分である。細胞接着、分化、遊走、シグナル伝達、および転移に関与している。α3とβ3と共にγ2鎖はラミニン5を構成する。LAMC2はin vivoでヒトがんの浸潤成長を促進する。ヒトがんの浸潤の最前部で高く発現し、発現は予後不良と相関する(Tsubota et al.,2010)。ラミニン5のMMP-2発生開裂生成物は、EGFRシグナル伝達を活性化させ、細胞の運動性を促進できる(Schenk et al.,2003)。胃癌で、LAMC2はEGFRファミリーメンバーまたはWnt5aによって誘発される可能性があり、浸潤活性は、LAMC2に依存することが示された(Tsubota et al.,2010)(Yamamoto et al.,2009)。
【0157】
アリール炭化水素受容体(AHR)
AHRはTCDD(2,3,7,8-テトラクロロジベンゾ-p-ジオキシン)のような平面の芳香族炭化水素に結合し、チトクロームP450酵素のような生体異物代謝酵素などの遺伝子転写を媒介する。細胞周期の進行にも役割を果たしている(Barhoover et al.2010)。ジオキシンは腫瘍促進および抗アポトーシス機能を有するので、AhRはジオキシン腫瘍促進活性に部分的に関連すると考えられており、細胞-細胞接触、脱分化および運動性亢進の脱調節に導く可能性がある(Watabe et al.2010)(Dietrich and Kaina 2010)(Marlowe et al.2008)。AHR発現は、TGFβによってダウンレギュレートされ(Dohr and Abel 1997;Wolff et al.2001)、Wntまたはβカテニンシグナル伝達によって誘発される可能性がある(Chesire et al.2004)。AHRの過剰発現は、胃癌など多数のがんで認められ、これらのがんでは頻繁にCYP1A1発現と相関していた(Ma et al.2006)。AHRの発現と核転座は正常組織よりも胃癌で高く、発現は発がん中徐々に増大した(Peng et al.2009a)。AhR経路の活性化は、MMP-9のc-Jun依存性誘発によると思われる、胃癌細胞の浸潤性を高めた(Peng et al.2009b)。マウスモデルで、アリール炭化水素受容体(CA-AhR)の構造的に活性な変異体が発現すると、その結果、死亡率上昇と関連する胃腫瘍が発生する(Andersson et al.2002;Kuznetsov et al.2005)。一部の研究では腫瘍抑制活性を示しているので、がんにおけるAhRの機能は曖昧であるようにみえる(Gluschnaider et al.2010)(Fan et al.2010)。
【0158】
ヒアルロン酸媒介運動性受容体(RHAMM)(HMMR)
HMMRは、細胞表面で発生し、そこでヒアルロン酸(HA)と結合しHA受容体CD44と相互作用する。この相互作用は細胞運動性、創傷治癒、および浸潤のようなプロセスで役割を果たしている(Gares and Pilarski,2000)。細胞内でHMMRは、細胞骨格、微小管、中心体および有糸分裂紡錘体と関連し、有糸分裂紡錘体の完全性の制御に役割を果たしている。HMMRは、いくつかのがん組織で過剰発現する(Sohr and Engeland,2008)。HAは免疫攻撃からがん細胞を保護することが示唆された。血清HAは、転移患者で増加することが多い(Delpech et al.,1997)。HMMRは、有望な腫瘍関連抗原およびAMLとCLLにおいて可能性のある予後因子として同定された。HMMR由来のペプチドは、抗白血病ワクチンで使用されてきた。HMMR-001は、同様にin vitro免疫原性について試験されたが、予防接種には使用されなかった(Tzankov et al.,2011)(Greiner et al.,2010;Schmitt et al.,2008;Tabarkiewicz and Giannopoulos,2010)(Greiner et al.,2005)。HMMRの過剰発現は他のいくつかのがんでも認められ、予後悪化に関連することが多かった。HMMRはまた、胃癌、多くはCD44と一緒に過剰発現し、浸潤と転移を促進することが示唆された(Li et al.,1999)(Li et al.,2000a)(Li et al.,2000b)。
【0159】
TPX2、微小管関連、ホモログ(アフリカツメガエル)(TPX2)
TPRX2は、細胞周期のS-、G(2)-およびM-相で発現する増殖関連タンパク質であり、増殖マーカーとみなされている(Cordes et al.,2010)。
正常の微小管核化、例えば有糸分裂紡錘体の集合に必要である。TPX2はAurora Aを補充し活性化する(Bird and Hyman,2008;Moss et al.,2009)。ポロ様キナーゼによるTPX2のリン酸化は、Aurora Aの活性化能力を増大させる(Eckerdt et al.,200)。TPX2は、多数の腫瘍タイプで過剰発現し、Aurora-Aにより共過剰発現することが多い(Asteriti et al.,2010)。TPX2の過剰発現が見られた(予後悪化または後期病期に関連することが多い)例は、髄膜腫(Stuart et al.,2010)、肺癌(Kadara et al.,2009)、(Lin et al.,2006;Ma et al.,200)、(Manda et al.,1999)、および肝細胞癌(Shigeishi et al.,2009b)(Satow et al.,2010)(Wang et al.,2003)である。
【0160】
本発明はそれ故、SEQ ID No.1からSEQ ID No.95までのグループか、SEQ ID No.1からSEQ ID No.95までと少なくとも80%相同性であるその変異体か、T細胞の前記ペプチドとの交差反応を誘発するその変異体から選択された配列を含むペプチドであって、完全な長さのポリペプチドではない上述のペプチドに関する。
【0161】
本発明はさらに、SEQ ID No.1からSEQ ID No.95までのグループか、SEQ ID No.1からSEQ ID No.95までと少なくとも80%相同性であるその変異体から選択される配列を含むペプチドであって、前記ペプチドまたは変異体の全長は8~100残基を有し、好ましくは8~30残基であり、さらに最も好ましくは8~16残基である。
【0162】
さらに本発明のペプチドは、前述されたペプチドに関連し、ヒト主要組織適合複合体(MHC)クラスIまたはII分子への結合能力を有する。
【0163】
本発明はさらに、前述のペプチドに関連し、そのペプチドはSEQ ID No.1からSEQ ID No.95に示されたアミノ酸配列から構成されるか、または基本的に構成されている。
【0164】
本発明はさらに前述のペプチドに関連し、そのペプチドは収縮されているか、および/またはペプチド結合を含んでいない。
【0165】
本発明はさらに前述のペプチドに関連し、そのペプチドは、融合タンパク質であり、特に、HLA-DR抗原関連変異体鎖(Ii)のN-末端アミノ酸を有するものである。
【0166】
本発明はさらに、前述のペプチドをコード化する核酸に関連しており、この場合前記ペプチドは完全なヒトタンパク質ではない。
【0167】
本発明はさらに、DNA、cDNA、PNA、CAN、RNAまたはその組み合わせである、前述の核酸に関する。
【0168】
本発明はさらに、前述の核酸を発現可能な発現ベクターに関する。
【0169】
本発明はさらに、医療で使用する前述のようなペプチト、前述のような核酸、または前述のような発現ベクターに関する。
【0170】
本発明はさらに、前述のような核酸または前述のような発現ベクターから構成される宿主細胞に関する。
【0171】
本発明はさらに抗原提示細胞である宿主細胞に関する。
【0172】
本発明はさらに抗原提示細胞が樹枝状細胞である上記宿主細胞に関する。
【0173】
本発明はさらに上記ペプチドの生成方法に関し、前記方法は上記宿主細胞の培養、および前記宿主細胞またはその培地からのペプチド単離を含む。
【0174】
本発明はさらに、活性化細胞傷害性Tリンパ球(CTL)のin vitroでの生成方法に関し、前記方法は抗原特異的方法で前記CTLを活性化するのに十分な期間、適当な抗原提示細胞表面上で発現された抗原負荷ヒトクラスIまたはIIMHC分子とCTLをin vitroで接触させ、抗原特異的方法で前記CTLを活性化させる工程を有し、ここで、前記抗原は前述のいずれかのペプチドである。
【0175】
本発明はさらに、上述のような方法に関しており、ここで抗原は、抗原提示細胞と十分な量の抗原とを接触させることにより、適当な抗原提示細胞表面上で発現されたクラスIまたはIIMHC分子上に負荷されている。
【0176】
本発明はさらに上記のような方法に関しており、ここで、抗原提示細胞はSEQ ID No.1からSEQ ID No.33または前記変異体アミノ酸配列を含む前記ペプチドを発現可能な発現ベクターを有する。
【0177】
本発明はさらに、上記方法により生成した活性化細胞傷害性Tリンパ球(CTL)に関しており、そのリンパ球は上記アミノ酸配列を有するポリペプチドを異常に発現する細胞を選択的に認識する。
【0178】
本発明はさらに、上述アミノ酸配列を含んだポリペプチドを異常に発現するターゲット細胞を持つ患者で、ターゲット細胞を殺す方法であって、定義とおり効果的な数の活性化Tリンパ球を患者に投与することからなる方法に関する。
【0179】
本発明はさらに上述のいずれかのペプチド、上述のような核酸、上述のような発現ベクター、上述のような細胞、または薬剤あるいは薬剤製造としての上述したような活性化細胞傷害性Tリンパ球に関する。
【0180】
本発明はさらに上述のような使用に関してであり、ここで薬剤はワクチンである。
【0181】
本発明はさらに上述のような使用に関してであり、ここで薬剤はがんに対して活性である。
【0182】
本発明はさらに上述のような使用に関してであり、ここで前記がん細胞は、胃、消化管、結腸直腸、膵臓、肺および腎臓の癌細胞である。
【0183】
本発明はさらに、胃癌の予後に使用できる特定なマーカータンパク質に関する。
【0184】
さらに、本発明は、がん治療用のこれらの新規ターゲットの使用に関する。
【0185】
本明細書で提示しているように、ABL1、ADAM10、AHR、CCND2、CDC6、CDK1、CEACAM1、CEACAM5、CEACAM6、CEACAM6、COL6A3、EIF2S3、LOC255308、EPHA2、ERBB2、ERBB3、F2R、FAP、HMMR、HSP90B1、IGF2BP3、ITGB4、KIF2C、KRAS、LAMC2、LCN2、MET、MMP11、MMP12、MMP3、MST1R、NUF2、OLFM4、PROM1、RRM2、THY1、TMPRSS4、TOP2A、TSPAN1、WNT5A、HIF1A、およびPTK2によってコード化されたタンパク質は、正常の胃組織および文献中の他の重要組織と比べ、胃癌で過剰発現すると説明された。
【0186】
ABL1、ADAM10、ADAM8、AHR、ASPM、ATAD2、CCDC88A、CCNB1、CCND2、CCNE2、CDC6、CDK1、CEACAM1、CEACAM5、CEACAM6、CEACAM6、CLCN3、COL6A3、EPHA2、ERBB2、ERBB3、F2R、FAP、HIF1A、HMMR、HSP90B1、IGF2BP3、IQGAP3、ITGB4、KIF11、KIF2C、KRAS、LAMC2、LCN2、MET、MMP11、MMP3、MST1R、MUC6、NCAPG、NFYB、NUF2、OLFM4、PBK、PLK4、PPAP2C、PROM1、PTK2、RRM2、SIAH2、THY1、TOP2A、TPX2、TSPAN1、TSPAN8、UBE2S、UCHL5、およびWNT5Aによりコード化されたタンパク質は、悪性形質転換、細胞成長、増殖、血管新生または正常組織への浸潤に関与していることから、腫瘍形成に重要な役割を果たすことが示された。DNAJC10、EIF2S3、EIF3L、POLD3、PSMC2、PSMD14、およびTMPRSS4でコード化されたタンパク質に対しても、がんに関連する働きに対する証拠がいくつかある。
【0187】
PROM1、WNT5A、SMC4、PPAP2C、GPR38、OLFM4、およびTHY1によりコード化されたタンパク質は、幹細胞および/またはがん幹細胞で高く発現すること、および/または機能的に重要であることが示されている。PROM1は胃癌幹細胞のマーカーとして検討されてきたが、データは議論されている。がん幹細胞は、腫瘍成長の維持に必要な自己再生の可能性を持つ、腫瘍細胞のサブ集団である。これらの細胞は、がん幹細胞の自己再生の可能性を維持するのに必要である、いわゆるがん幹細胞ニッチと呼ばれる、特殊な非常に組織化された構造に存在している。
【0188】
腫瘍中で、AHR、ASPM、ATAD2、CCNB1、CCND2、CCNE2、CDK1(CDC2)、CEACAM1、CEACAM5、CEACAM6、CEACAM6、COL6A3、EPHA2、ERBB2、ERBB3、F2R、FAP、HIF1A、HMMR、HSP90B1、IGF2BP3、ITGB4、KIF11、KIF2C、KRAS、LAMC2、LCN2、LMNB1、MET、MMP11、MMP3、MST1R、MUC6、NCAPG、NUF2、OLFM4、PBK、PPAP2C、PROM1、PTK2、TMPRSS4、TPX2、TSPAN1、およびWNT5Aなどのタンパク質が過剰発現することが、進行がん病期と患者の予後悪化に関連することが示されている。
【0189】
それ故、本発明は、胃癌を有する可能性のある動物、好ましくはヒトでの同定方法を提供する。1つの実施形態では、確定した尤度は80%~100%である。該方法の1つは、被験動物の腫瘍サンプル中のタンパク質MST1R、UCHL5、SMC4、NFYB、PPAP2C、AVL9、UQCRB、およびMUC6の少なくとも1つのレベルの決定を含む。1つの実施形態では、サンプルは根治手術から得られる。1つの実施形態では、サンプルは針生検から得られる。
【0190】
測定時にMST1R、UCHL5、SMC4、NFYB、PPAP2C、AVL9、UQCRB、またはMUC6のレベルが同じ標本の良性上皮細胞中の測定値に対し、20%以上アップレギュレートされている場合、動物被験者は胃癌を有する可能性が確認される。
【0191】
MST1R、UCHL5、SMC4、NFYB、PPAP2C、AVL9、UQCRB、およびMUC6を有するグループで、より異なるタンパク質がアップレギュレートされるほど、被験動物で胃癌の可能性が同定される割合がより高くなる。
【0192】
1つの実施形態では、MST1R、UCHL5、SMC4、NFYB、PPAP2C、AVL9、UQCRBまたはMUC6のレベルの測定は生体内原位置で実施された。別の実施形態では、MST1R、UCHL5、SMC4、NFYB、PPAP2C、AVL9、UQCRBまたはMUC6のレベルの測定はin vitroで実施された。別の実施形態では、MST1R、UCHL5、SMC4、NFYB、PPAP2C、AVL9、UQCRBまたはMUC6のレベルの測定はin vivoで実施された。好ましい実施形態では、MST1R、UCHL5、SMC4、NFYB、PPAP2C、AVL9、UQCRBまたはMUC6レベルの測定はウェスタンブロットと併用したレーザー捕獲顕微鏡で実施される。
【0193】
特定の実施形態では、MST1R、UCHL5、SMC4、NFYB、PPAP2C、AVL9、UQCRBまたはMUC6レベルの測定は、MST1R、UCHL5、SMC4、NFYB、PPAP2C、AVL9、UQCRBまたはMUC6の特異抗体で実施される。別の該実施形態では、MST1R、UCHL5、SMC4、NFYB、PPAP2C、AVL9、UQCRBまたはMUC6レベルの測定は、MST1R、UCHL5、SMC4、NFYB、PPAP2C、AVL9、UQCRBまたはMUC6をコード化するmRNAに特異なプライマーを有するPCRで実施される。別の実施形態ではさらに、MST1R、UCHL5、SMC4、NFYB、PPAP2C、AVL9、UQCRBまたはMUC6レベルの測定は、MST1R、UCHL5、SMC4、NFYB、PPAP2C、AVL9、UQCRBまたはMUC6をコード化するmRNAに特異的なヌクレオチドプローブを用いて実施される。1つの該実施形態では、MST1R、UCHL5、SMC4、NFYB、PPAP2C、AVL9、UQCRBまたはMUC6のレベルの測定はノーザンブロットで実施される。別の実施形態では、MST1R、UCHL5、SMC4、NFYB、PPAP2C、AVL9、UQCRBまたはMUC6のレベルの測定はリボヌクレアーゼ保護アッセイにより実施される。他の実施形態では、酵素にリンクする免疫吸着剤分析(ELISA)、放射免疫測定(RIA)、およびウェスタンブロットなどの免疫検査を、体液サンプル(血液、血清、痰、尿、または腹水)中のMST1R、UCHL5、SMC4、NFYB、PPAP2C、AVL9、UQCRB、およびMUC6のポリペプチドの検出に使用してもよい。生検、組織サンプル、および細胞サンプル(卵巣、リンパ節、卵巣表面表皮細胞剥離物、肺生検、管生検、および腹水、痰、胸水などの細胞を含む体液サンプル)は、組織または細胞サンプルを成分に分ける、および/または溶解させ、それをELISA、RIA、またはウェスタンブロットなどのポリペプチド検出用免疫アッセイで試験してもよい。該細胞または組織サンプルは、核酸に基づく方法、例、逆転写ポリメラーゼ鎖反応(RT-PCR)増幅、ノザンハイブリダイゼーション、またはスロット/ドットブロットによって分析されてもよい。組織サンプル内の腫瘍細胞の分布を視覚化するには、サンプルの組織構造を保存する診断検査、例えば、免疫組織染色、in situ RNAハイブリダイゼーション、またはin situ RT-PCRなどを使用して、胃癌マーカーポリペプチドまたはmRNAを検出してもよい。腫瘤のin vivo局在を検査するには、MST1R、UCHL5、SMC4、NFYB、PPAP2C、AVL9、UQCRB、またはMUC6のポリペプチドと特異的に結合する抗体を被験者に導入して、核磁気共鳴イメージ(MRI)などの画像検査を使用してもよいが、ここで抗体は共役するか、そうでない場合は常磁性体トレーサー(または、使用するイメージ方法に依存する、適切な検出可能な部分)と結合する。代わりに、抗体特異的な非標識腫瘍マーカーの位置を、検出可能な部分と結合した二次抗体によって検出してもよい。
【0194】
さらに、本発明は、MST1R、UCHL5、SMC4、NFYB、PPAP2C、AVL9、UQCRB、またはMUC6ポリペプチドからなるキメラ/融合タンパク質/ペプチド、および機能的で、タンパク質分解する、抗原フラグメントを含むそれらのフラグメントを提供する。
ハイブリッド分子の融合パートナーまたはセクションは、CD4+T細胞を刺激するエピトープを適切に提供する。CD4+刺激エピトープは、該分野でよく知られており、破傷風トキソイドで確認されたものを含む。さらに好ましい実施形態では、ペプチドは融合タンパク質であり、特にHLA-DR抗原関連変異体鎖(Ii)のN-末端アミノ酸からなる。1つの実施形態では、本発明のペプチドは、欠失型ヒトタンパク質またはタンパク質フラグメントの融合タンパク質であり、ヒトの一部に1つ以上の発明アミノ酸配列を含むならば、別のポリペプチドの一部である。
【0195】
MST1R、UCHL5、SMC4、NFYB、PPAP2C、AVL9、UQCRB、またはMUC6ポリペプチドへの抗体、MST1R、UCHL5、SMC4、NFYB、PPAP2C、AVL9、UQCRB、またはMUC6ポリペプチドからなるキメラ/融合タンパク質への抗体、たんぱく分解および抗原フラグメントなどのMST1R、UCHL5、SMC4、NFYB、PPAP2C、AVL9、UQCRB、またはMUC6ポリペプチドのフラグメントへの抗体、およびこれらのフラグメントからなるキメラ/融合タンパク質/ペプチドへの抗体も、本発明の一部である。さらに、がん特に、胃癌の予後に該抗体を使用する方法も本発明の一部である。
【0196】
本発明の抗体は、ポリクロナール抗体、モノクロナール抗体、および/またはキメラ抗体であってもよい。本発明のモノクロナール抗体を生成する不死化細胞株も本発明の一部である。
【0197】
当業者は、一部の事例では、腫瘍マーカー遺伝子としてのMST1R、UCHL5、SMC4、NFYB、PPAP2C、AVL9、UQCRBまたはMUC6のより高い発現は、胃癌被験者の予後不良を示すことを理解することになる、例えば、MST1R、UCHL5、SMC4、NFYB、PPAP2C、AVL9、UQCRBまたはMUC6の比較的高い発現は、相対的に大きい原発性腫瘍、より高い腫瘍負荷(例、より広い転移)または比較的悪性度の高い腫瘍の発現型を示す可能性がある。
【0198】
MST1R、UCHL5、SMC4、NFYB、PPAP2C、AVL9、UQCRBまたはMUC6を有するグループで、より多くのタンパク質が過剰発現するほど、予後はさらに不良となる。
【0199】
本発明の診断と予測的方法には、例えば、MST1R、UCHL5、SMC4、NFYB、PPAP2C、AVL9、UQCRBおよびMUC6のポリペプチド検出用の抗体に基づく方法、およびMST1R、UCHL5、SMC4、NFYB、PPAP2C、AVL9、UQCRBおよびMUC6のmRNA検出用の核酸ハイブリダイゼーションおよび/または増幅に基づく方法など、既知の方法を利用するものが含まれている。
【0200】
さらに、急速な腫瘍細胞の破壊により自己抗体形成が起こることが多いので、胃癌に対する本発明の腫瘍マーカーを、血清学的アッセイ(例、被験者血清のELISA検査)に使用して、被験者のMST1R、UCHL5、SMC4、NFYB、PPAP2C、AVL9、UQCRBまたはMUC6に対する自己抗体を検出する可能性もある。MST1R、UCHL5、SMC4、NFYB、PPAP2C、AVL9、UQCRBおよびMUC6ポリペプチド特異的自己抗体レベルがコントロールサンプルよりも約3倍以上(好ましくは、少なくとも5倍あるいは7倍以上、最も好ましくは、少なくとも10倍または20倍以上)の場合は、胃癌を示している。
【0201】
細胞表面に局在する、細胞内の、分泌されたMST1R、UCHL5、SMC4、NFYB、PPAP2C、AVL9、UQCRBおよびMUC6ポリペプチドはすべて、組織または細胞サンプルなど(腹腔液のような液体サンプルから得た細胞も含む)の生検分析に使用し、組織または細胞生検を胃癌細胞を含有するものとして同定してもよい。生検はそのままの組織としてあるいは全細胞サンプルとして分析してもよく、またはその組織とサンプルは使用する診断検査の特定なタイプの必要性に応じて、成分に分けるかおよび/または溶解させてよい。例えば、生検またはサンプルは、MST1R、UCHL5、SMC4、NFYB、PPAP2C、AVL9、UQCRBおよびMUC6ポリペプチドまたはmRNAのin situレベルの全組織または全細胞分析、例えば、免疫組織化学、in situ mRNAハイブリダイゼーション、またはin situ RT-PCRの対象としてもよい。ELISA、免疫ブロット、またはそれに相当する方法など免疫学的方法を使ってポリペプチドまたはmRNAを解析するために、またはRT-PCR、ノザンハイブリダイゼーション、またはストット/ドットブロットなど核酸に基づく分析方法によりmRNAレベルを分析するために、どうやって組織や細胞を処理するかを当業者は知っている。
【0202】
MST1R、UCHL5、SMC4、NFYB、PPAP2C、AVL9、UQCRBおよびMUC6の発現レベル測定用キット
【0203】
本発明は、被験者の胃癌マーカー遺伝子として、MST1R、UCHL5、SMC4、NFYB、PPAP2C、AVL9、UQCRBおよびMUC6の発現レベルの増大を検出するキットを提示している。胃癌マーカーポリペプチドの検出用キットは、好ましくは胃癌マーカーポリペプチドに特異的に結合する抗体を含む。胃癌マーカーmRNAの検出用キットは、MST1R、UCHL5、SMC4、NFYB、PPAP2C、AVL9、UQCRBおよびMUC6のmRNAと特異的にハイブリッドする1つ以上の核酸(例、1つ以上のオリゴヌクレオチドプライマーまたはプローブ、DNAプローブ、RNAプローブ、またはRNAプローブ形成用テンプレート)を含んでいる。
【0204】
特に、抗体に基づくキットは、抗体またはその免疫反応性フラグメントを特異的に結合する、MST1R、UCHL5、SMC4、NFYB、PPAP2C、AVL9、UQCRBおよびMUC6ポリペプチドの存在の検出および/またはそれらのポリペプチドレベルの測定に使用できる。キットには、抗原と反応する抗体および抗原抗体反応を検出する試薬を含む。該キットはELISAキットでよく、適宜コントロール(例、特定胃癌マーカーポリペプチドの指定量)、一次および二次抗体を、また検出可能な部分、酵素基質および着色試薬など上述したような他の必要な試薬すべてを含むことができる。診断用キットは代わりに、一般的に本明細書で記述した成分や試薬からなる免疫ブロットキットであってもよい。
【0205】
核酸に基づくキットは、組織または細胞生検などのサンプル中のMST1R、UCHL5、SMC4、NFYB、PPAP2C、AVL9、UQCRBおよびMUC6のmRNAの検出および/またはそれらのmRNA量を測定することにより、MST1R、UCHL5、SMC4、NFYB、PPAP2C、AVL9、UQCRBおよびMUC6の検出および/またはそれらの発現レベルの測定に使用できる。例えば、MST1R、UCHL5、SMC4、NFYB、PPAP2C、AVL9、UQCRBおよびMUC6発現の上昇を検出するためのRT-PCRキットは、好ましくは、胃癌マーカーmRNAのcDNAへの逆転写と胃癌マーカーcDNAのPCR増幅の実施に十分なオリゴヌクレオチドプライマーを含み、また好ましくは、適切な陰性および陽性コントロールと量子化用の内部コントロールを実行するための、コントロールPCRテンプレート分子とプライマーも含む。当業者は、逆転写とPCR反応を実行するための適切なプライマーと、実行する適切なコントロール反応を選択する方法を理解するであろう。該手引きは、例えば、F.Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,New York,N.Y.,1997に見出される。
RT-PCRの多数のばらつきは当該分野で知られている。
免疫毒素のMST1R、UCHL5、SMC4、NFYB、PPAP2C、AVL9、UQCRBおよびMUC6へのターゲット送達は、胃癌の治療または予防のための治療ターゲットとして使用できる。例えば、細胞表面に局在するMST1R、UCHL5、SMC4、NFYB、PPAP2C、AVL9、UQCRBおよびMUC6ポリペプチドと特異的に結合する抗体分子は、ラジオアイソトープまたは他の毒性化合物と結合することができる。抗体結合体を被験者に投与すると、抗体は同種の胃癌ポリペプチドと結合し、その結果、胃癌細胞への治療化合物のターゲット送達が起こり、それにより卵巣癌が治療される。
【0206】
治療を担う部分はトキシン、ラジオアイロソープ、薬物、化学物質、またはタンパク質である(Bera et al.”Pharmacokinetics and antitumor activity of a bivalent disulfide-stabilized Fv immunotoxin with improved antigen binding to erbB2” Cancer Res.59:4018-4022 (1999)を参照)例えば、トキシンをMST1R、UCHL5、SMC4、NFYB、PPAP2C、AVL9、UQCRBおよびMUC6を発現する細胞にターゲット送達するために、抗体は、細菌性毒素(例、ジフテリア毒素、緑膿菌外毒素A、コレラ毒素)または植物毒素(例、リシン毒素)に結合または接合できる。
この免疫毒素は1つの細胞に送達され、細胞表面に局在する胃癌マーカーポリペプチドと結合するとすぐに、胃癌マーカー特異的抗体に接合する毒素がその細胞に送達されることになる。
【0207】
さらに、特異的リガンド(例、細胞表面に局在するタンパク質に結合するリガンド)が存在する、MST1R、UCHL5、SMC4、NFYB、PPAP2C、AVL9、UQCRBおよびMUC6のいずれのポリペプチドに対しても、そのリガンドは、上述したように胃癌細胞に対する毒性化合物をターゲットとするために、抗体の代わりに使用されうる。
【0208】
「抗体」という用語は、ここでは広い意味で使われており、ポリクロナールおよびモノクロナール抗体の両方を含む。「抗体」という用語には、完全免疫グロブリン分子に加え、これらの免疫グロブリン分子およびヒト型免疫グロブリン分子のフラグメントまたはポリマーも、本明細書で記載されている何らかの望ましい性質(例、胃癌マーカーポリペプチドの特異的結合、高レベルで胃癌マーカー遺伝子を発現する胃癌細胞へのトキシンの送達、および/または胃癌マーカーポリペプチド活性の阻害)を表す限り含まれる。
【0209】
可能な限り、本発明の抗体は市販品を購入する。本発明の抗体はよく知られた方法でも生成してもよい。熟練した当業者は本発明の抗体生成に、胃癌マーカーの完全なポリペプチドまたはそのフラグメントのどちらを使用してもかまわないことは理解するだろう。本発明の抗体生成に使用されるポリペプチドは、天然物から部分的にあるいは完全に生成しても、あるいは組み換えDNA技法により生成してもよい。例えば、MST1R、UCHL5、SMC4、NFYB、PPAP2C、AVL9、UQCRBまたはMUC6のポリペプチドまたはそのフラグメントをコード化するcDNAは、原核生物(例、細菌)または真核生物(例、酵母、昆虫、またはほ乳類細胞)中で発現され、その後、組み換えタンパク質が精製され、抗体生成用胃癌マーカーポリペプチドと特異的に結合するモノクロナールまたはポリクロナール抗体製剤を生成するのに使用することができる。
【0210】
当業者は、モノクローナルまたはポリクローナル抗体の2つ以上の異なるセットが生成すると、その使用目的(例、ELISA、免疫組織化学法、in vivoイメージング、抗毒素療法)に必要な特異性と親和性を持つ抗体を得る可能性が最大となることを知るであろう。使用される目的(例、ELISA、免疫組織化学、免疫療法など、抗体の生成と試験についての詳細な手引きの例として、Harlow and Lane,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1988を参照)に応じて、その抗体が望ましい活性を有しているか既知方法で試験される。例えば、抗体は、ELISAアッセイ、ウェスタンブロット、ホルマリン固定胃癌または冷凍組織切片の免疫組織化学染色法で試験してもよい。最初のin vitroキャラクタリゼーション後、治療または体内診断を使用目的とした抗体は、既知の臨床検査方法に従って試験される。
【0211】
本明細書で使われている「モノクノナール抗体」という用語は、十分均質な集団から得られる抗体を意味し、つまり集団に含まれる個々の抗体は少量で提示される自然発生変異の可能性以外は、同一である。本明細書のモノクロナール抗体は具体的にはキメラ抗体であり、その中の重鎖およびまたは軽鎖部分は、特定種由来の抗体あるいは抗体の特定クラスまたはサブクラスに属する抗体に対応する配列と同一かまたは相同であり、一方、望ましい拮抗作用を表す限り、鎖の残基は別種由来の抗体あるいは抗体の別のクラスまたはサブクラスに属する抗体、およびその抗体のフラグメントに対応する配列と同一または相同である(米国特許No.4,816,567)。
【0212】
本発明のモノクロナール抗体はハイブリドーマ法によって調製される。ハイブリドーマ法では、通常マウスまたは他の適切な宿主動物が免疫製剤で免疫化され、免疫製剤に特異的に結合する抗体を生成するか、生成能力有するリンパ球を誘発する。代わりに、リンパ球をin vitroで免疫化してもよい。
【0213】
モノクロナール抗体は米国特許No.4,816,567記載の方法など、組み換えDNA法によっても生成してもよい。
本発明のモノクルナール抗体をコード化するDNAは、従来手順(例、マウス抗体の重鎖と軽鎖をコード化する遺伝子に特異的に結合する能力があるオリゴヌクレオチドプローブを用いる)によって容易に単離し配列決定されうる。
【0214】
In vitroの方法も一価の抗体調製には適している。フラグメント特に、Fabフラグメントを生成する抗体の消化は、当該分野で決まっている既知技術によって達成できる。例えば、消化はパパインによって達成可能である。パパイン消化の例は、1994年12月22日発行のWO94/29348と米国特許No.4,342,566に記載されている。
抗体のパパイン消化は通常、Fabフラグメントと呼ばれ、各々単一の抗原結合部位を有する2つの同一の抗原結合フラグメント、および残存Feフラグメントを生成する。
ペプシン処理により、2つの抗原が結合する部位をもち、しかも架橋結合抗原能力を有するフラグメントが得られる。
【0215】
他の配列に繋がっているか否かにかかわらず、抗体フラグメントは、その活性が非改変抗体または抗体フラグメントに比べて有意に変化あるいは減弱されていなければ、特定領域または特定アミノ酸残基の挿入、削除、置換、または他の選択的修飾も含む。これらの修飾は、ジスルフィド結合能力のあるアミノ酸の削除/追加、生物的寿命の延長、分泌特性の変更など、いくつかの別の特性を提供しうる。
いずれの場合も、抗体フラブメントは、結合活性、結合ドメインにおける結合調節などの生物活性の特質を所有していなければならない。
抗体の機能領域すなわち活性領域は、タンパク質の特定領域の変異原性、続いて発現と発現ポリペプチドの試験によって同定される。該方法は、当該分野の実施者には容易に明らかであり、抗体フラグメントをコード化する核酸の部位特異的変異原性を含みうる。
【0216】
本発明の抗体は、さらにヒト化抗体またはヒト抗体を含む。非ヒト抗体(例、マウス)のヒト化型は、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖またはそのフラブメント(Fv、Fab、Fab’または抗体の他の抗原結合配列など)であり、それらは非ヒト免疫グロブリン由来の最小配列を含んでいる。ヒト化抗体は、ヒト免疫グロブリン(受容抗体)を含み、その中で受容体の補体決定領域(CDR)からの残基は、マウス、ラット、ウサギなど望ましい特異性、親和性と容量を持つ非ヒト種(ドナー抗体)CDRからの残基によって置換される。一部の例では、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク(FR)残基が対応する非ヒト残基で置換される。ヒト化抗体はまた、受容抗体内でも、取り込まれたCDRまたはフレームワーク配列内のいずれでも検出されない残基も含む。ヒト化抗体は、1つの通常は2つの可変ドメインのすべてを十分に含み、その中で、CDR領域のすべて、またはその大半が非ヒト免疫グロブリンのものに対応しており、FRのすべて、またはその大半がヒト免疫グロブリンに一致する配列のものに対応している。ヒト化抗体は最適には、少なくとも免疫グロブリン一定領域(Fc)の一部を、通常はヒト免疫グロブリンの一部を含むことである。
【0217】
非ヒト抗体のヒト化方法は当該分野ではよく知られている。ヒト化抗体は非ヒト源から導入された1つ以上のアミノ酸残基を有している。これらの非ヒトアミノ酸残基は、頻繁に「取り込み」残基と呼ばれ、通常「取り込み」可変ドメインから取り込まれる。ヒト化は基本的には、げっ歯動物のCDRまたはCDR配列をヒト抗体の対応する配列に代用することで達成されうる。従って、該「ヒト化」抗体はキメラ抗体であり(米国特許No.4,816,567)、そこでは、完全ヒト可変ドメインよりもかなり少ないドメインが非ヒト種の対応する配列で置換される。実際には、ヒト化抗体は通常、一部のCDR残基および可能なら一部のFR残基が、げっ歯動物抗体のアナログ部位の残基で置換されたヒト抗体である。
【0218】
免疫化時点で、内在性免疫グロブリン産生なしに、ヒト抗体の完全なレバートリーを産生できる遺伝子組換え動物(例、マウス)を採用できる。例えば、キメラまたは生殖系列変異マウスで、領域遺伝子に加わる抗体重鎖のホモ接合体が欠損する結果、内在性抗体産生が完全に阻害される。そのような生殖系変異マイスにおいてヒト生殖系免疫グロブリンの遺伝子アレイが転移するとその結果、抗原刺激時にヒト抗体が産生される。ヒト抗体はファージディスプレイライブラリーでも生成されうる。
【0219】
本発明の抗体は、好ましくは薬剤的に認容される担体に混ぜて被験者に投与される。通常、適切な量の薬剤学的に認容性のある塩が、製剤を等張状態にさせるために製剤中に使われる。薬剤学的に認容性のある担体例には生理食塩液、リンゲル溶液およびデキストロース溶液が含まれる。溶液のpHは、好ましくは5から8までであり、さらに好ましくは約7から約7.5までである。さらに単体は抗体を含む固体疎水性ポリマーの半透性マトリクスのような徐放性製剤を含み、そのマトリクスは成形品の剤型、例えばフィルム、リポソーム、または微粒子などである。特定の担体は、例えば、投与経路や投与される抗体濃度次第でさらに好ましくなることは、当業者には明確である。
【0220】
抗体は、注射(例、静注、腹腔内注、皮下注、筋注)、または有効な形態で確実に血流に送達する他の方法により、被験物、患者または細胞に投与されうる。抗体は、局所と全身治療効果を与えるために、腫瘍内または腫瘍周辺経路によっても投与可能である。局注または静注が好ましい。
【0221】
抗体の有効な用量と投与スケジュールは経験的に決定され、そのような決定は当該分野の技術範囲内である。
当業者は、抗体の投与すべき用量が例えば、抗体を受け取る被験者、投与経路、使用抗体の特定タイプ、および他の投与薬などに依存して変化することを理解することになる抗体単独使用での典型的な1日用量は、上述した要因に依存して、1日約1μg/kg体重から100mg/kg体重以上の範囲であるかもしれない。胃癌の治療に抗体を投与後の治療用抗体の効能は、熟練医師によく知られた様々な方法で評価されうる。例えば、その治療を受ける被験者の胃癌のサイズ、数、および/または分布が標準的な腫瘍画像技法によってモニターされる。腫瘍の成長を止めるために投与する治療用抗体は、抗体の非投与時に起こる疾病経過に比べ、腫瘍を縮小させ、および/または新たな腫瘍発現を防止し、胃癌治療に有効な抗体である。
【0222】
ABL1、ADAM10、AHR、CCND2、CDC6、CDK1、CEACAM1、CEACAM5、CEACAM6、CEACAM6、COL6A3、EIF2S3、LOC255308、EPHA2、ERBB2、ERBB3、F2R、FAP、HMMR、HSP90B1、IGF2BP3、ITGB4、KIF2C、KRAS、LAMC2、LCN2、MET、MMP11、MMP12、MMP3、MST1R、NUF2、OLFM4、PROM1、RRM2、THY1、TMPRSS4、TOP2A、TSPAN1、WNT5A、HIF1A、およびPTK2などのタンパク質は、正常の組織に比べ少なくとも胃癌組織の1つのサブセットで高く発現することが示されたことから、それらの発現または活性の阻害は、胃癌の治療または予防としていずれの治療法にも統合される可能性がある。
【0223】
アンチセンス療法の原理は、遺伝子発現の配列に特異的な抑制(転写または翻訳による)は、ゲノムDNAまたはmRNAと補体アンチセンス種間の細胞内ハイブリダイゼーションによって達成される可能性があるという仮定に基づいている。該ハイブリッド核酸二本鎖の形成は、ゲノムDNAをコード化するターゲット腫瘍抗原の転写または、ターゲット腫瘍抗原mRNAのプロセッシング/運搬/翻訳および/または安定性を妨害する。
【0224】
アンチセンス核酸は、様々なアプローチによって供給される。例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはアンチセンスRNAは、腫瘍細胞への取り込みを可能にさせる製剤で直接被験者に直接投与できる。あるいは、アンチセンスRNA(またはRNAフラグメント)をコード化するウイルスまたはプラスミドベクターをin vivoで細胞に導入できる。アンチセンス効果は、センス配列によって導入することもできるが、表現型の変更程度は非常に様々である。効果的なアンチセンス療法によって誘導された表現型の変化は、例えばターゲットmRNA、ターゲットタンパク質レベル、および/ターゲットタンパク質活性
レベルなどの変化にしたがって評価される。
【0225】
特異的な例では、アンチセンス遺伝子療法による胃腫瘍マーカー機能の阻害は、アンチセンス胃腫瘍マーカーRNAを直接被験者に投与することにより達成される可能性がある。アンチセンス腫瘍マーカーRNAは、いずれの標準方法によっても生成/単離される可能性があるが、高効率のプロモーターの制御下でアンチセンス腫瘍マーカーcDNAを使用し、in vitro転写により最も簡単に生成される(例、T7 promoter)。アンチセンス腫瘍マーカーRNAの細胞への投与は、以下に述べる核酸の直接投与するいずれの方法によっても実施可能である。
【0226】
遺伝子療法によるMST1R、UCHL5、SMC4、NFYB、PPAP2C、AVL9、UQCRBまたはMUC6機能を阻害する代替方法には、抗MST1R、UCHL5、SMC4、NFYB、PPAP2C、AVL9、UQCRBまたはMUC6抗体の細胞内発現、あるいは抗MST1R、UCHL5、SMC4、NFYB、PPAP2C、AVL9、UQCRBまたはMUC6抗体の一部の細胞内発現などがある。例えば、MST1R、UCHL5、SMC4、NFYB、PPAP2C、AVL9、UQCRBまたはMUC6ポリペプチドに特異的に結合し、その生物活性を阻害するモノクロナール抗体をコード化する遺伝子(または遺伝子フラグメント)が、核酸発現ベクター内で特異的(例、組織または腫瘍特異的)遺伝子の制御配列の転写制御下におかれる。ベクターが被験者に投与され、胃癌細胞または他の細胞によって取り込まれ、それらの細胞は抗MST1R、UCHL5、SMC4、NFYB、PPAP2C、AVL9、UQCRBまたはMUC6抗体を分泌し、その結果MST1R、UCHL5、SMC4、NFYB、PPAP2C、AVL9、UQCRBおよびMUC6ポリペプチドの生体活性を遮断するようにする。好ましくは、MST1R、UCHL5、SMC4、NFYB、PPAP2C、AVL9、UQCRBおよびMUC6ポリペプチドは胃癌細胞の細胞外表面に存在する。
【0227】
外因性DNAの被験者の細胞への投与と取り込み(すなわち、遺伝子形質導入またはトランスフェクション)を含む上述の方法では、本発明の核酸は裸のDNAの形態を取るか、または、本発明の核酸は胃癌マーカータンパク質の発現阻害用に、核酸を細胞に送達させるベクター内にある可能性がある。ベクターは、アデノウイルスベクター(Quantum Biotechnologies, Inc.(Laval,Quebec,Canada))のような、市販で入手できる製剤である核酸またはベクターは多様な機序によって細胞に送達される。1例として、送達は、LIPOFECTIN、LIPOFECTAMINE(GIBCO-25BRL,Inc.,Gaithersburg,Md.)、SUPERFECT(Qiagen,Inc.Hilden,Germany)およびTRANSFECTAM(Promega Biotec,Inc.,Madison,Wis.)などの、市販で入手できるリポソーム製剤や、当該分野で標準の手順にしたがって開発された他のリポソームを使って、リポソームを介して行える。
さらに、本発明の核酸またはベクターは、Genetronics,Inc.(San Diego,Calif.)から購入可能な技法である電気穿孔法や、SONOPORATIONマシン(ImaRx Pharmaceutical Corp.,Tucson,Arizona)によってin vivoで送達されうる。
【0228】
1例として、ベクターは、組み換えレトロウイルスゲノムをパッケージ可能なレトロウイルスベクター系のような、ウイルス系によって送達可能である。組み換えレトロウイルスは続いて感染に使われ、その結果、MST1R、UCHL5、SMC4、NFYB、PPAP2C、AVL9、UQCRBまたはMUC6の発現を阻害する、感染細胞アンチセンス核酸に送達しうる。改変核酸をほ乳類の細胞に導入する確実な方法は、もちろんレトロウイルスベクターの使用だけに限定されない。アデノウイルスベクター、アデノ関連ウイルス(AAV)ベクター、レンチウイルスベクター、偽型レトロウイルスベクターなど、この手順に対して他の技法を広く利用できる。リポソーム送達、媒介受容体、および他のエンドサイトーシスなど、物理的な形質導入技法も使用できる。本発明は、これらのいずれかまたは他の一般的に使用される遺伝子転移方法と併用可能である。
【0229】
抗体はまた体内診断分析法としても使用できる。抗体は放射性ヌクレオチド(111In,99Tc,14C,131I,3H,32Pまたは35S)で標識化され、免疫シンチグラフィーによって腫瘍の場所が突き止められる。1つの実施形態では、抗体またはそのフラグメントは2つ以上のMST1R、UCHL5、SMC4、NFYB、PPAP2C、AVL9、UQCRBおよびMUC6ターゲットの細胞外ドメインに結合し、その親和性値(Kd)は1×10μM未満である。
【0230】
診断用抗体は様々な画像法による検出に適したプローブで標識化される。プローブの検出方法には、蛍光、光、共焦点電子顕微鏡、磁気共鳴画像スペクトロスコピー、コンピューター断層撮影法(CT)、およびポジトロンCTなどが含まれるが、これだけに限定されない。適切なプローブには、フルオレセイン、ローダミン、エオシンおよび他の蛍光色素分子、放射性同位体、金、ガドリニウムおよび他のランタン系元素、常磁性鉄、フッ素-18、および他のポジトロン放出放射性核種が含まれるが、これだけに限定されない。さらに、プローブは2つあるいは複数機能を有し、上述した方法2つ以上で検出される。これらの抗体は前記プローブで直接または間接的に標識化される。抗体へのプローブの結合には、プローブの共有結合、抗体内へのプローブの取り込み、プローブ結合へのキレート化合物の共有結合を含み、当業者にはよく認められている。免疫組織化学では、疾病組織サンプルは新鮮か冷凍されるか、またはパラフィン包埋され、ホルマリンのような保存剤で固定される。固定あるいは包埋切片には、標識化された一次抗体と二次抗体と接触しているサンプルが含まれ、ここで抗体はMST1R、UCHL5、SMC4、NFYB、PPAP2C、AVL9、UQCRBおよびMUC6タンパク質の発現をそのままの状態(in situ)で検出するのに使われる。
【0231】
そこで本発明では、SEQ ID NO:1からSEQ ID NO:95のグループ、またはSEQ ID NO:1からSEQ ID NO:95に85%、好ましくは90%、最も好ましくは96%相同であるその変異体、または前記のペプチドによるT細胞の交差反応を誘発するその変異体から選択された配列からなるペプチドを提供する。
【0232】
本発明のペプチドは、ヒト主要組織適合複合体(MHC)クラスI分子への結合能力を有する。
【0233】
本発明において、「相同性」という用語は、2つのアミノ酸配列、すなわちペプチドまたはポリペプチド配列などの配列間の同一性の程度を示す。前述の「相同性」とは、至適条件で整列させた2つの配列を、比較される配列と比べることで決定される。ここでいう比較される配列は、2つの配列の最適アラインメントにおいて、追加、または欠失(例、ギャップなど)していてもよい。該配列の相同性は、ClustalWアルゴリズムなどのアラインメントを作ることで計算できる。一般的に入手可能な配列解析ソフトウェア、より具体的にはVector NTI、GENETYXすなわち解析ツールが公開データベースとして提供されている。
【0234】
当業者は、特異的なペプチド変異体によって誘導されたT細胞がペプチドそれ自身と交差反応できるかを評価できることになる(Fong et al.8809-14)(Appay et al.1805-14;Colombetti et al.2730-38;Zaremba et al.4570-77)。
【0235】
発明者によれば、特定のアミノ酸配列の「変異体」とは、側鎖、例えば1個または2個のアミノ酸残基が修正され、(例えば、このアミノ酸残基の側鎖を他の天然発生的なアミノ酸残基の側鎖または他の側鎖で置き換えることにより)その結果、このペプチドが置換後も、SEQ ID NO:1から33における特定アミノ酸配列から成るペプチドと実質上同じようにHLA分子に結合できることを、意味するものである。例えば、ペプチドは、HLA-A*02やHLA-DRなどの適当なMHC分子の結合溝と相互作用したり、結合したりする能力を、改善しないまでも少なくとも維持するように改変され、そのようにして、ペプチドは活性化CTLのTCRとの結合能力を改善しないまでも少なくとも維持する。
【0236】
これらのCTLは、実質上細胞と交差反応ができ、本発明の態様で定義されているように同族ペプチドの、天然のアミノ酸配列を含むポリペプチドを発現している細胞を殺傷できる。科学文献(Rammensee,Bachmann,and Stevanovic)や、データベース(Rammensee et al.213-19)から得られるように、HLA結合ペプチドの特定な位置は、HLA受容体の結合モチーフに合うコア配列を持つアンカー残基であることが多く、一般的に結合溝を構成するポリペプチド鎖の極性、電気物理性、疎水性、空間性といった性質により特徴付けられる。こうして、当業者は、既存のアンカー残基を保持しながらSEQ ID NO:1からSEQ ID NO:95のアミノ酸配列を修飾できるようになり、また、そのような変異体のMHCクラスIまたはII分子への結合能力を保持するかについて決定できることになる。本発明の変異体は、活性化CTLへのTCRとの結合能力を維持しており、実質的に交差反応が可能であり、また、本発明の態様で定義しているように、同族ペプチドの体内アミノ酸配列を含んだポリペプチドを発現する細胞を殺傷できる。
【0237】
T細胞受容体との相互作用に大きく寄与していないこれらのアミノ酸残基は、実質上T細胞の反応性に影響せず、また関連するMHCとの結合を排除しない、他のアミノ酸との置換によって修飾できる。こうして本発明のペプチドは、所定の条件とは別に、アミノ酸配列または、その一部分または変異体を含んだいずれかのペプチド(オリゴペプチドまたはポリペプチドを含む)である。
【0238】
表3:変異体とSEQ ID NO:1から33に従うペプチドの変異体とモチーフ
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【表3-5】
【表3-6】
【表3-7】
【表3-8】
【表3-9】
【表3-10】
【表3-11】
【表3-12】
【表3-13】
【表3-14】
【0239】
より長いペプチドも適切である可能性がある。また、MHCクラスIエピトープは、通常8から11アミノ酸長であるが、実際のエピトープを含んだより長いペプチドまたはタンパク質のペプチドプロセッシングから作成することも可能である。実際のエピトープの態様に位置する残基は、実際のエピトープを処理中に曝露するのに必要なタンパク質開裂に、実質的に影響しないものであることが好ましい。
【0240】
更に本発明は、MHCクラスIエピトープのペプチドおよび変異体も提供し、このペプチドまたは変異体の全長は、8から100アミノ酸残基であり、好ましくは8から30残基であり、最も好ましくは8から14残基、すなわち8、9、10、11、12、13、14アミノ酸である。
【0241】
当然のことながら、本発明のペプチドまたは変異体は、ヒト主要組織適合性複合体(MHC)クラスI分子に結合する能力を持つことになる。
ペプチドまたは変異体のMHC複合体への結合は、当該分野で既知の方法で試験してもよい。
【0242】
本発明の特に好ましい実施形態において、ペプチドは、SEQ ID NO:1からSEQ ID NO:95に示されたアミノ酸配列から構成されるか、または基本的に構成される。
【0243】
「基本的に構成される」とは、本発明に従うペプチドが、SEQ ID No.1からSEQ ID No.95のいずれの配列あるいはその変異体に加え、さらにMHC分子エピトープに対するエピトープとして機能するペプチドの形成に不要なアミノ酸伸長に位置する、別のN末端および/またはC末端を含むことを意味する。
【0244】
いずれにせよこれらの伸長は、本発明に従うペプチドを細胞内に効率的に導入するのに重要である。本発明の一実施形態において、ペプチドは、NCBI、すなわちGenBank Accession-number X00497由来HLA-DR抗原関連変異体鎖(p33、「Ii」に続く)の80個のN末端アミノ酸を有する融合タンパク質である。
【0245】
更に、ペプチドまたは変異体は、より強い免疫応答を引き起こすため、MHC分子に対する安定性および/または結合性をより向上できるように修飾される。そのようなペプチド配列の最適化の方法は、当該分野では良く知られており、逆方向ペプチド結合または非ペプチド結合の導入などがある。
【0246】
逆方向ペプチド結合において、アミノ酸残基はペプチド連鎖(-CO-NH-)ではなく、逆向きに結合している。該レトロインバーソ型ペプチド模倣薬は当該分野で既知の方法、例えば、本明細書で引用した参考文献(Meziere et al(1997)J.Immunol.159,3230-3237)で記載されている方法で作成してもよい。この方法では、骨格の変化はあるが側鎖方向は変化させずに擬ペプチドを作成する。Meziereら(1997)は、これらの擬ペプチドが、MHC結合とヘルパーT細胞応答に有効であることを示した。NH-CO結合の代わりにCO-NH結合を含むレトロインバーソペプチドは、タンパク質分解にかなり耐性がある。
【0247】
非ペプチド結合の例は、-CH2-NH、-CH2S-、-CH2CH2-、-CH=CH-、-COCH2-、-CH(OH)CH2-、および-CH2SO-である。米国特許4,897,445では、標準方法で合成したポリペプチドを含むポリペプチド鎖内の非ペプチド結合と、NaCNBH3 の存在下アミノアルデヒドとアミノ酸を反応させ合成した非ペプチド結合(-CH2-NH)の固相合成法が提供されている。
【0248】
上述の配列を持つペプチドは、アミノ末端および/またはカルボキシ末端にある別の化学基を用いて合成され、ペプチドの安定性、バイオアベイラビリティ、および/または親和性を向上させることもできる。例えば、カルボベンゾキシル基、デンシル基、またはT-ブチルオキシカルボニル基などの疎水基は、ペプチドのアミノ末端に付加される。同様に、アセチル基または9-フルオレニルメトキシカルボニル基をペプチドのアミノ末端に付加される。更に、疎水基、T-ブチルオキシカルボニル基、またはアミノ基が、ペプチドのカルボキシル末端に付加される。
【0249】
更に、本発明のペプチドは、その立体配置が変化するように合成される。例えば、通常のL異性体の代わりに、1個またはそれ以上のアミノ酸残基のD異性体を使用する。その上さらに、本発明のペプチドのアミノ酸残基の少なくとも1つは、よく知られた非天然アミノ酸残基の1つによって置換されていてもよい。このような置換は、本発明のペプチドの安定性、バイオアベイラビリティ、および/または結合反応を促進することもある。
【0250】
同様に、本発明のペプチドまたは変異体は、ペプチド合成の前後において、特定のアミノ酸と反応して化学的に修飾される。このような修飾は、当該分野では良く知られており、本明細書で引用した参考文献(R.Lundblad,Chemical Reagents for Protein Modification,3rd ed.CRC Press,2005)などに要約されている。アミノ酸の化学的修飾には、アシル化による修飾、アミド化、リジンのピリドキシル化、還元的アルキル化、2,4,6-トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)によるアミノ酸のトリニトロベンジル化、カルボキシル基のアミド修飾とシステインからシステイン酸への過ギ酸酸化によるスルフヒドリル修飾、水銀誘導体形成、他のチオール化合物との混合物ジスルフィド類の形成、マレイミド反応、ヨード酢酸またはヨードアセトアミドによるカルボキシメチル化、およびアルカリ性pHでのシアン酸塩によるカルバモイル化などがあるが、これだけに限定されない。これに関して、当業者は、より広義なタンパク質の化学修飾の方法論について、Current Protocols In Protein Science,Eds.Coligan et al.(John Wiley & Sons NY 1995-2000)の15章を参照されたい。
【0251】
タンパク質のアルギニル残基などの改変は、簡単に言えば、フェニルグリオキサール、2,3-ブタンジオン、および1,2-シクロヘキサンジオンなど隣接のジカルボニル化合物との反応に基づくことが頻繁であり、付加化合物を形成する。別の例は、メチルグリオキサルのアルギニン残基との反応である。システインは、リジンおよびヒスチジンなど他の求核部位で付随する修飾がなくとも改変できる。その結果、多数の試薬がシステインの修飾に使用できる。Sigma-Aldrich(http://www.sigma-aldrich.com)などの企業ウエブサイトで特定な試薬の情報が得られる。
【0252】
タンパク質におけるジスルフィド結合の選択的還元も一般的である。ジスルフィド結合は生物製剤の熱処理中に形成され、酸化される。
【0253】
ウッドワード試薬Kは、グルタミン酸残基を特異的に修飾するために使用してもよい。N-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)-N’-エチルカルボジイミドは、リジン残基およびグルタミン酸残基との分子内架橋を形成するのに使われる。
【0254】
例えばジエチルピロカルボネートは、タンパク質のヒスチジル残基を修飾する試薬である。ヒスチジンも4-ヒドロキシ-2-ノネナールで修飾できる。
【0255】
リジン残基と他のα-アミノ基の反応は、ペプチドの表面への結合またはタンパク質/ペプチドの架橋などに有用である。リジンは、ポリ(エチレン)グリコールの接続部位であり、また、タンパク質糖化における主な修飾部位である。
【0256】
タンパク質のメチオニン残基は、ヨードアセトミド、臭化エチルアミン、およびクロラミンTなどで修飾できる。
【0257】
テトラニトロメタンとN-アセチルイミダゾールは、チロシン残基の修飾に使われる。ジチロシンの形成を介して起こる架橋には、過酸化水素あるいは銅イオンが使われる。
【0258】
トリプトファン修飾に関する最近の研究においては、N-ブロモサクシンイミド、2-ヒドロキシ-5-ニトロベンジル臭化物もしくは3-ブロモ-3-メチル2-(2-ニトロフェニルメルカプト)-3H-インドール(BPNS-スカトール)が使われている。
【0259】
治療用のタンパク質およびペプチドをPEGによりうまく修飾できると、しばしば循環半減期の延長につながり、一方、グルタルアルデヒト、ポリエチレングリコールジアクリレートによるタンパク質の架橋は、ハイドロゲルの調製用として使われる。免疫療法に対するアレルゲンの化学的修飾は、しばしばシアン酸カリウムとのカルバミル化によって達成される。
【0260】
ペプチドまたは変異体、ここでペプチドは修飾されるか非ペプチド結合を含むが、本発明の好ましい実施形態である。一般的に、ペプチドおよび変異体(少なくともアミノ酸残基間にペプチド連鎖を持つ)は、Luら(1981)および参考文献で公表されているように、固相ペプチド合成のFmoc-ポリアミドモードによって合成される。一時的なN-アミノ基の保護には9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)基が使われる。塩基に非常に不安定なこの保護基の反復性開裂は、20%ピペリジンのN,N-ジメチルホルムアミド溶液で実施される。側鎖の官能性は、ブチルエーテル(セリンスレオニンとチロシンの場合)、ブチルエステル(グルタミン酸とアスパラギン酸の場合)、ブチルオキシカルボニル誘導体(リジンとヒスチジンの場合)、トリチル誘導体(システインの場合)、そして4-メトキシ-2,3,6-トリメチルベンゼンスルホニル誘導体(アルギニンの場合)として保護される。グルタミンまたはアスパラギンがC末端残基の場合、官能性側鎖アミドの官能性の保護に4,4’-ジメトキシベンズヒドリル基を用いたものもある。固相の支持体は、ジメチルアクリルアミド(骨格モノマー)、ビスアクリロイルエチレンジアミン(架橋剤)およびアクリロイルサルコシンメチルエステル(官能基化剤)の3つのモノマーから成るポリジメチルアクリルアミドポリマーに基づいている。ペプチド-樹脂の開裂可能な連結剤には、酸に不安定な4-ヒドロキシメチル-フェノキシ酢酸誘導体を使う。全てのアミノ酸誘導体は予め作られた対称の無水物誘導体として付加されるが、アスパラギンおよびグルタミンは例外であり、これらはN、N-ジシクロヘキシル-カルボジイミド/1-ヒドロキシベンゾトリアゾールで媒介される非対称性カップリング反応により付加される。全てのカップリングと脱保護反応はニンヒドリン、トリニトロベンゼンスルホン酸もしくはイソチン(isotin)テストでモニターされる。合成が終了すると、ペプチドは、50%捕捉剤を含む95%トリフルオロ酢酸の処理による側鎖保護基の除去と同時に樹脂支持体から開裂する。捕捉剤には一般的にエタンジチオール、フェノール、アニソールおよび水が使われるが、適格な選択は合成されるペプチドの構成アミノ酸に依存する。また、ペプチド合成では固相法およびび液相法を組み合わせることも可能である(例えば、Bruckdorfer,Marder,and Albericio 29-43および本明細書の参考文献などを参照)。
【0261】
真空で蒸発しトリフルオロ酢酸を除去し、続いてジエチルエーテルで粉末とし、粗ペプチドを得る。捕捉剤はすべて単純な抽出作業で除去され、液相の凍結乾燥で捕捉剤不含の粗ペプチドが得られる。ペプチド合成の試薬はCalbiochem-Novabiochem(UK)Ltd(Nottingham NG7 2QJ、英国)などで入手できる。
【0262】
精製は、再結晶、分子篩クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、および(通常)アセトニトリル/水の勾配分離などによる逆相高速液体クロマトグラフィーの1つあるいは組み合わせて実施する。
【0263】
ペプチド解析は、薄層クロマトグラフィー、電気泳動、特にキャピラリー電気泳動、固相抽出(CSPE)、逆相高速液体クロマトグラフィー、酸加水分解と高速原子衝撃(FAB)質量分析法によるアミノ酸分析、また、MALDIおよびESI-Q-TOF質量分析法によって実施してもよい。
【0264】
本発明のさらなる一態様では、ペプチドもしくは変異体をコード化する核酸(例、ポリヌクレオチド)を提供する。捕捉剤不含のポリヌクレオチドはDNA、cDNA、PNA、CNA、RNAもしくはその組み合わせなどであり、一本鎖および/または二本鎖、天然型または安定型であり、例えばホスホロチオエート結合骨格を有するポリヌクレオチドなどであり、また、ポリペプチドをコードしている限り、イントロン含有または不含どちらの場合であってもよい。当然のことながら、そのポリペプチドはポリヌクレオチドでコード化が可能な天然発生のペプチド結合によって連結される、天然発生のアミノ酸残基を含むペプチドのみである。更に、本発明の別な一態様では、本発明に従うポリペプチドを発現できる発現ベクターを提供する。
【0265】
ポリヌクレオチド、特にDNAをベクターに例えば、相補的に結合力のある末端を介して連結させる様々な方法が開発されている。例えば、相補的ホモポリマーの束がDNAセグメントに付加され、ベクターDNAに挿入される。そして、ベクターとDNAセグメントは、相補的ホモポリマーの尾部間で水素結合し、組み換えDNA分子を形成する。
【0266】
1つ以上の制限部位を含む合成リンカーは、DNAセグメントをベクターに加える別な方法を提供する。様々な制限エンドヌクレアーゼ部位を含む合成リンカーは、International Biotechnologies Inc(米国コネチカット州ニューヘブン)など多数の販売会社から市販で入手可能である。
【0267】
本発明のポリペプチドをコード化するDNA修飾には、(Saiki et al.487-91)に開示されているポリメラーゼ鎖反応を用いることが望ましい。例えば適切な制限部位中で設計することにより、DNAを適切なベクターに導入する際、または、当該分野で既知の他の有用な方法でDNAを修飾する際、この方法が使用される。
ウイルス性ベクターを使用する場合は、ポックスベクターあるいはアデノウイルスベクターが好ましい。
【0268】
続いてDNA(レトロウイルスベクターの場合、RNA)を適切な宿主にて発現し、本発明のペプチドもしくは変異体からなるポリペプチドを生成してもよい。こうして、本発明のペプチドまたは変異体をコード化するDNAを、本明細書に記載の指導的見解で改変した既存技術を使用し、発現ベクターを構築し、続いてその発現ベクターを使い、本発明のポリペプチドの発現と生産するのに適切な宿主細胞に導入する。該技術は以下の米国特許No.4,440,859、4,530,901、4,582,800、4,677,063、4,678,751、4,704,362、4,710,463、4,757,006、4,766,075、および4,810,648で開示されているものを含む。
【0269】
本発明の化合物を構成するポリペプチドをコード化するDNA(レトロウイルスベクターの場合、RNA)は、適切な宿主の導入のために、他の各種配列と連結される。随伴DNAは、宿主の性質、DNAの宿主への導入方法、およびエピソームの維持または組み込みの要求によって決まる。
【0270】
一般的に、DNAは、発現の適切な配向と正確なリーディングフレームで、プラスミドなどの発現ベクターに挿入される。必要に応じて、DNAは、目的とする宿主に認識される適切な転写および翻訳の調節制御核酸の配列に連結されるが、そのような制御は発現ベクターで行われる。続いてベクターは、標準的な技術で宿主に導入される。一般的には、全ての宿主がベクターによって形質転換されるわけではない。それ故、形質転換する宿主細胞を選択する必要となる。選択技術の1つに、全ての必要な制御エレメントとともに、抗体耐性のような形質転換細胞内で選択可能な形質をコードする、発現ベクターのDNA配列に組み込む方法がある
【0271】
代わりに、このような選択的形質に対する遺伝子は、別のベクター上に存在できるため、そのベクターを使って目的の宿主細胞を同時に形質転換することもできる。
【0272】
本発明の組み換えDNAによって形質転換された宿主細胞は、続いて本明細書に開示されている指導的見解で当業者に既知の適切な条件下で、十分時間培養され、ポリペプチドの発現を可能にし、次いで回収される。
【0273】
多数の発現システムとして、細菌(例、大腸菌、枯草菌)、酵母(例、出芽酵母)、糸状菌(例、アスペルギルス属各種)、植物細胞、動物細胞および昆虫細胞などが知られている。発現系は、ATCC Cell Biology Collectionで入手可能なCHO細胞など哺乳動物細胞であることが好ましい。
【0274】
構造的発現の典型的なほ乳類細胞ベクタープラスミドは、適切なポリAテールを持つCMVまたはSV40プロモーター、およびネオマイシンのような耐性マーカーから成る。1例は、Pharmacia(米国ニュージャージー州ピスカタウェイ)で入手可能なpSVLである。哺乳動物の誘導発現ベクターの1例は、pMSGであり、Pharmaciaから入手できる。有用な酵母プラスミドベクターは、pRS403-406とpRS413-416であり、Stratagene Cloning Systems(La Jolla,CA92037、米国)で入手可能である。プラスミドpRS403、pRS404、pRS405、pRS406は酵母組み込みプラスミド(YIp)であり、酵母選択マーカーHIS3、TRP1、LEU2およびURA3が組み込まれている。プラスミドpRS413-416は酵母動原体プラスミド(Ycp)である。CMVプロモーターベクター(Sigma-Aldrichなどで入手可)は、一時的な発現もしくは安定した発現、細胞質発現もしくは分泌、また、FLAG、3xFLAG、c-mycあるいはMATの様々な組み合わせにおけるN末端またはC末端の標識化を提供する。これらの融合タンパクによって組み換えタンパクの検出、精製および分析が可能である。二重標識融合により検出に柔軟性を与えている。
【0275】
強力なヒトサイトメガロウイルスのプロモーター調節領域は、COS細胞中のタンパク質発現レベルを1mg/Lと高く推進する。作用が弱い細胞株では、典型的なタンパク質レベルは約0.1mg/Lである。
SV40の複製開始点が存在すると、SV40の複製が許容されるCOS細胞においてDNA複製レベルが高くなる。例えばCMVベクターは、バクテリア細胞の複製開始点であるpMB1(pBR322誘導体)、バクテリアのアンピリシン耐性を選択するb-ラクタマーゼ遺伝子、hGHポリA、およびf1開始点を含むことができる。プレプロトリプシンリーダー(PPT)の配列を含むベクターは、ANTI-FLAG抗体、樹脂およびプレートを使って、FLAG融合タンパクの培地への分泌を命ずることができる。他のベクターや発現系が、様々な宿主細胞を使う当該分野においてよく知られている。
【0276】
本発明は、本発明のポリヌクレオチドベクター構築物により形質転換した宿主細胞を提供する。宿主細胞は原核生物細胞または真核生物細胞であってもよい。一部の状況では細菌細胞が好ましい原核生物の宿主細胞であり、典型的なものは、例えばBethesda Research Laboratories Inc.(米国メリーランド州ベセスダ)から販売されているDH5株、または米国培養細胞系統保存機関(ATCC)(米国メリーランド州ロックビル、No ATCC31343)から販売されているRR1などの大腸菌の菌株である。真核生物の好ましい宿主細胞は、酵母、昆虫および哺乳動物の細胞であり、好ましくはマウスやラット、サル、ヒトの繊維芽細胞や大腸細胞株など脊椎動物由来の細胞である。酵母の宿主には、Stratagene Cloning Systems(郵便番号92037、米国カリフォルニア州ラ・ホヤ)から入手可能なYPH499、YPH500およびYPH501がある。哺乳動物細胞の宿主として好ましいものは、ATCCからCCL61として入手可能な、チャイニーズハムスターの卵巣細胞(CHO)、ATCCからCRL1658として入手可能なNIHスイスマウス胎児由来細胞NIH/3T3、ATCCからCRL1650として入手可能なサル腎臓由来COS-1細胞、およびヒト胎児由来腎臓細胞である293細胞である。好ましい昆虫細胞は、バキュロウイルス発現ベクターを導入可能なSf9細胞である。発現に適した宿主細胞の選択方法についての概要は、例えばPaulinaBalbas and Argelia Lorence ”Methods in Molecular Biology Recombinant Gene Expression, Reviews and Protocols,” Part One, Second Edition, ISBN 978-1-58829-262-9 などの教科書や、当業者に知られている他の文献に記述されている。
【0277】
本発明におけるDNA構築物の適切な宿主細胞への形質転換は周知の方法で実施され、それは使用されるベクターの種類により異なる。原核生物細胞の形質転換については、例えばCohen et al (1972) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 69,2110やSambrook et al(1989) Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NYなどの文献を参照する。酵母の形質転換については、Sherman et al(1986)Methods In Yeast Genetics,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,NY に説明されている。また、Beggs (1978) Nature275,104-109に記述された方法も有用である。脊椎動物細胞では、形質移入(形質移入)については、例えばリン酸カルシウムやDEAEデキストラン、またはリポソーム製剤などの細胞を形質移入するのに有用な試薬は、Stratagene Cloning SystemsまたはLife Technologies Inc.(郵便番号20877、米国メリーランド州ゲイサーズバーグ)から入手可能である。電気穿孔法も細胞の形質転換および/または形質移入に有用であり、酵母や細菌、昆虫細胞、脊椎動物細胞の転換は当該分野では良く知られている。
【0278】
うまく形質転換された細胞、すなわち、本発明のDNA構造を含む細胞は、PCRのようなよく知られた方法で同定できる。代わりに抗体を使って、上清中にタンパク質の存在を検出できる。
【0279】
本発明における特定な宿主細胞、例えば細菌、酵母、昆虫細胞などが、本発明のペプチドの調製に有用であることは理解される。しかしながら、特定な治療方法においては他の宿主細胞も有用なこともある。例えば、樹状細胞などの抗原提示細胞は、ペプチドが適切なMHC分子に負荷されるように、本発明のペプチドを発現させるのに有用に使用されることもある。したがって現行の本発明は、本発明に従う核酸または発現ベクターを有する宿主細胞も提供する。
【0280】
好ましい実施形態において、宿主細胞は抗原提示細胞、特に樹状細胞または抗原提示細胞である。前立腺性酸性ホスファターゼ(PAP)含有組換え融合タンパク質が負荷されたAPCは、現在前立腺癌治療に向けて研究中である(Sipuleucel-T)(Rini et al.67-74;Small et al.3089-94)。
【0281】
本発明の別な一態様では、ペプチドまたはその変異体の生成方法、宿主細胞を培養し、ペプチドを宿主細胞あるいはその培養液から単離する方法を提供する。
【0282】
別の実施形態では、本発明のペプチド、核酸または発現ベクター薬剤として使用される。例えば、ペプチドまたはその変異体を、静脈内注射(i.v.)、皮下注射(s.c.)、皮内注射(i.d.)、腹腔内注射(i.p.)または筋肉内注射(i.m.)として調製してもよい。ペプチドの好ましい注射方法は、s.c.、i.d.、i.p.、i.m.、i.v.である。DNAの好ましい注射方法は、i.d.、i.m.、s.c.、i.p.、i.v.である。ペプチドまたはDNAの投与量は、例えば、50μg~1.5mgであり、好ましくは125μg~500μgであり、この投与量は各ペプチドやDNAにより異なる。この範囲の投与量は、これまでの試験で成功裏に使用された(Brunsvig et al.1553-64;Staehler et al.)。
【0283】
本発明の別な一態様は、活性化T細胞のin vitroでの生成方法、つまり抗原特異的方法でT細胞を活性化させるのに充分な時間をかけて、適切な抗原提示細胞の表面に発現した、抗原負荷ヒトMHC分子を、in vitroでT細胞と接触させる方法であり、ここで、抗原は本発明のペプチドである。充分な量の抗原を抗原提示細胞とともに使用するのが好ましい。
【0284】
好ましくは、哺乳動物細胞が、TAPペプチドトランスポーターを欠いているか、その発現または機能が低下していることである。TAPペプチドトランスポーターを欠いた適切な細胞は、T2、RMA-Sやショウジョウバエの細胞である。TAPは抗原プロセシング関連輸送体のことである。
【0285】
ヒトペプチドを載せた欠損細胞株T2は、American Type Culture Collection(郵便番号20852米国メリーランド州ロックビル、パークローン・ドライブ12301)からカタログ番号CRL1992として、ショウジョウバエ細胞株のSchneider株2はATCCからカタログ番号CRL19863として販売され、マウスRMA-S細胞株はKarreら(1985)により報告されている。
【0286】
便宜上、形質移入する前記宿主細胞は、実質的にMHCクラスI分子を発現していないとする。また、刺激細胞が、B7.1、B7.2、ICAM-1やLFA3のいずれかのように、T細胞同時刺激シグナルを与えるのに重要な分子を発現しているのが好ましい。
多数のMHCクラスI分子や共刺激分子の核酸配列は、GenBankとEMBLのデーターベースから公的に入手可能である
【0287】
MHCクラスIエピトープが抗原として使用される場合、T細胞はCD8陽性CTLである。
【0288】
抗原提示細胞がこのようなエピトープを発現させるために形質移入された場合、好ましくは前記細胞が、SEQ ID NO:1からSEQ ID NO:95を含むペプチドまたはその変異体アミノ酸配列を発現可能な発現ベクターを有することである。
【0289】
他の方法をin vitroでのCTLの生成に多数使用してもよい。例えば、Peoplesら(1995)およびKawakamiら(1992)の論文に記載の方法では、CTLの作成に自己腫瘍浸潤リンパ球を用いている。Plebanskiら(1995)は自己末梢血リンパ球(PLB)をCTLの調製に使用している。Jochmusら(1997)は、ペプチドまたはポリペプチドで鼓動させるか、または組換えウイルスの感染を通じて、自己CTLを生成する方法について記述している。Hillら(1995)とJeromeら(1993)は、B細胞を自己CTLの生成に使用している。更に、ペプチドまたはポリペプチドで鼓動させたか、または組換えウイルスで感染させたマクロファージを用いて、自己CTLを調製してもよい。S.Walterら(2003)は、人工抗原提示細胞(aAPC)を用いた、T細胞のin vitroでのプライミング(初回抗原刺激)について説明しており、これは、選択したペプチドに対するT細胞の作成方法としても適している。この研究では、aAPCを、ビオチン-ストレプトアビジン生化学手法により、ポリスチレン粒子(微小粒子)の表面に機能したMHC:ペプチド複合体をカップリングさせて作成した。本システムは、aAPC上のMHC密度を正確に制御できるため、血液試料から高い効率で、抗原特異性が高いあるいは低いT細胞応答を選択的に引き出すことができる。aAPCは、MHC:ペプチド複合体とは離れて、その表面にカップリングした同時刺激活性様抗CD28抗体と共に他のタンパク質をその表面に運ぶ必要がある。更に、このようなaAPCに基づくシステムは、しばしばインターロイキン12様サイトカインなどの適切な可溶性因子の添加が必要である。
【0290】
同種異系細胞をT細胞の調製に使ってもよく、詳しい方法は本明細書の参考文献として引用したWO97/26328に記載されている。例えば、ショウジョウバエ細胞とT2細胞に加え、他の細胞を使用して、CHO細胞やバキュロウイルスに感染した昆虫細胞、細菌、酵母、ワクチンに感染したターゲット細胞などの抗原を提示してもよい。さらに、植物ウイルスを使用してもよく(例としてPortaら(1994)参照)、そこでは外来ペプチドの提示のための高収率システムとして、ササゲモザイクウイルスの開発について説明している。
【0291】
本発明のペプチドに注目した活性化T細胞は治療に有用であるそのため、本発明の別の一態様では、本発明の上記方法によって得られる活性化T細胞を提供している。
【0292】
上記の方法で生産された活性化T細胞は、SEQ ID NO:1からSEQ ID NO:195のアミノ酸配列を含んだポリペプチドを異常に発現する細胞を選択的に認識する
【0293】
好ましくは、T細胞がそのTCRとHLA/ペプチド複合体の相互作用(例とえば結合)により細胞を認識することである。このようなT細胞は、本発明のアミノ酸配列を含んだポリペプチドを異常に発現するターゲット細胞を持つ患者で、ターゲット細胞を殺す方法には有用であり、ここで、患者には効果的な数の活性化T細胞が投与される。患者に投与するT細胞は、その患者に由来し上記の方法で活性化されたものであってもよい(すなわち、これらは自己T細胞である)。代わりに、T細胞は患者に由来せず、他の個人に由来してもよい。もちろん、個人は健康であることが好ましいここでいう「健康な個人」とは、健康状態にあり、好ましくは十分な免疫系を持ち、さらに好ましくは、容易に検査/検出できるいかなる疾患にも患っていない個人を意味する。
【0294】
In vivoにおいて、本発明に従うCD8陽性T細胞のターゲット細胞は、腫瘍細胞(MHCクラスI分子を時に発現する)および/または腫瘍(腫瘍細胞)をとりまく間質細胞(MHCクラスI分子を発現することもある(Dengjel et al.4163-70))であってもよい。
【0295】
本発明のT細胞を治療組成物の有効成分として使用してもよい。従って本発明は、本発明のアミノ酸配列を含んだポリペプチドを異常に発現するターゲット細胞を持つ患者で、ターゲット細胞を殺す方法、つまり上記に記載したとおり、患者に効果的な数の活性化T細胞を投与する方法も提供する。
【0296】
ここでいう「異常に発現する」とは、ポリペプチドが正常レベルに比べ過剰発現していること、または、腫瘍が由来する組織においては発現していないが腫瘍では発現していることを意味する。また、ここでいう「過剰発現」とは、ポリペプチドが、正常な組織と比較して少なくとも1.2倍、好ましくは少なくとも2倍、さらに好ましくは少なくとも5倍または10倍発現していることを意味している。
【0297】
T細胞は、上述のような当該分野で既知の方法で得てもよい。
【0298】
この、いわゆるT細胞の養子免疫伝達のプロトコールは、当該分野では周知であり、すなわち文献(Dudley et al.850-54;Dudley et al.2346-57;Rosenberg et al.889-97;Rosenberg et al.1676-80;Yee et al.16168-73)や総説(Gattinoni et al.383-93)および(Morgan et al.)に記載されている。
【0299】
ペプチドや核酸、発現ベクター、細胞、活性化CTL、T細胞レセプターやこれをコード化する核酸など、本研究のいずれの分子も、細胞が免疫応答から逃れる特徴を持つ疾患の治療に有用である。それ故、本発明のすべての分子を、薬剤として、または薬剤の製造において使用される。これらの分子を単独で、または本発明における他の分子や既知の分子と組合せて使用してもよい
【0300】
本発明の薬剤はワクチンが好ましい。本ワクチンは患者、患部の器官、または全身にi.d.、i.m.、s.c.、i.p.およびi.v.投与するか、または、その後患者に投与される患者またはヒト細胞株に由来の細胞にexvivoで適用するか、あるいはin vivoで使用して、その後患者に再投与される患者由来の免疫細胞の亜集団を選択する。細胞にin vitroで核酸を投与する場合は、インターロイキン2などの免疫刺激サイトカインを同時発現できるように核酸を形質移入することが、細胞にとって有用なこともある。ペプチドはまた、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)またはマンナンなど適当なキャリアに共役させてもよい(WO95/18145およびLongenecker 1993参照)。ペプチドはまた標識化され、あるいは融合タンパク質であるか、ハイブリッド分子である。その配列が本発明で与えられるペプチドは、CD8陽性CTLを刺激することが期待される。しかしながら、CD4T-ヘルパー細胞により提供される助けの存在で、CD8CTLの刺激はより効率的になる。したがって、CD8CTLを刺激するMHCクラスIエピトープに対し、融合パートナーまたはハイブリッド分子のセクションは、CD4陽性T細胞を刺激するエピトープを適切に提供する。CD4およびCD8刺激エピトープは、該分野でよく知られており、本発明で同定され
たものを含む。
【0301】
本発明の一形態において、ワクチンは、SEQ ID NO:1からSEQ ID NO:33と少なくとも1つの追加ペプチドで示されたアミノ酸配列を有する1種以上のペプチド、好ましくは2から50種、より好ましくは2から25種、さらに好ましくは2から15種、最も好ましくは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、または13種のペプチドを含む。これらのペプチドは1つまたは複数の特定なTAAに由来し、MHCクラスI分子に結合してもよい。
【0302】
ポリヌクレオチドは実質的に純粋であり、適切なベクターまたは送達系に含まれる。核酸はDNA、cDNA、PNA、CNA、RNAまたはこれらの組合せである。このような核酸の設計や導入方法は、当該分野では良く知られている。
概要は例として文献(Pascolo et al.117-22)によって提供されている。ポリヌクレオチドワクチンは簡単に調製できるが、これらのベクターが免疫応答を誘発する作用様式については完全には解明されていない。適切なベクターと送達系は、アデノウイルス、ワクシニアウイルス、レトロウイルス、ヘルペスウイルス、アデノ随伴ウイルスや、複数のウイルスのエレメントを含む複合体などを基にした、ウイルスDNAやウイルスRNAの一方またはその両方である。ウイルスなしの送達系は、陽イオン性脂質や陽イオン性ポリマーなどで、DNA送達に関する技術分野で良く知られている。「遺伝子銃」などの、物理的な送達法を使用してもよい。核酸でコード化されたペプチドまたは複数のペプチドは、例えば、上述した各々の反対側のCDRに対しT細胞を刺激するエピトープとの融合タンパク質である。
【0303】
本発明の薬剤は、1個または複数のアジュバントを含む。アジュバントは、免疫応答(例えば抗原に対するCTLおよびヘルパーT(TH)細胞介在による免疫応答)を非特異的に増強または促進するので、そのために本発明の薬剤に役立つと考えられる物質である。適切なアジュバントには、1018ISS、アルミニウム塩、Amplivax登録商標、AS15、BCG、CP-870,893、CpG7909、CyaA、dSLIM、フラジェリンもしくはフラジェリン由来のTLR5リガンド、FLT3リガンド、GM-CSF、IC30、IC31、イミキモド(ALDARA登録商標)、レシキモド、ImuFact IMP321、インターロイキン(IL-2、IL-13、IL-21)、インターフェロンα、インターフェロンβ、またはそのペグ誘導体、IS Patch、ISS、ISCOMATRIX、ISCOMs、JuvImmune、LipoVac、MALP2、MF59、モノホスホリル脂質A、モンタニドIMS1312、モンタニドISA206、モンタニドISA50V、モンタニドISA-51、油中水乳剤、水中油乳剤、OK-432、OM-174、OM-197-MP-EC、ONTAK、OspA、PepTel登録商標 ベクターシステム、ポリ(ラクチドコグリコリド)PLG系微小粒子およびデキストラン微小粒子、タラクトフェリンSRL172、ビロソームおよび他のウイルス様粒子、YF-17D、VEGFトラップ、R848、βグルカン、Pam3Cys、Aquila’s QS21 stimulon(サポニン、マイコバクテリア抽出物および合成細菌細胞壁模倣体から誘導される)、およびRibi’s Detox、Quil、あるいはSuperfosなどのその他の独自のアジュバントが含まれるが、それだけに限定されるものではない。フロイントもしくはGM-CSFなどのアジュバントなども好ましい。樹状細胞に特異ないくつかの免疫アジュバント(例MF59など)およびその調製についてはすでに報告がある(Allison and Krummel 932-33)。またサイトカインを使用してもよい。いくつかのサイトカインは、リンパ系組織(例えばTNF-)への樹状細胞の移動に対する影響、Tリンパ球(例えばGM-CSF、IL-1、IL-4)のために効率的な抗原提示細胞への樹状細胞の成熟の加速(米国特許No.5,849,589、その全体を参照として本明細書に明確に組み入れる)、さらに免疫アジュバント(例えばIL-12、IL-15、IL-23、IL-7、IFN-α、IFN-β)としての作用などに、直接関連がある(Gabrilovich et al 1996)。
【0304】
免疫活性化CpGオリゴヌクレオチドも、ワクチンの設定におけるアジュバントの影響を増強することが報告されている。理論に拘束されずに、CpGオリゴヌクレオチドは、トール様受容体(TLR)、主としてTLR9によって生来の(適応できない)免疫系を活性化することで作用する。CpGに誘導されるTLR9活性は、多種多様な抗原への抗原特異的体液性および細胞性応答を高め、それらの抗原は、ペプチドまたはタンパク質抗原、生または死滅ウイルス、樹枝状細胞ワクチン、自己細胞ワクチン、および予防/治療の両用ワクチンにおける多糖類複合体などである。更に重要なことには、そのCpGは、CD4T細胞の助けがない状態でさえ、樹状細胞の成熟および分化を増強し、TH1細胞の活性化の増強、および強力な細胞傷害性リンパ球(CTL)生成をもたらす。TLR9刺激により誘発されたTH1バイアスは、通常、TH2バイアスを促進するミョウバンもしくは不完全フロイントアジュバント(IFA)のようなワクチンアジュバントが存在する状態でさえ維持される。CpGオリゴヌクレオチドは、他のアジュバントと処方された場合もしくは併用して投与された場合、または微粒子、ナノ粒子、脂肪乳剤などの調製物もしくは同様の調製物の場合、さらに大きなアジュバントの活性を呈するが、それは抗原が比較的弱い場合に、強い応答を誘発するために特に必要である。いくつかの実験において、CpGオリゴヌクレオチドはさらに、免疫応答を加速し、一部の実験では、CpGなしの十分量のワクチンに対し同程度の抗体反応を伴いながら、抗原用量を約2桁低減し得る(Krieg471-84)。米国特許6,406,705B1は、抗原特異性免疫応答を誘発するためにCpGオリゴヌクレオチド、非核酸アジュバントおよび抗原を組み合わせた使用について記述している。CpGTLR9拮抗薬は、本発明の薬剤組成物の好ましい成分であるMologen(ドイツ、ベルリン)によるdSLIM(ダブルステムループ免疫賦活剤)である。RNA結合TLR7、TLR8および/またはTLR9などの分子と結合する他のTLRが使用される。
【0305】
他の有用なアジュバントの例には、化学的に修飾されたCpGs(例えば、CpR、Idera)、Poly(I:C)などのdsRNA類似化合物およびその誘導体(例、AmpliGen登録商標,Hiltonol登録商標)、poly-(ICLC)、poly(IC-R)、poly(I:C12U)、非CpGバクテリアDNAもしくはRNAの他にも、免疫活性小分子および抗体(シクロホスファミド、スニチニブ、ベバシズマブ、セレブレックス、NCX-4016、シルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィル、ソラフェニブ、テモゾロマイド、テムシロリムス、XL-999、CP-547632、パゾパニブ、VEGFトラップ、ZD2171、AZD2171、抗CTLA4、免疫系の主要構造をターゲットとした他の抗体(例えば、抗CD40、抗TGF、抗TNF受容体)およびSC58175など)が上げられ、これらは治療としておよび/またはアジュバントとして作用することもあるが、これらだけに限定されるものではない。本発明の状況において有用なアジュバントおよび添加物の量および濃度は、必要以上に実験を重ねなくても熟練した当業者により容易に決定され得る。
【0306】
好ましいアジュバンドはイミキモド、レシキモド、GM-CSF、シクロホスファミド、スニチニブ、ベバシズマブ、インターフェロンα、CpGオリゴヌクレオチドと誘導体、poly-(I:C)および誘導体、RNA、シルデナフィル、およびPLGまたはビロソームの粒子製剤である。
【0307】
本発明の薬剤組成物の好ましい実施形態において、アジュバントは、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF、サルグラモスチム)、イミキモド、レシミキモド、インターフェロン-αなどのコロニー刺激因子から成るグループから選択される。
【0308】
本発明の薬剤組成物の好ましい実施形態において、アジュバントは、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF、サルグラモスチム)、イミキモドおよびレシミキモドなどのコロニー刺激因子から成るグループから選択される。
【0309】
本発明の薬剤組成物の好ましい実施形態において、アジュバントはイミキモドまたはレシキモドである。
【0310】
この組成物は、皮下、皮内、筋肉内、腹腔内などの非経口投与、または経口投与に用いられる。このため、ペプチドおよび任意選択の他の分子は、薬剤的に認容可能な、好ましくは水性担体に溶解または懸濁される。更に、前記組成物は緩衝剤、結合剤、爆破剤、希釈剤、香料、潤滑剤などの賦形剤を含むこともできる。前記ペプチドは、サイトカインなどの免疫刺激物質と併用投与することもできる。そのような組成物に使用できる賦形剤の広範なリストは、例えばA.Kibbe,Handbook of Pharmaceutical Excipients,3rd Ed.2000,American Pharmaceutical Association and pharmaceutical pressなどから引用することができる。前記組成物は、腺腫またはがん性疾患の阻止、予防および/または治療に利用することができる。製剤の例はEP2113253で見ることができる。
【0311】
本発明は、がん、特に胃癌、肝細胞癌、大腸癌、非小細胞肺癌、腺癌、前立腺癌、良性新生物および悪性メラノーマの治療に有用である薬剤を提供する。
【0312】
本発明はさらに、次の事項から成るキットを含む:
(a)上述の薬剤組成物(溶液または凍結乾燥物)を含む容器
(b)任意に、凍結乾燥調製物の希釈剤あるいは再構成溶液を含む第2容器
(c)任意に、(i)溶液の使用、または(ii)凍結乾燥調製物の構成および/または使用の説明
【0313】
キットはさらに、(i)緩衝液、(ii)希釈剤、(iii)フィルタ、(iv)針もしくは(v)注射器を1つまたは複数を含んでもよい。容器は好ましくはボトル、バイアル、シリンジ、または試験管、さらに多目的容器であってもよい。薬剤組成物は、好ましくは凍結乾燥される。
【0314】
本発明のキットには、好ましくは適切な容器中に本発明の凍結乾燥調製物および再構成および/または使用の説明書が含まれる。適切な容器は、例として、ボトル、バイアル、(例、二腔バイアル)、シリンジ(二腔シリンジなど)および試験管などである。容器はガラスもしくはプラスチックのような様々な材料から形成される。好ましくは、前記キットおよび/または容器は、再溶解および/または使用の方法を示す、容器あるいはその容器に関連する説明書を含む。例えば、ラベルは、凍結乾燥調製物が上述のペプチド濃度に再構成されることを表示してもよい。ラベルはさらに、調製物が有用であるか、あるいは皮下投与を意図するものであることを表示する。
【0315】
製剤を入れる容器は再利用可能なバイアルとしてもよく、再溶解した製剤の反復投与(例えば2~6回)が許される。キットはさらに適切な希釈液(例、重炭酸ナトリウム溶液)を含む2つ目の容器を有する。
【0316】
希釈剤および凍結乾燥製剤の混合に際して、再溶解した製剤の最終ペプチド濃度は、好ましくは少なくとも0.15mg/mL/ペプチド(=75µg)であり、好ましくは最高3mg/mL/ペプチド(=1500µg)までである。キットはさらに、他のバッファ、賦形剤、フィルタ、針、注射器および使用方法の添付文書を含む、商業上および使用者の観点から見て望ましい他の材料を含む。
【0317】
本発明のキットは、他の成分(例、他の化合物またはこれらの他の化合物の薬剤成分)の有無に関わらず本発明に従った薬剤成分の製剤を含む単一容器を有してもよく、または各成分ごとに区別できる容器を有してもよい。
【0318】
好ましくは、本発明のキットは、第2化合物の併用を組み合わせた使用に包装された本発明の製剤(例えば、GM-CSF、化学療法剤、天然産物、ホルモンもしくは拮抗薬、抗血管形成作用薬もしくは阻害剤、アポトーシス誘導作用薬もしくはキレート化剤)、または薬剤組成物それ自体を含む。キットのコンポーネントは、あらかじめ複合体を形成するか、または各コンポーネントが患者に投与する前に個別の容器内にある。キットのコンポーネントは、1つまたはそれ以上の溶液中に、好ましくは水溶液、さらに好ましくは無菌液剤中に提供される。キットのコンポーネントはまた、固体として提供され得、好ましくは他の別個の容器で提供され、適切な溶剤を添加することで液体に変換されてもよい。
【0319】
治療キットの容器は、バイアル、試験管、フラスコ、ボトル、注射器もしくは固体か液体を入れるその他の手段にもなる。通常、2つ以上のコンポーネントがある時、キットは第2のバイアルあるいは他の容器を含み、それにより別々の投与が可能となる。キットはまた、薬剤的に認容可能な液体用の別の容器を含んでもよい。好ましくは、治療用キットには器具も含み(例、1つ以上の針、シリンジ、目薬容器、ピペットなど)、それにより提示キットの成分である本発明製剤の投与が可能になる。
【0320】
現調製物は、経口(腸内)、経鼻、眼、皮下、皮内、筋肉内、静脈内、もしくは経皮的な任意の受理可能なルートによるペプチドの投与に適するものである。好ましくは、投与は皮下注射で、最も好ましくは輸液ポンプによる皮内注射である。
【0321】
MST1R、UCHL5、SMC4、NFYB、PPAP2C、AVL9、UQCRBおよびMUC6由来の本発明のペプチドは、胃癌から単離されたので、本発明の薬剤は好ましくは胃癌の治療に使用される。
【0322】
本発明は、ここで、以下の実施例の記述により、その好ましい実施形態を説明するが、この実施例だけに限られるものではない。本発明の目的のため、本明細書で引用されている全ての参考文献が、その全体の参照として組み込まれている。
【実施例0323】
実施例1:
細胞表面に提示された腫瘍関連ペプチドの同定
組織サンプル
患者の腫瘍組織は京都府立医科大学(日本、京都)、大阪市立大学医学部(日本、大阪)およびTubingen大学病院(ドイツ)から提供された。手術前にすべての患者から書面でインフォームドコンセントを得た。組織は、術後直ちに液体窒素で衝撃冷凍し、TUMAPを単離するまで-80℃で保存した。
【0324】
組織サンプルからのHLAペプチドの単離
衝撃冷凍した組織サンプルのHLAペプチドプールは、わずかに改変したプロトコール(Falk,K.1991;Seeger,F.H.T1999)に従い、HLA-A、-B、-C特異抗体W6/32、HLA-A*02特異抗体BB7.2、CNBr-活性化セファロース、酸処理、および限外ろ過により、固体組織から免疫沈降によって得た。
【0325】
方法
得られたHLAペプチドプロールは、その疎水性に従い逆相クロマトグラフィー(nanoAcquity UPLC system,Waters)により分離し、溶出したペプチドは、ESI源付きLTQ-Orbitrapハイブリッド質量分析計(ThermoFisher Scientific)を用いて分析した。ペプチドプールを1.7μmC18逆相充填剤(Waters)が詰まった分析用溶融シリカミクロキャピラリーカラム(75μm内径x250mm)に、流速400nL/minで直接装填した。その後ペプチドを、流速300μL/分で10%から33%まで、2段階の180分バイナリ勾配をかけて分離した。勾配は、溶媒A(0.1%蟻酸水溶液)と溶媒B(0.1%蟻酸アセトニトリル溶液)から成る。金被覆ガラスキャピラリー(PicoTip,New Objective)をnanoESI源の導入に使った。LTQ-Orbitrap質量分析計はTOP5法を使ってデータ依存モードで操作した。手短に言えば、オービトラップで(R=30,000)、高い質量精度の全スキャンからスキャンサイクルを開始し、続いて、以前に選択したイオンを動的排除した5つの最も多量に存在する前駆イオンについて、オービトラップ内で(R=7500)MS/MSスキャンを実施した。タンデム質量スペクトルは、SEQUESTおよび別の手動コントロールにより解釈した。同定したペプチド配列は、発生した天然ペプチドの断片化パターンを、合成配列の同一参照ペプチドの断片化パターンと比較して確認した。
図1は、ペプチドCDC2-001関連MHCクラスIの腫瘍組織、およびUPLC系のその溶出プロフィールから得られた典型的なスペクトルを示す。
【0326】
実施例2:
本発明のペプチドをコード化する遺伝子の発現プロフィール
MHC分子による腫瘍細胞表面に提示されることが同定されたペプチドすべてが、免疫療法に適しているとはいえないが、その理由は、これらの多くのペプチドが多数の細胞タイプにより発現された正常の細胞タンパク質に由来しているからである。これらのペプチドのほんの僅かだけが、腫瘍に関連しており、由来する腫瘍を認識するのに高い特異性を有するT細胞を誘発できる傾向を有している。このようなペプチドを同定し、ワクチン接種により誘発される自己免疫のリスクを最小限にするため、本発明者は多数の正常組織と比較して、腫瘍細胞で過剰発現されるタンパク質に由来するこれらのペプチドに焦点を当てた。
【0327】
理想的なペプチドは、腫瘍に特異的で他の組織には提示されないタンパク質に由来する。理想的なペプチドに近い発現プロフィールを有する遺伝子に由来するペプチドを同定するために、同定したペプチドを、それらが由来するタンパク質と遺伝子にそれぞれ割り当て、これらの発現プロフィールを生成した。
【0328】
RNA源と予備調製
書面によるインフォームドコンセントを各患者から得たのちに、外科的に切除した組織標本が異なる臨床施設(例1を参照)から提供された。腫瘍組織標本は、術後直ちに液体窒素でスナップ凍結し、その後、液体窒素下で乳鉢と乳棒を使い均質化した。総RNAをTRI試薬(Ambion、ドイツ、ダルムシュタット)、続いてRNeasy(QIAGEN、ドイツ、ヒルデン)によるクリーンアップによりこれらのサンプルから調製し、両方法とも製造者のプロトコールに従って実施した。
【0329】
健常ヒト組織の総RNAは市販品から得た(Ambion、英国ハンティンドン;Clontech、ドイツ、ハイデルベルク;Stratagene、オランダ、アムステルダム;BioChain、米国カリフォルニア州ヘーワード)。数人(2名から123名の間)のRNAを混合し、各個人のRNAを等重量にした。白血球は4名の健常ボランティアの血液サンプルから単離した。
【0330】
総RNAサンプルの質と量は、RNA6000 Pico LabChip Kit(Agilent)を用いてAgilent 2100 Bioanalyzer(Agilent、ドイツ、ヴァルトブロン)で測定した。
【0331】
マイクロアレイ実験
すべての腫瘍と正常組織のRNAサンプルの遺伝子発現解析は、Affymetrix Human Genome(HG)U133AまたはHG-U133 Plus 2.0 オリゴヌクレオチドマイクロアレイ(Affymetrix、米国カリフォルニア州サンタクララ)を使って実施した。すべてのステップはAffymetrixマニュアルに従って実施された。簡単にいうと、二本鎖cDNAを総RNA5~8μgからSuperScript RTII(Invitrogen)とオリゴ-dT-T7プライマー(MWG Biotech、ドイツ、エーバースベルク)を使って取扱説明書の説明通りに合成した。In vitro転写は、U133AアレイにはBioArray高収率RNA転写ラベルキット(ENZO Diagnostics,Inc.、米国ニューヨーク州ファーミンデール)で、U133Plus2.0アレイにはGeneChip IVTラベルキット(Affymetrix)で実施した後、cRNAフラグメンテーション、ハイブリダイゼーション、およびストレプトアビジン-フィコエリトリンとビオチン化抗ストレプトアビジン抗体(Molecular Probes、オランダ、ライデン)による染色を行った。画像はAgilent2500A遺伝子アレイスキャナー(U133A)またはAffymetrix遺伝子チップスキャナー3000(U133Plus2.0)でスキャンし、データは全パラメータの初期設定値を用いてGCOSソフトウェア(Affymetrix)で解析した。正規化は、Affymetrixにより提供された100個のハウスキーピング遺伝子を使った。相対的発現値は、ソフトウェアで得たシングルログ比から計算し、正常腎サンプルは適宜1.0に設定した。
【0332】
胃癌で高く過剰発現する本発明の遺伝子源の発現プロフィールを
図2に示す。
【0333】
実施例3:
IMA941MHCクラスI提示ペプチドのin vitro免疫原性
本発明のTUMAPの免疫原性について情報を得るため、すでに(Walter,S,Herrgen,L,Schoor,O,Jung,G,Wernet,D,Buhring,HJ,Rammensee,HG,andStevanovic,S;2003,Cutting edge:predetermined avidity of human CD8 T cells expanded on calibrated MHC/anti-CD28-coated microspheres,J.Immunol.,171,4974-4978)により報告され、十分確立されたin vitro刺激プラットフォームを用いて検討を行った。このシステムで、試験した本発明のHLA-A*2402制限TUMAP54個の内47個が、HLA-A*0201制限TUMAP3個の内3個が、陽性免疫原性(すなわち特異的T細胞の拡大)の結果を示すことができ、CD8+前駆体T細胞がヒトに存在するのに対し、これらのペプチドはT細胞エピトープであることを明確に示した(表4)。
【0334】
CD8+T細胞のin vitroプライミング
ペプチド-MHC複合体(pMHC)および抗CD28抗体を載せた人工抗原提示細胞(aAPC)によるin vitro刺激を実行するために、発明者はまず、新しいHLA-A*24白血球分離生成物または、血液バンクTuebingenから得た健常ドナーのHLA-A*02+バフィーコートからCD8T細胞を単離した。
【0335】
CD8T細胞は、直接栄養強化されたか、またはPBMC(末梢血単核細胞)が標準的な密度勾配分離用溶媒を使って最初に単離された(PAA、ドイツ、ケルベ)。単離されたCD8リンパ球またはPBMCを、10%熱不活性化ヒトAB血清(PAN-Biotech、ドイツ、アイデンバッハ)が補充されたRPMI-グルタマックス(Invitrogen、ドイツ、カ—ルスルーエ)、100U/mlペニシリン/100μg/mlストレプトマイシン(Cambrex、ドイツ、ケルン)、1mMピルビン酸ナトリウム(CC Pro、ドイツ、オーバードルラ)、および20μgml/ゲンタマイシン(Cambrex)で構成される、T細胞培地(TCM)で使用するまでインキュベートした。2.5ng/ml IL-7(PromoCell、ドイツ、ハイデルベルグ)および10U/ml IL-2(Novartis Pharma、ドイツ、ニュルンベルグ)のサイトカインがこの培養ステップのTCMに添加された。CD8+リンパ球の単離は、CD8 MicroBeads(Miltenyi Biotec、ドイツ、ベルギッシュグラートバハ)を使って陽性選択により実施した。
【0336】
pMHC/抗-CD28被覆ビーズ、T細胞刺激および読み出しなどの生成は、僅かな改変をして前述した通り(Walter et al.4974-78)に実施した。膜貫通ドメインを欠損し、重鎖のカルボキシ末端でビオチン化された、ビオチン化ペプチド負荷組み換えHLA-A*2402およびHLA-A*0201分子が生成された。精製した共刺激マウスIgG2a抗ヒトCD28Ab9.3(Jung,Ledbetter,and Muller-Eberhard 4611-15)は、製造業者が推奨するように、スルホ-N-ヒドロキシサクシンイミドビオチンで化学的にビオチン化された(Perbio、ドイツ、ボン)。使用したビーズは、5.6μmの大きなストレプトビジン被覆ポリスチレン粒子(Bangs Laboratories、米国イリノイ州)であった。免疫原の高コントロールおよび低コントロールとして使用したpMHCは、各々A*0201/MLA-00(修飾Melan-A/MART-1由来ペプチドELAGIGILTV)およびA*0201/DDX5-001(DDX5由来YLLPAIVHI)であった。
【0337】
800.000ビーズ/200μlを、ビオチン抗CD28 600ng+関連ビオチン-pMHC 200ng共存下で、96ウェルプレートにおいて被覆した(高密度ビーズ)。5ng/ml IL-12(PromoCell)で補給された200μl TCM中で2x105 洗浄済み被覆ビーズと共に1x106 CD8+T細胞を、37°C、5%CO2 および相対湿度95%で、3~4日間共インキュベートして刺激を開始した。続いて、培地の半分を80U/ml IL-2が補充された新しいTCMと交換し、インキュベーションは37°Cで3~4日間続けた。
この刺激サイクルを合計3回実施した。
最終的に、多量体分析は、細胞を蛍光A*0201またはA*2402HLA多量体(Altman、1996 ALTMAN1996/idの記載に従い生成)およびCD8-FITC抗体クローンSK1(BD、ドイツ、ハイデルベルグ)で、または生存マーカー(生死判定用アクア染色またはバイオレット染色(Invitrogen、ドイツ、カールスルーエ))を追加し染色することにより実施し、4色FACSCalibur(BD)またはLSRII SORP血球計算器(BD;8色、青(488nm)、紫(405nm)、赤(640nm)および緑(532nm)付き)上で行った。ペプチド特異的細胞をCD8+T細胞の合計パーセンテージとして計算した。多量体分析の評価はFCSExpressまたはFlowJoソフトウェア(Tree Star、米国オレゴン州)により行った。特定の多量体+CD8+リンパ球のin vitroプライミングは、適切なゲート開閉と陰性コントロール刺激との比較によって、検出した。1例の健常ドナーの少なくとも1つの評価可能なin vitro刺激ウェルに、in vitro刺激後、特定CD8+T細胞が含まれていることが見出された場合に、特定の抗原の免疫原性は検出された(すなわち、このウェル内の多量体+細胞集団の画分の1%以上がCD8+細胞から構成され、その頻度が対応する陰性コントロール(無関係な多量体による刺激および関連多量体による染色)の中央値の10倍以上であり、さらに細胞がプロットの直線上に存在しなかった場合)。
【0338】
IM941ペプチドのin vitro免疫原性
試験したHLA-A
*2402ペプチド54個の内47個および試験したHLA-A
*0201ペプチド3個の内3個に対し、in vitro免疫原性が、ペプチド特異的T細胞株の発生により証明できた。本発明の2つのペプチドに対する、TUMAP特異的多量体染色後の典型的なフローサイトメトリーの結果を、対応する負のコントロールと共に
図3に示す。本発明の54A
*2402および3A
*0201ペプチドの結果が表4に要約されている。
【0339】
表4:本発明のHLAクラスIペプチドのin vitro免疫原性
Immaticsにより実施されたin vitro免疫原性の結果が、評価可能な陽性試験ドナーとウェルのパーセンテージを示している。4つ以上のドナーと48個以上のウェルが各ペプチドについて評価可能であった。
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【0340】
次のペプチドは既にイマテイクスによって他の出願で開示され、ワクチンIMA901(MET-001及びTOP-001)、IMA910(MET-001及びTOP-001)、及びIMA950(IGF2BP3-001)に含まれる。インビボ反応で、MET-001は極端によい結果をもたらしており、データは、本願発明の臨床的有用性を示唆するものである。
【表4】
【0341】
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抗原特異的方法で細胞傷害性Tリンパ球(CTL)を活性化するのに十分な期間、適当な抗原提示細胞表面上で発現された抗原を負荷したヒトクラスI MHC分子とCTLをin vitroで接触させることを含むものであって、前記抗原は請求項1~3のいずれか一項に記載のペプチドである、活性化細胞傷害性Tリンパ球(CTL)を作製するin vitro方法。