(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022141770
(43)【公開日】2022-09-29
(54)【発明の名称】気密端子
(51)【国際特許分類】
H01R 9/16 20060101AFI20220921BHJP
【FI】
H01R9/16 101
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111556
(22)【出願日】2022-07-12
(62)【分割の表示】P 2020166630の分割
【原出願日】2020-10-01
(31)【優先権主張番号】P 2019184885
(32)【優先日】2019-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】300078431
【氏名又は名称】ショット日本株式会社
(72)【発明者】
【氏名】前川 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】本田 浩喜
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 明
(72)【発明者】
【氏名】福島 大輔
(72)【発明者】
【氏名】小島 博行
(57)【要約】 (修正有)
【課題】螺旋締結などで金属外環に生じた歪みによる応力がリード封着部の絶縁材に容易に伝搬しないように緩和できる構成を備えた気密端子を提供する。
【解決手段】螺旋止めのため設けた通孔および封着孔32を有する金属外環33と、金属外環33の封着孔32に挿通したリード34と、金属外環33とリード34とを封着した絶縁材35とを備えた気密端子30において、金属外環33は、封着孔32の周囲を囲んだ溝部36を設けたことを特徴とする。溝部36は、金属外環33のリード34を封着した絶縁材35および封着孔32の個々の外周を囲むように設けられて設けられる。気密端子30は、電気装置などに取付けられる際、溝部36が金属外環33の平面の一部を切り欠いて設ける。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
封着孔と平板状の金属外環と、この金属外環の前記封着孔に挿通したリードと、前記金属外環と前記リードとを封着する絶縁材とを有し、前記金属外環の封着孔の周囲に溝部を設け、前記溝部が撓むことにより、該金属外環に生じた歪応力を弾性吸収することを特徴とした気密端子。
【請求項2】
前記金属外環は、平板面に螺旋取り付け用に設けられた通孔をさらに含む請求項1に記載の気密端子。
【請求項3】
前記溝部は、前記封着孔の周りを囲むように不連続に複数配置された円弧状の溝により構成した請求項1または請求項2に記載の気密端子。
【請求項4】
前記気密端子は、複数の前記リードを有し、前記リード毎に前記封着孔の周囲の一部を取り囲んだ前記溝部を設けた請求項1ないし請求項3の何れか1つに記載の気密端子。
【請求項5】
前記金属外環は細長い形状であることを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れか1つに記載の気密端子。
【請求項6】
電動圧縮機等の電気装置を内蔵する容器本体と、該容器本体の外壁面に設けられた開口部に挿着され、これを気密に閉口するとともに前記電気装置に電気接続して外部から電源供給する気密端子とを備え、前記気密端子は、封着孔と平板状の金属外環と、この金属外環の前記封着孔に挿通したリードと、前記金属外環と前記リードとを封着する絶縁材とを有し、前記金属外環の封着孔の周囲に溝部を設け、前記溝部が撓むことにより、該金属外環に生じた歪応力を弾性吸収することを特徴とした気密容器。
【請求項7】
前記金属外環は、平板面にさらに螺旋止めのため設けた通孔を有し、前記通孔に挿通した螺旋によって前記容器本体と固定したことを特徴とする請求項1に記載の気密容器。
【請求項8】
前記溝部は、前記封着孔の周りを囲むように不連続に複数配置された円弧状の溝により構成した請求項6または請求項7に記載の気密容器。
【請求項9】
前記気密端子は、複数の前記リードを有し、前記リード毎に前記封着孔の周囲の一部を取り囲んだ前記溝部を設けた請求項6ないし請求項8の何れか1つに記載の気密容器。
【請求項10】
前記金属外環は細長い形状であることを特徴とする請求項6ないし請求項9の何れか1つに記載の気密容器。
【請求項11】
封着孔と平板状の金属外環と、この金属外環の前記封着孔に挿通したリードと、前記金属外環と前記リードとを封着する絶縁材とを備え、該金属外環は、外周の一部に設けた延伸部と前記封着孔の周囲の平板面に設けた溝部とを有し、前記延伸部が前記金属外環を変形しないように強化し、かつ前記溝部が撓むことにより、前記金属外環に生じた歪応力を弾性吸収することを特徴とする気密端子。
【請求項12】
前記金属外環は、前記平板面に螺旋取り付け用に設けられた通孔をさらに含む請求項11に記載の気密端子。
【請求項13】
前記溝部は、前記封着孔の周りを囲むように不連続に複数配置された円弧状の溝により構成した請求項11または請求項12に記載の気密端子。
【請求項14】
前記気密端子は、複数の前記リードを有し、前記リード毎に前記封着孔の周囲の一部を取り囲んだ前記溝部を設けた請求項11ないし請求項13の何れか1つに記載の気密端子。
【請求項15】
前記金属外環は細長い形状であり、前記延伸部が前記金属外環の長辺に沿って配置されていることを特徴とする請求項11ないし請求項14の何れか1つに記載の気密端子。
【請求項16】
電動圧縮機等の電気装置を内蔵する容器本体と、該容器本体の外壁面に設けられた開口部に挿着され、これを気密に閉口するとともに前記電気装置に電気接続して外部から電源供給する気密端子とを備え、
前記気密端子は、封着孔と平板状の金属外環と、この金属外環の前記封着孔に挿通したリードと、前記金属外環と前記リードとを封着する絶縁材とを有し、該金属外環は、外周の一部に設けた延伸部と前記封着孔の周囲の平板面に設けた溝部とを有し、前記延伸部が前記金属外環を変形しないように強化し、かつ前記溝部が撓むことにより、前記金属外環に生じた歪応力を弾性吸収することを特徴とした気密容器。
【請求項17】
前記金属外環は、前記平板面にさらに螺旋止めのため設けた通孔を有し、前記通孔に挿通した螺旋によって前記容器本体と固定したことを特徴とする請求項16に記載の気密容器。
【請求項18】
前記溝部は、前記封着孔の周りを囲むように不連続に複数配置された円弧状の溝により構成した請求項16または請求項17に記載の気密容器。
【請求項19】
前記気密端子は、複数の前記リードを有し、前記リード毎に前記封着孔の周囲の一部を取り囲んだ前記溝部を設けた請求項16ないし請求項18の何れか1つに記載の気密容器。
【請求項20】
前記金属外環は細長い形状であり、前記延伸部が前記金属外環の長辺に沿って配置されていることを特徴とする請求項16ないし請求項19の何れか1つに記載の気密容器。
【請求項21】
天板部と、前記天板部の外周端から下方に向かって延びる筒状部と、前記筒状部の下端から斜め外方に広がったフランジ部と、前記天板部からカップの内方側に向かって延びるリードの封着孔を形成する小筒状部とを一体に有するカップ状の金属外環を用い、前記金属外環の前記リードの前記封着孔に絶縁材を介して封着された前記リードとを備えた気密端子において、前記筒状部の高さの比は、前記フランジ部の底面から天板部までの高さを1にしたとき0.7以上0.9以下にしたことで、前記筒状部の高さを高く設けて、前記気密端子を取り付ける電動圧縮機の容器本体から、前記絶縁材の封着部を遠ざけて取り付け、前記気密容器の変形による応力が前記絶縁材に伝搬しないように前記金属外環で歪みを吸収することを特徴とする気密端子。
【請求項22】
電動圧縮機等の電気装置を内蔵する容器本体と、該容器本体の外壁面に設けられた開口部に挿着され、これを気密に閉口するとともに前記電気装置に電気接続して外部から電源供給する気密端子とを備え、前記気密端子は、天板部と、前記天板部の外周端から下方に向かって延びる筒状部と、前記筒状部の下端から斜め外方に広がったフランジ部と、前記天板部からカップの内方側に向かって延びるリードの封着孔を形成する小筒状部とを一体に具備するカップ状の金属外環を用い、前記金属外環の前記リードの前記封着孔に絶縁材を介して封着された前記リードを有し、前記筒状部の高さの比は、前記フランジ部の底面から天板部までの高さを1にしたとき、0.7以上0.9以下としたことで、前記筒状部の高さを高く設けて、前記気密端子を取り付ける電動圧縮機の容器本体から、前記絶縁材の封着部を遠ざけて取り付け、前記気密容器の変形による応力が前記絶縁材に伝搬しないように前記金属外環で歪みを吸収することを特徴とする気密容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車載電動圧縮機用の気密端子を含む気密端子に関する。
【背景技術】
【0002】
気密端子は、金属外環(アイレットとも言う)の挿通孔にガラス絶縁材を介してリードを気密に封着したもので、気密容器内に収容された電気機器や素子に電流を供給したり、電気機器や素子から信号を外部に導出したりする場合に用いられる。例えば、冷蔵庫やエアコン等の圧縮機に用いられる気密端子は、WO2010/117000号公報(特許文献1)に示されるように、天板部、この天板部の外周端から下方に向かって延びる筒状部、この筒状部の下端から斜め外方に広がったフランジ部、及び天板部から内方側に向かって延びるリード封着孔を形成する3個の小筒部を備えた金属外環が用いられている。そして、この金属外環のリード封着孔にそれぞれ封着用のガラス絶縁材を介して封着されたリードが気密封着される。
【0003】
近年、電気自動車やハイブリッド自動車用のカーエアコンは、電動機を鉄製容器に内蔵した電動圧縮機を採用している。気密端子は車載用の電動圧縮機にも搭載されるようになってきている。車載用の電動圧縮機は屋内空調用のものと同様な圧縮機構を有する。ハイブリッド自動車や電気自動車のエンジンルームの機械配置は、車重軽減等の要求からエンジンルーム内の器機配置を工夫し、極限まで省スペース化を図っており、電動圧縮機を設置する充分なスペースがエンジンルームに確保し難い状況にある。このため、例えば特許文献2などに記載される車載用の電動圧縮機の気密端子は、屋内空調用の気密端子のように同一円周上に∠120°間隔で三端子を配置する形態ではなく、三端子が直線状に配置された、ソケット回りなどの嵩が少なくなる形態となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2010/117000号公報
【特許文献2】特開2012-183a969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ハイブリッド自動車や電気自動車では、エンジンで駆動する圧縮機ではなく電動機で駆動する圧縮機、すなわち屋内用エアコンと同様に圧縮機構を電動機とともに気密容器に内蔵した電動機内蔵の圧縮機が採用されている。これらの車載用電動圧縮機は、狭隘なエンジンルームへの設置を考慮して、出来るだけ省スペースかつ小型軽量のものが好ましい。電動機は気密容器の取付孔に取付けた気密端子を通じて駆動されるので、用いられる気密端子も、省スペースに有利なように直列一線状にリード配置されたものが多い。車載電動圧縮機用の気密端子は、電動機を収容した気密容器の取付孔に螺旋締結や抵抗溶接により固定される。上記気密端子は、それを取り付ける気密容器自身の冷媒内圧による膨張により歪みが生じる。これに加えて気密端子を気密容器に螺旋締結して取り付ける場合は、螺旋締結のトルクにより金属外環が弓形に微小変形して歪みが生じる。従来は、リードの封着部に余分な歪応力が加わったまま取付けられていた。このため、リード封着部を構成する絶縁ガラスにひびや欠けが生じて、気密性、電気特性に悪影響を及ぼすことがあった。
【0006】
本発明の目的は、車載電動圧縮機用の気密端子を含む気密端子において、螺旋締結や溶接などで金属外環に生じた歪みによる応力がリード封着部の絶縁材に容易に伝搬しないように緩和できる構成を備えた気密端子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、少なくとも1個の封着孔を有した金属外環と、この金属外環の封着孔に挿通したリードと、金属外環とリードとを気密に封着する絶縁材とを備え、該金属外環は、封着孔の周囲にキャビティを有する段差部または封着孔の周囲に溝部を設けたことを特徴とする気密端子が提供される。封着孔の周囲にキャビティを有する段差部または溝部を設けることで、螺旋締結のトルクによって金属外環に歪みが生じても、この段差部または溝部が歪応力を弾性緩衝することができる。これによりリード封着部の絶縁材に歪応力が伝わらないように緩和することができる。本発明の気密端子は、従来通り螺旋締結または抵抗溶接などにより圧縮機の気密容器に取り付けることができ頑健性が格段に向上する。さらに螺旋締結のトルクの変動に曝されても気密性の確保が容易になる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一実施形態によれば、気密端子の信頼性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る気密端子10を示し、(a)は平面図を、(b)は(a)のD-D線で切断した正面部分断面図を、(c)は下面図を、(d)は側面図を示す。
【
図2】本発明に係る気密端子20を示し、(a)は平面図を、(b)は(a)のD-D線で切断した正面部分断面図を、(c)は下面図を、(d)は側面図を示す。
【
図3】本発明に係る気密端子30を示し、(a)は平面図を、(b)は(a)のD-D線で切断した正面部分断面図を、(c)は下面図を、(d)は側面図を示す。
【
図4】本発明に係る気密端子40を示し、(a)は平面図を、(b)は(a)のD-D線で切断した正面部分断面図を、(c)は下面図を、(d)は側面図を示す。
【
図5】本発明に係る気密端子50を示し、(a)は平面図を、(b)は(a)のD-D線で切断した正面部分断面図を、(c)は下面図を、(d)は側面図を示す。
【
図6】本発明に係る気密端子60を示し、(a)は平面図を、(b)は(a)のD-D線で切断した正面部分断面図を、(c)は下面図を、(d)は側面図を示す。
【
図7】本発明に係る気密端子70を示し、(a)は平面図を、(b)は(a)のD-D線で切断した正面部分断面図を、(c)は下面図を、(d)は側面図を示す。
【
図8】本発明に係る気密端子80の側面図およびこれに取り付けるガスケットならびに気密容器の部分切断図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明によると、
図1ないし
図4に示すように、少なくとも1個の封着孔を有した金属外環と、この金属外環の封着孔に挿通したリードと、金属外環とリードとを封着する絶縁材とを備え、該金属外環は、封着孔の周囲にキャビティを有する段差部または封着孔の周囲に溝部を設けたことを特徴とする気密端子が提供される。この段差部または溝部は、気密端子のリードないし封着孔の周囲を囲むように設けられ、複数のリードおよび封着孔を有する場合は、例えば
図1ないし
図2に示すように、封着孔を個々に囲むように設けてもよく、また、例えば
図3に示すように、複数の封着孔の周りをまとめて囲むように設けてもよい。上記溝部は、封着孔の周りを囲むように設けてあればよく、溝部は、連続した円周で隙間なく封着孔の周りを取り囲んで構成しても、封着孔の周りを囲むように不連続に複数配置された円弧状の溝により構成しても何れの形態であってもよい。
【0011】
本発明に係る気密端子の一形態は、上記キャビティを有する段差部が金属外環の平面より突出させて設けられており、気密端子を取付ける電気装置の取付け部に螺旋締結などの手段で固定したときに、金属外環の平面に螺旋締結の歪みが生じても、この歪応力がキャビティを有する段差部で吸収緩和されるのでリードと金属外環を気密封着した絶縁材に伝搬しないようになる。本発明に係る気密端子の一形態は、上記溝部が金属外環の平面の一部を切り欠いて設けられており、気密端子を取付ける電気装置の取付け部に螺旋締結などの手段で固定したときに、金属外環の平面に螺旋締結の歪みが生じても、この歪応力が溝部で吸収緩和されるのでリードと金属外環を気密封着した絶縁材に伝搬しないようになる。この段差部または溝部は、気密端子の全てのリードないし封着孔の周囲を囲むように設けられればよく、複数のリードおよび封着孔をまとめて囲むように設けてもよい。
【0012】
さらに本発明に係る気密端子は、金属外環の何れかの表面に絶縁被覆を設けてもよい。この絶縁被覆は、絶縁材であれば何れの材料を用いてもよく、特に限定されないが、例えばゴム、エラストマー、プラスチックス、セラミックス、ガラスなどが好適である。
【0013】
本明細書において三端子の気密端子を例示するが、リードを外環にガラス封止した気密端子であれば何れの形態を用いてもよく、例示した気密端子に限定されない。
【0014】
本発明の気密端子10は、
図1に示すように、螺旋止めのため設けた通孔11および封着孔12を有する金属外環13と、金属外環13の封着孔12に挿通したリード14と、金属外環13とリード14とを封着した絶縁材15とを備え、金属外環13は、封着孔12の周囲を囲んだキャビティ13aおよび段差部13bを設けたことを特徴とする。キャビティ13aおよび段差部13bは、金属外環13のリード14を封着した絶縁材15および封着孔12の個々の外周を囲むように設けられており、さらに金属外環13の一部を突出させ、かつこの突出部の裏面を凹面状のキャビティに構成して設けられる。気密端子10は、電気装置などに取付けられる際、キャビティ13aおよび段差部13bが金属外環13の平面より突出させて設けられており、気密端子を取付ける電気装置の取付け部に螺旋締結などの手段で固定したときに、金属外環13の平面に螺旋締結の歪みが生じても、封着孔12とリード14を封着した絶縁材15は、キャビティ13aおよび段差部13bに囲まれた内側に配置されるので、金属外環13の歪応力がキャビティ13aおよび段差部13bで構成される突出壁面の撓みで弾性吸収されて緩和され、リード14と金属外環13を気密封着した絶縁材15に伝搬しないようになる。通孔11は、本発明の気密端子を電気装置の気密容器などに螺旋止め等の手段で締め付けて固定するため設けられる。
【0015】
本発明の気密端子20は、
図2に示すように、螺旋止めのため設けた通孔21および封着孔22を有する金属外環23と、金属外環23の封着孔22に挿通したリード24と、金属外環23とリード24とを封着した絶縁材25とを備え、金属外環23は、封着孔の周囲を囲んだキャビティ23aおよび段差部23bを設けたことを特徴とする。キャビティ23aおよび段差部23bは、金属外環23のリード24を封着した絶縁材25および封着孔22の外周を一括して囲むように設けられており、さらに金属外環23の一部を突出させかつ突出部の裏面を凹面状のキャビティに構成して設けられる。気密端子20は、電気装置などに取付けられる際、キャビティ23aおよび段差部23bが金属外環23の平面より突出させて設けられており、気密端子を取付ける電気装置の取付け部に螺旋締結などの手段で固定したときに、金属外環23の平面に螺旋締結の歪みが生じても、封着孔22とリード24を封着した絶縁材25は、キャビティ23aおよび段差部23bに囲まれた内側に配置されるので、金属外環23の歪応力がキャビティ23aおよび段差部23bで構成される突出壁面の撓みで弾性吸収されて緩和され、リード24と金属外環23を気密封着した絶縁材25に伝搬しないようになる。通孔21は、本発明の気密端子を電気装置の気密容器などに螺旋止め等の手段で締め付けて固定するため設けられる。
【0016】
気密端子には、それを取り付けた圧力容器(気密容器)の内圧変形による負荷や、その取り付け時などに生じる抵抗溶接や螺旋締結の歪みによる負荷が加わってくるが、これらを気密端子の絶縁封着部に伝わらないようにするには、金属外環のリード封着孔を有する天板部と、金属外環の気密容器への取り付け基部となるフランジ部との間の段差部を充分に離して設けることも重要である。例えば、円盤型コンプレッサ用気密端子は、
図5に示すように、天板部53aと、この天板部53aの外周端から下方に向かって延びる筒状部53bと、この筒状部53bの下端から斜め外方に広がったフランジ部53cと、前記天板部53aからカップの内方側に向かって延びるリードの封着孔52を形成する小筒状部53dとを一体に具備するカップ状の金属外環53を用い、この金属外環53の前記各リードの封着孔52にそれぞれガラスまたはエポキシ樹脂の絶縁材55を介して封着されたリード54を有している。従来の筒状部53bの高さL1の比は、フランジ部53cの底面から天板部53aまでの金属外環全高L2を1にしたとき、0.6程度であった。上述の変形や歪みによる負荷が、この気密端子の絶縁封着部に伝わらないようにするには、筒状部53bの高さL1の比を、フランジ部53cの底面から天板部53aまでの金属外環全高L2を1にしたとき、0.7以上0.9以下とするとよく、より望ましくは0.7以上0.8以下の範囲にするとよい。筒状部53bの高さを、従来よりも高くすることで、コンプレッサのケースから、端子の封着部を遠ざけて取り付けることができる。この気密端子50はコンプレッサの気密容器に抵抗溶接で取り付けられて使用されるが、気密容器の変形による応力が絶縁材55に伝搬しないように金属外環53で歪みを吸収して、絶縁材55にひびや欠けなどの不具合が生じ難くする。
【0017】
本発明に係る気密端子のキャビティの高さL1の比は、例えば、
図1に示す気密端子10のように、前記金属外環13の底面からキャビティ13aの外端までの金属外環全高L2を1にしたとき、0.7以上0.9以下とするとよく、望ましくは0.7以上0.8以下の範囲にするとよい。キャビティ13aの高さの比を、上記とすることで、コンプレッサのケースから、端子の封着部を遠ざけて取り付けることができる。本発明の気密端子はコンプレッサの気密容器に螺旋締結または抵抗溶接で取り付けられて使用されるが、気密容器の変形による応力が絶縁材に伝搬しないように金属外環で歪みを吸収して、絶縁材にひびや欠けなどの不具合が生じ難くする。前記キャビティ13aの高さの比が0.7未満の場合は、コンプレッサのケースからの距離が近いため、気密容器の変形応力の影響を受けてしまうこともある。前記キャビティ13aの高さL1の比が0.9を超えたときは、フランジ部13cの厚さが薄くなり溶接や螺旋締結に充分に耐えられない場合がある。また、金属外環13の外側への突出寸法が過大になりキャビティ13aが邪魔になってしまったり、キャビティ13a内側のリード14が必要以上に長尺となったりする無駄が生じることもある。
【0018】
本発明の気密端子30は、
図3に示すように、螺旋止めのため設けた通孔31および封着孔32を有する金属外環33と、金属外環33の封着孔32に挿通したリード34と、金属外環33とリード34とを封着した絶縁材35とを備え、金属外環33は、封着孔32の周囲を囲んだ溝部36を設けたことを特徴とする。溝部36は、金属外環33のリード34を封着した絶縁材35および封着孔32の個々の外周を囲むように設けられて設けられる。気密端子30は、電気装置などに取付けられる際、溝部36が金属外環33の平面の一部を切り欠いて設けられており、気密端子を取付ける電気装置の取付け部に螺旋締結などの手段で固定したときに、金属外環33の平面に螺旋締結の歪みが生じても、封着孔32とリード34を封着した絶縁材35が、それぞれ溝部36に囲まれた内側に配置されているので、金属外環33の歪応力が溝部の内壁面の撓みで弾性吸収されて緩和され、リード34と金属外環33を気密封着した絶縁材35に伝搬しないようになる。通孔31は、本発明の気密端子を電気装置の気密容器などに螺旋止め等の手段で締め付けて固定するため設けられる。
【0019】
本発明の気密端子40は、
図4に示すように、螺旋止めのため設けた通孔41および封着孔42を有する金属外環43と、金属外環43の封着孔42に挿通したリード44と、金属外環43とリード44とを封着した絶縁材45とを備え、金属外環43は、封着孔42の周囲を囲んだ溝部を設けたことを特徴とする。溝部46は、金属外環43のリード44を封着した絶縁材45および封着孔42の外周を一括して囲むように設けられる。気密端子40は、電気装置などに取付けられる際、溝部46が金属外環43の平面の一部を切り欠いて設けられており、気密端子を取付ける電気装置の取付け部に螺旋締結などの手段で固定したときに、金属外環43の平面に螺旋締結の歪みが生じても、封着孔42とリード44を封着した全ての絶縁材45は、溝部46に囲まれた内側に配置されるので、金属外環43の歪応力が溝部46の内壁面の撓みにより弾性吸収されて緩和され、リードと金属外環43を気密封着した絶縁材45に伝搬しないようになる。通孔41は、本発明の気密端子を電気装置の気密容器などに螺旋止め等の手段で締め付けて固定するため設けられる。
【0020】
本発明に係る気密端子50は、
図5に示すように、天板部53aと、この天板部53aの外周端から下方に向かって延びる筒状部53bと、この筒状部53bの下端から斜め外方に広がったフランジ部53cと、前記天板部53aからカップの内方側に向かって延びるリードの封着孔52を形成する小筒状部53dとを一体に有するカップ状の金属外環53を用い、この金属外環53の前記各リードの封着孔52にそれぞれガラスまたはエポキシ樹脂の絶縁材55を介して封着されたリード54とを備え、前記筒状部53bの高さL1は、フランジ部53cの底面から天板部53aまでの金属外環全高L2を1にしたとき、0.7以上0.9以下とするとよく、より望ましくは0.7以上0.8以下の範囲にしたことを特徴としている。従来の筒状部53bの高さの比は、従来の筒状部53bの高さL1の比は、フランジ部53cの底面から天板部53aまでの金属外環全高L2を1にしたとき、0.6程度であった。筒状部53bの高さを、従来よりも高くすることで、コンプレッサのケースから、端子の封着部を遠ざけて取り付けることができる。
【0021】
本発明に係る気密端子60は、
図6に示すように、螺旋止めのため設けた通孔61および封着孔62を有する金属外環63と、金属外環63の封着孔62に挿通したリード64と、金属外環63と各リード64とを封着した絶縁材65とを備え、金属外環63は、封着孔62の周囲を囲む金属外環63の外周の一部または全部に枠状または梁状の延伸部67を有する。延伸部67は、金属外環63のリード64を封着した絶縁材65および封着孔62の外周部分に枠状に設けられる。気密端子60は、電動圧縮機の気密容器に取付けられる際、延伸部67が金属外環63の平面方向(水平方向)の変形に抗力し強化する。従って気密端子を取付ける電気装置の取付け部に螺旋締結などの手段で固定したときに、金属外環63の平面に螺旋締結の歪みが生じても、延伸部67の内側にリード64と絶縁材65が配置されてるので歪みがこれに伝搬しないようになる。
【0022】
本発明に係る気密端子70は、
図7に示すように、螺旋止めのため設けた通孔71および封着孔72を有する金属外環73と、金属外環73の封着孔72に挿通したリード74と、金属外環73と各リード74とを封着した絶縁材75とを備え、金属外環73は、封着孔72の周囲を囲んだキャビティ73aおよび段差部73bまたは溝部(左記溝部については
図4を参照)および金属外環73の外周の一部または全部に枠状または梁状の延伸部77を有する。キャビティ76は、金属外環73のリード74を封着した絶縁材75および封着孔72の外周を囲むように設けられる。気密端子70は、電動圧縮機の気密容器に取付けられる際、キャビティ76および延伸部77が金属外環73に設けられており、気密端子を取付ける電気装置の取付け部に螺旋締結などの手段で固定したときに、金属外環73の平面に螺旋締結の歪みが生じても、封着孔72とリード74を封着した全ての絶縁材75は、キャビティ76に囲まれた内側に配置され、かつこれが延伸部77で強化さるので、金属外環73の歪応力によりキャビティ76が過度に変形されて効力を失うこと無く、キャビティ76の内壁面の撓みにより弾性吸収されて緩和され、リード74と金属外環73とを気密封着している絶縁材75に伝搬しないようになる。
【0023】
本発明に係るキャビティ付きの気密端子10、気密端子20および気密端子70は、
図8に示す気密端子80ように、気密端子にガスケット88を取り付ける場合には、キャビティ83aの突出面をガスケット88および電気装置の気密容器89の取付け面とすることで、キャビティ83a自身にガスケット88の位置決めガイドを兼ねさせることができる。これにより従来、金属外環に設けていた位置決め用の突起が不要になる。
【0024】
なお、本発明に係るキャビティ付きの気密端子および溝部付き気密端子は、特に指定の無い限り、気密端子の載置方向について限定はなく、金属外環の何方側も固定側として利用できる。
【実施例0025】
本発明に係る実施例1の気密端子10は、
図1に示すように、螺旋止めのため設けた通孔11および直線状に配置した複数の封着孔12を有する合金鋼の金属外環13と、金属外環13の封着孔12に挿通した複数のFe-Cr鉄基合金製リード14と、金属外環13とリード14とを封着したソーダバリウムガラスの絶縁材15とを備え、金属外環13は、封着孔12の周囲を囲んだ封着孔の周囲を囲んだキャビティ13aおよび段差部13bを有する。キャビティ13aおよび段差部13bは、金属外環13のリード14を封着した絶縁材15および封着孔12の個々の外周を一つ一つ囲むように設けられており、さらに金属外環13の一部を突出させ、かつこの突出部の裏面を凹面状のキャビティに構成して設けられる。気密端子10は、電動圧縮機の気密容器に取付けられる際、キャビティ13aおよび段差部13bが金属外環13の平面より突出させて設けられている。気密端子を電気装置の取付け部に螺旋締結などの手段で固定したときに、金属外環13の平面に螺旋締結の歪みが生じても、封着孔12とリード14を封着した絶縁材15は、全てキャビティ13aおよび段差部13bに囲まれた内側に配置されるので、金属外環13に設けたキャビティ13aおよび段差部13bの壁面が撓むことで、金属外環13に生じた歪応力を弾性吸収して緩和することができる。このためリード14と金属外環13を気密封着した絶縁材15に、金属外環13に生じた歪応力が伝搬しないようになるので、絶縁材15の割れや破壊を防止することができる。
【0026】
本発明に係る実施例2の気密端子20は、
図2に示すように、螺旋止めのため設けた通孔21および直線状に配置した複数の封着孔22を有する炭素鋼の金属外環23と、金属外環23の封着孔22に挿通した複数のFe-Cr鉄基合金製リード24と、金属外環23とリード24とを封着したソーダバリウムガラスの絶縁材25とを備え、金属外環23は、封着孔の周囲を囲んだキャビティ23aおよび段差部23bを有する。キャビティ23aおよび段差部23bは、金属外環23のリード24を封着した絶縁材25および封着孔22の外周を一括して囲むように設けられており、さらに金属外環23の一部を突出させかつ突出部の裏面を凹面状のキャビティに構成して設けられる。気密端子20は、電動圧縮機の気密容器に取付けられる際、キャビティ23aおよび段差部23bが金属外環23の平面より突出させて設けられており、気密端子を取付ける電気装置の取付け部に螺旋締結などの手段で固定したときに、金属外環23の平面に螺旋締結の歪みが生じても、封着孔22とリード24を封着した絶縁材25は、キャビティ23aおよび段差部23bに囲まれた内側に配置されるので、金属外環23の歪応力がキャビティ23aおよび段差部23bの突出壁面の撓みで弾性吸収されて緩和され、リード24と金属外環23を気密封着した絶縁材25に伝搬しないようになる。
【0027】
実施例1の気密端子10または実施例2の気密端子20は、
図8に示すように、キャビティ83aの突出面をガスケット88および電気装置の気密容器89の取付け部として利用することができ、キャビティ83a自身がガスケット88の位置決めガイドを兼ねることができる。
【0028】
本発明に係る実施例3の気密端子30は、
図3に示すように、螺旋止めのため設けた複数の通孔31および直線状に配置した複数の封着孔32を有する炭素鋼の金属外環33と、金属外環33の封着孔32に挿通した複数のFe-Cr鉄基合金製リード34と、金属外環33と各リード34とを封着したソーダバリウムガラスの絶縁材35とを備え、金属外環33は、封着孔32の周囲を囲んだ溝部36を有する。溝部36は、金属外環33のリード34を封着した絶縁材35および封着孔32の個々の外周を一つ一つ囲むように設けられて設けられる。気密端子30は、電動圧縮機の気密容器に取付けられる際、溝部36が金属外環33の平面の一部を切り欠いて設けられており、気密端子を取付ける電気装置の取付け部に螺旋締結などの手段で固定したときに、金属外環33の平面に螺旋締結の歪みが生じても、封着孔32とリード34を封着した絶縁材35が、それぞれ溝部36に囲まれた内側に配置されているので、金属外環33の歪応力が溝部の底部を含む内壁面が撓むことで、金属外環33に生じた歪応力を弾性吸収して緩和することができる。このためリード34と金属外環33を気密封着した絶縁材35に、金属外環33に生じた歪応力が伝搬しないようになるので、絶縁材35の割れや破壊を防止することができる。
【0029】
本発明に係る実施例4の気密端子40は、
図4に示すように、螺旋止めのため設けた複数の通孔41および直線状に配置した複数の封着孔42を有するステンレス鋼の金属外環43と、金属外環43の封着孔42に挿通した複数のFe-Cr鉄基合金製リード44と、金属外環43と各リード44とを封着したソーダバリウムガラスの絶縁材45とを備え、金属外環43は、封着孔42の周囲を囲んだ溝部46を有する。溝部46は、金属外環43のリード44を封着した絶縁材45および封着孔42の外周を一括して囲むように設けられる。気密端子40は、電動圧縮機の気密容器に取付けられる際、溝部46が金属外環43の平面の一部を切り欠いて設けられており、気密端子を取付ける電気装置の取付け部に螺旋締結などの手段で固定したときに、金属外環43の平面に螺旋締結の歪みが生じても、封着孔42とリード44を封着した全ての絶縁材45は、溝部46に囲まれた内側に配置されるので、金属外環43の歪応力が溝部46の内壁面の撓みにより弾性吸収されて緩和され、リードと金属外環43を気密封着した絶縁材45に伝搬しないようになる。
【0030】
本発明に係る実施例5の気密端子50は、
図5に示すように、天板部53aと、この天板部53aの外周端から下方に向かって延びる筒状部53bと、この筒状部53bの下端から斜め外方に広がったフランジ部53cと、前記天板部53aからカップの内方側に向かって延びるFe-Cr鉄基合金製リードの封着孔52を形成する3個の小筒状部53dとを一体に有するカップ状の鋼製金属外環53を用い、この円形金属外環53の前記各リードの封着孔52にそれぞれソーダバリウムガラスの絶縁材55を介して封着されたリード54とを備え、前記筒状部53bの高さL1を7ないし15mm、フランジ部53cの底面から天板部53aの外端までの全高L2を10ないし18mmにしている。筒状部53bの高さを、従来よりも高くすることで、コンプレッサのケースから、ガラス端子の封着部を遠ざけて取り付けることができ、気密容器の変形による応力がガラスの絶縁材55に伝搬しないように金属外環53で歪みを吸収する。
【0031】
本発明に係る実施例6の気密端子60は、
図6に示すように、螺旋止めのため設けた複数の通孔61および直線状に配置した複数の封着孔62を有するステンレス鋼の金属外環63と、金属外環63の封着孔62に挿通した複数のFe-Cr鉄基合金製リード64と、金属外環63と各リード64とを封着したソーダバリウムガラスの絶縁材65とを備え、金属外環63は、封着孔62の周囲を囲む金属外環63の外周の一部または全部に枠状または梁状の延伸部67を有する。延伸部67は、金属外環63のリード64を封着した絶縁材65および封着孔62の外周部分に枠状に設けられる。気密端子60は、電動圧縮機の気密容器に取付けられる際、延伸部67が金属外環63の平面方向の変形に抗力し強化する。気密端子を取付ける電気装置の取付け部に螺旋締結などの手段で固定したときに、金属外環63の平面に螺旋締結の歪みが生じても、延伸部67の内側にリード64と絶縁材65が配置されてるので歪みがこれに伝搬しないようになる。
【0032】
本発明に係る実施例7の気密端子70は、
図7に示すように、螺旋止めのため設けた複数の通孔71および直線状に配置した複数の封着孔72を有するステンレス鋼の金属外環73と、金属外環73の封着孔72に挿通した複数のFe-Cr鉄基合金製リード74と、金属外環73と各リード74とを封着したソーダバリウムガラスの絶縁材75とを備え、金属外環73は、封着孔72の周囲を囲んだキャビティ73a、段差部73bおよび金属外環73の外周の一部または全部に枠状または梁状の延伸部77を有する。キャビティ76は、金属外環73のリード74を封着した絶縁材75および封着孔72の外周を囲むように設けられる。気密端子70は、電動圧縮機の気密容器に取付けられる際、キャビティ76および延伸部77が金属外環73に設けられており、気密端子を取付ける電気装置の取付け部に螺旋締結などの手段で固定したときに、金属外環73の平面に螺旋締結の歪みが生じても、封着孔72とリード74を封着した全ての絶縁材75は、キャビティ76に囲まれた内側に配置され、かつこれが延伸部77で強化さるので、金属外環73の歪応力によりキャビティ76が過度に変形されて効力を失うこと無く、キャビティ76の内壁面の撓みにより弾性吸収されて緩和され、リード74と金属外環73とを気密封着している絶縁材75に伝搬しないようになる。
【0033】
本発明に係る気密端子は、リードを金属外環にガラス封着させた後、さらに金属表面に所望のめっき被覆を施すことができる。また、上記金属外環は、金属材であれば何れの材料を用いてもよい。さらに上記リードは、導電性の金属材であれば何れの材料を用いてもよい、例えばFe-Cr合金に限らず、適宜、Fe-Ni合金、炭素鋼、銅合金、アルミニウム合金等に変更してもよい。同様に上記絶縁材は、リードと金属外環とを電気絶縁および気密封着できればよく、ソーダバリウムガラスに限らず任意のガラス材を用いることができる。本発明の絶縁材は、必要ならば絶縁材の一部を互いに異なるガラス材で形成してもよく、さらに必要ならばガラス材の一部または全部をエポキシ樹脂等の樹脂材に替えてもよい。また、絶縁材のガラスの一部をガラス以外のシリコンゴム、耐冷媒ゴムなどの弾性体からなる成型物と組み合わせた複合材としてもよい、例えば、封着孔内の略中央部ないし開口端部に届かない程度の途中までをガラス封着させ、少なくとも封着孔の開口端部まで残りの封着孔内にシリコンゴムまたは耐冷媒ゴムの弾性体を充填したものを利用してもよい。
【0034】
上記実施例の気密端子は、何れも気密容器を構成する。この気密容器は、少なくとも電動圧縮機等の電気装置を内蔵する容器本体と、該容器本体の外壁面に設けられた開口部に挿着され、これを気密に閉口するとともに前記電気装置に電気接続して外部から電源供給する気密端子とを備え、前記気密端子は、螺旋止めのため設けた通孔および封着孔を有し、さらに封着孔の周囲にキャビティを有する段差部または溝部を設けた金属外環と、この金属外環の封着孔に挿通したリードと、金属外環とリードとを封着した絶縁材とを有する。気密容器は、電動圧縮機等の電気装置を内蔵する容器本体の外壁面に設けられた開口部を気密端子で覆って螺旋で締結または抵抗溶接することにより、金属外環と容器本体の開口部との隙間を塞いで気密シールして、容器本体内の電気装置に電源供給しながら容器本体の気密性を確保する。これにより、気密端子を電気装置の開口部に螺旋締結または抵抗溶接などの手段で固定したときに、金属外環53の平面に螺旋締結または抵抗溶接の歪みが生じても、気密端子の封着孔とリードとを封着する絶縁材は、キャビティおよび段差部または溝部に囲まれた内側に配置され、金属外環の歪応力がキャビティおよび段差部または溝部の撓みで弾性吸収されて緩和されるので、気密容器の機械的強度を増し、電気装置の頑健性を向上させることができる。気密端子は、気密容器の内側リードを内蔵電気装置に電気接続させた後、気密容器の開口部に挿着され、螺旋で締結するだけで、簡便かつ迅速に気密端子を気密容器への取付けを完了できる。
【0035】
実施例5の気密端子50を適用した気密容器がある。即ち少なくとも電動圧縮機等の電気装置を内蔵する容器本体と、該容器本体の外壁面に設けられた開口部に挿着され、これを気密に閉口するとともに前記電気装置に電気接続して外部から電源供給する気密端子とを備え、前記気密端子は、天板部と、この天板部の外周端から下方に向かって延びる筒状部と、この筒状部の下端から斜め外方に広がったフランジ部と、前記天板部からカップの内方側に向かって延びるリードの封着孔を形成する小筒状部とを一体に具備するカップ状の金属外環を用い、この金属外環の前記リードの前記封着孔に絶縁材を介して封着した前記リードを有し、前記筒状部の高さL1は、フランジ部の底面から天板部まで金属外環全高L2を1にしたとき、0.7以上0.9以下とするとよく、より望ましくは0.7以上0.8以下の範囲とした気密容器である。前記気密端子はコンプレッサの気密容器に螺旋締結または抵抗溶接で取り付けられて使用されるが、気密容器の変形による応力が絶縁材に伝搬しないように金属外環で歪みを吸収して、絶縁材にひびや欠けなどの不具合が生じ難くする。前記キャビティの高さL1の比が0.7未満の場合は、コンプレッサのケースからの距離が近いため、気密容器の変形応力の影響を受けてしまう。前記キャビティの高さの比L1が0.9を超える場合は、フランジ部の厚さが薄くなり溶接や螺旋締結に充分に耐えられない場合がある。また、金属外環の外側突出量が過大になり突出部が邪魔になってしまったり、キャビティ内側のリードが必要以上に長尺となったりする無駄が生じることがある。
【0036】
また、実施例6の気密端子60を適用した気密容器がある。即ち少なくとも電動圧縮機等の電気装置を内蔵する容器本体と、該容器本体の外壁面に設けられた開口部に挿着され、これを気密に閉口するとともに前記電気装置に電気接続して外部から電源供給する気密端子とを備え、前記気密端子は、通孔および封着孔を有する金属外環と、前記金属外環の前記封着孔に挿通したリードと、前記金属外環と前記リードとを封着した絶縁材とを備え、前記金属外環は、前記封着孔の周囲を囲む前記金属外環の外周の一部または全部に延伸部を有する気密容器である。
【0037】
前記実施例6の気密端子60を適用した気密容器の金属外環は、さらに
図7に示す前記封着孔の周囲を囲んだキャビティ73a、段差部73b(もしくは
図2に示すキャビティ23a、段差部23b)または
図3に示す溝部36(もしくは
図4に示す溝部46)を設けた気密容器としても良い。
【0038】
前記気密容器のキャビティの高さL1の比は、フランジ部の底面からキャビティの外端面までの金属外環の全高L2を1にしたとき、0.7以上0.9以下とするとよく、より望ましくは0.7以上0.8以下の範囲にするとよい。キャビティの高さL1の比を、上記とすることで、コンプレッサのケースからの変形応力の影響を受けないようにする。
【0039】
前記気密容器のキャビティは、キャビティ自身にガスケットの位置決めガイドを兼ねさせることができる。
気密端子10、通孔11、封着孔12、金属外環13、キャビティ13a、段差部13b、フランジ部13c、リード14、絶縁材15、気密端子20、通孔21、封着孔22、金属外環23、キャビティ23a、段差部23b、フランジ部23c、リード24、絶縁材25、気密端子30、通孔31、封着孔32、金属外環33、リード34、絶縁材35、溝部36、気密端子40、通孔41、封着孔42、金属外環43、リード44、絶縁材45、溝部46、気密端子50、封着孔52、金属外環53、天板部53a、筒状部53b、フランジ部53c、小筒状部53d、リード54、絶縁材55、気密端子60、通孔61、封着孔62、金属外環63、キャビティ73a、段差部73b、フランジ部73c、リード64、絶縁材65、延伸部67、気密端子70、通孔71、封着孔72、金属外環73、リード74、絶縁材75、延伸部77、気密端子80、金属外環83、キャビティ83a、リード84、絶縁材85、ガスケット88、気密容器89。