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特開2022-141784医療用チューブに関連する装置及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022141784
(43)【公開日】2022-09-29
(54)【発明の名称】医療用チューブに関連する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 90/70 20160101AFI20220921BHJP
   A61M 5/00 20060101ALI20220921BHJP
   A61M 25/09 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
A61B90/70
A61M5/00 500
A61M25/09 530
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112775
(22)【出願日】2022-07-13
(62)【分割の表示】P 2019544034の分割
【原出願日】2018-02-12
(31)【優先権主張番号】62/460,070
(32)【優先日】2017-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516245863
【氏名又は名称】クリアフロー, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CLEARFLOW, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100122471
【弁理士】
【氏名又は名称】籾井 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ボイル, エドワード, エム., ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】モロイ, ポール
(72)【発明者】
【氏名】ノダ, ウェイン, エー.
(72)【発明者】
【氏名】シュナン, ケネス, ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】ディアズ, アル
(72)【発明者】
【氏名】ハイマン, ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ヤコブソン, ジョン, ディー.
(57)【要約】      (修正有)
【課題】医療用チューブから閉塞物を除去する装置及び方法を提供する。例示的な一実施形態において、医療用チューブ内のガイドワイヤを駆動するスプール駆動システムが開示される。
【解決手段】スプール駆動システムは、スプールハウジングの入口を通してガイドワイヤを交互に前進及び後退させるために、内部にスプールを備えるスプールハウジングを備える手持ち式の使い捨て装置とすることができる。トラックは、スプールの周縁部から離間してスプールの周縁部の周りに延在し、スプールが回転する際にスプールをガイドワイヤに巻き取るか又はガイドワイヤから繰り出すことができる。ガイドワイヤを駆動する他の実施形態及び装置、並びにそのための方法も開示される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用チューブ内のデブリを清掃する駆動システムであって、
内部を画定し、前記医療用チューブと前記内部との間の流体連通を確立するように適合された入口を有するハウジングと、
少なくとも一部が前記内部にある細長いガイドワイヤと、
前記ガイドワイヤと摩擦係合するように前記内部に配置され、軸について回転するように構成されるローラーと、
前記ガイドワイヤを、前記ローラーとの前記摩擦係合により、前記入口を通して前進または後退させるために前記ローラーを駆動するように動作可能なモーターと、を備えている、駆動システム。
【請求項2】
前記ローラーは、対向面から離間し、
前記ガイドワイヤは、前記ローラーと前記対向面との間の空間を通過し、
前記ガイドワイヤは、前記入口を通して前進または後退するときに、当接面と前記ローラーとの両方に係合する、請求項1に記載の駆動システム。
【請求項3】
前記内部に少なくとも部分的に配置されるガイドワイヤチューブを、さらに備え、
前記ガイドワイヤは、前記ガイドワイヤチューブ内に少なくとも部分的に受け入れられ、前記ガイドワイヤチューブ内を並進可能である、請求項1に記載の駆動システム。
【請求項4】
前記ガイドワイヤチューブの一端は、前記ハウジングの前記入口を画定する、請求項3に記載の駆動システム。
【請求項5】
前記ローラーは、前記ガイドワイヤチューブにおける切欠きを介して受け入れられ、前記ガイドワイヤチューブの内壁面に対向し、
前記ガイドワイヤは、前記ローラーと前記内壁面との間を通過する、請求項3に記載の駆動システム。
【請求項6】
前記ガイドワイヤチューブは、直線状構成を有する、請求項3に記載の駆動システム。
【請求項7】
前記ガイドワイヤチューブは、第1部分および第2部分を有し、前記第1部分は、前記内部の外側に延び、前記第2部分は、前記内部の全体に配置される、請求項3に記載の駆動システム。
【請求項8】
前記第1部分は直線状に延びており、前記第2部分はコイル状であり、前記細長いガイドワイヤは、前記ハウジングの前記内部に後退するときに、コイル状構成で前記ガイドワイヤチューブに収容される、請求項7に記載の駆動システム。
【請求項9】
前記ガイドワイヤチューブの前記第2部分は、前記ハウジングと一体である、請求項7に記載の駆動システム。
【請求項10】
前記モーターを前記ローラーに動作可能に連結するギア式伝動装置をさらに備える、請求項1に記載の駆動システム。
【請求項11】
前記モーターに電気エネルギーを供給する、前記ハウジング内にシールされたバッテリーをさらに備える、請求項1に記載の駆動システム。
【請求項12】
前記ハウジングは、使い捨て可能に構成される手持ち式アセンブリである、請求項11に記載の駆動システム。
【請求項13】
前記ハウジング内に、前記モーターに動作的に接続されたコントローラーをさらに備え、前記コントローラーは、前記ガイドワイヤを前進または後退させるために前記モーターを動作させるように構成される、請求項1に記載の駆動システム。
【請求項14】
前記コントローラーは、特定のプログラムに従って、および/または、前記コントローラーに通信される検知されたパラメーターに応じて、前記モーターを選択的に動作させるように構成される、請求項13に記載の駆動システム。
【請求項15】
前記コントローラーは、制御システムに動作的に接続されるとともに、制御システムの一部を形成し、
前記制御システムは、1つ以上のパラメーターを検出して、検出された1つ以上のパラメーターを示す信号を前記コントローラーに送信するように構成された1つ以上のセンサーを備える、請求項13に記載の駆動システム。
【請求項16】
前記1つ以上のセンサーは、前記医療用チューブの又は前記医療用チューブにおける以下の条件のうちの1つ以上、すなわち、前記医療用チューブの向き;前記医療用チューブ内での清掃部材の位置;圧力レベル、pHレベル、グルコースレベル、タンパク質レベル、又は前記医療用チューブ内の物質の酸化還元状態;前記医療用チューブ内の詰まり;前記医療用チューブにおける捩れ;前記医療用チューブにおけるフィブリン凝塊分解副産物、エンドトキシン、細菌感染副産物、活性酸素、又はヘマトクリットの量を検出するように構成されている、請求項15に記載の駆動システム。
【請求項17】
前記1つ以上のセンサーは、前記医療用チューブによって治療を受ける患者の以下の条件のうちの1つ以上、すなわち、体温、心拍数及び周期、不整脈、呼吸数、炎症レベル、痛みレベル、若しくは酸素飽和レベル;患者の向き;患者の活動レベル;患者の咳嗽;1日あたりの患者の歩数;患者が行っている活動の種類;患者の居場所;又は患者が特定の場所に居た時間の長さを検出するように構成される、請求項15に記載の駆動システム。
【請求項18】
医療用チューブ内のガイドワイヤを駆動する方法であって、
請求項1の駆動システムを前記医療用チューブに接続し、前記医療用チューブと前記ハウジングの入口との間に流体連通をもたらすことと、前記入口及び前記医療用チューブを通して前記ガイドワイヤを前進および後退させるように前記ローラーを動作させることとを含む、方法。
【請求項19】
医療用チューブ内のデブリを清掃する駆動システムであって、該システムは、
滅菌された内部を画定し、前記医療用チューブと流体連通を確立するように適合された入口を有するハウジングと、
前記内部に少なくとも部分的に配置されたガイドワイヤチューブであって、ガイドワイヤチューブにおいて形成された切欠きを有するガイドワイヤチューブと、
前記ガイドワイヤチューブ内に配置され、前記ガイドワイヤチューブ内を並進可能である細長いガイドワイヤと、
前記内部に収容され、前記切欠きを介して前記ガイドワイヤチューブ内に部分的に受け入れられる周面を有するローラーであって、回転可能なローラーと、
前記内部に配置されるモーターであって、前記ガイドワイヤと前記ローラーの前記周面との係合を経て、前記ガイドワイヤを、前記入口を通して並進可能に前進および後退させるために前記ローラーを駆動するように動作可能なモーターと、を備えている、駆動システム。
【請求項20】
前記ガイドワイヤチューブは、第1部分および第2部分を有し、前記第1部分は、前記内部から、前記ハウジングの壁を通って、前記ハウジングの外側まで直線状に延び、前記入口は、前記ハウジングの前記壁の外側の前記ガイドワイヤチューブの端部によって形成され、前記第2部分は、コイル状であり、前記細長いガイドワイヤは、前記内部に後退するときに、コイル状構成で前記ガイドワイヤチューブ内に収容される、請求項19に記載の駆動システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2017年2月16日に提出された米国仮特許出願第62/460,070号の利益を主張する。この米国仮特許出願の内容は、引用することにより本明細書の一部をなす。
【背景技術】
【0002】
医療用チューブは、流体又は装置を体内に送達する、及び/又は、体液、分泌物及びデブリを体内の区画及び構造部から排出するのに用いることができる。例えば、医療用チューブは、種々の治療に際して、膀胱、結腸若しくは消化管の他の部分から、又は肺若しくは他の器官から流体を排出するのに用いることができる。別の例として、医療用チューブは、外科手術、感染症、又は外傷によって縦隔、心膜腔、胸膜腔、又は腹膜腔等の体腔内に通常蓄積する、血液及び他の流体を排出するのに用いることができる。更に別の例として、医療用チューブは、消化管内に栄養を与えるために流体を体内に送達するのに用いることができ、又は、流体、薬剤、若しくは装置の除去若しくは送達のために脈管系にアクセスを提供するのに用いることができる。通常、医療用チューブは、近位部分が患者の体外にあるままで、医療用チューブの遠位端部が物質の除去若しくは送達が望まれる空間内に又はその空間に隣接してもたらされるように患者の体内に挿入され、近位部分は、例えば吸引源に接続することができる。
【0003】
(特に血液、血小板、膿、又は他の粘性物質(thick substances)にさらされる場合)医療用チューブを通過する流体は、医療用チューブ内に、チューブ内の経路を部分的又は完全に閉塞するおそれがある凝塊又は他の閉塞物を形成する場合がある。医療用チューブの閉塞は、医療用チューブが配された本来の目的である、流体及び他の物質を除去又は送達する効力に影響を与え、最終的に、医療用チューブが部分的に又は完全に機能しなくなる可能性がある。いくつかの場合、機能していないチューブは、深刻な又は生命を脅かし得る結果をもたらすおそれがある。例えば、心臓又は肺の手術後に胸腔チューブ内に詰まりが存在する場合、適切なドレナージが行われず、心臓及び肺の周囲に流体(例えば、空気)の蓄積が生じることにより、心タンポナーデ及び気胸等の深刻で有害な事態を引き起こす可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】医療用チューブが患者に埋め込まれている流体システムの概略斜視図である。
図2】流体システムの一例のドレーンアセンブリの概略斜視図である。
図3】流体システムの一例の真空チューブの概略断面図及び概略斜視図である。
図4】流体システムの一例の弁アセンブリの概略斜視図である。
図5】流体システムの1つの例の清掃ワイヤアセンブリを伴う医療用チューブの部分図である。
図6】第2の例の清掃ワイヤアセンブリを伴う医療用チューブの概略斜視図である。
図7】第3の例の清掃ワイヤアセンブリの部分図である。
図8】第4の例の清掃ワイヤアセンブリを伴う医療用チューブの概略斜視図である。
図9】第5の例の清掃ワイヤアセンブリを伴う医療用チューブの概略斜視図である。
図10】第6の例の清掃ワイヤアセンブリの部分斜視図である。
図11A】第7の例の清掃ワイヤアセンブリを伴う医療用チューブの概略側面図及び概略断面図である。
図11B】第7の例の清掃ワイヤアセンブリの一部である一例のビードの側面図及び正面図である。
図11C】第7の例の清掃ワイヤアセンブリの一部である別の例のビードの側面図、上面図、及び正面図である。
図11D】第7の例の清掃ワイヤアセンブリの一部である更に別の例のビードの側面図、上面図、及び正面図である。
図11E】複数のビードを備える清掃ワイヤアセンブリの図である。
図11F】第7の例の清掃ワイヤアセンブリの一部である更にまた別の例のビードの側面図である。
図12A】球状の清掃部材を備える第8の例の清掃ワイヤアセンブリを伴う医療用チューブの概略斜視図である。
図12B】カップ形状の清掃部材を備える第8の例の清掃ワイヤアセンブリの概略斜視図である。
図13】第9の例の清掃ワイヤアセンブリの概略斜視図である。
図14】流体システムの清掃ワイヤアセンブリの1つの例の駆動システムの概略断面図である。
図15図14に示されている駆動システムの別の概略断面図である。
図16】送りねじ駆動機構を備える図14に示されている駆動システムの概略断面図である。
図17図14に示されている駆動システムを駆動するのに用いることができる一例のリニアアクチュエーターの図である。
図18】流体システムの清掃ワイヤアセンブリの第2の例の駆動システムの部分的に切り欠かれた概略斜視図である。
図19A】流体システムの清掃ワイヤアセンブリの第3の例の駆動システムの概略斜視図である。
図19B】第3の例の駆動システムの分解図である。
図19C】制御システム及びモーターハウジングが取り除かれた第3の例の駆動システムの概略斜視図である。
図19D】モーターハウジングが取り除かれた第3の例の駆動システムの概略斜視図である。
図19E】第3の例の駆動システムの変形形態の概略的な部分断面図である。
図20】第3の例の駆動システムの別の変形形態の概略的な部分断面図である。
図21】流体システムの清掃ワイヤアセンブリの第4の例の駆動システムの概略斜視図である。
図22A】流体システムの清掃ワイヤアセンブリの第5の例の駆動システムの分解図である。
図22B】第5の例の駆動システムの斜視図である。
図23】駆動システムの本体から分離された電源アセンブリを伴う駆動システムの概略斜視図である。
図24】駆動システムの較正を可能にするように構成された駆動システムを備える流体システムの概略側面図である。
図25】流体システムの医療用チューブを別の構造体と連結するのに用いることができる一例のY字形カップリングの断面図である。
図26】流体システムの医療用チューブを別の構造体と連結するのに用いることができる別の例のY字形カップリングの断面図である。
図27】流体システムの医療用チューブを別の構造体と連結するのに用いることができる別の例のY字形カップリングの断面図である。
図28】流体システムの一例の弾性部材を示す概略的な部分断面図である。
図29】流体システムの一例の円錐形座部を示す概略的な部分断面図である。
図30】記載の流体システムの別の実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
或る特定の技術用語は、本明細書において単に便宜上用いられており、本発明に対する限定とはみなされない。本明細書において用いられる相対的な用語は、図面を参照して最もよく理解され、図面において、類似の符号は類似又は同様の事物を特定するのに用いられる。さらに、図面において、或る特定の特徴は、概略的な形態で示されている場合がある。
【0006】
「近位(proximal)」及び「遠位(distal)」という用語は、本明細書において2つの特徴部を説明する際に用いられる場合、概してこれらの2つの特徴部のとる、患者に結び付けられる流体経路に沿った相対的な配置を示し、遠位の特徴部は、流体経路に沿って、近位の特徴部に比べて患者により近いということに留意されたい。例えば、患者から流体を抜き取る又は患者に流体を送達する医療用チューブに関して、医療用チューブの遠位端部又は遠位部分は、流体の流路に沿って、医療用チューブの近位端部又は近位部分に比べて患者により近い。別の例として、医療用チューブによって患者と排液部とを流体接続する流体システムにおいて、システムの流路に沿って医療用チューブよりも排液部の方が患者から遠いため、排液部は、医療用チューブに対して近位にあることになる。反対に、システムの流路に沿って排液部よりも医療用チューブの方が患者に近いため、医療用チューブは排液部に対して遠位にあることになる。
【0007】
「物質(material)」という用語は、本明細書において用いられる場合、血液若しくは他の体液、薬物、食物、デブリ、凝塊物質(血栓等)、空気、又は他の任意の流体、固体、若しくは半固体(膿を含む)を指すことができることに留意されたい。
【0008】
「連結される(coupled)」という用語は、本明細書において2つ以上の特徴部を説明する際に用いられる場合、これらの特徴部が互いに固定的に又は可動に接続されることを意味する。これらの特徴部は、同じ構成要素の一体部分とすることができ、又は、これらの特徴部は、例えば、締結具、接着剤、オーバーモールド成形、フック、ねじカップリング、スナップ留め接続、溶接、はんだ付け、結束、圧着、磁気カップリング、圧入、返し(barbed)接続等の構造若しくは方法を用いて、直接若しくは間接的に接続される別個の構成要素とすることができる。「流体連結される(fluidly coupled)」という用語は、本明細書において2つ以上の特徴部を説明する際に用いられる場合、2つの特徴部間に直接又はいくつかの中間構造を通して流体連通がもたらされるように、これらの特徴部が連結されることを意味する。このような中間構造は、例えば、ホース、チューブ、ホースバーブ継手(hose barbs:タケノコ継手)、ねじコネクタ、圧縮継手等とすることができる。
【0009】
ここで、実施形態例が示されている添付図面を参照して、以下により完全に例を記載する。
【0010】
図1は、患者の体内に位置する遠位端部102と、患者の体外に位置する近位端部104とを有する医療用チューブ100を備える、流体システム10の概略図を示している。医療用チューブ100は、米国特許出願公開第2015/0231361号に開示されている医療用チューブに対応することができ、この米国特許出願公開の内容は、引用することによってその全体が本明細書の一部をなす。
【0011】
医療用チューブ100は、通路106を画定する管状部材であり、通路106は、医療用チューブ100を通して遠位端部102から近位端部104まで延在するとともに、医療用チューブ100を通した流体連通をもたらす。医療用チューブ100は、例えば、シリコーン又は他の何らかの弾性ポリマー等の弾性を有する材料、例えば、種々の熱可塑性物質のうちの1つを含むことが好ましい。弾性チューブは、流体継手に連結されると流体継手を覆って収縮する傾向があるため、弾性材料を用いることで、医療用チューブ100とバーブ継手等の流体継手との間の流体密封シールを助長するのに役立つことができる。また、可撓性の弾性チューブ100は、ポリプロピレン又はポリエチレン等のより硬質の材料製のチューブに比べて、患者の不快感を低減することができる。ただし、所望であれば、これらの材料及び他の硬質材料を用いてもよい。また、可撓性の弾性チューブ100は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、金属等のより硬質の材料製のチューブに比べて、患者の不快感及び傷害の可能性を低減することができる。ただし、所望であれば、これらの材料及び他の硬質材料を用いてもよい。また、いくつかの例において、医療用チューブ100は、例えば、熱可塑性物質及び金属等の2つ以上の材料による複合材を含むことができる。医療用チューブ100は、透き通った(すなわち、透明又は実質的に透明である)材料から作製され、したがって、操作者が、内部のいかなる凝塊物質又は他のデブリも可視化し、またその除去も可視化することができることが好ましい。
【0012】
医療用チューブ100は、医療用チューブ100の通路106を通して、物質(例えば、薬物、栄養、器具等)を患者の体に送達する、及び/又は、物質(例えば、血液、凝塊、他の体液等)を患者の体から除去するのに用いることができる。この例では、医療用チューブ100は、患者の胸腔内に挿入され、患者の胸腔から流体を排出するのに用いられるため、胸腔チューブと呼ばれる。一方、他の例における医療用チューブ100は、例えば、カテーテル、(胸腔以外の)他の穴(orifices)から流体を排出する外科用ドレーンチューブ、気管内チューブ、栄養チューブ、胃チューブ、脈管アクセスチューブ、腹腔チューブ、消化管に対して物質を出し入れするためのチューブ等として用いることができることを理解されたい。
【0013】
いくつかの例において、流体システム10は、患者の体から及び/又は医療用チューブ100内の物質(例えば、体液、デブリ、凝塊等)を収集するように構成されたドレーンアセンブリ200を備えることができる。ドレーンアセンブリ200は、医療用チューブ100の近位端部104に流体連結されたレセプタクル202を備え、抜き取られた物質を収納及び収集することができる。レセプタクル202は、医療用チューブ100に流体連結され、医療用チューブ100とレセプタクル202との間の流体連通の閉鎖経路を形成することが好ましい。「流体連通の閉鎖経路(closed path of fluid communication)」という用語は、本明細書において2つの特徴部間の流体連通を説明する際に用いられる場合、流体経路にわたって外部環境への曝露が制限され、それにより、流体経路内に存在し得る滅菌野が保護される、2つの特徴部間の流体経路を説明することを意味する。例えば、2つの特徴部間の流体経路は、2つの端部において2つの特徴部に連結されるチューブによって画定することができ、その長さにわたって直接又は間接的に外部環境に曝露される開口を有しない。いくつかの例において、外部環境への曝露は、流体経路にわたって、例えば、弁又はフィルターを用いて制限することができる。また、いくつかの例において、流体経路は、外部環境に対して圧力を維持する。
【0014】
ドレーンアセンブリ200は、医療用チューブ100に対して真空引きを行う真空源に接続することができるか、又はそれ自体で真空を発生させるように構成することができる。この真空が印加されると、体腔及び/又は医療用チューブ100から物質が抜き取られ、レセプタクル202内に入る。医療用チューブ100内に発生する真空は、体内の正常な生理学的負圧を維持するのに役立つことができる。また、発生する真空は、一貫的又は間欠的であり得る。さらに、真空源、例えばドレーンアセンブリ200は、操作者による手動で又は自動的に、1つ以上の条件に応じて真空を発生させるように動作することができる。
【0015】
図2を参照すると、1つの例のドレーンアセンブリ200が示されている。ドレーンアセンブリ200は、入口208及び出口210を有するレセプタクル202を備え、入口208は、医療用チューブ100の近位端部104に流体連結され、入口208と医療用チューブ100との間に流体連通の閉鎖経路を形成する。入口208は、逆止弁を備えることができ、それにより、物質(例えば、血液、凝塊等)を医療用チューブ100からレセプタクル202内に抜き取ることを可能にする一方で、流体(例えば、空気)及び他の物質が入口208を通ってレセプタクル202から出ることを阻止する。また、出口210は、内部に逆止弁を備えることができ、それにより、物質(例えば、空気、血液等)が出口210を通ってレセプタクル202から出ることを可能にする一方で、流体(例えば、空気)及び他の物質が出口210を通ってレセプタクルに入ることを阻止する。レセプタクル202は、レセプタクル202内の容積を低減するとともに、流体(例えば、空気、血液)を、出口210を通してレセプタクル202から出すように押し潰すことができる(collapsible)。その後、レセプタクル202は拡張し、内部容積を増大させることにより、真空を発生させることができ、この真空により、物質が医療用チューブ100から入口208を通してレセプタクル202内に抜き取られる。
【0016】
図2におけるドレーンアセンブリ200は、レセプタクル202を拡縮させるように動作可能な1つ以上のアクチュエーター214を更に備える。図示の例におけるアクチュエーター214は、レセプタクル202を拡縮させるように前進及び後退することができるリニアアクチュエーターである。しかし、他の例におけるアクチュエーター214は、レセプタクル202を拡縮させるように動作可能なばね等の他の手段を含むことができる。
【0017】
いくつかの例において、流体システム10は、制御システム300を備え、制御システム300は、例えば、上述したドレーンアセンブリ200及び/又は更に後述する態様のうちの任意のもの等の流体システム10の1つ以上の態様を自動的に操作するように構成することができる。制御システム300は、コントローラー302及び制御インターフェース304(例えば、ボタン(複数の場合もある)、スイッチ(複数の場合もある)、タッチスクリーン等)を備え、それにより、使用者が制御システム300を選択的に制御(例えば、プログラム、操作等)することを可能にすることができる。また、制御システム300は、コントローラー302に動作的に接続されるとともに、特定のパラメーターを検出し、検出されたパラメーターを示す信号をコントローラー302に送信するように構成された1つ以上のセンサー306を備えることができる。各センサー306は、医療用チューブ100内又は流体システム10の他の何らかの部分内に位置することができる。また、各センサー306によって検出されたパラメーターは、例えば、医療用チューブ100の向き(例えば、傾斜);医療用チューブ100内における清掃部材若しくは他の何らかの構造の位置;圧力レベル、pHレベル、グルコースレベル、タンパク質レベル、若しくは医療用チューブ100内における物質(例えば、体液)の酸化還元状態;医療用チューブ100内の詰まり;医療用チューブ100における捩れ;医療用チューブ100内におけるフィブリン凝塊分解副産物、エンドトキシン、細菌感染副産物、活性酸素、若しくはヘマトクリットの量;患者の体温、心拍数及び周期、不整脈、呼吸数、炎症レベル、痛みレベル、若しくは酸素飽和レベル;ベッドにおける患者の向き;患者の活動レベル;患者の咳嗽;1日あたりの患者の歩数;患者が行っている活動の種類(例えば、階段昇降);患者の居場所;患者が特定の場所(例えば、OR、ICU、病棟、リハビリ施設、自宅等)に居た時間の長さ;ドレナージパラメーター(例えば、空気の欠乏、1時間あたりの最小流体量等);又はそれらの任意の組合せとすることができる。1つの実施形態において、1つ以上のセンサー306は、患者の居場所(例えば、OR、ICU、ステップダウン病棟、リハビリ病棟、自宅、ER内等)を追跡することができるように、GPSトラッカーを備えることができる。
【0018】
制御システム300のコントローラー302は、ネットワークシステムと動作的に通信し、ネットワークを介して、コントローラー302により収集又は生成されたデータを、例えば、患者又は患者につながっている流体システム10に関するデータを監視及び収集するのに用いられるシステム(例えば、臨床医の電話)に対して送信することができる。例えば、制御システム300は、センサー306によって検出されたパラメーターのうちの1つ以上に対応するデータを送信することができる。別の例として、コントローラー302は、センサー306のうちの1つ以上からデータを収集し、次いで、収集されたデータに基づく出力を生成するアルゴリズムを実行し、その後、ネットワークを介してこのデータを送信することができる。例えば、1つの例において、コントローラー302は、センサー306によって検出されたパラメーターのうちの1つ以上に基づいて患者の回復の見込みを求めるアルゴリズムを実行することができる。その後、この回復見込みの出力は、ネットワークを介して監視システム(例えば、臨床医の電話)に送信することができる。ネットワークは、2つ以上のデバイスが有線接続又は無線接続(例えば、Bluetooth(登録商標)又はWi-Fiを介する)し、データを1つのデバイスから別のデバイスに転送することができるような任意のシステムとすることができる。例えば、ネットワークは、インターネットを介して2つ以上のデバイス間でデータ(例えば、検出されたパラメーター(複数の場合もある))を共有するクラウドシステムとすることができる。
【0019】
いくつかの例において、コントローラー302は、センサー(複数の場合もある)306によって検出されたパラメーター(複数の場合もある)に応じて1つ以上のアラーム310を起動するように構成することができる。各アラーム310は、光、音声、電子メッセージ(例えば、テキスト又は電子メール)、又はそれらの任意の組合せとすることができる。例えば、1つの例において、コントローラー302は、患者の回復見込みに基づいて緑色、黄色、又は赤色の光を起動することができる。別の例として、コントローラー302は、患者が動く(例えば、歩行又は起床する)必要がある場合にそれを示すアラームを起動することができる。別の例において、コントローラー302は、システムのステータス(例えば、医療用チューブ100内の圧力;医療用チューブ100における捩れ;1つ以上のアクチュエーター、モーター、又はシステムの他のデバイスのオン/オフモード等)に基づいてアラーム310を起動することができる。
【0020】
図2に示されているように、制御システム300のコントローラー302は、ドレーンアセンブリ200のアクチュエーター(複数の場合もある)214に動作的に連結し、センサー(複数の場合もある)306によって検出されたパラメーター(複数の場合もある)のうちの1つ以上に応じて、アクチュエーター(複数の場合もある)214を自動的に動作させるように構成することができる。特に、コントローラー302は、アクチュエーター214を自動的に動作させ、検出されたパラメーター(複数の場合もある)に応じて医療用チューブ100内に真空を発生させるか又は真空状態を終了させるように構成することができる。発生する真空は、一貫的、間欠的、及び/又は圧力可変とすることができる。
【0021】
図3を参照すると、いくつかの例におけるドレーンアセンブリ200は、医療用チューブ100の近位端部を通して医療用チューブ100内に少なくとも部分的に挿入される真空チューブ240を備えることができる。真空チューブ240の遠位端部242は、医療用チューブ100内の物質を受け取る/抜き取る入口244を備えることができる。その一方で、真空チューブ240の近位端部は、例えば、図2に示すとともに上述した拡縮可能なレセプタクル202等の真空源に流体連結することができる。真空チューブ240は、医療用チューブ100内で可動であり、それにより、真空チューブ240の入口244を、医療用チューブ100の遠位端部102に向かって前進及び医療用チューブ100の近位端部104に向かって後退させて、医療用チューブ100の通路106に沿って真空チューブの入口244の位置を調整することができる。入口244の位置の調整は、ドレーンアセンブリ200によって抜き取られる流体又は他の物質が、医療用チューブ100の特定の領域(例えば、医療用チューブ100のU字状折曲げ部)に限定される場合に特に有利であり得る。
【0022】
真空チューブ240の位置を調整するために、ドレーンアセンブリ200は、遠位端部248及び近位端部250を有する伸縮可能なシース246を備えるか又は伸縮可能なシース246の形態のドレーンチューブを備えることができる。シース246の遠位端部248は、医療用チューブ100の近位端部104に固定又は流体接続することができ、真空チューブ240は、シース246を通して医療用チューブ100内に延在することができる。真空チューブ240は、シース246の近位端部250に対して固定することができ、シース246が収縮され、近位端部250がシース246の遠位端部248に向かって動くと、真空チューブ240及び入口244が、医療用チューブ100を通して医療用チューブ100の遠位端部102に向かって前進するようになっている。反対に、シース246が伸長すると、近位端部250はシース246の遠位端部248から離れ、真空チューブ240及びその入口244は、医療用チューブ100の遠位端部102から後退し、引き抜かれる。
【0023】
上述したシース246は、手動で、又は例えば、上述した制御システム300等の制御システムを用いて自動的に伸長及び/又は収縮させることができる。特に、制御システム300のコントローラー302は、アクチュエーター(例えば、リニアアクチュエーター)に動作的に連結することができ、このアクチュエーターは、制御システム300のセンサー(複数の場合もある)306によって検出されたパラメーター(複数の場合もある)に応じて、シース246を伸長及び/又は収縮させるように選択的に動作することができる。
【0024】
流体又は他の物質が医療用チューブ100内に留まるか又は医療用チューブ100を通して移送される場合、何らかの物質(例えば、デブリ、凝塊等)が、医療用チューブ100内に蓄積し、それにより、医療用チューブ100を通した物質及び/又は真空の移送を妨げる場合がある。上述した真空は、この蓄積した物質を、更なる介入による補助を受けずに、医療用チューブ100を通してレセプタクル202内に抜き取るのに十分であることもあり得る。しかし、いくつかの例において、蓄積した物質を撹乱(例えば、収集、除去、移動、分解、貫通等)して、医療用チューブ100から閉塞物を取り除くのに役立つことができる更なる介入手段(複数の場合もある)を有することが有用であり得る。
【0025】
例えば、図4を参照すると、いくつかの例におけるドレーンアセンブリ200は、医療用チューブ100内に蓄積した物質の除去を円滑に行うために、医療用チューブ100内に真空を周期的に発生させる(pulsate)ように構成された1つ以上の弁254を備えることができる。各弁254は、例えば、医療用チューブ100内、レセプタクル202の入口208内、又は医療用チューブ100と真空源(例えばレセプタクル202)との間で連通する流体経路に沿った他のいずれの場所にも位置することができる。各弁254は、手動又は自動で選択的に開閉させ、医療用チューブ100と真空源との間の流体連通を開閉し、それにより、医療用チューブ100内に真空を周期的に発生させることができる。例えば、いくつかの例において、各弁254は、上述した制御システム300のコントローラー302に動作的に連結することができ、コントローラー302は、弁254を自動的に開閉して、制御システム300のセンサー(複数の場合もある)306によって検出された1つ以上のパラメーター(例えば、チューブの詰まり)に応じて、真空を周期的に発生させることができる。医療用チューブ100内の真空を周期的に発生させることで、医療用チューブ100内に乱流を発生させるのに役立つことができ、医療用チューブ100の通路106内に蓄積した物質を撹乱し、それにより、蓄積した物質の除去を容易にすることができる。
【0026】
図1に戻ると、いくつかの例において、流体システム10は、清掃ワイヤアセンブリ400を備えることができ、清掃ワイヤアセンブリ400は、医療用チューブ100の通路106内で駆動(例えば、並進、回転、振動、揺動等)することで、通路106内に蓄積した物質を撹乱するとともに、医療用チューブ100から閉塞物を取り除くのに役立つことができる。清掃ワイヤアセンブリ400は、細長いガイドワイヤ402を備え、またいくつかの例では、ガイドワイヤ402に連結された1つ以上の清掃部材を備えることができ、これにより、通路106内に蓄積した物質を撹乱するのを促進することができる。ガイドワイヤ402は、十分な可撓性を有する材料を含み、それにより、医療用チューブ100内のワイヤアセンブリ400の並進(例えば、挿入)時に、医療用チューブ100の折曲げ部を通り抜ける(negotiate)ことができることが好ましい。加えて、ガイドワイヤ402は、十分に剛性又は硬質の材料を含み、それにより、ガイドワイヤ402及びガイドワイヤ402に連結された任意の清掃部材は、ワイヤ402が捩れたり折り返ったりしないようにして、蓄積した物質を撹乱する(例えば、移動させる)ことができることが好ましい。例えば、ガイドワイヤ402は、ニッケルチタン合金(例えば、ニチノール)、ステンレス鋼、チタン、形状記憶合金、超合金、コバルトクロム合金(例えば、elgiloy(商標))、及び/又は他の合金を含むことができる。いくつかの例において、ガイドワイヤ402は、PEEK、ポリイミド、又は他のポリマー等の1つ以上のポリマーを含むことができる。ガイドワイヤ402は、例えば、1つ以上の合金及び1つ以上のポリマー等の2つ以上の物質による組合せ/複合材を含むことができる。また、ガイドワイヤ402に連結された任意の清掃部材は、同様の材料(複数の場合もある)を含むことができ、またいくつかの例では、ガイドワイヤ402自体によって形成することができる。
【0027】
ここで図5図14を参照して、以下、清掃ワイヤアセンブリ400の種々の実施形態が記載される。
【0028】
清掃ワイヤアセンブリ400の1つの実施形態が図5に示されている。ここでは、ガイドワイヤ402は、通路106を長手方向に貫通する平坦なリボンの形態であり、医療用チューブ100の軸Xの周りに螺旋を描くように巻き付けられている。この実施形態における清掃ワイヤアセンブリ400は、更なる清掃部材を備えなくてもよく(清掃ワイヤ自体が清掃部材として機能し得る)、例えば、清掃ワイヤアセンブリ400の軸X周りの回転によって、通路106内を移動し、清掃ワイヤアセンブリ400を医療用チューブ100の遠位端部102に向かって前進させ、及び/又は清掃ワイヤアセンブリ400を医療用チューブ100の近位端部104に向かって後退させることができる。
【0029】
清掃ワイヤアセンブリ400の別の実施形態が図6に示されている。ここでは、ガイドワイヤ402は、軸Xに沿って見た場合、円形の螺旋形態を有し、医療用チューブ100の軸Xの周りに螺旋を描いている。しかし、他の例において、他の断面及び構成も可能である。この実施形態における清掃ワイヤアセンブリ400は、遠位端部にフック408を備えることができ、このフック408は、医療用チューブ100の遠位端部102に引っ掛かる。医療用チューブ100の遠位端部102及びフック408を覆うことで、身体構造又は身体組織から干渉を受けずに、遠位端部102の周りでのフック408の自由な動きを可能にするキャップ(明確さのために図示せず)が設けられる場合がある。その一方で、清掃ワイヤアセンブリの近位端部は、医療用チューブ100の近位端部104又はフック408の近位にある流体システム10の他の何らかの部分に連結することができる。清掃ワイヤアセンブリ400は、例えば、清掃ワイヤアセンブリ400を軸X周りに、同じ方向に又は交互方向に(in an oscillating manner)、連続的又は間欠的に回転させることによって、通路106内で駆動することができる。清掃ワイヤアセンブリ400が回転する際、フック408は、清掃ワイヤアセンブリ400の遠位端部が結合されずに、清掃ワイヤアセンブリ400の残りの部分とともに自由に動くように、医療用チューブの遠位端部102の周縁部の周りを動く。図6のこの実施形態におけるワイヤアセンブリ400の正しい方向の回転により、通路106内に蓄積したデブリが医療用チューブ100の出口端部に向かって近位に運ばれることになるオーガー作用(auger effect)をもたらすことができる。
【0030】
清掃ワイヤアセンブリ400の別の実施形態が図7に示されている。ここでは、ガイドワイヤ402は、円形断面を有し、その長さに沿って1つ以上の折曲げ部412を有する。しかし、他の例において、他の断面及び構成も可能である。いくつかの例において、清掃ワイヤアセンブリ400の遠位端部は、医療用チューブ100の遠位端部102及び/又は医療用チューブ100の他の何らかの部分内に留まり、また、医療用チューブ100内を自由に移動する(例えば、回転する)。この場合、清掃ワイヤアセンブリ400の近位端部は、同じ方向又は交互方向に、連続的又は間欠的に回転させることができる。他の例において、清掃ワイヤアセンブリ400は、その遠位端部において、医療用チューブ100の遠位端部102及び/又は医療用チューブ100の他の何らかの部分に固定することができる。この場合、清掃ワイヤアセンブリ400は、例えば、清掃ワイヤアセンブリ400の近位端部を医療用チューブ100の長手方向軸(例えば、図6のX軸)の周りに、連続的又は間欠的に、交互方向に回転させることによって駆動することができる。ワイヤアセンブリ400の遠位端部が固定されているため、遠位端部は、ワイヤアセンブリ400の動きに対抗し、ワイヤアセンブリ400が自然な静止位置に向かって付勢される。ワイヤアセンブリ400のこの付勢により、通路106内の清掃ワイヤアセンブリ400の一部が軸X周りに交互運動する際に、撹拌作用(whipping action)をもたらすことができ、それにより、医療用チューブ100内に蓄積した物質を撹乱するのを促進することができる。1つの実施形態において、ワイヤは、固定の折曲げ部を有しないが、遠位端部及び近位端部における固定点に接続するのに必要な長さよりも大きな長さを有し、そのため、余剰の材料によりワイヤの一部がチューブ内でコイル状に巻く。近位端部が回転又は他の手段によって駆動されると、撹拌作用が生じる。
【0031】
清掃ワイヤアセンブリ400の別の実施形態が図8に示されている。ここでは、ガイドワイヤ402は、円形断面を有し、ワイヤアセンブリ400は、ワイヤ402に連結されるか又はワイヤ402の一部を形成する複数の清掃部材416を備え、清掃部材416は、ワイヤ402の長さに沿って、好ましくは一定の間隔で離間するようになっている。好ましい一実施形態において、各清掃部材416は、ワイヤ402の一部を螺旋形状に曲げることによって形成され、この螺旋形状は、医療用チューブ100の内径と同等か又はそれよりも僅かに小さな全体直径を有することが好ましい。清掃ワイヤアセンブリ400が医療用チューブ100を通って前進又は後退する際、各清掃部材416は、医療用チューブ100の内面に係合し、内面に蓄積している場合がある何らかの物質を撹乱するのに役立つことができる。複数の清掃部材416がワイヤ402に沿って離間していることで、清掃ワイヤアセンブリ400は、医療用チューブの内面の複数の部分に係合しながら、医療用チューブ100を通って並進することができる。また、ワイヤ402は、繰り返される駆動によって、物質が複数の清掃部材416を介してチューブ100の全長を通して近位に運ばれるように、医療用チューブ100の全長よりも短い距離を駆動することができる。
【0032】
他の例において、ワイヤアセンブリ400の清掃部材416は、代替的な構成を有することができることを理解されたい。例えば、清掃部材416は、ワイヤ402に沿って不規則に離間することができ、及び/又は、清掃部材416は、ワイヤ402に別個に連結された別個の部材とすることができる。また、清掃部材416は、いくつかの例において、代替的な形状及び/又はサイズを有することができる。
【0033】
清掃ワイヤアセンブリ400の別の実施形態が図9に示されている。ここでは、円筒形の清掃部材422がガイドワイヤ402に連結されている。この実施形態では、医療用チューブ100は、医療用チューブ100の患者の体内に位置する部分においてその側壁を貫通する1つ以上の孔110を有することができる。円筒形の清掃部材422は、医療用チューブ100内で同軸に揃えられ、好ましくは、医療用チューブ100の内径と同等か又はそれよりも僅かに小さな外径を有する。いくつかの例において、清掃ワイヤアセンブリ400は、医療用チューブの軸Xに沿って医療用チューブ100の遠位端部102に向かって並進することができ、それにより、清掃部材422は1つ以上の孔110を横切り、孔110内に又は孔110に隣接して蓄積した物質を撹乱し、孔110を通した物質の移送を一時的に妨害することになり得るギロチン作用(guillotine action)をもたらす。ここで、ギロチン作用を受けて、医療用チューブ100又はその孔110に付着していた場所から分離された物質は、近位端部104を介して医療用チューブから外に吸引することができる。ここで、清掃ワイヤアセンブリ400は、清掃部材422が孔110を閉塞せず、そのため、孔110を通した物質の移送を再開することができる位置になるまで、(医療用チューブ100の遠位端部102又は近位端部104に向かって)並進することができる。
【0034】
清掃部材422の並進に加えて又はその代わりに、いくつかの例において、円筒形の清掃部材422は、清掃部材422が医療用チューブ100の孔110を有するセクションに位置する間、医療用チューブの軸Xの周りに回転することができる。このような例において、清掃部材422は、孔(例えば、スロット)423を有することができ、清掃部材422が回転する際に、清掃部材422の孔423が医療用チューブの孔110と周期的に整合し、孔110、423を通した流体の移送を可能にするようになっている。
【0035】
清掃ワイヤアセンブリ400の別の実施形態が図10に示されている。ここでは、清掃部材424は、ガイドワイヤ402の遠位端部に連結された略円形のディスクであるが、清掃部材424は、他の例において、ワイヤ402の他の部分に連結してもよい。円形の清掃部材424は、医療用チューブ100内で同軸に揃えられ(ただし、いくつかの例ではオフセットされてもよい)、好ましくは、医療用チューブ100の内径と同等か又はそれよりも僅かに小さな外径を有する。また、円形の清掃部材424は、円形の清掃部材424を通した物質の移送を阻止又は完全に妨害する中実又は穿孔された中央部を有することができる。いくつかの例において、中央部は、一方向弁を備えることができ、それにより、チューブ100の遠位端部102に向かって並進する間に、物質を体内に押し戻すことがないように、一方向弁を通した物質の移送が可能になる。
【0036】
円形の清掃部材424は、清掃部材424の円形枠426を形成するように、ガイドワイヤ402の一部を輪にすることによって形成することができる。次に、清掃部材424の中央部を塞ぐように、充填材料428を円形枠426に取り付ける(例えば、接着又は溶接する)ことができる。他の例において、円形の清掃部材424は、(例えば、射出成形、鋳造、プレス加工等によって)ガイドワイヤ402とは別個に形成され、その後、ガイドワイヤ402に取り付けられるディスクとすることができる。
【0037】
清掃部材424は、他の例において、代替的な構成を有することができることを理解されたい。例えば、清掃部材424は、実質的により小さな直径を有することができ、及び/又はワイヤ402に別個に連結された別個の部材とすることができる。また、清掃部材424は、いくつかの例において、例えば、四角形状又は他の何らかの多角形状等の円形でない形状を有することができる。
【0038】
清掃ワイヤアセンブリ400の別の実施形態が図11A及び図11Bに示されている。ここでは、ビードの形態の清掃部材432が、ガイドワイヤ402に連結されている。ビード432は、断面が円形である外面434を有し、ビード432の長さに沿って変化する直径を有する。特に、直径は、ビード432の中心において最大であり、ビード432の近位端部及び遠位端部において最小である。ビード432の直径は、その中心において、医療用チューブ100の内径と同等か又はそれよりも僅かに小さく、それにより、中心においてビード432と医療用チューブ100の内面との境界面を形成することが好ましい。ビード432の直径がその長さに沿って変化することにより、医療用チューブの内面に係合するビード432の表面積を低減することができ(同じ長さであり、医療用チューブ100の内径と同等の一定の直径を有する円筒形部材に比べた場合)、ビード432と医療用チューブ100との間の摩擦を軽減することができる。しかし、いくつかの例において、ビード432は、その長さにわたって一定の直径を有することができる。好ましい一実施形態において、ビード432と医療用チューブ100の内径との間に僅かな隙間があり、それにより、ビード432と医療用チューブ100との間の境界面における表面張力の作用によって、流体の一部が運ばれる。
【0039】
ビード432は、ワイヤ402の遠位端部又はワイヤ402の他の何らかの部分に連結することができる。また、ビード432は、ワイヤ402と一体的に形成することができ、又は、ビード432は、別個に形成した後、ワイヤ402に取り付けることができる。図示の例では、ビード432は、医療用チューブの軸Xに対して(例えば、平行に)揃えられた貫通穴436を有し、ビード432は、ワイヤ402の一部が貫通穴436を通過するようにワイヤ402に連結される。ビード432は、ビード432をワイヤ402上に直接成形するか、又は、ビード432をワイヤ402とは別個に成形してから、貫通穴436を通してワイヤ402を挿入することによって連結することができる。
【0040】
いくつかの例において、ビード432は、医療用チューブの軸Xに対して(例えば、同軸に)揃えられた貫通穴438を有することができ、ワイヤアセンブリ400が医療用チューブ100を通って並進する際又は静止時に、物質(例えば、血液又は他の体液)がビード432を通って移送されることを可能にする。これにより、並進時にビード432に加わる抵抗を軽減することができる。これはまた、ビード432が医療用チューブ100の任意の部分に静止しているときに、ビード432を通る物質の自由な流れを可能にする役目を果たす。これはまた、特にビード432が並進しているときに、ビード432の遠位側及び近位側における圧力を等しくする役目を果たすことができる。流体は穴438を通って自由に流れることができるが、穴438を囲むビード432の本体は、ビード432が医療用チューブ100を通して駆動される際に、依然として清掃機能を提供することができる。いくつかの例において、穴438内に一方向弁を設けることができ、この一方向弁は、医療用チューブ100を通したビード432の前進中に開き、ビード432の後退中に閉じる。
【0041】
いくつかの実施形態において、ビード432は、その外径に対して比較的大きな貫通穴438を有することができ、それにより、ビード432は、図11Cに示されているような薄肉構成になる。
【0042】
他の例において、ビード432は、ビード432を通した物質の移送が可能でないように実質的に中実とすることができる。このような例において、ビード432は、ビード432をワイヤ402に連結する上述した貫通穴436を依然として有することができる。貫通穴436はワイヤ402にフィットし、穴436内にワイヤ402が存在することによって、穴436を通した流体連通が実質的に阻止されるようになっていることが好ましい。
【0043】
いくつかの例において、ビード432は、図11Dに示されているように、ビード432の本体の胴部から延在するスカート438を有することができる。スカート438は、エラストマー又はワイヤメッシュ等の可撓性材料から作製することができる。スカート438は、医療用チューブ100の内径に係合し、ビード432によって流体及びデブリをチューブ100に沿って移動させるスクイージー作用(squeegee effect)を生成することができる。他の実施形態において、スカート438は、他の清掃部材に取り付けるか又はガイドワイヤ402に直接取り付けることができる。
【0044】
いくつかの実施形態において、1つ以上のビード432は、図11Eに示されているように、ワイヤ402に連結することができる。また、1つ以上のビード432は、他の構成の清掃部材と組み合わせて連結することができる。1つの実施形態において、医療用チューブ100の遠位端部102及び医療用チューブ100における任意の穿孔は、ビード432が遠位端部102又は穿孔を通って医療用チューブ100から抜け出ることができないようなサイズになっている。特に、ビード432がチューブ100の遠位端部102から出ることを防止するように、医療用チューブ100の遠位端部102は、より小さな直径へと先細りしていることができるか、又はビード432よりも十分に小さな先端部を有することができる。別の例のビード432が図11Fに示されている。
【0045】
清掃ワイヤアセンブリ400の別の実施形態が図12Aに示されている。清掃ワイヤアセンブリ400は、医療用チューブ100の通路106を貫通するコンベヤループの形態であり、コンベヤ動作で動く又は循環することができる。この実施形態では、清掃ワイヤアセンブリ400は、医療用チューブ100又は流体システム10の他の何らかの部分内に位置するコンベヤベルト440(例えば、ガイドワイヤ402)及び1つ以上のプーリー442を備え、プーリー442の周りには、循環する終端のない移動経路を得るように、ベルト440を巻き付けることができる。ベルト440は、ワイヤ又はモノフィラメントとすることができる。また、ベルト440は、ベルト440が矩形断面を有するように、リボン形状とすることができる。代替的に、ベルト440は、ベルト440が円形断面を有するように、ワイヤ形状とすることができる。ワイヤアセンブリ400は、ベルト440がプーリー442の周りで連続的又は間欠的に送られるように動くことができる。また、ワイヤアセンブリ400は、ベルト440が常に同じ方向(例えば、時計回り)又は交互の方向(例えば、時計回りの後、反時計回り)に送られるように動くことができる。
【0046】
図12Aにおけるコンベヤ型ワイヤアセンブリ400は、ベルト440に連結された1つ以上の清掃部材444を備えることができ、清掃部材444は、ベルト440がその循環経路に沿ってプーリー442の周りを回る際に、上述の循環経路に沿って通路106を通して送ることができる。清掃部材444は、互いにおよそ1インチ離間させることができるが、他の例において、他の距離も可能である。また、清掃部材444は、球状とすることができ、又は、例えば、平坦ディスク、半球状、又はカップ等の他の形状を含むことができる。例えば、図12Aに示されている清掃部材444は、ベルト440に接続された球状のビードを含む。別の例において、図12Bに示されているように、清掃部材444は、カップを含むことができ、各カップ444は、その開口がカップの移動方向に向くように配置される。
【0047】
清掃ワイヤアセンブリ400の別のコンベヤ型の実施形態が図13に示されている。ここでは、ワイヤアセンブリ400は、上述したベルト440及び清掃部材444を同様に備える。この実施形態では、医療用チューブ100は、患者の体外に留まる2つの近位部分114と、患者の体内に留まる遠位部分116とを有する。遠位部分116は、2つの近位部分114を接続し、患者の体内を通る連続ループ118の一部を形成する。また、遠位部分116は、医療用チューブ100と患者の体との間で物質を移送するための1つ以上の孔120を有することができる。医療用チューブ100は、遠位部分116が患者の体内に留まることができるように、患者の体を異なる2箇所において貫通することができる。代替的に、チューブ100の2つの端部に対して同じ切開部を用いてもよい。
【0048】
図13における清掃ワイヤアセンブリ400のベルト440は、連続ループ118の周りで、同じ方向又は交互の方向において連続的又は間欠的に送ることができる。
【0049】
上述の記載から明らかであるように、清掃ワイヤアセンブリ400は、多様な異なる構成を有することができ、そのいずれもが、医療用チューブ100を通して駆動可能(例えば、移動可能)であり、医療用チューブ100内に蓄積した物質を撹乱するのを促進することができる。ここで、図14図22を参照すると、ここでは、上述した方法で清掃ワイヤアセンブリ400の移動を容易にすることができる種々の駆動システムが記載される。
【0050】
図14及び図15に示されているように、いくつかの実施形態における流体システム10は、清掃ワイヤアセンブリ400を駆動するように動作可能な磁気駆動システム500を備えることができる。磁気駆動システム500によって提供され得る駆動の1つの形態として、医療用チューブ100を通る清掃ワイヤアセンブリ400の医療用チューブ100の軸Xに沿った前後の並進がある。磁気駆動システム500によって提供され得る別の駆動の形態として、医療用チューブ100内での軸X周りの清掃ワイヤアセンブリ400の回転がある。磁気駆動システム500は、米国特許第7,951,243号に開示されている清掃装置に対応することができ、この米国特許の内容は、引用することによってその全体が本明細書の一部をなす。
【0051】
磁気駆動システム500は、医療用チューブ100の近位端部104に流体連結された遠位端部512と、例えば、図2に示されているドレーンアセンブリ200のレセプタクル202等の吸引源に流体連結された近位端部514とを有するガイドチューブ510を備える。ガイドチューブ510は、ガイドチューブ通路516及び外周縁518を画定する。
【0052】
駆動システム500は、清掃ワイヤアセンブリ400のガイドワイヤ402に固定的に連結された1つ以上の第1の磁気部材532を備える磁気ガイド530を更に備える。第1の磁気部材532は、例えば、ネオジム磁石(N5~N52)等の永久磁石とすることができる。代替的に、第1の磁気部材532は、磁性を有する金属部材であってもよく、必ずしも永久磁石ではない。本明細書において用いられる場合、金属部材は、磁力によって永久磁石に引き付けられる性質がある場合に、磁性を有するものとする。
【0053】
駆動システム500は、ガイドチューブ510の外周縁518を覆って、好ましくは外周縁518に接触するように配置されるシャトル部材540を更に備える。シャトル部材540は、好ましくは外周縁518に実質的に対応する直径を有する貫通ボアを有し、そのため、シャトル部材540は、ガイドチューブ510がボアを通して収納された状態で、ガイドチューブ510の長さに沿って摺動式に滑らかに並進することができる。シャトル部材540は、シャトルハウジング544内に埋設又は封入された1つ以上の第2の磁気部材542を備える。必要に応じて、第2の磁気部材(複数の場合もある)542は、ハウジング544の全体又は一部を形成することができる。代替的に、シャトル部材540は、第2の磁気部材(複数の場合もある)542のみからなることができる。図示の実施形態では、第2の磁気部材542は、リングの形態で設けられ、ガイドチューブ510は、この各リングの中心における開口を通過する。上述した第1の磁気部材532と同様に、第2の磁気部材は、永久磁石又は磁性を有する金属部材とすることができ、必ずしも永久磁石でない。磁石は、ニッケル、金、エポキシ、PTFE、パリレン、若しくは他の金属、合金、ポリマー、又はそれらの任意の組合せを用いてコーティング又はメッキ処理することができる。コーティングは、バリア層として、磁石材料の劣化を防ぐ、磁石からの金属の浸出を防ぐ、生体適合性及び/又は抗血栓性表面を提供する、及び/又はガイドチューブ上を摺動するための低摩擦表面を提供するように機能することができる。
【0054】
磁気ガイド530の第1の磁気部材532とシャトル部材540の第2の磁気部材542とは、磁気によって互いに位置が揃い、第1の磁気部材532と第2の磁気部材542との間に磁力をもたらし、この磁力は、ガイドチューブ510の壁を通してシャトル部材540を磁気ガイド530に磁力によって連結するように作用する。その結果、ガイドチューブ510の長さに沿ったシャトル部材540の摺動又は並進が、シャトル部材540に磁力によって連結された磁気ガイド530、及び磁気ガイド530に固定的に連結されたガイドワイヤ402の対応する並進運動を引き起こす。したがって、シャトル部材540をガイドチューブ510に沿って並進させて、清掃ワイヤアセンブリ400のガイドワイヤ402を、医療用チューブ100を通して動かすことができる。さらに、シャトル部材540の回転は、清掃ワイヤアセンブリ400の回転をもたらすことができる。
【0055】
第1の磁気部材532及び第2の磁気部材542は、ガイドチューブ510の長手方向軸に対してN極-S極が軸方向に揃うことが好ましいが、磁気部材532及び542は、いくつかの例において、N極-S極が径方向に揃うこともできる。軸方向に揃った極性を有する磁石は、磁気部材532と磁気部材542との間に、磁気ガイド530及びシャトル部材540を並べて(in tandem)保持するのに好適な引力をもたらす一方で、シャトル部材540がチューブ510に沿って並進する際に摩擦が過度に増大することなく、シャトル部材540をチューブ510の長さに沿って並進させることができることがわかっている。
【0056】
いくつかの例において、駆動システム500は、磁気ガイド530の対向する両側においてガイドワイヤ402に固定的に連結された遠位の保持部材526a及び近位の保持部材526bも備える。保持部材526a、526bは、好ましくは、ガイドチューブ510の遠位端部512及び近位端部514をそれぞれ通過することができず、したがって、磁気ガイド530及びガイドワイヤ402の関連領域がガイドチューブ510内に保持されるような寸法である。そのため、遠位の保持部材526a及び近位の保持部材526bは、ガイドワイヤ402が医療用チューブ100を通って並進可能な距離に制限を与えることができる。また、いくつかの例において、駆動システム500は、ガイドチューブ510の外周縁518に連結された1つ以上のシャトル停止部550を備えることができ、それにより、シャトル部材540がシャトル停止部550を越えて並進することを防止し、したがって、医療用チューブ100を通るガイドワイヤ402の更なる並進を阻止することができる。
【0057】
駆動システム500のシャトル部材540は、手動で直接又は別個の駆動機構を用いて、ガイドチューブ510に沿って並進させることができる。例えば、図16に示されているように、駆動システム500は、送りねじ562と、送りねじ562を回転させるように動作可能なモーター564とを備えることができる。この例では、シャトル部材540は、連結部分566を備えることができ、連結部分566は、連結部分566を少なくとも部分的に貫通して、送りねじ562を螺合式に収納するねじ付きボアを有する。モーター564が送りねじ562を回転させるように動作する際、シャトル部材540は、送りねじ562に沿って並進し、したがって駆動システム500のガイドチューブ510に沿って並進することにより、清掃ワイヤアセンブリ400のガイドワイヤ402を移動させる。並進の方向は、送りねじ562の回転方向によって決まる。モーター564は、送りねじ562を時計回り及び反時計回りの双方向に回転させるように動作可能であり、したがって、モーター564は、清掃ワイヤアセンブリ400のガイドワイヤ402を前後双方に移動させるように動作可能であることが好ましい。送りねじは、規格ねじロッドとすることができ、アクメねじ等の送りねじに共通して用いられるねじ設計を有することができる。
【0058】
いくつかの例において、1つ以上の電磁リニアアクチュエーターは、シャトル部材540をガイドチューブ510に沿った線形運動で並進させるようにシャトル部材540に連結することができる。そのようなアクチュエーターは、当該技術分野において一般的に既知であり、図17に示されているようにシャトル部材540に連結することができる。この例では、駆動システム500は、シャトル部材540が収納されるネスト568を備えるキャリッジ566を備える。ネスト568は、例えば、解除可能なスナップ留め、滑り嵌め、締り嵌め、又は圧縮嵌め等の複数の機械的嵌合を用いて、シャトル部材540を収納することができる。代替的に、キャリッジ566は、シャトル部材540の対応する雌側嵌合部にそれぞれ嵌合する1つ以上のポストを備えることができ、又はシャトル部材540が、キャリッジ566の雌嵌合部に嵌合するポストを有することができる。シャトル部材540をキャリッジ566に機械的に固定するのに、例えば、ストラップ、結束バンド、クランプ、又は少なくとも部分的にシャトル部材540を囲む封入具等の他の手段を用いてもよい。代替的に、キャリッジ566は、磁気ガイド530に直接連結し、それによりシャトル部材540の必要性を排除する永久磁石(複数の場合もある)又は電磁石等の磁気部材を備えることができる。キャリッジ566は、リニアアクチュエーター(例えば、リニアアクチュエーターの一部)に連結することができ、リニアアクチュエーターによって駆動することで、ガイドチューブ510内の清掃ワイヤアセンブリ400、ひいては医療用チューブ100内の清掃部材(複数の場合もある)の並進をもたらすことができる。例えば、キャリッジ566は、アクチュエーター570に連結することができ、アクチュエーター570は、モーターによって回転されるとキャリッジ566を駆動する送りねじ572又はボールを備える。モーターは、DCモーター又はACモーターとすることができる。モーターは、ステッパーモーター又はサーボモーターとすることができる。キャリッジ566は、ベルト駆動アクチュエーターに連結することもでき、この場合、キャリッジ566は、張力下にありモーターによって駆動されるベルトに取り付けられる。キャリッジ566は、レール(複数の場合もある)に沿って移動する軸受(複数の場合もある)を備えることができる。そのようなシステムは、2つ以上の位置の間でキャリッジ566を駆動することにより、医療用チューブ100内での清掃部材の駆動をもたらすために、適切な制御システムとともに、エンコーダー及び/又はリミットスイッチ(近接スイッチ、リードセンサー、及び/又はホール効果センサー等)を利用することができる。
【0059】
更に他の例において、キャリッジ566は、キャリッジ566及びシャトル部材540を、ガイドチューブ510に沿った線形運動で駆動するために、1つ以上の空気式アクチュエーターに連結することができる。
【0060】
更に他の例において、駆動システム500は、ウォーム駆動機構を備えることができ、この場合、スパーギアがモーターによって回転される。スパーギアは、シャトル部材540に対して固定された送りねじに螺合することができ、それにより、スパーギアの回転が、スパーギアを横切る送りねじの並進をもたらし、したがって、ガイドチューブ510に沿った線形運動におけるシャトル部材540の並進をもたらす。
【0061】
磁気駆動システム500は、ガイドチューブ510に沿ってシャトル部材540を並進させ、したがって、医療用チューブ100を通して清掃ワイヤアセンブリ400のガイドワイヤ402を並進させるように動作可能とすることができる、多様な異なる駆動機構を備えることができる。また、上述した駆動機構のうちの任意のものは、例えば、上述した制御システム300等の制御システムに動作的に接続し、駆動機構を自動的に制御することができる。特に、制御システム300のコントローラー302は、駆動機構のアクチュエーター/モーターに動作的に接続し、特定のプログラムに従って及び/又は制御システム300のセンサー(複数の場合もある)306によって検出されたパラメーター(複数の場合もある)に応じて、アクチュエーター/モーターを選択的に動作させるように構成することができる。
【0062】
図18を参照すると、いくつかの実施形態における流体システム10は、医療用チューブ100内の清掃ワイヤアセンブリ400を回転させるように動作可能である誘導モーター駆動システム600を備えることができる。誘導モーター駆動システム600は、この例では医療用チューブ100の一部に対応するチューブ部分632内に配置された回転子630を備える。他の例において、チューブ部分632は、医療用チューブ100の近位端部104に流体連結されたガイドチューブ又は他の何らかのチューブに対応することができる。回転子630は、清掃ワイヤアセンブリ400のガイドワイヤ402に固定的に連結され、回転子630の回転が、回転子630に固定的に連結されたガイドワイヤ402の部分(複数の場合もある)を、回転子630とともに回転させるようになっている。図示の例において、回転子630は、ガイドワイヤ402の近位端部に固定的に連結されるが、回転子630は、他の例において、ガイドワイヤ402のより遠位の部分に固定的に連結することができる。回転子630は、巻線型回転子又はかご型(squirrel-cage type)回転子とすることができる。
【0063】
誘導モーター駆動システム600は、チューブ部分632の外周縁を覆うように配置されたシャトル部材640を更に備え、チューブ部分632の中に、回転子630が配置される。シャトル部材640は、シャトルハウジング644内に埋設又は封入された固定子642を備え、シャトルハウジング644は、固定子642と回転子630との間に空隙が存在するように、チューブ部分632から僅かに離間することが好ましい。いくつかの例において、シャトル部材640は、固定子642のみからなることができる。
【0064】
シャトル部材640の固定子642は、チューブ部分632内の回転子630と位置が揃えられ、それにより、AC電流が固定子642の巻線を通ると、回転磁界が生成されて、チューブ部分632内の回転子630の回転を引き起こし、それがさらに、回転子630に固定的に連結されたガイドワイヤ402の部分(複数の場合もある)の回転を引き起こす。回転速度は、固定子642に供給されるAC電流の周波数を調整することによって調整することができる。
【0065】
誘導モーター駆動システム600の固定子642は、AC電流を固定子642に選択的に供給するように構成された電源(例えば、コントローラー)に動作的に接続することができる。例えば、固定子642は、上述した制御システム300のコントローラー302に動作的に接続することができ、これにより、AC電流を固定子642に選択的に供給し、誘導モーター駆動システム600を選択的に動作させ、上述した方法のいずれかによって清掃ワイヤアセンブリ400を回転させることができる。特に、コントローラー302は、特定のプログラムに従って及び/又は制御システム300のセンサー(複数の場合もある)306によって検出されたパラメーター(複数の場合もある)に応じて、誘導モーター駆動システム600を選択的に動作させるように構成することができる。
【0066】
いくつかの例において、誘導モーター駆動システム600は、磁気駆動システム500と同様の構成とすることができ、したがって、誘導モーター駆動システム600のシャトル部材640は、医療用チューブ100内のガイドワイヤ402を並進させるように、チューブ部分632に沿って並進させることができる。このような例において、誘導モーター駆動システム600のシャトル部材640は、手動で、又は磁気駆動システム500に関して上述した駆動機構のうちの任意のものによって、同様に駆動することができる。
【0067】
図19A図19Eを参照すると、いくつかの実施形態における流体システム10は、医療用チューブ100内の清掃ワイヤアセンブリ400を並進させるように動作可能なスプール駆動システム700を備えることができる。いくつかの例におけるスプール駆動システム700は、米国特許出願公開第2015/0231313号に開示されている清掃装置に対応することができ、この米国特許出願公開の内容は、引用することによってその全体が本明細書の一部をなす。1つの例において、図19A図19Dに示されているように、スプール駆動システム700は、医療用チューブ100の近位端部104に連結することができる入口704を有するスプールハウジング702を備える。スプールハウジング702は、第1の部分706及び第2の部分708を有し、双方の部分は(例えば、締結具、溶接、接着剤等によって)ともに連結して、筐体を形成することができる。スプールハウジング702内には、軸周りに回転可能なスプール710がある。また、スプールハウジング702は、スプール710から離間するとともに、スプール710の周縁部の周りに少なくとも部分的に延在するトラック712を画定し、トラック712は、スプール710と実質的に同様の曲率の線を辿る。
【0068】
清掃ワイヤアセンブリ400のガイドワイヤ402は、スプールハウジング702の入口704を通して送り込まれるとともに、スプール710に(例えば、止めねじ、接着剤、圧入等によって)連結することができ、スプールの軸の周りのスプール710の回転によって、ガイドワイヤ402がスプール710の周りで巻き取られるか又は繰り出され、前進状態と後退状態との間で動くようになっている。いくつかの実施形態において、ガイドワイヤ402の遠位端部は、医療用チューブ100内に位置することができる。スプール710が一方向に回転する場合、ガイドワイヤ402は、スプール710の周りに巻き取られ、それにより、ガイドワイヤ402(及びガイドワイヤ402に連結された任意の清掃部材)は、医療用チューブ100の遠位端部102から離れるように並進する(すなわち、後退する)。それに対して、スプール710が反対方向に回転する場合、ガイドワイヤ402は、スプール710の周りから繰り出され、それにより、ガイドワイヤ402(及びガイドワイヤ402に連結された任意の清掃部材)は、医療用チューブ100の遠位端部102に向かって並進する(すなわち、前進する)。したがって、スプール710の回転は、医療用チューブ100内のワイヤアセンブリ400の並進(駆動)を制御することができる。
【0069】
スプール710が回転する際、スプールハウジング702のトラック712は、ガイドワイヤ402をスプール710に巻き取る又はスプール710から繰り出すのに役立つ。また、トラック712は、ガイドワイヤ402を巻取り状態に維持するとともに、ガイドワイヤ402の剛性に起因してガイドワイヤ402が繰り出されることを防止するのに役立つことができる。しかし、トラック712からの摩擦により、ガイドワイヤ402に対する抵抗がもたらされる場合があり、この抵抗は、いくつかの例において、ガイドワイヤ402をスプール710に巻き取る又はスプール710から繰り出すことを実質的に妨げる場合がある。したがって、トラック712は、トラック712によってガイドワイヤ402に加わる摩擦を低減するのに役立つことができる1つ以上の態様を含むことができる。
【0070】
例えば、図示の例では、トラック712は、スプール710の周縁部の周りに少なくとも部分的に延在するとともに、スプール710の周りに周方向に離間した溝716を有する溝付き表面714を有する。トラック712の溝716は、ガイドワイヤ402に係合するトラック712の表面積を低減し(溝なし表面を有するトラック712と比べた場合)、それにより、トラック712によってガイドワイヤ402に加わる摩擦量を低減する。
【0071】
別の例において、トラック712は、(溝ではなく)スプール710の周りに周方向に離間するリッジを有する。(トラック表面全体ではなく)トラック712のリッジがガイドワイヤ402に接触するため、ガイドワイヤ402に係合するトラック712の表面積と、トラック712によってガイドワイヤ402に加わる摩擦量とが低減する。
【0072】
いくつかの例において、トラック712は、図19Eに示されているようにガイドワイヤ402に回転可能に係合する、スプール710の周りに周方向に離間したホイール720を備えることができる。ホイール720の回転可能な係合は、ガイドワイヤ402が固定表面に係合する他の例よりも抵抗を少なくすることができる。このような例において、ホイール720は、ホイール720とガイドワイヤ402との係合を維持するのに役立つように、ばね又は他の付勢構造によってスプール710に向かって付勢することができる。
【0073】
また、いくつかの例において、トラック712の1つ以上の構成要素は、低摩擦材料を含むか又は低摩擦材料によってコーティングすることができる。この低摩擦材料は、例えば、親水性コーティング、ヒドロゲル、パリレン、PTFE、FEP、低摩擦ポリマー、又は低摩擦シリコーン等である。例えば、上述した溝付き表面714及び/又はホイール720は、そのような低摩擦材料を含むか又は低摩擦材料によってコーティングすることができる。または、トラックは、そのような材料から構成されるライナーを有することができ、例えば、ステンレス鋼板金の細いリボン(又は平坦ワイヤ)を、PTFEによってコーティングし、ハウジングに設置(連結)して、ワイヤと境界を接するトラック表面を形成することができる。このリボンは、接着剤、クリップ等の種々の手段によって適所に保持することができ、又は、スプリングテンパー鋼から作製し、ばね張力によってハウジングに対して適所に保持することができる。このリボンは、同様に他の手段によって適所に保持することもできる。
【0074】
1つの構成において、トラック712は、内輪及び外輪内に収容される玉軸受から構成される。この実施形態では、ワイヤは玉軸受に係合し、ワイヤの低摩擦での移動を可能にする。
【0075】
いくつかの例において、スプール駆動システム700は、スプールハウジング702内のスプール710を回転させるように動作可能なモーター722を備え、医療用チューブ100内のワイヤアセンブリ400の並進を引き起こすことができる。図19Dに示されているように、モーター722は、スプールハウジング702の外部に配置することができ、伝動機構724を介してスプールハウジング702内のスプール710に回転可能に連結することができる。図示の実施形態では、伝動機構724は、モーター722のシャフト728に固定された第1のベベルギア726と、スプール710のシャフト732に固定され、第1のベベルギア726に螺合する第2のベベルギア730とを備える。しかし、伝動機構724は、他の例において、モーター722をスプール710に回転可能に連結するために、他のタイプのギア及びシャフト及び/又はギア及びシャフトの組合せを含むことができる。実際、いくつかの例において、伝動機構724は、単に、モーター722及びスプール710の双方に共通のシャフトからなることができる。
【0076】
伝動機構724の一部(例えば、スプール710のシャフト732)は、スプールハウジング702における孔736(図19Bに示されている)を貫通する。いくつかの例において、伝動機構724が孔736を貫通することを可能にする一方で、流体及び他の物質が孔736を通って移送されることを妨げることができるシールを設けることができる。このように、スプールハウジング702の外部環境に対してスプールハウジング702内の滅菌野を保護することができる。加えて又は代替的に、スプール駆動システム700は、モーターハウジング740(図19A及び図19Bに示されている)を備えることができ、モーターハウジング740は、スプールハウジング702に(例えば、締結具によって)連結し、モーター722及び伝動機構724を封入することができる。モーターハウジング740は、スプールハウジング702に対してシールすることで、モーター722及び伝動機構724の周りに、モーターハウジング740の外部環境からシールされた無菌環境を提供することができる。
【0077】
いくつかの例において、モーター722は、バッテリーにより給電することができる。さらに、モーター722は、上述した制御システム300のコントローラー302に動作的に接続することができ、コントローラー302により、モーター722を選択的に動作させて、上述した方法のいずれかによって清掃ワイヤアセンブリ400を並進させることができる。特に、コントローラー302は、特定のプログラムに従って及び/又は制御システム300のセンサー(複数の場合もある)306によって検出されたパラメーター(複数の場合もある)に応じて、モーター722を選択的に動作させるように構成することができる。また、制御システム300及びコントローラー302は、図19Bに示されているように、モーターハウジング740内に少なくとも部分的に存在することができる。
【0078】
スプールハウジング702は、流体経路内の真空を維持することを可能にするシールによって、血液経路から分離される可能性がある。スプールハウジング702は、モーターハウジングから無菌状態を維持するシールを有することで、無菌であることを必要とする場合がある。このシールは、圧力損失に対する安全機能(バックアップ)として、圧力を維持することもできる。このシールは、ゴムシール又は溶接部等の種々の形態をとることができる。回転するシャフト又は並進するワイヤがシールを横断する場合、適切なタイプのシールが必要である。代替的な一実施形態において、モーターハウジング740は再使用し、スプールハウジング702は廃棄することができるように、モーターハウジング740をスプールハウジング702に取外し可能に連結することができる。
【0079】
図20を参照すると、上述したスプール駆動アセンブリ700の変形形態において、スプール710はローラー750に置き換えられ、トラック712はコイル状のチューブ752に置き換えられている。この例では、スプール駆動アセンブリ700は、切欠き領域756を有する入口チューブ754を備え、ローラー750は、切欠き領域756内に配置されるとともに、スプールハウジング702に対して回転可能である。清掃ワイヤアセンブリ400のガイドワイヤ402は、スプールハウジング702の入口704を通して送り込むことができ、ガイドワイヤ402の一部が、ローラー750の外周縁と入口チューブ754の内面との間に留まる(及び好ましくは係合する)ようになっている。この場合、ローラー750は、一方向(例えば、反時計回り)に回転させ、ローラー750と入口チューブ754の内面との間の空間を通してガイドワイヤ402を近位に(すなわち、患者から離れる方向に)引っ張ることができ、それにより、医療用チューブ100を通してガイドワイヤ402を後退させる。代替的に、ローラー750は、反対方向(例えば、時計回り)に回転させ、ローラー750と入口チューブ754の内面との間の空間を通してガイドワイヤ402を遠位に(すなわち、患者に向かって)押すことができ、それにより、医療用チューブ100を通してガイドワイヤ402を前進させる。ローラー750は、上述したモーター722及び制御システム300を用いてスプール710と同様に回転させることができる。
【0080】
コイル状のチューブ752は、ローラー750によってスプールハウジング702内へと近位にガイドワイヤ402を引っ張る際に、ガイドワイヤ402を収納する。コイル状のチューブ752は、低摩擦材料から製造することができる。PTFE、FEP、又は他の低摩擦ポリマー等の種々のポリマーを用いることができる。しかし、チューブ752は、他の例において、例えば、直線状構成等の他の構成を有することができることを理解されたい。また、いくつかの実施形態において、コイル状のチューブ752は、スプールハウジング702と一体とすることができる。
【0081】
図21を参照すると、いくつかの実施形態における流体システム10は、例えば、図12A図12Cに関して上述したコンベヤ型ワイヤアセンブリ400を送るように動作可能であるコンベヤ駆動システム800を備えることができる。コンベヤ駆動システム800は、医療用チューブ100の近位端部104に連結された遠位端部804と、例えば、図2に示されているドレーンアセンブリ200のレセプタクル202等の吸引源に流体連結する近位端部806とを有するコンベヤチューブ802を備える。ワイヤアセンブリ400の近位端部におけるプーリー442は、コンベヤチューブ802内に存在し、プーリー442の回転軸がコンベヤチューブ802の中心軸に交差するとともに、中心軸に対して垂直になるように配置される。
【0082】
コンベヤ駆動システム800は、コンベヤチューブ802の外部に配置されたモーター812を備え、モーター812は、伝動機構814を介してコンベヤチューブ802内のプーリー442に回転可能に連結される。図示の実施形態では、伝動機構814は、モーター812のシャフト818に固定された第1のベベルギア816と、第1のベベルギア816に螺合するプーリー442のシャフト822に固定された第2のベベルギア820とを備える。しかし、伝動機構814は、他の例において、モーター812をプーリー442に回転可能に連結する他のタイプのギア及びシャフト及び/又はギア及びシャフトの組合せを含むことができる。実際、いくつかの例において、伝動機構814は、単に、モーター812及びプーリー442の双方に共通のシャフトからなることができる。
【0083】
伝動機構814の一部(例えば、プーリー442のシャフト822)は、コンベヤチューブ802内の孔826を貫通する。いくつかの例において、伝動機構814が孔826を貫通することを可能にする一方で、流体及び他の物質が孔826を通って移送されることを阻止することができるシールを設けることができる。したがって、コンベヤチューブ802内の滅菌野は、コンベヤチューブ802の外部環境に対して保護することができる。加えて又は代替的に、駆動システム800は、モーター812及び伝動機構814を封入するハウジング830を備えることができる。ハウジング830は、コンベヤチューブ802が貫通することができるシールされた入口834及びシールされた出口836を有することができ、コンベヤチューブ802の伝動機構814が貫通する部分もハウジング830内に封入されるようになっている。したがって、ハウジング830は、モーター812、伝動機構814、及びコンベヤチューブ802の周りに、ハウジング830の外部環境からシールされる無菌環境を提供することができる。
【0084】
駆動システム800のモーター812は、コンベヤチューブ802内のプーリー442を回転させるように動作することができ、その結果、ワイヤアセンブリ400がプーリー442の周りで送られる。いくつかの例において、プーリー422は、周縁部の周りに歯を有することができ、この歯は、プーリー422が回転する際に、ワイヤアセンブリ400のベルト440及び/又は清掃部材444に係合することで、ワイヤアセンブリ400を送ることを容易にする。他の例において、プーリー422は、単に滑らかな周面を有することができ、ワイヤアセンブリ400は、プーリー422の回転により、ワイヤアセンブリ400と周面との間の摩擦によってワイヤアセンブリ400が送られるように、周面の周りにきつく張られる。
【0085】
モーター812は、ワイヤアセンブリ400のベルト440がプーリー442の周りで連続的又は間欠的に送られるように動作することができる。また、モーター812は、ベルト440が常に同じ方向(例えば、時計回り)又は交互の方向(例えば、時計回りの後、反時計回り)に送られるように動作することができる。いくつかの例において、モーター812は、上述の制御システム300のコントローラー302に動作的に接続することができ、コントローラー302により、モーター812を選択的に動作させて、上述した方法のいずれかによって清掃ワイヤアセンブリ400を送ることができる。特に、コントローラー302は、特定のプログラムに従って及び/又は制御システム300のセンサー(複数の場合もある)306によって検出されたパラメーター(複数の場合もある)に応じて、モーター812を選択的に動作させるように構成することができる。
【0086】
いくつかの例において、コンベヤ駆動システム800は、コンベヤチューブ802内に配置された1つ以上のブラシ838を備え、ブラシ838は、ベルト440がプーリー442の周りで送られる際に、清掃ワイヤアセンブリ400の清掃部材444及び/又はベルト440に係合する。これにより、清掃ワイヤアセンブリ400の清掃、及び清掃ワイヤアセンブリ400上に集まり得る何らかの物質の除去に役立つことができる。ブラシ838は、ヘパリンでコーティングすることができる。
【0087】
別の例のコンベヤ駆動システム800が、図22A及び図22Bに示されており、このコンベヤ駆動システム800は、例えば、図13に関連して上述したコンベヤ型ワイヤアセンブリ400を送るように動作可能である。コンベヤ駆動システム800は、医療用チューブ100の2つの近位部分114のうちの一方にそれぞれ流体連結される2つのポート854を有するハウジング852を備える。ハウジング852は、例えば、図2に示されているドレーンアセンブリ200のレセプタクル202等の吸引源に流体連結される第3のポート856を更に備えることができる。ハウジング852内に配置される場合、駆動システム800は、回転可能なスプロケット858を更に備えることができる。また、ハウジング852は、スプロケット858の周縁部の周りに部分的に(例えば、半分まで)延在するとともに、スプロケット858と同軸であるトラック862を画定することができる。
【0088】
ハウジング852及び医療用チューブ100は、ともに連続ループ118を形成し、その周りで、ワイヤアセンブリ400のベルト440が送られる。より具体的には、ベルト440は、医療用チューブ100を通り、双方のポート854を通してハウジング852内に延在し、トラック862に沿ってスプロケット858の周りに巻き付けられる。
【0089】
コンベヤ駆動システム800は、伝動機構868を介してハウジング852内のスプロケット858に回転可能に連結される、ハウジング852の外部に配置されたモーター866を備える(図22Bに示されている)。図示の実施形態において、伝動機構868は、モーター866及びスプロケット858の双方に共通するシャフトを備える。しかし、伝動機構868は、他の例において、モーター866をスプロケット858に回転可能に連結する追加のギア及び/又はシャフトを備えることができる。
【0090】
伝動機構868の一部は、ハウジング852内の孔870を貫通する。伝動機構868が孔870を貫通することを可能にする一方で、流体及び他の物質が孔870を通して移送されることを阻止することができるシールを設けることができることが好ましい。したがって、ハウジング852内の滅菌野は、ハウジング852の外部環境に対して保護することができる。
【0091】
駆動システム800のモーター866は、ハウジング852内のスプロケット858を回転させるように動作することができ、その結果、ワイヤアセンブリ400がスプロケット858の周りで送られる。この例では、スプロケット858は、スピンドル872を備え、スピンドル872は、スプロケット858が回転する際に、ワイヤアセンブリ400の清掃部材444に係合することで、ワイヤアセンブリ400を送ることを容易にする。他の例において、スプロケット858は、周縁部の周りに歯を有することができ、この歯は、スプロケット858が回転する際に、ワイヤアセンブリ400のベルト440及び/又は清掃部材444に係合することで、ワイヤアセンブリ400を送ることを容易にする。また、他の例において、スプロケット858は、単に滑らかな周面を有することができ、ワイヤアセンブリ400は、スプロケット858の回転により、ワイヤアセンブリ400と周面との間の摩擦によってワイヤアセンブリ400が送られるように、周面の周りにきつく張られる。
【0092】
モーター866は、ワイヤアセンブリ400がスプロケット858の周りで連続的又は間欠的に送られるように動作することができる。また、モーター866は、ベルト440が常に同じ方向(例えば、時計回り)又は交互の方向(例えば、時計回りの後、反時計回り)に送られるように動作することができる。いくつかの例において、モーター866は、上述した制御システム300のコントローラー302に動作的に接続することができ、コントローラー302により、モーター866を選択的に動作させて、上述した方法のいずれかによって清掃ワイヤアセンブリ400を送ることができる。特に、コントローラー302は、特定のプログラムに従って及び/又は制御システム300のセンサー(複数の場合もある)306によって検出されたパラメーター(複数の場合もある)に応じて、モーター866を選択的に動作させるように構成することができる。
【0093】
上述した様々な駆動システム500、600、700、800は、それぞれ、上述した方法の1つ以上によって、医療用チューブ100内の清掃ワイヤアセンブリ400を移動させるのに用いることができる。特に、駆動システム500、600、700、800は、それぞれ、医療用チューブ100内の清掃ワイヤアセンブリ400を並進、回転、及び/又は送るのに用いることができる。また、駆動システム500、600、700、800は、医療用チューブ100内の清掃ワイヤアセンブリ400の動きを自動的に制御するために、例えば、上述した制御システム300のコントローラー302等のコントローラーに動作的に連結することができる。駆動システム500、600、700、800は、手持ち式の構成(例えば、サイズ及び形状)であり、いくつかの例において、使い捨てとすることができることが好ましい。駆動システムにモーターを備える場合、モーターは、充電式バッテリーによって給電することができる。また、いくつかの例において、モーターは、駆動システムの本体とは別個の電源アセンブリによって給電することができ、図23に示されているように、配線によって本体に接続することができる。電源アセンブリが分離していることによって、電源アセンブリは、駆動システムの本体を分解する必要なく交換/充電することができる。
【0094】
流体システム10が、医療用チューブ100の通路106に沿って清掃ワイヤアセンブリ400を並進させる又は送るように構成された駆動システム(例えば、駆動システム500、600、700、800のうちの1つ)を備える実施形態では、駆動システムは、清掃ワイヤアセンブリ400によって並進される/送られる距離の較正を可能にするように構成することができる。例えば、図24は、医療用チューブ100の通路106に沿って清掃ワイヤアセンブリ400を並進させるように構成された一例のスプール駆動システム700を示している。スプール駆動システム700は、清掃ワイヤアセンブリ400が完全前進位置になるように所望された位置に達するまで、清掃ワイヤアセンブリ400を医療用チューブ100の遠位端部102に向かって前進させるように動作することができる。例えば、スプール駆動システム700は、清掃ワイヤアセンブリ400の遠位端部が医療用チューブ100の遠位端部102に達するまで、清掃ワイヤアセンブリ400を医療用チューブ100の遠位端部102に向かって前進させるように動作することができる。清掃ワイヤアセンブリ400の位置は、様々な手段を用いて、例えば、ステッパーモーターのステップ数を数えること、ホールセンサー、光学式エンコーダー等によって検出することができる。また、ボタン、スイッチ、タッチスクリーン、又は他の何らかの構造を使用者によって係合(例えば、押下)し、清掃ワイヤアセンブリ400が完全前進位置にあることを示す信号を、コントローラー(例えば、コントローラー302)に送信することができる。次いで、コントローラーは、この位置をメモリに記憶し、駆動システム700に対する完全前進位置を較正することができる。
【0095】
同様に、スプール駆動システム700は、清掃ワイヤアセンブリ400が完全後退位置になるように所望される位置に達するまで、医療用チューブ100の近位端部104に向かって清掃ワイヤアセンブリ400を後退させるように動作することができる。例えば、スプール駆動システム700は、清掃ワイヤアセンブリ400の遠位端部が医療用チューブ100の遠位部分における一組の孔110の近位にくるまで、清掃ワイヤアセンブリ400を医療用チューブ100の近位端部104に向かって後退させるように動作することができる。清掃ワイヤアセンブリ400の位置は、様々な手段を用いて、例えば、ステッパーモーターのステップ数を数えること、ホールセンサー、光学式エンコーダー等によって検出することができる。また、ボタン、スイッチ、タッチスクリーン、又は他の何らかの構造を使用者によって係合(例えば、押下)し、清掃ワイヤアセンブリ400が完全後退位置にあることを示す信号をコントローラー(例えば、コントローラー302)に送信することができる。次いで、コントローラーは、この位置をメモリに記憶し、駆動システム700に対する完全後退位置を較正することができる。
【0096】
完全前進位置及び完全後退位置が較正されると、コントローラーは、清掃ワイヤアセンブリ400が完全前進位置と完全後退位置との間で医療用チューブ100内を並進するように、駆動システム700を動作させることができる。
【0097】
上述した駆動システム500、600、800のうちの任意のものは、図24に示されている駆動システム700と同様に較正することもできることを理解されたい。さらに、いくつかの例において、駆動システム500、600、700、800は、清掃ワイヤアセンブリ400が完全前進位置及び/又は完全後退位置に達した場合に使用者にそれを示す必要なく、自動的に較正を行うように構成することができる。例えば、いくつかの例において、各駆動システム500、600、700、800は、関連する清掃ワイヤアセンブリ400が完全前進位置及び/又は完全後退位置に達した場合にそれを検出するとともに、ワイヤアセンブリの位置を示す信号を関連するコントローラーに送信することができる1つ以上のセンサー(例えば、センサー(複数の場合もある)306)を備えることができ、それにより、コントローラーがその位置をメモリに記憶することができ、駆動システムを較正することができる。
【0098】
ここで、図25を参照すると、Y字形カップリング900は、医療用チューブ100を、例えば、上述した駆動システム500、600、700、800等の種々の構造に連結するのに用いることができることが示される。Y字形カップリング900は、医療用チューブ100の近位端部104に流体連結することができる端部904aを有する第1のチューブ部分902aを有する。Y字形カップリング900は、例えば、図2に示されているドレーンアセンブリ200のレセプタクル202等の吸引源に流体連結することができる端部904bを有する第2のチューブ部分902bを更に有する。また、Y字形カップリング900は、例えば、上述した駆動システム500、600、700、800のうちの1つの入口又はポート等の別の構造に連結することができる端部904cを有する第3のチューブ部分902cを更に有する。例えば、図19Aは、端部904cが上述したスプール駆動システム700に連結されるY字形カップリング900を示している。
【0099】
Y字形カップリング900は、第1のチューブ部分902aの端部904aと第2のチューブ部分902の端部904bとの間の流体連通を提供する通路910を画定する。したがって、通路910は、医療用チューブ100から吸い出され、吸引源に放出される物質のための経路を提供することができる。
【0100】
Y字形カップリング900は、第3のチューブ部分902cを貫通して、通路910内に開口する孔912を更に有する。孔912は、清掃ワイヤアセンブリ400のガイドワイヤ402が孔912を通過することを可能にするサイズである。したがって、医療用チューブ100がY字形カップリング900に接続される場合、ガイドワイヤ402は、医療用チューブ100内からY字形カップリング900を通って、Y字形カップリング900の端部904cに連結されるあらゆる構造内に延在することができる。
【0101】
いくつかの例において、孔912の少なくとも一部(例えば、部分912a)は、ガイドワイヤ402の直径よりも少しだけ大きい直径を有する。これにより、ガイドワイヤ402が孔912を通過することは可能になるが、流体(例えば、体液)及び他の物質が孔912を通過することは阻止される。流体及び他の物質が孔912を通過することを阻止することにより、通路910(及び通路910と流体連通する医療用チューブ100)内の真空を保護し、第3のチューブ部分902cの端部904cと連通し得る、如何なる加圧された環境からも隔離することができる。また、通路910を通過する流体(例えば、体液)及び他の物質は、孔912を通って、第3のチューブ部分902cの端部904cに連結されるあらゆる構造内へと通過することを阻止することができる。
【0102】
加えて又は代替的に、いくつかの例において、1つ以上の円筒形ブッシュ914を、ガイドワイヤ402が通過することができる孔912内に設けることができる。各ブッシュ914は、例えば、デルリン、セラミック、ステンレス鋼、PEEK、PTFE、独立気泡ウレタンフォーム、高密度繊維、及び/又は他の材料を含むことができる。
【0103】
加えて又は代替的に、いくつかの例において、1つ以上の円筒形ワイパーを孔912内に設け、流体(例えば、体液)及び他の物質が孔912を通過することを阻止することができる。例えば、円筒形ワイパー916を、ガイドワイヤ402が通過することができる孔912内に設けることができる。ワイパー916は、ガイドワイヤ402とともにワイパー916を通過しようとし得る任意の流体を吸収することができる多孔質材料を含むことが好ましい。例えば、ワイパー916は、フォーム、例えば、連続気泡又は独立気泡のポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、親水性フォーム、ヒドロゲル、ポリエステル織物等を含むことができる。他の例において、ワイパー916は、シリコーンゴムの薄膜を含むことができる。
【0104】
加えて又は代替的に、いくつかの例において、1つ以上の円筒形潤滑器918を孔912内に設けることができ、ガイドワイヤ402が潤滑器(複数の場合もある)918を通過する際に、ガイドワイヤ402が潤滑される。各潤滑器は、例えば、医療グレードのシリコーンオイル、ヘパリン溶液、PTFE潤滑剤、鉱油、ワセリン等を含むことができる。
【0105】
加えて又は代替的に、いくつかの例において、孔912を通した流体連通を選択的に開閉するように駆動することができる1つ以上の弁920を、孔912内に設けることができる。
【0106】
図示の例では、Y字形カップリング900は、上述した直径のより小さな部分912a、ブッシュ914、ワイパー916、潤滑器918、及び弁920の組合せを含む。そのような例において、これらの4つの要素は、直径のより小さな部分912aがブッシュ914の遠位にあり、ブッシュ914がワイパー916の遠位にあり、ワイパー916が潤滑器918の遠位にあり、潤滑器918が弁920の遠位にあるように配置されることが好ましいが、他の例において、これらの部材の他の配置及び/又は組合せも可能である。
【0107】
加えて、流体及びデブリがチャネルに入ることを制限又は排除するように、流体経路910とチャネル912との合流部においてシールを用いることができる。シールは、ガイドワイヤ及びいくつかの構成では清掃部材の通過を可能にするドーム状スリット弁又はフラットシール等のエラストマーガスケットとすることができる。
【0108】
図26を参照すると、いくつかの例において、Y字形カップリング900は、孔912内に毛材920を備え、それにより、ガイドワイヤ402が孔912を通って並進する際に、ガイドワイヤ402から物質(例えば、凝塊)を機械的に除去する。物質の除去は、そのような物質をドレナージキャニスターに向かって除去するのを促進するために、真空源をオフした際に行われる。弁は、毛材920を流体経路から分離し、血栓が毛材920上に集まることを防止するために提供することができる。
【0109】
別の例のY字形カップリング900が図27に示されている。このY字形カップリング900は、ガイドワイヤ402に密着する孔912を有し、これは、大きな血栓及びデブリをワイヤから掻き取るのに役立つ。孔912は、硬質材料(例えば、デルリン、ポリカーボネート等)又はシリコーンゴム等のエラストマー材料とすることができるブッシュ914を有し、それにより、真空下にあり得る流体経路と、大気圧下にあり得るスプールコンパートメントとを分離するシールが提供される。このシールはまた、更なる血液及び他の流体をワイヤから拭い、それらがスプールコンパートメント内にもたらされる可能性を低減するように機能する。Y字形合流部はまた、連続気泡ポリウレタンフォーム、親水性フォーム又は他の親水性材料、例えば、ヒドロゲル又は好ましくは多孔質の他の媒体から作製することができるワイパー916を有することができる。また、通路910は、交わる2つの直線状チャネルを有する(図25及び図26に示されているような湾曲チャネルとは異なる)。
【0110】
ここで、図28を参照すると、以下、医療用チューブ100を通る清掃ワイヤアセンブリ400の並進を容易にすることができるエラストマー製復元特徴部が示される。より具体的には、いくつかの例における医療用チューブ100は、通路106内に延在する、遠位端部122において医療用チューブ100の一部(例えば、遠位端部102)に固定的に連結された弾性部材120を備えることができる。弾性部材120は、さらに、近位端部124において清掃ワイヤアセンブリ400の一部(例えば、ガイドワイヤ402)に固定的に連結することができる。弾性部材120は、清掃ワイヤアセンブリ400が医療用チューブ100を通って近位端部104に向かって後退する際に、弾性部材120が清掃ワイヤアセンブリ400によって伸長するように構成することができる。この伸長状態では、弾性部材120は、清掃ワイヤアセンブリ400を医療用チューブ100の遠位端部102に向かって付勢する(例えば、引っ張る)。弾性部材120からのこの付勢は、特に、清掃ワイヤアセンブリ400が後に医療用チューブ100の遠位端部102に向かって前進する際に、清掃ワイヤアセンブリ400のガイドワイヤ402を医療用チューブ100内で直線構成に維持するのに役立つことができる。
【0111】
ここで図29を参照すると、いくつかの例における医療用チューブ100は、清掃ワイヤアセンブリ400の清掃部材に蓄積する場合がある物質を撹乱するのを促進することができる円錐形座部128を有することができる。円錐形座部128は、通路106内で、医療用チューブ100の遠位端部102から径方向内方かつ近位方向に延在する。この実施形態では、清掃ワイヤアセンブリ400は、ループ450の形態の清掃部材を備える。使用中又は使用後、清掃ワイヤアセンブリ400は、円錐形座部128が清掃部材ループ450から突出するまで、医療用チューブ100の遠位端部102に向かって前進させることができ、それにより、ループ450内に蓄積する場合がある何らかの物質を撹乱する。
【0112】
上述したように、清掃ワイヤアセンブリ400は、医療用チューブ100内で動かすことで、医療用チューブ100内に蓄積した物質を撹乱するのを促進することができる。医療用チューブ100の内面は、医療用チューブの摩擦特性を低減することができる材料の層でコーティングし、それにより、医療用チューブ100内での清掃ワイヤアセンブリ400の動きに対して医療用チューブ100が及ぼし得る抵抗を低減させることが好ましい。医療用チューブ100の内面をコーティングすることができる材料の例として、親水性コーティング、ヒドロゲル、PVP、パリレンC、パリレンN、PTFE、Pebax、及び低摩擦シリコーンがある。しかし、いくつかの例において、医療用チューブの内面の一部は摩擦低減層でコーティングされないことが望ましい場合がある。
【0113】
例えば、上述したように、いくつかの例における医療用チューブ100は、例えば、上述したドレーンアセンブリ200及び/又は上述した駆動システム500、600、700、800等の種々の構造に流体連結することができる。医療用チューブ100を流体連結するために、例えば、医療用チューブ100の端部に挿入することができるホースバーブ継手等の継手を用いることができる。また、医療用チューブ100の端部は、継手と医療用チューブ100との間に流体密封シールをもたらすように収縮することができる。しかし、摩擦低減剤が、医療用チューブの内面の、医療用チューブ100が継手に係合する場所に塗布される場合、流体密封シールが実現されない場合があり、継手は、医療用チューブ100から係脱する可能性があり得る。
【0114】
したがって、本開示の1つの態様は、医療用チューブ100の内面に摩擦低減剤を塗布する方法を対象とする。医療用チューブの内面の部分(複数の場合もある)(例えば、一方若しくは双方の端部又はその間の部分)は、摩擦低減剤の塗布の前にマスキングされる。内面部分(複数の場合もある)は、例えば、接着剤によって表面部分に施されるマスキング材料を用いてマスキングすることができる。代替的に、内面の直径に実質的に合致する直径と、チューブの内面のうちコーティングを施すことが所望されない長さに対応する長さとを有する円筒外壁を有する円筒形プラグを、医療用チューブ100内に挿入することができる。1つの例において、プラグは拡張可能であり、ゴム等のエラストマー材料から作製することができる。別の例において、プラグは、チューブの内面に対して係合及びシールされるOリングを有することができる。1つの例において、プラグは、ガス又は流体の通過のために中心が開放しているチューブであり、それにより、チューブの両側からコーティングが入り込むことが可能である。そのようなプラグは、プラグが係合する内面部分が摩擦低減剤にさらされることを妨害することができる。所望の内面部分(複数の場合もある)がマスキングされると、摩擦低減剤(例えば、パリレン)を、マスキングされていない内面の残りの部分がコーティングされるように、医療用チューブ100の内面に塗布することができる。摩擦低減剤が塗布(及びいくつかの例において、硬化又は乾燥)された後、マスキング器具(複数の場合もある)(例えばプラグ(複数の場合もある))は、医療用チューブ100から取り除くことができる。
【0115】
上述した方法は、医療用チューブの内面の1つ以上の部分(例えば、一方又は双方の端部)が摩擦低減剤によってコーティングされないようにして、摩擦低減剤で部分的にコーティングされた内面を有する医療用チューブ100を製造することができる。
【0116】
上述した方法は、外面を摩擦低減剤によって部分的にコーティングするために、特に医療用チューブの外面の1つ以上の部分(例えば、一方又は双方の端部)が摩擦低減剤でコーティングされないように、医療用チューブ100の外面に同様に施すことができることを理解すべきである。例えば、外面部分(複数の場合もある)は、例えば、接着剤によって表面部分に施されるマスキング材料を用いてマスキングすることができる。代替的に、外面の直径に実質的に合致する直径と、チューブの外面のうちコーティングを施すことが所望されない長さに対応する長さとを有する円筒内壁を有する円筒形リングを、医療用チューブ100上に摺動させることができる。1つの例において、リングは拡張可能であり、ゴム等のエラストマー材料から作製することができる。別の例において、リングは、チューブの外面に対して係合及びシールされるOリングを有することができる。そのようなリングは、リングが係合する外面部分が摩擦低減剤にさらされることを妨害することができる。所望の外面部分(複数の場合もある)がマスキングされると、摩擦低減剤(例えば、パリレン)を、外面のマスキングされていない残りの部分がコーティングされるように、医療用チューブ100の外面に塗布することができる。摩擦低減剤が塗布(及びいくつかの例において、硬化又は乾燥)された後、マスキング器具(複数の場合もある)(例えば、リング(複数の場合もある))は、医療用チューブ100から取り除くことができる。
【0117】
上述した流体システム10は、記載の医療用チューブ100を通して患者の体に物質を送達する及び/又は患者の体から物質を除去するのに有用であり得る。いくつかの態様において、流体システム10は、医療用チューブ100を通して患者に治療剤を送達するように構成することができる。例えば、流体システム10は、医療用チューブ100の近位端部104に流体連結された送達システムを含むことができ、例えば、或る特定の温度(例えば、体温)に制御された流体(例えば、生理食塩水)、抗炎症剤、抗不整脈剤、感染症薬剤、心血管薬、感染症対照薬、抗炎症若しくは炎症促進薬、がん治療薬、胸膜癒着を促進する薬、鎮痛薬、又はそれらの組合せ等の治療剤を、医療用チューブ100を通して患者に送達するように構成される。送達システムは、制御システム(例えば、制御システム300)のコントローラー(例えば、コントローラー302)に動作的に接続することができ、それにより、特定のプログラムに従って及び/又は制御システムの1つ以上のセンサー(例えば、センサー306)によって検出されたパラメーター(複数の場合もある)に応じて、送達システムを自動的に動作させることができる。1つの実施形態において、投入される流体の正確な体積が追跡され、排出される総体積から減算されることにより、ドレナージの体積がわかり、また、後に全ての流体が除去されるとわかるようになっている。図30を参照すると、1つの実施形態において、体腔チューブは、主内腔に加えて1つ以上の追加の内腔を有する。追加の内腔は、体腔チューブの外部に流体を投与して、チューブの周りの空間をその流体によって処理することを容易にするものである。1つの実施形態において、流体は、チューブ清掃駆動機構の一部である流体リザーバー、又は流体収集キャニスター内に収容される。1つの実施形態において、流体は、ポンプによって制御される。1つの実施形態において、流体は、リザーバーに加わる圧力によって投与され、体腔チューブ外の体腔への一定体積の送達を維持するために、流体制御弁(fluid restricted or restrictive valve)によって制御される。1つの実施形態において、補助チューブの内腔は、ちょうど体腔ドレナージチューブの長さである。別の実施形態において、このチューブは、体腔チューブから遠隔に流体を送達するために、1つ以上の方向において主チューブの外部に延在することができる。1つの実施形態において、この流体は、体温よりも上、体温と同じ、又は体温よりも下になるように温度制御される。1つの実施形態において、流量は、cc毎分単位で制御される。1つの実施形態において、流体投与は監視及びデジタル表示される。1つの実施形態において、流体投与体積が監視され、ドレナージ総量から減算されることにより、記録される正確なドレナージ量が流体送達体積と流体排出体積とに分けられるようになっている。1つの実施形態において、総失血量が、ドレナージ総量から投与された流体を引くことを含む式によって推定される。1つの実施形態において、送達される流体のパラメーターにより、投与された流体が認識されないまま保持されていることを防止するために、排出が行われなかった場合、アラームが提供される。1つの実施形態において、除去された流体は、出血、感染症、炎症、又は他の身体特性からの経時的な体腔の回復を監視するために、pH、ヘマトクリット、酸化還元状態、温度等の特性(本明細書の他の列挙を参照)について分析される。1つの実施形態において、これは、医療用チューブ清掃装置(本出願人の先行知的財産の全て)と組み合わされ、凝塊又は他の閉塞物質による体腔ドレーンチューブの閉塞に起因して適切に排液されていない体腔内に、流体が投与されることを防ぐ。1つの実施形態において、流体は、生理食塩水又は他の生理的平衡流体代替製剤(physiologically balanced fluid replacement formulas)である。1つの実施形態において、流体は、胸膜癒着を引き起こす化学物質(すなわち、タルク、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、又は硬化を引き起こすように意図された他の製剤)である。1つの実施形態において、流体は、抗生剤、抗菌剤、又は感染症治療のための他の薬剤である。1つの実施形態において、薬剤は、新生物を処置するための抗がん剤である。1つの実施形態において、流体は、抗炎症剤、抗不整脈剤、抗線維素溶解剤、線維素溶解促進剤、又はそれらの任意の組合せである。1つの実施形態において、補助内腔は、前進又は後退させることができる。1つの実施形態において、前進又は後退は、内部構造の損傷の可能性を防ぐ又は最小限に抑えるために、ガイドワイヤを介して行うことができる。
【0118】
或る特定の実施形態に関して本発明を記載したが、本発明は、本明細書に開示の本質的に例示的かつ非限定的な実施形態に限定されず、本開示を検討すれば当業者には想到されるとともに添付の特許請求の範囲に記載の本発明の趣旨及び範囲内にある全ての変更形態及び改変形態を含むことを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図11F
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19A
図19B
図19C
図19D
図19E
図20
図21
図22A
図22B
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
【手続補正書】
【提出日】2022-07-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用チューブ内のデブリを清掃する駆動システムであって、
内部を画定し、前記医療用チューブと前記内部との間の流体連通を確立するように適合された入口を有するハウジングと、
少なくとも一部が前記内部にある細長いガイドワイヤと、
前記ガイドワイヤと摩擦係合するように前記内部に配置され、軸について回転するように構成されるローラーと、
前記ガイドワイヤを、前記ローラーとの前記摩擦係合により、前記入口を通して前進または後退させるために前記ローラーを駆動するように動作可能なモーターと、を備えている、駆動システム。
【請求項2】
前記ローラーは、対向面から離間し、
前記ガイドワイヤは、前記ローラーと前記対向面との間の空間を通過し、
前記ガイドワイヤは、前記入口を通して前進または後退するときに、当接面と前記ローラーとの両方に係合する、請求項1に記載の駆動システム。
【請求項3】
前記内部に少なくとも部分的に配置されるガイドワイヤチューブを、さらに備え、
前記ガイドワイヤは、前記ガイドワイヤチューブ内に少なくとも部分的に受け入れられ、前記ガイドワイヤチューブ内を並進可能である、請求項1に記載の駆動システム。
【請求項4】
前記ガイドワイヤチューブの一端は、前記ハウジングの前記入口を画定する、請求項3に記載の駆動システム。
【請求項5】
前記ローラーは、前記ガイドワイヤチューブにおける切欠きを介して受け入れられ、前記ガイドワイヤチューブの内壁面に対向し、
前記ガイドワイヤは、前記ローラーと前記内壁面との間を通過する、請求項3に記載の駆動システム。
【請求項6】
前記ガイドワイヤチューブは、直線状構成を有する、請求項3に記載の駆動システム。
【請求項7】
前記ガイドワイヤチューブは、第1部分および第2部分を有し、前記第1部分は、前記内部の外側に延び、前記第2部分は、前記内部の全体に配置される、請求項3に記載の駆動システム。
【請求項8】
前記第1部分は直線状に延びており、前記第2部分はコイル状であり、前記細長いガイドワイヤは、前記ハウジングの前記内部に後退するときに、コイル状構成で前記ガイドワイヤチューブに収容される、請求項7に記載の駆動システム。
【請求項9】
前記ガイドワイヤチューブの前記第2部分は、前記ハウジングと一体である、請求項7に記載の駆動システム。
【請求項10】
前記モーターを前記ローラーに動作可能に連結するギア式伝動装置をさらに備える、請求項1に記載の駆動システム。
【請求項11】
前記モーターに電気エネルギーを供給する、前記ハウジング内にシールされたバッテリーをさらに備える、請求項1に記載の駆動システム。
【請求項12】
前記ハウジングは、使い捨て可能に構成される手持ち式アセンブリである、請求項11に記載の駆動システム。
【請求項13】
前記ハウジング内に、前記モーターに動作的に接続されたコントローラーをさらに備え、前記コントローラーは、前記ガイドワイヤを前進または後退させるために前記モーターを動作させるように構成される、請求項1に記載の駆動システム。
【請求項14】
前記コントローラーは、特定のプログラムに従って、および/または、前記コントローラーに通信される検知されたパラメーターに応じて、前記モーターを選択的に動作させるように構成される、請求項13に記載の駆動システム。
【請求項15】
前記コントローラーは、制御システムに動作的に接続されるとともに、制御システムの一部を形成し、
前記制御システムは、1つ以上のパラメーターを検出して、検出された1つ以上のパラメーターを示す信号を前記コントローラーに送信するように構成された1つ以上のセンサーを備える、請求項13に記載の駆動システム。
【請求項16】
前記1つ以上のセンサーは、前記医療用チューブの又は前記医療用チューブにおける以下の条件のうちの1つ以上、すなわち、前記医療用チューブの向き;前記医療用チューブ内での清掃部材の位置;圧力レベル、pHレベル、グルコースレベル、タンパク質レベル、又は前記医療用チューブ内の物質の酸化還元状態;前記医療用チューブ内の詰まり;前記医療用チューブにおける捩れ;前記医療用チューブにおけるフィブリン凝塊分解副産物、エンドトキシン、細菌感染副産物、活性酸素、又はヘマトクリットの量を検出するように構成されている、請求項15に記載の駆動システム。
【請求項17】
前記1つ以上のセンサーは、前記医療用チューブによって治療を受ける患者の以下の条件のうちの1つ以上、すなわち、体温、心拍数及び周期、不整脈、呼吸数、炎症レベル、痛みレベル、若しくは酸素飽和レベル;患者の向き;患者の活動レベル;患者の咳嗽;1日あたりの患者の歩数;患者が行っている活動の種類;患者の居場所;又は患者が特定の場所に居た時間の長さを検出するように構成される、請求項15に記載の駆動システム。
【請求項18】
前記医療用チューブに連結されるように適合された第1のチューブ部分と、吸引源に連結されるように適合された第2のチューブ部分と、前記ハウジングの前記入口に連結されるように適合された第3のチューブ部分とを有するY字形カップリングをさらに備え、
前記第3のチューブ部分は、前記ガイドワイヤの通過を許容して収容する開口部であって、流体または他の物質が前記開口部を通して前記ハウジングの前記入口に向かうことを阻止する開口部を画定する手段を有する、請求項1に記載の駆動システム。
【請求項19】
医療用チューブ内のガイドワイヤを駆動する方法であって、
請求項1の駆動システムを前記医療用チューブに接続し、前記医療用チューブと前記ハウジングの入口との間に流体連通をもたらすことと、前記入口及び前記医療用チューブを通して前記ガイドワイヤを前進および後退させるように前記ローラーを動作させることとを含む、方法。
【請求項20】
医療用チューブ内のデブリを清掃する駆動システムであって、該システムは、
滅菌された内部を画定し、前記医療用チューブと流体連通を確立するように適合された入口を有するハウジングと、
前記内部に少なくとも部分的に配置されたガイドワイヤチューブであって、ガイドワイヤチューブにおいて形成された切欠きを有するガイドワイヤチューブと、
前記ガイドワイヤチューブ内に配置され、前記ガイドワイヤチューブ内を並進可能である細長いガイドワイヤと、
前記内部に収容され、前記切欠きを介して前記ガイドワイヤチューブ内に部分的に受け入れられる周面を有するローラーであって、回転可能なローラーと、
前記内部に配置されるモーターであって、前記ガイドワイヤと前記ローラーの前記周面との係合を経て、前記ガイドワイヤを、前記入口を通して並進可能に前進および後退させるために前記ローラーを駆動するように動作可能なモーターと、を備えている、駆動システム。
【請求項21】
前記ガイドワイヤチューブは、第1部分および第2部分を有し、前記第1部分は、前記内部から、前記ハウジングの壁を通って、前記ハウジングの外側まで直線状に延び、前記入口は、前記ハウジングの前記壁の外側の前記ガイドワイヤチューブの端部によって形成され、前記第2部分は、コイル状であり、前記細長いガイドワイヤは、前記内部に後退するときに、コイル状構成で前記ガイドワイヤチューブ内に収容される、請求項20に記載の駆動システム。