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▶ ボード オブ トラスティーズ オブ ミシガン ステート ユニバーシティの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022141807
(43)【公開日】2022-09-29
(54)【発明の名称】透明エネルギー取り込み装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/055 20140101AFI20220921BHJP
【FI】
H01L31/04 622
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114145
(22)【出願日】2022-07-15
(62)【分割の表示】P 2020003658の分割
【原出願日】2015-03-18
(31)【優先権主張番号】14/220,850
(32)【優先日】2014-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】502243376
【氏名又は名称】ボード オブ トラスティーズ オブ ミシガン ステート ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ルント,リチャード アール.,ザ サード
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ,イム
(57)【要約】      (修正有)
【課題】透明発光型太陽光集光器(TLSC)が提供される。
【解決手段】透明発光型太陽光集光器は、近赤外光の、吸収と端面に搭載されたまたは組み込まれた太陽光電池アレイへの放射との両方を選択的におこなう、導波路基質の中に組み込まれた発光団を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの太陽光電池アレイまたは少なくとも1つの太陽光電池素子と、
前記少なくとも1つの太陽光電池アレイまたは少なくとも1つの太陽光電池素子と連結されている導波路と、を備え、
前記導波路は、ヨウ化2-[7-(1,3-ジヒドロ-1,3,3-トリメチル-2H-インドール-2-イリデン)-1,3,5へプタトリエンチン]-1,3,3-トリメチル-3H-インドリウム(HITCI);ヨウ化2-[2-[2-クロロ-3-[(1,3-ジヒドロ-3,3ジメチル-1-プロピル-2H-インドール-2イリデン)エチリデン]-1-シクロヘキセン-1-イル]エテニル]-3,3-ジメチル-1-プロピルインドリウム(IR780);塩化3-(6-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イルオキシ)-6-オキソヘキシル)-1,1-ジメチル-2-((E)-2-((E)-3-((E)-2-(1,1,3-トリメチル-1H-ベンゾ[ゼ]インドール-2(3H)-イリデン)エチリデン)シクロヘックス-1-エニル)ビニル)-1H-ベンゾ[ゼ]インドリウム(Cy7.5NHSエステル);塩化1-(6-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イルオキシ)-6-オキソヘキシル)-3,3-ジメチル-2-((E)-2-((E)-3-((E)-2-(1,3,3-トリメチルインドリン-2-イリデン)エチリデン)シクロヘックス-1-エニル)ビニル)-3H-インドリウム(Cy7NHSエステル、“CY”);塩化1,1-ジメチル-3-(6-オキソ-6-(プロプ-2-イニルアミノ)ヘキシル)-2-((1E,3E,5E,)-5-(1,1,3-トリメチル-1H-ベンゾ[ゼ]インドール-2(3H)イリデン)ペンタ-1,3-ジエニル)-1H-ベンゾ[ゼ]インドリウム(Cy5.5アルキン);塩化1-(5-カルボキシペンチル)-3,3-ジメチル-2-((E)-2-((E)-3-((E)-2-(1,3,3-トリメチルインドリン-2-イリデン)エチリデン)シクロヘックス-1-エニル)ビニル)-3H-インドリウム(Cy7カルボキシ酸);およびこれらの化合物から成る群から選択された導波路リダイレクト物質を含み、
前記導波路リダイレクト物質は、肉眼視で透明であり、
前記導波路リダイレクト物質は、約650nmよりも長い波長に最大の光吸収ピークを有し、約650nmよりも長い波長に最大の光放射ピークを有することによって、電磁波長域の近赤外(NIR)領域における光を選択的に収集および発光し、
前記導波路リダイレクト物質は、約20%よりも高い量子収量において光を放射するように構成され、
人間の視覚に対して透明であり、約50%よりも高い平均可視光透過率を有する、エネルギー収集システム。
【請求項2】
前記導波路リダイレクト物質は、約700nmよりも長い波長に最大の光吸収ピークを有する、請求項1に記載のエネルギー収集システム。
【請求項3】
前記導波路リダイレクト物質は、約800nmよりも長い波長に最大の光吸収ピークを有する、請求項2に記載のエネルギー収集システム。
【請求項4】
前記導波路リダイレクト物質は、単一の導波路リダイレクト物質である、
請求項に記載のエネルギー収集システム。
【請求項5】
前記導波路は、ポリマーに埋め込まれた前記導波路リダイレクト物質を含む請求項1~3の何れか1項に記載のエネルギー収集システム。
【請求項6】
前記ポリマーは、(ポリ)-メタクリル酸ブチル-co-メタクリル酸メチル(PBMMA)を含む請求項5に記載のエネルギー収集システム。
【請求項7】
前記導波路リダイレクト物質は、約450nmよりも短い波長に2番目に大きい光吸収ピークを有することによって、電磁波長域の紫外(UV)領域における光をさらに収集する請求項に記載のエネルギー収集システム。
【請求項8】
前記導波路リダイレクト物質は、ヨウ化2-[7-(1,3-ジヒドロ-1,3,3-トリメチル-2H-インドール-2-イリデン)-1,3,5へプタトリエンチン]-1,3,3-トリメチル-3H-インドリウム(HITCI);塩化1-(6-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イルオキシ)-6-オキソヘキシル)-3,3-ジメチル-2-((E)-2-((E)-3-((E)-2-(1,3,3-トリメチルインドリン-2-イリデン)エチリデン)シクロヘックス-1-エニル)ビニル)-3H-インドリウム(Cy7NHSエステル、“CY”);あるいは、これらの化合物である請求項1に記載のエネルギー収集システム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの太陽光電池アレイまたは少なくとも1つの太陽光電池素子は、前記少なくとも1つの太陽光電池素子を含む、請求項1~8の何れか1項に記載のエネルギー収集システム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの太陽光電池素子は、前記導波路の端部に配置されている、請求項9に記載のエネルギー収集システム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの太陽光電池アレイまたは少なくとも1つの太陽光電池素子は、前記少なくとも1つの太陽光電池アレイを含む、請求項1~8の何れか1項に記載のエネルギー収集システム。
【請求項12】
前記少なくとも1つの太陽光電池アレイは、前記導波路の表面に配置されている、請求項11に記載のエネルギー収集システム。
【請求項13】
前記少なくとも1つの太陽光電池アレイは、前記導波路の内部に埋め込まれている、請求項11に記載のエネルギー収集システム。
【請求項14】
前記少なくとも1つの太陽光電池アレイまたは少なくとも1つの太陽光電池素子は、ゲルマニウム(Ge)、非晶質ゲルマニウム(a-Ge)、ガリウム(Ga)、ヒ化ガリウム(GaAs)、珪素(Si)、非晶質珪素(a-Si)、珪素-ゲルマニウム(SiGe)、非晶質珪素-ゲルマニウム(a-SiGe)、リン化ガリウムインジウム(GaInP)、セレン化銅インジウム、硫化銅インジウム、セレン化銅インジウムガリウム、硫化銅インジウムガリウム、テルル化カドミウム(CdTe)、ペロブスカイト(PV)、またはこれらの化合物の内、少なくとも1つを備える請求項1~13の何れか1項に記載のエネルギー収集システム。
【請求項15】
前記導波路の第1表面に連結されている第1波長選択式鏡をさらに備え、
前記第1波長選択式鏡は、可視光を透過させるが、NIR光を反射する請求項1~14の何れか1項に記載のエネルギー収集システム。
【請求項16】
前記導波路の第2表面に連結されている第2波長選択式鏡をさらに備え、
前記第2波長選択式鏡は、可視光を透過させるが、NIR光を反射し、
前記導波路は、前記第1波長選択式鏡および前記第2波長選択式鏡の間に位置する請求項15に記載のエネルギー収集システム。
【請求項17】
前記第1波長選択式鏡は、前記第2波長選択式鏡とは異なる波長域でNIR光を反射する請求項16に記載のエネルギー収集システム。
【請求項18】
前記第1波長選択式鏡は、前記第2波長選択式鏡と同一である請求項17に記載のエネルギー収集システム。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本願は、2014年3月20日に出願された、米国特許出願第14/220,850号に対する優先権を主張する。上記の出願の全開示が本明細書に参照によって組み込まれる。
【0002】
〔背景〕
本願は一般に、統合された太陽光窓のための太陽光集光器、特に、透明太陽光集光器に関する。
【0003】
構築された環境の中の統合された太陽光取り込みシステムは、太陽光電池の導入コストに対する影響が低く、収集効率を高める、広い範囲における太陽光エネルギーの置き換え可能な捕捉の手段である。しかしながら、コスト、建築上のインピーダンス、そして最も重大なのは、美観のために、建物、およびその周囲に従来の太陽光モジュールを設置することに関連する困難性によって、建物外面における太陽光取り込みシステムの広い普及は、著しく阻害されている。
【0004】
発光型太陽光集光器(「LSC」)の概念はよく知られており、近年の燐光および蛍光発光団の効率の改善とともに、LSCシステムの効率は7.1%上昇した。光の光学的な集光は、システム全体の変換効率を(LSCの積層なしで)10%未満に制限するが、高価な太陽光電池が必要とされる領域を劇的に減らし、導入コストを下げ、太陽光電池の表面領域における電力生成の比率を向上させる。モジュールとシステムコストのバランスとのそれぞれの中の要素である、ガラスおよび土地の高いコストの理由から、性能を向上させ、低いモジュールコストの可能性を有しているにも関わらず、このようなLSCはソーラーファームの実行にめったに採用されない。さらに、建築上の窓としてのLSCの活用に対する関心が明らかにされている。しかしながら、現在まで、これらのシステムは、波長帯の可視光の部分における吸収と発光(白熱)とに制限され、窓におけるこのようなデバイスの広い普及を阻害してきた。一般的に、窓の目的は、自然光を視野と共に提供する事であって、言い換えれば、多くの人々は強く色づけされたガラスの背後で作業することを望まない。このため、高水準の無色透明性が、至る場所での採用には望ましい。
【0005】
LSCの性能は、構成要素の効率:発光団光ルミネセンス効率(量子収量)、太陽波長帯吸収効率、導波(捕捉)効率、太陽光電池の効率、および移送(再吸収)効率によると理解されてもよい。最も高いLSCの性能は、再吸収(ストークスシフト)損失を減らし、波長帯にわたる全体の吸収効率を向上させるようにふるまう、燐光有機分子または(量子ドットもしくは有機色素のような)複数の発光団の混合を活用する。報告された最も高い効率(6-7%)は、大きな形状のLSCが、効率を5%未満に制限する、相当量の再吸収を受けるため、比較的小さい板(0.1平方メートル未満)に対するものである。
【0006】
LSCは、特に大きな形状の板に対して、再吸収損失によって最も大きく制限されることが、長く認知されている。実際、LSCに関する多くの研究が、数ミクロン未満の厚さの良質の膜色素のみに適用可能な、有機発光団のストークスシフトの向上と、ストークスシフトまたは共鳴シフトを人為的に向上させる色素最適化とを通じた、これらの再吸収損失の削減に焦点があてられている。
【0007】
以前の透明太陽光取り込み構造の構築の取り組みは、:(1)一般に、激しい色付けまたは制限された透過率、もしくは効率と透過性との間の固有のトレードオフを有する、半透明薄膜光電池、(2)可視において吸収または発光する色づけられた発色団を組み込まれたLSC、または(3)直接光のみを収集し、太陽光の追跡が必要である、波長依存の光学を使用した光学系に焦点があてられている。これら全ての試みは、美観上の性質、嵩高性、または相当量の透明性の制限のために、窓の適用のためのこれらの可能性が激しく制限される。これらの試みは、従来の装置においては同時に最適化することができない、電力変換効率(「PCE」)と可視透過性(「VT」)との間の固有のトレードオフに苦しむ。可視光の波長帯内に最大の吸収を有する、一般的な有機光電池(PV)によって、構造の採用はさらに阻害され、高く色付けされ自然光としての品質に乏しい、粗悪な色表現指数(「CRI」)の結果に繋がる。対照的に、目に見えるほどの透明性を得るために、構造の採用を妨げ、広い領域のスケーリングの明確な手段を提供する、美観のトレードオフ(低いVTまたはCRI)を避ける紫外/近赤外選択太陽光集光器は好ましい。
【0008】
図1は従来の構成における発光型太陽光集光器(LSC)100の切断面の描写を示している。SC100は第1無機太陽光電池105と、第2無機太陽光電池または反射被覆110と、基板115と、導波リダイレクト素材120とを備える。導波リダイレクト素材120は近赤外発光色素または散乱粒子であってもよい。長角括弧125は入射する太陽束、短角括弧130はNIR光線、黒矢印135は可視光を表している。矢印140は導波されたNIR光線を表す。LSC100の効率に悪影響を及ぼす要因は、発光団光ルミネセンス効率(量子収量)の低さ、太陽波長帯吸収効率の低さ、導波(捕捉)効率の低さ、太陽光電池の効率の低さ、および移送(再吸収)効率の低さを含む。
【0009】
様々な従来の装置が、至る所に分散された、発光または散乱因子を有する、発光型太陽光収集器を搭載している。例示的な米国特許として、第4,155,371号(“Luminescent Solar Collector” Wohlmut et al.1979年5月22日公表)、第4,159,212号(“Luminescent Solar Collector” Yerkes 1979年6月26日公表)、第4,357,486号(“Luminescent Solar Collector” Blieden et al. 1982年11月2日公表)、第2009/0027872号(“Luminescent Object Comprising Aligned Polymers having a Specific Pretilt Angle” Debije et al. 2009年1月29日公表)、および第2010/0288352号(“Integrated Solar Cell Nanoarray Layers and Light Concentrating Device” Ji et al. 2010年11月18日公表)が含まれる。これらの参照の全てが本明細書に参照として組み込まれる。
【0010】
〔概要〕
本技術に基づいて、透明発光型太陽光集光器(TLSC)が提供される。システムは、太陽光電池アレイと、導波路と、導波路リダイレクト物質とを備える。様々な実施形態において、導波路リダイレクト物質は太陽光電池アレイと連結されている。導波路リダイレクト物質は太陽光電池アレイに組み込まれてもよい。いくつかの実施形態において、導波路リダイレクト物質は太陽光電池アレイと並列されてもよい。導波路リダイレクト物質は散乱ナノ粒子を備えていてもよい。システムは複数のアレイを備えていてもよい。
【0011】
一様態において、発光型太陽光集光器(LSC)は、約650nmよりも長い波長の近赤外光を選択的に吸収する。さらなる様態における発光型太陽光集光器(LSC)は、重合基質中に組み込まれた分散ナノ結晶群を採用する。
【0012】
本器具および方法は、従来の装置に対して有利である。例えば、本発光型太陽光集光器は、人の視野にとって高い透明性を有し、その結果、構造建築物、温室、自動車、飛行機、船舶、または同様の物の観賞窓における使用にとって、これは理想的に適する。さらに、発光団、および本器具の多数の組み合わされた様態は、約10~25%よりも高い量子収量を獲得する。
【0013】
以前の不利を解決するため、本低コスト太陽光集光器は、可視波長帯における高い透明性を有し、建物外面における窓およびガラスシステムへの一体化が可能である、エキシトンの特徴および分子染料の構築された吸収は、導波路の中に組み込まれた、高効率の分割太陽光電池アレイへの、より深いNIR発光団の放射の導波によって、NIR光を選択的に収集する、近赤外(「NIR」)LSC構造を実現し、その結果、いくらかの視覚上の支障を低減し、NIRへの光子収集の範囲を延長する、高価な太陽光素材の必要な量を最小限にする。近赤外光子の大多数を利用できる特定の発光団は、これらの透明システムに対して理想的に適する。発光団は、シアニン、シアニン塩を混合し、スクアリリウムは、高い透明性を有し、最小限の色付けがなされたTLSCに対して特に適している。したがって、この器具は、窓の広い採用において、システムの効率を約0.1~5%より高く、平均可視光透過率を約70%より高く、そして演色評価数を約85%よりも高く、透明太陽光集光器を最適化する。このSCは、太陽光集光器の、窓ガラスの美観および構造上の設計の自由度を維持しつつ、直接光および入射光の両方から電気を生成し、低光量効率を高める。
【0014】
〔図面〕
ここに示された図面は、選択された実施形態の図解のみを目的としており、全ての実行可能性を図解しておらず、本開示の範囲を限定しようとするものではない。
【0015】
図1は、従来の発光型または分散型太陽光集光器の図である。
【0016】
図2は、ボストン、MAの建築物の周囲の太陽束を示す図である。
【0017】
図3A~3Dは、第1太陽光集光器の図である。
【0018】
図4A~4Dは、第2太陽光集光器の図である。
【0019】
図5は、反射鏡を有する太陽光集光器の図である。
【0020】
図6A-6Jは、様々な発光団の放射スペクトルを示すグラフである。
【0021】
図7A-7Cは、透明発光型太陽光集光器の概略(7A)と、CYおよびHITCの構造(7B)と、可視波長帯外において吸収と放射との両方の必要性を強調する、CY染料が組み込まれた透明LSCシステムの写真(7C)とを示す。
【0022】
図8A-8Bは、NIR吸収をするCYおよびHITCIの、規格化された吸収(丸)および放射(四角)スペクトル(8A)と、集光の関数としての、ジクロロメタンにおけるCYおよびHITCIの測定された量子収量(QY)と吸収(8B)とを示し、実線はQYと吸収に対するベア-ランバートの法則とに対する数式1への当てはめである。
【0023】
図9A-9Dは、Voc、FF、電力効率、およびCY装置の応答度の光強度依存(9A)と、二つの発光団を有する、全て組み立てられたLSCシステムに対する電圧の関数としての電流密度(9B)と、0.02mから0.07mまで、10mmの増分において測定された波長の関数としての、LSCシステムのEQE(9C)と、円に示された、測定されたEQEを有する、CYLSC長の関数としての、計算されたEQE(9D)とを示す。
【0024】
図10は、LSC長の関数と、シミュレートされたストークスシフトの関数としてのCYLSC光学効率の計算を示し、CYおよびHITCIは、それぞれ20nmおよび30nmのストークスシフトを基準として有する。
【0025】
一致する参照番号は、いくつかの図面を通して一致する部材であることを示している。
【0026】
〔詳細な説明〕
下記の技術の説明は、本質的に、一つ以上の発明の主題、製造物、および使用の、単なる例示に過ぎず、本適用例またはそこから発表される特許に対して優先権の主張をされ得るものとしての、本適用例またはそのような他の適用例において、主張された何れかの特定の発明の範囲、適用例、および使用を限定しようとするものではない。
【0027】
本明細書および特定の例は、技術の実施形態を示すが、図解のみを目的としようとするものであり、技術の範囲を限定しようとするものではない。さらに、明記された特徴を有する複数の実施形態の詳述は、さらなる特徴を有する他の実施形態、または明記された特徴の異なる組み合わせを組み込む他の実施形態の除外しようとするものではない。特定の例は、本技術の構成および方法の、作成方法および使用方法の図示を目的として提供され、そうでなければ明確に記載されない限り、本技術の与えられた実施形態が、作成されたか、作成されていないか、あるいは試行されたか、試行されていないかを説明しようとするものではない。
【0028】
本器具および方法の実施形態は(導波路の端部よりむしろ)頂部および/または底部における分割ソーラーアレイを組み込む、光収集システムの改善に方向づけられている。発光型太陽光集光器(LSC)を備えるシステムは、電磁波長域の近赤外(NIR)領域における波長を有する光を選択的に収集できる。したがって、NIR光を選択的に収取することにより、発光型太陽光集光器は、人間の目にとって、透明、または略透明とできる。
【0029】
本LSCは、ソーラータワー、方尖塔、および太陽光の収集を強める窓のような、作成された三次元構造において使用されてもよい。これらの構造は、同じ専有面積に相当する太陽光追跡ユニットよりも、実質的により磁束を収集できる。同様に、建築物も、各々の外面において日中を通し効率的に太陽光を収集する、優秀な太陽光の収集器としての役割を果たせる。例えば、図2において、ボストンの垂直な建築物の全ての四方からの太陽束密度の合計(9.3kWh/垂直m・日)は、同じ専有面積に相当する太陽光追跡ユニット(6.0kWh/水平m・日)でさえも、実質的により大きいと概算され、建物の活用される全ての垂直領域を占有したとすると、南に面する垂直な窓が、最も高い太陽束(およびしたがって、最も高い電力出力)を与えるものの、東西に面する窓は、日中を通して使用できる電力生成を伸ばす。
【0030】
アメリカ合衆国の全ての建築物の電力のおおよそ17%が、照明に使用されている。太陽光窓の採用の奨励は、建築物に、窓の空間をより活用し、自然光を増やし、照明のコストを削減させることを促すことができる。太陽光スペクトルの再現は、多くの建築物の照明の適用例の目標である。それぞれの太陽光窓は伝搬されたスペクトルに小さな変形を与えるだろう。このため、演色評価数(「CRI」)が、太陽光スペクトルの伝搬スペクトル(例えば、AM1.5G等)を巻き込むことにより、評価に用いられている。演色の枠組みは、伝搬されるべき波長域の可視波長域部分と、電力生成に使用されてもよい構成要素との決定に役立つ。例えば、1931CIE表色系は、約660nmおよび440nmにおいて、これらの極限以上および以下において、非常に小さな明所応答しかないため、座標のプロットが終わっており、440nm以下および660nm以上が、活用できる有効波長範囲であると規定している。これらは380~440nmおよび660~720nmの範囲において、いくらか応答があるものの、応答は特に限られたもの(最高応答度が2%未満)であり、このためこれらの波長は色の全体的な知覚に大きく寄与しない。
【0031】
ここで使用されるように、CRIは知覚できる可視光の範囲である。CRIは肉眼視で透明な太陽光電池の熱力学上の効率の限界を決定するために、実質的に活用される。特に、CRIは照明システムの品質の評価の評価基準であり、色づけされた窓の水準、すなわち知覚性の評価に活用できる。CRIは、照明国際会議(CIE)1976三次元均等色空間(CIELUV)、CIE1974試験色標本、および(黒体軌跡でない)色順応の補正の組み合わせにおける、理想的な伝搬の特徴(階段関数)に基づき計算され、必要であれば、以下の式を参照し、
【0032】
【数1】
【0033】
ここでΔL 、Δu 、およびΔv は、補正された参照太陽光スペクトル(AM1.5G)および伝搬源(T(λ)・AM1.5(λ))とともに「照らされた」それぞれの色標本i(合計8つ)との間の明度(L)および色度座標(u、v)の差である。重み付けされた可視光透過度(VT)の平均は、下記式で計算され、
【0034】
【数2】
【0035】
ここでλは波長、Tは伝搬スペクトル、Pは人間の目の明所応答、Sは太陽光エネルギー束であり、積分はPを完全に包含する十分な波長範囲(例えば、300~900nm)を超えて予め形成され、この結果、いずれの規定された可視波長範囲からも独立している。CRIおよび平均VTは、全体が参照によって本明細書に組み込まれる、Lunt, “Theoretical Limits for Visibly Transparent Photovoltaics,” Appl. Phys. Lett. 101, 043902 (2012)に詳細に記載されている。
【0036】
建物の電力の有意な一部分(15%~)は空調に活用される。冷却の効率は有意に低いものの、電気から熱への変換は高効率(ほぼ100%)である。太陽光窓として使用される本LSCは、電気の生成のためのエネルギーの活用と、透明、NIR選択鏡からの残りの排除によって、赤外光束からの望まない太陽光熱を劇的に減らすことができる。この電気生成に対する望まない資源の活用の付加的な利点は、現在の低い太陽光熱利得係数(SHGC)被覆技術を称賛する、または置き換えるかもしれない。この熱排除は、機能上、直接電力生成からの効率的なLECを、50~100%向上させることができる。
【0037】
太陽光光子束の大きな一部分は、電磁波長帯のNIR領域(~74%)におけるものである。この制限は、より小さなストークスシフトのNIR発光団の使用を可能にする、商業的に利用可能であり、平行または連続的に配線され、もしくは網目状にレーザパターンされ、LSC導波路中に組み込まれた、50~100μm幅にて高度に分割された太陽光電池アレイによって解決される。
【0038】
図3を参照すると、図3Aの第1方向、および図3Bの第2方向に示された、太陽光集光器(SC)300の第1の実施形態は、導波路310の頂部、中間、および底部に配された、分割無機太陽光電池アレイ305を含む。さまざまな実施形態において、ソーラーアレイ305は、導波路の内部に並べられる、または表面に配置される、ワイヤ、マイクロワイヤ、ナノワイヤ、リボン、細片、球体、ドット、またはこれらを組み合わせたもの、あるいは同様の物を含む網目からなる。一つ以上の太陽光電池アレイ305は熱損失の低減に利用される。しかしながら、コストおよび有用性は、結局のところセルの設計を促進するだろう。いくつかの実施形態において、SC300は、導波路310の端部に太陽光電池素子を備える。制限されない例として、GaAsセルがSiと比較して30%以上太陽光電池素子効率(ηSC)を引き上げることができるが、これらのセルのコストの概算は、Siの2または3倍以上である。使用可能な少なくとも15~20%高価なSiモジュールに対して、単色効率は、NIRLSC(900nmの放射)材料の一組に対して、ηPV=22~24%を変換する。したがって、使用可能となる高価でないより高いバンドギャップのセル(例えば、GaAs、およびGaInP)として、LSCシステムはSiとより効率的に結合されることが想像される。ソーラーアレイ305または太陽光電池素子は、技術において知られている何れかの材料を備えることができる。ソーラーアレイおよび太陽光電池素子の材料の限られない例は、ゲルマニウム(Ge)、非晶質ゲルマニウム(a-Ge)、ガリウム(Ga)、ヒ化ガリウム(GaAs)、珪素(Si)、非晶質珪素(a-Si)、珪素-ゲルマニウム(SiGe)、非晶質珪素-ゲルマニウム(a-SiGe)、リン化ガリウムインジウム(GaInP)、セレン化銅インジウム、硫化銅インジウム、またはこれらの化合物(CIS)、セレン化銅インジウムガリウム、硫化銅インジウムガリウム、またはこれらの化合物(CIGS)、テルル化カドミウム(CdTe)、CHNHPbI、CHNHPbCl、およびCHNHPbBrのようなペロブスカイト(PV)、またはこれらの化合物を含む。
【0039】
再び図3を参照すると、導波路310は、基板315への塗工または噴霧を通して、または基板315と交互に積層されたスレートとしての色素シートの積層を通して、基板315の内部に導波路リダイレクト物質320を形成された、ガラス、プラスチック、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)、ポリ-(メタクリル酸エチル)(PEMA)、または(ポリ)-メタクリル酸ブチル-co-メタクリル酸メチル(PBMMA)のような、透明または略透明の基板315を備える。いくつかの実施形態において、導波路リダイレクト物質320は基板315に組み込まれている。導波路リダイレクト物質320は可視光透過NIR発光色素または散乱粒子であってもよい。発光色素または散乱粒子は基質に組み込まれたナノ結晶群であってもよい。ガラスの吸収の低減への寄与の理由から、セイントゴバイン(パリ、フランス)のダイヤモント(登録商標)低鉄ガラス、およびプラニラックス(登録商標)透明ガラス、およびショット(マインツ、ドイツ)のボロフロート(登録商標)33ホウケイ酸塩ガラスのような、高い透明度の低鉄ガラスが好ましい。これらのガラスは、めったに窓の基本材料に使用されない、他の重合体を基にした導波路を超える、商業的な展開に対して選択された基板であり、特に、PMMAに匹敵するほどの低い吸収率を示す。有利なことに、太陽光電池素子の色素への近接は、熱損失の低減およびシステム全体の効率の改善をしつつ、より小さなストークスシフトの色素を使用可能にする。
【0040】
図3Cに示されるように、様々な実施形態において、ソーラーアレイ305は、基板315内に組み込まれていてもよい。太陽光電池素子305はSC300の第1表面340近傍の、第1位置325に組み込まれていてもよい。代わりに、太陽光電池素子305はSC300の中間領域における、第2位置330に組み込まれていてもよい。また、太陽光電池素子305はSC300の第2表面345近傍の、第3位置335に組み込まれていてもよい。中間領域300は第1表面340と第2表面345との間である。加えて、SC300は基板315内の異なる位置に配置された複数の太陽光電池アレイ305を備えていてもよい。ソーラーアレイ305は、第1表面340と第2表面345との内の一方、または両方の近傍にあってもよい。一実施形態において、SC300は、第1表面340と第2表面345とに隣接する、導波路310の側面において太陽光電池素子を備える。図3Dに示される、さらに異なる実施形態において、太陽光電池素子アレイ350は、SC300全体の厚み360とおおよそ同じ、厚み355を有している。
【0041】
図4に例示されるように、第1の実施形態にそれぞれ記載されたもの(図3)とおおよそ同様の、太陽光集中器400の第2の実施形態が、図4Aにおける第1方向、図4Bにおける第2方向において示されている。しかしながら、連続的に配線された太陽光電池アレイ405は、球またはドットのような、付加物410を含んでいてもよい。例えば、ソーラーアレイ405は、細線電気接続によって接続されたSi球状ソーラーアレイを備えていてもよい。好ましい実施形態において、ソーラーアレイ405は、共に網目に形成されて配線される球を備えていてもよい。有利には、球状または複数面のソーラーアレイ405の使用は、それぞれのセルが、複数の角度において、直接および間接の太陽光の両方を捕捉できるため、さらにシステムの効率を向上させる。図4Cおよび4Dに示されるように、ソーラーアレイ405は、SC400の表面またはその近傍において、基板315内の異なる位置に配置されていてもよく、またはソーラーアレイ405は、SC400全体の厚み460とおおよそ同じ、厚み455を有していてもよい。いくつかの実施形態において、SC400は、基板315内の異なる位置に配置された複数の太陽光電池アレイ405を備えていてもよい。他の実施形態において、SC400は、表面に隣接する、導波路310の側面に配置された太陽光電池素子を備える。ソーラーアレイ405または太陽光電池素子は、上述したような、技術において知られている何れかの材料から作られてもよい。
【0042】
導波路の頂部または底部に分割太陽光電池素子アレイを配置することによって、色素再吸収による光学的な損失の前に、放射された光を捕捉することが可能となる。代わりに、ソーラーアレイは導波路に組み込まれてもよい。この再吸収の低減は、特に、小さいストークスシフトの発光物質に対して有益である。太陽光電池素子アレイが導波路のどこに配置されているかに依存して、導波路リダイレクト物質は、太陽光電池アレイに組み込まれていても、または太陽光電池アレイと並列されてもよい。導波路リダイレクト物質として小さなストークスシフトの色素を使用することは、大きな開回路電圧VOCでの太陽光電池素子の使用を可能にする。このような色素は、熱損失を低減し、システム全体の効率を改善する。また、導波路の頂部または底部にアレイを配置することにより、前進発光の一部を捕捉し、さらに光学的な損失を低減し、素子の間のNIR光のより大きな部分の活用によって、空間的に分割された太陽光電池素子の効率を引き上げる。この配置は、透明な電力生成窓に対する、薄膜透明電池よりも単純な構造を作り出す。さらに、構造は窓の寿命も引き上げることができる。
【0043】
図5に示されるように、太陽光集光器(SC)500は第1波長依存鏡505を備えていてもよい。第1波長依存鏡505は、グラフ550に示されるように、導波路リダイレクト物質の発光スペクトルと一致するNIR光のみに反射率を有してもよい。したがって、第1波長依存鏡505は可視光510を透過させるが、NIR光515をグラフ550に示された放射範囲において反射する。第1波長依存鏡505は、発光団のような導波路リダイレクト物質を備える、SC500の第1表面520と、機能的に結合されてもよい。代わりに、第1波長依存鏡505は、SC500の第2表面525と、または表面520、525の両方と、機能的に結合されてもよい。他の実施形態において、導波路リダイレクト物質は、第2表面525上にあるか、もしくは導波路内部に組み込まれている。
【0044】
さらに図5を参照すると、SC500は第2波長依存鏡530を備えていてもよい。第2波長依存鏡530は、グラフ560に示されるように、導波路リダイレクト物質の吸収および発光スペクトルの両方と一致するNIR光に反射率を有してもよい。第2波長依存鏡530は可視光510を透過させるが、NIR光515をグラフ560に示された放射範囲において反射する。第2波長依存鏡はSC500の第1表面520、SC500の第2表面525、または表面520、525の両方と、機能的に結合されてもよい。好ましい実施形態において、第1波長依存鏡は、SC500の第1表面520と、機能的に結合され、第2波長依存鏡はSC500の第2表面525と、機能的に結合される。上述のように、光電池アレイは、第1表面520上、第2表面525上、または導波路内に廃止されてもよい。様々な実施形態において、SC500は、第1表面520上、第2表面525上、または導波路内の何れかに配置された、複数のソーラーアレイを備える。さらに他の実施形態において、SC500は、第1表面520および第2表面525に隣接する、SC500の端部に配置されたソーラーを備える。
【0045】
透明光電池(TPV)における、可視光透過選択式NIR鏡505、530の結合は、電力変換効率を、実質50~100%改善する。同様に、これらの鏡の結合は、与えられた光学密度の半分だけ必要な色素の量を減らしつつ、低いプレート面積における光学的効率を約20%よりも高く改善する。約0.5mよりも大きいLSCの大きさに対して、これらの鏡は、システムの効率を減らすかもしれない、何れかの表面およびバルク分散の不完全性を和らげるのに役立つ。鏡は、集光器の吸収を改善し、導波を向上させる、塗膜であってもよい。さらに、これらの塗膜層は、すでに至る所で実装され、熱排除に対するこれらの機能性の多くを補完または置き換えられる、低電子塗膜と非常に似ている。代替であるTiO、SiO、およびAlの層の組み合わせは、色効果および性能全体を最適化するための、電子ビーム揮発、パルスレーザ蒸着、プラズマ励起スパッタリング、熱蒸着、化学気相蒸着、または溶液蒸着によって成長されてもよい。
【0046】
散乱粒子は、酸化金属群、金属ナノクラスター、またはその両方であってもよい。酸化金属群は酸化金属を備える。酸化金属の限定されない例は、TiO、SiO、ZnO、およびAlを含む。金属ナノクラスターは、NIR光の分散に適した金属を備える。NIR光の分散に適した金属の限定されない例は、Ag、Au、Al、Cu、およびPtである。分散粒子は、単一の形状を有していてもよいし、もしくは、形状は粒子形状分布の結果に応じて変化してもよい。
【0047】
蛍光または燐光色素は、導波路リダイレクト物質として機能する、発光団を備える。本明細書において使用されるように、「発光団」は、蛍光または燐光を指す、発光を明白に示す、有機または無機の化合物を参照する。電磁波長域のNIR領域の光を利用する発光団は、本透明システムに対して理想的に適している。個別の発光団の性能は、透明NIR鏡の設計および組立の化学、精製、建築、ホストゲスト相互作用、および光子管理の組み合わせを通じて改善される。好ましくは、発光団は、約650nmよりも長い波長のNIR光を吸収する。650nmは、全体が参照によって本明細書に組み込まれる、Lunt, “Theoretical Limits for visibly Transparent Photovoltaics,” (Appl. Phys. Lett., 101, 043902, 2012,)において、実証されているように、人間の色知覚(全ての演色)の感度が緩み始める光の波長である。より好ましくは、発光団は、約700nmよりも長い波長、または約800nmよりも長い波長のNIR光を吸収する。様々な実施形態において、導波路リダイレクト物質は、可視光透過、NIR吸収、およびNIR放射の発光団である。
【0048】
シアニン色素、シアニン塩、およびナフサロシアニン誘導体は、NIR蛍光体に好ましい。最も高い相対的安定性が示されている、色素レーザにおいて歴史的に活用されているよく知られた色素の誘導体は、ナフサロシアニン誘導体(例えば、以前から透明太陽光電池素子において使用されている、波長選択分子)および様々な陰イオン代替可能性を有するチア炭素シアニン塩を含む。
【0049】
チア炭素シアニンは、電子バンドギャップ(放射範囲)を変化させるために、これらのアルケン長さ(ジ、トリ、テトラ等)を通じて調整されてもよい。与えられたバンドギャップに対して、これらの物体の量子収量は陰イオンの変化(Cl、I、ClO 等)を通じて、直接調整されてもよい。フタロシアニン、ポルフィリン、ナフサロシアニン、カーボンナノチューブ、および小ギャップ重合体の拡張共役分子誘導体は、高い量子収量とともに、NIR波長域の大部分を網羅するように採用されてもよい。
【0050】
好ましい発光団は、ヨウ化3,3’-ジエチルチア炭素シアニン(DTCI);ヨウ化2-[7-(1,3-ジヒドロ-1,3,3-トリメチル-2H-インドール-2-イリデン)-1,3,5へプタトリエンチン]-1,3,3-トリメチル-3H-インドリウム(HITCI);2-[2-[3-[1,3-ジヒドロ-1,1ジメチル-3-(3-スルホプロピル)-2H-ベンゼインドール-2-イリデン]-2-[4-(エトキシルカルボニル)-1ピペラジニル]-1-シクロペンテン-1-イル]エテニル]-1,1-ジメチル-3-(3-スルホプロピル)-1Hベンゼインドリウムヒロドキシド]分子内塩n,n-ジエチルエタナミン(1:1)混合物(IR144);ヨウ化2-[2-[2-クロロ-3-[(1,3-ジヒドロ-3,3ジメチル-1-プロピル-2H-インドール-2イリデン)エチリデン]-1-シクロヘキセン-1-イル]エテニル]-3,3-ジメチル-1-プロピルインドリウム(IR780);塩化アルミニウム2,3-ナフサロシアニン(AlNc);二塩化珪素2,3-ナフサロシアニン(SiNc);2-[2-[3-[(1,3-ジヒドロ-3,3-ジメチル-1-プロピル-2H-インドール-2-イリデン)エチリデン]-2-(フェニルチオ)-1-シクロヘキセン-1-イル]エテニル]-3,3-ジメチル-1-プロピルインドリウム過塩素酸塩(IR792);5,5’-ジクロロ-11-ジフェニルアミノ-3,3’-ジメチル-10,12-エチレンチアトリカーボシアニン過塩素酸塩(IR140);亜鉛2,11,20,29-テトラ-第3-ブチル-2,3-ナフサロシアニン(ZnNc);塩化3-(6-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イルオキシ)-6-オキソヘキシル)-1,1-ジメチル-2-((E)-2-((E)-3-((E)-2-(1,1,3-トリメチル-1H-ベンゾ[ゼ]インドール-2(3H)-イリデン)エチリデン)シクロヘックス-1-エニル)ビニル)-1H-ベンゾ[ゼ]インドリウム(Cy7.5NHSエステル);1-(6-((2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシ)-6-オキソヘキシル)-3,3-ジメチル-2-((E)-2-((E)-3-((E)-2-(1,3,3-トリメチル-5-スルホナトインドリン-2-イリデン)エチリデン)シクロヘックス-1-エン-1-イル)ビニル)-3H-インドール-1-イウム-5-硫化物(硫化-Cy7NHSエステル);塩化1-(6-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イルオキシ)-6-オキソヘキシル)-3,3-ジメチル-2-((E)-2-((E)-3-((E)-2-(1,3,3-トリメチルインドリン-2-イリデン)エチリデン)シクロヘックス-1-エニル)ビニル)-3H-インドリウム(Cy7NHSエステル、“CY”);塩化3-(6-(3-アジドプロピルアミノ)-6-オキソヘキシル)-1,1-ジメチル-2-((E)-2-((E)-3-((E)-2-(1,3,3-トリメチル-1H-ベンゾ[ゼ]インドール-2(3H)-イリデン)エチリデン)シクロヘックス-1-エニル)ビニル)-1H-ベンゾ[ゼ]インドリウム(Cy7.5アジド);塩化1-(5-カルボキシペンチル)-3,3-ジメチル-2-((E)-2-((E)-3-((E)-2-(1,3,3-トリメチルインドリン-2-イリデン)エチリデン)シクロヘックス-1-エニル)ビニル)-3H-インドリウム(Cy7アジド);塩化1,1-ジメチル-3-(6-オキソ-6-(プロプ-2-イニルアミノ)ヘキシル)-2-((1E,3E,5E,)-5-(1,1,3-トリメチル-1H-ベンゾ[ゼ]インドール-2(3H)イリデン)ペンタ-1,3-ジエニル)-1H-ベンゾ[ゼ]インドリウム(Cy5.5アルキン);塩化1-(6-(2-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)エチルアミノ)-6-オキソヘキシル)-3,3-ジメチル-2-((E)-2-((E)-3-((E)-2-(1,3,3-トリメチルインドリン-2-イリデン)エチリデン)シクロヘックス-1-エニル)ビニル)-3H-インドリウム(Cy7マレイミド);塩化3-(6-(2-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)エチルアミノ)-6-オキソヘキシル)-1,1-ジメチル-2-((E)-2-((E)-3-((E)-2-(1,1,3-トリメチル-1H-ベンゾ[ゼ]インドール-2(3H)-イリデン)エチリデン)シクロヘックス-1-エニル)ビニル)-1H-ベンゾ[ゼ]インドリウム(Cy7.5マレイミド);塩化1-(5-カルボキシペンチル)-3,3-ジメチル-2-((E)-2-((E)-3-((E)-2-(1,3,3-トリメチルインドリン-2-イリデン)エチリデン)シクロヘックス-1-エニル)ビニル)-3H-インドリウム(Cy7カルボキシ酸);1-ブチル-2-(2-[3-[2-(1-ブチル-3,3-ジメチル-1,3-ジヒドロ-インドール-2-イリデン)-エチリデン]-2-ジフェニルアミノ-シクロペント-1-エニル]-ビニル)-3,3-ジメチル-3H-インドリウムヘキサフルオロリン酸塩;1-ブチル-2-(2-[3-[2-(1-ブチル-3,3-ジメチル-1,3-ジヒドロ-インドール-2-イリデン)-エチリデン]-2-フェニル-シクロペント-1-エニル]-ビニル)-3,3-ジメチル-3H-インドリウムヘキサフルオロリン酸塩;ヨウ化3-エチル-2-[3-[3-(3-エチル-3H-ベンゾチアゾル-2-イリデン)-プロペニル]-5,5-ジメチル-シクロヘックス-2-エニリデンメチル]-3H-ベンゾチアゾル-3-イウム;1-ブチル-2-(2-[3-[2-(1-ブチル-3,3-ジメチル-1,3-ジヒドロ-インドール-2-イリデン)-エチリデン]-2-フェニル-シクロヘックス-1-エニル]-ビニル)-3,3-ジメチル-3H-インドリウムヘキサフルオロリン酸塩;1-ブチル-2-(2-[3-[2-(1-ブチル-3,3-ジメチル-1,3-ジヒドロ-インドール-2-イリデン)-エチリデン]-2-フェニル-シクロヘックス-1-エニル]-ビニル)-3,3-ジメチル-3H-インドリウムヘキサフルオロリン酸塩;ヨウ化3-エチル-2-[7-(3-エチル-3H-ベンゾチアゾル-2-イリデン)-ヘプタ-1,3,5-トリエニル]-ベンゾチアゾリウム;1-ブチル-2-[7-(1-ブチル-3,3-ジメチル-1,3-ジヒドロ-インドール-2-イリデン)-ヘプタ-1,3,5-トリエニル]-3,3-ジメチル-3H-インドリウムヘキサフルオロリン酸塩;2-[3-クロロ-5-[1,1-ジメチル-3-(3-メチル-ブチル)-1,3-ジヒドロ-ベンゾ[ゼ]インドール-2-イリデン]-ペンタ-1,3-ジエニル]-1,1-ジメチル-3-(3-エチル-ブチル)-1H-ベンゾ[ゼ]インドリウムヘキサフルオロリン酸塩;2-[5-[1,1-ジメチル-3-(3-メチル-ブチル)-1,3-ジヒドロ-ベンゾ[ゼ]インドール-2-イリデン]-ペンタ-1,3-ジエニル]-1,1-ジメチル-3-(3-エチル-ブチル)-1H-ベンゾ[ゼ]インドリウムヘキサフルオロリン酸塩;3,3-ジメチル-2-[2-[2-クロロ-3-[2-[1,3-ジヒドロ-3,3-ジメチル-5-スルフォ-1-(4-スルフォブチル)-2H-インドール-2-イリデン]-エチリデン]-1-シクロヘキセン-1-イル]-エテニル]-5-スルフォ-1-(4-スルフォブチル)-3H-インドリウムヒドロキシド分子内塩3ナトリウム塩;2-[2-(3-[2-[3,3-ジメチル-5-スルフォ-1-(4-スルフォブチル)-1,3-ジヒドロ-インドール-2-イリデン]-エチリデン]-2-フェニル-シクロヘックス-1-エニル)-ビニル]-3,3-ジメチル-5-スルフォ-1-(4-スルフォブチル)-3H-インドリウムヒドロキシド分子内塩3ナトリウム塩;2-[5-[1,1-ジメチル-3-(4-スルフォブチル)-1,3-ジヒドロ-ベンゾ[ゼ]インドール-2-イリデン]-ペンタ-1,3-ジエニル]-1,1-ジメチル-3-(4-スルフォブチル)-1H-ベンゾ[ゼ]インドリウムヒドロキシド分子内塩3ナトリウム塩;2-(8-ヒドロキシ-1,1,7,7-テトラメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロピリド[3,2,1-イジ]キノリン-9-イル)-4-(8-ヒドロキシ-1,1,7,7-テトラメチル-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-ピリド[3,2,1-イジ]キノリニウム-9(5H)-イリデン)-3-オキソシクロブト-1-エノレート(スクアリリウム);およびこれらの化合物および混合物を含む。図6A~6Jは、DTCI、HITC、IR144、IR170、AlNc、SiNc、IR792、IR140、ZnNc、およびCYそれぞれの吸収および放射スペクトルを示す。全てのスペクトルは、約650nmよりも長い波長において、放射と吸収との最大値を有する。
【0051】
上述したように、個々の発光団の性能は、透明NIR鏡の設計および組立の化学、精製、建築、ホストゲスト相互作用、および光子管理の組み合わせを通じて改善される。また、チア炭素シアニンが発光団であるとき、置換基アルケン長さは、放射範囲を変更するために変化させられてもよい。代わりに、陰イオンが放射範囲を改善するために変形させられてもよい。これらの変形によって、量子効率は約50%、またはそれよりも大きく改善されてもよい。様々な実施形態において、少子収量は約10~25%よりも高くなる。好ましくは、量子収量は、約60%よりも高く、または約70%よりも高く、あるいは約80%よりも高い。より好ましくは、量子収量は約90%よりも高い。
【0052】
発光団ホストは、(1)量子収量を向上させるための物質的な分子の分離、(2)極性相互作用を通じた、量子収量を向上または低減させる分子の直接および電気的相互作用、および(3)気体および湿度からの障壁として機能し、寿命を向上させる、発光団のカプセル化に対して有益である。例えば、PMMA誘導体は、気体中で3か月以上、無視できる量子収量の低下のみをさせつつ、2つの要因以上の解決法から、いくらかの分子の量子収量を向上させられる。さらに、発光団は、アミン重合体から、または直接重合を通じて合成された、ポリ(4-ビニルピリジン)およびアンモニウム塩鎖をぶら下げた重合体のようなアミン重合体に、簡単におよび直接固定されてもよい。
【0053】
このシステムは、建築物の効率を改善しつつ、従来のPV技術と結び付けられた、社会および経済的課題の多くを解決できる、再生可能、低炭素太陽光エネルギー配備の、新しいエネルギー経路が結果として生じる。このことは、分子からなる炭素、およびBr、Cl、C、Mo、N、O、Si、Wからなるナノクラスター、フタル酸およびナフタル酸、およびチア炭素シアニン誘導体を含む、国内で豊富な物質(すなわち、有名な工業金属)およびレアアース、放射性、または高価な金属(例えば、Pt、Ir等)でない物質から得られる。
【0054】
発光型太陽光集光器の効率は下記数式で規定される。
【0055】
【数3】
【0056】
ここでRは表面反射率、ηabsは発光団の太陽光波長域吸収効率、ηPLは発光団の発光効率、ηtrapは光の導波効率、ηRAは再吸収の確率である。光の捕捉効率は、
【0057】
【数4】
【0058】
である。発光団波長における太陽光波長域吸収効率および量子効率によって正規化された、(AM1.5Gに対して報告された)PV効率は、
【0059】
【数5】
【0060】
である。ここで、ηEQEは外部量子効率、PLは発光団放射スペクトルである。ηPVを制限する熱力学は、VOCおよびFF損失のみからなる。ηPVの光依存のため、この補正は集光器の幾何学的利得の依存になるだろう。簡単のために、導波路光束は1-太陽に近くあり続けると仮定されている。
【0061】
再吸収および前進放射損失は、下記数式によって概算される。
【0062】
【数6】
【0063】
ここで、臨界角(放射錐)はθcrit=sin-1(1/nwave)、εはモル吸収率、Cは濃度、Lはプレート長さ、θは通常のLSCプレートと比較した方位角、φは標準回転座標である。適度な蛍光体取り込みにおいて、UVLSCは、最も典型的な窓よりも大きい、10mを超えた効率を保持できる。対照的にNIR放射器は、組み込まれた太陽光素子の理想的な空間を規定する、たった1~10cmにおいて、効率が「転がり落ち」始める。
【0064】
本NLSCにおいて、NIR収集器の短いストークスシフトは、導波路層の至る所における太陽光電池素子の移植、付随する全体の光学損失の低減、太陽光吸収効率の向上、およびコストの上昇をも通じて解決される。さらに、分割されたPVを有するNIRLSC発光団の組み合わせは、分割されたPVのみの場合に対して、3倍を超えて、高い水準の透明度の範囲の出力効率を向上させる。それでもなお、NIR設計は、高い効率および高いCRIを必要とする適用例の基盤として使用されている。究極的には、これらの素子は、高い性能および理想的な美観品質を可能にする、組み込まれた太陽光電池素子「網」または薄型ウエハとともに実行されるだろう。
【0065】
エネルギー収集装置は、人間の視覚に対して透明、または略透明である。装置の演色評価数(CRI)は約80以上であってもよい。例えば、CRIは約80、約85、約90、約95、約99、または約100であってもよい。装置の平均可視光透過率は、約60%よりも高い。様々な実施形態において、装置の平均可視光透過率は、約70%よりも高く、約75%よりも高く、約80%よりも高く、約85%よりも高く、または約90%よりも高い。エネルギー収集装置の効率は、約0.25%よりも高く、約0.5%よりも高く、約0.75%よりも高く、約1.0%よりも高く、約5%よりも高く、または約10%よりも高くてもよい。様々な実施形態において、効率は約0.25%から約10%である。したがって、効率は、約0.25%、約0.5%、約0.75%、約1.0%、約2.0%、約3.0%、約4.0%、約5.0%、約6.0%、約7.0%、約8.0%、約9.0%、または約10.0%であってもよい。いくつかの状況において、効率はより透明度の高い装置を提供するために引き下げられるかもしれない。したがって、いくつかの実施形態において、効率は美観的に制限されるかもしれない。
【0066】
本技術は、透明エネルギー収集装置の作成方法を含む。分散ナノ粒子、発光団、またはこれらの組み合わせのような、導波路リダイレクト物質を含む溶液は、機能溶液を形成するために、基板溶液とともに混合される。溶媒の中の基板溶液は、ポリ-(メタクリル酸エチル)(PEMA)、アセトニトリル溶液、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)、(ポリ)-メタクリル酸ブチル-co-メタクリル酸メチル(PBMMA)またはこれらの化合物を備える。好ましい実施形態において、基板溶液は、PEMA、アセトニトリル、およびPMMAを、1:2:1の割合で備える。機能溶液は、型の中に流し込まれてもよい。付加的に、1つ以上の太陽光電池素子が機能溶液中または機能溶液の表面に配置されていてもよい。機能溶液は、固体基質を形成するために、数時間窒素気流下において乾燥される。機能溶液内に1つ以上の太陽光電池素子が配置されていない場合、1つのこのような太陽光電池素子が、ほぼ屈折率整合されたエポキシ樹脂と共に、基質の表面に取り付けられてもよい。反射被膜(鏡)は、全体の色効果および性能全体を最適化するために、TiO、SiO、およびAlを交互に組み合わせた層によって、装置に組み込まれてもよい。
【0067】
本技術と共に、パネルの特徴は、これらの出力パラメータのいずれかの周りの、入力可変空間(例えば、色素濃度、導波路厚さ、鏡の統一性、窓の寸法等)を通じて、急速に適応される。結果として、製品性能は、建物外面中におけるエネルギー収集に関心のある建築設計者にとって、仕様の変更に見合った光学的性能、電力生成、および導入コストの必要な組み合わせを獲得するために、調整または特注されてもよい。加えて、このシステムは建物の電気システムの中に途切れることなく一体化されてもよい。そして、生成された電力は、利用点において必要とする建物周囲の領域の電力の、相当大きな一部分の供給の能力がある、建物の格子の補完するために、局所的に蓄えられてもよく、直流電力として使用されても、または交流に変換されてもよい。
【0068】
上述のように、本技術は建物の窓ガラスに一体化されてもよい、光収集システムに対して供給する。しかしながら、光収集システムは羽目板を覆うように積層されてもよい。光収集システムが透明なため、羽目板が家の中、乗り物、または装置の上のいずれかにあるかに関わらず、羽目板において、人間の視覚によって視認されることができない。光収集システムは、テレビモニタ、コンピュータモニタ、携帯電話およびメディアプレーヤのような携帯装置、および電光掲示板のような信号機の表示装置に一体化されてもよい。光収集システムの透明な性質は、太陽からの電力収集から恩恵を受けられる、装置、乗り物、または建物のいずれかのほとんどと、それが一体化されることを可能にする。
【0069】
本技術の実施形態は、下記の制限されない例を通じてさらに図解される。
【0070】
〔例1 NIR収集TLSC〕
〔実験〕
有機塩溶液の準備。ヨウ化2-[7-(1,3-ジヒドロ-1,3,3-トリメチル-2H-インドール-2-イリデン)-1,3,5へプタトリエンチン]-1,3,3-トリメチル-3H-インドリウム(HITCI)(エキシトン)および塩化1-(6-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イルオキシ)-6-オキソヘキシル)-3,3-ジメチル-2-((E)-2-((E)-3-((E)-2-(1,3,3-トリメチルインドリン-2-イリデン)エチリデン)シクロヘックス-1-エニル)ビニル)-3H-インドリウム(CY)は、さらなる精製なく受け入れられるものとして特徴づけられている。光学的特徴のための溶液は、4mg/ml以上の様々な濃度において、ジクロロメタン中にそれぞれの化合物が直接溶解されることによって作成される。
【0071】
光学的特徴:両溶液および薄膜の正透過度は、参照見本を使用することなく、透過モードのデュアルビームラムダ800UV/VIS分光計を使用して測定された。様々な色素の放射スペクトルおよび量子収量は、PTIクアンタマスタ40分光蛍光計を730nm(HITCI)および700nm(CY)における励起にて測定され、量子収量の測定は、較正され一体化した球状部品を使用して行われた。
【0072】
モジュール組立:5mg/mlCYジクロロメタン溶液は、(ポリ)-メタクリル酸ブチル-co-メタクリル酸メチル(PBMMA)(シグマ-オールドリッチ)と1:1の割合で混合され、重合体混合フィルムにおいて、目標の色素濃度(2mg/mL)をもたらす。発光太陽光電池素子(LSC)を作成するため、この混合物は、(効率の測定のために)2cm×2cm×0.1cm、または(EQEの測定のために)7cm×7cm×0.1cmの(4つの端部を備えた)四角形の石英またはガラス基板上に流し込まれ、それぞれの層に対して2時間乾燥され、これを3回繰り返し、結果として、おおよそ1mmの層の厚みを得た。1つの太陽光に対して15±1%の効率を有する、レーザカットされた、2cm×0.1cmのSi素子(ナレックソーラー)は、導波路の端部に、屈折率整合有りまたは無しのエポキシ樹脂を取り付けられた。EQEの測定のために、他の3つの端部は、端部における反射を防ぎ、幾何学的構造を簡単化するために、黒色絶縁テープとともにテープ付けされた。電力効率の測定のために、2つの素子が、直交する端部に端部実装され、平行に接続された。残る2つの端部は、強調鏡面反射器(ヴィクイチ、3M)とともに覆われた。LSC端部周辺の細い境界領域は、LSCのいずれかの直接照明を避けるためにマスクで覆われる。太陽光シミュレータ(67005Xeアーク灯、ニューポート)の照明領域のため、電力効率のためのプレート長さは約0.05mよりも短く、EQE測定のためのプレート長さは約0.2mよりも短く制限される。
【0073】
モジュール試験:位置依存EQE測定は、単一の端部搭載SiPVからの様々な距離(d)において、LSCに対して垂直のファイバーからの単色励起ビームを向けることにより取得される。測定された量子効率は、それぞれの位置の距離において、太陽光電池素子によって範囲が定められた異なる角度を説明する要素g=π/tan-1(L/2d)によって補正される。ここで、LはLSCの端部の長さである、外部量子効率(EQE)はニューポート較正Si検出器を使用して測定された。電流密度対電圧(J-V)測定は、太陽光スペクトルの不一致に対して補正された、シミュレートされたAM1.5G太陽光照射の元で実行された。
【0074】
光学的モデリング:(AM1.5Gに対して報告された)PV効率は、発光団波長における、太陽光スペクトル吸収効率と量子効率とによって規格化される。再吸収および前進放射損失は、一定の混合厚みにおけるプレート形状と発光団濃度との関数として、マットラボにおいて数値的に評価された、発光団放射スペクトル、モル吸収率、濃度、LSC長さ、LSCシステム光学効率、およびEQEとともに計算される。
【0075】
〔結果〕
2つの有望なシアニン誘導体、ヨウ化2-[7-(1,3-ジヒドロ-1,3,3-トリメチル-2H-インドール-2-イリデン)-1,3,5へプタトリエンチン]-1,3,3-トリメチル-3H-インドリウム(HITCI)(エキシトン)および塩化1-(6-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イルオキシ)-6-オキソヘキシル)-3,3-ジメチル-2-((E)-2-((E)-3-((E)-2-(1,3,3-トリメチルインドリン-2-イリデン)エチリデン)シクロヘックス-1-エニル)ビニル)-3H-インドリウム(CY)が解析され、システムはストークスシフトの影響を調査するために使用される。CYおよびHITCI分子構造は、図7Bに示されている。発光団の吸収および放射スペクトルは図8Aに示されている。吸収スペクトルは、小さな可視光吸収とともに、CYに対しては742nm、HITCIに対しては733nmにおいて最高値をとり、NIR放射は、CYおよびHITCIそれぞれに対して、772nmおよび753nmにおいて最高値をとる。吸収と放射との間の波長の差として規定されるストークスシフトは、CYに対しては30nm、HITCIに対しては20nmである。2つの物質のストークスシフトは、組み立てられたLSCの性能の違いの実証を助け、広範囲の拡張性を予言する重要なパラメータでもある。
【0076】
濃度に依存する発光量子収量(QY)は、これらの発光団の光物理学的振る舞いを理解するために調査される。ジクロロメタン溶液中において測定されたQYおよびCYとHITCIとの吸収は、色素濃度の関数として図8Bに示される。図8BのQYデータは、非照射率に依存する濃度を有するモデルと適合され、分離クラスターに対する固有の非照射率KnR0、発光率k、および濃度緩和スケーリング定数aとの間の関係が計算される。CYに対しては、KnR0/k=5.8、a/k=2.5ml/mg、HITCIに対しては、KnR0/k=2.5、a/k=2.2ml/mgである。ここではQYが最大値の半分である濃度として定義される、CYおよびHITCIの臨界濃度は、それぞれ2mg/Lおよび1mg/Lである。図7CはCY発光団を組み込む透明LSC導波路を示す。異なるプレート形状のLSCシステム全体のスペクトル分解EQEは図3(c)に示され、760nm周辺に最高値を示し、図9Cにおける吸収スペクトルおよび計算されたEQEに一致する。図9Bに示されているものは、2つの端部に搭載されたSi太陽光PVに対する、2cm×2cm×0.1cmのLSCシステム(詳細は実験の欄を参照されたい)の電流電圧特性であり、組み立てられたCYLSCの、測定された強度依存は図9Aに示され、端部搭載Si素子の強度依存に大部分が依存している。CY発光団に対して0.38±0.05%の効率を導く、0.05±0.01Vの開回路電圧(VOC)および0.64±0.02の充填比において、1.0±0.1太陽光下におけるシステム全体の測定された短絡電流密度(JSC)は1.2±0.1mAcm-2であった。EQEおよびAM1.5G太陽光スペクトルの統合された製品からの、計算された短絡電流密度は、1.0±0.1mAcm-2であり、測定された光電流の誤差の範囲内である。LSCシステムに対する、一致する平均可視光透過度および演色評価数は、ガラス基板に対する、90%±1%および100と比較して、それぞれ86%±1%および94であり、UVのみのTLSCに対してわずかにより美観品質がよい。
【0077】
図10は、モデル化されたストークスシフトとともに、CYLSCの光学的効率の領域規模計算を、LSC長さの関数として示す。ストークスシフト(S)が30nmより小さい場合、限界プレート長さは、S>100nmにおいて、限界プレート長さを1mよりも大きく顕著に増大させることのできるSを増加させる、1~2cm周辺である。図10に示された情報は、拡張性を改善する設計物質に対する情報を提供する。
【0078】
〔議論〕
発光光物理学
発光団に対する個々の非照射状態は、照射率よりも大きく、中程度に低い量子収量を導く。これは実証された多くのNIR蛍光体に対して真実であり、医学の適用例および発光ダイオードの両方に対して、この波長範囲におけるQYを改善する重大な努力がなされ続けている。ここで、高い濃度における分子-分子間の相互作用によって引き起こされる励起状態(非照射)の緩和による濃度の上昇に伴って、量子収量は減少し、これらの相互作用は希薄な溶液中でさえも存在し続ける。したがって、ベア-ランバートの法則を受けて、設計された集光器は、高い量子収量および高い吸収効率の両方を維持するための、希薄濃度のより厚い層を活用する。この基準は、760nmにおけるCyに対して、高い量子収量および1.45×10Lmol-1-1のモル吸収係数のための、5mg/Lの設計濃度と共に開始した場合に活用され、ほぼ完全なNIR吸収に対する1.0mmの最適な厚みを導く。また、再吸収損失の低減は希薄濃度のより厚い層を活用することにより実現する。
【0079】
〔LSC設計〕
透明LSCの効率は、太陽光スペクトル吸収効率、発光団光ルミネセンス効率導波(捕捉)効率、移送(再吸収)効率、および太陽光電池素子効率によって支配される。光学的効率は、導波効率、移送効率、および発光効率を備える。発光団光ルミネセンス効率は、高い量子収量の色素の実装またはより高い量子収量を得るための色素重合体相互作用の最適化によって改善されてもよい。太陽光スペクトル吸収効率は、色素濃度の向上または混合濃度の向上によって改善されてもよい。しかし、量子収量と濃度との間にはトレードオフが存在する。太陽光電池素子効率は、より高効率の太陽光電池素子の活用によって向上されてもよい。LSCの単色放射性質のため、単一の接合PVのみがそれぞれ個別のLSCの周囲に取り付けられ、直接的にPV効率よりも低くシステム全体の効率を制限する。補完的な透明LSCが、これらそれぞれの頂部に異なる/吸収範囲とともに積層される可能性もあり、それぞれのLSCはそれらの理想的なPVと個別に連結されている。高価でない高いバンドギャップの素子(GaAsおよびGaInP)が使用可能になれば、特にここで実証されているLSCに対して、Siと比較して30%を超えるηLSCに対する効率を向上することができる。しかし、コストおよび有用性の考慮に対しては、14~16%のソーラー効率を有する、AM1.5Gを伴うより低いコストのSiPVが、ここで記載された原理の証明の実証として使用される。
【0080】
再吸収損失は、色素に対する中程度に低いストークスシフトのために、この機能が構成されたLSCの性能を制限する。実際、LSCの性能は、特に控えめなSを有した色素およびより大きなプレート形状に対して、たいてい再吸収損失によって制限されると長い間認識されてきた。30nmから80nmへのストークスシフトの上昇を示す図10において計算された光学的効率は、ここでは光学効率の最大値の半分であるLSC長さとして規定された限界長さを、3cmから30cmへ改善することが可能であり、30cmのLSC形状は、多くのLSC適用例において妥当である。これらの装置の広領域規模を完全に最大化するため、より大きなストークスシフトを有する高い量子収量の分子の設計が有利である。理想的なストークスシフトの考慮において均衡が存在する。PVは発光団の放射最大値における高い量子効率を有するこれらを制限し、それだけでなく、PV電圧損失を最小化するバンドギャップの最大化について考慮しなければならない。SiPVとともに、最大のストークスシフトは、NIRスペクトルの200~300nmの一部分の収集の見込みを伴って、約200nmよりも低く制限される。GaAsに対しては、この最大Sでさえより限定される。
【0081】
よりよい拡張性を得る1つの提案は、発光団ホスト相互作用および分子設計の最適化を通じて量子収量を100%近くまで改善することによるものである。100%に近いQYを有する物体に対して、それぞれの再吸収現象は他の再放射現象を導き、これにより移送損失を低減する。しかしながら、照射的放射は典型的に等方であり、そのため、より長いプレート長さに対するより大きな前面/背面損失を結果として導くため、それぞれの吸収/再放射現象は付加的な分散として現れることに言及されるべきである。低いストークスシフトの物質に対する拡張性の改善の他の重要な提案は、再吸収損失の最小化と分割されたPVから追加の寄与とを可能にする、「マイクロLSC」の一組を本質的に作り出すLSC導波路の間中の網目として、高く分割された太陽光電池素子マイクロアレイを組み込むことである。これらの提案を考慮すること、およびUV-TLSCを伴うこれらのLSCを合成することにより、約1%よりも大きい効率は容易に得ることができ、効率を10%に近づけることが可能である。
【0082】
〔結論〕
結論として、選択的にNIR光子を収集する、蛍光有機塩を備えた新たな透明発光型太陽光集光装置は、設計され構成されている。0.4%±0.03%の効率とともに結合された、可視波長域において86%±1%の色づけされない透過率を有し、赤外光における光子束の大きな一部分に起因する、10%よりも高い効率の可能性を有する、第1の可視光透過NIR収集TLSCがここに実証されている。実験およびモデル化は、より大きなストークスシフトの近赤外発光団、発光団ホスト相互作用の最適化、および組み込まれた分割PVの構造の較正が、広い領域にわたって再吸収損失を低減し、システム効率を向上させることが可能であることを示す。これらの透明NIRLSCは、高い欠陥許容と処理可能性とに対する途方もなく大きい可能性を有する、透明光収集システムへの全く新しい経路を提供する。
【0083】
本発明の関連発明におけるエネルギー収集システムは、a.ガラス、プラスチック、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)、ポリ-(メタクリル酸エチル)(PEMA)、または(ポリ)-メタクリル酸ブチル-co-メタクリル酸メチル(PBMMA)を備えた基板と、b.ゲルマニウム(Ge)、非晶質ゲルマニウム(a-Ge)、ガリウム(Ga)、ヒ化ガリウム(GaAs)、珪素(Si)、非晶質珪素(a-Si)、珪素-ゲルマニウム(SiGe)、非晶質珪素-ゲルマニウム(a-SiGe)、リン化ガリウムインジウム(GaInP)、セレン化銅インジウム、硫化銅インジウム、セレン化銅インジウムガリウム、硫化銅インジウムガリウム、テルル化カドミウム(CdTe)、ペロブスカイト(PV)、またはこれらの化合物の内、少なくとも一つを備えた太陽光電池アレイと、c.約650nmよりも長い波長の光を吸収および放射する導波路リダイレクト物質とを備え、前記太陽光電池アレイと、前記導波路リダイレクト物質とは、前記基板の中に組み込まれる。
【0084】
本発明の関連発明において、上記ペロブスカイトは、CH3NH3PbI3、CH3NH3PbCl3、およびCH3NH3PbBr3、またはこれらの化合物である。
【0085】
本発明の関連発明において、前記基板の第1表面と連結された、肉眼視で透明な鏡をさらに備え、前記鏡は可視光を透過させ、約650nmよりも長い波長の光を反射する。
【0086】
本発明の関連発明において、前記システムは約650nmよりも長い波長の電磁波長帯の、近赤外(NIR)領域における光を選択的に収集する。
【0087】
本発明の関連発明において、前記システムは可視波長帯において、吸収のピークを持たない。
【0088】
本発明の関連発明において、前記システムは約450nmよりも短い波長の電磁波長帯の、紫外(UV)領域における光をさらに収集する。
【0089】
本発明の関連発明において、前記導波路リダイレクト物質は、散乱ナノ粒子、発光団、またはこれらの組み合わせである。
【0090】
本発明の関連発明において、前記導波路リダイレクト物質は、ヨウ化3,3’-ジエチルチア炭素シアニン(DTCI);ヨウ化2-[7-(1,3-ジヒドロ-1,3,3-トリメチル-2H-インドール-2-イリデン)-1,3,5へプタトリエンチン]-1,3,3-トリメチル-3H-インドリウム(HITCI);2-[2-[3-[1,3-ジヒドロ-1,1ジメチル-3-(3-スルホプロピル)-2H-ベンゼインドール-2-イリデン]-2-[4-(エトキシルカルボニル)-1ピペラジニル]-1-シクロペンテン-1-イル]エテニル]-1,1-ジメチル-3-(3-スルホプロピル)-1Hベンゼインドリウムヒロドキシド]分子内塩n,n-ジエチルエタナミン(1:1)混合物(IR144);ヨウ化2-[2-[2-クロロ-3-[(1,3-ジヒドロ-3,3ジメチル-1-プロピル-2H-インドール-2イリデン)エチリデン]-1-シクロヘキセン-1-イル]エテニル]-3,3-ジメチル-1-プロピルインドリウム(IR780);塩化アルミニウム2,3-ナフサロシアニン(AlNc);二塩化珪素2,3-ナフサロシアニン(SiNc);2-[2-[3-[(1,3-ジヒドロ-3,3-ジメチル-1-プロピル-2H-インドール-2-イリデン)エチリデン]-2-(フェニルチオ)-1-シクロヘキセン-1-イル]エテニル]-3,3-ジメチル-1-プロピルインドリウム過塩素酸塩(IR792);5,5’-ジクロロ-11-ジフェニルアミノ-3,3’-ジメチル-10,12-エチレンチアトリカーボシアニン過塩素酸塩(IR140);亜鉛2,11,20,29-テトラ-第3-ブチル-2,3-ナフサロシアニン(ZnNc);塩化3-(6-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イルオキシ)-6-オキソヘキシル)-1,1-ジメチル-2-((E)-2-((E)-3-((E)-2-(1,1,3-トリメチル-1H-ベンゾ[ゼ]インドール-2(3H)-イリデン)エチリデン)シクロヘックス-1-エニル)ビニル)-1H-ベンゾ[ゼ]インドリウム(Cy7.5NHSエステル);1-(6-((2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシ)-6-オキソヘキシル)-3,3-ジメチル-2-((E)-2-((E)-3-((E)-2-(1,3,3-トリメチル-5-スルホナトインドリン-2-イリデン)エチリデン)シクロヘックス-1-エン-1-イル)ビニル)-3H-インドール-1-イウム-5-硫化物(硫化-Cy7NHSエステル);塩化1-(6-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イルオキシ)-6-オキソヘキシル)-3,3-ジメチル-2-((E)-2-((E)-3-((E)-2-(1,3,3-トリメチルインドリン-2-イリデン)エチリデン)シクロヘックス-1-エニル)ビニル)-3H-インドリウム(Cy7NHSエステル、“CY”);塩化3-(6-(3-アジドプロピルアミノ)-6-オキソヘキシル)-1,1-ジメチル-2-((E)-2-((E)-3-((E)-2-(1,3,3-トリメチル-1H-ベンゾ[ゼ]インドール-2(3H)-イリデン)エチリデン)シクロヘックス-1-エニル)ビニル)-1H-ベンゾ[ゼ]インドリウム(Cy7.5アジド);塩化1-(5-カルボキシペンチル)-3,3-ジメチル-2-((E)-2-((E)-3-((E)-2-(1,3,3-トリメチルインドリン-2-イリデン)エチリデン)シクロヘックス-1-エニル)ビニル)-3H-インドリウム(Cy7アジド);塩化1,1-ジメチル-3-(6-オキソ-6-(プロプ-2-イニルアミノ)ヘキシル)-2-((1E,3E,5E,)-5-(1,1,3-トリメチル-1H-ベンゾ[ゼ]インドール-2(3H)イリデン)ペンタ-1,3-ジエニル)-1H-ベンゾ[ゼ]インドリウム(Cy5.5アルキン);塩化1-(6-(2-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)エチルアミノ)-6-オキソヘキシル)-3,3-ジメチル-2-((E)-2-((E)-3-((E)-2-(1,3,3-トリメチルインドリン-2-イリデン)エチリデン)シクロヘックス-1-エニル)ビニル)-3H-インドリウム(Cy7マレイミド);塩化3-(6-(2-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)エチルアミノ)-6-オキソヘキシル)-1,1-ジメチル-2-((E)-2-((E)-3-((E)-2-(1,1,3-トリメチル-1H-ベンゾ[ゼ]インドール-2(3H)-イリデン)エチリデン)シクロヘックス-1-エニル)ビニル)-1H-ベンゾ[ゼ]インドリウム(Cy7.5マレイミド);塩化1-(5-カルボキシペンチル)-3,3-ジメチル-2-((E)-2-((E)-3-((E)-2-(1,3,3-トリメチルインドリン-2-イリデン)エチリデン)シクロヘックス-1-エニル)ビニル)-3H-インドリウム(Cy7カルボキシ酸);1-ブチル-2-(2-[3-[2-(1-ブチル-3,3-ジメチル-1,3-ジヒドロ-インドール-2-イリデン)-エチリデン]-2-ジフェニルアミノ-シクロペント-1-エニル]-ビニル)-3,3-ジメチル-3H-インドリウムヘキサフルオロリン酸塩;1-ブチル-2-(2-[3-[2-(1-ブチル-3,3-ジメチル-1,3-ジヒドロ-インドール-2-イリデン)-エチリデン]-2-フェニル-シクロペント-1-エニル]-ビニル)-3,3-ジメチル-3H-インドリウムヘキサフルオロリン酸塩;ヨウ化3-エチル-2-[3-[3-(3-エチル-3H-ベンゾチアゾル-2-イリデン)-プロペニル]-5,5-ジメチル-シクロヘックス-2-エニリデンメチル]-3H-ベンゾチアゾル-3-イウム;1-ブチル-2-(2-[3-[2-(1-ブチル-3,3-ジメチル-1,3-ジヒドロ-インドール-2-イリデン)-エチリデン]-2-フェニル-シクロヘックス-1-エニル]-ビニル)-3,3-ジメチル-3H-インドリウムヘキサフルオロリン酸塩;1-ブチル-2-(2-[3-[2-(1-ブチル-3,3-ジメチル-1,3-ジヒドロ-インドール-2-イリデン)-エチリデン]-2-フェニル-シクロヘックス-1-エニル]-ビニル)-3,3-ジメチル-3H-インドリウムヘキサフルオロリン酸塩;ヨウ化3-エチル-2-[7-(3-エチル-3H-ベンゾチアゾル-2-イリデン)-ヘプタ-1,3,5-トリエニル]-ベンゾチアゾリウム;1-ブチル-2-[7-(1-ブチル-3,3-ジメチル-1,3-ジヒドロ-インドール-2-イリデン)-ヘプタ-1,3,5-トリエニル]-3,3-ジメチル-3H-インドリウムヘキサフルオロリン酸塩;2-[3-クロロ-5-[1,1-ジメチル-3-(3-メチル-ブチル)-1,3-ジヒドロ-ベンゾ[ゼ]インドール-2-イリデン]-ペンタ-1,3-ジエニル]-1,1-ジメチル-3-(3-エチル-ブチル)-1H-ベンゾ[ゼ]インドリウムヘキサフルオロリン酸塩;2-[5-[1,1-ジメチル-3-(3-メチル-ブチル)-1,3-ジヒドロ-ベンゾ[ゼ]インドール-2-イリデン]-ペンタ-1,3-ジエニル]-1,1-ジメチル-3-(3-エチル-ブチル)-1H-ベンゾ[ゼ]インドリウムヘキサフルオロリン酸塩;3,3-ジメチル-2-[2-[2-クロロ-3-[2-[1,3-ジヒドロ-3,3-ジメチル-5-スルフォ-1-(4-スルフォブチル)-2H-インドール-2-イリデン]-エチリデン]-1-シクロヘキセン-1-イル]-エテニル]-5-スルフォ-1-(4-スルフォブチル)-3H-インドリウムヒドロキシド分子内塩3ナトリウム塩;2-[2-(3-[2-[3,3-ジメチル-5-スルフォ-1-(4-スルフォブチル)-1,3-ジヒドロ-インドール-2-イリデン]-エチリデン]-2-フェニル-シクロヘックス-1-エニル)-ビニル]-3,3-ジメチル-5-スルフォ-1-(4-スルフォブチル)-3H-インドリウムヒドロキシド分子内塩3ナトリウム塩;2-[5-[1,1-ジメチル-3-(4-スルフォブチル)-1,3-ジヒドロ-ベンゾ[ゼ]インドール-2-イリデン]-ペンタ-1,3-ジエニル]-1,1-ジメチル-3-(4-スルフォブチル)-1H-ベンゾ[ゼ]インドリウムヒドロキシド分子内塩3ナトリウム塩;2-(8-ヒドロキシ-1,1,7,7-テトラメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロピリド[3,2,1-イジ]キノリン-9-イル)-4-(8-ヒドロキシ-1,1,7,7-テトラメチル-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H-ピリド[3,2,1-イジ]キノリニウム-9(5H)-イリデン)-3-オキソシクロブト-1-エノレート(スクアリリウム);およびこれらの化合物および混合物からなる群から選択される。
【0091】
本発明の関連発明において、上記システムは約90%よりも大きい演色評価数を有し、効率は約0.25%から約10%である。
【0092】
本発明の関連発明におけるエネルギー収集システムとしての使用は、上記エネルギー収集システムの、建築物の窓ガラスに一体化されたエネルギー収集システムとしての使用である。
【0093】
本発明の関連発明におけるエネルギー収集システムとしての使用は、上記エネルギー収集システムの、建築物、乗り物または装置の羽目板に積み重ねられたエネルギー収集システムとしての使用である。
【0094】
本発明の関連発明におけるエネルギー収集システムとしての使用は、上記エネルギー収集システムの、テレビモニタ、コンピュータモニタ、携帯機器、または電光掲示板の表示装置に一体化されたエネルギー収集システムとしての使用である。
【0095】
本発明の関連発明における透明エネルギー収集装置の作成方法は、ポリ-(メタクリル酸エチル)(PEMA)、アセトニトリル、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)、(ポリ)-メタクリル酸ブチル-co-メタクリル酸メチル(PBMMA)またはこれらの化合物の溶液を含む、導波路リダイレクト物質の混合と、ゲルマニウム(Ge)、非晶質ゲルマニウム(a-Ge)、ガリウム(Ga)、ヒ化ガリウム(GaAs)、珪素(Si)、非晶質珪素(a-Si)、珪素-ゲルマニウム(SiGe)、非晶質珪素-ゲルマニウム(a-SiGe)、リン化ガリウムインジウム(GaInP)、セレン化銅インジウム、硫化銅インジウム、セレン化銅インジウムガリウム、硫化銅インジウムガリウム、テルル化カドミウム(CdTe)、ペロブスカイト(PV)またはこれらの化合物の内、少なくとも一つを備えた太陽光電池アレイの、前記溶液の中への設置と、前記導波路リダイレクト物質および前記太陽光電池を含む固体基質の生成のための乾燥と、電子ビーム揮発、パルスレーザ蒸着、プラズマ励起スパッタリング、熱蒸着、化学気相蒸着、または溶液蒸着による、固体基質の表面への反射被覆の生成とを含む。
【0096】
本発明の関連発明において、前記導波路リダイレクト物質は、ヨウ化2-[7-(1,3-ジヒドロ-1,3,3-トリメチル-2H-インドール-2-イリデン)-1,3,5へプタトリエンチン]-1,3,3-トリメチル-3H-インドリウム(HITCI);塩化1-(6-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イルオキシ)-6-オキソヘキシル)-3,3-ジメチル-2-((E)-2-((E)-3-((E)-2-(1,3,3-トリメチルインドリン-2-イリデン)エチリデン)シクロヘックス-1-エニル)ビニル)-3H-インドリウム(CY);またはこれらの化合物である。
【0097】
本発明の関連発明において、反射被覆の生成は、TiO2、SiO2、Al2O3、またはこれらの化合物の層を含む反射被覆の生成を含む。
【0098】
本発明の関連発明において、反射被覆の生成は、パルスレーザ蒸着による固体基質の表面への反射被覆の生成を含む。
【0099】
本発明の関連発明において、反射被覆の生成は、プラズマ励起スパッタリングによる固体基質の表面への反射被覆の生成を含む。
【0100】
本発明の関連発明において、反射被覆の生成は、熱蒸着による固体基質の表面への反射被覆の生成を含む。
【0101】
本発明の関連発明において、反射被覆の生成は、化学気相蒸着による固体基質の表面への反射被覆の生成を含む。
【0102】
本発明の関連発明において、反射被覆の生成は、溶液蒸着による固体基質の表面への反射被覆の生成を含む。
【0103】
本発明の関連発明におけるエネルギー収集システムは、a.基板と、b.前記基板の表面上に配置された、もしくは、前記基板に埋め込まれた、分割太陽光電池アレイ、または、前記基板の端部に配置された光電池素子と、c.約650nmよりも長い波長の光を選択的に吸収および放射し、20%よりも高い量子収量において光を放射する導波路リダイレクト物質を含み、前記基板に配置されたフィルムとを備え、前記基板と前記フィルムとは、人間の視覚に対して透明であり、前記基板の表面に対して、該表面の平面方向に対し90度を成す角度において、光が接触した場合において、平均可視光透過率が50%よりも高く、演色評価数が85よりも高い。
【0104】
本発明の関連発明において、前記分割太陽光電池アレイまたは前記光電池素子は、ゲルマニウム(Ge)、非晶質ゲルマニウム(a-Ge)、ガリウム(Ga)、ヒ化ガリウム(GaAs)、珪素(Si)、非晶質珪素(a-Si)、珪素-ゲルマニウム(SiGe)、非晶質珪素-ゲルマニウム(a-SiGe)、リン化ガリウムインジウム(GaInP)、セレン化銅インジウム、硫化銅インジウム、セレン化銅インジウムガリウム、硫化銅インジウムガリウム、テルル化カドミウム(CdTe)、ペロブスカイト(PV)、またはこれらの化合物の内、少なくとも一つを備える。
【0105】
本発明の関連発明において、前記フィルムは、前記導波路リダイレクト物質からなる。
【0106】
本発明の関連発明において、前記フィルムは、ポリマーに埋め込まれた前記導波路リダイレクト物質を含む。
【0107】
本発明の関連発明において、前記ポリマーは、(ポリ)-メタクリル酸ブチル-co-メタクリル酸メチル(PBMMA)を含む。
【0108】
本発明の関連発明において、a.基板と、b.前記基板の表面上に配置された、もしくは、前記基板に埋め込まれた、分割太陽光電池アレイ、または、前記基板の端部に配置された光電池素子と、c.約650nmよりも長くかつ約1000nmよりも短い波長に最大の光吸収ピークを有し、約650nmよりも長くかつ約1000nmよりも短い波長に最大の光放射ピークを有すると共に、前記基板に埋め込まれた、あるいは、前記基板に配置された導波路リダイレクト物質とを備え、前記基板と前記導波路リダイレクト物質とは、人間の視覚に対して透明であり、前記基板の表面に対して、該表面の平面方向に対し90度を成す角度において、光が接触した場合において、平均可視光透過率が50%よりも高く、演色評価数が85よりも高いことを特徴とするエネルギー収集システム。
【0109】
本発明の関連発明において、前記分割太陽光電池アレイまたは前記光電池素子は、ゲルマニウム(Ge)、非晶質ゲルマニウム(a-Ge)、ガリウム(Ga)、ヒ化ガリウム(GaAs)、珪素(Si)、非晶質珪素(a-Si)、珪素-ゲルマニウム(SiGe)、非晶質珪素-ゲルマニウム(a-SiGe)、リン化ガリウムインジウム(GaInP)、セレン化銅インジウム、硫化銅インジウム、セレン化銅インジウムガリウム、硫化銅インジウムガリウム、テルル化カドミウム(CdTe)、ペロブスカイト(PV)、またはこれらの化合物の内、少なくとも一つを備える。
【0110】
本発明の関連発明において、前記導波路リダイレクト物質は、20%よりも高い量子収量において光を放射する。
【0111】
本発明の関連発明において、前記導波路リダイレクト物質は、前記基板に配置される。
【0112】
本発明の関連発明において、前記導波路リダイレクト物質は、フィルム層として前記基板に配置される。
【0113】
本発明の関連発明において、前記導波路リダイレクト物質は、前記基板に埋め込まれる。
【0114】
本発明の関連発明において、エネルギー収集システムの、建築物、乗り物または装置の羽目板に積み重ねられたエネルギー収集システムとしての使用。
【0115】
本発明の関連発明において、エネルギー収集システムの、テレビモニタ、コンピュータモニタ、携帯機器、または電光掲示板の表示装置に一体化されたエネルギー収集システムとしての使用。
【0116】
本発明の関連発明において、透明エネルギー収集装置の作成方法であって、導波路リダイレクト物質を含む溶液の基板の表面への流し込みと、前記基板の上の前記溶液の乾燥と、前記透明エネルギー収集装置を形成するための、光電池素子の前記基板の端部への接続とを含み、前記導波路リダイレクト物質は、約650nmよりも長くかつ約1000nmよりも短い波長に最大の光吸収ピークを有し、約650nmよりも長くかつ約1000nmよりも短い波長に最大の光放射ピークを有し、前記基板と前記導波路リダイレクト物質とは、人間の視覚に対して透明であり、前記透明エネルギー収集装置は、前記基板の表面に対して、該表面の平面方向に対し90度を成す角度において、光が接触した場合において、平均可視光透過率が50%よりも高く、演色評価数が85よりも高い透明エネルギー収集装置の作成方法。
【0117】
本発明の関連発明において、前記溶液は、(ポリ)-メタクリル酸ブチル-co-メタクリル酸メチル(PBMMA)と混合された前記導波路リダイレクト物質を含む。
【0118】
本発明の関連発明において、前記基板は、ガラス、プラスチック、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)、ポリ-(メタクリル酸エチル)(PEMA)、または(ポリ)-メタクリル酸ブチル-co-メタクリル酸メチル(PBMMA)を備え、前記導波路リダイレクト物質は、ヨウ化2-[7-(1,3-ジヒドロ-1,3,3-トリメチル-2H-インドール-2-イリデン)-1,3,5へプタトリエンチン]-1,3,3-トリメチル-3H-インドリウム(HITCI);塩化1-(6-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イルオキシ)-6-オキソヘキシル)-3,3-ジメチル-2-((E)-2-((E)-3-((E)-2-(1,3,3-トリメチルインドリン-2-イリデン)エチリデン)シクロヘックス-1-エニル)ビニル)-3H-インドリウム(Cy7NHSエステル、“CY”);およびこれらの化合物および混合物からなる群から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0119】
図1】従来の発光型または分散型太陽光集光器の図である。
図2】ボストン、MAの建築物の周囲の太陽束を示す図である。
図3A】第1太陽光集光器の第1方向の図である。
図3B】第1太陽光集光器の第2方向の図である。
図3C】第1太陽光集光器の他の図である。
図3D】第1太陽光集光器の他の図である。
図4A】第2太陽光集光器の第1方向の図である。
図4B】第2太陽光集光器の第2方向の図である。
図4C】第2太陽光集光器の他の図である。
図4D】第2太陽光集光器の他の図である。
図5】反射鏡を有する太陽光集光器の図である。
図6A】DTCIの放射スペクトルを示すグラフである。
図6B】HITCの放射スペクトルを示すグラフである。
図6C】IR144の放射スペクトルを示すグラフである。
図6D】IR170の放射スペクトルを示すグラフである。
図6E】AlNcの放射スペクトルを示すグラフである。
図6F】SiNcの放射スペクトルを示すグラフである。
図6G】IR792の放射スペクトルを示すグラフである。
図6H】IR140の放射スペクトルを示すグラフである。
図6I】ZnNcの放射スペクトルを示すグラフである。
図6J】CYの放射スペクトルを示すグラフである。
図7A】透明発光型太陽光集光器の概略図である。
図7B】CYおよびHITCの構造を示す図である。
図7C】可視波長帯外において吸収と放射との両方の必要性を強調する、CY染料が組み込まれた透明LSCシステムの写真を示す図である。
図8A】NIR吸収をするCYおよびHITCIの、規格化された吸収(丸)および放射(四角)スペクトルを示す図である。
図8B】集光の関数としての、ジクロロメタンにおけるCYおよびHITCIの測定された量子収量(QY)と吸収(8B)とを示す図である。
図9A】Voc、FF、電力効率、およびCY装置の応答度の光強度依存を示す図である。
図9B】二つの発光団を有する、全て組み立てられたLSCシステムに対する電圧の関数としての電流密度を示す図である。
図9C】0.02mから0.07mまで、10mmの増分において測定された波長の関数としての、LSCシステムのEQEを示す図である。
図9D】円に示された、測定されたEQEを有する、CYLSC長の関数としての、計算されたEQEを示す図である。
図10】LSC長の関数と、シミュレートされたストークスシフトの関数としてのCYLSC光学効率の計算を示す図である。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図6H
図6I
図6J
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図9D
図10