(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022141838
(43)【公開日】2022-09-29
(54)【発明の名称】適応型パッシブPING
(51)【国際特許分類】
H02J 50/90 20160101AFI20220921BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20220921BHJP
H02J 50/12 20160101ALI20220921BHJP
H02J 50/80 20160101ALI20220921BHJP
【FI】
H02J50/90
H02J7/00 301D
H02J50/12
H02J50/80
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022115379
(22)【出願日】2022-07-20
(62)【分割の表示】P 2021570390の分割
【原出願日】2020-05-28
(31)【優先権主張番号】62/853,708
(32)【優先日】2019-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/901,256
(32)【優先日】2019-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/856,933
(32)【優先日】2019-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/885,236
(32)【優先日】2020-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520310643
【氏名又は名称】アイラ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】AIRA,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ゴッドチャイルド,エリック,ハインデル
(72)【発明者】
【氏名】ウィンターズ,ジョン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】バッテリをワイヤレス充電する場合に、充電されるデバイスの位置を特定する方法、充電デバイス及び記憶媒体を提供する。
【解決手段】充電デバイスは、充電デバイスの表面に近接して配置された充電コイルを含む充電回路と、パルス生成回路と、コントローラと、を有する。パルス生成回路は、パルス信号を充電回路に提供する。パルス信号の各パルスは、充電回路の公称共振周波数よりも大きい又は小さい周波数を有するクロック信号の複数のサイクルを含む。コントローラは、パルス信号中で送信された第1のパルス及び第2のパルスに対する充電回路の応答の差に基づいて、充電回路の共振の変化を検出する。コントローラは、応答の差に基づいて、充電式デバイスが充電コイルに近接して配置されたことを判定する。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体を検出する方法であって、
充電回路にパルス信号を提供するステップであって、前記パルス信号の各パルスが、前記充電回路の公称共振周波数よりも高い又は低い周波数を有するクロック信号の複数のサイクルを含む、ステップと、
前記パルス信号中の第1のパルスに対する前記充電回路の応答と、前記パルス信号で以前に送信された第2のパルスに対する前記充電回路の対応する応答との差に基づいて、前記充電回路の共振の変化を検出するステップと、
応答の差に基づいて、充電式デバイスが前記充電回路のコイルに近接して配置されたことを判定するステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
応答の差が、前記第1のパルスに応答して前記充電回路に流れる電流に対する、前記第2のパルスに応答して前記充電回路に流れる電流の増加を含むことを含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、
応答の差が、前記充電回路のコイルにかかる電圧の増加を含むことを含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、
前記充電回路のコイルが前記充電式デバイスの受信コイルに誘導結合されている場合に、前記充電式デバイスの充電構成を特定するステップと、
前記充電構成に応じて、前記充電回路に充電電流を提供するステップとをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、
前記充電式デバイスを充電するための標準規定仕様に基づいてアクティブpingを送信するステップと、
前記充電式デバイスから受信した変調信号にエンコードされた情報から前記充電式デバイスを識別するステップとをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、
前記充電回路の共振の変化が、充電回路の品質係数(Q値)の低下を含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法において、
前記充電回路のQ値を示す測定信号を受信するステップと、
前記測定信号をフィルタリングして、前記測定信号よりも遅い速度で変化する前記測定信号のフィルタリングされたバージョンを取得するステップと、
前記測定信号と前記測定信号のフィルタリングされたバージョンとの間の差が閾値レベルを超えたときに切り替わる検出信号を生成するステップとをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、
動作電圧または温度の変動によって引き起こされる測定信号の変化を含む、前記測定信号の遅い変化への応答を抑制するように構成されたヒステリシス回路を含むコンパレータを使用して、前記測定信号と前記測定信号のフィルタリングされたバージョンとを比較するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
充電デバイスであって、
前記充電デバイスの表面に近接して配置される充電コイルを含む充電回路と、
前記充電回路にパルス信号を提供するように構成されたパルス生成回路であって、前記パルス信号の各パルスが、前記充電回路の公称共振周波数よりも高い又は低い周波数を有するクロック信号の複数のサイクルを含む、パルス生成回路と、
前記パルス信号中の第1のパルスに対する前記充電回路の応答と、前記パルス信号中で以前に送信された第2のパルスに対する前記充電回路の対応する応答との差に基づいて、前記充電回路の共振の変化を検出し、この応答の差に基づいて、充電式デバイスが前記充電コイルに近接して配置されたことを判定するように構成されたコントローラとを備えることを特徴とする充電デバイス。
【請求項10】
請求項9に記載の充電デバイスにおいて、
応答の差が、前記第1のパルスに応答して前記充電回路に流れる電流に対する、前記第2のパルスに応答して前記充電回路に流れる電流の増加を含むことを特徴とする充電デバイス。
【請求項11】
請求項9に記載の充電デバイスにおいて、
応答の差が、前記充電回路のコイルにかかる電圧の増加を含むことを特徴とする充電デバイス。
【請求項12】
請求項9に記載の充電デバイスにおいて、
前記コントローラが、
前記充電回路のコイルが前記充電式デバイスの受信コイルに誘導結合されている場合に、前記充電式デバイスの充電構成を特定し、
前記充電構成に応じて、前記充電回路に充電電流を提供させるようにさらに構成されていることを特徴とする充電デバイス。
【請求項13】
請求項9に記載の充電デバイスにおいて、
前記コントローラが、
前記充電式デバイスを充電するための標準規定仕様に従って、前記充電回路にアクティブpingを送信させ、
前記充電式デバイスから受信した変調信号にエンコードされた情報から、前記充電式デバイスを識別するようにさらに構成されていることを特徴とする充電デバイス。
【請求項14】
請求項9に記載の充電デバイスにおいて、
前記パルス信号に対する前記充電回路の応答に基づいて、前記充電回路の共振を示す測定信号を提供するように構成された測定回路をさらに備え、
前記充電回路の共振の変化が、前記充電回路の品質係数(Q値)の低下を含むことを特徴とする充電デバイス。
【請求項15】
請求項14に記載の充電デバイスにおいて、
前記測定信号よりも遅い速度で変化する、測定信号のフィルタリングされたバージョンを提供するように構成されたフィルタと、
前記測定信号と前記測定信号のフィルタリングされたバージョンとの間の差が閾値レベルを超えたときに切り替わる検出信号を生成するように構成された比較ロジックとをさらに備え、
前記検出信号が、物体が前記充電コイルに近接して配置されているか否かを示すことを特徴とする充電デバイス。
【請求項16】
請求項15に記載の充電デバイスにおいて、
前記フィルタが、有限インパルス応答フィルタまたはローパスフィルタを含むことを特徴とする充電デバイス。
【請求項17】
請求項15に記載の充電デバイスにおいて、
前記比較ロジックが、前記充電デバイスに関連する電圧または温度の変動によって生じる前記測定信号の低電圧変化への応答を抑制するように構成されたヒステリシス回路を含むことを特徴とする充電デバイス。
【請求項18】
プロセッサ可読記憶媒体であって、
充電回路にパルス信号を提供するためのコードであって、前記パルス信号の各パルスが、前記充電回路の公称共振周波数よりも高い又は低い周波数を有するクロック信号の複数のサイクルを含む、コードと、
前記パルス信号中の第1のパルスに対する前記充電回路の応答と、前記パルス信号で以前に送信された第2のパルスに対する前記充電回路の対応する応答との差に基づいて、前記充電回路の共振の変化を検出するためのコードと、
応答の差に基づいて、充電式デバイスが前記充電回路のコイルに近接して配置されたことを判定するためのコードとを含み、
応答の差が、前記充電回路のコイルにかかる電圧の増加、または前記第1のパルスに応答して前記充電回路に流れる電流に対する、前記第2のパルスに応答して前記充電回路に流れる電流の増加を含むことを特徴とするプロセッサ可読記憶媒体。
【請求項19】
請求項18に記載のプロセッサ可読記憶媒体において、
前記充電式デバイスを充電するための標準規定仕様に基づいてアクティブpingを送信するためのコードと、
前記充電式デバイスから受信した変調信号にエンコードされた情報から、前記充電式デバイスを識別するためのコードとをさらに含むことを特徴とするプロセッサ可読記憶媒体。
【請求項20】
請求項18に記載のプロセッサ可読記憶媒体において、
前記充電回路の共振の変化が、前記充電回路の品質係数(Q値)の低下を含み、
当該プロセッサ可読記憶媒体がさらに、
前記充電回路のQ値を示す測定信号を受信するためのコードと、
前記測定信号をフィルタリングして、前記測定信号よりも遅い速度で変化する前記測定信号のフィルタリングされたバージョンを取得するためのコードと、
前記測定信号と前記測定信号のフィルタリングされたバージョンとの間の差が閾値レベルを超えたときに切り替わる検出信号を生成するためのコードとを含むことを特徴とするプロセッサ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、モバイルコンピューティングデバイスのバッテリを含むバッテリのワイヤレス充電に関し、より詳細には、充電されるデバイスの位置を特定することに関する。
【0002】
優先権の主張
本出願は、2020年5月27日に米国特許庁に出願された米国特許出願第16/885,236号、2019年5月28日に米国特許庁に出願された米国仮特許出願第62/853,708号、2019年6月4日に米国特許庁に出願された米国仮特許出願第62/856,933号、並びに、2019年9月16日に米国特許庁に出願した米国仮特許出願第62/901,256号の優先権および利益を主張するものであり、それら出願の内容全体は、すべての適用可能な目的のために、その全体が以下に完全に記載されているかのように、引用により本明細書に援用されるものとする。
【背景技術】
【0003】
ワイヤレス充電システムは、物理的な充電接続を使用せずに、特定のタイプのデバイスが内部バッテリを充電できるようにするために開発されている。ワイヤレス充電を利用できるデバイスには、モバイル処理および/または通信デバイスが含まれる。Wireless Power Consortiumにより規定されたQi規格などの標準規格は、第1のサプライヤによって製造されたデバイスを、第2のサプライヤによって製造された充電器を使って、ワイヤレスで充電することを可能にする。ワイヤレス充電の規格は、デバイスの比較的単純な構成向けに最適化されており、基本的な充電機能を提供する傾向にある。
【0004】
従来のワイヤレス充電システムは、通常「Ping」を使用して、受信デバイスがワイヤレス充電用の基地局の伝送コイル上に存在するか、または伝送コイルに近接しているか否かを判定する。伝送コイルは、インダクタンス(L)を有し、また、キャパシタンス(C)を有する共振コンデンサが伝送コイルに結合されて、共振LC回路が得られる。Pingは、共振LC回路に電力を供給することによって生成される。送信機が受信デバイスからの応答をリッスンしている間、電力が一定期間(一例では90ms)印加される。応答は、振幅偏移変調(ASK)変調を用いてエンコードされた信号で提供される。この従来のPingベースのアプローチは、90msの持続時間により遅くなり、Pingあたり80mJにもなる大量のエネルギーを消費する可能性がある。一例として、典型的な送信基地局は、1秒間に12.5回(周期=1/80ms)という速さでpingを行い、1秒間に(80mJ×12.5)=1Wの電力を消費する。実際に、ほとんどの設計では、pingレートを下げることにより、応答性と静止消費電力の低下をトレードオフしている。例えば、送信機は1秒間に5回pingを行う場合、400mWの電力を消費する。
【0005】
単一の伝送コイルを使用する基地局では、トレードオフが一般的に可能である。何故なら、1秒間に5回のpingレートは、通常、充電パッドにデバイスを配置してから1秒以内にデバイスを検出するのに十分であるからである。しかしながら、マルチコイルのフリーポジション充電パッドの場合、応答性と静止消費電力の特性が損なわれる可能性がある。例えば、7コイルのフリーポジション充電パッドスキャンの各伝送コイルで毎秒5pingを生成するには、毎秒35pingが必要となる。設計仕様で規定された電力制限を考慮すると、7コイルのフリーポジション充電パッドは応答速度が1.78秒を超える。これは一般的にユーザー体験として受け入れられず、バッテリ駆動設計の規制電力基準または電力バジェットに違反する可能性がある。
【0006】
ワイヤレス充電機能の改善は、絶えず複雑化するモバイルデバイスや変化するフォームファクタに対応するために必要である。例えば、より高速で低電力の検出技術が必要である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本明細書に開示の特定の態様に従って充電面を提供するために使用することができる充電セルの一例を示している。
【
図2】
図2は、本明細書に開示の特定の態様に従って適応され得る充電面のセグメント内に複数の層が重ねられている場合の充電セルの配置構成の一例を示している。
【
図3】
図3は、本明細書に開示の特定の態様に係る、充電器基地局に提供され得る無線送信機を示している。
【
図4】
図4は、本明細書で開示の特定の態様に係る、パッシブpingに対する応答の第1の例を示している。
【
図5】
図5は、本明細書に開示の特定の態様に係る、パッシブpingに対する応答において観察された差の例を示している。
【
図6】
図6は、本明細書に開示の特定の態様に従って適応されたワイヤレス充電デバイスに実装されたパッシブpingを伴う方法を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、共振回路の共振周波数で提供されるpingに対する共振回路の周波数応答を示している。
【
図8】
図8は、本明細書に開示の特定の態様に係る、共振回路の共振周波数よりも大きい周波数で提供されるpingの影響を示す共振回路の周波数応答を示している。
【
図9】
図9は、本明細書に開示の特定の態様に係る、パッシブpingに対する共振回路の応答を測定するために使用することができる回路を示している。
【
図10】
図10は、本明細書に開示の特定の態様に従って実装されたワイヤレス充電デバイスによって採用され得る電力伝送管理手順を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、本明細書で開示の特定の態様に係る、物体の存在を判定するために使用することができるシステムの第1の例を示している。
【
図12】
図12は、本明細書で開示の特定の態様に係る、物体の存在をより確実に判定するために使用することができるシステムの第1の例を示している。
【
図13】
図13は、本明細書に開示の特定の態様に係る、物体を検出するための方法の一例を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、本明細書に開示の特定の態様に従って適応され得る処理回路を採用した装置の一例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0008】
添付の図面に関連して以下に記載される詳細な説明は、様々な構成を説明することを意図しており、本明細書に記載の概念が実施され得る唯一の構成を示すことを意図したものではない。詳細な説明には、様々な概念の完全な理解を提供するための具体的な詳細が含まれている。しかしながら、それらの概念が具体的な詳細なしで実施できることは当業者には明らかであろう。時には、そのような概念を不明瞭にしないために、周知の構造および構成要素をブロック図の形式で示している。
【0009】
次に、ワイヤレス充電システムのいくつかの態様を、様々な装置および方法を参照して提示する。それらの装置および方法は、以下の詳細な説明に記載されるとともに、添付の図面において、様々なブロック、モジュール、コンポーネント、回路、ステップ、プロセス、アルゴリズムなど(総称して「要素」と呼ぶ)によって示される。それら要素は、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェアまたはそれらの任意の組合せを使用して実装することができる。そのような要素がハードウェアとして実装されるか、またはソフトウェアとして実装されるかは、具体的なアプリケーションおよびシステム全体に課される設計上の制約に依存する。
【0010】
例えば、要素、要素の任意の部分、または要素の任意の組合せは、1または複数のプロセッサを含む「処理システム」で実装され得る。プロセッサの例には、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、ステートマシン、ゲートロジック、ディスクリートハードウェア回路、および本開示全体を通して記載される様々な機能を実行するように構成された他の適切なハードウェアが含まれる。処理システムの1または複数のプロセッサは、ソフトウェアを実行することができる。ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコードまたはハードウェア記述言語などと呼ばれるかどうかにかかわらず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、プロシージャ、関数などを意味するものとして、広く解釈されるものとする。ソフトウェアは、プロセッサ可読記憶媒体に常駐するようにしてもよい。本明細書でコンピュータ可読媒体とも呼ばれるプロセッサ可読記憶媒体は、例えば、磁気ストレージデバイス(例えば、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気ストリップ)、光ディスク(例えば、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD))、スマートカード、フラッシュメモリデバイス(例えば、カード、スティック、キードライブ)、近距離無線通信(NFC)トークン、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、消去可能PROM(EPROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、レジスタ、リムーバブルディスク、搬送波、伝送路、ソフトウェアを格納または伝送するのに適した他の任意の媒体を含むことができる。コンピュータ可読媒体は、処理システムに存在していても、処理システムの外部にあっても、処理システムを含む複数のエンティティに分散していてもよい。コンピュータ可読媒体は、コンピュータプログラム製品に具現化されるものであってもよい。一例として、コンピュータプログラム製品は、パッケージ材料内のコンピュータ可読媒体を含むことができる。当業者は、具体的なアプリケーションおよびシステム全体に課せられた全体的な設計上の制約に応じて、本開示全体にわたって提示された記載の機能を実装するための最良の方法を認識するであろう。
【0011】
概要
本開示の特定の態様は、ワイヤレス充電デバイスおよび技術に適用可能なシステム、装置および方法に関するものである。充電セルは、1または複数のデバイスをワイヤレスで充電することができる充電面を提供するために、1または複数の誘導コイルで構成することができる。充電されるデバイスの位置は、デバイスの位置を、充電面の既知の位置を中心とする物理的特性の変化に関連付ける検知技術によって検出することができる。位置の検知は、容量性、抵抗性、誘導性、タッチ、圧力、負荷、歪みおよび/または別の適切なタイプの検知を用いて実行することができる。
【0012】
本開示の一態様は、充電面に近接して配置された物体の高速かつ低電力の検出を可能にするシステム、装置および方法に関する。一例では、充電回路に供給されるパルスが、充電回路またはその一部の振動を引き起こすときに、物体を検出することができる。パルスに応答する充電回路の振動の周波数、または充電回路の振動の減衰率は、充電回路のコイルに近接して配置された充電式デバイスの存在を示すか、または特定することができる。また、充電回路の特性の変化に基づいて、物体のタイプや性質を識別することができる。充電回路に供給されるパルスは、充電回路の公称共振周波数の周期の半分未満の持続時間を有することができる。
【0013】
本開示の一態様では、充電面近傍の物体を検出する装置が、充電面に取り付けられた充電コイルを含む共振回路と、パッシブpingに対する共振回路の測定された応答に基づいて、共振回路の品質係数を示す測定信号を提供するように構成された回路と、測定信号よりも遅い速度で変化する測定信号のフィルタリングされたバージョンを提供するように構成されたフィルタと、測定信号と測定信号のフィルタリングされたバージョンとの間の差が閾値レベルを超えたときに切り替わる検出信号を生成するように構成された比較ロジックとを有する。検出信号は、物体が充電コイルに近接して配置されているか否かを示すことができる。
【0014】
充電セル
本明細書に開示の特定の態様によれば、充電面に隣接して配置された充電セルを使用して、充電面を提供することができる。一例では、充電セルが、ハニカムパッケージ構成に従って展開される。充電セルは、コイルに隣接する充電面に実質的に直交する軸に沿って磁場をそれぞれ誘導することができる1または複数のコイルを用いて実装することができる。本明細書において、充電セルは、1または複数のコイルを有する要素であって、各コイルが、充電セル内の他のコイルによって生成される磁場に対して加算的であり、共通の軸に沿ってまたは近接して向けられる電磁場を生成するように構成される、要素を指すことができる。
【0015】
いくつかの態様では、充電セルが、共通軸に沿って積み重ねられ、かつ/または充電面に実質的に直交する誘導磁場に寄与するように重なり合うコイルを含む。いくつかの態様では、充電セルが、充電面の規定された部分内に配置され、充電セルに関連する充電面の実質的に直交する部分内の誘導磁界に寄与するコイルを含む。いくつかの態様では、充電セルが、動的に規定された充電セルに含まれるコイルに活性化電流を提供することによって構成可能であってもよい。例えば、充電デバイスは、充電面全体に配置された複数のコイルのスタックを含むことができ、充電デバイスは、充電されるデバイスの位置を検出し、コイルのスタックのいくつかの組合せを選択して、充電されるデバイスに隣接する充電セルを提供することができる。いくつかの例では、充電セルが、単一のコイルを含むか、または単一のコイルとして特徴付けられるものであってもよい。しかしながら、充電セルは、複数の積層されたコイルおよび/または複数の隣接するコイル若しくはコイルのスタックを含むことができることを理解されたい。
【0016】
図1は、充電面を提供するために展開および/または構成され得る充電セル100の一例を示している。この例では、充電セル100が、電力伝送領域104に電磁場を生成するのに十分な電流を受け取ることができる、導体、ワイヤまたは回路基板トレースを用いて構築された1または複数のコイル102を囲む、実質的に六角形の形状を有している。様々な態様では、いくつかのコイル102が、
図1に示す六角形の充電セル100を含む、実質的に多角形である形状を有することができる。他の実施態様では、他の形状を有するコイル102を提供することができる。コイル102の形状は、製造技術の能力または制限によって、かつ/または、プリント回路基板基板などの基板106上の充電セルのレイアウトを最適化するように、少なくとも部分的に決定され得る。各コイル102は、スパイラル構成のワイヤ、プリント回路基板のトレースおよび/または他のコネクタを使用して実装することができる。各充電セル100は、異なる層のコイル102が共通の軸108を中心に配置されるように、絶縁体または基板106によって分離された2以上の層に跨るようにしてもよい。
【0017】
図2は、本明細書に開示の特定の態様に従って適応され得る充電面のセグメント内に複数の層が重ねられている場合の、2つの視点200、210からの充電セルの配置の一例を示している。充電セル202、204、206、208の層は、充電面のセグメント内に設けられている。充電セル202、204、206、208の各層内の充電セルは、ハニカムパッケージ構成に従って配置されている。一例では、充電セル202、204、206、208の層が、4以上の層を有するプリント回路基板上に形成されるようにしてもよい。充電セル100の配置は、図示のセグメントに隣接する指定された充電領域を完全にカバーするように選択することができる。
【0018】
パッシブping
本明細書に開示の特定の態様によれば、位置検知は、充電セル内のコイルを形成する電気導体のいくつかの特性の変化に依存し得る。電気導体の特性の測定可能な差には、物体が1または複数のコイルに近接して配置されたときの静電容量、抵抗、インダクタンスおよび/または温度の変化が含まれる。いくつかの例では、充電面に物体を配置することで、その配置点の近くに位置するコイルの測定可能な抵抗、静電容量、インダクタンスに影響を与えることができる。いくつかの態様では、配置点の近くに位置する1または複数のコイルの抵抗、静電容量および/またはインダクタンスの変化を測定する回路が提供されるようにしてもよい。いくつかの態様では、充電面のタッチ、圧力、荷重および歪みの変化を検出することで位置検知を可能にするセンサを提供することができる。現在のワイヤレス充電アプリケーションでデバイスを検出するために使用されている従来の技術は、伝送コイルを駆動し、かなりの電力(例えば、100~200mW)を消費する「ping」方式を採用している。伝送コイルによって生成される場は、受信デバイスを検出するために使用される。
【0019】
ワイヤレス充電デバイスは、本明細書に開示の特定の態様に従って、従来のping送信を代替および/または補完することができる低電力発見技術をサポートするように適合させることができる。従来のpingは、基地局の伝送コイルを含む共振LC回路を駆動することによって生成される。その後、基地局は、受信デバイスからのASK変調応答を待つ。低電力発見技術は、パッシブpingを利用して、高速かつ低電力の発見を提供することができる。特定の態様によれば、パッシブpingは、少量のエネルギーを含む高速パルスで、共振LC回路を含むネットワークを駆動することによって生成され得る。高速パルスは共振LC回路を励起し、注入されたエネルギーが減衰して消散するまで、ネットワークをその固有共振周波数で振動させる。一例として、高速パルスは、ネットワークおよび/または共振LC回路の共振周波数の半周期に対応する持続時間を有し得る。基地局が、周波数範囲100kHz~200kHz内で電力を無線伝送するように構成されている場合、高速パルスは、2.5μs未満の持続時間を有することができる。
【0020】
パッシブpingは、共振LC回路を含むネットワークがリンギングする固有周波数、およびネットワークにおけるエネルギーの減衰率に基づいて、特徴付けられ、かつ/または構成され得る。ネットワークおよび/または共振LC回路のリンギング周波数は、以下のように定義することができる。
【0021】
減衰率は、以下に定義されるように、振動ネットワークの品質係数(Q値)によって制御される。
【0022】
式1および式2は、共振周波数がL、Cの影響を受け、Q値がL、C、Rの影響を受けることを示している。本明細書に開示の特定の態様に従って提供される基地局において、ワイヤレスドライバは、共振コンデンサの選択によって決定されるCの固定値を有する。LとRの値は、無線伝送コイルによって、かつ無線伝送コイルに隣接して配置された物体またはデバイスによって決定される。
【0023】
無線伝送コイルは、伝送コイルに近接して配置されたデバイス内の受信コイルと磁気的に結合し、そのエネルギーの一部を、充電される近接デバイスに結合するように構成されている。送信回路のL値とR値は、充電されるデバイスおよび/または伝送コイルの近くにある他の物体の特性に影響される。例えば、伝送コイルの近くに透磁率の高い鉄材を置くと、伝送コイルの総インダクタンス(L)が増加し、式1に示すように共振周波数が低くなる。また、渦電流の誘導による材料の加熱によってエネルギーが失われることがあり、その損失は、式2に示すように、Rの値を増加させてQ値を低下させるという特徴がある。
【0024】
送信機のコイルに近接して配置された無線受信機も、Q値と共振周波数に影響を与える可能性がある。受信機は、Qの高い同調LCネットワークを含むことがあり、その結果、伝送コイルのQ値が低くなることがある。受信機に磁性体を追加することで、それが全体の磁気システムの一部となり、伝送コイルの共振周波数が低下する可能性がある。表1は、伝送コイルに近接して配置される様々なタイプの物体に起因する特定の影響を示している。
【0025】
図3は、充電器基地局に提供することができる無線送信機300を示している。コントローラ302は、フィルタ回路308によってフィルタリングまたは他の方法で処理されたフィードバック信号を受信することができる。コントローラは、ドライバ回路304の動作を制御することができる。ドライバ回路304は、コンデンサ312およびインダクタ314を含む共振回路306に交流を供給する。交流電流の周波数は、タイミング回路320によって提供される充電クロック信号328によって決定され得る。測定回路は、共振回路306のLCノード310で測定される電流の流れまたは電圧316を示す測定信号318を取得することができる。測定信号318は、共振回路306のQ値を計算または推定するために使用することができる。
【0026】
タイミング回路320は、コントローラ302の動作を制御するシステムクロック信号を含む、1または複数のクロック信号324をコントローラに提供することができる。1または複数のクロック信号324は、共振回路306の充電電流で運ばれるデータ信号を変調または復調するために使用されるクロック信号をさらに含むことができる。タイミング回路320は、充電クロック信号328を含む、構成情報によって規定される周波数の信号を生成する構成可能なクロック生成器を含むことができる。タイミング回路320は、インターフェース326を介してコントローラに結合されるようにしてもよい。コントローラ302は、充電クロック信号328の周波数を構成することができる。いくつかの態様では、コントローラ302が、本明細書に開示の特定の態様に従って、パッシブpingに使用されるパルス信号の持続時間および周波数を構成することができる。一例では、パルス信号が、パルス信号のいくつかのサイクルを含む。
【0027】
パッシブping技術は、本明細書に開示の特定の態様に従って適応されたデバイスの充電パッドに近接する受信コイルの存在を識別するために、LCノード310で測定または観察された電圧および/または電流を使用することができる。多くの従来のワイヤレス充電器送信機は、LCノード310で電圧を測定する回路、またはネットワーク内の電流を測定する回路を含む。これらの電圧および電流は、電力調整の目的で、かつ/またはデバイス間の通信をサポートするために監視することができる。
図3に示す例では、LCノード310における電圧を測定することができるが、パッシブpingをサポートするために、追加的または代替的に電流を監視できるように回路を適合または提供することができることが企図されている。パッシブping(初期電圧V
0)に対する共振回路306の応答は、以下のように、LCノード310における電圧(V
LC)によって示すことができる。
【0028】
図4は、パッシブpingに対する応答400、420の例を示している。応答400、420の各々において、初期電圧は式3に従って減衰する。時間=0における励起パルスの後、電圧および/または電流は、式1で規定される共振周波数で、式3で規定される減衰率で振動していることが分かる。振動の最初のサイクルは、電圧レベルV
0で始まり、V
LCは、Q値とωによって制御されるように、ゼロまで減衰し続ける。第1の応答400は、物体が存在しないか、または充電パッドの近くにないときの典型的な開放または無負荷応答を示している。この第1の応答400では、Q値が20であると仮定することができる。第2の応答420は、物体が充電パッドに存在するか、または近くにあるときに観察される、コイルに負荷がかかる負荷応答を示している。図示の第2の応答420において、Q値は、7の値を有することができる。V
LCは、電圧応答400に対して、電圧応答420においてより高い周波数で振動する。
【0029】
図5は、応答500、520、540の差が観察される一連の例を示している。ドライバ回路304が、2.5μsよりも短いパルスを用いて共振回路306を励起すると、パッシブpingが開始される。送信機上に置かれた異なるタイプの無線受信機および異物は、送信機のLCノード310の電圧または共振回路306の電流において観察可能な異なる応答をもたらす。この差は、V
0の振動の共振回路306の周波数のQ値の変動を示し得る。表2は、開放状態に関連して充電パッド上に置かれた物体の具体的な例を示している。
【0030】
表2では、Q値を次のように計算することができる。
ここで、Nは、励起から振幅が0.5V
0を下回るまでのサイクル数である。
【0031】
図6は、本明細書に開示の特定の態様に従って適応されたワイヤレス充電デバイスに実装されたパッシブpingを伴う方法を示すフローチャート600である。ブロック602において、コントローラは、短い励起パルスを生成することができ、共振回路を含むネットワークに短い励起パルスを提供することができる。ネットワークは、公称共振周波数を有し、短い励起パルスは、ネットワークの公称共振周波数の半分未満の持続時間を有することができる。公称共振周波数は、鉄の物体、非鉄物体および/または充電されるデバイスの受信コイルを含む外部の物体から、共振回路の伝送コイルが隔離されているときに観測され得る。
【0032】
ブロック604において、コントローラは、ネットワークの共振周波数を測定するか、またはパルスに応答するネットワークの共振の減衰を監視することができる。本明細書に開示の特定の態様によれば、デバイスまたは他の物体が伝送コイルに近接して配置されたときに、ネットワークに関連する共振周波数および/またはQ値が変更され得る。共振周波数は、共振回路の伝送コイルが外部の物体から隔離されているときに観測される公称共振周波数から増加または減少する可能性がある。また、ネットワークのQ値は、共振回路の伝送コイルが外部の物体から隔離されているときに測定可能な公称Q値に対して増加または減少する可能性がある。本明細書に開示の特定の態様によれば、Q値の差が、公称Q値に関連する遅延に対して、共振回路における振動の振幅の減衰を延長または加速する場合、遅延の時間は、伝送コイルに近接して配置された物体の存在またはタイプを示すことができる。
【0033】
一例では、コントローラは、コンパレータなどを用いてLCノード310における電圧を示す信号のゼロ交差を検出するように構成された遷移検出回路を使用して、ネットワークの共振周波数を測定することができる。いくつかの例では、ゼロ交差を提供するために、信号から直流(DC)成分をフィルタリングすることができる。いくつかの例では、コンパレータが、共通の電圧レベルの交差を検出するために、オフセットを使用してDC成分を考慮することができる。検出されたゼロ交差をカウントするために、カウンタを採用することができる。別の例では、コントローラは、LCノード310の電圧を示す信号によって閾値電圧を通る交差を検出するように構成された遷移検出回路を使用して、ネットワークの共振周波数を求めることができ、この場合、信号の振幅が、論理回路によって検出および監視することができる電圧の範囲内で固定または制限される。この例では、信号の遷移をカウントするためにカウンタを採用することができる。ネットワークの共振周波数は、他の方法論を用いて測定、推定および/または計算することもできる。
【0034】
別の例では、VLCが電圧レベルV0から閾値電圧レベルまで減衰するのにかかる時間を測定するために、タイマまたはカウンタを採用することができる。経過時間は、ネットワークの減衰特性を示すために使用することができる。閾値電圧レベルは、パルスに対する様々な応答500、520、540をカウンタまたはタイマが区別できるように、十分な精度を提供するように選択され得る。VLCは、検出または測定されたピーク、ピークツーピーク、エンベロープ502および/または整流された電圧レベルによって表すことができる。ネットワークの減衰特性は、他の方法論を用いて測定、推定および/または計算することもできる。
【0035】
ブロック606において、公称共振周波数に対する共振周波数の変化が、伝送コイルに近接する物体の存在を示しているとコントローラが判定した場合、コントローラは、ブロック612において、物体の識別を試みることができる。コントローラがブロック606で共振周波数が公称共振周波数と実質的に同じであると判定した場合、コントローラはブロック608で、共振回路における振動の振幅の減衰特性を考慮することができる。コントローラは、公称共振周波数を中心とする、またはそれを含む規定された周波数範囲内に周波数が留まっている場合に、ネットワークの共振周波数が公称共振周波数と実質的に同じであると判定するようにしてもよい。いくつかの態様では、コントローラは、共振周波数および減衰特性の変化を使用して物体を識別することができる。それらの後者の態様では、コントローラは、共振周波数に関係なく、ブロック608を継続することができ、伝送コイルの近くに配置された物体を識別する際に、追加のパラメータとして共振周波数の変化を使用することができる。
【0036】
ブロック608において、コントローラはタイマを使用することができ、かつ/または初期のV0振幅と減衰特性の評価に使用される閾値振幅との間に経過した共振回路の振動のサイクルをカウントすることができる。一例では、V0/2を閾値振幅として選択することができる。ブロック610では、初期V0振幅と閾値振幅との間のサイクル数または経過時間を用いて、共振回路における発振振幅の減衰を特徴付け、この特徴付けた減衰を対応する公称減衰特性と比較することができる。ブロック610において、周波数および遅延特性の変化が検出されない場合、コントローラは、物体が伝送コイルに近接して配置されていないと判定して手順を終了することができる。ブロック610において、周波数および/または遅延特性の変化が検出された場合、コントローラは、ブロック612において、物体を識別することができる。
【0037】
ブロック612において、コントローラは、充電パッドに置かれた受信デバイスを識別するように構成され得る。コントローラは、他のタイプの物体、または充電パッド上に最適に配置されていない受信デバイス(例えば、パッシブpingを提供する伝送コイルと位置がずれている受信デバイスなど)を無視するように構成することができる。いくつかの態様では、コントローラは、共振周波数、減衰時間、共振周波数の変化、減衰時間の変化および/またはQ値の推定値で索引付けされたルックアップテーブルを使用することができる。ルックアップテーブルは、特定のデバイスのタイプを識別する情報、および/または識別されたデバイスまたはデバイスのタイプを充電する際に使用される充電パラメータを提供することができる。
【0038】
パッシブpingは、共振回路306のLCノード310で観測される公称共振周波数の半周期未満であり得る、非常に短い励起パルスを使用する。従来のpingは、16,000を超えるサイクルにわたって伝送コイルをアクティブに駆動することができる。従来のpingによって消費される電力および時間は、パッシブpingの電力および時間の使用を数桁上回ることがある。ある例では、パッシブpingは1回のpingで約0.25μJを消費し、最大ping時間は約100μsであるのに対し、従来のアクティブpingは1回のpingで約80mJを消費し、最大ping時間は約90msである。この例では、エネルギー散逸が320,000分の1に減少し、1回のpingの時間が300分の1に減少する可能性がある。
【0039】
LCノード310における電圧の減衰の検出および特性評価には、共振回路306において共振信号を生成するために短い励起パルスが使用される場合、LCノード310における共振信号の低電力の性質に対応するために、高速、高感度および/または低電圧の回路が必要となり得る。いくつかの例では、共振回路306の公称共振周波数におけるエネルギーのバーストを使用してパッシブpingが実装されるようにしてもよい。エネルギーのバーストは、公称共振周波数の数周期分の持続時間を有することができる。このバーストモードのパッシブpingは、短い励起パルスによって開始されるパッシブpingよりも、必然的にping毎により多くのエネルギーを消費する。この追加のエネルギーは、共振応答を特徴付ける追加の時間を提供する。
【0040】
図7は、共振回路306が、共振回路306の公称共振周波数(f
0712)またはその近傍で振動する信号の数サイクルを含むping(ここでは、パッシブping702)によって励起される場合の共振回路306の周波数応答700の一例を示している。第1の周波数応答704は、デバイスが存在しないときの共振回路306の応答を示し、第2の周波数応答706は、充電可能な物体が存在するときの共振回路306の応答を示している。充電可能な物体は、共振回路306のQ値を低下させる。デバイスが存在しないときの共振回路306の高いQ値により、共振回路306は、f
0712でのパッシブping702に応答して、電圧応答710よりも、著しく高い電圧応答708を生成し、最も長い減衰時間で最大電流を引き込む。電圧応答710では、充電式デバイスが共振回路306のQ値を低下させることにより、共振回路306が、f
0712でのパッシブpingに応答して、より低い電圧を生成し、より少ない電流を引き込み、より短い減衰時間を有するようになる。典型的なアプリケーションでは、充電デバイスが動作している時間の大部分に物体が存在せず、充電デバイス内の共振回路306は、その時間の大部分で高いQ値を有する。Q値が高いと、電力消費量が多くなる。共振回路306は、高いQ値を有する場合、パッシブping702のエネルギーが減衰して別のpingの開始を遅らせるために、より多くの時間が必要となり、その結果、応答時間が遅くなる。
【0041】
本明細書に開示の特定の態様に従って実装される改良されたパッシブping技術は、パッシブping702に関連する電力消費を低減することができ、pingレートを増加させることができる。改良されたパッシブping技術は、共振回路306の共振周波数とは著しく異なる周波数を使用することができる。
【0042】
図8は、共振回路306の公称共振周波数(f
0808)よりも高い周波数(f
p812)で振動する刺激信号のバーストとして提供されるping(ここでは、パルス802)の影響を示す共振回路306の周波数応答800の一例を示している。バーストは、刺激信号の2以上のサイクルにわたる。一例では、バーストの持続時間がタイマによって制御される。別の例では、所望の反復率で、かつバースト内の刺激信号のサイクル数を規定するアクティブ期間で刺激信号を共振回路に提供させるゲート信号を使用して、刺激を変調することができる。いくつかの態様では、pingがf
0808よりも低い周波数を有する刺激信号のマルチサイクルバーストとして提供される。
【0043】
共振回路306の共振周波数とは異なる周波数を有する刺激信号の使用は、充電可能な物体が存在しない充電デバイスの支配的な状態をもたらし、共振回路306の共振周波数またはその近傍の周波数を有する刺激信号に対して予想されるよりも低い電力消費量およびより速い減衰率を有することができる。非共振刺激信号の使用は、
図7に示す例に対して、改善された性能を提供することができる。開示のping技術は、減衰率の増加をもたらし、充電可能な物体の検出に繋がるパルス802へのより高い電力消費の発生を制限することができる。追加のパルス802は、通常、検出後は不要となる。
【0044】
共振回路306は、f
p812での数サイクルを含むことができる持続時間のパルスを含むパルス信号によって、パッシブping手順中に刺激され得る。第1の周波数応答804は、デバイスが存在しないときのパルス802に対する共振回路306の応答を示し、一方、第2の周波数応答806は、充電可能な物体が存在するときのパルス802に対する共振回路306の応答を示している。共振回路306に対する充電可能な物体の影響は、共振回路306のQ値の低下で示され得る。共振回路306は、デバイスが存在しないときに、f
p812でのpingに応答して、充電式デバイスが存在するときに生成される電圧レベル816よりも、著しく低い電圧レベル814をもたらし、より短い減衰時間でより小さい電流を引き込む。典型的なアプリケーションでは、充電デバイスが動作している時間の大部分に物体が存在せず、共振回路306は、
図7に示す例に対して、より低い消費電力と、pingあたりのより速い減衰時間を示す。
【0045】
共振周波数(f0808)とping周波数(fp812)との間の周波数の広がり(fp-f0またはf0-fp)は、f0808の値に比例し得る。例えば、f0808が高くなるに連れて、周波数の広がりが増加し得る。いくつかの態様では、周波数の広がりおよびf0808aが、対数(10を底とする対数)の関係にある。Qi規格に準拠または適合する一例では、80Khz<f0<110Khzの場合、175KHz<fp<210KHzとなるようにパッシブping周波数を規定することができる。
【0046】
本明細書に開示の特定の態様によれば、周波数の広がりは、信号対雑音比(SNR)と消費電力または応答時間との間のトレードオフとして選択され得る。
図8に示す例では、周波数の広がりの値が高過ぎると、SNRが低くなり、周波数の広がりの値が高過ぎると、電力消費量が多くなり、かつ/または応答が遅くなり得る。SNRと電力消費の最適なバランスは、アプリケーションによって異なる場合がある。いくつかの態様では、システムのSNRを考慮して物体の信頼性の高い検出を可能にしながら、f
p812を可能な限り高く設定することによって、最も低い電力および高速のスキャンレートが得られる。
【0047】
パルス802の持続時間は、fp812の1サイクルの分数の数として定義することができる。一例では、パッシブpingパルスの持続時間が、fp812の半サイクルに設定される。別の例では、パッシブpingパルスの持続時間が、fp812の複数のサイクルに設定される。いくつかの態様では、パッシブpingパルスの持続時間が、充電デバイスのマイクロプロセッサ内のアナログ-デジタルコンバータ(ADC)の検出可能範囲内の電流引き込みを得るのに十分なfp812の半サイクルを含む。パッシブpingパルスは、SNRマージンに対応するために追加のサイクルを含むことができる。追加サイクルの数は、電力とping時間を制限しつつ、SNRを向上させるためのトレードオフの対象となり得る。一例では、fp=190KHz、f0=100KHzの場合、パッシブpingパルスの持続時間が100μS未満となる。
【0048】
パルス刺激信号におけるパルス802の繰り返し率は、検出の速度が優先される場合、動的に決定することができる。一例では、ADCをチェックして、次のパルス802を開始する前に、電流がゼロに戻ったときを判定することができる。このようにして、検出回路は、次のパルス802を開始する前に、パルス802から共振回路306にエネルギーが残っていないことを判定することができる。いくつかの態様では、パルス802間の固定遅延を実装することができる。一例では、固定遅延が、共振回路306において予想または観測される最長の減衰時定数の6倍となるように構成される。一例では、固定遅延が、パルス間に1ミリ秒の間隔を設けるように構成される。1ミリ秒のping間隔は、18コイルの充電パッドを18mSでスキャンすることを可能にし、1秒未満のデバイス検出を可能にする。速度をさらに最適化する必要がない場合は、固定時間のアプローチを使用することができる。例えば、より多くの充電コイルが充電パッドに設けられている場合には、動的なping間隔を使用することができる。
【0049】
図9は、パッシブping手順において共振回路の応答を測定するために使用され得る回路900を示している。図示の例では、回路900が、パルス910を生成するインバータ906に供給される電力902を監視する。電力902は、共振回路908への電流の流れとして測定することができる。いくつかの態様では、電力902を、共振回路908にかかる電圧として測定することができる。図示の例では、電流検知回路920が、共振回路908に提供されるパルス910を構成、開始および/またはトリガするコントローラ904に測定値を提供する。一例では、電流検出回路920が、コンパレータ924を使用して、インバータ906に結合する電源の小さい値の抵抗器922にかかる電圧を測定する。ローパスフィルタ926は、電流検出回路920の出力928として平均値または二乗平均値を提供するために使用することができる。
【0050】
また、パッシブping手順は、静電容量式検知などの別の低電力検知方法論と組み合わせることもできる。静電容量式検知などは、充電面に近接している物体の有無を判定する超低電力の検出方法を提供することができる。静電容量式検知の後、パッシブpingを各コイルで順次または同時に送信することで、潜在的な受信デバイスおよび/または物体がどこに位置するかのより正確なマップを作成することができる。パッシブpingの手順が実行された後、最も可能性の高いデバイスの位置にアクティブpingを提供することができる。デバイスの位置検知、識別および充電のためのアルゴリズムの一例が、
図10に示されている。
【0051】
図10は、本明細書に開示の特定の態様に従って実装されるワイヤレス充電デバイスにより採用され得る複数の検知および/または問合せ技術を含む電力伝送管理手順を示すフローチャート1000である。この手順は、定期的に開始することができ、いくつかの例では、ワイヤレス充電デバイスが低電力状態またはスリープ状態を終了した後に開始することができる。ある例では、この手順を、充電パッド上へのデバイスの配置に対する1秒未満の応答を提供するように計算された周波数で繰り返すことができる。手順の最初の実行中にエラー状態が検出された場合に、かつ/または、充電パッドに置かれたデバイスの充電が完了した後に、手順に再び入ることができる。
【0052】
ブロック1002では、コントローラが、静電容量式近接検知を使用して初期探索を実行することができる。静電容量式近接検知は、迅速にかつ低消費電力で実行することができる。一例では、静電容量式近接検知を反復的に実行することができ、各反復において1または複数の伝送コイルがテストされる。各反復においてテストされる伝送コイルの数は、コントローラが利用可能な検知回路の数によって決定することができる。ブロック1004において、コントローラは、静電容量式近接検知が、伝送コイルの1つに近接する物体の存在または潜在的な存在を検知したか否かを判定することができる。静電容量式近接検知によって物体が検知されなかった場合、コントローラは、ブロック1024において、充電デバイスを低電力、アイドルおよび/またはスリープ状態にすることができる。物体が検出された場合には、コントローラは、ブロック1006でパッシブping検知を開始することができる。
【0053】
ブロック1006において、コントローラは、1または複数の伝送コイルの近くに物体が存在することを確認するために、かつ/または近接して位置する物体の性質を評価するために、パッシブping検知を開始することができる。パッシブping検知は、同程度の量の電力を消費するが、静電容量式近接検知よりも長い時間に及ぶことがある。一例として、各パッシブpingは、約100μsで完了することができ、0.25μJを消費する。パッシブpingは、静電容量式近接検知によって対象であると識別された各伝送コイルに提供することができる。いくつかの態様では、パッシブpingは、オーバーレイされた伝送コイルを含む、静電容量式近接検知によって対象であると識別された各伝送コイルの近傍の伝送コイルに提供されるようにしてもよい。ブロック1008において、コントローラは、パッシブping検知が、受信デバイスである可能性のある伝送コイルの1つに近接する潜在的な充電式デバイスの存在を検知したか否かを判定することができる。潜在的な充電式デバイスが検出された場合、コントローラは、ブロック1010でアクティブデジタルping検知を開始することができる。充電式デバイスが検出されなかった場合、ブロック1006において、すべてのコイルがテストされるまで、かつ/またはコントローラがパッシブping検知を終了するまで、パッシブping検知を継続することができる。一例において、コントローラは、すべての伝送コイルがテストされた後、パッシブping検知を終了する。パッシブping検知が潜在的な充電式デバイスを見付けられない場合、コントローラは、充電デバイスを低電力、アイドルおよび/またはスリープ状態にすることができる。いくつかの態様では、潜在的な充電式デバイスが検出されたときにパッシブping検知を一時停止して、アクティブpingを使用して潜在的な充電式デバイスに問い合わせることができる。アクティブpingの結果が得られた後、パッシブpingの検知を再開することができる。
【0054】
ブロック1010では、コントローラが、アクティブpingを使用して、潜在的な充電式デバイスを問い合わせることができる。アクティブpingは、パッシブping検知によって識別された伝送コイルに提供することができる。一例では、標準規定されたアクティブpingの遣り取りは、約90msで完了することができ、80mJを消費する。アクティブpingは、潜在的な充電式デバイスに関連する各伝送コイルに提供することができる。
【0055】
ブロック1012において、コントローラは、充電式デバイスを識別および構成することができる。ブロック1010で提供されたアクティブpingは、充電式デバイスを識別する情報を含む応答を送信するように、充電式デバイスを促すように構成することができる。いくつかの例では、コントローラは、パッシブpingによって検出された充電式デバイスの識別または構成に失敗することがあり、コントローラは、ブロック1006において、パッシブpingに基づく探索を再開することができる。ブロック1014において、コントローラは、識別された充電式デバイスを充電するために、ベースライン充電プロファイルまたはネゴシエートされた充電プロファイルを使用すべきか否かを判定することができる。ベースラインまたはデフォルトの充電プロファイルは、規格によって規定されたものであってもよい。一例では、ベースラインプロファイルが充電電力を5Wに制限する。別の例では、ネゴシエートされた充電プロファイルが、最大17Wで充電を進めることを可能にする。ベースライン充電プロファイルが選択されると、コントローラは、ブロック1020において、電力の伝送(充電)を開始することができる。
【0056】
ブロック1016において、コントローラは、電力伝送を最適化することができる標準規定のネゴシエーションおよびキャリブレーションプロセスを開始することができる。コントローラは、充電式デバイスとネゴシエートして、ベースライン充電プロファイルに対して規定された電力プロファイルとは異なる拡張電力プロファイルを決定することができる。コントローラは、ブロック1018において、ネゴシエーションおよびキャリブレーションプロセスが失敗したと判定し、電力伝送管理手順を終了することができる。コントローラは、ブロック1018において、ネゴシエーションおよびキャリブレーションプロセスが成功したと判定した場合、ブロック1020において、ネゴシエーションプロファイルに従った充電を開始することができる。
【0057】
ブロック1022では、コントローラは、充電が正常に完了したか否かを判定することができる。いくつかの例では、電力伝送を制御するためにネゴシエートされたプロファイルが使用されるときに、エラーが検出されることがある。後者の場合、コントローラは、ブロック1016において、プロファイルの再ネゴシエートおよび/または再構成を試みることができる。コントローラは、充電が正常に完了したときに、電力伝送管理手順を終了することができる。
【0058】
本明細書に開示のパッシブping技術の使用は、充電面に近接して置かれた又は配置されたデバイスまたは物体の迅速で低電力の検出または発見を可能にすることができる。パッシブpingを採用する充電デバイスは、静止電力消費の低減、検出速度の向上、および放射EMIの低減の恩恵を受けることができる。パッシブping検出を採用する従来のシステムは、刺激されたネットワークの特性を判定するために、電流値または電圧値または減衰率を測定するために使用される刺激パルスを提供することによって動作する。例えば、従来のシステムでは、刺激パルスによって刺激された共振回路のQ値の変化を検出しようとする。Q値は、電気信号または電磁信号と閾値の比較をベースに計算または推定することができる。
【0059】
図11は、共振回路の近くにある物体、または共振回路と接触している物体の存在を判定するために使用できるシステム1100を示している。測定回路1102は、パッシブping検出に使用される共振回路を特徴付ける1または複数のパラメータを測定および/または計算するために使用することができる。測定されるパラメータは、Q値、電圧、電流、インピーダンス、振動周波数などを含むことができる。測定回路1102は、測定されたパラメータを示す電流を運ぶか、または電圧レベルを有する測定信号1110を提供する。測定信号1110は、バイナリ物体検出信号1108を提供するコンパレータ1106を使用して、閾値信号1112と比較される。図示のシステム1100では、システム1100が、物体が共振回路のコンポーネントに近接していることを示すのに十分に共振回路の特性が変化したときを確実に判定することを可能にするために、一定の固定された電圧レベルまたは電流レベルを有する閾値信号を提供するように設計された基準回路1104によって閾値信号1112が生成される。
【0060】
特定の態様では、測定信号1110または閾値信号1112のレベルがドリフトし得る。ドリフトは、プロセス、電圧および温度(PVT)の変動の結果として生じ得る。プロセス変動は、集積回路(IC)デバイスの製造中に生じ、異なるデバイスの基準回路1104が異なる電圧または電流レベルの閾値信号1112を生成する原因となり得る。電圧および温度の変動は、関連している可能性があり、かつ/または、周囲温度、電力供給、干渉、IC動作温度、負荷、刺激の変動、および他の要因または原因から生じる可能性がある。一例では、温度の上昇が、銅の抵抗率を増加させ、その結果、共振回路のQ値に顕著な影響を与える可能性がある。
【0061】
グラフ1120は、測定信号1110に対する温度変動の影響の一例を示している。簡単にするために、閾値信号1112のレベルは一定であると仮定している。最初に、システム1100および受動パルス共振回路は、測定信号1110が有意なドリフトの影響を受けない安定期間1122中に動作している。図示の例では、測定信号1110は、共振回路の近くに物体が置かれていないとき、一定の低電圧レベル1126にある。物体が共振回路のコンポーネントの近くに置かれると、測定信号1110は、より高い電圧レベル1130に上昇し、物体検出信号1108は、測定信号1110が閾値信号1112のレベルを超えて上昇する第1の時点1128で、物体が検出されたことを示すアクティブに切り替わる。システム1100は、測定信号1110のレベルが第2の時点1134で閾値信号1112のレベルを下回り、システム1100が物体検出状態1132を終了するまで、物体検出状態1132に留まる。
【0062】
ドリフトの期間1124は、第3の時点1136で開始される。ドリフトは、例えば、温度の上昇によって引き起こされる。ドリフトは、共振回路の近くに物体が置かれていないときに提示される低電圧レベル1126を増加させる可能性がある。第4の時点1138において、測定信号1110が閾値信号1112のレベルを超えて上昇することにより、共振回路の近くに物体が置かれていないにもかかわらず、物体検出信号1108がアクティブに切り替わる。システム1100は、偽の物体検出状態1140に入る。いくつかの例では、温度の低下が、Q値を低下させ、システム1100の検出感度を低下させる可能性がある。一例では、検出感度の低下により、システムがより小さいデバイスを検出できなくなる可能性がある。
【0063】
他のタイプのPVT変動は、回路設計者によって固定されていると想定されているパラメータの変動を引き起こし、物体検出感度に悪影響を及ぼす可能性がある。従来のシステムでは、主要部品のドリフトを独立して補正するために、補償回路を設ける場合がある。しかしながら、補償回路を追加すると、コストと複雑さが大幅に増加し、大量生産中かつ/または動作条件下で他の予期せぬドリフトの原因が発生する可能性がある。
【0064】
本開示の特定の態様によれば、PVTの変動から生じるドリフトの影響を排除または低減することができる適応型パッシブpingシステムを展開することができる。適応型パッシブpingは、測定信号1110の変化率に基づいて物体の存在を判定するように構成することができ、この変化率は、測定信号1110の導関数としてアルゴリズム的に表すことができる。一例では、測定信号1110の変化率が、指定または設定されたレートまたはデルタ(変化)を超えたときに、物体の検出が通知される。
【0065】
図12は、共振回路の近くにある物体または接触している物体の存在を確実に判定するために、本明細書に開示の特定の態様に従って適応され得るシステム1200を示している。システム1200は、電圧または電流のドリフトがPVT変動に起因する場合に、ドリフトに耐えるように構成することができる。様々な態様では、システム1200は、ソフトウェア、ハードウェアまたはそれらの組合せで実装可能な適応型パッシブping閾値を採用する。一例では、適応型パッシブping閾値が、ローパスフィルタ、有限インパルス応答(FIR)フィルタ、および/またはローパスフィルタを最適化するために使用される別の適切なデジタルフィルタリング技術を使用して、プログラム可能なデジタルハードウェアに実装することができる。FIRフィルタは、通常、有限の持続時間を有するインパルス応答を有し、所望の有限の時間内に安定するように構成することができる。
【0066】
システム1200は、ヒステリシスコンパレータを有するローパスフィルタ1204を使用して、適応型パッシブping閾値をハードウェアで実装する例を示している。一般に、コンパレータは、2つの信号レベルを区別するために使用されるデバイスである。一例では、2つの信号のうちどちらの電圧レベルが大きいかを示すために、コンパレータを使用することができる。
図11のコンパレータ1106は、名目上固定された閾値信号1112に結合された1つの入力を有し、コンパレータ1106の出力が、測定信号1110の電圧レベルが閾値信号1112の電圧レベルよりも大きいか小さいかを示している。測定信号1110のレベルが閾値信号1112のレベルに近い場合、複数の遷移が起こり得る。ヒステリシスコンパレータを使用して、異なる上限および下限の差の閾値を設定することにより、多重遷移を回避することができる。
【0067】
いくつかの態様では、ヒステリシスコンパレータが、差信号1214を可変閾値レベルと比較するヒステリシス回路1208および比較回路1206を含む。差信号1214は、2つの入力信号間の差を示すことができる。ヒステリシス回路1208は、測定信号1210の遅い変化への応答を抑制するように構成することができる。ヒステリシス回路1208は、装置に関連する電圧または温度の変動に起因する測定信号1210の低電圧変化への応答を抑制するように構成することができる。いくつかの例では、比較回路1206およびヒステリシス回路1208を別個の物理的コンポーネントとして提供することができる。いくつかの例では、比較回路1206およびヒステリシス回路1208を、ソフトウェア、ハードウェア、またはソフトウェアとハードウェアの組合せで実装することができる。例えば、比較回路1206およびヒステリシス回路1208を、デジタル信号プロセッサまたは他のプログラマブルロジックを用いて実装することができる。
【0068】
一例では、検出信号1216は、差信号1214の電圧レベルが正の遷移のために規定された高閾値レベルを超えると(例えば、差信号1214が上昇しているときに)、highに遷移し、検出信号1216は、差信号1214の電圧レベルが負の遷移のために規定された低閾値レベルを下回ると(例えば、差信号1214が下降しているときに)、lowに遷移する。低閾値レベルと高閾値レベルの組合せは、デルタ変化閾値を規定することができる。
【0069】
図12のシステム1200の例では、システム1200が出力する検出信号1216を物体検出状態と物体非検出状態との間で切り替えさせる閾値電圧を効果的に調整するために、ヒステリシスが使用されている。ヒステリシス回路1208は、測定回路1202によって出力された測定信号1210と、ローパスフィルタ1204の出力1212として提供された測定信号1210の遅延バージョンとの間の差を示す差信号1214の大きな変化に反応するように構成することができる。ローパスフィルタ1204は、PVTの変動に起因する測定信号1210のドリフトを厳密に追跡するように構成することができる。システム1200が、共振回路のコンポーネントの近くに物体が配置された場合に迅速に応答できるようにするために、いくつかの最適化が必要になる場合がある。ローパスフィルタ1204のフィルタ定数は、アプリケーション要件によって規定される妥当な時間枠内で、かつ/またはユーザの応答時間を参照して、物体配置の変化を検出するように選択することができる。ヒステリシス回路1208のデルタ変化閾値に対応する検出ヒステリシスは、物体が存在するときに検出信号1216の変化を確実にトリガする測定信号1210の合理的な変化を規定するように構成することができる。
【0070】
グラフ1220は、測定信号1210の温度変動に対するシステム1200の応答の一例を示している。最初に、システム1200および受動パルス共振回路は、測定信号1210が有意なドリフトの影響を受けない安定期間1222中に動作している。図示の例では、測定信号1210は、共振回路の近くに物体が置かれていないとき、一定の低電圧レベル1226にある。ローパスフィルタ1204の出力1212の出力は、測定信号1210の電圧レベルまたはその近くにある。いくつかの例では、ローパスフィルタ1204の出力1212の出力が、測定信号1210に最近の変動が発生した場合に、低電圧レベル1226に向かって上昇または下降し得る。
【0071】
物体が共振回路のコンポーネントの近くに置かれると、測定信号1210は、より高い電圧レベル1230に上昇し、ローパスフィルタ1204の出力1212が、測定信号1210に追従する。ローパスフィルタ1204は、測定信号1210のより高い周波数成分を遮断し、測定信号1210で観測される上昇よりも、ローパスフィルタ1204の出力1212の遅い上昇を引き起こす。測定信号1210のレベルとローパスフィルタ1204の出力1212との間の差は、急速に増加し、ある時点1228で、ヒステリシス回路1208の正のスイッチング閾値1238を超える。検出信号1216は、システム1200が物体検出状態1232にあることを示すように切り替わる。ローパスフィルタ1204の出力は、測定信号1210のより高い電圧レベルに向かって継続する。
【0072】
その後、物体が取り除かれ、測定信号1210は低電圧レベル1226に向かって急速に降下する。ローパスフィルタ1204の出力1212は、測定信号1210に追従する。ローパスフィルタ1204は、測定信号1210のより高い周波数成分を遮断し、測定信号1210で観察される降下よりも、ローパスフィルタ1204の出力1212のより遅い降下を引き起こす。測定信号1210のレベルとローパスフィルタ1204の出力1212との間の差は急速に増加し、ある時点1234でヒステリシス回路1208の負のスイッチング閾値を超える。ローパスフィルタ1204の出力は、測定信号1210の低電圧レベルに向かって継続する。この例では、コンパレータの出力が、物体が共振回路のコンポーネントの近くに置かれた後に物体検出状態に切り替わり、物体が取り除かれたときに物体非検出状態に切り替わる。
【0073】
ドリフトの期間1224は、第3の時点1236で開始される。ドリフトは、例えば、温度の上昇によって引き起こされる。ドリフトは、共振回路の近くに物体が置かれていないときに低電圧レベル1226からの上昇を引き起こす可能性がある。ローパスフィルタ1204の出力1212は、ドリフトする測定信号1210に収束する。図示の例では、測定信号1210がドリフトにより上昇し始めたときに、ローパスフィルタ1204の出力1212が降下している。測定信号1210のレベルとローパスフィルタ1204の出力1212は、ある時点1240で一致し得る。ローパスフィルタ1204の出力1212は、測定信号1210に続いて降下が止まって上昇を開始し、検出信号1216における物体検出の信頼性の高い表示を可能にする。
【0074】
いくつかの態様では、測定信号1210とローパスフィルタ1204の出力1212との間で一定期間、閾値最小時間間隔を超える差が観測されたときに、検出信号1216を切り替えることができる。物体の存在を判断するために時間間隔を使用することは、測定信号1210とローパスフィルタ1204の出力1212との間のより低い差電圧に対応することができ、ローパスフィルタ1204によって導入される遅延を低減するフィルタ定数を介して、システム1200がより迅速に応答することを可能にすることができる。
【0075】
本明細書に開示の適応型パッシブping閾値技術は、システムのドリフトまたはオフセットの影響を、その起源に関わらず、除去または改善するために使用することができる。本明細書に開示の適応型パッシブping技術は、システム伝達関数に直接作用するため、ドリフトが引き起こされるメカニズムを知る必要も理解する必要もない。
【0076】
図13は、充電デバイスの表面付近の物体を検出するための方法のフローチャート1300である。いくつかの態様では、本方法が、充電デバイス内のコントローラによって管理または実行される。ブロック1302において、コントローラは、パルス信号を充電回路に提供することができる。パルス信号の各パルスは、充電回路の公称共振周波数よりも大きい又は小さい周波数を有するクロック信号の複数のサイクルを含むことができる。いくつかの例では、パルスが、クロック信号の整数のサイクルを含むことができる。いくつかの実施例では、パルスが、クロック信号の整数のサイクルと、クロック信号の一部を含むことができる。パルスのクロックサイクルの数は、パルスの持続時間を制御するタイマによって決定することができる。
【0077】
ブロック1304において、コントローラは、パルス信号中の第1のパルスに対する充電回路の応答と、パルス信号で以前に送信された第2のパルスに対する充電回路の対応する応答との差に基づいて、充電回路の共振の変化を検出することができる。ブロック1306において、コントローラは、応答の差に基づいて、充電式デバイスが充電回路のコイルに近接して配置されたことを判定することができる。
【0078】
一例では、応答の差が、第1のパルスに応答して充電回路に流れる電流に対する、第2のパルスに応答して充電回路に流れる電流の増加を含む。別の例では、応答の差が、充電回路のコイルにかかる電圧の増加を含む。
【0079】
いくつかの態様では、コントローラが、充電回路のコイルが充電式デバイスの受信コイルに誘導結合されているときに、充電式デバイスの充電構成を特定し、その充電構成に応じて充電回路に充電電流を提供することができる。いくつかの態様では、コントローラが、充電式デバイスを充電するための標準規定仕様に従ってアクティブpingを送信し、充電式デバイスから受信した変調信号にエンコードされた情報から、充電式デバイスを識別することができる。
【0080】
特定の態様では、充電回路の共振の変化が、充電回路のQ値の低下を含む。コントローラは、充電回路のQ値を示す測定信号を受信し、測定信号をフィルタリングして、測定信号よりも遅い速度で変化する測定信号のフィルタリングされたバージョンを取得し、測定信号と測定信号のフィルタリングされたバージョンとの間の差が閾値レベルを超えたときに切り替わる検出信号を生成することができる。コントローラは、動作電圧または温度の変動によって引き起こされる測定信号の変化を含む、測定信号の遅い変化への応答を抑制するように構成されたヒステリシス回路を含むコンパレータを使用して、測定信号と測定信号のフィルタリングされたバージョンとを比較することができる。測定信号のフィルタリングには、FIRフィルタを使用して測定信号をフィルタリングする方法と、ローパスフィルタを使用して測定信号をフィルタリングする方法が含まれる。比較ロジックは、ヒステリシスコンパレータであってもよく、かつ/または、測定信号の遅い変化への応答を抑制するように構成され、かつ/または、装置に関連する電圧または温度の変動によって引き起こされる測定信号の低電圧変化への応答を抑制するように構成されたヒステリシス回路を有することができる。
【0081】
処理回路の例
図14は、バッテリをワイヤレスで充電することを可能にする充電デバイスまたは受信デバイスに組み込むことができる装置1400のハードウェア実装の一例を示す図である。いくつかの例では、装置1400が、本明細書に開示の1または複数の機能を実行することができる。本開示の様々な態様によれば、本明細書に開示の要素、要素の任意の部分、または要素の任意の組合せは、処理回路1402を用いて実装することができる。処理回路1402は、ハードウェアモジュールおよびソフトウェアモジュールのある組合せによって制御される1または複数のプロセッサ1404を含むことができる。プロセッサ1404の例には、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、SoC、ASIC、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、ステートマシン、シーケンサ、ゲートロジック、ディスクリートハードウェア回路、および本開示全体を通して記載される様々な機能を実行するように構成された他の適切なハードウェアが含まれる。1または複数のプロセッサ1404は、特定の機能を実行する専用のプロセッサを含むことができ、ソフトウェアモジュール1416の1つによって構成、増強または制御することができる。1または複数のプロセッサ1404は、初期化中にロードされたソフトウェアモジュール1416の組合せを通じて構成されるものであってもよく、動作中に1または複数のソフトウェアモジュール1416をロードまたはアンロードすることによってさらに構成されるものであってもよい。
【0082】
図示の例では、処理回路1402が、概してバス1410で示されるバスアーキテクチャで実装することができる。バス1410は、処理回路1402の具体的なアプリケーションおよび全体的な設計上の制約に応じて、任意の数の相互接続バスおよびブリッジを含むことができる。バス1410は、1または複数のプロセッサ1404およびストレージ1406を含む様々な回路をリンクする。ストレージ1406は、メモリデバイスおよび大容量ストレージデバイスを含むことができ、本明細書では、コンピュータ可読媒体および/またはプロセッサ可読媒体とも呼ばれる。ストレージ1406は、一時的な記憶媒体および/または非一時的な記憶媒体を含むことができる。
【0083】
バス1410は、タイミングソース、タイマ、周辺機器、電圧レギュレータおよび電源管理回路などの様々な他の回路もリンクすることができる。バスインターフェース1408は、バス1410と1または複数のトランシーバ1412との間のインターフェースを提供することができる。一例では、標準規定プロトコルに従って、装置1400が充電デバイスまたは受信デバイスと通信できるようにするために、トランシーバ1412を設けることができる。また、装置1400の性質に応じて、ユーザインタフェース1418(例えば、キーパッド、ディスプレイ、スピーカ、マイクロフォン、ジョイスティック)も提供することができ、バス1410に直接またはバスインタフェース1408を介して通信可能に結合することができる。
【0084】
プロセッサ1404は、バス1410の管理と、ストレージ1406を含むコンピュータ可読媒体に格納されたソフトウェアの実行を含む全体的な処理とを担うことができる。この点において、プロセッサ1404を含む処理回路1402は、本明細書に開示の方法、機能および技術のいずれかを実装するために使用することができる。ストレージ1406は、ソフトウェアの実行時にプロセッサ1404によって操作されるデータを格納するために使用することができ、ソフトウェアは、本明細書に開示の方法のいずれか一つを実行するように構成することができる。
【0085】
処理回路1402の1または複数のプロセッサ1404は、ソフトウェアを実行することができる。ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコードまたはハードウェア記述言語などと呼ばれるかどうかにかかわらず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、プロシージャ、関数などを意味するものとして、広く解釈されるものとする。ソフトウェアは、コンピュータ可読形式でストレージ1406に存在するようにしても、外部のコンピュータ可読媒体に存在するようにしてもよい。外部のコンピュータ可読媒体および/またはストレージ1406は、非一時的なコンピュータ可読媒体を含むことができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、例えば、磁気ストレージデバイス(例えば、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気ストリップ)、光ディスク(例えば、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD))、スマートカード、フラッシュメモリデバイス(例えば、「フラッシュドライブ」、カード、スティック、キードライブ)、RAM、ROM、プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)、EEPROMを含む消去可能PROM(EPROM)、レジスタ、リムーバブルディスク、およびコンピュータがアクセスして読み取ることができるソフトウェアおよび/または命令を格納するための他の任意の適切な媒体を含むことができる。また、コンピュータ可読媒体および/またはストレージ1406は、例えば、搬送波、伝送ライン、およびコンピュータがアクセスして読み取ることができるソフトウェアおよび/または命令を送信するための他の任意の適切な媒体も含むことができる。コンピュータ可読媒体および/またはストレージ1406は、処理回路1402に存在していても、プロセッサ1404に存在していても、処理回路1402の外部にあっても、処理回路1402を含む複数のエンティティに分散していてもよい。コンピュータ可読媒体および/またはストレージ1406は、コンピュータプログラム製品に具現化されるものであってもよい。一例として、コンピュータプログラム製品は、パッケージ材料内のコンピュータ可読媒体を含むことができる。当業者は、具体的なアプリケーションおよびシステム全体に課せられた全体的な設計上の制約に応じて、本開示全体にわたって提示された記載の機能を実装するための最良の方法を認識するであろう。
【0086】
ストレージ1406は、本明細書でソフトウェアモジュール1416とも呼ばれる、ロード可能なコードセグメント、モジュール、アプリケーション、プログラムなどで維持および/または編成されたソフトウェアを維持することができる。ソフトウェアモジュール1416の各々は、処理回路1402にインストールまたはロードされて、1または複数のプロセッサ1404によって実行されると、1または複数のプロセッサ1404の動作を制御するランタイムイメージ1414に寄与する命令およびデータを含むことができる。特定の命令は、実行されると、処理回路1402に、本明細書に記載の特定の方法、アルゴリズムおよびプロセスに従って機能を実行させることができる。
【0087】
ソフトウェアモジュール1416のいくつかは、処理回路1402の初期化中にロードされるものであってもよく、それらのソフトウェアモジュール1416は、本明細書に開示の様々な機能の実行を可能にするように処理回路1402を構成することができる。例えば、いくつかのソフトウェアモジュール1416は、プロセッサ1404の内部デバイスおよび/または論理回路1422を構成することができ、トランシーバ1412、バスインターフェース1408、ユーザインターフェース1418、タイマ、数値演算コプロセッサなどの外部デバイスへのアクセスを管理することができる。ソフトウェアモジュール1416は、割り込みハンドラおよびデバイスドライバと相互作用し、処理回路1402が提供する様々なリソースへのアクセスを制御する制御プログラムおよび/またはオペレーティングシステムを含むことができる。リソースは、メモリ、処理時間、トランシーバ1412へのアクセス、ユーザインタフェース1418などを含むことができる。
【0088】
処理回路1402の1または複数のプロセッサ1404は、多機能であり、それにより、ソフトウェアモジュール1416のいくつかがロードされ、異なる機能または同じ機能の異なるインスタンスを実行するように構成される。さらに、1または複数のプロセッサ1404は、例えば、ユーザインタフェース1418、トランシーバ1412およびデバイスドライバからの入力に応答して開始されるバックグラウンドタスクを管理するように適合されるようにしてもよい。複数の機能の実行をサポートするために、1または複数のプロセッサ1404は、マルチタスク環境を提供するように構成されるようにしてもよく、それにより、複数の機能の各々が、必要に応じて1または複数のプロセッサ1404によって提供されるタスクのセットとして実装される。一例では、マルチタスク環境は、異なるタスク間でプロセッサ1404の制御を引き渡すタイムシェアリングプログラム1420を使用して実装されるものであってもよく、それにより、各タスクは、未処理の動作の完了時かつ/または割り込みなどの入力に応答して、1または複数のプロセッサ1404の制御をタイムシェアリングプログラム1420に戻す。タスクが1または複数のプロセッサ1404の制御を有する場合、処理回路は、制御タスクに関連する機能によって対処される目的のために効果的に特化される。タイムシェアリングプログラム1420は、オペレーティングシステム、ラウンドロビンベースで制御を転送するメインループ、機能の優先順位に従って1または複数のプロセッサ1404の制御を割り当てる機能、および/または、1または複数のプロセッサ1404の制御を処理機能に提供することによって外部イベントに応答する割込み作動メインループを含むことができる。
【0089】
一態様では、装置1400が、充電回路に結合されたバッテリ充電電源と、複数の充電セルと、1または複数のプロセッサ1404を含むことができるコントローラとを有するワイヤレス充電デバイスに実装されるようにしてもよい。複数の充電セルは、充電デバイスの表面付近にある1または複数の充電コイルに電流を提供するように構成することができる。少なくとも1つのコイルは、各充電セルの電荷移動領域を介して電磁場を向けるように構成することができる。
【0090】
装置1400は、パルス信号を充電回路に提供するように構成されたパルス生成回路を含むことができる。パルス信号の各パルスは、充電回路の公称共振周波数よりも大きい又は小さい周波数を有するクロック信号の複数のサイクルを含むことができる。一例では、パルス生成回路が、タイマの制御下でクロック信号をゲート制御する論理回路を含む。コントローラは、パルス信号中の第1のパルスに対する充電回路の応答と、パルス信号中で以前に送信された第2のパルスに対する充電回路の対応する応答との差に基づいて、充電回路の共振の変化を検出するように構成することができる。コントローラは、応答の差に基づいて、充電式デバイスが充電コイルに近接して配置されたことを判定するように構成することができる。一例では、応答の差が、第1のパルスに応答して充電回路に流れる電流に対する、第2のパルスに応答して充電回路に流れる電流の増加を含む。別の例では、応答の差が、充電回路のコイルにかかる電圧の増加を含む。
【0091】
いくつかの態様では、充電回路のコイルが充電式デバイスの受信コイルに誘導結合されているときに、充電式デバイスの充電構成を特定し、その充電構成に従って充電回路に充電電流を供給させるように、コントローラを構成することができる。一例では、充電回路に、充電式デバイスを充電するための標準規定仕様に従ってアクティブpingを送信させ、充電式デバイスから受信した変調信号にエンコードされた情報から、充電式デバイスを識別するように、コントローラを構成することができる。
【0092】
特定の態様では、装置1400が、パルス信号に対する充電回路の応答に基づいて、充電回路の共振を示す測定信号を提供するように構成された測定回路を有する。いくつかの例では、充電回路の共振の変化が、充電回路のQ値の減少を含む。装置1400は、測定信号よりも遅い速度で変化する測定信号のフィルタリングされたバージョンを提供するように構成されたフィルタと、測定信号と測定信号のフィルタリングされたバージョンとの間の差が閾値レベルを超えたときに切り替わる検出信号を生成するように構成された比較ロジックとを含むことができる。検出信号は、物体が充電コイルに近接して配置されているか否かを示すことができる。フィルタは、有限インパルス応答フィルタまたはローパスフィルタとして実装することができる。比較ロジックは、装置に関連する電圧または温度の変動によって引き起こされる測定信号の低電圧変化への応答を抑制するように構成されたヒステリシス回路を含むことができる。
【0093】
いくつかの態様では、ストレージ1406が、命令および情報を保持し、命令は、パルス信号を充電回路に提供するステップであって、パルス信号の各パルスが、充電回路の公称共振周波数よりも大きい又は小さい周波数を有するクロック信号の複数のサイクルを含む、ステップと、パルス信号中の第1のパルスに対する充電回路の応答と、パルス信号中で以前に送信された第2のパルスに対する充電回路の対応する応答との差に基づいて、充電回路の共振の変化を検出するステップと、応答の差に基づいて、充電式デバイスが充電回路のコイルに近接して配置されたことを判定するステップとを、1または複数のプロセッサ1404に実行させるように構成されている。応答の差は、第1のパルスに応答して充電回路に流れる電流に対する、第2のパルスに応答して充電回路に流れる電流の増加、または充電回路のコイルにかかる電圧の増加を含む。
【0094】
いくつかの態様では、充電回路のコイルが充電式デバイス内の受信コイルに誘導結合されているときに、充電式デバイスのための充電構成を特定して、その充電構成に従って充電回路に充電電流を提供することを、1または複数のプロセッサ1404に実行させるように、命令を構成することができる。いくつかの態様では、充電式デバイスを充電するための標準規定仕様に従ってアクティブpingを送信して、充電式デバイスから受信した変調信号にエンコードされた情報から、充電式デバイスを識別することを、1または複数のプロセッサ1404に実行させるように、命令を構成することができる。
【0095】
特定の態様では、充電回路の共振の変化が、充電回路のQ値の低下を含む。命令は、充電回路のQ値を示す測定信号を受信し、測定信号をフィルタリングして、測定信号よりも遅い速度で変化する測定信号のフィルタリングされたバージョンを取得し、測定信号と測定信号のフィルタリングされたバージョンとの間の差が閾値レベルを超えるときに切り替わる検出信号を生成することを、1または複数のプロセッサ1404に実行させるように構成することができる。命令は、動作電圧または温度の変動によって引き起こされる測定信号の変化を含む、測定信号の遅い変化への応答を抑制するように構成されたヒステリシス回路を含むコンパレータを使用して、測定信号と測定信号のフィルタリングされたバージョンとを、1または複数のプロセッサ1404に比較させるように構成することができる。測定信号のフィルタリングには、FIRフィルタを使用して測定信号をフィルタリングする方法と、ローパスフィルタを使用して測定信号をフィルタリングする方法がある。比較ロジックは、ヒステリシスコンパレータであってもよく、かつ/または、測定信号の遅い変化への応答を抑制するように構成され、かつ/または、装置に関連する電圧または温度の変動によって引き起こされる測定信号の低電圧変化への応答を抑制するように構成されたヒステリシス回路を有することができる。
【0096】
上述した説明は、当業者が本明細書に記載の様々な態様を実施できるようにするために提供されたものである。これらの態様に対する様々な変更は、当業者には明らかであり、本明細書で規定される一般的な原理は、他の態様に適用することができる。このため、特許請求の範囲は、本明細書に示される態様に限定されることを意図するものではなく、請求項の文言と一致する全範囲が認められるものであり、単数形の要素への言及は、特に明記がなければ、「唯一の」を意味するものではなく、「1または複数」を意味するものとする。特に明記されていない限り、「いくつか」という用語は1または複数を指している。当業者に知られている、または後に当業者に知られるようになる、本開示を通して説明される様々な態様の要素に対するすべての構造的および機能的均等物は、引用により本明細書に明示的に援用されるとともに、特許請求の範囲に含まれることが意図される。さらに、本明細書に開示されているものは、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に記載されているか否かにかかわらず、公衆に捧げられることを意図していない。請求項の要素が「のための手段(means for)」という文言を使用して明示的に記載されていない限り、また、方法の請求項の場合には、「のためのステップ(step for)」という文言を使用して記載されていない限りは、何れの請求項の要素も、米国特許法第112条第6項の規定に基づいて解釈されるべきではない。
【手続補正書】
【提出日】2022-08-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体を検出する方法であって、
ワイヤレス充電デバイスの共振回路を使用してパルス信号を送信するステップであって、前記パルス信号の各パルスが、前記共振回路の公称共振周波数よりも高い周波数を有するクロック信号の複数のサイクルを含む、ステップと、
前記パルス信号の各パルスについて、
各パルスの送信中に前記共振回路の品質係数(Q値)を示す測定信号を生成し、
前記測定信号をフィルタリングして、各パルスの送信中の前記共振回路のQ値を示すフィルタリングされた測定信号を得るステップと、
前記共振回路の第1のQ値が前記共振回路の第2のQ値と異なる場合に、充電式デバイスが前記共振回路のコイルに近接して配置されたことを判定するステップであって、前記第1のQ値が、第1のパルスの送信中に測定され、前記第2のQ値が、以前に送信された第2のパルスの送信中に測定されたものである、ステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記充電式デバイスが前記共振回路のコイルに近接して配置されたときに、前記第1のQ値が閾値を超えることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、
前記充電式デバイスが前記共振回路のコイルに近接して配置される前に、前記第2のQ値が前記閾値を下回ることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、
前記第1のパルスの送信と前記第2のパルスの送信との間の測定信号の変化を検出するステップと、
前記測定信号の変化が差の閾値を超えた場合に、前記充電式デバイスが前記共振回路のコイルに近接して配置されたことを判定するステップとをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、
前記測定信号のローパスフィルタリングされたバージョンと、前記測定信号のフィルタリングされたバージョンとをコンパレータのそれぞれの入力に提供するステップと、
前記コンパレータがその入力間の差を示す場合に、前記充電式デバイスが前記共振回路のコイルに近接して配置されたことを判定するステップとをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、
前記測定信号のローパスフィルタリングされたバージョンが、前記測定信号のより高い周波数成分を遮断するように構成されたローパスフィルタから得られたものであることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項5に記載の方法において、
前記コンパレータが、ヒステリシス回路を含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法において、
前記測定信号が、前記共振回路における電流を測定することによって得られることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法において、
前記測定信号が、前記共振回路における電圧を測定することによって得られることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法において、
前記充電式デバイスを充電するための標準規定仕様に従って、前記共振回路を使用してアクティブpingを送信するステップと、
前記充電式デバイスから受信した変調信号にエンコードされた情報から、前記充電式デバイスを識別するステップとをさらに含み、
前記クロック信号が、前記標準規定仕様により規定された公称共振周波数よりも高い周波数を有することを特徴とする方法。
【請求項11】
充電デバイスであって、
前記充電デバイスの表面に近接して配置される充電コイルを含む共振回路と、
前記共振回路にパルス信号を提供するように構成されたパルス生成回路であって、前記パルス信号の各パルスが、前記共振回路の公称共振周波数よりも高い周波数を有するクロック信号の複数のサイクルを含む、パルス生成回路と、
前記パルス信号の各パルスの送信中に前記共振回路のQ値を示す測定信号を提供するように構成された測定回路と、
各パルスの送信中に前記共振回路のQ値を示すフィルタリングされた測定信号を提供するように構成されたフィルタと、
第1のパルスの送信中に測定された第1のQ値と、以前に送信された第2のパルスの送信中に測定された第2のQ値とを比較するように構成された比較ロジックと、
前記共振回路の第1のQ値が前記共振回路の第2のQ値と異なる場合に、充電式デバイスが前記共振回路のコイルに近接して配置されたことを判定するように構成されたコントローラとを備えることを特徴とする充電デバイス。
【請求項12】
請求項11に記載の充電デバイスにおいて、
前記充電式デバイスが前記共振回路のコイルに近接して配置されたときに、前記第1のQ値が閾値を超えることを特徴とする充電デバイス。
【請求項13】
請求項12に記載の充電デバイスにおいて、
前記充電式デバイスが前記共振回路のコイルに近接して配置される前に、前記第2のQ値が前記閾値を下回ることを特徴とする充電デバイス。
【請求項14】
請求項11に記載の充電デバイスにおいて、
前記コントローラがさらに、
前記第1のパルスの送信と前記第2のパルスの送信との間の測定信号の変化を検出し、
前記測定信号の変化が差の閾値を超えた場合に、前記充電式デバイスが前記共振回路のコイルに近接して配置されたことを判定するように構成されていることを特徴とする充電デバイス。
【請求項15】
請求項11に記載の充電デバイスにおいて、
前記比較ロジックがさらに、
前記測定信号のローパスフィルタリングされたバージョンと、前記測定信号のフィルタリングされたバージョンとの比較に基づいて、前記充電式デバイスが前記共振回路のコイルに近接して配置されたことを判定するように構成されていることを特徴とする充電デバイス。
【請求項16】
請求項15に記載の充電デバイスにおいて、
前記測定信号のより高い周波数成分を遮断することによって、前記測定信号のローパスフィルタリングされたバージョンを提供するように構成されたローパスフィルタをさらに備えることを特徴とする充電デバイス。
【請求項17】
請求項15に記載の充電デバイスにおいて、
前記比較ロジックが、ヒステリシス回路を含むことを特徴とする充電デバイス。
【請求項18】
請求項11に記載の充電デバイスにおいて、
前記測定信号が、前記共振回路における電流を測定することによって得られたものであることを特徴とする充電デバイス。
【請求項19】
請求項11に記載の充電デバイスにおいて、
前記測定信号が、前記共振回路における電圧を測定することによって得られたものであることを特徴とする充電デバイス。
【請求項20】
請求項11に記載の充電デバイスにおいて、
前記コントローラがさらに、
前記充電式デバイスを充電するための標準規定仕様に従って、前記共振回路を使用してアクティブpingを送信し、
前記充電式デバイスから受信した変調信号にエンコードされた情報から、前記充電式デバイスを識別するように構成され、
前記クロック信号が、前記標準規定仕様により規定された公称共振周波数よりも高い周波数を有することを特徴とする充電デバイス。
【外国語明細書】