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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022141864
(43)【公開日】2022-09-29
(54)【発明の名称】通信制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 48/18 20090101AFI20220921BHJP
   H04W 48/16 20090101ALI20220921BHJP
   H04W 48/10 20090101ALI20220921BHJP
【FI】
H04W48/18 115
H04W48/16 110
H04W48/10
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022116682
(22)【出願日】2022-07-21
(62)【分割の表示】P 2021522277の分割
【原出願日】2020-05-20
(31)【優先権主張番号】P 2019100378
(32)【優先日】2019-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】弁理士法人キュリーズ
(72)【発明者】
【氏名】藤代 真人
(57)【要約】      (修正有)
【課題】非公衆セルラネットワークをユーザ装置が円滑に利用可能とする通信制御方法および装置を提供する。
【解決手段】セルラ通信システムにおいて、SIMには、ユーザ装置100からのアクセスが許可される非公衆セルラネットワークを識別するネットワーク識別子と、この非公衆セルラネットワークの周波数を示す周波数情報とが格納される。ユーザ装置は、SIMに格納されたネットワーク識別子及び周波数情報に基づいて非公衆セルラネットワークに対するサーチ処理を行う。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
公衆セルラネットワークに属するセルを管理する基地局が、非公衆セルラネットワークに属するセルのセル識別子と、前記非公衆セルラネットワークの周波数を示す周波数情報とをブロードキャストすることと、
RRC(Radio Resource Control)アイドル状態又はRRCインアクティブ状態にある前記ユーザ装置が、前記周波数情報と、前記セル識別子と、に基づいて、セルサーチ処理を行うことと、を含む
通信制御方法。
【請求項2】
ユーザ装置であって、
公衆セルラネットワークに属するセルを管理する基地局がブロードキャストした、非公衆セルラネットワークに属するセルのセル識別子と、前記非公衆セルラネットワークの周波数を示す周波数情報とを前記基地局から受信する制御部を備え、
前記制御部は、前記ユーザ装置がRRC(Radio Resource Control)アイドル状態又はRRCインアクティブ状態にある場合、前記周波数情報と、前記セル識別子とに基づいて、セルサーチ処理を行う、
ユーザ装置。
【請求項3】
ユーザ装置を制御するためのプロセッサであって、
公衆セルラネットワークに属するセルを管理する基地局がブロードキャストした、非公衆セルラネットワークに属するセルのセル識別子と、前記非公衆セルラネットワークの周波数を示す周波数情報とを前記基地局から受信する処理と、
前記ユーザ装置がRRC(Radio Resource Control)アイドル状態又はRRCインアクティブ状態にある場合、前記周波数情報と、前記セル識別子とに基づいて、セルサーチ処理を行う処理と、を実行する
プロセッサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、セルラ通信システムに用いる通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1には、第5世代(5G)セルラ通信システムにおいて、特定の加入者が利用可能な小規模な非公衆セルラネットワーク(NPN:Non-Public Network)を構成する技術について記載されている。このような非公衆セルラネットワークは、プライベートネットワークと呼ばれることもあり、例えば工場における自営無線通信に用いるといったユースケースが想定されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】3GPP技術報告書 TR23.734 V16.1.0、“Study on enhancement of 5G System (5GS) for vertical and Local Area Network (LAN) services”、2019年3月
【発明の概要】
【0004】
第1の態様に係る通信制御方法は、SIM(Subscriber Identification Module)を有するユーザ装置を用いる方法である。前記SIMには、前記ユーザ装置からのアクセスが許可される非公衆セルラネットワークを識別するネットワーク識別子と、前記非公衆セルラネットワークの周波数を示す周波数情報とが格納される。前記ユーザ装置が、前記SIMに格納された前記ネットワーク識別子及び前記周波数情報に基づいて前記非公衆セルラネットワークに対するサーチ処理を行う。
【0005】
第2の態様に係る通信制御方法は、公衆セルラネットワークに属するセルを管理する基地局が、前記セルと関連付けられた非公衆セルラネットワークに関する情報を前記セル内のユーザ装置にブロードキャストし、前記ユーザ装置が、前記基地局からブロードキャストされる前記情報を受信し、該受信した情報に基づいて前記非公衆セルラネットワークに対するサーチ処理を行う。前記基地局からブロードキャストされる前記情報は、前記非公衆セルラネットワークを識別するネットワーク識別子、前記非公衆セルラネットワークの周波数を示す周波数情報、及び前記非公衆セルラネットワークに属するセルのセル識別のうち、少なくとも1つを含む。
【0006】
第3の態様に係る通信制御方法は、RRCアイドル状態又はRRCインアクティブ状態にあるユーザ装置により実行される方法である。前記通信制御方法は、セル選択又はセル再選択を行う際に、セルサーチと、前記セルサーチにより検出されたセルの測定結果に基づくランキングとを行い、前記セルサーチにより、前記ユーザ装置からのアクセスが許可される非公衆セルラネットワークに属する少なくとも1つの第1セルと、前記少なくとも1つの第1セル以外の少なくとも1つの第2セルとが検出された場合、前記少なくとも1つの第2セルを前記ランキングから除外するとともに、前記少なくとも1つの第1セルに対して前記ランキングを行う。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に係るセルラ通信システムの構成を示す図である。
図2】一実施形態に係るユーザ装置(UE)の構成を示す図である。
図3】一実施形態に係る基地局(gNB)の構成を示す図である。
図4】一実施形態に係るユーザプレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックの構成を示す図である。
図5】一実施形態に係る制御プレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックの構成を示す図である。
図6】一実施形態に係るNPNの例を示す図である。
図7】一実施形態に係るSIMに格納されるNPN情報を示す図である。
図8】一実施形態に係るSIMに関連するUEの動作例を示す図である。
図9】一実施形態に係るブロードキャスト情報に関連するUEの動作例を示す図である。
図10】一実施形態に係るサーチ処理後のセル選択・再選択の動作例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
非公衆セルラネットワークをユーザ装置が効率的に検出、選択、及びアクセスする技術は未だ確立していない。非公衆セルラネットワークをユーザ装置が円滑に利用可能とするために、このような技術の実現が望まれる。
【0009】
そこで、本開示は、非公衆セルラネットワークをユーザ装置が円滑に利用可能とする。
【0010】
図面を参照しながら、実施形態に係るセルラ通信システムについて説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0011】
(セルラ通信システム)
まず、一実施形態に係るセルラ通信システムの構成について説明する。一実施形態に係るセルラ通信システムは3GPP(登録商標)の5Gシステムであるが、セルラ通信システムには、LTEが少なくとも部分的に適用されてもよい。
【0012】
図1は、一実施形態に係るセルラ通信システムの構成を示す図である。
【0013】
図1に示すように、セルラ通信システムは、ユーザ装置(UE:User Equipment)100と、5Gの無線アクセスネットワーク(NG-RAN:Next Generation Radio Access Network)10と、5Gのコアネットワーク(5GC:5G Core Network)20とを有する。
【0014】
UE100は、移動可能な装置である。UE100は、ユーザにより利用される装置であればどのような装置であってもよい。例えば、UE100は、携帯電話端末(スマートフォンを含む)、タブレット端末、ノートPC、通信モジュール(通信カード又はチップセットを含む)、センサ若しくはセンサに設けられる装置、車両若しくは車両に設けられる装置(Vehicle UE)、又は飛行体若しくは飛行体に設けられる装置(Aerial UE)である。
【0015】
NG-RAN10は、基地局(5Gシステムにおいて「gNB」と呼ばれる)200を含む。gNB200は、NG-RANノードと呼ばれることもある。gNB200は、基地局間インターフェイスであるXnインターフェイスを介して相互に接続される。gNB200は、1又は複数のセルを管理する。gNB200は、自セルとの接続を確立したUE100との無線通信を行う。gNB200は、無線リソース管理(RRM)機能、ユーザデータ(以下、単に「データ」という)のルーティング機能、及び/又はモビリティ制御・スケジューリングのための測定制御機能等を有する。「セル」は、無線通信エリアの最小単位を示す用語として用いられる。「セル」は、UE100との無線通信を行う機能又はリソースを示す用語としても用いられる。1つのセルは1つのキャリア周波数に属する。
【0016】
なお、gNBがLTEのコアネットワークであるEPC(Evolved Packet Core)に接続されてもよいし、LTEの基地局が5GCに接続されてもよい。また、LTEの基地局とgNBとが基地局間インターフェイスを介して接続されてもよい。
【0017】
5GC20は、AMF(Access and Mobility Management Function)及びUPF(User Plane Function)300を含む。AMFは、UE100に対する各種モビリティ制御等を行う。AMFは、NAS(Non-Access Stratum)シグナリングを用いてUE100と通信することにより、UE100が在圏するエリアの情報を管理する。UPFは、データの転送制御を行う。AMF及びUPFは、基地局-コアネットワーク間インターフェイスであるNGインターフェイスを介してgNB200と接続される。
【0018】
図2は、UE100(ユーザ装置)の構成を示す図である。
【0019】
図2に示すように、UE100は、受信部110、送信部120、制御部130、及びSIM(Subscriber Identification Module)インターフェイス140を有する。
【0020】
受信部110は、制御部130の制御下で各種の受信を行う。受信部110は、アンテナ及び受信機を含む。受信機は、アンテナが受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換して制御部130に出力する。
【0021】
送信部120は、制御部130の制御下で各種の送信を行う。送信部120は、アンテナ及び送信機を含む。送信機は、制御部130が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換してアンテナから送信する。
【0022】
制御部130は、UE100における各種の制御を行う。制御部130は、少なくとも1つのプロセッサと、プロセッサと電気的に接続された少なくとも1つのメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンドプロセッサと、CPU(Central Processing Unit)と、を含んでもよい。ベースバンドプロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行う。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行う。
【0023】
SIMインターフェイス140には、SIM150が接続される。SIM150は、UIM(User Identity Module)又はUICC(Universal Integrated Circuit Card)と呼ばれることがある。
【0024】
SIM150には、加入者を特定するための情報、通信事業者を特定するための事業者特定情報、及び加入者が契約している利用可能なサービスに関する情報等が格納される。また、SIM150には、サービスを受ける上で必要な情報が格納されている。例えば、位置情報を登録する際の情報、電話番号に関する情報等がある。
【0025】
SIMインターフェイス140は、SIM150を取り込み、及び/又は取り出しができてもよい。或いは、SIM150は、組み込み型のeSIM(Embedded SIM)でもよい。SIMインターフェイス140は、制御部130から情報の読み出しや書き込みを受けた場合、SIM150に格納された情報の読み出し、SIM150への書き込みを行う。
【0026】
図3は、gNB200(基地局)の構成を示す図である。
【0027】
図3に示すように、gNB200は、送信部210、受信部220、制御部230、及びバックホール通信部240を有する。
【0028】
送信部210は、制御部230の制御下で各種の送信を行う。送信部210は、アンテナ及び送信機を含む。送信機は、制御部230が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換してアンテナから送信する。
【0029】
受信部220は、制御部230の制御下で各種の受信を行う。受信部220は、アンテナ及び受信機を含む。受信機は、アンテナが受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換して制御部230に出力する。
【0030】
制御部230は、gNB200における各種の制御を行う。制御部230は、少なくとも1つのプロセッサと、プロセッサと電気的に接続された少なくとも1つのメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンドプロセッサと、CPUと、を含んでもよい。ベースバンドプロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行う。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行う。
【0031】
バックホール通信部240は、基地局間インターフェイスを介して隣接基地局と接続される。バックホール通信部240は、基地局-コアネットワーク間インターフェイスを介してAMF/UPF300と接続される。なお、gNBは、CU(Central Unit)とDU(Distributed Unit)とで構成され(すなわち、機能分割され)、両ユニット間がF1インターフェイスで接続されてもよい。
【0032】
図4は、データを取り扱うユーザプレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックの構成を示す図である。
【0033】
図4に示すように、ユーザプレーンの無線インターフェイスプロトコルは、物理(PHY)レイヤと、MAC(Medium Access Control)レイヤと、RLC(Radio Link Control)レイヤと、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)レイヤと、SDAP(Service Data Adaptation Protocol)レイヤとを有する。
【0034】
PHYレイヤは、符号化・復号、変調・復調、アンテナマッピング・デマッピング、及びリソースマッピング・デマッピングを行う。UE100のPHYレイヤとgNB200のPHYレイヤとの間では、物理チャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。
【0035】
MACレイヤは、データの優先制御、ハイブリッドARQ(HARQ)による再送処理、及びランダムアクセスプロシージャ等を行う。UE100のMACレイヤとgNB200のMACレイヤとの間では、トランスポートチャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。gNB200のMACレイヤはスケジューラを含む。スケジューラは、上下リンクのトランスポートフォーマット(トランスポートブロックサイズ、変調・符号化方式(MCS))及びUE100への割当リソースブロックを決定する。
【0036】
RLCレイヤは、MACレイヤ及びPHYレイヤの機能を利用してデータを受信側のRLCレイヤに伝送する。UE100のRLCレイヤとgNB200のRLCレイヤとの間では、論理チャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。
【0037】
PDCPレイヤは、ヘッダ圧縮・伸張、及び暗号化・復号化を行う。
【0038】
SDAPレイヤは、コアネットワークがQoS制御を行う単位であるIPフローとAS(Access Stratum)がQoS制御を行う単位である無線ベアラとのマッピングを行う。なお、RANがEPCに接続される場合は、SDAPが無くてもよい。
【0039】
図5は、シグナリング(制御信号)を取り扱う制御プレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックの構成を示す図である。
【0040】
図5に示すように、制御プレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックは、図4に示したSDAPレイヤに代えて、RRC(Radio Resource Control)レイヤ及びNAS(Non-Access Stratum)レイヤを有する。
【0041】
UE100のRRCレイヤとgNB200のRRCレイヤとの間では、各種設定のためのRRCシグナリングが伝送される。RRCレイヤは、無線ベアラの確立、再確立及び解放に応じて、論理チャネル、トランスポートチャネル、及び物理チャネルを制御する。UE100のRRCとgNB200のRRCとの間に接続(RRC接続)がある場合、UE100はRRCコネクティッド状態にある。UE100のRRCとgNB200のRRCとの間に接続(RRC接続)がない場合、UE100はRRCアイドル状態にある。また、RRC接続が中断(サスペンド)されている場合、UE100はRRCインアクティブ状態にある。
【0042】
RRCレイヤの上位に位置するNASレイヤは、セッション管理及びモビリティ管理等を行う。UE100のNASレイヤとAMF300のNASレイヤとの間では、NASシグナリングが伝送される。
【0043】
なお、UE100は、無線インターフェイスのプロトコル以外にアプリケーションレイヤ等を有する。
【0044】
(非公衆セルラネットワーク)
次に、一実施形態に係る非公衆セルラネットワーク(NPN:Non-Public Network)について説明する。NPNは、5Gセルラ通信システムにおいて、特定の加入者が利用可能な小規模なセルラネットワークである。NPNは、例えば工場における自営無線通信の用途で用いられる。NPNは、プライベートネットワークと呼ばれることもある。
【0045】
図6は、一実施形態に係るNPNの例を示す図である。
【0046】
図6に示すように、NPNには、スタンドアローンNPN及び非スタンドアローンNPNの2つの種類がある。
【0047】
スタンドアローンNPNは、公衆セルラネットワークであるPLMN(Public land mobile network)から独立しており、PLMNのネットワーク機能に依存しない。
【0048】
一方、非スタンドアローンNPNは、PLMNの一部として構成されており、PLMNとの間でサービス継続が可能である。以下において、NPNと区別するために、NPN以外のPLMNを適宜「公衆PLMN」と呼ぶ。
【0049】
なお、公衆PLMN及びNPNのそれぞれは、NG-RAN10及び5GC20を有していてもよい。また、1つのNPNには、1つ又は複数の周波数(周波数バンド、及び/又はキャリア周波数)が割り当てられるものとする。また、1つの周波数が地理的に分離した複数のNPNに割り当てられてもよい。1つの周波数を使用するNPNの地理的エリアを分けることによって、同一周波数を複数のNPNで共用することができる。
【0050】
スタンドアローンNPNの場合、NPNを識別するためのネットワーク識別子としてNPN-IDがNPNに割り当てられる。NPNに属するセル(gNB200)は、自身が属するNPN(或いは、自身がサービスを提供するNPN若しくは自身がアクセスを許可するNPN)のNPN-IDをブロードキャストする。また、NPNであることを識別するための特別なPLMN IDがNPNに割り当てられ、NPNに属するセル(gNB200)がこの特別なPLMN IDをブロードキャストしてもよい。
【0051】
非スタンドアローンNPNの場合、NPNを識別するためのネットワーク識別子としてCAG(Closed Access Group) IDがNPNに割り当てられる。NPNに属するセル(gNB200)は、自身が属するNPN(或いは、自身がサービスを提供するNPN若しくは自身がアクセスを許可するNPN)のCAG IDをブロードキャストする。なお、CAG IDは、PLMNの加入者ユーザのうちNPNにアクセス可能な一部の特定ユーザからなるグループの識別子でもある。但し、CAG IDの代わりにNPN-IDがNPNに割り当てられてもよく、NPN-IDとCAG IDの両方がNPNに割り当てられてもよい。
【0052】
(SIMに格納されるNPN情報)
次に、SIM150に格納されるNPN情報について説明する。一実施形態において、SIM150には、NPNに関する情報が格納される。NPNに関する情報は、SIM150の提供時点で予めSIM150に格納されている。
【0053】
図7は、一実施形態に係るSIM150に格納されるNPN情報を示す図である。
【0054】
図7に示すように、SIM150には、UE100からのアクセスが許可されるNPNを識別するネットワーク識別子(NPN-ID又はCAG ID)と、このNPNの周波数(周波数バンド、キャリア周波数)を示す周波数情報とが格納される。UE100からのアクセスが許可されるNPNとは、UE100が加入しているNPNであって、UE100がアクセスする権限を有するNPNをいう。
【0055】
UE100が、SIMに格納されたネットワーク識別子及び周波数情報に基づいてNPNに対するサーチ処理、具体的には、セルサーチを行う。例えば、UE100は、SIMに格納された周波数情報が示す周波数に属し、且つ、SIMに格納されたネットワーク識別子と同じネットワーク識別子をブロードキャストするセルをサーチする。これにより、UE100は、アクセスが許可されるNPNに属するセルを効率的に検出できる。
【0056】
SIM150にはネットワーク識別子及び周波数情報のセットが複数格納されていてもよい。この場合、ネットワーク識別子ごとにアクセス優先順位が設定されていてもよい。図7において、ネットワーク識別子及び周波数情報のセットがSIM150に2つ格納されている一例を示している。また、ネットワーク識別子「ID#1」には優先順位「1」が設定され、ネットワーク識別子「ID#2」には優先順位「2」が設定されている。なお、優先順位は、明示的な情報としてSIM150に格納されていなくてもよい。例えば、ネットワーク識別子の並び順により優先順位が設定されてもよい。UE100は、設定されているアクセス優先順位に基づいて、複数のセット(複数のネットワーク識別子)からいずれかのセットを選択する。
【0057】
SIM150には、周波数情報に紐づいて、有効エリア情報が格納されてもよい。有効エリア情報は、対応する周波数においてNPNサービスが許可されている地理的な位置を示す情報であってもよい。例えば、有効エリア情報は、緯度経度及び/又は高度であってもよいし、公衆PLMN基地局のセルID、RANエリアID、及び/又はトラッキングエリアIDであってもよい。有効エリア情報は、ひとつのNPN IDもしくは周波数情報に対して、1つもしくは複数が紐づけられる。UE100は、有効エリア情報に基づいて、自身が位置について有効なNPNのネットワーク識別子及び周波数情報を特定し、特定した情報をサーチ処理に用いてもよい。
【0058】
図8は、一実施形態に係るSIM150に関連するUE100の動作例を示す図である。
【0059】
図8に示すように、ステップS11において、UE100の上位レイヤエンティティは、SIM150からNPN情報を読み出す。上位レイヤエンティティとは、UE100のRRCレイヤよりも上位のレイヤのエンティティをいう。上位レイヤエンティティは、読み出したNPN情報をUE100のASエンティティに通知する。ASエンティティとは、UE100のRRCレイヤ以下のレイヤのエンティティをいう。
【0060】
SIM150にネットワーク識別子及び周波数情報のセットが複数格納されている場合、上位レイヤエンティティは、設定されているアクセス優先順位に基づいて、複数のセット(複数のネットワーク識別子)からいずれかのセットを選択し、選択したセットをASエンティティに通知してもよい。
【0061】
UE100のASエンティティは、UE100の上位レイヤエンティティからNPN情報(例えば、ネットワーク識別子及び周波数情報のセット)が通知されると、このネットワーク識別子が示すNPNのセルへのアクセスが許可されていると判断してもよい。
【0062】
ステップS12において、UE100のASエンティティは、UE100の上位レイヤエンティティから通知されたNPN情報に基づいてNPNに対するサーチ処理を行う。
【0063】
具体的には、セル選択の動作において、ASエンティティは、上位レイヤエンティティから周波数情報が提供されている場合は、この周波数情報が示す周波数に対して優先してサーチを行い、NPN ID(もしくはCAG ID)を検出する。ASエンティティは、当該検出したNPN ID(もしくはCAG ID)を上位レイヤエンティティに通知してもよい。もし上位レイヤエンティティからNPN ID(もしくはCAG ID)の情報が提供されていた場合、ASエンティティは、検出したNPN ID(もしくはCAG ID)のうち、上位レイヤエンティティから提供されている情報とマッチしたIDのみ上位レイヤエンティティへ通知してもよい。ASエンティティから通知された情報を基に、上位レイヤエンティティは、アクセス可能なネットワークを知ることができる。もしくは、上位レイヤエンティティがアクセス可否の最終判定を行ってもよい。
【0064】
また、UE100がRRCアイドル状態又はRRCインアクティブ状態においてセル再選択を行うとき、UE100のASエンティティは、上位レイヤエンティティから通知されたNPN情報に含まれる周波数情報に基づいて、この周波数情報が示す周波数(NPN周波数)の優先順位を上げる。例えば、UE100は、上記のセル選択の動作によりNPNセルを選択した後、現在選択しているNPN(現在選択しているセルが属するNPN、現在キャンプしているNPN)が属する周波数の優先度を上げてもよい。ASエンティティは、この周波数情報が示す周波数(NPN周波数)の優先順位を最高の優先順位に設定してもよい。
【0065】
なお、セル選択又はセル再選択とは、UE100のサービングセルとするセルを選択又は再選択することをいう。
【0066】
その結果、UE100のASエンティティは、セル再選択において、現在のサービングセルの周波数と、アクセスが許可されるNPNの周波数とが異なる場合でも、アクセスが許可されるNPNの周波数の無線品質を測定し、このNPNの周波数に属する隣接セルをUE100のサービングセルとして再選択することが可能になる。
【0067】
(公衆PLMNのgNBからブロードキャストされるNPN情報)
次に、公衆PLMNのgNB200からブロードキャストされるNPN情報について説明する。一実施形態において、公衆PLMNのgNB200は、NPN情報を含むSIB(System Information Block)をブロードキャストする。
【0068】
具体的には、公衆PLMNに属するセルを管理するgNB200は、このセルと関連付けられたNPNに関するNPN情報をセル内のUE100にブロードキャストする。このgNB200からブロードキャストされる情報は、NPNを識別するネットワーク識別子、NPNの周波数(周波数バンド、キャリア周波数)を示す周波数情報、及びNPNに属するセルのセル識別子のうち、少なくとも1つを含む。セル識別子は、基地局ID(gNB ID)であってもよい。周波数情報は、最初のアクセスに用いるべきイニシャルBWP(Bandwidth Part)を示す情報を含んでもよい。BWPとは、セルの周波数の一部の帯域部分をいう。gNB200からブロードキャストされる情報は、ビームIDを含んでもよいし、SSB情報(同期信号及び物理ブロードキャストチャネルから構成される同期信号・ブロードキャストチャネルブロック)を含んでもよい。
【0069】
例えば、スタンドアローンNPNの場合、公衆PLMNに属するセルを管理するgNB200は、このセルに地理的に近いNPNに関するNPN情報をブロードキャストする。非スタンドアローンNPNの場合、公衆PLMNに属するセルを管理するgNB200は、自身と同じPLMNに属するNPNに関するNPN情報をブロードキャストする。
【0070】
UE100は、公衆PLMNのgNB200からブロードキャストされるNPN情報を受信し、受信したNPN情報に基づいてNPNに対するサーチ処理を行う。例えば、UE100は、受信したNPN情報に含まれる周波数情報が示す周波数に属し、且つ、受信したNPN情報に含まれるネットワーク識別子と同じネットワーク識別子をブロードキャストするセルをサーチする。公衆PLMNのgNB200のセルに位置するUE100は、このgNB200からNPN情報がブロードキャストされていないNPNについてはサーチ処理の対象から除外してもよい。
【0071】
図9は、一実施形態に係るブロードキャスト情報に関連するUE100の動作例を示す図である。
【0072】
図9に示すように、ステップS21において、公衆PLMNに属するセルを管理するgNB200は、このセルと関連付けられたNPNに関するNPN情報を含むSIBを、このセル内のUE100にブロードキャストする。UE100は、gNB200からNPN情報を受信する。
【0073】
ステップS22において、UE100は、gNB200から受信したNPN情報に基づいて、このNPN情報に対応するNPNに対するサーチ処理を行う。例えば、UE100は、受信したNPN情報に含まれる周波数情報が示す周波数に属し、且つ、受信したNPN情報に含まれるネットワーク識別子と同じネットワーク識別子をブロードキャストするセルをサーチする。UE100は、このgNB200からNPN情報がブロードキャストされていないNPNについてはサーチ処理の対象から除外してもよい。
【0074】
ここで、UE100は、SIM150にネットワーク識別子が格納されたNPN、すなわち、UE100からのアクセスが許可されるNPNに対してのみサーチ処理を行うこととしてもよい。すなわち、公衆PLMNのgNB200からブロードキャストされるネットワーク識別子と、SIM150に格納されたネットワーク識別子とが一致する場合に限り、このネットワーク識別子が示すNPNに対するサーチ処理を行うとしてもよい。
【0075】
以下において、UE100が、サーチ対象のNPNに属するセルをサーチ処理により検出したと仮定して説明を進める。
【0076】
UE100がRRCコネクティッド状態にある場合、ステップS23において、UE100は、自身がアクセスすることを要請するNPNに関する情報(ネットワーク識別子、周波数情報、及びセル識別子のうち少なくとも1つ)を含む通知をgNB200に送信する。具体的には、公衆PLMNとNPNとで周波数が異なる場合、NPNの周波数に対する品質測定を行うためにgNB200からUE100にインター周波数測定が設定される必要がある。このため、UE100は、このNPNにアクセスすることを要請する旨をgNB200に通知し、インター周波数測定をgNB200に設定してもらうようにする。UE100は、インター周波数測定を行い、測定結果を含む測定報告をgNB200に送信する。gNB200は、この測定報告に基づいて、UE100をNPNのセルにハンドオーバすることを決定する。
【0077】
ステップS24において、UE100は、ハンドオーバを決定したgNB200からのハンドオーバ指示を受信し、NPNのセルにハンドオーバする。
【0078】
一方、UE100がRRCアイドル状態又はRRCインアクティブ状態にある場合、ステップS23の処理が行われず、ステップS24において、UE100は、gNB200から受信したNPN情報に含まれる周波数情報に基づいて、この周波数情報が示す周波数(NPN周波数)の優先順位を最高の優先順位に設定してもよい。これにより、UE100は、NPNのセルへのセル再選択を行うことができる。
【0079】
なお、スタンドアローンNPNの場合、gNB200がNPNのセルに対して、RRCコネクティッド状態にあるUE100をハンドオーバすることができない。このため、RRCコネクティッド状態にあるUE100は、gNB200から受信するNPN情報に、UE100がアクセスしたいNPNが含まれていない場合であって、且つ、UE100がサーチ処理によりこのNPNを検出した場合、接続を解放するようにgNB200に要求してもよい。この要求により接続が解放されると、RRCアイドル状態又はRRCインアクティブ状態に遷移したUE100は、検出したNPNの周波数の優先順位を最高の優先順位に設定し、このNPNのセルへのセル再選択を行うことができる。
【0080】
もしくは、UE100は、gNB200に対して、所望のNPNセル(もしくはNPN周波数)を検出した旨を通知し、gNB200は当該NPNセル(もしくはNPN周波数)へのリダイレクションの実行を決定してUE100に指示してもよい。
【0081】
なお、UE100を公衆PLMNからNPNへ移すための動作について説明したが、これとは逆に、NPNから公衆PLMNへUE100を移す際に上記の動作を応用してもよい。この場合、移動の方向が逆となるので、上記の記載において、「公衆PLMNに属するgNB」を「NPNに属するgNB」と読み替えるとともに、「NPNセル(NPNに属するセル)に属するgNB」を「公衆PLMNのセル」と読み替え、且つ、「NPN情報」を「PLMN情報」と読み替える。
【0082】
(サーチ処理後のセル選択・再選択の一例)
次に、サーチ処理後のセル選択・再選択の一例について説明する。一実施形態において、RRCアイドル状態又はRRCインアクティブ状態にあるUE100は、セル選択又はセル再選択を行う際に、サーチ処理と、このセルサーチにより検出されたセルの測定結果に基づくランキングとを行う。ランキングとは、無線品質が高い順にセルをランク付けすることをいう。
【0083】
セルサーチにより、UE100からのアクセスが許可されるNPNに属する少なくとも1つの第1セルと、少なくとも1つの第1セル以外の少なくとも1つの第2セルとが検出された場合、少なくとも1つの第2セルをランキングから除外するとともに、少なくとも1つの第1セルに対してランキングを行う。ここで、第2セルは、公衆PLMNのセルと、アクセスが許可されていないNPNのセルとを含む。
【0084】
すなわち、UE100は、アクセスが許可されているNPNのセル(第1セル)を1つでも検出している場合、第1セルのグループの中でランキングを行う。これにより、アクセスが許可されているNPNのセルであって、且つ無線品質が良好なセルを選択してセル再選択(又はセル選択)を行うことができる。
【0085】
UE100は、アクセスが許可されていないNPNのセルについては、最低ランクとするか、ランキング対象から除外してもよい。
【0086】
図10は、一実施形態に係るサーチ処理後のセル選択・再選択の動作例を示す図である。
【0087】
図10に示すように、ステップS31において、UE100は、サーチ処理及び測定を行う。
【0088】
ステップS32において、UE100は、ステップS31の結果に基づいて、SIM150にネットワーク識別子が格納されたNPN、すなわち、UE100からのアクセスが許可されるNPNのセルであって、所定の無線品質基準を満たす第1セルがあるか否かを判定する。
【0089】
所定の無線品質基準を満たす第1セルがある場合(ステップS32:YES)、ステップS33において、UE100は、所定の無線品質基準を満たす第1セルが複数存在するのであれば、各第1セルの無線品質に基づいてランキングを行う。
【0090】
ステップS34において、UE100は、ステップS33の結果に基づいて、所定の無線品質基準を満たす複数の第1セルのうち最も無線品質が良好な第1セル(ベストセル)を選択する。なお、所定の無線品質基準を満たす第1セルが1つのみである場合は、ステップS33を省略してステップS34に進み、この第1セルを選択してもよい。
【0091】
一方、第1セルがない場合(ステップS32:NO)、ステップS35において、UE100は、第1セル以外の第2セルのうち、所定の無線品質基準を満たす公衆PLMNセルがあるか否かを判定する。
【0092】
所定の無線品質基準を満たす公衆PLMNセルがある場合(ステップS35:YES)、ステップS36において、UE100は、所定の無線品質基準を満たす公衆PLMNセルが複数存在するのであれば、各公衆PLMNセルの無線品質に基づいてランキングを行う。
【0093】
そして、ステップS34において、UE100は、ステップS36の結果に基づいて、所定の無線品質基準を満たす複数の公衆PLMNセルのうち最も無線品質が良好な公衆PLMNセル(ベストセル)を選択する。なお、所定の無線品質基準を満たす公衆PLMNセルが1つのみである場合は、ステップS36を省略してステップS34に進み、この公衆PLMNセルを選択してもよい。
【0094】
一方、所定の無線品質基準を満たす公衆PLMNセルがない場合(ステップS35:NO)、ステップS37において、UE100は、アクセスが許可されていないNPNセルであって、所定の無線品質基準を満たすNPNセルを対象としてランキングを行う。但し、アクセスが許可されていないNPNセルであって、所定の無線品質基準を満たすNPNセルが存在しない場合、UE100は圏外状態(或いは、緊急通報のみがサポートされる状態など、リミテッドアクセス状態)になりうる。
【0095】
ステップS38において、UE100は、ステップS37の結果に基づいて、アクセスが許可されていないNPNセルであって、所定の無線品質基準を満たすNPNセルのうち最も無線品質が良好なNPNセル(ベストセル)を選択する。なお、所定の無線品質基準を満たすNPNセルが1つのみである場合は、ステップS37を省略してステップS38に進み、このNPNセルを選択してもよい。なお、ステップS38において選択されたNPNセルはUE100がアクセス不可なセルであるため、UE100に提供されるサービスが限定された状態になる。
【0096】
(その他の実施形態)
UE100又はgNB200が行う各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROMやDVD-ROM等の記録媒体であってもよい。
【0097】
また、UE100又はgNB200が行う各処理を実行する回路を集積化し、UE100又はgNB200の少なくとも一部を半導体集積回路(チップセット、SoC)として構成してもよい。
【0098】
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明したが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【0099】
本願は、日本国特許出願第2019-100378号(2019年5月29日出願)の優先権を主張し、その内容の全てが本願明細書に組み込まれている。
図1
図2
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図8
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図10