(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022141870
(43)【公開日】2022-09-29
(54)【発明の名称】有効成分の濃度が高いポーチ型口内溶解フィルム
(51)【国際特許分類】
A61K 9/00 20060101AFI20220921BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20220921BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20220921BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20220921BHJP
A61K 9/50 20060101ALI20220921BHJP
A61K 9/51 20060101ALI20220921BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20220921BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20220921BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20220921BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20220921BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20220921BHJP
A61K 47/14 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
A61K9/00
A61K9/70
A61K9/14
A61K9/16
A61K9/50
A61K9/51
A61K47/38
A61K47/36
A61K47/42
A61K47/32
A61K47/10
A61K47/14
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022116875
(22)【出願日】2022-07-22
(62)【分割の表示】P 2020527928の分割
【原出願日】2018-11-21
(31)【優先権主張番号】102017127434.0
(32)【優先日】2017-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】300005035
【氏名又は名称】エルテーエス ローマン テラピー-ジステーメ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・シュミッツ
(72)【発明者】
【氏名】マリウス・バウアー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】口中に入れられたときに急速に溶解して、より大量の有効成分をいかなる問題もなく放出できる投薬形態を提供する。
【解決手段】本発明は、第1のフィルム層と第1のフィルム層の上を覆って配置された第2のフィルム層とを含む、口腔中で溶解される有効成分のための投薬形態に関し、第1のフィルム層の組成は、第2のフィルム層の組成と同一であることができ、水溶性ポリマーを含み、前記第1および第2のフィルム層は、少なくとも1つの空洞を形成するように、それらの重なり合う縁で相互に接続され、この空洞は有効成分で満たされる。この構成で、該投薬形態は、水溶性のフィルム層から作られたポーチの形態をとり、そのポーチが口中に入れられたときに前記フィルム層は溶解されて、前記ポーチに含有された有効成分が放出されることが可能になる。このポーチの構成は、それが類似のOTFフィルムより高い有効成分の含有率を有することを可能にする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のフィルム層と第1のフィルム層の上を覆って配置された第2のフィルム層とを含む、有効成分が口腔中で溶解される投薬形態であって、第1のフィルム層の組成は、第2のフィルム層の組成と同一であることができ、水溶性ポリマーを含み、第1および第2のフィルム層は、それらの重なり合う縁で相互に接続されて少なくとも1つの空洞を形成し、該空洞は有効成分で満たされている前記投薬形態。
【請求項2】
第1および第2のフィルム層は、それらの重なり合う縁で付着または密封されて一緒になっていることを特徴とする、請求項1に記載の投薬形態。
【請求項3】
第1および第2のフィルム層の組成は同一であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の投薬形態。
【請求項4】
第1のフィルム層は、粘膜付着性フィルム層として形成され、第2のフィルム層は、口腔中で第1のフィルム層より緩徐に溶解することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の投薬形態。
【請求項5】
有効成分は、液体、粉末状、顆粒状、マイクロもしくはナノ粒子状、またはマイクロもしくはナノカプセル化された形態で、投薬形態の空洞中に存在することを特徴とする、請求項1~4の少なくとも1項に記載の投薬形態。
【請求項6】
有効成分を含有する充填物を50~1000mgの量で含有することを特徴とする、請求項1~5の少なくとも1項に記載の投薬形態。
【請求項7】
第1および第2のフィルム層中の水溶性ポリマーは、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、セルロース、プルラン、ゼラチンおよび寒天を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1~6の少なくとも1項に記載の投薬形態。
【請求項8】
色素、香味剤、甘味剤、矯味剤、界面活性剤、エンハンサー、pH調節剤、保存剤および/または抗酸化剤を含む群から選択される少なくとも1種の補助剤を、一方または両方のフィルム層または空洞の構成要素として含むことを特徴とする、請求項1~7の少なくとも1項に記載の投薬形態。
【請求項9】
第1および/または第2のフィルム層の部分として矯味剤を含有することを特徴とする、請求項8に記載の投薬形態。
【請求項10】
第1および/または第2のフィルム層は、少なくとも1種の顔料および/またはUV吸収剤を含有することを特徴とする、請求項1~9の少なくとも1項に記載の投薬形態。
【請求項11】
第1および/または第2のフィルム層は(単数または複数)、1つまたはそれ以上の層で形成されることを特徴とする、請求項1~10の少なくとも1項に記載の投薬形態。
【請求項12】
第1および/または第2のフィルム層は、好ましくは、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールおよびクエン酸エステルを含む群から選択される、少なくとも1種の可塑剤および/または湿潤剤を含有することを特徴とする、請求項1~11の少なくとも1項に記載の投薬形態。
【請求項13】
第1および/または第2のフィルム層は、それらの表面の領域で、追加の密封剤により
相互に接続されて、少なくとも2つの空洞がフィルム層間に形成され、該空洞は同一のまたは異なる充填物を有することを特徴とする、請求項1~12の少なくとも1項に記載の投薬形態。
【請求項14】
第1および/または第2のフィルム層は、非平面的形態を有し、好ましくは、深絞り加工されたフィルムの形態であることを特徴とする、請求項1~13の少なくとも1項に記載の投薬形態。
【請求項15】
a) 第1および第2のフィルム層を重ねて配置する工程、
b) 少なくとも1つのポーチが第1のフィルム層と第2のフィルム層との間に形成されるように、第1のフィルム層を第2のフィルム層に固定する工程、
c) 必要であれば、b)で得られたフィルム二重層を切って、個々のポーチを得る工程、
d) 少なくとも1つのポーチを有効成分で満たす工程、および
e) ポーチ(単数または複数)を閉じる工程
を含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の投薬形態を製造する方法。
【請求項16】
工程b)で固定すること、および/または工程e)でポーチ(単数または複数)を閉じることが、付着または密封によって達成される、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中に有効成分が存在する空洞を有する有効成分のための投薬形態に関し、該投薬形態は水溶性であり、その結果、口中に入れられたときに急速に溶解して有効成分を放出する。有効成分を投薬形態の空洞中に導入することができるという事実は、典型的な薄フィルム剤形中により大量の有効成分を含めることに関する技術的制約が回避され、それ故、より大量の有効成分をいかなる問題もなく投薬形態に包含することができることも意味する。本発明は、対応する投薬形態を製造する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
バッカルまたは舌下錠は、通常、有効成分を口内粘膜を介して投与し、有効成分を口腔中に放出するために使用される。口内粘膜を介した有効成分の再吸収は、他の経口投薬形態に対していくつかの利点、例えば、胃腸通過をバイパスすることにより、作用の開始が急速であるということおよび有効成分の利用率が高いということを提供する。
【0003】
錠剤またはカプセル剤に伴う別の問題は、それらが通常飲み込まれることであり、それは、患者が、この投薬形態を摂取することができるための液体を飲まなければならないことを意味する。しかしながら、高齢の患者または小児では嚥下が困難な場合もあり、それ故、彼らは、錠剤またはカプセルを飲むことを拒否するかまたはそれを飲むことを躊躇する。それに加えて、錠剤およびカプセル剤が口中に長時間保たれ、その後、患者により吐き出されることもあり得る。これは、しばしば、服薬遵守が守られない結果を生じ、それは治癒の進行または治療の成功に有害である。
【0004】
既知のバッカルおよび舌下錠に代わる別の投薬形態は、ウェファーとしても知られる平坦な形態のオブラートのような投薬形態の形態で知られている。例えば、特許文献1には、可溶性ポリマー材料または複合多糖類で作製された急速可溶のフィルム製品が記載されており、それは、主として避妊薬の投与のために使用される。該フィルム製品は、3~4mmの厚さを有すべきであり、その溶解性は、投与後5~60秒以内で溶解し終わるように調節されるべきである。フィルム製品は、気泡の空洞を有するラミネートの形態であってもよい。
【0005】
特許文献2には、唾液と接触すると急速に溶解する、医薬投与のための担体材料が記載されている。この担体材料は、特にタンパク質および多糖類を主成分とする多孔性の、脱水された、骨格担体材料である。脱水により作られた空洞は、液体の有効成分を導入するために使用される。
【0006】
特許文献3には、可食性フィルムが提案されており、それは急速に溶解するが、抗菌性物質を放出する目的で口内粘膜にしっかり付着することもでき、口内細菌叢における望ましくない微生物の数を低下させる。抗菌性物質は、例えば、水性相中のマトリックス材料としてのプルランと親油性相として好ましくは混合される精油である。
【0007】
特許文献4には、口腔または他の体部の開口部で有効成分を放出するための急速に崩壊する投薬形態が記載されており、該投薬形態は、ベース物質として少なくとも1種の水溶性ポリマーを含有し、空洞が設けられたマトリックスを有する。
【0008】
口腔中で急速に溶解する経口フィルム(OTF(=経口薄フィルム)系)は、該フィルムがある一定の物理的要件に合うように製剤されなければならない。例えば、そのようなフィルムは、患者により取り扱われたときに破れないように、ある一定の最小強度を有し
なければならない。OTF製剤についてのさらなる問題は、該フィルムは、任意の厚さで製造することができないことであり、その理由は、フィルムの必須の性質が、それらが急速に口中で溶解することであるからである。しかしながら、これは、比較的厚いフィルムの場合にはもはや保証されず、その理由は、厚くなるほど水または唾液のフィルムの内部領域への進入が困難になるからである。
【0009】
それに加えて、OTF系は、それらの厚さに関して制限されるだけでなく、それらの最大サイズに関しても制限され、その理由は、使用者が、いかなる問題もなくフィルムを口中に入れて舌の上にのせることができなければならないからであり;これは、非常に大きいフィルムではもはや可能でないであろう。これらの一般的条件が理由で、正常フィルムのようなOTF製剤にとっては、適用できる有効成分の量は約20mgに限定される。
【0010】
一方で、これは、より大量で適用されなければならない有効成分に関わる問題であるが、他方で、それは、不快な味を有すると受け取られる苦いかまたは他の有効成分に関わる問題でもあり、その理由は、これらは、一般的に、相当量の矯味剤を添加して製剤されなければならないからである。しかしながら、この場合でさえ、OTF剤形中の有効成分と任意の追加の矯味剤の合計量は、約20mgに制限される。
【0011】
この背景に対して、既知のOTF製剤と同じ利点、すなわち特に口腔中における有効成分の急速な吸収および放出を提供するが、投与されることが可能な有効成分量に関してそのような重大な制約を受けることにない有効成分の投薬形態に対する必要性がある。
【0012】
既知のOTF系に関するさらなる問題は、フィルムを製造するために、有効成分が使用されるマトリックス材料と混合されなければならず、その目的のために、溶媒が使用されるかまたは混合が押出し方法の範囲内で実行されるかのいずれかであることである。溶媒を利用して処理する場合、この溶媒は、押出しのさらなる進行中に系から除去されなければならず、その目的のために系は通常加熱される。この方法は、OTF中に組み込まれた有効成分が、溶媒の蒸発中に分解するので、高温で不安定な有効成分に対して問題を課す。あるいは、溶媒は、極く軽い真空下で除去することもできる。しかしながら、これは、適当な装置を必要とし、技術的観点から、より大きい費用をかけてのみ実行することができるので、コストの不利益を必然的に伴う。
【0013】
押出しプロセスでは、有効成分は、比較的高い温度にも晒され、それは、有効成分の部分的分解をもたらし得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第5,529,782号
【特許文献2】欧州特許第0450141Bl号
【特許文献3】国際公開WO00/18365号
【特許文献4】国際公開WO02/02085号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
この背景に対して、有効成分を高温に晒すことを必要とせずに製造することができる、有効成分のための投薬形態に対する必要性もある。目標は、温度で変化を起こしやすい有効成分も装薬することができる投薬形態を製造することである。
【0016】
本発明は、この必要性を目指す。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上で記載された目標を達成するために、本発明は、請求項1に従って、第1のフィルム層と第1のフィルム層の上を覆って配置された第2のフィルム層とを含む、有効成分が口腔中で溶解される投薬形態を提案し、その提案では、第1のフィルム層の組成は、第2の層の組成と同一であることができ、水溶性ポリマーを含み、第1および第2のフィルム層は、それらの重なり合う縁で相互に接続されて少なくとも1つの空洞を形成し、空洞は有効成分で満たされる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【発明を実施するための形態】
【0019】
したがって、本発明による投薬形態は、重ねて配置されて、縁領域におけるフィルム層の接続により形成されている、2つのフィルム層により形成されたポーチまたはバッグを実質的に含む。そのようにして、有効成分は、ポーチまたはバッグの空洞中に導入される。2つのフィルム層は、通常のOTF製剤と同様に水溶性ポリマーを含むので、それらは、通常のOTF製剤と比較して同様な溶解性を示す。しかしながら、これらに比較して、本発明による投薬形態は、フィルムが乾燥された後でのみ有効成分を導入することができ、例えば、フィルムの乾燥の結果としての有効成分の直接の熱的ストレスは回避されるという利点を提供する。
【0020】
用語「ポーチ」および「バッグ」は、以下の記載に関して同義の意味を有する。
【0021】
用語「重ねて配置された2層のフィルム」は、2つの別のフィルム層が重ねて配置されてた実施形態、ならびに1枚のフィルムの折りたたみにより2つのフィルム層を重ねて配置することにより創り出された実施形態の両方を含む。
【0022】
本発明による投薬形態の例を
図1に示す。図中、1は、2つのフィルム層が相互に接続される縁領域を表し、それに対して2は、有効成分で満たされた空洞を示す。
【0023】
投薬形態が、「水溶性」ポーチとして形成されるということは、はるかにより大量の有効成分および/または追加の賦形剤を空洞中に導入することも可能であることを意味する。有効成分を挿入した後のポーチの最終密封は、投薬形態の1つの縁でだけ実施されればよく、その目的のために、密封は、投薬形態の縁領域だけで実施されなければならず、その結果、投薬形態の中央部に位置した有効成分は、いかなる直接の熱的ストレスにも晒される必要がない。
【0024】
本発明の文脈では、「水溶性ポリマー」は、口腔のような水気のあるおよび水性環境で急速に溶解して崩壊し、その結果、投薬形態に組み込まれた有効成分を放出する水溶性および/または水膨潤性ポリマーを意味する。
【0025】
第1および第2のフィルム層が「それらの重なり合う縁で相互に接続されて少なくとも1つの空洞を形成する」という表現は、第1および第2のフィルム層が、それらの表面の領域で互いに接触するが(ただし、空洞は満たされていない)、この領域で接合されて一緒になることはなく、その結果、2つのフィルム層は、この領域で、材料(特に有効成分)の導入により、努力せずに互いから分離されることを意味すると理解されるべきである。該表現は、この場合に、1つの重なり合う縁が1つだけ存在するが、しかしながら、有効成分で満たすことを容易にするために、その円周全体にわたって接続してはいない、フィルム層の完成された実施形態も含む。
【0026】
「空洞」は、有効成分を含有するが、水溶性ポリマーを実質的に含まない。それに加えて、空洞は、好ましくは、第1および第2のフィルム層の全表面と接触する有効成分の連続した剤形は含有せず、離散的なガス空間が個々の有効成分粒子間に存在する形態で、有
効成分を含有する。
【0027】
第1のフィルム層の第2のフィルム層との接続は、付着または密封により達成することができる。付着される場合、例えば、適当な接着剤が、第1のフィルム層と第2のフィルムの層間の間隙中に導入されて、そのようにして第1のフィルム層を第2のフィルム層に固定することができる。密封については、第1のフィルム層および第2のフィルム層が、加熱されて、互いに対して加圧されて、その結果、第1のフィルム層が第2のフィルム層に密封領域で接着することができる。
【0028】
接着層を接続するための適当な水溶性接着剤の例は、Plastoid E35H(軟化されたEudragit E100;添加された改変剤は、ラウリン酸、アジピン酸およびグリセリンである)である。
【0029】
別の適当な水溶性接着剤は、少なくとも1種の水溶性ポリマーおよび少なくとも1種の可塑剤を主成分とする接着剤であり、該水溶性ポリマーは、好ましくはシェラック、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルカプロラクタム/ポリ酢酸ビニル/ポリエチレングリコールコポリマー、ヒドロキシプロピルセルロースまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび/またはポリビニルピロリドンである。グリセリン、ポリエチレングリコール、特にポリエチレングリコール200、ソルビトールおよび/またはクエン酸トリブチルは、上記水溶性ポリマーとの組み合わせのために適当な可塑剤である。好ましい可塑剤は、好ましくは、グリセリン、ポリエチレングリコール200および/またはクエン酸トリブチルから選択される。
【0030】
水溶性ポリマーの可塑剤に対する比に関して、混合物が十分に粘着性で実際に使えるように設定されている限り、接着剤は、どのような関係の制約も受けない。有利な混合比は、水溶性ポリマーの可塑剤に対する比が、約85~50対約15~50、好ましくは85~65対約15~35、より好ましくは約80~60対約20~40、さらにより好ましくは約80~50対約20~50、さらにより好ましくは約82~68対約18~32および最も好ましくは約80から70まで対約20~30であることができる。
【0031】
第1のフィルム層の組成が第2のフィルム層の組成と同一であることができることは、すでに言及した。これは、本発明による投薬形態の製造の簡単化をもたらすので、第1のフィルム層および第2のフィルム層の組成が同一であれば、それは、本発明の範囲内で好ましい。
【0032】
一方、ある場合には、第1のフィルム層と第2のフィルム層とが、異なる組成に基づくならば、それは有用であることもある。例えば、フィルム層の一方を、粘膜付着性の層として形成して、一方、第2の層は、水性環境で比較的速やかに溶解することができ、したがって有効成分を放出することが望ましいこともある。別の実施形態において、第1のフィルム層が粘膜付着性のフィルム層であり、第2のフィルム層が、口腔中で第1のフィルム層より緩徐に溶解するならば、それが好都合であることもある。
【0033】
有効成分の形態に関して、本発明は、いかなる有意の制限も受けない。したがって、有効成分は、液体または固体の形態であることができ、粉末状、顆粒状、マイクロまたはナノ粒子状またはマイクロまたはナノカプセル化された形態は、固体形態として特に都合がよい。しかしながら、有効成分が液体の形態であれば、これは周囲のフィルム層の完全性を損なうので、それは、大抵、水溶液でも懸濁液中でもない。有効成分が液体の形態である場合には、この形態は、できる限り、隣接のフィルム層に影響すべきでない。固体の形態の有効成分が好ましく、固体製剤のためには、有効成分がその中に溶解されるかまたは分散される親油性ベース材料を主成分とするものは、可能な場合には排除されるべきであ
る。したがって、好ましい実施形態では、有効成分が、親油性または油性またはワックス状の剤形の形態で存在することはない。
【0034】
用語「マイクロ粒子状」は、本発明の文脈では、粒子の90wt%および好ましくは95wt%が1mm未満~1μmの範囲内に粒子サイズを有する材料を意味すると理解される。用語「ナノ粒子状」は、本発明の文脈では、粒子の90wt%および好ましくは95wt%が1μm未満の範囲内に粒子サイズを有する材料を意味すると理解される。
【0035】
用語「マイクロまたはナノカプセル化された」で、上の表現は、カプセル化された粒子を指す。
【0036】
上で示したように、本発明による投薬形態の主な利点は、それが、比較的大量の有効成分を含有する充填物の包含も可能にすることである。例えば、投薬形態が、約20mgを超える、特に約30mgを超える有効成分を含有する量の充填物を有するならば、それは好ましい。
【0037】
有効成分を含有する充填物の含有率についての適当な上限は、1000mgの量と特定することができる。500mgの上限が好ましく、200mgがより好ましく、および100mgがさらになお好ましい。
【0038】
熱形成されたフィルムまたは大きいポケットを有する実施形態では、有効成分の充填量はさらに大きくてもよい。その場合、量は、ポケットのサイズに依存するだけでなく、熱形成により製造された空洞の深さにも依存する。
【0039】
有効成分を含有する充填にとって特に有利な範囲として、約50~約200mgの量を特定することができる。
【0040】
本発明による投薬形態のサイズは、便宜上、適当な量の有効成分を含有する充填物を受け入れるために必要な大きさにされる。大まかな指針として、約1~約10cm2、好ましくは約1.5~約6cm2の範囲内の表面積を特定することができる。投薬形態が、例えば、長方形のポーチの形態であれば、これらの寸法は、約2×2.5cmまたは約1×1.5cmであってもよい。
【0041】
本発明による投薬形態は、一般的に、薄く平坦なまたは僅かに曲線の設計のものであり、例えば、小さいポーチ、バッグ、サシェ、小包またはパッドの形態にある。これらの小さいポーチ、バッグ、サシェ、小包またはパッドは、種々の幾何学的形状、例えば、円形、楕円形、横長のまたは特に、長方形のまたは正方形のような多角形を有することもできる。
【0042】
フィルム層の厚さは、好ましくは約0.01~約2mm、特に好ましくは約0.02~約0.5mmの範囲内である。
【0043】
水溶性ポリマーに関して、本発明は、水溶性ポリマーが、薬学的に許容される材料であるべきであるという条件で、いかなる関係の制限も受けない。適当な水溶性ポリマーは、例えば、デンプンおよびデンプン誘導体、デキストラン;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルまたはプロピルセルロースのようなセルロース誘導体;ポリアクリル酸、ポリアクリレート、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシドポリマー、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ゼラチン、コラーゲン、ア
ルギン酸塩、ペクチン、プルラン、トラガカント、キトサン、アルギン酸、アラビノガラクタン、ガラクトマンナン、寒天、アガロース、カラギナンおよび天然ゴムである。本発明の文脈で特に好ましいのは、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、セルロース誘導体、プルラン、ゼラチンおよび寒天を含む群から選択される水溶性ポリマーである。本発明の文脈では、水溶性ポリマーとしてポリビニルアルコールが最も好ましい。
【0044】
第1および第2のフィルム層中における水溶性ポリマーの比率は、通常約85~約100wt%、特に約90~約99.9wt%および最も好ましくは約95~約99.5wt%である。ポリマーフィルムは、従来のOTF系と異なり、いかなる有効成分も含有しなくてよいので、水溶性ポリマーの比率は非常に高くてもよい。それに反して、意図される適用結果に依存して、矯味剤のような添加剤または有効成分の一部が、第1のフィルム層中および/または第2のフィルム層中に組み込まれることもある。この場合には、第1のフィルム層中および第2のフィルム層中における水溶性ポリマーの比率は、上で示された比率より小さいこともあるが、それは、やはり約15~約75wt%および好ましくは約50~約70wt%の範囲内であるべきである。
【0045】
有効成分は、原則として、経口投与に適した任意の有効成分であってよく、薬学的有効成分が好ましい。本発明の文脈では、経口適用のために適当な薬学的有効成分は、例えば、昇圧剤のような、抗アレルギー剤、抗不整脈剤、抗生物質、抗糖尿病剤、抗てんかん剤、抗ヒスタミン剤、鎮咳薬、強心剤、利尿剤、抗高血圧剤、麻酔薬、神経筋遮断剤および性ホルモンである。特定の例は、アセトアミノフェン、アドレナリン、アルプラゾラム、アムロジピン、アナストロゾール、アポモルフィン、アリピプラゾール、アトルバスタチン、バクロフェン、ベンゾカイン、ベンゾカイン/メントール、ベンジダミン、ブプレノルフィン、ブプレノルフィン/ナロキソン、ブプレノルフィン/ナロキソン/セチリジン、セチリジン、クロロフェニラミン、クロミプラミン、デキサメタゾン、デキストロメトルファン、デキストロメトルファン/フェニレフリン、ジクロフェナク、ジフェンヒドラミン、ジフェンヒドラミン/フェニレフリン、ドネゼピルドロナビノール、エピネフリン、エスシタロプラム、ファモチジン、フェンタニル、グリメピリド、GLP-1ペプチド、グラニセトロン、インスリン、インスリンナノ粒子、インスリン/GLP-1ナノ粒子、ケトプロフェン、ケトチフェン、カフェイン、レボセチリジン、ロペラミド、ロラタジン、メクリジン、メチルフェニデート、ミダゾラム、ミロデナフィル、モンテルカスト、マルチメリック-001、ナロキソン、ニコチン、ニトログリセリン、オランザピン、オロパタジン、オンタンセトロン、オキシブチニン、ペクチン、ペクチン/メントール、ペクチン/アスコルビン酸、ペディアSUNAT(アルテスネイトおよびアモジアキン)、ピロキシカム、フェニレフリン、プレドニゾロン、シュードエフェドリン、リスペリドン、リバスチグミン、リザトリプタン、セレギリン、センナグリコシド、シルデナフィルクエン酸塩、ソメチコン、スマトリプタン、タダラフィル、テストステロン、トリアムシノロンアセトニド、トリプタン、トリプカミド、ボグリボース、ゾルミトリプタン、ゾルピデム、またはこれらの化合物の薬学的に許容される塩である。非薬学的有効成分として、本発明による投薬形態は、例えば、メントールのような口内衛生のための有効成分を含有することもできる。薬学的に有効成分は、種々の有効成分の混合物であってもよい。
【0046】
本発明による投薬形態は、すでに言及された水溶性ポリマーに加えて、第1および第2のフィルム層の構成要素および第1および第2のフィルム層との間の空洞に位置する有効成分として、さらなる成分、特に、色素、芳香物質、特に香味剤および/または香り物質、甘味剤、矯味剤、界面活性剤、エンハンサー、pH調節剤、保存剤および/または抗酸化剤を含む群から選択される補助剤を含有することができる。上記の補助剤は、一方または両方のフィルム層の構成要素であってもよく、および/または有効成分と一緒に2つのフィルム層の間の空洞中に導入されてもよい。
【0047】
香味剤、香り物質および芳香物質の添加は、個別でもまたは組み合わせでも、特に有利である。
【0048】
1種の矯味剤はイオン交換樹脂である。
【0049】
本発明による投薬形態で使用するために好ましいイオン交換樹脂は、水不溶性であり、イオン性であるかまたは適当なpH値の条件下でイオン化される共有結合で結合した官能基を含有する薬理学的に不活性な有機または無機マトリックスからなる。有機マトリックスは、合成(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、スルホン化されたスチレン、スルホン化されたジビニルベンゼンのポリマーまたはコポリマー)または部分的に合成(例えば、改変されたセルロースおよびデキストラン)することができる。マトリックスはイオン性基の添加により改変された無機物、例えば、シリカゲルであってもよい。
【0050】
共有結合で結合したイオン基は、強酸性(例えば、スルホン酸)、弱酸性(例えば、カルボン酸)、強塩基性(例えば、第四級アンモニウム)、弱塩基性(例えば、第一級アミン)または酸性および塩基性基の組み合わせであってもよい。一般的に、イオン交換クロマトグラフィーで使用するために適当な、および水の脱イオンのような用途に適当なこれらの型のイオン交換体が、本発明による投薬形態で使用するために適当である。
【0051】
イオン交換樹脂は、好ましくは、架橋したポリスチレンを主成分とする樹脂である。ポリスチレンは、ポリスチレンを架橋することができる二官能性化合物から選択される架橋剤で架橋される。架橋剤は、好ましくは、ジビニルまたはポリビニル化合物である。最も好ましいのは架橋剤ジビニルベンゼンである。
【0052】
一般的に、ポリスチレンは、全ポリスチレンに基づいて、約3~約20%、好ましくは約4~約16%、より好ましくは約6~約10%、および最も好ましくは約8wt%の程度に架橋されていると好都合である。ポリスチレンは、知られた手段により架橋剤で架橋される。
【0053】
本発明の範囲内で矯味剤として特に適当なイオン交換樹脂は、1グラム当たり約6ミリ当量(meq/g)未満、および好ましくは約5.5meq/g未満の交換容量を有する。
【0054】
イオン交換樹脂粒子のサイズは、好ましくは、約20~約200マイクロメートルの範囲内に入るべきである。完全に下限未満の粒子サイズは、異質の加工処理工程で取り扱いが困難である。上限を超える粒子サイズ、例えば、形状が球形で直径が約1000マイクロメートルまでの市販のイオン交換樹脂は、液体の投薬形態で砂のようであり、乾燥水和のサイクルに晒されたときに破壊する強い傾向を有する。
【0055】
本発明において有用な代表的樹脂は、アンバーライトIRP-69(Dow Chemicalから入手可能)およびDow XYS-40010.00(Dow Chemicalから入手可能)を含む。両方とも、8%ジビニルベンゼンで架橋された、イオン交換容量が約4.5~5.5meq/g乾燥樹脂(H±形態)のスルホン化されたポリスチレンポリマーである。それらの主な相違は、それらの物理的形態である。アンバーライトIRP-69は、アンバーライトIRP-120の上の、表面積の大きい球を粉砕することにより製造された、サイズ範囲が47~149マイクロメートルの不規則な形状の粒子を含む。Dow XYS40010.00という製品は、サイズ範囲が45~150マイクロメートルの球形粒子を含む。別の有用な交換樹脂、Dow XYS-40013.00は、8%のジビニルベンゼンで架橋されて、第四級アンモニウム基で官能化されたポリ
スチレンからなるポリマーである。その交換容量は、通常、約3~4meq/g乾燥樹脂の範囲内である。別の適当な樹脂は、アンバーライトIRP-64である。
【0056】
矯味剤は、第1および/または第2のフィルム層の構成要素として存在することもできるが、上で示したように、本発明による投薬形態の空洞中に導入することもできる。矯味剤がイオン交換樹脂であれば、これは、有効成分が、イオン交換樹脂の存在下で溶解されている場合にのみ効果的であることが注意されるべきである。それ故、例えば、イオン交換樹脂が、第1のまたは第2のフィルム層の構成要素として剤形化されている剤形で、矯味効果を達成することは可能でないが、有効成分は、本発明による投薬形態の空洞中に導入される。矯味剤としてのイオン交換樹脂は、それ故、本発明による投薬形態の有効成分と同じ構成要素中で剤形化されるべきであり、有効成分は便宜上イオン結合によりイオン交換樹脂に結合される。
【0057】
本発明による投薬形態が矯味剤を含有する場合、矯味剤は、フィルム層の1つまたはそれ以上中に、または、多層フィルム構造の場合には、フィルムの1つまたはそれ以上の外側層中に、組み込まれることが可能である。このことは、例えば、有効成分の放出と比較して外側ポリマー層からの矯味剤の早い放出を可能にするので、例えば、有効成分が放出される前に、本発明による投薬形態内の苦い味の有効成分に対して、味受容体が、すでに封止されていることが可能になる。
【0058】
それに加えて、第1および/または第2のフィルム層は、投薬形態の空洞中に導入されている少なくとも1種の顔料または光に敏感な有効成分をUV光に対して保護するUV吸収剤を含有することもできる。それに加えて、第1および/または第2のフィルム層が1種またはそれ以上の色素、香味剤または甘味剤を含有すれば、それは好都合である。
【0059】
すでに上で言及したように、第1のフィルム層および/または第2のフィルム層は、補助剤に加えて、それらの柔軟性または他の物理的性質を最適化する、少なくとも1種の可塑剤および/または1種の湿潤剤のような、他の構成要素も含有することができる。本発明の文脈では、好ましい可塑剤および/または湿潤剤は、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールおよびクエン酸エステルを含む群から選択される。
【0060】
それに加えて、第1のフィルム層および/または第2のフィルム層は、発泡体として具体化することができる;すなわち、空気、窒素またはCO2、または別のガスのような導入されたガスを含有することもできる。
【0061】
上で示されたように、本発明による投薬形態において、第1のフィルム層および第2のフィルム層は1つまたはそれ以上の層で形成されており、第1のフィルム層および/または第2のフィルム層は、例えば、組成物を重なった層で適用することにより、同じ組成物の数層で、第1のフィルム層または第2のフィルム層を製造することにより構築されることも可能である。他方では、例えば、顔料またはUV吸収剤を第1のフィルム層または第2のフィルム層の層中に導入して、顔料またはUV吸収剤を含まない組成物を重層するかまたは底層にすることにより、層の組成が異なることもある。
【0062】
多層構造物では、1つまたはそれ以上の層が発泡体として具体化されることもあり、すなわち、空気、窒素またはCO2、または別のガスのような導入されたガスを含有することもできる。
【0063】
さらに、本発明による投薬形態は、2つの空間的に分離された空洞を有するような様式でデザインされることも可能である。したがって、例えば、第1のフィルム層が、第2のフィルム層に、その表面の領域における追加の密封により接続されることも可能である。
このようにして、同じかまたは異なる充填を有する2つ以上の空洞が、フィルム層間に形成されること可能である。
【0064】
これは、そのままでは貯蔵に安定でないが、粘膜適合性であるベース(base)が有効成分として使用され、一方、有効成分の塩が改善された貯蔵安定性を有するが、粘膜適合性でない場合に、特に有利である。この場合には、有効成分の塩を、本発明による投薬形態の第1の空洞中に導入して、補助のベースを本発明による投薬形態の第2の空洞中に導入することが可能であり、そこで、投薬形態を口腔中に導入すると、有効成分の補助ベースおよび塩が放出されて、その結果、貯蔵に安定でないが粘膜適合性である有効成分のベースが形成されることが可能である。それらの表面の領域における第1および第2のフィルム層の接続は、使用前に投薬形態を揉むことにより分離される継ぎ目を剥離することによっても行われ、そのようにして、第1の空洞の充填物と第2の空洞の充填物とを混合することが可能になる。
【0065】
それに加えて、本発明による投薬形態の2つのフィルム層間の体積を増大させるために、第1のフィルム層および/または第2のフィルム層が非平面的形態を有することが可能である。この目的のために、第1のフィルム層または第2のフィルム層は、好ましくは、熱形成されて、同じ底面の面積でより大きい充填体積を得ることができる。
【0066】
さらに、本発明による投薬形態は、空洞中に導入された有効成分を含有するだけでなく、フィルム層中に導入された有効成分を含有することも可能である。最終的に、空洞中に導入される有効成分は、種々の改変で、例えば、混合された速度の有効成分の放出を生じさせる目的で、ある一部分を直接放出する形態で導入して、一方、別の部分は顆粒化された形態でまたは遅延放出の形態で導入することが可能である。
【0067】
本発明による投薬形態は、有効成分を、バッカル、歯肉または舌下投与を含む経口投与、または口蓋投与のために特に適当である。
【0068】
最終的に、本発明の別の態様は、上に記載された型の投薬形態を製造する方法に関し、該方法は、以下の:
a) 第1および第2のフィルム層を重ねて配置する工程、
b) 少なくとも1つのポーチが第1のフィルム層と第2のフィルム層との間に形成されるように、第1のフィルム層を第2のフィルム層に固定する工程、
c) 必要であれば、b)で得られたフィルム二重層を切って、個々のポーチを得る工程、
d) 少なくとも1つのポーチを有効成分で満たす工程、および
e) ポーチ(単数または複数)を閉じる工程
を含む。
【0069】
工程b)で固定することおよび/またはポーチを閉じること(工程eで)は、好ましくは、この方法の範囲内で付着または密封することにより達成される。
【0070】
工程a)で第1のフィルム層および第2のフィルム層を重ねて配置することは、2つの個々のフィルムを重ねて配置することによるか、または1つのフィルムをその中央で折りたたみ、2つのフィルム層を重ねて配置して、それらを1つの縁で接続して形成することによるかのいずれかで行うことができる。
【0071】
以下において、本発明を、若干の例によりさらに子細に例示することにするが、しかしながら、それらは、本出願の保護の範囲に対する限定と解釈されるべきではない。
【実施例0072】
表1に示された組成のポリマーフィルムを製剤し、表1に示された充填物を供給した。この目的のために、コーティングボックスを利用して、種々のポリマーフィルムをリストに挙げられた成分の溶液で最初にコートして、それを乾燥してフィルムにした。その後、対応するフィルム片を打ち抜いて、表1に示した寸法で折りたたみにより、二重層を作った。次に、このように製造された二重層を、次にフィルムの2つの縁で一緒にして加熱密封してポーチを作った。次に充填物を満たして、生じたポーチも開いた縁で加熱密封した。
【0073】
【表1】
実施例Cで、液体モデルの有効成分としてミグリオールを、結合剤としてラクトースを用いて製剤した。これにより、結合剤が液体材料の密封領域への進入する防止したので、密封が促進されて、完全に閉じたポーチが形成された。このように、結合剤は、液体材料が密封を弱めることを防止することができる。