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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022014188
(43)【公開日】2022-01-19
(54)【発明の名称】トレーニングシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/20 20120101AFI20220112BHJP
   G09B 5/04 20060101ALI20220112BHJP
   G09B 19/04 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
G06Q50/20
G09B5/04
G09B19/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020116393
(22)【出願日】2020-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】520247084
【氏名又は名称】株式会社プレミアビジネステクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】特許業務法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西澤 久雄
【テーマコード(参考)】
2C028
5L049
【Fターム(参考)】
2C028AA10
2C028BA03
2C028BB07
2C028BD01
5L049CC34
(57)【要約】
【課題】会話スキルが求められる専門職の教育を支援する。
【解決手段】トレーニングシステム1には、コミュニケーションAIが実装されている。トレーニングシステム1は、プロセッサを備える。プロセッサは、受講者の発話を取得することと、取得した前記受講者の発話の内容を分析することと、分析した前記発話の内容に基づいて前記受講者に向けた次の発言内容を作成することと前記発言内容を表す音声を合成することとを実行するように構成されている。トレーニングシステム1は、会話スキルが求められる専門職の教育を支援する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コミュニケーションAIが実装された、会話スキルが求められる専門職の教育を支援するためのトレーニングシステムであって、
受講者の発話を取得することと、
取得した前記受講者の発話の内容を分析することと、
分析した前記発話の内容に基づいて前記受講者に向けた次の発言内容を作成することと、
前記発言内容を表す音声を合成することと
を実行するように構成されたプロセッサを備える、トレーニングシステム。
【請求項2】
利用者が有するノウハウに基づいて作成されたシナリオが記録される記録装置をさらに備え、
前記プロセッサは、前記シナリオに基づいて、前記発言内容を作成するように構成されている、
請求項1に記載のトレーニングシステム。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記ノウハウを前記シナリオに変換することをさらに実行するように構成されている、請求項2に記載のトレーニングシステム。
【請求項4】
前記音声の合成において、前記プロセッサは、複数種類の声を合成することができように構成されている、請求項1~3の何れかに記載のトレーニングシステム。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記受講者の発話の内容を採点することをさらに実行するように構成されている、請求項1~4に何れかに記載のトレーニングシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレーニングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、コンタクトセンターのオペレーターには、多種多様の発生ケースに応じて、迅速かつ的確なアドバイスを行うための高度なスキルが求められている。このため、オペレーターを支援するための様々なシステムが提案されている。例えば特許文献1には、顧客からの問合せを正確・迅速に把握し、的確な対応ができることを支援するためのコールセンター支援システムに関する技術が開示されている。この技術では、サービス提供システムを通じて顧客から照会予約の指示を受け付けた場合に、照会データを生成してその時点でのサービス情報を格納しておき、後に顧客からサポート要求があった場合に、この照会コードに基づいてサービス情報を検索してコールセンターに情報が提供される。これにより、サービスの利用中などに疑問が生じた顧客に照会予約をしてもらい、後にコールセンターで問合せを受け付ける際に顧客から照会コードを取得することによって、オペレーターは、顧客に疑問が生じた時点のサービス情報を共有でき、迅速・的確に応対することができる。
【0003】
システムによる支援が発達しているとはいえ、そのようなシステムを活かすオペレーターには、引き続き高いスキルが求められている。一方、雇用環境や働き方の変化に伴い、人材の流動化が進んでいる。例えば、新人スタッフがチームに加わると、場合によっては、数週間から数カ月かけて新人スタッフに戦力となってもらうための研修が行われることがある。研修の初期段階では、マニュアルやFAQなどによる学習が行われるが、接客する上で必要となる実践的な知識や会話スキルの習得のために、経験豊富なスタッフを講師としたロールプレイングが行われる。このような新たなスタッフを教育することには膨大な時間と労力が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-070381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、会話スキルが求められる専門職の教育を支援することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、トレーニングシステムは、コミュニケーションAIが実装された、会話スキルが求められる専門職の教育を支援するためのトレーニングシステムであって、受講者の発話を取得することと、取得した前記受講者の発話の内容を分析することと、分析した前記発話の内容に基づいて前記受講者に向けた次の発言内容を作成することと、前記発言内容を表す音声を合成することとを実行するように構成されたプロセッサを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、会話スキルが求められる専門職の教育を支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態のトレーニングシステムの構成例の概略を示す図である。
図2図2は、トレーニング中の受講者の様子を模式的に示す図である。
図3図3は、管理画面の一例の概要を示す図である。
図4図4は、受講者が受講しているときの画面の一例の概要を示す図である。
図5図5は、受講者が受講後に確認できる評価画面の一例の概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[システムの概要]
一実施形態について図面を参照して説明する。例えば、コンタクトセンターのオペレーターには、多種多様の発生ケースに応じて、迅速かつ的確なアドバイスを行うための高度なスキルが求められている。本実施形態に係るトレーニングシステムは、コンタクトセンターのオペレーターなど会話による顧客対応が必要な職種向けの、コミュニケーションAI(人工知能)を活用したトレーニングシステムである。このトレーニングシステムは、コンタクトセンターのオペレーターに限らず、接客、面接など、会話スキルが求められる専門職の教育を支援するために広く適用可能なAI型のロールプレイングを提供する。このトレーニングシステムの利用者は、会話による顧客対応が必要な、コンタクトセンターのスタッフの養成に関わる者、採用面接のトレーニングに関わる者、受付スタッフのトレーニングに関わる者、店舗スタッフのトレーニングに関わる者などである。受講者であるオペレーター等は、例えばオンラインで、トレーニングシステムのトレーニングAIとのロールプレイング研修を受けることができる。
【0010】
トレーニングシステムは、過去の問い合わせケース等がシナリオ化され、それがシステムに登録されることで、トレーニングAIが生成されるように構成されている。本トレーニングシステムによれば、新人スタッフのトレーニングの自動化と、既存スタッフの更なる能力向上が実現され得る。
【0011】
[システム構成]
図1は、本実施形態のトレーニングシステム1の構成例の概略を示す図である。トレーニングシステム1は、Central Processing Unit(CPU)、Read Only Memory(ROM)、Random Access Memory(RAM)、ストレージ、入力装置、表示装置、各種インターフェースなどを備えるコンピュータが、プログラム等に応じて動作することで実現される。トレーニングシステム1は、一台のコンピュータによって構成されても、ネットワークで互いに接続された複数台のコンピュータによって構成されてもよい。
【0012】
トレーニングシステム1は、コミュニケーションAIをコアテクノロジーとして採用している。すなわち、上記コンピュータが備えるプロセッサは、コミュニケーションAIを実装している。トレーニングシステム1は、高度な自然言語処理技術と会話状態遷移管理機能とにより、トレーニングAIが受講者3であるオペレーターの発話した内容を適切に自動分析して解釈し、その内容に応じた次の質問をオペレーターに投げかける。トレーニングシステム1には、シナリオが登録されており、会話状態遷移管理機能は、このシナリオも利用して、発言内容を作成し、実践的な会話を構築していく。このような、トレーニングシステム1は、受講者3の発話内容の分析にも用いられる音声認識機能と、作成した発言内容の音声化にも用いられる音声合成機能とを備えている。
【0013】
図2は、トレーニング中の受講者3の様子を模式的に示す図である。受講者3は、例えば、ヘッドセット31を装着して、端末32を操作してトレーニングを受ける。端末32は、例えばインターネットを介してトレーニングシステム1に接続し、トレーニングに係る処理を実行する。したがって、端末32は、どこにあってもよく、例えば、受講者3の所属会社のオフィスにあってもよいし、受講者3の自宅にあってもよいし、その他の場所にあってもよい。すなわち、受講者3は、どこででもトレーニングシステム1によるトレーニングを受けることが可能である。
【0014】
ヘッドセット31のヘッドフォンからは、例えば問い合わせに関する音声が出力される。これに対して受講者3は、発話により適切な応答を行うことを試みる。受講者3による発話は、ヘッドセット31のマイクで取得され、そのデータはトレーニングシステム1に送信される。受講者3に用発話の情報は、トレーニングシステム1で処理される。図2に示すように、端末32の画面33には、問い合わせ内容と受講者3が発話した内容とが、文字として表示されてもよい。また、画面33には、採点結果が表示されてもよい。
【0015】
トレーニングシステム1は、主な機能として、少なくとも管理機能と、トレーニング機能と、評価機能との3つの機能を有する。
【0016】
(1)管理機能
管理者2は、商品やサービスに関する自社のナレッジを、専用のツールを利用してロールプレイング用のシナリオに変換する。管理者2は、作成したシナリオをトレーニングシステム1に登録しておく。図1に示すように、シナリオは、記録装置に記録され、トレーニングシステム1に蓄積される。トレーニングシステム1は、難易度レベルを設定できるように構成されている。このため、トレーニングシステム1は、初心者から経験者まで幅広い受講者3に対して利用され得る。
【0017】
(2)トレーニング機能
例えば新しく加わったスタッフである受講者3は、トレーニング機能を用いて、ウェブ画面から管理機能によって準備されたシナリオを選択して研修を受ける。トレーニングAIは、顧客に扮して、受講者3に様々な問い合わせをする。トレーニングAIは、様々なキャラクターの声で問い合わせを行うことができる。受講者3は、問い合わせをしてくるトレーニングAIに対して正しい応対ができるかロールプレイングを行う。受講者3は、正しい案内ができるようになるまで、繰り返し会話のロールプレイングを行うことができる。このようなトレーニングによって、受講者3は、座学では習得困難な実際的な対応力を身につけることができる。
【0018】
(3)評価機能
トレーニングシステム1は、AIの状態遷移機能により会話終了ごとに採点を行う。トレーニングシステム1は、受講者3が問い合わせケースに応じてふさわしい回答ができているかを判定する。トレーニングシステム1は、例えば、言ってはいけないNGワードを発した場合には減点し、必ず発話すべきキーワードを発した場合には加点するなど、会話単位でスコアをつけ、実力値の判定を行う。この採点によって、受講者3は、間違った箇所や自分の弱点を即時に確認することができる。受講者3は、実力値の判定や苦手分野の指摘のみならず、過去の履歴から自身の成長記録を確認することもできる。
【0019】
[効果]
トレーニングシステム1のAI活用によるロールプレイングによって、研修期間の短縮化及び研修コストの削減の効果が期待できる。従来は、新たなスタッフを教育することには膨大な時間と労力が必要であった。例えば、新人スタッフがチームに加わると、場合によっては、数週間から数カ月かけて研修が行われることがある。研修の初期段階では、マニュアルやFAQなどによる学習が行われるが、接客する上で必要となる実践的な知識や会話スキルの習得のために、経験豊富なスタッフを講師としたロールプレイングが行われる。トレーニングシステム1によれば、受講者3は、トレーニングAIとの会話により、実践に必要なスキルを早期に身に付けることが可能となり、スタッフの戦力化を早くすることができる。また、ロールプレイングの自動化により、研修講師となる熟練スタッフの工数の削減の効果が期待できる。また、トレーニングAIには同時に対応する人数に上限がなく、一度に多数の受講者3がロールプレイングをすることができる。また、トレーニングAIは、ジャンルやレベルの異なる研修を同時に実施することも可能である。このため、研修に掛かるコストは大幅に削減される。
【0020】
また、デジタル化が最も困難とされていたロールプレイングなどの対面型研修も、オンラインで実現可能となり、対面型研修からオンライン型研修へのシフトが可能になる。
【0021】
また、接客や会話スキルを定量化することは難しく、一般に、適正な評価ができない、スタッフのモチベーション向上やスキルアップが進まない、改善箇所が特定できないなどといった課題があった。これに対して、トレーニングシステム1によれば、個人ごとのスキルがスコアとして数値化される。このスコアを評価指標とすることで、最も数値化が困難だった接客を行う専門職の客観的な評価が可能となり、人材のモチベーション向上を促進することが可能となる。さらにこのスコアにより、トレーニングによる成長推移を把握することができるようになり、個人の成長、チーム全体でのスキルの底上げの実現が容易となる。
【0022】
また、トレーニングシステム1によれば、属人的なナレッジを、組織の持続的かつ拡張性のある情報資産へと進化させることができる。すなわち、属人性が高いマニュアルやトークシナリオなどの情報は、トレーニングシステム1に集約され得る。これらの情報が集約され、体系化されることで、これらの情報が研修のベースとなり、事業の安定化に繋がることが期待される。このような情報は、持続的な価値を発し続ける資産へと進化することが期待される。
【0023】
[管理機能]
図3は、管理画面の一例の概略を示す。管理者2は、自社のノウハウを体系立てて、トークシナリオとしてトレーニングシステム1のAIに登録する。すなわち、管理者2は、まず、自社のナレッジを収集する。例えば、管理者2は、製品やサービスのマニュアル、FAQ、問い合わせ履歴、トークシナリオなどを収集する。管理者2は、これらの情報鮮度、網羅性、重みづけなどを分析し、スタッフの教育に必要なノウハウへと体系化する。トレーニングシステム1がこのような体系化の支援を行ってもよい。
【0024】
管理者2は、体系化したノウハウをトレーニングシステム1用のフォーマットに記述していく。レベルに合わせた難易度の異なる質問や、NGワード、ヒントなどが登録され得る。熟練社員だけが持っていたロールプレイングノウハウが、いつでもどこでも利用できるように、トレーニングシステム1に登録され得る。
【0025】
トレーニングシステム1では、難易度レベルが設定され得る。このため、初心者から経験者まで幅広い受講者3がトレーニングシステム1を利用することができる。管理機能のシナリオ設定では、受講者3に受けてほしいストーリーが設定され得るだけでなく、内容に応じてレベルや声のバリエーションなどが細かく設定され得る。管理者2が研修担当者目線でより幅広い研修メニューを用意することで、トレーニング工数の削減につながる。このようにして、トレーニングシステム1の利用者が有するノウハウが凝縮されたシナリオが作成され、それがトレーニングシステム1に登録される。
【0026】
管理者2は、チームのメンバーをユーザーとして登録する。この登録により、ユーザーごとにアカウントが発行される。管理者2は、発行されたアカウントを受講者3に通知する。
【0027】
[トレーニング機能]
受講者3は、管理者2から通知されたアカウントで、トレーニングシステム1にログインすることができる。受講者3は、オフィスからでも自宅からでもトレーニングシステム1を利用することができる。
【0028】
図4は、受講者3が受講しているときの画面の一例の概略を示す。受講者3は、問い合わせをしてくるトレーニングAIに向かって応対するロールプレイングを行う。すなわち、受講者3が発話すると、この発話内容は、受講者3の端末32を介してトレーニングシステム1によって取得される。トレーニングシステム1は、取得した受講者3の発話の内容を分析し、分析した発話の内容と登録されたシナリオとに基づいて受講者3に向けた次の発言内容を作成する。トレーニングシステム1は、作成した発言内容を表す音声を合成し、受講者3の端末32に送信する。受講者3は、端末32で再生された音声に応答するように、発話を行う。これらを繰り返すロールプレイングを通じて、受講者3は、問い合わせに対する正しい応答のトレーニングを積む。受講者3は、座学では習得困難な対応力を身につけることができる。
【0029】
トレーニングシステム1は、例えば、1~5段階で難易度を設定することができるように構成されている。初心者は、レベル1から開始することができ、習熟に合わせてレベルを上げていくことができる。また、受講者3は、ランダムに様々な難易度のトレーニングを受けることもできる。
【0030】
トレーニングシステム1は、トレーニングAIとの会話の中で、受講者3が求められた回答を発話できなかった場合などに、ヒントを提示することができるように構成されている。このヒントは、受講者のレベルなどに応じて変化してもよく、例えば、より正解に近い内容を表示することも、あえて具体的な表示をしないこともできる。このような構成により、受講者3は、実践的なトレーニングの中で、正しい知識を積み上げていくことができる。
【0031】
トレーニングシステム1の音声合成機能は、様々な種類の声を合成することができ、トレーニングシステム1は、声のバリエーションを有している。トレーニングAIは、例えば登録されたシナリオを利用するなどして、例えば、男性の声、女性の声、早い口調、怒っている口調など様々なキャラクターに扮して話しかけるように構成されている。社内研修では困難だった本番を想定した実践的なトレーニングを実施できる。
【0032】
[評価機能]
図5は、受講者3が受講後に確認できる評価画面の一例の概略を示す。トーク終了ごとに採点が行われるので、受講者3は、間違った箇所や自分の弱点をすぐにチェックすることができる。また、受講者3は、過去の履歴から自身の成長記録を確認することもできる。
【0033】
トレーニングシステム1には、学習ノート機能が用意されている。学習ノート機能によれば、受講者3は、シナリオごとに個人のメモを残すことができる。受講結果の振り返りや再テストを行う際に、シナリオごとに紐づいて記録した内容が表示されるので、受講者3は、意識的に研修を受けることができ、受講者3の更なるレベルアップに繋がることが期待できる。
【0034】
トレーニングシステム1の評価においては、例えば、正しい敬語を使用できたとき、手本に近い案内が発話できたときなどは加点され、管理者2が定義するNGワードを発した場合などは減点される。トレーニングシステム1では、一語一句を採点対象とすることができる。受講者3は、評価に基づいて、自身の滑舌やスピード、話し方の見直しができる。
【0035】
トレーニングシステム1では、採点結果が総合評価され、例えば100点を満点として総合得点が表示される。また、トレーニングシステム1は、受講者3が受講期間、シナリオ、レベルなどの条件を指定して過去の履歴を見ることができるように構成されている。このため、受講者3自身もステップアップしていることを感じることができ、受講者3のモチベーションの向上が期待できる。
【0036】
[その他の機能]
トレーニングシステム1は、管理者2と受講者3との円滑なコミュニケーションを促進するための機能を有する。例えば、トレーニングシステム1には、受講者3が管理者2に向けて質問することができる問い合わせメニューが用意されている。受講者3は、管理者2に気軽に質問することができる。管理者2がその疑問に回答することで、管理者2は、受講者3に対する細かいケアを行える。また、受講者3は、管理者2と正しいナレッジを共有することができ、スキル向上がサポートされる。
【0037】
また、トレーニングシステム1は、管理者2がチームの状況を把握するための機能を有する。管理者2は、例えば、シナリオ別やレベル別、ユーザー名などの細かい条件で受講者3のテスト結果を確認することができる。管理者2が個人ごとの弱点箇所を把握できることにより、レベルに応じたシナリオの見直しや分析のヒントに結びつく。
【0038】
[トレーニングシステムの活用]
トレーニングシステム1は、接客が必要なあらゆる業種・職種に幅広く対応している。トレーニングシステム1は、知識の属人化、ナレッジの流出、未整備な研修による従業員のモチベーションの低下などの課題を解決することができるように構成されている。
【0039】
トレーニングシステム1は、コンタクトセンターのスタッフのトレーニングにも対応している。近年、自動音声応答(IVR)やチャットボットなど自動化ツールの浸透などにより、多数の問い合わせに効率的に対応できるようになってきているが、反面、顧客がオペレーターとの直接的な会話により解決したい問い合わせにおいては、より高い専門性や解決能力が求められるようになっている。このような直接的な会話では、通話中にマニュアルなどを参照しながらの回答では顧客の満足を得ることは難しく、オペレーターは、網羅的な知識と解決に導く話術を習得する必要がある。オペレーターにとって、トレーニングAIとのロールプレイングは有効である。
【0040】
また、トレーニングシステム1は、採用面接のトレーニングにも対応している。労働人口の減少などにより、企業が優秀なスタッフを採用することが年々難しくなってきている。また応募者にとっては面接官のイメージが企業イメージに直結することもある。このため、採用面接のスキル向上が求められている。自社が求める人材像と応募者を的確にマッチングさせるため、仮想応募者を想定したトレーニングAIとの面接練習は効果的である。
【0041】
また、トレーニングシステム1は、受付スタッフのトレーニングにも対応している。企業の受付、病院や役所の窓口、各種施設のインフォメーションなど来客対応が求められる職種は、数多くある。これらのスタッフにとって、スケジュールやスペースの問題などにより十分な研修を受けることができない場合もある。トレーニングシステム1では、オンラインでいつでも受講することができるので、スタッフは、いつでも知識を習得することができる。また、受講者3は、トレーニングシステム1上で先輩スタッフへの質問や、ロールプレイングで得た知識をメモとして保存しておくこともできる。これらの活用により、スタッフの交代の場合の引継ぎ期間の極小化なども期待できる。
【0042】
また、トレーニングシステム1は、店舗スタッフのトレーニングにも対応している。アパレル、雑貨、食料品など様々な店舗において、商品やサービスに関する顧客からの問い合わせに素早く対応できるかは売上を左右する。各店舗にいて日々接客ノウハウが蓄積されていったとしても、各店舗のノウハウを全社のノウハウに変えることは困難である。トレーニングシステム1によれば、1つの店舗においてセールストークをシナリオ登録することにより、当該セールストークを全社のノウハウに変えることができる。このことにより、営業効率が高まることが期待できる。
【0043】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0044】
1 トレーニングシステム
2 管理者
3 受講者

図1
図2
図3
図4
図5