(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022141896
(43)【公開日】2022-09-29
(54)【発明の名称】ミトコンドリア治療剤としてのフェノチアジン類似体
(51)【国際特許分類】
C07D 279/36 20060101AFI20220921BHJP
A61K 31/5415 20060101ALI20220921BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20220921BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20220921BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20220921BHJP
A61P 25/14 20060101ALI20220921BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20220921BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220921BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20220921BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20220921BHJP
C07D 417/14 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
C07D279/36 CSP
A61K31/5415
A61P25/00
A61P21/00
A61P25/28
A61P25/14
A61P25/16
A61P43/00 105
A61P27/02
A61P3/00
C07D417/14
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022118006
(22)【出願日】2022-07-25
(62)【分割の表示】P 2020169793の分割
【原出願日】2016-02-17
(31)【優先権主張番号】62/117,205
(32)【優先日】2015-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】504318142
【氏名又は名称】アリゾナ ボード オブ リージェンツ オン ビハーフ オブ アリゾナ ステート ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】シドニー ヘクト
(72)【発明者】
【氏名】オマール クドール
(72)【発明者】
【氏名】サンディパン ロイ チョウドリー
(72)【発明者】
【氏名】インドラジット バンディオパダイ
(57)【要約】
【課題】フェノチアジン誘導体化合物およびそれらの塩、これらの化合物を含む組成物、ならびに多様な用途において、これらの化合物を使用する方法を提供すること
【解決手段】
本開示は、フェノチアジン誘導体化合物およびそれらの塩、これらの化合物を含む組成物、ならびに多様な用途、例えば、ATP産生の減少、および/または酸化ストレス、および/または脂質の過酸化をもたらすミトコンドリア機能の低下と関連している疾患の処置または抑制などにおいて、これらの化合物を使用する方法を提供するところのものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミトコンドリア機能不全。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年2月17日出願の米国特許仮出願第62/117,205号明細書の出願日の利益を主張し、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
技術分野
本開示は、フェノチアジン誘導体化合物及びそれらの塩、これらの化合物を含む組成物、ならびに多様な用途、例えば、ATP産生の減少及び/または酸化ストレス及び/または脂質過酸化をもたらすミトコンドリア機能の低下と関連する疾患の処置または抑制などにおいてこれらの化合物を使用する方法を提供する。
関連技術の説明
ミトコンドリアは、多数の代謝変換及び調節機能に関与する細胞内小器官である。それらは、真核細胞によって利用されるATPの大半を産生する。ミトコンドリアはまた、酸化ストレスを引き起こすフリーラジカル及び活性酸素種の主な供給源でもある。結果として、ミトコンドリアの欠陥は、特にエネルギー需要レベルの高い神経組織及び筋組織に損傷を与えている。したがって、エネルギー欠陥は、運動障害、心筋症、ミオパチー、失明、及び聾の形態に関与している(DiMauro et al.(2001)Am.J.Med.Genet.106,18-26;Leonard et al.(2000)Lancet.355,299-304)。核及びミトコンドリアの遺伝的欠陥の両方に起因するミトコンドリア病は多数存在し、これらの疾患の基礎となる生化学は、幾分か類似している傾向がある。それらは、乳酸産生の増加、呼吸及びATP産生の減少を含み、酸化ストレスの結果を反映する。ミトコンドリア機能不全は、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、及びフリードライヒ失調症を含む多数の神経変性疾患に関連する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】DiMauro et al.(2001)Am.J.Med.Genet.106,18-26
【非特許文献2】Leonard et al.(2000)Lancet.355,299-304
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
ATP産生の減少及び/または酸化ストレス及び/または脂質過酸化をもたらすミトコンドリア機能の低下と関連する疾患を標的とする療法の必要性を認識した。したがって、概して提示される本開示は、このような疾患の処置または抑制のための新規化合物について記載する。本発明者らは、本開示の化合物が、用量依存的手法で、フリードライヒ失調症(FRDA)リンパ球で低マイクロモル濃度で細胞保護ならびにROS及び脂質過酸化の抑制をもたらすことを見出した。本開示の化合物はまた、細胞脂質膜のROS誘導損傷を予防し、FRDAリンパ球のミトコンドリア膜電位を維持する。加えて、本開示の化合物は、フラタキシンレベルを有意に増加させた。本開示はまた、例えば、フリードライヒ失調症、レーベル遺伝性視神経症、カーンズ-セイヤー症候群、ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様発作症候群ならびにより一般的には、エネルギー産生及びミトコンドリア機能の障害と関連する任意の疾患を含むが、これらに限定されないミトコンドリア障害の処置のための、これらの化合物の使用について記載している。老化は、ミト
コンドリア機能の低下及びATP産生の減少を伴う場合もあり、本明細書に記載される治療剤では、老化の影響緩和での有用性も見出され得る。
【0005】
したがって、一態様では、本開示は、式(I):
【化1】
(式中、
Yは、=Oまたは=N
+R
4R
5X
-であり、式中、X
-は対イオンであり;
R
1は、水素、C
1~C
20アルキル、C
2~C
20アルケニル、C
2~C
20アルキニル、-OR
7、-SR
7、または-N(R
7)
2であり、各々がハロゲン、-CN、-NO
2、C
1~C
6アルキル、ハロ(C
1~C
6アルキル)、-OR
8、-NR
8
2、-CO
2R
8、-CONR
8
2、C
3~C
8シクロアルキル、C
3~C
8シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、及び複素環から選択される1~4つの置換基で場合により置換され、各シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、及び複素環は、1つ以上のR
9で場合により置換され;
各R
7は、独立して水素、C
1~C
6アルキル、またはハロ(C
1~C
6アルキル)であり;
各R
8は、独立して水素、C
1~C
6アルキル、ハロ(C
1~C
6アルキル)、C
3~C
8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、アリール(C
1~C
6アルキル)、C
3~C
8シクロアルキル(C
1~C
6アルキル)、アリール(C
1~C
6アルキル)、ヘテロアリール(C
1~C
6アルキル)、または複素環(C
1~C
6アルキル)であり、各シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及び複素環は、1つ以上のR
9で場合により置換され;
各R
9は、独立してハロゲン、-CN、-NO
2、-N
3、C
1~C
6アルキル、ハロ(C
1~C
6アルキル)、C
1~C
6アルコキシ、アミノ、C
1~C
6アルキルアミノ、またはジC
1~C
6アルキルアミノであり;
R
2は、-N(R
12)
2であり、R
12基は、それらが結合している窒素と共に、1つ以上のR
9で場合により置換された複素環を形成し;
R
3は、水素、C
1~C
20アルキル、C
2~C
20アルケニル、C
2~C
20アルキニル、または-OR
7であり、各々がハロゲン、-CN、-NO
2、C
1~C
6アルキル、ハロ(C
1~C
6アルキル)、-OR
8、-NR
8
2、-CO
2R
8、-CONR
8
2、C
3~C
8シクロアルキル、C
3~C
8シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、及び複素環から選択される1~4つの置換基で場合により置換され、各シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、及び複素環は、R
9で場合により置換され;
R
4及びR
5は、それらが結合している窒素と共に、1つ以上のR
9で場合により置換された複素環を形成し;
各R
6は、水素、C
1~C
20アルキル、C
2~C
20アルケニル、C
2~C
20アルキニル、C
3~C
8シクロアルキル、C
3~C
8シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、複素環、-OR
10、または-N(R
11)
2であり、各アルキル、アルケニル、及びアルキニルは、ハロゲン、-CN、-NO
2、C
1~C
6アルキル、ハロ(C
1~C
6アルキル)、-OR
8、-NR
8
2、-CO
2R
8、-CONR
8
2、R
9で場合により置換されたC
3~C
8シクロアルキル、R
9で場合により置換されたC
3~C
8シクロアルケニル、R
9で場合により置換されたアリール、R
9で場合により置換されたヘテロアリール、及びR
9で場合により置換された複素環から選択される1~4つの置換基で場
合により置換され;
R
10は、C
1~C
6アルキル、ハロ(C
1~C
6アルキル)、C
3~C
8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、アリール(C
1~C
6アルキル)、C
3~C
8シクロアルキル(C
1~C
6アルキル)、アリール(C
1~C
6アルキル)、ヘテロアリール(C
1~C
6アルキル)、または複素環(C
1~C
6アルキル)であり、各シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及び複素環は、R
9で場合により置換され;
各R
11は、独立して水素、C
1~C
20アルキル、C
2~C
20アルケニル、またはC
2~C
20アルキニルである)
の化合物を提供する。
【0006】
本開示の別の態様は、式(II):
【化2】
(式中、
X
-は、対イオンであり;
R
1は、水素、C
1~C
20アルキル、C
2~C
20アルケニル、C
2~C
20アルキニル、-OR
7、-SR
7、-NHR
7、または-N(R
7)
2であり、各々がハロゲン、-CN、-NO
2、C
1~C
6アルキル、ハロ(C
1~C
6アルキル)、-OR
8、-NR
8
2、-CO
2R
8、-CONR
8
2、C
3~C
8シクロアルキル、C
3~C
8シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、及び複素環から選択される1~4つの置換基で場合により置換され、各シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、及び複素環は、1つ以上のR
9で場合により置換され;
各R
7は、独立して水素、C
1~C
6アルキル、またはハロ(C
1~C
6アルキル)であり;
各R
8は、独立して水素、C
1~C
6アルキル、ハロ(C
1~C
6アルキル)、C
3~C
8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、アリール(C
1~C
6アルキル)、C
3~C
8シクロアルキル(C
1~C
6アルキル)、アリール(C
1~C
6アルキル)、ヘテロアリール(C
1~C
6アルキル)、または複素環(C
1~C
6アルキル)であり、各シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及び複素環は、1つ以上のR
9で場合により置換され;
各R
9は、独立してハロゲン、-CN、-NO
2、-N
3、C
1~C
6アルキル、ハロ(C
1~C
6アルキル)、C
1~C
6アルコキシ、アミノ、C
1~C
6アルキルアミノ、またはジC
1~C
6アルキルアミノであり;
R
2及びR
6は、独立して-N(R
11)
2であり;
各R
11は、独立して水素、C
1~C
20アルキル、C
2~C
20アルケニル、またはC
2~C
20アルキニルであり;
R
3は、水素、C
1~C
20アルキル、C
2~C
20アルケニル、C
2~C
20アルキニル、または-OR
7であり、各々がハロゲン、-CN、-NO
2、C
1~C
6アルキル、ハロ(C
1~C
6アルキル)、-OR
8、-NR
8
2、-CO
2R
8、-CONR
8
2、C
3~C
8シクロアルキル、C
3~C
8シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、及び複素環から選択される1~4つの置換基で場合により置換され、各シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、及び複素環は、R
9で場合により置換され;
R
4及びR
5は、独立してC
1~C
20アルキル、C
2~C
20アルケニル、またはC
2
~C
20アルキニルであり、各々がハロゲン、-CN、-NO
2、C
1~C
6アルキル、ハロ(C
1~C
6アルキル)、-OR
8、-NR
8
2、-CO
2R
8、-CONR
8
2、C
3~C
8シクロアルキル、C
3~C
8シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、及び複素環から選択される1~4つの置換基で場合により置換され、各シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、及び複素環は、R
9で場合により置換され;
R
10は、C
1~C
6アルキル、ハロ(C
1~C
6アルキル)、C
3~C
8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、アリール(C
1~C
6アルキル)、C
3~C
8シクロアルキル(C
1~C
6アルキル)、アリール(C
1~C
6アルキル)、ヘテロアリール(C
1~C
6アルキル)、または複素環(C
1~C
6アルキル)であり、各シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及び複素環は、R
9で場合により置換され;
R
7は、水素または-N(R
11)
2である)
の化合物を提供する。
【0007】
本開示の別の態様は、本開示の化合物及び塩ならびに適切な担体、賦形剤または希釈剤を含む医薬組成物を提供する。担体、賦形剤または希釈剤の厳密な性質は、組成物の所望の使用に依存することになり、獣医学的使用に好適なものからヒトへの使用に好適なものにまで及び得る。組成物は、使用に好適な1種以上の追加の化合物を場合により含んでよい。
【0008】
本開示の別の態様は、ATP産生の減少及び/または酸化ストレス及び/または脂質過酸化をもたらすミトコンドリア機能の低下と関連する疾患を処置または抑制する方法を提供し、本方法は有効量の本開示の化合物及び塩を投与することを含む。
【0009】
本開示の別の態様は、フリードライヒ失調症、レーベル遺伝性視神経症、カーンズ-セイヤー症候群、ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様発作症候群、またはリー症候群のうち1種以上を処置または抑制する方法を提供し、本方法は有効量の本開示の化合物及び塩を投与することを含む。
【0010】
本開示の別の態様は、肥満症、アテローム性動脈硬化症、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、癌、心不全、心筋梗塞(MI)、アルツハイマー病、ハンチントン病、総合失調症、双極性障害、脆弱X症候群、慢性疲労症候群、及びリー症候群のうち1種以上を処置または抑制する方法を提供し、本方法は有効量の本開示の化合物及び塩を投与することを含む。
【0011】
本明細書に示される結果、ならびに本開示によって提供される化合物の特性及び特徴は、図面に関して有利に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】細胞傷害性に対する本開示の化合物の効果に関する結果を示す。培養したFRDAリンパ球をグルコース不含培地(ガラクトース)中で24時間または48時間インキュベートし、細胞に、ミトコンドリアに依存してそれらのATPを産生させた。蛍光標識化による細胞生存能のフローサイトメトリー決定を使用し、カルセインアセトキシ-メチル-エステル及びエチジウムホモダイマー-1を生細胞及び死細胞染料として用いた。MBは、メチレンブルー(3,7-ビス(ジメチルアミノ)フェナザチオニウムクロリド)であり、MVは、メチレンバイオレット(7-(ジメチルアミノ)-3H-フェノチアジン-3-オン)である。
【
図2】試験化合物で16時間前処理し、その後マレイン酸ジエチル(DEM)で80分間処理してグルタチオンレベルを枯渇させることにより活性酸素種(ROS)の産生を誘導し、続いてジクロロジヒドロフルオレセインジアセテート(DCFH-DA)で20分間染色したFRDAリンパ球細胞のフローサイトメトリー分析を示す。
【
図3】フローサイトメトリー分析により、レシオメトリック蛍光プローブのJC-1を使用して、FRDAリンパ球細胞におけるΔψ
mに対する試験化合物の効果が示されることを示す。このプローブは、高いΔψ
mを維持するミトコンドリア内に蓄積する細胞透過性色素である。濃灰色領域が、JC-1凝集体(赤色蛍光)により無傷のミトコンドリア膜を表すのに対して、薄灰色のゲート領域は、Δψ
mが消失した細胞を示す。棒グラフは、Accuri(商標)C6ソフトウェアを使用して算出した無傷のΔψ
mを有する細胞のパーセンテージを示す。各分析では、10000イベントを記録した。カルボニルシアニドp-(トリフルオロメトキシ)フェニルヒドラゾン(FCCP)での脱分極を使用して、陽性対照として機能させた。
【
図4】グルコース不含培地(25mMのガラクトース)中で試験化合物と共に24時間インキュベートした後の、FRDAリンパ球における総ATPレベルを示す。結果を、未処理対照と比較して総ATPのパーセンテージとして表す。
【
図5】グルコース不含培地中で試験化合物と共に4時間プレインキュベートし、その後ロテノン(50nM)で24時間または48時間処理して複合体Iを阻害した後の、FRDAリンパ球における試験化合物の細胞保護効果を図示する。細胞生存能を、蛍光標識化を使用し、カルセインアセトキシ-メチル-エステル及びエチジウムホモダイマー-1をそれぞれ生細胞及び死細胞染料として用いて、フローサイトメトリーにより測定した。結果を、未処理対照と比較してパーセンテージ生細胞として表す。
【
図6】ウシ心臓ミトコンドリアNADHオキシダーゼ活性(複合体I、III及びIV)(NADHオキシダーゼ)に対する化合物5の効果を示す。化合物5は、ロテノンにより完全にブロックされた複合体I中であっても、NADH酸化の結果として呼吸鎖中で電子流を転送することができた。
【
図7】多数の試験化合物の存在下におけるウシ心臓ミトコンドリア複合体I(SMP)活性を示す。
【
図8】インビトロSIRT3脱アセチル化活性を図示し、ウシ心臓亜ミトコンドリア粒子(SMP)における複合体I活性は、発光性アセチル化SIRT3ペプチド基質を使用すると、組換えSIRT3(rSIRT3)活性と連動していた。補基質のNAD
+が、ロテノンの存在下及び不在下において複合体IによるNADHの酸化から生成された。
【
図9】FRDAリンパ球におけるフラタキシンのレベルに対するMB及びその類似体化合物33の効果を示すウェスタンブロットを図示する。メチレンブルーは、より低濃度でフラタキシンをわずかに増加させたが、より高濃度では増加させなかった。改変した類似体化合物33は、両方の濃度でフラタキシンレベルを有意に増加させた。
【発明を実施するための形態】
【0013】
開示される方法を記載する前に、本明細書に記載される態様が、特定の実施形態、または組成物に限定されるものではなく、したがって当然のことながら変更され得ると理解されるべきである。本明細書で使用される専門用語は、特定の態様の記載のみを目的とし、本明細書で具体的に定義されない限り、限定することを意図するものではないこともまた理解されるべきである。
【0014】
本明細書の全体を通して、文脈から別の意味に解釈すべき場合を除き、単語「comprise(含む)」及び「include(含む)」ならびに変化形(例えば、「comprises(含む)」、「comprising(含むこと)」、「includes(含む)」、「including(含むこと)」)は、述べられた1つの成分、特徴、要素、もしくはステップまたは複数の成分、特徴、要素もしくはステップの群を含有することを示唆するが、その他の整数もしくはステップのいずれも、または複数の整数もしくはステップの群を排除することは示唆しないと理解されるだろう。
【0015】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、その文脈によって別段明確に示されない限り、複数の指示対象を含む。
【0016】
本開示の観点から、本明細書に記載される組成物及び方法は、当業者によって所望の要望を満たすように構成され得る。概して、開示される化合物及び方法は、ATP産生の減少及び/または酸化ストレス及び/または脂質過酸化をもたらすミトコンドリア機能の低下と関連する疾患の処置において改善を提供する。例えば、特定の実施形態では、本開示の化合物は、用量依存的手法で、フリードライヒ失調症(FRDA)リンパ球で低マイクロモル濃度で細胞保護ならびにROS及び脂質過酸化の抑制をもたらす。本開示の化合物はまた、細胞脂質膜のROS誘導損傷を予防し、FRDAリンパ球のミトコンドリア膜電位を維持する。本開示の化合物(例えば、化合物33)はまた、フラタキシンレベルを有意に増加させた。
【0017】
一態様では、本開示は、式(I):
【化3】
(式中、
Yは、=Oまたは=N
+R
4R
5X
-であり、式中、X
-は対イオンであり;
R
1は、水素、C
1~C
20アルキル、C
2~C
20アルケニル、C
2~C
20アルキニル、-OR
7、-SR
7、または-N(R
7)
2であり、各々がハロゲン、-CN、-NO
2、C
1~C
6アルキル、ハロ(C
1~C
6アルキル)、-OR
8、-NR
8
2、-CO
2R
8、-CONR
8
2、C
3~C
8シクロアルキル、C
3~C
8シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、及び複素環から選択される1~4つの置換基で場合により置換され、各シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、及び複素環は、1つ以上のR
9で場合により置換され;
各R
7は、独立して水素、C
1~C
6アルキル、またはハロ(C
1~C
6アルキル)であり;
各R
8は、独立して水素、C
1~C
6アルキル、ハロ(C
1~C
6アルキル)、C
3~C
8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、アリール(C
1~C
6アルキル)、C
3~C
8シクロアルキル(C
1~C
6アルキル)、アリール(C
1~C
6アルキル)、ヘテロアリール(C
1~C
6アルキル)、または複素環(C
1~C
6アルキル)であり、各シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及び複素環は、1つ以上のR
9で場合により置換され;
各R
9は、独立してハロゲン、-CN、-NO
2、-N
3、C
1~C
6アルキル、ハロ(C
1~C
6アルキル)、C
1~C
6アルコキシ、アミノ、C
1~C
6アルキルアミノ、またはジC
1~C
6アルキルアミノであり;
R
2は、-N(R
12)
2であり、R
12基は、それらが結合している窒素と共に、1つ以上のR
9で場合により置換された複素環を形成し;
R
3は、水素、C
1~C
20アルキル、C
2~C
20アルケニル、C
2~C
20アルキニル、または-OR
7であり、各々がハロゲン、-CN、-NO
2、C
1~C
6アルキル、ハロ(C
1~C
6アルキル)、-OR
8、-NR
8
2、-CO
2R
8、-CONR
8
2、C
3~C
8シクロアルキル、C
3~C
8シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、及び複素環から選択される1~4つの置換基で場合により置換され、各シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、及び複素環は、R
9で場合により置換さ
れ;
R
4及びR
5は、それらが結合している窒素と共に、1つ以上のR
9で場合により置換された複素環を形成し;
各R
6は、水素、C
1~C
20アルキル、C
2~C
20アルケニル、C
2~C
20アルキニル、C
3~C
8シクロアルキル、C
3~C
8シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、複素環、-OR
10、または-N(R
11)
2であり、各アルキル、アルケニル、及びアルキニルは、ハロゲン、-CN、-NO
2、C
1~C
6アルキル、ハロ(C
1~C
6アルキル)、-OR
8、-NR
8
2、-CO
2R
8、-CONR
8
2、R
9で場合により置換されたC
3~C
8シクロアルキル、R
9で場合により置換されたC
3~C
8シクロアルケニル、R
9で場合により置換されたアリール、R
9で場合により置換されたヘテロアリール、及びR
9で場合により置換された複素環から選択される1~4つの置換基で場合により置換され;
R
10は、C
1~C
6アルキル、ハロ(C
1~C
6アルキル)、C
3~C
8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、アリール(C
1~C
6アルキル)、C
3~C
8シクロアルキル(C
1~C
6アルキル)、アリール(C
1~C
6アルキル)、ヘテロアリール(C
1~C
6アルキル)、または複素環(C
1~C
6アルキル)であり、各シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及び複素環は、R
9で場合により置換され;
各R
11は、独立して水素、C
1~C
20アルキル、C
2~C
20アルケニル、またはC
2~C
20アルキニルである)
の化合物を提供する。
【0018】
一実施形態では、本開示は、式(I)の化合物を提供し、ここでR1は、水素、場合により置換されたC1~C20アルキル、場合により置換されたC2~C20アルケニル、場合により置換されたC2~C20アルキニル、または-OR7である。いくつかの実施形態では、R1は水素である。いくつかのその他の実施形態では、R1は、場合により置換されたC1~C20アルキル(またはC1~C10アルキル、またはC1~C6アルキル、またはC1~C4アルキル、またはC1~C4アルキル、またはC1~C3アルキル、またはC2~C20アルキル、またはC3~C20アルキル、またはC4~C20アルキル、またはC6~C20アルキル、またはC8~C20アルキル)である。いくつかの実施形態では、R1は、C1~C20アルキル(またはC1~C10アルキル、またはC1~C6アルキル、またはC1~C4アルキル、またはC1~C4アルキル、またはC1~C3アルキル、またはC2~C20アルキル、またはC3~C20アルキル、またはC4~C20アルキル、またはC6~C20アルキル、またはC8~C20アルキル)であり、アルキルは、-OR8、C3~C8シクロアルキル、C3~C8シクロアルケニル、またはアリールで場合により置換され、各シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアリールは、R9で場合により置換される。一実施形態では、R1は、C1~C20アルキル(またはC1~C10アルキル、またはC1~C6アルキル、またはC1~C4アルキル、またはC1~C4アルキル、またはC1~C3アルキル、またはC2~C20アルキル、またはC3~C20アルキル、またはC4~C20アルキル、またはC6~C20アルキル、またはC8~C20アルキル)であり、アルキルは、C3~C8シクロアルキル、C3~C8シクロアルケニル、またはアリールで場合により置換され、各シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアリールは、R9で場合により置換される。別の実施形態では、R1は-OR7であり、R7はC1~C6アルキルである。
【0019】
別の実施形態では、本開示は、式(I)の化合物を提供し、ここでR2は、ピペラジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピロリジニル、アゼパニル、またはジアゼパニルであり、各々が1つ以上のR9で場合により置換される。一実施形態では、R2は、1つ以上のR9で場合により置換されたピペリジニルである。別の実施形態では、R2は、非置換ピペリジニルである。一実施形態では、R2は、1つ以上のR9で場合により置換されたモルホリニルである。別の実施形態では、R2は、非置換モルホリニルである。
【0020】
一実施形態では、本開示は、式(I)に関連する上記のような化合物を提供し、ここでR3は、水素、場合により置換されたC1~C20アルキル、または-OR7である。別の実施形態では、R3は水素である。
【0021】
一実施形態では、本開示は、式(I)に関連する上記のような化合物を提供し、ここでR3は、場合により置換されたC1~C20アルキルである。一実施形態では、R3は、-OR8、C3~C8シクロアルキル、C3~C8シクロアルケニル、またはアリールで場合により置換されたC1~C20アルキルであり、各シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアリールは、R9で場合により置換される。別の実施形態では、R3は、C3~C8シクロアルキル、C3~C8シクロアルケニル、またはアリールで場合により置換されたC1~C20アルキルであり、各シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアリールは、R9で場合により置換される。さらに別の実施形態では、R3は、非置換C1~C20アルキルである。
【0022】
一実施形態では、本開示は、式(I)に関連する上記のような化合物を提供し、ここでR3は、場合により置換されたC3~C20アルキルであるか、またはR3は、場合により置換されたC4~C20アルキルであるか、またはR3は、場合により置換されたC5~C20アルキルである。一実施形態では、R3は、-OR8、C3~C8シクロアルキル、C3~C8シクロアルケニル、またはアリールで場合により置換されたC5~C20アルキルであり、各シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアリールは、R9で場合により置換される。別の実施形態では、R3は、C3~C8シクロアルキル、C3~C8シクロアルケニル、またはアリールで場合により置換されたC5~C20アルキルであり、各シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアリールは、R9で場合により置換される。一実施形態では、R3は、非置換C3~C20アルキルであるか、またはR3は、非置換C4~C20アルキルであるか、またはR3は、非置換C5~C20アルキルである。
【0023】
一実施形態では、本開示は、式(I)に関連する上記のような化合物を提供し、ここでR3は、場合により置換されたC6~C20アルキルであるか、またはR3は、場合により置換されたC7~C20アルキルであるか、またはR3は、場合により置換されたC8~C20アルキルである。一実施形態では、R3は、-OR8、C3~C8シクロアルキル、C3~C8シクロアルケニル、またはアリールで場合により置換されたC7~C20アルキルであり、各シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアリールは、R9で場合により置換される。別の実施形態では、R3は、C3~C8シクロアルキル、C3~C8シクロアルケニル、またはアリールで場合により置換されたC7~C20アルキルであり、各シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアリールは、R9で場合により置換される。さらに別の実施形態では、R3は、非置換C6~C20アルキルであり、R3は、非置換C7~C20アルキルであるか、またはR3は、非置換C8~C20アルキルである。
【0024】
一実施形態では、式(I)の化合物は、R3が、-OR8、C3~C8シクロアルキル、C3~C8シクロアルケニル、またはアリールで場合により置換されたC10~C20アルキルであるようなものであり、ここで各シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアリールは、R9で場合により置換される。一実施形態では、R3は、C3~C8シクロアルキル、C3~C8シクロアルケニル、またはアリールで場合により置換されたC10~C20アルキルであり、各シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアリールは、R9で場合により置換される。別の実施形態では、R3は、非置換C10~C20アルキルである。さらに別の実施形態では、R3はヘプタデシルである。
【0025】
一実施形態では、本開示は、式(I)に関連する上記のような化合物を提供し、ここでR3は、-OR7であり、R7はC1~C6アルキルである。
【0026】
別の実施形態では、本開示は、式(I)に関連する上記のような化合物を提供し、ここでYは、=Oである。
【0027】
別の実施形態では、本開示は、式(I)に関連する上記のような化合物を提供し、ここでYは、=N+R4R5X-である。一実施形態では、X-は対イオンである。対イオンとしては、無機または有機対イオンを挙げてよい。無機対イオンとしては、例として、ハロゲン化物(例えば、塩化物、臭化物、ヨウ化物など)、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、水酸化物、酸化物などが挙げられるが、これらに限定されない。有機対イオンとしては、例として、酢酸塩、モノフルオロ酢酸塩、ジフルオロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、プロピオン酸塩、ヘキサン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、グリコール酸塩、シュウ酸塩、ピルビン酸塩、乳酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、パルミチン酸塩、安息香酸塩、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸塩、ケイ皮酸塩、マンデル酸塩、アルキルスルホン酸塩(例えば、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、1,2-エタン-ジスルホン酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩など)、アリールスルホン酸塩(例えば、ベンゼンスルホン酸塩、4-クロロベンゼンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、4-トルエンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩など)、4-メチルビシクロ[2.2.2]-オクト-2-エン-1-カルボン酸塩、グルコヘプトン酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、トリメチル酢酸塩、三級ブチル酢酸塩、ラウリル硫化(sulfurate)、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、ムコン酸塩などが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、X-はハロゲンである。別の実施形態では、X-はI-である。
【0028】
一実施形態では、式(I)の化合物は、R4が、場合により置換されたC1~C20アルキル(またはC1~C10アルキル、またはC1~C6アルキル、またはC1~C4アルキル、またはC1~C4アルキル、またはC1~C3アルキル、またはC2~C20アルキル、またはC3~C20アルキル、またはC4~C20アルキル、またはC6~C20アルキル、またはC8~C20アルキル)であるようなものである。別の実施形態では、R4は、C1~C6アルキルである。
【0029】
一実施形態では、式(I)の化合物は、R5が、場合により置換されたC1~C20アルキル(またはC1~C10アルキル、またはC1~C6アルキル、またはC1~C4アルキル、またはC1~C4アルキル、またはC1~C3アルキル、またはC2~C20アルキル、またはC3~C20アルキル、またはC4~C20アルキル、またはC6~C20アルキル、またはC8~C20アルキル)であるようなものである。別の実施形態では、R5は、C1~C6アルキルである。
【0030】
一実施形態では、本開示は、式(I)の化合物を提供し、ここでR4及びR5は、それらが結合している窒素と共に、ピペラジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピロリジニル、アゼパニル、またはジアゼパニルを形成し、各々が1つ以上のR9で場合により置換される。別の実施形態では、R4及びR5は、それらが結合している窒素と共に、1つ以上のR9で場合により置換されたピペリジニルを形成する。さらに別の実施形態では、R4及びR5は、それらが結合している窒素と共に、非置換ピペリジニルを形成する。いくつかの実施形態では、R4及びR5は、それらが結合している窒素と共に、1つ以上のR9で場合により置換されたモルホリニルを形成する。いくつかのその他の実施形態では、R4及びR5は、それらが結合している窒素と共に、非置換モルホリニルを形成する。
【0031】
一実施形態では、本開示は、式(I)に関連する上記のような化合物を提供し、ここでR6は、水素、場合により置換されたC1~C20アルキル(もしくはC1~C10アル
キル、もしくはC1~C6アルキル、もしくはC1~C4アルキル、もしくはC1~C4アルキル、もしくはC1~C3アルキル、もしくはC2~C20アルキル、もしくはC3~C20アルキル、もしくはC4~C20アルキル、もしくはC6~C20アルキル、もしくはC8~C20アルキル)、または-N(R11)2である。別の実施形態では、R6は、水素または場合により置換されたC1~C20アルキル(もしくはC1~C10アルキル、もしくはC1~C6アルキル、もしくはC1~C4アルキル、もしくはC1~C4アルキル、もしくはC1~C3アルキル、もしくはC2~C20アルキル、もしくはC3~C20アルキル、もしくはC4~C20アルキル、もしくはC6~C20アルキル、もしくはC8~C20アルキル)である。いくつかの実施形態では、R6は水素である。
【0032】
いくつかのその他の実施形態では、R6は、C1~C20アルキル(またはC1~C10アルキル、またはC1~C6アルキル、またはC1~C4アルキル、またはC1~C4アルキル、またはC1~C3アルキル、またはC2~C20アルキル、またはC3~C20アルキル、またはC4~C20アルキル、またはC6~C20アルキル、またはC8~C20アルキル)であり、ここでアルキルは、-OR8、C3~C8シクロアルキル、C3~C8シクロアルケニル、またはアリールで場合により置換され、各シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアリールは、R9で場合により置換される。
【0033】
いくつかのその他の実施形態では、R6は、C1~C20アルキル(またはC1~C10アルキル、またはC1~C6アルキル、またはC1~C4アルキル、またはC1~C4アルキル、またはC1~C3アルキル、またはC2~C20アルキル、またはC3~C20アルキル、またはC4~C20アルキル、またはC6~C20アルキル、またはC8~C20アルキル)であり、ここでアルキルは、C3~C8シクロアルキル、C3~C8シクロアルケニル、またはアリールで場合により置換され、各シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアリールは、R9で場合により置換される。
【0034】
一実施形態では、式(I)の化合物は、R6が-N(R11)2であるようなものである。一実施形態では、各R11は、独立して水素またはC1~C20アルキル(もしくはC1~C10アルキル、もしくはC1~C6アルキル、もしくはC1~C4アルキル、もしくはC1~C4アルキル、もしくはC1~C3アルキル、もしくはC2~C20アルキル、もしくはC3~C20アルキル、もしくはC4~C20アルキル、もしくはC6~C20アルキル、もしくはC8~C20アルキル)である。別の実施形態では、各R11は、独立して水素またはC1~C6アルキルである。別の実施形態では、各R11は、独立してC1~C6アルキル、またはC1~C4アルキル、またはC1~C3アルキルである。別の実施形態では、各R11は、独立してメチルまたはエチルである。別の実施形態では、各R11は、独立してメチルである。
【0035】
別の実施形態では、式(I)の化合物は、R6が-OR10であるようなものであり、ここでR10は、R9で場合により置換されたC1~C6アルキルである。別の実施形態では、R6は-OR10であり、ここでR10は、アリールまたはアリール(C1~C6アルキル)であり、各アリールは、R9で場合により置換される。
【0036】
式(I)の例示的な化合物としては、以下のものが挙げられる:
【化4】
【0037】
一態様では、本開示は、式(II):
【化5】
(式中、
X
-は、対イオンであり;
R
1は、水素、C
1~C
20アルキル、C
2~C
20アルケニル、C
2~C
20アルキニル、-OR
7、-SR
7、-NHR
7、または-N(R
7)
2であり、各々がハロゲン、-CN、-NO
2、C
1~C
6アルキル、ハロ(C
1~C
6アルキル)、-OR
8、-NR
8
2、-CO
2R
8、-CONR
8
2、C
3~C
8シクロアルキル、C
3~C
8シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、及び複素環から選択される1~4つの置換基で場合により置換され、各シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、及び複素環は、1つ以上のR
9で場合により置換され;
各R
7は、独立して水素、C
1~C
6アルキル、またはハロ(C
1~C
6アルキル)であり;
各R
8は、独立して水素、C
1~C
6アルキル、ハロ(C
1~C
6アルキル)、C
3~C
8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、アリール(C
1~C
6アルキル)、C
3~C
8シクロアルキル(C
1~C
6アルキル)、アリール(C
1~C
6アルキル)、ヘテロアリール(C
1~C
6アルキル)、または複素環(C
1~C
6アルキル)であり、各シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及び複素環は、1つ以上のR
9で場合により置換され;
各R
9は、独立してハロゲン、-CN、-NO
2、-N
3、C
1~C
6アルキル、ハロ(C
1~C
6アルキル)、C
1~C
6アルコキシ、アミノ、C
1~C
6アルキルアミノ、またはジC
1~C
6アルキルアミノであり;
R
2及びR
6は、独立して-N(R
11)
2であり;
各R
11は、独立して水素、C
1~C
20アルキル、C
2~C
20アルケニル、またはC
2~C
20アルキニルであり;
R
3は、水素、C
1~C
20アルキル、C
2~C
20アルケニル、C
2~C
20アルキニル、または-OR
7であり、各々がハロゲン、-CN、-NO
2、C
1~C
6アルキル、ハロ(C
1~C
6アルキル)、-OR
8、-NR
8
2、-CO
2R
8、-CONR
8
2、C
3~C
8シクロアルキル、C
3~C
8シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、及び複素環から選択される1~4つの置換基で場合により置換され、各シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、及び複素環は、R
9で場合により置換され;
R
4及びR
5は、独立してC
1~C
20アルキル、C
2~C
20アルケニル、またはC
2~C
20アルキニルであり、各々がハロゲン、-CN、-NO
2、C
1~C
6アルキル、ハロ(C
1~C
6アルキル)、-OR
8、-NR
8
2、-CO
2R
8、-CONR
8
2、C
3~C
8シクロアルキル、C
3~C
8シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、及び複素環から選択される1~4つの置換基で場合により置換され、各シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、及び複素環は、R
9で場合により置換され;
R
10は、C
1~C
6アルキル、ハロ(C
1~C
6アルキル)、C
3~C
8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、アリール(C
1~C
6アルキル)、C
3~C
8シクロアルキル(C
1~C
6アルキル)、アリール(C
1~C
6アルキル)、ヘテロアリール(C
1~C
6アルキル)、または複素環(C
1~C
6アルキル)であり、各シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及び複素環は、R
9で場合により置換され;
R
7は、水素または-N(R
11)
2である)
の化合物を提供する。
【0038】
一実施形態では、本開示は、式(II)の化合物を提供し、ここでR1は、水素、場合により置換されたC1~C20アルキル、場合により置換されたC2~C20アルケニル、場合により置換されたC2~C20アルキニル、または-OR7である。いくつかの実施形態では、R1は水素である。いくつかのその他の実施形態では、R1は、場合により置換されたC1~C20アルキル(またはC1~C10アルキル、またはC1~C6アルキル、またはC1~C4アルキル、またはC1~C4アルキル、またはC1~C3アルキル、またはC2~C20アルキル、またはC3~C20アルキル、またはC4~C20アルキル、またはC6~C20アルキル、またはC8~C20アルキル)である。いくつかの実施形態では、R1は、C1~C20アルキル(またはC1~C10アルキル、またはC1~C6アルキル、またはC1~C4アルキル、またはC1~C4アルキル、またはC1~C3アルキル、またはC2~C20アルキル、またはC3~C20アルキル、またはC4~C20アルキル、またはC6~C20アルキル、またはC8~C20アルキル)であり、ここでアルキルは、-OR8、C3~C8シクロアルキル、C3~C8シクロアルケニル、またはアリールで場合により置換され、各シクロアルキル、シクロアルケニル、
及びアリールは、R9で場合により置換される。その他の実施形態では、R1は、C1~C20アルキル(またはC1~C10アルキル、またはC1~C6アルキル、またはC1~C4アルキル、またはC1~C4アルキル、またはC1~C3アルキル、またはC2~C20アルキル、またはC3~C20アルキル、またはC4~C20アルキル、またはC6~C20アルキル、またはC8~C20アルキル)であり、アルキルは、C3~C8シクロアルキル、C3~C8シクロアルケニル、またはアリールで場合により置換され、各シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアリールは、R9で場合により置換される。その他の実施形態では、R1は-OR7であり、R7はC1~C6アルキルである。
【0039】
別の実施形態では、本開示は、式(II)の化合物を提供し、ここでR2は、-N(R11)2であり、各R11は、独立してC1~C20アルキル、C2~C20アルケニル、またはC2~C20アルキニルである。一実施形態では、R2は、-N(R11)2であり、ここで各R11は、独立してC1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、またはC2~C6アルキニルである。
【0040】
一実施形態では、本開示は、式(II)の化合物を提供し、ここでR2は、-N(R11)2であり、ここで各R11は、独立してC1~C20アルキル(またはC1~C10アルキル、またはC1~C6アルキル、またはC1~C4アルキル、またはC1~C4アルキル、またはC1~C3アルキル、またはC2~C20アルキル、またはC3~C20アルキル、またはC4~C20アルキル、またはC6~C20アルキル、またはC8~C20アルキル)である。いくつかの実施形態では、各R11は、独立してC1~C6アルキルである。別の実施形態では、各R11は、独立してC1~C6アルキル、またはC1~C4アルキル、またはC1~C3アルキルである。別の実施形態では、各R11は、独立してメチルまたはエチルである。別の実施形態では、各R11は、独立してメチルである。例えば、いくつかの実施形態では、R2は-N(CH3)2である。
【0041】
一実施形態では、本開示は、式(II)に関連する上記のような化合物を提供し、ここでR3は、水素、場合により置換されたC1~C20アルキル(もしくはC1~C10アルキル、もしくはC1~C6アルキル、もしくはC1~C4アルキル、もしくはC1~C4アルキル、もしくはC1~C3アルキル、もしくはC2~C20アルキル、もしくはC3~C20アルキル、もしくはC4~C20アルキル、もしくはC6~C20アルキル、もしくはC8~C20アルキル)、または-OR7である。
【0042】
別の実施形態では、本開示は、式(II)に関連する上記のような化合物を提供し、ここでR3は、水素である。さらに別の実施形態では、本開示は、式(II)に関連する上記のような化合物を提供し、ここでR3は、場合により置換されたC1~C20アルキル(またはC1~C10アルキル、またはC1~C6アルキル、またはC1~C4アルキル、またはC1~C4アルキル、またはC1~C3アルキル、またはC2~C20アルキル、またはC3~C20アルキル、またはC4~C20アルキル、またはC6~C20アルキル、またはC8~C20アルキル)である。一実施形態では、式(II)の化合物は、R3が、C1~C20アルキル(またはC1~C10アルキル、またはC1~C6アルキル、またはC1~C4アルキル、またはC1~C4アルキル、またはC1~C3アルキル、またはC2~C20アルキル、またはC3~C20アルキル、またはC4~C20アルキル、またはC6~C20アルキル、またはC8~C20アルキル)であるようなものであり、ここでアルキルは、-OR8、C3~C8シクロアルキル、C3~C8シクロアルケニル、またはアリールで場合により置換され、ここで各シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアリールは、R9で場合により置換される。別の実施形態では、式(II)の化合物は、R3が、C1~C20アルキル(またはC1~C10アルキル、またはC1~C6アルキル、またはC1~C4アルキル、またはC1~C4アルキル、またはC1~C3アルキル、またはC2~C20アルキル、またはC3~C20アルキル、またはC4~
C20アルキル、またはC6~C20アルキル、またはC8~C20アルキル)であるようなものであり、ここでアルキルは、C3~C8シクロアルキル、C3~C8シクロアルケニル、またはアリールで場合により置換され、各シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアリールは、R9で場合により置換される。さらに別の実施形態では、R3は、非置換C1~C20アルキル(またはC1~C10アルキル、またはC1~C6アルキル、またはC1~C4アルキル、またはC1~C4アルキル、またはC1~C3アルキル、またはC2~C20アルキル、またはC3~C20アルキル、またはC4~C20アルキル、またはC6~C20アルキル、またはC8~C20アルキル)である。
【0043】
式(II)のいくつかの実施形態では、R3は、-OR8、C3~C8シクロアルキル、C3~C8シクロアルケニル、またはアリールで場合により置換されたC5~C20アルキルであり、各シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアリールは、R9で場合により置換される。いくつかのその他の実施形態では、R3は、C3~C8シクロアルキル、C3~C8シクロアルケニル、またはアリールで場合により置換されたC5~C20アルキルであり、ここで各シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアリールは、R9で場合により置換される。いくつかの実施形態では、R3は、非置換C5~C20アルキルである。
【0044】
式(II)のいくつかの実施形態では、R3は、-OR8、C3~C8シクロアルキル、C3~C8シクロアルケニル、またはアリールで場合により置換されたC7~C20アルキルであり、ここで各シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアリールは、R9で場合により置換される。式(II)のいくつかのその他の実施形態では、R3は、C3~C8シクロアルキル、C3~C8シクロアルケニル、またはアリールで場合により置換されたC7~C20アルキルであり、ここで各シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアリールは、R9で場合により置換される。。いくつかの実施形態では、R3は、非置換C7~C20アルキルである。
【0045】
式(II)のいくつかの実施形態では、R3は、-OR8、C3~C8シクロアルキル、C3~C8シクロアルケニル、またはアリールで場合により置換されたC10~C20アルキルであり、ここで各シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアリールは、R9で場合により置換される。式(II)のいくつかのその他の実施形態では、R3は、C3~C8シクロアルキル、C3~C8シクロアルケニル、またはアリールで場合により置換されたC10~C20アルキルであり、ここで各シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアリールは、R9で場合により置換される。。いくつかの実施形態では、R3は、非置換C10~C20アルキルである。例えば、いくつかの実施形態では、R3はヘプタデシルである。
【0046】
一実施形態では、本開示は、式(II)に関連する上記のような化合物を提供し、ここでR3は、-OR7であり、R7はC1~C6アルキルである。
【0047】
一実施形態では、本開示は、式(II)に関連する上記のような化合物を提供し、ここでR6は、-N(R11)2であり、各R11は、独立して水素またはC1~C20アルキル(もしくはC1~C10アルキル、もしくはC1~C6アルキル、もしくはC1~C4アルキル、もしくはC1~C4アルキル、もしくはC1~C3アルキル、もしくはC2~C20アルキル、もしくはC3~C20アルキル、もしくはC4~C20アルキル、もしくはC6~C20アルキル、もしくはC8~C20アルキル)である。一実施形態では、各R11は、独立してC1~C20アルキル(またはC1~C10アルキル、またはC1~C6アルキル、またはC1~C4アルキル、またはC1~C4アルキル、またはC1~C3アルキル、またはC2~C20アルキル、またはC3~C20アルキル、またはC4~C20アルキル、またはC6~C20アルキル、またはC8~C20アルキル)であ
る。別の実施形態では、各R11は、独立してC1~C6アルキルである。別の実施形態では、各R11は、独立してC1~C6アルキル、またはC1~C4アルキル、またはC1~C3アルキルである。別の実施形態では、各R11は、独立してメチルまたはエチルである。別の実施形態では、各R11は、独立してメチルである。例えば、特定の実施形態では、R6は-N(CH3)2である。
【0048】
一実施形態では、本開示は、式(II)に関連する上記のような化合物を提供し、ここでR4は、場合により置換されたC1~C20アルキル(またはC1~C10アルキル、またはC1~C6アルキル、またはC1~C4アルキル、またはC1~C4アルキル、またはC1~C3アルキル、またはC2~C20アルキル、またはC3~C20アルキル、またはC4~C20アルキル、またはC6~C20アルキル、またはC8~C20アルキル)である。一実施形態では、R4は、非置換C1~C20アルキル(またはC1~C10アルキル、またはC1~C6アルキル、またはC1~C4アルキル、またはC1~C4アルキル、またはC1~C3アルキル、またはC2~C20アルキル、またはC3~C20アルキル、またはC4~C20アルキル、またはC6~C20アルキル、またはC8~C20アルキル)である。特定の実施形態では、R4は、場合により置換されたC1~C6アルキルである。いくつかのその他の実施形態では、R4は、非置換C1~C6アルキル、またはC1~C4アルキル、またはC1~C3アルキルである。その他の実施形態では、R4はメチルである。
【0049】
一実施形態では、本開示は、式(II)に関連する上記のような化合物を提供し、ここでR5は、場合により置換されたC1~C20アルキル(またはC1~C10アルキル、またはC1~C6アルキル、またはC1~C4アルキル、またはC1~C4アルキル、またはC1~C3アルキル、またはC2~C20アルキル、またはC3~C20アルキル、またはC4~C20アルキル、またはC6~C20アルキル、またはC8~C20アルキル)である。一実施形態では、R5は、非置換C1~C20アルキル(またはC1~C10アルキル、またはC1~C6アルキル、またはC1~C4アルキル、またはC1~C4アルキル、またはC1~C3アルキル、またはC2~C20アルキル、またはC3~C20アルキル、またはC4~C20アルキル、またはC6~C20アルキル、またはC8~C20アルキル)である。特定の実施形態では、R5は、場合により置換されたC1~C6アルキルである。いくつかのその他の実施形態では、R5は、非置換C1~C6アルキル、またはC1~C4アルキル、またはC1~C3アルキルである。その他の実施形態では、R5はメチルである。
【0050】
一実施形態では、式(II)の化合物は、X-が対イオンであるものである。対イオンとしては、無機または有機対イオンを挙げてよい。無機対イオンとしては、例として、ハロゲン化物(例えば、塩化物、臭化物、ヨウ化物など)、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、水酸化物、酸化物などが挙げられるが、これらに限定されない。有機対イオンとしては、例として、酢酸塩、モノフルオロ酢酸塩、ジフルオロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、プロピオン酸塩、ヘキサン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、グリコール酸塩、シュウ酸塩、ピルビン酸塩、乳酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、パルミチン酸塩、安息香酸塩、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸塩、ケイ皮酸塩、マンデル酸塩、アルキルスルホン酸塩(例えば、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、1,2-エタン-ジスルホン酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩など)、アリールスルホン酸塩(例えば、ベンゼンスルホン酸塩、4-クロロベンゼンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、4-トルエンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩など)、4-メチルビシクロ[2.2.2]-オクト-2-エン-1-カルボン酸塩、グルコヘプトン酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、トリメチル酢酸塩、三級ブチル酢酸塩、ラウリル硫化(sulfurate)、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、ムコン酸塩
などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
一実施形態では、式(II)の化合物は、X-がハロゲンであるものである。別の実施形態では、X-はI-である。
【0052】
一実施形態では、本開示は、式(II)に関連する上記のような化合物を提供し、ここでR7は、水素である。
【0053】
別の実施形態では、本開示は、式(II)に関連する上記のような化合物を提供し、ここでR7は、-N(CH3)2である。
【0054】
式(II)の例示的な化合物としては、以下のものが挙げられる:
【化6】
【0055】
本開示の別の態様は、
【化7】
である化合物を提供する。
【0056】
治療用途
一態様では、本開示は、呼吸鎖障害を伴うミトコンドリアを処置または保護する方法を提供し、このような処置を必要とする対象に、有効量の本開示における1種以上の化合物を投与することを含む。
【0057】
本開示の化合物は、例えば、処置を必要とする対象において、ATP産生の減少及び/または酸化ストレス及び/または脂質過酸化をもたらすミトコンドリア機能の低下と関連する疾患を処置または抑制するのに有用である。本開示は、フリードライヒ失調症、レー
ベル遺伝性視神経症、カーンズ-セイヤー症候群、ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様発作症候群、及びリー症候群を含むが、これらに限定されない対象の状態を、有効量の本開示の化合物を投与することにより処置する方法を提供する。
【0058】
本開示はまた、肥満症、アテローム性動脈硬化症、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、癌、心不全、心筋梗塞(MI)、アルツハイマー病、ハンチントン病、総合失調症、双極性障害、脆弱X症候群、慢性疲労症候群、及びリー症候群を含むが、これらに限定されない対象の状態を、有効量の本開示の化合物を投与することにより処置する方法も提供する。
【0059】
加えて、本開示の化合物は、酸化還元ストレスの予防及び細胞機能の増強に使用され得る。
【0060】
フリードライヒ失調症
フリードライヒ失調症は、重篤な神経変性及び心臓変性状態である。これは、四肢の進行性失調症、筋力低下、構音障害、骨格変形及び心筋症を特徴とする。疾患の生化学的基礎は未だ調査中であるが、フリードライヒ失調症はフラタキシン不足と強く関連している(Wilson et al.(1997)Nat.Genet.16,352-357;Wilson et al.(2003)J.Neurol.Sci.207,103-105)。大多数の患者において、フラタキシンの不足は、フラタキシンの遺伝子中におけるイントロンのGAAトリプレットリピート伸長の結果であり、これは、そのmRNAレベルの有意な低下をもたらし、最終的には同様にタンパク質レベルの低下をもたらす(Campuzano et al.(1996)Science271,1423-1427;Campuzano et al.(1997)Hum.Mol.Genet.6,1771-1780)。フラタキシンは、ヘム生合成中に鉄シャペロンとして作用し(Bencze et al.(2007)J.C.S.Chem.Commun.1798-1800)、ヘム及びFe-Sクラスターのインビトロ組立を刺激することができると示された(Park et al.(2003)J.Biol.Chem.278,31340-31351;Yoon et al.(2003)J.Am Chem.Soc.125,6078-6084;Yoon et al.(2004)J.Biol.Chem.279,25943-25946)。フラタキシンは、ミトコンドリア電子伝達鎖タンパク質、及びミトコンドリアアコニターゼ(Fe-Sクラスターを含有する)と物理的に相互作用し得る(Bulteau et al.(2004)Science305,242-245;Gonzalez-Cabo et al.(2005)Hum.Mol.Genet.14,2091-2098)。したがって、フラタキシン欠乏は、細胞の鉄ホメオスタシスの破壊をもたらし、ミトコンドリアにおける進行性の鉄蓄積、ならびにヘム及びFe-Sクラスターの欠乏を伴う。
【0061】
フラタキシンの欠乏は、1種以上のFe利用タンパク質を組み立てできないことにより、ミトコンドリア呼吸鎖機能不全をもたらすと考えられており、ミトコンドリア呼吸複合体における1種以上のFe-Sクラスターは、重要な遺伝子座を表す可能性がある。実際に、これらの複合体の機能減少は、フリードライヒ失調症患者で注目されている(Bradley et al.(2000)Hum.Mol.Genet.9,275-282)。ミトコンドリア呼吸鎖機能の喪失がATP産生の減少をもたらし得る一方で、ミトコンドリアにおけるFeの蓄積によって、細胞小器官は、活性酸素種による酸化的損傷の影響を非常に受けやすくなり、活性酸素種の濃度は、呼吸鎖機能の低下に付随して高くなる。酸化的損傷はフリードライヒ失調症における原発性障害ではないが、酸化ストレスが疾患進行の促進を助長するという説得力のある証拠が存在する。したがって、酸化ストレスを克服する戦略が、疾患進行を鈍化させて効果的な療法を提供するはずである。
【0062】
その他の例示的なミトコンドリア病
レーベル遺伝性視神経症は、網膜神経節細胞の変性と関連し、進行性の視力喪失を引き起こして様々な程度の失明をもたらす。レーベル遺伝性視神経症は、主として20歳を超える男性に影響を及ぼし、ミトコンドリアの(核ではなく)ゲノムにおける突然変異により母系伝達される。
【0063】
カーンズ-セイヤー症候群は、典型的には通常20歳未満で発症する珍しい神経筋障害である。これは、進行性外眼筋麻痺(眼筋の麻痺)及び軽度の骨格筋力低下、聴力喪失、協調の喪失、心臓病、ならびに認知遅延を特徴とする。カーンズ-セイヤー症候群には、その他の名称が多く存在し、以下のものが挙げられる:ミオパチーを伴う慢性進行性外眼筋麻痺CPEO;赤色ぼろ線維を伴うCPEO;KSS;ミトコンドリア細胞症、カーンズ-セイヤー型;眼頭蓋体性症候群;眼筋麻痺加症候群;ミオパチーを伴う眼筋麻痺;及び赤色ぼろ線維を伴う眼筋麻痺。
【0064】
ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様発作症候群は、中枢神経系、心筋、骨格筋、及び胃腸系を含む複数の器官系に関係する進行性ミトコンドリア病である。症状としては、筋力低下、脳卒中様イベント、眼筋麻痺、及び認知障害が挙げられる。リー症候群は変性脳障害であり、通常は幼齢(例えば、2歳未満)で診断される。悪化は多くの場合に急激であり、発作、認知症、摂食及び言語障害、呼吸機能不全、心臓病、ならびに筋力低下などの症状を伴う。予後は不良であり、典型的には診断から数年以内に死亡する。
【0065】
医薬組成物
別の態様では、本開示は、本開示の化合物のうち1種以上を含む医薬組成物を提供する。「医薬組成物」という用語は、その最も広義に使用され、少なくとも1種の活性物質、及び任意の担体、賦形剤、希釈剤、アジュバント、構成要素などを含有する全ての薬学的に適用可能な組成物を包含する。「医薬組成物」という用語はまた、誘導体またはプロドラッグ、例えば、薬学的に許容される塩及びエステルなどの形態で活性物質を含む組成物も包含する。異なる投与経路の医薬組成物の製造は、医薬品化学における当業者の能力の範囲内である。担体、賦形剤または希釈剤の厳密な性質は、組成物の所望の使用に依存することになり、獣医学的使用に好適なまたは許容されるものからヒトへの使用に好適なまたは許容されるものにまで及んでよい。組成物は、1種以上の追加の化合物を場合により含んでよい。
【0066】
このような疾患の処置または予防に使用される場合、本明細書に記載される化合物は、単独で、1種以上の化合物の混合物として、またはこのような疾患及び/もしくはこのような疾患と関連する症状を処置するのに有用なその他の薬剤と混合もしくは組み合わせて投与されてよい。化合物はまた、その他の障害または疾病の処置に有用な薬剤、例えば、いくつか例を挙げるとステロイド、膜安定剤、5LO阻害剤、ロイコトリエン合成及び受容体阻害剤、IgEアイソタイプスイッチまたはIgE合成の阻害剤、IgGアイソタイプスイッチまたはIgG合成、β-アゴニスト、トリプターゼ阻害剤、アスピリン、COX阻害剤、メトトレキサート、抗TNF薬物、レツキシン、PD4阻害剤、p38阻害剤、PDE4阻害剤、ならびに抗ヒスタミン剤などと混合または組み合わせて投与されてもよい。化合物は、化合物それ自体の形態で、または化合物を含む医薬組成物として投与されてよい。
【0067】
化合物(複数可)を含む医薬組成物は、従来の混合、溶解、造粒、糖衣錠形成研和、乳化、カプセル化、封入または凍結乾燥プロセスによって製造されてよい。組成物は、薬学的に使用され得る調製物への化合物の加工を促進させる1種以上の生理学的に許容される担体、希釈剤、賦形物または補助剤を使用する従来の手法で製剤化されてよい。
【0068】
化合物は、医薬組成物それ自体で、または水和物、溶媒和物、N-オキシドもしくは先に記載したような薬学的に許容される塩の形態で製剤化されてよい。典型的には、このような塩は、対応する遊離酸及び塩基よりも水溶液中で可溶であるが、対応する遊離酸及び塩基よりも溶解度の低い塩も形成され得る。
【0069】
医薬組成物は、例えば、局所、点眼、経口、頬側、全身、経鼻、注射、経皮、直腸、膣内などを含む実質的に任意の投与方法に好適な形態、または吸入もしくは吹送による投与に好適な形態を取ってよい。
【0070】
局所投与のために、化合物(複数可)は、当該技術分野において周知であるような溶液、ゲル、軟膏剤、クリーム、懸濁液などとして製剤化されてよい。全身製剤としては、注射、例えば、皮下、静脈内、筋肉内、髄腔内または腹腔内注射による投与のために設計されたもの、加えて経皮、経粘膜経口または経肺投与のために設計されたものが挙げられる。
【0071】
有用な注射用調製物としては、水性または油性ビヒクル中の活性化合物(複数可)の滅菌懸濁液、溶液またはエマルジョンが挙げられる。組成物は、懸濁化剤、安定化剤及び/または分散剤などの製剤化剤も含有してよい。注射用製剤は、単位剤形で、例えばアンプルで、または複数回用量容器で提示されてよく、追加の防腐剤を含有してよい。あるいは、注射可能製剤は、滅菌発熱物質非含有水、緩衝剤、デキストロース溶液などを含むが、これらに限定されない好適なビヒクルを用いた使用前の再構成のために粉末形態で提供されてよい。この目的のために、活性化合物(複数可)は、凍結乾燥などの当該技術分野における任意の既知の技術により乾燥されてよく、使用前に再構成されてよい。
【0072】
経粘膜投与のために、浸透されるべきバリアに適した浸透剤が製剤中で使用される。このような浸透剤は、当該技術分野において既知である。
【0073】
経口投与のために、医薬組成物は、薬学的に許容される賦形剤、例えば、結合剤(例えば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンもしくはヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(例えば、ラクトース、微結晶セルロースもしくはリン酸水素カルシウム);潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルクもしくはシリカ);崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプンもしくはデンプングリコール酸ナトリウム);または湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)などを用いる従来の手段により調製される、例えば、ロゼンジ剤、錠剤またはカプセル剤の形態を取ってよい。錠剤は、例えば糖、フィルムまたは腸溶性コーティングを用いる当該技術分野において周知の方法によりコーティングされてよい。
【0074】
経口投与用の液体調製物は、例えば、エリキシル剤、溶液、シロップ剤もしくは懸濁液の形態を取ってよいか、またはそれらは、水もしくはその他の好適なビヒクルを用いた使用前の構成のための乾燥生成物として提示されてよい。このような液体調製物は、薬学的に許容される添加剤、例えば、懸濁化剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体または硬化食用脂);乳化剤(例えば、レシチンまたはアカシア);非水性ビヒクル(例えば、アーモンド油、油性エステル、エチルアルコール、cremophore(商標)または分画植物油);及び防腐剤(例えば、p-ヒドロキシ安息香酸メチルもしくはプロピルまたはソルビン酸)などを用いる従来の手段により調製されてよい。調製物はまた、適宜、緩衝塩、防腐剤、香味剤、着色剤及び甘味剤も含有してよい。
【0075】
経口投与用の調製物は、周知であるような化合物の制御放出を行うように好適に製剤化されてよい。
【0076】
頬側投与のために、組成物は、従来の手法で製剤化される錠剤またはロゼンジ剤の形態を取ってよい。
【0077】
直腸及び膣内投与経路のために、化合物(複数可)は、ココアバターまたはその他のグリセリドなどの、従来の坐剤基剤を含有する溶液(停留浣腸用)坐剤または軟膏剤として製剤化されてよい。
【0078】
経鼻投与または吸入もしくは吹送による投与のために、化合物(複数可)は、好適な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、フルオロカーボン、二酸化炭素またはその他の好適なガスを使用する加圧パックからのエアロゾルスプレーまたはネブライザーの形態で簡便に送達され得る。加圧エアロゾルの場合、投与単位は、計量された量を送達するバルブを提供することにより決定されてよい。吸入器または吹送器に使用するためのカプセル及びカートリッジ(例えば、ゼラチンで構成されるカプセル及びカートリッジ)は、化合物とラクトースまたはデンプンなどの好適な粉末基剤との粉末混合物を含有して製剤化されてよい。
【0079】
点眼投与のために、化合物(複数可)は、眼への投与に好適な溶液、エマルジョン、懸濁液などとして製剤化されてよい。眼への化合物投与に好適な様々なビヒクルが、当該技術分野において既知である。
【0080】
持続送達のために、化合物(複数可)は、移植または筋肉内注射による投与のためのデポー調製物として製剤化され得る。化合物(複数可)は、好適なポリマー材料もしくは疎水性材料(例えば、許容される油中のエマルジョンとして)もしくはイオン交換樹脂を用いて、または難溶性誘導体として、例えば、難溶性塩として製剤化されてよい。あるいは、経皮吸収のために化合物(複数可)をゆっくりと放出する接着ディスクまたはパッチとして製造される経皮送達系が使用されてよい。この目的のために、浸透促進剤が、化合物(複数可)の経皮浸透を促進するために使用されてよい。
【0081】
あるいは、その他の医薬送達系が用いられてよい。リポソーム及びエマルジョンは、化合物(複数可)を送達するために使用されてよい送達ビヒクルの周知の例である。ジメチルスルホキシド(DMSO)などのある種の有機溶媒もまた用いられてよいが、通常は高い毒性という代償を払う。
【0082】
医薬組成物は、所望される場合、化合物(複数可)を含有する1種以上の単位剤形を含有することができるパックまたはディスペンサー装置で提示されてよい。パックは、例えば、ブリスターパックなどの、金属箔またはプラスチック箔を含むものであり得る。パックまたはディスペンサー装置には、投与のための説明書が添付されてよい。
【0083】
本明細書に記載される化合物(複数可)、またはそれらの組成物は、一般に目的の結果を達成するのに効果的な量で、例えば、処置されている特定の疾患を処置または予防するのに効果的な量で使用されることになる。治療的利益とは、処置されている基礎障害の根絶もしくは改善し、かつ/または基礎障害と関連する症状のうち1つ以上の根絶もしくは改善し、結果として、患者が未だ基礎障害に罹患している場合があるにもかかわらず、その患者が気分または状態の改善を報告するようにする。また、治療的利益は一般に、一改善が実現されているか否かにかかわらず、疾患の進行を停止または遅延させることも含む。
【0084】
投与される化合物(複数可)の量は、例えば、処置されている特定の適応症、投与方法、所望の利益が予防的または治療的であるかどうか、処置されている適応症の重症度なら
びに患者の年齢及び体重、特定の化合物(複数可)のバイオアベイラビリティ、選択された投与経路下での活性薬物化合物への会話率及び効率などを含む様々な要因に依存することになる。
【0085】
特定の使用及び投与方法に関する化合物(複数可)の有効投与量の決定は、当業者の能力の十分に範囲内で行われる。有効投与量は、最初にインビトロ活性及び代謝アッセイから推定されてよい。例えば、動物に使用するための初期投与量の化合物は、インビトロアッセイで測定されるような特定の化合物のIC50以上である代謝産物活性化合物の循環血液または血清濃度を達成するように製剤化されてよい。所望の投与経路による特定の化合物のバイオアベイラビリティを考慮して、このような循環血液または血清濃度を達成するように投与量を算出することは、当業者の能力の十分に範囲内で行われる。化合物の初期投与量はまた、動物モデルなどのインビボデータから推定され得る。上記の様々な疾患を処置または予防する活性代謝産物の有効性を試験するのに有用な動物モデルは、当該技術分野において周知である。化合物のバイオアベイラビリティ及び/または活性代謝産物への代謝を試験するのに好適な動物モデルもまた周知である。当業者は通常、このような情報を適合させて、ヒト投与に好適な特定の化合物の投与量を決定し得る。
【0086】
投与量は、典型的には約0.0001mg/kg/日、0.001mg/kg/日または0.01mg/kg/日~約100mg/kg/日の範囲内となるが、その他の要因の中でも、上述した活性代謝産物化合物の活性、化合物のバイオアベイラビリティ、その代謝動態及びその他の薬物動態特性、投与方法ならびに様々なその他の要因に応じてより高くまたはより低くなってもよい。投与量及び間隔は、治療効果または予防効果を維持するのに十分な化合物(複数可)及び/または活性代謝産物化合物(複数可)の血漿レベルを提供するために個別に調整されてよい。例えば、化合物は、とりわけ投与方法、処置されている特定の適応症及び処方する医師の判断に応じて、1週間に1回、1週間に数回(例えば、隔日)、1日に1回または1日に複数回投与されてよい。局部的な局所投与などの局部投与または選択的取り込みの場合、化合物(複数可)及び/または活性代謝産物化合物(複数可)の有効局部濃度は、血漿濃度に関連していなくともよい。当業者は、過度な実験を行うことなく有効局部投与量を最適化することができるようになる。
【0087】
定義
本明細書で使用される以下の用語及び表現は、示されている意味を有する。
【0088】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、その文脈に別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を含む。
【0089】
本明細書で使用される用語の前及び/または後に、一重ダッシュ「-」、または二重ダッシュ「=」を記載して、指定された置換基とその親部分との間の結合の結合次数を示してよく;一重ダッシュは単結合を示し、二重ダッシュは二重結合を示す。一重ダッシュまたは二重ダッシュがない場合、置換基とその親部分との間に単結合が形成されていると理解され;さらに置換基は、ダッシュが別のものを示さない限り、「左から右」に読まれることを意図する。例えば、C1~C6アルコキシカルボニルオキシ及び-OC(O)C1~C6アルキルは、同じ官能基を示し;同様に、アリールアルキル及び-アルキルアリールは、同じ官能基を示す。
【0090】
「アルケニル」という用語は、本明細書で使用される場合、別段の指定がない限り、2~10個の炭素を含有し、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含有する直鎖または分岐鎖炭化水素を意味する。アルケニルの代表例としては、エテニル、2-プロペニル、2-メチル-2-プロペニル、3-ブテニル、4-ペンテニル、5-ヘキセニル、2-ヘプテニル、2-メチル-1-ヘプテニル、3-デセニル、及び3,7-ジメチルオクタ-2
,6-ジエニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0091】
「アルコキシ」という用語は、本明細書で使用される場合、酸素原子により親分子部分に付加された、本明細書で定義されるようなアルキル基を意味する。アルコキシの代表例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、2-プロポキシ、ブトキシ、tert-ブトキシ、ペンチルオキシ、及びヘキシルオキシが挙げられるが、これらに限定されない。
【0092】
「アルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、別段の指定がない限り、1~10個の炭素原子を含有する直鎖または分岐鎖炭化水素を意味する。アルキルの代表例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、3-メチルヘキシル、2,2-ジメチルペンチル、2,3-ジメチルペンチル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、及びn-デシルが挙げられるが、これらに限定されない。「アルキル」基は、その他の2つの部分間における連結基である場合には、直鎖または分岐鎖であってもよく、例としては、-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CHC(CH3)-、-CH2CH(CH2CH3)CH2-が挙げられるが、これらに限定されない。
【0093】
「アルキニル」という用語は、本明細書で使用される場合、2~10個の炭素原子を含有し、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含有する直鎖または分岐鎖炭化水素基を意味する。アルキニルの代表例としては、アセチレニル、1-プロピニル、2-プロピニル、3-ブチニル、2-ペンチニル、及び1-ブチニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0094】
「アリール」という用語は、本明細書で使用される場合、フェニル(すなわち、単環式アリール)、または少なくとも1つのフェニル環もしくは芳香族二環式環系中において炭素原子のみを含有する芳香族二環式環を含有する二環式環系を意味する。二環式アリールは、単環式シクロアルキル、単環式シクロアルケニル、または単環式ヘテロシクリルに縮合したアズレニル、ナフチル、またはフェニルであり得る。二環式アリールは、二環式系のフェニル部分内に含有される任意の炭素原子、またはナフチル環もしくはアズレニル環を有する任意の炭素原子により親分子部分に結合される。二環式アリールの縮合単環式シクロアルキルまたは単環式ヘテロシクリル部分は、1個または2個のオキソ及び/またはチア基で場合により置換される。二環式アリールの代表例としては、アズレニル、ナフチル、ジヒドロインデン-1-イル、ジヒドロインデン-2-イル、ジヒドロインデン-3-イル、ジヒドロインデン-4-イル、2,3-ジヒドロインドール-4-イル、2,3-ジヒドロインドール-5-イル、2,3-ジヒドロインドール-6-イル、2,3-ジヒドロインドール-7-イル、インデン-1-イル、インデン-2-イル、インデン-3-イル、インデン-4-イル、ジヒドロナフタレン-2-イル、ジヒドロナフタレン-3-イル、ジヒドロナフタレン-4-イル、ジヒドロナフタレン-1-イル、5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1-イル、5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-2-イル、2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-イル、2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル、2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イル、2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-イル、ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-4-イル、ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル、2H-クロメン-2-オン-5-イル、2H-クロメン-2-オン-6-イル、2H-クロメン-2-オン-7-イル、2H-クロメン-2-オン-8-イル、イソインドリン-1,3-ジオン-4-イル、イソインドリン-1,3-ジオン-5-イル、インデン-1-オン-4-イル、インデン-1-オン-5-イル、インデン-1-オン-6-イル、インデン-1-オン-7-イル、2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキサン-5-イル、2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキサン-6-イル、2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン3(4H)-オン-5-イル、2H-
ベンゾ[b][1,4]オキサジン3(4H)-オン-6-イル、2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン3(4H)-オン-7-イル、2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン3(4H)-オン-8-イル、ベンゾ[d]オキサジン-2(3H)-オン-5-イル、ベンゾ[d]オキサジン-2(3H)-オン-6-イル、ベンゾ[d]オキサジン-2(3H)-オン-7-イル、ベンゾ[d]オキサジン-2(3H)-オン-8-イル、キナゾリン-4(3H)-オン-5-イル、キナゾリン-4(3H)-オン-6-イル、キナゾリン-4(3H)-オン-7-イル、キナゾリン-4(3H)-オン-8-イル、キノキサリン-2(1H)-オン-5-イル、キノキサリン-2(1H)-オン-6-イル、キノキサリン-2(1H)-オン-7-イル、キノキサリン-2(1H)-オン-8-イル、ベンゾ[d]チアゾール-2(3H)-オン-4-イル、ベンゾ[d]チアゾール-2(3H)-オン-5-イル、ベンゾ[d]チアゾール-2(3H)-オン-6-イル、及びベンゾ[d]チアゾール-2(3H)-オン-7-イルが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、二環式アリールは、(i)ナフチルまたは(ii)5員もしくは6員単環式シクロアルキル、5員もしくは6員単環式シクロアルケニル、もしくは5員もしくは6員単環式ヘテロシクリルのいずれかに縮合したフェニル環であり、ここで縮合シクロアルキル、シクロアルケニル、及びヘテロシクリル基は、独立してオキソまたはチアである1つまたは2つの基で場合により置換される。
【0095】
「シアノ」及び「ニトリル」という用語は、本明細書で使用される場合、-CN基を意味する。
【0096】
「シクロアルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、単環式または二環式シクロアルキル環系を意味する。単環式環系は、3~8個の炭素原子を含有する環式炭化水素基であり、ここでこのような基は飽和または不飽和であり得るが、芳香族ではない。特定の実施形態では、シクロアルキル基は完全に飽和している。単環式シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルが挙げられる。二環式シクロアルキル環系は、架橋単環式環または縮合二環式環である。架橋単環式環は単環式シクロアルキル環を含有し、ここで単環式環の2個の非隣接炭素原子は、1~3個の追加の炭素原子のアルキレン架橋(すなわち、-(CH2)w-という形態の架橋基であり、式中、wは1、2、または3である)により連結される。二環式環系の代表例としては、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.2.2]ノナン、ビシクロ[3.3.1]ノナン、及びビシクロ[4.2.1]ノナンが挙げられるが、これらに限定されない。縮合二環式シクロアルキル環系は、フェニル、単環式シクロアルキル、単環式シクロアルケニル、単環式ヘテロシクリル、または単環式ヘテロアリールのいずれかに縮合した単環式シクロアルキル環を含有する。架橋または縮合二環式シクロアルキルは、単環式シクロアルキル環内に含有される任意の炭素原子により親分子部分に結合される。シクロアルキル基は、独立してオキソまたはチアである1つまたは2つの基で場合により置換される。特定の実施形態では、縮合二環式シクロアルキルは、フェニル環、5員もしくは6員単環式シクロアルキル、5員もしくは6員単環式シクロアルケニル、5員もしくは6員単環式ヘテロシクリル、または5員もしくは6員単環式ヘテロアリールのいずれかに縮合した5員または6員単環式シクロアルキル環であり、ここで縮合二環式シクロアルキルは、独立してオキソまたはチアである1つまたは2つの基で場合により置換される。
【0097】
「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、本明細書で使用される場合、-Cl、-Br、-Iまたは-Fを意味する。
【0098】
「ハロアルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、本明細書で定義されるようなアルキル基により親分子部分に付加された、本明細書で定義されるような少なくとも
1種のハロゲンを意味する。ハロアルキルの代表例としては、クロロメチル、2-フルオロエチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、及び2-クロロ-3-フルオロペンチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0099】
「ヘテロアリール」という用語は、本明細書で使用される場合、単環式ヘテロアリールまたは少なくとも1つのヘテロ芳香族環を含有する二環式環系を意味する。単環式ヘテロアリールは、5員または6員環であり得る。5員環は、2つの二重結合及び1個、2個、3個または4個の窒素原子ならびに場合により1個の酸素または硫黄原子からなる。6員環は、3つの二重結合及び1個、2個、3個または4個の窒素原子からなる。5員または6員ヘテロアリールは、ヘテロアリール内に含有される任意の炭素原子または任意の窒素原子により親分子部分に結合される。単環式ヘテロアリールの代表例としては、フリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピロリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、及びトリアジニルが挙げられるが、これらに限定されない。二環式ヘテロアリールは、フェニル、単環式シクロアルキル、単環式シクロアルケニル、単環式ヘテロシクリル、または単環式ヘテロアリールに縮合した単環式ヘテロアリールからなる。二環式ヘテロアリール基の縮合シクロアルキルまたはヘテロシクリル部分は、独立してオキソまたはチアである1つまたは2つの基で場合により置換される。二環式ヘテロアリールが、縮合シクロアルキル、シクロアルケニル、またはヘテロシクリル環を含有する場合には、二環式ヘテロアリール基は、二環式環系の単環式ヘテロアリール部分内に含有される任意の炭素原子または窒素原子により親分子部分に結合される。二環式ヘテロアリールが、フェニル環に縮合した単環式ヘテロアリールである場合には、二環式ヘテロアリール基は、二環式環系内の任意の炭素原子または窒素原子により親分子部分に結合される。二環式ヘテロアリールの代表例としては、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾオキサチアジアゾリル、ベンゾチアゾリル、シンノリニル、5,6-ジヒドロキノリン-2-イル、5,6-ジヒドロイソキノリン-1-イル、フロピリジニル、インダゾリル、インドリル、イソキノリニル、ナフチリジニル、キノリニル、プリニル、5,6,7,8-テトラヒドロキノリン-2-イル、5,6,7,8-テトラヒドロキノリン-3-イル、5,6,7,8-テトラヒドロキノリン-4-イル、5,6,7,8-テトラヒドロイソキノリン-1-イル、チエノピリジニル、4,5,6,7-テトラヒドロベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾリル、及び6,7-ジヒドロベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾール-4(5H)-オニルが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、縮合二環式ヘテロアリールは、フェニル環、5員もしくは6員単環式シクロアルキル、5員もしくは6員単環式シクロアルケニル、5員もしくは6員単環式ヘテロシクリル、または5員もしくは6員単環式ヘテロアリールのいずれかに縮合した5員または6員単環式ヘテロアリール環であり、ここで縮合シクロアルキル、シクロアルケニル、及びヘテロシクリル基は、独立してオキソまたはチアである1つまたは2つの基で場合により置換される。
【0100】
「ヘテロシクリル」または「複素環」という用語は、本明細書で使用される場合、単環式複素環または二環式複素環を意味する。単環式複素環は、O、N、及びSからなる群から独立して選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する3員、4員、5員、6員または7員環であり、ここで環は、飽和または不飽和であるが、芳香族ではない。3員または4員環は、O、N及びSからなる群から選択される1個のヘテロ原子を含有する。5員環は、0または1つの二重結合ならびにO、N及びSからなる群から選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を含有し得る。6員または7員環は、0、1つまたは2つの二重結合ならびにO、N及びSからなる群から選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を含有する。単環式複素環は、単環式複素環内に含有される任意の炭素原子または任意の窒素原子により親分子部分に結合される。単環式複素環の代表例としては、アゼチジニ
ル、アゼパニル、アジリジニル、ジアゼパニル、1,3-ジオキサニル、1,3-ジオキソラニル、1,3-ジチオラニル、1,3-ジチアニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、オキサジアゾリニル、オキサジアゾリジニル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピラニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ピロリニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、チアジアゾリニル、チアジアゾリジニル、チアゾリニル、チアゾリジニル、チオモルホリニル、1,1-ジオキシドチオモルホリニル(チオモルホリンスルホン)、チオピラニル、及びトリチアニルが挙げられるが、これらに限定されない。二環式複素環は、フェニル、単環式シクロアルキル、単環式シクロアルケニル、単環式複素環、または単環式ヘテロアリールのいずれかに縮合した単環式複素環である。二環式複素環は、二環式環系の単環式複素環部分内に含有される任意の炭素原子または任意の窒素原子により親分子部分に結合される。二環式ヘテロシクリルの代表例としては、2,3-ジヒドロベンゾフラン-2-イル、2,3-ジヒドロベンゾフラン-3-イル、インドリン-1-イル、インドリン-2-イル、インドリン-3-イル、2,3-ジヒドロベンゾチエン-2-イル、デカヒドロキノリニル、デカヒドロイソキノリニル、オクタヒドロ-1H-インドリル、及びオクタヒドロベンゾフラニルが挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロシクリル基は、独立してオキソまたはチアである1つまたは2つの基で場合により置換される。特定の実施形態では、二環式ヘテロシクリルは、フェニル環、5員もしくは6員単環式シクロアルキル、5員もしくは6員単環式シクロアルケニル、5員もしくは6員単環式ヘテロシクリル、または5員もしくは6員単環式ヘテロアリールに縮合した5員または6員単環式ヘテロシクリル環であり、ここで二環式ヘテロシクリルは、独立してオキソまたはチアである1つまたは2つの基で場合により置換される。
【0101】
「ニトロ」という用語は、本明細書で使用される場合、-NO2基を意味する。
【0102】
「オキソ」という用語は、本明細書で使用される場合、=O基を意味する。
【0103】
「飽和」という用語は、本明細書で使用される場合、参照される化学構造が、炭素-炭素多重結合を一切含有しないことを意味する。例えば、本明細書で定義されるような飽和シクロアルキル基としては、シクロヘキシル、シクロプロピルなどが挙げられる。
【0104】
「チア」という用語は、本明細書で使用される場合、=S基を意味する。
【0105】
「不飽和」という用語は、本明細書で使用される場合、参照される化学構造が、少なくとも1つの炭素-炭素多重結合を含有しているが、芳香族ではないことを意味する。例えば、本明細書で定義されるような不飽和シクロアルキル基としては、シクロヘキセニル、シクロペンテニル、シクロヘキサジエニルなどが挙げられる。
【0106】
本開示のいくつかの化合物は、互変異性化してよい。したがって、本開示はまた、本明細書に開示される化合物の全ての互変異性形態を含む。本開示のいくつかの化合物は、キラル中心ならびに/または幾何異性中心(E-及びZ-異性体)を有してよく、本開示が、このような全ての光学異性体、エナンチオマー異性体、ジアステレオマー異性体及び幾何異性体を包含すると理解されるべきである。
【0107】
「薬学的に許容される」とは、適切な医学的判断の範囲内であり、ヒト及び動物の組織との接触に好適であり、過度の毒性、刺激、アレルギー応答、もしくはその他の問題もしくは合併症を伴うことなく、妥当な利益/リスク比に見合う、またはさもなければ、ヒトもしくは家畜での使用に許容されるものとして米国食品医薬品局に承認されている化合物、材料、組成物、及び/または剤形を指す。
【0108】
「薬学的に許容される塩」は、酸及び塩基付加塩の両方を指す。
【0109】
「治療有効量」は、対象に投与される場合、本明細書に記載される疾患または障害の処置をもたらすのに十分な化合物の量を指す。「治療有効量」を構成する化合物の量は、化合物、障害及びその重症度、ならびに処置されるべき対象の年齢に応じて変化することになるが、通常は当業者により決定され得る。
【0110】
「処置すること」または「処置」は、本明細書で使用される場合、対象、好ましくはヒトにおける本明細書に記載される疾患または障害の処置を網羅し、以下を含む:
i.疾患もしくは障害を阻害すること、すなわちその発症を阻止すること;
ii.疾患もしくは障害を軽減すること、すなわち障害の退縮を引き起こすこと;
iii.障害の進行を遅延させること;及び/または
iv.疾患もしくは障害における1つ以上の症状の進行を阻害、軽減、もしくは遅延させること。
【0111】
「対象」は、本明細書に記載される1種以上の疾患及び障害に罹患している、またはそれらに罹患する可能性を有する哺乳動物などの温血動物、好ましくはヒト、またはヒトの子供を指す。
【0112】
ミトコンドリアにおける「呼吸鎖障害」または「呼吸鎖障害を伴うミトコンドリア」は、ミトコンドリア中で、酸化的リン酸化によるATP産生に関与する5種の複合体の構造が、典型的には機能が低下するように構造的に改変されたミトコンドリアを指す。
【0113】
本明細書の全体を通して、文脈から別の意味に解釈すべき場合を除き、単語「comprise(含む)」及び「include(含む)」ならびに変化形(例えば、「comprises(含む)」、「comprising(含むこと)」、「includes(含む)」、「including(含むこと)」)は、述べられた1つの成分、特徴、要素、もしくはステップまたは複数の成分、特徴、要素もしくはステップの群を含有することを示唆するが、その他の整数もしくはステップのいずれも、または複数の整数もしくはステップの群を排除することは示唆しないと理解されるだろう。
【0114】
合成方法
開示される化合物の合成に有用な一般に既知の化学合成スキーム及び条件を提供する、多くの一般参考文献が使用可能である(例えば、Smith and March,March’s Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms,and Structure,Fifth Edition,Wiley-Interscience,2001;またはVogel,A Textbook of Practical Organic Chemistry,Including Qualitative Organic Analysis,Fourth Edition,New York:Longman,1978を参照のこと)。
【0115】
本明細書に記載されるような化合物は、クロマトグラフィー手段、例えば、HPLC、分取薄層クロマトグラフィー、フラッシュカラムクロマトグラフィー及びイオン交換クロマトグラフィーなどを含む、当該技術分野において既知の手段のいずれかにより精製され得る。任意の好適な固定相が使用され得、順相及び逆相に加えてイオン樹脂を含む。最も典型的には、開示される化合物は、シリカゲル及び/またはアルミナクロマトグラフィーにより精製される。例えば、Introduction to Modern Liquid Chromatography,2nd Edition,ed.L.R.Snyder and J.J.Kirkland,John Wiley and Sons
,1979;及びThin Layer Chromatography,ed E.Stahl,Springer-Verlag,New York,1969を参照のこと。
【0116】
本化合物の調製方法におけるいずれかの間に、関与する分子のいずれかにおける感受性基または反応性基を保護することが必要かつ/または望ましい場合がある。これは標準的な著作物に、例えば、J.F.W.McOmie,“Protective Groups in Organic Chemistry”,Plenum Press,London and New York 1973、T.W.Greene and P.G.M.Wuts,“Protective Groups in Organic Synthesis”,Third edition,Wiley,New York 1999に、“The Peptides”;Volume 3(editors:E.Gross and J.Meienhofer),Academic Press,London and New York 1981に、“Methoden der organischen Chemie”,Houben-Weyl,4.sup.th edition,Vol.15/l,Georg Thieme Verlag,Stuttgart 1974に、H.-D.Jakubke and H.Jescheit,“Aminosauren,Peptide,Proteine”,Verlag Chemie,Weinheim,Deerfield Beach,and Basel 1982に、及び/またはJochen Lehmann,“Chemie der Kohlenhydrate:Monosaccharide and Derivate”,Georg Thieme Verlag,Stuttgart 1974などに記載されているような従来の保護基により達成されてよい。保護基は、当該技術分野からの既知の方法を使用して、都合のよいその後の段階で除去されてよい。
【0117】
本開示の化合物を調製するための代表的な合成手順について、以下で概説する。
【化8-1】
【化8-2】
【化8-3】
【化8-4】
【実施例0118】
本開示の化合物及び方法が以下の実施例によってさらに例示されるが、これらは例示目的のために提供されて、範囲または趣旨内の開示をそれらに記載されている特定の化合物
及び方法に限定すると解釈されることを意図するものではない。
【0119】
実施例1:
2-シアノフェノチアジン(0.74g、3.30mmol)を10mLの無水DMF中に溶解させた。混合物を0℃まで冷却し、60%NaH(0.40g、9.90mmol)を添加した。暗色の混合物を0℃でさらに15分間攪拌し、二炭酸ジ-tert-ブチル(0.90g、3.96mmol)を添加した。混合物を室温で3時間攪拌し、50mLのブラインで希釈した。水層を、25mLの酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機抽出物を無水MgSO4で乾燥して、減圧下で濃縮した。粗物質をシリカゲルカラム(10cm×2cm)上で精製した。酢酸エチル-ヘキサン(1:9)での溶出により、淡黄色固体として1を得た:収量1.07g(100%);シリカゲルTLC Rf0.26(酢酸エチル-ヘキサン1:9);1H NMR (CDCl3) δ1.49(s,
9H), 7.16-7.20 (m, 1H), 7.28-7.33 (m, 2H), 7.40 (s, 2H), 7.49 (d, 1H, J = 8.4 Hz) 及び 7.80 (s, 1H);13C NMR δ28.1, 83.1, 110.2, 118.2, 126.6, 127.2, 127.3, 127.5, 128.1,129.1, 130.3, 130.6, 137.7, 139.0, 139.1 及び 151.8;質量スペクトル (APCI), m/z 325.1017 (M+H)+ (C18H17N2O2Sは、m/z 325.1011を要する)。
【0120】
実施例2:
粗生成物の10mLの無水CH2Cl2 溶液に、4.0mL(4.0mmol)の1M DIBAL-Hのトルエンを-78℃で滴下した。混合物を-78℃で3時間攪拌し、2N HClで希釈した。水層を、30mLのCH2Cl2で3回抽出した。合わせた有機抽出物を無水MgSO4で乾燥して、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラム(7cm×4cm)上で精製した。1:9酢酸エチル-ヘキサンでの溶出により、黄色固体として2を得た:収量0.63g(58%);シリカゲルTLC Rf0.17(酢酸エチル-ヘキサン1:9);1H NMR (CDCl3) δ1.48(s, 9H), 7.14-7.18 (m, 1H), 7.26-7.32 (m, 2H), 7.44 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 7.52 (d, 1H, J
= 7.4 Hz), 7.64 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 7.99 (s, 1H) 及び 9.96 (s, 1H);13C NMR δ28.1, 82.8, 126.5, 126.6, 127.1, 127.3, 127.4, 127.8, 128.3, 130.5, 135.1, 137.9, 139.1, 140.2 及び 152.1;質量スペクトル (ESI), m/z 328.0823 (M+Na)+ (C18H17NO3SNaは、m/z 328.0827を要する)。
【0121】
実施例3:
ヘキサデシルトリフェニルホスホニウムブロミド(0.64g、1.13mmol)の5mLの無水THF溶液に、-78℃で1.20mL(1.20mmol)の1Mナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドのTHFを滴下した。黄色混合物を0℃で3時間攪拌し、-78℃まで冷却した。この鮮橙色の懸濁液に、溶解させた2(0.37g、1.13mmol)を溶解させた5mLの無水THFを滴下した。淡黄色混合物を0℃でアルゴン雰囲気下において一晩攪拌し、50mLのブラインで希釈した。水層を、25mLの酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機抽出物を無水MgSO4で乾燥して、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラム上で精製した。1:9CH2Cl2-ヘキサンでの溶出により、白色固体としてシス-トランス混合物を得た。
【0122】
シス-トランス混合物(0.41g、0.77mmol)の3:7CH2Cl2-エタノール溶液に、パラジウム炭素(26mg、0.16mmol)を添加した。懸濁液を室温でH2雰囲気(40psi)下において2時間攪拌した。混合物をセライトパッドに通して濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、白色固体として3を得た:収量0.41g(2ステップで74%);シリカゲルTLC Rf0.1(CH2Cl2-ヘキサン1:9);1H NMR (CDCl3) δ0.88(t, 3H, J = 7.0 Hz),
1.26-1.30 (m, 28H), 1.49 (s, 9H), 1.60 (t, 2H, J = 7.2 Hz), 2.59 (t, 2H, J = 7.6 Hz), 6.96 (d, 1H, J = 7.6 Hz), 7.12 (t, 1H, J = 7.6 Hz), 7.21-7.26 (m, 2H), 7.32-7.35 (m, 2H) 及び 7.52 (d, 1H, J = 7.6 Hz);13C NMR (CDCl3) δ14.3, 22.9, 28.4, 29.5, 29.53, 29.70, 29.74, 29.84, 29.87, 31.7, 32.1, 35.8, 82.0, 126.1, 126.5, 126.6, 127.2, 127.33, 127.37, 127.6, 128.9, 132.7, 138.8, 139.0, 142.0 及び 152.7;質量スペクトル (MALDI-TOF), m/z 537.3575 (M+H)+ (C34H51NO2Sは、m/z 537.3641を要する)。
【0123】
実施例4:
3(0.23g、0.43mmol)の8mLの無水CH2Cl2溶液に、0.26mL(3.44mmol)のトリフルオロ酢酸を滴下した。混合物を室温で12時間、アルゴン雰囲気下において攪拌し、50mLの飽和NaHCO3溶液で中和した。水層を、30mLのCH2Cl2で3回抽出した。合わせた有機層を無水MgSO4で乾燥して、減圧下で濃縮した。粗物質(4)を、さらに精製することなく次のステップで利用した。
【0124】
実施例5:
【化9】
N-(7-(ジメチルアミノ)-2-ヘプタデシル-3H-フェノチアジン-3-イリデン)-N-メチルメタン-アミニウムヨージド(5)
45mgの粗物質4の5mLのCH
2Cl
2溶液に、81mg(0.32mmol)のヨウ素、続いて0.25mL(0.5mmol)の2MジメチルアミンのTHFを添加した。混合物を室温で、アルゴン雰囲気下において12時間攪拌した。緑色を帯びた青色混合物をシリカゲルカラム(10cm×2cm)上で精製した。酢酸エチルでの溶出により、緑色固体として5を得た:収量18mg(28%);シリカゲルTLC R
f0.4(酢酸エチル);
1H NMR (CDCl
3) δ0.86 (t, 3H, J = 6.6 Hz), 1.15-1.37 (m, 28H), 1.69-1.72 (m, 2H), 2.81-2.85 (m, 2H), 3.33 (s, 6H),
3.46 (s, 6H), 7.36-7.38 (m, 1H), 7.41 (s, 1H), 7.76 (m, 1H), 7.89 (s, 1H), 7.99
(d, 1H, J = 7.6 Hz);質量スペクトル (MALDI-TOF), m/z 522.3978 (M)
+ (C
33H
52N
3Sは、m/z 522.3876を要する)。
【0125】
実施例6:
【化10】
N-(4,7-ビス(ジメチルアミノ)-2-ヘプタデシル-3H-フェノチアジン-3-イリデン)-N-メチルメタンアミニウムヨージド(6)
0.10gの粗物質(4)の5mLの無水CH
2Cl
2溶液に、0.19g(0.74mmol)のヨウ素、続いて1.15mL(2.3mmol)の2MジメチルアミンのTHFを添加した。混合物を45℃で、アルゴン雰囲気下において7時間加熱した。青色混合物をシリカゲルカラム(10cm×2cm)上で精製した。酢酸エチル中の20%メタノールでの溶出により、青色固体として6を得た:収量40mg(31%);シリカゲルTLC R
f0.35(酢酸エチル-メタノール4:1);
1H NMR (CDCl
3) δ0.86 (t, 3H, J = 6.8 Hz), 1.24-1.44 (m, 28H), 1.61-1.63 (m, 2H), 2.71 (m, 2H), 3.28 (s, 6H), 3.30 (s, 6H), 3.49 (s, 6H), 6.17 (s, 1H), 6.89 (d, 1H, J = 2.8 Hz), 7.05 (dd, J = 9.2 Hz, J = 2.4 Hz), 7.78 (d, 1H, J = 9.6 Hz);
13C NMR δ 14.3, 22.8, 26.4, 29.5, 29.8, 29.82, 29.85, 30.1, 30.7, 32.1, 41.4, 44.7, 45.9, 51.0, 101.3, 105.6, 115.8, 121.5, 130.6, 131.1, 132.2, 133.8, 137.0, 153.5 及び 161.1;質量スペクトル (MALDI-TOF), m/z 565.4135 (M)
+ (C
35H
57N
4Sは、m/z 565.4298を要する)。
【0126】
実施例7:
【化11】
7-(ジメチルアミノ)-2-ヘプタデシル-3H-フェノチアジン-3-オン(7)
5(70mg、0.09mmol)の3.5mLのTHF-H
2O(6:1)濃緑色溶液に、KOH(30mg、0.53mmol)を添加した。混合物を2分間室温で、混合物が緑色から赤色に変化するまで攪拌した。水層をEtOAcで抽出した。有機層を無水MgSO
4で乾燥して、減圧下で濃縮した。粗物質をシリカゲルカラム(7cm×2cm)上で精製した。2:3EtOAc-ヘキサンでの溶出により、紫色固体として7を得た:収量11mg(24%);シリカゲルTLC R
f0.59(酢酸エチル-ヘキサン2:3);
1H NMR (CDCl
3) δ 0.86-0.89 (m, 3H), 1.27-1.41 (m, 28H), 1.72 (t, 2H, J = 6.0
Hz), 2.72 (t, 2H, J = 6.4 Hz), 2.89 (s,
6H), 6.73 (d, 1H, J = 1.6 Hz), 6.89 (dd, 1H, J = 7.6 Hz, J = 2.0 Hz), 6.93 (s, 1H), 7.60 (d, 1H, J = 8.0 Hz) 及び 7.71 (s, 1H);
13C NMR (CDCl
3) δ 14.3, 22.8, 29.5, 29.6, 29.7, 29.81, 29.85, 30.1, 31.6, 32.1, 44.0,112.8,119.3, 123.3, 134.0, 134.6, 135.5, 136.4, 139.7, 143.3, 155.8 及
び 182.5;質量スペクトル (ESI), m/z 495.3414 (M+H)
+ (C
31H
47N
2OSは、m/z 495.3409を要する)。
【0127】
実施例8:
【化12】
1-(2-ヘプタデシル-7-(ピペリジン-1-イル)-3H-フェノチアジン-3-イリデン)ピペリジン-1-イウムヨージド(8)
粗物質4(30mg、0.07mmol)を5mLのCH
2Cl
2中に溶解し、I
2(56mg、0.22mmol)、続いてピペリジン(34μL、0.35mmol)を添加した。混合物を室温で3時間、アルゴン雰囲気下において攪拌し、シリカゲルカラム(8cm×2cm)上で精製した。酢酸エチルでの溶出により、緑色固体として8を得た:収量5mg(10%);シリカゲルTLC R
f0.43(酢酸エチル);
1H NMR
(CDCl
3) δ 0.86-0.89 (m, 3H), 1.24-1.40 (m, 28H), 1.76-1.80 (m, 2H), 2.76 (t, 2H, J = 7.8 Hz), 3.43-3.45 (m, 3H), 3.92-3.98 (m, 1H), 7.56 (s, 1H), 7.61-7.64 (m,
1H), 7.69 (d, 1H, J = 2.0 Hz), 8.06 (s,
1H) 及び 8.13 (d, 1H, J = 9.6 Hz);質量スペクトル
(MALDI-TOF), m/z 602.4560 (M)
+ (C
39H
60N
3Sは、m/z 602.4502を要する)。
【0128】
実施例9:
【化13】
2-ヘプタデシル-7-(ピペリジン-1-イル)-3H-フェノチアジン-3-オン(9)
8(60mg、0.1mmol)の3.5mLのTHF-H
2O(6:1)濃緑色溶液に、KOH(16mg、0.3mmol)を添加した。混合物を2分間室温で、混合物が緑色から赤色に変化するまで攪拌した。水層をEtOAcで抽出した。有機層を無水MgSO
4で乾燥して、減圧下で濃縮した。粗物質をシリカゲルカラム(7cm×2cm)上で精製した。1:4酢酸エチル-ヘキサンでの溶出により、褐色を帯びた固体として9を得た:収量12.3mg(22%);シリカゲルTLC R
f0.75(酢酸エチル-ヘキサン3:2);
1H NMR (CDCl
3) δ 0.86-0.88 (m, 3H), 1.22-1.38 (m, 28H), 1.62-1.67 (m, 8H), 2.64 (t, 2H, J = 8.0 Hz), 2.96 (t, 2H, J = 4.8 Hz), 6.71 (d, 1H, J = 2.0 Hz),
6.87 (dd, 1H, J = 12 Hz, J = 2.0 Hz), 6.94 (s, 1H), 7.57 (d,1H, J = 10 Hz) 及び 7.70 (s, 1H);
13C NMR (CDCl
3) δ 14.1, 22.6, 22.7, 24.1, 26.1, 29.3, 29.4, 29.5, 29.54, 29.6, 29.63, 29.67, 30.2, 30.5, 31.
6, 31.9, 53.5, 114.1 119.1, 122.9, 134.0, 134.9, 135.0, 137.0, 139.6, 143.6, 156.1 及び 182.3;質量スペクトル (ESI), m/z 535.3731 (M+H)
+ (C
34H
51N
2OSは、m/z 535.3722を要する)。
【0129】
実施例10:
【化14】
4-(2-ヘプタデシル-7-モルホリノ-3H-フェノチアジン-3-イリデン)モルホリン-4-イウムヨージド(10)
粗物質4(44mg、0.10mmol)を5mLのCH
2Cl
2中に溶解し、I
2(81mg、0.32mmol)、続いてモルホリン(47μL、0.50mmol)を添加した。混合物を室温で3時間、アルゴン雰囲気下において攪拌し、シリカゲルカラム上で精製した。酢酸エチルでの溶出により、緑色固体として10を得た:収量5mg(7%);シリカゲルTLC R
f0.43(酢酸エチル);
1H NMR (CDCl
3) δ 0.86 (m, 3H), 1.24-1.40 (m, 28H), 1.76-1.80 (m, 2H), 2.76 (t, 2H, J = 7.8 Hz),
3.43-3.45 (m, 3H), 3.92-3.98 (m, 1H), 7.56 (s, 1H), 7.61-7.64 (m, 1H), 7.69 (d,
1H, J = 2.0 Hz), 8.06 (s, 1H) 及び 8.13 (d, 1H, J = 9.6 Hz);
13C NMR (CDCl
3) δ 14.1, 22.7, 29.3, 29.4, 29.5, 29.6, 29.7, 30.1, 30.9, 31.9, 32.1, 48.9, 52.3, 66.6,
107.7, 113.7, 121.2, 130.9, 137.6, 137.9, 139.7, 139.8, 140.1, 153.9 及び 157.9;質量スペクトル (ESI), m/z 606.4113 (M)
+ (C
37H
56N
3O
2Sは、m/z 606.4093を要する)。
【0130】
実施例11:
【化15】
2-ヘプタデシル-7-(モルホリン-1-イル)-3H-フェノチアジン-3-オン(11)
10(58mg、0.1mmol)の3.5mLのTHF-H
2O(6:1)濃緑色溶液に、KOH(11mg、0.19mmol)を添加した。混合物を2分間室温で、混合物が緑色から赤色に変化するまで攪拌した。水層をEtOAcで抽出した。有機層を無水MgSO
4で乾燥して、減圧下で濃縮した。粗物質をシリカゲルカラム上で精製した。1:4酢酸エチル-ヘキサンでの溶出により、褐色を帯びた固体として11を得た:収量7mg(14%);シリカゲルTLC R
f0.75(酢酸エチル-ヘキサン3:2);
1H NMR (CDCl
3) δ 0.86 (m, 3H), 1.21-1.38 (m, 28H), 1.69-1.70 (m, 2H), 2.67 (t, 2H, J = 8.0 Hz), 2.99-3.02 (m, 4H), 3.86-3
.88 (m, 4H), 6.72 (d, 1H, J = 2.0 Hz), 6.89 (dd, 1H, J = 10.2 Hz, J = 2.2 Hz), 6.97 (s, 1H), 7.58 (d,1H, J = 10 Hz) 及び 7.74 (s, 1H);質量スペクトル (ESI), m/z 537.3518 (M+H)
+ (C
33H
49N
2O
2Sは、m/z 537.3515を要する)。
【0131】
実施例12:
【化16】
N-(4,7-ビス(モルホリノ)-2-ヘプタデシル-3H-フェノチアジン-3-イリデン)-N-モルホリニウムヨージド(12)
4(0.20g、0.45mmol)をジクロロメタン中に溶解させた。ヨウ素(0.37g、1.46mmol)を添加し、暗所で15分間反応させた。その後、モルホリン(0.20ml(0.20g)、2.28mmol)を滴下して、4時間反応させた。生成物をジクロロメタン中に溶解し、溶液を減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラム(20×3cm)上でクロマトグラフィーにより精製した。1:1酢酸エチル/メタノールでの溶出により、N-(4,7-ビス(モルホリノ)-2-ヘプタデシル-3H-フェノチアジン-3-イリデン)-N-モルホリニウムヨージド(12)を青紫色固体として得た:収量0.10g(27%);シリカゲルTLC R
f0.48(1:1酢酸エチル/メタノール);
1H NMR (CDCl
3) (500 MHz) δ 0.85 (t, 3H, J = 6.7 Hz), 1.23 (s, 30H), 1.70
(m, 2H), 2.68 (t, 2H, J = 8 Hz), 3.18 (t, 3H, J = 4.5 Hz), 3.27 (t, 2H, J = 5 Hz), 3.78 (t, 3H, J = 4.5 Hz), 3.88 (t, 3H, J = 4.5 Hz), 3.93 (t, 3H, J = 4.7 Hz), 3.98 (t, 3H, J = 4.5 Hz), 4.04 (s, 3H), 4.12 (t, 2H, J = 5 Hz), 6.51 (d, 1H, J = 2.5 Hz), 7.29 (s, 1H) 及び 7.69 (s, 2H);
13C NMR (CDCl
3) (125 MHz) δ 14.24, 22.80, 29.46, 29.56, 29.81, 30.44, 31.38, 32.03, 42.98, 49.57, 52.39, 52.81, 62.98,
66.82, 66.92, 101.97, 107.21, 114.29, 127.58, 134.53, 136.29, 136.69, 137.32, 138.84, 155.56, 156.95 及び 157.04;質量スペクトル (APCI), m/z (M+2H)
+693.4799 (C
41H
65N
4O
3Sは、693.4777を要する);紫外/可視スペクトル λ
max 589.9 nm (ジクロロメタン中), λ
max575.0 nm (メタノール中)。
【0132】
実施例13:
【化17】
4,7-ビス(モルホリノ)-2-ヘプタデシル-3H-フェノチアジン-3-オン(13)
12(0.10g、0.14mmol)をテトラヒドロフラン/水(6:1)の混合物中に溶解させた。固体KOH(0.008g、0.14mmol)を添加し、反応混合物を10分間攪拌した。反応混合物の色が青紫色からチョコレート色に変化したらすぐに、反応物を水でクエンチした。生成物を酢酸エチル中で抽出し、ブラインで洗浄して乾燥し(Na
2SO
4)、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラム(20×1cm)上でクロマトグラフィーにより精製した。4:1ヘキサン/酢酸エチルでの溶出により、4,7-ビス(モルホリノ)-2-ヘプタデシル-3H-フェノチアジン-3-オン(13)をチョコレート色固体として得た:収量0.01g(20%);シリカゲルTLC R
f0.37(酢酸エチル);
1H NMR (CDCl
3) (500 MHz) δ 0.87 (t, 3H, J = 6.7 Hz), 1.25 (s, 30H), 1.68 (m, 2H), 2.66 (t, 2H, J = 8 Hz), 2.99 (t, 2H, J = 4.5 Hz), 3.37 (t, 3H, J =
4 Hz), 3.87 (t, 3H, J = 4 Hz), 3.95 (t,
3H, J = 4.25 Hz), 6.11 (s, 1H), 6.53 (s, 1H), 6.93 (s, 1H) 及び 7.57 (s, 1H);
13C NMR (CDCl
3) (125 MHz) δ 14.27, 22.84, 29.51, 29.62, 29.85, 30.59, 32.07, 51.83, 52.72, 66.78, 67.14, 114.65, 115.43, 119.83, 122.98, 133.93, 134.19, 135.11, 137.55, 141.10, 154.37, 156.01 及び 182.38;質量スペクトル (APCI), m/z (M+H)
+622.4033 (C
37H
56N
3O
3Sは、622.4042を要する);紫外/可視スペクトル λ
max 474.9 nm (ジクロロメタン中), λ
max475.0 nm (メタノール中)。
【0133】
実施例14:
【化18】
N-(7-(アゼチジノ)-2-ヘプタデシル-3H-フェノチアジン-3-イリデン)-N-アゼチジニウムヨージド(14)
アゼチジン塩酸塩(0.21g、2.33mmol)をメタノール中に溶解させた。それに炭酸ナトリウムを、溶液が塩基性になるまで添加した(pH試験紙により試験した)。残留した過剰の炭酸ナトリウムを、デカンテーションによりアゼチジン溶液から分離した。このアゼチジンのメタノール溶液、反応に直接使用した。4(0.20g、0.46mmol)をジクロロメタン中に溶解させた。ヨウ素(0.37g、1.49mmol)を添加し、暗所で15分間反応させた。その後、アゼチジン(メタノール中に溶解させた)を滴下して、4時間反応させた。生成物をジクロロメタン中に溶解し、溶液を減圧下で
濃縮した。粗生成物のN-(7-(アゼチジノ)-2-ヘプタデシル-3H-フェノチアジン-3-イリデン)-N-アゼチジニウムヨージド(14)を濁った緑色固体として得た。質量スペクトル (MALDI-TOF), m/z (M
+) 546.957 (C
35H
52N
3Sは、546.3876を要する)。
【0134】
実施例15:
【化19】
7-(アゼチジノ)-2-ヘプタデシル-3H-フェノチアジン-3-オン(15)
14(0.06g、0.10mmol)をテトラヒドロフラン/水(6:1)の混合物中に溶解させた。固体KOH(0.006g、0.10mmol)を添加し、反応混合物を10分間攪拌した。反応混合物の色が緑色から赤色に変化したらすぐに、反応物を水でクエンチした。生成物を酢酸エチル中で抽出し、ブラインで洗浄して乾燥し(Na
2SO
4)、減圧下で濃縮した。粗生成物の7-(アゼチジノ)-2-ヘプタデシル-3H-フェノチアジン-3-オン(15)を淡赤色固体として得た。質量スペクトル (MALDI-TOF), m/z (M+H)
+507.952 (C
32H
47N
2OSは、507.3331を要する)。
【0135】
実施例16:
(1-ブチル)トリフェニルホスホニウムブロミド(2.30g、5.81mmol)を無水テトラヒドロフラン中に溶解させた。反応媒体を-78℃まで冷却し、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(5.81ml(5.22g)、5.81mmol)を滴下した。反応混合物を0℃で3時間攪拌した。その後、混合物を-78℃まで冷却し、2(1.90g、5.81mmol)を事前に溶解した無水テトラヒドロフランを添加した。反応混合物を0℃で18時間攪拌した。生成物をジクロロメタンで抽出した。有機相をブラインで洗浄して乾燥し(Na2SO4)、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラム(20×3cm)上でクロマトグラフィーにより精製した。4:1ヘキサン/ジクロロメタンでの溶出により、黄色固体として純粋な生成物を得た:収量1.30g(62%);シリカゲルTLC Rf0.66(9:1ヘキサン/ジクロロメタン);1H NMR (CDCl3) (500 MHz) δ 1.03 (t, 3H, J = 7.2 Hz), 1.57 (s, 11H), 2.42 (q, 2H, J =
7 Hz), 5.75 (m, 1H), 6.48 (d, 1H, J = 2
Hz), 7.15 (m, 2H), 7.32 (m, 3H), 7.58 (s, 1H) 及び 7.63 (d, 1H, J = 8 Hz);13C NMR
(CDCl3) (125 MHz) δ 13.60, 22.83, 27.88, 30.38, 81.53, 125.75, 126.19, 126.33, 126.70, 127.07, 127.23, 127.74, 127.81, 129.72, 131.88, 133.23, 136.29, 138.27, 138.51 及び 152.07;質量スペクトル (APCI), m/z (M+H)+368.1680 (C22H26NO2Sは、368.1684を要する)。
【0136】
前ステップからの生成物(1.90g、5.31mmol)を7:3エタノール/ジクロロメタン中に溶解させて、アルゴンガス下で20分間パージした。パラジウム炭素(0.11g、1.06mmol)を添加した。2時間40psiの圧力下でパラ水素化装置中において反応させた。反応の完了時、メタノールを溶媒として使用し、セライトパッドに通して濾過することにより生成物を触媒から分離した。次いで、生成物溶液を減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラム(20×3cm)上でクロマトグラフィーにより精
製した。4:1ヘキサン/ジクロロメタンでの溶出により、2-ペンチル-10H-フェノチアジン-10-カルボン酸tert-ブチル(16)を無色の油として得た:収量1.70g(87%);シリカゲルTLC Rf0.62(9:1ヘキサン/ジクロロメタン);1H NMR (CD3OD) (500 MHz) δ 0.76 (s, 3H), 1.16 (s, 4H), 1.32 (s, 9H), 1.45 (s,
2H), 2.41 (s, 2H), 6.77 (s, 1H), 6.94 (s, 1H), 7.05 (m, 2H), 7.14 (s, 1H), 7.23
(s, 1H) 及び 7.38 (s, 1H);13C NMR (CD3OD)
(125 MHz) δ 14.61, 23.49, 28.58, 32.14,
32.39, 36.37, 82.85, 127.09, 127.46, 128.00, 128.26, 128.31, 129.94, 133.51, 139.70, 139.90, 142.78 及び 153.64;質量スペクトル (APCI), m/z (M+H)+370.1842 (C22H28NO2Sは、370.1841を要する)。
【0137】
実施例17:
16(1.70g、4.60mmol)を無水ジクロロメタン中に溶解させた。トリフルオロ酢酸(2.81ml(4.18g)、36.80mmol)を滴下した。反応混合物を室温で18時間攪拌した。生成物を重炭酸ナトリウムと混合し、ジクロロメタンで抽出して乾燥し(Na2SO4)、次いで減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラム(20×3cm)上でクロマトグラフィーにより精製した。9:1ヘキサン/酢酸エチルでの溶出により、2-ペンチル-10H-フェノチアジン(17)を白色固体として得た:収量13mg(1%);シリカゲルTLC Rf0.88(1:1ヘキサン/酢酸エチル);質量スペクトル (APCI), m/z (M+H)+270.1315 (C17H20NSは、270.1316を要する)。
【0138】
実施例18:
【化20】
N-(7-(ジメチルアミノ)-2-ペンチル-3H-フェノチアジン-3-イリデン)-N-メチルメタンアミニウムヨージド(18)
17(0.18g、0.66mmol)をジクロロメタン中に溶解させた。ヨウ素(0.54g、2.14mmol)を添加し、暗所で15分間反応させた。その後、ジメチルアミン(1.7ml(1.13g)、3.34mmol)を滴下して、4時間反応させた。生成物をジクロロメタン中に溶解し、溶液を減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラム(20×3cm)上でクロマトグラフィーにより精製した。1:1メタノール/アセトニトリルでの溶出により、N-(7-(ジメチルアミノ)-2-ペンチル-3H-フェノチアジン-3-イリデン)-N-メチルメタンアミニウムヨージド(18)を緑色固体として得た:収量0.04g(25%);シリカゲルTLC R
f0.23(アセトニトリル);
1H NMR (CDCl
3) (500 MHz) δ 0.85 (t, 3H, J = 6.5 Hz), 1.33 (s, 4H), 1.64 (s, 2H), 2.60 (s, 3H), 2.80 (s, 2H), 3.41 (d, 9H, J = 64.5 Hz), 7.29 (s, 2H), 7.79 (d, 2H, J = 49.5 Hz) 及び 8.67 (s, 1H);
13C NMR (CDCl
3) (125 MHz) δ 13.95, 22.38, 29.74, 31.53, 33.89, 34.82, 44.64, 106.93,
111.08, 119.92, 131.55, 135.27, 136.79,
137.03, 137.19, 138.40, 138.75, 153.80 及び 157.80;質量スペクトル (APCI), m/z (M+2H)
+356.2170 (C
21H
30N
3Sは、356.2160を要する);紫外/可視スペクトル λ
max 665.0 nm (ジクロロメタン中), λ
max665.0 nm (メタノール中)。
【0139】
実施例19:
【化21】
7-(ジメチルアミノ)-2-ペンチル-3H-フェノチアジン-3-オン(19)
18(0.65g、1.85mmol)をテトラヒドロフラン/水(6:1)の混合物中に溶解させた。固体KOH(0.10g、1.85mmol)を添加し、反応混合物を加熱して、反応混合物の色が緑色から赤色に変化するまで攪拌した。反応物を水でクエンチした。生成物を酢酸エチル中で抽出し、ブラインで洗浄して乾燥し(Na
2SO
4)、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラム(20×1cm)上でクロマトグラフィーにより精製した。酢酸エチルでの溶出により、7-(ジメチルアミノ)-2-ペンチル-3H-フェノチアジン-3-オン(19)を赤色固体として得た:収量0.02g(5%);シリカゲルTLC R
f0.16(4:1ヘキサン/酢酸エチル);
1H NMR (CDCl
3) (400 MHz) δ 0.91 (t, 3H, J = 7 Hz), 1.37 (m, 4H), 1.71 (m, 2H), 2.70 (t,
2H, J = 8 Hz), 2.87 (s, 4H), 6.71 (d, 1H, J = 2 Hz), 6.88 (dd, 1H, J = 2.2 Hz),
6.91 (s, 1H), 7.58 (d, 1H, J = 10 Hz) 及び 7.70 (s, 1H);
13C NMR (CDCl
3) (100 MHz)
δ 14.18, 22.69, 29.79, 31.59, 31.99, 44.02, 112.83, 119.27, 123.32, 133.98, 134.56, 135.45, 136.39, 139.71, 143.29, 155.83 及び 182.44;質量スペクトル (APCI), m/z (M+H)
+327.1534 (C
19H
23N
2OSは、327.1531を要する);紫外/可視スペクトル λ
max 545.0 nm (ジクロロメタン中), λ
max570.0 nm (メタノール中)。
【0140】
実施例20:
(1-デシル)トリフェニルホスホニウムブロミド(0.79g、1.64mmol)を無水テトラヒドロフラン中に溶解させた。反応媒体を-78℃まで冷却し、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(1.64ml(1.47g)、1.64mmol)を滴下した。反応混合物を0℃で3時間攪拌した。その後、混合物を-78℃まで冷却し、2(0.53g、1.64mmol)を事前に溶解した無水テトラヒドロフランを添加した。反応混合物を0℃で18時間攪拌した。生成物をジクロロメタンで抽出した。有機相をブラインで洗浄して乾燥し(Na2SO4)、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラム(20×1cm)上でクロマトグラフィーにより精製した。4:1ヘキサン/ジクロロメタンでの溶出により、黄色固体として純粋な生成物を得た:収量0.14g(20%);1H NMR (CDCl3) (400 MHz) δ 0.93 (t, 3H, J = 6.4 Hz), 1.31 (s, 13H), 1.53 (s, 10H), 2.38 (q, 2H, J = 7 Hz), 5.71 (m, 1H), 6.40 (d, 1H, J = 11.2 Hz), 7.13 (m, 2H), 7.28 (q, 2H, J = 7.4 Hz), 7.35 (d,
1H, J = 7.6 Hz), 7.49 (s, 1H) 及び 7.57 (d, 1H, J = 7.6 Hz);13C NMR (CDCl3) (100 MHz) δ 14.26, 22.84, 27.36, 28.32, 29.48,
29.73, 29.78, 29.93, 30.07, 32.07, 82.10, 126.14, 126.64, 127.36, 127.54, 127.81, 127.90, 129.99, 130.02, 130.06, 132.34, 134.01, 136.79, 138.65, 138.92 及び 152.59;質量スペクトル (APCI), m/z (M+H)+452.2617 (C28H38NO2Sは、452.2623を要する)。
【0141】
前ステップからの純粋な生成物(0.85g、1.88mmol)を7:3エタノール/ジクロロメタン中に溶解させて、アルゴンガス下で20分間パージした。パラジウム炭素(0.04g、0.37mmol)を添加した。反応を、2時間40psiの圧力下でパラ水素化装置中において行った。反応の完了時、メタノールを溶媒として使用し、セライトパッドに通して濾過することにより生成物を触媒から分離した。次いで、生成物溶液を減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラム(20×1cm)上でクロマトグラフィーにより精製した。4:1ヘキサン/ジクロロメタンでの溶出により、2-ウンデシル-10H-フェノチアジン-10-カルボン酸tert-ブチル(20)を無色の油として得た:収量0.54g(80%);1H NMR (CDCl3) (500 MHz)
δ 0.97 (t, 3H, J = 6.7 Hz), 1.35 (s, 16H), 1.56 (s, 8H), 1.69 (m, 2H), 2.67 (t,
2H, J = 7.7 Hz), 7.02 (d, 1H, J = 8 Hz), 7.16 (t, 1H, J = 7.7 Hz), 7.28 (d, 2H,
J = 8 Hz), 7.37 (d, 1H, J = 8 Hz), 7.44
(s, 1H) 及び 7.60 (d, 1H, J = 7.5 Hz);13C
NMR (CDCl3) (125 MHz) δ 14.12, 22.69, 28.17, 29.28, 29.34, 29.51, 29.57, 29.64,
29.67, 31.49, 31.92, 35.58, 81.70, 125.88, 126.27, 126.99, 127.06, 127.11, 127.19, 127.36, 128.79, 132.46, 138.65, 138.86, 141.67 及び 152.41;質量スペクトル (APCI), m/z
(M+H)+454.2772 (C28H40NO2Sは、454.2780を要する)。
【0142】
実施例21:
20(0.82g、1.81mmol)を無水ジクロロメタン中に溶解させた。トリフルオロ酢酸(1.10ml(1.63g)、14.48mmol)を滴下した。反応混合物を室温で18時間攪拌した。生成物を重炭酸ナトリウムと混合し、ジクロロメタンで抽出して乾燥し(Na2SO4)、次いで減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラム(20×1cm)上でクロマトグラフィーにより精製した。9:1ヘキサン/酢酸エチルでの溶出により、2-ウンデシル-10H-フェノチアジン(21)を白色固体として得た:収量0.13g(100%);質量スペクトル (APCI), m/z (M+H)+354.2252 (C23H32NSは、354.2255を要する)。
【0143】
実施例22:
【化22】
N-(7-(ジメチルアミノ)-2-ウンデシル-3H-フェノチアジン-3-イリデン)-N-メチルメタンアミニウムヨージド(22)
21(1.40g、4.00mmol)をジクロロメタン中に溶解させた。ヨウ素(3.20g、12.90mmol)を添加し、暗所で15分間反応させた。その後、ジメチルアミン(10.10ml(6.70g)、20.30mmol)を滴下して、4時間反応させた。生成物をジクロロメタン中に溶解し、溶液を減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラム(20×3cm)上でクロマトグラフィーにより精製した。メタノールでの溶出により、N-(7-(ジメチルアミノ)-2-ウンデシル-3H-フェノチアジン-3-イリデン)-N-メチルメタンアミニウムヨージド(22)を緑色固体として得た:収量0.10g(25%);シリカゲルTLC R
f0.07(メタノール);
1H NMR (CDCl
3) (500 MHz) δ 0.88 (t, 3H, J = 6.7 Hz), 1.26 (s, 18H), 1.72 (m, 2H), 2.85 (t, 2H, J = 7.7 Hz), 3.35 (s, 4H), 3.46 (s, 4H), 3.56 (s, 1H), 7.28 (d, 1H, J
= 12.5 Hz), 7.37 (s, 1H), 7.39 (s, 1H),
7.87 (s, 1H) 及び 7.97 (d, 1H, J = 10 Hz);
13C NMR (CDCl
3) (125 MHz) δ 14.25, 22.79, 29.45, 29.59, 29.68, 29.71, 29.73, 30.26, 32.01, 34.28, 42.57, 44.88, 106.88,
111.25, 119.95, 132.00, 135.74, 137.12,
137.30, 137.49, 138.71, 138.89, 154.21 及び 158.23;質量スペクトル (APCI), m/z (M+2H)
+440.3087 (C
27H
42N
3Sは、440.3099を要する);紫外/可視スペクトル λ
max 669.9 nm (ジクロロメタン中), λ
max665.0 nm (メタノール中)。
【0144】
実施例23:
【化23】
7-(ジメチルアミノ)-2-ウンデシル-3H-フェノチアジン-3-オン(23)
22(0.08g、0.18mmol)をテトラヒドロフラン/水(6:1)の混合物中に溶解させた。固体KOH(0.01g、0.18mmol)を添加し、反応混合物を10分間攪拌すると、色が緑色から赤色に変化した。反応物を水でクエンチした。生成物を酢酸エチル中で抽出し、ブラインで洗浄して乾燥し(Na
2SO
4)、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラム(20×1cm)上でクロマトグラフィーにより精製した。4:1ヘキサン/酢酸エチルでの溶出により、7-(ジメチルアミノ)-2-ウンデシル-3H-フェノチアジン-3-オン(23)を赤色固体として得た:収量0.007g(13%);シリカゲルTLC R
f0.85(酢酸エチル);
1H NMR (CDCl
3) (500 MHz) δ 0.87 (t, 3H, J = 7 Hz), 1.26 (s, 18H), 1.70 (m, 2H), 2.70 (t, 2H, J = 8 Hz), 2.86 (s, 5H), 6.72 (d, 1H, J = 2 Hz), 6.88 (dd, 1H, J = 2 Hz), 6.92
(s, 1H), 7.58 (d, 1H, J = 9.5 Hz) 及び 7.70 (s, 1H);
13C NMR (CDCl
3) (125 MHz) δ 14.26, 22.84, 29.49, 29.63, 29.72, 29.80,
30.11, 31.64, 32.08, 44.01, 44.05, 112.82, 119.24, 119.27, 123.35, 133.97, 134.
57, 135.47, 136.42, 139.75, 143.28, 155.84 及び 182.45;質量スペクトル (APCI), m/z (M+H)
+411.2463 (C
25H
35N
2OSは、411.2470を要する);紫外/可視スペクトル λ
max 554.9 nm (ジクロロメタン中), λ
max565.0 nm (メタノール中)。
【0145】
実施例24:
(1-デシル)トリフェニルホスホニウムブロミド(0.79g、1.64mmol)を無水テトラヒドロフラン中に溶解させた。反応媒体を-78℃まで冷却し、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(1.64ml(1.47g)、1.64mmol)を滴下した。反応混合物を0℃で3時間攪拌した。その後、混合物を-78℃まで冷却し、2(0.53g、1.64mmol)を事前に溶解した無水テトラヒドロフランを添加した。反応混合物を0℃で18時間攪拌した。生成物をジクロロメタンで抽出した。有機相をブラインで洗浄して乾燥し(Na2SO4)、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラム(20×1cm)上でクロマトグラフィーにより精製した。4:1ヘキサン/ジクロロメタンでの溶出により、(E)-2-(ウンデカ-1-エニル)-10H-フェノチアジン-10-カルボン酸tert-ブチル(24)を黄色固体として得た:収量0.14g(20%);1H NMR (CDCl3) (400 MHz) δ 0.93 (t, 3H, J = 6.4 Hz), 1.31 (s, 13H), 1.53
(s, 10H), 2.38 (q, 2H, J = 7 Hz), 5.71 (m, 1H), 6.40 (d, 1H, J = 11.2 Hz), 7.13
(m, 2H), 7.28 (q, 2H, J = 7.4 Hz), 7.35
(d, 1H, J = 7.6 Hz), 7.49 (s, 1H) 及び 7.57 (d, 1H, J = 7.6 Hz);13C NMR (CDCl3) (100 MHz) δ 14.26, 22.84, 27.36, 28.32, 29.48, 29.73, 29.78, 29.93, 30.07, 32.07,
82.10, 126.14, 126.64, 127.36, 127.54, 127.81, 127.90, 129.99, 130.02, 130.06, 132.34, 134.01, 136.79, 138.65, 138.92 及び 152.59;質量スペクトル (APCI), m/z (M+H)+452.2617 (C28H38NO2Sは、452.2623を要する)。
【0146】
実施例25:
24(0.65g、1.45mmol)を無水ジクロロメタン中に溶解させた。トリフルオロ酢酸(0.88ml(1.31g)、11.60mmol)を滴下した。反応混合物を室温で18時間攪拌した。生成物を重炭酸ナトリウムと混合し、ジクロロメタンで抽出して乾燥し(Na2SO4)、次いで減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラム(20×1cm)上でクロマトグラフィーにより精製した。9:1ヘキサン/酢酸エチルでの溶出により、(E)-2-(ウンデカ-1-エニル)-10H-フェノチアジン(25)を白色固体として得た:収量0.21g(100%)。
【0147】
実施例26:
【化24】
N-(7-(ジメチルアミノ)-(E)-2-(ウンデカ-1-エニル)-3H-フェノチアジン-3-イリデン)-N-メチルメタンアミニウムヨージド(26)
25(0.45g、1.30mmol)をジクロロメタン中に溶解させた。ヨウ素(1
.10g、4.10mmol)を添加し、暗所で15分間反応させた。その後、ジメチルアミン(3.30ml(2.21g)、6.50mmol)を滴下して、4時間反応させた。生成物をジクロロメタン中に溶解し、溶液を減圧下で濃縮した。粗生成物のN-(7-(ジメチルアミノ)-(E)-2-(ウンデカ-1-エニル)-3H-フェノチアジン-3-イリデン)-N-メチルメタンアミニウムヨージド(26)を緑色固体として得た。質量スペクトル (MALDI-TOF), m/z (M
+) 436.696 (C
27H
38N
3Sは、436.2781を要する)。
【0148】
実施例27:
【化25】
7-(ジメチルアミノ)-(E)-2-(ウンデカ-1-エニル)-3H-フェノチアジン-3-オン(27)
26(0.19g、0.43mmol)をテトラヒドロフラン/水(6:1)の混合物中に溶解させた。固体KOH(0.025g、0.43mmol)を添加し、反応混合物を10分間攪拌すると、色が緑色から赤色に変化した。反応物を水でクエンチした。生成物を酢酸エチル中で抽出し、ブラインで洗浄して乾燥し(Na
2SO
4)、減圧下で濃縮した。粗生成物の7-(ジメチルアミノ)-(E)-2-(ウンデカ-1-エニル)-3H-フェノチアジン-3-オン(27)を赤色固体として得た。質量スペクトル (MALDI-TOF), m/z (M
+) 408.736 (C
25H
32N
2OSは、408.2235を要する)。
【0149】
実施例28~32:
以下の表1に示す実施例28~32を、本質的に本明細書に記載される合成手法により、かつ/または当該技術分野において周知の手法を使用することにより調製する。
【表1】
【0150】
実施例33:
【化26】
7-(ブチル(ペンタデシル)アミノ)-3H-フェノチアジン-3-オン(33)
2-(2,4-ジニトロフェニル)チオ)-5-メトキシアニリン(34):2.00g(11.1mmol)の2-アミノ-6-メトキシベンゾチアゾールを40mlの水中に懸濁させ、9.30g(167mmol)の固体KOHを添加した。懸濁液を12時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却し、2.25g(11.1mmol)の2,4-ジニトロクロロベンゼンを含むエタノール(30mL)-AcOH(20mL)の混合物の溶液に、氷水槽中で滴下した。反応混合物を室温でさらに3時間攪拌した。沈殿物を濾過し、水-エタノール(1:1、v/v)で洗浄して乾燥し、橙色固体として34を得た:収量2.90g(81%);シリカゲルTLC R
f0.7(3:7酢酸エチル-ヘキサン);
1H NMR (CD
3COCD
3) δ 3.76 (s, 3H), 6
.85 (d, 1H, J = 8.8 Hz), 6.97 (d, 1H, J = 2.8 Hz), 7.00-7.06 (m, 2H), 8.18 (dd, 1H, J = 9.2 Hz, J = 2.6 Hz) 及び 9.12 (d, 1H, J = 2.4 Hz) ;
13C NMR (DMSO-d
6) δ 55.9, 111.0, 117.5, 120.4, 120.6, 121.6, 127.1, 128.6, 143.3, 144.4, 144.6, 145.8 及び 153.0;質量スペクトル (APCI), m/z 322.0499 (M + H)
+(C
13H
12N
3O
5Sは、m/z 322.0498を要する)。
【0151】
N-(2-((2,4-ジニトロフェニル)チオ)-5-メトキシフェニル)アセトアミド(35):2.90g(9.03mmol)の34の10mLの無水DMF溶液に、3.66mL(2.74g、27.1mmol)の無水トリエチルアミン、続いて4.30mL(4.64g、45.5mmol)の無水酢酸を添加した。反応混合物を12時間室温で攪拌し、氷冷水に注ぐことによりクエンチした。水層を、25mLの酢酸エチルで4回抽出した。合わせた有機層を無水MgSO4で乾燥し、濾過して減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラム(8×4cm)上で精製した。3:7酢酸エチル-ヘキサンでの溶出により、鮮黄色固体として35を得た:収量2.95g(90%);シリカゲルTLC Rf0.57(3:7酢酸エチル-ヘキサン);1H NMR (DMSO-d6) δ 1.86 (s, 3H), 3.77 (s, 3H), 6.99 (d,
1H, J = 8.8 Hz), 7.18 (dd, 1H, J = 8.8 Hz, J = 2.4 Hz), 7.23 (d, 1H, J = 2.8 Hz), 7.66 (d, 1H, J = 8.8 Hz), 8.32 (dd, 1H, J = 9.0 Hz, J = 2.6 Hz), 8.88 (d, 1H,
J = 2.4 Hz) 及び 9.43 (br s, 1H);13C NMR (DMSO-d6) δ 22.8, 55.6, 117.7, 120.5, 121.0, 123.8, 127.5, 128.1, 129.2, 133.7, 144.05, 144.07, 145.6, 157.2 及び 168.7;質量スペクトル (APCI), m/z 364.0609 (M + H)+(C15H14N3O6Sは、m/z 364.0603を要する)。
【0152】
3-メトキシ-7-ニトロ-10H-フェノチアジン(36):2.95g(8.13mmol)の35の20mLのアセトン攪拌溶液に、還流下で0.91g(16.2mmol)のKOHを少量ずつ添加した。反応混合物を還流下でさらに3時間保持して、氷冷水中に注いだ。水層を、25mLの酢酸エチルで4回抽出した。合わせた有機層を無水MgSO4で乾燥し、濾過して減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラム(8×2cm)上で精製した。1:1酢酸エチル-ヘキサンでの溶出により、紫色固体として36を得た:収量2.00g(90%);シリカゲルTLC Rf0.43(3:7酢酸エチル-ヘキサン);1H NMR (CD3COCD3) δ 3.70 (s, 3H), 6.57-6.70 (m, 4H), 7.73 (d, 1H, J = 2.4 Hz), 7.81-7.84 (m, 1H) 及び 8.47 (br s, 1H);13C NMR (CD3COCD3) δ 55.0, 111.7, 113.0, 113.3, 116.1, 117.0, 117.2, 121.6, 124.2, 132.4, 141.5, 148.3 及び 156.6;質量スペクトル (APCI), m/z 275.0488 (M + H)+(C13H11N2O3Sは、m/z 275.0490を要する)。
【0153】
3-メトキシ-7-ニトロ-10H-フェノチアジン-10-カルボン酸tert-ブチル(37):1.42g(5.18mmol)の36の20mLの無水DMF溶液に、0℃で0.55g(13.7mmol)の60%NaHを添加した。反応混合物を0℃でさらに15分間攪拌し、2.40g(11.0mmol)の二炭酸ジ-tert-ブチル
を添加した。反応混合物を室温で4時間攪拌し、30mLの水でクエンチした。水層を、20mLの酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層を20mLのブラインで洗浄し、無水MgSO4で乾燥して減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラム(8×4cm)上で精製した。3:7酢酸エチル-ヘキサンでの溶出により、鮮黄色固体として37を得た:収量1.66g(86%);シリカゲルTLC Rf0.54(3:7酢酸エチル-ヘキサン);1H NMR (CD3COCD3) δ 1.54 (s, 9H), 3.86 (s, 3H), 6.97 (dd, 1H, J = 9.2 Hz, J = 2.8 Hz), 7.01 (d, 1H, J = 2.8 Hz), 7.47 (d, 1H, J = 9.2 Hz), 7.84 (d, 1H, J = 8.8 Hz), 8.20 (dd, 1H, J = 9.0 Hz, J =
2.6 Hz) 及び 8.24 (d, 1H, J = 2.4 Hz);13C
NMR (CD3COCD3) δ 29.2, 57.1, 84.3, 113.3, 115.6, 123.7, 124.1, 129.8, 130.0, 132.3, 133.1, 135.3, 146.9, 147.1, 153.2 及び 159.9;質量スペクトル (APCI), m/z 374.0932 (M + H)+(C18H19N2O5Sは、m/z 374.0936を要する)。
【0154】
3-アミノ-7-メトキシ-10H-フェノチアジン-10-カルボン酸tert-ブチル(38):0.42g(1.12mmol)の37の10mLのエタノール懸濁液に、10mgの10%Pd活性炭を添加した。反応混合物を室温で水素雰囲気(25psi)下において一晩攪拌した。反応混合物をセライトパッドに通して濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物(38)をさらに精製することなく次の反応に使用した。
【0155】
3-(ペンタデシルアミノ)-7-メトキシ-10H-フェノチアジン-10-カルボン酸tert-ブチル(39):2.11g(7.25mmol)の1-ブロモペンタデカンの3mLのアセトニトリルを、0.50g(約1.45mmol)の粗化合物38を含む2mLのアセトニトリルと1.55g(14.6mmol)のNa2CO3との混合物に添加した。反応混合物を窒素雰囲気下で封止し、80℃で約3日間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却して濾過した。濾液を減圧下で濃縮して、シリカゲルカラム上で精製した。1:9酢酸エチル-ヘキサンでの溶出により、淡黄色固体として化合物39を得た:収量0.14g(9%);シリカゲルTLC Rf0.31(1:9酢酸エチル-ヘキサン)1H NMR (CDCl3) δ 0.87 (t, 3H, J = 6.6
Hz), 1.25 ( br s, 24H), 1.45 (s, 9H), 1.52-1.57 (m, 2H), 3.04 (t, 2H, J = 7.2 Hz), 3.76 (s, 3H), 6.45 (dd, 1H, J = 8.6 Hz, J = 2.6 Hz), 6.50 (d, 1H, J = 2.8 Hz), 6.76 (dd, 1H, J = 8.8 Hz, J = 2.8 Hz), 6.83 (d, 1H, J = 2.8 Hz), 7.24 (d, 1H, J = 8.4 Hz) 及び 7.36 (d, 1H, J = 8.8 Hz);13C NMR (CDCl3) δ 14.2, 22.8, 27.2, 28.20, 28.27, 28.31, 28.4, 29.46, 29.5, 29.69, 29.70, 29.75, 29.8, 32.0, 44.2, 55.7, 81.4, 109.8, 111.65, 111.7, 112.8, 127.6, 127.8, 128.7, 132.5, 132.7, 133.3, 146.7, 153.3 及び 157.3;質量スペクトル (APCI), m/z 555.3629 (M + H)+(C33H51N2O3Sは、m/z 555.3620を要する)。
【0156】
3-(ブチルペンタデシルアミノ)-7-メトキシ-10H-フェノチアジン-10-カルボン酸tert-ブチル(40):0.11mL(0.14g、1.00mmol)
の1-ブロモブタンを、90.0mg(0.16mmol)の化合物39を含む2mLのアセトニトリルと0.17g(1.60mmol)のNa2CO3との混合物に添加した。反応混合物を窒素雰囲気下で封止し、80℃で約30時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却して濾過した。濾液を減圧下で濃縮した。粗物質をさらに精製することなく次のステップに使用した。
【0157】
7-(ブチルペンタデシルアミノ)-3H-フェノチアジン-3-オン(33)。0.48mL(0.48mmol)の1M BBr3のCH2Cl2を、100mg(約0.16mmol)の粗化合物40の2mLのCH2Cl2溶液に、-78℃で滴下した。反応混合物を周囲温度で一晩攪拌し、10mLの水でクエンチした。生成物を、10mLの酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機層を20mLのブラインで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥して減圧下で濃縮した。得られた紫色固体をシリカゲルカラム(7×2cm)上で精製した。3:7酢酸エチル-ヘキサンでの溶出により、紫色固体として33を得た:収量20mg(25%);シリカゲルTLC Rf0.50(1:4酢酸エチル-ヘキサン);1H NMR (CDCl3) δ 0.88 (t, 3H, J = 6.6 Hz), 1.00 (t, 3H, J = 7.2 Hz), 1.26-1.43 (m, 26H), 1.62-1.64 (m, 4H), 3.36-3.41 (m, 4H), 6.55 (d, 1H, J = 2.4 Hz), 6.71 (s, 1H), 6.79-6.85 (m, 2H), 7.57 (d, 1H, J = 9.6 Hz) 及び 7.68 (d, 1H, J = 9.2 Hz);13C NMR (CDCl3) δ 14.3, 22.8, 27.1, 27.5, 29.50, 29.53, 29.6, 29.7, 29.77, 29.79, 29.81, 29.83, 32.1, 51.5, 104.8, 113.3, 118.7, 128.7, 131.0, 132.4, 134.9,
136.0, 139.6, 140.0, 150.0 及び 182.4;質量スペクトル (APCI), m/z 495.3330 (M + H)+(C31H47N2OSは、m/z 495.3331を要する)。
【0158】
生物学的実施例1:生化学的かつ生物学的評価
細胞株及び培養条件
ヒトミトコンドリア病細胞株のフリードライヒ失調症リンパ球(GM15850)を、Coriell Cell Repositories(Camden,NJ)から入手した。リンパ球をRPMI-1640培地(Gibco,Life Technologies,Grand Island,NY)中で、15%ウシ胎児血清、2mMのグルタミン(HyClone,South Logan,UT)及び1%ペニシリン-ストレプトマイシン抗生物質補充物(Cellgro,Manassas,VA)と共に培養した。細胞を隔日で継代し、それらを対数期増殖で維持して、5~10×105細胞/mLの公称濃度で保持した。CoQ10欠損リンパ球細胞株(GM17932)をCoriell Cell Repositoriesから入手した。ミトコンドリア呼吸鎖内で機能するメチレンブルー類似体を同定するための栄養感受性スクリーニング戦略を使用し、ガラクトース含有培地中でCoQ10欠損またはFRDAリンパ球を増殖させることにより、解糖ではなく、主に酸化的リン酸化によってエネルギーを産生させた。1~4リンパ球をRPMI1640グルコース不含培地(Gibco,Grand Island,NY)中で、25mMのガラクトース、2mMのグルタミン及び1%ペニシリン-ストレプトマイシン、ならびに10%透析ウシ胎児血清(FBS)(<0.5μg/mL)(Gemini Bio-Product、ウェストサクラメント、カリフォルニア州)を補充して培養した。
【0159】
細胞傷害性アッセイ
メチレンブルー類似体の細胞傷害性及びミトコンドリア呼吸鎖内で機能するそれらの能
力についてのメチレンブルー類似体の評価を、調製した化合物をFRDAリンパ球と共に24または48時間インキュベートすることにより実施した。ガラクトースを唯一の糖源としてその中でFRDA細胞を培養することで栄養感受性スクリーニング戦略を使用することにより、、哺乳動物細胞に、ミトコンドリア酸化的リン酸化(OXPHOS)に依存させてそれらのATPを産生させ;それらはまた、グルコース培地中で増殖した細胞よりも、ミトコンドリア呼吸鎖阻害剤に対する感受性が高くなる。メチレンブルー類似体を、2色の蛍光アッセイ、すなわち、Live/Dead(登録商標)Viability/Cytotoxicity Kit(Molecular Probes)を用いた同時染色を使用して、FRDAリンパ球における類似体の細胞傷害性について試験した。このアッセイを使用して、細胞生存能の2つの認知されているパラメータ、すなわち、細胞内エステラーゼ活性及び原形質完全性を測定する。膜不透過性DNA色素のエチジウムホモダイマー-1(EthD-1)を使用して、原形質膜完全性が破壊された死細胞を同定した。膜透過性色素のカルセイン-AMを使用して、生細胞を標識した。この色素は、細胞内に浸透して細胞質エステラーゼにより代謝されて、生細胞内で保持される、蛍光性であるが膜不透過性のプローブになる。1mLのFRDAリンパ球細胞(5×105細胞)を、24ウェルプレートのグルコース不含培地(ガラクトース25mM)中に播種し、試験化合物で処理して、37℃で24時間または48時間、空気中に5%CO2を含有する加湿雰囲気中でインキュベートした。細胞を300×gで3分間の遠心分離により収集し、リン酸緩衝生理食塩水で洗浄した。細胞を、25mMのガラクトースを含有するリン酸緩衝生理食塩水中に再懸濁させた。細胞懸濁液を0.1μMのカルセインAM及び0.2μMのEthD-1で染色し、暗所において37℃で15分間インキュベートした。細胞を300×gで3分間の遠心分離により収集し、次いで、PBSで洗浄した。試料をフローサイトメトリー(C6 Accuri,BD Biosciences,San Jose,CA)により、488nmの励起レーザーならびにFL1-Hチャンネル530±15nm発光フィルター及びFL2-Hチャンネル585±15nmを使用して直ちに分析した。各分析では、10,000イベントを記録し、C6 Accuriソフトウェア(BD Biosciences)を使用して分析した。
【0160】
活性酸素種の抑制
メチレンブルー類似体が、グルタチオンの枯渇により誘導されたROSを抑制する能力をFRDAリンパ球細胞で評価した。細胞内ROSレベルを、非蛍光色素の2’,7’-ジクロロジヒドロフルオレセインジアセテート(DCFH-DA)からの高蛍光生成物2’,7’-ジクロロフルオレセイン(DCF)のROS誘導形成に基づいて測定した。簡潔に述べると、1mLのFRDAリンパ球(5×105細胞)を24ウェルプレートに播種し、試験化合物で処理して、37℃で16時間、空気中に5%CO2を含有する加湿雰囲気中でインキュベートした。細胞を5mMのマレイン酸ジエチル(DEM)で80分間処理して、300×gで3分間の遠心分離により収集し、次いで、リン酸緩衝生理食塩水(Life Technologies)で洗浄した。細胞を、20mMのグルコースを含有するPBS中に再懸濁させて、37℃で暗所において25分間、10μMのDCFH-DAと共にインキュベートした。細胞を300×gで3分間の遠心分離により収集し、次いで、PBSで洗浄した。試料をフローサイトメトリー(C6 Accuri,BD Biosciences,San Jose,CA)により、488nmの励起レーザー及びFL1-Hチャンネル530±15nm発光フィルターを使用して直ちに分析した。ROS、主に過酸化物の生成をDCFH酸化の結果として検出した。各分析では、細胞残屑を電子的に除外した後に10,000イベントを記録した。得られた結果は、実験を2回反復して実行し、独立して3回繰り返し実行することにより検証した。結果を、FRDA処理対照と比較して中央蛍光強度のパーセンテージとして表した。
【0161】
ミトコンドリア膜電位(Δψm)の保存
試験化合物が、ミトコンドリア内膜電位(Δψm)を脱分極化または維持する能力を、
JC-1プローブを使用して評価した。JC-1は、ミトコンドリア中で電位依存的蓄積を示すカチオン性色素である。JC-1は二重染料であり、これはJ凝集体(赤色蛍光)による高膜電位及びJモノマー(緑色蛍光)による低膜電位を同定し得る。Δψmが崩壊すると、試薬(JC-1)は、もはやミトコンドリア内部に蓄積することはなく;その代わりに、緑色の蛍光を発するモノマー形態で細胞サイトゾル全体に拡散する。JC-1を使用するミトコンドリア脱分極の検出を、以前に記載されたように(Arce et al.(2012)Bioorg.Med.Chem.20,5188)フローサイトメトリーにより行った。簡潔に述べると、FRDAリンパ球細胞(5×105細胞)を試験化合物で、またはそれなしで16時間前処理した。細胞を37℃で暗所において20分間、1μMのJC-1と共にインキュベートした。細胞を300×gで3分間の遠心分離により収集し、リン酸緩衝生理食塩水で洗浄した。細胞を、20mMのグルコースを補充したリン酸緩衝生理食塩水中に再懸濁させ、FACS(C6 Accuri,BD Biosciences,San Jose,CA)により、488nmの励起レーザーならびにFL1-Hチャンネル530±15nm発光フィルター及びFL2-Hチャンネル585±15nmを使用して直ちに分析した。各分析では、10,000イベントを記録し、C6 Accuriソフトウェア(BD Biosciences)を使用して分析した。FCCP(カルボニルシアニドp-トリフルオロメトキシフェニルヒドラゾン)というミトコンドリア脱共役剤を使用して陰性対照を作製した。
【0162】
細胞ATPレベル
ミトコンドリア呼吸鎖内で機能し、ATPを増加させるメチレンブルー類似体を同定するための栄養感受性スクリーニング戦略を、以前に記載されたように(Khdour et al.(2013)ACS Med.Chem.Lett.4,724)使用した。細胞内ATPレベルをグルコース不含培地中で測定した。細胞をガラクトース含有培地上で増殖させ、酸化的リン酸化によるATP産生を最大化したので、それらはグルコース培地上で増殖した細胞よりも、ミトコンドリア呼吸鎖阻害剤に対する感受性が高くなる。ピリミジノール類似体でこれまでに見出してきたような、培養細胞中で確実にATPレベルを増加させるこれらのいずれの化合物も同定されることはなかったが、さらなる研究のために検討されている類似体にはATP産生を有意に低下させたものは全くなく、それによってミトコンドリア毒素が回避されたことが検証された。簡潔に述べると、FRDAリンパ球(2×105細胞/mL)を、ガラクトースを補充したグルコース不含培地中に播種し(24ウェルプレート中に1mL)、試験化合物を用いて250、300、2500及び5000nMの最終濃度で処理して、次いで、37℃で24時間または48時間、空気中に5%CO2を含有する加湿雰囲気中でインキュベートした。ウェルを混合し、各ウェルの細胞を96ウェルマイクロタイター黒壁細胞培養プレート(Costar,Corning,NY)に移した(100μL)。総細胞内ATPレベルを、ルミネーター(Clarity(商標)発光マイクロプレートリーダー)中で、ATP Bioluminescence Assay Kit(ViaLight-Plus ATPモニタリング試薬キット、Lonza,Walkersville,MD)を製造業者のプロトコールに従って使用して測定した。総ATPレベルを未処理対照のパーセンテージとして表した。
【0163】
細胞保護
調製した化合物により付与された細胞保護をFRDAリンパ球中で、2色の蛍光アッセイ、すなわち、Live/Dead(登録商標)Viability/Cytotoxicity Kit(Molecular Probes)を用いた同時染色を使用して決定した。1mLのFRDAリンパ球細胞(5×105細胞)を、24ウェルプレートのグルコース不含培地(ガラクトース25mM)に播種し、試験化合物で処理して、37℃で4時間インキュベートした。細胞を50nMのロテノンで処理して、37℃で24時間または48時間、空気中に5%CO2を含有する加湿雰囲気中でインキュベートした。細胞
を300×gで3分間の遠心分離により収集し、リン酸緩衝生理食塩水で洗浄した。細胞を、25mMのガラクトースを含有するリン酸緩衝生理食塩水中に再懸濁させた。細胞懸濁液を0.1μMのカルセインAM及び0.2μMのEthD-1で染色し、暗所において37℃で15分間インキュベートした。細胞を300×gで3分間の遠心分離により収集し、次いで、PBSで洗浄した。試料をフローサイトメトリー(C6 Accuri,BD Biosciences,San Jose,CA)により、488nmの励起レーザーならびにFL1-Hチャンネル530±15nm発光フィルター及びFL2-Hチャンネル585±15nmを使用して直ちに分析した。各分析では、10,000イベントを記録し、C6 Accuriソフトウェア(BD Biosciences)を使用して分析した。
【0164】
NADHオキシダーゼ活性
呼吸鎖内における複合体I、III及びIVの活性に対するメチレンブルー類似体の効果を、以前に記載されているように、それらの各基質(NADH)の酸化中にウシ心臓ミトコンドリアを使用して評価した。簡潔に述べると、ウシ心臓ミトコンドリアの小規模調製物を以前に記載されたように(Smith,A.L(1967),Methods Enzymol.10,81)調製した。ウシ心臓亜ミトコンドリア粒子(SMP)を、Matsuno-Yagiによって記載されているように調製し、0.25Mのスクロース及び10mMのTris-HCl、pH7.4を含有する緩衝液中に-80℃で保存した(Matsuno-Yagi,A.;Hatefi,Y.J.(1985)J.Biol.Chem.260,11424)。SMPを0.5mg/mLに希釈した。ミトコンドリア複合体I、III、及びIV活性を30Cでアッセイし、Beckman Coulter DU-530(340nm、ε=6.22mM-1 cm-1)を使用して分光光度法によりモニターした。NADHオキシダーゼ活性を、2.5mLの総体積中において5mMのMgCl2を含有する50mMのHepes緩衝液、pH7.5中で判定した。最終ミトコンドリアタンパク質濃度は、30μg/mLであった。NADH酸化の初速度を記録したものの直線部分から算出した。
【0165】
NADH:ユビキノン酸化還元酵素活性(複合体I活性)
NADH-Q酸化還元酵素活性の阻害を、以前に記載されたものと同じ実験条件を使用して判定した。SMP(30μg/mL)を30℃で5分間、試験化合物と共に、0.25Mのスクロース、1mMのMgCl2、2μMのアンチマイシンA及び2mMのKCNを含有する1mLの50mMリン酸緩衝液、pH7.4中においてインキュベートした。75μMのNADH及び15μMのコエンザイムQ1の添加により、反応を開始させた。NADH吸光度の低下により測定した酵素活性を340nmでモニターした。
【0166】
インビトロSIRT3脱アセチル化活性
ミトコンドリア生体エネルギー学及びサーチュイン活性化に対する改変したメチレンブルー類似体の効果についてさらなる特徴付けを測定する。ミトコンドリアNAD+/NADH比は、サーチュイン活性化の重要な因子である。したがって、NAD+/NADH比の調節は、Sirt3阻害の結果としてFRDAで見られるミトコンドリア呼吸の障害(高アセチル化)を回復させるための有望な戦略であるように思われる。ウシ心臓亜ミトコンドリア粒子(SMP)における複合体I活性は、発光性アセチル化sirt3ペプチド基質(Chemilum de Lys HDAC/SIRT Kit)及びNADHを使用すると、組換えSIRT3(rSIRT3)活性と連動していた。補基質のNAD+を、ロテノンの存在下及び不在下においてNADHの酸化により生成した。
【0167】
フラタキシンタンパク質発現(ウェスタンブロット)
不死化した正常及びFRDAリンパ球細胞株を、500,000細胞/mL(5mL)でT-25フラスコ中に播種した。培養物を試験化合物で処理し、24時間インキュベー
トした。細胞を遠心分離により採取して生理食塩水緩衝液で洗浄し、次いで、200μLの溶解緩衝液(1%triton X-100、0.1%SDS、Tris-HCl(50Mm)pH7.4、150mMのNaCl、0.5%デオキシコール酸ナトリウム、0.1mMのEDTA)を使用して、プロテアーゼ阻害剤(プロテアーゼカクテル阻害剤(Roche Applied Science)及び1mMのフェニルメチルスルホニルフルオリド(Sigma)を用いて溶解し、氷上で30分間、定期的に混合しながらインキュベートした。これらの試料から、20,000×gで10分間、4℃での遠心分離により不溶性材料を除去した。総タンパク質濃度をBCAキット(Thermo Fisher Scientific)により測定した。NuPAGE LDS試料緩衝液(4X)及びNuPAGE還元剤(10X)を溶解物に添加し、それらを95℃で5分間変性させて、次いで、等量の溶解物(30mg)を免疫ブロット法に使用した。試料を、製造業者の推奨に従って4%~12%SDS-ポリアクリルアミドBis-Trisゲル(Invitrogen)上で分解し、次いで、タンパク質をニトロセルロース膜に転写した。非特異的結合を阻害するためにSuperblock-TBS(Thermo Fisher Scientific)で1時間ブロッキングした後、ブロットを抗フラタキシンモノクローナル抗体(5μg/mL)(18A5DB1)(Novex(登録商標))(Life technologies)を用いて一晩4℃でインキュベートし、FRDA及び正常リンパ球における内因性フラタキシンを検出した。TBSTでの5分、3回洗浄した後、ブロットを西洋ワサビペルオキシダーゼ結合二次抗ウサギ抗体IgG(Superblock-TBS中で1:10,000、Sigma)と共に室温で1時間インキュベートした。ブロットを5分間、TBSTで3回洗浄し、脱イオンH2Oですすいで、増強化学発光(ECL)(BioRad Chemi-Doc)を用いて、West Pico Chemiluminescent Substrate(Pierce Biotechnology)を使用して発現させた。
【0168】
本明細書に記載される実施例及び実施形態は、単に例示を目的とするものであり、それらを考慮した様々な修正または変更が当業者に示唆されることになり、本出願の趣旨及び範囲内ならびに添付の特許請求の範囲内に組み込まれるべきであると理解される。本明細書で引用された全ての刊行物、特許、及び特許出願は、あらゆる目的のために参照によって本明細書に組み込まれる。
【0169】
本発明の好ましい実施形態によれば、例えば、以下が提供される。
(項目1)
式:
【化27】
(式中、
Yは、=Oまたは=N
+R
4R
5X
-であり、式中、X
-は対イオンであり;
R
1は、水素、C
1~C
20アルキル、C
2~C
20アルケニル、C
2~C
20アルキニル、-OR
7、-SR
7、または-N(R
7)
2であり、各々がハロゲン、-CN、-NO
2、C
1~C
6アルキル、ハロ(C
1~C
6アルキル)、-OR
8、-NR
8
2、-CO
2R
8、-CONR
8
2、C
3~C
8シクロアルキル、C
3~C
8シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、及び複素環から選択される1~4つの置換基で場合により置換され、各シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、及び複素環は、1つ以上のR
9で場合により置換され;
各R
7は、独立して水素、C
1~C
6アルキル、またはハロ(C
1~C
6アルキル)であり;
各R
8は、独立して水素、C
1~C
6アルキル、ハロ(C
1~C
6アルキル)、C
3~C
8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、アリール(C
1~C
6アルキル)、C
3~C
8シクロアルキル(C
1~C
6アルキル)、アリール(C
1~C
6アルキル)、ヘテロアリール(C
1~C
6アルキル)、または複素環(C
1~C
6アルキル)であり、各シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及び複素環は、1つ以上のR
9で場合により置換され;
各R
9は、独立してハロゲン、-CN、-NO
2、-N
3、C
1~C
6アルキル、ハロ(C
1~C
6アルキル)、C
1~C
6アルコキシ、アミノ、C
1~C
6アルキルアミノ、またはジC
1~C
6アルキルアミノであり;
R
2は、-N(R
12)
2であり、R
12基は、それらが結合している窒素と共に、1つ以上のR
9で場合により置換された複素環を形成し;
R
3は、水素、C
1~C
20アルキル、C
2~C
20アルケニル、C
2~C
20アルキニル、または-OR
7であり、各々がハロゲン、-CN、-NO
2、C
1~C
6アルキル、ハロ(C
1~C
6アルキル)、-OR
8、-NR
8
2、-CO
2R
8、-CONR
8
2、C
3~C
8シクロアルキル、C
3~C
8シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、及び複素環から選択される1~4つの置換基で場合により置換され、各シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、及び複素環は、R
9で場合により置換され;
R
4及びR
5は、それらが結合している前記窒素と共に、1つ以上のR
9で場合により置換された複素環を形成し;
各R
6は、水素、C
1~C
20アルキル、C
2~C
20アルケニル、C
2~C
20アルキニル、C
3~C
8シクロアルキル、C
3~C
8シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、複素環、-OR
10、または-N(R
11)
2であり、各アルキル、アルケニル、及びアルキニルは、ハロゲン、-CN、-NO
2、C
1~C
6アルキル、ハロ(C
1~C
6アルキル)、-OR
8、-NR
8
2、-CO
2R
8、-CONR
8
2、R
9で場合により置換されたC
3~C
8シクロアルキル、R
9で場合により置換されたC
3~C
8シクロアルケニル、R
9で場合により置換されたアリール、R
9で場合により置換されたヘテロアリール、及びR
9で場合により置換された複素環から選択される1~4つの置換基で場合により置換され;
R
10は、C
1~C
6アルキル、ハロ(C
1~C
6アルキル)、C
3~C
8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、アリール(C
1~C
6アルキル)、C
3~C
8シクロアルキル(C
1~C
6アルキル)、アリール(C
1~C
6アルキル)、ヘテロアリール(C
1~C
6アルキル)、または複素環(C
1~C
6アルキル)であり、各シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及び複素環は、R
9で場合により置換され;
各R
11は、独立して水素、C
1~C
20アルキル、C
2~C
20アルケニル、またはC
2~C
20アルキニルである)
の化合物。
(項目2)
R
1が、水素、場合により置換されたC
1~C
20アルキル、場合により置換されたC
2~C
20アルケニル、場合により置換されたC
2~C
20アルキニル、または-OR
7である、項目1に記載の化合物。
(項目3)
R
1が水素である、項目2に記載の化合物。
(項目4)
R
1が、場合により置換されたC
1~C
20アルキルである、項目2に記載の化合物。(項目5)
R
1が、-OR
8、C
3~C
8シクロアルキル、C
3~C
8シクロアルケニル、またはアリールで場合により置換されたC
1~C
20アルキルであり、各シクロアルキル、シク
ロアルケニル、及びアリールが、R
9で場合により置換される、項目4に記載の化合物。(項目6)
R
1が、C
3~C
8シクロアルキル、C
3~C
8シクロアルケニル、またはアリールで場合により置換されたC
1~C
20アルキルであり、各シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアリールが、R
9で場合により置換される、項目5に記載の化合物。
(項目7)
R
1が-OR
7であり、R
7がC
1~C
6アルキルである、項目2に記載の化合物。
(項目8)
R
2が、ピペラジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピロリジニル、アゼパニル、またはジアゼパニルであり、各々が1つ以上のR
9で場合により置換される、項目1~7のいずれか1項に記載の化合物。
(項目9)
R
2が、1つ以上のR
9で場合により置換されたピペリジニルである、項目1~7のいずれか1項に記載の化合物。
(項目10)
R
2が非置換ピペリジニルである、項目9に記載の化合物。
(項目11)
R
2が、1つ以上のR
9で場合により置換されたモルホリニルである、項目1~7のいずれか1項に記載の化合物。
(項目12)
R
2が非置換モルホリニルである、項目11に記載の化合物。
(項目13)
R
3が、水素、場合により置換されたC
1~C
20アルキル、または-OR
7である、項目1~12のいずれか1項に記載の化合物。
(項目14)
R
3が水素である、項目13に記載の化合物。
(項目15)
R
3が、場合により置換されたC
1~C
20アルキルである、項目13に記載の化合物。
(項目16)
R
3が、-OR
8、C
3~C
8シクロアルキル、C
3~C
8シクロアルケニル、またはアリールで場合により置換されたC
1~C
20アルキルであり、各シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアリールが、R
9で場合により置換される、項目15に記載の化合物。
(項目17)
R
3が、C
3~C
8シクロアルキル、C
3~C
8シクロアルケニル、またはアリールで場合により置換されたC
1~C
20アルキルであり、各シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアリールが、R
9で場合により置換される、項目16に記載の化合物。
(項目18)
R
3が、非置換C
1~C
20アルキルである、項目16に記載の化合物。
(項目19)
R
3が、-OR
8、C
3~C
8シクロアルキル、C
3~C
8シクロアルケニル、またはアリールで場合により置換されたC
5~C
20アルキルであり、各シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアリールが、R
9で場合により置換される、項目15に記載の化合物。
(項目20)
R
3が、C
3~C
8シクロアルキル、C
3~C
8シクロアルケニル、またはアリールで場合により置換されたC
5~C
20アルキルであり、各シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアリールが、R
9で場合により置換される、項目19に記載の化合物。
(項目21)
R
3が、非置換C
5~C
20アルキルである、項目19に記載の化合物。
(項目22)
R
3が、-OR
8、C
3~C
8シクロアルキル、C
3~C
8シクロアルケニル、またはアリールで場合により置換されたC
7~C
20アルキルであり、各シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアリールが、R
9で場合により置換される、項目15に記載の化合物。
(項目23)
R
3が、C
3~C
8シクロアルキル、C
3~C
8シクロアルケニル、またはアリールで場合により置換されたC
7~C
20アルキルであり、各シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアリールが、R
9で場合により置換される、項目22に記載の化合物。
(項目24)
R
3が、非置換C
7~C
20アルキルである、項目22に記載の化合物。
(項目25)
R
3が、-OR
8、C
3~C
8シクロアルキル、C
3~C
8シクロアルケニル、またはアリールで場合により置換されたC
10~C
20アルキルであり、各シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアリールが、R
9で場合により置換される、項目15に記載の化合物。
(項目26)
R
3が、C
3~C
8シクロアルキル、C
3~C
8シクロアルケニル、またはアリールで場合により置換されたC
10~C
20アルキルであり、各シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアリールが、R
9で場合により置換される、項目25に記載の化合物。
(項目27)
R
3が、非置換C
10~C
20アルキルである、項目25に記載の化合物。
(項目28)
R
3がヘプタデシルである、項目15に記載の化合物。
(項目29)
R
3が-OR
7であり、R
7がC
1~C
6アルキルである、項目13に記載の化合物。(項目30)
Yが=Oである、項目1~29のいずれか1項に記載の化合物。
(項目31)
Yが=N
+R
4R
5X
-である、項目1~29のいずれか1項に記載の化合物。
(項目32)
R
4が、場合により置換されたC
1~C
20アルキルである、項目31に記載の化合物。
(項目33)
R
4が、C
1~C
6アルキルである、項目32に記載の化合物。
(項目34)
R
5が、場合により置換されたC
1~C
20アルキルである、項目31に記載の化合物。
(項目35)
R
5が、C
1~C
6アルキルである、項目34に記載の化合物。
(項目36)
R
4及びR
5が、それらが結合している窒素と共に、ピペラジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピロリジニル、アゼパニル、またはジアゼパニルを形成し、各々が1つ以上のR
9で場合により置換される、項目31に記載の化合物。
(項目37)
R
4及びR
5が、それらが結合している窒素と共に、1つ以上のR
9で場合により置換されたピペリジニルを形成する、項目36に記載の化合物。
(項目38)
R
4及びR
5が、それらが結合している窒素と共に、非置換ピペリジニルを形成する、
項目36に記載の化合物。
(項目39)
R
4及びR
5が、それらが結合している窒素と共に、1つ以上のR
9で場合により置換されたモルホリニルを形成する、項目36に記載の化合物。
(項目40)
R
4及びR
5が、それらが結合している窒素と共に、非置換モルホリニルを形成する、項目36に記載の化合物。
(項目41)
X
-がハロゲンであるか、またはX
-がI
-である、項目31~40のいずれか1項に記載の化合物。
(項目42)
R
6が、水素、場合により置換されたC
1~C
20アルキル、または-N(R
11)
2である、項目1~41のいずれか1項に記載の化合物。
(項目43)
R
6が、水素または場合により置換されたC
1~C
20アルキルである、項目1~41のいずれか1項に記載の化合物。
(項目44)
R
6が水素である、項目43に記載の化合物。
(項目45)
R
6が、-OR
8、C
3~C
8シクロアルキル、C
3~C
8シクロアルケニル、またはアリールで場合により置換されたC
1~C
20アルキルであり、各シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアリールが、R
9で場合により置換される、項目43に記載の化合物。
(項目46)
R
6が、C
3~C
8シクロアルキル、C
3~C
8シクロアルケニル、またはアリールで場合により置換されたC
1~C
20アルキルであり、各シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアリールが、R
9で場合により置換される、項目45に記載の化合物。
(項目47)
R
6が、-N(R
11)
2である、項目1~41のいずれか1項に記載の化合物。
(項目48)
各R
11が、独立して水素またはC
1~C
20アルキルである、項目47に記載の化合物。
(項目49)
各R
11が、独立して水素またはC
1~C
6アルキルである、項目47に記載の化合物。
(項目50)
各R
11が、独立してC
1~C
6アルキルである、項目47に記載の化合物。
(項目51)
各R
11が、独立してメチルである、項目47に記載の化合物。
(項目52)
R
6が-OR
10であり、R
10が、R
9で場合により置換されたC
1~C
6アルキルである、項目1~41のいずれか1項に記載の化合物。
(項目53)
R
6が-OR
10であり、R
10が、アリールまたはアリール(C
1~C
6アルキル)であり、各アリールがR
9で場合により置換される、項目1~41のいずれか1項に記載の化合物。
(項目54)
【化28-1】
【化28-2】
【化28-3】
である、項目1に記載の化合物。
(項目55)
式:
【化29】
(式中、
X
-は、対イオンであり;
R
1は、水素、C
1~C
20アルキル、C
2~C
20アルケニル、C
2~C
20アルキニル、-OR
7、-SR
7、-NHR
7、または-N(R
7)
2であり、各々がハロゲン、-CN、-NO
2、C
1~C
6アルキル、ハロ(C
1~C
6アルキル)、-OR
8、-NR
8
2、-CO
2R
8、-CONR
8
2、C
3~C
8シクロアルキル、C
3~C
8シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、及び複素環から選択される1~4つの置換基で場合により置換され、各シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、及び複素環は、1つ以上のR
9で場合により置換され;
各R
7は、独立して水素、C
1~C
6アルキル、またはハロ(C
1~C
6アルキル)であり;
各R
8は、独立して水素、C
1~C
6アルキル、ハロ(C
1~C
6アルキル)、C
3~C
8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、アリール(C
1~C
6アルキル)、C
3~C
8シクロアルキル(C
1~C
6アルキル)、アリール(C
1~C
6アルキル)、ヘテロアリール(C
1~C
6アルキル)、または複素環(C
1~C
6アルキル)であり、各シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及び複素環は、1つ以上のR
9で場合により置換され;
各R
9は、独立してハロゲン、-CN、-NO
2、-N
3、C
1~C
6アルキル、ハロ(C
1~C
6アルキル)、C
1~C
6アルコキシ、アミノ、C
1~C
6アルキルアミノ、またはジC
1~C
6アルキルアミノであり;
R
2及びR
6は、独立して-N(R
11)
2であり;
各R
11は、独立して水素、C
1~C
20アルキル、C
2~C
20アルケニル、またはC
2~C
20アルキニルであり;
R
3は、水素、C
1~C
20アルキル、C
2~C
20アルケニル、C
2~C
20アルキニル、または-OR
7であり、各々がハロゲン、-CN、-NO
2、C
1~C
6アルキル、ハロ(C
1~C
6アルキル)、-OR
8、-NR
8
2、-CO
2R
8、-CONR
8
2、C
3~C
8シクロアルキル、C
3~C
8シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、及び複素環から選択される1~4つの置換基で場合により置換され、各シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、及び複素環は、R
9で場合により置換され;
R
4及びR
5は、独立してC
1~C
20アルキル、C
2~C
20アルケニル、またはC
2
~C
20アルキニルであり、各々がハロゲン、-CN、-NO
2、C
1~C
6アルキル、ハロ(C
1~C
6アルキル)、-OR
8、-NR
8
2、-CO
2R
8、-CONR
8
2、C
3~C
8シクロアルキル、C
3~C
8シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、及び複素環から選択される1~4つの置換基で場合により置換され、各シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、及び複素環は、R
9で場合により置換され;
R
10は、C
1~C
6アルキル、ハロ(C
1~C
6アルキル)、C
3~C
8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、アリール(C
1~C
6アルキル)、C
3~C
8シクロアルキル(C
1~C
6アルキル)、アリール(C
1~C
6アルキル)、ヘテロアリール(C
1~C
6アルキル)、または複素環(C
1~C
6アルキル)であり、各シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及び複素環は、R
9で場合により置換され;
R
7は、水素または-N(R
11)
2である)
の化合物。
(項目56)
R
1が、水素、場合により置換されたC
1~C
20アルキル、場合により置換されたC
2~C
20アルケニル、場合により置換されたC
2~C
20アルキニル、または-OR
7である、項目55に記載の化合物。
(項目57)
R
1が水素である、項目56に記載の化合物。
(項目58)
R
1が、場合により置換されたC
1~C
20アルキルである、項目56に記載の化合物。
(項目59)
R
1が、-OR
8、C
3~C
8シクロアルキル、C
3~C
8シクロアルケニル、またはアリールで場合により置換されたC
1~C
20アルキルであり、各シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアリールが、R
9で場合により置換される、項目56に記載の化合物。
(項目60)
R
1が、C
3~C
8シクロアルキル、C
3~C
8シクロアルケニル、またはアリールで場合により置換されたC
1~C
20アルキルであり、各シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアリールが、R
9で場合により置換される、項目56に記載の化合物。
(項目61)
R
1が-OR
7であり、R
7がC
1~C
6アルキルである、項目55に記載の化合物。(項目62)
R
2が、-N(R
11)
2であり、各R
11が、独立してC
1~C
20アルキル、C
2~C
20アルケニル、またはC
2~C
20アルキニルである、項目55~61のいずれか1項に記載の化合物。
(項目63)
R
2が、-N(R
11)
2であり、各R
11が、独立してC
1~C
6アルキル、C
2~C
6アルケニル、またはC
2~C
6アルキニルである、項目55~61のいずれか1項に記載の化合物。
(項目64)
R
2が、-N(R
11)
2であり、各R
11が、独立してC
1~C
20アルキルである、項目55~61のいずれか1項に記載の化合物。
(項目65)
各R
11が、独立してC
1~C
6アルキルである、項目64に記載の化合物。
(項目66)
R
2が、-N(CH
3)
2である、項目55~61のいずれか1項に記載の化合物。
(項目67)
R
3が、水素、場合により置換されたC
1~C
20アルキル、または-OR
7である、
項目55~66のいずれか1項に記載の化合物。
(項目68)
R
3が水素である、項目67に記載の化合物。
(項目69)
R
3が、場合により置換されたC
1~C
20アルキルである、項目67に記載の化合物。
(項目70)
R
3が、-OR
8、C
3~C
8シクロアルキル、C
3~C
8シクロアルケニル、またはアリールで場合により置換されたC
1~C
20アルキルであり、各シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアリールが、R
9で場合により置換される、項目67に記載の化合物。
(項目71)
R
3が、C
3~C
8シクロアルキル、C
3~C
8シクロアルケニル、またはアリールで場合により置換されたC
1~C
20アルキルであり、各シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアリールが、R
9で場合により置換される、項目67に記載の化合物。
(項目72)
R
3が、非置換C
1~C
20アルキルである、項目67に記載の化合物。
(項目73)
R
3が、-OR
8、C
3~C
8シクロアルキル、C
3~C
8シクロアルケニル、またはアリールで場合により置換されたC
5~C
20アルキルであり、各シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアリールが、R
9で場合により置換される、項目67に記載の化合物。
(項目74)
R
3が、C
3~C
8シクロアルキル、C
3~C
8シクロアルケニル、またはアリールで場合により置換されたC
5~C
20アルキルであり、各シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアリールが、R
9で場合により置換される、項目67に記載の化合物。
(項目75)
R
3が、非置換C
5~C
20アルキルである、項目67に記載の化合物。
(項目76)
R
3が、-OR
8、C
3~C
8シクロアルキル、C
3~C
8シクロアルケニル、またはアリールで場合により置換されたC
7~C
20アルキルであり、各シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアリールが、R
9で場合により置換される、項目67に記載の化合物。
(項目77)
R
3が、C
3~C
8シクロアルキル、C
3~C
8シクロアルケニル、またはアリールで場合により置換されたC
7~C
20アルキルであり、各シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアリールが、R
9で場合により置換される、項目67に記載の化合物。
(項目78)
R
3が、非置換C
7~C
20アルキルである、項目67に記載の化合物。
(項目79)
R
3が、-OR
8、C
3~C
8シクロアルキル、C
3~C
8シクロアルケニル、またはアリールで場合により置換されたC
10~C
20アルキルであり、各シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアリールが、R
9で場合により置換される、項目67に記載の化合物。
(項目80)
R
3が、C
3~C
8シクロアルキル、C
3~C
8シクロアルケニル、またはアリールで場合により置換されたC
10~C
20アルキルであり、各シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアリールが、R
9で場合により置換される、項目67に記載の化合物。
(項目81)
R
3が、非置換C
10~C
20アルキルである、項目67に記載の化合物。
(項目82)
R
3がヘプタデシルである、項目67に記載の化合物。
(項目83)
R
3が-OR
7であり、R
7がC
1~C
6アルキルである、項目67に記載の化合物。(項目84)
R
6が、-N(R
11)
2であり、各R
11が、独立して水素またはC
1~C
20アルキルである、項目55~83のいずれか1項に記載の化合物。
(項目85)
各R
11が、独立してC
1~C
20アルキルである、項目84に記載の化合物。
(項目86)
各R
11が、独立してC
1~C
6アルキルである、項目84に記載の化合物。
(項目87)
R
6が、-N(CH
3)
2である、項目55~83のいずれか1項に記載の化合物。
(項目88)
R
4が、場合により置換されたC
1~C
20アルキルである、項目55~87のいずれか1項に記載の化合物。
(項目89)
R
4が、非置換C
1~C
20アルキルである、項目88に記載の化合物。
(項目90)
R
4が、場合により置換されたC
1~C
6アルキルである、項目55~87のいずれか1項に記載の化合物。
(項目91)
R
4が、非置換C
1~C
6アルキルである、項目90に記載の化合物。
(項目92)
R
4がメチルである、項目55~87のいずれか1項に記載の化合物。
(項目93)
R
5が、場合により置換されたC
1~C
20アルキルである、項目55~92のいずれか1項に記載の化合物。
(項目94)
R
5が、非置換C
1~C
20アルキルである、項目93に記載の化合物。
(項目95)
R
5が、場合により置換されたC
1~C
6アルキルである、項目55~92のいずれか1項に記載の化合物。
(項目96)
R
5が、非置換C
1~C
6アルキルである、項目95に記載の化合物。
(項目97)
R
5がメチルである、項目55~92のいずれか1項に記載の化合物。
(項目98)
X
-がハロゲンであるか、またはX
-がI
-である、項目55~97のいずれか1項に記載の化合物。
(項目99)
R
7が水素である、項目55~98のいずれか1項に記載の化合物。
(項目100)
R
7が、-N(CH
3)
2である、項目55~98のいずれか1項に記載の化合物。
(項目101)
【化30】
である、項目55に記載の化合物。
(項目102)
【化31-1】
【化31-2】
である、化合物。
(項目103)
項目1~102のいずれか1項に記載の化合物と、許容される担体、賦形剤及び/または希釈剤とを含む、医薬組成物。
(項目104)
ATP産生の減少及び/または酸化ストレス及び/または脂質過酸化をもたらすミトコンドリア機能の低下と関連する疾患の処置方法または抑制方法であって、このような処置を必要とする対象に、有効量の項目1~102のいずれか1項に記載の1種以上の化合物を投与することを含む、前記方法。
(項目105)
前記疾患が、フリードライヒ失調症、レーベル遺伝性視神経症、カーンズ-セイヤー症候群、ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様発作症候群、リー症候群、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、アルツハイマー病及びパーキンソン病からなる群から選択される、項目104に記載の方法。
(項目106)
前記疾患が、フリードライヒ失調症である、項目104に記載の方法。
(項目107)
呼吸鎖障害を伴うミトコンドリアの処置方法または保護方法であって、このような処置を必要とする対象に、有効量の項目1~102のいずれか1項に記載の1種以上の化合物を投与することを含む、前記方法。