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  • 特開-接着性フィルム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022141897
(43)【公開日】2022-09-29
(54)【発明の名称】接着性フィルム
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/30 20180101AFI20220921BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
C09J7/30
C09J201/00
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022118097
(22)【出願日】2022-07-25
(62)【分割の表示】P 2020143797の分割
【原出願日】2017-08-08
(31)【優先権主張番号】62/376,760
(32)【優先日】2016-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500149223
【氏名又は名称】サン-ゴバン パフォーマンス プラスティックス コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カイル・ジェイ・キラム
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・ビー・マクドナルド
(72)【発明者】
【氏名】ニルマル・パテル
(72)【発明者】
【氏名】フェイ・ワン
(72)【発明者】
【氏名】ドナルド・ジェイ・ボードリー
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・ジア
(57)【要約】      (修正有)
【課題】比較的低い接合温度と比較的高い耐熱性をもつ接着性フィルムを提供する。
【解決手段】接着性フィルム10は、バリア層20と接着剤層30とを含むことができる。一実施形態では、バリア層は、少なくとも230℃の溶融温度を有することができ、接着剤層は200℃以下の溶融温度を有することができる。一実施形態では、物品は、基材に接合された接着性フィルムを含むことができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着性フィルムであって、
少なくとも230℃の溶融温度を有するポリマーバリア層と、
200℃以下の溶融温度を有するポリアミド接着剤層と、を含む、接着性フィルム。
【請求項2】
接着性フィルムであって、
ポリマーバリア層と、
ポリマー接着剤層と、を含み、
前記接着性フィルムが、200℃以下の接合性能温度および少なくとも230℃の耐熱
温度を有する、接着性フィルム。
【請求項3】
前記接合性能温度が少なくとも170℃である、請求項1または請求項2に記載の接着
性フィルム。
【請求項4】
前記ポリマーバリア層が、高密度バリア層である、請求項1または請求項2に記載の接
着性フィルム。
【請求項5】
前記ポリマーバリア層が、ポリマー、熱可塑性ポリマー、またはフルオロポリマーもし
くはポリアミドのうちの少なくとも1つを含む、請求項1または請求項2に記載の接着性
フィルム。
【請求項6】
前記ポリマーバリア層が、少なくとも250℃の溶融温度を有する、請求項1または請
求項2に記載の接着性フィルム。
【請求項7】
前記バリア層が、少なくとも0.05mmかつ0.25mm以下の厚さを有する、請求
項1または請求項2に記載の接着性フィルム。
【請求項8】
前記ポリマーバリア層のヤング率が、少なくとも0.1GPaかつ最大で12GPaで
ある、請求項1または請求項2に記載の接着性フィルム。
【請求項9】
前記ポリマーバリア層が、均一な断面を有する、請求項1または請求項2に記載の接着
性フィルム。
【請求項10】
前記ポリマー接着剤層が、前記ポリマーバリア層と直接接触している、請求項1または
請求項2に記載の接着性フィルム。
【請求項11】
前記ポリマー接着剤層が、ポリアミド、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、ポリオレフ
ィン、ポリウレタン、スチレンブロックコポリマー、フルオロポリマー、またはそれらの
任意の組み合わせを含む、請求項1または請求項2に記載の接着性フィルム。
【請求項12】
物品であって、
基材層と、
請求項1または請求項2に記載の接着性フィルムと、を含む、物品。
【請求項13】
前記基材層および前記接着性フィルムのヤング率が、前記基材層単独のヤング率よりも
高い、請求項12に記載の物品。
【請求項14】
前記基材層が、フィルム、織布、または不織布を含む、請求項12に記載の物品。
【請求項15】
前記基材層が、ポリマー、もしくは熱可塑性ポリマー、またはポリアミドを含む、請求
項14に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は接着性フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
改良された接着性フィルムが必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0003】
実施形態は、例示のために示されるものであり、添付の図面に限定されない。
【0004】
図1】本明細書に記載の実施形態による接着性フィルムの図を含む。
図2】本明細書に記載の実施形態による接着性フィルムを含む物品の図を含む。
図3】本明細書に記載の実施形態による、ジッパーテープを覆う接着性フィルムを含む物品の図を含む。
【0005】
図中の要素は、単純にするため、かつ明確にするために例示されるものであり、必ずし
も縮尺通りに描かれているわけではないことが、当業者に理解される。例えば、図中の要
素のうちのいくつかの寸法は、本発明の実施形態の理解の向上に役立つように他の要素と
比べて誇張されている場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下の説明は、図と組み合わせて、本明細書において開示される教示の理解を助けるた
めに提供される。以下の考察は、教示の特定の実装形態および実施形態に焦点を合わせる
。この焦点は、教示の説明を助けるために提供され、教示の範囲または適用性を限定する
ものとして解釈されるべきではない。しかしながら、本出願において開示される教示に基
づいて、他の実施形態が使用されてもよい。
【0007】
本明細書で使用されるとき、溶融温度という用語は、ASTM D3418-15に従
って、示差走査熱量測定(「DSC」)を使用して決定される溶融温度を指す。
【0008】
用語「備える(comprises)」、「備える(comprising)」、「含
む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、
「有する(having)」、またはこれらの任意の他の変形は、非排他的包含を網羅す
ることが意図される。例えば、特長の列挙を含む方法、物品、または装置は、必ずしもそ
れらの特長のみに限定されるわけではないが、明確には列挙されていないか、またはかか
る方法、物品、もしくは装置に固有である他の特長を含んでもよい。さらに、そうではな
いと明確に記載されない限り、「または」は、包含的論理和を指し、排他的論理和を指す
ものではない。例えば、条件AまたはBは、以下のうちのいずれか1つよって満たされる
:Aが真であり(または存在し)かつBが偽である(または存在しない)、Aが偽であり
(または存在しない)かつBが真である(または存在する)、およびAとBの両方が真で
ある(または存在する)。
【0009】
また、「a」または「an」の使用は、本明細書に説明される要素および構成要素を説
明するために用いられる。これは、単に便宜性のために、また本発明の範囲の一般的な意
味を付与するために行われる。この説明は、それがそうではないように意味されることが
明白でない限り、1つ、少なくとも1つ、または複数形もまた含むような単数形を含むよ
うに読まれるべきであり、逆も同様である。例えば、単一の項目が本明細書に説明される
場合、複数の項目が単数の項目の代わりに使用されてもよい。同様に、複数の項目が本明
細書に説明されるとき、単数の項目がその複数の項目に置き換えられてもよい。
【0010】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発
明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。材料、
方法、および例は、単に例示的なものであり、限定的であることを意図しない。本明細書
に記載されていない範囲で、特定の材料および加工行為に関する多くの詳細は従来通りで
あり、教科書および接着性フィルム業界の他の出典に見出すことができる。
【0011】
本明細書に記載の接着性フィルムは、比較的低い接合温度と比較的高い耐熱性との組み
合わせを示すことができる。概念は、本発明の範囲を示し、かつ限定しない、後述の実施
形態の観点からより良く理解される。
【0012】
図1に示すように、接着性フィルム10は、バリア層20と、バリア層20を覆う接着
剤層30と、を含む2つの層を有することができる。一実施形態では、接着剤層は、耐熱
層よりも低い接合温度を有することができる。
【0013】
バリア層は、難燃性、耐熱性、耐放射線性、引裂抵抗、耐パンク性、握りのための追加
の支持体、下にある基材の剛性の向上、またはそれらの任意の組み合わせなどのバリア性
を接着性フィルムに提供することができる。特定の実施形態では、バリア層は、接着性フ
ィルムに、260℃の温度で少なくとも5分間の耐熱性を付与することができる。
【0014】
一実施形態では、バリア層は、高温バリア層とすることができる。バリア層の溶融温度
が上昇するにつれて、バリア層は、高温環境によりよく耐えることができる。例えば、バ
リア層は、少なくとも230℃、または少なくとも240℃、または少なくとも250℃
、または少なくとも260℃の溶融温度を有する材料から形成することができる。接着性
フィルムが本明細書に記載の高温試験に合格する必要がある特定の実施形態では、バリア
層は、少なくとも270℃、または少なくとも280℃、または少なくとも290℃の融
解温度を有する材料で形成することができる。一実施形態では、バリア層は、最大500
℃、最大450℃、または最大400℃の溶融温度を有することができる。
【0015】
一実施形態では、バリア層は、膨張した多孔質層とは対照的に、高密度バリア層であり
得る。バリア層の密度が増加するにつれて、バリア層は、高温環境において接着剤層をよ
り良く含むことができる。例えば、バリア層は、1立方センチメートル当たり少なくとも
1グラム(g/cm)、または少なくとも1.5g/cm、または少なくとも2g/
cmの密度を有することができる。一実施形態では、バリア層の密度は、最大3g/c
であり得る。特定の実施形態では、バリア層は、焼結バリア層である。
【0016】
一実施形態では、バリア層は、接着剤層と比べて相対的に高いヤング率を有することが
できる。バリア層のヤング率が低すぎると、バリア層は適切なバリア特性を提供すること
ができない可能性がある。例えば、バリア層は、25℃の温度で、少なくとも0.1GP
a、または少なくとも0.3GPa、または少なくとも0.5GPaのヤング率を有する
ことができる。バリアのヤング率が高すぎると、接着性フィルムの特定の用途によっては
、バリア層が適切な可撓性を与えないことがある。一実施形態では、バリア層は、最大1
2GPa、または最大11GPa、または最大10GPaのヤング率を有することができ
る。
【0017】
一実施形態では、バリア層は、ポリマーを含むことができる。ポリマーは、熱可塑性ポ
リマー、熱硬化性ポリマー、またはそれらの組み合わせを含み得る。特定の実施形態では
、ポリマーは、フルオロポリマー、窒素含有ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポ
リスルホン、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0018】
フルオロポリマーは、パーフルオロポリマーを含むことができる。フルオロポリマーは
、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマー、またはテトラフルオロエチレン、ヘキサフ
ルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニリ
デン、フッ化ビニル、ペルフルオロプロピルビニルエーテル、ペルフルオロメチルビニル
エーテル、のようなモノマーから形成されるポリマー混成物またはそれらの任意の組み合
わせを含み得る。特定の実施形態では、フルオロポリマーは、ポリテトラフルオロエチレ
ン(PTFE)を含む。さらなる例示的なフルオロポリマーは、フッ素化エチレンプロピ
レンコポリマー(FEP)、テトラフルオロエチレンとペルフルオロプロピルビニルエー
テル(PFA)とのコポリマー、テトラフルオロエチレンとペルフルオロメチルビニルエ
ーテル(MFA)とのコポリマー、エチレンとテトラフルオロエチレンのコポリマー(E
TFE)、エチレンとクロロトリフルオロエチレンのコポリマー(ECTFE)、ポリク
ロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラ
フルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、およびフッ化ビニリデン(THV)を含
むターポリマー、または任意の混成物またはそれらの合金を含み得る。例示的なフルオロ
ポリマーフィルムは、削り取るかまたは押し出すことができる。
【0019】
一実施形態では、窒素含有ポリマーは、ポリアミド、繰り返しアミドを含有するポリマ
ーを含むことができる。ポリアミドは、脂肪族ポリアミド、半芳香族ポリアミド、芳香族
ポリアミド、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。特定の実施形態では、脂肪族
ポリアミドは、例えば、ポリアミド66、ポリアミド46、またはそれらの任意の組み合
わせを含むことができる。特定の実施形態では、半芳香族ポリアミドは、例えばポリアミ
ド6T(「T」はテレフタル酸を指す)などのポリフタルアミド、ポリアミド6T/66
、ポリアミド6T/DT、ポリアミド6T/6I(ここで「I」はイソフタル酸を指す)
、ポリアミド6T/6I/66またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0020】
一実施形態では、ポリエステルは、脂肪族ポリエステル、半芳香族ポリエステル、芳香
族ポリエステル、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。
【0021】
一実施形態では、バリア層は、ほぼ一定の断面を有することができる。本明細書で使用
されるとき、用語「ほぼ一定の断面」は、一般に、バリア層の断面全体にわたって1つ以
上の特性を維持することを指す。例えば、バリア層は、断面全体にわたって概ね一定の密
度を有することができる。一実施形態では、バリア層の1cm領域内のバリア層の密度
は、バリア層内の他の任意の1cm領域と比較して、10%を超えて、または5%を超
えて、または1%を超えて変化することはない。さらなる実施形態では、バリア層の組成
は、断面全体にわたって維持される。例えば、一実施形態では、バリア層の1cm領域
内で最も高い濃度を有するバリア層材料の濃度は、バリア層内の他の任意の1cm領域
と比較して、10%を超えて、または5%を超えて、または1%を超えて変化することは
ない。
【0022】
一実施形態では、バリア層は、それが直接接触する層へのフルオロポリマー層の接着を
改善するように処理することができる。一実施形態では、処理は、それが直接接触する層
へのフルオロポリマー層の接着を改善するための化学的改変を含み得る。別の実施形態で
は、処理は、それが直接接触する層へのフルオロポリマー層の接着を改善するための機械
的改変を含み得る。
【0023】
バリア層は、接着剤層に対して十分な支持および熱伝達を提供する特定の範囲内の厚さ
を有することができる。特定の実施形態では、バリア層が約0.05mm未満の厚さを有
する場合、バリア層の強度は低下し始める。例えば、バリア層は、少なくとも0.05m
m、または少なくとも0.06mm、または少なくとも0.07mmの厚さを有すること
ができる。しかしながら、バリア層が約0.25mmを超える厚さを有すると、バリア層
の剛性が大きくなりすぎて(以下に説明する)基材層の形状に適合できなくなり、接着剤
層への熱伝達が低下する。例えば、バリア層は、0.25mm以下、または0.24mm
以下、または0.23mm以下の厚さを有することができる。
【0024】
バリア層は、接着性フィルムに接着性を提供することができる。特定の実施形態では、
接着性フィルムは、フィルムまたは布地などの特定の基材への接着について選択すること
ができる。
【0025】
一実施形態では、接着剤層は、熱が接着剤材料および被着体に加えられると接合を形成
する感熱接着剤材料である。特定の実施形態では、接着剤層の溶融温度が低下するにつれ
て、接着剤層はより低い温度でより容易に結合を形成することができる。例えば、接着剤
層は、最大200℃、または最大190℃、または最大180℃、または最大170℃の
溶融温度を有する材料から形成することができる。接着性フィルムが本明細書に記載の接
合性能試験に合格する必要がある特定の実施形態では、接着剤層は、最大160℃、また
は最大150℃、または最大145℃の溶融温度を有する材料で形成することができる。
一実施形態では、バリア層は、少なくとも100℃、または110℃、または少なくとも
120℃の溶融温度を有することができる。
【0026】
一実施形態では、バリア層は、ポリマーを含むことができる。ポリマーは、熱可塑性ポ
リマー、熱硬化性ポリマー、またはそれらの組み合わせを含み得る。特定の実施形態では
、ポリマーは、窒素含有ポリマー、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、ポリオレフィン、
ポリウレタン、スチレンブロックコポリマー、フルオロポリマー、またはそれらの任意の
組み合わせを含み得る。より特定の実施形態では、窒素含有ポリマーは、ポリアミドを含
み得る。一実施形態では、ポリアミドは、ポリアミドの溶融温度を超える温度でもバリア
層と相互作用してその寸法を保持することができる。例えば、Pine Brook,N
ew Jersey,USAのAdhesive Films、Inc.から入手可能な
ポリアミドNAF-610を使用することができる。
【0027】
一実施形態では、接着剤層は、少なくとも0.01mm、または少なくとも0.3mm
、または少なくとも0.5mmの厚さを有することができる。さらなる実施形態では、接
着剤層は、最大0.15mm、最大0.13mm、または最大0.11mmの厚さを有す
ることができる。
【0028】
接着性フィルムは、バリア層を覆う接着剤層から形成することができる。一実施形態で
は、接着性フィルムは、積層、押出しコーティング、共押出しなどによって形成すること
ができる。特定の実施形態では、接着剤層は、バリア層と直接接触することができる。上
述のように、バリア層の表面は、バリア層と接着剤層との間の接着性を向上させるように
処理することができる。一実施形態では、接着性フィルムは、バリア層および接着剤層上
に含むことができる。他の実施形態では、例えば、バリア層と接着剤層との間の、または
バリア層内の補強層など、追加の層を接着性フィルムに追加することができる。
【0029】
前述したように、接着性フィルムは、接合性能試験を施すことができる。接合性能試験
は、接着性フィルムが所与の温度で接合を形成できるかどうかの尺度である。特に、接合
性能試験は、500psiの圧力下で所与の温度で1分間、NOMEX(米国、バージニ
ア州、リッチモンドのDuPont Protection Technologies
から入手可能)などの難燃性メタアラミド布地にサンプル接着性フィルムを貼り合わせる
ことを含む。フィルム/布積層体を約25℃の温度に冷却し、そしてハンドピール試験を
施す。ハンドピール試験によって接着性フィルムが布から除去されない場合、接着性フィ
ルムは、所与の温度で接合性能を有する。接着性フィルムがハンドピール試験によって布
から除去される場合、接着性フィルムは、所与の温度で接合性能を有しない。一実施形態
では、接着性フィルムは、接合性能試験に従って測定して、200℃以下、または190
℃以下、または180℃以下、または170℃以下の接合性能温度を有する。
【0030】
前述したように、接着性フィルムは、耐熱試験を施すことができる。耐熱試験は、接着
性フィルムを基材に接着し、5分間高温環境に浸漬し、そして接着性フィルムの完全性ま
たは基材への接合を破壊することなく25℃に冷却することができるかどうかの測定であ
る。特に、耐熱試験は、接合性能試験で論じたように、合格接合温度でフィルム/布積層
体を形成することを含む。フィルム/布積層体を、所与の温度のオーブンに5分間載置す
る。接着性フィルムの幅または長さに5%以下の変化がある場合、サンプル接着性フィル
ムは、所与の温度で耐熱性を有する。接着性フィルムの長さまたは幅に5%を超える変化
がある場合、サンプル接着性フィルムは、所与の温度で耐熱性を有しない。一実施形態で
は、接着性フィルムは、耐熱試験に従って測定して、少なくとも230℃、または少なく
とも240℃、または少なくとも250℃、または少なくとも260℃の耐熱温度を有す
る。
【0031】
特定の実施形態では、接着性フィルムは、上述の接合温度と耐熱温度との組み合わせを
有する。既存の接着性フィルムは、典型的には接合温度または耐熱性の一方を達成するこ
とができるが他方は不合格になる。例えば、接着剤がより低い温度で接合を形成すること
ができる場合には、耐熱性は低下し、一方、接着剤が高温に耐えることができる場合には
、その後、接合温度は上昇する。しかしながら、本発明者らは、一緒になって相対的に低
い接合温度および相対的に高い耐熱性を達成することができるバリア層および接着剤層の
相乗的組み合わせを含む独特の、予想外の接着性フィルムを開発した。特定の理論に縛ら
れることなく、特定の実施形態におけるバリア層は、溶融接着剤層が高温環境で流動せず
、25℃の温度に冷却された後に通常の構造に戻ることができるように、耐熱試験中に接
着剤層を安定化できる。
【0032】
上記の層からなる接着性フィルムは、多くの用途を有することができる。図2に示すよ
うに、物品102は、基材層40に結合された接着性フィルム10を含み得る。一実施形
態では、接着性フィルムと基材層とが一緒になって、基材層単独のヤング率よりも高いヤ
ング率を有することができる。特定の実施形態では、基材層40は、フィルムまたは布で
あり得る。例えば、布は、天然繊維、合成繊維、またはそれらの組み合わせを含み得る。
一実施形態では、繊維は、ニット、レイドスクリム、ブレイド、織布、または不織布の形
態であり得る。耐高温性と相まって相対的に接合温度によって付与される製造および材料
選択の柔軟性は、多くの潜在的な市場への新規の貢献である。
【0033】
具体的な用途としては、例えば、低い接合温度および高い耐熱性などの特性が望まれる
場合の使用が挙げられる。一実施形態では、接着性フィルムを組み込んだ例示的な物品は
、シェルター、ライナー、防護服、および衣服を含むことができる。この構造はまた、想
定される任意の特定の用途にとって望ましい他の特性も有し得る。図3に示す特定の実施
形態では、基材は、ジッパーテープ42を含むことができ、接着性フィルム12は、構造
に補強を提供するためにジッパーテープ42に適用される補強フィルムとすることができ
る。
【0034】
多くの異なる態様および実施形態が可能である。それらの態様および実施形態のいくつ
かを以下に記載する。本明細書を読んだ後、当業者は、それらの態様および実施形態が単
に例示的なものであり、本発明の範囲を限定しないことを認識するであろう。実施形態は
、下記に列挙される実施形態のうちのいずれか1つ以上に従い得る。
【0035】
実施形態1.少なくとも230℃の溶融温度を有するポリマーバリア層、および200
℃以下の溶融温度を有するポリアミド接着剤層を含む、接着性フィルム。
【0036】
実施形態2.少なくとも1g/cmの密度を有するポリマーバリア層と、200℃以
下の溶融温度を有するポリアミド接着剤層と、を含み、ポリアミド接着剤層は、高密度熱
可塑性バリア層と直接接触している、接着性フィルム。
【0037】
実施形態3.ポリマーバリア層、およびポリマー接着剤層を含み、接着性フィルムは、
200℃以下の接合性能温度および少なくとも230℃の耐熱温度を有する、接着性フィ
ルム。
【0038】
実施形態4.接合性能温度が少なくとも190℃、または少なくとも180℃、または
少なくとも170℃である、先の実施形態のうちのいずれか1つに記載の接着性フィルム
【0039】
実施形態5.耐熱温度が少なくとも240℃、または少なくとも250℃、または少な
くとも260℃である、先の実施形態のうちのいずれか1つに記載の接着性フィルム。
【0040】
実施形態6.バリア層が、高密度バリア層である、先の実施形態のうちのいずれか1つ
に記載の接着性フィルム。
【0041】
実施形態7.バリア層が、ポリマー、熱可塑性ポリマー、またはフルオロポリマーもし
くはポリアミドのうちの少なくとも1つを含む、先の実施形態のうちのいずれか1つに記
載の接着性フィルム。
【0042】
実施形態8.フルオロポリマーが、パーフルオロポリマー、またはポリテトラフルオロ
エチレンを含む、先の実施形態のうちのいずれか1つに記載の接着性フィルム。
【0043】
実施形態9.バリア層が、少なくとも250℃、または少なくとも270℃、または少
なくとも290℃の溶融温度を有する、先の実施形態のうちのいずれか1つに記載の接着
性フィルム。
【0044】
実施形態10.バリア層が、少なくとも0.05mm、または少なくとも0.06mm
、または少なくとも0.07mm、または0.25mm以下、または0.24mm以下、
または0.23mm以下の厚さを有する、先の実施形態のうちのいずれか1つに記載の接
着性フィルム。
【0045】
実施形態11.バリア層のヤング率が、少なくとも0.1GPa、または少なくとも0
.3GPa、または少なくとも0.5GPa、または最大で12GPa、または最大で1
1GPa、または最大で10GPaである、先の実施形態のうちのいずれか1つに記載の
接着性フィルム。
【0046】
実施形態12.バリア層が、均一な断面を有する、先の実施形態のうちのいずれか1つ
に記載の接着性フィルム。
【0047】
実施形態13.接着剤層が、バリア層と直接接触している、先の実施形態のうちのいず
れか1つに記載の接着性フィルム。
【0048】
実施形態14.接着剤層が、ポリアミド、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、ポリオレ
フィン、ポリウレタン、スチレンブロックコポリマー、フルオロポリマー、またはそれら
の任意の組み合わせを含む、先の実施形態のうちのいずれか1つに記載の接着性フィルム
【0049】
実施形態15.接着剤層が、ポリアミドを含む、先の実施形態のうちのいずれか1つに
記載の接着性フィルム。
【0050】
実施形態16.接着剤層が、190℃以下、または180℃以下、または170℃以下
の溶融温度を有する、先の実施形態のうちのいずれか1つに記載の接着性フィルム。
【0051】
実施形態17.基材層、および先の実施形態のうちのいずれか1つに記載の接着性フィ
ルムを含む、物品。
【0052】
実施形態18.基材層および接着性フィルムのヤング率が、基材層単独のヤング率より
も高い、実施形態17に記載の物品。
【0053】
実施形態19.基材層が、フィルム、織布、または不織布を含む、実施形態17および
実施形態18に記載の物品。
【0054】
実施形態20.基材層が、ポリマー、または熱可塑性ポリマー、もしくはポリアミドを
含む、実施形態19に記載の物品。
【0055】
実施形態21.基材層が、ジッパーテープを含む、実施形態17~20のうちのいずれ
か1つに記載の物品。
【0056】
実施形態22.ジッパーテープが、下端部を有し、接着性フィルムが、ジッパーテープ
の下端部に配置された補強フィルムである、実施形態21に記載の物品。
【0057】
本発明のこれらおよび他の実施形態の機能および利点は、以下の実施例からさらに理解
することができる。以下の実施例は、本明細書のシステムおよび技術の利益および利点を
説明するが、その全範囲を例示するものではない。
【実施例0058】
バリア層および接着剤層を有する接着性フィルムのサンプルを試験して、各々のサンプ
ルが170℃以下の温度で接合性能試験および260℃の温度で耐熱試験に合格すること
ができるかどうかを判定した。
【0059】
バリア層および接着剤層の組成、ならびに接合性能試験および耐熱試験の結果を以下の
表1に提供する。
【0060】
【表1】
【0061】
表1の結果によれば、サンプル1、2aおよび2bのみが170℃での接合性能試験お
よび260℃での耐熱試験の両方に合格することができた。
【0062】
一般的説明または実施例において上述された行為の全てが必要とされるわけではないこ
と、特定の行為のうちの一部分は必要とされない場合があること、および説明されたもの
に加えて1つ以上のさらなる行為が実行され得ることに留意されたい。またさらに、行為
が列挙される順序は、必ずしもそれらが実施される順序ではない。
【0063】
利益、他の利点、および問題の解決策が、特定の実施形態に関して上記に説明されてき
た。しかしながら、任意の利益、利点、または解決策を生じさせるか、またはより明白に
させることができる利益、利点、問題の解決策、および任意の特徴(複数可)は、特許請
求の範囲のうちのいずれかまたは全ての決定的な、必須の、または本質的な特徴と解釈さ
れるべきではない。
【0064】
本明細書に記載の実施形態の明細書および例示は、様々な実施形態の構造の一般的な理
解を提供することが意図される。明細書および例示は、本明細書に記載の構造または方法
を使用する装置およびシステムの要素および特徴の全ての徹底的および包括的説明として
機能することを意図しない。別個の実施形態はまた、単一の実施形態において組み合わせ
て提供されてもよく、反対に、簡潔さのために単一の実施形態の文脈に記載の様々な特徴
もまた、別個にまたは任意の下位組み合わせで提供されてもよい。さらに、範囲内に記載
の値への言及は、その範囲内の各値および全ての値を含む。多数の他の実施形態は、本明
細書を読んだ後にのみ当業者に明らかとなり得る。構造的置換、論理的置換、または別の
変更が本開示の範囲から逸脱することなくなされることができるように、他の実施形態が
使用されかつそれから派生してもよい。したがって、本開示は、制限的であるよりもむし
ろ例証的であるとみなされるべきである。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2022-07-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着性フィルムであって、
ポリマーバリア層と、
ポリマー接着剤層と、を含み、
前記接着性フィルムが、200℃以下の接合性能温度および少なくとも230℃の耐熱温度を有する、接着性フィルム。
【請求項2】
前記接合性能温度が少なくとも170℃である、請求項1に記載の接着性フィルム。
【請求項3】
前記ポリマーバリア層が、高密度バリア層である、請求項1に記載の接
着性フィルム。
【請求項4】
前記ポリマーバリア層が、ポリマー、熱可塑性ポリマー、またはフルオロポリマーもしくはポリアミドのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の接着性フィルム。
【請求項5】
前記ポリマーバリア層が、少なくとも250℃の溶融温度を有する、請求項1に記載の接着性フィルム。
【請求項6】
前記バリア層が、少なくとも0.05mmかつ0.25mm以下の厚さを有する、請求項1に記載の接着性フィルム。
【請求項7】
前記ポリマーバリア層のヤング率が、少なくとも0.1GPaかつ最大で12GPaである、請求項1に記載の接着性フィルム。
【請求項8】
前記ポリマーバリア層が、均一な断面を有する、請求項1に記載の接着性フィルム。
【請求項9】
前記ポリマー接着剤層が、前記ポリマーバリア層と直接接触している、請求項1に記載の接着性フィルム。
【請求項10】
前記ポリマー接着剤層が、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、ポリオレフィン、ポリウレタン、スチレンブロックコポリマー、フルオロポリマー、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1に記載の接着性フィルム。
【請求項11】
物品であって、
基材層と、
請求項1に記載の接着性フィルムと、を含む、物品。
【請求項12】
前記基材層および前記接着性フィルムのヤング率が、前記基材層単独のヤング率よりも高い、請求項11に記載の物品。
【請求項13】
前記基材層が、フィルム、織布、または不織布を含む、請求項11に記載の物品。
【請求項14】
前記基材層が、ポリマー、もしくは熱可塑性ポリマー、またはポリアミドを含む、請求項13に記載の物品。
【外国語明細書】