(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022141967
(43)【公開日】2022-09-29
(54)【発明の名称】二次電池および二次電池集合体
(51)【国際特許分類】
H01M 50/572 20210101AFI20220921BHJP
H01M 50/103 20210101ALI20220921BHJP
H01M 50/15 20210101ALI20220921BHJP
H01M 50/586 20210101ALI20220921BHJP
H01M 50/593 20210101ALI20220921BHJP
H01M 50/553 20210101ALI20220921BHJP
H01M 50/176 20210101ALI20220921BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20220921BHJP
【FI】
H01M50/572
H01M50/103
H01M50/15
H01M50/586
H01M50/593
H01M50/553
H01M50/176
H01M50/209
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121094
(22)【出願日】2022-07-29
(62)【分割の表示】P 2021000759の分割
【原出願日】2016-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】脇元 亮一
(72)【発明者】
【氏名】山内 康弘
(57)【要約】
【課題】内部の圧力が上昇した際の信頼性が向上した二次電池を提供する。
【解決手段】本発明に係る二次電池は、第1電極及び第2電極を含む電極体と、開口を有し電極体を収納する外装体20と、第1電極と電気的に接続し開口を封口する導電性の封口板21と、導電性部材からなる可変部材40と、第2電極と第2電極接続部材とを電気的に接続する集電体とを備え、封口板は第1の貫通孔25を有し、可変部材は第1の貫通孔を密閉し封口板と電気接続し、第2電極に電気的接続された第2電極接続部材18が封口板の外側の面上に配置され、集電体は、外装体内に配置されて可変部材と対向し、その領域に第3の貫通孔が形成されており、外装体内の圧力が所定値以上となったときには、可変部材が変形して第1電極と第2電極とを電気的に接続させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極及び第2電極を含む電極体と、
開口を有し、前記電極体を収納する外装体と、
前記第1電極と電気的に接続し、前記開口を封口する、導電性部材からなる封口板と、
前記封口板と電気的に接続し、前記外装体内の圧力が所定値以上となった場合に変形する導電性部材からなる可変部材と、
前記第2電極に電気的に接続された導電性の第2電極接続部材と、
前記第2電極と電気的に接続されるとともに前記封口板と前記電極体との間に配置される集電体と、
前記集電体と前記封口板との間に配置される電池内部絶縁部材と、
前記集電体および前記第2電極接続部材と電気的に接続し、前記封口板に形成された貫通孔を貫通する端子と、
を備え、
前記封口板は第1の貫通孔を有し、
前記可変部材は、前記第1の貫通孔を密閉しているとともに前記封口板と電気的に接続しており、
前記集電体は、前記封口板と電極体との間に配置されるとともに前記可変部材と対向するベース部を有し、
前記電池内部絶縁部材において、前記可変部材と対向した領域に第4の貫通孔が形成されており、
前記外装体内の圧力が前記所定値以上となったとき、前記可変部材が変形して前記可変部材と前記第2電極接続部材とが電気的に接続することにより前記第1電極と前記第2電極とを電気的に接続させる、二次電池。
【請求項2】
前記封口板は外面側の面に第1凹部を有しており、
前記第1の貫通孔は前記第1凹部内に位置している、請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記封口板は内面側の面に第2凹部を有しており、
前記第1の貫通孔は前記第2凹部内に位置しており、
前記可変部材の周縁は前記封口板に溶接接続されている、請求項1に記載の二次電池。
【請求項4】
前記第2電極接続部材と前記封口板の間には絶縁部材が配置され、
前記絶縁部材には第2の貫通孔が形成されている、請求項1から3のいずれかに記載の二次電池。
【請求項5】
前記封口板は矩形であり、
前記集電体には、前記可変部材と対向する領域に第3の貫通孔が形成され、
前記封口板の長手方向において、前記第3の貫通孔は前記第1の貫通孔より小さい、請求項1から4のいずれか一つに記載の二次電池。
【請求項6】
前記集電体には、前記可変部材と対向する領域に第3の貫通孔が形成され、
前記第3の貫通孔と前記第4の貫通孔は重なるように配置されている、請求項1に記載の二次電池。
【請求項7】
前記封口板は矩形であり、
前記封口板の長手方向において、前記第4の貫通孔は前記第1の貫通孔より小さい、請求項6に記載の二次電池。
【請求項8】
前記封口板は矩形であり、
前記封口板の長手方向において、前記封口板の両端部のうち前記可変部材が近接する側の端部からもっとも離れた位置に存する前記可変部材の部分よりも、前記端部からもっとも離れた位置に存する前記集電体の部分の方が前記端部からの距離が大きい、請求項1から7のいずれか一つに記載の二次電池。
【請求項9】
前記可変部材は前記封口板と一体的に形成されている、請求項1から8のいずれかに記載の二次電池。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の二次電池を複数個備えた、二次電池集合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池および二次電池集合体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年は電気自動車の普及に伴い、非水電解液を用いた大容量・高出力の二次電池が開発されており、二次電池の使用に当たっては複数の二次電池を直列ないし並列に連結して高出力の二次電池集合体として利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
過充電等により二次電池の内部で過度な熱が発生したり電解液が分解して内部圧力が上昇すれば、電池の安全性が損なわれる恐れがある。
【0005】
このような課題を解決する方法として、例えば特許文献1には電池内部の圧力が所定値以上となった時に作動し、正負極の短絡を誘発する機構を備えた二次電池の構造が提案されている。
【0006】
本発明の主な目的は、より信頼性の高い二次電池及びそれを用いた二次電池集合体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態の二次電池は、第1電極及び第2電極を含む電極体と、開口を有し、前記電極体を収納する外装体と、前記第1電極と電気的に接続し、前記開口を封口する、導電性部材からなる封口板と、前記外装体内の圧力が所定値以上となった場合に変形する導電性部材からなる可変部材と、前記第2電極に電気的に接続された導電性の第2電極接続部材と、前記第2電極と前記第2電極接続部材とを電気的に接続する集電体と、を備え、前記封口板は第1の貫通孔を有し、前記可変部材は、前記第1の貫通孔を密閉しているとともに前記封口板と電気的に接続しており、前記第2電極接続部材が、前記封口板の外側の面上に配置され、前記集電体は、前記外装体内に配置されるとともに前記可変部材と対向し、前記集電体において、前記可変部材と対向した領域に第3の貫通孔が形成されており、前記外装体内の圧力が前記所定値以上となったとき、前記可変部材が変形することにより前記第1電極と前記第2電極とを電気的に接続させる。
【0008】
このような構成を有すると、二次電池が電池内圧の上昇に伴い作動する短絡機構を備えるため、二次電池が過充電等の状態となっても信頼性の高い二次電池となる。
【0009】
前記封口板は外側の面に第1凹部を有しており、前記第1の貫通孔は前記第1凹部内に位置していることが好ましい。
【0010】
前記封口板は内側の面に第2凹部を有しており、前記第1の貫通孔は前記第2凹部内に位置しており、前記可変部材は、前記第2凹部に配置され、前記可変部材の周縁は前記封口板に溶接接続されていることが好ましい。
【0011】
前記第2電極接続部材と前記封口板の間には絶縁部材が配置され、前記絶縁部材には第2の貫通孔が形成されていることが好ましい。
【0012】
前記封口板の長手方向において、前記第3の貫通孔は前記第1の貫通孔より小さいことが好ましい。
【0013】
前記集電体と前記可変部材との間には電池内部絶縁部材が介在しており、前記電池内部絶縁部材には第4の貫通孔が形成され、前記第3の貫通孔と前記第4の貫通孔は重なるように配置されていることが好ましい。
【0014】
前記封口板の長手方向において、前記第4の貫通孔は前記第1の貫通孔より小さいことが好ましい。
【0015】
前記封口板の長手方向において、前記封口板の両端部のうち前記可変部材が近接する側の端部からもっとも離れた位置に存する前記可変部材の部分よりも、前記端部からもっとも離れた位置に存する前記集電体の部分の方が前記端部からの距離が大きいことが好ましい。
【0016】
前記可変部材は前記封口板と一体的に形成されている構成としてもよい。
【0017】
本発明の二次電池集合体は、前述の二次電池を複数個備えている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、信頼性の高い二次電池及びそれを用いた二次電池集合体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】(a)は実施形態に係る二次電池の模式的な上面図であり、(b)は外装体の正面部分を取り除いて内部を示している模式的な正面図である。
【
図2】負極端子近傍の封口板の模式的な断面図である。
【
図3】封口板に設けられた第1の貫通孔近辺の模式的な拡大断面図である。
【
図4】変形例に係る封口板の模式的な断面図である。
【
図5】別の実施形態に係る負極端子近傍の封口板の模式的な断面図である。
【
図6】他の実施形態に係る組電池の模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0021】
本願において、上下方向は、外装体20の開口が上方に位置するように二次電池を配置した場合を基準として定義している。従って、二次電池がどのような向きに配置された場合であっても、本願における各部品の位置関係の限定は、外装体20の開口を上方に配置した場合を基準として考えるものとする。
【0022】
(実施形態1)
図1(a)、(b)は、本発明の一実施形態における二次電池の構成を模式的に示した図で、
図1(a)は上面図、
図1(b)は外装体の正面部分を取り除いて内部を示している模式的な正面図である。
【0023】
図1(a)、(b)に示すように、本実施形態における二次電池1では、発電要素である電極体10が電解液とともに、外装体20に収納されている。外装体20は一面(
図1では上面)が開口した直方体形状のケースである。そして外装体20の開口部は導電性部材からなる封口板21により封口されている。ここで、電極体10は、第1電極である正極を構成している正極板と、第2電極である負極を構成している負極板がセパレータ(何れも不図示)を介して巻回、または積層された構造をなす。正極板としては、金属製の正極芯体表面に正極活物質を含む正極活物質層が設けられたものを用いることができる。負極板としては、金属製の負極芯体表面に負極活物質を含む不極活物質層が設けられたものを用いることができる。
【0024】
正極板及び負極板は、それぞれ、その一側部において、活物質層が形成されていない正極芯体露出部11及び負極芯体露出部12を有している。そして、正極板及び負極板は、正極芯体露出部11及び負極芯体露出部12が、それぞれ反対方向に延出するように配置されている。正極芯体露出部11は、正極集電体13を介して、正極端子15に電気的に接続され、また、負極芯体露出部12は、負極集電体14を介して、負極端子16に電気的に接続されている。
【0025】
正極端子15及び負極端子16は、それぞれ、封口板21に設けられた貫通孔を貫通して封口板21に絶縁部材を介して固定されている。さらに、封口板21の外部側において、正極端子15及び負極端子16には、それぞれ、正極接続部材17及び負極接続部材(第2電極接続部材)18が電気的に接続されている。なお、正極接続部材17は正極端子15と電気的に接続されているとともに、封口板21とも電気的に接続されている。なお、正極端子15を封口板21に接触させることもできる。封口板21には、電解液を注液する電解液注液口が設けられ、この電解液注液口は、電解液を注液した後、封止部材24で封止される。また、封口板21には、外装体20の内部の圧力が上昇したときに、圧力を開放する排出弁26が設けられている。
【0026】
次に負極端子16近傍の封口板21およびその周囲の構造について説明する。
【0027】
図2は、負極端子16近傍の封口板21の模式的な断面図である。また、
図3は封口板21に設けられた第1の貫通孔25の近辺の拡大断面図である。
【0028】
負極端子16は、封口板21の内面側において負極集電体14のベース部14aに溶接接続され、封口板21の外面側において第2電極接続部材18にかしめにより接続されている。これにより負極端子16は、封口板21に固定されている。なお、負極端子16を、封口板21の内面側において負極集電体14のベース部14aにかしめにより接続してもよい。また、負極端子16を、封口板21の外面側において第2電極接続部材18に溶接により接続してもよい。
【0029】
封口板21によって封口される外装体20の開口部を上側に位置する状態で二次電池1を配置すると、第1の貫通孔25は封口板21を上下に貫通している。この第1の貫通孔25の下側は可変部材40によって密閉されている。また、第1の貫通孔25の上側(外面側)には、第1の貫通孔25の内径よりも大きい外径を有する導電性の通電部材45が配置されて、封口板21に載せられている。第1の貫通孔25は、封口板21の上側の開口と下側の開口との間に存している薄肉の凸部60に取り囲まれている。すなわち図において水平方向に突き出している凸部60の突き出した先端に囲まれた部分が第1の貫通孔25となっている。封口板21の上側の開口と下側の開口とは、いずれもその内径が第1の貫通孔25の内径よりも大きい。
【0030】
通電部材45は、封口板21の上側(外面側)の開口と凸部60とがなす第1凹部24a(凸部60の上面側)に配置されている。すなわち、通電部材45の周縁部分は、凸部60の上面に置かれている。そして、第1の貫通孔25は第1凹部24a内に位置している。
【0031】
可変部材40は、封口板21の下側(内面側)の開口と凸部60とがなす第2凹部24b(凸部60の下面側)に配置されている。すなわち、可変部材40の周縁部分は、凸部60の下面に接するように置かれている。また、第1の貫通孔25は第2凹部24b内に位置している。そして、可変部材40の周縁部分は、第2凹部24bの縁に溶接されて固定されている。
【0032】
可変部材40の上方(外側)には第2電極接続部材18が配置され、通電部材45は可変部材40と第2電極接続部材18との間に位置している。第2電極接続部材18と通電部材45との間には、絶縁部材19が配置されている。絶縁部材19は上下方向の第2の貫通孔27を有しており、通電部材45の上面に存している突出部46が第2の貫通孔27内に突き出している。また、第2の貫通孔27内であって突出部46の周辺には電気絶縁性の弾性部材55が配置されている。この弾性部材55は例えば電気絶縁性の弾性樹脂からなっており、第2電極接続部材18と通電部材45との間にあって、両者を隔てている。絶縁部材19の厚みは突出部46の突出高さよりも小さく、弾性部材55の厚みは突出部46の突出高さよりも大きいことが好ましい。これにより弾性部材55により通電部材45が封口板21に押圧された状態となる。よって、電池使用時に振動や衝撃等により通電部材45が動くことを効果的に防止できる。また、絶縁部材19と通電部材45とが非接触の状態にあることが好ましい。
【0033】
可変部材40の下方には負極集電体14のベース部14aが、可変部材40と対向して配置されている。負極集電体14のベース部14aの下は電極体10が収納されている空間である。負極集電体14のベース部14aには第3の貫通孔28が設けられている。上部側の負極集電体14のベース部14aは、第3の貫通孔28を除いて可変部材40の下面全体を覆っている。さらに、負極集電体14のベース部14aと可変部材40との間には、電池内部絶縁部材54が配置されている。そして、電池内部絶縁部材54は第4の貫通孔29を有している。第3の貫通孔28と第4の貫通孔29とは内径の大きさがほぼ同じであり、両方の貫通孔が重なって連通するように配置されている。以上の構成により、電極体10が収納されている電池内部空間は第3の貫通孔28と第4の貫通孔29とを通じて可変部材40の下面にまで繋がっている。
【0034】
可変部材40は金属等の導電性の薄板から構成されており、中央部分にコの字状に折り曲げられて台状に形成された上方に突き出している押圧部42を有している。可変部材40の厚みは通電部材45の突出部46の厚みよりも小さい。過充電等によって、電池1の内部で過度な熱が発生したり、電解液が分解して電池内部(外装体20内部)の圧力が上昇すると、可変部材40の下面側にその圧力がかかる。電池内部圧力が所定値以上になると、可変部材40が変形して中央部分が上方に移動する。電池内部圧力が所定値未満のときには可変部材40と通電部材45とは接触しておらず、両者の間には隙間があるのである。内部圧力が所定値以上になると可変部材40の中央部の押圧部42が通電部材45に接触し、かつ通電部材45を上方に押し上げる。それにより、電池内部圧力が所定値未満のときには非接触状態である通電部材45と第2電極接続部材18とが、弾性部材55を押し縮めることによって接触することになる。すなわち、通電部材45の突出部46が、第2電極接続部材18の突出部46に相対している部分に接触する。これにより、負極端子16から、第2電極接続部材18、通電部材45、可変部材40、封口板21、正極接続部材17、正極端子15という通電路が出来上がり、放電されて電池内部の過充電が消滅する。こうして二次電池1の信頼性が向上する。なお、通電部材45から可変部材40を経ることなく封口板21に電流が流れる構成とすることもできる。
【0035】
本実施形態の二次電池1では、第1の貫通孔25の内径よりも通電部材45の外径の方が大きいため、特許文献1に開示された電池とは異なり、二次電池1に衝撃や振動等がかかった場合でも可変部材40に通電部材45が負荷をかけることがないので可変部材40の変形・損傷が生じない。従って、電池に衝撃や振動がかかった後でも確実に内部圧上昇による短絡機構が機能する。よって、より信頼性が向上した二次電池となる。また、可変部材40と通電部材45とが電池内部の圧力が所定値未満の場合には非接触であることがより好ましい。これにより、通電部材45が可変部材40に負荷を与えることをより確実に防止でき、より効果的に可変部材40の変形・損傷を防止することが可能となる。
【0036】
通電部材45には突出部46が設けられ、電池内部圧力が所定値以上になった場合にはその突出部46が第2電極接続部材18と接触するように構成されているため、両者の接触が確実に起こり、また通電部材45と第2電極接続部材18との接触する部分の面積を必要最小限にしているために振動や衝撃等による両者が接触してしまうという危険性を最小限に抑止している。
【0037】
可変部材40の厚みは通電部材45における突出部46の厚みよりも小さいため突出部46の方が可変部材40よりも熱容量が大きく、そのため、第2電極接続部材18から通電部材45を通過して可変部材40に通電する場合、発生した熱は熱容量の大きい通電部材45で主に吸収され、可変部材40の温度が溶断に至るまで上昇することが避けられ、通電の時間を十分に確保できる。
【0038】
通電部材45は封口板21に設けられた第1凹部24a内に配置されている。このため、可変部材40が変形したとき、第2電極接続部材18に向かって一方向に通電部材45がスムーズに動く。なお、封口板21に設けられた第1凹部24aの深さは、第2凹部24bの深さよりも大きいことが好ましい。
【0039】
ここで、可変部材40が変形し通電部材45が第2電極接続部材18と接触した後も、通電部材45の一部が封口板21に設けられた第1凹部24a内に配置されていることが好ましい。
【0040】
これにより、通電部材45と第2電極接続部材18の接触位置を所定の位置に安定的に接触させることができ、より確実に安定した短絡経路を形成できる。
【0041】
通電部材45は、封口板21と接着や溶接等により接続されておらず、単に封口板21上に配置されていることが望ましい。但し、可変部材40の変形により通電部材45が動ける程度に、弱い力で通電部材45が封口板21に接続されるようにすることも可能である。例えば、接着剤等により通電部材45を封口板21に接着する方法や、局部的に通電部材45を封口板21に溶接する方法等が考えられる。
【0042】
可変部材40が封口板21に設けられた第2凹部24b内に配置されて、可変部材40の周縁部が第2凹部24bの縁に溶接されているので、可変部材40が確実に封口板21に電気的に接続・固定され且つ第1の貫通孔25を確実に密閉している。
【0043】
電池内部の圧力が所定値以上になった際には、可変部材40が変形して通電部材45に上方の力を加え、その力により弾性部材55が縮んで通電部材45が第2電極接続部材18と接触するため、通電部材45自体の変形は生じなく、通電部材45を変形させるための応力ロスが少なく作動圧力が安定化する。また、弾性部材55が存在しているので通電部材45と第2電極接続部材18との誤接触を確実に防止できる。なお、突出部46の上面は平坦であると、第2電極接続部材18との接触面積が大きくなり好ましい。
【0044】
可変部材40の中央部の押圧部42の上面は、平坦であってある程度の面積を有しているため、通電部材45を確実に押し上げて突出部46を第2電極接続部材18に確実に接触させることができるとともに、押圧部42と通電部材45との接触部分の通電抵抗を低くできて溶断のおそれを低減できる。
【0045】
-変形例-
上記の実施形態では、可変部材40の変形前の状態において、正極板、封口板21及び可変部材40が電気的に接続されている形態を示した。しかしながら、このような構成は必須ではない。可変部材40の変形前の状態において、封口板21が正極板及び負極板のいずれとも電気的に接続されておらず、外装体20の内部圧力が設定値以上となったとき、正極板と封口板21が電気的に接続され、且つ負極と封口板21が電気的に接続されるような機構であってもよい。このような変形例を
図4に示す。
【0046】
図4に示すように、本変形例に係る二次電池では、正極側においても負極側と同じ材質、同じ形状の可変部材40b、通電部材45b、絶縁部材19bが配置され、負極と同じ短絡のための機構が形成されている。また、可変部材40b及び通電部材45bは正極端子15とは電気的に絶縁されている。そして、電池内部圧力が所定値以上になると、可変部材40bが変形して通電部材45bを上方に押し上げて、通電部材45bが正極接続部材17に接触する。
【0047】
本変形例では、電池内部圧力が所定値未満の場合は、封口板21が正極、負極のいずれにも電気的に接続していないため、より安全性が高い。
【0048】
(実施形態2)
実施形態2に係る二次電池は、可変部材の形状のみが実施形態1と異なっており、それ以外の構成、構造等は実施形態1と同じであるので、実施形態1と異なっている点を
図5に基づいて以下に説明をするが、それ以外の点は実施形態1で説明した点と同じであるので説明を省略する。
【0049】
図5に示すように、本実施形態の可変部材47は押圧部48が突出部46の下ではなく、弾性部材55に対応する部分に設けられている。このように押圧部48が設けられているため、電池内部の圧力が所定値以上になって可変部材47が変形すると、押圧部48は、通電部材45の、弾性部材55と対向する領域を押圧する。これにより、弾性部材55に効率よく圧力がかかり、突出部46と第2電極接続部材18とが確実に接触するようになる。
【0050】
(実施形態3)
実施形態3は、実施形態1に係る二次電池1を、複数個配列して構成された組電池(二次電池集合体)に係る実施形態である。
図6は、実施形態1に係る二次電池1を6個配列して直列に接続し、組電池50を構成した例を示した斜視図である。
図5に示すように、各二次電池1の正極端子15及び負極端子16の位置を、交互に入れ替えて配列し、隣り合う二次電池1の正極端子15と負極端子16とを、バスバー(外部導電部材)60で接合することによって、6個の二次電池1が電気的に直列に接続されている。勿論、6個の二次電池1が電気的に並列に接続されていても構わない。バスバー60は通電部材45の突出部46と対向する位置に接続されると、通電部材45が第2電極接続部材18と通電した際の熱がバスバー60の方にも流れていき、通電部材45や可変部材40がより溶断しにくくなり好ましい。なお、実施形態1に係る二次電池1に代わって実施形態2に係る二次電池を用いて組電池を構成しても構わない。
【0051】
(その他の実施形態)
上述の実施形態は本願発明の例示であって、本願発明はこれらの例に限定されず、これらの例に周知技術や慣用技術、公知技術を組み合わせたり、一部置き換えたりしてもよい。また当業者であれば容易に思いつく改変発明も本願発明に含まれる。
【0052】
上記の実施形態では第1電極が正極で第2電極を負極としたが、その逆であっても構わない。また、上述の機構以外の安全機構(例えばヒューズ機構)を併用してもよい。この場合、正極集電体あるいは、外装体外部において正極端子に接続される正極接続部材等にヒューズ部を、設け短絡機構が作動したときに生じる短絡電流によりヒューズ部が溶断するようにすることが好ましい。
【0053】
二次電池の種類は特に限定されず、例えば、リチウムイオン二次電池を挙げることができる。電池の形状は直方体に限定されない。電池内部の圧力の所定値は、電池の構造・大きさ、電池容量、正極・負極の材料等によって決定すればよい。
【0054】
外装体および封口板はアルミニウム又はアルミニウム合金製であることが好ましい。通電部材および可変部材もアルミニウム又はアルミニウム合金であることが好ましい。
【0055】
第1から第4の貫通孔は、開口部の形状が円形でもよいし、多角形などでもよい。
【0056】
第1の貫通孔の全領域において第1の貫通孔の内径よりも通電部材の外径の方が大きいという構成である必要はなく、衝撃や振動で通電部材が可変部材に損傷・変形を与えなければよい。可変部材と通電部材とは、電池内部圧力が所定値以下の場合に接触するように構成されていてもよい。
【0057】
正極芯体としてはアルミニウム又はアルミニウム合金からなることが好ましく、負極芯体としては銅又は銅合金からなることが好ましいが、それ以外の金属・導電性物質でも構わない。セパレータとしては、ポリオレフィン製の微多孔性膜が好ましいが、それ以外の公知のセパレータを用いることができる。封口板や外装体を構成する材料も導電性のものであれば特に限定されないが、アルミニウム等の金属が好ましい。
【0058】
弾性部材は、絶縁部材の第2の貫通孔内に配置されていることが好ましいがそれに限定はされない。また、弾性部材は突出部を取り囲むリング形状であってもよいし、複数の部材からなっていてそれらの配置の内側に突出部が置かれていてもよい。弾性部材はゴムであることが好ましく、シリコン系のゴムからなることがより好ましい。
【0059】
また、プレス成形等により封口板に可変部材を形成して、封口板に可変部材を一体で形成されたものとすることもできる。この場合も、封口板に設けられた貫通孔が可変部材に密閉されているものとする。
【0060】
可変部材の押圧部は曲面で構成されたドーム形状であってもよい。第3の貫通孔と第4の貫通孔とは重なって連通しているように配置されていればよいが、第4の貫通孔の方が第3の貫通孔よりも内径が小さい方が好ましい。また、第1の貫通孔よりも第4の貫通孔の方が内径が小さい方が、通電部材と第2電極接続部材との通電によってスパークが生じた際に、電極体の方にスパークが飛散することを防止できるため好ましい。
【符号の説明】
【0061】
1 二次電池
10 電極体
14a 負極集電体のベース部
18 第2電極接続部材
19 絶縁部材
20 外装体
21 封口板
24a 第1凹部
24b 第2凹部
25 第1の貫通孔
27 第2の貫通孔
28 第3の貫通孔
29 第4の貫通孔
40,47 可変部材
45 通電部材
46 突出部
50 組電池(二次電池集合体)
54 電池内部絶縁部材
55 弾性部材