(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022142007
(43)【公開日】2022-09-30
(54)【発明の名称】ロール紙ホルダおよびロール紙用切断具
(51)【国際特許分類】
A47K 10/36 20060101AFI20220922BHJP
【FI】
A47K10/36 L
A47K10/36 H
A47K10/36 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021041957
(22)【出願日】2021-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】521110644
【氏名又は名称】仁後 茂郎
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】特許業務法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】仁後 茂郎
(57)【要約】
【課題】 ロール紙の繰り出しおよび切断を迅速容易に行うことができるロール紙ホルダを提供する。
【解決手段】 ロール紙100を支持するホルダ本体10と、ホルダ本体10に回動可能に取り付けられた支持部材20と、支持部材20に前方に張り出すように支持された係合部材40と、係合部材40に支持されて繰出部101を切断する切断部材50と、ロール紙100との間に隙間が生じるように切断部材50に取り付けられた固定部材60とを備え、切断部材50は、係合部材40の折返し部42で折り返された繰出部101を切断刃51に向けて押し下げることにより、バネ部材52が弾性変形して固定部材60がロール紙100に当接し、切断刃51の位置が固定されるロール紙ホルダ1である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール紙を回転自在に支持するホルダ本体と、
後部が前記ホルダ本体に回動可能に取り付けられ、前部が前記ロール紙の上部に当接する支持部材と、
前記支持部材に前方に張り出すように支持されて、前記ロール紙から上方に繰り出された繰出部を折り返す折返し部を有する係合部材と、
前記係合部材に支持されて、前記繰出部を切断する切断部材と、
前記ロール紙との間に隙間が生じるように前記切断部材に取り付けられた固定部材とを備え、
前記切断部材は、切断刃と、前記切断刃を支持する弾性変形可能なバネ部材とを備えており、
前記折返し部で折り返された前記繰出部を前記切断刃に向けて押し下げることにより、前記バネ部材が弾性変形して前記固定部材が前記ロール紙に当接し、前記切断刃の位置が固定されるロール紙ホルダ。
【請求項2】
前記折返し部は、前記繰出部を前記切断刃に向けて案内する繰出ローラからなる請求項1に記載のロール紙ホルダ。
【請求項3】
前記バネ部材は、帯状に形成された前記切断刃の長手方向両側を支持する一対の板バネからなる請求項1または2に記載のロール紙ホルダ。
【請求項4】
ロール紙を回転自在に支持するホルダ本体と、後部が前記ホルダ本体に回動可能に取り付けられ前部が前記ロール紙の上部に当接する支持部材とを備えるロール紙ホルダに取り付けられるロール紙用切断具であって、
前記支持部材に前方に張り出すように支持されて、前記ロール紙から上方に繰り出された繰出部を折り返す折返し部を有する係合部材と、
前記係合部材に支持されて、前記繰出部を切断する切断部材と、
前記ロール紙との間に隙間が生じるように前記切断部材に取り付けられた固定部材とを備え、
前記切断部材は、切断刃と、前記切断刃を支持する弾性変形可能なバネ部材とを備えており、
前記折返し部で折り返された前記繰出部を前記切断刃に向けて押し下げることにより、前記バネ部材が弾性変形して前記固定部材が前記ロール紙に当接し、前記切断刃の位置が固定されるロール紙用切断具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール紙ホルダおよびロール紙用切断具に関する。
【背景技術】
【0002】
ロール紙を切断可能に保持する器具として、例えば、特許文献1に開示されたトイレットペーパホルダが知られている。このトイレットペーパホルダは、保持されたトイレットペーパの上方を覆う蓋部の中央に長穴が形成されている。トイレットペーパの使用時には、長穴に指を挿入してトイレットペーパを回転させることにより必要な長さ分を繰り出した後、上方に引き上げることにより、蓋部先端のカッター部で切断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のトイレットペーパホルダは、蓋部裏面に重り部を設けることにより、トイレットペーパの取り出しから切断までの一連の動作を片手で行うことができるとされているが、トイレットペーパを引き上げて切断するのは容易ではなく、依然改良の余地があった。
【0005】
そこで、本発明は、ロール紙の繰り出しおよび切断を迅速容易に行うことができるロール紙ホルダおよびロール紙用切断具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の前記目的は、ロール紙を回転自在に支持するホルダ本体と、後部が前記ホルダ本体に回動可能に取り付けられ、前部が前記ロール紙の上部に当接する支持部材と、前記支持部材に前方に張り出すように支持されて、前記ロール紙から上方に繰り出された繰出部を折り返す折返し部を有する係合部材と、前記係合部材に支持されて、前記繰出部を切断する切断部材と、前記ロール紙との間に隙間が生じるように前記切断部材に取り付けられた固定部材とを備え、 前記切断部材は、切断刃と、前記切断刃を支持する弾性変形可能なバネ部材とを備えており、前記折返し部で折り返された前記繰出部を前記切断刃に向けて押し下げることにより、前記バネ部材が弾性変形して前記固定部材が前記ロール紙に当接し、前記切断刃の位置が固定されるロール紙ホルダにより達成される。
【0007】
このロール紙ホルダにおいて、前記折返し部は、前記繰出部を前記切断刃に向けて案内する繰出ローラからなることが好ましい。
【0008】
前記バネ部材は、帯状に形成された前記切断刃の長手方向両側を支持する一対の板バネからなることが好ましい。
【0009】
また、本発明の前記目的は、ロール紙を回転自在に支持するホルダ本体と、後部が前記ホルダ本体に回動可能に取り付けられ前部が前記ロール紙の上部に当接する支持部材とを備えるロール紙ホルダに取り付けられるロール紙用切断具であって、前記支持部材に前方に張り出すように支持されて、前記ロール紙から上方に繰り出された繰出部を折り返す折返し部を有する係合部材と、前記係合部材に支持されて、前記繰出部を切断する切断部材と、前記ロール紙との間に隙間が生じるように前記切断部材に取り付けられた固定部材とを備え、前記切断部材は、切断刃と、前記切断刃を支持する弾性変形可能なバネ部材とを備えており、前記折返し部で折り返された前記繰出部を前記切断刃に向けて押し下げることにより、前記バネ部材が弾性変形して前記固定部材が前記ロール紙に当接し、前記切断刃の位置が固定されるロール紙用切断具により達成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ロール紙の繰り出しおよび切断を迅速容易に行うことができるロール紙ホルダおよびロール紙用切断具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係るロール紙ホルダの正面図である。
【
図3】
図1に示すロール紙ホルダの使用状態を示す側面図である。
【
図4】
図1に示すロール紙ホルダの他の使用状態を示す側面図である。
【
図5】本発明の他の実施形態に係るロール紙ホルダの正面図である。
【
図6】
図5に示すロール紙ホルダの要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るロール紙ホルダの正面図であり、
図2は、
図1に示すロール紙ホルダの側面図である。
図1および
図2に示すように、ロール紙ホルダ1は、ホルダ本体10、支持部材20およびロール紙用切断具30を備えている。
【0013】
ホルダ本体10は、壁面Wなどに固定される基板11と、基板11の両側から前方に延びる一対の側板12,13とを備えており、ロール紙100に挿通された軸体14の両端部が一対の側板12,13の間に挟持されることにより、ロール紙100を回転自在に支持する。ロール紙100は、トイレットペーパやキッチンペーパ等のように、必要な長さ分を繰り出して使用する種々の用途のものを使用することができる。
【0014】
支持部材20は、コ字状の枠体21と、枠体21の前部に設けられた押さえローラ22とを備えている。枠体21の後部となる両端部21a,21bは、外方に屈曲しており、一対の側板12,13に形成された係合孔12a,13aに挿通されている。これにより、支持部材20はホルダ本体10に対して回動自在に取り付けられている。押さえローラ22は、枠体21に回転自在に支持されている。
【0015】
図2に示すように、枠体21は、上方に凸となるように緩やかに湾曲しており、支持部材20が自重で回動することにより、押さえローラ22がロール紙100の上部に当接する。ロール紙100は、矢示A方向への回転により上方に向けて繰り出されるようにホルダ本体10に支持されており、繰り出された部分である繰出部101よりも後方側(
図2の左側)で、押さえローラ22が当接する。押さえローラ22の左右方向長さは、ロール紙100の幅方向全体に当接するように、ロール紙100の幅よりも若干大きく形成されている。
【0016】
ロール紙用切断具30は、係合部材40、切断部材50および固定部材60を備えている。係合部材40は、両端が後方に屈曲して支持部材20の前部に固定された棒状体41と、棒状体41の中央部に回転可能に支持された繰出ローラ42とを備えている。繰出ローラ42は、押さえローラ22よりも前方且つ上方に配置されており、ロール紙100から上方に繰り出された繰出部101を折り返す折返し部として機能する。繰出ローラ42の左右方向長さは、押さえローラ22の左右方向長さと略同じである。折返し部は、繰出部101が折り返しの際にスムーズに摺動する湾曲部分であってもよく、繰出ローラ42を備えない構成にすることもできる。
【0017】
切断部材50は、帯状に形成された切断刃51と、切断刃51の長手方向両側を支持する一対の板バネ52,53とを備えている。切断刃51は、平面視で繰出ローラ42と略平行に配置されており、繰出ローラ42で折り返された繰出部101を鋸状の切断部51aにおいて切断することができる。一対の板バネ52,53は、長手方向前部が、切断刃51の左右両側に取り付けられており、長手方向後部が、繰出ローラ42の左右両側で棒状体41に固定されている。一対の板バネ52,53は、荷重により弾性変形すると共に荷重が除去されると復元する構成であればよく、コイルバネ等の他のバネ部材であってもよい。
【0018】
固定部材60は、両端が屈曲して切断刃51の後部に固定された棒状体61と、棒状体61の中央部に設けられたストッパ62とを備えている。固定部材60は、切断部材50とロール紙100との間に介在されるように、切断部材50に取り付けられており、ストッパ62とロール紙100との間には若干の隙間が形成されている。ストッパ62は、ゴム等の摩擦力が生じ易い材料により形成されることが好ましい。なお、
図1においては、ロール紙100から繰り出された繰出部101の一部を切り欠いて、固定部材60を図示している。
【0019】
次に、上記の構成を備えるロール紙ホルダ1の作動を説明する。
図2に示すように、繰出部101を繰出ローラ42で折り返して、必要な長さ分を切断刃51の前方(矢示B方向)に引き出した後、
図3に示すように、繰出部101を下方(矢示C方向)に押し下げると、切断刃51が押圧されて板バネ52(,53)の先端側が下方に向けて湾曲し、固定部材60のストッパ62がロール紙100の表面に当接する。これにより、切断部材50の位置が固定されると共に、繰出部101の基端部(ロール紙100との境界部)がストッパ62により保持されるため、繰出部101を切断刃51により確実に切断することができる。繰出部101の切断後は、板バネ52(,53)が復元して
図2に示す状態に戻り、ストッパ62によるロール紙100の押圧が解除されるため、ロール紙100を再びスムーズに回転させることが可能になる。
【0020】
図4に示すように、ロール紙100の残量が少なくなった場合でも、支持部材20が自重で矢示D方向に回動することによって、支持部材20の前部がロール紙100の上部に当接する状態が維持されるので、上記の手順により繰出部101を切断することができる。こうして、ロール紙100を使い切るまで、ロール紙100の繰り出しおよび切断を迅速容易に行うことができる。
【0021】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明の具体的な態様は上記実施形態に限定されない。例えば、
図5に示すように、支持部材20は、ホルダ本体10に回動自在に支持されて、前部がロール紙100の上部に当接する板状の蓋部材であってもよい。この構成においては、ホルダ本体10および支持部材20を、既設の蓋付きトイレットペーパホルダ等により構成することができるため、ロール紙用切断具30を粘着テープやクリップ等により支持部材20に強固に固定することで、ロール紙用切断具30を容易に後付けすることができる。なお、
図5において、
図1と同様の構成部分には同一の符号を付している。
【0022】
図6に示すように、切断刃51は、切断部51aの中央部51bが前方または上方に突出するように形成してもよく、繰出部101(
図5参照)を押し下げたときに、繰出部101の中央部が切断部51aの中央部51bに当接するように、切断刃51を配置することができる。この構成によれば、繰出部101を中央部から左右両側に向けて確実に切断することができる。切断部51aは、前方または上方に向けて凸となるように円弧状に形成してもよい。
【符号の説明】
【0023】
1 ロール紙ホルダ
10 ホルダ本体
20 支持部材
30 ロール紙用切断具
40 係合部材
42 繰出ローラ(折返し部)
50 切断部材
51 切断刃
52,53 板バネ(バネ部材)
60 固定部材
100 ロール紙
101 繰出部