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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022142008
(43)【公開日】2022-09-30
(54)【発明の名称】算出システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20220922BHJP
   G06Q 30/02 20120101ALI20220922BHJP
   G06F 30/13 20200101ALI20220922BHJP
【FI】
G06Q50/08
G06Q30/02 490
G06F30/13
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021041960
(22)【出願日】2021-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】澤 海斗
(72)【発明者】
【氏名】大竹 康宏
(72)【発明者】
【氏名】荒木 法子
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 彰浩
(72)【発明者】
【氏名】竹本 勝美
(72)【発明者】
【氏名】江澤 暢一
(72)【発明者】
【氏名】張 雁東
【テーマコード(参考)】
5B146
5L049
【Fターム(参考)】
5B146AA04
5B146DE01
5B146DE16
5B146DL01
5B146DL05
5B146DL10
5L049BB55
5L049CC07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】建物のトータルコストを精度よく求めることが可能な算出システムを提供する。
【解決手段】算出システム1は、建物の設計を行い、設計情報を部品算出部20へ入力する設計部10と、設計部10で設計した設計情報及び詳細情報の出力結果に基づいて、建物に用いられる各種部材の親子関係を段階的に示した邸別ストラクチャを算出するストラクチャ算出部30と、設計部10で設計した建物の詳細を示す詳細情報を入力結果に応じて出力する部品算出部20と、設計が確定した建物のトータルコスト及びトータルリードタイムを算出する総合情報算出部40と、を具備する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の設計を行う設計部と、
前記設計部で設計した設計情報に基づいて、前記建物に用いられる各種部材の親子関係を段階的に示した階層情報を算出する階層情報算出部と、
を具備する、
算出システム。
【請求項2】
前記設計部で設計した建物の詳細を示す詳細情報を前記階層情報算出部へ出力可能な出力部をさらに具備し、
前記設計部は、
前記設計情報を前記出力部へ入力し、
前記出力部は、
前記設計情報の入力結果に応じた前記詳細情報を前記階層情報算出部へ出力し、
前記階層情報算出部は、
前記設計情報及び前記詳細情報の出力結果に基づいて前記階層情報を算出する、
請求項1に記載の算出システム。
【請求項3】
前記階層情報では、
前記各種部材の識別情報と、前記親子関係と、前記建物の工種に応じた作業場所の識別情報と、が互いに関連付けて記憶される、
請求項2に記載の算出システム。
【請求項4】
前記作業場所は、
前記建物の工法及び前記建物が建築される地域に基づいて設定される、
請求項3に記載の算出システム。
【請求項5】
前記地域には、
交通事情又は建築に関する法規制の少なくともいずれかが異なる複数の地域が含まれる、
請求項4に記載の算出システム。
【請求項6】
前記設計情報には、
前記工法及び前記地域が含まれ、
前記階層情報算出部は、
前記工法及び前記地域に応じて前記親子関係及び前記作業場所が異なる複数のひな型をさらに具備し、
前記複数のひな型の中から、前記設計情報の前記工法及び前記地域に応じた1のひな型を抽出し、
抽出した前記1のひな型に前記設計情報及び前記詳細情報の内容を反映させることで、前記階層情報を算出する、
請求項4又は請求項5に記載の算出システム。
【請求項7】
前記階層情報の算出結果に基づいて、前記建物の建築に要するトータルコスト又はトータルリードタイムの少なくともいずれかを算出する総合情報算出部をさらに具備する、
請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の算出システム。
【請求項8】
前記総合情報算出部は、
前記建物の建築に必要な工種に応じたコスト及びリードタイムを算出可能な工種算出部と、
前記工種に応じたリードタイムの算出結果に基づいて、前記工種を時系列に配置して工程表を作成可能な工程表作成部と、
を具備し、
前記工種に応じたコストの算出結果に基づいて前記トータルコストを算出すると共に、前記工程表の作成結果に基づいて前記トータルリードタイムを算出する、
請求項7に記載の算出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の建築に関連する情報を算出する算出システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の建築に関連する情報を算出する算出システムの技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1に記載のシステム(算出システム)は、住宅設計ページを表示可能に構成される。住宅設計ページは、マウス操作等によって利用者が任意に部屋等を配置して間取り図を作成可能であると共に、当該間取り図に応じた合計価格(建物の建築に要するトータルコスト)を表示可能に構成される。合計価格は、部屋等の個別価格と住宅の本体工事価格とを合算して算出されている。
【0004】
特許文献1のシステムでは、利用者が配置した部屋の面積に応じて合計価格を概算で求めているため、合計価格を精度よく求めることができない可能性がある。この点に改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-132861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、建物のトータルコストを精度よく求めることが可能な算出システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、建物の設計を行う設計部と、前記設計部で設計した設計情報に基づいて、前記建物に用いられる各種部材の親子関係を段階的に示した階層情報を算出する階層情報算出部と、を具備するものである。
【0009】
請求項2においては、前記設計部で設計した建物の詳細を示す詳細情報を前記階層情報算出部へ出力可能な出力部をさらに具備し、前記設計部は、前記設計情報を前記出力部へ入力し、前記出力部は、前記設計情報の入力結果に応じた前記詳細情報を前記階層情報算出部へ出力し、前記階層情報算出部は、前記設計情報及び前記詳細情報の出力結果に基づいて前記階層情報を算出するものである。
【0010】
請求項3においては、前記階層情報では、前記各種部材の識別情報と、前記親子関係と、前記建物の工種に応じた作業場所の識別情報と、が互いに関連付けて記憶されるものである。
【0011】
請求項4においては、前記作業場所は、前記建物の工法及び前記建物が建築される地域に基づいて設定されるものである。
【0012】
請求項5においては、前記地域には、交通事情又は建築に関する法規制の少なくともいずれかが異なる複数の地域が含まれるものである。
【0013】
請求項6においては、前記設計情報には、前記工法及び前記地域が含まれ、前記階層情報算出部は、前記工法及び前記地域に応じて前記親子関係及び前記作業場所が異なる複数のひな型をさらに具備し、前記複数のひな型の中から、前記設計情報の前記工法及び前記地域に応じた1のひな型を抽出し、抽出した前記1のひな型に前記設計情報及び前記詳細情報の内容を反映させることで、前記階層情報を算出するものである。
【0014】
請求項7においては、前記階層情報の算出結果に基づいて、前記建物の建築に要するトータルコスト又はトータルリードタイムの少なくともいずれかを算出する総合情報算出部をさらに具備するものである。
【0015】
請求項8においては、前記総合情報算出部は、前記建物の建築に必要な工種に応じたコスト及びリードタイムを算出可能な工種算出部と、前記工種に応じたリードタイムの算出結果に基づいて、前記工種を時系列に配置して工程表を作成可能な工程表作成部と、を具備し、前記工種に応じたコストの算出結果に基づいて前記トータルコストを算出すると共に、前記工程表の作成結果に基づいて前記トータルリードタイムを算出するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0017】
請求項1においては、建物のトータルコストを精度よく求めることができる。
【0018】
請求項2においては、建物のトータルコストを精度よく求めることができる。
【0019】
請求項3においては、建物のトータルコストを精度よく求めることができる。
【0020】
請求項4においては、作業場所を適切に規定することができる。
【0021】
請求項5においては、建物のトータルコストを精度よく求めることができる。
【0022】
請求項6においては、ひな型を用いて階層情報を容易に算出することができる。
【0023】
請求項7においては、建物のトータルコストやトータルリードタイムを精度よく求めることができる。
【0024】
請求項8においては、建物のトータルコスト及びトータルリードタイムを精度よく求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態に係る算出システムの構成を示すブロック図。
図2】プロダクトストラクチャひな型の一例を示す説明図。
図3】邸別のプロダクトストラクチャを示す説明図。
図4】(a)製造施工コンポーネントライブラリの構成を示すブロック図。(b)製造施工コンポーネントの入出力を示すブロック図。
図5】(a)工種コンポーネントライブラリの構成を示すブロック図。(b)工種コンポーネントの入出力を示すブロック図。
図6】工種コンポーネントの構成を示すブロック図。
図7】製造施工工種DBを示す説明図。
図8】邸別のプロダクトストラクチャを算出する流れを示す図。
図9】工種に応じたコスト及びリードタイムを算出する流れを示す図。
図10】製造施工工種DBで情報を関連付ける様子を示す説明図。
図11】トータルコスト及びトータルリードタイムを算出する流れを示す図。
図12】配置部が工程表を作成する様子を示す図。
図13】鉄骨ユニット工法で海外に建物を建築する場合プロダクトストラクチャひな型の一例を示す図。
図14】鉄骨ユニット工法で国内の郊外に建物を建築する場合プロダクトストラクチャひな型の一例を示す図。
図15】木造のパネル工法で建物を建築する場合プロダクトストラクチャひな型の一例を示す図。
図16】金物工法で建物を建築する場合プロダクトストラクチャひな型の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下では、本発明の一実施形態に係る算出システム1について説明する。
【0027】
図1に示す算出システム1は、建物の設計が確定した段階で、当該建物のトータルコスト及びトータルリードタイムを算出するためのものである。トータルコストは、建物の建築に要するコストである(図12に示すトータルコストA51~A53参照)。トータルコストは、工場での作業に要するコストと現場での作業に要するコストとを合算したものとなっている。なお、上記「作業」には、組み立て作業や運搬作業等の種々の作業が含まれる。トータルリードタイムは、建物の建築を開始してから建築が終了するまでの期間である(図12に示すトータルリードタイムB51~B53参照)。より詳細には、トータルリードタイムは、工場での作業を開始してから現場での作業が終了するまでの期間である。トータルリードタイムには、工場での作業に要するリードタイム及び現場での作業に要するリードタイムがそれぞれ含まれる。以下、算出システム1について具体的に説明する。
【0028】
算出システム1は、演算処理を実行可能な演算装置、プログラム等が記憶された記憶装置、情報を入力可能な入力装置及び演算処理の結果等を表示可能な出力装置等を具備する複数のPCによって構成される。なお、図面においては、説明の便宜上、このような算出システム1のハードウェア構成についての記載は省略し、ソフトウェア構成(例えば、設計部10等)についてのみ記載している。以下では、図1図6を参照し、算出システム1の構成を説明する。算出システム1は、設計部10、部品算出部20、ストラクチャ算出部30及び総合情報算出部40を具備する。
【0029】
設計部10は、建物の設計を行うためのものである。設計部10は、設計した情報等を後述するストラクチャ算出部30へ入力可能に構成される。設計部10は、建設モデルライブラリ11を具備する。
【0030】
建設モデルライブラリ11は、PC上で建物の設計を行うものである。建設モデルライブラリ11は、複数のBIM(Building Information Modeling)モデルからなるBIMモデル群を具備する。BIMモデルは、PCに表示可能な建物の3次元のモデルである。複数のBIMモデルは、互いに建物の工法(建物全体の構造をどのような部材を使い、どのように組み立てるのか)等が異なるモデルとなっている。建設モデルライブラリ11には、建物の設計に関するパラメータを入力することができる。
【0031】
建物の設計に関するパラメータは、建物を設計するのに必要な値である。当該パラメータには、例えば、建物の工法、柱等の各種部材の寸法及び材料、並びに建物を建築する地域等が含まれる。建設モデルライブラリ11は、複数のBIMモデルの中から入力されたパラメータ(工法等)に基づいて1つのBIMモデル(建物のモデル)を抽出し、当該抽出した後のBIMモデルの形状を入力されたパラメータ(寸法等)に応じて変更することができる。こうして建設モデルライブラリ11は、パラメータの入力により、建物の3次元形状をリアルタイムに変更しながら(パラメトリックにデザインしながら)設計を行うことができる。また、前記パラメータは、例えば、顧客の要望に応じて適宜変更される。こうして建設モデルライブラリ11は、顧客ごとに形状等が異なる建物を設計することができる。
【0032】
以下では、設計が確定した建物の3次元形状(建設モデルライブラリ11へ確定したパラメータを入力して得られたもの)を「企画設計モデルA11」と称する。企画設計モデルA11(図8参照)では、建物の3次元形状や各種部材の大まかな関係(例えば、躯体が梁や柱等の組み合わせであること)は把握できるものの、各種部材の詳細な関係(例えば、1つの部品の単位まで分解した親子関係)まで把握することは困難である。
【0033】
部品算出部20は、各種部材の詳細な関係を出力するためのものである。部品算出部20は、製造モデルライブラリ21を具備する。
【0034】
製造モデルライブラリ21は、部品モデルA21(図8参照)を生成するものである。部品モデルA21は、各種部材の親子関係を1つの部品の単位まで分解した情報(建物の詳細を示す情報)となっている。製造モデルライブラリ21は、建設モデルライブラリ11のBIMモデル群と対になる部品群(部品モデルA21の元となる情報)を具備する。製造モデルライブラリ21は、建設モデルライブラリ11に入力された情報(例えば、工法)及び部品群を用いて所定の計算処理を行って、部品モデルA21を生成することができる。
【0035】
上述の如く構成される部品算出部20には、設計部10(建設モデルライブラリ11)から所定の情報(例えば、工法等)が入力される。部品算出部20は、入力された情報を製造モデルライブラリ21へ入力することで得られた部品モデルA21(設計した建物に応じた部品モデルA21)を出力することができる。部品算出部20は、部品モデルA21の出力結果をストラクチャ算出部30へ入力可能に構成される。
【0036】
ストラクチャ算出部30は、設計部10及び部品算出部20と連携し、一邸(顧客)ごとに内容が異なる邸別のプロダクトストラクチャA31(図3参照、以下、「邸別ストラクチャA31」と称する)を算出するためのものである。なお、邸別ストラクチャA31は、設計部10での設計が確定した建物に用いられる各種部材を分解した情報(柱や梁等を物理的に分類した情報)である。また、邸別ストラクチャA31は、各種部材の親子関係(建物を構成する部材がどのような部材の組み合わせで成り立っているのか)を段階的に示した情報となっている。
【0037】
具体的には、図3に示すように、邸別ストラクチャA31は、建物を最上位の階層としたツリー構造となっている。邸別ストラクチャA31は、後述するように、部品モデルA21の情報が反映されるため、建物に用いられる各種部材(例えば、柱等)が1つの部品の単位まで分解されて段階的に示される。また、部材によっては、マテリアル(材料)まで示される。
【0038】
ストラクチャ算出部30は、図1に示すように、プロダクトストラクチャひな型31を具備する。
【0039】
図1及び図2に示すプロダクトストラクチャひな型31(以下、「ひな型31」と称する)は、邸別ストラクチャA31のベースとなるものである。ひな型31は、例えば、DBMS(Database Management System)で管理されるテーブル群によって構成される。ひな型31は、建物の設計が確定する前に(事前に)準備される。また、ひな型31は、建物の工法及び地域等に応じて複数準備される。
【0040】
具体的には、建物を建築する際の作業内容は、工法及び地域等に応じて異なるものとなる。例えば、鉄骨ユニット工法や大型の部材を運搬し易い地域に建物を建築する場合、工場で部材の大半を製造して現場へ搬送する傾向がある。一方、形状の大きな部材を運搬し難い地域に建物を建築する場合、小型の部材を現場へ搬送して組み立てる傾向がある。このような工法及び地域等に応じた作業内容に合うように、後述するノード31a及びライン31cが適宜決められたひな型31が準備されている(図13図16参照)。以下では、図2に示すひな型31を例に挙げ、ひな型31の構成(厳密には、DBMSで管理されるツリー構造についての情報)を説明する。ひな型31は、ノード31a、ブランチ31b及びライン31cを具備する。
【0041】
ノード31aには、建物を構成する各種部材の識別情報(例えば、「基礎」等の文字列)等が格納される。ノード31aは、建物の各種部材の親子関係に応じて段階的に配置される。当該ノード31aのうち、「建物」ノード31aが最上位の階層に配置される。なお、図面では、ノード31aに格納される情報(識別情報等)を、ノード31aの枠内に適宜記載している。
【0042】
ブランチ31bは、上位のノード31aと下位のノード31aとを接続するものである。
【0043】
ライン31cは、建物の工種に応じた作業場所(工種が示す工事に含まれる作業を行う際の場所、例えば現場又は工場)及びノード31aの関係を規定するためのものである。図2に示すライン31cは、上位の「躯体」ノード31aと下位の「柱」ノード31a及び「梁」ノード31a等とを接続するブランチ31bを横切るように配置される。こうしてライン31cよりも上側の「躯体」ノード31aの作業場所が現場であることが規定されると共に、ライン31cよりも下側の「柱」ノード31a等の作業場所が工場であることが規定される。こうしてライン31cは、例えば、各種部材を工場でどこまで組み立てて現場へ出荷するのか(出荷ライン)等を規定することができる。このような線引きは、「躯体」ノード31aと同一階層の「基礎」ノード31aや「壁」ノード31a等でも行われるが、図2ではその記載を省略している。なお、図2では、ノード31a、ブランチ31b及びライン31cを可視化しているが、実際には各種部材の親子関係や作業場所が図2に示すものとなるように、各種部材の識別情報、親子関係及び作業場所の識別情報が互いに関連付けて記憶される。
【0044】
上述の如く構成されるひな型31は、設計が確定する前の段階で準備される。設計が確定する前の段階では、一部の仕様が決定していない。このため、ひな型31では、仕様が決定していない部分については、抽象的な情報が格納されている。例えば、角材のマテリアルは、設計が確定する前の段階では決定していないため、「角材」ノード31aの下位のノード31aには、「マテリアル」との文字列が格納されている。
【0045】
上述の如く構成されるストラクチャ算出部30は、ひな型31に決定した仕様を反映させることで、邸別ストラクチャA31を算出することができる。なお、邸別ストラクチャA31を算出する流れについては後述する。
【0046】
図1に示す総合情報算出部40は、設計が確定した建物のトータルコスト及びトータルリードタイムを算出するためのものである。総合情報算出部40は、製造計算情報DB41、施工計算情報DB42、製造施工コンポーネントライブラリ43、工種コンポーネントライブラリ44、製造施工工種DB45、制約情報46及び配置部47を具備する。
【0047】
製造計算情報DB41及び施工計算情報DB42は、工種に応じたコストA44及びリードタイムB44(工種が示す工事に必要なコスト及びリードタイム、図5(b)参照)の算出に必要な情報を、作業場所ごとに記憶するものである。製造計算情報DB41及び施工計算情報DB42は、DBMSで管理されるテーブルによって構成される。
【0048】
製造計算情報DB41は、工種に含まれる作業のうち、工場で行う作業に要するコストA44及びリードタイムB44を算出する際に必要な固定値(実数)についての情報を記憶する。製造計算情報DB41は、例えば、部材の単価、単位作業当たりのコスト及びリードタイム、並びにサプライヤ(部材の供給者)から工場への単位部材当たりの運搬コスト及び運搬リードタイム等の情報を記憶する。
【0049】
施工計算情報DB42は、工種に含まれる作業のうち、現場で行う作業に要するコストA44及びリードタイムB44を算出する際に必要な固定値についての情報を記憶する。施工計算情報DB42は、例えば、部材の単価、単位作業当たりのコスト及びリードタイム、並びにサプライヤや工場から現場への単位部材当たりの運搬コスト及び運搬リードタイム等の情報を記憶する。
【0050】
図1及び図4に示す製造施工コンポーネントライブラリ43は、工種に含まれる作業(例えば、個々の部材や部品の運搬作業や組み立て作業等)に要するコストA43及びリードタイムB43を算出するものである。なお、コンポーネントとは、入力された値に対して所定の計算処理を行って、その結果を出力する機能を指す。製造施工コンポーネントライブラリ43は、複数の製造施工コンポーネント43aを具備する。
【0051】
製造施工コンポーネント43aは、工種に含まれる作業のうち、ある1つの作業のコストA43及びリードタイムB43を算出するものである。複数の製造施工コンポーネント43aは、作業内容及び作業場所ごとに実装される。例えば、所定の部材の調達作業に要するコストA43等を算出するものとして、工場で調達する場合の製造施工コンポーネント43a(図4(a)に示す「工場で調達」参照)と、現場で調達する場合の製造施工コンポーネント43a(図4(a)に示す「現場で調達」参照)と、が実装される。
【0052】
図4(b)に示すように、製造施工コンポーネント43aには、作業に関する情報(例えば、作業を行う「地域」及び作業に用いる部材を識別する「部材名/記号」等、データD参照)が入力される。当該製造施工コンポーネント43aは、入力された情報を用いて計算処理を行うことで、作業に要するコストA43及びリードタイムB43を算出(出力)することができる。
【0053】
図1及び図5に示す工種コンポーネントライブラリ44は、工種に応じたコストA44及びリードタイムB44を算出するためのものである。なお、工種に応じたコストA44は、工種に含まれる複数の作業に要するコストA43を合計したものである。工種に応じたリードタイムB44は、工種に含まれる複数の作業に要するリードタイムB43を合計したものである。
【0054】
ここで、工種に含まれる作業は、工法及び地域等によっては作業場所が異なる場合がある。例えば、部材の加工作業を工場で行うと共に、当該部材の組み立て作業を現場で行うことがある。工種コンポーネントライブラリ44は、このような工場及び現場(作業場所)ごとにコストA44及びリードタイムB44を算出可能な複数の工種コンポーネント44aを具備する。複数の工種コンポーネント44aは、工種、工場及び現場ごとに実装される。例えば、基礎工事のコストA44等を算出するものとして、現場での作業に要するコストA44等を算出する工種コンポーネント44a(図5(a)に示す「基礎工事(現場)」参照)と、工場での作業に要するコストA44等を算出する工種コンポーネント44a(図5(a)に示す「基礎工事(工場)」参照)と、が実装される。
【0055】
図5(b)に示すように、工種コンポーネント44aには、工種に関する情報(例えば、工種を行う「地域」及び工種に用いる部材を識別する「部材名/記号」等)と、製造施工コンポーネント43aに関する情報(「コンポーネントデータ」)と、が入力される(データD参照)。なお、製造施工コンポーネント43aに関する情報は、製造施工コンポーネント43aを用いて、工種に含まれる一部の作業のコストA43等を算出するための情報である。製造施工コンポーネント43aに関する情報には、例えば、製造施工コンポーネント43aの識別情報及び製造施工コンポーネント43aへ入力する値等が含まれる。
【0056】
工種コンポーネント44aは、入力された情報を用いて計算処理を行うことで、工種に応じたコストA44及びリードタイムB44を算出することができる。この際、図6に示すように、工種コンポーネント44aは、製造計算情報DB41等に記憶された情報や入力された製造施工コンポーネント43aや当該コンポーネント43aとは異なるコンポーネント44bを用いてコストA44等を算出する。
【0057】
また、工種コンポーネント44aは、建物の形を作るための第一作業(例えば、部材の運搬作業や部材を組み立てる作業)だけではなく、建物の形を作らない第二作業(例えば、足場を組む作業や清掃作業等の工種に付帯する作業)についてのコストA43及びリードタイムB43も算出する。工種コンポーネント44aは、このような第二作業のコストA43等の算出結果を加味して、工種に応じたコストA44等を算出する。例えば、前記第一作業及び前記第二作業のコストA43の算出結果を合算して、工種に応じたコストA44を算出する。
【0058】
図1及び図7に示す製造施工工種DB45は、建物の建築に必要な工種を分解した情報(実体がない概念的なものについての情報)である。製造施工工種DB45は、工種及び作業場所を段階的に示した情報となっている。製造施工工種DB45は、DBMSによって管理されるテーブル群に格納される。製造施工工種DB45は、ルート45a、子ノード45b及び孫ノード45cを具備する。
【0059】
ルート45aは、製造施工工種DBの中で最上位のノードである。ルート45aには、建物の工法の識別情報(図7では、「プレカット/プレセット」)等が格納される。
【0060】
子ノード45bは、ルート45aの1つ下の階層に位置するノードである。子ノード45bには、工種の識別情報(例えば、「基礎工事」及び「建方工事」)等が格納される。子ノード45bは、工法に応じて複数配置される。
【0061】
孫ノード45cは、子ノード45bの1つ下の階層に位置するノードである。孫ノード45cは、1つの子ノード45bに対して複数(作業場所と同じ数、図7では2つ)接続される。孫ノード45cでは、子ノード45bが示す工種に応じたコストA44等を工種コンポーネント44aで算出するための情報が適宜格納される。
【0062】
具体的には、孫ノード45cには、例えば、作業場所の識別情報(「現場」等)と、当該作業場所に対応する工種コンポーネント44aの識別情報(建方工事の現場でのコストA44等を算出する「工種(現場)コンポーネント」)と、当該工種コンポーネント44aに入力される製造施工コンポーネント43aの識別情報と、が格納される。
【0063】
また、孫ノード45cには、作業場所に応じて、製造計算情報DB41又は施工計算情報DB42の識別情報が格納される。具体的には、「工場」ノード45cには、工場での作業における固定値を格納する製造計算情報DB41の識別情報が格納される。また、「現場」ノード45cには、現場の作業における固定値を格納する施工計算情報DB42の識別情報が格納される。
【0064】
このように、孫ノード45cでは、工種及び作業場所に応じて、製造計算情報DB41や工種コンポーネント44a等が適宜関連付けられて記憶される。
【0065】
上述の如く構成される製造施工工種DB45は、工法及び地域等に応じて予め複数のDBが準備される。具体的には、上述のように、作業内容は、工法及び地域等に応じて異なるものとなる。当該作業内容の違いにより、孫ノード45cに格納すべき情報(工種コンポーネント44aへ入力する値)も変わることとなる。そこで、製造施工工種DB45は、工法及び地域等に応じた作業内容に合うように孫ノード45cに情報が適宜格納された複数のDBが準備される。また、当該DBの孫ノード45cの情報は、工法及び地域等に応じて決定されるひな型31のライン31c(図2参照)に基づいて適宜決定される。こうして、製造施工工種DB45及びひな型31は、互いに対になるように設けられる。
【0066】
図1に示す制約情報46は、工程表51~5N(図12参照)を作成する際に考慮する制約に関する情報である。制約情報46には、例えば、工種を行う順番、キャパシティ及び顧客の要望(例えば、建物の建設を開始する時期等の要望)等が含まれる。制約情報46は、予め(設計の確定前に)設定される。
【0067】
配置部47は、工種を時系列に配置した工程表51~5Nを作成するためのものである。配置部47は、PCで動作可能なプログラム等によって構成される。配置部47は、制約情報46に格納された情報を読み込んで、工種の配置が異なる複数の工程表51~5Nを作成することができる。
【0068】
上述の如く構成される総合情報算出部40は、製造施工工種DB45の情報を変更可能(追加、更新及び削除可能)に構成される。また、総合情報算出部40は、製造施工工種DB45の情報及び工程表51~5Nを用いてトータルコスト及びトータルリードタイムを算出可能に構成される。
【0069】
以下では、図2図3、並びに図8図12を参照して、算出システム1による算出処理について説明する。なお、図8図9及び図11に示す「1」から「8」は、算出処理の順番を示すものである。また、「0」は、事前に準備されたものであることを示している。
【0070】
算出処理は、邸別ストラクチャA31、トータルコスト及びトータルリードタイムを算出するための処理である。算出処理は、図8に示す建設モデルライブラリ11で建物の設計が完了した後で適宜実行される。算出処理が開始されると、建設モデルライブラリ11によって企画設計モデルA11(建設モデルライブラリ11へのパラメータ入力で得られた建物のモデル)が生成される(図8の「1」の処理参照)。
【0071】
当該企画設計モデルA11は、設計された建物の概要を示す概要情報を保持する。概要情報には、建物の3次元の形状をPCで表示するのに必要な情報や各種部材に付帯する情報(メタデータ)が含まれる。具体的には、概要情報には、例えば、建物の各種部材の3次元の形状情報(基礎や躯体の3次元座標等)と、各種部材の材料を示す情報と、建物の工法と、地域と、建設モデルライブラリ11に入力されたパラメータ等と、が含まれる。このように、概要情報は、設計部10で設計した情報(設計情報)となっている。
【0072】
企画設計モデルA11が生成されると、設計部10は、企画設計モデルA11が保持する概要情報を製造モデルライブラリ21へ入力する(図8の「2」の処理参照)。
【0073】
製造モデルライブラリ21は、入力された概要情報に基づいて、部品モデルA21(建物の詳細を示す情報)を出力する(図8の「3」の処理参照)。
【0074】
製造モデルライブラリ21が部品モデルA21を出力すると、設計部10及び部品算出部20は、概要情報(企画設計モデルA11)及び部品モデルA21(詳細情報)をストラクチャ算出部30へ入力する。ストラクチャ算出部30は、入力された情報をひな型31へ入力する(図8の「4」の処理参照)。具体的には、ストラクチャ算出部30は、ひな型31の中から、概要情報に含まれる工法及び地域等に応じた1のひな型31を抽出する。そして、ストラクチャ算出部30は、抽出したひな型31に概要情報及び部品モデルA21の内容を反映させる。
【0075】
例えば、工法及び地域から図2に示すひな型31を抽出した場合、ストラクチャ算出部30は、当該ひな型31に確定した設計についての情報を反映させる。具体的には、ストラクチャ算出部30は、例えば、柱やプレカット木材の数量、角柱の寸法、及び角柱のマテリアルが「スギ」及び「ヒノキ」であること等を反映させる。こうして、図3及び図8に示すように、ストラクチャ算出部30は、ひな型31をベースとした邸別ストラクチャA31を算出する(図8の「5」の処理参照)。
【0076】
このように、ストラクチャ算出部30は、設計部10での設計(企画設計モデルA11)で得られた概要情報から詳細情報を算出し(「3」の処理)、これら概要情報及び詳細情報を集約して邸別ストラクチャA31を算出する(「4」及び「5」の処理)。こうして、ストラクチャ算出部30は、建物の設計が完了した段階で、邸別ストラクチャA31を算出することができる。
【0077】
ストラクチャ算出部30が邸別ストラクチャA31を算出すると、図9及び図10に示すように、総合情報算出部40は、邸別ストラクチャA31の情報を工種コンポーネント44a等と関連付けて製造施工工種DB45に記憶させる(図9の「6」の処理参照)。具体的には、総合情報算出部40は、邸別ストラクチャA31のベースとなったひな型31と対になった製造施工工種DB45を抽出する。
【0078】
こうして抽出された製造施工工種DB45の孫ノード45cには、ライン31cに応じて、製造計算情報DB41や工種コンポーネント44a等が適宜関連付けて記憶されている。具体的には、例えば、工法及び地域から図10に示すひな型31を特定した場合、「柱」ノード31a及び「梁」ノード31a等がライン31cの下側に位置していることから、躯体の柱及び梁等を工場で製造することとなる。図10に示す「工場」ノード45cには、このような工場での製造作業に要するコストA44及びリードタイムB44を算出するように、工種コンポーネント44a、製造計算情報DB41及び製造施工コンポーネント43a等が予め関連付けて記憶されている。しかしながら、製造施工工種DB45が抽出された時点では、確定した設計についての情報(例えば、柱の本数やマテリアル等)が不足しているため、柱及び梁等の製造に要するコストA44等を算出できない状態となっている。
【0079】
そこで、総合情報算出部40は、ライン31c(規則)にしたがって孫ノード45cに邸別ストラクチャA31の情報等を入力し、コストA44等の算出に不足している情報を追加する。例えば、総合情報算出部40は、図10に示す「工場」ノード45cに、柱の本数やマテリアル等を入力する。こうして、「工場」ノード45cに確定した設計についての情報が反映され、孫ノード45c(工種コンポーネント44a)で工種に応じたコストA44等を算出可能となる。
【0080】
図9に示すように、総合情報算出部40は、製造施工工種DB45に情報を入力すると、工種に応じたコストA44及びリードタイムB44を算出する(図9の「7」の処理参照)。このとき、総合情報算出部40は、孫ノード45cに格納された工種コンポーネント44aを用いて、コストA44等を作業場所(工場及び現場)ごとに算出する。
【0081】
図11及び図12に示すように、総合情報算出部40がコストA44及びリードタイムB44を算出すると、配置部47は、工種を時系列に配置した工程表を作成する。このとき、配置部47は、工種の配置が互いに異なる複数の工程表を作成し、当該工程表の中から一部の工程表を絞り込んで顧客へ提示する。こうして、作成可能な全ての工程表ではなく、ある程度数を絞った工程表を提示することにより、顧客が所望する工程表を選択し易くしている。
【0082】
総合情報算出部40がコストA44等を算出すると、配置部47は、リードタイムB44の算出結果及び制約情報46に基づいて複数の工程表51~5Nを作成する。このとき、配置部47は、工種の順番(制約情報46)に矛盾が生じず、かつ、キャパシティ(制約情報46)の範囲内で工種を実施可能となるように、工種の配置が互いに異なる複数の工程表51~5Nを作成する。また、配置部47は、顧客の要望(例えば、建築工事の開始時期等の要望、制約情報46)に沿って工程表51~5Nを作成する。こうして作成される工程表51~5Nは、制約情報46の内容によってはその数が多くなり過ぎてしまう場合がある。この場合、顧客が工程表を選択するのに負担がかかる可能性がある。このため、以下の手順で工程表51~5Nの絞り込みが行われる。
【0083】
まず、総合情報算出部40は、工程表51~5Nの絞り込みを行うための情報を算出する。具体的には、工程表51~5Nに沿って建物を建築した場合のトータルリードタイムと、トータルコストと、を算出する。このとき、総合情報算出部40は、最初の工種を開始してから、最後の工種が終了するまでの期間を算出し、当該算出結果をトータルリードタイムとする(図12に示すトータルリードタイムB51~B53参照)。これにより、総合情報算出部40は、工種の配置に基づいてトータルリードタイムを精度よく求めることができる。
【0084】
また、総合情報算出部40は、工種に応じたコストA44の算出結果を合算することでトータルコストを算出する(図12に示すトータルコストA51~A53参照)。なお、総合情報算出部40は、工程表51~5Nに配置された工種に応じて各工種のコストA44を再計算し、トータルコストを算出してもよい。この場合、総合情報算出部40は、例えば、工程表51~5Nの中で作業を行う時期が重複した複数の工種で、作業をまとめて実施可能であるか(例えば、部材をまとめて運搬可能であるか等)を判定する。そして、総合情報算出部40は、作業をまとめて実施可能である場合、作業をまとめた場合のコストA44を再計算し、当該再計算結果をトータルコストに反映させる。これによって、総合情報算出部40は、工種を行うタイミングを考慮して、トータルコストを精度よく求めることができる。
【0085】
総合情報算出部40がトータルコスト等を算出すると、配置部47は、工程表51~5Nの絞り込みを行う(図11の「8」の処理参照)。このとき、配置部47は、トータルコスト等の算出結果を評価指標(例えば、トータルコスト及びトータルリードタイムの閾値、工事を早く終わらせてほしいといった顧客の要望等)を用いて評価する。そして、配置部47は、複数の工程表51~5Nの中から、工種が適切に配置されたと考えられる一部の工程表を抽出する。なお、図11では、図12に示す3つの工程表51~53を抽出している。こうして配置部47は、工程表51~5Nを絞り込む。
【0086】
絞り込まれた工程表51~53は、PCに表示されて顧客に提示される。また、工程表51~53に応じたトータルコストA51~A53及びトータルリードタイムB51~B53の算出結果も、工程表51~53ごとに顧客に提示される。このような構成により、顧客が任意に工程表51~53を選択することができ、利便性を向上させることができる。また、顧客の要望等に沿って最適な工程表を選択することができる。顧客が1つの工程表を選択すると、算出処理が終了する。
【0087】
なお、仮に提示された工程表51~53に顧客が選択したいものがなかった場合、例えば、建物の設計を一部変更する(建設モデルライブラリ11へ入力するパラメータを一部変更する)。ストラクチャ算出部30は、変更された内容に応じて、前回とは異なる内容の邸別ストラクチャA31を算出する。また、配置部47は、前回とは異なる内容の工程表を提示する。このような工程表の再提示は、顧客が工程表を選択するまで繰り返し実行することができる。
【0088】
このように、本実施形態に係る算出システム1では、建設モデルライブラリ11で建物の設計が確定した段階で、邸別ストラクチャA31を得ることができる(図8参照)。これにより、設計が確定した段階で、建物の各種部材の親子関係を詳細に(1つの部品単位まで)把握することができる。このため、総合情報算出部40は、トータルコストA51~A53及びトータルリードタイムB51~B53を早期に精度よく求めることができる。
【0089】
また、邸別ストラクチャA31では、各種部材ごとに作業場所を規定している(図10参照)。これによって、作業場所に応じたコスト及びリードタイムの違いをトータルコストA51~A53及びトータルリードタイムB51~B53に反映させることができる。これにより、総合情報算出部40は、トータルコストA51~A53及びトータルリードタイムB51~B53をより精度よく求めることができる。
【0090】
また、工種コンポーネント44aは、工種に付帯する作業(足場の組み立て作業等)に要するコストA43及びリードタイムB43を、工種に応じたコストA44及びリードタイムB44に反映可能に構成されている。これにより、トータルコストA51~A53及びトータルリードタイムB51~B53をより精度よく求めることができる。
【0091】
また、製造計算情報DB41や工種コンポーネント44a等は、工種及び作業場所に応じて製造施工工種DB45の孫ノード45cに関連付けて記憶されている。このような構成により、確定した設計についての情報(邸別ストラクチャA31に含まれるマテリアル等の情報)を孫ノード45cに反映させるだけで、工種のコストA44及びリードタイムB44を容易に算出することができる。
【0092】
以下では、図4を参照し、製造施工コンポーネント43aによる計算処理の具体例について説明する。なお、以下では、図4(b)に示すデータDから部材の調達に要するコストA43及びリードタイムB43を算出する場合を例に挙げて、具体例を説明する。
【0093】
部材の調達に要するコストA43には、サプライヤから部材を購入するコスト及び部材を配送するコストが含まれる。当該コストA43を算出する場合、製造施工コンポーネント43aは、入力された「地域」及び「部材名/記号」からサプライヤを決定する。製造施工コンポーネント43aは、決定したサプライヤをキーにして、部材の単価、配送の単価及び単位当たりの配送リードタイムを製造計算情報DB41から取得する。そして、製造施工コンポーネント43aは、部材の単価と「部材量」とを乗算して部材を購入するコストを算出すると共に、配送の単価と「部材量」とを乗算して部材を配送するコストを算出する。製造施工コンポーネント43aは、当該コストの算出結果を合算して部材の調達に要するコストA43を算出する。
【0094】
また、部材の調達に要するリードタイムB43を算出する場合、製造施工コンポーネント43aは、「部材名/記号」及び「部材量」からトラック台数を算出すると共に、「配送先」を元にトラック1台分の配送リードタイムを算出する。そして、製造施工コンポーネント43aは、トラック台数及び配送リードタイムの算出結果を乗算し、部材の調達に要するリードタイムB43を算出する。
【0095】
以下では、図5を参照し、工種コンポーネント44aによる計算処理の具体例について説明する。なお、以下では、図5(b)に示すデータDから建方工事に要するコストA44及びリードタイムB44を算出する場合を例に挙げて、具体例を説明する。
【0096】
建方工事に要するコストA44には、建方工事で用いる全ての部材を配送する配送コスト、建方工事の施工に要する施工コスト(人件費)及び建方工事に付帯するコスト(例えば清掃に要するコスト等)等が含まれる。当該コストA44を算出する場合、工種コンポーネント44aには、コストA44に含まれる一部のコストを算出可能な製造施工コンポーネント43aの情報(「コンポーネントデータ」)が入力される。こうして、工種コンポーネント44aは、製造施工コンポーネント43aを用いて、建方工事に要する一部の作業のコストを算出することができる。当該工種コンポーネント44aは、製造施工コンポーネント43aでは算出不能な作業のコストを、「地域」等の入力結果に基づいて算出する。例えば、全ての部材を配送する配送コスト及び施工に要する施工コストを算出する。
【0097】
具体的には、工種コンポーネント44aは、「部材名/記号」及び「コンポーネントデータ」から、現場へ配送する全ての部材を特定する。工種コンポーネント44aは、「配送先」及び配送元(工場又はサプライヤ)をキーにして、配送コストを施工計算情報DB42から取得する。工種コンポーネント44aは、「部材量」から配送コストを算出する。
【0098】
また、工種コンポーネント44aは、「地域」をキーにして、建方人工単価を施工計算情報DB42から取得し、当該取得結果及び「部材量」から施工コストを算出する。
【0099】
工種コンポーネント44aは、こうして算出した配送コスト及び施工コストの算出結果と、製造施工コンポーネント43aを用いて算出したコストA43とを合算することで、建方工事に要するコストA44を算出する。
【0100】
また、建方工事に要するリードタイムB44を算出する場合、工種コンポーネント44aは、コストA44の場合と同様に、一部の作業のリードタイムB43を製造施工コンポーネント43aを用いて算出する。また、工種コンポーネント44aは、製造施工コンポーネント43aでは算出不能な作業のリードタイムを、「地域」等の入力結果に基づいて算出する。
【0101】
このように、工種コンポーネント44aは、製造施工コンポーネント43aを用いて、工種のコストA44等を算出している。これにより、異なる工種で同一作業のコスト等を共通の製造施工コンポーネント43aで算出可能となるため、工種コンポーネント44aを実装する負担を低減することができる。また、ある作業におけるコストA43の算出方法等が変わった場合に、当該作業に対応する1つの製造施工コンポーネント43aの計算処理の内容を変更すれば、複数の工種コンポーネント44aに当該変更を反映させることができる。これにより、メンテナンスの作業の負担も低減することができる。
【0102】
以下では、図13図16を参照し、ひな型31の具体例を説明する。
【0103】
上述の如く、ひな型31は、建物の工法及び地域等に応じて複数準備される。図13図16は、このようなひな型31の一例を示すものである。
【0104】
具体的には、図13及び図14に示すひな型31は、工場で建物の大半を仕上げて、現場で組み立てる鉄骨ユニット工法で建物を建築する場合におけるひな型の一例を示す図である。図13に示すひな型31は、海外で建物を建築する場合のひな型の一例である。また、図14に示すひな型31は、国内の郊外で建物を建築する場合のひな型の一例である。図13及び図14に示すように、工法が同一であると共に地域が異なる場合、ノード31aの配置が同一であると共に、ライン31cの設定が異なる複数のひな型31が準備される。また、図13及び図14に示すライン31cは、地域の事情(例えば、交通事情や建築に関する法規制)等に応じて設定される。
【0105】
具体的には、海外では、部材の運搬を妨げるような交通事情(例えば、道路の幅員が狭く、現場まで大型のトラックがたどり着けない等の事情)や法規制等の制限事項が比較的少ないことから、ある程度のところまで工場で製造し、大型の製造物を現場へ搬送して組み立てる傾向がある。このため、図13に示すように、鉄骨ユニット工法を用いて海外で建物を建築する場合のライン31cは、最上位の「建物」ノード31aと1つ下位の「基礎」ノード31a及び「ユニット」ノード31aを横切るように配置されている。なお、基礎は、PCa基礎(工場で製造された基礎)を扱うことを前提としている。
【0106】
一方、国内の郊外では、交通事情や法規制が海外よりも制限事項が多いため、小型のユニットフレーム及びパネルを工場で製造し、これらを現場で組み合わせることが望ましいと考えられる。このため、図14に示すように、鉄骨ユニット工法を用いて国内の郊外で建物を建築する場合のライン31cは、「ユニット」ノード31aと「フレーム」ノード31a及び「パネル」ノード31aとの間を横切るように配置されている。
【0107】
なお、国内の都心部では、交通事情等の都合上、鉄骨ユニット工法で建物を建築することが困難であると考えられる。このため、鉄骨ユニット工法で国内の都心部に建物を建築する場合のひな型は準備されていない。また、建設モデルライブラリ11(図8参照)では、国内の都心部で建築する建物を設計する場合、鉄骨ユニット工法を入力不能に構成されている。
【0108】
図13及び図14に示すようなひな型31を準備することで、鉄骨ユニット工法で海外や国内の郊外で建物を建築する場合における工種の作業場所を、設計が確定した段階で適切に規定することができる。
【0109】
図15に示すひな型31は、床や壁等の構造体に使う木製のパネルを工場で製造して、現場で組み立てる木造のパネル工法で建物を建築する場合におけるひな型31の一例を示す図である。木造のパネル工法で建物を建築する場合、海外、国内の郊外及び国内の都心部に対応する3つのひな型31が準備される。当該3つのひな型31は、ノード31aの配置が同一であると共にライン31cの設定が異なるものとなる。図15には、3つのひな型31のライン31cを記載している。ライン31cは、地域の事情等に応じて設定される。
【0110】
より詳細には、木造のパネル工法を用いて海外で建物を建築する場合、鉄骨ユニット工法と同様に、ある程度のところまで工場で製造し、当該製造物現場へ搬送して組み立てることを想定してライン31cが配置されている。具体的には、図15に実線で示すように、木造のパネル工法を用いて海外で建物を建築する場合、ライン31cは、最上位の「建物」ノード31aと1つ下位の「基礎」ノード31a及び「パネル」ノード31aを横切るように配置されている。また、ライン31cは、「躯体」ノード31aと1つ下位の「柱」ノード31a及び「梁」ノード31a等を横切るように配置されている。
【0111】
また、木造のパネル工法を用いて国内の郊外で建物を建築する場合、ある程度敷地の広さがあると考えられるため、全てパネル化して現場で組み立てることを想定してライン31cが配置されている。具体的には、図15に1点鎖線で示すように、木造のパネル工法を用いて国内の郊外で建物を建築する場合、ライン31cは、「基礎」ノード31a及び「躯体」ノード31aと1つ下位の「柱」ノード31a及び「梁」ノード31a等を横切るように配置されている。また、ライン31cは、最上位の「建物」ノード31aと1つ下位の「パネル」ノード31a等を横切るように配置されている。
【0112】
また、木造のパネル工法を用いて国内の都心部で建物を建築する場合、全てパネル化してしまうと、クレーンや運搬の関係上、コスト及びリードタイムが最適にはならないことが想定される。このため、一部の部材(例えば、床等)は現場で施工することを想定してライン31cが配置されている。具体的には、図15に2点鎖線で示すように、木造のパネル工法を用いて国内の都心部で建物を建築する場合、ライン31cは、「基礎」ノード31a及び「躯体」ノード31aと1つ下位の「柱」ノード31a及び「梁」ノード31a等を横切るように配置されている。また、ライン31cは、「パネル」ノード31a及び1つ下位の「床」ノード31aと「天井」ノード31a及び「屋根」ノード31a等を横切るように配置されている。
【0113】
このように、交通事情や法規制が異なる3つの地域(海外、国内の郊外及び国内の都心部)に応じてライン31cを設定することで、木造のパネル工法で建物を建築する場合における工種の作業場所を、設計の確定段階で適切に設定することができる。
【0114】
図16に示すひな型31は、継手及び仕口を金物で接合する金物工法で建物を建築する場合におけるひな型31の一例を示す図である。金物工法で建物を建築する場合、海外、国内の郊外及び国内の都心部に応じて異なるライン31cが設定された3つのひな型が準備される。
【0115】
より詳細には、金物工法を用いて海外で建物を建築する場合、最大限プレファブ化する(工場で製造する)ことを想定してライン31cが配置されている。具体的には、図16に実線で示すように、金物工法を用いて海外で建物を建築する場合、ライン31cは、最上位の「建物」ノード31aと1つ下位の「基礎」ノード31aを横切るように配置されている。また、ライン31cは、「躯体」ノード31a及び「壁」ノード31a等と1つ下位の「柱」ノード31a及び「梁」ノード31a等を横切るように配置されている。
【0116】
また、金物工法を用いて国内の郊外で建物を建築する場合、運搬に要するコスト及びリードタイムが比較的(都心部よりも)小さいことを考慮して、工場で金物等をプレセットして現場で組み立てることを想定してライン31cが配置されている。具体的には、図16に1点鎖線で示すように、金物工法を用いて国内の郊外で建物を建築する場合、ライン31cは、「躯体」ノード31a及び1つ下位の「柱」ノード31aと「梁」ノード31a及び「火打ち材」ノード31a等を横切るように配置されている。
【0117】
また、金物工法を用いて国内の都心部で建物を建築する場合、運搬に要するコスト及びリードタイムが比較的大きいため、金物は工場でプレセットしないことを想定してライン31cが配置されている。こうして工場で製造した部材を一度にまとめて運搬可能にし、コスト及びリードタイムの短縮を図るようにライン31cを配置している。具体的には、図16に2点鎖線で示すように、金物工法を用いて国内の都心部で建物を建築する場合、ライン31cは、「柱」ノード31aと1つ下位の「プレカット木材」ノード31aを横切るように配置されている。また、ライン31cは、「梁」ノード31aと1つ下位の「プレカット木材」ノード31aを横切るように配置されている。
【0118】
図16に示すひな型31により、金物工法で建物を建築する場合における工種の作業場所を、設計の確定段階で適切に設定することができる。
【0119】
以上の如く、本実施形態に係る算出システム1は、建物の設計を行う設計部10と、前記設計部10で設計した設計情報(概要情報)に基づいて、前記建物に用いられる各種部材の親子関係を段階的に示した邸別ストラクチャA31(階層情報)を算出するストラクチャ算出部30(階層情報算出部)と、を具備するものである。
【0120】
このように構成することにより、邸別ストラクチャA31を用いて建物のトータルコストA51~A53を精度よく求めることができる。
【0121】
また、前記算出システム1は、前記設計部10で設計した建物の詳細を示す詳細情報(部品モデルA21)を前記ストラクチャ算出部30へ出力可能な部品算出部20(出力部)をさらに具備し、前記設計部10は、前記設計情報を前記部品算出部20へ入力し(図8に示す「2」の処理)、前記部品算出部20は、前記設計情報の入力結果に応じた前記詳細情報を前記ストラクチャ算出部30へ出力し(図8に示す「3」の処理)、前記ストラクチャ算出部30は、前記設計情報及び前記詳細情報の出力結果に基づいて前記邸別ストラクチャA31を算出するものである(図8に示す「5」の処理)。
【0122】
このように構成することにより、部品算出部20で保持された詳細情報を用いて邸別ストラクチャA31を精度よく求めることができ、ひいては建物のトータルコストA51~A53を精度よく求めることができる。
【0123】
また、前記邸別ストラクチャA31には、前記各種部材の識別情報と、前記親子関係と、前記建物の工種に応じた作業場所の識別情報と、が互いに関連付けて記憶されるものである。
【0124】
このように構成することにより、作業場所の違いによるコストの変動をトータルコストA51~A53に反映させることができるため、建物のトータルコストA51~A53を精度よく求めることができる。
【0125】
また、前記作業場所は、前記建物の工法及び前記建物が建築される地域に基づいて設定されるものである(図13図16)。
【0126】
このように構成することにより、工法及び地域の違いを考慮して作業場所を適切に規定することができる。
【0127】
また、前記地域には、交通事情又は建築に関する法規制の少なくともいずれかが異なる複数の地域が含まれるものである。
【0128】
このように構成することにより、コストの変動が生じ易い要因(交通事情及び法規制)を加味して建物のトータルコストA51~A53を算出可能となるため、トータルコストA51~A53を精度よく求めることができる。
【0129】
また、前記設計情報には、前記工法及び前記地域が含まれ、前記ストラクチャ算出部30は、前記工法及び前記地域に応じて前記親子関係及び前記作業場所が異なる複数のひな型31をさらに具備し、前記複数のひな型31の中から、前記設計情報の前記工法及び前記地域に応じた1のひな型31を抽出し、抽出した前記1のひな型31に前記概要情報及び前記詳細情報の内容を反映させることで、前記邸別ストラクチャA31を算出するものである(図8に示す「4」及び「5」の処理)。
【0130】
このように構成することにより、ひな型31を用いて邸別ストラクチャA31を容易に算出することができる。
【0131】
また、前記算出システム1は、前記邸別ストラクチャA31の算出結果に基づいて、前記建物の建築に要するトータルコストA51~A53又はトータルリードタイムB51~B53の少なくともいずれかを(本実施形態ではトータルコストA51~A53又はトータルリードタイムB51~B53をそれぞれ)算出する総合情報算出部40をさらに具備するものである。
【0132】
このように構成することにより、建物のトータルコストA51~A53やトータルリードタイムB51~B53を精度よく求めることができる。
【0133】
また、前記総合情報算出部40は、前記建物の建築に必要な工種に応じたコストA44及びリードタイムB44を算出可能な工種コンポーネントライブラリ44(工種算出部)と、前記工種に応じたリードタイムB44の算出結果に基づいて、前記工種を時系列に配置して工程表51~53を作成可能な配置部47(工程表作成部)と、を具備し、前記工種に応じたコストA44の算出結果に基づいて前記トータルコストA51~A53を算出すると共に、前記工程表51~53の作成結果に基づいて前記トータルリードタイムB51~B53を算出するものである。
【0134】
このように構成することにより、トータルコストA51~A53及びトータルリードタイムB51~B53を精度よく求めることができる。
【0135】
また、以上の如く、本実施形態に係る算出システム1は、設計対象の建物に用いられる各種部材の親子関係を段階的に示した邸別ストラクチャA31(階層情報)を算出するストラクチャ算出部30(階層情報算出部)と、前記邸別ストラクチャA31の算出結果に基づいて、前記建物の建築に要するトータルコストA51~A53又はトータルリードタイムB51~B53の少なくともいずれかを(本実施形態では、トータルコストA51~A53及びトータルリードタイムB51~B53をそれぞれ)算出する総合情報算出部40と、を具備するものである。
【0136】
このように構成することにより、邸別ストラクチャA31から建物の各種部材の親子関係を把握することができるため、建物のトータルコストA51~A53やトータルリードタイムB51~B53を精度よく求めることができる。
【0137】
また、前記総合情報算出部40は、前記建物の建築に必要な工種に応じたコストA44及びリードタイムB44を算出可能な工種コンポーネントライブラリ44(工種算出部)と、前記工種に応じたリードタイムB44の算出結果に基づいて、前記工種を時系列に配置して工程表51~53を作成可能な配置部47(工程表作成部)と、を具備し、前記工種に応じたコストA44の算出結果に基づいて前記トータルコストA51~A53を算出すると共に、前記工程表51~53の作成結果に基づいて前記トータルリードタイムB51~B53を算出するものである。
【0138】
このように構成することにより、トータルコストA51~A53及びトータルリードタイムB51~B53を精度よく求めることができる。
【0139】
また、前記工種コンポーネントライブラリ44は、前記工種に付帯する作業に要するコスト及びリードタイムを算出すると共に、当該コスト及びリードタイムの算出結果を加味して前記工種に応じたコストA44及びリードタイムB44を算出するものである。
【0140】
このように構成することにより、工種に応じたコストA44及びリードタイムB44を精度よく算出することができる。
【0141】
また、前記工種コンポーネントライブラリ44は、前記工種に応じた作業場所ごとに、前記工種に応じたコスト及びリードタイムを算出する複数の工種コンポーネント44a(計算処理部)を具備するものである。
【0142】
このように構成することにより、作業場所の違いによるコストA44及びリードタイムB44の変動をトータルコストA51~A53及びトータルリードタイムB51~B53に反映させることができる。このため、トータルコストA51~A53及びトータルリードタイムB51~B53を精度よく求めることができる。
【0143】
また、前記総合情報算出部40は、前記工種に応じたコストA44及びリードタイムB44の算出に必要な所定の値を、前記作業場所ごとに記憶する製造計算情報DB41及び施工計算情報DB42(複数の第一記憶部)をさらに具備し、前記複数の工種コンポーネント44aは、前記製造計算情報DB41及び施工計算情報DB42の情報を用いて前記工種に応じたコストA44及びリードタイムB44を算出し、前記総合情報算出部40は、前記工種及び前記作業場所に応じて、前記製造計算情報DB41、施工計算情報DB42及び前記複数の工種コンポーネント44aを互いに関連付けて記憶する製造施工工種DB45(第二記憶部)をさらに具備するものである。
【0144】
このように構成することにより、製造施工工種DB45に記憶された情報を用いて、工種に応じたコストA44及びリードタイムB44を容易に求めることができる。
【0145】
また、前記配置部47は、前記工種に応じたリードタイムB44の算出結果と、制約情報46(予め設定される制約に関する情報)と、に基づいて前記工程表51~5Nを作成するものである。
【0146】
このように構成することにより、制約情報46にしたがって工程表51~5Nを適切に作成することができる。
【0147】
また、前記配置部47は、前記工種の配置が異なる複数の工程表51~5Nを作成するものである。
【0148】
このように構成することにより、利便性を向上させることができる。特に、配置部47は、作成した工程表51~5Nを絞り込んだ一部の工程表51~53を顧客に提示している(図11に示す「8」の処理)。これにより、配置部47は、顧客が工程表を選択する負担を低減させることができる。
【0149】
また、前記算出システム1は、前記建物の設計を行う設計部10と、前記設計部10で設計した設計情報(概要情報)に基づいて前記邸別ストラクチャA31を算出するストラクチャ算出部30(階層情報算出部)と、をさらに具備するものである。
【0150】
このように構成することにより、設計情報を用いて邸別ストラクチャA31を精度よく求めることができ、ひいてはトータルコストA51~A53やトータルリードタイムB51~B53を精度よく求めることができる。
【0151】
また、前記算出システム1は、前記設計部10で設計した建物の詳細を示す詳細情報(部品モデルA21)を前記ストラクチャ算出部30へ出力可能な部品算出部20(出力部)をさらに具備し、前記設計部10は、前記設計情報を前記部品算出部20へ入力し(図8に示す「2」の処理)、前記部品算出部20は、前記設計情報の入力結果に応じた前記詳細情報を前記ストラクチャ算出部30へ出力し(図8に示す「3」の処理)、前記ストラクチャ算出部30は、前記設計情報及び前記詳細情報の出力結果に基づいて前記邸別ストラクチャA31を算出するものである(図8に示す「5」の処理)。
【0152】
このように構成することにより、設計情報(概要情報)及び詳細情報に基づいて邸別ストラクチャA31を精度よく求めることができ、ひいてはトータルコストA51~A53やトータルリードタイムB51~B53を精度よく求めることができる。
【0153】
なお、本実施形態に係るストラクチャ算出部30は、階層情報算出部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る部品算出部20は、出力部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る工種コンポーネントライブラリ44は、工種算出部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る配置部47は、工程表作成部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る工種コンポーネント44aは、計算処理部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る製造計算情報DB41及び施工計算情報DB42は、複数の第一記憶部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る製造施工工種DB45は、第二記憶部の実施の一形態である。
【0154】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0155】
例えば、算出システム1は、複数のPCで構成されるものとしたが、算出システム1のハードウェア構成は特に限定されるものではなく、PC以外の機器(例えば、タブレット端末等)を用いてもよい。また、算出システム1を構成する機器の数は、システムの規模等に応じて適宜の台数とすることができる。
【0156】
また、邸別ストラクチャA31は、必ずしも作業場所を規定する必要はない。また、総合情報算出部40は、作業場所を考慮せずに工種に応じたコストA44及びリードタイムB44を算出することが可能である。
【0157】
また、作業場所(ライン31c)は、工法及び地域等に基づいて設定されたが、作業場所を設定する基準は特に限定されるものではなく、他の基準であってもよい。
【0158】
また、作業場所を設定する基準となった地域は、海外、国内の郊外及び国内の都心部であったが、地域をどのように分けるのかは特に限定されるものではない。
【0159】
また、ストラクチャ算出部30は、ひな型31を用いて邸別ストラクチャA31を算出する手法を採用したが、邸別ストラクチャA31の算出手法は、特に限定されるものではない。ストラクチャ算出部30は、例えば、ひな型31を用いない手法により邸別ストラクチャA31を算出可能である。
【0160】
また、総合情報算出部40は、トータルコストA51~A53及びトータルリードタイムB51~B53をそれぞれ算出したが、総合情報算出部40は、トータルコストA51~A53又はトータルリードタイムB51~B53の少なくともいずれか一方のみを算出することも可能である。
【0161】
また、工種コンポーネントライブラリ44は、工種に付帯する作業のコスト及びリードタイムを加味して、工種に応じたコストA44及びリードタイムB44を算出したが、コストA44及びリードタイムB44をどのように算出するのかは特に限定されるものではない。
【0162】
また、製造施工工種DB45には、工種コンポーネント44a及び製造施工コンポーネント43a等が予め関連付けて記憶されるものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、設計が確定してから工種コンポーネント44a及び製造施工コンポーネント43a等を関連付けて記憶させてもよい。この場合、ストラクチャ算出部30は、例えば、工法及び地域(ライン31c)に基づいて、関連付ける工種コンポーネント44a及び製造施工コンポーネント43aを特定すると共に、当該特定した工種コンポーネント44a等を適宜関連付ければよい。
【0163】
また、配置部47は、複数の工程表51~5Nを作成したが、これに限定されるものではなく、1つの工程表を作成するものであってもよい。この場合、配置部47は、例えば、顧客の要望に沿った1つの工程表を作成してもよい。
【符号の説明】
【0164】
1 算出システム
10 設計部
30 ストラクチャ算出部(階層情報算出部)
A22 邸別ストラクチャ(階層情報)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16