(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022142014
(43)【公開日】2022-09-30
(54)【発明の名称】畜肉様食品組成物、及びそれを用いた畜肉様加工食品
(51)【国際特許分類】
A23J 3/00 20060101AFI20220922BHJP
A23L 15/00 20160101ALI20220922BHJP
A23L 29/262 20160101ALI20220922BHJP
A23L 13/60 20160101ALI20220922BHJP
【FI】
A23J3/00 503
A23L15/00 D
A23L29/262
A23L13/60 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021041968
(22)【出願日】2021-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000183484
【氏名又は名称】日本製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130812
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100164161
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 彩
(72)【発明者】
【氏名】辰見 嘉隆
(72)【発明者】
【氏名】薮野 伸季
(72)【発明者】
【氏名】石崎 雅也
【テーマコード(参考)】
4B041
4B042
【Fターム(参考)】
4B041LC03
4B041LD01
4B041LH11
4B041LK15
4B041LK25
4B041LK38
4B041LP01
4B041LP12
4B042AC05
4B042AD20
4B042AD36
4B042AE03
4B042AH11
4B042AK06
4B042AK09
4B042AK10
4B042AK13
4B042AP04
4B042AP14
4B042AP21
(57)【要約】
【課題】本発明によれば、卵白を含むことでしっかりとした食感に優れつつ、さらに保水性や作業性に優れる畜肉様食品組成物、及びそれを用いた畜肉様加工食品を提供することを課題とする。
【解決手段】植物由来たんぱく質、卵白、及びカルボキシメチルセルロース、粉末状セルロース、セルロースナノファイバーから選ばれる少なくとも1種のセルロース添加剤を含有する畜肉様食品組成物であって、畜肉素材の含有量が30質量%以下であることを特徴とする、畜肉様食品組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物由来たんぱく質、卵白、及びカルボキシメチルセルロース、粉末状セルロース、セルロースナノファイバーから選ばれる少なくとも1種のセルロース添加剤を含有する畜肉様食品組成物であって、畜肉素材の含有量が30質量%以下であることを特徴とする、畜肉様食品組成物。
【請求項2】
前記畜肉様食品組成物であって、粉末状セルロース及びセルロースナノファイバーを少なくとも含むセルロース添加剤を含有する、請求項1に記載の畜肉様食品組成物。
【請求項3】
前記セルロースナノファイバーが、化学変性セルロースナノファイバーであることを特徴とする請求項1~2いずれかに記載の畜肉様食品組成物。
【請求項4】
前記化学変性セルロースナノファイバーが、化学変性セルロースナノファイバーの絶乾重量に対して、カルボキシル基の量が0.5mmol/g~3.0mmol/gである酸化セルロースナノファイバーであることを特徴とする、請求項3に記載の畜肉様食品組成物。
【請求項5】
前記化学変性セルロースナノファイバーが、化学変性セルロースナノファイバーのグルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度が0.01~0.50であるカルボキシメチル化セルロースナノファイバーであることを特徴とする、請求項3に記載の畜肉様食品組成物。
【請求項6】
前記粉末状セルロースが、下記条件(A)~(E)を満たすことを特徴する請求項1~5いずれかに記載の畜肉様食品組成物。
(A)平均粒子径が5~75μm。
(B)粒子径100μm以上の粉末状セルロースが、粒度分布から算出される蓄積分布で0~45.0体積%の範囲にある。
(C)粒子径200μm以上の粉末状セルロースが、粒度分布から算出される蓄積分布で0~25.0体積%の範囲にある。
(D)粒子径300μm以上の粉末状セルロースが、粒度分布から算出される蓄積分布で0~12.0体積%以下の範囲にある。
(E)粒子径600μm以上の粉末状セルロースが、粒度分布から算出される蓄積分布で0~2.0体積%以下の範囲にある。
【請求項7】
前記粉末状セルロースが、平均重合度100~2500、結晶化度60~90%であることを特徴とする、請求項1~6いずれかに記載の畜肉様食品組成物。
【請求項8】
前記植物由来たんぱく質が、大豆由来たんぱく質であることを特徴とする、請求項1~7いずれかに記載の畜肉様食品組成物。
【請求項9】
請求項1~8いずれかに記載の畜肉様食品組成物を含む、畜肉様加工食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物由来たんぱく質、卵白、及びカルボキシメチルセルロース、粉末状セルロース、セルロースナノファイバーから選ばれる少なくとも1種のセルロース添加剤を含有する畜肉様食品組成物、及びそれを用いた畜肉様加工食品である。
【背景技術】
【0002】
近年、特に新興国における人口の増大や所得の拡大に伴い、畜肉原料の需要は拡大し続けており、今後は畜肉原料の供給不足が懸念されている。またさらに、宗教的理由あるいは個人的信条、更には健康訴求なども背景に、大豆素材や穀類などの植物性原料を多く配合した畜肉原料をほとんどあるいは全く使用しない、畜肉様食品は注目を浴びている。
【0003】
そのような畜肉様食品としては、例えば、特定の組織状大豆蛋白を結着原料と混合し、成形加熱することで得られる畜肉様加工食品が提案されていたり(特許文献1)、澱粉及び大豆蛋白質素材を配合した組織状大豆蛋白質と、分離大豆蛋白質、水及び油脂を配合したエマルジョンを含有する嚥下困難者用ハンバーグ様食品が提案されている(特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2011/043384号
【特許文献2】特開2016-67250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これら従来知られた提案では、畜肉原料の配合量を低下させると畜肉様の食感を得られなかったり、添加した澱粉によりぬめりや糊感を生じるため改善が望まれていた。
【0006】
そこで本発明では、卵白を含むことでしっかりとした食感に優れつつ、さらに保水性や作業性に優れる畜肉様食品組成物、及びそれを用いた畜肉様加工食品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意検討の結果、下記(1)~(9)にて課題を解決できることを見出した。
(1)植物由来たんぱく質、卵白、及びカルボキシメチルセルロース、粉末状セルロース、セルロースナノファイバーから選ばれる少なくとも1種のセルロース添加剤を含有する畜肉様食品組成物であって、畜肉素材の含有量が30質量%以下であることを特徴とする、畜肉様食品組成物。
(2)前記畜肉様食品組成物であって、粉末状セルロース及びセルロースナノファイバーを少なくとも含むセルロース添加剤を含有する、(1)に記載の畜肉様食品組成物。
(3)前記セルロースナノファイバーが、化学変性セルロースナノファイバーであることを特徴とする(1)~(2)いずれかに記載の畜肉様食品組成物。
(4)前記化学変性セルロースナノファイバーが、化学変性セルロースナノファイバーの絶乾重量に対して、カルボキシル基の量が0.5mmol/g~3.0mmol/gである酸化セルロースナノファイバーであることを特徴とする、(3)に記載の畜肉様食品組成物。
(5)前記化学変性セルロースナノファイバーが、化学変性セルロースナノファイバーのグルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度が0.01~0.50であるカルボキシメチル化セルロースナノファイバーであることを特徴とする、(3)に記載の畜肉様食品組成物。
(6)前記粉末状セルロースが、下記条件(A)~(E)を満たすことを特徴する(1)~(5)いずれかに記載の畜肉様食品組成物。
(A)平均粒子径が5~75μm。
(B)粒子径100μm以上の粉末状セルロースが、粒度分布から算出される蓄積分布で0~45.0体積%の範囲にある。
(C)粒子径200μm以上の粉末状セルロースが、粒度分布から算出される蓄積分布で0~25.0体積%の範囲にある。
(D)粒子径300μm以上の粉末状セルロースが、粒度分布から算出される蓄積分布で0~12.0体積%以下の範囲にある。
(E)粒子径600μm以上の粉末状セルロースが、粒度分布から算出される蓄積分布で0~2.0体積%以下の範囲にある。
(7)前記粉末状セルロースが、平均重合度100~2500、結晶化度60~90%であることを特徴とする、(1)~(6)いずれかに記載の畜肉様食品組成物。
(8)前記植物由来たんぱく質が、大豆由来たんぱく質であることを特徴とする、(1)~(7)いずれかに記載の畜肉様食品組成物。
(9)(1)~(8)いずれかに記載の畜肉様食品組成物を含む、畜肉様加工食品。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、卵白を含むことでしっかりとした食感に優れつつ、さらに保水性や作業性に優れる畜肉様食品組成物、及びそれを用いた畜肉様加工食品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下本発明の詳細を説明するが、特に記載のない場合「AA~BB%」等という記載は、「AA%以上BB%以下」をあらわすものとする。
【0010】
すなわち本発明は、植物由来たんぱく質、卵白、及びカルボキシメチルセルロース、粉末状セルロース、セルロースナノファイバーから選ばれる少なくとも1種のセルロース添加剤を含有する畜肉様食品組成物であって、畜肉素材の含有量が30質量%以下であることを特徴とする、畜肉様食品組成物である。
【0011】
<植物由来たんぱく質>
本発明で用いられる植物由来たんぱく質とは、例えば、大豆、えんどう豆、菜種、綿実、落花生、ゴマ、サフラワー、向日葵、コーン、ベニバナ、ココナッツ等の油糧種子、あるいは、米、大麦、小麦等の穀物種子由来のたんぱく質素材等や、これらの抽出・加工たんぱく、例えば、米グルテリン、大麦プロラミン、小麦プロラミン、小麦グルテン、大豆グロブリン、大豆アルブミン、落花生アルブミン等、これらの熱処理、酸処理、アルカリ処理、酵素処理たんぱく質等が挙げられる。入手の容易性および経済性等の点では大豆たんぱく質が好ましい。また、ここでいう大豆たんぱく質は、大豆由来のたんぱく質を含む素材であればよく、丸大豆や半割れ大豆などの全脂大豆や、油脂を除去した減脂大豆や脱脂大豆、含水エタノール洗浄や酸性水洗浄等によりたんぱく質を濃縮した濃縮大豆たんぱく、さらには分離大豆たんぱく質または豆乳、ならびにそれらの加水分解物、オカラ、ホエー等が例示され、これらの少なくとも1種以上を選択できる。これらの内、脱脂大豆が経済性に優れるため特に好ましい。
【0012】
そのような植物由来たんぱく質は、その性状も特に制限はなく、粒状・粉末状・ペースト状・繊維状など、畜肉様食品組成物に求められる性質などにあわせて適宜選択することができる。
【0013】
<カルボキシメチルセルロース>
本発明に用いられるカルボキシメチルセルロースは塩の形状でも良い(以下、それらを合わせてCMCということがある)。そのようなCMCは、グルコース単位当たりのカルボキシメチル置換基(以下、「置換度」あるいは「CM-DS」ということがある。)が0.01以上1.5以下であることが好ましく、0.01以上1.0以下がより好ましく、0.01以上0.5以下がさらに好ましく、0.1以上0.5以下が特に好ましい。
【0014】
CMCの置換度が1.5超等の高くなる場合、水に溶解しやすくなるため、畜肉様食品組成物に添加した際にベタついてしまい、食感や作業性に劣るため適さない。また置換度が0.01未満などの低くなる場合、CMCは親水性が低下するため、畜肉様食品組成物に添加した際に保水性に劣るため適さない。また、CMCの置換度が本範囲にあることで、畜肉様食品組成物に添加した際に、その他添加される油や油脂類などの安定な乳化物の形成を促進することができ、畜肉様食品組成物の食感や風味、作業性を効果的に発揮することができる。
【0015】
なお、カルボキシメチル置換度の測定方法は以下の通りである:
試料約2.0gを精秤して、300mL共栓付き三角フラスコに入れる。硝酸メタノール(メタノール1000mLに特級濃硝酸100mLを加えた液)100mLを加え、3時間振盪して、カルボキシメチル化セルロースの塩(CMC)をH-CMC(水素型カルボキシメチル化セルロース)に変換する。その絶乾H-CMCを1.5~2.0g精秤し、300mL共栓付き三角フラスコに入れる。80%メタノール15mLでH-CMCを湿潤し、0.1N-NaOHを100mL加え、室温で3時間振盪する。指示薬として、フェノールフタレインを用いて、0.1N-H2SO4で過剰のNaOHを逆滴定し、次式によってカルボキシメチル置換度(DS値)を算出する。
A=[(100×F’-0.1N-H2SO4(mL)×F)×0.1]/(H-CMCの絶乾質量(g))
カルボキシメチル置換度=0.162×A/(1-0.058×A)
F’:0.1N-H2SO4のファクター
F:0.1N-NaOHのファクター。
【0016】
さらに本発明に用いられるCMCは、25℃でのB型粘度計で測定された固形分濃度1質量%水溶液の粘度が5~300mPa・sであることが重要であり、好ましくは10~280mPa・s、より好ましくは15~260mPa・sの範囲である。CMCの粘度が本範囲になることで、畜肉様食品組成物に添加した際に、食感に優れ、且つ適度な保水性を与えられることができる。
【0017】
CMCの結晶化度は、結晶I型が50%未満であることが好ましく、30%以下であることがより好ましく、10%以下であることがさらに好ましく、0%(結晶化度を有さないこと)が特に好ましい。結晶性を上記範囲に調整すると、保水後の離水がより起こりにくくなるため離水防止効果に優れる。
【0018】
カルボキシメチルセルロースのセルロースI型の結晶化度の測定方法は、以下の通りである:
試料をガラスセルに乗せ、X線回折測定装置(LabX XRD-6000、島津製作所製)を用いて測定する。結晶化度の算出はSegal等の手法を用いて行い、X線回折図の2θ=10゜~30゜の回折強度をベースラインとして、2θ=22.6゜の002面の回折強度と2θ=18.5゜のアモルファス部分の回折強度から次式により算出する。
【0019】
Xc=(I002c―Ia)/I100
Xc=セルロースのI型の結晶化度(%)
I002c:2θ=22.6゜、002面の回折強度
Ia:2θ=18.5゜、アモルファス部分の回折強度。
【0020】
そのようなCMCは、セルロース原料にカルボキシメチル化反応を行うことで製造することができる。セルロース原料としては、晒又は未晒木材パルプ、精製リンター、酢酸菌等の微生物によって生産されるセルロース等の天然セルロースや、セルロースを銅アンモニア溶液、モルホリン誘導体等、何らかの溶媒に溶解し、改めて紡糸された再生セルロース、及び上記セルロース系素材の加水分解、アルカリ加水分解、酵素分解、爆砕処理、振動ボールミル処理等によって解重合処理した微細セルロース又は機械的に処理した微細セルロースが例示される。
【0021】
本発明に用いられるCMCは、セルロース原料にカルボキシメチル化反応を行うことで製造することができる。セルロース原料としては、晒又は未晒木材パルプ、精製リンター、酢酸菌等の微生物によって生産されるセルロース等の天然セルロースや、セルロースを銅アンモニア溶液、モルホリン誘導体等、何らかの溶媒に溶解し、改めて紡糸された再生セルロース、及び上記セルロース系素材の加水分解、アルカリ加水分解、酵素分解、爆砕処理、振動ボールミル処理等によって解重合処理した微細セルロース又は機械的に処理した微細セルロースが例示される。
【0022】
本発明に用いられるCMCは公知の方法、例えば、セルロースを発底原料にし、溶媒に3~20重量倍の低級アルコール、具体的にはメタノール、エタノール、N-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、N-ブタノール、イソブタノール、第3級ブタノール等の単独、又は2種以上の混合物と水の混合媒体を使用する。なお、低級アルコールの混合割合は、60~95重量%である。マーセル化剤としては、発底原料のグルコース残基当たり0.5~20倍モルの水酸化アルカリ金属、具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを使用する。発底原料と溶媒、マーセル化剤を混合し、反応温度0~70℃、好ましくは10~60℃、かつ反応時間15分~8時間、好ましくは30分~7時間、マーセル化処理を行う。その後、カルボキシメチル化剤をグルコース残基当たり0.05~2.0倍モル添加し、反応温度30~90℃、好ましくは40~80℃、かつ反応時間30分~10時間、好ましくは1時間~4時間、エーテル化反応を行う。
【0023】
本発明において、CMCの純度をあげるため、公知の方法、即ち溶媒に3~20重量倍の低級アルコール、具体的にはメタノール、エタノール、N-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、N-ブタノール、イソブタノール、第3級ブタノール等の単独、又は2種以上の混合物と水の混合媒体を使用し、純分99%まで精製処理し、その後乾燥を行う。
【0024】
他の素材との均一な混合を目的に、精製したCMCを機械的処理により微粉砕化及び/又は分級を行っても良い。
【0025】
機械的処理とは具体的には、カッティング式ミル単独、もしくはカッティング式ミル及び衝撃式ミル及び/又は気流式ミルを単独あるいは併用して、さらには同機種で数段処理することができる。カッティング式ミルとしては、メッシュミル((株)ホーライ製)、アトムズ((株)山本百馬製作所製)、ナイフミル(パルマン社製)、グラニュレータ(ヘルボルト製)、ロータリーカッターミル((株)奈良機械製作所製)、等が例示される。
【0026】
また、衝撃式ミルとしては、パルペライザ(ホソカワミクロン(株)製)、ファインインパクトミル製(ホソカワミクロン(株)製)、スーパーミクロンミル(ホソカワミクロン(株))、サンプルミル((株)セイシン製)、トルネードミル(日機装(株))、ターボミル(ターボ工業(株))、ベベルインパクター(相川鉄工(株))等が例示される。一方、気流式ミルとしては、CGS型ジェットミル(三井鉱山(株)製)、ジェットミル(三庄インダストリー(株))、エバラジェットマイクロナイザ((株)荏原製作所製)、セレンミラー(増幸産業(株)製)、が例示される。さらに、媒体ミルとしては、振動ボールミル等が例示される。一方、湿式粉砕機としては、マスコロイダー(増幸産業(株))等が例示される。
【0027】
乾式粉砕工程においては、粉砕後分級工程を設けることによって、微細部分と粗砕部分に分別することもできる。また、分級工程は、湿式粉砕又は摩砕物を乾燥した後の乾燥物に対しても設定することができる。
【0028】
上記、いずれかの粉砕機により微粉砕化されたCMCの粉砕後の平均粒子径は、特に制限はないが、0.1~300μm、好ましくは10~100μm、より好ましくは1.0~70μmであり、さらに好ましくは1.0~65μmであり、特に好ましくは10~60μmである。0.1μm未満では、製造上煩雑であり、300μmを超える場合には、畜肉様食品組成物中での均一な混合が難しく好ましくない。
【0029】
なお、本発明でいう平均粒子径とは、体積平均粒子径のことをいい、例えばメタノールを分散媒としてレーザー回折・散乱式粒度分布計で測定される体積累計50%粒子径の値から得る。
【0030】
そのようにして得られた本発明に用いるカルボキシメチルセルロースは、メタノール等の有機溶媒中では膨潤を行わないが、水中に分散させるとカルボキシメチル化された部分が吸水し、膨潤を行うため、水中分散時とメタノール分散時では粒度分布や平均粒子径が異なるものが好ましい。そのような平均粒子径(分散媒:水)としては、70μm超200μm以下が好ましく、80μm~150μmがより好ましく、80μm~130μmがさらに好ましい。
【0031】
また平均粒子径(分散媒:水)/平均粒子径(分散媒:メタノール)×100であらわされる膨潤率は、100~400%であることが好ましく、150~300%であることがより好ましく、180~300%がさらに好ましい。膨潤率が本範囲であると、高い保水率でありながら形状を維持しており、畜肉様加工食品に用いた際に、例えば型崩れなくしっとりとした食感を維持することができる。
【0032】
<粉末状セルロース>
本発明の畜肉様食品組成物に含まれる粉末状セルロースは、パルプ原料を塩酸、硫酸、硝酸などの鉱酸で酸加水分解処理したパルプを粉砕処理、あるいは酸加水分解処理を施さないパルプを機械粉砕して得ることができる。
【0033】
その様なパルプ原料としては、広葉樹由来のパルプ、針葉樹由来のパルプ、リンター由来のパルプ、非木材由来のパルプなど特に限定されるものではない。
【0034】
また、本発明において、パルプ化法(蒸解法)は特に限定されるものではなく、サルファイト蒸解法、クラフト蒸解法、ソーダ・キノン蒸解法、オルガノソルブ蒸解法などを例示することができるが、これらの中では、環境面の点から、クラフトパルプが好ましい。
【0035】
本発明のパルプ原料はスラリー状の湿式パルプ、又はスラリーを脱水・乾燥させシート状にした乾式パルプのどちらでもよく特に限定されるものではないが、取扱いの簡便さから乾式パルプ(パルプシート)を用いるのが好ましい。
【0036】
その様にして得られた粉末状セルロースは、平均粒子径は5~75μmであることが重要である。平均粒子径が5μm未満であるとセルロース繊維が細かい為、食品に用いた際の保形性を得られ難い。また平均粒子径が75μmを超えると、セルロース繊維を感じやすくなるため、食感が低下する。
【0037】
本発明に用いられる粉末状セルロースは、粒度分布から算出される蓄積分布で、粒子径100μm以上の粉末状セルロースが0~45.0体積%の範囲にあり、粒子径200μm以上の粉末状セルロースが0~25.0体積%の範囲にあり、粒子径300μm以上の粉末状セルロースが0~12.0体積%以下の範囲にあり、粒子径600μm以上の粉末状セルロースが0~2.0体積%以下の範囲にあることが重要である。
【0038】
また本発明に用いられる粉末状セルロースは、平均重合度が100~2500、結晶化度が60~90%であることが望ましく、さらに平均繊維長が0.1~1.0mmであることが望ましい。
【0039】
本発明に用いられる粉末状セルロースが、畜肉様食品組成物において吸水/吸油効果をより発揮するためには、以下の条件(A1)~(E1)を満たすことが特に好ましい。
(A1)粉末状セルロースの平均粒子径が30~67μm、
(B1)粒子径100μm以上の粉末状セルロースが、粒度分布から算出される蓄積分布で16.0~37.0体積%の範囲にある。
(C1)粒子径200μm以上の粉末状セルロースが、粒度分布から算出される蓄積分布で4.0~16.0体積%の範囲にある。
(D1)粒子径300μm以上の粉末状セルロースが、粒度分布から算出される蓄積分布で0~10.0体積%以下の範囲にある。
(E1)粒子径600μm以上の粉末状セルロースが、粒度分布から算出される蓄積分布で0~2.0体積%以下の範囲にある。
【0040】
またその様な粉末状セルロースは、さらに平均重合度が300~1500、結晶化度が75~90%の範囲にあることが望ましく、平均繊維長が0.2~1.0mmの範囲にあることがより望ましい。
【0041】
本発明に用いられる粉末状セルロースが、畜肉様食品組成物において結着防止効果及び着色効果をより発揮するためには、以下の条件(A2)~(E2)を満たすことが特に好ましい。
(A2)粉末状セルロースの平均粒子径が26~45μm、
(B2)粒子径100μm以上の粉末状セルロースが、粒度分布から算出される蓄積分布で6.0~45.0体積%の範囲にある。
(C2)粒子径200μm以上の粉末状セルロースが、粒度分布から算出される蓄積分布で0.5~14.0体積%の範囲にある。
(D2)粒子径300μm以上の粉末状セルロースが、粒度分布から算出される蓄積分布で0~10.0体積%以下の範囲にある。
(E2)粒子径600μm以上の粉末状セルロースが、粒度分布から算出される蓄積分布で0~1.0体積%以下の範囲にある。
【0042】
またその様な粉末状セルロースは、さらに平均重合度が200~1000、結晶化度が75~90%の範囲にあることが望ましく、平均繊維長が0.2~0.8mmの範囲にあることがより望ましい。
【0043】
本発明に用いられる粉末状セルロースが、畜肉様食品組成物において食感改良又は保形効果をより発揮するためには、以下の条件(A3)~(E3)を満たすことが特に好ましい。
(A3)粉末状セルロースの平均粒子径が10~40μm、
(B3)粒子径100μm以上の粉末状セルロースが、粒度分布から算出される蓄積分布
で2.0~45.0体積%の範囲にある。
(C3)粒子径200μm以上の粉末状セルロースが、粒度分布から算出される蓄積分布
で0~14.0体積%の範囲にある。
(D3)粒子径300μm以上の粉末状セルロースが、粒度分布から算出される蓄積分布
で0~10.0体積%以下の範囲にある。
(E3)粒子径600μm以上の粉末状セルロースが、粒度分布から算出される蓄積分布
で0~1.0体積%以下の範囲にある。
【0044】
またその様な粉末状セルロースは、さらに平均重合度が100~1000、結晶化度が70~90%の範囲にあることが望ましく、平均繊維長が0.1~0.8mmの範囲にあることがより望ましい。
【0045】
本発明に用いられる粉末状セルロースが、畜肉様食品組成物において食感改良又は吸水(保水)性をより効果的に発揮するためには、見掛け比重が0.1~0.6g/mlの範囲が好ましく、0.1~0.45g/mlの範囲がより好ましく、0.15~0.4g/mlの範囲がさらに好ましい。見掛け比重が本範囲を満たすことで、畜肉様食品組成物に用いられる際に繊維感が強くしっかりとした食感となり、また保水性に優れるため作業性も向上する。さらに、コショウなどのスパイスの絡みも良くなるため、スパイスなどを添加する際に優れたスパイス感を付与できる。
【0046】
本発明に用いられる粉末状セルロースは、本発明の効果を損なわない範囲で、機能性付与、もしくは機能性向上を目的に、粉末状セルロースの原料とその他有機および/または無機成分を単独もしくは2種類以上任意の割合で混合し、粉砕することも可能である。また、原料に使用する天然セルロースの重合度を大幅に損なわない範囲で、化学的処理を施すことも可能である。
【0047】
以下に具体的な製造方法を示すが、本発明は該方法に限定されるものではない。なお使用した粉末状セルロースは、下記の方法にて測定を行った。
【0048】
(粉末状セルロースの平均粒子径及び粒子径分布測定)
レーザー回析式粒度分布測定装置(マスターサイザー2000、スペクトリス株式会社、マルバーン事業本部社製)を使用した。測定に用いる試料を0.5g、100mlビーカーに採取し、0.5%ヘキサメタリン酸溶液60mlを加え、Dr. Hielscher Gmbh社の超音波処理装置で、出力20%の条件で2分間処理し、処理した試料を測定に用いた。測定原理としてはレーザー散乱法を用いており、粒度分布を蓄積分布として表し、蓄積分布が50%となる値を平均粒子径とした。
【0049】
また、粒子径が100μm以上の粉末状セルロースの割合、粒子径が200μm以上の粉末状セルロースの割合、粒子径が300μm以上の粉末状セルロースの割合、粒子径が600μm以上の粉末状セルロースの割合を、それぞれ蓄積分布の合計から算出した。
【0050】
(粉末状セルロースの重合度)
第16改正日本薬局方解説書、結晶セルロース確認試験(2)記載の銅エチレンジアミンを用いた粘度測定法により、セルロース重合度を求めた。結晶セルロースの確認試験(2)記載の方法で計測ができない範囲については、例えばパルプ・ポリマー用全自動粘度測定システムRPV-1(RHEOTEK製)を用い、極限粘度を計測し、「VISCOSITY MEASUREMENTS OF CELLULOSE/SO2-AMINE DIMETHYLSULFOXIDE SOLUTION」(磯貝ら著、1998)に記載の〔η〕=0.909×DP0.85(文献中の式(2))の式から導く方法などが挙げられる。
【0051】
(粉末状セルロースの結晶化度)
結晶化度は、試料のX線回折を測定することで求めた。X線回折の測定は、適当量の試料をガラスセルに乗せ、X線回折測定装置(LabX XRD-6000、島津製作所製)を用いて測定した。結晶化度の算出は(L.Segal,J.J.Greely,etal,Text.Res.J.,29,786,1959)、および、Kamideらの手法(K.Kamide et al,Polymer J.,17,909,1985)を用いて行い、X線回折図の2θ=10°~30°の回折強度をベースラインとして、2θ=22.6°の002面の回折強度と2θ=18.5°のアモルファス部分の回折強度から次式により算出した。
Xc=(I002c―Ia)/I002c×100
Xc=セルロースの結晶化度(%)
I002c:2θ=22.6°、002面の回折強度
Ia:2θ=18.5°、アモルファス部分の回折強度
【0052】
(粉末状セルロースの平均繊維長)
ファイバーテスター(Lorentzen & Wettre社製)を用いて、平均繊維長を測定した。本発明において、平均繊維長とは、長さ加重平均繊維長のことを示す。
【0053】
(粉末状セルロースの粉体落下速度)
上記製造例で得られた粉末状セルロース5gの試料を、パウダテスタ(PT-N型、ホ
ソカワミクロン株式会社製)を用いて振動落下させ、全粉体が落下するのに必要な時間を
測定した。この値が大きいほど、粉体流動性が良好であることを意味する。
【0054】
(粉末状セルロースの見掛け比重)
常法に従い、100mLメスシリンダーに試料を10g投入し、メスシリンダーの底を試料の高さが低下しなくなるまでたたき続けた後、平らになった表面の目盛を読んで試料10g当たりの体積を測定し、単位体積(1mL)当たりの重量を算出して見掛け比重(g/mL)を得た。見掛け比重が高いほど、粉体は嵩が小さく、コンパクトであることを意味する。
【0055】
<セルロースナノファイバー>
本発明の畜肉様食品組成物は、セルロースナノファイバーを含有することが好ましい。セルロースナノファイバーとは、植物繊維をナノレベルまで細かくほぐすことによって製造される素材のことであり、一般に平均繊維径が3~500nm程度、平均アスペクト比が50以上の微細繊維である。セルロースナノファイバーの平均繊維径および平均繊維長は、電界放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて、各繊維を観察した結果から得られる繊維径および繊維長を平均することによって得ることができる。また、アスペクト比は下記の式により算出することができる:
アスペクト比=平均繊維長/平均繊維径
【0056】
セルロースナノファイバーは、セルロース原料を未変性のまま、あるいは化学変性を施してから、強いせん断力をかけることにより製造することができる。本発明においては、セルロース原料は未変性であっても、化学変性されていてもよいが、化学変性されている方がより好ましい。化学変性を施したセルロース原料を用いて製造されたセルロースナノファイバーは、未変性のセルロース原料を用いて製造されたセルロースナノファイバーに対し、繊維長・繊維径が均一になるため、水中分散性が安定であり、より優れた効果を発揮すると推測される。化学変性の方法は特に制限されないが、例えば、酸化、エーテル化、リン酸化、エステル化、シランカップリング、フッ素化、カチオン化などを行うことができる。中でも、N-オキシル化合物を用いた酸化、カルボキシメチル化、カチオン化のいずれかであることが好ましく、食品用途であることから、カルボキシメチル化または酸化であることが特に好ましい。
【0057】
(セルロース原料)
本発明において、セルロースナノファイバーを製造するためのセルロース原料としては、植物(例えば、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、農地残廃物、布、パルプ(針葉樹未漂白クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未漂白クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹未漂白サルファイトパルプ(NUSP)、針葉樹漂白サルファイトパルプ(NBSP)サーモメカニカルパルプ(TMP)、再生パルプ、古紙等)、動物(例えばホヤ類)、藻類、微生物(例えば酢酸菌(アセトバクター))、微生物産生物等を起源とするものが知られており、本発明ではそのいずれも使用できる。好ましくは植物又は微生物由来のセルロース繊維であり、より好ましくは植物由来のセルロース繊維である。
【0058】
本発明に用いられるセルロース繊維原料の繊維径は特に制限されるものではなく、数平均繊維径としては1μmから1mmである。一般的な精製を経たものは50μm程度である。例えばチップ等の数cm大のものを精製したものである場合、リファイナーやビーター等の離解機で機械的処理を行い、50μm程度にすることが好ましい。
【0059】
(酸化)
本発明に用いられるセルロースナノファイバーにおいて、セルロース原料の酸化は公知の方法を用いて行うことができ、特に限定されるものではないが、セルロースナノファイバーの絶乾重量に対して、カルボキシル基の量が0.5mmol/g~3.0mmol/gになるように調整することが好ましい。
【0060】
その一例として、セルロースをN-オキシル化合物、及び、臭化物、ヨウ化物若しくはこれらの混合物からなる群から選択される化合物の存在下で酸化剤を用いて水中で酸化することにより、得ることができる。この酸化反応により、セルロース表面のグルコピラノース環のC6位の一級水酸基が選択的に酸化され、表面にアルデヒド基と、カルボキシル基またはカルボキシレート基を有するセルロース系ファイバーを得ることができる。反応時のセルロースの濃度は特に限定されないが、5質量%以下が好ましい。
N-オキシル化合物とは、ニトロキシラジカルを発生しうる化合物をいう。N-オキシル化合物としては、目的の酸化反応を促進する化合物であれば、いずれの化合物も使用でき
る。
【0061】
N-オキシル化合物の使用量は、原料となるセルロースを酸化できる触媒量であれば特に制限されない。例えば、絶乾1gのセルロースに対して、0.01~10mmolが好ましく、0.01~1mmolがより好ましく、0.05~0.5mmolがさらに好ましい。また、反応系に対し0.1~4mmol/L程度がよい。臭化物とは臭素を含む化合物であり、その例には、水中で解離してイオン化可能な臭化アルカリ金属が含まれる。また、ヨウ化物とはヨウ素を含む化合物であり、その例には、ヨウ化アルカリ金属が含まれる。臭化物またはヨウ化物の使用量は、酸化反応を促進できる範囲で選択できる。臭化物およびヨウ化物の合計量は、例えば、絶乾1gのセルロースに対して、0.1~100mmolが好ましく、0.1~10mmolがより好ましく、0.5~5mmolがさらに好ましい。
【0062】
酸化剤としては、公知のものを使用でき、例えば、ハロゲン、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸、過ハロゲン酸またはそれらの塩、ハロゲン酸化物、過酸化物などを使用できる。中でも、安価で環境負荷の少ない次亜塩素酸ナトリウムは好ましい。酸化剤の適切な使用量は、例えば、絶乾1gのセルロースに対して、0.5~500mmolが好ましく、0.5~50mmolがより好ましく、1~25mmolがさらに好ましく、3~10mmolが最も好ましい。また、例えば、N-オキシル化合物1molに対して1~40molが好ましい。
【0063】
セルロースの酸化工程は、比較的温和な条件であっても反応を効率よく進行させられる。よって、反応温度は4~40℃が好ましく、また15~30℃程度の室温であってもよい。反応の進行に伴ってセルロース中にカルボキシル基が生成するため、反応液のpHの低下が認められる。酸化反応を効率よく進行させるためには、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ性溶液を添加して、反応液のpHを8~12、好ましくは10~11程度に維持することが好ましい。反応媒体は、取扱い性の容易さや、副反応が生じにくいこと等から、水が好ましい。酸化反応における反応時間は、酸化の進行の程度に従って適宜設定することができ、通常は0.5~6時間、例えば、0.5~4時間程度である。
また、酸化反応は、2段階に分けて実施してもよい。例えば、1段目の反応終了後に濾別して得られた酸化セルロースを、再度、同一または異なる反応条件で酸化させることにより、1段目の反応で副生する食塩による反応阻害を受けることなく、効率よく酸化させることができる。
【0064】
カルボキシル化(酸化)方法の別の例として、オゾンを含む気体とセルロース原料とを接触させることにより酸化する方法を挙げることができる。この酸化反応により、グルコピラノース環の少なくとも2位及び6位の水酸基が酸化されると共に、セルロース鎖の分解が起こる。オゾンを含む気体中のオゾン濃度は、50~250g/m3であることが好ましく、50~220g/m3であることがより好ましい。セルロース原料に対するオゾン添加量は、セルロース原料の固形分を100質量部とした際に、0.1~30質量部であることが好ましく、5~30質量部であることがより好ましい。オゾン処理温度は、0~50℃であることが好ましく、20~50℃であることがより好ましい。オゾン処理時間は、特に限定されないが、1~360分程度であり、30~360分程度が好ましい。
オゾン処理の条件がこれらの範囲内であると、セルロースが過度に酸化及び分解されることを防ぐことができ、酸化セルロースの収率が良好となる。オゾン処理を施した後に、酸化剤を用いて、追酸化処理を行ってもよい。追酸化処理に用いる酸化剤は、特に限定されないが、二酸化塩素、亜塩素酸ナトリウム等の塩素系化合物や、酸素、過酸化水素、過硫酸、過酢酸などが挙げられる。例えば、これらの酸化剤を水またはアルコール等の極性有機溶媒中に溶解して酸化剤溶液を作成し、溶液中にセルロース原料を浸漬させることにより追酸化処理を行うことができる。
【0065】
セルロース系ファイバーのカルボキシル基、カルボキシレート基、アルデヒド基の量は、上記した酸化剤の添加量、反応時間をコントロールすることで調整することができる。
カルボキシル基量の測定方法は例えば、酸化セルロースの0.5質量%スラリー(水分散液)60mlを調製し、0.1M塩酸水溶液を加えてpH2.5とした後、0.05Nの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHが11になるまで電気伝導度を測定し、電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量(a)から、下式を用いて算出することができる:
カルボキシル基量〔mmol/g酸化セルロース又はセルロースナノファイバー〕=a〔
ml〕×0.05/酸化セルロース質量〔g〕
【0066】
(カルボキシメチル化)
本発明に用いられるセルロースナノファイバーおいて、セルロース原料のカルボキシメチル化は前述のカルボキシメチルセルロースの方法を用いて行うことができ、セルロースの無水グルコース単位当たりのカルボキシメチル基置換度が0.01~0.50となるように調整することが好ましい。
【0067】
(カチオン化)
本発明において、セルロース原料のカチオン化は公知の方法を用いて行うことができ、カチオン化により例えば、アンモニウム、ホスホニウム、スルホニウム、これらアンモニウム、ホスホニウムまたはスルホニウムを有する基をセルロース分子に有することができるが、アンモニウムを有する基が好ましく、特に、四級アンモニウムを含む基が好ましい。具体的なカチオン化の方法としては、特に限定されるものではないが、一例として、セルロース原料にグリシジルトリメチルアンモニウムクロリド、3-クロロ-2ヒドロキシプロピルトリアルキルアンモニウムハイドライト又はそのハロヒドリン型などのカチオン化剤と触媒である水酸化アルカリ金属(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)を水及び/又は炭素数1~4のアルコールの存在下で反応させることによって、四級アンモニウムを含む基を有する、カチオン変性されたセルロースを得ることができる。なお、この方法において、得られるカチオン変性されたセルロースのグルコース単位当たりのカチオン置換度は、反応させるカチオン化剤の添加量、水及び/又は炭素数1~4のアルコールの組成比率をコントロールすることによって、調整することができる。ここでいう置換度とは、セルロースを構成する単位構造(グルコピラノース環)あたりの導入された置換基の個数を示す。言い換えると、「導入された置換基のモル数を、グルコピラノース環の水酸基の総モル数で割った値」として定義する。純粋セルロースは単位構造(グルコピラノース環)あたり3個の置換可能な水酸基を有しているため、本発明のセルロース繊維の置換度の理論最大値は3(最小値は0)である。
【0068】
本発明に用いられるセルロースナノファイバーにおいて、カチオン化されたセルロースのグルコース単位当たりのカチオン置換度は0.01~0.40であることが好ましい。セルロースにカチオン置換基を導入することで、セルロース同士が電気的に反発する。このため、カチオン置換基を導入したセルロースは容易にナノ解繊することができる。なお、グルコース単位当たりのカチオン置換度が0.01より小さいと、十分にナノ解繊することができない。一方、グルコース単位当たりのカチオン置換度が0.40より大きいと、膨潤あるいは溶解するため、繊維形態を維持できなくなり、ナノファイバーとして得られなくなる場合がある。グルコース単位当たりのカチオン置換度は、試料(カチオン変性されたセルロース)を乾燥させた後に、全窒素分析計TN-10(三菱化学)で窒素含有量を測定し、次式により算出することができる。ここで言う置換度とは、無水グルコース単位1モル当たりの置換基のモル数の平均値を表している。
【0069】
カチオン置換度=(162×N)/(1-151.6×N)
N:窒素含有量
【0070】
(解繊)
本発明において、解繊する装置は特に限定されないが、高速回転式、コロイドミル式、高圧式、ロールミル式、超音波式などの装置を用いて前記水分散体に強力なせん断力を印加することが好ましい。特に、効率よく解繊するには、前記水分散体に50MPa以上の圧力を印加し、かつ強力なせん断力を印加できる湿式の高圧または超高圧ホモジナイザーを用いることが好ましい。前記圧力は、より好ましくは100MPa以上であり、さらに好ましくは140MPa以上である。また、高圧ホモジナイザーでの解繊・分散処理に先立って、必要に応じて、高速せん断ミキサーなどの公知の混合、攪拌、乳化、分散装置を用いて、上記のセルロースナノファイバーに予備処理を施すことも可能である。
【0071】
上記の処理で解繊する場合、セルロース繊維原料としての固形分濃度は0.1重量%以上、好ましくは0.2重量%以上、特に0.3重量%以上、また10重量%以下、特に6重量%以下であることが好ましい。固形分濃度が低過ぎると、処理するセルロース繊維原料の量に対して液量が多くなり過ぎ効率が悪く、固形分濃度が高過ぎると流動性が悪くなる。
【0072】
本発明において、畜肉様食品組成物に含有させるセルロースナノファイバーの態様は特に限定されるものではなく、セルロースナノファイバーの分散液あるいはセルロースナノファイバーの乾燥固形物、あるいはその中間的な状態である湿潤固形物であってもよい。なお、本発明において、セルロースナノファイバーの乾燥固形物とは、セルロースナノファイバーを含む分散液を水分量12%以下に脱水・乾燥したものを意味する。
【0073】
セルロースナノファイバーの乾燥固形物としては、セルロースナノファイバーの分散液を乾燥させたもの、あるいはセルロースナノファイバーと水溶性高分子と混合液を乾燥させたものを例示することができる。なお、再分散性の点では後者が好ましい。上記水溶性高分子としては、例えば、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース)、キサンタンガム、キシログルカン、デキストリン、デキストラン、カラギーナン、ローカストビーンガム、アルギン酸、アルギン酸塩、プルラン、澱粉、かたくり粉、クズ粉、陽性澱粉、燐酸化澱粉、コーンスターチ、アラビアガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、ゲランガム、ポリデキストロース、ペクチン、キチン、水溶性キチン、キトサン、カゼイン、アルブミン、大豆蛋白溶解物、ペプトン、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリアミノ酸、ポリ乳酸、ポリリンゴ酸、ポリグリセリン、ラテックス、ロジン系サイズ剤、石油樹脂系サイズ剤、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド・ポリアミン樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアミン、植物ガム、ポリエチレンオキサイド、親水性架橋ポリマー、ポリアクリル酸塩、でんぷんポリアクリル酸共重合体、タマリンドガム、ジェランガム、ペクチン、グァーガム及びコロイダルシリカ並びにそれら1つ以上の混合物をいう。この中でも、カルボキシメチルセルロース及びその塩を用いることが相溶性の点から好ましい。
【0074】
上記セルロースナノファイバーの乾燥固形物は、セルロースナノファイバーの水分散液、あるいはセルロースナノファイバー分散液と水溶性高分子を含有した混合液を、pHを9~11に調整した後に、脱水・乾燥することが再分散性の点から好ましい。セルロースナノファイバーの分散液に水溶性高分子を配合する場合、水溶性高分子の配合量は、セルロースナノファイバーの絶乾固形分に対して、5~50重量%であることが好ましい。5重量%未満であると十分な再分散性の効果が発現しない。一方、50重量%を超えるとセルロースナノファイバーの特徴である粘度特性、分散安定性の低下などの問題が生じる。
【0075】
セルロースナノファイバー分散液あるいはセルロースナノファイバー分散液と水溶性高分子を含有した混合液の脱水・乾燥方法としては、従来公知のものであれば良く、例えば、スプレードライ、圧搾、風乾、熱風乾燥、及び真空乾燥を挙げることができる。本発明方法で具体的に用いる乾燥装置の例としては、以下のようなものである。すなわち、連続式のトンネル乾燥装置、バンド乾燥装置、縦型乾燥装置、垂直ターボ乾燥装置、多重段円板乾燥装置、通気乾燥装置、回転乾燥装置、気流乾燥装置、スプレードライヤ乾燥装置、噴霧乾燥装置、円筒乾燥装置、ドラム乾燥装置、スクリューコンベア乾燥装置、加熱管付回転乾燥装置、振動輸送乾燥装置等、回分式の箱型乾燥装置、通気乾燥装置、真空箱型乾燥装置、及び撹拌乾燥装置等の乾燥装置を単独で又は2つ以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ドラム乾燥装置を用いることが、均一に被乾燥物に熱エネルギーを直接供給するためエネルギー効率の点から好ましい。また、ドラム乾燥装置は必要以上に熱を加えずに、直ちに乾燥物を回収できる点からも好ましい。
【0076】
上記乾燥固形物は、粉砕、分級することにより本発明の畜肉様食品組成物を得ることができる。特に乾式粉砕や湿式粉砕を施すと、より微細化された添加物を得ることができ好ましい。乾式粉砕で用いる装置としてはハンマーミル、ピンミル等の衝撃式ミル、ボールミル、タワーミル等の媒体ミル、ジェットミル等が例示される。湿式粉砕で用いる装置としてはホモジナイザー、マスコロイダー、パールミル等の装置が例示される。
【0077】
<畜肉様食品組成物>
本発明の畜肉様食品組成物は、前述する植物由来たんぱく質、卵白、及び前述するカルボキシメチルセルロース、粉末状セルロース、セルロースナノファイバーから選ばれる少なくとも1種のセルロース添加剤を含有し、畜肉素材の含有量が30重量%以下であることを特徴とする。
【0078】
本発明における畜肉素材とは、家畜(豚、牛、羊、山羊、馬など)や、家禽(鶏、うずら、アヒル、鴨、合鴨、ガチョウ、七面鳥など)や、鹿、猪などの、鳥獣の食肉素材を意味する。なお、上記畜肉素材は、いわゆる肉(筋肉)だけでなく皮、脂肪、スジ、軟骨、内臓、血液などの一般的に畜肉加工食品に用いられる組織も含む。
【0079】
本発明の畜肉様食品組成物は、畜肉素材を含まずとも、畜肉様の優れた食感を再現できる。種々の理由で畜肉を口にしない人でも食べることができるというメリットを得るためには、畜肉素材の含有量は出来るだけ少なくすることが好ましく、例えば畜肉素材の含有量を20重量%以下が好ましく、10重量%以下がより好ましい。また畜肉素材を一切含まない(畜肉素材の含有量が0重量%)ことがさらに好ましい。しかしながら畜肉素材のコストや供給安定性・品質安定性を一定に保つために、一定以下であれば畜肉素材を含有することもできる。
【0080】
本発明の畜肉様食品組成物は卵白を含むことが重要である。卵白に含まれるアルブミンなどは加熱により凝固するため、畜肉様食品組成物同士をつなぎ合わせ、またしっかりとした食感を付与することができる。そのような卵白としては、加工卵白でもよく、乾燥卵白なども用いることができる。
【0081】
本発明の畜肉様食品組成物に含まれる植物由来たんぱく質とセルロース添加剤は、植物由来たんぱく質:セルロース添加剤=60~99.5重量%:0.5~40重量%の範囲が好ましく、植物由来たんぱく質:セルロース添加剤=70~99重量%:1~30重量%の範囲がより好ましく、植物由来たんぱく質:セルロース添加剤=80~98.5重量%:1.5~20重量%の範囲がさらに好ましい(但し、植物由来たんぱく質とセルロース添加剤の総重量を100重量%とする)。本範囲を満たすことで、畜肉様の優れた食感をより発揮することができ、また保水性により優れるために作業性などを改善することができる。
【0082】
畜肉様食品組成物に含まれるセルロース添加剤は、前述したカルボキシメチルセルロース、粉末状セルロース、セルロースナノファイバーから選ばれる少なくとも1種を含むことが重要であり、2種以上を併用してもよい。畜肉様食品組成物に卵白を添加する際には、畜肉様食品組成物で構成される生地のべちゃ付きが発生しやすく、保形性が低下しまとまりにくいことがある。セルロース添加剤として、粉末状セルロースとセルロースナノファイバーとを併用することで、生地の保形性がより向上するため好ましい。
【0083】
セルロース添加剤に粉末状セルロースとセルロースナノファイバーとを併用する場合、その配合比は、粉末状セルロース:セルロースナノファイバー=50~99重量部:1~50重量部(ただし、粉末状セルロースとセルロースナノファイバーとを合わせて100重量部とする)が好ましく、粉末状セルロース:セルロースナノファイバー=55~95重量部:5~45重量部がより好ましく、粉末状セルロース:セルロースナノファイバー=60~90重量部:10~40重量部がさらに好ましい。
【0084】
本発明の畜肉様食品組成物に用いられる他の原料も、特に制限はなく、通常の畜肉加工食品と同様に、求められる風味・食感・物性・外観などに応じてその他の添加材を用いることができる。例えば、野菜、畜肉素材と卵白を除く動物性たんぱく質(卵黄、乳製品等)、調味料、パン粉などを含む穀粉類、澱粉類、食物繊維、増粘多糖類、油脂、糖類、塩類、香辛料、着色料、保存料などを用いることができる。
【0085】
そのような本発明の畜肉様食品組成物は、植物由来たんぱく質が全固形分量に対して20重量%以上含まれることが好ましく、25重量%以上含まれることがより好ましく、27重量%以上含まれることがさらに好ましい。上限としては90重量%以下が好ましく、80重量%以下がより好ましく、70重量%以下がさらに好ましい。畜肉様食品組成物においては、植物由来たんぱく質以外に、前述される添加材を適量用いることで、より畜肉様の食感や風味を再現できるため好ましい。
【0086】
また本発明の畜肉様食品組成物は、卵白が全固形分量に対して10重量%以下含まれることが好ましく、5重量%以下含まれることがより好ましく、3重量%以下含まれることがさらに好ましい。下限としては特に制限されないが、0.5重量%以上含まれることが好ましく、1重量%以上含まれることがより好ましい。卵白の含有量が本範囲にあることで、畜肉様食品組成物のつながりが良く、食感の向上も期待される。
【0087】
本発明の畜肉様食品組成物の前述されるそれぞれの原材料を、混錬し得ることができる。混錬する方法については特に制限はないが、畜肉様の優れた食感と保水性を得るために、特に粉末状セルロースが植物由来たんぱく質にできるだけ均一になるように混錬することが好ましい。
【0088】
<畜肉様加工食品>
そのようにして得られる本発明の畜肉様食品組成物は、様々な形状に成型が可能であり、加熱処理を行うことで畜肉様加工食品を得ることができる。そのような畜肉様加工食品とは、例えば、ソーセージ、ハンバーグ、肉団子、プレスハム、チョップドハム、サラミ、ナゲット、メンチカツ、ロールキャベツ、ミートローフ、テリーヌ、つくね、肉まん、餃子、シュウマイ、成形肉などが挙げられる。
【0089】
本発明の畜肉様加工食品は、植物由来たんぱく質、卵白、及びセルロース添加剤を含有する畜肉様食品組成物であって、畜肉素材の含有量が30質量%以下であること以外は、従来の畜肉加工食品と同様な形態で製品化可能であり、その製造方法も同様な方法を採用することができる。
【実施例0090】
以下本発明を、実施例を用いて詳細に説明するが、本発明は下記記載の実施例に限定されるものではない。
【0091】
<粉末状セルロースの製造>
広葉樹由来パルプを、パルプ濃度5.5%、塩酸濃度を1.2Nに調整した条件下において95℃で2時間反応させた。反応が終了した後、水酸化ナトリウムで中和し、十分に水洗した後、60℃の温度条件化で約1日、送風乾燥した。乾燥後のサンプルを、ハンマーミル(ホソカワミクロン社製、AP-S型)を用いて機械的に粉砕を行い、添加用の粉末状セルロース(平均粒子径24μm、平均重合度170、結晶化度86%、平均繊維長0.7mm、粉体落下速度0.37g/sec、見掛け比重0.47g/mlであって、粒子径100μm以上が3.5体積%、粒子径200μm以上が0体積%)を得た。
【0092】
<カルボキシメチル化セルロースナノファイバーの製造>
パルプを混ぜることが出来る撹拌機に、パルプ(NBKP(針葉樹晒クラフトパルプ)、日本製紙株式会社製)を乾燥質量で200g、水酸化ナトリウムを乾燥質量で111g加え、パルプ固形分が20%(w/v)になるように水を加えた。その後、30℃で30分攪拌した後にモノクロロ酢酸ナトリウムを216g(有効成分換算)添加した。30分撹拌した後に、70℃まで昇温し1時間撹拌した。その後、反応物を取り出して中和、洗浄して、グルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度0.25のカルボキシルメチル化したパルプを得た。その後、カルボキシメチル化したパルプを水で固形分1%とし、高圧ホモジナイザーにより20℃、150MPaの圧力で5回処理することにより解繊し、カルボキシメチル化セルロース繊維とした。得られた繊維は、平均繊維径が15nm、アスペクト比が50であった。
【0093】
上記のカルボキシメチル化セルロース繊維(セルロースナノファイバー)の0.7重量%水性懸濁液にカルボキシメチルセルロース(商品名:F350HC-4、日本製紙株式会社製)を、セルロースナノファイバーに対して10重量%添加し、TKホモミキサー(12,000rpm)で60分間攪拌した。この水性懸濁液に、水酸化ナトリウム水溶液0.5%を加え、pHを9に調整した後、蒸気圧力0.5MPa.G、ドラム回転数2rpmのドラム乾燥機D0405(カツラギ工業製)で乾燥し、水分量5重量%のセルロースナノファイバーとカルボキシメチルセルロースの混合乾燥固形物を得た。乾燥固形物を乾式ミルにて粉砕して、本発明における、添加用セルロースナノファイバーとした。
【0094】
(実施例1~2,比較例1)
表1に記載の配合比(全量100g)にて、大豆たんぱく質(ソルピー4000H、日清オイリオ社製)に冷水を加え攪拌を行った。十分に混ざったら、攪拌しながらキャノーラ油を少しづつ添加し乳化させ、エマルジョンカードとした後、袋に詰めて冷蔵庫で3時間以上保管し、乳化された大豆カードを得た。
【0095】
得られた大豆カードを用い表2記載の配合比(全量500g)にて、アルミボウル内で、大豆カード、適量の水に溶かした粒状大豆たんぱく質、ソテーオニオン、ショートニング、及び表2記載の液体性状を示すその他材料を添加し、よく攪拌を行った。
その後、表2記載の粉末性状を示す残りの材料を添加し、粘り気が出るまでよく攪拌を行い、畜肉様食品組成物を得た。
得られた畜肉様食品組成物を、手で混錬しながら、アルミボウルの壁面と手に付着する様子を目視にて確認した。
畜肉様食品組成物を80g/1個にそれぞれ分けて、ハンバーグ形状に成形した。
温度220℃の鉄板で1分間熱し、ハンバーグ形状の畜肉様食品組成物の両面に、焼き目を付けた後、コンベクションオーブンで蒸しあげ(温度85℃/15分間)、畜肉素材が無配号の実施例1~2、比較例1のミートレスハンバーグを得た。得られたミートレスハンバーグや畜肉様食品組成物は、以下の評価を実施した。
【0096】
<作業性>
畜肉様食品組成物を、アルミボウル内でゴム手袋をした手で混錬しながら、アルミボウル壁面への付着量及びゴム手袋への付着量を目視確認し、以下の基準で判断した。
◎:保水性が強いため、畜肉様食品組成物がまとまり易く、アルミボウル壁面やゴム手袋への付着量は少ない。
〇:保水性があり、畜肉様食品組成物がまとまり易く、アルミボウル壁面やゴム手袋への付着は抑えられている。
×:保水性が劣り、畜肉様食品組成物はべたついているため、アルミボウル壁面やゴム手袋に付着がみられる。
【0097】
<ハンバーグの食感>
得られたミートレスハンバーグを、5名のパネラーにて試食を行い、下記の基準で食感を評価しその平均を算出した。
◎:大豆たんぱく質の肉粒感があり、外側と中心もしっかりしており、ハンバーグらしい食感である。
〇:大豆たんぱく質の肉粒感があり外側もしっかりしているが、中心が柔らかく噛み応えに若干劣る。
×:大豆たんぱく質の肉粒感がなく、ぬるっとした食感である。
【0098】
【0099】