(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022142046
(43)【公開日】2022-09-30
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/16 20060101AFI20220922BHJP
G03G 15/01 20060101ALI20220922BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20220922BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20220922BHJP
G03G 15/08 20060101ALI20220922BHJP
【FI】
G03G21/16 147
G03G15/01 Y
G03G15/01 113Z
G03G15/00 303
G03G21/00 376
G03G15/08 390A
G03G15/08 390C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021042025
(22)【出願日】2021-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】王 裕ブン
(72)【発明者】
【氏名】橋本 淳一
(72)【発明者】
【氏名】池上 悠介
(72)【発明者】
【氏名】坂口 新太郎
【テーマコード(参考)】
2H077
2H171
2H270
2H300
【Fターム(参考)】
2H077AB14
2H077AC04
2H077AD02
2H077AD06
2H077AD13
2H077AD17
2H077BA04
2H077BA10
2H077EA15
2H077GA13
2H171FA04
2H171FA09
2H171FA13
2H171GA01
2H171GA20
2H171LA04
2H171LA08
2H171QA03
2H171QA04
2H171QA08
2H171QB01
2H171QB14
2H171QB32
2H171QB38
2H171QC03
2H171QC05
2H171SA11
2H171SA12
2H171SA18
2H171SA19
2H171SA22
2H171SA26
2H270KA04
2H270KA28
2H270LA52
2H270MC13
2H270MC35
2H270MC70
2H270PA83
2H270QA13
2H270QB14
2H270ZC03
2H270ZC06
2H300EB04
2H300EB07
2H300EB12
2H300EF06
2H300EG03
2H300EH16
2H300EJ09
2H300EJ25
2H300EJ47
2H300FF02
2H300FF08
2H300HH24
2H300HH32
2H300HH35
2H300HH37
2H300QQ32
2H300TT03
2H300TT06
(57)【要約】
【課題】現像ローラを感光ドラムに接触または離間させるタイミングを変更することで、トナーの寿命を優先する印刷と、画質を優先させる印刷とを切り替えることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】制御部は、転写装置により第2感光ドラムに形成されたトナー像を転写媒体に転写している最中(t13~t15)に、第4現像ローラが接触位置に到達するように、離間機構により第4現像ローラを離間位置から接触位置へ移動させる寿命優先モードと、転写装置により第2感光ドラムに形成されたトナー像の転写媒体への転写を開始する前(t13より前)に、第4現像ローラが接触位置に到達するように、離間機構により第4現像ローラを離間位置から接触位置へ移動させる高画質モードと、を切り替えて実行する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1感光ドラムと、
前記第1感光ドラムにトナーを供給する第1現像ローラと、
前記第1感光ドラムに対面した転写媒体の移動方向における前記第1感光ドラムよりも下流に配置された第2感光ドラムと、
前記第2感光ドラムにトナーを供給する第2現像ローラと、
前記移動方向における前記第2感光ドラムよりも下流に配置された第3感光ドラムと、
前記第3感光ドラムにトナーを供給する第3現像ローラと、
前記移動方向における前記第3感光ドラムよりも下流に配置された第4感光ドラムと、
前記第4感光ドラムにトナーを供給する第4現像ローラと、
前記第1感光ドラム、前記第2感光ドラム、前記第3感光ドラムおよび前記第4感光ドラムに形成されたトナー像を前記転写媒体に転写する転写装置と、
前記第1現像ローラ、前記第2現像ローラ、前記第3現像ローラおよび前記第4現像ローラを、それぞれ、対応する感光ドラムに接触する接触位置と、当該感光ドラムから離間した離間位置との間で移動させる離間機構と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記転写装置により前記第2感光ドラムに形成されたトナー像を前記転写媒体に転写している最中に、前記第4現像ローラが接触位置に到達するように、前記離間機構により前記第4現像ローラを離間位置から接触位置へ移動させる寿命優先モードと、
前記転写装置により前記第2感光ドラムに形成されたトナー像の前記転写媒体への転写を開始する前に、前記第4現像ローラが接触位置に到達するように、前記離間機構により前記第4現像ローラを離間位置から接触位置へ移動させる高画質モードと、
を切り替えて実行可能であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1感光ドラム、前記第2感光ドラム、前記第3感光ドラムおよび前記第4感光ドラムを露光する露光装置をさらに備え、
前記制御部は、前記高画質モードにおいて、
前記露光装置による前記第2感光ドラムの露光を開始する前に、前記離間機構により前記第4現像ローラを接触位置に到達させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
第1感光ドラムと、
前記第1感光ドラムにトナーを供給する第1現像ローラと、
前記第1感光ドラムに対面した転写媒体の移動方向における前記第1感光ドラムよりも下流に配置された第2感光ドラムと、
前記第2感光ドラムにトナーを供給する第2現像ローラと、
前記移動方向における前記第2感光ドラムよりも下流に配置された第3感光ドラムと、
前記第3感光ドラムにトナーを供給する第3現像ローラと、
前記移動方向における前記第3感光ドラムよりも下流に配置された第4感光ドラムと、
前記第4感光ドラムにトナーを供給する第4現像ローラと、
前記第1感光ドラム、前記第2感光ドラム、前記第3感光ドラムおよび前記第4感光ドラムを露光する露光装置と、
前記第1現像ローラ、前記第2現像ローラ、前記第3現像ローラおよび前記第4現像ローラを、それぞれ、対応する感光ドラムに接触する接触位置と、当該感光ドラムから離間した離間位置との間で移動させる離間機構と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記露光装置により前記第4感光ドラムを露光している最中に、前記離間機構により前記第3現像ローラを接触位置から離間位置へ移動させ始める寿命優先モードと、
前記露光装置による前記第4感光ドラムの露光が完了した後に、前記離間機構により前記第3現像ローラを接触位置から離間位置へ移動させ始める高画質モードと、
を切り替えて実行可能であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記第1感光ドラム、前記第2感光ドラム、前記第3感光ドラムおよび前記第4感光ドラムに形成されたトナー像を前記転写媒体に転写する転写装置をさらに備え、
前記制御部は、前記高画質モードにおいて、
前記転写装置による前記第4感光ドラムに形成されたトナー像の前記転写媒体への転写が完了した後に、前記離間機構により前記第3現像ローラを接触位置から離間位置へ移動させ始めることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、
印刷する画像が所定の解像度より高い画像である場合は、前記高画質モードを実行し、
印刷する画像が所定の解像度より高い画像でない場合は、前記寿命優先モードを実行することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、
操作パネルに前記高画質モードを選択可能な選択画面を表示し、
前記操作パネルから前記高画質モードが選択された場合に前記高画質モードを実行し、
前記操作パネルから前記高画質モードが選択されない場合に前記寿命優先モードを実行することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、
印刷ジョブに含まれるモードに関する情報が前記高画質モードである場合に前記高画質モードを実行し、
印刷ジョブに含まれるモードに関する情報が前記高画質モードでない場合に前記寿命優先モードを実行することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、
印刷する速度が第1速度である場合は、前記高画質モードを実行し、
印刷する速度が第1速度より速い第2速度である場合は前記寿命優先モードを実行することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、
トナー消費量を抑えずに印刷する場合は、前記高画質モードを実行し、
トナー消費量を抑えて印刷する場合は前記寿命優先モードを実行することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像ローラを、感光ドラムに接触する接触位置と、感光ドラムから離間する離間位置との間で移動させる離間機構を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数色のトナーを使用してカラー画像を形成する画像形成装置において、各色の感光ドラムから転写媒体へトナー像を転写するタイミングに合わせて、複数の現像ローラを、順次、感光ドラムに接触させ、また、感光ドラムから離間させるものが知られている(特許文献1)。このように、最小限の期間のみ現像ローラを感光ドラムに接触させることによって、現像ローラやトナーの劣化を抑制することが期待される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、印刷する内容等によって、トナー寿命を優先させたい場合と、トナーの寿命よりも画質を優先させたい場合があるが、特許文献1の画像形成装置ではこのような切替をすることができなかった。
【0005】
そこで、本発明は、現像ローラを感光ドラムに接触または離間させるタイミングを変更することで、トナーの寿命を優先する印刷と、画質を優先させる印刷とを切り替えることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した目的を達成するための画像形成装置は、第1感光ドラムと、第1感光ドラムにトナーを供給する第1現像ローラと、第1感光ドラムに対面した転写媒体の移動方向における第1感光ドラムよりも下流に配置された第2感光ドラムと、第2感光ドラムにトナーを供給する第2現像ローラと、移動方向における第2感光ドラムよりも下流に配置された第3感光ドラムと、第3感光ドラムにトナーを供給する第3現像ローラと、移動方向における第3感光ドラムよりも下流に配置された第4感光ドラムと、第4感光ドラムにトナーを供給する第4現像ローラと、第1感光ドラム、第2感光ドラム、第3感光ドラムおよび第4感光ドラムに形成されたトナー像を転写媒体に転写する転写装置と、第1現像ローラ、第2現像ローラ、第3現像ローラおよび第4現像ローラを、それぞれ、対応する感光ドラムに接触する接触位置と、当該感光ドラムから離間した離間位置との間で移動させる離間機構と、制御部と、を備える。
制御部は、転写装置により第2感光ドラムに形成されたトナー像を転写媒体に転写している最中に、第4現像ローラが接触位置に到達するように、離間機構により第4現像ローラを離間位置から接触位置へ移動させる寿命優先モードと、転写装置により第2感光ドラムに形成されたトナー像の転写媒体への転写を開始する前に、第4現像ローラが接触位置に到達するように、離間機構により第4現像ローラを離間位置から接触位置へ移動させる高画質モードと、を切り替えて実行可能である。
【0007】
このような構成によれば、制御部が寿命優先モードを実行する場合、転写装置により第2感光ドラムに形成されたトナー像を転写媒体に転写している最中に、第4現像ローラが接触位置に到達するので、第4現像ローラが第4感光ドラムに接触したときの振動により、第2感光ドラムから転写媒体へのトナー像の転写が乱れる可能性がある。しかし、寿命優先モードは、高画質モードよりも第4現像ローラが第4感光ドラムに接触している時間が短いので、第2現像ローラに使用されるトナーの寿命を長くすることができる。一方、制御部が高画質モードを実行する場合には、転写装置により第2感光ドラムに形成されたトナー像の転写媒体への転写を開始する前に、第4現像ローラが接触位置に到達するので、第4現像ローラが第4感光ドラムに接触したときの振動により、第2感光ドラムから転写媒体へのトナー像の転写が乱れることがない。すなわち、この構成によれば、現像ローラを感光ドラムに接触させるタイミングを変更することで、トナーの寿命を優先する印刷と、画質を優先させる印刷とを切り替えることができる。
【0008】
画像形成装置は、第1感光ドラム、第2感光ドラム、第3感光ドラムおよび第4感光ドラムを露光する露光装置をさらに備えることができる。この場合、制御部は、高画質モードにおいて、露光装置による第2感光ドラムの露光を開始する前に、離間機構により第4現像ローラを接触位置に到達させてもよい。
【0009】
このような構成によれば、制御部が高画質モードを実行する場合、露光装置による第2感光ドラムの露光を開始する前に、離間機構により第4現像ローラを接触位置に到達させるので、第4現像ローラが第4感光ドラムに接触したときの振動により、第2感光ドラムの露光が乱れるおそれがない。
【0010】
前記した目的を達成するための画像形成装置は、第1感光ドラムと、第1感光ドラムにトナーを供給する第1現像ローラと、第1感光ドラムに対面した転写媒体の移動方向における第1感光ドラムよりも下流に配置された第2感光ドラムと、第2感光ドラムにトナーを供給する第2現像ローラと、移動方向における第2感光ドラムよりも下流に配置された第3感光ドラムと、第3感光ドラムにトナーを供給する第3現像ローラと、移動方向における第3感光ドラムよりも下流に配置された第4感光ドラムと、第4感光ドラムにトナーを供給する第4現像ローラと、第1感光ドラム、第2感光ドラム、第3感光ドラムおよび第4感光ドラムを露光する露光装置と、第1現像ローラ、第2現像ローラ、第3現像ローラおよび第4現像ローラを、それぞれ、対応する感光ドラムに接触する接触位置と、当該感光ドラムから離間した離間位置との間で移動させる離間機構と、制御部と、を備える。
制御部は、露光装置により第4感光ドラムを露光している最中に、離間機構により第3現像ローラを接触位置から離間位置へ移動させ始める寿命優先モードと、露光装置による第4感光ドラムの露光が完了した後に、離間機構により第3現像ローラを接触位置から離間位置へ移動させ始める高画質モードと、を切り替えて実行可能である。
【0011】
このような構成によれば、制御部が寿命優先モードを実行する場合、露光装置により第4感光ドラムを露光している最中に、離間機構により第3現像ローラを接触位置から離間位置へ移動させ始めるので、第3現像ローラが第3感光ドラムから離間し始めるときの振動により、第4感光ドラムの露光が乱れる可能性がある。しかし、寿命優先モードは、高画質モードよりも第3現像ローラが第3感光ドラムに接触している時間が短いので、第3現像ローラに使用されるトナーの寿命を長くすることができる。一方、制御部が高画質モードを実行する場合には、露光装置による第4感光ドラムの露光が完了した後に、離間機構により第3現像ローラを接触位置から離間位置へ移動させ始めるので、第3現像ローラが第3感光ドラムから離間し始めるときの振動により、第4感光ドラムの露光が乱れることがない。すなわち、この構成によれば、現像ローラを感光ドラムから離間させるタイミングを変更することで、トナーの寿命を優先する印刷と、画質を優先させる印刷とを切り替えることができる。
【0012】
画像形成装置は、第1感光ドラム、第2感光ドラム、第3感光ドラムおよび第4感光ドラムに形成されたトナー像を転写媒体に転写する転写装置をさらに備えることができる。そして、制御部は、高画質モードにおいて、転写装置による第4感光ドラムに形成されたトナー像の転写媒体への転写が完了した後に、離間機構により第3現像ローラを接触位置から離間位置へ移動させ始めてもよい。
【0013】
このような構成によれば、制御部が高画質モードを実行する場合、転写装置による第4感光ドラムに形成されたトナー像の転写媒体への転写が完了した後に、離間機構により第3現像ローラを接触位置から離間位置へ移動させ始めるので、第3現像ローラが第3感光ドラムから離間し始めるときの振動により、第4感光ドラムから転写媒体へのトナー像の転写が乱れることがない。
【0014】
制御部は、印刷する画像が所定の解像度より高い画像である場合は、高画質モードを実行し、印刷する画像が所定の解像度より高い画像でない場合は、寿命優先モードを実行してもよい。
【0015】
また、制御部は、操作パネルに高画質モードを選択可能な選択画面を表示し、操作パネルから高画質モードが選択された場合に高画質モードを実行し、操作パネルから高画質モードが選択されない場合に寿命優先モードを実行してもよい。
【0016】
また、制御部は、印刷ジョブに含まれるモードに関する情報が高画質モードである場合に高画質モードを実行し、印刷ジョブに含まれるモードに関する情報が高画質モードでない場合に寿命優先モードを実行してもよい。
【0017】
また、制御部は、印刷する速度が第1速度である場合は、高画質モードを実行し、印刷する速度が第1速度より速い第2速度である場合は寿命優先モードを実行してもよい。
【0018】
また、制御部は、トナー消費量を抑えずに印刷する場合は、高画質モードを実行し、トナー消費量を抑えて印刷する場合は寿命優先モードを実行してもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、現像ローラを感光ドラムに接触または離間させるタイミングを変更することで、トナーの寿命を優先する印刷と、画質を優先させる印刷とを切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】第1実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
【
図2】現像ローラを感光ドラムに対して接触・離間させるための構成の一例を示す図である。
【
図3】解像度による、高画質モードと寿命優先モードの切替処理のフローチャートである。
【
図4】第1実施形態における、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの各色の現像ローラの接触・離間の動作、露光の動作、トナー像の転写のタイミングを示すタイミングチャートである。
【
図5】第2実施形態における、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの各色の現像ローラの接触・離間の動作、露光の動作、トナー像の転写のタイミングを示すタイミングチャートである。
【
図6】第3実施形態における、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの各色の現像ローラの接触・離間の動作、露光の動作、トナー像の転写のタイミングを示すタイミングチャートである。
【
図7】第4実施形態における、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの各色の現像ローラの接触・離間の動作、露光の動作、トナー像の転写のタイミングを示すタイミングチャートである。
【
図8】印刷ジョブに含まれる情報による、高画質モードと寿命優先モードの切替処理のフローチャートである。
【
図9】印刷速度による、高画質モードと寿命優先モードの切替処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1実施形態]
図1に示すように、第1実施形態に係る画像形成装置1は、カラープリンタであり、筐体10と、シート供給部20と、画像形成部30と、制御部2とを備えている。なお、本実施形態においては、
図1の左側を前、右側を後、上下をそのまま上下とし、
図1の紙面手前側を右、紙面奥側を左とする。
【0022】
シート供給部20は、シートSを収容するシートトレイ21と、供給機構22とを備えている。シートトレイ21は、画像形成部30の下方に配置され、筐体10から前側に引き出して取り外し可能である。筐体10には、上面に、画像形成装置1の設定等を入力するための操作パネル18が配置されている。供給機構22は、給紙ローラ23と、分離ローラ24と、分離パッド25と、搬送ローラ26と、レジストレーションローラ27とを備えている。シートSは、画像形成装置1で画像を形成することができる媒体であって、普通紙、封筒、葉書、薄紙、厚紙、光沢紙、樹脂シート、シール等を含む。
【0023】
シートトレイ21にセットされたシートSは、給紙ローラ23により送り出された後、分離ローラ24と分離パッド25との間で1枚ずつに分離され、搬送ローラ26によりレジストレーションローラ27に向けて搬送される。その後、シートSは、回転が停止した状態のレジストレーションローラ27により前端の位置が規制された後、レジストレーションローラ27が回転することで画像形成部30に供給される。
【0024】
画像形成部30は、露光装置40と、複数の感光ドラム50と、複数の現像カートリッジ60と、転写装置の一例としての搬送装置70と、定着器80とを備えている。
露光装置40は、図示しないレーザダイオード、偏向器、レンズおよびミラーを備えている。露光装置40は、複数の感光ドラム50を露光する一点鎖線で示した複数の光ビームを発して、各感光ドラム50の表面を露光するように構成されている。
【0025】
感光ドラム50は、イエローに対応する第1感光ドラム50Yと、マゼンタに対応する第2感光ドラム50Mと、シアンに対応する第3感光ドラム50Cと、ブラックに対応する第4感光ドラム50Kとを含む。各感光ドラム50は、転写媒体の一例としてのシートSを搬送する搬送ベルト73に対面している。第2感光ドラム50Mは、第1感光ドラム50Yに対面したシートSの移動方向(以下、単に「シートSの移動方向」という。)において、第1感光ドラム50Yよりも下流に配置されている。第3感光ドラムは、シートSの移動方向において、第2感光ドラム50Mよりも下流に配置されている。第4感光ドラム50Kは、シートSの移動方向において、第3感光ドラム50Cよりも下流に配置されている。つまり、感光ドラム50Y,50M,50C,50Kは、シートSの搬送方向の上流側から下流側に向かってこの順に並んで配置されている。なお、本明細書および図面においては、各色に対応して設けられた部材について、色を示す場合には、イエローをY,マゼンタをM,シアンをC,ブラックをKとしている。
【0026】
現像カートリッジ60は、各感光ドラム50に対応して設けられている。現像カートリッジ60は、第1感光ドラム50Yにトナーを供給する第1現像ローラ61Yを有する第1現像カートリッジ60Yと、第2感光ドラム50Mにトナーを供給する第2現像ローラ61Mを有する第2現像カートリッジ60Mと、第3感光ドラム50Cにトナーを供給する第3現像ローラ61Cを有する第3現像カートリッジ60Cと、第4感光ドラム50Kにトナーを供給する第4現像ローラ61Kを有する第4現像カートリッジ60Kとを含む。
【0027】
現像ローラ61Y,61M,61C,61Kは、シートSの搬送方向の上流側から下流側に向かってこの順に配置されている。
【0028】
各現像カートリッジ60は、
図1に実線で示した、現像ローラ61が複数の感光ドラム50のうちの対応する感光ドラム50に接触する接触位置にある位置と、
図1に仮想線で示した、現像ローラ61が対応する感光ドラム50から離間する離間位置にある位置との間で移動可能である。
【0029】
複数の感光ドラム50は、支持部材90に回転可能に支持されている。支持部材90には、各感光ドラム50に対応して配置された帯電器52が設けられている。支持部材90は、筐体10のフロントカバー11を開くことで形成される開口から、筐体10に対して着脱可能である。また、支持部材90は、複数の現像カートリッジ60を着脱可能に支持する。
【0030】
搬送装置70は、シートトレイ21と複数の感光ドラム50との間に設けられている。搬送装置70は、駆動ローラ71と、従動ローラ72と、無端状のベルトからなる搬送ベルト73と、4つの転写ローラ74とを備えている。搬送ベルト73は、駆動ローラ71と従動ローラ72との間に張設され、外側の面が各感光ドラム50に対向して配置されている。各転写ローラ74は、各感光ドラム50との間で搬送ベルト73を挟持するように搬送ベルト73の内側に配置されている。
【0031】
定着器80は、複数の感光ドラム50および搬送装置70の後方に設けられている。定着器80は、加熱ローラ81と、加熱ローラ81に対向して配置された加圧ローラ82とを備えている。シートSの搬送方向における定着器80の下流側には、搬送ローラ15と、排出ローラ16が設けられている。
【0032】
画像形成部30では、感光ドラム50(50Y,50M,50C,50K)の表面が、帯電器52により一様に帯電された後、露光装置40から照射される光ビームにより露光される。これにより、感光ドラム50上に画像データに基づく静電潜像が形成される。また、現像カートリッジ60内に収容されたトナーは現像ローラ61の表面に担持され、接触位置に位置する現像ローラ61から感光ドラム50上に形成された静電潜像に供給される。これにより、感光ドラム50上にトナー像が形成される。次に、搬送ベルト73上に供給されたシートSが搬送ベルト73上を搬送されて感光ドラム50と転写ローラ74との間を通過することで、各感光ドラム50(50Y,50M,50C,50K)上のトナー像がシートSに転写される。そして、シートSが加熱ローラ81と加圧ローラ82との間を通過することで、トナー像がシートSに熱定着される。その後、シートSは、搬送ローラ15および排出ローラ16により排紙トレイ13上に排出される。
【0033】
図2に示すように、画像形成装置1は、現像カートリッジ60を駆動するため、現像モータ3Dと、現像ローラ61を対応する感光ドラム50に対して接触・離間させるための離間機構5と、現像ローラ61を駆動させるための現像ローラ駆動機構200とをさらに備えている。
【0034】
現像モータ3Dは、現像ローラ61と、離間機構5を構成するカム150に駆動力を伝達するモータである。
離間機構5は、第1現像ローラ61Y、第2現像ローラ61M、第3現像ローラ61Cおよび第4現像ローラ61Kを、それぞれ、対応する感光ドラム50(50Y,50M,50C,50K)に接触する接触位置と、当該感光ドラム50から離間した離間位置との間で移動させる機構である。離間機構5は、伝達機構100と、切替機構としてのYMCクラッチ140AおよびKクラッチ140Kと、カム150とを備えている。
【0035】
カム150は、現像モータ3Dから駆動力が伝達されることで駆動し、対応する現像ローラ61を接触位置と離間位置との間で移動させる部材である。カム150は、第1現像ローラ61Yを接触位置と離間位置との間で移動させるYカム150Yと、第2現像ローラ61Mを接触位置と離間位置との間で移動させるMカム150Mと、第3現像ローラ61Cを接触位置と離間位置との間で移動させるCカム150Cと、第4現像ローラ61Kを接触位置と離間位置との間で移動させるKカム150Kとを含む。
【0036】
ここで、カム150を含む、現像ローラ61を、対応する感光ドラム50に接触させ、また、当該感光ドラム50から離間させるための構成の一例について説明する。
支持部材90(
図1参照)は、各現像カートリッジ60を、複数の感光ドラム50が並ぶ方向、すなわち、搬送ベルト73上におけるシートSの搬送方向に移動可能に支持する。そして、支持部材90は、現像カートリッジ60を、シートSの搬送方向における上流側から下流側に向けて付勢するバネ97を有している。バネ97は、各現像カートリッジ60に対応して設けられている。
【0037】
また、各現像カートリッジ60は、側面に、現像ローラ61の回転軸線方向に突出する被押圧部66を有している。現像カートリッジ60は、カム150により被押圧部66がシートSの搬送方向における下流側から上流側に向けて押圧されることで、バネ97の付勢力に抗して、現像ローラ61が対応する感光ドラム50から離間する離間位置となる位置に移動する。また、現像カートリッジ60は、カム150による押圧が解除されることで、バネ97の付勢力により現像ローラ61が対応する感光ドラム50に接触する接触位置となる位置に移動する(
図1参照)。
【0038】
カム150は、現像ローラ61の回転軸線と平行な軸周りに回転可能である。各カム150は、外周面に1つのカム山152Y,152M,152C,152Kを有している。カム山152Y,152M,152C,152Kは、現像カートリッジ60の被押圧部66を押圧可能である。現像ローラ61は、カム山152Y,152M,152C,152Kが被押圧部66を押圧した状態で離間位置に位置する。一方、現像ローラ61は、カム山152Y,152M,152C,152Kによる被押圧部66の押圧が解除された状態で接触位置に位置する。現像ローラ61は、カム150の回転により離間位置と接触位置との間を移動する。
【0039】
なお、本実施形態では、Mカム150M、Cカム150CおよびKカム150Kについては、同じ部品が用いられ、Yカム150Yについては、カム山152Yの回転方向の長さが、カム150M,150C,150Kのカム山152M,152C,152Kよりも長い部品が用いられている。
【0040】
伝達機構100は、1以上のギヤやベルト等から構成され、現像モータ3Dからカム150に駆動力を伝達可能な機構である。伝達機構100は、現像モータ3Dからカム150Y,150M,150Cに駆動力を伝達可能な第1伝達機構100Aと、現像モータ3DからKカム150Kに駆動力を伝達可能な第2伝達機構100Kとを有している。Yカム150Y、Mカム150MおよびCカム150Cは、ギヤ等を介して機械的に接続されており、現像モータ3Dから駆動力が伝達されることで同時に回転駆動する。
【0041】
YMCクラッチ140Aは、電磁クラッチであり、伝達機構100のうちの第1伝達機構100Aに設けられている。YMCクラッチ140Aは、現像モータ3Dからの駆動力をカム150Y,150M,150Cに伝達する伝達状態と、現像モータ3Dからの駆動力をカム150Y,150M,150Cに伝達しない切断状態とを切り替える。Kクラッチ140Kは、電磁クラッチであり、伝達機構100のうちの第2伝達機構100Kに設けられている。Kクラッチ140Kは、現像モータ3Dからの駆動力をKカム150Kに伝達する伝達状態と、現像モータ3Dからの駆動力をKカム150Kに伝達しない切断状態とを切り替える。
【0042】
現像ローラ駆動機構200は、1以上のギヤやベルト等から構成され、現像モータ3Dから現像ローラ61に駆動力を伝達可能な機構である。現像ローラ駆動機構200は、現像ローラ61が離間位置から接触位置に移動する途中であって対応する感光ドラム50に接触する前に現像モータ3Dからの駆動力を伝達して現像ローラ61を回転させ、また、現像ローラ61が接触位置から離間位置に移動する途中であって対応する感光ドラム50から離間した後に現像モータ3Dからの駆動力の伝達を遮断して現像ローラ61を停止させるように構成されている。これにより、現像ローラ61は、接触位置に位置する場合に回転し、離間位置に位置する場合に回転しない。
【0043】
制御部2は、画像形成装置1の動作を制御する装置である。制御部2は、CPU、ROM、RAM、入出力部等を有し、予め記憶されたプログラムを実行することで各処理を実行する。制御部2は、YMCクラッチ140AやKクラッチ140Kを制御することで、現像ローラ61の感光ドラム50に対する接触と離間を制御する。
【0044】
制御部2は、イニシャライズ動作とウォーミングアップ動作を実行した後、画像形成装置1を印刷ジョブの受信を待つ待機状態とする。待機状態のとき、画像形成装置1は、すべての現像ローラ61が離間位置に位置する。制御部2は、印刷ジョブを受信した場合、印刷動作を実行する。制御部2は、印刷ジョブに含まれる画像データがカラー画像である場合、複数の現像ローラ61Y,61M,61C,61Kを使ってシートSに画像を形成するカラー印刷を実行し、画像データがモノクロ画像である場合、第4現像ローラ61Kだけを使ってシートSに画像を形成するモノクロ印刷を実行する。
【0045】
制御部2は、カラー印刷を実行する場合において、寿命優先モードと、高画質モードの2つのモードを切り替えて実行可能である。制御部2は、例えば、印刷する画像が所定の解像度より高い画像である場合は、高画質モードを実行し、印刷する画像が所定の解像度より高い画像でない場合は、寿命優先モードを実行する。これを、
図3を参照して説明すると、制御部2は、印刷ジョブを受信すると(S11)、印刷ジョブに含まれる、印刷すべき画像の解像度が所定の解像度Hよりも高いか否か判定する(S12)。そして、制御部2は、画像の解像度が所定の解像度Hより高い画像であると判定した場合には(S12,Yes)、高画質モードを実行する(S110)。一方、制御部2は、画像の解像度が所定の解像度Hより高い画像でないと判定した場合には(S12,No)、寿命優先モードを実行する(S120)。
【0046】
次に、
図4のタイミングチャートを参照して、寿命優先モードと高画質モードの処理を説明する。
図4のタイミングチャートにおいては、実線で寿命優先モードの動作を示し、破線で高画質モードの動作を示す。また、図において、露光がONであるとは、感光ドラム50の表面において、露光により静電画像を形成すべき範囲を露光していることを示し、分かりやすいように、シートSの全面に画像を形成する場合を想定して示している。また、転写がONであるとは、感光ドラム50上のトナー像が、シートSに転写されていることを示している。トナー像の転写をする際には、転写ローラ74に転写バイアスを印加するが、転写バイアスは、トナー像を転写するタイミング以外においても印加されており、図における転写がONは、転写バイアスを印加するタイミングを示すものではない。
【0047】
図4に示すように、シートSが搬送ベルト73上を上流から下流へ搬送されていくに従い、Y,M,C,Kの各色の順で、順次、露光と転写が行われる。また、本実施形態の画像形成装置1では、シートSが搬送ベルト73上を上流から下流へ搬送されていくに従い、第1現像ローラ61Y、第2現像ローラ61M、第3現像ローラ61C、第4現像ローラ61Kの順で、順次、現像ローラ61が対応する感光ドラム50に接触する。そして、現像が終われば、順次、感光ドラム50から現像ローラ61が離間する。なお、イエローの露光経路を確保する都合上、第1現像ローラ61Yと第2現像ローラ61Mは、接触する際には、同時に接触する。
【0048】
制御部2は、実線で示す寿命優先モードにおいて、搬送装置70の転写ローラ74により第2感光ドラム50Mに形成されたトナー像をシートSに転写している最中に(t13~t15)、第4現像ローラ61Kが接触位置に到達する(t14)ように、離間機構5により第4現像ローラ61Kを離間位置から接触位置へ移動させる。
【0049】
一方、制御部2は、破線で示す高画質モードにおいて、搬送装置70の転写ローラ74により第2感光ドラム50Mに形成されたトナー像のシートSへの転写を開始する前(時刻t13より前の時刻t12)に、第4現像ローラ61Kが接触位置に到達するように、離間機構5により第4現像ローラ61Kを離間位置から接触位置へ移動させる。本実施形態では、一例として、第2感光ドラム50Mの露光が開始された時刻t11より後で、かつ、第2感光ドラム50Mに形成されたトナー像のシートSへの転写を開始する時刻13より前の期間に、第4現像ローラ61Kが接触位置に到達するように、第4現像ローラ61Kを離間位置から接触位置へ移動させる。
【0050】
以上のような本実施形態によれば、制御部2が寿命優先モードを実行する場合、第2感光ドラム50Mに形成されたトナー像をシートSに転写している最中に、第4現像ローラ61Kが接触位置に到達するので、第4現像ローラ61Kが第4感光ドラム50Kに接触したときの振動により、第2感光ドラム50MからシートSへのトナー像の転写が乱れる可能性がある。しかし、寿命優先モードは、高画質モードよりも第4現像ローラ61Kが第4感光ドラム50Kに接触している時間が短いので、第4現像ローラ61Kに使用されるトナーの寿命を長くすることができる。一方、制御部2が高画質モードを実行する場合には、第2感光ドラム50Mに形成されたトナー像のシートSへの転写を開始する前に、第4現像ローラ61Kが接触位置に到達するので、第4現像ローラ61Kが第4感光ドラム50Kに接触したときの振動により、第2感光ドラム50MからシートSへのトナー像の転写が乱れることがない。すなわち、本実施形態によれば、現像ローラ61を感光ドラム50に接触させるタイミングを変更することで、トナーの寿命を優先する印刷と、画質を優先させる印刷とを切り替えることができる。
【0051】
なお、本実施形態の高画質モードにおいては、イエローの第1感光ドラム50Yに形成されたトナー像をシートSに転写している最中に、ブラックの第4現像ローラ61Kが離間位置から接触位置へ移動することになるが、イエローは、色が薄いため、色ずれが気になることはほとんどなく、画質への影響は小さい。
【0052】
[第2実施形態]
次に、第1実施形態の一部を変更した第2実施形態について説明する。第2実施形態の画像形成装置1は、第1実施形態と同じ機械的構成を有し、制御部2による高画質モードの動作のみが異なる。
図5に示すように、制御部2は、高画質モードにおいて、露光装置40による第2感光ドラム50Mの露光を開始する(t24)前に、第4現像ローラ61Kが接触位置に到達する(t23)ように、離間機構5により第4現像ローラ61Kを離間位置から接触位置へ移動させる。本実施形態においては、高画質モードにおいて、第4現像ローラ61Kが接触位置に到達するタイミングは、第1感光ドラム50Yの露光開始(t21)および第1感光ドラム50Yに形成されたトナー像をシートSに転写し始めるタイミング(t22)よりも後である。なお、露光装置40による第2感光ドラム50Mの露光の開始は、第2感光ドラム50Mに形成されたトナー像をシートSに転写し始めるタイミング(t25)より前であるので、第2感光ドラム50Mに形成されたトナー像をシートSに転写し始める(t25)よりも前に第4現像ローラ61Kを接触位置に到達させる点は、第1実施形態と同様である。
【0053】
このような第2実施形態によれば、制御部2が高画質モードを実行する場合、第2感光ドラム50Mの露光を開始する前に、第4現像ローラ61Kを接触位置に到達させるので、第4現像ローラ61Kが第4感光ドラム50Kに接触したときの振動により、第2感光ドラム50Mの露光が乱れるおそれがない。また、第1実施形態と同様に、第4現像ローラ61Kが第4感光ドラム50Kに接触したときの振動により、第2感光ドラム50MからシートSへのトナー像の転写が乱れることがない。
【0054】
なお、本実施形態において、制御部2は、第1感光ドラム50Yの露光開始(t21)および第1感光ドラム50Yに形成されたトナー像をシートSに転写し始めるタイミング(t22)よりも後に第4現像ローラ61Kを接触位置に到達させているが、第1感光ドラム50Yに形成されたトナー像をシートSに転写し始めるタイミング(t22)よりも前に第4現像ローラ61Kを接触位置に到達させてもよい。このようにすれば、第4現像ローラ61Kが第4感光ドラム50Kに接触したときの振動が、第1感光ドラム50YからシートSへのトナー像の転写に影響を与えず、より高画質で印刷をすることができる。また、第1感光ドラム50Yの露光開始(t21)よりも前に第4現像ローラ61Kを接触位置に到達させてもよい。このようにすれば、第4現像ローラ61Kが第4感光ドラム50Kに接触したときの振動が、第1感光ドラム50Yの露光と、第1感光ドラム50YからシートSへのトナー像の転写に影響を与えず、より高画質で印刷をすることができる。
【0055】
[第3実施形態]
次に、第1実施形態の一部を変更した第3実施形態について説明する。第3実施形態の画像形成装置1は、第1実施形態と同じ機械的構成を有し、制御部2による高画質モードの動作のみが異なる。
図6に示すように、制御部2は、実線で示す寿命優先モードにおいて、露光装置40により第4感光ドラム50Kを露光している最中に(t31~t35)に、離間機構5により第3現像ローラ61Cを接触位置から離間位置へ移動させ始める(t34)。
【0056】
一方、制御部2は、破線で示す高画質モードにおいて、露光装置40による第4感光ドラム50Kの露光が完了した後(時刻t35より後の時刻t36)に、離間機構5により第3現像ローラ61Cを接触位置から離間位置へ移動させ始める。本実施形態では、一例として、露光装置40による第4感光ドラム50Kの露光が完了した時刻t35より後で、かつ、第4感光ドラム50Kに形成されたトナー像のシートSへの転写が完了した時刻t37より前の期間に、第3現像ローラ61Cを接触位置から離間位置へ移動させ始める。
【0057】
イエロー、マゼンタおよびシアンのYカム150Y、Mカム150MおよびCカム150Cは、機械的に接続されているので、高画質モードにおいて、第3現像ローラ61Cを第3感光ドラム50Cから離間させるタイミングを、寿命優先モードよりも遅らせた場合には、イエローおよびマゼンタの現像ローラ61が感光ドラム50から離間するタイミングも同様に遅れることになる。
【0058】
このような第3実施形態によれば、制御部2が寿命優先モードを実行する場合、第4感光ドラム50Kを露光している最中に、第3現像ローラ61Cを接触位置から離間位置へ移動させ始めるので、第3現像ローラ61Cが第3感光ドラム50Cから離間し始めるときの振動により、第4感光ドラム50Kの露光が乱れる可能性がある。しかし、寿命優先モードは、高画質モードよりも第3現像ローラ61Cが第3感光ドラム50Cに接触している時間が短いので、第3現像ローラ61Cに使用されるトナーの寿命を長くすることができる。一方、制御部2が高画質モードを実行する場合には、第4感光ドラム50Kの露光が完了した後に、第3現像ローラ61Cを接触位置から離間位置へ移動させ始めるので、第3現像ローラ61Cが第3感光ドラム50Cから離間し始めるときの振動により、第4感光ドラム50Kの露光が乱れることがない。すなわち、本実施形態によれば、現像ローラ61を感光ドラム50から離間させるタイミングを変更することで、トナーの寿命を優先する印刷と、画質を優先させる印刷とを切り替えることができる。
【0059】
また、第3実施形態において、マゼンタまたはイエローの現像ローラ61が、対応する感光ドラム50から離間し始めるタイミング(t32,t33)が、ブラックの第4感光ドラム50Kの露光の完了より後になるように、より遅いタイミングでYMCクラッチ140Aを作動させてもよい。
【0060】
[第4実施形態]
次に、第3実施形態の一部を変更した第4実施形態について説明する。第4実施形態の画像形成装置1は、第1実施形態と同じ機械的構成を有し、第3実施形態に対しては、制御部2による高画質モードの動作のみが異なる。
【0061】
図7に示すように、制御部2は、高画質モードにおいて搬送装置70による第4感光ドラム50Kに形成されたトナー像のシートSへの転写が完了した後(時刻t46より後)に、離間機構5により第3現像ローラ61Cを接触位置から離間位置へ移動させ始める(t47)。第4感光ドラム50Kに形成されたトナー像のシートSへの転写が完了する時刻t46は、第4感光ドラム50Kの露光が完了する時刻t45よりも後であるので、第4感光ドラム50Kの露光の完了(t45)よりも後に第3現像ローラ61Cを接触位置から離間位置へ移動させ始める点は、第3実施形態と同様である。
【0062】
このような第4実施形態によれば、制御部2が高画質モードを実行する場合、第4感光ドラム50Kに形成されたトナー像のシートSへの転写が完了した後に、第3現像ローラ61Cを接触位置から離間位置へ移動させ始めるので、第3現像ローラ61Cが第3感光ドラム50Cから離間し始めるときの振動により、第4感光ドラム50KからシートSへのトナー像の転写が乱れることがない。
【0063】
また、第4実施形態において、マゼンタまたはイエローの現像ローラ61が、対応する感光ドラム50から離間し始めるタイミング(t42,t43)が、ブラックの第4感光ドラム50KからシートSへの転写の完了より後になるように、より遅いタイミングでYMCクラッチ140Aを作動させてもよい。
【0064】
以上に発明の一実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように適宜変形して実施することができる。
【0065】
第3実施形態および第4実施形態は、高画質モードにおいて、寿命優先モードよりも第3感光ドラム50Cから第3現像ローラ61Cを離間させるタイミングを遅らせることで高画質化を実現したが、これに加えて、第1実施形態または第2実施形態のように、第4現像ローラ61Kを第4感光ドラム50Kに接触させるタイミングを早める制御を組み合わせて行ってもよい。このようにすれば、より高画質で印刷をすることができる。
【0066】
高画質モードと寿命優先モードを切り替える条件は、前記実施形態に限られない。例えば、制御部2は、印刷ジョブに含まれるモードに関する情報が高画質モードである場合に高画質モードを実行し、印刷ジョブに含まれるモードに関する情報が高画質モードでない場合に寿命優先モードを実行してもよい。この場合、
図8に示すように、制御部2は、印刷ジョブを受信すると(S11)、印刷ジョブに高画質モードの情報を含むか否か判定する(S14)。そして、制御部2は、印刷ジョブに高画質モードの情報を含むと判定した場合には(S14,Yes)、高画質モードを実行する(S110)。一方、制御部2は、高画質モードの情報を含まないと判定した場合には(S14,No)、寿命優先モードを実行する(S120)。
【0067】
もしくは、制御部2は、印刷する速度が第1速度である場合は、高画質モードを実行し、印刷する速度が第1速度より速い第2速度である場合は寿命優先モードを実行してもよい。例えば、制御部2は、搬送装置70等を駆動するモータを制御して、シートSを全速(第2速度)と、全速の半分の半速(第1速度)でシートSを搬送しながら画像形成する。そして、
図9に示すように、制御部2は、印刷ジョブを受信すると(S11)、全速と半速のいずれで印刷するかを、シートSの種類、画質等に応じて決定する(S21)。制御部2は、決定した印刷速度が、半速であるか否か判定し(S22)、印刷速度が半速であった場合には(S22,Yes)高画質モードを実行する(S110)。一方、制御部2は、印刷速度が半速でなかった場合には(S22,No)、寿命優先モードを実行する(S120)。
【0068】
また、制御部2は、操作パネル18に高画質モードを選択可能な選択画面を表示し、操作パネル18から高画質モードが選択された場合に高画質モードを実行し、操作パネル18から高画質モードが選択されない場合に寿命優先モードを実行してもよい。
【0069】
また、前記実施形態においては、高画質モードを積極的に選択した場合に、高画質モードを実行し、高画質モードを選択していない場合に寿命優先モードを実行したが、逆に、寿命優先モードを積極的に選択した場合に寿命優先モードを実行してもよい。例えば、制御部2は、トナー消費量を抑えずに印刷する場合は、高画質モードを実行し、トナー消費量を抑えて印刷する場合は寿命優先モードを実行してもよい。
【0070】
また、前記実施形態においては、感光ドラム50からシートSに直接トナー像を転写する画像形成装置1について説明したが、感光ドラム50からいわゆる中間転写ベルトにトナー像を転写し、中間転写ベルトから、シートへトナー像を二次転写させる画像形成装置であってもよい。この場合には、中間転写ベルトが転写媒体となる。
【0071】
また、画像形成装置は、プリンタに限定されず、複合機やコピー機等であってもよい。
【0072】
前記した実施形態および変形例で説明した各要素は、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 画像形成装置
2 制御部
5 離間機構
40 露光装置
50Y 第1感光ドラム
50M 第2感光ドラム
50C 第3感光ドラム
50K 第4感光ドラム
60Y 第1現像カートリッジ
60M 第2現像カートリッジ
60C 第3現像カートリッジ
60K 第4現像カートリッジ
61Y 第1現像ローラ
61M 第2現像ローラ
61C 第3現像ローラ
61K 第4現像ローラ
70 搬送装置
S シート