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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022142055
(43)【公開日】2022-09-30
(54)【発明の名称】ドリル
(51)【国際特許分類】
   B23B 51/00 20060101AFI20220922BHJP
【FI】
B23B51/00 S
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021042036
(22)【出願日】2021-03-16
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】390002521
【氏名又は名称】ダイジ▲ェ▼ット工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087572
【弁理士】
【氏名又は名称】松川 克明
(72)【発明者】
【氏名】林 裕登
(72)【発明者】
【氏名】長田 昌文
【テーマコード(参考)】
3C037
【Fターム(参考)】
3C037BB11
3C037BB13
(57)【要約】
【課題】 ドリルの先端中心部に行うシンニングを改良して、穴あけ加工する際におけるシンニング切れ刃による被削材への食いつき性を大きく向上させて、穴あけ加工時に被削材から受けるスラストを大幅に低減させる。
【解決手段】 ドリル本体10の先端部の両側に切り屑排出溝11と主切れ刃12が形成され、ドリル本体の先端部中心の両側のシンニング部14に各主切れ刃からドリル本体の中心に向かうシンニング切れ刃15が形成されたドリルにおいて、両側のシンニング切れ刃における直線部15bをそれぞれドリル本体の回転中心Oよりも回転方向上流側に向かうように形成し、両側の直線部からドリル本体の回転中心に至らないようにして湾曲した凹曲線部15cを設け、両側のシンニング切れ刃における凹曲線部の先端角γを両側の直線部のシンニング切れ刃の先端角βよりも鋭角にした。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドリル本体の先端部の両側に切り屑排出溝と主切れ刃とが形成されると共に、ドリル本体の先端部中心の両側にシンニングが設けられ両側のシンニング部に各主切れ刃からドリル本体の中心に向かうシンニング切れ刃が形成されたドリルにおいて、前記の両側のシンニング切れ刃における直線部をそれぞれドリル本体の回転中心よりも回転方向上流側に向かうように形成すると共に、両側のシンニング切れ刃における直線部からそれぞれドリル本体の回転中心に至らないようにして湾曲した凹曲線部を設けて、両側のシンニング切れ刃における凹曲線部の先端角を前記の両側の直線部のシンニング切れ刃の先端角よりも鋭角にしたことを特徴とするドリル。
【請求項2】
請求項1に記載のドリルにおいて、前記の各主切れ刃に対して二番逃げ面と三番逃げ面とを形成し、各主切れ刃における二番逃げ面と三番逃げ面との稜線を、前記の各シンニング切れ刃の湾曲した凹曲線部よりもドリル本体の回転中心側に位置させたことを特徴とするドリル。
【請求項3】
請求項2に記載のドリルにおいて、前記の各主切れ刃における三番逃げ面と前記の各シンニング部とによって形成される両側の稜線を、それぞれドリル本体の回転中心よりも回転方向下流側に位置させたことを特徴とするドリル。
【請求項4】
請求項1~請求項3に記載のドリルにおいて、ドリル本体の先端部の両側における前記のシンニング切れ刃と主切れ刃とを、それぞれドリル本体の回転方向に向けて凸状に湾曲した凸曲線部で接続させたことを特徴とするドリル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属材料等の被削材に穴あけ加工する際に使用するドリルに関するものである。特に、被削材に穴あけ加工するにあたり、ドリルの先端部中心に行うシンニングを改良して、穴あけ加工する際におけるシンニング切れ刃による被削材への食いつき性を大きく向上させ、穴あけ加工時に被削材から受けるスラストを大幅に低減させて、ドリル寿命を向上できるようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、金属材料等の被削材に対して穴あけ加工するのにドリルが使用されている。
【0003】
ここで、このようなドリルにおいては、穴あけ加工する際に被削材から受けるスラストを低減させるため、ドリルの主切れ刃による先端角を小さくしたり、ドリルの先端部中心にシンニングを行ってドリルの先端部中心におけるチゼルエッジを短くしたりする等の方法が用いられている。
【0004】
そして、前記のようにドリルの先端部の両側にシンニングを行ってドリルの先端部におけるチゼルエッジを短くするにあたっては、特許文献1、2に示されるように、ドリルの先端の両側における各主切れ刃に対応させて設ける各シンニング部をドリルの中心を越えて反対側の主切れ刃の逃げ面側に入り込ませて、ドリルの先端の両側におけるシンニング切れ刃を所定量オーバーラップさせるようにしたものが提案されている。
【0005】
ここで、前記の特許文献1、2に示されるものにおいては、ドリルにシンニングを行って、ドリルの先端部中心の両側にシンニング切れ刃を形成するにあたり、両側のシンニング切れ刃がそれぞれドリルの回転中心に対して回転方向下流側に向かうように形成されている。
【0006】
そして、このようにドリルの先端部中心の両側にシンニング切れ刃を形成した場合、両側のシンニング切れ刃による先端角はドリルの両側の主切れ刃による先端角よりも大きくなる。
【0007】
このため、特許文献1、2に示されるようにして、ドリルの先端部中心の両側にシンニング切れ刃を形成した場合、前記のようにチゼルエッジが短くなってスラストがある程度低減されるが、シンニング切れ刃による先端角が大きくなるため、穴あけ加工する際における被削材への食いつきが悪くなって、穴あけ加工する際におけるスラストを低減させることができず、ドリル寿命を十分に向上させることはできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008-213121号公報
【特許文献2】特開2008-296313号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、金属材料等の被削材に穴あけ加工するのに使用するドリルにおける前記のような問題を解決することを課題とするものである。
【0010】
すなわち、本発明においては、ドリルによって被削材に穴あけ加工するにあたり、ドリルの先端部中心に行うシンニングを改良して、ドリルの先端部中心におけるチゼルエッジを短くすると共に、食いつき部のシンニング切れ刃における先端角を小さくして、穴あけ加工する際におけるシンニング切れ刃による被削材への食いつき性を向上させ、穴あけ加工時に被削材から受けるスラストを大幅に低減させて、ドリル寿命を向上できるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明におけるドリルにおいては、前記のような課題を解決するため、ドリル本体の先端部の両側に切り屑排出溝と主切れ刃とが形成されると共に、ドリル本体の先端部中心の両側にシンニングを行い各主切れ刃からドリル本体の中心に向かうシンニング切れ刃が形成されたドリルにおいて、前記の両側のシンニング切れ刃における直線部をそれぞれドリル本体の回転中心よりも回転方向上流側に向かうように形成すると共に、両側のシンニング切れ刃における直線部からそれぞれドリル本体の回転中心に至らないようにして湾曲した凹曲線部を設けて、両側のシンニング切れ刃における凹曲線部の先端角を前記の両側の直線部のシンニング切れ刃の先端角よりも鋭角にした。
【0012】
そして、このようにドリル本体の先端部中心の両側にシンジングを設けるにあたり、ドリル本体の両側のシンニング切れ刃における直線部をそれぞれドリル本体の回転中心よりも回転方向上流側に向かうように形成すると共に、両側のシンニング切れ刃における直線部からそれぞれドリル本体の回転中心に至らないようにして湾曲した凹曲線部を設けるようにすると、前記のように両側のシンニング切れ刃における凹曲線部の先端角を、前記の両側の直線部のシンニング切れ刃の先端角よりも鋭角にすることができ、このドリルによって被削材に穴あけ加工する際におけるシンニング切れ刃による被削材への食いつき性が大きく向上し、穴あけ加工時に被削材から受けるスラストが大幅に低減される。なお、前記のように両側のシンニング切れ刃における直線部をそれぞれドリル本体の回転中心よりも回転方向上流側に向かうように形成するにあたっては、両側の直線部の間のオフセット量を、ドリル本体のドリル径の0.01~0.03にすることが好ましい。
【0013】
また、本発明のドリルにおいては、前記の各主切れ刃に対して二番逃げ面と三番逃げ面とを形成し、各主切れ刃における二番逃げ面と三番逃げ面との稜線を、前記の各シンニング切れ刃の湾曲した凹曲線部よりもドリル本体の回転中心側に位置させることが好ましい。このようにすると、各主切れ刃における二番逃げ面と三番逃げ面との稜線によってドリル先端におけるチゼルエッジを短くすることができ、穴あけ加工時に被削材から受けるスラストをさらに低減することができる。
【0014】
また、本発明のドリルにおいては、前記の各主切れ刃における三番逃げ面と前記の各シンニング溝とによって形成される両側の稜線を、ドリル本体の回転中心よりもそれぞれ回転方向下流側に形成することが好ましい。このようにすると、ドリル本体の先端部における切り屑ポケットを広げて、ドリル本体先端の中心付近、特にシンニング切れ刃部において生じた切り屑の排出性が向上する。
【0015】
また、本発明のドリルにおいては、ドリル本体の先端部中心の両側における前記の主切れ刃とシンニング切れ刃とをそれぞれドリル本体の回転方向に向けて凸状に湾曲した凸曲線部で接続させることが好ましい。このようにすると、シンニング切れ刃と主切れ刃との接続部分における切れ刃強度が向上する。
【発明の効果】
【0016】
本発明におけるドリルにおいては、前記のようにドリル本体の先端部中心の両側にシンニングを設けるにあたり、ドリル本体の先端部中心の両側のシンニング切れ刃における直線部をそれぞれドリル本体の回転中心よりも回転方向上流側に向かうように形成すると共に、両側のシンニング切れ刃における直線部からそれぞれドリル本体の回転中心に至らないようにして湾曲した凹曲線部を設けて、両側のシンニング切れ刃における凹曲線部の先端角を前記の両側の直線部のシンニング切れ刃の先端角よりも鋭角にしたため、このドリルによって被削材に穴あけ加工する際におけるシンニング切れ刃による被削材への食いつき性が大きく向上されて、被削材から受けるスラストを大幅に低減することで、ドリル寿命を大幅に向上できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係るドリルの概略側面図である。
図2】同実施形態に係るドリルの概略正面図である。
図3】同実施形態に係るドリルの先端部の一部を示した部分拡大正面説明図である。
図4】同実施形態に係るドリルを回転させた場合において、ドリルの先端部における主切れ刃における先端角β、シンニング切れ刃における直線部の先端角α、シンニング切れ刃における凹曲線部の回転中心側接線における先端角γの状態を示した部分拡大側面説明図である。
図5】同実施形態に係るドリルにおいて、シンニングを通す軸に対して垂直な面から見たドリルの先端部の状態を示した部分概略説明図である。
図6】実施例のドリルを用いて、被削材に穴あけ加工した場合におけるスラスト値の変化を示した図である。
図7】比較例のドリルを用いて、被削材に穴あけ加工した場合におけるスラスト値の変化を示した図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態におけるドリルを添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明におけるドリルは、下記の実施形態に示したものに限定されず、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
【0019】
この実施形態におけるドリルにおいては、図1等に示すように、ドリル本体10の外周に2つのねじれ溝からなる切り屑排出溝11を形成すると共に、ドリル本体10の先端部の両側に、各切り屑排出溝11に対応する主切れ刃12を形成している。
【0020】
そして、この実施形態におけるドリルにおいては、図2図5に示すように、ドリル本体10の先端部の回転中心におけるチゼルエッジ13の両側にシンニング部14を設けて、両側のシンニング部14にそれぞれ主切れ刃12からドリル本体10の中心に向かう各シンニング切れ刃15を形成している。
【0021】
ここで、前記の両側の各シンニング切れ刃15においては、それぞれ前記の各主切れ刃12に接続させるようにドリル本体10の回転方向に向けて凸状に湾曲した凸曲線部15aを設け、各凸曲線部15aからそれぞれ直線部15bをドリル本体10の回転中心Oよりも回転方向上流側に向かうように形成すると共に、各直線部15bからそれぞれドリル本体10の回転中心Oに至らないようにして湾曲した凹曲線部15cを設けている。
【0022】
そして、前記のように各主切れ刃12に対して、それぞれ各シンニング切れ刃15における凸状に湾曲した凸曲線部15aを接続させるようにすると、シンニング切れ刃15と主切れ刃12との接続部分における切れ刃強度が向上する。
【0023】
また、前記のように各凸曲線部15aからそれぞれ直線部15bをドリル本体10の回転中心Oよりも回転方向上流側に向かうように形成するにあたっては、回転中心Oの両側の直線部15b間のオフセット量Eをドリル本体10の工具径Dに対して0.01~0.03程度にしている。また、前記の各直線部15bからそれぞれドリル本体10の回転中心Oに至らないようにして湾曲した凹曲線部15cを設けるにあたって、例えば工具径Dが10mmの場合には、前記の湾曲の曲率半径Rtを0.2~1.0mm程度にすることができる。
【0024】
そして、前記のように各シンニング切れ刃15における直線部15bからそれぞれドリル本体10の回転中心Oに至らないようにして湾曲した凹曲線部15cを設けると、図4に示すように、前記の主切れ刃12における先端角βに比べて、シンニング切れ刃15における直線部15bの先端角αは大きくなるが、凹曲線部15cの回転中心O側における先端角γは小さくなり、被削材に穴あけ加工する際に、シンニング切れ刃15による被削材への食いつき性が大きく向上し、穴の切削加工時に被削材から受けるスラストが大幅に低減されるようになる。
【0025】
さらに、この実施形態におけるドリルにおいては、前記のように湾曲されてドリル本体10の回転中心Oを超えて他方の主切れ刃12側にシンニングされた各シンニング部14と、他方の主切れ刃12の三番逃げ面16とによって形成される各稜線15dがドリル本体10の回転中心Oを超えてオフセットされるオフセット量Fを調整して、各主切れ刃12によって切削された切り屑が導かれる切り屑ポケット大きくし、ドリル本体10の回転中心O近くにおいて生じた切り屑の排出性を高めている。
【0026】
また、この実施形態におけるドリルにおいては、各主切れ刃12における二番逃げ面17と三番逃げ面16とによって形成される両側の稜線167を、前記の各シンニング切れ刃15の湾曲した凹曲線部15cよりもドリル本体10の回転中心O近くまで伸ばして、ドリル本体10の回転中心Oにおけるチゼルエッジ13を短くし、これにより穴あけ加工時に被削材から受けるスラストをさらに低減させるようにしている。さらに、この実施形態においは、前記の二番逃げ面17と三番逃げ面16との間に切削オイル供給口18を設け、切削時にこの切削オイル供給口18から切削部分に切削オイルを供給するようにしている。
【0027】
次に、実施例のドリルとして、前記の実施形態に示すようにドリル本体の先端部の回転中心におけるチゼルエッジの両側にシンニングを設けて、両側のシンニング切れ刃における直線部をドリル本体の回転中心よりも回転方向上流側に向かうように形成すると共に、各直線部からそれぞれドリル本体の回転中心に至らないようにして湾曲した凹曲線部を設けるようにし、工具径Dが10mm、主切れ刃に接続させるようにドリル本体の回転方向に向けて凸状に湾曲したシンニング切れ刃における凸曲線部の曲率半径が1.75mm、主切れ刃の先端角βが140°、シンニング切れ刃における直線部の先端角αが165°、シンニング切れ刃における凹曲線部の回転中心側の回転時の先端角γが約62°、ドリル本体の回転中心よりも回転方向上流側に向かうように形成した両側のシンニング切れ刃における直線部間のオフセット量Eが0.15mm、シンニング心厚が0.18mm、チゼルエッジの長さが0.25mm、シンニング部と三番逃げ面とによって形成される両側の稜線がドリル本体の回転中心を超えてオフセットされるオフセット量Fか0.40mmになった炭化タングステンを主成分とする超硬ドリルを用いた。
【0028】
一方、比較例のドリルとして、ドリル本体の先端部の回転中心におけるチゼルエッジの両側にシンニングを設けて、両側のシンニング切れ刃をドリル本体の回転中心よりも回転方向下流側に向かうように形成し、工具径Dが10mm、主切れ刃の先端角βが140°、シンニング切れ刃の先端角αが165°、ドリル本体の回転中心よりも回転方向下流側に向かうように形成した両側のシンニング切れ刃間のオフセットの量が0.045mm、チゼルエッヂの長さが0.10mmである炭化タングステンを主成分とする超硬ドリルを用いた。
【0029】
そして、前記の実施例のドリルと比較例のドリルとを用い、被削材のステンレス鋼(SUS304)に対して、切削速度を60m/min、送り量を0.30mm/revにし、切削オイル供給口から水溶性クーラントを内部給油する条件下で、深さが30mmの止まり穴をノンステップ加工で穴あけ加工し、実施例及び比較例の各ドリルにおけるスラスト値を、日本キスラー株式会社の圧電型切削動力計(9271A)を使用して測定し、実施例のドリルを用いた結果を図6に示し、比較例のドリルを用いた結果を図7に示した。
【0030】
この結果、実施例のドリルを用いた場合、比較例のドリルを用いた場合に比べて、被削材に対する食いつく時におけるスラスト値が小さくなっており、また食いつき時のスラスト値から大きく変化するということもなく、安定した穴あけ加工が行えることがわかる。
【符号の説明】
【0031】
10 :ドリル本体
11 :切り屑排出溝
12 :主切れ刃
13 :チゼルエッジ
14 :シンニング部
15 :シンニング切れ刃
15a :凸曲線部
15b :直線部
15c :凹曲線部
15d :シンニング部と三番逃げ面との稜線
16 :三番逃げ面
17 :二番逃げ面
18 :切削オイル供給口
167 :二番逃げ面と三番逃げ面との稜線
D :工具径
E :回転方向上流側に向かう両側の直線部間のオフセット量
F :シンニング部と三番逃げ面との両側の稜線のオフセット量
O :回転中心
Rt :凹曲線部における曲率半径
α :シンニング切れ刃の先端角
β :主切れ刃の先端角
γ :凹曲線部の回転中心側における先端角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2021-08-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドリル本体の先端部の両側に切り屑排出溝と主切れ刃とが形成されると共に、ドリル本体の先端部中心の両側にシンニングが設けられ両側のシンニング部に各主切れ刃からドリル本体の中心に向かうシンニング切れ刃が形成されたドリルにおいて、前記の両側のシンニング切れ刃における直線部をそれぞれ、前記直線部から視て、ドリル本体の回転中心よりも回転方向上流側に向かうように形成すると共に、両側のシンニング切れ刃における直線部からそれぞれドリル本体の回転中心に至らないようにして湾曲した凹曲線部を設けて、両側のシンニング切れ刃における凹曲線部の先端角を前記の両側の直線部のシンニング切れ刃の先端角よりも鋭角にし、さらに前記の各主切れ刃に対して二番逃げ面と三番逃げ面とを形成し、各主切れ刃における二番逃げ面と三番逃げ面との稜線を、前記の各シンニング切れ刃の湾曲した凹曲線部よりもドリル本体の回転中心側に位置させたことを特徴とするドリル。
【請求項2】
請求項1に記載のドリルにおいて、前記の各主切れ刃における三番逃げ面と前記の各シンニング部とによって形成される両側の稜線を、それぞれドリル本体の回転中心よりも回転方向下流側に位置させたことを特徴とするドリル。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のドリルにおいて、ドリル本体の先端部の両側における前記のシンニング切れ刃と主切れ刃とを、それぞれドリル本体の回転方向に向けて凸状に湾曲した凸曲線部で接続させたことを特徴とするドリル。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
本発明におけるドリルにおいては、前記のような課題を解決するため、ドリル本体の先端部の両側に切り屑排出溝と主切れ刃とが形成されると共に、ドリル本体の先端部中心の両側にシンニング部が設けられ、両側のシンニング部に各主切れ刃からドリル本体の中心に向かうシンニング切れ刃が形成されたドリルにおいて、前記の両側のシンニング切れ刃における直線部をそれぞれ、前記直線部から視て、ドリル本体の回転中心よりも回転方向上流側に向かうように形成すると共に、両側のシンニング切れ刃における直線部からそれぞれドリル本体の回転中心に至らないようにして湾曲した凹曲線部を設けて、両側のシンニング切れ刃における凹曲線部の先端角を前記の両側の直線部のシンニング切れ刃の先端角よりも鋭角にし、さらに前記の各主切れ刃に対して二番逃げ面と三番逃げ面とを形成し、各主切れ刃における二番逃げ面と三番逃げ面との稜線を、前記の各シンニング切れ刃の湾曲した凹曲線部よりもドリル本体の回転中心側に位置させた
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
そして、このようにドリル本体の先端部中心の両側にシンジングを設けるにあたり、ドリル本体の両側のシンニング切れ刃における直線部をそれぞれ、前記直線部から視て、ドリル本体の回転中心よりも回転方向上流側に向かうように形成すると共に、両側のシンニング切れ刃における直線部からそれぞれドリル本体の回転中心に至らないようにして湾曲した凹曲線部を設けるようにすると、前記のように両側のシンニング切れ刃における凹曲線部の先端角を、前記の両側の直線部のシンニング切れ刃の先端角よりも鋭角にすることができ、このドリルによって被削材に穴あけ加工する際におけるシンニング切れ刃による被削材への食いつき性が大きく向上し、穴あけ加工時に被削材から受けるスラストが大幅に低減される。なお、前記のように両側のシンニング切れ刃における直線部をそれぞれドリル本体の回転中心よりも回転方向上流側に向かうように形成するにあたっては、両側の直線部の間のオフセット量を、ドリル本体のドリル径の0.01~0.03にすることが好ましい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
また、本発明のドリルにおいては、前記のように各主切れ刃に対して二番逃げ面と三番逃げ面とを形成し、各主切れ刃における二番逃げ面と三番逃げ面との稜線を、前記の各シンニング切れ刃の湾曲した凹曲線部よりもドリル本体の回転中心側に位置させるようにした。このようにすると、各主切れ刃における二番逃げ面と三番逃げ面との稜線によってドリル先端におけるチゼルエッジを短くすることができ、穴あけ加工時に被削材から受けるスラストをさらに低減することができる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
また、本発明のドリルにおいては、前記の各主切れ刃における三番逃げ面と前記の各シンニング溝とによって形成される両側の稜線を、ドリル本体の回転中心よりもそれぞれ回転方向下流側に位置させることが好ましい。このようにすると、ドリル本体の先端部における切り屑ポケットを広げて、ドリル本体先端の中心付近、特にシンニング切れ刃部において生じた切り屑の排出性が向上する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
本発明におけるドリルにおいては、前記のようにドリル本体の先端部中心の両側にシンニングを設けるにあたり、ドリル本体の先端部中心の両側のシンニング切れ刃における直線部をそれぞれ、前記直線部から視て、ドリル本体の回転中心よりも回転方向上流側に向かうように形成すると共に、両側のシンニング切れ刃における直線部からそれぞれドリル本体の回転中心に至らないようにして湾曲した凹曲線部を設けて、両側のシンニング切れ刃における凹曲線部の先端角を前記の両側の直線部のシンニング切れ刃の先端角よりも鋭角にしたため、このドリルによって被削材に穴あけ加工する際におけるシンニング切れ刃による被削材への食いつき性が大きく向上されて、被削材から受けるスラストを大幅に低減することで、ドリル寿命を大幅に向上できるようになった。