(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022014207
(43)【公開日】2022-01-19
(54)【発明の名称】包装箱のブランク、及び包装箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/44 20060101AFI20220112BHJP
B65D 5/43 20060101ALI20220112BHJP
B65D 5/10 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
B65D5/44 N
B65D5/43
B65D5/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020116423
(22)【出願日】2020-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】505437044
【氏名又は名称】広瀬 康男
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 康男
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB05
3E060BA03
3E060CE04
3E060CE14
3E060CF05
3E060DA15
(57)【要約】 (修正有)
【課題】生産性に優れるとともに、改竄操作が行われた場合に確実に痕跡を残すことが可能な包装箱を提供する。
【解決手段】筒体を構成する4つの側面板、筒体の一方の端面15を塞ぐように側面板の一つに延設される第1端面板、筒体の他方の端面を塞ぐように側面板の一つに延設される第2端面板、を有し、第1端面板の表面と、4つの側面板の少なくともいずれかの表面とにかかるように貼付される熱溶着性の改竄防止シート113と、を備える包装箱のブランクに、側面板にかかる領域を当該側面板に熱溶着することにより改竄防止シートを予め貼付しておく。例えば、ブランクに、第1の側面板にかかる領域を当該第1の側面板に熱溶着することにより第1の改竄防止シートを貼付しておき、また、第2の側面板にかかる領域を当該第2の側面板に熱溶着することにより第2の改竄防止シートを貼付しておく。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒体を構成する4つの側面板、
前記筒体の一方の端面を塞ぐように前記側面板の一つに延設される第1端面板、
前記筒体の他方の端面を塞ぐように前記側面板の一つに延設される第2端面板、及び、
前記第1端面板の表面と前記4つの側面板の少なくともいずれかの表面とにかかるように貼付される、熱溶着性の改竄防止シート、
を有する包装箱のブランクであって、
前記側面板にかかる領域を当該側面板に熱溶着することにより前記改竄防止シートが貼付されている、
包装箱のブランク。
【請求項2】
請求項1に記載の包装箱のブランクであって、
前記改竄防止シートは、面内に複数の切込を有する、
包装箱のブランク。
【請求項3】
請求項1に記載の包装箱のブランクであって、
前記改竄防止シートは、前記包装箱に対して前記第1端面板又は前記第2端面板を開く操作が行われることにより切離する切れ目を有する、
包装箱のブランク。
【請求項4】
請求項1に記載の包装箱のブランクであって、
前記改竄防止シートが貼付される領域に、当該改竄防止シートと接着性を有する顔料が塗布されている、
包装箱のブランク。
【請求項5】
請求項1に記載の包装箱のブランクであって、
前記包装箱は、
前記第1端面板と第1の前記側面板とにかかるように貼付される第1の前記改竄防止シート、及び、
前記第2端面板と第2の前記側面板とにかかるように貼付される第2の前記改竄防止シート、を有し、
前記第1の改竄防止シートは、前記第1の側面板にかかる領域を当該第1の側面板に熱溶着することにより貼付されており、
前記第2の改竄防止シートは、前記第2の側面板にかかる領域を当該第2の側面板に熱溶着することにより貼付されている、
包装箱のブランク。
【請求項6】
請求項1に記載の包装箱のブランクであって、
前記包装箱は、
前記第1端面板から延出し、当該第1端面板が前記筒体の前記一方の端面を塞いでいる状態で第3の前記側面板の表面に接着され、前記第1端面板が開封された際に当該第1端面板から切離されて、前記第3の側面板の表面に接着されたまま前記第3の側面板に残留する紙片である残留切離片と、
前記第2端面板と第2の前記側面板とにかかるように貼付される第2の前記改竄防止シートと、
残留切離片と当該残留切離片が接着されている前記第3の側面板とにかかるように貼付される、熱溶着性の第3の改竄防止シートと、
を有し、
前記第2の改竄防止シートは、前記第2の側面板にかかる領域を当該第2の側面板に熱溶着することにより貼付されており、
前記第3の改竄防止シートは、前記第3の側面板にかかる領域を当該第3の側面板に熱溶着することにより貼付されている、
包装箱のブランク。
【請求項7】
請求項6に記載の包装箱のブランクであって、
前記第2の改竄防止シート及び前記第3の改竄防止シートは、夫々の面内に複数の切込を有する、
包装箱のブランク。
【請求項8】
請求項6に記載の包装箱のブランクであって、
前記第2の改竄防止シートは、前記包装箱に対して前記第2端面板を開く操作が行われることにより切離する切れ目を有し、
前記第3の改竄防止シートは、前記残留切離片を前記第3の側面板から剥がす操作が行われることにより切離する切れ目を有する、
包装箱のブランク。
【請求項9】
請求項6に記載の包装箱のブランクであって、
前記第2の改竄防止シートが貼付される領域、及び前記第3の改竄防止シートが貼付される領域の夫々に、当該改竄防止シートと接着性を有する顔料が塗布されている、
包装箱のブランク。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載の包装箱のブランクを用いて構成される包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、包装箱のブランク、及び包装箱に関し、とくに包装箱の改竄防止機能に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「包装した商品の抜き取り等の改竄を防止し、開封されてもその痕跡が残る機能を備えた包装箱を提供する」、「周壁から延びる内フラップと外フラップとを重ね、これらを接着剤を塗布した接着部で貼り合わせて封緘する包装箱において、周壁に、内フラップへの切込により突起を設け、この突起が接着部に近接して内フラップと外フラップの隙間を覆うようにし、接着部の付近では、内フラップと外フラップとの間にカッターナイフの刃が入らず、突起を切り取ったり、潰したりしなければ開封できないようにする」と記載されている。
【0003】
特許文献2には、「開封の痕跡が明瞭に残り不正開封を見逃すことがない不正開封防止機構を備えた包装容器を提供する」、「正面板、左右の側面板、背面板、下面板および上面板を備えた包装容器において、不正開封防止機構として開封時に切断板が破断される第2予定破断線および/あるいは切断板と連接している正面板、上面板、左右の側面板に連続したズレ検出用画像を有する不正開封防止機構を備えた包装容器」と記載されている。
【0004】
特許文献3には、「外部から識別困難な内部に着色層を備えた特殊紙器用板紙を用いて包装箱を組み立てて、包装箱の製作メーカー或は使用メーカーの出所を明らかにすると共に、一旦開封したのちは包装箱を再生できないようにする」、「バルブの繊維を抄紙した薄紙の複数枚を重ねて、中央附近に位置する薄紙の1枚または複数枚を染料で適宜に着色すると共に、着色した層と何れか一方または両方の無着色の層とを比較的剥離し易い状態でスキ合せて造られ、そのままかまたは薄紙の表面の一方または両方を適宜の材料でコーテングされた特殊紙器用板紙を型抜、罫入れしたのち組み立てられた、特殊紙器用板紙を用いた包装箱である。」と記載されている。
【0005】
特許文献4には、簡素な構造でありながら改竄操作が行われた場合に確実にその痕跡を残すことが可能な改竄防止機能を備えた包装箱に関して記載されている。包装箱は、直方体状の筒体を構成する4つの側面板(第1側面板、正面板、第2側面板、及び背面板)と、2つの端面板(第1下側端面板及び第2下側端面板)とを備える。第1上側端面板及び第1下側端面板により筒体の端面を塞いだ状態において、第1上側端面板は第1下側端面板の上に重ねて接着剤により接着される。第1上側端面板の表面及び裏面には、第1上側端面板に層間剥離を生じさせるハーフカット線を形成する。第1上側端面板の表面に、接着剤を溶融させるための熱が印加されると変性する性質を有する物質を設ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009-149355号公報
【特許文献2】特開2016-101979号公報
【特許文献3】特開昭61-273340号公報
【特許文献4】特開2020-45166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
包装箱(包装容器)は、改竄できない形態であること、即ち、タンパーエビデンス(tamper evidence)性が求められる。従来より、包装箱に改竄防止機能を設ける方法としては、改竄防止シールを貼付する方法、包装箱の開封構造に不可逆な構造を設ける方法等、様々なものが存在する。ここで包装箱に設けられる改竄防止機能には、例えば、悪意者が包装箱に何らかの改竄操作を行った際にその痕跡が確実に残ること、改竄防止機能を設けたことによる製造工程や製造コストへの影響を抑えること等が求められる。
【0008】
本発明はこのような背景に鑑みてなされたもので、生産性に優れるとともに、改竄操作が行われた場合に確実に痕跡を残すことが可能な包装箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明の一つは、筒体を構成する4つの側面板、前記筒体の一方の端面を塞ぐように前記側面板の一つに延設される第1端面板、前記筒体の他方の端面を塞ぐように前記側面板の一つに延設される第2端面板、及び、前記第1端面板の表面と前記4つの側面板の少なくともいずれかの表面とにかかるように貼付される、熱溶着性の改竄防止シート、を有する包装箱のブランクであって、前記側面板にかかる領域を当該側面板に熱溶着することにより前記改竄防止シートが貼付されていることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、包装箱のブランクに予め改竄防止シートが貼付されているので、包装箱に内容物を装填する際における改竄防止シートの貼付に要する負荷を軽減することができ、封緘工程を簡素化することができる。また、ブランクの立ち上げ前のブランクが平面的な状態であるときに改竄防止シートを貼付することができるので、ブランクの製造工程における負荷を軽減することができる。また、包装箱に改竄防止シートが貼付されることで、悪意者が接着剤を溶融させて内容物にアクセスしようとする行為に対し、確実にその痕跡を包装箱に残すことができる。
【0011】
また、本発明の他の一つは、上記包装箱のブランクであって、前記改竄防止シートは、面内に複数の切込を有することを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、悪意者がカッター等を用いて改竄防止シートを剥がそうとすると切込の作用により改竄防止シートに容易に切離や捲れが誘発され、改竄操作が行われた痕跡を確実に包装箱に残すことができる。
【0013】
また、本発明の他の一つは、上記包装箱のブランクであって、前記改竄防止シートは、前記包装箱に対して前記第1端面板又は前記第2端面板を開く操作が行われることにより切離する切れ目を有することを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、第1端面板又は第2端面板を開くことにより切れ目が切離するので、開封操作が行われた痕跡を確実に包装箱に残すことができる。
【0015】
また、本発明の他の一つは、上記包装箱のブランクであって、前記改竄防止シートが貼付される領域に、当該改竄防止シートと接着性を有する顔料が塗布されていることを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、悪意者が改竄防止シートを剥がそうとした際、改竄防止シートとともに顔料が剥がれるので、改竄操作が行われた痕跡を確実に包装箱に残すことができる。
【0017】
また、本発明の他の一つは、上記包装箱のブランクであって、前記包装箱は、前記第1端面板と第1の前記側面板とにかかるように貼付される第1の前記改竄防止シート、及び、前記第2端面板と第2の前記側面板とにかかるように貼付される第2の前記改竄防止シート、を有し、前記第1の改竄防止シートは、前記第1の側面板にかかる領域を当該第1の側面板に熱溶着することにより貼付されており、前記第2の改竄防止シートは、前記第2の側面板にかかる領域を当該第2の側面板に熱溶着することにより貼付されていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の他の一つは、上記包装箱のブランクであって、前記包装箱は、前記第1端面板から延出し、当該第1端面板が前記筒体の前記一方の端面を塞いでいる状態で第3の前記側面板の表面に接着され、前記第1端面板が開封された際に当該第1端面板から切離されて、前記第3の側面板の表面に接着されたまま前記第3の側面板に残留する紙片である残留切離片と、前記第2端面板と第2の前記側面板とにかかるように貼付される第2の前記改竄防止シートと、残留切離片と当該残留切離片が接着されている前記第3の側面板とにかかるように貼付される、熱溶着性の第3の改竄防止シートと、を有し、前記第2の改竄防止シートは、前記第2の側面板にかかる領域を当該第2の側面板に熱溶着することにより貼付されており、前記第3の改竄防止シートは、前記第3の側面板にかかる領域を当該第3の側面板に熱溶着することにより貼付されていることを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、悪意者が残留切離片を第3の側面板から引き剥がそうとすると改竄防止シートが切れ目において切離するので、悪意者が包装箱に不正なアクセスを行った痕跡を包装箱に残すことができる。
【0020】
また、本発明の他の一つは、上記包装箱のブランクであって、前記第2の改竄防止シート及び前記第3の改竄防止シートは、夫々の面内に複数の切込を有することを特徴とする。
【0021】
また、本発明の他の一つは、上記包装箱のブランクであって、前記第2の改竄防止シートは、前記包装箱に対して前記第2端面板を開く操作が行われることにより切離する切れ目を有し、前記第3の改竄防止シートは、前記残留切離片を前記第3の側面板から剥がす操作が行われることにより切離する切れ目を有することを特徴とする。
【0022】
また、本発明の他の一つは、上記包装箱おブランクであって、前記第2の改竄防止シートが貼付される領域、及び前記第3の改竄防止シートが貼付される領域の夫々に、当該改竄防止シートと接着性を有する顔料が塗布されていることを特徴とする。
【0023】
また、本発明の他の一つは、上記ブランクを用いて構成される包装箱である。
【0024】
その他、本願が開示する課題、及びその解決方法は、発明を実施するための形態の欄、及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、生産性に優れるとともに、改竄操作が行われた場合に確実に痕跡を残すことが可能な包装箱を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】第1実施形態の包装箱の開封前の状態(封緘状態)を示す斜視図である。
【
図2】包装箱の開封後の状態(開封状態)を示す斜視図である。
【
図3】ブランクを包装箱の表面側から眺めた図である。
【
図4】ブランクを包装箱の裏面側から眺めた図である。
【
図5】封緘状態の包装箱を第2端面板の方向から眺めた斜視図である。
【
図6】ブランクの製造から包装箱の廃棄までの流れを説明する流れ図である。
【
図7】筒体に内容物を装填している様子を示す図である。
【
図8】筒体の端面を閉じた状態を示す図(延出するフィルムの状態を示す図)である。
【
図9】延出するフィルムを包装箱に貼付している様子を示す図である。
【
図10】悪意者が包装箱に改竄操作を行っている様子を示す図である。
【
図11】悪意者が包装箱に改竄操作を行っている様子を示す図である。
【
図12】第2実施形態の包装箱の開封前の状態(封緘状態)を示す斜視図である。
【
図13】包装箱の開封後の状態(開封状態)を示す斜視図である。
【
図14】ブランクを包装箱の表面側から眺めた図である。
【
図15】ブランクを包装箱の裏面側から眺めた図である。
【
図16】悪意者が包装箱に改竄操作を行っている様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態につき図面とともに説明する。尚、以下の説明において、同一の又は類似する構成について同一の符号を付して重複した説明を省略することがある。
【0028】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態として示す包装箱10の開封前の状態(封緘(封函)状態)を示す斜視図、
図2は、包装箱10の開封後の状態(開封状態)を示す斜視図である。これらの図に示すように、包装箱10の全体は略直方体状を呈する。
【0029】
図3は、
図1(又は
図2)に示した包装箱10の形成片(以下、「ブランク5」と称する。)を包装箱10の表面側から眺めた図であり、
図4は、ブランク5を、包装箱10の裏面側から眺めた図である。ブランク5は、例えば、厚紙や板紙等のブランクシートを打抜機等で打ち抜くことにより形成される。
【0030】
図3及び
図4において、各紙片の境界に引いた線のうち、破線は山折線を、一点鎖線は谷折線を、点線は破断線を、実線は切込線を、夫々示す。破断線は、例えば、ミシン目、断続的に形成されたつなぎ部分を有する切込線等である。破断線は山折線や谷折線として機能することもある。
【0031】
図3に示すように、ブランク5は、夫々の長尺辺が互いに平行になるように連接された4つの側面板(第1側面板11、正面板12、第2側面板13、及び背面板14)、上記4つの側面板の連接方向の一端に延設された接続片17(グルーフラップ)、背面板14の上記連接方向に対して直角方向の短尺辺の一方に延設された第1端面板15(天面板)、背面板14の上記連接方向に対して直角方向の短尺辺の他方に延設された第2端面フラップ142、及び、正面板12の第2端面フラップ142が存在する側に延設された第2端面板16(底面板)を有する。
【0032】
第1側面板11、正面板12、第2側面板13、背面板14、及び接続片17は、夫々の長尺辺を境界としてこの順に連接されており、これらを各境界に沿って折り曲げて立ち上げることにより、包装箱10の内容物が収納される空間を有する角筒状の筒体が形成される。上記筒体の形成に際し、接続片17は、その裏面側又は表面側に接着剤(ホットメルト等)が塗布され、第1側面板11の表面側もしくは裏面側に接着される。
【0033】
第1端面板15には、背面板14が存在する側とは逆の方向に、舌片151及び残留切離片152が順に延出する。舌片151と残留切離片152との境界には、破断線68が形成されている。舌片151と残留切離片152との間には、包装箱10の開封時にユーザが舌片151に指を掛ける指掛部153が形成されている。包装箱10の開封時、舌片151と残留切離片152は切離される。包装箱10の再封時、舌片151は、第1端面板15により前述した筒体の一方の端面を塞ぐべく、正面板12の裏面に沿って前述した筒体の内側に差し込まれる。
【0034】
正面板12と背面板14は同形状(略長方形状)であり、これらは前述した筒体の一対の側面を構成する。また、第1側面板11と第2側面板13も同形状(略長方形状)であり、これらは前述した筒体において一対の側面を構成する。包装箱10の封緘時や再封時において、第2端面板16と第2端面フラップ142は前述した筒体の他方の端面を塞ぐ。
【0035】
尚、本例では、正面板12及び背面板14の夫々の面積が、第1側面板11及び第2側面板13の夫々の面積よりも広くなっているが、これらの面積比は必ずしも同図に示す態様に限られない。また、各側面板の長尺辺と短尺辺との関係(いずれの辺を長尺辺又は短尺辺とするか)も同図に示す態様に限られない。
【0036】
図3に示すように、第1側面板11と正面板12との境界には山折線31が、正面板12と第2側面板13との境界には山折線32が、夫々形成されている。また、第2側面板13と背面板14との境界には山折線41が、背面板14と接続片17との境界には山折線42が、夫々形成されている。例示する包装箱10の場合、山折線31、山折線32、山折線41、及び山折線42は、いずれも互いに平行である。
【0037】
前述した筒体が形成された状態で、第1側面板11の第1端面板15が存在する側には山折線61を介してフラップ111が、また、第1側面板11の前述した筒体が形成された状態で第2端面板16が存在する側には、山折線62を介してフラップ112が、夫々延出する。
【0038】
前述した筒体が形成された状態で、第2側面板13の第1端面板15が存在する側には山折線63を介してフラップ131が、また、第2側面板13の前述した筒体が形成された状態で第2端面板16が存在する側には山折線64を介してフラップ132が、夫々延出する。
【0039】
第1端面板15は、山折線35を介して背面板14に延設されている。また、第2端面フラップ142は、山折線38を介して背面板14に延設されている。また、第2端面板16は、山折線66を介して正面板12に延設されている。
【0040】
包装箱10の封緘時、残留切離片152の裏面は、正面板12の表面の所定領域Gに接着剤を介して接着される。このとき、第1端面板15は、フラップ111とフラップ131の上(包装箱10の外周側をいう。以下同様。)に重ねられた状態で前述した筒体の端面を塞ぐ。また、第2端面板16は、フラップ112とフラップ132の上に重ねられ、更に第2端面フラップ142の上に重ねられ、第2端面フラップ142と接着されて前述した筒体の他方の端面を塞ぐ。尚、以上の各部位の接着には、例えば、ホットメルトが用いられる。接着剤を塗布する領域の位置や面積は必ずしも限定されない。
【0041】
図1に示す封緘状態の包装箱10から内容物を取り出す際、ユーザは、指掛部153に指をかけて舌片151を捲り上げることにより破断線68を破断させ、舌片151を残留切離片152から切離し、舌片151とともに第1端面板15を引き上げる。これによりユーザは簡単に包装箱10を開封することができる。尚、舌片151が残留切離片152から切離されることで、開封されたことの痕跡が確実に包装箱10に残ることになる。
【0042】
正面板12の第1端面板15が存在する側の端辺の中央付近には、略半月状の切り欠き部125が形成されている。切り欠き部125は、包装箱10の開封時にユーザが指を入れて第1端面板15を引き上げるのを容易にする役割を果たす。
【0043】
第1側面板11の所定位置には、改竄防止シート(「改竄防止シール」、「開封予防シール」、「開封禁止シール」、「開封確認シール」、「VOIDシール」、「封印シール」等とも称される。)として機能するフィルム113,114が設けられる。フィルム113,114は、いずれも樹脂製(PP、ポリエステル、PET、ABS等)の熱溶着フィルムである。フィルム113,114の平面形状は必ずしも限定されないが、例えば、帯状(テープ状)、矩形状、円形状、多角形状等である。また、フィルム113,114の色は必ずしも限定されないが、例えば、透明である。
【0044】
図3に示すように、フィルム113は、第1側面板11の第1端面板15が存在する側に設けられる。また、フィルム114は、第1側面板11の第2端面板16が存在する側に設けられる。フィルム113,114は、いずれも前述した筒体が形成される前(包装箱10が立ち上げられる前)の工程においてブランク5に予め加熱圧着により貼付される。
【0045】
同図に示すように、例示するフィルム113は、略矩形状を呈する。フィルム113は、その面積の半分程度の領域113aが第1側面板11の表面にかかるように設けられる。この領域113aは、例えば、十分な熱と圧力をかけて加熱圧着することにより第1側面板11の表面に強固に貼付される。一方、フィルム113のフラップ111にかかる領域113bについては、ブランク5の製造過程では、その端部近傍の所定範囲Saのみがフラップ111の表面に熱溶着される。
【0046】
尚、所定範囲Saをフラップ111の表面に熱溶着するのは、領域113bをブランク5に仮止めして製造装置による同図に示す切込113cの形成を容易かつ精度よく行えるようにするためである。この切込113cは、悪意者がカッター等を用いてフィルム113を剥がそうとした際に切離や捲れを誘発させ、改竄の痕跡が包装箱10に残り易くなるように作用する。切込113cの態様は必ずしも限定されず、上記の切離や捲れを誘発させやすい態様であればよい。
【0047】
ブランク5が完成した状態では、領域113bの上記所定範囲Saの部分は切離され、領域113bは領域113aからフリーな状態(ひらひらの状態)で延出する。このフリーな状態で延出する領域113bは、
図1に示すように包装箱10の封緘時に第1端面板15の表面に熱溶着され、領域113aとともに改竄防止シートを構成する。領域113aと領域113bの境界(山折線61に沿う部分)には切れ目113d(破断線)が形成されており、この切れ目113dは、第1端面板15を引き上げた際に切離する。即ち、この切れ目113dの切離は、包装箱10が開けられたことを示す痕跡となる。
【0048】
図3に示すように、フィルム114は、略矩形状を呈する。フィルム114は、その面積の半分程度の領域114aが第1側面板11の表面にかかるように設けられる。この領域114aは、十分な圧力をかけて加熱圧着することにより第1側面板11の表面に強固に貼付される。一方、フィルム114のフラップ112にかかる領域114bについては、ブランク5の製造過程では、その端部近傍の所定範囲Sbのみがフラップ112の表面に熱溶着される。
【0049】
尚、所定範囲Sbをフラップ112の表面に熱溶着するのは、領域114bをブランク5に仮止めして製造装置による同図に示す切込114cの形成を容易かつ精度よく行えるようにするためである。この切込114cは、悪意者がカッター等を用いてフィルム114を剥がそうとした際に切離や捲れを誘発させ、改竄の痕跡が包装箱10に残り易くなるように作用する。切込114cの態様は必ずしも限定されず、上記の切離や捲れを誘発させやすい態様であればよい。
【0050】
ブランク5が完成した状態では、領域114bの上記所定範囲Sbの部分は切離され、領域114bは領域113bからフリーな状態(ひらひらの状態)で延出する。このフリーな状態で延出する領域114bは、
図5に示すように包装箱10の封緘時に第2端面板16の表面に熱溶着され、領域114aとともに改竄防止シートを構成する。領域114aと領域114bの境界(山折線62に沿う部分)には切れ目114d(破断線)が形成されており、この切れ目114dは、第2端面板16を引き上げた際に切離する。即ち、切れ目114dは、包装箱10が開けられたことを示す痕跡となる。
【0051】
以上のように、フィルム113,114は、ブランク5が完成した状態で既にブランク5に貼付されているので、商品販売等を行う内容物の提供者等の包装箱10への箱詰めや封緘を行う側での改竄防止シートの貼付の手間を大きく低減することができる。
【0052】
[製造から廃棄までの流れ]
続いて、
図6に示す流れ図(フローチャート)とともに、ブランク5の製造から包装箱10の廃棄までの流れ(ブランク5の製造→ブランク5の立上げ、内容物の装填→封緘(封函)→開封→再封→廃棄)について説明する。
【0053】
同図に示す工程又は手順のうち、S611~S615まではブランク5の製造を行う側(以下、「製造者」と称する。)において行われる。また、S616~S619までは包装箱10に商品等の内容物を装填し封緘を行いユーザに内容物を提供する側(以下、「提供者」と称する。)において行われる。また、S620~S622までは包装箱10(内容物)の利用者(以下、「ユーザ」と称する。)において行われる。
【0054】
同図に示すように、まず製造者において、打抜機を用いてブランクシートからブランク5の打ち抜きが行われる(S611)。
【0055】
続いて、ブランク5にフィルム113,114が貼付される(S612)。具体的には、フィルム113の領域113aが第1側面板11の表面に加熱圧着され、フィルム114の領域114aが第1側面板11の表面に加熱圧着される。また、領域113bの領域Saがフラップ111の表面に加熱圧着され、領域114bの領域Sbがフラップ112の表面に加熱圧着される。尚、ここではフィルム113,114を平面的(フラット)な状態のブランク5に貼付するので、これらの加熱圧着では、比較的高い圧力をかけることができ、フィルム113,114を確実にブランク5の表面に貼付することができる。これにより例えば、ブランク5の搬送に十分に耐え得る強度でフィルム113,114をブランク5に貼付することができる。
【0056】
続いて、フィルム113に切込113cが、また、フィルム114に切込114cが形成される(S613)。尚、切込113c及び切込114cは、フィルム113又はフィルム114の一部が切離しない程度に形成される。
【0057】
続いて、領域113bから領域Saが切離され、また、領域114bから領域Sbが切離される(S614)。これにより領域113bと領域114bはフリーな状態(ひらひらの状態)となる。
【0058】
続いて、ブランク5の仕上処理が行われる(S615)。具体的には、サックマシンによる罫線のクセ付けや、接続片17と第1側面板11の接着が行われる。上記クセ付けの工程では、例えば、ブランク5の4つの側面板(第1側面板11、正面板12、第2側面板13、及び背面板14)と接続片17の折り曲げ(山折線31,32,41,42に沿った折り曲げ)が行われる。また、上記接着の工程では、接続片17の表面(又は裏面)に接着剤が塗布され、接続片17の表面(又は裏面)が第1側面板11の裏面(又は表面)に接着される。
【0059】
以上で
図3及び
図4に示すブランク5が完成する。その後、ブランク5は、製造者から内容物の提供者に引き渡される。
【0060】
内容物の装填に際しては、まずカートニングマシン(製函機)等を用いてブランク5が立ち上げられ、前述した筒体が形成される(S616)。
【0061】
続いて、
図7に示すように、箱詰機により筒体に内容物が装填され、筒体の両端面が閉じられる(S617)。当該工程を経ることで、包装箱10は、
図8に示す状態となる。同図に示すように、この状態において包装箱10の長手方向両側(+z方向、-z方向)には、フィルム113の領域113bの部分とフィルム114の領域114bの部分が夫々フリーな状態(ひらひらの状態)で延出している。内容物の装填/封緘工程において、包装箱10は、例えば、ベルトコンベアにこの状態で載置され、次工程へと搬送される。尚、当該工程では、両端面を閉じる際、フラップ111とともにフィルム113の領域113bを、また、フラップ112とともにフィルム114の領域114bが折りたたまれてしまわないように、例えば、領域113b,114bに、夫々の裏面側から送風機を用いて風を当て、箱詰機により領域113b,114bが折りたたまれてしまわないようにする。また、例えば、領域113b,114bの夫々が延出する長さ(領域113bについては+z方向に延出する長さ、領域114bについては-z方向に延出する長さ)が夫々、フラップ111,112よりも短くなるように、即ち、領域113bについてはフラップ111が+z方向に延出する長さよりも短くなるように、領域114bについてはフラップ112が-z方向に延出する長さよりも短くなるようにしてもよい。そのようにすれば、フラップ111,112を折りたたむ際にこれらに引っかける箱詰機のフック(爪)が、フラップ111,112のみに引っかかり、領域113b,114bについては引っかからないように箱詰機を設定することができ、当該工程においてより確実に領域113b,114bがフラップ111,112とともに折りたたまれてしまわないようにすることができる。
【0062】
続いて、
図9に示すように、フィルム113,114を改竄防止シールとして機能させるべく、領域113bが第1端面板15の表面に、また、領域114bが第2端面板16の表面に、夫々加熱圧着される。尚、同図の例では、筒体の両端面の双方から熱溶着ヒータIを当てて領域113b,114bを加熱圧着している(S618)。尚、圧力をかけ過ぎると包装箱10が潰れてしまう可能性があるので、あまり高い圧力をかけることはできないが、熱溶着によって実用上十分な接着力で領域113b,114bを包装箱10に貼付することができる。
【0063】
以上で包装箱10の封緘が完了し、その後、包装箱10は流通経路等を経てユーザの手にわたる(S619)。
【0064】
包装箱10の開封に際し、ユーザは、まず包装箱10の指掛部153に指を掛け、舌片151を残留切離片152から切離し、第1端面板15を捲り上げる。これにより筒体の端面が開放され、包装箱10は
図2に示す開封状態となる(S620)。ユーザはこの状態で包装箱10から内容物を取り出す。
【0065】
包装箱10の利用をそのまま継続して利用する場合、ユーザは舌片151を正面板12の背面に沿って前述した筒体に差し込み、筒体の端面を第1端面板15で閉じて包装箱10を再封する(S621)。
【0066】
その後、内容物を消費し尽くす等して包装箱10が役目を終了すると、ユーザは包装箱10を解体して廃棄する(S622)。
【0067】
[改竄防止機能]
図10に示すように、悪意者は、例えば、ドライヤー等の加熱装置Hを用いて残留切離片152の裏面に塗布されている接着剤(ホットメルト)に熱を加えて溶融させ、包装箱10に痕跡が残らないように残留切離片152を正面板12から引き剥がして内容物にアクセスしようとする。しかし仮に悪意者が残留切離片152を痕跡を残さずに引き剥がせたとしても、包装箱10の構造上、第1端面板15を引き剥がさない限り内容物にアクセスすることはできない。そして悪意者が第1端面板15を無理に開けようとすればフィルム113の切れ目113dが切離して、包装箱10には必ず痕跡が残ることになる。
【0068】
また、
図11に示すように、悪意者は、例えば、ドライヤー等の加熱装置Hを用いて第2端面板16の裏面に塗布されている接着剤(ホットメルト)に熱を加えて溶融させ、包装箱10に痕跡が残らないように第2端面板16を開けて内容物にアクセスしようとする。しかし悪意者が第2端面板16を開けようとすれば、フィルム114の切れ目114dが切離し、包装箱10には必ず痕跡が残ることになる。
【0069】
ところで、包装箱10の表面のフィルム113,114が貼付される領域に視認し易い色の顔料を塗布するようにしてもよい。これにより悪意者がフィルム113,114を剥がそうとすると顔料がフィルム113,114にくっついて剥がれるため、改竄操作が行われた痕跡を確実に包装箱10に残すことができる。この場合、顔料の表面にコーティングを施さないように(もしくは顔料にコーティング材を混入しないように)するとよい。そのようにすれば、顔料がフィルム113,114の裏面によりくっつきやすくなり、改竄操作が行われた痕跡をより確実に包装箱10に残すことができる。
【0070】
以上に説明したように、本実施形態の包装箱10は、ブランク5に予め改竄防止シートとして機能させるフィルム113,114が貼付されているので、包装箱10の封緘時における改竄防止シートの貼付に要する工程を簡素化することができる。
【0071】
また、ブランク5の立ち上げ(前述した筒体の形成)前の、ブランク5が平面的な状態のときにフィルム113,114をブランク5に貼付することができるので、フィルム113,114を効率よく確実にブランク5に貼付することができる。
【0072】
また、悪意者が接着剤を溶融させて包装箱10の内容物にアクセスしようとする行為に対し、確実にその痕跡を包装箱10に残すことができる。
【0073】
また、フィルム133,114には切込113c,114cが形成されており、悪意者がカッター等を用いてフィルム113,114を丁寧に剥がそうとすると、切込113c,114cの作用によりフィルム133,114は容易に切離や捲れが誘発されるので、改竄操作が行われたことの痕跡を確実に包装箱10に残すことができる。
【0074】
[第2実施形態]
図12は、第2実施形態として示す包装箱10の開封前の状態(封緘(封函)状態)を示す斜視図、
図13は、第2実施形態の包装箱10の開封後の状態(開封状態)を示す斜視図である。また、
図14は、
図12(又は
図13)に示した包装箱10のブランク5を包装箱10の表面側から眺めた図であり、
図15は、ブランク5を、包装箱10の裏面側から眺めた図である。
【0075】
第2実施形態の包装箱10は、第1実施形態の包装箱10と基本的な構成は同じであるが、第2実施形態の包装箱10では、第1実施形態のフィルム113を包装箱10に貼付していない点、及び、新たなフィルム115を残留切離片152と正面板12とを跨がるように包装箱10に貼付している点で第1実施形態の包装箱10と異なる。
【0076】
図14又は
図15に示すように、例示するフィルム115は、略矩形状を呈する。フィルム115は、その面積の半分程度の領域115aが残留切離片152の表面にかかるように設けられる。この領域115aは、十分な圧力をかけて熱溶着することにより残留切離片152の表面に強固に貼付される。一方、フィルム115の正面板12にかかる領域115bについては、残留切離片152から延出してフリーな状態(ひらひらの状態)になっている。尚、このフリーな状態で延出する領域115bは、
図12に示すように包装箱10の封緘時に正面板12の表面に熱溶着され、領域115aとともに改竄防止シートとして機能する。
【0077】
フィルム115には、全体に亘って切込115cが形成されている。切込115cは、悪意者がカッター等を用いてフィルム115を剥がそうとした際に剥がれを誘発して改竄の痕跡が残り易くするために設けられる。切込115cの態様は必ずしも限定されない。領域115aと領域115bの境界(残留切離片152の端辺上)には切れ目115d(破断線)が形成されており、この切れ目115dは、第1端面板15を引き上げた際に切離する。
【0078】
以上のように、第1実施形態の場合と同様に、フィルム115は、ブランク5が完成した状態で既にブランク5に貼付されているので、内容物の提供者が包装箱10の封緘を行う際の改竄防止シートの貼付に要する負荷を軽減することができる。
【0079】
図16に、悪意者がドライヤー等の加熱装置Hを用いて残留切離片152の裏面に塗布されている接着剤(ホットメルト)に熱を加えて溶融させ、包装箱10に痕跡が残らないように残留切離片152を正面板12から引き剥がそうとしている様子を示している。しかし悪意者が残留切離片152を正面板12から引き剥がそうとするとフィルム115がその切れ目115dにおいて切離し、包装箱10に必ず痕跡が残ることになる。
【0080】
尚、第1実施形態の包装箱10と同様に、包装箱10のフィルム115が貼付される領域に顔料を塗布し、悪意者がフィルム115を剥がそうとした際にフィルム115とともに顔料が剥がれるようにしてもよい。そのようにすれば、包装箱10により確実に包装箱10に悪意者が操作を行ったことの痕跡を残すことができる。また、その場合、顔料の表面にコーティングを施さないように(もしくは顔料にコーティング材を混入しないように)してもよい。そのようにすれば、顔料がフィルム115にくっつきやすくなり、より確実に包装箱10に悪意者が操作を行ったことの痕跡を残すことができる。
【0081】
以上の各実施形態の説明は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。
【0082】
例えば、以上の実施形態では、包装箱10の内容物が収納される空間を形成する筒体がいずれも角筒状であったが、筒体は他の形態であってもよく、例えば、円筒状等の曲面の板によって構成されるものであってもよい。
【0083】
また、以上の実施形態では、改竄防止シートが樹脂フィルムからなる場合を例示したが、以上に説明した改竄防止シートと同様の機能を奏するものであれば、改竄防止シートは樹脂フィルム以外の素材(例えば、紙、金属製フィルム等)からなるものでもよい。
【0084】
また、改竄防止シートは、剥がすと当該改竄防止シートが貼付されていた箇所に「開封済」「VOID」等、包装箱10が開封されたことを示す文字が転写される機能を有するものでもよい。
【符号の説明】
【0085】
5 ブランク、10 包装箱、11 第1側面板、111 フラップ、112 フラップ、113 フィルム、113a 領域、113b 領域、113c 切込、113d 切れ目、114 フィルム、114a 領域、114b 領域、114c 切込、114d 切れ目、115 フィルム、115a 領域、115b 領域、115c 切込、115d 切れ目、12 正面板、125 切り欠き部、13 第2側面板、14 背面板、142 第2端面フラップ、15 第1端面板、151 舌片、152 残留切離片、16 第2端面板、K 加熱装置、I 熱溶着ヒータ