(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022142080
(43)【公開日】2022-09-30
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 27/11568 20170101AFI20220922BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20220922BHJP
【FI】
H01L27/11568
H01L29/78 371
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021042087
(22)【出願日】2021-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】特許業務法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田村 和宏
【テーマコード(参考)】
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F083EP18
5F083EP22
5F083EP33
5F083EP34
5F083EP35
5F083EP36
5F083EP47
5F083EP48
5F083EP63
5F083EP68
5F083ER04
5F083ER07
5F083ER17
5F083ER22
5F083ER30
5F083GA12
5F083HA01
5F083JA04
5F083JA19
5F083JA32
5F083JA35
5F083JA36
5F083JA37
5F083JA39
5F083JA40
5F083MA06
5F083MA16
5F083MA19
5F083NA01
5F083PR03
5F083PR05
5F083PR21
5F083PR29
5F101BA45
5F101BB02
5F101BB04
5F101BC04
5F101BD02
5F101BD22
5F101BD36
5F101BE07
5F101BH14
5F101BH15
(57)【要約】 (修正有)
【課題】書き込み前後でも閾値電圧や電流能力の変化量を大きくする。
【解決手段】半導体装置において、半導体チップは、第1導電型のウェル領域21と、第2導電型のソース領域22と、第2導電型のドレイン領域23と、第1導電型のチャネル領域24と、プレーナゲート構造30と、チャネル領域上に形成された絶縁膜41および絶縁膜を挟んでチャネル領域に対向する電荷蓄積膜42を含むメモリ構造40とを含む。チャネル領域は、プレーナゲート構造に対向する第1不純物濃度を有する第1部分25と、メモリ構造に対向し、第1不純物濃度よりも高い第2不純物濃度を有する第2部分26とを含む。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面および前記第1主面の反対側の第2主面を有する半導体チップと、
前記半導体チップの前記第1主面に形成された第1導電型のウェル領域と、
前記ウェル領域において前記半導体チップの前記第1主面に形成された第2導電型のソース領域と、
前記ウェル領域において前記半導体チップの前記第1主面に形成され、前記ソース領域から離れている第2導電型のドレイン領域と、
前記ウェル領域において前記ソース領域と前記ドレイン領域との間に形成された前記第1導電型のチャネル領域と、
前記チャネル領域に対向するように前記半導体チップの前記第1主面上に形成されたプレーナゲート構造と、
前記プレーナゲート構造の側方に隣接して形成されたメモリ構造であって、前記チャネル領域上に形成された絶縁膜、および前記絶縁膜を挟んで前記チャネル領域に対向する電荷蓄積膜を含むメモリ構造とを含み、
前記チャネル領域は、前記プレーナゲート構造に対向する第1不純物濃度を有する第1部分と、前記メモリ構造に対向し、前記第1不純物濃度よりも高い第2不純物濃度を有する第2部分とを含む、半導体装置。
【請求項2】
前記チャネル領域の前記第2部分は、前記ソース領域および前記ドレイン領域の少なくとも一方に接している、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記ソース領域は、前記半導体チップの前記第1主面に沿う方向に前記ドレイン領域に対向するソース側第1端部を有し、
前記ドレイン領域は、前記半導体チップの前記第1主面に沿う方向に前記ソース領域に対向するドレイン側第1端部を有し、
前記チャネル領域の前記第2部分は、前記ソース側第1端部および前記ドレイン側第1端部の少なくとも一方に一体的に接続され、前記ソース側第1端部および前記ドレイン側第1端部の他方へ向かって延びている、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記チャネル領域の前記第2部分は、前記ソース側第1端部および前記ドレイン側第1端部の両方に一体的に接続されており、
前記プレーナゲート構造の下方において前記チャネル領域の前記第1部分を挟んで対向している、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記チャネル領域の前記第2部分は、前記半導体チップの前記第1主面を基準に前記ソース領域および前記ドレイン領域の少なくとも一方よりも浅く形成されており、
前記チャネル領域の前記第2部分の底部と、前記ソース領域および前記ドレイン領域の前記少なくとも一方の底部との間に段差が形成されている、請求項3または4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記チャネル領域の前記第2部分は、前記半導体チップの前記第1主面を基準に前記ソース領域および前記ドレイン領域の少なくとも一方よりも深く形成されており、前記ソース領域および前記ドレイン領域の前記少なくとも一方の底部を覆っている、請求項3または4に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記チャネル領域の前記第2部分は、前記プレーナゲート構造の一部に対向している、請求項1~6のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第2不純物濃度は、前記ソース領域および前記ドレイン領域の少なくとも一方の前記第2導電型の不純物濃度よりも低い、請求項1~7のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1不純物濃度は、4×1016cm-3以上9×1016cm-3以下であり、
前記第2不純物濃度は、3×1017cm-3以上8×1017cm-3以下である、請求項1~8のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記メモリ構造は、書き込み動作時に、ホットエレクトロンを前記電荷蓄積膜に注入するように構成されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記プレーナゲート構造は、前記半導体チップの前記第1主面上に形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極とを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記絶縁膜は、前記ゲート絶縁膜の厚さよりも小さい厚さを有している、請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記ゲート絶縁膜の側方には、前記半導体チップの前記第1主面を窪ませる窪みが形成されており、
前記絶縁膜は、前記ゲート絶縁膜に隣接するように前記窪み内において前記半導体チップの前記第1主面上に形成されている、請求項11または12に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記メモリ構造は、前記ソース領域および前記ドレイン領域の少なくとも一方と前記プレーナゲート構造との間に位置している、請求項1~13のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記電荷蓄積膜は、前記絶縁膜とは異なる絶縁材料で形成されている、請求項1~14のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記絶縁膜がSiO2で形成されており、前記電荷蓄積膜がSiNで形成されている、請求項15に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記電荷蓄積膜は、前記チャネル領域の前記第2部分に対向する第1対向部と、前記ソース領域および前記ドレイン領域の少なくとも一方に対向する第2対向部とを含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項18】
前記第1対向部は、平面視において、前記第2対向部よりも広い幅を有している、請求項17に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、特許文献1は、不揮発性メモリを備える半導体装置を開示している。特許文献1の半導体装置のメモリセルでは、pウェル領域上に、ゲート絶縁膜を介してゲート電極が形成されている。ゲート電極の側方には、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、およびシリコン酸化膜が、pウェル領域の表層部に形成された抵抗変化部上に順次積層されている。このメモリセルでは、ドレイン領域近傍で発生したホットエレクトロンをシリコン窒化膜に注入することで書き込みが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一実施形態に係る半導体装置は、第1主面および前記第1主面の反対側の第2主面を有する半導体チップと、前記半導体チップの前記第1主面に形成された第1導電型のウェル領域と、前記ウェル領域において前記半導体チップの前記第1主面に形成された第2導電型のソース領域と、前記ウェル領域において前記半導体チップの前記第1主面に形成され、前記ソース領域から離れている第2導電型のドレイン領域と、前記ウェル領域において前記ソース領域と前記ドレイン領域との間に形成された前記第1導電型のチャネル領域と、前記チャネル領域に対向するように前記半導体チップの前記第1主面上に形成されたプレーナゲート構造と、前記プレーナゲート構造の側方に隣接して形成されたメモリ構造であって、前記チャネル領域上に形成された絶縁膜、および前記絶縁膜を挟んで前記チャネル領域に対向する電荷蓄積膜を含むメモリ構造とを含み、前記チャネル領域は、前記プレーナゲート構造に対向する第1不純物濃度を有する第1部分と、前記メモリ構造に対向し、前記第1不純物濃度よりも高い第2不純物濃度を有する第2部分とを含む。
【0005】
この構成によれば、チャネル領域のメモリ構造に対向する部分に、第1部分に対して相対的に高濃度な第2部分が形成されている。メモリ構造の直下でのインパクトイオン化現象を促進させることができるので、メモリ構造の直下に発生するホットキャリアを増加させることができる。これにより、書き込み動作時に、電荷蓄積膜に注入されるホットエレクトロンを増加させることができる。その結果、書き込み前後での閾値電圧や電流能力の変化量(たとえば、ドレイン飽和電流(ΔIdsat)を大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の要部の平面図である。
【
図4】
図4は、
図2の二点鎖線IVで囲まれた部分の拡大図である。
【
図5A】
図5Aは、前記半導体装置に備えられるメモリ構造の書き込み動作前の電気回路の状態を説明するための模式図である。
【
図5B】
図5Bは、前記メモリ構造の書き込み動作を説明するための模式図である。
【
図5C】
図5Cは、前記書き込み動作後の前記メモリ構造の読み出し動作を説明するための模式図である。
【
図6】
図6は、前記書き込み動作前および前記書き込み動作後におけるゲート電位とドレイン・ソース間電流との関係を示すグラフである。
【
図7A】
図7Aは、前記半導体装置(
図2)の製造方法の一例を説明するための図である。
【
図9】
図9は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の要部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
次に、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る半導体装置1の要部の平面図である。
図2は、
図1のII-II線に沿う断面図である。
図3は、
図1のIII-III線に沿う断面図である。
図4は、
図2の二点鎖線IVで囲まれた部分の拡大図である。なお、
図1では、後述する絶縁スペーサ43、被覆絶縁膜51および層間絶縁膜65が省略されている。
【0008】
半導体装置1は、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)を用いた不揮発性メモリである。半導体装置1は、Si単結晶からなる半導体チップ2を含む。
図2を参照して、半導体チップ2は、この実施形態では、直方体形状に形成されている。半導体チップ2は、一方側の第1主面3および他方側の第2主面4を有している。半導体チップ2は、第2主面4の表層部に形成されたp型(第1導電型)のバックゲート領域20を含む。バックゲート領域20のp型不純物濃度は、1×10
15cm
-3以上6×10
15cm
-3以下であってもよい。バックゲート領域20の厚さは、1μm以上500μm以下であってもよい。バックゲート領域20は、この実施形態では、p型の半導体基板(Si基板)によって形成されている。
【0009】
半導体チップ2は、第1主面3の表層部に形成されたn型(第2導電型)の不純物領域19を含む。不純物領域19のn型不純物濃度は、2×1015cm-3以上7×1015cm-3以下であってもよい。不純物領域19の厚さは、たとえば、バックゲート領域20の厚さよりも小さい。不純物領域19の厚さは、5μm以上50μm以下であってもよい。不純物領域19は、この実施形態では、n型のエピタキシャル層(Siエピタキシャル層)によって形成されている。なお、不純物領域19は、n型不純物濃度が比較的低いことから、n-型の不純物領域19と称してもよい。
【0010】
半導体装置1は、MOSFETが形成されたデバイス領域6を区画するトレンチ絶縁構造10を含む。トレンチ絶縁構造10は、トレンチ11および絶縁埋設物12を含む。トレンチ11は、第1主面3を第2主面4に向けて掘り下げることにより形成されている。トレンチ11は、第1主面3および第2主面4の法線方向Zから見た平面視(以下、単に「平面視」という。)において四角環状に形成され、四角形状のデバイス領域6を区画している(
図1も参照)。なお、法線方向Zは、半導体チップ2の第1主面3に交差する方向の一例であってもよい。
【0011】
図1を参照して、トレンチ11は、第1主面3および第2主面4の法線方向Zから見た平面視(以下、単に「平面視」という。)において四角環状に形成され、四角形状のデバイス領域6を区画している。平面視におけるデバイス領域6の一辺が延びる方向を第1方向Xとする。第1方向Xおよび法線方向Zの両方と直交する方向を第2方向Yとする。また、第1方向Xおよび第2方向Yを総称して、半導体チップ2の第1主面3に沿う方向と定義してもよい。
【0012】
図2を参照して、トレンチ11は、具体的には、一方側の内側壁13、他方側の外側壁14、ならびに、内側壁13および外側壁14を接続する底壁15を含む。内側壁13は、平面視において四角環状に形成されている。外側壁14は、平面視において内側壁13に対して平行に延びる四角環状に形成されている。外側壁14は、必ずしも内側壁13に対して平行に延びている必要はなく、内側壁13とは異なる形状で形成されていてもよい。底壁15は、第1主面3に対して平行に延びている。底壁15は、第2主面4に向かう湾曲状に形成されていてもよい。
【0013】
トレンチ11は、この実施形態では、底壁15に向かって開口幅が狭まる先細り形状に形成されている。トレンチ11のテーパ角は、90°を超えて125°以下であってもよい。テーパ角は、90°を超えて100°以下であることが好ましい。トレンチ11のテーパ角は、半導体チップ2内においてトレンチ11の内側壁13(外側壁14)が第1主面3との間で成す角度である。むろん、トレンチ11は、第1主面3に対して垂直に形成されていてもよい。
【0014】
トレンチ11の深さは、0.1μm以上1μm以下であってもよい。トレンチ11の幅は、任意である。トレンチ11の幅は、0.1μm以上10μm以下であってもよい。トレンチ11の幅は、平面視においてトレンチ11が延びる方向に直交する方向の幅によって定義される。
絶縁埋設物12は、トレンチ11に埋設されている。当該絶縁埋設物12を構成する絶縁体は任意である。絶縁埋設物12は、酸化シリコン(SiO2)および窒化シリコン(SiN)のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。絶縁埋設物12は、この実施形態では、酸化シリコンからなる。
【0015】
絶縁埋設物12は、埋設部17および突出部18を含む。埋設部17は、トレンチ11の開口端16に対してトレンチ11の底壁15側に位置している。突出部18は、埋設部17から底壁15側とは反対側に向けて突出している。
半導体装置1は、デバイス領域6において不純物領域19の表層部に形成されたp型(第1導電型)のウェル領域21を含む。ウェル領域21は、第1主面3に沿う第1方向Xに延びている。ウェル領域21のp型不純物濃度は、たとえば、バックゲート領域20のp型不純物濃度よりも低い。ウェル領域21のp型不純物濃度は、たとえば、4×1016cm-3以上9×1016cm-3以下である。なお、ウェル領域21は、p型不純物濃度が比較的低いことから、p-型のウェル領域21と称してもよい。
【0016】
ウェル領域21の底部は、不純物領域19に接続されている。ウェル領域21は、この実施形態では、トレンチ11よりも深く形成され、当該トレンチ11の底壁15を部分的に被覆している。ウェル領域21は、この実施形態とは異なり、トレンチ11の底壁15に対して第1主面3側の領域に形成され、ウェル領域21と不純物領域19との境界が、トレンチ11の底壁15と第1主面3との間に位置していてもよい。
【0017】
半導体装置1は、ウェル領域21の表層部に形成されたn型(第2導電型)のソース領域22と、ソース領域22から間隔を空けてウェル領域21の表層部に形成されたn型(第2導電型)ドレイン領域23とを含む。ソース領域22およびドレイン領域23のn型不純物濃度は、たとえば、不純物領域19のn型不純物濃度よりも高い。ソース領域22およびドレイン領域23のn型不純物濃度は、たとえば、10×1016cm-3以上10×1020cm-3以下である。なお、ソース領域22およびドレイン領域23は、n型不純物濃度が比較的高いことから、それぞれ、n+型のソース領域22およびn+型のドレイン領域23と称してもよい。
【0018】
デバイス領域6の表層部においてドレイン領域23とソース領域22との間には、MOSFETのチャネル領域24が形成されている。チャネル領域24は、ソース領域22とドレイン領域23との間において、第2方向Yに沿う電流経路を形成する。
ソース領域22は、ウェル領域21の底部に対して第1主面3側に位置する底部を有している。ドレイン領域23は、ウェル領域21の底部に対して第1主面3側に位置する底部を有している。
【0019】
ソース領域22の底部は、段差なく平坦である。ソース領域22は、チャネル領域24に接しており、ソース領域22とチャネル領域24との間には、ソース領域22よりもn型不純物濃度が低いLDD(Lightly Doped Drain)領域が設けられていない。ドレイン領域23の底部は、段差なく平坦である。ドレイン領域23は、チャネル領域24に接しており、ドレイン領域23とチャネル領域24との間には、ドレイン領域23よりもn型不純物濃度が低いLDD(Lightly Doped Drain)領域が設けられていない。
【0020】
また、ソース領域22は、第2方向Yにおいてドレイン領域23に対向するソース側第1端部221を有している。ドレイン領域23は、第2方向Yにおいてソース領域22に対向するドレイン側第1端部231を有している。
半導体装置1は、チャネル領域24に対向するように、デバイス領域6において第1主面3上に形成されたプレーナゲート構造30を含む。プレーナゲート構造30は、第1主面3に沿って第1方向Xに延びている。第1方向Xにおけるプレーナゲート構造30の端部は、トレンチ絶縁構造10上に達している。この実施形態とは異なり、第1方向Xにおけるプレーナゲート構造30の端部が、トレンチ絶縁構造10の外側にまで延びていてもよい。プレーナゲート構造30は、平面視において、ソース領域22およびドレイン領域23の間に位置している。
【0021】
プレーナゲート構造30は、デバイス領域6において半導体チップ2上に形成されたゲート絶縁膜31と、ゲート絶縁膜31上に形成されたゲート電極32とを含む。
ゲート絶縁膜31は、半導体チップ2の酸化物からなる。ゲート絶縁膜31は、具体的には、第1主面3の表層部が酸化されることによって膜状に形成された酸化物からなる。つまり、ゲート絶縁膜31は、第1主面3に沿って形成されたシリコン酸化膜(SiO
2膜)からなる。ゲート絶縁膜31は、さらに具体的には、半導体チップ2の第1主面3の表層部が熱酸化されることによって膜状に形成された半導体チップ2の熱酸化物からなる。つまり、ゲート絶縁膜31は、第1主面3に沿って形成されたシリコン熱酸化膜(熱酸化膜)からなる。ゲート絶縁膜31は、7nm以上13nm以下の厚さT1を有していてもよい(
図4を参照)。ゲート絶縁膜31の厚さT1は、たとえば、10nmであってもよい。
【0022】
ゲート絶縁膜31は、第1主面3に沿って第1方向Xに延びている。ゲート絶縁膜31は、第1主面3に接する第1面31aと、第1面31aに対して半導体チップ2とは反対側の第2面31bとを有する。第1面31aおよび第2面31bが互いに平行に延びており、ゲート絶縁膜31がほぼ一定の厚みを有していてもよい。第1方向Xにおけるゲート絶縁膜31の両端部は、絶縁埋設物12と接続されている。
【0023】
第1主面3において、ゲート絶縁膜31の両側方には、第1主面3を第2主面4側に窪ませる窪み33が形成されている。窪み33は、デバイス領域6において、ゲート絶縁膜31と絶縁埋設物12の突出部18との間の全域に形成されていてもよい。
ゲート電極32は、導電性ポリシリコンからなる。ゲート電極32は、ゲート絶縁膜31の上に形成されている。第2方向Yにおけるゲート電極32の幅(ゲート長)は、0.13μm以上0.3μm以下であってもよい。
【0024】
図3を参照して、ゲート電極32は、トレンチ11の開口端16を横切り、絶縁埋設物12上に達している。詳しくは、ゲート電極32は、デバイス領域6においてゲート絶縁膜31を挟んで第1主面3と対向する本体部35と、デバイス領域6よりも外側において絶縁埋設物12に対向する引き出し部36とを含む。
本体部35は、ゲート絶縁膜31の上においてゲート絶縁膜31に沿って延びる膜状に形成されている。引き出し部36は、本体部35から絶縁埋設物12の突出部18の上に引き出されている。
【0025】
図1を参照して、半導体装置1は、データの書き込み、および読み出しを行うことができるメモリ構造40を含む。メモリ構造40は、ゲート電極32の側壁を被覆するようにプレーナゲート構造30の側方に隣接配置されている。そのため、メモリ構造40は、サイドウォール構造とも呼ばれる。
メモリ構造40は、具体的には、デバイス領域6においてゲート電極32の本体部35の側壁を被覆し、デバイス領域6よりも外側において引き出し部36の側壁を被覆している。
【0026】
メモリ構造40は、平面視において、プレーナゲート構造30を取り囲む四角環状である。メモリ構造40は、デバイス領域6に対向する第1部分40Aおよび第2部分40Bと、第1部分40Aおよび第2部分40Bを連結する一対の連結部分40Cとを含む。第1部分40Aは、ソース領域22とプレーナゲート構造30との間に位置する部分である。第2部分40Bは、ドレイン領域23とプレーナゲート構造30との間に位置する部分である。各連結部分40Cは、メモリ構造40のうち、絶縁埋設物12上に位置する部分である。
【0027】
図2を参照して、メモリ構造40は、プレーナゲート構造30の側壁に沿う内側面40aと、プレーナゲート構造30側とは反対側に向けて突出するように湾曲する外側面40bとを有する。メモリ構造40は、チャネル領域24上に形成された絶縁膜41と、絶縁膜41を挟んでチャネル領域24に対向する電荷蓄積膜42と、電荷蓄積膜42上に形成れた絶縁スペーサ43とを含む。
【0028】
絶縁膜41は、半導体チップ2およびゲート電極32の酸化物からなる。絶縁膜41は、具体的には、半導体チップ2の表層部およびゲート電極32の側壁が酸化されることによって膜状に形成された酸化物からなる。絶縁膜41は、第1主面3およびゲート電極32の側面に沿って形成されたシリコン酸化膜(SiO2膜)からなる。絶縁膜41は、さらに具体的には、半導体チップ2の表層部およびゲート電極32の側壁が熱酸化されることによって膜状に形成された熱酸化物からなる。つまり、絶縁膜41は、第1主面3およびゲート電極32の側面に沿って形成されたシリコン熱酸化膜からなる。
【0029】
絶縁膜41は、半導体チップ2およびゲート電極32の酸化物からなるため、絶縁埋設物12上には形成されていない(
図3を参照)。
図4を参照して、絶縁膜41は、5nm以上10nm以下の厚さT2を有していてもよい。絶縁膜41の厚さT2は、たとえば、8nmであってもよい。絶縁膜41は、ゲート絶縁膜31よりも薄いことが好ましい(T2<T1)。
【0030】
絶縁膜41は、半導体チップ2の第1主面3に接する第1面41aと、第1面41aに対して半導体チップ2とは反対側の第2面41bと、プレーナゲート構造30の側壁(ゲート電極32の側壁)に接する第3面41cと、第3面41cに対してプレーナゲート構造30とは反対側の第4面41dとを有する。
絶縁膜41は、デバイス領域6において半導体チップ2の第1主面3に沿って延びる第1絶縁部46と、第1絶縁部46に連結されプレーナゲート構造30の側壁に沿って延びる第2絶縁部47とを含む。絶縁膜41は、第1絶縁部46と第2絶縁部47とが直交して連結されることによって、断面視L字状に形成されていてもよい。
【0031】
絶縁膜41は、絶縁埋設物12上には形成されないため、メモリ構造40の連結部分40Cには、第1絶縁部46が設けられていない(
図3を参照)。
絶縁膜41は、窪み33内において第1主面3上に形成されており、ゲート絶縁膜31に隣接している。第1絶縁部46は、ゲート絶縁膜31よりも、第2主面4側に位置している。絶縁膜41の第1面41aは、ゲート絶縁膜31の第1面31aよりも第2主面4(
図2参照)側に位置していてもよい。絶縁膜41の第2面41bは、ゲート絶縁膜31の第1面31aと面一に形成されていてもよい。
【0032】
電荷蓄積膜42は、絶縁膜41とは異なる絶縁体からなり、たとえば、窒化シリコン膜(SiN膜)からなる。電荷蓄積膜42は、絶縁膜41に沿って形成されている。電荷蓄積膜42は、10nm以上50nm以下の厚さT3を有していてもよい。電荷蓄積膜42の厚さT3は、たとえば、30nmであってもよい。
電荷蓄積膜42は、平面視において、プレーナゲート構造30を取り囲む四角環状である(
図1を参照)。すなわち、電荷蓄積膜42は、第1方向Xに延びており、第1方向Xにおける電荷蓄積膜42の両端部がデバイス領域6よりも外側に位置する(
図3を参照)。この実施形態では、第1方向Xにおける電荷蓄積膜42の両端部は、絶縁埋設物12上に位置している。
【0033】
電荷蓄積膜42は、絶縁膜41の第1絶縁部46上に形成された第1蓄積部48と、第1蓄積部48に連結され第2絶縁部47の側方に形成された第2蓄積部49とを含む。電荷蓄積膜42は、第1蓄積部48と第2蓄積部49とが直交して連結されることによって、断面視L字状に形成されていてもよい。
第1蓄積部48は、デバイス領域6よりも外側において、絶縁埋設物12に対向している。第1蓄積部48は、デバイス領域6において、絶縁膜41の第1絶縁部46を挟んで半導体チップ2に対向している。第2蓄積部49は、絶縁膜41の第2絶縁部47を挟んでプレーナゲート構造30に対向している。
【0034】
ソース領域22およびドレイン領域23は、メモリ構造40に対して自己整合的に形成されている。そのため、ソース領域22とチャネル領域24との境界は、平面視において、メモリ構造40の外側面40bと第1主面3との境界とほぼ一致している。同様に、ドレイン領域23とチャネル領域24との境界も、平面視において、メモリ構造40の外側面40bと第1主面3との境界とほぼ一致している。
【0035】
厳密には、ソース領域22とチャネル領域24との境界は、メモリ構造40の外側面40bと第1主面3との境界よりも僅かにプレーナゲート構造30側に位置している。同様に、ドレイン領域23とチャネル領域24との境界も、メモリ構造40の外側面40bと第1主面3との境界よりも僅かにプレーナゲート構造30側に位置している。
そのため、電荷蓄積膜42の第1蓄積部48は、絶縁膜41を挟んでチャネル領域24と対向する第1対向部48Aと、ソース領域22およびドレイン領域23に対向する第2対向部48Bとを含む。第1対向部48Aは、平面視において、第2対向部48Bよりも広い幅を有している(
図1を参照)。
【0036】
電荷蓄積膜42は、第1蓄積部48および第2蓄積部49によって形成された凹部50を有する。凹部50は、第1蓄積部48に対して第1絶縁部46とは反対側で、かつ、第2蓄積部49に対して第2絶縁部47とは反対側に設けられている。
絶縁スペーサ43は、凹部50内で電荷蓄積膜42に隣接配置されている。絶縁スペーサ43は、たとえば、シリコン酸化物からなる。絶縁スペーサ43は、電荷蓄積膜42を挟んで絶縁膜41に対向している。
【0037】
この実施形態では、チャネル領域24は、プレーナゲート構造30に対向する第1不純物濃度を有する第1部分25と、メモリ構造40に対向し、第1不純物濃度よりも高い第2不純物濃度を有する第2部分26とを含む。
チャネル領域24の第2部分26は、ソース領域22およびドレイン領域23の少なくとも一方に接している。より具体的には、チャネル領域24の第2部分26は、ソース側第1端部221およびドレイン側第1端部231の両方に一体的に接続されている。ソース側第1端部221に接続された第2部分26はドレイン側第1端部231へ向かって延び、ドレイン側第1端部231に接続された第2部分26はソース側第1端部221へ向かって延びている。これにより、第2方向Yにおいて、チャネル領域24の一対の第2部分26が、プレーナゲート構造30の下方においてチャネル領域24の第1部分25を挟んで対向している。
【0038】
また、チャネル領域24の第2部分26は、第2方向Yにおいて、プレーナゲート構造30とメモリ構造40との境界を横切っている。これにより、チャネル領域24の第2部分26は、プレーナゲート構造30の一部に対向する端部27を有している。
チャネル領域24の各第2部分26は、半導体チップ2の第1主面3を基準にソース領域22およびドレイン領域23よりも浅く形成されている。これにより、チャネル領域24の第2部分26の底部と、ソース領域22およびドレイン領域23の底部との間には、段差28が形成されている。
【0039】
また、
図1に示すように、チャネル領域24の第2部分26は、第1方向Xにおいて、ソース領域22およびドレイン領域23それぞれの一端部から他端部に至るように平面視直線状に形成されている。したがって、一対の第2部分26に挟まれた第1部分25も同様に、平面視直線状に形成されている。この実施形態では、第1部分25は、平面視において、第2部分26よりも広い幅を有している。
【0040】
チャネル領域24の第2部分26のp型不純物濃度は、たとえば、ウェル領域21のp型不純物濃度よりも高く、ソース領域22およびドレイン領域23のn型不純物濃度よりも低い。第2部分26のp型不純物濃度は、たとえば、3×1017cm-3以上8×1017cm-3以下である。なお、第2部分26は、p型不純物濃度が比較的高いことから、p型の不純物領域26と称してもよいし、p+型の不純物領域26と称してもよい。
【0041】
一方、チャネル領域24の第1部分25のp型不純物濃度は、たとえば、ウェル領域21と同じであってもよい。第1部分25のp型不純物濃度は、たとえば、4×10
16cm
-3以上9×10
16cm
-3以下である。なお、第1部分25は、p型不純物濃度が比較的低いことから、p
-型の不純物領域25と称してもよい。
半導体装置1は、プレーナゲート構造30およびメモリ構造40を被覆する被覆絶縁膜51をさらに含む。第2方向Yにおける被覆絶縁膜51の両端部は、メモリ構造40の側方からプレーナゲート構造30とは反対側に位置する。被覆絶縁膜51は、第1方向Xに延び、第1方向Xにおける被覆絶縁膜51の両端部は、絶縁埋設物12上にまで達している(
図3を参照)。そのため、被覆絶縁膜51は、デバイス領域6においてソース領域22およびドレイン領域23を被覆し、デバイス領域6よりも外側で絶縁埋設物12を被覆している。
【0042】
詳しくは、被覆絶縁膜51は、ゲート電極32を被覆する第1被覆部52と、メモリ構造40の外側面40bを被覆する第2被覆部53と、デバイス領域6においてソース領域22およびドレイン領域23を被覆する第3被覆部54と、デバイス領域6よりも外側において絶縁埋設物12の突出部18を被覆する第4被覆部55(
図3を参照)とを一体的に有する。
【0043】
第3被覆部54は、メモリ構造40の第1部分40Aの側方でソース領域22を被覆し、第2部分40Bの側方でドレイン領域23を被覆する。第4被覆部55は、メモリ構造40の連結部分40Cの側方で、絶縁埋設物12を被覆する(
図3を参照)。第1被覆部52においてゲート電極32を挟んでトレンチ絶縁構造10と対向する領域には、貫通孔52Aが形成されている(
図3を参照)。
【0044】
図2および
図3を参照して、半導体装置1は、ゲートシリサイド膜60、ソースシリサイド膜61およびドレインシリサイド膜62を含む。
図3を参照して、ゲートシリサイド膜60は、ゲート電極32の表面において貫通孔52Aの底部を構成する部分に形成されている。ゲートシリサイド膜60は、当該ゲート電極32と一体的に形成されたポリサイド膜からなる。
【0045】
図2を参照して、ソースシリサイド膜61およびドレインシリサイド膜62は、半導体チップ2と一体的に形成されたシリサイド膜からなる。ソースシリサイド膜61は、ソース領域22の表層部において、被覆絶縁膜51に対してメモリ構造40側とは反対側に形成されている。ドレインシリサイド膜62は、ドレイン領域23の表層部において、被覆絶縁膜51に対してメモリ構造40側とは反対側に形成されている。
【0046】
ゲートシリサイド膜60、ソースシリサイド膜61およびドレインシリサイド膜62は、TiSi、TiSi2、NiSi、CoSi、CoSi2、MoSi2およびWSi2のうちの少なくとも1つをそれぞれ含んでいてもよい。
半導体装置1は、第1主面3を被覆する層間絶縁膜65を含む。層間絶縁膜65は、酸化膜(SiO2膜)および窒化膜(SiN膜)のうちの少なくとも1つを含む。層間絶縁膜65は、酸化膜または窒化膜からなる単層構造を有していてもよい。層間絶縁膜65は、1つまたは複数の酸化膜、および、1つまたは複数の窒化膜が任意の順序で積層された積層構造を有していてもよい。層間絶縁膜65は、第1主面3の上においてトレンチ絶縁構造10、およびデバイス領域6を被覆している。
【0047】
半導体装置1は、層間絶縁膜65を貫通するゲートコンタクト電極66、ソースコンタクト電極67およびドレインコンタクト電極68を含む。
ゲートコンタクト電極66は、ゲートシリサイド膜60を介してゲート電極32に電気的に接続されている。ゲートコンタクト電極66は、具体的には、ゲート電極32に電気的に接続され、当該ゲート電極32を挟んで絶縁埋設物12に対向している。
【0048】
この実施形態とは異なり、ゲート電極32が絶縁埋設物12よりも外側まで延びている場合、ゲートコンタクト電極66が絶縁埋設物12よりも外側で半導体チップ2に対向していてもよい。
ソースコンタクト電極67は、ソースシリサイド膜61を介してソース領域22に電気的に接続されている。ドレインコンタクト電極68は、ドレインシリサイド膜62を介してドレイン領域23に電気的に接続されている。
【0049】
ゲートコンタクト電極66、ソースコンタクト電極67およびドレインコンタクト電極68は、層間絶縁膜65に形成されたコンタクトホール69に埋設されている。各コンタクト電極(ゲートコンタクト電極66、ソースコンタクト電極67およびドレインコンタクト電極68)は、銅およびタングステンの少なくともいずれかによって形成されている。
【0050】
各コンタクト電極とコンタクトホール69の内壁との間には、バリア電極膜が設けられていてもよい。バリア電極膜は、Ti膜またはTiN膜からなる単層構造を有していてもよい。バリア電極膜は、任意の順序で積層されたTi膜およびTiN膜を含む積層構造を有していてもよい。
半導体装置1は、層間絶縁膜65の上に形成されたゲート配線70、ソース配線71およびドレイン配線72を含む。ゲート配線70は、ゲートコンタクト電極66に電気的に接続されている。ドレイン配線72は、ドレインコンタクト電極68に電気的に接続されている。ソース配線71は、ソースコンタクト電極67に電気的に接続されている。
【0051】
各配線(ゲート配線70、ソース配線71およびドレイン配線72)は、Al膜、AlSiCu合金膜、AlSi合金膜およびAlCu合金膜のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
各配線と層間絶縁膜65との間には、バリア配線膜が設けられていてもよい。バリア配線膜は、Ti膜またはTiN膜からなる単層構造を有していてもよい。バリア配線膜は、任意の順序で積層されたTi膜およびTiN膜を含む積層構造を有していてもよい。バリア配線膜は、各配線上にも設けられていてもよい。
【0052】
次に、
図5A~
図6を用いて、メモリ構造40の各動作(書き込み動作および読み出し動作)について具体的に説明する。いずれの動作においても、ウェル領域21に接続されるバックゲート領域20には、基準電位が印加されている。
図5Aは、メモリ構造40の書き込み動作前の初期状態を説明するための模式図である。
図5Bは、メモリ構造40の書き込み動作を説明するための模式図である。
【0053】
図5Aに示すように、ゲート電極32、ソース領域22およびドレイン領域23に電位が印加される前のゲート閾値電圧Vthを第1閾値電圧Vth1(初期閾値電圧)とする。ゲート電極32、ソース領域22およびドレイン領域23に電位が印加される前の状態とは、ゲート電位Vg、ソース電位Vs、およびドレイン電位Vdがいずれも0Vである状態を意味する(Vg=Vs=Vd=0V)。ゲート電位Vgは、ゲート電極32に印加される電位である。ソース電位Vsは、ソース領域22に印加される電位である。ドレイン電位Vdは、ドレイン領域23に印加される電位である。
【0054】
図5Bに示すように、書き込み動作は、ソース領域22の近傍において衝突電離によって発生した電子(ホットエレクトロンHE)を電荷蓄積膜42に注入することによって達成される。
詳しくは、書き込み動作の際、ゲート電極32およびソース領域22に正電位(たとえば、5V)が印加され(Vg=Vs=5V)、ドレイン領域23に基準電位が印加される(Vd=0V)。これにより、ソース領域22からドレイン領域23に向けてドレイン・ソース間電流Idsが流れ、ソース領域22の近傍に電界が集中する。そのため、ソース領域22の近傍において衝突電離によってホットエレクトロンHEが発生する。ホットエレクトロンHEは、メモリ構造40の電荷蓄積膜42(
図4を参照)に注入される。
【0055】
書き込み動作におけるゲート電位Vgおよびソース電位Vsは、5Vに限られず、たとえば、5V以上7V以下の範囲から選択された任意の電位であってもよい。
ソース領域22とゲート電極32との電位差をゲート・ソース間電圧Vgsという。たとえば、ゲート電位Vgが5Vで、ソース電位Vsが5Vの場合、ゲート・ソース間電圧Vgsは、0Vである(Vgs=0V)。
【0056】
書き込み動作によって電荷蓄積膜42に注入された電子の負電荷により、ゲート閾値電圧Vthが上昇する。具体的には、ゲート閾値電圧Vthは、第1閾値電圧Vth1よりも高い第2閾値電圧Vth2(
図5Cを参照)となる(Vth=Vth2,Vth2>Vth1)。
次に、メモリ構造40の読み出し動作について説明する。
図5Cは、書き込み動作後の読み出し動作を説明するための模式図である。
図6は、書き込み動作前および書き込み動作後のゲート電位Vgとドレイン・ソース間電流Idsとの関係を示すグラフである。
【0057】
読み出し動作時には、書き込み動作とは逆方向にドレイン・ソース間電流Idsが流れる。ドレイン・ソース間電流Idsの大きさによって、メモリ構造40にデータが書き込まれているか否かが判別される。具体的には、書き込み動作後において、読み出し動作では、ゲート電極32に正電位(たとえば、1.5V)が印加され、ドレイン領域23に正電位(たとえば、0.5V)が印加され、ソース領域22に基準電位が印加される(Vs=0V)。
【0058】
ゲート電位Vgが1.5Vであり、ドレイン電位Vdが0.5Vである場合、ドレイン領域23とゲート電極32との電位差(ドレイン・ゲート間電圧Vdg)は、1.0Vである(Vg=1.5V,Vd=0.5V,Vdg=1.0V)。
書き込み動作後のゲート閾値電圧Vth(第2閾値電圧Vth2)は、書き込み動作前のゲート閾値電圧(第1閾値電圧Vth1)よりも大きい。そのため、
図6に示すように、読み出し時にゲート電位Vgが所定の読み出し電位Vrのとき(Vg=Vr)、書き込み動作後の読み出し動作におけるドレイン・ソース間電流Ids2は、書き込み動作前の読み出し動作におけるドレイン・ソース間電流Ids1よりも小さい。この電流差ΔI(ΔI=Ids1-Ids2)によって、メモリ構造40にデータが書き込まれた状態であるか否かについての判定を行うことができる。
【0059】
第1閾値電圧Vth1は、たとえば、0.7V以上2.0V以下であり、第2閾値電圧Vth2は、第1閾値電圧Vth1に電位がプラスされた電圧である。たとえば、第1閾値電圧Vth1が1.0の場合、第2閾値電圧Vth2は、それ以上の電圧(1.2V以上5.0V以下)となる。読み出し電位Vrは、たとえば、1.5V以上5.0V以下である。
【0060】
この実施形態では、ソース領域22の底部およびドレイン領域23の底部は、それぞれ、段差なく平坦であり、ソース領域22およびドレイン領域23にLDD領域が設けられていない。そのため、電荷蓄積膜42が、チャネル領域24に対向する。そのため、ホットキャリアを発生しやすい。そのため、書き込み動作時に、ホットエレクトロンHEを電荷蓄積膜42に注入させることができる。
【0061】
さらに、チャネル領域24のメモリ構造40に対向する部分に、第1部分25に対して相対的に高濃度な第2部分26が形成されている。メモリ構造40の直下でのインパクトイオン化現象を促進させることができるので、メモリ構造40の直下に発生するホットキャリアを増加させることができる。これにより、書き込み動作時に、電荷蓄積膜42に注入されるホットエレクトロンを増加させることができる。その結果、書き込み前後での閾値電圧や電流能力の変化量(たとえば、ドレイン飽和電流(ΔIdsat)を大きくすることができる。
【0062】
たとえば、チャネル領域24の全体が第1部分25のp型不純物濃度である構造と、この実施形態の構造との間で、ホットエレクトロンの注入量がどのように変化するかどうかを、シミュレーションを用いて検証した。シミュレーションでは、インパクトイオン強度の変化量を検証することにより、ホットエレクトロンの注入量の変化量を推測した。つまり、インパクトイオン強度が増加すればするほど、衝突電離によって発生する電子が増加することから、ホットエレクトロンの注入量が増加すると考えられる。シミュレーションの結果、この実施形態の構造では、チャネル領域24の全体が第1部分25のp型不純物濃度である構造に比べて、インパクトイオン強度が3倍程度増加していることがわかった。
【0063】
また、絶縁膜41をゲート絶縁膜31よりも薄くすることによって、ゲート・ソース間電圧Vgsを効率良く電荷蓄積膜42に分圧させることができる。そのため、電荷蓄積膜42へホットホールHHを引き込みやすくすることができる。
また、この実施形態では、被覆絶縁膜51によってメモリ構造40が覆われている。そのため、メモリ構造40のシリサイド化を防ぐことができる。
【0064】
また、この実施形態では、被覆絶縁膜51が、メモリ構造40の側方においてソース領域22およびドレイン領域23を部分的に被覆している。そして、ソースシリサイド膜61およびドレインシリサイド膜62は、それぞれ、ソース領域22およびドレイン領域23の表層部において、被覆絶縁膜51に対してメモリ構造40側とは反対側に形成されている。そのため、被覆絶縁膜51がソース領域22およびドレイン領域23を被覆していない構成と比較して、ソースシリサイド膜61およびドレインシリサイド膜62を、電荷蓄積膜42から遠ざけることができる。これにより、電荷蓄積膜42から電子が流出することを抑制できる。
【0065】
また、この実施形態では、電荷蓄積膜42は、第1蓄積部48に対してプレーナゲート構造30とは反対側で、かつ、第2蓄積部49に対して半導体チップ2とは反対側に凹部50を有し、絶縁スペーサ43は、凹部50に配置されている。そのため、電荷蓄積膜42は、絶縁膜41および絶縁スペーサ43、すなわち絶縁体によって囲まれている。そのため、ゲート・ソース間電圧Vgsを電荷蓄積膜42に効率良く分圧させることができる。
【0066】
図7A~
図7Xは、
図1に示す半導体装置1の製造方法の一例を説明するための断面図である。
図7A~
図7Xは、
図2に対応した領域の断面図である。
図7A~
図7Xでは、MOSFETが形成されるデバイス領域6の製造方法のみを示している。
まず、
図7Aを参照して、半導体ウエハ75が用意される。半導体ウエハ75は、半導体チップ2のベースとなる。半導体ウエハ75は、一方側の第1ウエハ主面76、および他方側の第2ウエハ主面77を有する。第1ウエハ主面76および第2ウエハ主面77は、半導体チップ2の第1主面3および第2主面4にそれぞれ対応している(
図2を参照)。
【0067】
次に、所定パターンを有するレジストマスク80が、半導体ウエハ75上に形成される。レジストマスク80は、半導体ウエハ75においてトレンチ11を形成すべき領域を露出させ、それ以外の領域を被覆している。
次に、
図7Bに示すように、レジストマスク80を介するエッチング法によって、第1ウエハ主面76の不要な部分が、除去される。エッチング法は、ドライエッチング法(たとえばRIE法)および/またはウエットエッチング法であってもよい。エッチング法は、ドライエッチング法(たとえばRIE法)であることが好ましい。
【0068】
これにより、デバイス領域6を区画するトレンチ11が、第1ウエハ主面76に形成される。レジストマスク80は、その後、除去される。トレンチ11の具体的な説明については前述の通りであるので省略する。
次に、
図7Cを参照して、絶縁埋設物12のベースとなるベース絶縁膜81が、第1ウエハ主面76の上に形成される。ベース絶縁膜81は、この形態では、酸化シリコンからなる。ベース絶縁膜81は、CVD法によって形成されてもよい。ベース絶縁膜81は、トレンチ11を埋める。
【0069】
次に、
図7Dを参照して、ベース絶縁膜81の不要な部分が、エッチング法によって除去される。ベース絶縁膜81は、第1ウエハ主面76が露出するまで除去される。エッチング法は、ドライエッチング法(たとえばRIE法)および/またはウエットエッチング法であってもよい。これにより、トレンチ11内に位置する絶縁埋設物12が形成される。
【0070】
次に、
図7Eを参照して、デバイス領域6において第1ウエハ主面76の表層部に、ゲート絶縁膜31(
図2を参照)のベースとなる第1ベース膜82が形成される。第1ベース膜82は、半導体ウエハ75の酸化物からなる。第1ベース膜82は、酸化処理法によって第1ウエハ主面76の表層部を膜状に酸化させることによって形成される。第1ベース膜82は、具体的には、熱酸化処理法によって形成される。
【0071】
酸化処理法(熱酸化処理法)によれば、第1ウエハ主面76に沿うシリコン酸化膜(シリコン熱酸化膜)が形成される。第1ベース膜82の厚さは、ゲート絶縁膜31の厚さT1(
図4を参照)と同じ、すなわち、7nm以上13nm以下であってもよい。第1ベース膜82は、絶縁埋設物12と一体を成す。
次に、
図7Fを参照して、p型のウェル領域21が、デバイス領域6において第1ウエハ主面76の表層部に形成される。ウェル領域21は、ゲート絶縁膜31を介するイオン注入法によってp型不純物を第1ウエハ主面76の表層部に導入することにより、形成される。
【0072】
第1ウエハ主面76へのp型不純物の導入は、任意のタイミングで行われてもよい。たとえば、第1ウエハ主面76へのp型不純物の導入は、ゲート絶縁膜31が第1ウエハ主面76に形成される前に行われてもよい。その場合、第1ウエハ主面76に犠牲酸化膜を形成し、犠牲酸化膜を介して、p型不純物が第1ウエハ主面76に導入されてもよい。そして、犠牲酸化膜が除去された後に、ゲート絶縁膜31が形成される。
【0073】
次に、
図7Gを参照して、ゲート電極32が、第1ベース膜82および絶縁埋設物12を被覆するように第1ウエハ主面76の上に形成される。ゲート電極32は、この形態では、導電性ポリシリコンからなる。ゲート電極32は、CVD法によって形成されてもよい。
次に、
図7Hを参照して、所定パターンを有するレジストマスク87が、ゲート電極32の上に形成される。レジストマスク87は、ゲート電極32の不要な部分を露出させ、それ以外の領域を被覆している。次に、レジストマスク87を介するエッチング法によって、ゲート電極32および第1ベース膜82の不要な部分が除去される。エッチング法は、ドライエッチング法(たとえばRIE法)および/またはウエットエッチング法であってもよい。ウエットエッチングは、たとえば、HF(フッ酸)の供給によって行われてもよい。これにより、ゲート電極32およびゲート絶縁膜31を含むプレーナゲート構造30が形成される。
【0074】
第1ベース膜82の部分的な除去によって、ゲート絶縁膜31の側方において、第1ウエハ主面76が第2ウエハ主面77側に後退する。第1ウエハ主面76の後退によって、プレーナゲート構造30の側方に、第1ウエハ主面76を第2ウエハ主面77側に窪ませる第1窪み78が形成される。このように、第1ベース膜82の部分的な除去によって、ゲート絶縁膜31が形成されるとともに第1窪み78が形成される。第1ウエハ主面76の後退によって、絶縁埋設物12の一部がトレンチ11から突出する。その後、レジストマスク87は、除去される。
【0075】
次に、
図7Iを参照して、絶縁膜41(
図2を参照)のベースとなる第2ベース膜83が、第1窪み78内における第1ウエハ主面76の表層部と、ゲート電極32の表層部とに形成される。第2ベース膜83は、半導体ウエハ75およびゲート電極32の酸化物からなる。第2ベース膜83は、酸化処理法によって、デバイス領域6における半導体ウエハ75の表層部と、ゲート電極32の表層部とを膜状に酸化させることによって形成される。第2ベース膜83は、具体的には、熱酸化処理法によって形成される。
【0076】
酸化処理法(熱酸化処理法)によれば、第1ウエハ主面76およびゲート電極32に沿うシリコン酸化膜(シリコン熱酸化膜)が形成される。第2ベース膜83の厚さは、絶縁膜41の厚さT2(
図4を参照)と同じ、すなわち、5nm以上10nm以下あってもよい。
次に、
図7Jを参照して、チャネル領域24の第2部分26が、ウェル領域21の表層部に形成される。詳しくは、チャネル領域24の第2部分26は、ゲート電極32をマスクとするイオン注入法によってp型不純物をウェル領域21の表層部に導入することによって、ゲート電極32の第2方向Yの両側においてウェル領域21の表層部に形成される。つまり、チャネル領域24の第2部分26は、ゲート電極32に対して自己整合的に形成される。この一対の第2部分26の形成によって、一対の第2部分26で挟まれたウェル領域21の部分がチャネル領域24の第1部分25として形成される。
【0077】
次に、
図7Kを参照して、電荷蓄積膜42のベースとなる第3ベース膜84が、第2ベース膜83および絶縁埋設物12を被覆するように第1ウエハ主面76の上に形成される。第3ベース膜84は、この形態では、窒化シリコンからなる。第3ベース膜84は、CVD法によって形成されてもよい。第3ベース膜84の厚さは、電荷蓄積膜42の厚さT3(
図4を参照)と同じ、すなわち、10nm以上50nm以下であってもよい。
【0078】
次に、
図7Lを参照して、絶縁スペーサ43(
図2を参照)のベースとなる第4ベース膜85が、第3ベース膜84を被覆するように第1ウエハ主面76の上に形成される。第4ベース膜85は、この形態では、酸化シリコンからなる。第4ベース膜85は、CVD法によって形成されてもよい。
次に、
図7Mを参照して、エッチングによって、プレーナゲート構造30の側壁を被覆する部分を残存させるように、第2ベース膜83、第3ベース膜84および第4ベース膜85が部分的に除去される。これにより、絶縁膜41、電荷蓄積膜42、および絶縁スペーサ43からなるメモリ構造40が形成される。つまり、メモリ構造40が、プレーナゲート構造30に対して自己整合的に形成される。エッチング法は、ドライエッチング法(たとえばRIE法)であってもよい。
【0079】
第2ベース膜83の部分的な除去によって、メモリ構造40の側方において、第1ウエハ主面76が第2ウエハ主面77側にさらに後退する。第1ウエハ主面76が第2ウエハ主面77側に後退することによって、プレーナゲート構造30の側方の第1窪み78が深くなって第2窪み79が形成される。絶縁膜41は、第2窪み79内で第1ウエハ主面76上に配置されている。第2窪み79は、窪み33(
図4を参照)に対応する。第1ウエハ主面76の後退によって、トレンチ11からの絶縁埋設物12の突出量が増大する。
【0080】
次に、
図7Nを参照して、n型のドレイン領域23およびn型のソース領域22が、ウェル領域21の表層部に形成される。詳しくは、ソース領域22は、メモリ構造40をマスクとするイオン注入法によってn型不純物をウェル領域21の表層部に導入することによって、メモリ構造40の一方側においてウェル領域21の表層部に形成される。ドレイン領域23は、メモリ構造40をマスクとするイオン注入法によってn型不純物をウェル領域21の表層部に導入することによって、メモリ構造40の他方側においてウェル領域21の表層部に形成される。つまり、ドレイン領域23およびソース領域22は、それぞれ、メモリ構造40に対して自己整合的に形成される。
【0081】
次に、
図7Oを参照して、被覆絶縁膜51が、デバイス領域6および絶縁埋設物12上に形成される。被覆絶縁膜51は、この形態では、酸化シリコンからなる。被覆絶縁膜51は、CVD法によって形成されてもよい。
次に、
図7Pを参照して、所定パターンを有するレジストマスク89が、被覆絶縁膜51の上に形成される。レジストマスク89は、被覆絶縁膜51の不要な部分を露出させ、それ以外の領域を被覆している。次に、レジストマスク89を介するエッチング法によって、被覆絶縁膜51の不要な部分が除去される。
【0082】
具体的には、
図7Qに示すように、被覆絶縁膜51において、プレーナゲート構造30およびメモリ構造40を被覆する部分と、メモリ構造40の側方においてデバイス領域6を被覆する部分とが残存する。被覆絶縁膜51において、デバイス領域6の外側においてゲート電極32を被覆する部分は除去されて、貫通孔52Aが形成される。エッチング法は、ドライエッチング法(たとえばRIE法)および/またはウエットエッチング法であってもよい。その後、レジストマスク89は、除去される。
【0083】
次に、
図7Rを参照して、ゲートシリサイド膜60、ソースシリサイド膜61およびドレインシリサイド膜62が形成される。この工程では、まず、デバイス領域6において第1ウエハ主面76およびゲート電極32を被覆する金属膜88が形成される。金属膜88は、Ti、Ni、Co、MoおよびWのうちの少なくとも1つを含む。金属膜88は、スパッタ法または蒸着法によって形成されてもよい。
【0084】
次に、ゲート電極32および第1ウエハ主面76において金属膜88と接する部分が、シリサイド化される。シリサイド化は、アニール法(たとえばRTA(rapid thermal anneal)法)によって行われてもよい。これにより、TiSi、TiSi2、NiSi、CoSi、CoSi2、MoSi2およびWSi2のうちの少なくとも1つをそれぞれ含むゲートシリサイド膜60、ドレインシリサイド膜62およびソースシリサイド膜61が形成される。金属膜88は、その後、除去される。
【0085】
次に、
図7Sを参照して、層間絶縁膜65が、第1ウエハ主面76の上に形成される。層間絶縁膜65は、酸化膜および窒化膜のうちの少なくとも1つを含む。層間絶縁膜65は、CVD法によって形成されてもよい。層間絶縁膜65は、第1ウエハ主面76の上においてトレンチ絶縁構造10およびプレーナゲート構造30を被覆している。
次に、
図7Tを参照して、所定パターンを有するレジストマスク93が、層間絶縁膜65の上に形成される。レジストマスク93は、層間絶縁膜65において複数のコンタクトホール69を形成すべき領域を露出させ、そられ以外の領域を被覆している。次に、レジストマスク93を介するエッチング法によって、層間絶縁膜65の不要な部分が除去される。エッチング法は、ドライエッチング法(たとえばRIE法)および/またはウエットエッチング法であってもよい。これにより、複数のコンタクトホール69が、それぞれ、ゲート電極32、ソース領域22およびドレイン領域23に対応する位置に、層間絶縁膜65に形成される。ゲート電極32に対応するコンタクトホール69は、被覆絶縁膜51を貫通する貫通孔52Aと連通している。レジストマスク93は、その後、除去される。
【0086】
次に、
図7Uを参照して、ゲートコンタクト電極66、ドレインコンタクト電極68およびソースコンタクト電極67のベースとなるベースコンタクト電極膜90が、複数のコンタクトホール69を埋めて層間絶縁膜65の上に形成される。ベースコンタクト電極膜90は、スパッタ法または蒸着法により、それぞれ形成されてもよい。
次に、
図7Vを参照して、ベースコンタクト電極膜90の不要な部分が、エッチング法によって除去される。ベースコンタクト電極膜90は、層間絶縁膜65が露出するまで除去される。エッチング法は、ドライエッチング法(たとえばRIE法)および/またはウエットエッチング法であってもよい。これにより、ゲートコンタクト電極66、ドレインコンタクト電極68およびソースコンタクト電極67が形成される。
【0087】
次に、
図7Wを参照して、ゲート配線70、ドレイン配線72およびソース配線71のベースとなるベース配線膜91が、層間絶縁膜65の上に形成される。ベース配線膜91は、スパッタ法または蒸着法により、形成されてもよい。
次に、
図7Xを参照して、所定パターンを有するレジストマスク92が、ベース配線膜91の上に形成される。レジストマスク92は、層間絶縁膜65においてゲート配線70、ドレイン配線72およびソース配線71を形成すべき領域を被覆し、そられ以外の領域を露出させている。
【0088】
次に、レジストマスク92を介するエッチング法によって、ベース配線膜91の不要な部分が除去される。エッチング法は、ドライエッチング法(たとえばRIE法)および/またはウエットエッチング法であってもよい。これにより、ゲート配線70、ソース配線71およびドレイン配線72が、層間絶縁膜65の上に形成される。レジストマスク92は、その後、除去される。その後、半導体ウエハ75が切断され、複数の半導体装置1が切り出される。以上を含む工程を経て、半導体装置1が製造される。
【0089】
この製造方法によれば、メモリ構造40が、レジストマスクを用いることなく自己整合的に形成される。そのため、レジストマスクを用いてメモリ構造を形成する方法と比較して、メモリ構造40の形成の効率化を図れる。
なお、
図4では、チャネル領域24の各第2部分26は、半導体チップ2の第1主面3を基準にソース領域22およびドレイン領域23よりも浅く形成されていた。これに対し、
図8に示すように、チャネル領域24の各第2部分26は、半導体チップ2の第1主面3を基準にソース領域22およびドレイン領域23よりも深く形成されていてもよい。
【0090】
この場合、チャネル領域24の各第2部分26は、ソース領域22およびドレイン領域23の底部を覆っていてもよい。これにより、ソース領域22およびドレイン領域23は、ウェル領域21から分離されていてもよい。
図9は、本発明の一実施形態に係る半導体装置100の要部の平面図である。
図10は、
図9のX-X線に沿う断面図である。
図11は、
図9のXI-XI線に沿う断面図である。
図12は、
図10の二点鎖線XIIで囲まれた部分の拡大図である。なお、
図9では、絶縁スペーサ43、被覆絶縁膜51および層間絶縁膜65が省略されている。なお、以下では、前述の実施形態に係る半導体装置1に対して述べた構造に対応する構造については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0091】
半導体装置100では、チャネル領域24の第2部分26が形成されておらず、チャネル領域24の全体が第1部分25のp型不純物濃度で構成されている。つまり、チャネル領域24のp型不純物濃度は、たとえば、ウェル領域21と同じであってもよい。
また、半導体装置100は、電荷蓄積膜42に代えて、電荷蓄積膜101を備えている。電荷蓄積膜101は、第1電荷蓄積膜102と、第1電荷蓄積膜102とは異なる材料で形成された第2電荷蓄積膜103とを含む。この実施形態では、第1電荷蓄積膜102が絶縁膜41とは異なる絶縁材料で形成されており、第2電荷蓄積膜103が導電材料で形成されている。より具体的には、第1電荷蓄積膜102がSiNで形成されており、第2電荷蓄積膜103がポリシリコンで形成されていてもよい。第2電荷蓄積膜103のポリシリコンは、ノンドープトポリシリコンであることが好ましい。第2電荷蓄積膜103は、固定電位に接続されておらず、フローティング状態となっている。
【0092】
第1電荷蓄積膜102は、10nm以上30nm以下の厚さT4を有していてもよい。第1電荷蓄積膜102の厚さT4は、たとえば、20nmであってもよい。第2電荷蓄積膜103は、たとえば、第1電荷蓄積膜102の厚さT4よりも大きい厚さT5を有していてもよい。第2電荷蓄積膜103は、20nm以上40nm以下の厚さT5を有していてもよい。第2電荷蓄積膜103の厚さT5は、たとえば、30nmであってもよい。
【0093】
第1電荷蓄積膜102および第2電荷蓄積膜103は、いずれも平面視において、プレーナゲート構造30を取り囲む四角環状である(
図9を参照)。すなわち、第1電荷蓄積膜102および第2電荷蓄積膜103は、第1方向Xに延びており、第1方向Xにおける第1電荷蓄積膜102および第2電荷蓄積膜103の両端部がデバイス領域6よりも外側に位置する(
図11を参照)。この実施形態では、第1方向Xにおける第1電荷蓄積膜102および第2電荷蓄積膜103の両端部は、絶縁埋設物12上に位置している。
【0094】
第1電荷蓄積膜102は、絶縁膜41の第1絶縁部46上に形成され、第1絶縁部46を挟んで第1主面3に対向する第1蓄積部104と、第1蓄積部104の端部に連結されプレーナゲート構造30の側壁に沿って延びる第2蓄積部105とを含む。第1電荷蓄積膜102は、第1蓄積部104と第2蓄積部105とが直交して連結されることによって、断面視L字状に形成されていてもよい。
【0095】
また、第1電荷蓄積膜102の第1蓄積部104は、絶縁膜41を挟んでチャネル領域24と対向する第1対向部104Aと、ソース領域22およびドレイン領域23に対向する第2対向部104Bとを含む。第1対向部104Aは、平面視において、第2対向部104Bよりも広い幅を有している(
図9を参照)。
第2電荷蓄積膜103は、絶縁膜41の第2絶縁部47上に両端部を有し、第2絶縁部47と第2蓄積部105との間を第1主面3の法線方向Zに沿って延びる断面視直線状に形成されている。つまり、第2電荷蓄積膜103は、絶縁膜41の第2絶縁部47と第1電荷蓄積膜102の第2蓄積部105との間に挟まれている。これにより、第1電荷蓄積膜102(第2蓄積部105)と第2電荷蓄積膜103との間には、第1主面3の法線方向Zに延びる境界106が形成されている。境界106は、第1主面3の法線方向Zに延びる直線上であり、第1主面3側の端部は、絶縁膜41の第1絶縁部46上に位置している。
【0096】
また、別の観点では、第1電荷蓄積膜102は、第1主面3に沿う方向において絶縁膜41に接しており、第1主面3の法線方向Zにおいて、第2電荷蓄積膜103によって絶縁膜41から分離されていてもよい。また、メモリ構造40は、プレーナゲート構造30の側壁から第1主面3に沿う方向に沿って絶縁膜41、導電性の第2電荷蓄積膜103および絶縁性の第1電荷蓄積膜102が順に積層された積層構造を有していてもよい。
【0097】
この構成によれば、チャネル領域24の第2部分26が省略されているが、第1電荷蓄積膜102と第2電荷蓄積膜103との境界106が、チャネル領域24上において半導体チップ2の第1主面3の法線方向Zに延びている。これにより、書き込み動作時に、第1電荷蓄積膜102および第2電荷蓄積膜103の少なくとも一方にホットエレクトロンを注入できることに加え、第1電荷蓄積膜102と第2電荷蓄積膜103との境界106にもホットエレクトロンを注入することができる。その結果、書き込み前後での閾値電圧や電流能力の変化量(たとえば、ドレイン飽和電流(ΔIdsat)を大きくすることができる。
【0098】
また、第2電荷蓄積膜103がノンドープトポリシリコンであれば、ダングリングボンドによって第2電荷蓄積膜103を正電位に帯電させやすくできるので、第2電荷蓄積膜103に対向する部分のチャネル領域24に電子を効率よく誘起することができる。その結果、低い閾値電圧を実現することができる。
図13A~
図13Gは、
図9に示す半導体装置100の製造方法の一例を説明するための断面図である。
図13A~
図13Gは、
図10に対応した領域の断面図である。なお、半導体装置100の製造工程のうち、前述の半導体装置1の製造工程と同じ工程については、図面を省略し、前述の
図7A~
図7Xを流用する。
【0099】
半導体装置100を製造するには、まず、
図7A~
図7Hで示した工程が実施される。
次に、
図13Aを参照して、犠牲絶縁膜94が、第1窪み78内における第1ウエハ主面76の表層部と、ゲート電極32の表層部とに形成される。この工程の詳細は、
図7Iの工程と同様である。
次に、
図13Bを参照して、第2電荷蓄積膜103のベースとなる導電性ベース膜107が、第2ベース膜83を被覆するように形成される。導電性ベース膜107は、この形態では、CVD法によって形成されてもよい。
【0100】
次に、
図13Cを参照して、エッチバックによって、第1ウエハ主面76に沿う方向の導電性ベース膜107の部分および犠牲絶縁膜94が選択的に除去される。これにより、プレーナゲート構造30の側壁に導電性ベース膜107が、第2電荷蓄積膜103として残存する。
次に、
図13Dを参照して、絶縁膜41(
図10を参照)のベースとなる第2ベース膜83が、第1窪み78内における第1ウエハ主面76の表層部と、ゲート電極32の表層部とに形成される。この工程の詳細は、
図7Iの工程と同様である。
【0101】
次に、
図13Eを参照して、第1電荷蓄積膜102のベースとなる絶縁性ベース膜108が、第2ベース膜83、第2電荷蓄積膜103および絶縁埋設物12を被覆するように第1ウエハ主面76の上に形成される。絶縁性ベース膜108は、この形態では、窒化シリコンからなる。絶縁性ベース膜108は、CVD法によって形成されてもよい。
次に、
図13Fを参照して、絶縁スペーサ43(
図10を参照)のベースとなる第4ベース膜85が、絶縁性ベース膜108を被覆するように第1ウエハ主面76の上に形成される。この工程の詳細は、
図7Lの工程と同様である。
【0102】
次に、
図13Gを参照して、エッチングによって、プレーナゲート構造30の側壁を被覆する部分を残存させるように、第2ベース膜83、絶縁性ベース膜108および第4ベース膜85が部分的に除去される。これにより、絶縁膜41、電荷蓄積膜101、および絶縁スペーサ43からなるメモリ構造40が形成される。つまり、メモリ構造40が、プレーナゲート構造30に対して自己整合的に形成される。エッチング法は、ドライエッチング法(たとえばRIE法)であってもよい。
【0103】
その後、
図7N~
図7Xで示した工程が実施されることによって、半導体装置100が製造される。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は他の形態で実施することもできる。
たとえば、前述の各実施形態の開示から把握される上記特徴は、異なる実施形態間でも互いに組み合わせることができる。より具体的には、
図14および
図15に示すように、半導体装置100のチャネル領域24が、半導体装置1と同様に、第1部分25と第2部分26とを含んでいてもよい。
【0104】
これにより、チャネル領域24の第2部分26の形成によって得られる効果と、電荷蓄積膜101を第1電荷蓄積膜102および第2電荷蓄積膜103の積層構造にすることによって得られる効果の両方を享受できるため、電荷蓄積膜101に注入されるホットエレクトロンを一層増加させることができる。
たとえば、半導体装置1の各半導体部分の導電型を反転した構成が採用されてもよい。たとえば、半導体装置1において、p型の部分がn型であり、n型の部分がp型であってもよい。
【0105】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
なお、この明細書および図面の記載から、特許請求の範囲に記載した発明以外にも、以下のような特徴が抽出され得る。
[A1]
第1主面および前記第1主面の反対側の第2主面を有する半導体チップと、
前記半導体チップの前記第1主面に形成された第1導電型のウェル領域と、
前記ウェル領域において前記半導体チップの前記第1主面に形成された第2導電型のソース領域と、
前記ウェル領域において前記半導体チップの前記第1主面に形成され、前記ソース領域から離れている第2導電型のドレイン領域と、
前記ウェル領域において前記ソース領域と前記ドレイン領域との間に形成された前記第1導電型のチャネル領域と、
前記チャネル領域に対向するように前記半導体チップの前記第1主面上に形成されたプレーナゲート構造と、
前記プレーナゲート構造の側方に隣接して形成されたメモリ構造であって、前記チャネル領域上に形成された絶縁膜、および前記絶縁膜を挟んで前記チャネル領域に対向する電荷蓄積膜を含むメモリ構造とを含み、
前記チャネル領域は、前記プレーナゲート構造に対向する第1不純物濃度を有する第1部分と、前記メモリ構造に対向し、前記第1不純物濃度よりも高い第2不純物濃度を有する第2部分とを含む、半導体装置。
[A2]
前記チャネル領域の前記第2部分は、前記ソース領域および前記ドレイン領域の少なくとも一方に接している、A1に記載の半導体装置。
[A3]
前記ソース領域は、前記半導体チップの前記第1主面に沿う方向に前記ドレイン領域に対向するソース側第1端部を有し、
前記ドレイン領域は、前記半導体チップの前記第1主面に沿う方向に前記ソース領域に対向するドレイン側第1端部を有し、
前記チャネル領域の前記第2部分は、前記ソース側第1端部および前記ドレイン側第1端部の少なくとも一方に一体的に接続され、前記ソース側第1端部および前記ドレイン側第1端部の他方へ向かって延びている、A1または2に記載の半導体装置。
[A4]
前記チャネル領域の前記第2部分は、前記ソース側第1端部および前記ドレイン側第1端部の両方に一体的に接続されており、
前記プレーナゲート構造の下方において前記チャネル領域の前記第1部分を挟んで対向している、A3に記載の半導体装置。
[A5]
前記チャネル領域の前記第2部分は、前記半導体チップの前記第1主面を基準に前記ソース領域および前記ドレイン領域の少なくとも一方よりも浅く形成されており、
前記チャネル領域の前記第2部分の底部と、前記ソース領域および前記ドレイン領域の前記少なくとも一方の底部との間に段差が形成されている、A3または4に記載の半導体装置。
[A6]
前記チャネル領域の前記第2部分は、前記半導体チップの前記第1主面を基準に前記ソース領域および前記ドレイン領域の少なくとも一方よりも深く形成されており、前記ソース領域および前記ドレイン領域の前記少なくとも一方の底部を覆っている、A3または4に記載の半導体装置。
[A7]
前記チャネル領域の前記第2部分は、前記プレーナゲート構造の一部に対向している、A1~6のいずれか一項に記載の半導体装置。
[A8]
前記第2不純物濃度は、前記ソース領域および前記ドレイン領域の少なくとも一方の前記第2導電型の不純物濃度よりも低い、A1~7のいずれか一項に記載の半導体装置。
[A9]
前記第1不純物濃度は、4×1016cm-3以上9×1016cm-3以下であり、
前記第2不純物濃度は、3×1017cm-3以上8×1017cm-3以下である、A1~8のいずれか一項に記載の半導体装置。
[A10]
前記メモリ構造は、書き込み動作時に、ホットエレクトロンを前記電荷蓄積膜に注入するように構成されている、A1~9のいずれか一項に記載の半導体装置。
[A11]
前記プレーナゲート構造は、前記半導体チップの前記第1主面上に形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極とを含む、A1~10のいずれか一項に記載の半導体装置。
[A12]
前記絶縁膜は、前記ゲート絶縁膜の厚さよりも小さい厚さを有している、A11に記載の半導体装置。
[A13]
前記ゲート絶縁膜の側方には、前記半導体チップの前記第1主面を窪ませる窪みが形成されており、
前記絶縁膜は、前記ゲート絶縁膜に隣接するように前記窪み内において前記半導体チップの前記第1主面上に形成されている、A11または12に記載の半導体装置。
[A14]
前記メモリ構造は、前記ソース領域および前記ドレイン領域の少なくとも一方と前記プレーナゲート構造との間に位置している、A1~13のいずれか一項に記載の半導体装置。
[A15]
前記電荷蓄積膜は、前記絶縁膜とは異なる絶縁材料で形成されている、A1~14のいずれか一項に記載の半導体装置。
[A16]
前記絶縁膜がSiO2で形成されており、前記電荷蓄積膜がSiNで形成されている、A15に記載の半導体装置。
[A17]
前記電荷蓄積膜は、前記チャネル領域の前記第2部分に対向する第1対向部と、前記ソース領域および前記ドレイン領域の少なくとも一方に対向する第2対向部とを含む、A1~16のいずれか一項に記載の半導体装置。
[A18]
前記第1対向部は、平面視において、前記第2対向部よりも広い幅を有している、A17に記載の半導体装置。
[A19]
前記電荷蓄積膜は、第1電荷蓄積膜と、前記第1電荷蓄積膜とは異なる材料で形成された第2電荷蓄積膜とを含み、
前記第1電荷蓄積膜および前記第2電荷蓄積膜は、前記チャネル領域の前記第2部分上において前記半導体チップの前記第1主面に対して交差する方向に延びる境界を有するように、前記半導体チップの前記第1主面に沿う方向に隣接している、A1~18のいずれか一項に記載の半導体装置。
[A20]
前記絶縁膜は、断面視において、前記半導体チップと前記電荷蓄積膜との間を前記第1主面に沿って延びる直線状の第1絶縁部と、前記第1絶縁部の端部から前記プレーナゲート構造と前記電荷蓄積膜との間を前記第1主面に交差する方向に沿って延びる直線状の第2絶縁部とを含む、A19に記載の半導体装置。
[A21]
前記第1電荷蓄積膜は、前記絶縁膜の前記第1絶縁部上に形成され、前記第1絶縁部を挟んで前記半導体チップの前記第1主面に対向する第1蓄積部と、前記第1蓄積部の端部から前記第1主面に交差する方向に沿って延び、前記絶縁膜の前記第2絶縁部を介して前記プレーナゲート構造に対向する第2蓄積部とを含む、A20に記載の半導体装置。
[A22]
前記第2電荷蓄積膜は、前記第2絶縁部上に端部を有し、前記第2絶縁部と前記第2蓄積部との間を前記第1主面に交差する方向に沿って延びる断面視直線状に形成されている、A21に記載の半導体装置。
[A23]
前記第1電荷蓄積膜の前記第1蓄積部は、前記チャネル領域の前記第2部分に対向する第1対向部と、前記ソース領域および前記ドレイン領域の少なくとも一方に対向する第2対向部とを含む、A21または22に記載の半導体装置。
[A24]
前記第1対向部は、平面視において、前記第2対向部よりも広い幅を有している、A23に記載の半導体装置。
[A25]
前記第1電荷蓄積膜が絶縁材料で形成されており、前記第2電荷蓄積膜が導電材料で形成されている、A19~24のいずれか一項に記載の半導体装置。
[A26]
前記第1電荷蓄積膜がSiNで形成されており、前記第2電荷蓄積膜がポリシリコンで形成されている、A25に記載の半導体装置。
[B1]
第1主面および前記第1主面の反対側の第2主面を有する半導体チップと、
前記半導体チップの前記第1主面に形成された第1導電型のウェル領域と、
前記ウェル領域において前記半導体チップの前記第1主面に形成された第2導電型のソース領域と、
前記ウェル領域において前記半導体チップの前記第1主面に形成され、前記ソース領域から離れている第2導電型のドレイン領域と、
前記ウェル領域において前記ソース領域と前記ドレイン領域との間に形成された前記第1導電型のチャネル領域と、
前記チャネル領域に対向するように前記半導体チップの前記第1主面上に形成されたプレーナゲート構造と、
前記プレーナゲート構造の側方に隣接して形成されたメモリ構造であって、前記チャネル領域上に形成された絶縁膜、および前記絶縁膜を挟んで前記チャネル領域に対向する電荷蓄積膜を含むメモリ構造とを含み、
前記電荷蓄積膜は、第1電荷蓄積膜と、前記第1電荷蓄積膜とは異なる材料で形成された第2電荷蓄積膜とを含み、
前記第1電荷蓄積膜および前記第2電荷蓄積膜は、前記チャネル領域上において前記半導体チップの前記第1主面に対して交差する方向に延びる境界を有するように、前記半導体チップの前記第1主面に沿う方向に隣接している、半導体装置。
[B2]
前記絶縁膜は、断面視において、前記半導体チップと前記電荷蓄積膜との間を前記第1主面に沿って延びる直線状の第1絶縁部と、前記第1絶縁部の端部から前記プレーナゲート構造と前記電荷蓄積膜との間を前記第1主面に交差する方向に沿って延びる直線状の第2絶縁部とを含む、B1に記載の半導体装置。
[B3]
前記第1電荷蓄積膜は、前記絶縁膜の前記第1絶縁部上に形成され、前記第1絶縁部を挟んで前記半導体チップの前記第1主面に対向する第1蓄積部と、前記第1蓄積部の端部から前記第1主面に交差する方向に沿って延び、前記絶縁膜の前記第2絶縁部を介して前記プレーナゲート構造に対向する第2蓄積部とを含む、B2に記載の半導体装置。
[B4]
前記第2電荷蓄積膜は、前記第2絶縁部上に端部を有し、前記第2絶縁部と前記第2蓄積部との間を前記第1主面に交差する方向に沿って延びる断面視直線状に形成されている、B3に記載の半導体装置。
[B5]
前記第1電荷蓄積膜の前記第1蓄積部は、前記チャネル領域に対向する第1対向部と、前記ソース領域および前記ドレイン領域の少なくとも一方に対向する第2対向部とを含む、B3または4に記載の半導体装置。
[B6]
前記第1対向部は、平面視において、前記第2対向部よりも広い幅を有している、B5に記載の半導体装置。
[B7]
前記第1電荷蓄積膜が絶縁材料で形成されており、前記第2電荷蓄積膜が導電材料で形成されている、B1~6のいずれか一項に記載の半導体装置。
[B8]
前記第1電荷蓄積膜がSiNで形成されており、前記第2電荷蓄積膜がポリシリコンで形成されている、B7に記載の半導体装置。
[B9]
前記絶縁膜は、前記第1電荷蓄積膜とは異なる絶縁材料で形成されている、B7または8に記載の半導体装置。
[B10]
前記絶縁膜は、SiO2で形成されている、B9に記載の半導体装置。
[B11]
前記メモリ構造は、書き込み動作時に、ホットエレクトロンを前記電荷蓄積膜に注入するように構成されている、B1~10のいずれか一項に記載の半導体装置。
[B12]
前記プレーナゲート構造は、前記半導体チップの前記第1主面上に形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極とを含む、B1~11のいずれか一項に記載の半導体装置。
[B13]
前記絶縁膜は、前記ゲート絶縁膜の厚さよりも小さい厚さを有している、B12に記載の半導体装置。
[B14]
前記ゲート絶縁膜の側方には、前記半導体チップの前記第1主面を窪ませる窪みが形成されており、
前記絶縁膜は、前記ゲート絶縁膜に隣接するように前記窪み内において前記半導体チップの前記第1主面上に形成されている、B12または13に記載の半導体装置。
[B15]
前記メモリ構造は、前記ソース領域および前記ドレイン領域の少なくとも一方と前記プレーナゲート構造との間に位置している、B1~14のいずれか一項に記載の半導体装置。
[B16]
前記チャネル領域は、前記プレーナゲート構造に対向する第1不純物濃度を有する第1部分と、前記メモリ構造に対向し、前記第1不純物濃度よりも高い第2不純物濃度を有する第2部分とを含む、B1~15のいずれか一項に記載の半導体装置。
[B17]
前記チャネル領域の前記第2部分は、前記ソース領域および前記ドレイン領域の少なくとも一方に接している、B16に記載の半導体装置。
[B18]
前記ソース領域は、前記半導体チップの前記第1主面に沿う方向に前記ドレイン領域に対向するソース側第1端部を有し、
前記ドレイン領域は、前記半導体チップの前記第1主面に沿う方向に前記ソース領域に対向するドレイン側第1端部を有し、
前記チャネル領域の前記第2部分は、前記ソース側第1端部および前記ドレイン側第1端部の少なくとも一方に一体的に接続され、前記ソース側第1端部および前記ドレイン側第1端部の他方へ向かって延びている、B16または17に記載の半導体装置。
[B19]
前記チャネル領域の前記第2部分は、前記ソース側第1端部および前記ドレイン側第1端部の両方に一体的に接続されており、
前記プレーナゲート構造の下方において前記チャネル領域の前記第1部分を挟んで対向している、B18に記載の半導体装置。
[B20]
前記チャネル領域の前記第2部分は、前記半導体チップの前記第1主面を基準に前記ソース領域および前記ドレイン領域の少なくとも一方よりも浅く形成されており、
前記チャネル領域の前記第2部分の底部と、前記ソース領域および前記ドレイン領域の前記少なくとも一方の底部との間に段差が形成されている、B18または19に記載の半導体装置。
[B21]
前記チャネル領域の前記第2部分は、前記半導体チップの前記第1主面を基準に前記ソース領域および前記ドレイン領域の少なくとも一方よりも深く形成されており、前記ソース領域および前記ドレイン領域の前記少なくとも一方の底部を覆っている、B18または19に記載の半導体装置。
[B22]
前記チャネル領域の前記第2部分は、前記プレーナゲート構造の一部に対向している、B16~21のいずれか一項に記載の半導体装置。
[B23]
前記第2不純物濃度は、前記ソース領域および前記ドレイン領域の少なくとも一方の前記第2導電型の不純物濃度よりも低い、B16~22のいずれか一項に記載の半導体装置。
[B24]
前記第1不純物濃度は、4×1016cm-3以上9×1016cm-3以下であり、
前記第2不純物濃度は、3×1017cm-3以上8×1017cm-3以下である、B16~23のいずれか一項に記載の半導体装置。
【符号の説明】
【0106】
1 :半導体装置
2 :半導体チップ
3 :第1主面
4 :第2主面
6 :デバイス領域
10 :トレンチ絶縁構造
11 :トレンチ
12 :絶縁埋設物
13 :内側壁
14 :外側壁
15 :底壁
16 :開口端
17 :埋設部
18 :突出部
19 :不純物領域
20 :バックゲート領域
21 :ウェル領域
22 :ソース領域
23 :ドレイン領域
24 :チャネル領域
25 :第1部分
26 :第2部分
27 :端部
28 :段差
30 :プレーナゲート構造
31 :ゲート絶縁膜
31a :第1面
31b :第2面
32 :ゲート電極
33 :窪み
35 :本体部
36 :引き出し部
40 :メモリ構造
40A :第1部分
40B :第2部分
40C :連結部分
40a :内側面
40b :外側面
41 :絶縁膜
41a :第1面
41b :第2面
41c :第3面
41d :第4面
42 :電荷蓄積膜
43 :絶縁スペーサ
46 :第1絶縁部
47 :第2絶縁部
48 :第1蓄積部
48A :第1対向部
48B :第2対向部
49 :第2蓄積部
50 :凹部
51 :被覆絶縁膜
52 :第1被覆部
52A :貫通孔
53 :第2被覆部
54 :第3被覆部
55 :第4被覆部
60 :ゲートシリサイド膜
61 :ソースシリサイド膜
62 :ドレインシリサイド膜
65 :層間絶縁膜
66 :ゲートコンタクト電極
67 :ソースコンタクト電極
68 :ドレインコンタクト電極
69 :コンタクトホール
70 :ゲート配線
71 :ソース配線
72 :ドレイン配線
75 :半導体ウエハ
76 :第1ウエハ主面
77 :第2ウエハ主面
78 :第1窪み
79 :第2窪み
80 :レジストマスク
81 :ベース絶縁膜
82 :第1ベース膜
83 :第2ベース膜
84 :第3ベース膜
85 :第4ベース膜
87 :レジストマスク
88 :金属膜
89 :レジストマスク
90 :ベースコンタクト電極膜
91 :ベース配線膜
92 :レジストマスク
93 :レジストマスク
94 :犠牲絶縁膜
100 :半導体装置
101 :電荷蓄積膜
102 :第1電荷蓄積膜
103 :第2電荷蓄積膜
104 :第1蓄積部
104A :第1対向部
104B :第2対向部
105 :第2蓄積部
106 :境界
107 :導電性ベース膜
108 :絶縁性ベース膜
221 :ソース側第1端部
231 :ドレイン側第1端部
T1 :厚さ
T2 :厚さ
T3 :厚さ
T4 :厚さ
T5 :厚さ