(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022142084
(43)【公開日】2022-09-30
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20220922BHJP
H01L 25/065 20060101ALI20220922BHJP
H01L 23/14 20060101ALI20220922BHJP
H01L 23/00 20060101ALI20220922BHJP
【FI】
H01L23/12 F
H01L25/08 E
H01L23/14 S
H01L23/14 R
H01L23/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021042091
(22)【出願日】2021-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】茨木 聡一郎
(57)【要約】
【課題】一つの実施形態は、実装される半導体チップの信頼性を向上できる半導体装置を提供することを目的とする。
【解決手段】一つの実施形態によれば、半導体装置において、第1のインターポーザは、第1の主面を有する。第2のインターポーザは、第1の主面に配される。第2のインターポーザは、第1のインターポーザの反対側に第2の主面を有する。第2のインターポーザは、第1のインターポーザと材質が異なる。第1の半導体チップは、第1の表面を有する。第1の半導体チップは、第1の表面が第2の主面に対面した状態で第2の主面に複数のバンプ電極を介して実装される。第1の半導体チップは、揮発性メモリ回路を有する。第2の半導体チップは、第1の主面又は第2の主面に配された複数の電極パターンに複数のボンディングワイヤを介して実装される。第2のインターポーザは、第1の主面に垂直な方向に第1の半導体チップと重なる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の主面を有する第1のインターポーザと、
前記第1の主面に配され、前記第1のインターポーザの反対側に第2の主面を有し、前記第1のインターポーザと材質が異なる第2のインターポーザと、
第1の表面を有し、前記第1の表面が前記第2の主面に対面した状態で前記第2の主面に複数のバンプ電極を介して実装された、揮発性メモリ回路を有する第1の半導体チップと、
前記第1の主面又は前記第2の主面に配された複数の電極パターンに複数のボンディングワイヤを介して実装された第2の半導体チップと、
を備え、
前記第2のインターポーザは、前記第1の主面に垂直な方向に前記第1の半導体チップと重なる
半導体装置。
【請求項2】
前記第1のインターポーザは、放射性物質を含み、
前記第2のインターポーザは、前記第1のインターポーザより放射線の遮蔽能力が高い
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2のインターポーザの線膨張係数と前記第1の半導体チップの線膨張係数との差は、前記第1のインターポーザの線膨張係数と前記第1の半導体チップの線膨張係数との差より小さい
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2のインターポーザの熱伝導率は、前記第1のインターポーザの熱伝導率より高い
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1のインターポーザは、有機インターポーザであり、
前記第2のインターポーザは、半導体インターポーザである
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1のインターポーザは、前記第1の主面に開口部を有し、
前記第2のインターポーザは、前記開口部内に配される
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第2のインターポーザは、前記第1の主面に貼合される
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第2のインターポーザの面積は、前記第1の半導体チップの面積に対応している
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第2のインターポーザの面積は、前記第1のインターポーザの面積に対応している
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第2のインターポーザの厚さは、前記第1のインターポーザの厚さより薄い
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第2のインターポーザの厚さは、58μm以上である
請求項10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第2のインターポーザの厚さは、32μm以上である
請求項10に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インターポーザの主面に複数のバンプ電極を介して半導体チップが実装されて半導体装置が構成されることがある。このとき、実装される半導体チップの信頼性を向上することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-047714号公報
【特許文献2】特開2020-155596号公報
【特許文献3】特許第5808586号公報
【特許文献4】特許第4205613号公報
【特許文献5】特許第5752741号公報
【特許文献6】特許第4899406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一つの実施形態は、実装される半導体チップの信頼性を向上できる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの実施形態によれば、第1のインターポーザと第2のインターポーザと第1の半導体チップと第2の半導体チップとを有する半導体装置が提供される。第1のインターポーザは、第1の主面を有する。第2のインターポーザは、第1の主面に配される。第2のインターポーザは、第1のインターポーザの反対側に第2の主面を有する。第2のインターポーザは、第1のインターポーザと材質が異なる。第1の半導体チップは、第1の表面を有する。第1の半導体チップは、第1の表面が第2の主面に対面した状態で第2の主面に複数のバンプ電極を介して実装される。第1の半導体チップは、揮発性メモリ回路を有する。第2の半導体チップは、第1の主面又は第2の主面に配された複数の電極パターンに複数のボンディングワイヤを介して実装される。第2のインターポーザは、第1の主面に垂直な方向に第1の半導体チップと重なる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態にかかる半導体装置の構成を示す断面図。
【
図2】実施形態にかかる半導体装置の構成を示す平面図。
【
図3】実施形態にかかるインターポーザの構成を示す断面図。
【
図4】アルファ粒子のエネルギとシリコン中の飛程との相関関係を示す図。
【
図5】実施形態の第1の変形例にかかる半導体装置の構成を示す断面図。
【
図6】実施形態の第2の変形例にかかる半導体装置の構成を示す断面図。
【
図7】実施形態の第3の変形例にかかる半導体装置の構成を示す断面図。
【
図8】実施形態の第3の変形例にかかる半導体装置の構成を示す平面図。
【
図9】実施形態の第4の変形例にかかる半導体装置の構成を示す断面図。
【
図10】実施形態の第4の変形例にかかる半導体装置の構成を示す平面図。
【
図11】実施形態の第5の変形例にかかる半導体装置の構成を示す断面図。
【
図12】実施形態の第5の変形例にかかる半導体装置の構成を示す平面図。
【
図13】実施形態の第6の変形例にかかる半導体装置の構成を示す断面図。
【
図14】実施形態の第6の変形例にかかる半導体装置の構成を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に添付図面を参照して、実施形態にかかる半導体装置を詳細に説明する。なお、これらの実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0008】
(実施形態)
実施形態に係る半導体装置は、複数種の半導体チップが混載されるハイブリッドタイプの半導体装置である。例えば、スマートフォンを代表とするモバイル機器の高性能・高機能化と軽薄短小化の進展にともない、機器に搭載されるメモリ半導体装置の大容量化とパッケージの軽薄短小化の両立が要求されることがある。そのような要求に応じて、半導体装置では、互いに種類の異なる第1の半導体チップと第2の半導体チップとが混載され得る。第1の半導体チップは、例えばメモリコントローラであり、第2の半導体チップは、例えばフラッシュメモリ等のメモリチップである。第2の半導体チップは、メモリ容量を稼ぐために、第1の半導体チップよりチップサイズが大きく構成される。第1の半導体チップは、第2の半導体チップの配置に応じてその配置可能なエリアが限定され得る。
【0009】
例えば、ハイブリッド・メモリモジュールの一形態である、代表的な組込メモリであるUFS(Universal Flash Storage)では、外部規格団体により外囲器の縦横寸法が規定されており、パッケージの設計自由度は小さい。大容量製品であれば、実装密度を向上させるために、第2の半導体チップを階段状に積層する構造を採用することが考えられる。チップとパッケージの長辺寸法がほぼ同一なCSP(Chip Scale Package)タイプのパッケージの場合、ホスト側との高速信号の受送信を実現するため、階段状に積層された複数の第2の半導体チップの最下段直下に第1の半導体チップを配置することがある。さらに、第1の半導体チップのホストインターフェースのボンディングワイヤの寄生LCR成分による負荷を低減して電気長を短縮するために、また、第1の半導体チップの高機能化に伴う多ピン化に対応するために、第1の半導体チップをフリップチップ構造で実装することが考えられる。
【0010】
第1の半導体チップは、メモリコントローラである場合、キャッシュ領域等として揮発性メモリ回路が搭載され得る。揮発性メモリ回路は、例えば、SRAM(Static Random Access Memory)である。第1の半導体チップはシステム規模の大規模化によりSRAMが大容量・低電圧化される傾向があり、それらの要素は単位デバイスあたりのソフトエラー率(FIT)とトレードオフの関係にある。
【0011】
例えば、第1の半導体チップが第1のインターポーザに実装される構成を考える。第1のインターポーザは、コスト等の観点から、放射線源を含む有機インターポーザが用いられ得る。第1の半導体チップは、フリップチップ構造で第1のインターポーザに実装されると、ボンディングワイヤ構造で第1のインターポーザに実装される場合に比して、第1のインターポーザ内の放射線源との距離が近くなり得る。これにより、第1の半導体チップに搭載されたSRAMにソフトエラーを引き起こしやすく、ビット・フリップ耐性等のソフトエラー耐性が低下する可能性がある。
【0012】
また、フリップチップ構造を第1の半導体チップに採用する場合、第1の半導体チップの超多ピン化による低背バンプかつ狭ピッチなフリップチップ接続が実現され得る。このため、第1のインターポーザ(例えば、有機インターポーザ)と第1の半導体チップとの線膨張係数のミスマッチにより、電極の接合部分が破断することなどにより、接続信頼性、すなわち機械的な信頼性が低下する可能性がある。
【0013】
また、第1の半導体チップの高性能・高機能化により回路密度が上昇するがチップ面積はシュリンク傾向にあると、第1の半導体チップにおける発熱密度が高まる傾向にある。このため、第1の半導体チップの更なる温度上昇による半導体装置の品質・性能の信頼性、すなわち熱的な信頼性が低下する可能性がある。
【0014】
そこで、本実施形態では、半導体装置において、第1のインターポーザと第1の半導体チップとの間に第2のインターポーザを追加し、第1の半導体チップを第2のインターポーザにフリップチップ実装する。第2のインターポーザは、第1のインターポーザより放射線の遮蔽能力が高く、機械的・熱的な特定が第1の半導体チップにより近い材質で形成され得る。これにより、半導体装置において、ソフトエラー耐性の向上と機械的・熱的な信頼性の向上とが図られる。
【0015】
具体的には、半導体装置1は、
図1及び
図2に示すように構成され得る。
図1は、半導体装置1の構成を示す断面図である。
図2は、半導体装置1の構成を示す平面図である。
【0016】
半導体装置1は、インターポーザ(第1のインターポーザ)10、半導体チップ(第の1の半導体チップ)20、インターポーザ(第2のインターポーザ)30、複数の半導体チップ(複数の第2の半導体チップ)40-1,40-2、封止樹脂50、外部電極60、及びスペーサ70を有する。以下では、インターポーザ10の最も面積が大きい面のうちの一つ(表面10a、第1主面)に垂直な方向をZ方向とし、Z方向に垂直な平面内で互いに直交する2方向をX方向及びY方向とする。
【0017】
インターポーザ10は、+Z側に最も面積が大きい面(表面10a、第1主面)を有し、-Z側に最も面積が大きい別の面(裏面10b、第2主面)を有する。インターポーザ10の表面10aには、インターポーザ30が配され、インターポーザ30を介して半導体チップ20が実装される。また、インターポーザ10の表面10a側には、接着層81及びスペーサ70を介して複数の半導体チップ40-1,40-2が実装される。
【0018】
インターポーザ10の表面10aには、開口部10a1が配されている。開口部10a1内には、インターポーザ30が配される。例えばインターポーザ30の裏面30bが開口部10a1の底面に接着剤等で接着されてもよい。インターポーザ30は、XY平面視において略矩形状であり、YZ平面視において略矩形状である。
【0019】
開口部10a1は、インターポーザ30に対応した平面形状を有する。例えば、開口部10a1は、レーザーやドリルを用いてインターポーザ10の表面10aが座繰り加工されることで形成され得る。このため、開口部10a1は、XY平面視において、
図2に例示するように、プロセス的な要因で角に多少丸みや面取りを有し概ね矩形状と認識される形状であってもよい。
図2では、複数の半導体チップ40-1,40-2及び封止樹脂50が取り除かれた状態の平面構成が例示されている。開口部10aのX方向幅は、インターポーザ30のX方向幅に対応し、インターポーザ30のX方向幅にマージンを加えた大きさを有する。開口部10aのY方向幅は、インターポーザ30のY方向幅に対応し、インターポーザ30のY方向幅にマージンを加えた大きさを有する。Z方向から透視した場合に、開口部10a1は、インターポーザ30を内側に含む。
【0020】
開口部10a1は、インターポーザ30に対応した断面形状を有する。開口部10a1は、YZ平面視において、
図1に示すように略矩形状である。開口部10aのZ方向深さは、インターポーザ30のZ方向厚さに対応する。開口部10aのZ方向深さは、インターポーザ30のZ方向厚さにほぼ等しくてもよい。この場合、開口部10a内に配されるインターポーザ30の表面とインターポーザ10の表面10aとがほぼ面一であってもよい。これにより、インターポーザ30のZ方向の実装高さを低く抑えることが容易であるため、半導体装置1全体の実装高さを低く抑えることに寄与することができる。
【0021】
なお、開口部10a1のZ方向深さは、インターポーザ30のZ方向厚さより若干小さくてもよい。この場合でも、開口部10a1のZ方向深さに応じてインターポーザ30のZ方向の実装高さを低く抑えることが容易であるため、半導体装置1全体の実装高さを低く抑えることに寄与することができる。
【0022】
インターポーザ10の裏面10bには、外部電極60が実装される。インターポーザ10の表面10a側に実装された半導体チップ20、インターポーザ30、及び複数の半導体チップ40は、封止樹脂50で封止されている。インターポーザ10の裏面10b側に実装された外部電極60は、導電物を主成分とする材料で形成され得るとともに、その表面が露出されており、外部から電気的に接続され得る。
【0023】
インターポーザ10は、例えば、プリント配線板等の有機物を含む有機インターポーザであってもよい。インターポーザ10は、体積的に大きな割合を占める部分が有機物で形成され得る。インターポーザ10は、ソルダーレジスト層11、プリプレグ層12、コア層13、導電層14、及びスルーホール電極15を有する。ソルダーレジスト層11は、絶縁物(例えば、絶縁性の有機系物質)を主成分とする材料で形成され得る。ソルダーレジスト層11の材料は、微量の放射性物質を含み得る。プリプレグ層12は、絶縁物(例えば、プラスチックなどの有機系物質)を主成分とする材料で形成され得る。プリプレグ層12の材料は、微量の放射性物質を含み得る。コア層13は、絶縁物(例えば、プラスチックなどの有機系物質)を主成分とする材料で形成され得る。コア層13の材料は、微量の放射性物質を含み得る。導電層14は、導電物(例えば、銅)を主成分とする材料で形成され得る。スルーホール電極15は、導電物(例えば、銅)を主成分とする材料で形成され得る。
【0024】
半導体チップ20は、例えばコントローラチップである。半導体チップ20は、-Z側に最も面積が大きい面(表面20a、第3主面)を有し、+Z側に最も面積が大きい別の面(裏面20b、第4主面)を有する。半導体装置1がSSDである場合、半導体チップ20は、例えばコントローラチップであり、フリップチップ方式でインターポーザ10に実装され得る。半導体チップ20の表面20aは、インターポーザ30の表面30aに対面している。半導体チップ20は、複数のバンプ電極21を介してインターポーザ30の表面30aにフェイスダウン方式(フリップチップ方式)で実装される。すなわち、半導体チップ20は、表面20aがインターポーザ30の表面30aに対面した状態でインターポーザ30の表面30aに複数のバンプ電極21を介して実装される。
【0025】
半導体チップ20の表面20aには、複数のパッド電極が配されており、複数のパッド電極は、複数のバンプ電極21を介してインターポーザ30内の配線に電気的に接続される。インターポーザ30内の配線は、インターポーザ10における導電層14及びスルーホール電極15に電気的に接続される。これにより、外部電極60から導電層14及びスルーホール電極15、インターポーザ30内の配線経由で半導体チップ20に対して所定の信号を送受信させ得る。
【0026】
インターポーザ30内の配線が電気的に接続され得る導電層14は、インターポーザ10の開口部10a1の底面上に、
図2に点線で示すような複数の電極パターン141-1~141-n(nは、任意の2以上の整数)を有する。複数の電極パターン141-1~141-nは、XY方向に2次元的に配列される。
図2は、インターポーザ10の構成を示す平面図である。各電極パターン141-1~141-nは、互いに異なる信号が伝送され得るため、開口部10a1の底面上で互いに電気的に分離され得る。各電極パターン141-1~141-nの配置ピッチは、バンプ電極21の配置ピッチより大きくてもよい。
【0027】
インターポーザ30内には、例えば
図3に示すように、バンプ電極21を電極パターン141に接続するための配線が設けられる。
図3は、インターポーザ30の構成を示す断面図である。インターポーザ30は、基板33、貫通電極31、及び再配線層32を有する。基板33は、XY方向に沿って平板状に延びている。貫通電極31は、Z方向に延びて基板33を+Z側から-Z側に貫通する。貫通電極31は、導電物(例えば、銅などの金属)で形成され得る。基板33の-Z側の面には、再配線層32が配されている。貫通電極31は、+Z側の面がバンプ電極21に接触し電気的に接続され、+Z側の面が再配線層32を介して電極パターン141に電気的に接続される。再配線層32は、配線部分が導電物(例えば、銅などの金属)で形成され、それ以外の部分が絶縁物(例えば、シリコン酸化物)で形成され得る。電極パターン141は、導電層14及びスルーホール電極15を介して外部電極60に電気的に接続される。
【0028】
なお、インターポーザ30におけるバンプ電極21を導電層14に接続するための配線は、貫通電極31及び再配線層32に代えてワイヤボンディング構造であってもよい。インターポーザ30における表面30a上にバンプ電極21が接続される電極を設け、その電極から導電層14へワイヤがボンディングされてもよい。
【0029】
図1に示す半導体チップ20の表面20a側には、CPUと揮発性メモリ回路が搭載される。揮発性メモリ回路は、例えば、SRAM回路である。SRAM回路は、CPUによる作業領域としてデータを一時記憶する。インターポーザ30の表面30aは、
図2に示すような領域FRG1を有する。領域FRG1は、半導体チップ20がフリップチップ方式でインターポーザ30に実装された際、インターポーザ30の表面30aに垂直な方向(Z方向)から透視した場合にSRAM回路に重なる。領域FRG1は、SRAM回路に面積が略等しい(例えば、SRAM回路と数学的におおむね合同である)。領域FRG1は、領域FRG2の内側に含まれる。領域FRG2は、半導体チップ20がフリップチップ方式でインターポーザ30に実装された際、Z方向から透視した場合に半導体チップ20に重なる。領域FRG2は、半導体チップ20に面積が略等しい(例えば、半導体チップ20と数学的におおむね合同である)。すなわち、領域FRG2は、Z方向から透視した場合に半導体チップ20に重なる領域であり、Z方向から透視した場合にSRAM回路を内側に含む領域である。インターポーザ30のXY面積は、半導体チップ20のXY面積に対応しており、半導体チップ20のXY面積に配置マージンの面積を加えた面積であってもよい。
【0030】
インターポーザ30は、インターポーザ10と材質が異なる。インターポーザ30は、インターポーザ10より放射線の遮蔽能力が高い材質で形成され得る。インターポーザ30は、インターポーザ10より機械的・熱的な特性が半導体チップ20により近い材質で形成され得る。インターポーザ30の線膨張係数と半導体チップ20の線膨張係数との差は、インターポーザ10の線膨張係数と半導体チップ20の線膨張係数との差より小さい。インターポーザ30は、インターポーザ10より熱伝導率が大きい材質で形成され得る。
【0031】
例えば、インターポーザ30は、半導体を含む半導体インターポーザであってもよい。インターポーザ30は、体積的に大きな割合を占める部分が半導体で形成され得る。インターポーザ30は、インターポーザ10の表面10aの開口部10a1内に配される。例えば、インターポーザ30は、半導体チップ20の表面20aにおける領域FRG2を覆っている(
図1参照)。インターポーザ30は、Z方向から透視した場合にSRAM回路に重なる。インターポーザ30は、Z方向から透視した場合にSRAM回路を内側に含む。Z方向から透視した場合に、インターポーザ30は、領域FRG2において、半導体チップ20に重なる。インターポーザ30において、基板33(
図3参照)は、半導体(例えば、シリコン)を主成分とする材料で形成され得る。インターポーザ10が有機インターポーザでありインターポーザ30が半導体インターポーザである場合、インターポーザ30はインターポーザ10より放射線の遮蔽能力が高い。
【0032】
例えば、アルファ粒子のエネルギとシリコン中での飛程(飛距離)との相関関係は、
図4に示すようになる。
図4は、アルファ粒子のエネルギとシリコン中の飛程との相関関係を示す図である。
【0033】
インターポーザ10に含まれる放射性物質から飛来する放射線(例えば、α線)のエネルギが9MeV以下である場合、アルファ粒子のシリコン中の飛程が約58μmである。インターポーザ30がシリコンを主成分とする材料で形成される場合、インターポーザ30のZ方向厚さは58μm以上であってもよい。これにより、インターポーザ10に含まれる放射性物質から飛来する放射線(例えば、α線)をインターポーザ30で効果的に遮蔽することができる。また、インターポーザ30のZ方向厚さはインターポーザ10のZ方向厚さより小さくてもよい。これにより、インターポーザ10の表面10aの開口部10a1にインターポーザ30をほぼ収容することができ、インターポーザ30の実装高さを効果的に低減できる。
【0034】
インターポーザ10に含まれる放射性物質から飛来する放射線(例えば、α線)のエネルギが6MeV以下である場合、アルファ粒子のシリコン中の飛程が約32μmである。インターポーザ30がシリコンを主成分とする材料で形成される場合、インターポーザ30のZ方向厚さは32μm以上であってもよい。これにより、インターポーザ10に含まれる放射性物質から飛来する放射線(例えば、α線)をインターポーザ30で効果的に遮蔽することができる。また、インターポーザ30のZ方向厚さはインターポーザ10のZ方向厚さより小さくてもよい。これにより、インターポーザ10の表面10aの開口部10a1にインターポーザ30をほぼ収容することができ、インターポーザ30の実装高さを効果的に低減できる。
【0035】
なお、インターポーザ30において、
図3に示す基板33は、電位的にフローティングの状態にされ得る。この結果、インターポーザ30内の配線による各バンプ電極21及び外部電極60間の信号の送受信が確実に行われ得る。
【0036】
また、
図1に示すインターポーザ30の線膨張係数と半導体チップ20の線膨張係数との差は、インターポーザ10の線膨張係数と半導体チップ20の線膨張係数との差より小さい。例えば、インターポーザ10が有機インターポーザでありインターポーザ30が半導体インターポーザである場合、インターポーザ30は、インターポーザ10より、機械的・熱的な特性が半導体チップ20に近い。インターポーザ30の線膨張係数は、インターポーザ10の線膨張係数より、半導体チップ20の線膨張係数に近い。これにより、半導体装置1が高温環境下等に置かれた際に、バンプ電極21を介してインターポーザ30と半導体チップ20との間に作用する応力を、半導体チップ20がインターポーザ10に実装される場合に比べて、低減できる。これにより、インターポーザ30及び半導体チップ20の間における機械的な接続信頼性を向上できる。
【0037】
また、インターポーザ30の熱伝導率は、インターポーザ10の熱伝導率より高い。例えば、インターポーザ10が有機インターポーザでありインターポーザ30が半導体インターポーザである場合、インターポーザ30の熱伝導率は、インターポーザ10の熱伝導率より高い。これにより、半導体チップ20の高性能・高機能化により回路密度が上昇すしチップ面積がシュリンク傾向にあり発熱密度が高まる場合に、インターポーザ30は、半導体チップ20の熱をXY平面方向に逃がして周辺雰囲気中に放熱するヒートスラグとして機能できる。これにより、半導体チップ20の温度上昇を抑制でき、半導体装置1の品質・信頼性を向上できる。
【0038】
複数の半導体チップ40は、例えばそれぞれメモリチップであり、半導体チップ(コントローラチップ)20に対してスペーサ構造で実装される。すなわち、半導体チップ20に対するXY方向に離間した位置に、インターポーザ10の表面10aからの半導体チップ20の実装高さより厚いスペーサ70が配される。複数の半導体チップ40は、スペーサ70の+Z側で積層される。スペーサ70は、-Z側の面が接着層81を介してインターポーザ10の表面10aに接着される。半導体チップ40-1は、-Z側の面が接着層80-1を介してスペーサ70の+Z側の面に接着される。半導体チップ40-2は、-Z側の面が接着層80-2を介して半導体チップ40-1の+Z側の面に接着される。接着層81,80-1,80-2は、それぞれ、例えば、DAF(Die Attach Film)であってもよい。
【0039】
複数の半導体チップ40は、ワイヤボンド方式でインターポーザ10に実装され得る。このとき、インターポーザ10における複数のボンティングワイヤ41が電気的に接続され得る導電層14は、表面(+Z側の主面)10a上に、
図2に示すような複数の電極パターン142-1~142-2k(kは、任意の2以上の整数)を有する。複数の半導体チップ40は、複数の電極パターン142-1~142-2kに複数のボンティングワイヤ41を介して実装される。これにより、複数の半導体チップ40は、ワイヤボンド方式によりスペーサ構造でインターポーザ10に実装され得る。
【0040】
以上のように、実施形態では、半導体装置1において、インターポーザ10と半導体チップ20との間にインターポーザ30を追加し、半導体チップ20をインターポーザ30にフリップチップ実装する。インターポーザ30は、インターポーザ10より放射線の遮蔽能力が高く、機械的・熱的な特定が半導体チップ20により近い材質で形成され得る。これにより、インターポーザ10に含まれる放射性物質から飛来する放射線(例えば、α線)をインターポーザ30で効果的に遮蔽することができるので、半導体装置1において、ソフトエラー耐性を向上できる。また、半導体装置1が高温環境下等に置かれた際に、バンプ電極21を介してインターポーザ30と半導体チップ20との間に作用する応力を低減できるので、インターポーザ30及び半導体チップ20の間における機械的な接続信頼性を向上できる。また、インターポーザ30は、半導体チップ20の熱をXY平面方向に逃がして周辺雰囲気中に放熱するヒートスラグとして機能できるので、半導体チップ20の温度上昇を抑制でき、半導体装置1の品質を向上でき、熱的な信頼性を向上できる。
【0041】
なお、実施形態の第1の変形例として、半導体装置1jは、
図5に示すように、スペーサ70が省略され、代わりに、インターポーザ10の表面10aからの半導体チップ20の実装高さより厚い接着層80j-1が配された構造であってもよい。
図5は、半導体装置1jの構成を示す断面図である。接着層80j-1は、半導体チップ40-1をインターポーザ10の表面10aに接着するとともに、半導体チップ(コントローラチップ)20を覆ってバンプ電極21及び半導体チップ20の実装高さを確保している。これにより、スペーサ70を用いずにスペーサ構造に相当する構造を実現できるので、実装コストを低減できる。
【0042】
また、実施形態の第2の変形例として、半導体装置1kは、
図6に示すように、半導体チップ20及びインターポーザ30との間における複数のバンプ電極21の隙間にアンダーフィル樹脂90が充填されてもよい。
図6は、半導体装置1kの構成を示す断面図である。アンダーフィル樹脂90は、フィラーとしてシリカが混入されたエポキシ樹脂を用いることができる。この時、フィラーの平均粒径は0.5~3μmの範囲内に設定することができる。フィラーの含有量は60~75wt%の範囲内に設定することができる。これにより、封止樹脂50を半導体チップ20及びインターポーザ30との間に充填させなくても複数のバンプ電極21間を確実に絶縁でき、半導体装置1kのパッケージとしての信頼性を向上できる。
【0043】
また、実施形態の第3の変形例として、半導体装置1nは、
図7及び
図8に示すように、インターポーザ30nの面積がインターポーザ10nの面積に対応していてもよい。
図7は、半導体装置1nの構成を示す断面図である。
図8は、半導体装置1nの構成を示す平面図である。インターポーザ10nの表面10aには、ほぼ全面に渡って、開口部10a1nが配されている。開口部10a1nは、インターポーザ30nに対応した平面形状・断面形状を有する点は、実施形態と同様である。この場合、インターポーザ30nは、その表面30aに、
図8に示すような複数の電極パターン34-1~34-2k(kは、任意の2以上の整数)を有する。複数の半導体チップ40(
図1参照)は、複数の電極パターン34-1~34-2kに複数のボンティングワイヤ41を介して実装され得る。複数の電極パターン34-1~34-2kは、インターポーザ30n内の配線を介してインターポーザ10nの導電層14及びスルーホール電極15を介して外部電極60に電気的に接続される。
【0044】
インターポーザ30nは、インターポーザ10nより放射線の遮蔽能力が高く、機械的・熱的な特定が半導体チップ20により近い材質で形成され得る点は、実施形態と同様である。これにより、インターポーザ10nに含まれる放射性物質から飛来する放射線(例えば、α線)をより広い面積に渡った効果的に遮蔽することができる。また、インターポーザ30nは、放熱面積をより広く確保できるので、半導体チップ20の温度上昇をさらに抑制できる。
【0045】
また、実施形態の第4の変形例として、半導体装置1pは、
図9及び
図10に示すように、インターポーザ30がインターポーザ10pの表面10aに貼り合わされていてもよい。
図9は、半導体装置1pの構成を示す断面図である。
図10は、半導体装置1pの構成を示す平面図である。インターポーザ30のXY面積は、半導体チップ20のXY面積に対応しており、半導体チップ20のXY面積に配置マージンの面積を加えた面積であってもよい。インターポーザ10nの表面10aには開口部10a1(
図1、
図2参照)が配されない。インターポーザ30は、接着材(図示せず)を介してインターポーザ10nの表面10aに貼り合わされ得る。あるいは、インターポーザ30は、裏面30bに電極を有する場合、その電極がインターポーザ10nの表面10a上の電極と合金接合されることで、インターポーザ10nの表面10aに貼り合わされ得る。これにより、インターポーザ10pの表面10aに開口部10a1を形成する加工処理を省略できるので、半導体装置1pの実装コストを低減できる。
【0046】
また、実施形態の第5の変形例として、半導体装置1sは、
図11及び
図12に示すように、インターポーザ30nの面積がインターポーザ10pの面積に対応しており、インターポーザ30nがインターポーザ10pの表面10aに貼り合わされていてもよい。
図11は、半導体装置1sの構成を示す断面図である。
図12は、半導体装置1sの構成を示す平面図である。インターポーザ30nは、第3の変形例のインターポーザ30nと同様の形状及び寸法を有していてもよい。インターポーザ10pは、第4の変形例のインターポーザ30nと同様の形状及び寸法を有していてもよい。
【0047】
インターポーザ30nは、インターポーザ10pより放射線の遮蔽能力が高く、機械的・熱的な特定が半導体チップ20により近い材質で形成され得る点は、実施形態と同様である。これにより、インターポーザ10pに含まれる放射性物質から飛来する放射線(例えば、α線)をより広い面積に渡った効果的に遮蔽することができる。また、インターポーザ30nは、放熱面積をより広く確保できるので、半導体チップ20の温度上昇をさらに抑制できる。また、インターポーザ10pの表面10aに開口部10a1(
図1、
図2参照)を形成する加工処理を省略できるので、半導体装置1sの実装コストを低減できる。
【0048】
また、実施形態の第6の変形例として、半導体装置1tは、
図13及び
図14に示すように、サイドバイサイド構造で実装されてもよい。
図13は、半導体装置1tの構成を示す断面図である。
図14は、半導体装置1tの構成を示す平面図である。
【0049】
半導体チップ20に対するXY方向に離間した位置に、インターポーザ10tの表面10aから複数の半導体チップ40-1,40-2が+Z側に積層される。複数の半導体チップ40-1,40-2は、ワイヤボンド方式でインターポーザ10tに実装され得る。このとき、インターポーザ10tにおける複数のボンティングワイヤ41が電気的に接続され得る導電層14は、表面(+Z側の主面)10a上に、複数の電極パターン142-1~142-2k(kは、任意の2以上の整数)を有する(
図2参照)。これにより、複数の半導体チップ40-1,40-2は、ワイヤボンド方式によりサイドバイサイド構造でインターポーザ10tに実装され得る。
【0050】
この場合、半導体装置1tにおいて、インターポーザ30をインターポーザ10tと半導体チップ20との間に介在させる。インターポーザ30は、インターポーザ10tの表面10aに貼り合わされてもよい。例えば、インターポーザ30は、Z方向に半導体チップ20と重なる。インターポーザ30は、インターポーザ10tより放射線の遮蔽能力が高く、機械的・熱的な特定が半導体チップ20により近い材質で形成され得る点は、実施形態と同様である。これにより、インターポーザ10tに含まれる放射性物質から飛来する放射線(例えば、α線)をインターポーザ30で効果的に遮蔽することができる。また、半導体装置1tが高温環境下等に置かれた際に、バンプ電極21を介してインターポーザ30と半導体チップ20との間に作用する応力を低減できる。また、インターポーザ30は、半導体チップ20の熱をXY平面方向に逃がして周辺雰囲気中に放熱するヒートスラグとして機能できる。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0052】
1,1j,1k,1n,1p,1s,1t 半導体装置、10,10n,10p,10t,30,30n インターポーザ、20,40,40-1,40-2 半導体チップ。