(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022142130
(43)【公開日】2022-09-30
(54)【発明の名称】計測装置、計測プログラム、計測方法、及び計測システム
(51)【国際特許分類】
G01B 21/00 20060101AFI20220922BHJP
G08C 17/00 20060101ALI20220922BHJP
G01M 99/00 20110101ALI20220922BHJP
【FI】
G01B21/00 A
G08C17/00 Z
G01M99/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021042154
(22)【出願日】2021-03-16
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(令和2年度総務省「インフラモニタリングにおけるインフラ3DモデルとIoTセンサ情報モデルの異分野間連携に関する研究開発と標準化」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願)
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180275
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 倫太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161861
【弁理士】
【氏名又は名称】若林 裕介
(72)【発明者】
【氏名】中津 尚大
【テーマコード(参考)】
2F069
2F073
2G024
【Fターム(参考)】
2F069AA02
2F069GG07
2F069GG41
2F069JJ02
2F069JJ04
2F069NN09
2F073AA11
2F073AA19
2F073AA40
2F073AB01
2F073AB04
2F073AB05
2F073BB01
2F073BC02
2F073CC03
2F073CC09
2F073CC12
2F073CD11
2F073DD02
2F073DE06
2F073DE13
2F073DE17
2F073EE01
2F073EF09
2F073FF01
2F073FG01
2F073FG02
2F073GG01
2F073GG08
2G024AD34
2G024BA11
2G024CA13
2G024CA26
2G024FA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】設置コストが低く、且つ構造物の計測を効率的に実行できる計測装置を提供する。
【解決手段】加速度センサ11を備える計測装置10であって、(1)所定の計測周期情報に基づき加速度センサの動作を制御する制御手段13と、(2)他の計測装置とデータの送受信を行う通信手段16と、(3)加速度センサで計測した加速度データを保持するデータ保持手段12と、(4)加速度データ内に所定の振動検出条件に合致する振動が含まれるか判定する振動検出手段14と、(5)振動検出手段が振動検出条件に合致する振動を検知した場合のみ、加速度データに基づき変位を計算し、計算した変位データから一部の情報を抽出する変位計算手段15とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加速度センサを備える計測装置であって、
所定の計測周期情報に基づき前記加速度センサの動作を制御する制御手段と、
他の計測装置とデータの送受信を行う通信手段と、
前記加速度センサで計測した加速度データを保持するデータ保持手段と、
前記加速度データ内に所定の振動検出条件に合致する振動が含まれるか判定する振動検出手段と、
前記振動検出手段が前記振動検出条件に合致する振動を検知した場合のみ、前記加速度データに基づき変位を計算し、計算した変位データから一部の情報を抽出する変位計算手段と
を有することを特徴とする計測装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記振動検出手段が振動を検知すると、前記通信手段を用いて、他の計測装置に振動を検出した旨を示す振動検出パケットを通知すると共に、所定時間内に他の計測装置から送信された前記振動検出パケットを受信した場合のみ前記変位計算手段の処理を実行するように制御することを特徴とする請求項1に記載の計測装置。
【請求項3】
前記変位計算手段が前記変位データから抽出する情報は、変位の最大値と該最大値の時刻であることを特徴とする請求項2に記載の計測装置。
【請求項4】
加速度センサを備える計測装置に搭載されるコンピュータを、
所定の計測周期情報に基づき前記加速度センサの動作を制御する制御手段と、
他の計測装置とデータの送受信を行う通信手段と、
前記加速度センサで計測した加速度データを保持するデータ保持手段と、
前記加速度データ内に所定の振動検出条件に合致する振動が含まれるか判定する振動検出手段と、
前記振動検出手段が前記振動検出条件に合致する振動を検知した場合のみ、前記加速度データに基づき変位を計算し、計算した変位データから一部の情報を抽出する変位計算手段と
して機能させることを特徴とする計測プログラム。
【請求項5】
加速度センサを備える計測装置に使用する計測方法であって、
制御手段は、所定の計測周期情報に基づき前記加速度センサの動作を制御し、
通信手段は、他の計測装置とデータの送受信を行い、
データ保持手段は、前記加速度センサで計測した加速度データを保持し、
振動検出手段は、前記加速度データ内に所定の振動検出条件に合致する振動が含まれるか判定し、
変位計算手段は、前記振動検出手段が前記振動検出条件に合致する振動を検知した場合のみ、前記加速度データに基づき変位を計算し、計算した変位データから一部の情報を抽出する
ことを特徴とする計測方法。
【請求項6】
複数の計測装置と、前記各計測装置で計測したデータを収集するデータ収集装置とを有する計測システムであって、
前記各計測装置として、請求項1~3のいずれかに記載の計測装置を適用したことを特徴とする計測システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測装置、計測プログラム、計測方法、及び計測システムに関し、例えば、計測対象の構造物の変位量を遠隔から計測する計測システムに適用し得る。
【背景技術】
【0002】
近年、橋梁等の構造物に種々のセンサを設置し、電車や自動車等の車両が通過した際の構造物のたわみ(活荷重変位)を計測して、安全性の確認や劣化の予測に活用する取り組みが進められている。
【0003】
例えば、特許文献1では、カメラによって撮影された車両走行時の路面の撮影画像に基づき、車両走行時の路面の変位を測定し、測定した変位から車両の軸重を求めて構造の劣化を推定する手法が開示されている。
【0004】
また、特許文献2では、構造物に固定式と可搬式の2種類のセンサを設置して、両センサが検出した変位量データを収集し、構造物の変位を解析することによって、構造物全体に蓄積された損傷や劣化を推定する手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開番号第2018/159003号
【特許文献2】特開2015-99073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述の特許文献1、2に記載の技術は、常時計測する構成を採用することで確度の高い劣化の予測が可能となるが、設置の際に電源工事が必要となってしまう。
【0007】
この点、電池で動作する加速度センサ端末を利用することで、設置にかかるコストを低減できる。しかしながら、上述のような常時計測し続けるような利用をすると電池容量の消費が速く、頻繁なバッテリー交換が必要となり、かえってコストがかかってしまう懸念がある。
【0008】
そのため、設置コストが低く、且つ構造物の計測を効率的に実行できる計測装置、計測プログラム、計測方法、及び計測システムが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の本発明は、加速度センサを備える計測装置であって、(1)所定の計測周期情報に基づき前記加速度センサの動作を制御する制御手段と、(2)他の計測装置とデータの送受信を行う通信手段と、(3)前記加速度センサで計測した加速度データを保持するデータ保持手段と、(4)前記加速度データ内に所定の振動検出条件に合致する振動が含まれるか判定する振動検出手段と、(5)前記振動検出手段が前記振動検出条件に合致する振動を検知した場合のみ、前記加速度データに基づき変位を計算し、計算した変位データから一部の情報を抽出する変位計算手段とを有することを特徴とする。
【0010】
第2の本発明の計測プログラムは、加速度センサを備える計測装置に搭載されるコンピュータを、(1)所定の計測周期情報に基づき前記加速度センサの動作を制御する制御手段と、(2)他の計測装置とデータの送受信を行う通信手段と、(3)前記加速度センサで計測した加速度データを保持するデータ保持手段と、(4)前記加速度データ内に所定の振動検出条件に合致する振動が含まれるか判定する振動検出手段と、(4)前記振動検出手段が前記振動検出条件に合致する振動を検知した場合のみ、前記加速度データに基づき変位を計算し、計算した変位データから一部の情報を抽出する変位計算手段として機能させることを特徴とする。
【0011】
第3の本発明は、加速度センサを備える計測装置に使用する計測方法であって、(1)制御手段は、所定の計測周期情報に基づき前記加速度センサの動作を制御し、(2)通信手段は、他の計測装置とデータの送受信を行い、(3)データ保持手段は、前記加速度センサで計測した加速度データを保持し、(4)振動検出手段は、前記加速度データ内に所定の振動検出条件に合致する振動が含まれるか判定し、(5)変位計算手段は、前記振動検出手段が前記振動検出条件に合致する振動を検知した場合のみ、前記加速度データに基づき変位を計算し、計算した変位データから一部の情報を抽出することを特徴とする。
【0012】
第4の本発明は、複数の計測装置と、前記各計測装置で計測したデータを収集するデータ収集装置とを有する計測システムであって、前記各計測装置として、第1の本発明の計測装置を適用したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、設置コストが低く、且つ構造物の計測を効率的に実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態に係る無線通信装置の内部構成を示す内部構成図である。
【
図2】実施形態に係るデータ計測システムの全体構成を示す全体構成図である。
【
図3】実施形態に係るデータ計測システムにおける無線通信装置の特徴動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(A)主たる実施形態
以下では、本発明に係る計測装置、計測プログラム、計測方法、及び計測システムの一実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
(A-1)実施形態の構成
[全体構成]
図2は、実施形態に係るデータ計測システムの全体構成を示す全体構成図である。
【0017】
図2において、実施形態に係るデータ計測システム1は、計測装置としての無線通信装置10(10-1~10-n)、基地局20、及びデータ収集装置30を有する。
【0018】
図1において、各無線通信装置10と基地局20との間のネットワークはセンサネットワークSNである。一般的に、センサネットワークSNの通信方式は、特定小電力無線方式などに代表される低速な無線通信方式を適用することができる。例えば、IEEE802.11a/b/g/nなどに代表される無線ネットワーク規格、若しくは、IEEE802.15.4、Bluetooth(登録商標)などの無線通信方式であっても構わない。センサネットワークSNは、基幹ネットワークNTに比べ低速な通信方式である。
【0019】
基地局20及びデータ収集装置30の間のネットワークは基幹ネットワークNTである。基幹ネットワークNTは、例えば、Internet又はEthernet(登録商標)である。基幹ネットワークNTは、無線回線であってもよいし、有線回線であってもよい。
【0020】
データ計測システム1は、データ収集装置30が、基地局20を介して、各無線通信装置10のセンサデータを収集するシステムである。データ計測システム1は、主として、各無線通信装置10、基地局20、及びデータ収集装置30を有して構成される。以下では、説明の便宜上、センサネットワークSNを構成する無線通信装置10、及び基地局20を総称して「ノード」とも呼ぶものとする。
【0021】
[無線通信装置]
無線通信装置10は、主にセンサ、変位計算手段及び通信手段を有する。この実施形態において、無線通信装置10は、例えば、橋梁等の構造物に固定する形で設置されているものとする。
【0022】
無線通信装置10は、計測時間内の変位を計測して、変位の最大値のみをデータ収集装置30に向けて送信する(センサネットワークSNを介して基地局20に到達後、基幹ネットワークNTを介してデータ収集装置30に送信される)。無線通信装置10は、加速度(又は変位)の時系列データを全て送信する場合と比べて通信量を削減できる。
【0023】
また、無線通信装置10は、計測したい振動(車両の通行の振動など)を検知した場合のみ変位の計算等を行う。これにより、無駄なリソース消費を削減できる。そして、無線通信装置10は、各ノード間(複数のセンサ間)で車両通過を検知したという情報や検出時刻情報をやり取りする。これにより、通過の誤検知を減らしたり、振動の無い時刻の計算を省き計算量を削減したりすることが可能となる。
【0024】
[基地局]
基地局20は、センサネットワークSNと、基幹ネットワークNTとの間でデータを中継する機能を有する。基地局20は、各無線通信装置10からデータを受信すると、各無線通信装置10のデータを含む情報をデータ収集装置30に送信する。これにより、計測データをデータ収集装置30に与えることができる。
【0025】
[データ収集装置]
データ収集装置30は、基地局20を介して、各無線通信装置10から計測データ(変位データ)を含む情報を収集し、各データを保存(蓄積管理)する。なお、変形例として、基地局20及びデータ収集装置30の装置が一体化した構成としても良い。
【0026】
[無線通信装置の内部構成]
図1は、実施形態に係る無線通信装置の内部構成を示す内部構成図である。
【0027】
図1において、無線通信装置10は、加速度センサ11、データ保持部12、制御部13、振動検出部14、変位計算部15、通信部16、及び条件入力部17を有する。
【0028】
本実施形態に係る無線通信装置は、その各部をハードウェアによって構成しても良く、また、一部の構成についてはソフトウェア的に構成しても良い。
【0029】
[加速度センサ]
加速度センサ11は、橋梁等の構造物にかかる計測対象物理量をセンシングするものである。この実施形態の加速度センサ11は、少なくとも1軸以上の計測軸を持ち、一定のサンプリング周期で計測された加速度データを出力する手段を有する。加速度センサ11は、計測した加速度データをデータ保持部に与える。
【0030】
[データ保持部]
データ保持部12は、加速度センサ11から取得した加速度データを一時的に保持するものである。加速度データは、例えば、加速度センサ11が計測した加速度の数値とタイムスタンプを含むものとする。タイムスタンプは、制御部13が保持している他の無線通信装置10と同期された時刻に基づいて記録されたものであり、例えば、加速度データ1サンプル毎に1つのタイムスタンプを記録したのもであってもよいし、加速度データの先頭のサンプルの時刻とサンプリング周期を記録するものであってもよい。
【0031】
データ保持部12は、振動検出部14から加速度データの取得を要求されると、保存している加速度データを振動検出部14に与える。同様に、データ保持部12は、加速度データの取得を変位計算部15から要求されると、保存している加速度データを変位計算部15に与える。
【0032】
データ保持部12は、変位計算部15に加速度データを与えた後、保存している加速度データを削除する。また、データ保持部12は、制御部13から保存した加速度データの削除を要求された場合にも保存している加速度データを削除する。
【0033】
[制御部]
制御部13は、条件入力部17で設定した計測周期情報に応じて加速度センサ11の制御(加速度センサ11の動作及び停止する制御)を行う。
【0034】
制御部13は、他の無線通信装置10と同期された時刻を保持しているものとする。時刻同期の手段は限定しないが、同期のための情報を他の無線通信装置10とやり取りしてもよい。時刻同期は、例えば、Network Time Protocol(NTP)などのプロトコルによって実行される。
【0035】
制御部13は、加速度センサ11による計測が終了すると、振動の検出を振動検出部14に要求する。そして、制御部13は、振動検出部14から振動の検知が通知されると、通信部16に振動検出パケットの送信を要求する。
【0036】
制御部13は、計測終了した後、データ保持時間が経過しても、他の無線通信装置10からの振動検出パケット受信の通知がなかった場合、データ保持部12にデータの削除を要求する。他の無線通信装置10が送信した振動検出パケット受信の通知があった場合、制御部13は、変位計算部15に検出した振動の開始時刻と終了時刻を与え、変位の計算を要求する。
【0037】
[振動検出部]
振動検出部14は、加速度センサ11によって計測された加速度データの中に、条件入力部17によって予め設定した振動検出条件に合致する振動が含まれるか判定するものである。
【0038】
振動検出部14は、条件に合致する振動があった場合には、制御部13に検出した振動の開始時刻と終了時刻を与え、振動の検知を通知する。例えば、振動検出条件として、加速度データの片側振幅(0-to-peak)のしきい値、および時間幅が設定されている場合、加速度データ中にしきい値を上回るサンプルがあった場合に、しきい値を上回ったサンプルより早い時刻のサンプルの中で、振動検出条件の時間幅以上連続してしきい値を下回る最後の点を振動の開始時刻として抽出し、しきい値を上回ったサンプルより遅い時刻のサンプルの中で、振動検出条件の時間幅以上連続してしきい値を下回る最初の点を振動の終了時刻として抽出する。
【0039】
[変位計算部]
変位計算部15は、制御部13から変位の計算の要求があったときに、データ保持部12から加速度データを取得して、変位時系列データを算出する。
【0040】
変位計算部15は、制御部13から受け取った振動の開始時刻と終了時刻、及びデータ保持部12から取得した加速度データとを用いて、変位を計算するものである。例えば、データ保持部12から取得した加速度データから振動の開始時刻と終了時刻の間のデータを抽出したのちに、抽出した加速度データにハイパスフィルタを適用した、時間方向に2階積分することで変位を計算する。
【0041】
変位計算部15は、計算した変位データから変位の最大値と最大値を取る時刻を抽出し、通信部16に送信を要求する。
【0042】
[通信部]
通信部16は、センサネットワークSN内の他のノード(無線通信装置10及び基地局20)と無線でパケットの送受信を行う通信インターフェースである。
【0043】
通信部16は、他のノードから振動検出パケットを受信すると、振動検出パケットの受信を制御部13に通知する。振動検出パケットは、同一システム内に存在するすべてのノードが受信できるようにブロードキャストで送信される。
【0044】
通信部16は、制御部13から振動検出パケットの送信を要求されると、振動検出パケットをブロードキャストする。また、通信部16は、変位計算部15から変位データの送信を要求されると、データ収集装置30に向けて変位データを送信する。
【0045】
[条件入力部]
条件入力部17は、制御部13で使用する計測周期情報、及び振動検出部14で使用する振動検出条件を設定するものである。
【0046】
条件入力部17は、シリアルポートやUSBのような物理的なインターフェースを介して入力するようなものであってもよいし、通信部16を介して前記の計測周期情報や振動検出条件を含むパケットをやり取りすることで設定するものであってもよい。
【0047】
(A-2)実施形態の動作
次に、以上のような構成を有するこの実施形態のデータ計測システム1の動作を説明する。
【0048】
図3は、実施形態に係るデータ計測システムにおける無線通信装置の特徴動作を示す説明図である。なお、各無線通信装置10には、条件入力部17を介して、制御部13で使用する計測周期情報、データ保持時間、及び振動検出部14で使用する振動検出条件が予め設定されているものとする。また、計測周期情報は、各無線通信装置10で同一の値が設定されていることを前提とする。
【0049】
<S101>
無線通信装置10の制御部13は、計測周期情報に応じて加速度センサ11を動作させる。加速度センサ11は、センシングデータとしての加速度データをデータ保持部12に与える。データ保持部12は、加速度センサ11から取得した加速度データを一時的に保持する。
【0050】
<S102>
制御部13は、振動の検出を振動検出部14に要求する。振動検出部14は、データ保持部12から保持されている加速度データを取得する。
【0051】
そして、振動検出部14は、取得した加速度データについて、振動検出条件に合致する振動が含まれるか否か判定を行う。振動検出部14は、振動が含まれていなかった場合には、一連の処理を終了する。一方、振動が含まれていた場合には、振動検出部14は、制御部13に検出した振動の開始時刻と終了時刻を与え、振動の検知を通知する。
【0052】
<S103>
制御部13は、振動検出部14から振動の検知を通知されると、通信部16に振動検出パケットの送信を要求する。通信部16は、制御部13から振動検出パケットの送信を要求されると、振動検出パケットをセンサネットワークSN内にブロードキャストする。
【0053】
<S104>
制御部13は、計測が終了した後、データ保持時間が経過する前に、他のノードが送信した振動検出パケット受信の通知があった場合、変位計算部15に検出した振動の開始時刻と終了時刻を与え、変位の計算を要求する。
【0054】
一方、制御部13は、計測が終了した後、データ保持時間が経過しても、他の端末が送信した振動検出パケットの受信の検知の通知がなかった場合、データ保持部12に加速度データの削除を要求する。データ保持部12は、制御部13から保存した加速度データの削除を要求されると、保存している加速度データを削除して、一連の処理を終了する。
【0055】
<S105>
変位計算部15は、制御部13から変位の計算の要求があると、データ保持部12に加速度データの取得を要求する。変位計算部15は、データ保持部12から取得した加速度データから変位データを算出する。データ保持部12は、変位計算部15から要求されると、保存している加速度データを変位計算部15に与え、保存している加速度データを削除する。
【0056】
変位計算部15は、計算した変位データから変位の最大値と最大値を取る時刻を抽出し、抽出した変位データを通信部16に与え、変位データの送信を要求する。
【0057】
<S106>
通信部16は、変位計算部15から変位データの送信を要求されると、変位計算部15から取得した変位の最大値と最大値を取る時刻を含むパケットをデータ収集装置30に向けて送信する。
【0058】
(A-3)実施形態の効果
本実施形態よれば、以下の効果を奏する。
【0059】
本実施形態のデータ計測システム1は、常時計測する計測システムと比べて、構成が簡便になるため、設置コストが低減させることが可能となる。
【0060】
データ計測システム1は、システムの使用者が予め設定した条件に合致する振動があり、かつ、複数のセンサ端末(複数の無線通信装置10)で振動を検出した場合のみ、変位の計算や値の送信を行う。そのため、計測したい振動が含まれないデータの無駄な処理の実行回数を低減でき、すべての計測データを都度処理する場合と比較して、省電力性が向上する。
【0061】
(B)他の実施形態
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
【0062】
(B-1)上記実施形態では、振動検出部14の動作として、1回の計測につき、1つの振動を抽出する動作を説明したが、1回の計測で複数の振動を抽出してもよい。変形例として、例えば、1つ振動を抽出した後に、抽出した振動の開始時刻~終了時刻以外の区間を対象に、再度同様の判定動作を行い複数の開始時刻と終了時刻のセットを抽出してもよい。
【0063】
(B-2)制御部13は、データ保持時間が経過する前に、他の無線通信装置10が送信した振動検出パケットの受信の通知があった場合、変位の計算を要求するとしたが、さらに条件を加えてもよい。例えば、制御部13は、振動検出パケットに、振動の開始時刻と終了時刻を記載して送信し、他の無線通信装置10が検出した振動の開始時刻~終了時刻の区間と自らが検出した振動の開始時刻~終了時刻の区間に重なりがある場合に、変位の計算を要求するとしてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1…データ計測システム、10…無線通信装置、11…加速度センサ、12…データ保持部、13…制御部、14…振動検出部、15…変位計算部、16…通信部、17…条件入力部、20…基地局、30…データ収集装置、NT…基幹ネットワーク、SN…センサネットワーク。