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特開2022-142272情報出力装置、情報出力方法及び情報出力用プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022142272
(43)【公開日】2022-09-30
(54)【発明の名称】情報出力装置、情報出力方法及び情報出力用プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/36 20060101AFI20220922BHJP
   G06Q 30/02 20120101ALI20220922BHJP
   G06F 16/909 20190101ALI20220922BHJP
   G16Y 10/45 20200101ALI20220922BHJP
   G16Y 10/75 20200101ALI20220922BHJP
【FI】
G01C21/36
G06Q30/02 380
G06F16/909
G16Y10/45
G16Y10/75
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021042392
(22)【出願日】2021-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】特許業務法人 インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120189
【弁理士】
【氏名又は名称】奥 和幸
(72)【発明者】
【氏名】宮坂 峰輝
【テーマコード(参考)】
2F129
5B175
5L049
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129BB20
2F129BB21
2F129CC03
2F129DD38
2F129DD43
2F129EE02
2F129EE43
2F129EE87
2F129EE90
2F129EE91
2F129EE93
2F129FF15
2F129FF43
2F129FF60
2F129FF69
2F129GG17
2F129HH03
2F129HH04
2F129HH12
2F129HH18
2F129HH19
2F129HH20
2F129HH21
2F129HH29
5B175DA03
5B175HA01
5L049BB08
(57)【要約】
【課題】広告情報の過多による搭乗者の煩わしさや不愉快さを低減することが可能な情報出力装置等を提供する。
【解決手段】施設の属性を示す情報を含む第1提案を音声出力する音声案内部1と、第1提案に対する搭乗者の反応を検出する検出部2と、を備え、音声案内部1は、検出された反応が肯定的であった場合に、第1提案に含まれる属性を有し且つ予め設定された施設の名称を含む第2提案を音声出力する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設の属性を示す情報を含む第1情報を出力する第1出力手段と、
前記出力された第1情報に対するユーザの反応を検出する検出手段と、
前記検出された反応が肯定的であった場合に、前記第1情報に含まれる前記属性を有し且つ予め設定された施設の名称を含む第2情報を出力する第2出力手段と、
を備えることを特徴とする情報出力装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報出力装置において、
前記ユーザを撮像して得られた撮像情報又は当該ユーザの発話による発話情報の少なくともいずれか一方を取得する取得手段と、
前記取得されたいずれか一方に基づいて、前記ユーザに対して前記第1情報を出力するか否か判定する判定手段と、
を更に備え、
前記第1出力手段は、前記ユーザに対して前記第1情報を出力すると判定されたとき、当該第1情報を出力することを特徴とする情報出力装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の情報出力装置において、
前記ユーザによる前記施設の検索要求を取得する取得手段を更に備え、
前記第1出力手段は、前記取得された検索要求に基づいて前記第1情報を出力することを特徴とする情報出力装置。
【請求項4】
請求項1に記載の情報出力装置において、
移動する前記ユーザの位置と前記予め設定された施設の位置との関係を検出する位置関係検出手段を更に備え、
前記第1出力手段は、前記検出された関係に基づいて前記第1情報を出力することを特徴とする情報出力装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の情報出力装置において、
前記予め設定された施設は、予め設定された者との間で締結された契約関係を有する当該施設であることを特徴とする情報出力装置。
【請求項6】
第1出力手段と、検出手段と、第2出力手段と、を備える情報出力装置において実行される情報出力方法であって
施設の属性を示す情報を含む第1情報を前記第1出力手段により出力する第1出力工程と、
前記出力された第1情報に対するユーザの反応を前記検出手段により検出する検出工程と、
前記検出された反応が肯定的であった場合に、前記第1情報に含まれる前記属性を有し且つ予め設定された施設の名称を含む第2情報を前記第2出力手段により出力する第2出力工程と、
を含むことを特徴とする情報出力方法。
【請求項7】
コンピュータを、
施設の属性を示す情報を含む第1情報を出力する第1出力手段、
前記出力された第1情報に対するユーザの反応を検出する検出手段、及び、
前記検出された反応が肯定的であった場合に、前記第1情報に含まれる前記属性を有し且つ予め設定された施設の名称を含む第2情報を出力する第2出力手段、
として機能することを特徴とする情報出力用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、情報出力装置、情報出力方法及び情報出力用プログラムの技術分野に属する。より詳細には、例えば車両等の移動体の搭乗者に対して情報を出力する情報出力装置及び情報出力方法、並びに当該情報出力装置において用いられる情報出力用プログラムの技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両に搭載され、その車両の移動を案内するナビゲーション装置が一般化している。このようなナビゲーション装置では、移動の案内に加えて、移動途中の周辺に存在する店舗等の情報やその広告が、当該移動中にその搭乗者に対して提供されることがある。このような従来技術の一例を開示した先行技術文献としては、例えば下記特許文献1に記載された技術がある。
【0003】
この特許文献1には、車両に対して、その走行地域に応じた広告の提示を可能とすることを目的としたシステムが記載されている。そして、特許文献1に記載されたシステムでは、広告情報と提供範囲エリア情報とを対にした情報を放送メディアから提供し、現在位置が属している提供範囲エリアの提供範囲エリア情報に対して対とされている広告情報を、プッシュ型で提供する構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-215639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されているシステムでは、一の提供範囲エリアに対して多数の広告情報が対とされている場合は、車両の搭乗者が好むと好まざるとに拘わらずその広告情報が提供されることとなり、結果として、広告情報の過多によりその搭乗者において煩わしさや不愉快さを感じさせてしまう場合があると言う問題点がある。
【0006】
そこで、本願は上記の問題点に鑑みて為されたもので、その課題の一例は、広告情報の過多による搭乗者の煩わしさや不愉快さを低減することが可能な情報出力装置及び情報出力方法並びに当該情報出力装置において用いられる情報出力用プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、施設の属性を示す情報を含む第1情報を出力する第1出力手段と、前記出力された第1情報に対するユーザの反応を検出する検出手段と、前記検出された反応が肯定的であった場合に、前記第1情報に含まれる前記属性を有し且つ予め設定された施設の名称を含む第2情報を出力する第2出力手段と、を備える。
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項6に記載の発明は、第1出力手段と、検出手段と、第2出力手段と、を備える情報出力装置において実行される情報出力方法であって、施設の属性を示す情報を含む第1情報を前記第1出力手段により出力する第1出力工程と、前記出力された第1情報に対するユーザの反応を前記検出手段により検出する検出工程と、前記検出された反応が肯定的であった場合に、前記第1情報に含まれる前記属性を有し且つ予め設定された施設の名称を含む第2情報を前記第2出力手段により出力する第2出力工程と、を含む。
【0009】
上記の課題を解決するために、請求項7に記載の発明は、コンピュータを、施設の属性を示す情報を含む第1情報を出力する第1出力手段、前記出力された第1情報に対するユーザの反応を検出する検出手段、及び、前記検出された反応が肯定的であった場合に、前記第1情報に含まれる前記属性を有し且つ予め設定された施設の名称を含む第2情報を出力する第2出力手段、として機能する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態の情報出力装置の概要構成を示すブロック図である。
図2】第1実施例のナビゲーション装置の概要構成を示すブロック図である。
図3】第1実施例の情報提供処理を示すフローチャートである。
図4】第2実施例の情報提供処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本願を実施するための形態について、図1を用いて説明する。なお図1は、実施形態の情報出力装置の概要構成を示すブロック図である。
【0012】
図1に示すように、実施形態の情報出力装置Sは、第1出力手段1と、検出手段2と、第2出力手段2と、を備えて構成されている。
この構成において第1出力手段1は、施設の属性を示す情報を含む第1情報を出力する。
【0013】
一方検出手段2は、第1出力手段1により出力された第1情報に対するユーザの反応を検出する。
【0014】
そして第2出力手段3は、検出手段2により検出された反応が肯定的であった場合に、第1情報に含まれる属性を有し且つ予め設定された施設の名称を含む第2情報を出力する。
【0015】
以上説明したように、実施形態の情報出力装置Sの動作によれば、施設の属性を示す情報を含む第1情報に対するユーザの反応が肯定的であった場合に、当該属性を有し且つ既定の施設の名称を含む第2情報を出力する。
【0016】
よって、ユーザが所望しない場合に更なる第2情報の出力が為されないことで、情報の過多によるユーザの煩わしさや不愉快さを低減することができる。
【実施例0017】
次に、上述した実施形態に対応する具体的な実施例について、図2乃至図4を用いて説明する。なお以下に説明する各実施例は、例えば既定のルートに沿った車両の移動案内を行う際に、当該車両が立ち寄ることができるルート近辺の施設に関する情報を当該車両の搭乗者等に提供する情報提供処理に本願を適用した場合の実施例である。
【0018】
(I)第1実施例
初めに、上記実施形態に対応する第1実施例について、図2及び図3を用いて説明する。なお、図2は第1実施例のナビゲーション装置の概要構成を示すブロック図であり、図3は第1実施例の情報提供処理を示すフローチャートである。このとき図2では、図1に示した実施形態の情報出力装置Sにおける各構成部材に対応する実施例の構成部材それぞれについて、当該情報出力装置Sにおける各構成部材と同一の部材番号を用いている。
【0019】
図2に示すように、上記車両に搭載されている実施例のナビゲーション装置Tは、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等からなる処理部10と、HDD(Hard Disc Drive)又はSSD(Solid State Drive)等からなる不揮発性の記録部11と、操作ボタン又はリモコン等からなる操作部12と、マイク13と、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)撮像素子等からなるカメラ14と、GNSS(Global Navigation Satellite System)又は自立航法システム等を構成するセンサ部15と、液晶ディスプレイ等からなるディスプレイ16と、スピーカ17と、インターフェース18と、により構成されている。
【0020】
また、処理部10は、音声案内部1と、検出部2と、案内制御部3と、により構成されている。このとき、音声案内部1、検出部2及び案内制御部3は、処理部10を構成する上記CPU等のハードウエアロジック回路により実現されてもよいし、後述する第1実施例の情報提供処理を示すフローチャートに対応するプログラムを記録部11から読み出して実行することにより、ソフトウェア的に実現されてもよい。そして、音声案内部1が実施形態の第1出力手段1の一例及び第2出力手段3の一例並びに本願の「判定手段」の一例にそれぞれ相当し、検出部2が実施形態の検出手段2の一例及び本願の「位置関係検出手段」の一例にそれぞれ相当する。また、マイク13が本願の「取得手段」の一例に相当する。更に、図2に破線で示す通り、音声案内部1及び検出部2により実施形態の情報出力装置Sの一例を構成している。
【0021】
以上の構成において、記録部11には、第1実施例の情報提供処理に必要な上記プログラムや地図データ又は音声データ等が不揮発性に記録されており、必要に応じて処理部10により読み出される。またマイク13は、処理部10の制御の下、上記搭乗者の発話を含む車両内の音を集音し、その集音結果に相当する音データを処理部10に出力する。更にカメラ14は、処理部10の制御の下、ナビゲーション装置Tが搭載されている車両の搭乗者(運転者及び同乗者を含む。以下、同様。)の顔又はその身体の上半身等をその撮像範囲とし、その撮像結果に相当する画像データを処理部10に出力する。更にまたセンサ部15は、処理部10の制御の下、上記GNSS等を用いて、ナビゲーション装置Tが搭載されている車両の現在位置、速度及び進行方向等を検出し、その検出結果を示す検出データを生成して処理部10に出力する。
【0022】
一方スピーカ17は、処理部10の制御の下、第1実施例の情報提供処理のための音又は音声をナビゲーション装置Tが搭載されている車両の車内に放音し、ディスプレイ16は、処理部10の制御の下、第1実施例の情報提供処理を含む車両の案内処理に必要な地図等を表示する。更にインターフェース18は、処理部10の制御の下、上記案内処理に必要な渋滞情報等のデータの、インターネット等の外部ネットワークとの間の授受を制御する。これらにより処理部10は、ナビゲーション装置Tを構成する記録部11等の各部材を制御しつつ、第1実施例の情報提供処理を含むナビゲーション装置Tとしての処理を統轄して実行する。
【0023】
ここで、第1実施例の情報提供処理は、車両の搭乗者により所望される目的地等までのルートが予め設定されている案内処理の一環として実行される処理である。この案内処理として処理部10及びその案内制御部3は、上記センサ部15等を制御することにより、当該ルートに沿った車両の移動を、スピーカ17からの案内音声又はディスプレイ16における表示により案内する。
【0024】
一方記録部11には、上記地図データとして、各種施設に関する施設情報であって、第1実施例の情報提供処理に用いられる施設情報が予め記録されている。このとき、当該施設情報は階層的な構造を有しており、一の施設には、それが属するジャンル(すなわち属性)に関連付けられている。
【0025】
より具体的には、例えば、「□□レストラン××店」という一つの施設(店舗)としてのファミリーレストランがある場合、それに対応する上記施設情報としては、上位の階層から順に、例えば、「グルメ」→「レストラン」→「ファミリーレストラン」→「□□レストラングループ」→「□□レストラン××店」といった、その属性による階層構造を有する施設情報が予め記録されている。そして、具体的な店舗である「□□レストラン××店」の施設情報として、その店舗(施設)の住所、位置、席数、駐車場の有無、メニュー等の情報が予め記録されている。
【0026】
また他の具体的な例としては、例えば、「◎◎珈琲■■店」という一つの施設としての珈琲ショップがある場合、それに対応する上記施設情報としては、上位の階層から順に、例えば、「グルメ」→「珈琲ショップ」→「◎◎珈琲チェーン」→「◎◎珈琲■■店」なる施設情報が記録されている。そして、具体的な店舗である「◎◎珈琲■■店」の施設情報として、その店舗(施設)の住所、位置、駐車場の有無、メニュー等の情報が記録されている。
【0027】
更に他の具体的な例としては、例えば、「●●ストア△△店」という一つの施設としてのコンビニエンスストアがある場合、それに対応する上記施設情報としては、上位の階層から順に、例えば、「店舗」→「コンビニエンスストア」→「●●ストアチェーン」→「●●ストア△△店」なる施設情報が記録されている。そして、具体的な店舗である「○○ストア△△店」の施設情報として、その店舗(施設)の住所、位置、駐車場の有無、商品等の情報が記録されている。
【0028】
更にまた、上記各施設は、例えばその住所及び名称を手掛かりとして、「都道府県」→「市町村」→「番地」→「(具体的な名称)」の順に検索が可能とされている。
【0029】
また、第1実施例の施設情報では、予め設定された契約関係にある施設と、そのような施設以外の施設とが、識別可能とされている。このとき、上記既定の契約関係にある施設とは、例えば、その施設の広告を適時且つ他の施設に優先させてディスプレイ16に表示したりスピーカ17から放音したりすることが予め契約されている施設である。そして以下の説明では、上記既定の契約関係にある施設を単に「契約施設」と称し、当該契約関係にない施設を単に「非契約施設」と称する。このとき、例えば珈琲ショップであっても、上記契約関係にある会社が経営する(すなわち契約施設たる)珈琲ショップである「◎◎珈琲チェーン」の店舗(施設)と、当該契約関係にない会社が経営する(すなわち非契約施設たる)珈琲ショップである「×◎珈琲チェーン」の店舗(施設)と、は、施設情報として識別可能とされている。
【0030】
以上のような第1実施例の施設情報については、上述したように記録部11に予め記録されていてもよいし、第1実施例の情報提供処理が実行される度に、必要に応じてインターフェース18を介して上記外部ネットワークから取得するように構成してもよい。
【0031】
そして、上記第1実施例の施設情報を用いた第1実施例の情報提供処理において、処理部10の検出部2は、初めに、上記マイク13からの上記音データ及び上記カメラ14からの上記画像データをそれぞれ取得する。そして検出部2は、当該画像データに基づいて搭乗者の顔の表情又は身体の動作等を検出する。これらにより検出部2及び処理部10は、搭乗者の音声或いは上記表情又は動作に基づいて、搭乗者が何らかの施設の検索を要求しているか否かを判定する。そして、搭乗者が当該検索を要求していると判定されたとき、音声案内部1は、検索が要求されている施設の属性を含む第1提案を、スピーカ17を介して音声より出力する。次に検出部2は、音声により出力されている第1提案に対する搭乗者の反応を、上記音データ及び/又は上記画像データに基づいて検出する。このとき検出される反応は、上記施設の検索要求を発した搭乗者の、上記第1提案に対する反応である。
【0032】
そして、上記検出された反応に、例えば肯定的な意味を有する言葉が含まれていたり、或いは肯定的な動作等が含まれていたりした場合、音声案内部2は、上記第1提案に含まれていた属性の施設のより具体的な名称を含む第2提案を、スピーカ17を介して音声により出力する。これにより音声案内部1は、上記検索要求に叶った属性を有する上記施設の名称を具体的に搭乗者に提案することになる。この場合に提案される施設の中には、上記契約施設又は上記非契約施設のいずれかが含まれる。
【0033】
その後検出部2は、上記音データに基づいて、上記第2提案に対する例えば搭乗者の音声により、当該第2提案により提案された名称を有する施設への車両の案内要求が為されたか否かを検出する。そして当該案内要求が成された場合、案内制御部3は、第1実施例の情報提供処理を含む第1実施例の案内処理として、例えば上記検出データに基づいて、当該搭乗者が搭乗している車両の移動を、上記案内要求に対応する施設を目的地として、音声及びディスプレイ16に表示される地図等を用いて案内する。
【0034】
次に、処理部10を中心とした第1実施例の情報提供処理について、具体的に図2及び図3を用いて説明する。なお、第1実施例に係る案内処理は、例えば予め設定された目的地等への車両の移動案内中において、例えば予め設定された時間ごとに例えばいわゆる割込処理として開始される。
【0035】
対応するフローチャートを図3に示すように、第1実施例の情報提供処理が開始されると、検出部2及び処理部10は、搭乗者の上記音声及びその表情又は動作に基づいて、搭乗者が何らかの施設の検索を要求しているか否かを判定する(ステップS1)。より具体的に、例えば、「のどが渇いたね」や「お腹空いた」といった、直接的又は具体的な施設の検索要求でなくとも「何らかの施設に立ち寄りたいこと」を意味する音声が発せられた場合、検出部2及び処理部10は、それを施設の検索が要求されていると判定する(ステップS1:YES)。一方、ステップS1の判定において、いずれの検索要求もされていない場合(ステップS1:NO)、処理部10は後述するステップS6に移行する。
【0036】
他方、上記ステップS1の判定において、何らかの施設に立ち寄りたい主旨の検索要求がされた場合(ステップS1:YES)、音声案内部1は、当該検索が要求されている施設の属性を含む上記第1提案を、スピーカ17を介して音声により出力する(ステップS2)。
【0037】
このとき、ステップS1の判定において上記「のどが渇いたね」の音声が発声されている場合は、その発声内容に「のど」及び「渇いた」の単語が含まれていることから、検出部2は、搭乗者が飲み物を欲していると判定する(ステップS1:YES参照)。これにより音声案内部1は、飲み物を購入するために立ち寄るべき施設の属性を含んだ例えば「珈琲ショップに寄って行きませんか?」なる上記第1提案を、音声により出力(放音)する。一方、上記「お腹空いた」の音声が発声されている場合は、その発声内容に「お腹」及び「空いた」の単語が含まれていることから、検出部2は、搭乗者が食べ物を欲していると判定する(ステップS1:YES参照)。これにより音声案内部1は、食べ物を購入するために立ち寄るべき施設の属性を含んだ例えば「コンビニに寄って行きませんか?」なる上記第1提案を、音声により出力(放音)する。
【0038】
次に検出部2は、音声により出力されている上記第1提案に対する搭乗者の反応を、上記音データ及び/又は画像データに基づいて検出する(ステップS3)。その後検出部2は、ステップS3で検出された反応が肯定的な反応であったか否かを、上記音データ及び/又は画像データに基づいて判定する(ステップS4)。より具体的に検出部2は、例えば搭乗者の「いいね!」といった音声や頷き動作又はサムアップ動作等が上記反応として検出された場合には、当該反応が肯定的であったと判定する(ステップS4:YES)。これに対して、上記肯定的な音声や動作ではない否定的な音声や動作が検出されたか、又は無反応であった場合(ステップS4:NO)、検出部2及び処理部10は、後述するステップS6に移行する。
【0039】
ステップS4の判定において、ステップS3で検出された反応が肯定的であった場合、音声案内部1は次に、ステップS2で出力された第1提案に含まれていた属性の施設のより具体的な名称(例えば、「◎◎珈琲■■店」なる名称)を含む第2提案を、スピーカ17を介して音声により出力する(ステップS5)。
【0040】
このとき、ステップS5の動作として具体的に、音声案内部1及び処理部10は、記録部11に記録されている上記施設情報を参照し、上記第1提案に含まれていた属性の施設として契約施設と非契約施設の双方があり、且つ、上記搭乗者が搭乗している車両の現在位置及びその進行方向から見てそれら二種類の施設が同じ条件下にある場合(例えば、車両の現在位置から各施設が同じ距離にあるか、又は同じ所要時間で到達できる位置にある場合)、音声案内部1は、非契約施設に優先させて契約施設の具体的な名称を含む第2提案を、音声により出力する。
【0041】
ここで、上記第2提案の音声出力に際し、契約施設が非契約施設に対して悪い条件下にある場合(具体的に例えば、車両の現在位置及び進行方向から見て契約施設の方が非契約施設よりも遠い場合)があり得る。しかしながらこのような場合であっても、その距離差又は到達時間差が予め設定された閾値以下である場合には、音声案内部1が、契約施設を非契約施設に優先してその具体的な名称を第2提案として音声出力するように構成してもよい。この場合の既定の閾値を決める要素としては、車両の存在している地域の道路事情や渋滞状態、或いはその時の天候や移動の目的等を考慮して予め設定されているのが好適である。
【0042】
上記ステップS5により第2提案が音声出力された後、案内制御部3及び処理部10は、音声出力された第2提案に対する搭乗者の反応及びその内容を、例えば上記ステップS3及び上記ステップS4と同様の方法でそれぞれ検出し、各検出結果に応じて車両の移動を案内する。例えば、第2提案に名称が含まれていた施設に実際に案内すべき旨の搭乗者の反応が得られた場合、案内制御部3は当該名称が含まれていた施設を目的地とした車両の移動を案内する。
【0043】
その後、案内制御部3は、車両が当該目的地に到達したか否かを判定し(ステップS6)、当該目的地に到達した場合には(ステップS6:YES)、第1実施例の情報提供処理を終了する。これに対し、当該目的地に未到着の場合(ステップS6:NO)、処理部10は上記ステップS1に戻って新たな検索要求の有無を判定する。
【0044】
以上説明したように、第1実施例の情報提供処理によれば、施設の属性を含む第1提案(ステップS2)に対する搭乗者の反応が肯定的であった場合に(ステップS3及びステップS4:YES参照)、当該属性を有し且つ契約施設の名称を含む第2提案を音声出力するので、搭乗者が所望しない場合に(ステップS4:NO参照)更なる第2提案の音声出力が為されないことで、提案される情報の過多による搭乗者の煩わしさや不愉快さを低減することができる。
【0045】
また、搭乗者を撮像した画像データ又は搭乗者の音声を含む音データの少なくともいずれか一方を取得し、それに基づいて搭乗者に対して第1提案を音声出力するか否か判定し(図3ステップS1参照)、第1提案を音声出力すると判定されたとき(図3ステップS1:YES)それを出力するので、搭乗者に意識させることなく(換言すれば、明示的な検索要求が為されなかった場合でも)、必要な第1提案を音声により自然に出力することができる。
【0046】
更に、非契約施設に優先して既定の契約施設を第2提案の対象とする場合は、明示的な検索要求がない場合でも、無理なく自然に当該契約施設を搭乗者に認識させることができる。
【0047】
なお、第1実施例の情報提供処理では、施設の検索要求であると認識可能な何らかの検索要求があった場合に(図3ステップS1:YES参照)第1提案を音声出力することとした。しかしながらこれ以外に、例えば施設の属性を示す用語を含む明示的な検索要求(例えば、「食べ物を買えるお店を教えて?」又は「飲み物を買える場所に案内して」といった施設の属性を明示した検索要求)が検出部2により検出された場合に、当該検索要求により示されている属性に対応した第1提案を音声出力するように構成してもよい。この場合には、搭乗者による施設の検索要求に基づいて第1提案が音声出力されるので、搭乗者の要求に応じて必要な第1提案を音声出力することができる。
【0048】
(II)第2実施例
次に、上記実施形態に対応する他の実施例である第2実施例について、図2及び図4を用いて説明する。なお図4は第2実施例の情報提供処理を示すフローチャートである。また、第2実施例のナビゲーション装置のハードウエア的な構成は、基本的には第1実施例のナビゲーション装置Tと同一である。更に、第2実施例の情報提供処理に供される施設情報の内容は、第1実施例の情報提供処理に供される施設情報の内容と同一である。よって以下の説明では、第2実施例のナビゲーション装置の構成部材について、第1実施例のナビゲーション装置Tの構成部材と同一の部材については、同一の部材番号を付して細部の説明を省略する。また、第2実施例の情報提供処理について、第1実施例の情報提供処理と同一の処理(ステップ)については、同一のステップ番号を付して細部の説明を省略する。
【0049】
上述した第1実施例の情報提供処理では、搭乗者からの無意の(すなわち「なにげない」)検索要求又は有意の検索要求があった場合(図3ステップS1参照)に第1提案を音声出力し、また、契約施設に関する第2提案を非契約施設に関する第2提案よりも優先して(図3ステップS5参照)音声出力する構成とした。これに対し、第2実施例の情報提供処理では、第1提案を音声出力する契機として契約施設の位置と車両の現在位置との関係に基づかせると共に、第2提案としては当該契約施設のみを示す音声を出力する。なお、第2実施例の情報提供処理が開始されるタイミングは、第1実施例の情報提供処理が開始されるタイミングと同一である。
【0050】
より具体的に、対応するフローチャートを図4に示すように、第2実施例の情報提供処理が開始されると、検出部2は、上記施設情報及び上記検出データに基づいて、上記契約施設としての具体的な施設又は店舗のいずれかが、第2実施例のナビゲーション装置が搭載されている車両の現在位置から見て到達可能な位置にあるか否かを検索する(ステップS10)。その後、当該検索の結果として、車両が、当該具体的な施設又は店舗のいずれかに接近したか否かを判定する(ステップS11)。ステップS11の判定において、車両が上記具体的な施設又は店舗のいずれかに接近していない場合(ステップS11:NO)、処理部10は後述するステップS6に移行する。
【0051】
一方、ステップS11の判定において、車両が、当該具体的な施設又は店舗のいずれかに接近した場合(ステップS11:YES)、音声案内部1は、第2実施例の第1提案を、スピーカ17を介して音声により出力する(ステップS12)。
【0052】
このとき、上記第2実施例の第1提案では、契約施設としての「□□レストラングループ」の「××店」に車両が接近した場合、「お腹空きませんか?食事できる場所が近くにありますよ。」なる第1提案を音声により出力(放音)する。また、契約施設としての「◎◎珈琲チェーン」の「■■店」に車両が接近した場合、「のどが渇きませんか?美味しい珈琲を飲める場所が近くにありますよ。」なる第1提案を音声により出力(放音)する。
【0053】
その後検出部2及び処理部10は、ステップS12の第1提案に対するユーザの反応を、第1実施例の情報提供処理と同様にして検出する(ステップS3及びステップS4)。そして、第1提案に対するユーザの反応が肯定的であった場合(ステップS4:YES)、音声案内部1は、現在車両が接近している契約施設の具体的な名称を含む第2提案を、スピーカ17を介して音声により出力する(ステップS13)。
【0054】
このとき、ステップS13の動作として具体的に、音声案内部1は、契約施設としての「□□レストラングループ」の「××店」に車両が接近している場合(ステップS11:YES参照)は、「□□レストラン××店が近くにあります。いかがですか?」なる第2提案を音声により出力(放音)する。また、契約施設としての「◎◎珈琲チェーン」の「■■店」に車両が接近している場合(ステップS11:YES参照)は、「◎◎珈琲■■店が近くにあります。いかがですか?」なる第2提案を音声により出力(放音)する。なお、第2実施例の第2提案の音声出力の前に又は当該音声出力と並行して、当該第2提案が契約施設の広告を含むことを、音声又はディスプレイ16上の画像表示により搭乗者に明示するように構成してもよい。
【0055】
上記ステップS13により第2提案が音声出力された後、案内制御部3及び処理部10は、第1実施例の情報提供処理と同様の搭乗者の反応及びその内容の検出、並びに当該検出結果に応じた車両の移動案内を行う。その後処理部10は、第1実施例の情報提供処理と同様のステップS6に移行する。
【0056】
以上説明したように、第2実施例の情報提供処理によれば、契約施設の属性を含む第1提案(ステップS12)に対する搭乗者の反応が肯定的であった場合に(ステップS3及びステップS4:YES参照)、当該属性を有し且つ契約施設の名称を含む第2提案を音声出力するので、搭乗者が所望しない場合に(ステップS4:NO参照)更なる第2提案の音声出力が為されないことで、提案される情報の過多による搭乗者の煩わしさや不愉快さを低減することができる。
【0057】
また、移動する車両の位置と契約施設との位置関係に基づいて第1提案を音声出力するので、契約施設の存在を搭乗者に無理なく自然に認識させることができる。
【0058】
なお、上述した各実施例は、搭乗者が車両(四輪車)に登場している場合について説明したが、これ以外に、二輪車又は自転車に搭載されたナビゲーション装置による当該二輪車又は自転車の移動の案内処理中の情報提供処理、或いは、人が携帯する携帯型端末装置による当該人の徒歩移動の案内処理中の情報提供処理に対して各実施例の案内処理を適用することも可能である。
【0059】
また、上述した各実施例における処理部10及び記録部11としての情報提供処理を、インターネット等のネットワークを介して各車両に搭載されているナビゲーション装置と接続されたサーバ装置において実行してもよい。この場合は、各車両のナビゲーション装置に備えられているマイク、カメラ及びセンサ部からの上記音データ、上記画像データ及び上記検出データを当該サーバ装置にそれぞれ送信して当該情報提供処理に供させると共に、当該サーバ装置からの制御に基づいて第1提案に相当する音声及び第2提案に相当する音声を各ナビゲーション装置のスピーカを用いて放音させるように構成するのが好適である。
【0060】
更にまた、図3又は図4に示したフローチャートに相当するプログラムを、光ディスク又はハードディスク等の記録媒体に記録しておき、或いはインターネット等のネットワークを介して取得しておき、これを汎用のマイクロコンピュータ等に読み出して実行することにより、当該マイクロコンピュータ等を各実施例の処理部10として機能させることも可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 第1出力手段(音声案内部)
2 検出手段(検出部)
3 第2出力手段
10 処理部
13 マイク
14 カメラ
17 スピーカ
T ナビゲーション装置
図1
図2
図3
図4