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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022142284
(43)【公開日】2022-09-30
(54)【発明の名称】現場吹付け型発泡機
(51)【国際特許分類】
   B29C 44/34 20060101AFI20220922BHJP
   C08G 18/00 20060101ALI20220922BHJP
   B29C 39/22 20060101ALI20220922BHJP
   B29C 39/02 20060101ALI20220922BHJP
   B29C 44/00 20060101ALI20220922BHJP
   B29C 44/02 20060101ALI20220922BHJP
   B29K 105/04 20060101ALN20220922BHJP
【FI】
B29C44/34
C08G18/00 F
B29C39/22
B29C39/02
B29C44/00 A
B29C44/02
B29K105:04
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021042406
(22)【出願日】2021-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000117102
【氏名又は名称】旭有機材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078190
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 三千雄
(74)【代理人】
【識別番号】100115174
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 正博
(72)【発明者】
【氏名】関 浩之
【テーマコード(参考)】
4F204
4F214
4J034
【Fターム(参考)】
4F204AA42
4F204AB02
4F204AC05
4F204AG20
4F204AJ08
4F204AR15
4F204EA01
4F204EB01
4F204EF23
4F204EK26
4F214AA42
4F214AB02
4F214AC05
4F214AH20
4F214AJ08
4F214AR15
4F214UA01
4F214UB01
4F214UD26
4F214UF23
4J034NA01
4J034PA01
4J034PA05
4J034QC01
4J034RA10
(57)【要約】
【課題】第一の液体及び第二の液体を原料として用いる現場吹き付け型発泡機であって、吹付け作業終了後に廃棄処分に供される、常温で気化可能な発泡剤を含む第一又は第二の液体の量を、効果的に削減することが可能な発泡機を提供すること。
【解決手段】ポリイソシアネートを含む第一の液体とポリオール及び/又は有機リン酸エステルを含む第二の液体とを原料として用いる現場吹き付け型発泡機において、常温で気化可能な発泡剤を供給するための発泡剤供給ユニットを、第一及び第二の液体の混合位置よりも上流側に位置する第一又は第二の供給系統に対して、混合位置から5mを超えて離隔することのない部位において接続し、発泡剤を第一又は第二の液体に混入せしめるよう構成した。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイソシアネートを含む第一の液体を圧送する第一の供給系統と、ポリオール及び/又は有機リン酸エステルを含む第二の液体を圧送する第二の供給系統と、それら第一及び第二の供給系統からそれぞれ供給される第一及び第二の液体を混合して、噴射する噴射装置と、を有する現場吹付け型発泡機にして、
前記第一又は第二の供給系統に接続されて、発泡剤タンクから供給される常温で気化可能な発泡剤を、該第一又は第二の供給系統に導く発泡剤供給流路と;該発泡剤供給流路を通じて、該第一又は第二の供給系統に供給される発泡剤の圧力を検出する圧力計と;該発泡剤供給流路を通じて、該第一又は第二の供給系統に供給される発泡剤の流量を制御する流量調節弁と;該流量調節弁を制御する制御装置と、を少なくとも備える発泡剤供給ユニットを有しており、
前記発泡剤供給ユニットにおける発泡剤供給流路が、前記第一の供給系統を構成する第一の液体圧送路又は前記第二の供給系統を構成する第二の液体圧送路に対して、前記第一及び第二の液体の混合位置よりも上流側に位置し、且つ該混合位置から5mを超えて離隔することのない部位において、着脱可能に接続せしめられている、
ことを特徴とする現場吹付け型発泡機。
【請求項2】
前記発泡剤供給流路上に、該発泡剤供給流路内に流通せしめられる発泡剤を冷却するための冷却手段が設けられている請求項1に記載の現場吹付け型発泡機。
【請求項3】
前記第一の供給系統を構成する第一の液体圧送路又は第二の供給系統を構成する第二の液体圧送路における、前記発泡剤供給流路の接続点よりも上流側の部位に、該液体圧送路内にて圧送される前記第一又は第二の液体の圧力を検出して、その検出信号を出力し、前記制御装置に入力せしめる液体圧力検出手段が設けられている請求項1又は請求項2に記載の現場吹付け型発泡機。
【請求項4】
前記制御装置が、前記発泡剤供給流路の接続される前記第一又は第二の供給系統において圧送される前記第一又は第二の液体の圧力よりも、前記圧力計にて検出される発泡剤供給圧力の方が高くなるように、前記流量調節弁を制御する請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の現場吹付け型発泡機。
【請求項5】
前記第一の供給系統を構成する第一の液体圧送路又は第二の供給系統を構成する第二の液体圧送路における、前記発泡剤供給流路の接続点よりも下流側の部位に、ミキサが配設されて、該液体圧送路内を圧送せしめられる前記第一又は第二の液体と該発泡剤供給流路を通じて供給される発泡剤とが混合せしめられるようになっている請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の現場吹付け型発泡機。
【請求項6】
前記第一又は第二の供給系統と前記発泡剤供給流路とが、三方管継手を用いて接続されており、該三方管継手の二つの接続口が、該第一の供給系統を構成する第一の液体圧送路又は第二の供給系統を構成する第二の液体圧送路に接続せしめられて、該三方管継手にて該液体圧送路の一部を構成している一方、かかる三方管継手の残りの一つの接続口に対して、該発泡剤供給流路が、着脱可能に接続されている請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の現場吹付け型発泡機。
【請求項7】
前記発泡剤供給ユニットが、移動可能な台車上に設置されている請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の現場吹付け型発泡機。
【請求項8】
前記発泡剤供給ユニットにおける前記発泡剤供給流路の少なくとも一部を、熱伝導率が10W/mK以上である材質からなる熱伝導管にて構成し、該熱伝導管上に、前記冷却手段が配設されている請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の現場吹付け型発泡機。
【請求項9】
前記発泡剤供給ユニットにおける前記発泡剤供給流路に対して、前記流量調節弁よりも上流側に位置するように、アキュムレータが接続、配置されており、該発泡剤供給流路内を導かれる発泡剤が、該アキュムレータ内に流入せしめられ得るようになっている請求項1乃至請求項8の何れか1項に記載の現場吹付け型発泡機。
【請求項10】
前記発泡剤供給ユニットの前記発泡剤供給流路における、前記流量調節弁よりも上流側の部位に、前記発泡剤タンクから導かれる発泡剤を送出するポンプが設けられており、該ポンプのポンプ作動が前記制御装置にて制御され、前記圧力計にて検出される発泡剤供給圧力が調整されるようになっている請求項1乃至請求項9の何れか1項に記載の現場吹付け型発泡機。
【請求項11】
前記発泡剤タンクに対してヒータが取り付けられており、該ヒータによる発泡剤タンクの加熱が前記制御装置にて制御され、前記圧力計にて検出される発泡剤供給圧力が調整されるようになっている請求項1乃至請求項9の何れか1項に記載の現場吹付け型発泡機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現場吹付け型発泡機に係り、特に、ポリウレタンフォームやポリイソシアヌレートフォームの吹付け発泡現場において使用される、被着体に対してフォーム原料を吹き付ける発泡機の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、建築物の壁面や天井等の被着体(対象物)に対して、ポリイソシアネートを原料とする所定の樹脂層、例えば、ポリウレタンフォームやポリイソシアヌレートフォームの被覆層を所定厚さで形成すべく、その施工現場に持ち込まれて、使用される現場吹付け型発泡機として、ポリイソシアネートを含む第一の液体を圧送する第一の供給系統と、ポリオールや有機リン酸エステルの少なくとも何れか一方を含む第二の液体を圧送する第二の供給系統と、それら第一及び第二の供給系統からそれぞれ供給される第一及び第二の液体を混合して、噴射する噴射装置とを有する構造の装置が、知られており、例えば、特許文献1(特開2013-151124号公報)には、その一例が、明らかにされている。
【0003】
また、ポリウレタンフォームやポリイソシアヌレートフォーム等のフォーム(発泡体)を製造するに際しては、従来はフロン系の発泡剤が広く用いられていたが、オゾン層の破壊、地球温暖化係数が高い等の問題から、現在ではフロン系以外の種々の発泡剤が使用されている。そのような発泡剤の一つとして二酸化炭素が知られているところ、二酸化炭素を発泡剤として使用する場合、反応系内に定量的に添加可能であること等の理由より、液状の二酸化炭素が広く使用されているのであり、そして特許文献1の図1には、液化二酸化炭素ボンベ20から延びる配管72が、ポリオール成分が流れる配管74に接続されて、ボンベ20内に収容されている液化二酸化炭素を配管74に供給可能に構成されている、ポリウレタンフォーム製造装置10が明らかにされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-151124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、液状の二酸化炭素を発泡剤として用いてポリウレタンフォームやポリイソシアヌレートフォームを製造するに当たり、液状の二酸化炭素はフォーム原料(ポリイソシアネートを含む液体、若しくはポリオール及び/又は有機リン酸エステルを含む液体)に添加されることとなるが、液状の二酸化炭素は常温で容易に気化可能であるところから、そのような液状の二酸化炭素を含むフォーム原料の長期保存は困難である。それ故に、吹付け作業の終了後、発泡機内に残留する、液状の二酸化炭素が添加されたフォーム原料は、廃棄処分に供されることが一般的である。また、従来より使用されている現場吹付け型発泡機にあっては、第一の液体や第二の液体を収容するタンクや、それらの液体を汲み上げ、圧送するための各種ポンプ等の機器を含む装置全体が、その重量が重いものであることに加えて、広範な領域における吹付け作業や、高い建物に対する吹付け作業、更には狭い場所における吹付け作業等における作業性を考慮して、重い装置本体から、スプレーガン等の噴射装置に至る第一及び第二の供給系統における液体流路が、100m、或いはそれ以上の長さの可撓性のホースにて、構成される場合がある。
【0006】
従って、特許文献1に開示のポリウレタンフォーム製造装置10の如き、液化二酸化炭素を供給する配管72とポリオール成分が流れる配管74との接続点からスプレーガン14に至るまでの経路が比較的長い発泡機にあっては、作業終了後に廃棄される、二酸化炭素を含むポリオールの量は必然的に多くなるのであり、配管74やヒータホース124の長さが長くなるに従って、廃棄するポリオールの量が増加することは避けられない。大量のフォーム原料の廃棄は、材料ロスの発生と共に廃棄処理にも手間がかかり、作業コスト(吹付け施工のコスト)を悪化させる一因となる問題を内在しているが、この点に関して、従来は何等の顧慮も払われていなかったのである。
【0007】
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決すべき課題とするところは、ポリイソシアネートを含む第一の液体とポリオール及び/又は有機リン酸エステルを含む第二の液体とを混合せしめ、かかる混合物を被着体に対して吹き付ける現場吹付け型発泡機であって、吹付け作業の終了後に廃棄処分が必要な、常温で気化可能な発泡剤を含む第一又第二の液体の量が、効果的に削減される発泡機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして、本発明は、上記した課題を解決するために、以下に列挙せる如き各種の態様において、好適に実施され得るものである。なお、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに何等限定されることなく、明細書の記載から把握され得る発明思想に基づいて認識され得るものであることが、理解されるべきである。
【0009】
(1) ポリイソシアネートを含む第一の液体を圧送する第一の供給系統と、ポリオール 及び/又は有機リン酸エステルを含む第二の液体を圧送する第二の供給系統と、そ れら第一及び第二の供給系統からそれぞれ供給される第一及び第二の液体を混合し て、噴射する噴射装置と、を有する現場吹付け型発泡機にして、前記第一又は第二 の供給系統に接続されて、発泡剤タンクから供給される常温で気化可能な発泡剤を 、該第一又は第二の供給系統に導く発泡剤供給流路と;該発泡剤供給流路を通じて 、該第一又は第二の供給系統に供給される発泡剤の圧力を検出する圧力計と;該発 泡剤供給流路を通じて、該第一又は第二の供給系統に供給される発泡剤の流量を制 御する流量調節弁と;該流量調節弁を制御する制御装置と、を少なくとも備える発 泡剤供給ユニットを有しており、前記発泡剤供給ユニットにおける発泡剤供給流路 が、前記第一の供給系統を構成する第一の液体圧送路又は前記第二の供給系統を構 成する第二の液体圧送路に対して、前記第一及び第二の液体の混合位置よりも上流 側に位置し、且つ該混合位置から5mを超えて離隔することのない部位において、 着脱可能に接続せしめられている、ことを特徴とする現場吹付け型発泡機。
(2) 前記発泡剤供給流路上に、該発泡剤供給流路内に流通せしめられる発泡剤を冷却 するための冷却手段が設けられている前記態様(1)に記載の現場吹付け型発泡機 。
(3) 前記第一の供給系統を構成する第一の液体圧送路又は第二の供給系統を構成する 第二の液体圧送路における、前記発泡剤供給流路の接続点よりも上流側の部位に、 該液体圧送路内にて圧送される前記第一又は第二の液体の圧力を検出して、その検 出信号を出力し、前記制御装置に入力せしめる液体圧力検出手段が設けられている 前記態様(1)又は前記態様(2)に記載の現場吹付け型発泡機。
(4) 前記制御装置が、前記発泡剤供給流路の接続される前記第一又は第二の供給系統 において圧送される前記第一又は第二の液体の圧力よりも、前記圧力計にて検出さ れる発泡剤供給圧力の方が高くなるように、前記流量調節弁を制御する前記態様(
1)乃至前記態様(3)の何れか1つに記載の現場吹付け型発泡機。
(5) 前記第一の供給系統を構成する第一の液体圧送路又は第二の供給系統を構成する 第二の液体圧送路における、前記発泡剤供給流路の接続点よりも下流側の部位に、 ミキサが配設されて、該液体圧送路内を圧送せしめられる前記第一又は第二の液体 と該発泡剤供給流路を通じて供給される発泡剤とが混合せしめられるようになって いる前記態様(1)乃至前記態様(4)の何れか1つに記載の現場吹付け型発泡機 。
(6) 前記第一又は第二の供給系統と前記発泡剤供給流路とが、三方管継手を用いて接 続されており、該三方管継手の二つの接続口が、該第一の供給系統を構成する第一 の液体圧送路又は第二の供給系統を構成する第二の液体圧送路に接続せしめられて 、該三方管継手にて該液体圧送路の一部を構成している一方、かかる三方管継手の 残りの一つの接続口に対して、該発泡剤供給流路が、着脱可能に接続されている前 記態様(1)乃至前記態様(5)の何れか1つに記載の現場吹付け型発泡機。
(7) 前記発泡剤供給ユニットが、移動可能な台車上に設置されている前記態様(1) 乃至前記態様(6)の何れか1つに記載の現場吹付け型発泡機。
(8) 前記発泡剤供給ユニットにおける前記発泡剤供給流路の少なくとも一部を、熱伝 導率が10W/mK以上である材質からなる熱伝導管にて構成し、該熱伝導管上に 、前記冷却手段が配設されている前記態様(1)乃至前記態様(7)の何れか1つ に記載の現場吹付け型発泡機。
(9) 前記発泡剤供給ユニットにおける前記発泡剤供給流路に対して、前記流量調節弁 よりも上流側に位置するように、アキュムレータが接続、配置されており、該発泡 剤供給流路内を導かれる発泡剤が、該アキュムレータ内に流入せしめられ得るよう になっている前記態様(1)乃至前記態様(8)の何れか1つに記載の現場吹付け 型発泡機。
(10) 前記発泡剤供給ユニットの前記発泡剤供給流路における、前記流量調節弁より も上流側の部位に、前記発泡剤タンクから導かれる発泡剤を送出するポンプが設 けられており、該ポンプのポンプ作動が前記制御装置にて制御され、前記圧力計 にて検出される発泡剤供給圧力が調整されるようになっている前記態様(1)乃 至前記態様(9)の何れか1つに記載の現場吹付け型発泡機。
(11) 前記発泡剤タンクに対してヒータが取り付けられており、該ヒータによる発泡 剤タンクの加熱が前記制御装置にて制御され、前記圧力計にて検出される発泡剤 供給圧力が調整されるようになっている前記態様(1)乃至前記態様(9)の何 れか1つに記載の現場吹付け型発泡機。
【発明の効果】
【0010】
このように、本発明に従う現場吹付け型発泡機にあっては、常温で気化可能な発泡剤を第一又は第二の液体に供給可能な発泡剤供給ユニットを備えていると共に、かかるユニットにおける発泡剤供給流路が、発泡機における第一又は第二の供給系統を構成する第一又は第二の液体圧送路に対して、第一及び第二の液体の混合位置よりも上流側に位置し、且つ、その混合位置から5mを超えて離隔することのない部位において、着脱可能に接続されて、構成されているのである。即ち、第一又は第二の供給系統における、第一の液体と第二の液体との混合地点に近接した位置において、常温で気化可能な発泡剤の導入が行なわれるものであるところから、吹付け作業終了後における発泡剤の混入された第一又は第二の液体の廃棄量が、効果的に低減せしめられ、以て、材料ロスの問題、ひいては作業コスト(吹付け施工のコスト)の増大が、効果的に抑制乃至は阻止され得るのである。
【0011】
また、本発明の現場吹付け型発泡機を用いた、ポリウレタンフォーム又はポリイソシアヌレートフォームの吹付け施工においては、上述した材料ロスの問題の発生が効果的に抑制されることに加えて、発泡剤の外添による効果も有利に享受することが可能である。具体的には、例えば冬期の、環境温度によって冷たくなった壁等の対象物に対して吹付け施工を実施する際に、発泡による膨張が悪くなって、得られるフォームの密度が高くなることを効果的に阻止し、また、多層吹付け時においては、下層と上層との密度差で反りが発生することを効果的に抑制乃至は阻止し得る等の効果も、享受することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に従う現場吹付け型発泡機における機器の配置の一例を示す概略説明図である。
図2】(a)は、図1に示される現場吹付け型発泡機の液体圧送路に対する発泡剤供給流路の接続形態を示す概略説明図であり、(b)は、同液体圧送路に対する原料圧力計の接続形態を示す概略説明図である。
図3】本発明に従う現場吹付け型発泡機において、発泡剤供給ユニットを台車に載置せしめてなる形態の一例を示す概略説明図である。
図4】本発明に従う現場吹付け型発泡機において、発泡剤供給ユニットの主要機器を台車のラックに配設してなる形態を示す斜視説明図(車輪は図示せず)である。
図5図4に示される配設構造において、冷却装置とポンプとの間の配管構成の一例を模式的に示す斜視説明図である。
図6図4において、発泡剤供給流路に対する機器の配管構成の一例を模式的に示す斜視説明図である。
図7】本発明の現場吹付け型発泡機における発泡剤供給ユニットについて、発泡剤供給流路内を流通せしめられる発泡剤を冷却するための冷却装置の一例を示す概略説明図であって、(a)は、冷却装置としてチラーを用いた場合の説明図であり、(b)は、ペルチェ素子を用いた場合の説明図である。
図8】本発明に従う現場吹付け型発泡機の他の異なる例を示す、図2(a)に対応する概略説明図である。
図9】本発明の現場吹付け型発泡機における発泡剤供給ユニットの、他の異なる例を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に従う現場吹付け型発泡機の構成を更に具体的に明らかにするために、本発明の代表的な実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0014】
先ず、図1には、本発明に従う現場吹付け型発泡機の一例に係る機器の配置構成が、概略的に示されている。そこにおいて、現場吹付け型発泡機(以下、単に発泡機ともいう)10は、ポリイソシアネートを含む第一の液体を圧送する第一の供給系統12と、ポリオール及び/又は有機リン酸エステルを含む第二の液体を圧送する第二の供給系統14と、それら第一及び第二の供給系統12、14にて供給される第一の液体と第二の液体とを混合して、噴射する噴射装置である、手持ち式等の公知のスプレーガン16と、それら第一及び第二の供給系統12、14によって供給される第一の液体や第二の液体の供給量を制御する(ここでは、発泡機内のシーケンサーによって制御されるようになっているが、遠隔操作で供給量や温度等を設定出来るようにしてもよい)第一の制御装置18とを含んで、構成されている。なお、第一及び第二の供給系統12、14には、それぞれの供給系統を通じて供給される第一の液体(ポリイソシアネートを含む液体)及び第二の液体(ポリオール及び/又は有機リン酸エステルを含む液体)の流路を加熱するためのジャケット装置は、図示はされていないが、従来と同様に、それぞれ設けられている。
【0015】
より詳細には、第一の供給系統12において、所定圧力の第一の液体を導く液体圧送路となる第一の液体流路12aは、ポリイソシアネートを含む第一の液体を収容する第一のタンク12bに接続されており、この第一のタンク12b内の第一の液体が、第一の汲上げポンプ12cにて汲み上げられた後、第一の圧送ポンプ12dにて圧送され、その吐出圧力が第一の圧力計12eにて検出され、更に、第一のヒータ12fにて加熱せしめられた後、スプレーガン16に供給されるようになっている。一方、第二の供給系統14においても、同様に、所定圧力の第二の液体を導く液体圧送路となる第二の液体流路14aが、ポリオール及び/又は有機リン酸エステルを含む第二の液体を収容する第二のタンク14bに接続され、そこに収容されている第二の液体が、第二の汲上げポンプ14cにて汲み上げられた後、第二の圧送ポンプ14dにてスプレーガン16に向かって圧送せしめられるようになっており、更に、その圧送せしめられる第二の液体の吐出圧力が、第二の圧力計14eにて検出されると共に、第二のヒータ14fにて所望の温度に加熱せしめられて、粘度調整された後に、スプレーガン16に供給されるようになっている。また、そこでは、吹付け現場における広い領域での吹付け作業を可能ならしめるために、各ヒータ12f、14fからスプレーガン16に至る第一の液体流路12aや第二の液体流路14aは、従来と同様に、100m、或いはそれ以上の長さを有する長尺のホースにて構成され、距離の遠い現場や狭い環境下の現場での吹付け作業を、容易に行ない得るようになっている。
【0016】
このような発泡機10においては、第一の供給系統12の第一の液体流路12aを通じて、第一のタンク12b内に収容されたポリイソシアネートを含む第一の液体が、第一の制御装置18による制御の下に、所定の圧力及び温度にてスプレーガン16に供給される一方、第二の供給系統14の第二の液体流路14aを通じて、第二のタンク14b内に収容されたポリオール及び/又は有機リン酸エステルを含む第二の液体が、第一の制御装置18による制御の下に、所定の圧力及び温度にて圧送されて、スプレーガン16に供給せしめられ、そこにおいて、第一の液体と第二の液体とが混合された後、吹付け現場において、スプレーガン16から壁等の対象物に対して吹き付けられて、所定厚さのポリウレタンフォーム層等の吹付け層が形成せしめられるようになっている。
【0017】
また、本発明に従う発泡機10においては、第二の供給系統14に、常温で気化可能な発泡剤を供給するための発泡剤供給ユニット20が接続されている。ここで、発泡剤供給ユニット20は、二酸化炭素やHFO(ハイドロフルオロオレフィン)等の、常温で気化可能な発泡剤を収容する発泡剤タンク22と、この発泡剤タンク22から取り出された発泡剤(液体)を導き、上述した第一又は第二の供給系統12/14に供給すべく、それら供給系統の第一又は第二の液体流路12a/14aに対して着脱可能に接続せしめられる(本実施形態においては第二の液体流路14aに接続されている)発泡剤供給流路24と、かかる発泡剤供給流路24上にそれぞれ配設された、チラー25、発泡剤ポンプ26、アキュムレータ28、発泡剤圧力計30、流量調節弁32及び逆止弁34と、かかる発泡剤ポンプ26及び流量調節弁32を制御する第二の制御装置36とを含んで、構成されている。
【0018】
そこにおいて、チラー25は、発泡剤タンク22から取り出された発泡剤を冷却するものであり、そして発泡剤ポンプ26は、発泡剤タンク22から導かれた発泡剤を所定の吐出圧力にて吐出して、発泡剤供給流路24上を流通せしめるものであり、更にアキュムレータ28は、発泡剤ポンプ26の下流側の発泡剤供給流路24に接続されて、かかる発泡剤供給流路24内の発泡剤の急激な圧力変化を、抑制乃至は阻止せしめるようになっている。また、本実施形態においては、流量調節弁32としては電磁式の開閉弁が用いられており、その開閉作動によって、発泡剤が、流量調節弁32よりも上流側の圧力の下に、第二の液体流路14aに供給され得るようになっている。そして、発泡剤圧力計30は、流量調節弁32と発泡剤ポンプ26との間の発泡剤供給流路24部分に対して取り付けられて、当該流路部分における発泡剤供給圧力を検出し、その圧力データが、第二の制御装置36に入力せしめられるようになっている。加えて、逆止弁34は、接続される第二の液体流路14aより、第二の液体が、発泡剤供給流路24内へ逆流することを防止するために設けられている。更に、かかる第二の液体流路14aには、その内部に圧送される第二の液体の圧力をデジタルで検出する原料圧力計38が取り付けられており、この原料圧力計38からのデジタル信号が、第二の制御装置36に入力せしめられるようになっている。なお、本発明において、原料圧力計38の配設は、後に詳述するように任意である。
【0019】
さらに、第二の制御装置36においては、発泡剤圧力計30から入力される発泡剤供給圧力情報と、原料圧力計38から入力される第二の液体の圧力情報に基づいて、発泡剤供給圧力の方が第二の液体の圧送圧力よりも高くなるように、流量調節弁32の開閉作動を制御する信号が出力され、また、発泡剤ポンプ26に対しても、そのポンプ作動を制御する信号が出力されるようになっている。即ち、本実施形態において、第二の制御装置36は、先述した第一の制御装置18とは別体とされて、流量調節弁32の制御や発泡剤ポンプ26の制御を行なうようになっているのである。加えて、チラー25は、二酸化炭素の如き発泡剤を一定量で供給するには、発泡剤供給ユニット20の発泡剤供給流路24内を液体状態で保持しておく必要があるために、後述する如き構成において、発泡剤供給流路24上に設けられているのであり、この発泡剤供給流路24内を流通せしめられる発泡剤を冷却する冷却手段として、発泡剤タンク22と発泡剤ポンプ26との間の発泡剤供給流路24部位に配設されている。
【0020】
上述の如き構成に係る発泡剤供給ユニット20は、発泡剤供給流路24の逆止弁34設置側の端部において、図2(a)に示される如く、第二の液体流路14aに対して、三方管継手、即ちT字型管継手であるチーズ40を用いて、接続せしめられることとなる。具体的には、第二の液体流路14aに二つの接続口が予め接続されて、それら流路の一部を構成しているチーズ40の残りの一つの接続口に対して、発泡剤供給ユニット20における発泡剤供給流路24の逆止弁34配設部位よりも下流側となる端部が、螺合によって、着脱可能に且つ流体密に取り付けられているのである。また、原料圧力計38も、チーズ42を介して流体密に取り付けられ、この原料圧力計38にて検出される圧力情報が、デジタル信号にて、第二の制御装置36に入力せしめられるようになっている(図2(b)参照)。なお、この原料圧力計38の設置は、チーズ44を介して第二の液体流路14aに既に配設されている、第二の圧力計14eがアナログの圧力計である場合には、必要となるものであるが、デジタル信号を出力し得る圧力計である場合にあっては、その圧力信号を第二の制御装置36に入力せしめるようにすることによって、原料圧力計38の配設は不要となるものである。また、発泡剤供給ユニット20の発泡剤供給流路24が接続せしめられる第二の液体流路14aにおける、チーズ40よりも下流側の流路には、適当なミキサ46、例えばスタティックミキサ等が配設されて、第二の液体流路14aを圧送せしめられる第二の液体と、発泡剤供給流路24を通じて供給される発泡剤とが、均一に混合せしめられるようになっている。
【0021】
そして、本発明に従う現場吹き付け型発泡機10にあっては、第二の供給系統14を構成する第二の液体流路14a(液体圧送路)に対する、発泡剤供給ユニット20における発泡剤供給流路24の接続位置が、換言すれば、第二の液体に対する発泡剤の導入位置が、第一の液体と第二の液体との混合を行なうスプレーガン16から5mを超えて離隔しないように(図1及び図2(a)におけるXが、X≦5mとなるように)、構成されているのである。このような構成によって、現場吹き付け作業の終了後における第二の液体の廃棄量を著しく低減せしめ得ることに加えて、低密度のフォームが得られる等の、発泡剤の外添による効果も、有利に享受することが可能である。
【0022】
ところで、本発明に従う現場吹付け型発泡機は、所定の発泡剤供給ユニットが所定の位置に配設されているものであれば、発泡剤供給ユニットを構成する各機器の配置は、発泡機を構成する他の機器との位置関係において特に限定されるものではないが、本発明において、発泡剤供給ユニットは、第一又は第二の供給系統における噴射装置に比較的近い部位にて接続される。従って、例えば、発泡現場における、吹付け作業を実施している現場(目的とする位置)の近傍にまで容易に移動せしめられ、また、簡単に且つ迅速に接続せしめられ得るように、発泡剤供給ユニットを構成する主要機器を、移動可能な台車上に載置することも可能である。
【0023】
図3には、上述した発泡剤供給ユニット20を構成する主要機器が、台車50上に載置された形態の一例が、正面図にて示されている。台車50の下部には車輪52が設けられているところから、かかる車輪52の転動によって、台車50に載置されている発泡剤供給ユニット20の主要機器を、発泡現場における目的とする位置に容易に移動せしめられるようになっている。
【0024】
即ち、ここでは、発泡剤供給ユニット20における、チラー25、発泡剤ポンプ26、アキュムレータ28、発泡剤圧力計30、流量調節弁32、逆止弁34及び第二の制御装置36が、発泡剤供給流路24と共に、台車50の取付け枠体となる金属製のラック54に載置されて、固定・保持せしめられている。図4には、それら機器のラック54に対する取付け状態が、斜視図の形態において示されている(車輪52省略)。なお、ここでは、発泡剤ポンプ26には、回転斜板形アキシャル式プランジャポンプが用いられており、それは、ポンプ26aと駆動部26bとから構成されてなるものである。また、発泡剤タンク22は、その形状が大きく、また重量も重いものであるところから、台車50には載置されず、別途準備された丈夫な台車乃至は適当な運搬手段によって、台車50の移動位置にまで、別途に移動せしめられて、固定されるようになっているが、可能であれば、発泡剤タンク22をも、台車50に載置・固定して、全ての機器が、台車50にて移動せしめられ得るようにすることも出来る。更に、台車50としては、発泡剤供給ユニット20を運搬移動可能な台に、車輪が設けられた構造のものであれば、平板状、棚状、箱状、台に枠体や板が設けられたもの等、その形状が特に限定されるものではない。
【0025】
また、図5には、かかる台車50に対する発泡剤供給ユニット20の積載構成において、チラー25と発泡剤ポンプ26との間の配管接続構成が、模式的に示されている。そこにおいて、チラー25の発泡剤流入口25aには、発泡剤タンク22から発泡剤を導く発泡剤流入ホース56が接続されて、発泡剤がチラー25内の冷却流路に導かれ、そこで、冷媒によって冷却せしめられた後、発泡剤流出口25bに接続された発泡剤流出ホース58を通じて、発泡剤ポンプ26に供給されるようになっている。なお、チラー25内の冷媒は、また、ポンプ冷却用冷媒送出ホース60を通じて、発泡剤ポンプ26内に導かれて、発泡剤ポンプ26内を冷却せしめた後、ポンプ冷却用冷媒回収ホース62を通じて、チラー25に戻されるようになっている。従って、ここでは、発泡剤流入ホース56と発泡剤流出ホース58は、チラー25内の冷却流路と共に、発泡剤供給流路24の一部を構成することとなる。
【0026】
さらに、図6には、図4に示される如き、ラック54に配置された発泡剤ポンプ26から延びる発泡剤供給流路24部分を構成する管路に対する、アキュムレータ28、発泡剤圧力計30、流量調節弁32及び逆止弁34の配設形態乃至は配管構成の一例が、模式的に示されている。そこにおいて、発泡剤ポンプ26の吐出口に接続された管路には、チーズ64を介して、従来と同様な構造を有するアキュムレータ28が接続されて、管路内の圧力変動を抑制乃至は阻止し得るようになっている。なお、アキュムレータ28の両側には、その作動を制御するバルブ66、68が、それぞれ、設けられている。また、チーズ64に接続された管路上には、十字型管継手70を介して、発泡剤圧力計30及び圧力逃がしバルブ(自動)72と共に、流量調節弁32及び逆止弁34を設けてなる管路が、接続されている。更に、十字型管継手70とチーズ64との間の管路上には、減圧用バルブ74が接続されて、かかる管路内を流通する発泡剤の圧力を低下せしめ得るようになっている。なお、アキュムレータ28の容積は、一般に、20mL~5L程度、好ましくは25mL~2L、より好ましくは30mL~1Lであるとよい。
【0027】
かくの如く、主要機器が台車50上に載置されて、移動可能とされてなる発泡剤供給ユニット20にあっては、吹付け現場において用いられる、発泡機10を構成する他の機器の配設位置に応じて、自由に移動せしめられて、所望の位置に配置され、その発泡剤供給流路24を、第二の液体流路14aに自由に着脱することが出来るようになっているのである。このような構成に係る発泡機10においては、発泡剤の外添作業が、簡単に且つ容易に行なわれ得ることとなると共に、発泡剤供給ユニット20を、発泡機10を構成する他の機器と離隔せしめて、かかる他の機器における加熱の作用を避け得る位置にまで移動させ、それら機器からの熱による発泡剤供給流路24等に対する影響を、可及的に回避することが可能となるのであり、以て、発泡機10側からの熱による悪影響を効果的に回避して、形成されるフォームの波打ち現象や密度分布のバラツキ、更にはクラックの発生等の問題が、有利に解消され得ることとなるのである。かくして、本発明に従う現場吹付け型発泡機10は、発泡剤の外添による冬場対策に加えて、発泡剤供給ユニット20以外の発泡機10を構成する他の機器からの、特に夏場における熱による悪影響が効果的に回避され得る発泡機となっているのである。
【0028】
ところで、発泡剤供給ユニット20の発泡剤供給流路24内は、接続される液体流路14a内の圧力よりも高い圧力となるように調整されているところから、発泡機10による吹付け量を多くして、連続で長時間の吹付け作業を行なうと、発泡剤供給ユニット20の発泡剤ポンプ26だけでは、発泡剤供給流路24内に充分な圧力を確保することが出来なくなることがあるのであるが、ここでは、アキュムレータ28が、流量調節弁32と発泡剤タンク22との間の発泡剤供給流路24部分において、発泡剤ポンプ26よりも下流側に位置するように配設されている。このようなアキュムレータ28の配設によって、発泡剤ポンプ26が脈動したときの圧力の変動を抑制して、発泡剤供給流路24内の急激な圧力の低下が防止され得ることとなることにより、発泡剤の供給圧力が安定化され得て、環境や作業条件の変化による吹付けフォームのバラツキを有利に防ぐことが出来ることとなる他、圧力制御される発泡剤供給流路24内の体積が増えることで、圧力制御され易くなって、長時間の吹付け作業においても、密度分布のバラツキのない、安定したフォームを形成することが可能となっているのである。
【0029】
また、上述の如き発泡剤供給ユニット20における発泡剤供給流路24の冷却手段であるチラー25等には、何れも、公知の構造のものが採用可能であり、その一例が、図7に示されている。そこにおいて、(a)は、チラー25における発泡剤供給流路24の冷却形態の一例を示しており、発泡剤供給流路24の螺旋状とされてなる螺旋流路24aが、チラー25内において冷媒にて冷却せしめられ得るようになっていると共に、チラー25内の冷媒が、発泡剤ポンプ26の冷却のために、冷媒送出ホース60と冷媒回収ホース62により循環せしめられるようになっている。また、(b)においては、ペルチェ素子を用いた冷却形態の一例が示されており、発泡剤供給流路24に設けられたジグザグ流路24bに対して、公知のペルチェ素子76が取り付けられて、このペルチェ素子76にて、発泡剤供給流路24に導かれる発泡剤タンク22からの発泡剤が、冷却せしめられるようになっているのであり、更に、別のペルチェ素子78にて、発泡剤ポンプ26も冷却せしめられるようになっている。
【0030】
さらに、このような発泡剤供給流路24において、冷却手段であるチラー25やペルチェ素子76にて冷却せしめられる螺旋流路24aやジグザグ流路24bを少なくとも含む流路部位の配管は、熱伝導率が10W/mK以上の材質、例えば、ステンレス、アルミニウム、銅等からなる熱伝導管にて構成することが望ましく、これによって、発泡剤の冷却が効果的に行なわれ得るようになっている。けだし、発泡剤を一定量で供給するには、発泡剤供給ユニット20における発泡剤供給流路24内を液体状態で流通せしめられるように、発泡剤を保持しておく必要があり、特に、発泡剤タンク22から発泡剤ポンプ26までの流路や発泡剤ポンプ26内を冷却することが望ましいからである。
【0031】
そして、発泡剤タンク22から発泡剤ポンプ26までの流路を冷却する場合において、熱伝導率が10W/mK以上の材質で作製された熱伝導管にて、500mm以上の長さの流路として構成される熱交換部を形成して、その熱交換部が、チラー25やペルチェ素子76にて、外部から冷却されるようにするのである。なお、発泡剤供給流路24内を流通せしめられる発泡剤に対して効果的に冷気を伝えるために、上記の熱伝導管は、10W/mK以上、好ましくは16W/mK~500W/mKの材質からなるものであることが望ましく、また、外部からの冷却によって発泡剤を充分に冷やすべく、熱伝導管(熱交換部)は500mm以上、好ましくは700~2000mmの長さにおいて、発泡剤供給流路24の少なくとも一部が構成せしめられることとなる。
【0032】
以上、本発明の代表的な実施形態について詳述してきたが、それは、あくまでも、例示に過ぎないものであって、本発明は、そのような実施形態に係る具体的な記述によって、何等限定的に解釈されるものではないことが、理解されるべきである。
【0033】
例えば、先に例示した、本発明の一実施形態に係る発泡機10においては、第一の供給系統12によって供給される第一の液体の供給量、及び第二の供給系統14によって供給される第二の液体の供給量を制御する第一の制御装置18と、発泡剤供給ユニット20における流量調節弁32の制御や発泡剤ポンプ26の制御を行なう第二の制御装置36とは、別体とされているが、かかる二つの制御装置に代えて、上記した複数の制御を一括して処理可能な一の制御装置を使用することも可能である。
【0034】
また、第一の液体と第二の液体の混合位置についても、発泡機10ではスプレーガン16とされているのであるが、図8に示されているように、第一の液体流路12aと第二の液体流路14aとをミキシングヘッド80に接続して、そこで、第一の液体と第二の液体とを混合せしめた後、混合液流路82を通じてスプレーガン16に導き、吹付けを行なうようにした構造も、本発明の発泡機においては採用可能である。この場合において、第二の液体流路14aに対する発泡剤供給流路24の接続部位は、ミキシングヘッド80から5m以内となるように(X≦5mを満足するように)、選定されることとなる。なお、ミキシングヘッド80とスプレーガン16との間の距離(混合液流路82の長さ:Y)は、第一の液体と第二の液体の混合によって反応が開始されるようになるところから、可及的に短くされていることが望ましく、一般に5m以下、好ましくは3m以下となるように、構成されることとなる。
【0035】
さらに、本発明に従う発泡機において、発泡剤供給ユニットによる発泡剤の外添は、第一及び第二の供給系統の何れか一方の液体流路に対して実施される他、それら二つの液体流路の両方に対して、実施することも可能である。その場合において、発泡剤供給ユニットは、2系統の発泡剤供給系を有するように構成される他、第一の供給系統と第二の供給系統とにおける液体の圧送条件に応じて、2つの発泡剤供給流路を設けたり、流量調節弁よりも下流側の流路を分岐させて、第一の液体流路や第二の液体流路に接続するようにすることも、可能である。
【0036】
更にまた、第一又は第二の液体流路に対する発泡剤供給流路の接続構造にあっても、上記実施形態にて例示した螺合方式による接続構造が、好適に採用されるところではあるが、その他、嵌合方式による接続構造等の公知の連結構造も、それが着脱可能な接続構造である限りにおいて、何れも、採用可能である。加えて、発泡剤ポンプや発泡剤圧力計にあっても、発泡剤の所定量の吐出や発泡剤の圧力をデジタル信号として出力が可能な公知のポンプや検出器が適宜に選択されて、用いられることとなる。
【0037】
ところで、特に発泡剤供給ユニットに関しては、以下に示す態様についても有利に採用可能である。先ず、例示の実施形態においては、チラー25によって、発泡剤タンク22と発泡剤ポンプ26との間の発泡剤供給流路24部位の冷却が行なわれるようになっているが、流路の適数箇所にチラー等の冷却手段を設けて、発泡剤供給流路24内を流通せしめられる発泡剤の温度上昇を避けるようにすることも可能であり、更に、適当な冷却手段により、発泡剤供給流路24全体を冷却せしめたり、或は、チラー25の配設箇所以外の流路部位全体を断熱材等にて被覆して、外部からの断熱を図ることも有効である。
【0038】
また、流量調節弁32にあっても、例示の実施形態においては、電磁開閉弁を用いて、その開閉作動によって、所定圧力の発泡剤が第一又は第二の液体流路12a/14aに流入せしめられるようになっているが、流量調節弁32としては、公知の各種の構造のバルブを用いることが出来、例えば、発泡剤が通過せしめられる流路の大きさを変化させて、発泡剤流量を変化せしめる絞り弁構造のものを用いることも可能であり、その場合において、発泡剤圧力計30は、流量調節弁32よりも下流側の発泡剤供給流路24部位に設けられて、そこを通って発泡機10に供給せしめられる発泡剤の圧力の検出が、行なわれることとなる。
【0039】
さらに、例示の実施形態においては、発泡剤供給流路24上に発泡剤ポンプ26が設けられて、第二の制御装置36による制御の下に、所定圧力の発泡剤が、発泡剤供給流路24上を流通せしめられるようになっているが、図9に示される如く、発泡剤ポンプ26を設けることなく、発泡剤タンク22を加熱して、その内部に収容されている発泡剤の流出量(圧力)を高め得るヒータ84を設けて、このヒータ84による加熱を、第二の制御装置36にて制御することにより、発泡剤供給流路24上の発泡剤送出圧力を調整するようにすることも、可能である。
【0040】
また、発泡剤供給ユニット20における発泡剤ポンプ26の制御にあっても、特開2017-29903号公報や特開2016-78304号公報に明らかにされているように、流体供給流路24が接続される第一又は第二の液体流路12a/14aにおける、第一又は第二の液体を圧送する第一又は第二の圧送ポンプ12d/14dのポンプ作動状態を検出して、その信号に基づいて、原料圧力計38にて検出される圧力よりも発泡剤圧力計30にて検出される圧力の方が高くなるように、第二の制御装置36にて、発泡剤ポンプ26を制御するようにすることも可能である。
【0041】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、そして、そのような実施の態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、何れも、本発明の範疇に属するものであることは、言うまでもないところである。
【符号の説明】
【0042】
10 発泡機 12 第一の供給系統
14 第二の供給系統 16 スプレーガン
18 発泡機制御装置 20 発泡剤供給ユニット
22 発泡剤タンク 24 発泡剤供給流路
25 チラー 26 発泡剤ポンプ
28 アキュムレータ 30 発泡剤圧力計
32 流量調節弁 34 逆止弁
36 制御装置 38 原料圧力計
40 チーズ 50 台車
52 車輪 54 ラック
56 発泡剤流入ホース 58 発泡剤流出ホース
60 冷媒送出ホース 62 冷媒回収ホース
76、78 ペルチェ素子 80 ミキシングヘッド
82 混合液流路 84 ヒータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9