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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022142286
(43)【公開日】2022-09-30
(54)【発明の名称】接続方法および配管構造
(51)【国際特許分類】
   F16L 47/03 20060101AFI20220922BHJP
   B29C 65/34 20060101ALI20220922BHJP
【FI】
F16L47/03
B29C65/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021042413
(22)【出願日】2021-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】北側 文夏
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 愛美子
【テーマコード(参考)】
3H019
4F211
【Fターム(参考)】
3H019GA03
4F211AD12
4F211AG08
4F211AH11
4F211AK09
4F211TA01
4F211TC11
4F211TD07
4F211TH06
4F211TN08
(57)【要約】
【課題】隙間の形成や、不均一な樹脂の盛り上がりを抑制することが可能な接続方法を提供すること。
【解決手段】本開示の接続方法におけるステップS1は、熱可塑性樹脂を含む樹脂管11の管端11aと、熱可塑性樹脂を含む樹脂管12の管端12aを加熱する。ステップS3は、ステップS1の後に、電気融着継手1の両端の一方に設けられた継手受口部23の内側に挿入された樹脂管11の管端11aと、他方に設けられた継手受口部24の内側に挿入された樹脂管12の管端12aを、電気融着継手1の内側において接触させて管端11a、12a同士を融着する。ステップS4は、継手受口部23に配置され、電熱線31を含む受口発熱部3に通電を行って、継手受口部23と樹脂管11を融着し、継手受口部24に配置され、電熱線31を含む受口発熱部4に通電を行って、継手受口部4と樹脂管12を融着する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂を含む第1管の管端と、熱可塑性樹脂を含む第2管の管端を加熱する管端加熱工程と、
前記管端加熱工程の後に、電気融着継手の両端の一方に設けられた第1継手受口部の内側に挿入された前記第1管の管端と、他方に設けられた第2継手受口部の内側に挿入された前記第2管の管端を、前記電気融着継手の内側において接触させて前記管端同士を融着する第1融着工程と、
前記第1継手受口部に配置され、電熱線を含む第1受口発熱部に通電を行って、前記第1継手受口部と前記第1管を融着する第2融着工程と、
前記第2継手受口部に配置され、電熱線を含む第2受口発熱部に通電を行って、前記第2継手受口部と前記第2管を融着する第3融着工程と、を備えた、接続方法。
【請求項2】
熱可塑性樹脂を含む第1管の管端と、熱可塑性樹脂を含む第2管の管端を加熱する管端加熱工程と、
電気融着継手の筒状部の内面に内側に突出するように設けられたストッパ部に配置され、電熱線を含むストッパ発熱部に通電を行い加熱するストッパ加熱工程と、
前記管端加熱工程の後に、前記筒状部の両端の一方に設けられた第1継手受口部の内側に挿入された前記第1管の管端と、他方に設けられた第2継手受口部の内側に挿入された前記第2管の管端とを、前記ストッパ部に融着する第1融着工程と、
前記第1継手受口部に配置され、電熱線を含む第1受口発熱部に通電を行って、前記第1継手受口部と前記第1管を融着する第2融着工程と、
前記第2継手受口部に配置され、電熱線を含む第2受口発熱部に通電を行って、前記第2継手受口部と前記第2管を融着する第3融着工程と、を備えた、接続方法。
【請求項3】
前記ストッパ加熱工程における前記ストッパ発熱部への通電終了後に、前記第1融着工程を行う、
請求項2に記載の接続方法。
【請求項4】
前記第2融着工程と前記第3融着工程は、同時に行われる、
請求項1~3のいずれか1項に記載の接続方法。
【請求項5】
熱可塑性樹脂を含む第1管と、
熱可塑性樹脂を含む第2管と、
前記第1管が挿入された第1継手受口部と、前記第2管が挿入された第2継手受口部と、前記第1継手受口部に配置され、電熱線を含む第1受口発熱部と、前記第2継手受口部に配置され、電熱線を含む第2受口発熱部と、を有する電気融着継手と、を備え、
前記第1管の管端と前記第2管の管端は、前記電気融着継手の内側において互いに突き合わされて融着されている、
配管構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気融着継手と管の接続方法および配管構造に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂管や、樹脂層および金属補強層を有する金属補強複合管などの樹脂が用いられた管どうしを接続する際に、電気融着継手が多用されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
例えば、特許文献1に示す電気融着継手には、両端部それぞれに接続対象の管が挿し込まれる管受口が形成された熱可塑性樹脂製の継手本体と、継手本体の内周面に内側に向かって突出したストッパ部が設けられている。ストッパ部は、管受口に差し込まれた管の位置を規制する。管受口とストッパ部の各々に発熱体が設けられており、発熱体を発熱させることによって、発熱体周囲の樹脂と管の樹脂とが融着し、電気融着継手と管が接続される。
【0004】
例えば、特許文献2に示す電気融着管継手は、2本の熱可塑性プラスチック管を突き合わせ接合する継手であって、接合する管の内外径と等しい内外径を有する熱可塑性プラスチック製のリング状本体と、リング状本体の端面に布設された電熱線と、電熱線に電気を供給するためのターミナルを備えている。管をリング状本体に当接させた状態で電熱線を加熱することによって継手と管の融着が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5-87286号公報
【特許文献2】特開平9-144983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では、ストッパ部と管受口における2か所の融着を同時に行うため、2か所の間に閉じ込められた空気が熱で膨張し、樹脂が噴出しやすくなり、内側に盛り上がる樹脂の高さが周方向において不均一となる場合があった。また、空気が樹脂に混入し、混入した空気が膨張によって破裂すると、内側に盛り上がった樹脂に窪みが生じる場合があった。
【0007】
また、特許文献2では、電気融着継手を用いて突き合わせ融着を行っているため、十分に加熱し難い場合があり、隙間(クレビス)が生じることがあった。
【0008】
不均一な樹脂の盛り上がりやクレビスが形成されると乱流が生じるため、一部の水や薬液が配管内に滞留しやすくなる。これにより、微生物が繁殖し水質悪化を引き起こしたり、薬液の劣化によって純度低下を引き起こしたりする可能性があるため、半導体製造用配管等では製品歩留まり悪化を引き起こすおそれがある。
【0009】
本開示は、隙間の形成や、不均一な樹脂の盛り上がりを抑制することが可能な接続方法および配管構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、第1の態様に係る接続方法は、管端加熱工程と、第1融着工程と、第2融着工程と、第3融着工程と、を備える。管端加熱工程は、熱可塑性樹脂を含む第1管の管端と、熱可塑性樹脂を含む第2管の管端を加熱する。第1融着工程は、管端加熱工程の後に、電気融着継手の両端の一方に設けられた第1継手受口部の内側に挿入された第1管の管端と、他方に設けられた第2継手受口部の内側に挿入された第2管の管端を、電気融着継手の内側において接触させて管端同士を融着する。第2融着工程は、第1継手受口部に配置され、電熱線を含む第1受口発熱部に通電を行って、第1継手受口部と第1管を融着する。第3融着工程は、第2継手受口部に配置され、電熱線を含む第2受口発熱部に通電を行って、第2継手受口部と第2管を融着する。
【0011】
このように、第1管と第2管の管端同士を融着した後に、第1管の外周面と第1継手受口部の内周面の間と、第2管の外周面と第2継手受口部の内周面の間とが融着されるため、膨張した空気が逃げることができ、空気が閉じ込められず、内側に盛り上がる樹脂の高さを均一にすることができる。
【0012】
第1管の管端と第2管の管端をバット融着によって接合しているため、従来のように電熱線の加熱だけで融着を行うよりも第1管と第2管の間に隙間が生じ難い。
【0013】
また、バット融着を行うことによって、空気が巻きまれない分、ビードを小さくすることができる。また、従来では、電気融着継手のうちストッパ部の以外の樹脂も溶けてビード樹脂に取り込まれるが、バット融着では、ストッパ部以外の樹脂の溶融が抑制されるため、ビードを小さくすることができる。
【0014】
第2の態様に係る接続方法は、管端加熱工程と、ストッパ加熱工程と、第1融着工程と、第2融着工程と、第3融着工程と、を備える。管端加熱工程は、熱可塑性樹脂を含む第1管の管端と、熱可塑性樹脂を含む第2管の管端を加熱する。ストッパ加熱工程は、電気融着継手の筒状部の内面に内側に突出するように設けられたストッパ部に配置され、電熱線を含むストッパ発熱部に通電を行い加熱する。第1融着工程は、管端加熱工程の後に、筒状部の両端の一方に設けられた第1継手受口部の内側に挿入された第1管の管端と、他方に設けられた第2継手受口部の内側に挿入された第2管の管端とを、ストッパ部に融着する。第2融着工程は、第1継手受口部に配置され、電熱線を含む第1受口発熱部に通電を行って、第1継手受口部と第1管を融着する。第3融着工程は、第2継手受口部に配置され、電熱線を含む第2受口発熱部に通電を行って、第2継手受口部と第2管を融着する。
【0015】
このように、第1管と第2管の管端をストッパ部と融着した後に、第1管の外周面と第1継手受口部の内周面の間と、第2管の外周面と第2継手受口部の内周面の間とが融着されるため、膨張した空気が逃げることができ、空気が閉じ込められず、内側に盛り上がる樹脂の高さを均一にすることができる。
【0016】
ストッパ部を加熱するだけでなく、第1管の管端と第2管の管端を加熱してストッパ部と融着しているため、従来のように電熱線の加熱だけで融着を行うよりも第1管と第2管の間に隙間が生じ難い。
【0017】
また、バット融着を行うことによって、ビードを小さくすることができる。
【0018】
第3の態様に係る接続方法は、第2の態様に係る接続方法であって、ストッパ加熱工程におけるストッパ発熱部への通電終了後に、第1融着工程を行う。
【0019】
このように、ストッパ部の加熱を終了した後に、加熱した第1管の管端と第2管の管端をストッパ部と融着させているため、隙間の発生を抑制することができる。
【0020】
第4の態様に係る接続方法は、第1~3のいずれかの態様にかかる接続方法であって、第2融着工程と第3融着工程は、同時に行われる。
これによって、第1継手受口部と第1管の間と、第2継手受口部と第2管の間とを同時に融着することができる。
第5の態様に係る配管構造は、第1管と、第2管と、電気融着継手と、を備える。第1管は、熱可塑性樹脂を含む。第2管は、熱可塑性樹脂を含む。電気融着継手は、第1管が挿入された第1継手受口部と、第2管が挿入された第2継手受口部と、第1継手受口部に配置され、電熱線を含む第1受口発熱部と、第2継手受口部に配置され、電熱線を含む第2受口発熱部と、を有する。第1管の管端と第2管の管端は、電気融着継手の内側において互いに突き合わされて融着されている。
【0021】
第1管と第2管の管端同士を融着した後に、第1管の外周面と第1継手受口部の内周面の間と、第2管の外周面と第2継手受口部の内周面の間とが融着することができるため、空気が閉じ込められず、内側に盛り上がる樹脂の高さを均一にすることができる。
【0022】
第1管の管端と第2管の管端をバット融着によって接合しているため、従来のように電熱線の加熱だけで融着を行うよりも第1管と第2管の間に隙間が生じ難い。
【発明の効果】
【0023】
本開示によれば、隙間の形成や、不均一な樹脂の盛り上がりを抑制することが可能な接続方法および配管構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本開示にかかる実施の形態1における電機融着継手と電気融着継手に接続される樹脂管および樹脂管を示す外観図。
図2】本開示にかかる実施の形態1における電気融着継手を示す断面構成図。
図3】本開示にかかる実施の形態1における電気融着継手に樹脂管および樹脂管を挿入した状態を示す断面構成図。
図4】本開示にかかる実施の形態1における電気融着継手の受口発熱部およびストッパ発熱部とコネクタ取付部との接続関係を示す電気融着継手の模式図。
図5】本開示にかかる実施の形態1における接続方法に用いる治具を示す斜視図。
図6】本開示にかかる実施の形態1における接続方法において治具に電気融着継手および2本の樹脂管を取り付けた状態を示す斜視図。
図7】本開示にかかる実施の形態1における接続方法において治具に電気融着継手および2本の樹脂管を取り付けた状態を示す正面図。
図8】本開示にかかる実施の形態1における接続方法を示すフロー図。
図9】(a)本開示にかかる実施の形態1の接続方法における樹脂管の管端の加熱を説明するための図、(b)本開示にかかる実施の形態1の接続方法における電気融着継手への樹脂管の挿入を説明するための図。
図10】(a)本開示にかかる実施の形態1の接続方法における樹脂管の管端同士の融着を説明するための図、(b)本開示にかかる実施の形態1の接続方法における電気融着継手の継手受口部と樹脂管の間の融着を説明するための図。
図11】樹脂が均一に盛り上がったビードを示す模式図。
図12】本開示にかかる実施の形態2における電気融着継手を示す断面構成図。
図13】本開示にかかる実施の形態2における電気融着継手に樹脂管および樹脂管を挿入した状態を示す断面構成図。
図14】本開示にかかる実施の形態2における電気融着継手の受口発熱部およびストッパ発熱部と1対のピンを有する2つのコネクタ取付部との接続関係を示す電気融着継手の模式図。
図15】本開示にかかる実施の形態2における接続方法を示すフロー図。
図16】(a)本開示にかかる実施の形態2の接続方法における樹脂管の管端の加熱を説明するための図、(b)本開示にかかる実施の
図17】(a)本開示にかかる実施の形態2の接続方法における電気融着継手への樹脂管の挿入を説明するための図、(b)本開示にかかる実施の形態2の接続方法における電気融着継手のストッパ部と樹脂管の管端との融着を説明するための図。
図18】本開示にかかる実施の形態2の接続方法における電気融着継手の継手受口部と樹脂管の管端との融着を説明するための図。
図19】比較例の電気融着継手の構成を示す断面図。
図20】(a)(b)比較例の電気融着継手における融着の過程を説明するための図。
図21】樹脂が不均一に盛り上がった状態を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本開示にかかる実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0026】
(実施の形態1)
以下に、本開示に係る実施の形態1における配管構造および接続方法について説明する。
【0027】
<構成>
(配管構造100の概要)
図1は、本開示の実施の形態1における配管構造100の分解図である。本実施の形態1の配管構造100は、電気融着継手1と、樹脂管11(熱可塑性樹脂を含む管の一例)と、樹脂管12(熱可塑性樹脂を含む管の一例)と、を備えている。
【0028】
図に示すように、電気融着継手1は、樹脂管11および樹脂管12と融着され、樹脂管11と樹脂管12を接続する。
【0029】
樹脂管11、及び樹脂管12は、それぞれ熱可塑性樹脂で形成されている。
【0030】
樹脂管11及び樹脂管12には、内部に断面円形状の流路11f、12fが延びている。電気融着継手1には、内部に断面円形状の流路1fが延びている。樹脂管11と樹脂管12が電気融着継手1によって接続された状態では、樹脂管11と樹脂管12と電気融着継手1の各々の流路の軸線は、同一直線上に配置される。
【0031】
なお、電気融着継手1、樹脂管11、および樹脂管12の流路に対して、それぞれの軸線が延びる方向を軸線方向Aとする。また、電気融着継手1、樹脂管11、および樹脂管12において、それぞれの軸線に直交して近接・離間する方向を径方向Bとし、それぞれの軸線回りに回る方向を周方向Cとする。
【0032】
樹脂管11は軸線方向Aのうち電気融着継手1に対して矢印A1方向に相対移動して電気融着継手1に接続される。また、樹脂管12は軸線方向Aのうち電気融着継手1に対して矢印A2方向に相対移動して電気融着継手1に接続される。電気融着継手1に樹脂管11および樹脂管12が接続された状態が、配管構造100を構成する。
【0033】
図2は、電気融着継手1の断面構成を示す図である。
【0034】
電気融着継手1は、図1および図2に示すように、筒状部21と、受口発熱部3、4と、コネクタ取付部5と、を有する。
【0035】
(筒状部21)
筒状部21は、熱可塑性樹脂で形成されており、図2に示すように、筒状に形成されている。筒状部21の軸線方向Aに沿った一端を端21bとし、他端を端21cとする。筒状部21は、継手受口部23と、継手受口部24とを有する。継手受口部23の内側には、樹脂管11が挿入される。継手受口部24の内側には、樹脂管12が挿入される。継手受口部23は、継手受口部24の反対側に設けられている。継手受口部23は、筒状部21の端21b側の部分である、継手受口部24は、筒状部21の端21c側の部分である。継手受口部23の端21bと反対側の端と、継手受口部24の端21cと反対側の端は、繋がっている。
【0036】
筒状部21で用いられる熱可塑性樹脂としては特に限定されないが、230℃未満の融点のものが好ましい。熱可塑性樹脂として、例えば、本実施の形態1ではポリエチレンが用いられる。また、熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、オレフィン系樹脂、塩化ビニル樹脂などを用いることができる。
【0037】
また、ポリオレフィン系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン-酢酸ビニル共重合体及びエチレン-α-オレフィン共重合体などを用いることができる。なお、多層管材の強度、寸法安定性及び高温での伸びをより一層効果的に高める観点からは、ポリエチレン又はポリプロピレンが好ましく、ポリエチレンがより好ましい。
【0038】
また、上記ポリエチレン(PE)としては、LDPE、LLDPE及びHDPE等が挙げられる。多層管材の強度をより一層効果的に高める観点からは、HDPEがより好ましい。
【0039】
図3は、電気融着継手1の継手受口部23の内側に樹脂管11を挿し込み、継手受口部24の内側に樹脂管12を挿し込んだ状態を示す断面構成図である。
【0040】
継手受口部23の内径は、樹脂管11の外径以上に形成されている。また、継手受口部24の内径は、樹脂管12の外径以上に形成されている。
【0041】
(受口発熱部3、4)
図4は、受口発熱部3、4と、コネクタ取付部5との接続関係を示す電気融着継手1の模式図である。
【0042】
受口発熱部3は、図2および図4に示すように、継手受口部23に設けられている。受口発熱部4は、継手受口部24に設けられている。
【0043】
受口発熱部3は、継手受口部23において内面21aに埋め込まれた電熱線31を有している。受口発熱部4は、継手受口部24において内面21aに埋め込まれた電熱線31を有している。電熱線31は、継手受口部23および継手受口部24において内面21aに沿って周方向に巻き回されるように配置されている。電熱線31は、内面21aの近傍に配置されている。なお、電熱線31は、一部が流路1f側に露出するように筒状部21に埋められていてもよいし、完全に埋設されていてもよい。
【0044】
なお、電熱線31のうち継手受口部23に配置されている部分を電熱線部分31aとし、電熱線31のうち継手受口部24に配置されている部分を電熱線部分31bとする。電熱線31のうち電熱線部分31aと電熱線部分31bの間は、周方向に巻き回すように配置された電熱線部分31cによって繋がれている。なお、電熱線部分31cは、巻き回すように配置されていなくてもよく、例えば後述する図14に示すように軸線方向Aと平行に配置されていてもよい。
【0045】
本実施の形態では、一本の電熱線31が、継手受口部23と継手受口部24に亘って配置されているが、電熱線部分31aと電熱線部分31bの各々が別々の電熱線によって構成されて、それらの電熱線が接続されていてもよい。
【0046】
電熱線31は、導線と、絶縁皮膜と、を有している方が好ましいが、導線のみを有し、絶縁皮膜が設けられていなくてもよい。導線は、例えばニクロム線、鉄クロム2種線,鉄クロム1種線,ニッケルクロム線などを用いることができる。絶縁皮膜は、導線の周囲を覆うように設けられている。電熱線31に絶縁皮膜が設けられている場合は、絶縁皮膜の融点は230度以上が好ましい。これは、絶縁皮膜の融点は、本実施の形態において熱可塑性樹脂が溶融する温度(例えばポリエチレンの場合、電熱線は220度まで加熱する)でも溶融しない温度に設定されている方が好ましいためである。絶縁皮膜は、例えばフッ素系樹脂またはイミド系樹脂で形成することができるが、ポリイミド系樹脂で形成する方がより好ましい。例えば、導線の厚みは0.1mm以上10mm以下に設定してもよい。また、電熱線31は、180度~230度ぐらいで発熱される。
【0047】
受口発熱部3、4における電熱線31の配置について説明する。受口発熱部3、4は、筒状部21の中央を基準に左右対称に設けられている。
【0048】
継手受口部23では、電熱線31が接触するように8周巻き回されている。継手受口部24では、電熱線31が接触するように8周巻き回されている。
【0049】
受口発熱部3の電熱線部分31aと受口発熱部4の電熱線部分31bの間には、図2に示すように、軸線方向Aにおいて所定の間隔L0が設けられている。
【0050】
受口発熱部3、4を発熱させることにとって、継手受口部23の内面21aと樹脂管11の外面との間のクリアランスW1(図3参照)と、継手受口部24の内面21aと樹脂管12の外面との間のクリアランスW1が、溶融した樹脂によって埋められ、継手受口部23と樹脂管11、並びに継手受口部24と樹脂管12は融着される。
【0051】
(コネクタ取付部5)
コネクタ取付部5は、図2および図4に示すように、2本のピン51b、51c(一対の第1端子の一例)を有する。2本のピン51b、51cは、筒状部21の外面21dから径方向の外側に向かって突出するように設けられている。2本のピン51b、51cのうち一方のピン51bは、図2に示すように、筒状部21の端21bの近傍に配置され、他方のピン51cは端21cの近傍に配置されている。
【0052】
電熱線31の電熱線部分31aの端21b側の端は、ピン51bに接続されている。電熱線31の電熱線部分31bの端21c側の端は、ピン51cに接続されている。ピン51bとピン51cに電気融着装置のコネクタを取り付けて通電を行うことによって、受口発熱部3、4を発熱することができる。
【0053】
<治具200>
次に、本開示にかかる実施の形態の接続方法に用いる治具200について説明する。治具200に樹脂管11、電気融着継手1および樹脂管12が配置される。図5は、治具200を示す図である。図6は、樹脂管11、電気融着継手1、および樹脂管12を治具200に取り付けた状態を示す図である。図7は、図6の側面図である。
【0054】
治具200は、第1クランプ部210と、第2クランプ部220と、軸部230と、押圧部240と、規制部250と、台座260と、を備える。
【0055】
(台座260)
台座260は、板状の部材である。台座260は、その上面側に配置された第1クランプ部210、第2クランプ部220、軸部230、押圧部240、および規制部250を支持する。
【0056】
(第1クランプ部210)
第1クランプ部210は、樹脂管11を挟み込んで固定する。第1クランプ部210は、下側クランプ部211と、上側クランプ部212と、ヒンジ部213と、締結部214と、軸受け部215と、を有する。下側クランプ部211は、上面に半円形状の凹部211aが形成された部材である。本実施の形態では、下側クランプ部211は、上面に半円形状の凹部が形成された概略直方体形状の部材である。
【0057】
軸受け部215は、下側クランプ部211に設けられている。軸受け部215は、下側クランプ部211に形成された貫通孔に挿入されている。軸受け部215は、凹部211aよりも下側に配置されている。軸受け部215の内側に、後述する軸部230が挿通される。軸受け部215の軸方向は、凹部211aの中心軸と平行に配置されている。これにより、第1クランプ部210は、軸部230に沿って移動することができる。樹脂管11、樹脂管12および電気融着継手1を治具に配置した状態では、軸受け部215の軸方向は、軸線方向Aと平行である。
【0058】
上側クランプ部212は、半円形状の凹部212aが形成された部材である。本実施の形態では、上側クランプ部212は、所定の一面に半円形状の凹部212aが形成された概略直方体形状の部材である。
上側クランプ部212と下側クランプ部211は、それらに形成された凹部212aおよび凹部211aで樹脂管11の外周を挟み込むことができる。樹脂管11を挟み込んだ状態において凹部212aと凹部211aの中心軸は概ね一致する。また、樹脂管11を挟み込んだ状態において、この中心軸は上述した軸線方向Aと一致する。
【0059】
ヒンジ部213は、下側クランプ部211と上側クランプ部212の端同士を回動可能に連結する。ヒンジ部213を中心にして下側クランプ部211に対して上側クランプ部212が回動可能に構成されている。上側クランプ部212は、ヒンジ部213を中心にして回転した際に、その凹部212aが下側クランプ部211の凹部211aと対向するようにヒンジ部213を介して下側クランプ部211に取り付けられている。
【0060】
ヒンジ部213を中心に、下側クランプ部211と上側クランプ部212の間が開いた状態で、樹脂管11が下側クランプ部211の凹部211aに沿って配置される。その後、上側クランプ部212がヒンジ部213を中心に回動し、樹脂管11が凹部212aに嵌るように配置される。
【0061】
締結部214は、いわゆるスナップ錠である。締結部214は、錠本体214aと、突起214bと、を有する。締結部214は、下側クランプ部211および上側クランプ部212の凹部211a、212aを挟んでヒンジ部213とは反対側に設けられている。錠本体214aは、下側クランプ部211の側面に配置されている、突起214bは、上側クランプ部212の側面に配置されている。錠本体214aは、レバー214cと、環状部214dと、を有する。上側クランプ部212を下側クランプ部211の上側に回動した状態で、環状部214dを突起214bに引っ掛けてレバー214cを下側に倒すことによって、下側クランプ部211に対して上側クランプ部212を閉じた状態で締結することができる。
【0062】
(第2クランプ部220)
第2クランプ部220は、樹脂管12を挟み込んで固定する。第2クランプ部220は、樹脂管12の中心軸が樹脂管11の中心軸と一致するように樹脂管12を固定する。
【0063】
第2クランプ部220は、下側クランプ部221と、上側クランプ部222と、ヒンジ部223と、締結部224と、を有する。下側クランプ部221は、上面に半円形状の凹部221aが形成された部材である。本実施の形態では、下側クランプ部221は、上面に半円形状の凹部が形成された概略直方体形状の部材である。下側クランプ部211は、ブラケット270を介して台座260に固定されている。
【0064】
上側クランプ部222は、半円形状の凹部222aが形成された部材である。本実施の形態では、上側クランプ部222は、所定の一面に半円形状の凹部222aが形成された概略直方体形状の部材である。
上側クランプ部222と下側クランプ部221は、それらに形成された凹部222aおよび凹部221aで樹脂管12の外周を挟み込むことができる。樹脂管12を挟み込んだ状態において凹部222aと凹部221aの中心軸は概ね一致する。また、樹脂管12を挟み込んだ状態において、この中心軸は上述した軸線方向Aと一致する。
【0065】
ヒンジ部223は、下側クランプ部221と上側クランプ部222の端同士を回動可能に連結する。ヒンジ部223を中心にして下側クランプ部221に対して上側クランプ部222が回動可能に構成されている。上側クランプ部222は、ヒンジ部223を中心にして回転した際に、その凹部222aが下側クランプ部221の凹部221aと対向するようにヒンジ部223を介して下側クランプ部221に取り付けられている。
【0066】
ヒンジ部223を中心に、下側クランプ部221と上側クランプ部222の間が開いた状態で、樹脂管12が下側クランプ部221の凹部221aに沿って配置される。その後、上側クランプ部222がヒンジ部223を中心に回動し、樹脂管12が凹部222aに嵌るように配置される。
【0067】
締結部224は、いわゆるスナップ錠である。締結部224は、錠本体224aと、突起224bと、を有する。締結部224は、下側クランプ部221および上側クランプ部222の凹部221a、222aを挟んでヒンジ部223とは反対側に設けられている。錠本体224aは、下側クランプ部221の側面に配置されている、突起224bは、上側クランプ部222の側面に配置されている。錠本体224aは、レバー224cと、環状部224dと、を有する。上側クランプ部222を下側クランプ部221の上側に回動した状態で、環状部224dを突起224bに引っ掛けてレバー224cを下側に倒すことによって、下側クランプ部221に対して上側クランプ部222を閉じた状態で締結することができる。
【0068】
樹脂管11と樹脂管12を電気融着継手1に挿入した状態で、第1クランプ部210で樹脂管11を挟み、第2クランプ部220で樹脂管12を挟むことによって、治具200に樹脂管11と樹脂管12と電気融着継手1を配置することができる。
【0069】
(軸部230)
軸部230は、台座260に支持されている。軸部230は、第1クランプ部210の凹部211aおよび凹部212aの中心軸と平行に配置されている。軸部230は、第2クランプ部220の凹部221aおよび凹部222aの中心軸と平行に配置されている。また、軸部230は、第1クランプ部210に固定された樹脂管11および第2クランプ部220に固定された樹脂管12の中心軸と平行に配置されている。軸部230は、上述した軸線方向Aに沿って配置されている。
【0070】
軸部230は、第2クランプ部220から第1クランプ部210側に向かって伸びている。軸部230には、第1クランプ部210が、軸部230に沿って移動可能に取り付けられている。軸部230は、下側クランプ部221から下側クランプ部211に亘って配置されている。第1クランプ部210の下側クランプ部211の凹部211aよりも下方の部分に軸受け部215が配置されており、軸受け部215に軸部230が挿通されている。
【0071】
(押圧部240)
押圧部240は、第1クランプ部210を第2クランプ部220側に向けて軸部230に沿って押圧する。押圧部240は、バネ241と、ナット242と、を有する。
【0072】
第1クランプ部210の第2クランプ部220とは反対側の軸部230の周囲にバネ241が配置されている。
【0073】
ナット242は、バネ241の第1クランプ部210とは反対側の軸部230に配置されている。軸部230の第2クランプ部220とは反対側の端の周囲には、雄ネジ形状が形成されており、ナット242の内側に形成された雌ネジ形状と螺合している。ナット242は、回転させることによって軸部230に沿って移動可能である。
【0074】
バネ241は、ナット242と第1クランプ部210の間に配置されている。ナット242が軸部230と螺合して、軸部230における位置が固定されているため、バネ241によって第1クランプ部210に対して第2クランプ部220に向かう荷重が付加される。荷重は、例えば1~50kgfの範囲で設定でき、3~20kgfの範囲がより好ましい。また、樹脂管11、12および電気融着継手1を治具200に配置した状態で、ナット242を回転させて第1クランプ部210に近づけるとバネ241が圧縮されるため、第1クランプ部210にかかる荷重を増やすことができる。一方、ナット242を回転させて第1クランプ部210から遠ざけるとバネ241は伸長するため、第1クランプ部210にかかる荷重を少なくすることができる。
【0075】
なお、図7に示すように、治具200に樹脂管11と樹脂管12と電気融着継手1を配置した状態で第1クランプ部210に押圧部240によって荷重をかけることによって、樹脂管11の管端11aと樹脂管12の管端12aにストッパ部22に押し付けられるように荷重が付与される。
【0076】
(規制部250)
規制部250は、第1クランプ部210が押圧部240によって第2クランプ部220側に移動しすぎることを規制する。
【0077】
規制部250は、第1クランプ部210と第2クランプ部220の間に配置されている。
【0078】
規制部250は、固定部251と、当接部252とを有している。固定部251は、台座260に固定されている。当接部252は、固定部251から上方に延びた部分であり、軸部230に周囲に配置されている。第1クランプ部210の軸受け部215が当接部252に当接することによって、それ以上第1クランプ部210が第2クランプ部220側に移動することを規制することができる。
【0079】
<接続方法>
次に、本発明にかかる実施の形態の接続方法を説明する。なお、図8は、本実施の形態の接続方法を説明するためのフロー図である。
【0080】
はじめに、ステップS1において、樹脂管11の管端11aおよび樹脂管12の管端12aが、ヒータによって加熱される。図9(a)に示すように、ヒータ300に樹脂管11の管端11aと樹脂管12の管端12aを押し付けて、管端11aと管端12aを加熱する。加熱時の電熱線温度は筒状部21を溶融させ得る温度であればよく、ポリオレフィンの場合は220度以下が好ましい。
【0081】
次に、ステップS2において、図9(b)に示すように、樹脂管11の管端11aを電気融着継手1の継手受口部23の内側に挿入(矢印A1方向)し、樹脂管12の管端12aを電気融着継手1の継手受口部24の内側に挿入(矢印A2方向)する。
【0082】
次に、ステップS3において、図6に示すように治具200に樹脂管11、電気融着継手1および樹脂管12が取り付けられる。治具200の押圧部240によって、第1クランプ部210に第2クランプ部220の方向へ向かう荷重が付与され、図10(a)に示すように、樹脂管11の管端11aと樹脂管12の管端12aを加圧しながら突き合わせることができる。これによって、管端11aと管端12aの内周および外周に樹脂が盛り上がったビードRが形成される(図10(a)の点線P1参照)。このように、樹脂管11と樹脂管12が、電気融着継手1の内側においてバット融着される。
【0083】
なお、ステップS3において、溶融した樹脂管11の管端11aと溶融した樹脂管12の管端12aが互いに押し付けられるため、押圧部240による圧力が徐々に小さくなるが、例えば、ナット242を第2クランプ部220側に向かって移動させることによって、バネ241による第1クランプ部210にかかる荷重の大きさを維持することができる。このように、押圧部240による圧力を調整することができる。例えば、所定時間の間加圧を行い、その後、ナット242を調整して加圧を行わないように調整することもできる。
【0084】
次に、ステップS4において、コネクタ取付部5の2本のピン51b、51cに電気融着装置のコネクタ81が取り付けられ、受口発熱部3、4への通電が所定時間行われる。通電時の電熱線温度は筒状部21を溶融させ得る温度であればよく、ポリオレフィンの場合は220度以下が好ましい。なお、ステップS4は、ステップS3で融着させた樹脂管11、12が冷却した後に行う方が好ましい。
【0085】
通電によって、受口発熱部3、4が発熱し、図10(b)に示すように、継手受口部23、24の内面21aと、樹脂管11、12の外周面が溶融する(点線P2参照)。
【0086】
次に、ステップS5において、受口発熱部3、4への通電が終了し、冷却されて継手受口部23、24の内面21aと、樹脂管11,12の外周面の融着が完了する。
【0087】
<配管構造100の超純水用途>
本開示にかかる実施の形態の配管構造100は、例えば超純水の輸送に用いることができる。具体的には、本開示にかかる実施の形態の超純水用の配管構造100は、超純水製造装置内の配管、超純水製造装置からユースポイントに超純水を輸送する配管、及びユースポイントからの超純水返送用配管等として用いることができる。
【0088】
超純水とは、極度に純度の高い水であり、例えば半導体素子などの電子機器の洗浄に好適に用いられるものである。超純水のグレードを表すための指標は多々あるが、この実施形態では、超純水の電気抵抗率は18.2MΩ・cm以上であり、TOCは50ppb以下である。
【0089】
本開示にかかる実施の形態の配管構造100は、超純水に対する要求水質が特に厳格な、原子力発電用水配管、若しくは、医薬品の製造工程、半導体素子又は液晶、より好ましくは半導体素子の製造工程における洗浄などの湿式処理工程で用いられる超純水の輸送配管であることが好ましい。当該半導体素子としても、より高い集積度を有するものが好ましく、具体的には、最小線幅65nm以下の半導体素子の製造工程で用いられることがより好ましい。半導体製造に使用される超純水の品質等に関する規格としては、例えばSEMI F75が挙げられる。
【0090】
また、本開示にかかる実施の形態の配管構造100はポリエチレン系樹脂層を有しているため、施工性に優れる。たとえば、比較的低温で、EF(電気融着)接合といった融着施工を容易に行うことができる。
【0091】
<特徴>
本実施の形態における接続方法は、ステップS1(管端加熱工程の一例)と、ステップS3(第1融着工程の一例)と、ステップS4(第2融着工程の一例、第3融着工程の一例)と、を備える。ステップS1は、熱可塑性樹脂を含む樹脂管11(第1管の一例)の管端11aと、熱可塑性樹脂を含む樹脂管12(第2管の一例)の管端12aを加熱する。ステップS3は、ステップS1の後に、電気融着継手1の両端の一方に設けられた継手受口部23(第1継手受口部の一例)の内側に挿入された樹脂管11の管端11aと、他方に設けられた継手受口部24(第2継手受口部の一例)の内側に挿入された樹脂管12の管端12aを、電気融着継手1の内側において接触させて管端11a、12a同士を融着する。ステップS4は、継手受口部23に配置され、電熱線31を含む受口発熱部3(第1受口発熱部の一例)に通電を行って、継手受口部23と樹脂管11を融着し、継手受口部24に配置され、電熱線31を含む受口発熱部4(第2受口発熱部の一例)に通電を行って、第2継手受口部と樹脂管12を融着する。
【0092】
本実施の形態における配管構造100は、樹脂管11(第1管の一例)と、樹脂管12(第2管の一例)と、電気融着継手1と、を備える。樹脂管11は、熱可塑性樹脂を含む。樹脂管12は、熱可塑性樹脂を含む。電気融着継手1は、樹脂管11が挿入された継手受口部23(第1継手受口部の一例)と、樹脂管12が挿入された継手受口部24(第2継手受口部の一例)と、継手受口部23に配置され、電熱線31を含む受口発熱部3(第1受口発熱部の一例)と、継手受口部24に配置され、電熱線31を含む受口発熱部4(第2受口発熱部の一例)と、を有する。樹脂管11の管端11aと樹脂管12の管端12aは、電気融着継手1の内側において互いに突き合わされて融着されている。
【0093】
このように、樹脂管11と樹脂管12の管端同士を融着した後に、樹脂管11の外面と電気融着継手1の継手受口部23の内面21aの間と、樹脂管12の外面と継手受口部24の内面21aの間とが融着されるため、空気が閉じ込められず、内側に盛り上がる樹脂の高さを均一にすることができる。図11は、内側に盛り上がる樹脂の高さが均一な状態を示す図である。図11は、樹脂管11側から配管構造100を見た図である。図に示すように、周方向Cに沿って均一に樹脂が盛り上がったビードRが形成されている。
【0094】
樹脂管11の管端11aと樹脂管12の管端12aをバット融着によって接合しているため、従来のように電熱線の加熱だけで融着を行うよりも樹脂管11と樹脂管12の間に隙間が生じ難い。
【0095】
また、バット融着を行うことによって、ビードRを小さくすることができる。
【0096】
(実施の形態2)
次に、本開示にかかる実施の形態2における配管構造400について説明する。本実施の形態2における配管構造400は、実施の形態1と構成が異なる電気融着継手500を有している。本実施の形態2の説明において、実施の形態1と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0097】
図12は、本実施の形態2の電気融着継手500の構成を示す断面図である。
【0098】
本実施の形態2の電気融着継手500は、実施の形態1の電気融着継手1と異なり、挿入された樹脂管11、12を規制するストッパ部22を備えている。ストッパ部22は、継手受口部23と継手受口部24の間に配置されている。
【0099】
電気融着継手1は、図12に示すように、本体部2と、受口発熱部3、4と、ストッパ発熱部7と、コネクタ取付部5と、コネクタ取付部6と、を有する。
【0100】
(本体部2)
本体部2は、熱可塑性樹脂で形成されており、図12に示すように、筒状部21と、ストッパ部22と、を有する。筒状部21は、筒状であって、継手受口部23と、継手受口部24と、連設部25と、を有する。継手受口部23の内側には、樹脂管11が挿入される。継手受口部24の内側には、樹脂管12が挿入される。
【0101】
本体部2で用いられる熱可塑性樹脂としては特に限定されないが、230℃未満の融点のものが好ましい。
【0102】
図13は、電気融着継手500の継手受口部23の内側に樹脂管11を挿し込み、継手受口部24の内側に樹脂管12を挿し込んだ状態を示す断面構成図である。
【0103】
継手受口部23の内径は、樹脂管11の外径以上に形成されている。また、継手受口部24の内径は、樹脂管12の外径以上に形成されている。
【0104】
連設部25は、図12に示すように継手受口部23と継手受口部24に連なっており、継手受口部23と継手受口部24を接続する。連設部25は、継手受口部23と継手受口部24の間を繋ぐ部分であり、後述するストッパ部22が径方向Bの内側に設けられている。継手受口部23の端21bの反対側と継手受口部24の端21cの反対側との間に連設部25が配置されている。
【0105】
(ストッパ部22)
ストッパ部22は、円環状部分である。ストッパ部22は、筒状部21の内面21aに周方向Cに沿って突条であり、全周にわたって形成されている。ストッパ部22も熱可塑性樹脂が含まれ、好ましくは筒状部21で用いられる熱可塑性樹脂と同一の樹脂で形成される。
【0106】
ストッパ部22は、図12に示すように、筒状部21の内面21aから径方向の内側に向かって突出するように形成されている。また、ストッパ部22は、筒状部21の連設部25の径方向Bの内側に配置されている。なお、ストッパ部22は、筒状部21と一つの部材として形成されてもよいし、筒状部21と別部材として形成されてもよい。
【0107】
ストッパ部22は、第1側面22aと、第2側面22bと、周面22cとを有する。周面22cは、ストッパ部22の径方向内側の端面である。
【0108】
第1側面22aは、筒状部21の内面21aから径方向Bの内側に向かって軸線方向Aに対して略垂直に形成されている。
【0109】
第2側面22bは、筒状部21の内面21aから径方向Bの内側に向かって軸線方向Aに対して略垂直に形成されている。
【0110】
周面22cは、第1側面22aの径方向内側の端と、第2側面22bの径方向内側の端を繋ぐ。周面22cは、筒状部21の内面21aと概ね平行に形成されている。
【0111】
継手受口部23の内側に樹脂管11が挿入されると、図13に示すように、ストッパ部22が管端11aの挿入位置を規制する。なお、管端11aの挿入位置を規制するとは、図13に示すようにストッパ部22の第1側面22aに管端11aが接触してストッパ部22が直接規制する場合と、管端11aがストッパ発熱部7の電熱線41(後述する)に接触してストッパ部22が間接的に規制する場合を含む。
【0112】
継手受口部24の内側に樹脂管12が挿入されると、図13に示すように、ストッパ部22が管端12aの挿入位置を規制する。なお、管端12aの挿入位置を規制するとは、図13に示すようにストッパ部22の第2側面22bに管端12aが接触してストッパ部22が直接規制する場合と、管端12aがストッパ発熱部7の電熱線41(後述する)に接触してストッパ部22が間接的に規制する場合を含む。
【0113】
なお、本実施の形態では、管端11aと第1側面22aの間および管端12aと第2側面22bの間(位置V参照)にクレビスが発生することが抑制される。
【0114】
(ストッパ発熱部7)
ストッパ発熱部7は、ストッパ部22に設けられている。ストッパ発熱部7は、電熱線41を有している。電熱線41は、軸線方向Aに沿って周方向Cに巻き回されるようにストッパ部22に設けられている。電熱線41は、本実施の形態では、ストッパ部22に、たとえば4周巻き回されているが、4周に限らなくてもよく、5周以上であってもよいし、3周以下であってもよい。本実施の形態のストッパ発熱部7では、隣り合う電熱線41は全て接触しているが、隣り合う電熱線41の部分の全部または一部の間に間隔が設けられていてもよい。
【0115】
電熱線41は、電熱線31と同様の材料および構成のものを用いることができる。電熱線41は、180度~230度ぐらいで発熱される。
【0116】
図12に示すように、軸線方向Aに沿って、ストッパ発熱部7と、ストッパ発熱部7に最も近い電熱線部分31aの間には、所定の間隔L1が設けられている。また、軸線方向Aに沿って、ストッパ発熱部7と、ストッパ発熱部7に最も近い電熱線部分31bの間には、所定の間隔L1が設けられている。本実施の形態では、受口発熱部3と受口発熱部4は左右対称に設けられているが、左右対称でなくてもよい。
【0117】
ストッパ発熱部7における巻き回された電熱線41の径は、受口発熱部3、4における巻き回された電熱線31の径よりも小さく設定されている。
【0118】
また、ストッパ発熱部7における巻き回された電熱線41の径は、電熱線41の位置が差し込まれる樹脂管11、12の管壁厚みの間に納まるように設定されている。
【0119】
ストッパ発熱部7を発熱させることにとって、ストッパ部22の第1側面22aと樹脂管11の管端11aとの間(図13の位置V参照)と、ストッパ部22の第2側面22bと樹脂管12の管端12aとの間(図13の位置V参照)が、溶融した樹脂によって埋められ、ストッパ部22と樹脂管11、並びにストッパ部22と樹脂管12は融着される。
【0120】
(コネクタ取付部6)
コネクタ取付部6は、図12に示すように、2本のピン61b、61c(一対の第2端子の一例)を有する。2本のピン61b、61cは、筒状部21の外面21dから径方向の外側に向かって突出するように設けられている。2本のピン61b、61cは、筒状部21の中央近傍に軸線方向Aに沿って並んで配置されている。
【0121】
2本のピン61b、61cのうち一方のピン61bは、端21b側に配置され、他方のピン61cは端21c側に配置されている。
【0122】
図14は、コネクタ取付部5、6と電熱線31、41との接続関係を示す模式図である。
【0123】
図14に示すように、電熱線41の一方の端がピン61bに接続されており、電熱線41の他方の端がピン61cに接続されている。ピン61bとピン61cに電気融着装置のコネクタを取り付けて通電を行うことによって、ストッパ発熱部7を発熱させることができる。
【0124】
また、図14に示すように、受口発熱部3は、8周巻き回された電熱線31を有しており、受口発熱部4は、8周巻き回された電熱線31を有している。受口発熱部3と受口発熱部4は、1本の電熱線31で繋がっており、その両端はピン51b、51cに接続されている。電熱線31のうち受口発熱部3を構成する電熱線部分31aと、受口発熱部4を構成する電熱線部分31bの間を繋ぐ電熱線部分31cは、連設部25に埋め込まれている。本実施の形態2では、電熱線部分31cは、実施の形態1のように周方向に巻き回されておらず軸線方向Aに沿って連設部25に埋め込まれているが、実施の形態1のように巻き回されて連設部25に埋め込まれていてもよい。
【0125】
このように、受口発熱部3、4を発熱するためのコネクタ取付部5と、ストッパ発熱部7を発熱するためのコネクタ取付部6とが、別々に設けられているため、受口発熱部3への通電タイミングと、ストッパ発熱部7への通電タイミングを変えることができる。
【0126】
<接続方法>
次に、本開示にかかる実施の形態の接続方法について説明する。図15は、本実施の形態の接続方法を説明するためのフロー図である。
【0127】
はじめに、ステップS10において、樹脂管11の管端11aおよび樹脂管12の管端12aが、ヒータによって加熱される。図16(a)に示すように、ヒータ300に樹脂管11の管端11aと樹脂管12の管端12aを押し付けて、管端11aと管端12aを加熱する。加熱時の電熱線温度は筒状部21を溶融させ得る温度であればよく、ポリオレフィンの場合は220度以下が好ましい。
【0128】
次に、ステップS11において、図16(b)に示すように、コネクタ取付部6の2本のピン61b、61cに電気融着装置のコネクタ81が取り付けられてストッパ発熱部7への通電が開始される。これによって、ストッパ部22が加熱される(点線P3参照)なお、ステップS10とステップS11は、同時に行ってもよい。
【0129】
所定時間が経過した後、ステップS12において、ストッパ発熱部7への通電が停止される。
【0130】
次に、ステップS13において、図17(a)に示すように、加熱した管端11a側から樹脂管11をストッパ部22で規制されるまで受口発熱部3に挿入し、加熱した管端12a側から樹脂管12をストッパ部22で規制されるまで受口発熱部4に挿入する。なお、ステップS11において、ストッパ部22を温めておくことで、管端11a、12aの温度低下を抑制することができる。また、ステップS13は、ステップS12におけるストッパ発熱部7への通電の完了後、出来るだけ即座に行う方が好ましい。
【0131】
次に、ステップS14において、実施の形態1で述べた治具200に樹脂管11、電気融着継手500および樹脂管12を装着する。
【0132】
これによって、図17(b)に示すように、樹脂管11の管端11aがストッパ部22の第1側面22aに押し付けられてストッパ部22の第1側面22aと樹脂管11の管端11aの間が融着し、樹脂管12の管端12aがストッパ部22の第2側面22bに押し付けられてストッパ部22の第2側面22bと樹脂管12の管端12aの間が融着する。なお、ステップS14において、溶融した樹脂管11の管端11aと溶融した樹脂管12の管端12aが、溶融したストッパ部22に押し付けられるため、押圧部240による圧力が徐々に小さくなるが、例えば、ナット242を第2クランプ部220側に向かって移動させることによって、バネ241による第1クランプ部210にかかる荷重の大きさを維持することができる。このように、押圧部240による圧力を調整することができる。例えば、所定時間の間加圧を行い、その後、ナット242を調整して加圧を行わないように調整することもできる。
【0133】
次に、ステップS15において、図18に示すように、コネクタ取付部5の2本のピン51b、51cに電気融着装置のコネクタ81が取り付けられ、通電が所定時間行われる。通電時の電熱線温度は筒状部21を溶融させ得る温度であればよく、ポリオレフィンの場合は220度以下が好ましい。ステップS15は、ステップS14において融着された樹脂管11、12が冷却した後に行う方が好ましい。
【0134】
この通電によって、受口発熱部3、4が発熱し、継手受口部23、24の内面21aと、樹脂管11、12の外周面が溶融する(点線P2参照)。
【0135】
次に、ステップS16において、受口発熱部3、4への通電が終了し、冷却されて継手受口部23、24の内面21aと、樹脂管11,12の外周面の融着が完了する。
【0136】
なお、本実施の形態2の配管構造400は、実施の形態1で述べた場合と同様に、超純水の輸送に用いることができる。
【0137】
<特徴>
本開示に係る実施の形態2における接続方法は、ステップS10(管端加熱工程の一例)と、ステップS11(ストッパ加熱工程の一例)と、ステップS14(第1融着工程の一例)と、ステップS15(第2融着工程および第3融着工程の一例)と、を備える。ステップS10は、熱可塑性樹脂を含む樹脂管11(第1管の一例)の管端11aと、熱可塑性樹脂を含む樹脂管12(第2管の一例)の管端12aを加熱する。ステップS11は、電気融着継手500の筒状部21の内面に内側に突出するように設けられたストッパ部22に配置され、電熱線41を含むストッパ発熱部7に通電を行い加熱する。ステップS14は、ステップS11の後に、筒状部21の両端の一方に設けられた継手受口部23(第1継手受口部の一例)の内側に挿入された樹脂管11の管端11aと、他方に設けられた継手受口部24(第2継手受口部の一例)の内側に挿入された樹脂管12の管端12aとを、ストッパ部22に融着する。ステップS15は、継手受口部23に配置され、電熱線31を含む受口発熱部3(第1受口発熱部の一例)に通電を行って、受口発熱部3と樹脂管12を融着し、受口発熱部4(第2継手受口部の一例)に配置され、電熱線31を含む受口発熱部4(第2受口発熱部の一例)に通電を行って、受口発熱部4と樹脂管12を融着する。
【0138】
このように、樹脂管11と樹脂管12の管端11a、12aをストッパ部22と融着した後に、樹脂管11の外面と継手受口部23の内面21aの間と、樹脂管12の外面と継手受口部24の内面21aの間とが融着されるため、空気が閉じ込められず、内側に盛り上がる樹脂の高さを均一にすることができる。
【0139】
ストッパ部22を加熱するだけでなく、樹脂管11の管端11aと樹脂管12の管端12aを加熱してストッパ部22と融着しているため、従来のように電熱線の加熱だけで融着を行うよりも樹脂管11と樹脂管12の間に隙間が生じ難い。
【0140】
また、バット融着を行うことによって、ビードRを小さくすることができる。
【0141】
本開示に係る実施の形態2における接続方法は、ステップS11(ストッパ加熱工程の一例)におけるストッパ発熱部7への通電を終了するステップS12の後に、ステップS14(第1融着工程の一例)を行う。
【0142】
このように、ストッパ部22の加熱を終了した後に、加熱した樹脂管11の管端11aと樹脂管12の管端12aをストッパ部22と融着させているため、隙間の発生を抑制することができる。
【0143】
<他の実施の形態>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0144】
(A)
上記実施の形態2では、ストッパ発熱部7への通電を終了した後に樹脂管11の管端11aと樹脂管12の管端12aをストッパ部22に押し付けているが、これに限らなくてもよく、ストッパ発熱部7に通電しながら、樹脂管11の管端11aと樹脂管12の管端12aをストッパ部22に押し付けてもよい。
【0145】
(B)
上記実施の形態2では、軸線方向Aに沿って視た場合、ストッパ部22の外径は円形状であるが、円に限らなくても良く、多角形状であってもよい。
【0146】
(C)
上記実施の形態1、2では、受口発熱部3、4において全ての電熱線31は隣り合う部分が接触するように巻き回されているが、全部または一部が接触しなくてもよい。また、後述する比較例1のように所定間隔を空けて所定数毎に隣り合う電熱線の部分が接触していてもよいし、受口発熱部3、4において間隔および/または接触している数が異なっていてもよい。
【0147】
(D)
上記実施の形態では、受口発熱部3と受口発熱部4は、ストッパ部22を挟んで左右対称に設けられているが、これに限らなくてもよい。例えば、ストッパ部22を挟んで一方の継手受口部23では電熱線31が7周巻き回されており、他方の継手受口部24では電熱線31が8周巻き回されていてもよい。
【0148】
(E)
上記実施の形態では、電気融着継手1の流路はいずれも直線状に形成されているが、流路が曲がっているエルボ継手であってもよい。
【0149】
(F)
上記実施の形態2では、受口発熱部3の電熱線31とストッパ発熱部7の電熱線41に同じものを使用しているため、すべての電熱線31、41に絶縁皮膜が設けられているが、これに限らなくてもよい。しかしながら、少なくとも電熱線41には絶縁皮膜が設けられているほうが好ましい。これは、樹脂管11および樹脂管12によって加圧されるため、電熱線41同士が接触しやすいためである。
【0150】
(G)
上記実施の形態では、管の一例として樹脂管11、12が用いられているが、これに限らず、金属補強層を有する金属補強複合管などの樹脂が用いられた管であってもよい。
【0151】
(H)
上記実施の形態1、2では、受口発熱部3と受口発熱部4は、同時に加熱されているが、受口発熱部3と受口発熱部4の各々に対してコネクタ接続部が設けられている場合には、受口発熱部3と受口発熱部4のいずれか一方を加熱してから他方を加熱してもよい。
【0152】
(I)
上記実施の形態1、2では、第1クランプ部210に対して荷重を付加する押圧部として、バネ241およびナット242が用いられているが、これに限らなくてもよく、モータやシリンダ等であってもよい。また、管端11a、12aのストッパ部22への押圧は、第1クランプ部210への荷重の付加または移動量のいずれによるものであってもよい。
【0153】
また、モータやシリンダを用いて荷重を負荷する場合、電気融着装置と連動して制御されてもよい。たとえば、あらかじめ設定されたプログラムに従って、所定以上の荷重が維持されるように、電気融着装置による加熱時間の経過に従ってモータやシリンダを制御してもよい。
【0154】
(実施例)
以下に、実施例を用いて上述した実施の形態1、2について詳しく説明する。
【0155】
(実施例1)
実施例1では、実施の形態1に示す構成の電気融着継手1を用いて樹脂管11、12との接合を行った。
【0156】
電気融着継手1の材料は、オレフィン樹脂である。電気融着継手1の全長は、70-300mmである。樹脂管11、12の材料は、オレフィン樹脂である。電熱線31は、絶縁皮膜がイミドまたはアミドイミドで形成されている。電熱線31の径は、0.3-2.0mmである。樹脂管11、12の呼び径は、20-200Aである。L0の長さは、被覆電熱線径の2倍以上である。
【0157】
実施例1では、実施の形態1で説明した図8のフロー図に従って電気融着継手1と樹脂管11、12を接続した。
【0158】
図9(a)における樹脂管11、12の管端11a、12aの加熱の条件は、管端全体が230度を超えるように加熱時間・電圧を制御す(40-76V,70-500S程度)る。樹脂管11と樹脂管12をパット融着する際の圧力は0.15MPa×断面積である。受口発熱部3、4の加熱の条件は、230度を超えるような加熱時間・電圧を付与することである。
【0159】
(比較例1)
比較例1では、図19に示す構成の電気融着継手1100を用いて樹脂管11、12との接合を行った。図19に示す電気融着継手1100は、実施の形態2の電気融着継手500と比較して、ストッパ発熱部1007と受口発熱部1003と受口発熱部1004が一本の繋がった電熱線31で構成されており、コネクタ取付部6が設けられておらず、受口発熱部1003と受口発熱部1004における電熱線の巻き回し構成が異なっている。比較例1の電気融着継手1100の受口発熱部1003では、電熱線31が接触するように2周巻き回し、軸線方向Aに沿って所定間隔L3を空けて電熱線31が接触するように2周巻き回すことが繰り返されている。受口発熱部1003では、図19に示すように、例えば、電熱線31が8周巻き回されている。また、受口発熱部1004では、電熱線31が接触するように2周巻き回し、軸線方向Aに沿って所定間隔L3を空けて電熱線31が接触するように2周巻き回すことが繰り返されている。受口発熱部1004では、図19に示すように、例えば、電熱線31が8周巻き回されている。
【0160】
なお、電気融着継手1100では、ストッパ発熱部1007は、電熱線31が4周巻き回されて構成されている。電熱線31のうち受口発熱部1003を構成する部分を電熱線部分31aとし、受口発熱部1004を構成する部分を電熱線部分31bとし、ストッパ発熱部1007を構成する部分を電熱線部分31dとすると、電熱線部分31a、電熱線部分31d、および電熱線部分31bの順に繋がっている。
【0161】
また、電熱線部分31aの端21b側の端は、ピン51bに繋がっており、電熱線部分31bの端21c側の端は、ピン51cに繋がっている。すなわち、ピン51bとピン51cに通電を行うことによって、ストッパ発熱部1007と受口発熱部1003と受口発熱部1004が同時に加熱される。
【0162】
また、ストッパ発熱部1007と、ストッパ発熱部1007に最も近く配置された2本の隣接する電熱線部分31aとの間には、軸線方向Aに沿って間隔L2が設けられており、ストッパ発熱部1007と、ストッパ発熱部1007に最も近く配置された2本の隣接する電熱線部分31bとの間には、軸線方向Aに沿って間隔L2が設けられている。
【0163】
電気融着継手1100の材料は、オレフィン樹脂である。電気融着継手1100の全長は、70-300mmである。樹脂管11、12の材料は、オレフィン樹脂である。電熱線31は、絶縁皮膜がイミドまたはアミドイミドで形成されている。樹脂管11、12の呼び径は、20-200Aである。L2、L3の長さは、被覆電熱線径の2倍以上である。
【0164】
比較例1では、電気融着継手1100の継手受口部23に樹脂管11を挿入し、継手受口部24に樹脂管12を挿入した構造体を、上述した治具200に装着し、0.15MPa×断面積の圧力で加圧しながら、ピン51b、51cに通電を行って、受口発熱部1003、1004とストッパ発熱部1007を加熱した。
【0165】
上記実施例1と比較例1の配管構造を切断し、ビードの噴出若しくは窪みが発生しているか否かを目視で確認した。
【0166】
結果を以下の(表1)に示す。
【0167】
(表1)

比較例1では、ビードの噴出若しくは窪みの発生が確認できたが、実施例1ではビードの噴出および窪みの発生が見られなかった。
【0168】
比較例1におけるビードRの噴出若しくは窪みの発生について図20(a)および図20(b)を用いて説明する。図20(a)は、比較例1の電気融着継手1100と樹脂管11との間の融着を説明するための部分拡大図である。図20(a)に示すように、ストッパ発熱部1007と受口発熱部1003の間隔L2の部分(コールドゾーン)において、電気融着継手1100の内面と樹脂管11の外面のクリアランス(図中にてEで示す)内に空気が存在する。融着を開始すると、ストッパ発熱部1007と樹脂管11の管端11aの間の融着(図中にて融着部分をQ2で示す)と、受口発熱部1003が設けられている部分の内面と樹脂管11の外面の融着(図中にて融着部分をQ1で示す)が同時に進行するため、クリアランスE内の空気が双方の融着部分Q1、Q2で間に閉じ込められた状態で熱により膨張し、図20(b)に示すように、ビードRを形成する途中の溶融樹脂を押し上げ、ビードRが噴出する。また、空気の膨張によって樹脂内に気泡が混じり、混じった気泡が更なる膨張によって破裂するとビードRに窪みが発生する。
【0169】
図21は、ビードRの噴出および窪みの例を示す図である。図21は、端21b側から視た図である。図21では、ストッパ部22および樹脂管11の内周面から内側に盛り上がった樹脂がRで示されており、凹みがQで示されている。
【0170】
対して、実施例1では、樹脂管11の管端11aと樹脂管12の管端12aをバット融着によって接合した後に、樹脂管11の外面と電気融着継手1の継手受口部23の内面21aの間と、樹脂管12の外面と継手受口部24の内面21aの間とが融着されるため、空気が閉じ込められず、図11に示したように内側に盛り上がる樹脂(ビードR)の高さを均一にすることができる。
【0171】
(実施例2)
実施例2では、実施の形態2に示す構成の電気融着継手500を用いて樹脂管11、12との接合を行った。
【0172】
電気融着継手500の材料は、オレフィン樹脂である。電気融着継手500の全長は、70-300mmである。樹脂管11、12の材料は、オレフィン樹脂である。電熱線31は、絶縁皮膜がイミドまたはアミドイミドで形成されている。樹脂管11、12の呼び径は、20-200Aである。L1の長さは、被覆電熱線径の2倍以上である。
【0173】
実施例2では、実施の形態2で説明した図15のフロー図に従って電気融着継手1と樹脂管11、12を接続した。
【0174】
図16(a)における樹脂管11、12の管端11a、12aの加熱の条件は、230度を超えるような加熱時間・電圧を付与することである。樹脂管11と樹脂管12をパット融着する際の圧力は0.15MPa×断面積である。図16(b)におけるストッパ発熱部7の加熱条件は、
230度を超えるような加熱時間・電圧を付与することである。図17(a)および図17(b)における樹脂管11、12の電気融着継手500への加圧は、0.15MPa×断面積である。図18における受口発熱部3、4の加熱の条件は、230度を超えるような加熱時間・電圧を付与することである。
【0175】
このように作成した実施例2の配管構造を切断し、ビードの噴出若しくは窪みが発生しているか否かを目視で確認した。以下の(表2)に、比較例1の結果とともに実施例2の結果を示す。
【0176】
(表2)

実施例2では、樹脂管11と樹脂管12の管端11a、12aをストッパ部22と融着した後に、樹脂管11の外面と継手受口部23の内面21aの間と、樹脂管12の外面と継手受口部24の内面21aの間とが融着されるため、空気が閉じ込められず、内側に盛り上がる樹脂の高さを均一にすることができる。
【符号の説明】
【0177】
1 :電気融着継手
3 :受口発熱部
4 :受口発熱部
11 :樹脂管
11a :管端
12 :樹脂管
12a :管端
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21